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平成 23 年度 自然環境保全基礎調査巨樹・巨木調査に係る情報収集等
平成 23 年度 自然環境保全基礎調査巨樹・巨木調査に係る情報収集等業務 報 告 書 平成 24 年3月 環境省自然環境局生物多様性センター 平成 23 年度自然環境保全基礎調査巨樹・巨木調査に係る 情報収集等業務報告書 目次 はじめに 1.業務の目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 2.業務の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 3.巨樹・巨木に関する情報収集方法の改良・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5 4.全国規模での巨樹・巨木林の情報収集・・・・・・・・・・・・・・・・・・15 5. 「全国巨樹・巨木林調査データベース」の改良・・・・・・・・・・・・・・・35 6. 「全国巨樹・巨木林調査データベース」の更新・管理・・・・・・・・・・・・45 はじめに 自然環境保全基礎調査(以下「基礎調査」という)は自然環境保全法第4条に基づき、 全国的な観点から我が国における自然環境の現況及び改変状況を把握し、自然環境保全の 施策を推進するための基礎資料を整理するために、概ね5年ごとに地形、地質、植生及び 野生動物に関する調査として昭和 48 年度から実施している。 巨樹・巨木林は、我が国の自然の象徴的な存在であり、良好な景観の形成や野生動物の 生息環境、地域のシンボルとして人々の心のよりどころとなるなど保全すべき自然として 重要であることから第4回基礎調査において巨樹・巨木林の全国的な状況を把握し、第6 回基礎調査によってフォローアップ調査を実施し、以降、毎年新たな情報収集を実施しな がら巨樹・巨木林の保全に資することを目的としてこれまで調査を実施してきた。 本業務では、全国の巨樹・巨木林について新たな情報収集を行うとともに、現在公開さ れている全国巨樹・巨木林調査データベースの改良を行うことを目的とした。 1. 業務の目的 環境省では、昭和 48 年度(1973 年度)から自然環境保全法第4条に基づき、自然環境 保全基礎調査(以下「基礎調査」という)を自然環境の保全のために講ずべき施策の策定 に必要なデータ収集を目的として概ね5年ごとに地形、地質、植生及び野生生物に関する 調査を実施してきた。 巨樹・巨木林調査は、我が国の森林・樹木の象徴的な存在である巨樹・巨木林について、 全国的な現況を把握し、もって巨樹・巨木林の保全に資することを目的として昭和 63 年度 (1988 年度)に実施した第4回基礎調査において初めて全国的な調査を実施し、平成 12 年度(2000 年度)の第6回基礎調査においてフォローアップ調査を実施した。 第4回基礎調査においては、単木、樹林、並木を合わせて全国で 55,798 本の巨樹・巨木 林が報告された。また、第6回基礎調査では第4回基礎調査の現況(25,691 本について確 認)についての情報を収集するとともに新たな巨樹・巨木林についての情報(11,572 本) を収集した。 以降、巨樹・巨木林調査で得られたデータを管理する奥多摩町日原森林館によって毎年 全国から収集される巨樹に関する情報の取りまとめを行い、ウェブサイトによるデータの 管理・公開を行っている。 本事業では、全国の巨樹・巨木林について新たな情報の収集を行うとともに、より精度 の高いデータを収集するための情報収集方法の改良、データ提供時のデータ精度向上の検 討を行った。 1 2 2.業務の概要 (1) 巨樹・巨木林に関する情報収集方法の改良 過去に得られた巨樹・巨木林データの更新、また、過去の調査において報告のさ れていない新たな巨樹・巨木林の情報の収集を行うため、以下のことを実施した。 1)調査票の改良 現在までに収集されたデータには、精度の低い位置情報も含まれており、再調査 を実施することが難しい情報もあった。今後収集する情報の精度を改善するため、 情報収集の手段として用いられている調査票の表記を含む記入方法の表示などに ついて検討し、改良を行った。 2)「巨樹・巨木林の基本的な計測マニュアル」の改訂に関する検討 現在配布、または生物多様性センターウェブサイトにより紹介している「巨樹・ 巨木林の基本的な計測マニュアル」における、計測方法等の改訂について検討を行 った。 (2) 全国規模での巨樹・巨木林の情報収集 1)一般からの情報収集 ①全国巨樹・巨木林の会会員と②左記会員以外の一般を対象にそれぞれ下記の方法で 情報収集を行った結果、全国各地に存在する巨樹・巨木林の愛好者より多数の報告が寄 せられた。 ① 全国巨樹・巨木林の会会員からの情報収集 過年度の調査において、主たる情報提供者である全国巨樹・巨木林の会の会員に 対し、会誌を利用して情報収集への協力を依頼した。また、(1)において改良し た調査票を周知するため、会誌を発送する際、『調査票が新しくなりました』と題 した案内文と改良した『巨樹・巨木林調査票』を送付した。また、第24回「巨木 を語ろう全国フォーラム 常陸太田市大会」の会場においても調査票等を配布し、既 存情報の更新及び新たな巨樹・巨木林に関する情報収集の協力を行った。 ②全国巨樹・巨木林の会会員以外からの情報収集 広く一般の方から情報の収集を行うため、全国巨樹・巨木林の会ウェブサイトに おいて情報収集を呼びかけた。その際、(1)で改良した調査票及び記入例を奥多 摩町日原森林館ウェブサイトに掲載し、精度の高い位置情報の収集に努めた。 