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病院ニュース第30号 - 神戸市立医療センター中央市民病院
地方独立行政法人神戸市民病院機構 住 神戸市立医療センター 中央市民病院ニュース 電 話 番 号:代 地域医療支援病院 日本医療機能評価機構認定施設 所:〒650-0046 神戸市中央区港島中町4丁目6番地 表 番 号:(078)302-4321 地 域 医 療 推 進 課:(078)302-4458 FAX:(078)302-4424 F A X 予 約:(078)302-6031 FAX:(078)302-2251 発 行 日:2011(平成 23)年 1 月 24 日(第 30 号) 編 集 発 行:神戸市立医療センター中央市民病院 地域医療部 胸痛ホットライン 090-7098-3391 脳卒中ホットライン 090-8885-0351 新年のご挨拶 謹んで新年のお祝いを申し上げます。 旧年中、地域の医療機関の皆様方には、大変お世話になりました。1月から地 域医療支援病院としてスタートしましたが、多くの先生方に連携登録医としてご 登録いただき、更なる連携を深めていくことが可能となりましたこと厚く御礼申 し上げます。 平成22年度の診療報酬改定では、10年ぶりのネットプラス改定、救急、産科、 小児、外科等の医療の再建、病院勤務医の負担軽減などの見直しなどによるプラ ス効果、DPC病院への移行、さらに地域医療支援病院の指定等もあり、健全な経 営をさせていただいているところでございます。 本年は7月に新病院移転を控え、新たなスタートを期しているところでござい ます。当院がこの地に開院したのは昭和56年3月で、当時の宮崎神戸市長が「人間都市神戸の実現のための 福祉都市づくり」の一環として、すべての市民が適切な医療を受けられるように、高度医療と市民社会に密 着した医療活動の実施をめざした市の基幹病院として整備されました。それから30年、阪神・淡路大震災と いう大きな試練に打ち勝ち、努力を重ねて参りました。7月には新時代の医療需要に応えるため、新病院に 移転し、さらに努力を重ねていく所存でございます。 新病院では、救命救急センターの病床数を30床から50床に増やすとともにICU、NICUを増やすなど救急 医療体制を強化いたします。また、高度医療に対応した最新医療機器の導入などにより、侵襲性の低い患者 さんに優しい治療やデイサージャリーを行う予定でございます。さらに、電子カルテと画像検査情報等の電 子化を導入し、医療情報の電子化を進めて参ります。建物の建設工事は順調に進み、進捗率は98%を超えて います。2月末には予定どおり引き渡しを受ける予定でございます。 すでに広報等でお知らせしていますように、6月30日(木)午前0時から7月4日(月)午前9時の間は 移転作業のため、一般外来、救急外来と休診とさせて頂きますほか、移転時の患者さんの安全確保のため、 予定入院患者さんの受け入れも一部制限させていただきます。地域の医療機関の皆さま方には大変ご迷惑を おかけし、誠に申し訳ありませんが、ご理解とご協力のほどお願い申し上げます。 社会経済情勢の停滞と混迷、これに伴う医療費滞納者の増加、医師・看護師の不足など、医療機関を取り 巻く状況は依然として厳しいものがありますが、現病院、新病院ともに、地域医療を担う医療機関の一員と して、また、市の基幹病院として、さらには、神戸圏域における地域医療支援病院として、地域の皆さま方 のご要望やご期待にできる限り応えられるように努力して参る所存でございますので、今後ともご指導ご鞭 撻のほどよろしくお願い申し上げます。 神戸市立医療センター 中 央 市 民 病 院 長 神戸市立医療センター中央市民病院ニュース第 30 号 1 URL: http://chuo.kcho.jp/ 腎臓内科のご紹介 腎臓内科部長 鈴木 隆夫 ■はじめに 腎臓内科は腎臓病に対して腎生検などを中心とした診断と入院を必 要とする治療、他施設と連携した外来通院治療および高度救急医療を 実施しています。さらに当院では年間透析導入数が 50~60 例におよぶ 大きな腎不全医療基地としての役割も担っています。透析導入患者の うち約 20%(全国平均 4%)が腹膜透析であり国内有数の腹膜透析セ ンターとして中心的な役割も果たしています。 一方、特殊血液浄化を含めた最新の医療(LDL アフェレーシス、免 疫吸着、GCAP、血漿交換等)にも着手しており、当院での血液浄化は 腹膜透析外来風景 地域での必要不可欠な要素となっています。 ■特徴 内科的腎・尿路疾患全般および関連疾患を対象としています。糸球体腎炎、ネフローゼ症候群、腎不全、 全身疾患に伴う腎炎、妊娠腎、腎性高血圧、腎尿路感染症等、多岐にわたっています。救命救急センターを 併設している関係上、急性腎不全や慢性腎不全の急性憎悪例等、急性症例が他の病院に比べて多くなってい ます。