...

社会への貢献 - 文京学院大学 文京学院大学

by user

on
Category: Documents
11

views

Report

Comments

Transcript

社会への貢献 - 文京学院大学 文京学院大学
Ⅹ 社会貢献
1 大学全体の社会貢献
[本学の到達目標]
(1)「自立と共生」を教育理念とし、共に支え合い、共に幸せを願う福祉社会に貢献すること
のできる資質と技能とを備えた人材の育成を教育目標とする。
(2)社会貢献実習を授業科目といて開講し、単位として認定する。
(3)公開講座、特別講座、市民カレッシ、大学コンソーシアム公開講座等、大学教育の成果を
広く社会に還元する。
(4)保育実践研究センター、心理臨床・福祉センター、臨床心理子相談センター、地域連携セ
ンター等の施設を利用して地域社債に貢献する。
(社会への貢献)
・社会との文化交流等を目的とした教育システムの充実度
・公開講座の開設状況とこれへの市民の参加の状況
[現状の把握]
本学では、本郷キャンパスとふじみ野キャンパスの、それぞれの特色を生かして
多彩な社会との文化交流を実施している。
本郷キャンパス
[2001(平成 13)年度]
●緊急特別シンポジウム「グローバリゼーションの明と暗~国際危機と日本の課題」
・日時
2001(平成13)年10月17日(水) 18:40~19:50
・場所
本学仁愛ホール
(約 700 名)
講演 「アメリカの諸問題について」
ジョアン・マッコウネル(本学外国語学部教授)
「中東の歴史とイスラムの役割について」
関根 謙司(本学経営学部教授、当時)
「国際金融と日本経済への影響について」
菊池 英博(本学経営学部教授)
「国際協力について」
野口 昇(本学副学長・外国語学部教授)
パネルディスカッション
コーディネーター 岡本 康雄(本学経営学部教授)
司会
島田 昌和(本学経営学部教授)
当日は、本学学生、一般市民のほか700名が参加した。地球タイムズ(地球環境国
民会議発行)で紹介された。
[2002(平成14)年度]
618
●アフガニスタン教育特別講演
・日時
本学と(社) 日本ユネスコ協会連盟の共催
2002(平成14)年 6月 6日(火) 18:30~
・基調講演
・場所
本学仁愛ホール
アフガニスタン教育大臣諮問委員会委員長
ロトフッラー・サフィー氏
演題
「アフガニスタンの子どもたちに未来を~教育復興の現場から~」
当日は本学学生 450名の他、東大・早大の等、他大学の学生、研究者ら約 200名 が
参加した。
[2003(平成15)年度]
●大学院経営学研究科本郷キャンパス移転を記念して
「産学協同シンポジウム」
・日時
本学と日本経済新聞社の共催
2003(平成15)年12月12日(金) 14:00~
・テーマ
・場所
本学仁愛ホール
「ハイブリット経営の構築に向けて」
・シンポジスト
問題提起
本学
由井常彦教授(経営学研究科委員長)
野中郁次郎氏(一橋大学大学院教授)
西岡幸一氏(日本経済新聞社コラムニスト)
御手洗富士夫氏(キャノン株式会社代表取締役社長)
ミラ・ウィルキンス氏(フロリダ国際大学教授)
総合司会
経営学研究科
岡本康雄教授・三浦后美教授
企業人など 500名が参加した。
[2004(平成16)年度]
●文化講演会
学園創立80周年記念行事
・日時
2004(平成16)年10月23日(土) 14:00~
・場所
本学仁愛ホール
・講師
東京芸術大学学長・日本画家
演題
平山
郁夫
氏
「文化による国際貢献[文化財赤十字]の精神」
[2005(平成17)年度]
●混声合唱団コンサート
・日時
『聖歌 O Heidland reiss die Himmel auf』
2005(平成17)年 5月13日(水) 18:00~
・場所:本学仁愛ホール
米国セントジョーンズ大学(SJU)、セントベネディクト大学(CSB) の学生合唱グ
ループの海外ツアーコンサートとして来日し本学で演奏。本学学生コーラス・グル
ープともジョイントして演奏が行われた。地域市民、本学学生など 1,064名が参加。
米国CSB/SJUは創立40周年の歴史とヨーロッパを中心とする定期海外公演で
は高い評価をもつ実力派合唱団。
●文化講演会『輝いて生きるための生き方の選択~21世紀をすこやかに生きる~』
・日時
2005(平成17)年 9月21日(水) 18:00~
(1)講師
演題
(財)聖路加病院理事長
日野原
・場所
重明
「よりよく生き,老い,死ぬための哲学」
619
氏
本学仁愛ホール
(2)講師
演題
本学教授
綿
祐二
氏
「社会福祉や社会保障制度の現状と課題」
ふじみ野キャンパス
ふじみ野キャンパスでは、開学以来、今日まで春と秋の2回、
「文化教養講座」と銘打っての
正課外教育を実施してきた。
この制度の趣旨は、学生に幅広い知識を身につけさせるとともに広い視野に立って文化に対す
る知識と教養を高め、もって全体的知識の向上を図ることを目的として実施されてきた。
ちなみに 2000(平成 12)年6月は津軽三味線演奏、同年 10 月は児童劇団公演、2001(平成 13)
年6月は「世代とファション」と題する講演会、同年 10 月は「ことばパフォーマンス」と題する
講演会、2002(平成 14)年6月はガムラン演奏、同年 11 月は筝演奏、2003(平成 15)年6月は
「自作絵本の読み聞かせ」
と題する講演会、
同年 12 月にはマスコットキャラクター金管五重演奏、
2004(平成 16)年6月はマリンバ演奏、同年 11 月は日本舞踊と琴の演奏であった。このように
幅広い分野の専門家による演奏会や講演会といった充実した内容となっている。しかも年に2回
行われており、その点では当初の目的は達成されているといえる。
その他ふじみ野キャンパスでは、以下の3種類の公開講座を開設している。本学独自のウイー
クエンドフォーラム、彩の国コンソーシアム関係、淑徳大学との共催公開講座のテーマ、参加状
況については以下の通りである。
ウイークエンドフォーラム;年2回春秋に開催し、地域性と現代性を意識したテーマを設定して
いる。
平成 14 年度
「高齢者 21 世紀を生きる」
(参加人員延べ 241 名、以下同じ)
基調講演
櫻澤 仁(本学経営学部教授)
「エルダーファッション」岡田たけ志・森宮 勝子(本学経営学部教授)
「長生きの食卓」講師4名 小川 智由(本学経営学部教授)
「旅に出よう」池田芳彦(本学経営学部教授)
ゼミナール
「日本の金融不安の解消方法」 菊池 英博(本学経営学部教授)
「個人向け IT 化の実現を学ぶ」 福田 博(本学人間学部助教授)
「キャリアアップのための商法入門」 櫻井 隆 (本学人間学部教授)
「共生社会をめざして~21 世紀人類の課題」
(99 名)
「共生の倫理」 佐竹 昭臣(本学人間学部教授)
「病人の診療を通しての問題提起」 吾郷 晋浩(本学人間学部教授)
ゼミナール
「高齢期の住まい方」 早坂 聡久(本学人間学部専任講師)
「女性にとって子どもを持つ意味とは」永久ひさ子(本学人間学部専任講師)
「粘土を使って親子で遊ぼう」日名子孝三(本学人間学部助教授)
2003(平成 15)年度
620
「世界の“今”を読む」
(73 名)
基調講演
「同時多発テロ以降、世界はどう変わったか」芝 實(本学外国学部教授)
パネルディスカッション 「同時多発テロ以降の世界と経済」
コーディネーター 櫻井 隆(本学人間学部教授)
パネリスト
菊池 英博(本学経営学部教授)
パネリスト
関根 謙司(本学人間学部教授)
パネリスト
魯 暁王昆(本学経営学部助教授)
分科会
<世界経済問題> 菊地 英博(本学経営学部教授)
<イラク・中東問題> 関根 謙司(本学人間学部教授)
<北朝鮮・中国問題> 魯 暁琨(本学経営学部助教授)
「地方発・自立と共生のまちづくりの壮大な実験」
(62 名)
対談
「行政と NPO の協働・・・ゼロエミッション社会創造への新しい取り組み」
スピーカー 横山 芳春(那覇市経営管理局ゼロエミッション推進室長)
聞き手
櫻澤 仁 (本学経営学部教授)
「福祉のまちづくり第1章、そして・・・」
スピーカー 岩川 徹 (前秋田県鷹巣町長)
聞き手 加藤ひとみ(埼玉県健康福祉部・農林部食品安全局)
パネルディスカッション
「自立と共生のまちづくりの新機軸を求めて」
パネラー
横山 芳春(那覇市経営管理局ゼロエミッション推進室長)
パネラー
岩川 徹 (前秋田県鷹巣町長)
パネラー
西川 正(さいたま NPO センター事務局長)
司会
櫻井 隆(本学人間学部教授)
2004(平成 16)年度
「あなたが!そしてあなたの家族が倒れたとき・・・そこに展開される現実」
(299 名)
講演「痴呆老人とともに地域に生きる」 松本 榮二(本学人間学部教授)
シンポジウム「保健・医療・福祉連携の実態」
シンポジスト 小山 秀夫(国立保健医療科学院 経営学部長)
シンポジスト 齋藤 正身(医療法人真正会 霞ヶ関南病院長)
シンポジスト 綿
祐二(本学人間学部助教授)
コーディネーター 笹岡 眞弓(本学人間学部助教授)
「埼玉発・まちづくりの新機軸創造戦略」
(82 名)
プロローグ「共生時代のまちづくりと大学」 鷹野 吉章(本学人間学部専任講師)
事例紹介1「深谷発:街なか再生に向けた市民による歴史的建造物実験」
松本 博之(NPO 法人深谷にぎわい工房理事長)
事例紹介2「深谷発:ミニシアターによる街おこしと人つくり」
竹石 研二(NPO 法人市民シアター・エフ代表理事)
事例紹介3 「所沢発:蔵を活用した中心市街地活性化戦略」
621
鈴木 進(所沢 TMO 検討委員会委員長)
青木 邦雄(所沢市市民経済部商工労政課主任)
パネルディスカッション「共生社会におけるまちづくりの新機軸創造」
パネリスト 松本博之・竹石研二・鈴木進・青木邦雄
今橋 幸夫(埼玉県労働商工部地域産業課主査)
コーディネーター 櫻澤 仁(本学経営学部教授)
彩の国コンソーシアム公開講座;参加大学 18 校 18 講座のうち1講座を担当している。
テーマ、参加人員は以下の通りである。
2002(平成 14)年「熟年世代の“公園デビュー”~地域社会における新しいシニアネッ
トワークづくりの方法~」
2003(平成 15)年「脳とストレス~ストレスへの理解を深める」
(84 名)
心理学科 坂本 正裕教授
2004(平成 16)年度「健康な子どもを育てるー生きる力とこころー」
(31 名)
保育学科
平山 許江教授
文京学院大学・淑徳大学共催公開講座;2002(平成 14)年度より年1回、両大学のキャ
ンパスで1回ずつ計 2 日間の講座を設けている。テーマと参加人員は次の通りである。
2002(平成 14)年「セカンドライフと社会参加 ― ボランティア・NPO が開くあなた
新時代―」
2003(平成 15)年「セカンドライフと社会参加―まちをいきいき熟年世代―」
(63 名)
2004(平成 16)年「地域で共に生きるために~安全・安心な暮らしに向けて、私たちに
今できることは?」
(57 名)
関連資料「大学基礎データ」
(表 10)
[点検・評価]
本郷キャンパスでは年間1~2回程度の公開講座ではあるが、内容は充実しており、
市民、企業人などで毎回満席の状況である。本学の教授陣と外部の文化人・著名人
等で構成した公開講座であるため、告知後まもなく定員を超える応募者が殺到して
いる。タイムリーなテーマを設定して首都東京で行うに相応しい公開講座といえる。
本学本郷キャンパスは、東京本郷に所在するため、都心の大企業、多くの大学が所
在している地域であり、また文京区の共催や後援も得て、地域市民・住民だけでな