3 2)現地調査 東日本大震災による影響が懸念される巨樹を対象に、岩手県、宮城県及び福島県 で現地調査を実施し、データの更新を行った。 (3) 「全国巨樹・巨木林調査データベース」の改良 現在公開されている「全国巨樹・巨木林調査データベース」 (以下、「データベ ース」という。)について、位置を特定できる情報を追加するなど改良した。また、 今後の改良についての検討を行った。 (4) 「全国巨樹・巨木林調査データベース」の更新・管理 (2)で収集した情報を整理し、 (3)で改良したデータベースに入力した。また、 「全国巨樹・巨木林調査データベース」ウェブサイトの更新・管理を行った。 4 3.巨樹・巨木林に関する情報収集方法の改良 現在、 「全国巨樹・巨木林調査データベース」により管理されている約7万件のデータは、 多くの情報提供者により収集されたものであるが、そのため、調査票の記入方法に一貫性 に欠ける部分があり、特に、生育場所を特定するための情報が明確でないものも少なくな い。 そこで、これまでに収集されたデータをもとに調査票における位置情報を明確にできる ような記入方法を検討し、より正確な位置情報が収集されるように調査票の改良及び調査 マニュアル改訂の検討を行った。 (1) 調査票の改良 今後、記入された調査票をもとに情報提供者以外の人による再調査が可能とな る情報のみを収集できることを目的として、調査票改良の検討を行った。その結 果、改良に際しては、以下の3点を考慮した上で改良することとした。 1)必須項目の明確化 既存の調査票では、表面の上段に必須記入項目、下段に任意記入項目があったた め、記入者にとって必須項目と、そうでない項目との判別が付きにくかったと考え られる。そこで、オモテ全面を必須項目にすることで、必須項目を明確化する必要 がある。 2)必須情報としての地図 再調査可能な情報を収集するために、地図の記入を必須とした。情報としては、 手書きの地図では距離や位置関係を正確に把握できないため、国土地理院から提供 されている地形図などによる記入が求められる。 3)公開データの整理 現在、ウェブサイトにおける位置情報としての「住所」公開については、データ 入力時に公開可能な情報(私有地などは原則公開不可)を判断して入力作業を行っ ているが、その判断材料として情報提供者による公開の可否の意志表示をする欄を 設ける。 上記の検証をもとに、調査票の改良を行った。改良した調査票を図3-1、3- 2で示した。また、図3-3に、既存の調査票を参考として掲載した。 5 図3-1 改良した調査票(オモテ) 6 図3-2 改良した調査票(ウラ) 7 図3-3 既存の調査票 8 (2) 「巨樹・巨木林の基本的な計測マニュアル」の改訂に関する検討 (1)の調査票の改良にともない、「巨樹・巨木林の基本的な計測マニュアル 大き な木が待っている!」の改定案を以下のように検討した。 ・4ページからの「巨樹調査の内容」の記述を全面的に訂正する。 ・文章は、一般の人々が読みやすいように平明な表現を心がけ、調査票を記述する際 の助けになるように具体的に記述する。 ・10~11 ページの「さあ、巨樹を測りに行こう 調査に用意するもの」の記述を、デ ジタルカメラや GPS の普及にともない、現状に即した内容に変更する。 ・全体を通して、語句の統一を行う。 「巨樹・巨木林の基本的な計測マニュアル 大きな木が待っている!」の改定案を 図3-4①~⑥に示す。 図3-4① 「巨樹・巨木林の基本的な計測マニュアル 大きな木が待っている!」P1、12 9 図3-4② 「巨樹・巨木林の基本的な計測マニュアル 大きな木が待っている!」P2、3 10 図3-4③ 「巨樹・巨木林の基本的な計測マニュアル 大きな木が待っている!」P4、5 11 図3-4④ 「巨樹・巨木林の基本的な計測マニュアル 大きな木が待っている!」P6、7 12 図3-4⑤ 「巨樹・巨木林の基本的な計測マニュアル 大きな木が待っている!」P8、9 13 図3-4⑥ 「巨樹・巨木林の基本的な計測マニュアル 大きな木が待っている!」P10、11 14 4.全国規模での巨樹・巨木林調査の情報収集 (1) 一般からの情報収集 ①全国巨樹・巨木林の会会員からの情報収集 過年度の調査において、主たる情報提供者である全国巨樹・巨木林の会の会員に 対し、今年度の新たな巨樹・巨木林の情報収集のため、全国巨樹・巨木林の会員へ 発送する会誌とともに改良した調査票『巨樹・巨木林調査票』(図3-1、3-2) と、 『調査票が新しくなりました』と題した案内文(図4-1)を 346 人に送付し た。 調査票が新しくなりました 巨樹・巨木林の調査では、数年後、数十年後にその樹木がどのようになったかを調査す ることも重要となります。そのため、巨樹・巨木林に関する情報をご提供いただくに際し まして、下記の点にご留意の上ご記入いただきますようご協力お願いいたします。 調査票の表面( 「巨樹・巨木林調査票」と表題が付いている面)は、ご記入漏れが無い よう、必ず全てをご記入ください。 必要事項に記載が無い場合、データベースに登録ができない事があります。ご記入い ただいた後は、記入漏れが無いかご確認の上、送付くださいますようお願いします。 巨樹・巨木林の生育場所は、ご記入いただいた情報をもとに誰が行ってもはっきりと わかるよう、わかりやすくご記入ください。 ① GPS 等で緯度経度を測定できる場合 測定した緯度経度をご記入下さい。地図の添付は必要ありません。 ② 地図に地点をご記入頂く場合 2万5千分の1の地図等に×印でご記入の上お送りください。 街中の場合には、最寄りの交通機関より生育場所までの目印となるものにつ いてもご記入いただけるとより分かりやすくなります。 