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1 学習面での効果と課題

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1 学習面での効果と課題
Ⅰ
Ⅰ
少人数学級について
−その効果と課題−
少人数学級における効果と課題を検証するために、満足度調査や学力の状況調査、少人
数学級モデル校への視察等を行った結果、以下のような効果と課題が明らかにされた。
1
学習面での効果と課題
(1)効 果
少人数学級モデル校における学習面での検証の結果、
「個に応じた指導の充実」
「多様
な学習形態の実現」「教材研究の充実」において効果が認められた。
①個に応じた指導の充実
教師の目が子ども一人ひとりに行き届くことで、個別指導の機会、発表の機会、質
問の機会が増加し、子どもたちの学習への意欲の向上につながる。
②多様な学習形態の実現
教室に生まれた空間的な余裕を活用することで、机の配置や学習グループの構成を
工夫するなど、多様な学習形態の実現が可能になる。また、学級増に伴う教師数の増
加により、他クラスとの合同授業や学年での活動がしやすくなる。
③教材研究の充実
子どもの人数が減少することに伴って教師の事務量が軽減される。これによって生
まれた時間を教材研究に使うことができるため、それまでより質の高い授業が可能に
なる。
①個に応じた指導の充実
「個に応じた指導の充実」については、
「学習面での学級の人数」
「個別指導の機会」
「学習意欲・態度」の観点から分析を行った。
・学習面での学級の人数
満足度調査において、子どもに「学習面での学級の人数」について質問した。そ
の結果、
「とてもよい」
「わりとよい」と答えた割合は、多人数学級では1年生 62.8%、
3年生 72.4%、5年生 55.5%である。これに対して、モデル校はいずれも 80%を超
1
えており、多人数学級を上回っている。また保護者の場合、多人数学級では1年生
46.2%、3年生 19.3%、5年生 21.4%に対して、モデル校はいずれも 90%前後で、
やはり多人数学級を上回っている。さらに教師についても、多人数学級では1年生
12.5%、3年生は 0%、5年生 40.0%に対して、モデル校では1年生 83.3%、3年
生と5年生では 100%を示し、多人数学級を大きく上回っている(図 1-1)。次にモ
デル校における少人数学級導入前後についても比較を行った。その結果、子ども・
保護者・教師のいずれにおいても、学習面において「学級の人数が少なくなったこ
と」を肯定的に受け止めていることがわかる(図 1-2)
。
図1-1 学習面での学級の人数
1年
多人数学級
46.2%
12.5%
3年
62.8%
多人数学級
82.8%
94.6%
83.3%
少人数学級
モデル校
0%
20%
40%
60%
5年
多人数学級
21.4%
80%
100%
84.2%
91.3%
100%
0%
20%
児童
55.5%
40%
60%
保護者
80% 100%
教師
40.0%
少人数学級
モデル校
20%
0%
少人数学級
モデル校
※「とてもよい」「わりとよい」と答えた割合
(5段階評価の4及び5の割合)
82.2%
87.6%
100%
0%
72.4%
19.3%
40%
60%
80%
(資料)熊本市教育委員会「満足度調査」
平成16年3月調査
100%
※「多人数学級」とは、学級の人数が県の学級編制基準に近い学校のうち各学年2校を抽出したもの。
なお、県の学級編制基準は、1年生が35人、3年・5年生が40人を標準としている。(以下同じ)
図1-2 学習面での学級の人数(少人数学級モデル校)
5年
3年
72.8%
52.9%
60.0%
平成15年
3月
平成15年
3月
84.2%
91.3%
100%
平成16年
3月
0%
20%
児童
40%
保護者
60%
80%
100%
0%
65.7%
20.3%
82.2%
87.6%
100%
平成16年
3月
0%
20%
40%
60%
80%
100%
※「とてもよい」「わりとよい」と答えた割合
(5段階評価の4及び5の割合)
教師
(資料)熊本市教育委員会「満足度調査」
2
