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インスリン感受性の性差 - Kyushu University Library
J. Health LSci., 22 : 1一 16, 2000 1 一総 説一 インスリン感受性の性差 熊 谷 秋 三 佐々木 悠* Sex and lnsulin Sensitivity Shuzo KUMAGAI and Haruka SASAKI“ Abstract Insulin resistance is a recognized characteristics of several disease states including obesity, non−insulin dependent diabetes mellitus (NIDDM), essential hypertension and atheroscelerotic cardiovascular disease. Women in their childbering years have a 2−3 times lower incidence of coronary heart disease than in men. Similar observation has also been documented in incidence of NIDDM. This difference has been attributed to factors such as favorable sex hormones, lipids, and coagulation profiles. Especially, sex steroid hormones were also important regulators of lipid and gulcose metabolism in men and women. Significant sex difference of insulin sensitivity evaluated by hyperinsulinemic euglycemic clamp method was demonstrated in several studies. lnsulin sensitivity evaluated as glucose infusion rate (GIR; mg/kg/min) per whole body and lean body mass, and GIR in skeletal muscle using [’8F]fluoro−2−deoxy− D−glucose (i8FDG)] and positron emission tomography (PET) under calmp in women was significantly higher than that in men. lt is reperted that this phenomenon is an independent of age, physical fitness and body mass index in both sexes. ln this review, we would like to mainly discussed the effects of and role of sex hormones concerning the sex difference of insulin sensitivity. Key words:insulin sensitivity, sex difference, sex hormones, sex hormone−binding globulin, hormone replacement therapy (Journal of Health Science,Kyushu University,22:1−16,2000) 1.はじめに の変化9Q}、インスリン抵抗性の増強9)などが何らかの 重要な役割を果たしていると考えられる。即ち、虚血 出産可能な年代における女性の虚血性心疾患の発症 性心疾患や動脈硬化進展の性差には、インスリン感受 率は男性に比較し2−3倍低く52)、閉経前に比べ閉経 性M}、あるいは高インスリン血症、および脂質代謝 後にはその発症率の急激な増加が生じる53)。さらにイ 変化80)の性差に基づく可能性がある。 ンスリン非依存性糖尿病(NIDDM)の発症率にも性 近年、インヌリン感受性の低下(インスリン抵抗性、 差を認める108)。おそらく、上記の疾病発症要因の性 あるいは高インスリン血症)に基ずいて成立する一連 差の背景には、男女共に性ホルモンを介した脂質代謝 の病態群を総称して、「インスリン抵抗性症候群」と Institute of Health Science, Kyushu University 11, Kasuga 816−8580, Japan *Second Division of lnternal IYIedicine, Fukuoka University, Chikushi Hospital, Chikushino 818−8502, Japan 2 健 康 科 学 第22巻 呼称されている。以前より、虚血性心疾患あるいは動 血糖の急峻な上昇率と消失率および血中インスリン濃 脈硬化性疾患における危険因子としての肥満、高血圧、 度を頻回に測定し、そのkineticsをコンピューター解 血糖能異常、高脂血症の存在はよく知られていた。..… 析することから、組織のインスリン感受性(insulin 方、肥満者の多くは高血圧、耐糖能異常、高脂血症な sensitivity;Si)と同時に高血糖自体のmass effect どを合併し易いこと、逆に耐湿能異常者には肥満、高 による面取り込み作用(glucose effectiveness;Sg)と 血圧や脂質代謝異常の合併が高率であることなどよく に分けて評価することが可能である。 