血液浄化は血液透析のみならず、症例に応じて血漿交換、免疫吸着、CHD、CHDF、CAPD、APD 等 きめ細かな治療を行っております。泌尿器科と連携して生体腎移植を実施しています。 日本腎臓学会認定研修病院、日本透析学会認定研修病院として研修医の教育・育成にもつとめています。 ■実績 CAPD 導入は年間約 12 人、外来 CAPD 患者数は約 55 人です。通常 外来とは別に、毎日、特殊血液浄化外来(CAPD 外来を含む)を実施 しており、血液透析ベッド数は 7 床で、年間約 50 人の新規導入があり ます。外来維持透析は実施していないので、安定すれば関連透析医療 機関を紹介しています。合併症を有する患者が半数以上を占めており、 急性腹症・AC バイパス術等の手術、心カテ、血管造影等の検査、人工 血管によるシャント作製等、総合病院としての責任を果たしています。 腎生検は適応を限定してエコー下に実施しており、年間約 40 件です。 生体腎移植は年間約 6 例実施しており、ABO 不適合症例など難しい症 透析室風景 例にも取り組み成果をあげています。 ■他院との取り組み 当院、西市民病院、西神戸医療センターの 3 病院が中心となって年 2 回、神戸腎疾患カンファレンスを実 施しています。他院や透析クリニックの医師、看護師、臨床工学技士も参加していただき活発な討論をして います。 ■結び 2011 年 7 月から新病院へ移転し、更なる急性期医療、高度医療の発展に努めて行きたいと思っています。 又、地域の実地医療に携わる先生方と協力して慢性腎臓病(CKD)にも取り組んで行き、一人でも多くの人 の腎臓を守りたいと意気込んでいます。 当院医師の異動 退 (平成 22 年 12 月 1 日から平成 23 年 1 月 31 日まで) 職 月日 診療科名 補職名 12/31 画像診断・放射線治療科 副医長 神戸市立医療センター中央市民病院ニュース第 30 号 着 氏名 芝田 月日 豊通 1/1 2 診療科名 外科 任 補職名 部長代行 (医長より昇任) 氏名 貝原 聡 URL: http://chuo.kcho.jp/ 形成外科のご紹介 形成外科部長 月江 富男 ■はじめに 形成外科は、独立診療科としては歴史の新しい科です。整形外科と似 た名前ですが、整形外科が、骨・関節の疾患治療を主とするのに対して、 形成外科は、皮膚・軟部組織の疾患治療を主とします。英語では、プラ スティックサージャリーと言います。plastic は、日常生活でおなじみの、 熱可塑性のある重合物であるプラスティックと同じ語源で、 「形を作る」 という意味からでています。大まかなイメージとしては、皮膚科的部分、 整形外科的部分、耳鼻咽喉科的部分を併せ持つ診療科であるといえます。 ■当院形成外科の特徴、実績 神戸市立医療センター中央市民病院は、「全ての市民に最善の医療を 術者自身が自らの足の過剰骨を削る様子 提供する」ことを基本理念に掲げ、 「24 時間体制での救急医療」、「高度手術手技を要するがん治療」を実践し ています。従いまして、当院における形成外科の診療分担は、熱傷など高度外傷の治療、癌切除に伴う再建 であるように感じております。 元来、人間の体は、ひと繋がりのものでありますので、手術治療に際しては、外科系医師、内科系医師、 栄養管理、褥瘡管理、感染管理の医師・コメディカルとの治療チームを結成することも、しばしばあります。 臓器毎に細分化された診療各科が、それぞれ「高度・先端医療」を目指す当院では、より一層、 「科」を超え た横の連携が必要とされるのです。 日本形成外科学会では、患者さん方を疾患ごとに、7 項目に分類しています。当院形成外科の特徴を補足 させていただきながら、以下に挙げます。 <Ⅰ、外傷> 顔面骨骨折のうち、形成外科が、主になるのは、鼻骨骨折、眼窩底骨折、頬骨骨折です。下顎骨骨折など 咬合が問題になる場合には、歯科・口腔外科が主になっていただけます。しかしながら、高エネルギー外傷 の場合、複合損傷が多いので、脳外科、眼科、整形外科(頸髄損傷)、耳鼻科などで、治療チームを組む場合 もあります。 体表の組織障害を「早く、きれいに、機能障害を少なく」治すことを念頭に、救急医療のバックアップに 努めています。 <Ⅱ、体表の先天異常> アザ、血管腫に対するレーザー治療や、唇裂口蓋裂、小耳症などの身体表面の形成手術を行っています。 治療結果を成長とともにフォローする必要があり、患者さんとは、長いおつき合いになることもあります。 ことに、唇裂・口蓋裂では、言語訓練、歯列矯正などの専門家が必要で、院外の「治療チーム」との連携を 図っています。 <Ⅲ、腫瘍> 黒子などの良性腫瘍以外に、癌の外科的治療の際には、他の外科系診療科と協力し、再建手術も行います。 これは、癌のために切除せざるを得なかった組織を補うために、身体の別の組織を移植するものです。