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4 郊外ゾーン

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4 郊外ゾーン
郊外ゾーン
4 (住民参加も得ながら適正規模の移
動手段の維持・確保を図るゾーン)
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郊外ゾーン(住民参加も得ながら適正規模の移動手段の維持・確保を図るゾーン)
① 地域の特性に応じたモビリティ
確保の取り組みへの支援
現状と展望
郊外ゾーンでは、山間部という地域特性もあり、幹線道路から枝分かれした道路が各
集落へとつながっている。このため、バスがそれぞれの集落まで運行することが難しく、
高齢者や子どもにとってはバス停まで歩いて移動する負担が大きいのが現状である。
また、こうした集落では、高齢化が進展し、居住人口も減少傾向にあるため、利用者
の減少が公共交通のサービス水準を低下させ、さらに利用者が減少するという悪循環に
陥るおそれがある。
バス路線を存続していくためには、車を運転できない高齢者や学生だけが公共交通を
利用するのではなく、地域全体で公共交通を支えあっていくという意識改革と行動が求
められている。
一方、平成 18 年 10 月に道路運送法等の一部が改正され、定期定路線以外の乗合運
送についても、「一般乗合旅客自動車運送事業」に位置づけられたことから、定められ
たルートやダイヤでバスを運行させるといった形態だけでなく、一定区域内であれば需
要のある時だけバスを運行するという形態も可能になった。
さらに、過疎地の住民が自主的にNPOを立ち上げ、有償で自家用バスを運行するこ
ともできるようになり、他都市においても、維持が困難な路線については、地域住民と
行政がお互いに利用者を増やすための取り組みやコストの削減方法を協議しながら、新
しいバスの運行に取り組む事例が増えつつある。
こうした地域のつながりを上手く活用した新しい移動手段のあり方は、今以上にサー
ビス水準が上がる可能性もあるため、一定程度の需要が見込める地域では既存路線の維
持・存続を図る一方で、このような新たな方式もモビリティ確保のための選択肢の一つ
として検討していく必要がある。
■ 郊外ゾーンにおける主要 19 地区の人口別地区数
地区人口
100 人未満
100 人以上 500 人未満
500 人以上 1000 人未満
1000 人以上 2000 人未満
2000 人以上 2500 人未満
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地区数
5 地区
10 地区
1 地区
1 地区
2 地区
■ 他都市の運行事例
名称・地区
氷見市山間部の
NPO法人による
会員制バス
(富山県氷見市)
運行概要
・八代地区はバス路線廃止後スクールバス混乗で対応していたが、児
童・生徒の減少によりスクールバスが廃止された
・そこで、地元の足を守るため、地元のNPO法人「八代地域活性化
推進協議会」がバスの運行を開始(2005.10∼)
・バス車両は市が全額補助(24 人乗)
・ドライバーは地元住民であるバス乗務員OB
・約 300 人の住民が会員となり年間約 2 万円を負担
福祉施設運営法人に ・平成 16 年 3 月に路線バスの運行縮小が行われ、小学生のバス通学
よる過疎地有償運送
や生活交通手段の確保に苦慮していたところ、足守地区で特別養護
事業
老人ホームを運営する社会福祉法人岡山県済生会から、「地元が困
(岡山県岡山市)
っているのであれば協力する」との申し出があった
・平成 16 年 8 月地元検討組織「足守の生活交通を守る会」が発足、
済生会が事業計画を策定、11 月 22 日より「足守地区生活バス」
(愛
称)運行開始
・運行開始時登録会員数:404 名
・運行日:月∼金(土日、祝祭日、年末年始 12/29∼1/3 は運休)
・運行便数:1 日 3 便(曜日により運行経路及び時間を変更)
・運送対象は、足守支所管内住民、管内の公共施設等の利用者
・利用希望者は事前に登録し、1世帯あたり 2,000 円の利用券を購入
・使用車両:日産キャラバン 15 人乗り1両
鷹栖町乗合タクシー
(秋田県鷹栖町)
・住民自治会が事業者と契約して、バス路線廃止代替と通院の2タイ
プの乗合タクシーを運行。(1997 年∼)
・1日3便、大人 300 円、高校生 200 円、小人 100 円
・1997 年 7 月からは「ふれあい通院バス」を毎週木曜日運行
4集落と市街地を1日1往復 運賃 600 円または 700 円
・町は委託費と運賃収入の差額について側面的な支援