知られた事実である。 …方、簡便法としては空腹時血糖値(mg/dl;FPG) 性ホルモンとインスリン抵抗性および脂質代謝との と空腹時インスリン(μU/ml;FIRI)の比(G/1比)が 関連性に関する疫学的研究やインスリン抵抗性や脂質 用いられ、グルコース・クランプ法やミニマルモデ法 代謝に及ぼす性ホルモン補充療法の影響に関する多く で評価したインスリン感受性指標との相関性が高いこ の臨床的知見が集積されてきた9’62’90)。そこで本総説 と、およびその値が6.0以上の場合はインスリン抵抗 では、主にhyperinsulinemic euglycemic clamp法で 性の増大を意味することも報告されている靴,また、 評価したインスリン感受性に焦点を絞り、その性差と Matthews77}によってHOMAモデルによるインスリ 調節機序に関して性ホルモンの観点から考察を加える。 ン抵抗性スコアー(IRスコアー)が提言されている。 2.インスリン感受性(抵抗性)の性差 IRスコアーは、以ドの公式を用いて算出される (FIRI(μU/ml)XFPG(mmol/1)/22.5)。なお、 以下に、インスリン感受性およびインスリン抵抗性 HOMAモデルによるインスリン抵抗性の評価は、空 状態の評価法を紹介する。 腹時血糖が160mg/dl以下でのみ有効である57}。その 1)インスリン感受性(抵抗性)の評価方法 理由はFPG140−160mg/dlの濃度範囲以上ではイン 現在、in vivoでのインスリン感受性(抵抗性)の スリン分泌に抑制がかかる値のためである。 評価法として、1)グルコース・クランプ法22)、2) 2)インスリン感受性(抵抗性)の性差 SSPG(steady state plasma glucose)法96)、3)ミニ 経口的に生体内に摂取されたグルコースは、その マルモデル法8/がある。以下にそれぞれの評価法の要 2/3以Eが主に骨格筋に取り込まれ3D55)、脂肪組織 約を示す。 への取り込み率は1%以下1’)である、,女性は男性に比 グルコース・クランプ法は、DeFronzoら22)により べ除脂肪体重が少ないために、一.定量のグルコース摂 具体化された検査法であり、主に末梢組織(主に骨格 取に伴う取り込みは男性に比べ低下すると考えられる。 筋)でのインスリン感受性を評価する方法であり、 これまでの成績では、経口糖負荷試験(OGTT)に伴 hyperinsulinemic euglycemic clamp法が一般的であ う血糖、インスリン応答は体重でマッチングされた男 る。具体的には、一定量のインスリン注入を保持しな 女間では有意差は認められない15’。しかしながら、耐 がら血糖値を空腹時水準に維持するために必要な外因 面心正常女性のOGTT中のインスリン応答から評価 性グルコースの注入量(glucose infusion rate;GIR) されたインスリン感受性は男性に比べ優れているとの からインスリン感受性を評価する。即ち、.・淀量のイ 成績もある25’83)84〕。さらに、Krotkiewskiら61,は非肥 ンスリン持続中によって肝臓からの糖放出は抑制され、 満者で体脂肪率でマッチングされた男女の場合、男性 体内でのグルコースの利用率と注入率との平衡状態が の空腹時血糖(FPG)、空腹時インスリン(FIRI)、 保たれた時点でのグルコース注入量(GIR)がインス およびOGTTに伴うインスリン/グルコース比は女 リン感受性の指標となる。最近は、ヒトにおいてラベ 性に比べ高値であることを報告した。その後、Yki 一 ルされた放射性同位元素([18F]fluoro−2−deoxy−D− JarvineniiO)は筋量の測定に加えグルコースクランプ glucose C8 FDG))を動脈注入し、 PET(positron 法を用いてインスリン感受性を評価し、筋量当たりの emission tomography)法を用いることにより骨格筋 インスリン感受性(剥取り込み)に関して最大酸素摂 や心臓などへの臓器および器官特異性が非侵襲的に評 取量(VO、max)に有意差を認めない男女を対象に性 価可能であるnD。 差を検討した。その結果、体重当たりのGIRには有 SSPG法は、内因性のインスリン分泌を抑制した状 意な性差が認められなかったが、筋重量当たりで評価 態での外因性インスリン作用を恒常性血糖値(SSPG) された女性のGIRは男性に比べ有意に高いことを認 によって評価する方法である96)。ミニマルモデル法は、 めた。即ち、この事実は女性では少ない筋重量にも関 0.3g/kgのグルコースを経静脈的に投与し、その時の わらず、多くの糖取り込みが可能である事を示唆して インスリン感受性の性差 3 いる。さらに、彼女らは82)骨格筋への’8FDGの取り のインスリン抵抗性や内臓脂肪蓄積型肥満の関与がク 込みの程度をPET法を用いて年齢、 VO、max、およ ローズアップされるに至り、その調節因子としての性 びBMIに有意差を認めない男女を対象に性差を再検 ホルモン(特にアンドロゲン)の関与が明らかにされ 討した。その結果、女性の体重当たりおよび筋重量当 つつある9)。 たりのGIRは男性に比べ有意に高値であることを再 さらに、糖・脂質代謝指標および線維素溶解能のひ 確認している(図1)。また、ミニマルモデル法で評 とつのマーカーとしての性ホルモン結合蛋白(SHBG) 価されたインスリン感受性にも明らかな性差が確認さ の有用性が指摘されてきた43)65)76)8D。即ち、性差を問 れている78)。これら性差を認める主たる要因として、 わずSHBGはHDL一コレステロールやGIRで評価さ 糖代謝の恒常性維持に対する性ホルモンの影響が考慮 れたインスリン感受性との間に有意な正相関を、さら されてきた。 