く、企業人や他大学の研究者、学生も対象として行っている。
ふじみ野キャンパスの開催内容は、音楽演奏をはじめ、各分野の専門家による講演などである
が、これらは通常、大学での正課での教育ではなかなか受けられないものが中心となっているこ
とは評価できる。しかし以下のような問題点も指摘できる。第一に、これまでは水曜日の4時限
目か金曜日の4時限目に実施されてきた。そのためにその時間帯に授業のある学生は参加するこ
とができず、そのために参加人数が少なかったという点である。
第二に、講師の人選に当たっては学生委員会の中の文化教養講座の担当者が個人的な人脈によ
って依頼してきた面が強く、そのためにさらに広い分野からの講師の人選が困難であったという
点である。
ウイークエンドフォーラムについては、乱立する公開講座のなかで独自性を保つために地域に
622
根ざす活動と、公開講座への参加志向のつよい中高年層の関心に焦点をしぼったテーマを設定し
たことで、継続して参加している市民もおり、定着したという安定感がある。興味の多様性に対
応できる少数ゼミナール形式のものを 2003(平成 15)年度より講演とシンポジウムという形式に
改変したのは、社会への視点を市民とともに広げられることを意図したためである。長所はこの
意図が現在のところ的確に効果をあげている点である。
シンポジウムでは市民の質問シートには、
意欲的で示唆に富む内容が見られる。市民の関心の度合いと知的な喚起の融合が特筆される。
問題点としては、このウイークエンドフォーラムを各学科で担当制にするのか、テーマの設定を
委員会が担うのか、その点の整理が曖昧な点である。
彩の国コンソーシアムは、18 大学の調整も安定してきたが、3年目を終えて参加者数の逓減傾
向が懸念される。長所としては、各大学の多様性にとんだ講師陣による専門的な講座が 18 講座も
用意できることにある。しかし問題点としてはその長所が、コンソーシアムとしての埼玉遊学と
いうまとまりへのハードルにもなっていることである。
文京学院大学・淑徳大学共催公開講座は、両大学の個性を尊重しながら、共同の中から生まれ
る新しい発想が定着してきた。両大学の教員による2講演と、1週間後に講師も含めてあらたな
シンポジストを加えた、よりテーマに肉迫するシンポジウムを開催している。さらに、その後の
市民とシンポジスト等とのディスカッションの場を設定することで、視座が共有できるという効
果を生んでいる。アンケートからも、茶話会形式で両大学の学生も含めて討議できることについ
て、世代間交流の良さを評価する意見が多い。評価と長所は以上である。問題点としては、参加
者の固定化という関心の継続の裏にあるマンネリズムである。
[今後の改善方策]
本郷キャンパスの公開講座を総合的に見直し、問題を深めていくための継続性と、
組織的に行っていくための努力が必要である。現状はプロジェクト方式で教職員が
チームを組んで実行に当たっているが、教員組織には「公開講座委員会」を置き、
職員組織にも公開講座担当者をおいて、定期的、継続的に実行できるように工夫し
たい。
ふじみ野キャンパスの参加学生を増やすという点については、文化教養講座そのものを大学の
授業の一環と位置付け、その時間帯は授業を文化教養講座に振り替るなどの措置を講ずるか、少
なくとも関連する授業の先生方には文化教養講座に参加する学生に対して、一定の配慮の依頼を
することが有益となろう。また、講師の人選については広く学生委員会の教員以外からも推薦あ
るいは紹介してもらうなどのシステムを構築することが必要となろう。
・教育研究上の成果の市民への還元状況
[現状の把握]
本学では、大学の経営学部、人間学部、外国語学部の3学部と大学院の経営学研究科、人間学
研究科、外国語学研究科の3研究科を擁していることから、ここで行われている研究教育を広く
社会に公開し、市民へ還元していくことにしている。
1996(平成8)年度から「文京学院大学生涯学習センター」を設置し、市民、地域住民および卒
業生へのリカレント教育としても生涯教育の場を提供している。生涯学習センターは学則に規定
623
して大学の併設機関として位置づけている。『新しい自分創りを実感する「知」へのリセット』
を掲げ、(1)教育研究上の成果の市民への還元 (2)卒業生へのリカレント教育 (3)一
般社会人への生涯学習 という3つの観点からさまざま講座を開講している。「国際理解土曜セ
ミナー」「文京区民大学講座」「エクステンション・アカデミア」「大学連携講座」 「生涯カ
レッジ1年コース」等の特別講座と常設の「教養講座(文学・趣味・創作・表現・音楽・踊り・
健康・スポーツ等 350講座)」「心理・福祉講座(55講座)」「語学講座(英語・仏語・西語・
伊語・中国語・韓国語等35講座)」、その他ビジネス、パソコン等の講座で年間 600程度の講座
を開設し、延べ受講者 5,000人以上という実績を残している。また、外国語学部では、小学校、
中学校の現場での「英語教育」の補助者・ボランティアとして、外国語学部学生の学校派遣を行
っている。これは文京区教育委員会と本学外国語学部が協定書を作成し、学校現場にとっては教
員の補助者として本学学生の手伝いは大いに役立ち、学生にとっては小中学校で英語を活用する
実践の場を与えられることになる。双方共に意義のあるものとなっている。
本学(本郷キャンパス)では、厚生労働省から委託を受けて失業者の「職業訓練講座」を実施
している。これは厚生労働省が多くの希望者の中から選抜し、大学において、高度で専門的な学
問と技能を修得させることによって能力を高めて再就職を支援していこうとするものである。本
学では本郷キャンパスで、経営学や英語の修得などを中心とした職業訓練講座を経営学部、外国
語学部が行っている。毎年30名程度の受講者があり、本学での教育を受け、学力・技能の修得、
能力向上を行い、社会に巣立っている。
ふじみ野キャンパスで地域の特色を生かし以下のような公開講座を実施している。
町民カレッジ大井公開講座;本学が立地する大井町が主催する町民カレッジに保育学科が毎年貢
献している。少子化が進行する現代の中で珍しく子供の数が増加傾向にある地域のニーズに、大
学として教育研究上の成果を還元している。ここ3年間では、1年に2回保育学科の専任教員に
よって以下の講演があった。
2002(平成 14)年「心を育てる子育てについて」
「子供の健康を守るには~戸外運動の充実と親・地域の役割~」
2003(平成 15)年「子供と上手に付き合うために~生きていく力を育てよう~」
「土曜日の有意義な過ごし方~学校完全週休5日制二年目を迎えて~」
2004(平成 16)年「親の背中を見て育つ か?~現代子育て事情~」
「子どもの発達にともなう親の関わりとは何か」である。
参加人員は、大井町からの報告では、定員 150 名に対して常に定員を上回る申し込みがあるとの
ことである。
実習協議会;人間福祉学科では、社会福祉士養成に伴う社会福祉援助技術演習における実習施設
の指導者たちとの研究会を毎年 1 回開催している。本学の実習担当教員による、実習に関する教
育研究上の成果をともに検討しあうことを目的としている。
2002(平成 14)年度「実習教育におけるスーパービジョンとは何か」松本榮二教授
2003(平成 15)年度「スーパービジョンの実際、現場とのパートナーシップ形成のため
に」對馬節子教授
2004(平成 16)年度「実習現場から学ぶ実習教育のあり方」本学人間福祉学科全教員と
実習先のスーパーバイザーによるディスカッション
出張講義・講演会;本学の全教員が研究分野における、高校生以上の市民に向けた分かり易い魅
力的なテーマを設定し、要望に応じて出張して講義を行っているものである。年間 10 名程度の
624
リクエストがあり、要望に応えている。
[点検・評価]
生涯学習センターの活動は 10 年目となり、地域、市民はもとより、企業人や卒業生にもすっ
かり定着しており、需要はますます拡大している。大学の3学部、3研究科が協力して行ってお
り、協力体制も整っている。生涯学習センター長は学長が兼務しており、その意味でも結束が固
い。年間延べ 5,000 名もの社会人受講者がおり、最新の大学教育・研究の成果を社会がいかに期
待しているかがうかがえる。文京区教育委員会との協定による学校現場における補助活動は、初
等教育から英語を国際語として導入する方法を各学校がさまざまな点から検討しているところで
あり、関心の高い注目すべきところである。2004(平成 16)年度から始まったので今後の展開に
期待したい。
町民カレッジ大井公開講座においては、地域のニーズと本学の教育研究成果が合致したテーマ
が設定されていることにより、正確な情報が市民に提供できている。特にニートなど次世代の課
題が社会問題化している現状において、町民カレッジという日常的な活動の中で市民に研究成果
を還元できている現状は評価できる。特に大井町との協力体制は本学が前身である保育の専門学
校時代より培われたものであり、テーマの設定から相談できるなど、意思の疎通ができている。
この点は大きな長所である。問題点としてあげられるのは、テーマの範囲と教員の研究テーマの
専門性との関係である。より深い専門性を追求する研究は領域が限定され、より高度な研究成果
の還元を図るためには、地域ニーズとの関係の中でテーマをどのように関連させていくのか、今
後の課題である。
実習協議会においては、現場の実習指導者が最も関心を寄せるスーパービジョンについて、実
際的な研究成果を提供できており、
論文紹介をふくめ、
高度な内容で充実していると評価できる。
特に今年度は全実習施設に実習協議会の内容を詳細に記述したものを冊子にし、送付したことは
大きな効果があった。問題点としては参加者が固定化の傾向にあり、多忙な実習指導者の日程と
の調整が困難なことである。実習施設は 1 都5県にあり、開催場所も含めて研究成果の還元の方
法に多様性をもたせることが課題である。
出張講義・講演会では、研究成果をよりわかりやすい表現で行っていることから、各高校・地
域の講演会などで高く評価されている。問題点としてはさらに魅力的な、関心を引くテーマが設
定され、なおかつ教員が公平に出講できるまでには、体制が整備されていないことである。
[今後の改善方策]
受講生募集システム、受講料の管理システム、成績管理システム、証明書発行システム等とも
によく精査されており、制度が整っている。特に問題になるところはない。今後さらに需要が高
まってくることが予想されるので、各学部、大学全体の協力体制を充実させたい。
・ボランティア等を教育システムに取り入れ地域社会への貢献を行っている大学・
学部等における、そうした取り組みの有効性
[現状の把握]
本郷キャンパスでは 2003(平成 15)年度のパイロット・プラン(試験的実施)に続いて、外
625
国語学部は 2004(平成 16)年度から「社会貢献実習」という科目名(全学年対象の選択科目、2
単位)で、文京区の公立小学校、中学校、および本学付属中学校・高等学校において学校インタ
ーンシップを実施し始めた。
このように学校インターンシップは授業科目として着実に整備され、同時にそのなかで外国語
学部の地域社会への貢献が外国語学部の教育システムのなかに内蔵されているといえる。
学生が、大井町(現:ふじみ野市)社会福祉協議会内に、自主的に立ち上げたボランティアサ
ークル「くれよん」は、協議会でもその必要性を議論されていた組織的なサークルとして存在し
ている。1 年次より、ボランティア論が科目として開講されており、学生はボランティア活動に