高城地区のNPO法 ・集落の多くが谷筋に沿って点在し、最寄のバス停まで 2∼3km も歩
人による過疎地有償
かなければならず、日常生活に不便を強いられていた
運送(鳥取県倉吉市) ・平成 16 年NPO法人たかしろを設立、過疎地有償運送を開始
・運送対象:会員 131 名(公共交通の移動が困難な移動制約者)
・運送区域:倉吉市高城地区内
・運転者:ボランティア運転手(30 名)
・使用車両:法人所有の車両(2台)
・運送対価:200 円
・運送回数:月・水・金の昼間、路線バスの下り4便に対応し、降車
した会員を自宅まで運送
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今後の取り組み
○ 地域の特性に応じたモビリティ確保の取り組みへの支援
郊外ゾーンにおいて維持が困難な路線については、居住者属性、交通需要、道路環境、
スクールバスや施設バスの有無等の地域特性に応じて、地域が主体的に行うモビリティ
確保の取り組みも重要であり、このような取り
組みを行う団体に対しては、行政も支援を行う
必要がある。
具体的には、地区の状況にあわせた運行方法
について、情報を提供するとともに、組織や運
行の立ち上げ方法のアドバイスなどの支援を
行う。また、財政的な支援の必要性等について
も検討する。
なお、運行形態としては様々な方法があり、その具体例と留意点を以下に示す。
■ 運行形態の具体例と留意点
運行の具体例
(ア)NPO自主運行バス
(車両保有)
地域住民が基本料金や会員
登録料という形で運行経費
を拠出し運行
メリットや留意点
メリット
導入地域の
イメージ
留意点
・自主運行のため人件費が抑えられる
・一定の需要があり、地域に組織立ち上げの熱意、
人材がある
・運行主体が NPO 等法人組織である必要がある
・乗務員の資格(2 種免許に準ずる)
、運行管理者等
の要件を満たすこと等、安全管理体制確保が必要
・地域公共交通会議での合意が必要
(イ)NPO自主運行バス
メリット
・現有車両を利活用するため、車両経費と人件費が
(車両レンタル)
抑えられる
地域住民が基本料金や会員 導入地域の ・地域に温泉バス、企業バス、スクールバス等の車
登録料という形で運行経費 イメージ
両資源がある
を拠出し運行
留意点
・車両を保有する旅館、企業のレンタカー事業申請
スクールバス、民営送迎バス
(貸し渡し許可)が必要
の空き時間帯に、NPOがバ
・貸渡業としてバスを保有する場合は 2 年間の実績
スを借りて運行
が必要(乗車定員 10 人以下の車両の場合は実績不
要)
・その他運行の留意点は(ア)と同様
(ウ)交通事業者への
メリット
・地域住民が法人組織を立ち上げる必要がなく、ノ
運行委託(運行依頼)
ウハウのある事業者が行う(ただし、
(ア)よりも
経費が高い)
維持が困難な路線を地元が
運行費を負担して民間交通 導入地域の ・組織立ち上げまではできなくても一定の需要があ
事業者に運行を委託(依頼) イメージ
り、地域全体で運行コストを負担する熱意がある
する(乗合タクシーでも可)
留意点
・乗合バス事業の限定運行(※)となる
※運行区間は、既存乗合路線との競合等に配慮
する必要がある
・地域公共交通会議での合意が必要
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運行の具体例
(エ)公民館等が中継ぎする
自家用車乗合運行
地域が互いに協力しあい、自
家用車で交通結節点等まで
移動する場合には、あらかじ
め公民館や学校に連絡し、利
用者があれば同乗させるシ
ステム
(オ)スクールバス混乗運行
スクールバスに利用者を混
乗させる
メリットや留意点
メリット
・現有車両を利活用するため、車両経費と人件費が
抑えられる
導入地域の ・人口規模も小さく需要は少ないが、公民館等の地
イメージ
域の拠点や、地域に組織立ち上げの熱意あるいは
助け合いの風土がある
留意点
・有償の場合は(ア)と同様
・実費程度の負担の場合は法規制の対象外
メリット
・現有車両を利活用するため、車両経費と人件費が
抑えられる
導入地域の ・地元にスクールバスが運行している
イメージ
留意点
・有償の場合は(ア)と同様
・市町村運営の場合は、地域公共交通会議での合意
が必要
現状で、郊外部であっても必ず届けてくれるシステムとしては郵便と宅配事業がある。
今後、全国的にも山間部をはじめとする郊外地域の高齢者などの移動手段の確保が問題
視されてくる可能性が高く、これらの事業との連携も重要な検討課題であると考える。
(参考)宅配付随的交通システムの検討事例
・ 福島県が設置した「交通政策有識者懇談会」は、新交通政策のアクションプログラムにおい
て、「宅配付随的交通システム」の研究を県に提案した。