に男性においてはSHBGとprasminogen activator inhibitor 1(PAI−1)との間には有意な負の相関が報 3。インスリン感受性と性ホルモン 告されている。SHBGはテストステロンその他のアン 一般的に、女性ホルモンは動脈硬化抑制因子として、 ドロゲンの遊離型/結合型比の主たる決定要因であり 男性ホルモンは動脈硬化促進因子として作用している アンドロゲンとエストロゲンのバランスを示す指標で と考えられてきた37)。近年、動脈硬化促進因子として ある。女性におけるテストステロンの増加に伴う SHBGの低下は、 relative hyperandrogenicity(相対 的な高アンドロゲン血症)の尺度と考えられ、一方男 oo HEART goo 下現象は、relative hypogonadism(相対的な性腺機 t50 葺,。 罪 性におけるテストステロンの低下に伴うSHBGの低 FEMORAし襯USCしE WHOLE SOOY 葺 能低.ド状態)と呼称されている9)。SHBG水準は一般 蚤 奎§,。。 S ,. 呈、, 拐蓬 ] §署 暑 dg 300 的に女性の方が男性より高値であり、肥満に伴い減少 するなど種々の内的・外的要因によって規定されてい g so g, 20 る95)。血中SHBG濃度の変動に影響する重要な因子 を表1に示した。SHBGを尺度にした疫学的な前向き o o o i 誉 W M W 闊 W M 調査によれば、低SHBG濃度群ではNIDDMの発症 図1.心臓(ll mol/体重kg/min)および大腿筋 (μmol/骨格筋重量kg/min)への糖取り込 頻度が高いことが女性例にのみ認められている42)72)。 み率の性差(Nuutila,P,,et al. Diabetes, 44:31−36,1995).W;女性, M;男性,*p< O.05 **p〈O.Ol 内臓脂肪蓄積型肥満と糖・脂質代謝との関連性に関 しては優れた総説があるので23’58)、ここでは肥満症 表1 血中SHBGに影響する因子と疾患 ’・;,量’ 、il d .t痴薮. 麟 饅 ・,姻羅鱗轟総・1‘} ” 、築 :if, ge欝螺、 Increased thyroid hormone Obesity Increased estrogens Syndromes of androgenization in women Pregnancy (PCOS, hirsutism, acne) Luteal phase of menstrual cycle Testosterone treatment in normal and hypogonadal men Exogenous estrogens Hyperprolactinemia Cirrhosis of the liver Increased growth hormone Phenytoin (Dialtin) Menopause Tarnoxifen Progestational agents Prolonged stress Danazol Carcinoma of the prostate Glucocorticoids Anorexia nervosa Insulin Aging in men Insulin−like growth facl;or−1 High carbohydrate diet PCOS 1 polycystic ovarian syndrome. (Rosner, 1991) 健 康 科 学 4 第22巻 (主に内臓脂肪蓄積型肥満)を含む耐白白異常者の性 の相関を報告した、,また、肥満者を含む男性例におい ホルモン特性およびインスリン抵抗性および糖代謝と て、グルコースクランプ法で評価したインスリン感受 性ホルモンおよびSHBGとの関連性をその性差とい 性と血中総テストステロンとの間にも有意な負の相関 う観点からまとめてみた、, が認められている78’。 1)内因性ホルモン B.女性 (i)アンドロゲン Kitabchiらは59)、女性における中心性肥満一ナインス A.男性 リン抵抗性の増強一ナNIDDM発症への高コルチゾー 思春期に伴う性ホルモンの分泌増加は、インスリン ル血症および高アンドロゲン血症の関与を想定してい 感受性の低下と関連し12113)、さらにその低下には末梢 る。例えば、高アンドロゲン血症を呈する多嚢胞性卵 での糖取り込みの障害が指摘されている1;}114)⊂,思春期 巣症候群(polycystic ovary syndrome;PCO)患者に に伴う成長ホルモンの変化もインスリン感受性の低下 中心性肥満を伴ってインスリン抵抗性増大が存在する に関連しており、この点は今後検討されるべき課題で 事実は、中心性肥満に随伴するインスリン抵抗性の発 もある,, 現メカニズムを考えるEでの貴重な臨床モデルである, 男性NIDDM患者はコントロール群に比べSHBG Kopelmanも60)、肥満、 PCO、クッシング症候群患者 および総テストステロン水準が有意に低いことが報告 のインスリン抵抗性発現機構の類似性を指摘している, され1〕51、同様な成績はNIDDMを対象にした Andersonnらは1]、年齢および各種肥満度に有意差を AnderssonらPや口本人の糖尿病境界型(IGT)と 認めないNIDDM患者と健常者の性ホルモンおよび NIDDMを対象にした報告。「)でも指摘されている(図 SHBG水準を比較検討し、副腎由来のアンドロゲンで 2)、,これらの成績は、男性耐半能異常者では生理的 あるdehydroepiandrosterone(DHEA)の有意な低.ド 範囲内ではあるが、性腺機能低下、即ち“relative とエストロンおよび遊離テストステロンの有意な増加 hypogonadism”とも呼称し得る状態にあることが示 を報告した。