有効なデータを収集するために、みなさまのご理解とご協力をお願いいたします。 図4-1 新しい調査票の配布等に添付した文章 また、平成 23 年 10 月 29 日(土)に常陸太田市で開催された全国フォーラムに 15 おいて、 『巨樹・巨木林調査票』 (図3-1、3-2)と、 『調査票が新しくなりまし た』 (図4-1) 、調査票記入例(図4-2、4-3、4-4、4-5)を各 100 部 配布した。 16 図4-2 調査票記入例(市街地版・オモテ) 17 図4-4 調査票記入例(山地版・オモテ) 18 図4-5 調査票記入例(山地版・ウラ) 19 ②一般からの情報収集 広く一般より正確な巨樹・巨木林の情報を収集するため、奥多摩町日原森林館ウ ェブサイトに掲載されている『調査協力のお願い』に改良した調査票を掲載し、情 報の収集を呼びかけた。また、記入方法を明確にするため、図4-2、4-3、4 -4、4-5の記入例も合わせて掲載した。 (2) 現地調査 平成 23 年3月 11 日に発生した東日本大震災による巨樹・巨木林への影響を確認 するため、津波の影響があったと考えられる岩手県、宮城県、福島県に生育する 12 本の巨樹について現地調査を行った。 調査の結果、巨樹は、集落背後の山や高台にある社寺境内に立地するものが多く、 津波による水没が確認された巨樹は 2 本のみであった。 (注)以下、本文中の GIS 位置情報は、世界測地系による緯度経度表示。 ○調査日程 11 月 21 日(月)福島県相馬郡新地町 11 月 22 日(火)宮城県本吉郡南三陸町・気仙沼市、 11 月 23 日(水)岩手県陸前高田市、大船渡市 11 月 24 日(木)宮城県東松島市、宮城郡松島町、仙台市 ○調査者:高橋 弘 (奥多摩町 日原森林館 職員) 20 11 月 21 日 (月) 1.白幡のいちょう 福島県相馬郡新地町駒ヶ嶺 幹周 12.5m 樹高 北緯 37 度 50 分 31 秒 23.2m 樹齢 240 年 東経 140 度 54 分 30 秒 本樹は、地蔵川の左岸、河岸段丘上に位置するイチョウの巨樹で、標高約 22m の段丘上 の平地に生育する。周囲は畑地で、肥沃な土地に生育している。 古い時代に主幹を失った様で、幹の上部は細い枝によって樹形が保たれている様である。 海岸線からは約 3km に位置しており、津波は本樹より約 1km 東方まで到達したが、本 樹までは到達しなかったため、被害は無かった。また、地震による被害も認められなかっ た。 21 11 月 22 日 (火) 2.入谷八幡宮のスギ、イチョウ、カヤ 宮城県本吉郡南三陸町入谷 スギ 幹周 5.57m イチョウ カヤ 樹高 30m (最大のもの) 幹周 5.33m 樹高 30m 幹周 5.30m 北緯 38 度 42 分 18.2 秒 樹高 14m 東経 141 度 24 分 49.2 秒 左よりスギ、イチョウ、カヤ 本樹は、入谷八幡宮の参道脇に位置し、北は境内の平地面、南は参道の斜面に位置して いる。境内を整地するた めに一部根元を埋めてい る様である。 海岸線からは約 4km の 地点にあり、標高は約 75m。津波の到達は、本 樹より約 1km 下流までで あったため、被害はなか った。また、地震による 被害も確認されなかった。 22 3.下二本杉 宮城県気仙沼市唐桑町馬場 幹周 6.22m 樹高 北緯 38 度 54 分 8.6 秒 27m 樹齢 300 年以上 東経 141 度 38 分 40.2 秒 本樹は、唐桑小学校向かいの道路沿いに生育 している。 海岸より約 400m、標高約 11m 地点に位置し ている。周辺住民への聞き取りでは、本樹の根 元付近まで津波が到達したとの情報が得られた。 しかし、根を津波が洗う状況は避けられた模様 で、スギの葉自体も緑色を保っており健全であ った。 23 4.鮪立(しびたて)のケヤキ(仮称) 宮城県気仙沼市唐桑町鮪立 幹周 6.1m 樹高 25m 樹齢不明 北緯 38 度 53 分 30 秒 東経 141 度 38 分 22.9 秒 本樹は、鮪立漁港背後の斜面に生育するケヤキである。 鮪立集落の湾奥北部の斜面に位置し、海岸線からの距離は約 150m、標高は約 15m。 津波は本樹の根元付近にまで押し寄せた様であるが、根元まで至らなかった様である。 本樹より数m下に生育していたケヤキは、根元部分が完全に水没した痕跡が認められた が、現在のところ生育している様である。 津波があと2~3m高ければ、本樹も被害を受けたと考えられる。 東北地方太平洋沖地震(2011 年 3 月 11 日 ) に よ る 津 波 浸 水 マ ッ プ http://iwama.in.coocan.jp/20110311/ 24 11 月 23 日 (水) 5.天神大杉 岩手県陸前高田市気仙町中井 幹周 7.17m 樹高 30m 北緯 39 度 0 分 46.5 秒 樹齢 伝承 1200 年 東経 141 度 36 分 56.8 秒 本樹は、気仙大橋の北 1.2km のと ころに位置し、気仙川より約 30m西 にある今泉天満宮の境内に生育する。 気仙沼市における津波の高さは約 15m と推測されており、斜面を駆け 上がった実際の遡上高は 20m以上と されている。 天神大杉は標高約 5m 付 近に生育していたため、本樹の樹高 の半分、約 15m が津波によって水没 したと見られる。 調査時には、ほとんどの葉が茶色 となっており、枯死寸前の状態であ った。しかし、調査後の情報では、 樹木医による土の入れ替え、連日の 散水により、一部緑色の新芽が確認 された。来年春には復活した姿を見 られる可能性もある。 東北地方太平洋沖地震(2011 年 3 月 11 日)による津波 浸水マップ http://iwama.in.coocan.jp/20110311/ 25 6.