不可欠である自己責任を組織として保障するシステムを構築している。学生は人間福祉学科を中
心としたメンバーではあるが、学科、学部を超えた活動として、地域社会に貢献している。
[点検・評価]
組織的なボランティアサークルとして、会則の作成、地域から信頼を得るためのイベントの企
画・実行など、学生の自主性を尊重しながらも社会福祉協議会のソーシャルワーカーからのサポ
ート、ならびに本学の教員によるサポートをうけ、地域から高い評価を受けるまでに成長してい
る。
「くれよん」というネーミングが、学生が個人の個別性を「くれよん」の様々な色にたとえる
ことから考えられたように、理念を活かした活動が持続している。問題点は、組織として成長し
ていく過程で克服していくべき課題の分析を学生たちが充分把握していないことが挙げられる。
[今後の改善方策]
一つの例である「くれよん」のような学生の自主的なボランティアサークルが発展できるよう
な支援システムが構築される必要がある。その方策として、地域連携センターが本年度より開所
されたことにより、更なる充実が期待できる。
この地域連携センターは、地域社会の市民と共同して社会福祉の増進を図り、本学における
社会福祉教育の充実と本学の教育基本理念である共生社会の実現を目指すために、
文部科学省
「現
代的教育ニーズ取り組み支援プログラム(現代 GP)
」の一つとして採択された事業の一つである。
このセンターでは、ボランティア養成教育を中心に社会福祉に関わる地域貢献活動(コミュニテ
ィ・サービス)を通した実践的学習(サービス・ラーニング)の推進、地域との新たなネットワ
ーキングの取り組みなどが行われる。この活動は全学的推進体制をとって進められる。
・ 地方自治体等の政策形成への寄与の状況
[現状の把握]
本学の、延べ 18 人の教員が、国政、地方自治体等の政策形成に直接間接的に寄与している。
この他、国または地方自治体等によって開催される講習会の講師、各種調査委員会の委員、各種
資格試験の専門委員等として多くの本学教員が参加している。
[現状の把握]
2000(平成 12)年 4 月から 2005(平成 17)年 5 月までの間の状況
626
・ ユネスコ本部顧問
・ 日本ユネスコ協会連盟理事長
・ 第 49 回国連婦人の地位委員会「北京+10」閣僚級会合政府代表団顧問
・ 日本ユネスコ国内委員会委員
・ 文部科学省独立法人化外部評価委員
・ 日本私立大学協会国際交流委員会委員
・ 日本私立大学団体連合会国際交流委員会委員
・ 中央教育審議会初等中等教育分科会「外国語専門分科会」文部科学省委員
・ 文部科学省初等中等教育局国際教育推進検討委員会委員
・ 文部科学省大学審議会委員
・ 国家公務員倫理審議会委員
・ 文部科学省中央教育審議会臨時委員
・ 日本学術会会員
・ 21 世紀 COE プログラム委員会評価部会専門委員
・ 日本私立短期大学協会副会長
・ 日本教育大学協会評議員
・ 千葉市教育委員会委員長
・ 千葉市公私立高等学校協議会会長文京区男女平等参画推進会議審議委員
・ 品川区小中一貫教育構造改革特区「英語科教育課程開発委員会」委員長
・ 成田市国際教育構造改革特区小中連携「英語科教育課程開発委員会」委員長
・ 北区教育改革「英語が使える北区人委員会」委員長
・ 目黒区小中連携英語教育改革顧問
・ さいたま市小中連携英語教育指導指針作成委員会委員長
・ 三鷹市教育委員会小中一貫教育英語科教育課程開発委員会委員長
・ さいたま市小中連携教育構造改革特区「潤いの時間・英語会話教育課程開発委員会」委員長
・ 豊島区教育委員会小中連携「英語教育課程開発委員会」委員長
・ 東京都私立短期大学協会長
・ 文京区教育委員会委員
・ 上福岡市環境審議会副委員長
・ 東村山市介護認定審査会委員
・ 大井町明るい社会を作る市民大会実行委員
・ ふじみ野市大井明るい社会を作る市民大会実行委員
・ 長野市地域福祉計画推進懇談会委員
・ 練馬区地域福祉計画推進懇談会委員
・ 東京地方労働審議会最低工賃専門部会委員
・ 東京地方労働審議会家内労働部会委員
・ 富山県子ども性格県民会議委員
・ 品川区児童問題調査会会長
・ 大井町個人情報保護審議会委員
・ 埼玉県男女共同参画審議会委員
・ 埼玉県私立学校審議会委員
627
・ 国立女性教育会館女性学・ジェンダー研究フォーラム企画委員長
・ 熊本県男女共同参画推進条例(仮称)検討委員会委員
・ 埼玉県彩の国シニアネットワーク推進研究会座長
・ 埼玉県シニアパソコンボランティア養成に関する検討委員会
・ 富士見市商業活性化ビジョン策定委員会委員
・ 富士見市中心街活性化基本計画策定委員会委員
・ 所沢 TMO 検討委員会ワーキンググループ委員
・ 所沢 TMO 検討委員会委員
・ 埼玉県地域福祉推進委員会委員
・ 富士見市行政経営戦略会議委員長
・ 埼玉県立大学運営協議会副委員長
[点検・評価]
様々な地方自治体の政策決定に直接関与する委員会への積極的な参加は上記の通りである。学
識経験者として、
研究成果を活かし社会に貢献するためには、
今後も尚一層取り組む必要がある。
[今後の改善方策]
改善・改革にむけた方策としては、大学としても積極的に取り組む教員を支援する体制を整備
することである。大学として経験を蓄積し、今後に活かす方向性について検討する。
628
2 経営学部における社会貢献
[経営学部の到達目標]
(1) 「自立と共生」を教育理念とし、共に支え合い、共に幸せを願う福祉社会に貢献するこ
とのできる資質と技能とを備えた人材の育成を教育目標とする。
(2) 社会貢献実習を授業科目といて開講し、単位として認定する。
(3) ビジネスマン、専門職業人などを対象とした大学院の専門講座を開設し、経営学部を基
礎とする経営学研究科の特色も出す。
(4) 厚生労働省から委託された職業訓練講座も行い貢献していく。
(5) 公開講座、特別講座、市民カレッシ、大学コンソーシアム公開講座等、大学院教育の成
果を広く社会に還元する。
(社会への貢献)
・社会との文化交流等を目的とした教育システムの充実度
[現状の把握]
本学は開学以来、今日まで春と秋の2回、
「文化教養講座」と銘打っての正課外教育を実施し
てきた。
この制度の趣旨は、学生に幅広い知識を身につけさせるとともに広い視野に立って文化に対す
る知識と教養を高め、もって全体的知識の向上を図ることを目的として実施されてきた。
ちなみに、2000(平成 12)年6月は津軽三味線演奏、同年 10 月は児童劇団公演、2001(平成
13)年6月は「世代とファッション」と題する講演会、同年 10 月は「ことばパフォーマンス」と
題する講演会、2002(平成 14)年6月はガムラン演奏、同年 11 月は筝演奏、2003(平成 15)年
6月は「自作絵本の読み聞かせ」と題する講演会、同年 12 月にはマスコットキャラクター金管五
重演奏、2004(平成 16)年6月はマリンバ演奏、同年 11 月は日本舞踊と琴の演奏であった。2005
(平成 17)年5月にはアメリカのセント・ジョーンズ大・ベネデクト大との合同コンサートを開
催した。
このように幅広い分野の専門家による演奏会や講演会といった充実した内容となっている。し
かも年に2回行われており、その点では当初の目的は達成されているといえる。
[点検・評価]
上記のように開催内容は、音楽演奏をはじめ、各分野の専門家による講演などであるがこれら
は通常、大学での正課での教育ではなかなか受けられないものが中心となっていることは評価で
きる。
しかし以下のような問題点も指摘できる。第一に、これまでは水曜日の4時限目か金曜日の4
時限目に実施されてきた。そのためにその時間帯に授業のある学生は参加することができず、そ
のために参加人数が少なかったという点である。
第二に、講師の人選に当たっては学生委員会の中の文化教養講座の担当者が個人的な人脈によ
って依頼してきた面が強く、そのためにさらに広い分野からの講師の人選が困難であったという
点である。
629
[今後の改善方策]
参加学生を増やすという点については、文化教養講座そのものを大学の授業の一環と位置付け、
その時間帯は授業を文化教養講座に振り返るなどの措置を講ずるか、少なくとも関連する授業の
先生方には文化教養講座に参加する学生に対して、一定の配慮の依頼をすることが有益である。
また、講師の人選については広く学生委員会の教員以外からも推薦あるいは紹介してもらうな
どのシステムを構築する。
・公開講座の開設状況とこれへの市民の参加の状況
・教育研究上の成果の市民への還元状況
[現状の把握]
本学では以下の3種類の公開講座を開設している。本学独自のウイークエンドフォーラム、彩
の国コンソーシアム関係、淑徳大学との共催公開講座のテーマ、参加状況については以下の通り
である。
経営学部は 2003(平成 15)年度から段階的にふじみ野キャンパスから本郷キャンパスに移転
し、2004(平成 16)年度には移転を完了した。したがって教育研究上の成果の市民へ還元の実績
も現段階ではふじみ野キャンパス周辺の地域に限定される。
ウイークエンドフォーラム;年2回春秋に開催し、地域性と現代性を意識したテーマを設定して
いる。
2002(平成 14)年度
「高齢者 21 世紀を生きる」
(参加人員延べ 241 名、以下同じ)
基調講演
櫻澤 仁(本学経営学科教授)
「エルダーファッション」 岡田たけ志・森宮 勝子(本学経営学部教授)
「長生きの食卓」講師4名 小川 智由(本学経営学部教授)
「旅に出よう」 池田芳彦(本学経営学部教授)
ゼミナール
「日本の金融不安の解消方法」 菊池 英博(本学経営学部教授)
「個人向けIT化の実現を学ぶ」 福田 博(本学人間学部助教授)
「キャリアアップのための商法入門」 櫻井 隆 (本学人間学部教授)
「共生社会をめざして~21 世紀人類の課題」
(99 名)
「共生の倫理」 佐竹 昭臣(本学人間学部教授)
「病人の診療を通しての問題提起」 吾郷 晋浩(本学人間学部教授)
ゼミナール
「高齢期の住まい方」 早坂 聡久(本学人間学部専任講師)
「女性にとって子どもを持つ意味とは」 永久ひさ子(本学人間学部専任講師)
「粘土を使って親子で遊ぼう」 日名子孝三(本学人間学部助教授)
2003(平成 15)年度
「世界の“今”を読む」
(73 名)
基調講演
630
「同時多発テロ以降、世界はどう変わったか」芝 實(本学外国学部教授)
パネルディスカッション 「同時多発テロ以降の世界と経済」
コーディネーター 櫻井 隆(本学人間学部教授)
パネリスト
菊池 英博(本学経営学部教授)
パネリスト
関根 謙司(本学人間学部教授)
パネリスト
魯 暁琨(本学経営学部助教授)
分科会
<世界経済問題> 菊池 英博(本学経営学部教授)
<イラク・中東問題> 関根 謙司(本学人間学部教授)
<北朝鮮・中国問題> 魯 暁琨(本学経営学部助教授)
「地方発・自立と共生のまちづくりの壮大な実験」
(62 名)
対談
「行政とNPOの協働・・・ゼロエミッション社会創造への新しい取り組み」
スピーカー 横山 芳春(那覇市経営管理局ゼロエミッション推進室長)
聞き手
櫻澤 仁 (本学経営学部教授)
「福祉のまちづくり第1章、そして・・・」
スピーカー 岩川 徹 (前秋田県鷹巣町長)
聞き手 加藤ひとみ(埼玉県健康福祉部・農林部食品安全局)
パネルディスカッション
「自立と共生のまちづくりの新機軸を求めて」
パネラー
横山 芳春(那覇市経営管理局ゼロエミッション推進室長)
パネラー
岩川 徹 (前秋田県鷹巣町長)
パネラー
西川 正(さいたまNPOセンター事務局長)
司会
櫻井 隆(本学経営学部教授)
2004(平成 16)年度