即ち、NIDDM女性の性ホルモン特性は 唆される、, 肥満女性と同様にrelative hyperandrogenicityとも Seidellらは97’、遊離テストステロンと内臓脂肪面積、 呼称しえる状態にあるようである,また、境界型糖尿 FIRI、 FPG、およびC−peptide水準との間に有意な負 病(IGT)を伴う閉経後女性においても、アンドロゲ DHEA−s Free T (pg/ml) (ng/dl) 25 3000 2500 2000 1500 1000 500 20 15 10 5 0 0 E2 (pg/ml) SHBG (n皿01/1) 5 70 60 50 40 30 20 10 0 0 35 30 25 20 15 10 −t −t va:Control〈n一一一15) [==コ:IGT(n=15) 111111111:NIDDM{n=i5) 図2.男性耐糖能正常(Control)、耐糖能境界型(IGT)、およびインスリン非依存型糖尿病(NIDDM) の性ホルモンおよびSHBG水準の比較(熊谷秋一三他、糖尿病,40:697−700,1997.). DHEA−s;Dehydroepiandrosterone−sulfate, Free T; Free testosterone, E2; Estradiol, SHBG; Sex hormone−binding globulin, *p〈O.05 インスリン感受性の性差 ン活性の指標である総テストステロン/性ホルモン結 5 合蛋白(SHBG)比は年齢、 BMI、およびWHRでマッ 性インスリンの急性効果を介した血中SHBG水準の 低下は、少数例の健常肥満女性、あるいはPCO症例 チングした健常者群に比べ有意に高値であることや耐 を対象に薬理学的量のインスリン投与によって検討さ 糖能指標との有意な相関関係が報告されている68)tt れているが、相反する成績が報告された26’30)。著者ら 肥満PCOおよび非肥満PCO患者に認められる高 は38)、耐二巴境界型を伴う成人男女を対象に2時間の アンドロゲン水準は、インスリン抵抗性の程度との間 クランプ前後(血中インスリン水準は、生理的濃度) に有意な正相関が認められている18’86)。また、内臓脂 でのSHBGの変動の検討を行ったが、女性例のみに 肪蓄積型肥満女性と遊離テストステロン水準との間に 有意な低下を認めた。通常、SHBGの血中半減期 も有意な正相関が認められる9)。一…方、高インスリン (tl、2)は5−7日とされており89’、 SHBGの分泌低下 状態そのもによるアンドロゲン産生の増加も報告され を介した現象とする解釈は困難である。Pasqualiら ており、PCOに見られるインスリン抵抗性の程度と は85)男性の肥満者および正常体重への7日間の アンドロゲン水準との因果関係には一致した見解は得 diazoxideの投与によって血中インスリン水準を低下 られていない3㌔ させた状態で、テストステロンおよびSHBG水準の 2) SHBG 有意な増加を報告し、in vivoにおいてインスリンは、 低SHBG濃度群にはNIDDMの発症頻度が高いこ テストステロ1ノの産生やSHBGの抑制に貢献してい と42)72}、およびSHBG水準とインスリン抵抗性の程度 るとしている。また、外因性にテストステロン投与す との間に認める有意な関連性は女性例のみに認められ ると3時間で血中SHBGが低下すること7〕、 SHBGの ている38199)。著者ら38,は、耐糖能境界型の男女を対象 日内変動は血中アルブミンの変化に比べ大であること にクランプ法によってインスリン感受性を評価し、 から、体液量増大の影響ではなく、他の要因がSHBG SHBGとの関連性に関する性差を検討した。その結果、 の低下機序に関与することが示唆される20)。さらに、 GIRには有意な性差を認めなかったが、女性例にの 先述したPCO症例に薬理量のインスリン投与を行う みSHBGへのGIRの独立した関連性が認められた。 と、6時間でのSHBGの低ドを認めたとの報告30’も 即ち、男性例で認められたSHBGとGIRとの関連性 あることから、短時間でのSHBGの低下を示唆する は、体脂肪分布や加齢に付随した二次的現象であるこ 成績も存在する。 とを報告した。Katsukiら54’も、男性NIDDM患者を 一一一方、SHBGの血中クリアランスに関する情報は少 対象に食事・運動療法による介入研究を行い、インス ない。Grave c) 39)は、インスリンによってSHBG同様 リン抵抗性の改善後には生理的インスリン濃度でのク に抑制を受けることが報告されているcorticosteroid− ランプ法によるGIRとSHBG水準との間にみられる binding globulin(CBG)は、体重減少に伴う血中イ 関連性は消失すると報告している。この成績は、著者 ンスリン低Fに伴って上昇しないことから、血中イン らの結果と矛盾しないものと考えられる。近年、 スリン低下に伴うSHBGの上昇は、そのクリアラン Peirisら87)は健康な青年男性を対象にSHBG水準は ス低下を介するものであろうと推定している。なお、 GIRとではなくインスリンのpulse frequencyとの間 SHBGのクリアランスに及ぼすインスリンの作用につ に有意な相関を報告している。いずれにせよ、 NIDDMの発症予測因子としてのSHBG測定の意義は いては今後の研究課題でもある。 SHBGは肥満の影響を受けることがよく知られてい 女性例にのみ認められ、男性例では認められないこと る95’。即ち、SHBGは内臓脂肪面積と負の相関を示し、 より、SHBG水準とインスリン感受性との関連性には 肥満の改善に伴い増加する。Leenenら70}は肥満の男 性差のあることが予測される。 女を対象にした体重減少プログラムを施行し、減量後 SHBG水準は、この様に女性例にあってはインスリ に男女ともにSHBGの有意な増加と内臓脂肪面積の ン抵抗性の程度を示すマーカーとなり得るが、両者の 有意な減少を認めている。