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発展途上国のパンデミック化リスク低減(PDF)
発展途上国のパンデミック化リスク低減 西アフリカで猛威をふるっているエボラ出血熱、その恐怖が世界の株価下落や米国中間 選挙を左右する事態にまで進展してきています。遅まきながら国連やWHOの要請を受け、 米国は4,000名の軍隊の派遣を進め、中国も1,000名の医療関係者派遣を宣言する等 エボラ出血熱封じ込め対策が漸く本格化してきました。これを受け指数関数的な患者増大 に若干抑制傾向が表れてきていますが、依然予断を許さない状況が続いています。西アフ リカの患者数の増大はそれだけ日本の感染者到来確率を高めますので、国内の防疫体制構 築を急ぐとともに、西アアフリカ諸国への援助をさらに拡大する必要が有ると思われます。 1976年に発見されたエボラ出血熱、それ以来たびたび発生してきましたが、最近の アフリカの人の移動の急激な増大にもかかわらず、WHOの拡大抑制策が効果を発揮し、 昨年までは数百人規模の発生に抑制できていました。それが、今回、世界で最も貧しい、 医療設備が極めて貧弱で、国民の衛生知識も極めて低い国にエボラ出血熱が発生したにも かかわらず、深刻な状況の把握にWHOが遅れを取ったことが、国際的な協力体制の対応 遅れを引き起こしたと考えられています。このことはエボラ出血熱ばかりでなく他のパン デミック化ポテンシャルのある疫病が、貧しい発展途上国で大流行する可能性が高いこと を示しています。これを抑制する王道は、開発途上国の生活レベルを上げ、医療設備を充 実することですが、これには数十年かかると考えられますので、現実的にはWHOの機能 と権限を高め、早期の状況把握と国際協力体制の迅速な構築となるようです。各国政府の 足並みが整わないとこの達成は望み薄のようです。しかし、世界が緊密に結びついた21 世紀、大規模戦争、第二のリーマンショック、地球温暖化等の抑止には、自国の利益だけ を考えていては対応できず、従来の枠組みを超えた世界全体の取り決めとその遵守が今ま で以上に強く求められている筈です。パンデミック化防止に関しても、世界が協力して迅 速に対応してゆく機能の強化が望まれます。 なお、政府レベルの動きとは別に、私達個人のレベルでも、今回のエボラ出血熱発生の 初期段階から抑制に全力で対応し、世界に警告を発し続けた‘国境なき医師団’などのN GOへの寄付や、パンデミック化ポテンシャルのある疫病の予防薬開発を援助するNGO を探し出して寄付する等草の根的な活動も必要と感じました。