・個別指導の機会の増加
子どもに対して「勉強がわからないとき、先生はあなたにていねいに教えてくれ
ますか」と質問した。その結果、
「よく教えてくれる」
「わりと教えてくれる」と答
えた割合は、多人数学級では1年生 71.1%、3年生 77.7%、5年生 62.1%である。
これに対し、モデル校では1年生 73.1%、3年生 71.1%、5年生 62.5%である。こ
うした数値を見る限り、両者に大きな差は見られない(図 1-3)
。しかし、少人数学
級の導入前後を見ると、導入前は3年生 42.9%、5年生 49.6%であるが、それぞれ
71.1%、62.5%と大きく変化している(図 1-4)
。
同じように、教師には「学習中、個別指導の機会をつくることができていますか」
という質問をした。その結果、
「よくできている」
「わりとできている」と答えた割
合は、多人数学級では1年生が 25.0%、3年生、5年生では 0%である。これに対
して、モデル校ではいずれも 80%前後を示しており、多人数学級を上回っている
(図 1-3)
。また、
「子ども一人ひとりについての学習評価ができていますか」と聞い
た結果では、
「よくできている」「わりとできている」と答えた割合は、モデル校の
1年生と3年生で多人数学級を上回っている。ただし、5年生については多人数学
級を下回っている。少人数学級の導入前後の比較では、これまでの結果と同様に導
入後に肯定的な回答が増えている。これは、少人数学級の導入によって、教師が授
業の中で子ども一人ひとりの状況を把握しやすくなったと感じていることを示して
いる。
少人数学級では、子どもは「教師が個別に教えてくれる機会が多い」と感じてお
り、教師も「個別に指導する機会を増やすことができている」と評価している。さ
らに、教師は子ども一人ひとりの学習評価が短時間で可能になり、その結果を授業
における個別指導に生かすことができるようになっているのである。
図1-3 個別指導の機会
1年
3年
多人数学級
多人数学級
73.1%
83.3%
少人数学級
モデル校
25.0%
少人数学級
モデル校
0%
20%
40%
5年
多人数学級
71.1%
60%
80%
100%
77.7%
0%
71.1%
83.3%
0%
児童
62.1%
20%
40%
60%
80% 100%
教師
0%
※「とてもよい」「わりとよい」と答えた割合
(5段階評価の4及び5の割合)
62.5%
少人数学級
モデル校
77.8%
0%
20%
40%
60%
80%
100%
3
(資料)熊本市教育委員会「満足度調査」
平成16年3月調査
図1-4 個別指導の機会(少人数学級モデル校)
5年
3年
平成15年
3月
平成15年
3月
42.9%
20.0%
平成16年
3月
71.1%
83.3%
0%
20%
40%
児童
60%
80%
100%
49.6%
14.3%
平成16年
3月
62.5%
77.8%
0%
20%
40%
60%
80%
100%
※「とてもよい」「わりとよい」と答えた割合
(5段階評価の4及び5の割合)
教師
(資料)熊本市教育委員会「満足度調査」
なお、
「個別指導の機会」について、少人数学級モデル校の教師は次のような評価
をしている。
(教師の評価)
・ 個別指導の時間を十分に確保し、きめ細かく子どもたちに指導できている。
・ 子ども一人ひとりの理解度や活動状況が短時間で把握できる。その評価をもとに、すぐ
次の指導に生かせるため、子どもたちの意欲向上につながる。
・ 個に応じたきめ細かな指導をすることで、基礎的・基本的学習事項が定着する。
・ 一人ひとりの課題にあわせてきめ細かな指導をすることによって、理解の遅い子どもの学
習活動が促進される。
・ 特別に支援が必要な子どもにも、ゆとりを持って対応することができる。
・学習意欲・態度の向上
子どもに「発表の機会」について質問した。その結果、
「とても多い」
「わりと多
い」と答えた割合は、多人数学級では1年生 32.1%、3年生 28.6%、5年生 17.0%
に対して、モデル校では1年生と3年生が 43.4%、5年生が 25.1%である。いずれ
もモデル校が多人数学級を上回っている(図 1-5)
。また、
「質問の機会」については、