・ 宅配付随的交通システムとは、荷物を届けている民間宅配事業者のトラックやワゴン車を活
用し、荷物だけでなく人も運ぶというアイデアである。
・ 既存の宅配事業が有するドア・ツー・ドアの利便性、時間指定が可能でどこでも集配できる
柔軟性、機動性等の特徴を旅客輸送事業に活用し、過疎・中山間地域において経営的に自立し
得る新しい交通システムを目指すものである。
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■ 運行経費の他都市事例
高城地区のNPO法人による過疎地有償運送(鳥取県倉吉市)
○運 行 経 費:
費目
金額(年額)
車両保険(2 台)
約 100,000 円
自動車税(2 台)
43,800 円
燃料費
約 100,000 円
通信費
約 50,000 円
家賃
20,000 円
合計
約 32 万円
○使 用 車 両:法人所有の車両(2 台)
※財団からの寄付車両 1 台、法人が購入した中古車 1 台
○運 転 対 価:無報酬
※ボランティア運転手が約 30 名おり、1 人月 1 回程度の運行のため負担が
少ない
○運 送 対 価:200 円
○会 費 収 入:利用会員より年会費 1,000 円
○市 の 補 助:平成 16 年度 25 万円、平成 17 年度 15 万円、平成 18 年度なし
○その他の収入:地区協議会(小学校単位の任意組織)などの地域組織からの一定の支援を
受けている
○事
務
所:NPO 法人の詰め所は JA の支所再編にあたり遊休施設となっていた建物の
一部を年 2 万円で賃借
○運 転 者 講 習:2 種免許を持つ人も多く、運転手同士で情報交換やスキルアップに努める
ほか、年 2 回自動車学校から講師を招き講習をしている
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郊外ゾーン(住民参加も得ながら適正規模の移動手段の維持・確保を図るゾーン)
② オンデマンドバスシステムの導入
現状と展望
バス利用者の減少により路線の収支が悪化し、その対応策として運行便数を削減する
事例が見られる。運行便数の削減は、さらなる利用者の減少を招き、路線の存続問題に
発展することが予想される。このため、住民自身がバス路線を維持していくという意識
を持ち、バスを利用することが重要である。
一方、交通事業者に対しては、現有資源の有効活用という視点から、少ない需要に対
応したバスの新しい運行システムについてもより工夫が求められる。他都市でも、予約
制で需要のある時だけ運行するオンデマンドバスやフレックスバスといわれるシステ
ムが実施されている。
近年は、IT技術を活用し、利用者の予約から乗務員への運行指示までの時間が短縮
される等、利用者の立場からみた使い勝手も良くなってきていることから、利用者と事
業者の双方にメリットのある柔軟な運行スタイルの工夫が求められている。
平成 17 年 1 月に、主として金沢市北部地区のバスを運行する西日本 JR バスが、路
線の一部廃止・減便の意向を表明したが、本市としては、北部地区の生活交通の維持・
存続を図るため、路線の継続運行を要望し協議を行ってきた。その結果、同地区におけ
るバス利用者のニーズを満たしつつ、事業者の運行効率を向上するシステムとして、平
成 19 年 3 月 1 日から、IT機能を活用したオンデマンドバスシステムを導入すること
となった。
このシステムでは、バスのダイヤにあわせて利用者が携帯電話、固定電話やパソコン
から、乗車の 20 分前(一部山間部のバス停始発便では 60 分前)までに予約を入れる
と、予約を入れた時だけその路線をバスが運行するオンデマンド運行や、どこでも好き
な場所で自由に乗降できるフリーライド区間を設けているのが特徴である。予約がある
時だけ運行するため、バス事業者としても運行の効率化が期待でき、逆に新規路線の開
設にもつながった。
こうしたバス事業者の新たな取り組みについては、今後とも地元と協議しながら、地
域事情に即したバスの運行形態を検討していくことが重要である。
オンデマンドバスシステムのイメージ
予約
オンデマンド
運行
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■ オンデマンドバスシステム導入地区
今後の取り組み
○ ITの活用と路線の維持
今後も、IT等の技術も活用しながら、郊外地区のバス路線の確保に努めていく。し
かし、そのためには住民の積極的な利用も不可欠であり、その点を十分理解していただ
けるよう意識啓発に取り組んでいく。
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