「あなたが!そしてあなたの家族が倒れたとき・・・そこに展開される現実」
(299 名)
講演「痴呆老人とともに地域に生きる」 松本 榮二(本学人間学部教授)
シンポジウム「保健・医療・福祉連携の実態」
シンポジスト 小山 秀夫(国立保健医療科学院 経営学部長)
シンポジスト 齋藤 正身(医療法人真正会 霞ヶ関南病院長)
シンポジスト 綿
祐二(本学人間学部助教授)
コーディネーター 笹岡 眞弓(本学人間学部助教授)
「埼玉発・まちづくりの新機軸創造戦略」
(82 名)
プロローグ「共生時代のまちづくりと大学」 鷹野 吉章(本学人間学部専任講師)
事例紹介1「深谷発:街なか再生に向けた市民による歴史的建造物実験」
松本 博之(NPO法人深谷にぎわい工房理事長)
事例紹介2「深谷発:ミニシアターによる街おこしと人つくり」
竹石 研二(NPO法人市民シアター・エフ代表理事)
事例紹介3「所沢発:蔵を活用した中心市街地活性化戦略」
鈴木 進(所沢TMO検討委員会委員長)
青木 邦雄(所沢市市民経済部商工労政課主任)
631
パネルディスカッション「共生社会におけるまちづくりの新機軸創造」
パネリスト 松本博之・竹石研二・鈴木進・青木邦雄
今橋 幸夫(埼玉県労働商工部地域産業課主査)
コーディネーター 櫻澤 仁(本学経営学部教授)
彩の国コンソーシアム公開講座;参加大学 18 校 18 講座のうち1講座を担当している。
テーマ、参加人員は以下の通りである。
2002(平成 14)年「熟年世代の“公園デビュー”~地域社会における新しいシニアネッ
トワークづくりの方法~」
2003(平成 15)年「脳とストレス~ストレスへの理解を深める」
(84 名)
心理学科坂本 正裕教授
2004(平成 16)年度「健康な子どもを育てるー生きる力とこころー」
(31 名)
保育学科
平山 許江教授
文京学院大学・淑徳大学共催公開講座;平成 14 年度より年1回、両大学のキャンパスで
1回ずつ計 2 日間の講座を設けている。テーマと参加人員は次の通りである。
2002(平成 14)年「セカンドライフと社会参加 ― ボランティア・NPOが開くあな
たの新時代―」
2003(平成 15)年「セカンドライフと社会参加―まちをいきいき熟年世代―」
(63 名)
2004(平成 16)年「地域で共に生きるために~安全・安心な暮らしに向けて、私たちに
今できることは?」
(57 名)
[点検・評価]
ウイークエンドフォーラムについては、乱立する公開講座のなかで独自性を保つために地域に
根ざす活動と、公開講座への参加志向の強い中高年層の関心に焦点をしぼったテーマを設定した
ことで、継続して参加している市民もおり、定着したという安定感がある。興味の多様性に対応
できる少数ゼミナール形式のものを 2003(平成 15)年度より講演とシンポジウムという形式に改
変したのは、社会への視点を市民とともに広げられることを意図したためである。長所はこの意
図が現在のところ的確に効果をあげている点である。シンポジウムでは市民の質問シートには、
意欲的で示唆に富む内容が見られる。市民の関心の度合いと知的な喚起の融合が特筆される。
問題点としては、このウイークエンドフォーラムを各学科で担当制にするのか、テーマの設定を
委員会が担うのか、その点の整理が曖昧な点である。
彩の国コンソーシアムは、18 大学の調整も安定してきたが、3年目を終えて参加者数の逓減傾
向が懸念される。
長所としては各大学の多様性にとんだ講師陣による専門的な講座が 18 講座も用
意できることにある。しかし問題点としてはその長所が、コンソーシアムとしての埼玉遊学とい
うまとまりへのハードルにもなっていることである。
文京学院大学・淑徳大学共催公開講座は、両大学の個性を尊重しながら協働の中から生まれる、
新しい発想が定着してきた。両大学の教員による2講演と、1週間後に講師も含めてあらたなシ
ンポジストを加えた、よりテーマに肉迫するシンポジウムを開催している。さらに、その後の市
民とシンポジスト等とのディスカッションの場を設定することで、視座が共有できるという効果
を生んでいる。
アンケートからも、
茶話会形式で両大学の学生も含めて討議できることについて、
世代間交流の良さを評価する意見が多い。評価と長所は以上である。問題点としては、参加者の
固定化という関心の継続の裏にあるマンネリズムである。
632
[今後の改善方策]
公開講座を総合的に見直し、問題を深めていくための継続性と、マンネリズムのジレンマの解
消に努めることである。継続して参加している市民の関心と、新たに参加を促したい市民の関心
にこたえるための方策は以下の3点である。
1)各公開講座の独自性を益々高め、市民と共に学んでいけるような、プログラムの開発に努力
する。そのためには、各科を超えたプロジェクトで、学際的な探求が可能なテーマの設定、
市民の声が反映できるアンケートの工夫ならびに、地域ニーズの調査などに取り組んでいく
こととする。
2)開催の時期について、本年は淑徳大学との共催公開講座については、両大学の学園祭と同日
に開催し、参加者へのアッピールと多数の参加者から、マンネリズムを打破できるニーズの
発掘に努める。参加人員の確保も含めて、一連の公開講座の妥当な開催時期について検討す
る。
3)地域連携室(BICS)の開設<資料参照>を活かし、地域ニーズの掘り起こしに連動させ、
公開講座の効果的な運営にむけて積極的に情報収集に努める。
関連資料「大学基礎データ」
(表 10)
・ボランティア等を教育システムに取り入れ地域社会への貢献を行なっている大
学・学部等における、そうした取り組みの有効性
[現状の把握]
経営学部はふじみ野キャンパスから本郷キャンパス移転を 2003(平成 15)年度に開始して 2004
(平成 16)年度に完了した。したがってボランティア活動をとおしての地域社会への貢献の実績は
ふじみ野周辺に限定されるので、ここではふじみ野周辺でのボランティア活動に限定して報告する。
学生が、大井町社会福祉協議会内に、自主的に立ち上げたボランティアサークル「くれよん」
は、協議会でもその必要性を議論されていた組織的なサークルとして存在している。1 年次より、
ボランティア論が科目として開講されており、学生はボランティア活動に不可欠である自己責任
を組織として保障するシステムを構築している。学生は、2005(平成 17)年度以降は経営学部生
は文京区において小中学校での活動など始動している。学科、学部を超えた活動として、地域社
会に貢献している。
[点検・評価]
組織的なボランティアサークルとして、会則の作成、地域から信頼を得るためのイベントの企
画・実行など、学生の自主性を尊重しながらも社会福祉協議会のソーシャルワーカーからのサポ
ート、ならびに本学の教員によるサポートをうけ、地域から高い評価を受けるまでに成長してい
る。
「くれよん」というネーミングが、学生が個人の個別性を「くれよん」の様々な色にたとえる
ことから考えられたように、理念を活かした活動が持続している。問題点は、組織として成長し
ていく過程で克服していくべき課題の分析を学生たちが充分把握していないことが挙げられる。
[今後の改善方策]
633
一つの例である「くれよん」のような学生の自主的なボランティアサークルが発展できるよう
な支援システムが構築される必要がある。その方策として、地域連携センターが本年度より開所
されたことにより、更なる充実が期待できる。
この地域連携センターは、地域社会の市民と協働し社会福祉の増進を図り、本学における社
会福祉教育の充実と本学の教育基本理念である共生社会の実現を目指すために、文部科学省「現
代的教育ニーズ取り組み支援プログラム
(現代GP)
」
の一つとして採択された事業の一つである。
このセンターでは、ボランティア養成教育を中心に社会福祉に関わる地域貢献活動(コミュニテ
ィ・サービス)を通した実践的学習(サービス・ラーニング)の推進、地域との新たなネットワ
ーキングの取り組みなどが行われる。この活動は全学的推進体制をとって進められる。
・地方自治体等の政策形成への寄与の状況
[現状の把握]
経営学部の、延べ3人の教員が、国政、地方自治体等の政策形成に直接間接的に寄与している。
この他、国または地方自治体等によって開催される講習会の講師、各種調査委員会の委員、各種
資格試験の専門委員等として多くの本学教員が参加している。
2000(平成 12)年4月から 2005(17)年5月までの間の状況
・第 49 回国連婦人の地位委員会「北京+10」閣僚級会合政府代表団顧問
・大井町個人情報保護審議会委員
・埼玉県男女共同参画審議会委員
・埼玉県私立学校審議会委員
・国立女性教育会館女性学・ジェンダー研究フォーラム企画委員長
・熊本県男女共同参画推進条例(仮称)検討委員会委員
・埼玉県彩の国シニアネットワーク推進研究会座長
・埼玉県シニアパソコンボランティア養成に関する検討委員会
・富士見市商業活性化ビジョン策定委員会委員
・富士見市中心街活性化基本計画策定委員会委員
・所沢TMO検討委員会ワーキンググループ委員
・所沢TMO検討委員会委員
・埼玉県地域福祉推進委員会委員
・富士見市行政経営戦略会議委員長
・埼玉県立大学運営協議会副委員長
[点検・評価]
様々な地方自治体の政策決定に直接関与する委員会への積極的な参加は上記の通りである。学
識経験者として、
研究成果を活かし社会に貢献するためには、
今後も尚一層取り組む必要がある。
[今後の改善方策]
改善・改革にむけた方策としては、大学としても積極的に取り組む教員を支援する体制を整備
することである。大学として経験を蓄積し、今後に活かす方向性について検討する。
634
3 人間学部における社会貢献
[人間学部の到達目標]
(1) 「自立と共生」を教育理念とし、共に支え合い、共に幸せを願う福祉社会に貢献するこ
とのできる資質と技能とを備えた人材の育成を教育目標とする。
(2) 社会貢献実習を授業科目といて開講し、単位として認定する。
(3) 公開講座、特別講座、市民カレッシ、大学コンソーシアム公開講座等、学部教育の成果
を広く社会に還元する。
(4) 保育実践研究センター、心理臨床・福祉センター、臨床心理子相談センター、地域連携
センター等の施設を利用して地域社債に貢献する。
(社会への貢献)
・社会との文化交流等を目的とした教育システムの充実度
[現状の把握]
本学は開学以来、今日まで春と秋の2回、
「文化教養講座」と銘打っての正課外教育を実施し
てきた。
この制度の趣旨は、学生に幅広い知識を身につけさせるとともに広い視野に立って文化に対す
る知識と教養を高め、もって全体的知識の向上を図ることを目的として実施されてきた。
ちなみに、2000(平成 12)年6月は津軽三味線演奏、同年 10 月は児童劇団公演、2001(平成
13)年6月は「世代とファッション」と題する講演会、同年 10 月は「ことばパフォーマンス」と
題する講演会、2002(平成 14)年6月はガムラン演奏、同年 11 月は筝演奏、2003(平成 15)年
6月は「自作絵本の読み聞かせ」と題する講演会、同年 12 月にはマスコットキャラクター金管五
重演奏、2004(平成 16)年6月はマリンバ演奏、同年 11 月は日本舞踊と琴の演奏であった。
このように幅広い分野の専門家による演奏会や講演会といった充実した内容となっている。し
かも年に2回行われており、その点では当初の目的は達成されているといえる。
[点検・評価]
上記のように開催内容は、音楽演奏をはじめ、各分野の専門家による講演などであるがこれら
は通常、大学での正課での教育ではなかなか受けられないものが中心となっていることは評価で