3年生ではほとんど差が認められないが、1年生と5年生ではモデル校が多人数学
級を上回っている。
教師には「発表の機会をつくることができていますか」と質問した。
「よくできて
いる」
「わりとできている」と答えた割合は、多人数学級では1年生 62.5%、3年生
57.1%、5年生 80.0%である。一方、モデル校では1年生、5年生では 100%、3
年生 83.3%と、多人数学級を大きく上回っている(図 1-5)
。また、
「児童は先生へ
気軽に質問等をすることがありますか」と聞いたところ、1年生と3年生で多人数
学級を上回っている。また、5年生については少人数導入後に肯定的な回答が増え
ている。
4
学級の人数が少なくなったことで、子どもは発表や質問の機会が多いと感じてお
り、教師は発表や質問の機会の増加に努めていることがわかる。
図1-5 発表の機会
1年
3年
32.1%
多人数学級
43.4%
少人数学級
モデル校
5年
20%
40%
60%
80%
43.4%
0%
100%
児童
17.0%
多人数学級
57.1%
少人数学級
モデル校
100%
0%
28.6%
多人数学級
62.5%
20%
40%
60%
83.3%
80% 100%
教師
80.0%
※「とてもよい」「わりとよい」と答えた割合
(5段階評価の4及び5の割合)
25.1%
少人数学級
モデル校
100%
0%
20%
40%
60%
80%
(資料)熊本市教育委員会「満足度調査」
平成16年3月調査
100%
さらに、子どもに「勉強は楽しいですか」と聞いたところ、「とても楽しい」
「わ
りと楽しい」と答えた割合は、多人数学級では1年生 76.1%、3年生 77.1%、5年
生 50.0%になっている。それに対して、モデル校では1年生 86.9%、3年生 78.9%、
5年生 69.1%で、いずれも多人数学級を上回っていることがわかる(図 1-6)
。
少人数学級では、一人ひとりの発表や質問の機会が多くなることで、子どもたち
はより意欲的かつ楽しく学習に取り組んでいる。また、そのことで、教師も教える
喜びを実感することができ、教師自身のさらなる意欲の向上につながっている。
図1-6 勉強の楽しさ
1年
3年
多人数学級
76.1%
少人数学級
モデル校
86.9%
0%
20%
40%
60%
77.1%
多人数学級
80% 100%
少人数学級
モデル校
78.9%
0%
20%
40%
60%
80%
100%
5年
多人数学級
児童
50.0%
少人数学級
モデル校
※「とてもよい」「わりとよい」と答えた割合
(5段階評価の4及び5の割合)
69.1%
0%
20%
40%
60%
80%
100%
5
(資料)熊本市教育委員会「満足度調査」
平成16年3月調査
なお、
「学習意欲・態度の向上」について、少人数学級モデル校の教師は次のよう
な評価をしている。
(教師の評価)
・ 一人ひとりが発表したり、体験したりする時間が取れる。
・ 発表の機会が増えたことで、一人ひとりの子どもが意欲的に授業に参加できる。
・ 発言・発表の機会が増えたことで、話す・聞く態度が以前よりよくなっている。
②多様な学習形態の実現
「多様な学習形態の実現」については、
「教室の広さの活用」
「教師間の連携による
多様な学習活動の展開」の観点から分析を行った。
・教室の広さの活用
少人数学級では子どもの人数が少なくなるため、教室に余裕のスペースが生まれ
る。そこで、教師に「教室の広さの活用」について質問した。その結果、
「よく活用
している」
「わりと活用している」と答えた割合は、いずれの学年も多人数学級を上
回っている。また、教師からも「教室の空いたスペースを有効に活用することで、
多様な学習形態を取り入れることができる」という声が出されている。教室に生ま
れたスペースを活用することで、机の配置や学習グループの構成を工夫するなど、
多様な学習形態の実現が可能になったことがわかる。
なお、
「教室の広さの活用」について、少人数学級モデル校の教師は次のような評
価をしている。
(教師の評価)
・ 教室の空いたスペースを有効に活用することで、多様な学習形態を取り入れることができ
る。
・ 指導内容に応じて、様々な机の配置が可能である。個別指導するときも、教室内の移動
がスムーズにできる。