希望のマツ 岩手県陸前高田市高田松原 幹周 2.72m 樹高 26m 北緯 39 度 0 分 11.9 秒 東経 141 度 37 分 30.6 秒 高田松原は、幅約 100m、長さ約 2km に及ぶ海岸線にあり、海岸から約 30m の距離に生 育している。標高も約 2m と低いため、津波によって樹林の 7 割方が水没したと見られる。 その樹林のうち、陸前高田ユースホステルの前に生育していたマツは、背後にコンクリー ト製の頑丈な橋梁があり、橋へと続くスロープ状の斜面近くに生育していたために津波の 勢いが減速され、一本だけ残ったものと考えられる。本樹は、被災後に『希望のマツ』と 名付けられた。 現在付いている葉は完全に茶色をしているため、根元を掘り下げ周囲に真水を貯めるな どの処置を継続して行っているが、再生はかなり難しい状況である。 本樹は、復興のシンボル的な存在とし て全国的に注目を集めているため、来年 には新芽の萌芽が注目される。平成 23 年 12 月 5 日のニュースで伝えられたと ころによると、希望のマツの根は海水に よってほとんど腐っており、再生を期待するのは極めて難しい状態と判明。活動を続けて きた地元の「高田松原を守る会」が保護を事実上断念したことを発表した。 26 7.常膳寺の杉 岩手県陸前高田市小友町字上の坊乙 26 幹周 9.68m 樹高 37m 北緯 39 度 0 分 8.6 秒 樹齢 伝承 1000 年 東経 141 度 41 分 54.5 秒 陸前高田市の東部、小友町集落背後の山裾にあるスギの巨樹。津波到達地点への直線距 離は約 500m、標高が約 70mの位置にあるため、津波の被害は回避された。 27 8.越喜来の老杉 岩手県大船渡市三陸町越喜来字杉下 幹周 11.25m 樹高 北緯 39 度 7 分 5.8 秒 25m 樹齢 1500 年 東経 141 度 48 分 54 秒 東北地方太平洋沖地震(2011 年 3 月 11 日)による津波浸水マップ http://iwama.in.coocan.jp/20110311/ 28 越喜来の老杉は三陸地方最大の大杉とされている。港の北側に位置する傾斜面の標高 30m 地点に八幡神社があり、その裏手に本樹が生育している。高台にあるため津波による 被害は回避された。八幡神社に登る石段の 7 割方までは津波をかぶっており、本樹の近く まで津波が押し寄せていたものと見られる。 9.龍昌寺のスギ 岩手県大船渡市三陸町越喜来字甫嶺 幹周 6.61m 樹高 25.5m 樹齢 500 年 北緯 39 度 5 分 33.9 秒 東経 141 度 48 分 6.1 秒 龍昌寺の門前に生育するスギで、周囲は駐 車場となり開けた場所にある。 管理された環境下にあり、樹勢も旺盛。 甫嶺地区の標高約 50m の場所にあり、海 岸線からは約 600m の地点にある。津波によ る被害は無かった。 東北地方太平洋沖地震(2011 年 3 月 11 日)による津波浸水マップ http://iwama.in.coocan.jp/20110311/ 29 11 月 24 日 (木) 10.月観の松 宮城県東松島市大曲 幹周 4.25m 樹高 15m 北緯 38 度 26 分 31.4 秒 東経 141 度 13 分 1 秒 東北地方太平洋沖地震(2011 年 3 月 11 日)による津波浸水マップ http://iwama.in.coocan.jp/20110311/ 海岸線からは約 3.5km、標高約3mに位置する。 地図上の通り、田畑の中にある道路の脇の平地に位置する。津波は、本樹の北と南の両 方向から襲来したが、本樹(クロマツ)の生育する場所にまでは到達しなかった。 30 11.観瀾亭の大ケヤキ 宮城県宮城郡松島町松島字町内 幹周 8.93m 樹高 17m 北緯 38 度 22 分 23.9 秒 樹齢 800 年 東経 141 度 3 分 40.7 秒 東北地方太平洋沖地震(2011 年 3 月 11 日)による津波浸水マップ http://iwama.in.coocan.jp/20110311/ 地図では詳細は明確ではないが、本ケヤキは、国道 45 号線沿いの海側にある。生育場所 の地形は、周辺の松島と同じような岩山状の小島が陸続きとなった場所で、海抜 5~6m に 生育する。崖の下の道路は完全に冠水したが、本樹は津波による被害を免れた。 もともと傷んでいるケヤキではあったが、調査時に地元の樹木医によって根元の土の入 れ替え作業が行われていた。 31 12.苦竹のイチョウ 宮城県仙台市宮城野区銀杏町 幹周 7.8m 樹高 32m 北緯 38 度 16 分 3.6 秒 樹齢 1000 年 東経 140 度 54 分 26.6 秒 本樹は、仙台市宮城野区銀杏町に生育する国指定の天然記念物のイチョウである。 標高約 17m、海岸線からは約 7km の地点に位置し、津波の被害は無かったが、隣接して立 っていた塀が震災の揺れによって崩壊し、イチョウの根元に倒れた状態であった。 塀の落 下によるイチョウへの損傷は無かった。倒壊した柵は再建するまでベニヤ板で代用される。 32 ○現地調査まとめ 今回の現地調査時には、三陸地方沿岸の被災地の復興がまだ進んでいないこともあり、 南三陸町、気仙沼市周辺での宿泊が困難であったため、大崎市からの調査となった。交通 事情など制約も多く、釜石市、宮古市までは調査に赴くことはできなかった。 釜石市の鵜住居神社など、根元付近にまで津波が押し寄せたと聞いているものもあるが、 詳細な現地確認については次回の機会に譲る他ない状況であった。 市街地の津波被害は目を覆うばかりの状況であるが、巨樹に関しては、水没して枯死し たものは少ない状況であると思われた。 