きる。
しかし以下のような問題点も指摘できる。第一に、これまでは水曜日の4時限目か金曜日の4
時限目に実施されてきた。そのためにその時間帯に授業のある学生は参加することができず、そ
のために参加人数が少なかったという点である。
第二に、講師の人選に当たっては学生委員会の中の文化教養講座の担当者が個人的な人脈によ
って依頼してきた面が強く、そのためにさらに広い分野からの講師の人選が困難であったという
点である。
[今後の改善方策]
参加学生を増やすという点については、文化教養講座そのものを大学の授業の一環と位置付け、
その時間帯は授業を文化教養講座に振り替るなどの措置を講ずるか、少なくとも関連する授業の
635
先生方には文化教養講座に参加する学生に対して、
一定の配慮の依頼をすることが有益となろう。
また、講師の人選については広く学生委員会の教員以外からも推薦あるいは紹介してもらうな
どのシステムを構築することが必要となろう。
・公開講座の開設状況とこれへの市民の参加の状況
[現状の把握]
本学では以下の3種類の公開講座を開設している。本学独自のウイークエンドフォーラム、彩
の国コンソーシアム関係、淑徳大学との共催公開講座のテーマ、参加状況については以下の通り
である。
ウイークエンドフォーラム;年2回春秋に開催し、地域性と現代性を意識したテーマを設定して
いる。
2002(平成 14)年度
「高齢者 21 世紀を生きる」
(参加人員延べ 241 名、以下同じ)
基調講演
櫻澤 仁(本学経営学科教授)
「エルダーファッション」岡田たけ志・森宮 勝子(本学経営学部教授)
「長生きの食卓」講師4名 小川 智由(本学経営学部教授)
「旅に出よう」池田芳彦(本学経営学部教授)
ゼミナール
「日本の金融不安の解消方法」 菊池 英博(本学経営学部教授)
「個人向けIT化の実現を学ぶ」 福田 博(本学人間学部助教授)
「キャリアアップのための商法入門」 櫻井 隆 (本学人間学部教授)
「共生社会をめざして~21 世紀人類の課題」
(99 名)
「共生の倫理」 佐竹 昭臣(本学人間学部教授)
「病人の診療を通しての問題提起」 吾郷 晋浩(本学人間学部教授)
ゼミナール
「高齢期の住まい方」 早坂 聡久(本学人間学部専任講師)
「女性にとって子どもを持つ意味とは」永久ひさ子(本学人間学部専任講師)
「粘土を使って親子で遊ぼう」日名子孝三(本学人間学部助教授)
2003(平成 15)年度
「世界の“今”を読む」
(73 名)
基調講演
「同時多発テロ以降、世界はどう変わったか」芝 實(本学外国学部教授)
パネルディスカッション 「同時多発テロ以降の世界と経済」
コーディネーター 櫻井 隆(本学人間学部教授)
パネリスト
菊池 英博(本学経営学部教授)
パネリスト
関根 謙司(本学人間学部教授)
パネリスト
魯 暁琨(本学経営学部助教授)
分科会
<世界経済問題> 菊池 英博(本学経営学部教授)
636
<イラク・中東問題> 関根 謙司(本学人間学部教授)
<北朝鮮・中国問題> 魯 暁琨(本学経営学部助教授)
「地方発・自立と共生のまちづくりの壮大な実験」
(62 名)
対談
「行政とNPOの協働・・・ゼロエミッション社会創造への新しい取り組み」
スピーカー 横山 芳春(那覇市経営管理局ゼロエミッション推進室長)
聞き手
櫻澤 仁 (本学経営学部教授)
「福祉のまちづくり第1章、そして・・・」
スピーカー 岩川 徹 (前秋田県鷹巣町長)
聞き手 加藤ひとみ(埼玉県健康福祉部・農林部食品安全局)
パネルディスカッション
「自立と共生のまちづくりの新機軸を求めて」
パネラー
横山 芳春(那覇市経営管理局ゼロエミッション推進室長)
パネラー
岩川 徹 (前秋田県鷹巣町長)
パネラー
西川 正(さいたまNPOセンター事務局長)
司会
櫻井 隆(本学経営学部教授)
2004(平成 16)年度
「あなたが!そしてあなたの家族が倒れたとき・・・そこに展開される現実」
(299 名)
講演「痴呆老人とともに地域に生きる」 松本 榮二(本学人間学部教授)
シンポジウム「保健・医療・福祉連携の実態」
シンポジスト 小山 秀夫(国立保健医療科学院 経営学部長)
シンポジスト 齋藤 正身(医療法人真正会 霞ヶ関南病院長)
シンポジスト 綿
祐二(本学人間学部助教授)
コーディネーター 笹岡 眞弓(本学人間学部助教授)
「埼玉発・まちづくりの新機軸創造戦略」
(82 名)
プロローグ「共生時代のまちづくりと大学」 鷹野 吉章(本学人間学部専任講師)
事例紹介1「深谷発:街なか再生に向けた市民による歴史的建造物実験」
松本 博之(NPO法人深谷にぎわい工房理事長)
事例紹介2「深谷発:ミニシアターによる街おこしと人づくり」
竹石 研二(NPO法人市民シアター・エフ代表理事)
事例紹介3「所沢発:蔵を活用した中心市街地活性化戦略」
鈴木 進(所沢TMO検討委員会委員長)
青木 邦雄(所沢市市民経済部商工労政課主任)
パネルディスカッション「共生社会におけるまちづくりの新機軸創造」
パネリスト 松本博之・竹石研二・鈴木進・青木邦雄
今橋 幸夫(埼玉県労働商工部地域産業課主査)
コーディネーター 櫻澤 仁(本学経営学部教授)
彩の国コンソーシアム公開講座;参加大学 18 校 18 講座のうち1講座を担当している。
テーマ、参加人員は以下の通りである。
637
2002(平成 14)年度「熟年世代の“公園デビュー”~地域社会における新しいシニアネ
ットワークづくりの方法~」
2003(平成 15)年度「脳とストレス~ストレスへの理解を深める」
(84 名)
心理学科坂本 正裕教授
2004(平成 16)年度「健康な子どもを育てる~生きる力とこころ~」
(31 名)
保育学科
平山 許江教授
文京学院大学・淑徳大学共催公開講座;2002(平成 14)年度より年1回、両大学のキャンパスで
1回ずつ計2日間の講座を設けている。テーマと参加人員は次の通りである。
2002(平成 14)年度「セカンドライフと社会参加 ― ボランティア・NPOが開くあな
たの新時代―」
2003(平成 15)年度「セカンドライフと社会参加―まちをいきいき熟年世代―」
(63 名)
2004(平成 16)年度「地域で共に生きるために~安全・安心な暮らしに向けて、私たちに
今できることは?」
(57 名)
関連資料「大学基礎データ」
(表 10)
[点検・評価]
ウイークエンドフォーラムについては、乱立する公開講座のなかで独自性を保つために地域に
根ざす活動と、公開講座への参加志向のつよい中高年層の関心に焦点をしぼったテーマを設定し
たことで、継続して参加している市民もおり、定着したという感がある。興味の多様性に対応で
きる少数ゼミナール形式のものを 2003(平成 15)年度より講演とシンポジウムという形式に改変
したのは、社会への視点を市民とともに広げられることを意図したためである。長所はこの意図
が現在のところ的確に効果をあげている点である。シンポジウムでは市民の質問シートには、
「意
欲的で示唆に富む内容が見られる。
」
、
「市民の関心の度合いと知的な喚起。
」が特筆されている。
問題点としては、このウイークエンドフォーラムを各学科で担当制にするのか、テーマの設定
を委員会が担うのか、その点の整理が曖昧な点である。
彩の国コンソーシアムは、18 大学の調整も安定してきたが、3年目を終えて参加者数の逓減傾
向が懸念される。
長所としては各大学の多様性にとんだ講師陣による専門的な講座が 18 講座も用
意できることにある。しかし問題点としてはその長所が、コンソーシアムとしての埼玉遊学とい
うまとまりへのハードルにもなっていることである。
文京学院大学・淑徳大学共催公開講座は、隣接した両大学の個性を尊重しながら協働の中から
生まれる、新しい発想が定着してきた。両大学の教員による2講演と、1週間後に講師も含めて
あらたなシンポジストを加えた、よりテーマに肉迫するシンポジウムを開催している。さらに、
その後の市民とシンポジスト等とのディスカッションの場を設定することで、視座が共有できる
という効果を生んでいる。アンケートからも、茶話会形式で両大学の学生も含めて討議できるこ
とについて、世代間交流の良さを評価する意見が多い。評価と長所は以上である。問題点として
は、参加者の固定化という関心の継続の裏にあるマンネリズムである。
[今後の改善方策]
公開講座を総合的に見直し、問題を深めていくための継続性と、マンネリズムのジレンマの解
消に努めることである。継続して参加している市民の関心と、新たに参加を促したい市民の関心
にこたえるための方策は以下の3点である。
638
1)各公開講座の独自性を益々高め、市民と共に学んでいけるような、プログラムの開発に努力
する。そのためには、各科を超えたプロジェクトで、学際的な探求が可能なテーマの設定、市民
の声が反映できるアンケートの工夫ならびに、地域ニーズの調査などに取り組んでいくことであ
る。
4)開催の時期について、本年は淑徳大学との共催公開講座については、両大学の大学祭と同日
に開催し、参加者へのアピールと多数の参加者から、マンネリズムを打破できるニーズの発掘に
努める。参加人員の確保も含めて、一連の公開講座の妥当な開催時期について検討する。
3)地域連携室(BICS)の開設<資料参照>を活かし、地域ニーズの掘り起こしに連動させ、
公開講座の効果的な運営にむけて積極的に情報収集に努める。
・教育研究上の成果の市民への還元状況
[現状の把握]
町民カレッジ大井公開講座;本学が立地する大井町が主催する町民カレッジに保育学科が毎年
貢献している。少子化が進行する現代の中で珍しく子供の数が増加傾向にある地域のニーズに、
大学として教育研究上の成果を還元している。ここ3年間では、1年に2回保育学科の専任教員
によって以下の講演があった。
2002(平成 14)年度「心を育てる子育てについて」
「子供の健康を守るには~戸外運動の充実と親・地域の役割~」
2003(平成 15)年度「子供と上手に付き合うために~生きていく力を育てよう~」
「土曜日の有意義な過ごし方~学校完全週休5日制二年目を迎えて~」
2004(平成 16)年度「親の背中を見て育つか?~現代子育て事情~」
「子どもの発達にともなう親の関わりとは何か」
参加人員は、大井町からの報告では、定員 150 名に対して常に定員を上回る申し込みがあるとの
ことである。
実習協議会;人間福祉学科では社会福祉士養成に伴う社会福祉援助技術演習における実習施設
の指導者たちとの研究会を毎年1回開催している。本学の実習担当教員による、実習に関する教
育研究上の成果をともに検討しあうことを目的としている。
2002(平成 14)年度「実習教育におけるスーパービジョンとは何か」松本榮二教授
2003(平成 15)年度「スーパービジョンの実際、現場とのパートナーシップ形成のために」
對馬節子教授
2004(平成 16)年度「実習現場から学ぶ実習教育のあり方」本学社会福祉学科全教員と実習
先のスーパーバイザーによるディスカッション
出張講義・講演会;本学の全教員が研究分野における、高校生以上の市民に向けた分かり易い、
魅力的なテーマを設定し、要望に応じて、出張して講義を行っているものである。年間 10 名程
度のリクエストがあり、要望に応えている。
[点検・評価]
町民カレッジ大井公開講座においては、地域のニーズと本学の教育研究成果が合致したテーマ
が設定されていることにより、正確な情報が市民に提供できている。特にニートなど次世代の課
639
題が社会問題化している現状において、町民カレッジという日常的な活動の中で市民に研究成果