しかし、内臓脂肪面積の減 間接的因果関係には不明な点が少なくない。例えば、 少とSHBGの増加分との間の有意な相関性は女性例 in vitroの実験で高インスリン状態ではSHBGの肝 のみに認められたとしている。さらに、女性群では減 臓での産生が抑制されることが証明されているもの 量後にアンドロゲンの有意な減少に加え、遊離エスト のzz)、 SHBG自体の生理作用も未だ不明瞭な点が多く、 ラディオール/遊離テストステロン比と内臓脂肪面積 現時点ではSHBGによるインスリン感受性の調節機 の変化量に有意な負の相関関係を認めたとしている。 構の解釈は困難である。一方、in vivoにおける外因 これらの事実は、男性においては性ホルモン水準と内 6 健 康 科 学 第22巻 臓脂肪量との関連性は乏しいが、女性例では内臓脂肪 表2.ラットのインスリン感受性に及ぼす 量の減少は、andorogenicityの低Fに依存している ステロイドホルモンの影響 BiOfn{or a磁l K縫鷺a al ことを示唆している。すなわち、SHBGおよび性ホル Sex 韮nsu韮ln s奪Ilsiti嘘y モン水準と内臓脂肪量との間に見られる関連性にも性 Ster()id隆 }一蓋0ぎmones 差が存在するものと考えられる。 Cortisol Male 1 韮{pefall由◎霧顕ls獄 醗ale ‘ Fcmale ‘ Castfat蓋◎登 Male l Castratien a一一Tes{oste;one Male t 3)外因性ホルモン投与の影響 (1)動物実験 表2には、Bj6rntorpらの研究グループによって報 (smail dose) Ovaryぎec匙◎膿y〈OVX) FeraaSe OVX+estradio1(正三2) モンの影響に関する成績の要約を示す。雌ラットでは、 Female OVX+progesteronc(P) Fe醗乏葦}e ll 卵巣摘出(OVX)によってインスリン感受性の低下を OVX+E2+P F¢niale 倉 告されたインスリン感受性に及ぼす性ステmイドホル 認めるが66’、少量のテストステロンの補充によってイ l t 1低下 蜜改薄 ξ1より低下 ンスリン抵抗性が:噌強するしY)’5D,, Bj6mtorp9)はインス リン抵抗性を引き起こす要因として、毛細血管の減少 に伴うインスリン結合の低下をあげている(図3)c, その際、インスリン受容体数やグルコース輸送蛋自 (GU:LT 4)の低下は伴わないことから、筋細胞レベ ルでのインスリン利用の低下によって、糖輸送へのイ ンスリンシグナルの低下、グリコーゲン合成酵素系の 低下が生じインスリン抵抗性が発現するとした。後に、 Normal RiBCOItら9’ ’4)は分子生物学的な観点からその調節機序 を検討しているが、OVXのGULT4のpr◎もe短 翫 浦1 翫 Capi縫a「y expressiORは有意に低下し、 OVXに拠えテストステ ロン投与(OVX十丁)群では一層の低下を示し、イン な iR\iご馳贈・・ Mtiscle スリンによるGU:LT4のplasma membraReにおける x.sUffW:2i:一/’pt 含量は、コントロール群で有意に増加したが、OVX 紅actate およびOVX十T投与群では変化を認めなかった。グ リコーゲン合成酵素のprotein expressionはコント 月一ール群に比べOVXで有意に低下し、 OVX十丁投与 Testesterone 群ではさらに低下を示した。・一.A方、 basalおよびイン excess スリン刺激下でのインスリン受容体やチロシンキナー ゼ活性はOVXとOVX:+丁両群間に有意差を認めて びぬもニヨしな Capiilary 翫。. 、㌔ 讐・ IN$ GLUC. t いない。さらに、OVXラットへの17一 S 一esもradiol 単独およびプwゲステロンとの併用投与では、インス リン抵抗性改善が認められたと報告しているOSI。即ち、 f” Xx,・1’ごソ衛・Ttk...一, 臨撫 雌ラットの糖代謝の恒常性の維持にエストmゲンは必 須な役割を果たしていることを示唆している。 Lactate 雄ラットにおいては、虚勢に伴いインスリン抵抗性 図3,雌ラットへのテストステロン投艇によるインス リン抵抗性発現のメカニズムに関する模式図. テストステロンの過剰に伴い、E細血管は減少 し、インスリン結合能の低下やtranscapillary traftsp◎rtは不十分になる。インスリン受容体 が増強し、少量のテストステmuン投与によってのみイ ンスリン抵抗性の改善を認めるが、薬理学的濃度のテ ストステロン投与ではインスリン抵抗性は改善しな い’tg>。即ち、これらの成績は、雄ラットのインスリン 抵抗性の増悪には、ある…一定の生理的範囲を超えた血 数やその機能の障害はなく、糖輸送蛋白4 (GULT4)も正常である。筋細胞レベルでのイ ンスリン利用低下によってグルコース輸送への 中テストステWン水準の関与が示唆される。 インスリンシグナルの低ド、グリコーーゲン合成 酵素系の低下が生じる,(Bj6rntorp,P.,Int. (2)ヒトでの研究 」. Obesity, 19, Sijppl. i:S6一一SIO,1995.〉 インスリン感受性の性差 7 A.男性 い。さらに、男性から女性への性転換後の経口ERT 内臓脂肪蓄積型肥満を呈する男性のアンドロゲン水 に伴い、グルコースクランプ法で評価したインスリン 準は低く、インスリン抵抗性との相関性が報告されて 感受性の有意な低下が報告されている9D。 いる97)。Marinらは75}、内臓脂肪蓄積型肥満を伴う中 この様に、ERTの糖代謝に及ぼす影響に関しては 高年男性への長期に渡るテストステロン投与の結果、 不明な点が少なくない。