・ 教室空間にゆとりがあるので、理解度にあわせて子どもたちを集めて指導しやすい。
・ 教室空間にゆとりがあるので、コンピュータなど教育機器を使った授業に取り組みやす
い。
6
・教師間の連携による多様な学習活動の展開
少人数学級の実施に伴って学級数が増え、その分の担任教師も増えることになる。
そのことが、教師間の連携による他のクラスとの合同授業や学年全体での活動の展
開に当たって望ましい効果をもたらしている。
なお、
「教師間の連携による多様な学習活動の展開」について、少人数学級モデル
校の教師は次のような評価をしている。
(教師の評価)
・ 40人学級の場合より教師数が増えるので、合同授業では子どもたちの興味・関心や課題
にそってコース数を増やすことができる。
・ 複数学級での合同学習では、人数が少ないので子どもたちの活動の掌握が容易であ
る。また、クラス間の交流という意味からも友だちの輪が他のクラスにも広がっている。
・ 体育の授業で2クラス合同の授業を行う場合においても、人数が少ないため1人の教師
による全体指導が可能で、もう1人の教師が個別に技術指導などを行うことができる。
③教材研究の充実
教師に「学級事務の量が多いと感じていますか」と質問した。「とても感じている」
「わりと感じている」の回答が、モデル校の1年生と3年生で多人数学級を下回って
いる。これに対して、5年生では、多人数学級よりも事務量の負担を感じている教師
が多い。この場合でも、少人数学級の導入前後を比較すれば、
「事務量の多さ」を感じ
る教師は減少している。
少人数学級の実施の結果、多くの教師は事務量が減少したと感じている。教師から
は、
「事務量の減少により、空いた時間をこれまで以上に教材研究にかけることができ
るようになっている」といった声も聞かれる。少人数学級は、これまで以上に一人ひ
とりに応じた授業づくりを可能にする。そのことで、子どもたちはより意欲的で楽し
く授業に参加できるのである。
なお、
「教材研究の充実」について、少人数学級モデル校の教師は次のような評価を
している。
(教師の評価)
・ 事務にかかる時間が減り、教材研究に時間をかけられる。
・ 少人数のために、子どものニーズや興味関心にあった資料や教材・教具を準備するこ
とができ、子どもたちの学習意欲が高まる。
7
(2)課 題
少人数学級モデル校における学習面について分析を進めた結果、いくつかの課題も明
らかになった。これらは、プラス面と裏腹の関係にある。ここでは、
「指導法の確立」
「教
師と子どもの意識の違い」「学力との関係」に焦点を当てて、その課題を検討する。
①指導法の確立
少人数学級の特性を生かし、学級の人数に応じた指導法が十分に確立されてい
ない。
②教師と子どもの意識の違い
少人数学級であっても教師の意識と子どもの意識に違いが見られる。
③学力との関係
学力については、少人数学級の実施による明らかな効果は確証されていない。少
人数学級と学力の関係は、今後も検証を続けていく必要がある。
①指導法の確立
学級の人数の減少に応じた新しい指導法を探求していく必要がある。これまでの
40人学級と同じ指導法を踏襲するのでは、その成果を期待することはできない。そ
れは、一人の子どもに関わる物理的な時間が増えただけのことである。それでは、少
人数であるが故に、話合いですぐに意見がまとまったり、十分な意見交換がないまま
に終わったりする。議論に必要な「葛藤」の体験もできなくなる。こうした事態を避
けるためにも、学級の人数に応じて、教科や単元ごとに授業の内容や形態などの指導
法を工夫改善することが強く期待される。その点では、教師側に必ずしも十分な態勢
ができていない例も認められる。
また、小学校で少人数学級を導入し、少人数指導の機会が減少すれば、担任教師が
一人でほとんどの授業を行うことになる。その結果として、個々の担任が「自分がい
い」と思う授業を行って、いわゆる「学級王国」となってしまうことを懸念する意見
もある。しかし、これについては、教師が学級経営をオープンにし、他の同僚ともコ
ミュニケーションを図りながら、学年全体を考える視野の広さを持ち、子どもの立場
に立った教育を進めていく気持ちを持って教育活動に当たれば解決できる課題である。
②教師と子どもの意識の違い