を還元できている現状は評価できる。特に大井町との協力体制は本学の前身である保育の専門学
校時代より培われたものであり、テーマの設定から相談できるなど、意思の疎通ができている。
この点は大きな長所である。問題点としてあげられるのは、テーマの範囲と教員の研究テーマの
専門性との関係である。より深い専門性を追求する研究は領域が限定され、より高度な研究成果
の還元を図るためには、地域ニーズとの関係の中でテーマをどのように関連させていくのか、今
後の課題である。
実習協議会においては、現場の実習指導者が最も関心を寄せるスーパービジョンについて、実
際的な研究成果を提供できており、
論文紹介をふくめ、
高度な内容で充実していると評価できる。
特に今年度は全実習施設に実習協議会の内容を詳細に記述したものを冊子にし、送付したことは
大きな効果があった。問題点としては参加者が固定化の傾向にあり、多忙な実習指導者の日程と
の調整が困難なことである。実習施設は1都5県にあり、開催場所も含めて研究成果の還元の方
法に多様性をもたせることが課題である。
出張講義・講演会では、研究成果をよりわかりやすい表現で行っていることから、各高校・地
域の講演会などで高く評価されている。問題点としてはさらに魅力的な、関心を引くテーマが設
定され、なおかつ教員が公平に出講できるまでには、体制が整備されていないことである。
[今後の改善方策]
よりよいものへと改善・改革を行うために次の3点を実行する。
・より参加しやすい日程の設定。
・よりステップアップできる内容の開発。
・参加者からのフィードバックを積極的に得るためのシステムをつくる。
具体的にはアンケートを直後と数ヵ月後に複数回とり、効果測定するなどが考えられる。
・ボランティア等を教育システムに取り入れ地域社会への貢献を行なっている大
学・学部等における、そうした取り組みの有効性
[現状の把握]
学生が、大井町社会福祉協議会内に、自主的に立ち上げたボランティアサークル「くれよん」
は、協議会でもその必要性を議論されていた組織的なサークルとして存在している。1 年次より、
ボランティア論が科目として開講されており、学生はボランティア活動に不可欠である自己責任
を組織として保障するシステムを構築している。学生は人間福祉学科を中心としたメンバーでは
あるが、学科、学部を超えた活動として、地域社会に貢献している。
[点検・評価]
組織的なボランティアサークルとして、会則の作成、地域から信頼を得るためのイベントの企
画・実行など、学生の自主性を尊重しながらも社会福祉協議会のソーシャルワーカーからのサポ
ート、ならびに本学の教員によるサポートを受け、地域から高い評価を受けるまでに成長してい
る。
「くれよん」というネーミングが、学生が個人の個別性を「くれよん」の様々な色にたとえる
ことから考えられたように、理念を活かした活動が持続している。問題点は、組織として成長し
640
ていく過程で克服していくべき課題の分析を学生たちが充分把握していないことが挙げられる。
[今後の改善方策]
一つの例である「くれよん」のような学生の自主的なボランティアサークルが発展できるよう
な支援システムが構築される必要がある。その方策として、地域連携センターが本年度より開所
されたことにより、更なる充実が期待できる。
この地域連携センターは、地域社会の市民と協働し社会福祉の増進を図り、本学における社
会福祉教育の充実と本学の教育基本理念である共生社会の実現を目指すために、文部科学省「現
代的教育ニーズ取り組み支援プログラム
(現代GP)
」
の一つとして採択された事業の一つである。
このセンターでは、ボランティア養成教育を中心に社会福祉に関わる地域貢献活動(コミュニテ
ィ・サービス)を通した実践的学習(サービス・ラーニング)の推進、地域との新たなネットワ
ーキングの取り組みなどが行われる。この活動は全学的推進体制をとって進められる。
・ 地方自治体等の政策形成への寄与の状況
[現状の把握]
人間学部の、延べ 11 人の教員が、国政、地方自治体等の政策形成に直接または間接的に寄与
している。この他、国または地方自治体等によって開催される講習会の講師、各種調査委員会の
委員、各種資格試験の専門委員等として多くの本学教員が参加している。
2000(平成 12)年4月から 2005(平成 17)年5月までの間の状況
・ 文部省大学審議会委員
・ 国家公務員倫理審議会委員
・ 文部科学省中央教育審議会臨時委員
・ 日本学術会会員
・ 21 世紀COEプログラム委員会評価部会専門委員
・ 日本私立短期大学協会副会長
・ 日本教育大学協会評議員
・ 東京都私立短期大学協会長
・ 文京区教育委員会委員
・ 上福岡市環境審議会副委員長
・ 東村山市介護認定審査会委員
・ 大井町明るい社会を作る市民大会実行委員
・ ふじみ野市大井明るい社会を作る市民大会実行委員
・ 長野市地域福祉計画推進懇談会委員
・ 練馬区地域福祉計画推進懇談会委員
・ 東京地方労働審議会最低工賃専門部会委員
・ 東京地方労働審議会家内労働部会委員
・ 富山県子ども性格県民会議委員
・ 品川区児童問題調査会会長
641
[点検・評価]
様々な地方自治体の政策決定に直接関与する委員会への積極的な参加は上記の通りである。学
識経験者として、
研究成果を活かし社会に貢献するためには、
今後も尚一層取り組む必要がある。
[今後の改善方策]
改善・改革にむけた方策としては、大学としても積極的に取り組む教員を支援する体制を整備す
ることである。大学として経験を蓄積し、今後に活かす方向性について検討する。
642
4 外国語学部における社会貢献
[外国語学部の到達目標]
(1) 「自立と共生」を教育理念とし、共に支え合い、共に幸せを願う福祉社会に貢献するこ
とのできる資質と技能とを備えた人材の育成を教育目標とする。
(2) 社会貢献実習を授業科目といて開講し、単位として認定する。
(3) 「社会連携センター」
、
「生涯学習センター」を中心に、地域との連携を深め、ボランテ
ィア活動・社会貢献活動を推進する。
(4) 海外での国際協力インターンシップなども取り入れる
(社会への貢献)
・社会との文化交流等を目的とした教育システムの充実度
・公開講座の開設状況とこれへの市民の参加の状況
[現状の把握]
本学では、人間学部、経営学部〈2004(平成 16)年度まで〉が設置されているふじみ野キャ
ンパスと、外国語学部と短期大学が設置されている本郷キャンパスがそれぞれ独自に公開講座を
開設してきた。ふじみ野キャンパスでは、ウイークエンドフォーラム、彩の国コンソーシアム関
係、淑徳大学との共催公開講座のテーマが開設されてきているが、外国語学部を主体とする本郷
キャンパスでは以下のような公開講座がここ数年間に開催されている。ひろく一般公開も行って
いる。
文化教養講座;年 1 回秋に開催し、一般公開もしている。内容としては、カリキュラムを越えた
幅広い教養を学生に身につけさせることを目的としてテーマを設定し、それにふ
さわしい各界の一流の講師陣を招聘してきた。
2002(平成 14)年度
「崔岩光 世界の名曲とオペラ・アリア」
(参加人員約 600 名、以下同じ)
ソリスト
崔 岩光
ピアノ
小森 瑞香
2003(平成 15)年度
「丁讃宇 ヴァイオリン リサイタル」
(約 600 名)
ソリスト
丁讃宇
2004(平成 16)年度
「ジャズ・コンサート」
(約 600 名)
演奏
Queen’s Bee
その他の公開講座;
2002(平成14)年度
「アフガニスタン教育特別講演」 本学と(社) 日本ユネスコ協会連盟の共催
・日時 2002(平成14)年 6月 6日(火) 18:30~ ・場所 本学仁愛ホール
・ 基調講演 アフガニスタン教育大臣諮問委員会委員長
643
ロトフッラー・サフィー氏
演題 「アフガニスタンの子どもたちに未来を~教育復興の現場から~」
当日は本学学生 450名の他、東大・早大の等、他大学の学生、研究者ら約 200名が参加した。
2003(平成15)年度
大学院経営学研究科本郷キャンパス移転を記念して
「産学協同シンポジウム」 本学と日本経済新聞社の共催
・日時 2003(平成15)年12月12日(金) 14:00~ ・場所 本学仁愛ホール
・テーマ 「ハイブリット経営の構築に向けて」
・シンポジスト 問題提起 本学 由井常彦教授(経営学研究科委員長)
野中郁次郎氏(一橋大学大学院教授)
西岡幸一氏(日本経済新聞社コラムニスト)
御手洗富士夫氏(キャノン株式会社代表取締役社長)
ミラ・ウィルキンス氏(フロリダ国際大学教授)
総合司会 経営学研究科 岡本康雄教授・三浦后美教授
企業人など 500名が参加した。
2004(平成16)年度
2004(平成 16)年 3 月「小田島雄志先生ご退任記念講演 シェイクスピア劇における時
間 ~ハムレットは何歳か~」
(約 800 名)
小田島 雄志(本学外国語学部・短期大学教授)
2004(平成 16)年 10 月 文京学園創立 80 周年記念平山郁夫先生特別講演『文化による
国際貢献~「文化赤十字」の精神』
(約 800 名)
平山 郁夫(東京藝術大学学長)
2005(平成 17)年度
2005(平成 17)年 5 月「CHORAL CONCERT 合唱コンサートの夕べ」
(約 800 名)
出演
COLLEGE OF SAINT BENEDICT / SAINT JOHN’S UNIVERSITY
CHORAL ARTS ENSEMBLE
指揮:Axel Theimer (CSB/SJU Professor)
文京学院大学・文京学院短期大学ゴスペル部
指揮:小澤純(文京学院大学教授)
伴奏:椛島香代(文京学院大学助教授)
2005(平成 17)年 9 月 文京学院大学・文京学院短期大学 2005 年文化講演会日野原重
明先生特別講演「輝いて生きるための生き方の選択」
(約 1000 名)
日野原 重明(聖路加国際病院理事長)
公開シンポジウム;本学本郷キャンパスでは、本学教員や交換留学提携先教員による公開シンポ
ジウムも開催している。
2001(平成 13)年 10 月 緊急特別シンポジウム「グローバリゼーションの明と暗~国
際危機と日本の課題」
(約 700 名)
講演 「アメリカの諸問題について」
ジョアン・マッコウネル(本学外国語学部教授)
「中東の歴史とイスラムの役割について」
644
関根 謙司(本学経営学部教授、当時)
「国際金融と日本経済への影響について」
菊池 英博(本学経営学部教授)
「国際協力について」
野口 昇(本学副学長・外国語学部教授)
パネルディスカッション
コーディネーター 岡本 康雄(本学経営学部教授)
司会
島田 昌和(本学経営学部教授)
2005(平成 17)年 6 月 シンポジウム「日米教育制度の比較」
参加者 Prof. David P. Bennet(CSB/SJU Professor)
Megan Sweet(ミルズ大学交換留学生)
永松 千代子(本学外国語学部4年)
野口 昇(本学副学長・外国語学部学部長)
[点検・評価]
文化教養講座は、前身である文京女子短期大学の伝統を受け継ぎ、外国語学部創設時より毎年
実施されてきたものであるが、より幅の広い日本文化理解と国際性を身につけるという目的、お
よび各界一流の講師陣を招いているという事実に鑑み、本学学生のみならず広く公開して社会に
貢献すべき、特に近隣の文京区の区民に我々ができることを還元すべきであると考え実行してき
た。不定期ではあるが記念すべき時点で開催されてきたその他の公開講座も、同様の趣旨により
広く公開している。 これらの公開講座は、広い市民層に認知されてきており、ここ数年の講座は
