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二十一世紀の自分探しプロジェクト―キャラの檻から出て、街

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二十一世紀の自分探しプロジェクト―キャラの檻から出て、街
二十一世紀の自分探しプロジェクト―キャラの檻から出て、街に出かけよう
熊野宏昭
はじめに
『二十一世紀の自分探しプロジェクト』――あなたは、「変な題名だな」と思
って手に取った一人かもしれません。あるいは、「二十一世紀のと言われても、
自分探しなんて、今どきクールじゃないよね」と思ったかもしれませんね。
確かにそうかもしれません。ただ、それでも、われわれが毎日悩むのは、自
分のことばかりです。「今日は何を着て出かけよう」、「何を食べようか」、
「誰と会おうか」、「今度の休みはどこへ出かけよう」……。悩みのほとんど
は自分の好みと関係しています。
そして、毎日同じようなことばかりが頭を駆け巡っています。「自分はもっ
ともっと頑張らないといけないんじゃないか」、「私は彼がいないと生きてい
けないのに彼は振り向いてくれない」、「あいつだけは許せない」、「あの人
が出ていってくれさえすればうまくいくのに」……。
社会との関わりの中でどうしてよいかわからず困ることも多くあります。
「自
分は何をすれば生きていけるんだろう」、「何をすれば皆に認めてもらえるん
だろう」……。そして周囲からは、「君には自分がない」、「自分の意見を主
張できない奴は社会人として失格だ」、「自分で考えなければダメだ」と、“駄
目出し”もされてしまいます。
こうなると、やはり「自分」を見つけることは、あらゆる問題の究極の解決
策として、避けて通れないのではないでしょうか。
でも、「自分探しなどこりごり」と思われる方もいるかもしれません。十年
以上前から低成長期に入った日本では、いい学校に入るためにガリガリ勉強し
たり、会社や組織のために身を粉にして働くのではなく、自分の好きなことを
見つけ、自分に合った生き方をしようという機運が高まりました。子育てでも
子ども自身の気持ちを大切にして、親は余計なことを言わない方がよいという
具合でした。
そしてその結果どうなったかと言うと、定職につかない若者が増えたり、第
二の人生を夢見て早期退職したけれど思い描いたようには新しい仕事ができな
かったり、自分勝手なだけの子どもが増えたり……。結局、「自分」とは青い
鳥だったのでしょうか。
その一方で、伝統的な価値観で「余計なことは考えずに、手堅く生きていく
のがいい」と思っていた人たちはどうだったでしょうか。現在わが国は世界規
模の経済的混乱に巻き込まれ、頼りにして来た会社も、学校も、国さえも揺ら
いでいます。こうなると、「こんなことをしていて大丈夫なのだろうか」「で
も、会社から放り出されたら、自分には何ができるんだろう」などと考えざる
を得なくなっている人も少なくないでしょう。そうです、これまで「自分」の
ことなど考えずに来たので、どうしていいのか右も左も分からないのです。
このように「自分」とは、探しても大変、探さなくても大変という代物なの
です。
そこで本書では、人間の言葉がしゃべれるようになった黄色いインコのキク
ちゃんの協力も得て、もう一度「自分」とはどのようなものなのかを丁寧に検
討します。そこから始まる「二十一世紀の自分探しプロジェクト」に、皆さん
をお誘いしたいと思うのです。
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