その ためには、顕微鏡下に、直径1~2mmの血管どうしを吻合する場合もあります。切除後の組織欠損に対する 治療は、頭頸部領域が多いです。 <Ⅳ、瘢痕・瘢痕拘縮> 瘢痕というのは、創傷治癒の過程で生じる線維芽細胞が多い軟部組織の事で、「キズアト」と呼ばれます。 本来の軟部組織とは、性状を異にしますので、運動時に、 「ヒキツレ」を起こすことがあり、これを瘢痕拘縮 と呼びます。熱傷、乳幼児の手掌側の熱傷、交通事故などの外傷は、瘢痕拘縮を起こしやすく、治療計画に 形成外科的な工夫が必要です。 <Ⅴ、難治性潰瘍・褥瘡> 治癒遷延する傷には、血管病変、荷重による阻血、昔の放射線の影響など、種々の理由があります。循環 器内科が指揮をとってくださるフットケアカンファレンスや、皮膚科・WOC ナースがイニシアティブをと る褥瘡対策チームの一員として、治療の御手伝いをしています。 神戸市立医療センター中央市民病院ニュース第 30 号 3 URL: http://chuo.kcho.jp/ <Ⅵ、炎症・変性疾患> 睫毛内反症や眼瞼下垂、顔面神経麻痺、腋臭症など、定量しにくい病態もありますが、手術的に改善を見 込める場合もあります。 <Ⅶ、美容> いわゆる皺取り、ふたえ手術、入れ墨除去等は行っていません。 当院形成外科では、年間約 770 件の手術症例があり、粉瘤、色素性母斑などの「良性腫瘍」が 30%、外傷、 熱傷、瘢痕拘縮など「外傷系」が 25%、 「悪性腫瘍切除・再建」が 6%です。 ■私たちが心掛けていることと、かかりつけの先生方へのお願い 体表の傷は、目に見えるため、治療成績は、 「見栄えの良し悪し」で測られます。しかし、どんな手術であ れ、体表に痕跡を残すわけですから、時間をかけて患者さんとお話をし、治療結果をご自分でイメージして もらい、手術に臨むように努力しています。そのために、ご紹介いただいてから、次のステップに進むまで に、時間を要する場合がありますが、ご理解ください。 また、ケロイドや瘢痕拘縮のように、治療が一段落してから生じてくるものや、レントゲン潰瘍のように、 主病が治癒していながら、別の病態が生じてくるものなどもあります。こちらの病院で、急性期を乗り切ら れた患者さんが、かかりつけの先生の下へ戻られたのち、そのような遅発症状が生じましたら、いつでもご 紹介ください。 ■結び 形成外科では、体表の組織障害を修復する手段として、植皮術、各種有茎皮弁、微小血管吻合技術を用い た組織移植(遊離筋皮弁、血管茎付き骨移植)などを選択します。その選択にあたり、体表組織障害の原因、 各修復方法のメリット・デメリット、患者さんの基礎疾患ならびに生活背景因子、などを、形成外科医局内 あるいは関係各科も交えて、十分に協議します。救急患者さんの場合には、その協議は迅速になされなけれ ばならず、常に「試験場で、応用問題を解く」かの如き難しさがあります。 形成外科は、体表修復技術に磨きをかけて、院内での「接着剤」としての役割も果たすことができると自 負しています。平成 22 年 12 月現在、スタッフ 2 名、後期研修医 2 名にて診療を行っております。来年度か らは、1 名の減員になりますが、どうぞ、よろしくお願いいたします。 地域医療支援事業運営委員会を開催しました 地域医療部 当院は平成 22 年 1 月より地域医療支援病院としてスタートしておりま すが、紹介患者の診療体制、施設の共同利用、救急医療体制の確保、地 域医療従事者に対する研修など、神戸医療圏における地域医療の充実に 関する当院の役割について意見を求めるため、 「神戸市立医療センター中 央市民病院地域医療支援事業運営委員会」 (委員長 置塩隆先生(神戸市 医師会副会長) )を設置しております。平成 22 年 10 月 20 日(水)に当 院にて第 1 回目の委員会を開催いたしました。ここで委員より発言のあ った意見についてご紹介いたします。 ・紹介率、逆紹介率を上げるためには ①地域の先生へ当院の専門分野を宣伝し、理解してもらうこと ②紹 介して頂いた患者は治療終了後、できる限り早く紹介元での継続した診療をお願いすること が必要。 ・地域医療連携の中で患者が安心して治療を受けられるようにするために、地域の医療機関との勉強会や連 携の会を行っていることを患者に発信していくことが課題。 ・医療を取り巻く現況、病診病病連携の必要性を日頃から患者に知らせる機会をつくること。 など貴重なご意見を頂きました。これらのご意見を踏まえ、これまで以上に地域の先生方と連携を密にして いくとともに、施設・設備の共同利用、カンファレンスや研修会・講演会の充実を図るなど、神戸の医療を 共に支えて参りたいと考えておりますので、今後とも、ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。 神戸市立医療センター中央市民病院ニュース第 30 号 4 URL: http://chuo.kcho.jp/