盛況で、800 人収容の仁愛ホールがほぼ満員になるほどである。中には、外部の参加希望者数だ
けではるかに定員を超え、学生を別室に移してさらに入場制限をせざるを得ないこともあった。
これは、
学生のための講座と公開講座のあり方を考え直すべき時点に来ていることを示している。
他方、より専門的な公開講座として、特に国際的時事テーマを扱った公開シンポジウムも開催
してきた。留学提携先大学の教員や本学外国語学部の教員による国際的時事問題を取り上げたも
のが多く、時宜を得たテーマの場合、多数の外部聴講者を集めるものもある。
[今後の改善方策]
改善すべき点はいくつかある。
1)上記のように、外部からの参加者が多数に上る講演会は、外部用と学生用を分離して考える
べき時点にきており、企画に工夫が必要である。遠隔教育の手法により、別室でもリアルタイ
ムに公演を体験できるようにするなどの方法を考えている。技術的準備はほぼ完了している。
2)現在の公開講座は、年1回開催の文化教養講座と不定期の公開講座が主になっている。今後、
社会のニーズや関心に沿ったテーマ選択とストーリー性を考慮した連続公開講座なども検討
していきたい。
・教育研究上の成果の市民への還元状況
[現状の把握]
645
本学では、大学の経営学部、人間学部、外国語学部の3学部と大学院の経営学研究科、人間学
研究科、外国語学研究科の3研究科を擁していることから、ここで行われている研究教育を広く
社会に公開し、市民へ還元していくことにしている。1996(平成8)年度から「文京学院大学生
涯学習センター」を設置し、市民、地域住民および卒業生へのリカレント教育としても生涯教育
の場を提供している。
生涯学習センターは学則に規定して大学の併設機関として位置づけている。
『新しい自分創りを実感する「知」へのリセット』を掲げ、(1)教育研究上の成果の市民への
還元 (2)卒業生へのリカレント教育 (3)一般社会人への生涯学習という3つの観点から
さまざまな講座を開講している。「国際理解土曜セミナー」「文京区民大学講座」「エクステン
ション・アカデミア」「大学連携講座」「生涯カレッジ1年コース」等の特別講座と常設の「教
養講座(文学・趣味・創作・表現・音楽・踊り・健康・スポーツ等 350講座)」「心理・福祉講
座(55講座)」「語学講座(英語・仏語・西語・伊語・中国語・韓国語等35講座)」、その他ビ
ジネス、パソコン等の講座で年間 600程度の講座を開設し、延べ受講者 5,000人以上という実績
を残している。また、外国語学部では、小学校、中学校の現場での「英語教育」の補助者・ボラ
ンティアとして、外国語学部学生の学校派遣を行っている。これは文京区教育委員会と本学外国
語学部が協定書を作成して実施しているもので、学校現場にとっては教員の補助者として本学学
生の手伝いは大いに役立ち、学生にとっては小中学校で英語を活用する実践の場を与えられるこ
とになる。双方共に意義のあるものとなっている。
本学(本郷キャンパス)では、厚生労働省から委託を受けて失業者の「職業訓練講座」を実施
している。これは厚生労働省が多くの希望者の中から選抜し、大学において、高度で専門的な学
問と技能を修得させることによって能力を高めて再就職を支援していこうとするものである。本
学では本郷キャンパスで、経営学や英語の修得などを中心とした職業訓練講座を経営学部、外国
語学部が行っている。毎年30名程度の受講者があり、本学での教育を受け、学力・技能の修得、
能力向上を行い、社会に巣立っている。
[点検・評価]
生涯学習センターの活動は10年目となり、地域、市民はもとより、企業人や卒業生にもすっか
り定着しており、需要はますます拡大している。大学の3学部、3研究科が協力して行っており、
協力体制も整っている。生涯学習センター長は学長が兼務しており、その意味でも結束が固い。
年間延べ 5,000名もの社会人受講者がおり、最新の大学教育・研究の成果を社会がいかに期待し
ているかがうかがえる。文京区教育委員会との協定による学校現場における補助活動は、初等教
育から英語を国際語として導入する方法を各学校がさまざまな点から検討しているところであり、
関心の高い注目すべきところである。2004(平成16)年度から始まったので今後の展開に期待し
たい。
[今後の改善方策]
受講生募集システム、受講料の管理システム、成績管理システム、証明書発行システム等とも
によく精査されており、制度が整っている。特に問題になるところはない。今後さらに需要が高
まってくることが予想されるので、各学部、大学全体の協力体制を充実させていく。
646
・ボランティア等を教育システムに取り入れ地域社会への貢献を行なっている大
学・学部等における、そうした取り組みの有効性
[現状の把握]
2003(平成 15)年度のパイロット・プラン(試験的実施)に続いて、外国語学部は 2004(平
成 16)年度から「社会貢献実習」という科目名(全学年対象の選択科目、2単位)で、文京区の
公立小学校、中学校、および本学付属中学校・高等学校において学校インターンシップを実施し
始めた。
パイロット・プラン時には、文京区内の2中学校で外国語学部生4名が英語授業の補助を担当
した。同じく区内の1小学校で外国語学部生1名が体育授業の補助を担当した。
この経験を活かし、外国語学部は 2004(平成 16)年度より学校インターンシップを正規の授
業科目として展開した。6中学で外国語学部生 11 名、7小学校で外国語学部生 17 名がこの科目
を履修した。インターンシップの内容としては、授業の補助(英語、体育、ほかの科目)
、補習授
業、課外活動の補助、運動会の指導などである。
2005(平成 17)年度においても、前年度と同じ規模で「社会貢献実習」科目を展開している。
なお、2005(平成 17)年2月、本学と文京区との間で締結された相互協力協定のなかでも、
外国語学部の学校インターンシップへの取り組みが評価されている。
[点検・評価]
このように学校インターンシップは授業科目として着実に整備され、同時にそのなかで外国語
学部の地域社会への貢献が外国語学部の教育システムのなかに内蔵されているといえる。
学生にとって、学校インターンシップは単にボランティアの機会であるのみならず、とくに英
語教員を目指し教職課程を履修する学生にとって、教育実習前の肩慣らし、あるいは教育実習後
の補強の機会を兼ね、貴重な機会となっている。じっさい、派遣先の公立中学の 1 つから教育実
習受け容れの申し出もある。このように教育実習と結びつくならば、授業科目としての学校イン
ターンシップの可能性はさらに大きくなる。
しかし、単位認定の授業科目としているため、実習の時間数や活動内容に制限が制限されてい
る。そのため一時的に必要な補助、または突発的な補助に対応できない。
またこれまでのところ対象が地域としては区内、分野としては公立の小学校、中学校に限定さ
れている点に問題がある。
[今後の改善方策]
授業科目における取り組みとしては、文京区との間で締結された相互協力協定にもとづき、公
立校を中心とする教育の枠を超えてボランティア活動分野の範囲を拡大する必要がある。たとえ
ば、各種の福祉施設などにおけるインターンシップが考えられる。そうしたインターンシップを
単位化し、授業科目として取り込まなければならない。
また授業科目とは別に、純粋なボランティアとしての募集、派遣のためのシステムを構築する
ことも検討したい。
647
・地方自治体等の政策形成への寄与の状況
[現状の把握]
外国語学部では、延べ4人の教員が、国政、地方自治体等の政策形成に直接間接的に寄与して
いる。この他、国または地方自治体等によって開催される講習会の講師、各種調査委員会の委員、
各種資格試験の専門委員等として多くの本学教員が参加している。
2000(平成 12)年 4 月から 2005(平成 17)年 5 月までの間の状況
・ ユネスコ本部顧問
・ 日本ユネスコ協会連盟理事長
・ 日本ユネスコ国内委員会委員
・ 文部科学省独立法人化外部評価委員
・ 日本私立大学協会国際交流委員会委員
・ 日本私立大学団体連合会国際交流委員会委員
・ 中央教育審議会初等中等教育分科会「外国語専門分科会」文部科学省委員
・ 文部科学省初等中等教育局国際教育推進検討委員会委員
・ 千葉市教育委員会委員長
・ 千葉市公私立高等学校協議会会長文京区男女平等参画推進会議審議委員
・ 品川区小中一貫教育構造改革特区「英語科教育課程開発委員会」委員長
・ 成田市国際教育構造改革特区小中連携「英語科教育課程開発委員会」委員長
・ 北区教育改革「英語が使える北区人委員会」委員長
・ 目黒区小中連携英語教育改革顧問
・ さいたま市小中連携英語教育指導指針作成委員会委員長
・ 三鷹市教育委員会小中一貫教育英語科教育課程開発委員会委員長
・ さいたま市小中連携教育構造改革特区「潤いの時間・英語会話教育課程開発委員会」委員長
・ 豊島区教育委員会小中連携「英語教育課程開発委員会」委員長
[点検・評価]
様々な地方自治体の政策決定に直接関与する委員会への積極的な参加は上記の通りである。学
識経験者として、
研究成果を活かし社会に貢献するためには、
今後も尚一層取り組む必要がある。
[今後の改善方策]
改善・改革にむけた方策としては、大学としても積極的に取り組む教員を支援する体制を整備
することである。大学として経験を蓄積し、今後に活かす方向性について検討する。
648
・企業等との共同研究、受託研究の規模・体制・推進の状況
[現状の把握]
現在、外国語学部で企業等との共同研究は 1 件報告があるのみである。これは、IMAP4プ
ロトコルによるメール受信サーバへの Web インターフェースIMPの日本語版開発と文京学院
大学用カスタマイズに関し、導入企業と本学情報教育研究センターが行ったものである。
[点検・評価]
語学・文学・国際・情報を中心とする外国語学部という特色から、工学部等とは異なり企業と
の共同研究に向かう傾向が少ないのは、いたし方のないところであろう。現時点では、上記のよ
うにかろうじて情報の部門で、そのような必要性が生じたということである。そのような現状な
ので、企業等との共同研究、受託研究に対する支援体制はまだほとんど整備されていない。ただ
し 2004(平成 16)年度から、文京学院大学総合研究所が学内で公募する共同研究の対象として、
企業との共同研究も含まれるようになった。大学全体としては最初の一歩が踏み出されたわけで
ある。
[今後の改善方策]
これからはマルチメディア教材やコンテンツの開発において、企業との連携が十分考えられる
ので、学内の研究環境をまず改善し(マルチメディアセンターの整備やマルチメディア教材・コ
ンテンツ作成室の新設が予定されている)
、
企業との共同研究で必要となる知的財産権等の問題を
処理する部門を整備して(多言語コンテンツ知財化センターを立ち上げた)
、今後のこの方面での
発展を大学全体として促進させていく。その準備が整いつつある。
649
5 経営学研究科における社会貢献
[経営学研究科の到達目標]
(1) 幅広く社会に貢献していくため、大学の付設機関である「生涯学習センター」を利用
して様々な講座を開設する。
(2) ビジネスマン、専門職業人などを対象とした大学院の専門講座を開設し、経営学研究
科の特色を出す。
(3) 厚生労働省から委託された職業訓練講座も行い貢献していく。
(4) 公開講座、特別講座、市民カレッシ、大学コンソーシアム公開講座等、大学院教育の
成果を広く社会に還元する。
(社会への貢献)
・ 研究成果の社会への還元状況
[現状の把握]
大学院経営学研究科では、教員・学生の学術資料の記録・保管を行い、総合研究所が発行する