ポピュレーション研究では、 内臓脂肪重量の有意な減少、脂質代謝の改善、および 抱合型エストロゲンの使用は未使用者の空腹時インス インスリン感受性(GIR)の改善を報告している。ま リン水準よりも低いことが報告された6)74’79)。しかし た、彼らは投与前のテストステロン濃度とGIRの変 ながら、ERTとNIDDM発症率との間には必ずしも 化量との間に有意な負の相関をも認めたことから、テ ポジティブな関係は認められていない。おそらく、そ ストステロンなどのアンドロゲンによって一部にはイ の原因として投与量、投与期間、投与方法、および対 ンスリン感受性調節機序に関与している可能性が示唆 象者の特性などの相違が考えられる。Anderssonら されている。また、これらの見解は上述した動物実験 は2}、NIDDMを伴う閉経後女性を対象に、インスリ での成績によっても支持される。 ン感受性に及ぼす3カ月間のERT(2mgの17一β一 一一一方、合成アンドロゲン投与67や若い競技者へのア estradiolの経口投与)の影響を検討した。その結果、 ナボリックステロイド21134)の使用によってインスリン 身体組成の変化を伴なうことなく遊離テストステロン 抵抗性の増強が生じるとの報告がある。しかしながら、 の減少に伴うISHBGの増加、即ち高アンドロゲン状 健常男性への薬理的濃度の19−nortestosteroneの投 態の改善とそれに基ずく糖・脂質代謝の改善を報告し 与によっては、インスリン感受性への影響は認められ た。なお、ERTに伴うSHBGとHbAlcの変化量間 ていない32’など、必ずしもインスリン抵抗性と性ホル に有意な負の相関を認めたことから(図4)、これら モンの関連に関しては一致した見解がないのが現状で の成績は高アンドロゲン水準の患者ほど血糖コントロー ある。女性から男性への性転換に伴うテストステロン ルの著しい改善がもたらされる可能性を示唆している。 投与によって、動物実験の成績と同様にインスリン抵 最近の研究では、女性における低いSHBG水準お 抗性の増強が生じる9Vことも報告されている。 よび高い遊離テストステロン水準によって示される高 B.女性 エストロゲン補充療法(ERT)に関する疫学的研究 アンドロゲン状態(hyperandrogenicity)とインスリ では、閉経後女性の虚血性心疾患の発症予防や低 双方で観察されている28140}41}。さらに、SHBGの低水 ン抵抗性との問の有意な関連性が閉経前・閉経後女性 減16’29’103)、あるいは閉経後の骨量減少の抑制効果など が報告されている19/9’ ‘3 ’b。経口ERTによる脂質代謝改 善効果は、女性の虚血性心疾患減少のtt一・つの要因と考 2 えられている47’73’106)。…方、脂質代謝異常以外にも、 r冒,0.64 pくO.05 A ム 高血圧や内臓脂肪蓄積をも含めたインスリン抵抗性の 病態や高インスリン血症もまた強力な虚血性心疾患発 症の独立した危険因子でもある44}。 1 竃 女性の妊娠末期には血中のプロゲステロンおよびエ ストロゲン濃度が高値を示し、そのことが妊娠末期の インスリン抵抗性の増悪と関連することも指摘されて ム s 話 毛 o る48)69}。また、インスリン依存性糖尿病(IDDM)を A 伴う女性の黄体期における耐糖能の悪化100’に加え、 インスリン感受性の低下は健常女性の黄体期にも認め られる241104’。しかしながら、経口的に投与された女性 一1 一60 一50 一40 一30 一20 一:O O ホルモンのインスリン抵抗性の発現に関する効果には、 dSHBG (nmol/1) 矛盾した成績が存在する33)35)56)10111021105}。なお、インス 図4.低SHBG水準を伴ったNIDDMを伴う閉経後 リン抵抗性への影響を認めない報告102’105}は、インス 女性へのエストロゲン療法によるヘモグロビン リン感受性の程度をOGTTによって評価しており、 の間の相関関係.(Andersson,B.,et al,,J. そのことが成績の不…致を反映しているのかもしれな Alc(dHbAlc)とSHBG(dSHBG)の変化量と Clin. Endocrinol. Metab.,82:638−643,1997.) 健 康 科 学 8 第22巻 準は将来のNIDDM発症の独立した危険因子である 検討を加える。 ことや45172’、NIDDMを伴う閉経後女性は年齢やBMI 雌ラットにおいては、高アンドロゲン血症に伴い でマッチされた女性に比べ相対的な高アンドロゲン状 FTb筋線維の増加、毛細血管の減少、 GLUT4蛋白含 態にあるD。また、女性から男性への性転換に伴うテ 量の低下(遺伝子発現の低下)、グリコーゲン合成酵 ストステロン投与によって、動物実験と同様にインス 素の低下(遺伝子発現の低ド)を伴ってインスリン抵 リン抵抗性の増強が観察されている91)。 抗性の発現が生じるようである(図5−a)、二,女性の腹 一方では、インスリン抵抗性、特に高インスリン血 部型肥満者やNIDDM患者でも、上述したインスリ 症状態は卵巣からのアンドロゲン産生を高めること ン抵抗性発現要因(遺伝子発現を除く)の存在が確か や92i、 in vitroでは肝からのSHBGの産生の抑制99)が められている。したがって、Bj6rntorpは図5−bに 認められる。これらの成績は、インスリン抵抗性、ア 示すような仮説的な因果関係を提唱している,特に、 ンドロゲン、SHBGには相互に何らかの調節サイクル 雌ラットへのテストステロン投与による骨格筋におけ の存在を示唆している。 るインスリン抵抗性の誘発要因として毛細血管減少に 伴うインスリン結合の低下を指摘している⊂,その際、 4.