しかし、陸前高田市の「天神の大杉」に関しては予断を許さない状況であり、引き続き 監視が必要であると考えられた。 33 34 5. 「全国巨樹・巨木林調査データベース」の改良 現在までに収集された巨樹・巨木林調査のデータは、奥多摩町森林館において、アプリ ケーションソフトウェア Access(以下、 「Treedata」とする)により管理をおこなっている。 この Treedata には、約7万件が収録されている。 本年度事業では、今後の再調査等の実施も視野に入れ、生育地を特定できる情報をデー タベースに追加し改良を行うとともに、今後の改良について検討を行った。 (1) データベースの改良 生育地を特定する情報の有効なものとして、緯度・経度の情報があげられる。現在で は、様々な機器(携帯電話、カメラなど)に GPS 機能が備えられているなど、一般の人 でも簡単に現在地情報として使用することが可能である。 そのため、現在までに収録されている Treedata の情報に緯度・経度の情報を追加する ことができれば再調査の実施は可能となることから、位置情報(緯度・経度)の取得方 法を検討し、追加作業を行った。 1)位置情報(緯度・経度)の追加作業 本事業では、環境省生物多様性センターウェブサイトに掲載されている『自然環境 情報 GIS 提供システム(試作) 』 (http://www.biodic.go.jp/trialSystem/top.html)に着 目し、当該システムより入手可能な位置情報を利用して Treedata の各データと照合す ることにより位置情報を得ることが可能であることから、以下のような手順により照 合作業を行い、緯度・経度情報を追加した ① 『自然環境情報 GIS 提供システム(試作)』より緯度・経度を入手 『自然環境情報 GIS 提供システム(試作)』では、第4回自然環境保全基礎調査 で実施された巨樹・巨木林調査に関するデータについて、調査票に記入されている 住所又は添付されている地図から Google Earth 上に転記載した情報が提供されて いる。 本サイトは、ウェブサイト上から Shapefile をダウンロード(※)することがで きる。ダウンロードした Shapefile を GIS ソフトで読み取ることによって、ポイン ト(1本の巨樹) 、ライン(巨樹の並木)、ポリゴン(巨木林)として地図上に表示 することができる。Shapefile のデータを用いて関数処理を行うことによってライ ン、ポリゴンの中心点及び、ポイントの位置情報(緯度・経度)を与えることがで きる(図5-1) 。 ※ 自 然 環 境 GIS デ ー タ 名 : 巨 樹 巨 木 調 査 ( http://www.biodic.go.jp/kiso/13_kyoju_f.html ⇒ GIS デ ー タ を 閲 覧 ( Google 35 Earth) ・ダウンロード⇒Shape データダウンロード⇒巨樹・巨木調査) 図5-1 Shapefile より入手したデータごとの緯度・経度 ② データの照合方法 上記サイトよりダウンロードしたデータ(図5-1)には『MAJOR1』という個 別の番号が与えられている。 『MAJOR1』は、 「都道府県番号」と Treedata にある 『前回コード番号』より成り立っているため、この2つのコードによってデータを 照合することができる。これらの作業によって Treedata に『緯度・経度』の項目 を追加した。この作業によって 9,961 件のデータに緯度・経度を追加した。 (注) 『前回コード番号』は、2桁の都道府県コード、6桁の当該データに与えられたコード、 “00”、 “01”、 “02”、 “03”の2桁のコードの 10 桁により構成されている。また、 『MAJOR1』は、 「1」~「47」の都道 府県番号と6桁の当該データに与えられたコードの7~8桁の数字より構成されている。 両者を照合するため、Treedata に新たな行(『key』とする)を作成し、 『前回コード番号』より下2桁を削 除したコードを挿入する。その後、『key』と『MAJOR1』の都道府県コード及び当該データに与えられたコ ードの照合を行った。 上記の作業を行ったところ、 『自然環境情報 GIS 提 供システム(試作)』のデータには、 『MAJOR1』が同 一のレコードが複数存在するものがあった。これらを MapInfo 上で表示すると、複数のポイント、ライン、 ポリゴンが同一の形状をして重なることがある一方、 図5-2に示したように、全く違った形状をして別の 場所に表示されるものもあった。この様な場合、同一 地域に示されている場合は、その地域内にある複数の 図 5 -2 1 つ の 『MAJOR1』により表示さ れた 2 つのポリゴン 樹木についてのレコードといえる。しかし、複数のレ コードが狭い地域ではなく離れて存在する場合は、ど ちらかのポリゴンが誤って同じ『MAJOR1』として入 力されたと考えられる。そこで、この様なデータについては、下記の手順にしたが 36 って情報の整理を行った。 I. 同一の『MAJOR1』にあるポリゴン(又はライン、ポイント)を1つの地図上 に示す。 (図5-2の状態) II. 同一地域に複数ある場合は、Treedata にある「mコード」 (三次元メッシュコー ドを指す)によってどちらのポリゴンの位置が正確かの判断を行う。 図5-3は、同一の『MAJOR1』に2つのポイントがあった。Treedata によ る「mコード」は 52396598 となっていることから左下のポイントは別の情報 と判断した。 