論文集として出版し公表している。現在発行している出版物は『経営学論集』
『人間学部紀要』
『外
国語学部紀要』
『総合研究所紀要』
『大学院経営学研究科修士論文集』
『大学院人間学研究科修士論
文集』の6種である。これを関連の大学図書館および地域内の図書館に寄贈している。また、
『文
京学院大学教員総覧』を作成して、インターネット・ホームページで専任教員の論文等研究成果
を公表している。大学が主催する公開講座は年2回「春のウィークエンドフォーラム」と「秋の
イブニングフォーラム」である。ここでも研究の成果を社会に公開し還元している。
経営学研究科独自の公開講座の例として 2003(平成 15)年9月および 12 月には・翌年4月か
らの経営学研究科本郷移転を記念し以下の講座に広く一般から参加を募り、多数の企業、医療機
関関係者等の参加を得て開催することができた。とくに 12 月は、㈱キャノン社長御手洗辰雄氏も
参加し、約 800 人の聴衆であった。
9月「米国型コーポレートガバナンスを巡る諸問題」
「病院格付けの実際と課題」
12月「ハイブリッド経営の構築にむけて―革新のダイナミズムと組織の弾力性―」
(日本経済新聞社と共催)
[点検・評価]
大学の公式出版物である『経営学論集』
『人間学部紀要』
『外国語学部紀要』
『総合研究所紀要』
『大学院経営学研究科修士論文集』
『大学院人間学研究科修士論文集』大学図書館、地域域内の公
立図書館に毎年寄贈しており、最新の学術研究を社会に公開して寄与している。大学が主催する
公開講座は定着しており、多くの市民、地域住民が参加している。研究の成果を確実に社会に公
開して還元・寄与している。とくに、修士論文の中から5~6篇の優秀論文を印刷して配布を行
っているのは高く評価できる。
[今後の改善方策]
今後は成果を公開するだけでなく、産学連携や公的機関、他大学との連携によってさらに発展
650
させて、社会に還元していくこと検討していきたい。
651
6 人間学研究科における社会貢献
[人間学研究科の到達目標]
(1) 幅広く社会に貢献していくため、生涯教育、社会人教育、リカレント教育などを目的
として様々な公開講座を開講する。
(2) 公開講座、特別講座、市民カレッシ、大学コンソーシアム公開講座等、大学院教育の
成果を広く社会に還元する。
(3) 保育実践研究センター、心理臨床・福祉センター、臨床心理子相談センター、地域連
携センター等の施設を利用して地域社債に貢献する。
(社会への貢献)
・ 研究成果の社会への還元状況
[現状の把握]
大学院人間学研究科では、教員・学生の学術資料の記録・保管を行い、総合研究所が発行する
論文集として出版し公表している。現在発行している出版物は『経営学論集』
『人間学部紀要』
『外
国語学部紀要』
『総合研究所紀要』
『大学院経営学研究科修士論文集』
『大学院人間学研究科修士論
文集』の6種である。これを関連の大学図書館および地域内の図書館に寄贈している。また、
『文
京学院大学教員総覧』を作成して、インターネット・ホームページで専任教員の論文等研究成果
を公表している。大学が主催する公開講座は年2回「春のウィークエンドフォーラム」と「秋の
イブニングフォーラム」である。ここでも研究の成果を社会に公開し還元している。
[点検・評価]
大学の公式出版物である『経営学論集』
『人間学部紀要』
『外国語学部紀要』
『総合研究所紀要』
『大学院経営学研究科修士論文集』
『大学院人間学研究科修士論文集』大学図書館、地域域内の公
立図書館に毎年寄贈しており、最新の学術研究を社会に公開して寄与している。大学が主催する
公開講座は定着しており、多くの市民、地域住民が参加している。研究の成果を確実に社会に公
開して還元・寄与している。
[今後の改善方策]
今後は成果を公開するだけでなく、産学連携や公的機関、他大学との連携によってさらに発展
させて、社会に還元していくこと検討していきたい。
652
7 外国学研究科における社会貢献
[外国語学研究科の到達目標]
(1) 中学校・高等学校の英語教員に対する三ラウンドシステムの講座を開設する。
(2) 生涯教育、社会人教育、リカレント教育などを目的として、大学に付設機関として設
置している「生涯学習センター」を活用した様々な講座を開設する。
(3) 公開講座・特別講座として一般市民を対象に国際問題・国際危機を題材にした講演会、
医療問題・高齢化をテーマとした講演会、国際文化をテーマとした講演会などを行っ
ていく。
(4) 大学院での研究教育活動の成果を社会に還元していく。
(社会への貢献)
・ 研究成果の社会への還元状況
[現状の把握]
大学院外国語学研究科では、教員・学生の学術資料の記録・保管を行い、総合研究所が発行す
る論文集として出版し公表を予定している。現在発行している出版物は『経営学論集』
『人間学部
紀要』
『外国語学部紀要』
『総合研究所紀要』
『大学院経営学研究科修士論文集』
『大学院人間学研
究科修士論文集』の6種である。外国語学研究科学生の修了時には『大学院外国語学研究科修士
論文集』
も発行する予定である。
これを関連の大学図書館および地域内の図書館に寄贈している。
また、
『文京学院大学教員総覧』を作成して、ホームページで専任教員の論文等研究成果を公表し
ている。大学が主催する公開講座は年2回「春のウィークエンドフォーラム」と「秋のイブニン
グフォーラム」である。ここでも研究の成果を社会に公開し還元している。
[点検・評価]
大学の公式出版物である『経営学論集』
『人間学部紀要』
『外国語学部紀要』
『総合研究所紀要』
『大学院経営学研究科修士論文集』
『大学院人間学研究科修士論文集』を大学図書館、地域域内の
公立図書館に毎年寄贈しており、最新の学術研究を社会に公開して寄与している。大学が主催す
る公開講座は定着しており、多くの市民、地域住民が参加している。研究の成果を確実に社会に
公開して還元・寄与している。
[今後の改善方策]
今後は成果を公開するだけでなく、産学連携や公的機関、他大学との連携によってさらに発展
させて、社会に還元していくこと検討していきたい。
653
本学施設などを使用し、開催した学会状況を示す。
2004(平成 16)年度
番号
1
日 時
5 月 15 日
16 日
2
5 月 22 日
3
5 月 29 日
4
7月3日
4日
5
7月4日
担当本学教員名
学会名
本学開催会場
包括システムによる日本ロー
仁愛ホール,ラウンジ
本学教授
西尾博行
特定非営利法人日本ネパール
NAVAC,和室,サロンド
本学教授
山下泰子
女性教育協会
ブンキョウ
日本経営倫理学会
NAVAC
本学教授
福留民夫
日本スポーツとジェンダー研
コンソナホール,
B201, 本学
究会
B202,B203
助教授
日本心療内科学会
スカイホール,ラウン
本学教授
吾郷晋浩
役職
教員名
ルシャッハ学会
小栗俊之
ジ
6
9月4日
日本情報ディレクトリ学会
NAVAC,ラウンジ
本学教授
高橋均
日本医療社会福祉学会
スカイホール,B201,
本学
笹岡真弓
B202,B203,ラウンジ
助教授
ウイングホール,
本学
5日
7
9 月 25 日
26 日
8
11 月 27 日
有限責任中間法人コミュニテ
ィファンド育成ステーション
9
10
12 月 5 日
1 月 22 日
澁澤 健
非常勤講師
高等教育とジェンダー問題研
センタービル 6 階会議
究懇談会
室
発達障害療育研究会
スカイホール,
D51,
D52
本学教授
柏木惠子
本学
大見川正治
非常勤講師
11
1 月 22 日
日本笑い学会(関東支部)
コンソナホール
本学
大島希巳江
講師
12
2 月 11 日
12 日
13
2 月 14 日
パイロットインターナショナ
センタービル 6 階会議
本学
田中さだ子
ル日本ディストリクト
室
非常勤講師
国際女性の地位協会研究企画
B603
本学教授
山下泰子
センタービル 6 階会議
本学教授
山下泰子
委員会
14
2 月 21 日
国際女性の地位協会会議
室
15
3 月 17 日
国際女性の地位協会会議
B603
本学教授
山下泰子
16
3 月 26 日
公益法人研究学会
(特別研究部
B504
本学教授
三浦后美
会)
17
3 月 26 日
中間法人コミュニティファン
(依田俊伸)
B812,B811,B713
ド育成ステーション
本学教員の
関係教員
654
(中分梨恵)
2005(平成 17)年度
番号
日 時
1
4月7日
2
4 月 23 日
学会名
本学開催会場
担当本学教員名
役職
教員名
国際女性の地位協会
B710
本学教授
山下泰子
語りと回想研究会
B412
本学
伊波和恵
非常勤講師
3
5月2日
国際女性の地位協会
センタービル 6 階会議
本学教授
山下泰子
本学教授の
(依田俊伸)
室
4
5 月 20 日
公益法人研究学会
B811
関係教員
5
5 月 21 日
日本ネパール女性教育協会
サロンドブンキョウ,
本学教授
山下泰子
スカイホール,センタ
ービル 6 階会議室
6
5 月 21 日
経営史ディベート
ウイングホール
本学教授
島田昌和
7
5 月 22 日
国際女性の地位協会
B 館 8 階会議室
本学教授
山下泰子
8
6 月 11 日
北ヨーロッパ学会(関東支部) B410
本学講師
藪長千乃
9
6 月 11 日
英米文化学会
スカイホール
本学教授
高取清
10
6 月 12 日
日本ネパール女性教育協会
B711,センタービル 6
本学教授
山下泰子
本学教授の
(依田俊伸)
13 日
11
6 月 24 日
階会議室
公益法人研究学会
B603 会議室
関係教員
12
6 月 26 日
日本ネパール女性教育協会
センタービル 6 階会議
本学教授
山下泰子
生涯学習センター3 階
本学
福留民夫
ゼミ室 8
非常勤講師
仁愛ホール
本学
室
13
14
7 月 16 日
8 月 27 日
日本経営倫理学会
(社)
日本医療社会事業協会シ
ンポジウム
15
9月3日
語りと回想研究会
笹岡真弓
助教授
B508
本学
伊波和恵
非常勤講師
16
9 月 17 日
菊正会租税実務研究会
生涯学習センター3 階
本学教授の
ゼミ室 1
関係教員
(依田俊伸)
17
10 月 15 日
日本笑い学会(関東支部)
NAVAC
本学講師
大島希巳江
18
10 月 29 日
2005 年度全国福祉セミナー
仁愛ホール
本学
湯浅典人
30 日
19
20
10 月 30 日
10 月 31 日
助教授
ソーシャルケアスタンダード
センタービル 6 階会議
研究会
室
本学教授
湯浅典人
日本社会福祉教育協会(仮称) 仁愛ホール
本学
の開催
助教授
(社)日本社会福祉教育学校連
盟
655
對馬節子
湯浅典人
番号
21
日 時
11 月 10 日
学会名
紫会(源氏物語 OG,OB 会)
本学開催会場
担当本学教員名
役職
生涯学習センター3 階
本学
ゼミ室 4
非常勤講師
教員名
北村
22
11 月 19 日
日本笑い学会(関東支部)
NAVAC
本学講師
大島希巳江
23
11 月 19 日
北ヨーロッパ学会
S54
本学講師
藪長千乃
24
11 月 28 日
国際女性の地位協会
サロンドブンキョウ
本学教授
山下泰子
25
12 月 10 日
日本情報ディレクトリ学会
B410
本学教授
高橋均
26
12 月 10 日
日本経営倫理学会
B811,B508
本学
福留民夫
非常勤講師
27
12 月 12 日
日本ネパール女性教育協会
サロンドブンキョウ
656
本学教授
山下泰子
Fly UP