インスリン感受性における性差の インスリン受容体やチロキシンキナーゼ活性の抑制は メカニズムの要約 認められないことから、筋細胞レベルでのインスリン Bj6rntorpたちは9’lo)、インスリン抵抗性への性ホル 利用低一ドによってグルコース輸送へのインスリンシグ モンの関与に関して、動物やヒトへの性ホルモンの投 ナルの低下、グリコーゲン合成酵素系の低下が生じる 与実験や疫学的手法を用い様々な角度から検討を加え としている,,なお、インスリン抵抗性と毛細血管を含 ている、、結論として、インスリン抵抗性の発現や む筋の組織化学的および生化学的特性との関連性につ NIDDM発症へのアンドロゲンのプライマリーな貢献 いては他の総説631を参照していただきたい,、 を想定している,,以下そのメカニズムに関して性別に 一・方、雄ラットにおいては、去勢後のアンドロゲン FEMALE Rats (a) MALE Abdominal NIDDM obesity Ra.t−s一 Abdominal(T subst) (a) NIDDM (T subst) 一〇一besity Androgens T T TT TT Androgens t l l(N) 1 (N) t Type ll fibers I T TT TT Glycogen synthase !i (N) 1 (N) t Capillarization i i it lnsulin resistance T T T(N) Glycogen synthase i J ” IJ insulin resistance T T I TT tT ( b) Hyperandrogenicity 一muscle 一 GS I一一+ insulin morphology (“Prospective”) morphology obesity: Ratsi Testosterone (intervention) substitution normal フ エinSUIi,,eSi、tanCe Abdominal ? ? 一 ? ? NIDDM: Hyperandrogenicity 一:. muscle 一 GS 一 insulin 4 NIDDM (cross−sectional) morphology resistance Hyperandrogenicity ! 一一÷ (intervention) GS 1一 insujin sensitivity improved ? Hyperandrogenjcjty 一 ? 一 jnsuljn 一NIDDM 一 insulin resistance 一. GS normal 一 insulin sensitMty HypogonadismらGS↓ obesity i Abdominal Testosterone 一一GS normal. insulin sensitivity obesity: (intervention) substitution improved NIDDMl ? Hypogonadism 一:. GS i 一Z’, insutin resistance Ji’: NiDDM resistance (prospective) 図5. Hypogonadism 一 GSt resistance (cross−sectional) NiDDM; Rats] resistance 7 ? ? Aodominal Hyperandrogenicity 一]一一muscle ら GS らinsulin Abdominal TT lt (b) Rats: obesity: T T(N) 図6.去勢した雄ラット(テストステロン投与)、腹 テストステロンを投与した雌ラット、腹部型肥 満、およびNIDDM女性におけるアンドロゲン、 FTb筋線維、 E細血管密度、グリコーゲン合成 部型肥満(テストステロン投与)、および NIDDM男性におけるアンドロゲン、 FTb筋線 酵素、インスリン抵抗性の発現に関する要約 維、毛細血管密度、グリコーゲン合成酵素、イ ンスリン抵抗性の発現に関する要約(a)と仮 (a)と仮説的因果関係(b)(Bj6rntorp,P,,Ann. 説的因果関係(b)(Bj6rntorp, P.,Ann. N.Y。 N.Y,Acad. Sci.,64:242−252,1993.著者によ Acad. Sci., 64:242−252,1993.)GS;Gly, cogen り一一一部修L追加)GS;Glycogen synthase synthase,N;改善もしくは正常化 インスリン感受性の性差 低下に伴いグリコーゲン合成酵素の低下を伴ってイン スリン抵抗性が発現し、それは少量のテストステロン 9 5.まとめ 投与によって正常化することも報告されている(図6 1)Hyperinsulinemic euglycemic clamp法、 OGTT −a)c,同様な成績は、男性の腹部脂肪蓄積型肥満者 およびミニマルモデル法などで評価された器財能や おいても認められている75}。即ち、テストステロンや インスリン感受性(GIR)には明らかな性差が認め SHBG水準の低下を伴った内臓脂肪蓄積型肥満者への られることから、女性の性そのものが糖代謝の恒常 長期間のテストステロン投与の結果、内臓脂肪量の減 性維持能力に、より適した生体環境を有している可 少を伴ってインスリン抵抗性の改善が見られる。この 能性が示唆される。 ような成績を基に、Bj6rntorpは図6−bのような仮 2)糖取り込みは主に骨格筋に認められ、その性差に 説的な因果関係を提唱している。 インスリン感受性の性差を性ホルモンの立場から捉 えた場合、インスリン抵抗性の発現には女性において は高アンドロゲン状態が、男性においては低アンドロ は男女間の身体組成の相違に基づくと考えられるが、 女性はより少ない筋量にもかかわらず高い糖取り込 み能力を有している。その性差には、年令、体力、 およびBMIの影響を受けないことが指摘されてい ゲン状態あるいは高アンドロゲン状態の両病態が関与 る。 しているようである。