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朝日中央綜合法律経済事務所グループ http://www.ac

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ASAHI CHUO
内縁解消後、財産分与の審判手続中に分与義務者が死亡した場合における財産分与義
務の相続性を認めた高裁決定。
本件の事案の概要は以下のとおりである。
X(女性)とA(男性)が内縁関係を約25年間続けていたが、Xが家を出る形で内
縁を解消し、その約1年後にXがAを相手方として大阪家裁に財産分与調停を申立てた
が、調停不調となり、審判手続に移行したところで、Aが死亡した。Aの相続人は、X
との内縁関係開始前に死別した先妻との子3人(Yら)であり、Yらが同財産分与審判
手続を受継した。
原審判(大阪家審平成23年7月27日)は、①民法768条の財産分与義務の相続
性について、いわゆる清算的財産分与義務に関しては、財産的義務であることに鑑み、
その相続性を否定する理由はないから、財産分与の具体的内容が定まらないうちに分与
義務者が死亡した場合は、財産分与義務は相続人全員に帰属し、請求権者は、相続人を
相手方として財産分与の請求をすることができると解するのが相当であるとし、また、
②内縁関係については、その夫婦としての実態に鑑みれば、できるだけ法律婚に準じて
考えるのが相当であるから、義務者の生前に内縁が解消された場合には、民法678条
を準用すべきであるとして、Yらに対し、Xと亡A間の夫婦共有財産の清算としてXが
取得すべき財産の合計1500万円をYらの法定相続割合に応じて除した額をそれぞれ
Xに支払うよう命じた。原審判に対し、Xは、分与額の不当を主張して抗告し、他方、
Yらは、①分与義務者が死亡するまでに財産分与請求権の内容が特定し、具体的財産請
求権になっていなければ、分与義務は相続されないこと、②内縁に係る財産分与請求権
具体化前に分与義務者が死亡した場合には、内縁関係の死亡解消の場合と同様に民法7
68条は準用すべきでないことを主張したほか、財産分与対象財産の不存在及び分与額
の不当を主張して、附帯抗告した。
本判決(大阪高裁平成23年11月15日決定)は、まず、①財産分与義務の相続性
につき、内縁関係の解消によって財産分与請求権は既に発生しており、また、Xは財産
分与調停を申立ててこれを請求する意思を明らかにしていることを指摘したうえで、そ
の審判移行後の手続中にAが死亡した場合、当該財産分与義務が相続対象となることを
否定すべき理由はない②内縁関係の死亡解消の場合に民法768条の準用を否定した最
高裁平成12年3月10日決定とは事案が異なり、
Yらの主張はその前提を欠くとして、
本件につき民法768条の準用を肯定し、
分与額についても原審判は相当であるとして、
Xの抗告とYらの附帯抗告のいずれも棄却した。
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