mコード内 のポイント mコード外 のポイント 図5-3 MAJOR1「1420101」に示された2つのポイ ントを地図上で示し、ポイントを含む三次メッシュコー ドを表示 III. Ⅱの方法によっても判断が付かない場合は、地図上に住宅地図等を重ね、デー タの持つ住所又は所有者情報より絞り込みを行う。 これらの作業により、ポリゴン、ライン、ポイントを特定した。 次に、この様にして得られたポリゴン、ライン、ポイントの緯度・経度を以下の 37 手順で与えた。 ① 「mコード」がポリゴンに含まれる場合。 「mコード」の中心点を緯度・経度と する。 ② ポリゴン、ラインが「mコード」内に1つある場合。ポリゴン、ラインの中心 点を緯度・経度とする。 ③ ポリゴン、ラインが「mコード」内に2つ以上ある場合。 「mコード」の中心に 最も近いポリゴン、ラインを選択し、その中心点を緯度・経度とする。 ④ 「mコード」にポリゴン、ラインの一部が含まれる場合は、 「mコード」の中心 点をとり、その中心点がポリゴン、ラインに含まれる場合はその中心点の緯度・ 経度とする。 ⑤ 「mコード」にポリゴン、ラインの一部が含まれ「mコード」の中心点をとり、 その中心点に最も近いところの緯度・経度とする。 これらの作業により、10,215 件(①69 件、②31 件、③6 件、④73 件、⑤75 件:ポリ ゴンデータのみ)のデータについて緯度・経度の情報を照合した。 2)ウェブサイトによる公開方法の検討 1)によって取得された位置情報を登録した Treedata の公開にあたっては、「全国巨 樹・巨木林調査データベース」等において広く一般にも普及し、活用されることが望ま しい。 その一方、公開されているデータの中には、該当する樹木が個人の私有地に生育し ており、公開することによって所有者が不利益(一般の人が勝手に私有地に立ち入る など)を受けることも考えられるため、データを公開する際に位置情報を表示してい ないものもある。 また、現在公開されているデータには、明らかに同一の樹木とわかる複数のデータ も含まれていることから、検索後に同一樹木のデータが数件表示されることがある。 これらのことからデータの公開について、以下の通り整理した。 ① 調査票に住所等が明記されており、公開に際して問題のない場合⇒データを公開 ② 調査票に住所等が明記されているが、私有地等にあり公開することにより問題が生 じることが考えられる場合⇒データを公開するが、所在地は掲載しない ③ 調査票から住所が特定できない場合。明らかに同一の樹木を調査したデータとわか る場合⇒データを公開しない 38 こ れ ら の デ ー タ の 仕 分 け は 、 調 査 票 を 入 力 す る 元 デ ー タ の Access フ ァ イ ル 「Treedata」において新たに記入欄を設け、図5-4のように絞り込みを行う。 新たに設ける項 目 図5-4 上: 「Treedata」に新たに「公開の有無」の項目を設ける(記入項目は一部省略して表示) 下:ホームページ上での検索後、表示されるデータ (データは架空のもの) (2)データベース改良の検討 1)他の手法による位置情報(緯度・経度)の取得の検討 (1)で実施した方法以外での、位置情報取得を検討した。 データベースに収録されている情報は、「全国巨樹・巨木林調査データベース」 (http://www.kyoju.jp/data/index.html)によって収録項目のうち 21 項目( 「市町村コ ード」 「県市郡町村」 「樹種名」 「幹周」 「S 幹周」 「主幹」 「単木名称」 「樹高」 「保護単木」 「保護樹林」 「天然記念物」 「調査年」 「所有者_管理者_区分」 「所有者」 「町・番地」 「寺 名及び学校名」 「所有者名」 「故事伝承の有無」 「故事伝承」「信仰対象有無1」「信仰」 )が公開されている。公表されている項目は、対象となる樹木について必要不可欠な情 報ではあるが、最も重要な位置情報が明確でないデータも少なくない。そこで、現在収 録されている項目より位置情報を取得できないかを検討した。 上記 21 項目について、 「住所に直結する項目」、「樹木に関する項目」、 「樹木にまつ 39 わる項目」の3つのグループに分けた。 特徴 項目 住所に直結する項目 「市町村コード」 「県市郡町村」 「町・番地」 「寺名及び学校名」 「所有者名」 樹木に関する項目 「樹種名」 「幹周」 「S 幹周」 「主幹」 「単木名称」 「樹高」 「樹高」 樹木にまつわる項目 「保護単木」 「保護樹林」 「天然記念物」 「所有者_管理者_区分」 「調査年」 「故事伝承の有無」 「故事伝承」 「信仰対象有無1」 「信 仰」 近年、インターネットにおける情報が多岐に及んでいることから「県市郡町村」 「町・ 番地」 「寺名及び学校名」が明示されているデータについてはその生育場所のある程度 の特定は可能である。しかし、 「住所に直結する項目」が明示されているデータについ ては、一般のデータベース利用者においても場所の特定が可能である。したがって、 今回検討の対象としたのは、 「住所に直結する項目」に記入のないものについて行った。 「樹木に関する項目」においては、ほとんどが樹木に関する計測データであるため、 位置情報につながるものは無い。 「樹木にまつわる項目」では、地域にまつわる情報として「故事伝承」があるが、 その地域の範囲が広いことが多く、樹木の生育場所を特定するのには無理がある。 そこで、 「天然記念物」に着目した。天然記念物には国、都道府県、市町村による指 定があるが、それぞれについて各役所で所在地を特定して指定している。これらの情 報を入手することができれば、生育場所を特定することは可能である。 ① 国指定天然記念物 国指定による天然記念物に関する情報は、文化庁のウェブサイト「国指定文化財 等データベース」(http://www.bunka.go.jp/bsys/index_pc.asp)において詳細が公 開されている。 当該ウェブサイトは、図5-5の様に「名称」「文化財種類」「種別」「都道府県 名」 「緯度」 「経度」の項目が表示されていることから、全国巨樹・巨木林データベ ースにおける「名称」 「天然記念物」により該当するものを照合することによって、 該当するデータの「緯度」 「経度」情報を入手することが可能である。 40 ② 都道府県指定天然記念物 都道府県指定による天然記念物に ついても、インターネットによって ある程度の情報を入手することは 可能である。 千葉県では、千葉県教育委員会が 県指定の天然記念物ウェブサイト で公開しており(図5-6) 、 「名称」 「所有地」 「所有者(管理者)」「指 定年月日」が表示されていることか ら生育場所を特定することは可能 である。 図5-6 千葉県教育委員会による県指定天然記念物 しかし、すべての都道府県で住所 (http://www.pref.chiba.lg.jp/kyouiku/bunkazai/ken/tennenki が明示されているわけではない。 nen/tennenkinen.html) ③ 市町村指定天然記念物 現在、市町村数は 1,742(2012 年1月現在)あり(指定都市、市、特別区、町、 村を含む)それらすべてにおいてウェブサイトによる天然記念物の情報を公開して いるわけではない。各市町村において文化財に関するパンフレット等を発行してい ることも考えられるが、全て入手するにはある程度の時間、労力と予算が必要にな ると考えられる。 また、個人のウェブサイトなどで、個人が入手した情報を公開していることもあ り(http://ginzastc.aikotoba.jp/page069.html)この様な情報を地道に入手してい くことも一つの方法として考えられる。 以上の様に、現在公開されている「巨樹・巨木林調査データベース」の項目からは、 「天 然記念物」の項目を用いて、上記のような手法により位置情報を得ることが可能である と考えられる。 2)今後の課題 現在、 『自然環境情報 GIS 提供システム(試作)』によって公開されている位置情報 は、第4回自然環境保全基礎調査による調査結果をもとにしたものであり、その数は 第 6 回自然環境保全基礎調査及びそれ以降調査において収集されたデータ全体の 14.6%でしかない。自然環境保全基礎調査では、第6回においても巨樹・巨木林の調査 を実施していることから、これらの調査結果を追加することによってさらに位置情報 を把握できるデータを追加することができる。 41 また、 (1)の②データの照合方法においても示されたとおり、1つの「MAJOR1」 においても明らかに異なった位置を示している情報や、「MAJOR1」の「都道府県コ ード」以下のコードがすべて“0”となっているデータなどが含まれており、これら の情報についても再度検討を行い、正確な位置情報として公開する必要がある。 (3)ウェブサイト掲載事項の改良の検討 データベース改良に加えて、ウェブサイト上では緯度・経度のほか、地図や写真を 閲覧できるようにし、現地においてその樹木の場所を特定できる項目を新たに設ける ことも必要である。これらの情報を踏まえ、ウェブサイト上では図5-7をイメージ として表示とすることが考えられる。地図、写真をクリックした後のイメージ図を図 5-8に示した。 現在、 「巨樹・巨木林データベース」は、データベースの更新を東京都奥多摩町の奥 多摩町日原森林館を管理する町の第三セクターが行っており、データベースを公開す るサーバーは青梅市商工会議所が管理している。そのため、ホームページを改良する ためには、青梅市商工会議所の承諾が必要となる。 なお、本報告書作成に際し、図7のイメージ図をもとにして青梅市商工会議所に見 積を依頼したところ、882,000円(税込)の費用がかかるという回答を得た。 緯度・経度地図、写真、 公開の有無の項目を追加 「公開の有無」:①位置情報を公開しているデータ ②私有地などのため位置情報を公開できないデータ 図5-7 新たに「緯度・経度」 「地図」 「写真」 「公開の有無」の項目を設けた ウェブサイトウェブサイ トウェブサイトウェブサイトウェブサイトのイメージ 42 クリック クリック 法量のイチョウ 青森県上北郡十和田湖町大字法量 字銀杏木 16-2 緯度:40.587055 経度:141.017929 図5-8 左:写真をクリックした後の画面のイメージ図 右:地図をクリックした後の画面のイメージ図 43 44 5. 「全国巨樹・巨木林調査データベース」の更新・管理 『全国巨樹・巨木林調査データベース』ウェブサイトの検索対象データの管理として、デ ータの追加・修正等のデータベースの更新を行った。 (1) 追加したデータの概要 4において 592 件の巨樹・巨木林の情報を収集することができた。特筆すべき点 は、各地に存在する巨樹・巨木林の愛好者が集まって作られた民間団体のボランティ ア活動による情報提供であろう。特に、茨城県取手市の「利根タブノキ会」 、ひたち 巨樹の会、および青森県十和田市の「東北巨木調査研究会」からは多数の報告をいた だいた。 報告のあった巨樹・巨木林の概要は下記の通りである。これらのデータは、デー タベースに入力し、公開している。 