また、女性ホルモン、特にエス 3)したがって、インスリン感受性の性差の決定要因 トロゲンは女性における糖代謝調節の恒常性の維持に の一つとして、性ホルモンの関与が指摘されている。 必須なホルモンと考えられる。しかし、男性における 4)近年、動脈硬化の発症・進展の促進因子としての 女性ホルモンの役割に関しては、HDFコレステロー インスリン抵抗性、あるいは内臓脂肪蓄積などの関 ル代謝への影響は指摘されている3)ものの、糖代謝へ 与が明らかにされ、その調節因子としての性ホルモ の影響は不明なままである。 ンの役割も検討されている。 それでは、インスリン感受性の性差の決定要因とし 5)また、糖・脂質代謝および線維素溶解能の一つの ての性ホルモンの役割は何であろうか?インスリン感 指標マーカーとしてのSHBGの有用性も指摘され ている。さらに、女性におけるSHBG低濃度群に は、NIDDMの発症率が高いことが疫学的前向き調 受性の改善には、筋血流量を増加させることによって グルコースやインスリンの筋への供給を高める必要が ある。これまでに、GIR値と筋毛細血管密度との間 にも有意な正相関が認められている川。例えば、身体 査で報告されている。 6)一般的に、耐糖能異常者(境界型糖尿病含む)に トレーニングに伴いインスリン感受性は改善するが、 あっては、男性ではテストステロンの低下に伴う その背景には毛細血管ネットワークの促進に伴う筋血 SHBGの低下を(relative hypogonadisim)、一方 流量の増加やGULT4含量の増加27)が考えられる。運 女性ではテストステロンの増加に伴うSHBGの低 動による血流量の増大は、血管内皮細胞の損傷を引き 下(relative hyperandrogenicity)が認められる。 起こし98」、内皮細胞の傷害に伴い一酸化窒素(NO)合 7)女性例(肥満および非肥満のPCO患者)ではイ 成酵素が活性化されNOが生じる98}。このNOは生体 ンスリン感受性は血中テストステロン水準との間に 内での血流量の増加といった生理作用を有する。事実、 有意な負の相関を、一方SHBGとの間には有意な 有酸素運動に伴う骨格筋血流量の増加とNOの産生と 正相関を認める。一方、男性例ではインスリン感受 の関連性が指摘されている98〕。また、fibroblast 性とテストステロンとの相関性には一致した見解は growth factors(FGFs)が血管拡張に関与し、この 認めないし、インスリン感受性とSHBGとの間に 作用がNO合成酵素阻害剤で抑制されることから、 も独立した有意な相関性は認められていない。すな FGFsがNO合成酵素の活性化を促し、血流量の増加 わち、上記の関連性には性差の存在が示唆された。 に関与していることも推定されている109)。さらに興 8)SHBGそれ自体のインスリン感受性調節要因とし 味ある事実として、末梢血管においてエストロゲンは ての生理学的意義は不明な点が少なくない。インス 内皮細胞でのNO産生を増加させること461107’も報告さ リン抵抗性、特に高インスリン血症はSHBGの肝 れており、これらの現象が女性に認められる高いイン での産生を抑制し、さらに女性例にあっては卵巣由 スリン感受性の決定要因の一つとも考えられる。これ 来のアンド[]ゲンの産生に関与している。インスリ らの点に関する一層の研究の進展が期待される。 ン抵抗性、アンドロゲン、SHBGには何らかの調節 サイクルの存在が示唆される。 10 健 康 科 学 第22巻 9)ヒトへのホルモン補充療法の成績では、閉経後干 diabetes mellitus. Am. J. Epidemiol., 132:895− 性へのエストロゲン投与、および内臓肥満男性への 901,1990. テストステロン投.与によってインスリン感受性の改 5)Barrett−Connor, E.: Lower endogenous 善を認めるとの報告が多く、..ヒ記の見解は動物でも androgen in dyslipidemia in men with 認められる。 diabetes mellitus. Ann. lntern. Med., 117:807− 10)要約すると、女性例では高アンドロゲン血症に伴 811,1992. いFTb筋線維の増加、毛細血管の減少、 GLUT4 6)Barrett−Connor, E., and Laakso, M.: 蛋白含量(遺伝子発現)低下、グリコーゲン合成酵 Ischemic heart disease risk in postmenopausal 素活性(遺伝子発現)の低下を伴ってインスリン抵 women: effects of estrogen use on glucose 抗性状態が生じるようである,,男性にあっては、低 and insulin levels. Arterioscelerosis, 10:531一一 アンドロゲン状態をプライマリーエベントとして同 534,1990. 様な機序でインスリン抵抗性の増悪が.考えられている。 7) Belgorosky, A., and Riabarola, M. A.: 11)先述のごとく、インスリン感受性の性差の決定要 Dynamics of SHBG response to testosterone: 因の一一つとして性ホルモンによる毛細血管ネットワー implication upon the immediate biological クの促進による筋血流の違いが関与している可能性 effect of sex hormones.J. Steroid Chem., 18: が.考えられる⊂,即ち、エストロゲンは血管内皮細胞 783−789,1983. での’一’一酸化窒素(NO)産生を高め、 fibroblast 8) Bergman, R. N., Finegood, D. 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