満足度調査の結果では、
「称賛の機会」
「発表の機会」
「質問の機会」などの項目にお
いて、教師と子どもとの意識に違いが見られる。例えば「称賛の機会」に関しては、
8
子どもに「あなたは、先生からよく褒められますか」と聞いている。その結果は、
「よ
く褒められる」
「わりと褒められる」と答えた割合は、モデル校では1年生 56.6%、3
年生 32.9%、5年生 23.9%となっている。これと対応して、教師には「学習中、児童
一人ひとりを称賛する機会をつくることができていますか」と質問した。
「よくできて
いる」
「わりとできている」と答えた割合は、モデル校では1年生 100%、3年生 83.3%、
5年生 55.6%である。いずれも、教師の回答が子どもを大きく上回っている(図 1-7)
。
こうした傾向は、
「発表の機会」
「質問の機会」についても認められる。少人数学級の
実施によって、教師ができていると感じていることであっても、子どもは必ずしもそ
のように感じていないのである。しかし、このような「教師と子ども」の認識の違い
は少人数学級に特有の現象というわけではない。対人関係における認識の違いはどん
な場面でも生じるものなのである。そうした中で、少なくとも教師自身は「しっかり
やっている」気持ちで子どもと接触しなければ困るのである。ただ、子どもの受け止
め方は自分の期待どおりではないことを認識し、ズレがあればそれを修正する努力を
続けることが重要なのである。
図1-7 称賛の機会(少人数学級モデル校)
1年
3年
56.6%
平成16年
3月
100%
0%
20%
40%
60%
80%
100%
5年
32.9%
平成16年
3月
83.3%
0%
児童
20%
40%
60%
80%
100%
教師
23.9%
平成16年
3月
※「とてもよい」「わりとよい」と答えた割合
(5段階評価の4及び5の割合)
55.6%
0%
20%
40%
60%
80%
100%
(資料)熊本市教育委員会「満足度調査」
③学力との関係
モデル校の学力を、全国標準学力検査の偏差値をもとに導入前後で比較してみよう。
国語では少人数学級導入前の3年生 52.0、
5年生 51.1 に対して、
導入後は3年生 52.5、
5年生が 52.2 となっている。いずれも数値的にはモデル校では少人数学級の導入前よ
りも上がっている。また、算数については、導入前の3年生 54.3、5年生 53.2 が、導
入後には3年生 52.9、5年生が 51.1 となっている。これは、数値的には偏差値が低下
したことを示している。しかし、算数の場合は、熊本市の平均値も低下している
(図 1-8)
。いずれにしても、学力検査の結果だけからは、直ちに少人数学級が学力に
9
及ぼした影響を明確にすることはできない。今回は、モデル校の学級数が多くないこ
ともあって、十分なデータが得られていない。今後も、比較対象にする学校や学級の
条件を整えた上で、少人数学級と学力の関係について検証を続けていくことが求めら
れる。
図1-8 少人数学級モデル校実施前、実施後の学力の状況
(平成14、15年度)
国語
偏差値
算数
偏差値
56
56
54.3
54
52.5
52.0
52
51.951.9
52.2
53.3
52.3
53.5
52.9
53.2
53.7
52.4
52.1
52
51.1
51.1
50
50
48
54
3年
モデル校
3年
市平均
実施前
5年
モデル校
48
5年
市平均
3年
モデル校
3年
市平均
5年
モデル校
5年
市平均
(資料)熊本市教育委員会「学力の状況調査」
(全国標準学力検査による)
実施後
なお、
「学習面の課題」について、少人数学級モデル校の教師は次のような評価をし
ている。
(教師の評価)
・ 集団ゲームや表現活動など、教科によってはある程度の人数が必要な場合がある。
・ 教師の目が行き届きすぎることにより、緊張感や精神的なプレッシャーを感じたり、受身の
学習態度になったりする場合がある
・ 少人数学級といえども、子どもの理解度にはどうしても差がでてしまう。理解の早さの違い
に対応する手立てを工夫する必要がある。
10
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