都道府県名 1 北海道 本数 市町村名 本数 3 沼田町 樹種 3 ミズナラ ハルニレ 2 青森県 9 十和田市 本数 備考 2 1 1 キハダ 1 平川市 1 サワグルミ 1 階上町 3 アカマツ 1 モミ 1 メタセコイア 1 八戸市 4 キタコブシ 1 キハダ 1 ドイツトウヒ 1 アカマツ 1 3 秋田県 1 大館市 1 アカマツ 1 4 岩手県 3 陸前高田市 2 スギ 2 大船渡市 1 スギ 1 気仙沼市 2 スギ 2 仙台市 1 イチョウ 1 東松島市 1 クロマツ 1 松島町 1 ケヤキ 1 南三陸町 5 スギ 3 5 宮城県 11 イチョウ 45 1 6 福島県 7 茨城県 カヤ 1 丸森町 1 イチョウ 1 1 新地町 1 イチョウ 1 525 常陸太田市 118 ケヤキ 46 23 スギ 15 スダジイ 11 イチョウ 10 ヤマザクラ 8 シラカシ 5 ブナ 4 カヤ 4 エノキ 3 ソメイヨシノ 3 モミ 3 クスノキ 3 カゴノキ 2 コウヤマキ 2 アカガシ 2 ビャクシン 2 ヤマモミジ 2 エドヒガン 2 サワラ 1 モチノキ 1 ヒイラギ 1 イヌマキ 1 クロマツ 1 ムクロジ 1 イトヒバ 1 サルスベリ 1 ハタザクラ 1 カエデ 1 カツラ 1 コナラ 1 ビャクシン 1 利根町 行方市 ニッケイ 1 モミジ 1 タブノキ 1 241 スダジイ 80 ケヤキ 49 タブノキ 32 エノキ 17 ソメイヨシノ 13 イチョウ 11 ムクノキ 10 クスノキ 6 カヤ 3 シラカシ 2 ヒヨクヒバ 2 イトヒバ 1 モミ 1 メタセコイア 1 アカガシ 1 ヤマザクラ 1 イヌザクラ 1 ユリノキ 1 クヌギ 1 サイカチ 1 ボダイジュ 1 タラヨウ 1 ムクロジ 1 ハゼノキ 1 ソテツ 1 シオジ 1 シロヤナギ 1 10 カヤ 47 4 イチョウ 2 スダジイ 2 モミ 1 小美玉市 鉾田市 取手市 鹿嶋市 稲敷市 スギ 1 8 ケヤキ 4 スギ 1 ケンポナシ 1 コノテガシワ 1 タブノキ 1 8 ボダイジュ 1 イチョウ 1 カヤ 1 ケヤキ 1 イスノキ 1 モチノキ 1 モミジ 1 タブノキ 1 5 スダジイ 2 イチョウ 2 クスノキ 1 4 スダジイ 2 スギ 1 イチョウ 1 3 スギ 1 スダジイ 1 エノキ 1 守谷市 1 エノキ 1 牛久市 1 カヤ 1 神栖市 4 スギ 3 タブノキ つくばみらい市 2 ケヤキ 1 1 スダジイ 1 阿見町 1 スダジイ 1 河内町 2 イチョウ 1 スダジイ 1 10 スダジイ 3 潮来町 ケヤキ 48 1 大子町 イヌマキ 1 アカガシ 1 ヒヨクヒバ 1 タブノキ 1 スギ 1 カゴノキ 1 10 ケヤキ 常陸大宮市 那珂市 水戸市 ひたちなか市 城里町 3 スギ 2 シダレザクラ 2 イチョウ 1 フジ 1 カヤ 1 9 スギ 2 イチョウ 2 カヤ 2 カゴノキ 1 クスノキ 1 エノキ 1 8 カヤ 3 スギ 2 モチノキ 2 ムクノキ 1 12 イチョウ 4 ケヤキ 3 スダジイ 2 シダレザクラ 1 クスノキ 1 スギ 1 2 ヒイラギ 1 クロマツ 1 2 ヒヨクヒバ 1 スギ 1 大洗町 2 イチョウ 2 東海村 8 ヤマザクラ 1 49 茨城町 笠岡市 モチノキ 1 イチョウ 1 タブノキ 1 スダジイ 1 クスノキ 1 ヒサカキ 1 カヤ 1 1 スダジイ 1 10 ケヤキ 桜川市 筑西市 スギ 2 イチョウ 1 ツクバネガシ 1 スダジイ 1 フジ 1 ヤマザクラ 1 4 スダジイ 2 サイカチ 1 ケヤキ 1 2 ケヤキ 1 エノキ 下妻市 5 ケヤキ 常総市 古河市 3 1 3 イチョウ 2 4 ムクノキ 1 タブノキ 1 カヤ 1 スギ 1 3 ケヤキ 2 スダジイ 1 八千代町 1 スダジイ 1 猿島町 3 イチョウ 2 トチノキ 1 坂東市 50 3 ケヤキ 1 カヤ 1 イチョウ 1 つくば市 ウメ 1 スギ 1 ムクノキ 1 エノキ 1 1 シダレザクラ 1 石岡市 6 ケヤキ 2 土浦市 2 日高川町 広川町 9 島根県 2 竜ヶ崎市 かすみがうら市 8 和歌山県 6 スダジイ 13 大田市 エノキ 2 タブノキ 1 スギ 1 4 スダジイ 1 ナギ 1 ケヤキ 1 ムクノキ 1 1 スダジイ 1 1 スギ 1 1 クスノキ 1 13 スギ 3 イチョウ 3 スダジイ 3 ケヤキ 1 タブノキ 1 モミ 1 エノキ 1 10 徳島県 1 美馬市 1 アカマツ 1 11 愛媛県 5 宇和島市 5 イチイガシ 1 クスノキ 1 センダン 1 フジ 1 イチョウ 1 12 熊本県 15 産山村 3 スギ イロハモミジ 小国町 6 スギ ケヤキ 51 2 1 3 2 イチョウ 南小国町 6 スギ 1 3 イロハモミジ 1 カツラ 1 ウラジロガシ 1 13 福岡県 2 小郡市 2 クスノキ 2 14 沖縄県 1 那覇市 1 ガジュマル 1 (2) 追加したデータについて 592 本のデータを追加した。データの概要は上のとおりである。 データについては、別添の CD-R に記録した。 ○ 基のデータベースに新たに追加したものを含めたデータベース (ファイル名 2012-03-01.mdb) ○ 新たに追加した 592 本のデータ (ファイル名 平成 23 年度 追加分 xls) 52 【環境省請負業務】 平成 23 年度 自然環境保全基礎調査巨樹・巨木林調査に係る情報収集等業務 報 告 平成 24 年 3 月 財団法人 書 自然環境研究センター (業務発注者) 環境省自然環境局生物多様性センター 〒403-0005 山梨県富士吉田市上吉田剣丸尾 5597-1 TEL:0555-72-6031(代表)FAX:0555-72-6035(代表) (業務請負者) 財団法人 自然環境研究センター 〒110-8676 東京都台東区下谷 3-10-10 TEL:03-5824-0960(代表) FAX:03-5824-0961(代表) 古紙配合率 100%白色度 70%の再生紙を使用しています。