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評価の観点

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評価の観点
年間学習計画参考資料(観点別評価資料)
月 編
学習内容
学習の目標
指導上の留意点
評価の観点●関心・意欲・態度,□思考・判断,
◇資料活用の技能・表現,◎知識・理解
プロロ ー グ
・倫 理の学習が,人間の ・教科書の写真や日常生活の
中で,人間について抱く各
あり方・生き方にかか
人のイメージを出し合い,
わるものであることに
それを言葉にまとめ,討議
気づかせる。
してもよい。
人間の生き方や在り方について
●関心を持ち考えようとしている
□自覚的・客観的に見つめ,捉えようとしている
◇先人の経験や学問・芸術に学び,それを表現する
ことができる
◎考え表現するための知識や概念をもっている
第1章 青年期の課題と ・人生の中で青年期とは ・海外経験のある生徒の話や
映画などを通して,世界の
どんな時期であるか ,
自己形成
青年の青春期に触れてみて
その時期に青年は課題
1 青年期の意義と課題
もよい。現代の青年像にと
として何を学び,身に
どまらず,文学作品などを
つけるべきかを把握さ
通して,青年の普遍的なあ
せる。
り方を辿ってみるのもよい。
人生の中の青年期を現在の自分のこととして
●関心をもち,その課題に取り組もうとする意欲を
もっている
□その課題を自覚し,その解決に向けて行動しよう
としている
◇優 れた芸術に接しまた様々な資料に拠って研究
し,その課題を自分の言葉で表現することができ
る
◎青年心理学や発達心理学上の知見(青年期,第二
の誕生,パーソナリティ,アイデンティティ,適
応,欲求不満,自己実現,モラトリアム等)につ
いて理解し正確な知識をもっている
2 他者とのかかわりの ・青 年期は,他者とのか ・家族,地域社会,友人など
との日常のコミュニケー
なかで
かわりにおいて自己実
ションを振り返り,他者と
現を図ること,友情も
のかかわりについて再考し
愛情も他者とのコミュ
てみよう。
ニケーションのなかで
育まれること,また広 ・個性とは生まれつきのもの
でもまた自分だけのもので
い社会のなかで,自分
もない。時代や社会,また
の生き方を考えること
他者とのかかわりの中で形
の重要性について考え
成されていくもの,自らつ
させる。
くりあげていくものでもあ
ることに留意させる。
自己自身の生き方や在り方について
●自 覚的に見つめて考えようとする関心や意欲を
もっている
□単に自分のこととしてではなく,家族や社会の中
でまた現代という時代に生きるひとりの人間とし
ての生き方や在り方を追求するために何を為すべ
きか考え行動している
◇広く社会を展望し,そのための情報を種々の手段
によって獲得し,それを他人に話したり,文章に
書くことができる
◎コミュニケーション,セクシュアリティ,ジェン
ダー,男女共同参画社会などの概念を理解しそう
した言葉を適切に使うことができる
第2章 人間としての自 ・哲学を生み出した古代 ・ソ クラテスの「無知の知」
については,デルフォイの
ギリシャ人の精神活動
覚
神殿の言葉や神託のエピ
や世界観を理解させ
1 真理の探究 古代ギ
ソードを織り交ぜて考えさ
る。
リシャの思想 ・ソ クラテスの思想を, せるとよい。
① 神話から哲学へ
無知の知や魂への配慮 ・ソクラテスにおいては,徳
② 人間の徳とは何か
と善と幸福とが一致してい
を中心に理解させる。
③ 理想と現実のあい
ることを押さえる。
・プラトンやアリストテ
だで
レスの思想を,人間の ・プラトンの理想主義,アリ
④ 魂の平安と幸福
ストテレスの現実主義の
徳や幸福という観点か
各々の違いを押さえたい。
ら理解させる。
・現 代社会において,ギ ・現代社会とヘレニズム期に
おける世界市民主義の共通
リシャ思想の理性主義
点,相違点を考えさせたい。
がどのような意義をも
つか考えさせる。
古代ギリシャにおける人間の生き方や在り方,また
国家や社会について,彼らが考え実践したことにつ
いて
●それが時間や空間を越えた普遍的な意義をもつも
のとして,或いは自己自身の生き方や在り方に深
く関わるものとして関心をもって学ぼうとする意
欲・態度をもっている
□基本的な歴史的知識を踏まえて認識し,自然哲学
者,ソクラテスやプラトン,アリストテレスまた
ストア思想家の生涯と思想を通して,その意味に
ついて考え主体的かつ客観的に判断することがで
きる
◇プラトン,アリストテレス,ストア等の原典或い
はその関連書物を読み,それに基づいて自分の考
えを話し,文章に書くことができる
◎ロゴス,テオリア,フィロソフィア,自然哲学,
万物の尺度,無知の知,アレテー,徳,イデア,
善のイデア,哲人政治,質料と形相,知性的徳,
倫理的徳,正義,公正,友愛,アタラクシア,ア
パテイア,コスモポリタニズム等の概念について
理解し,そうした概念を使って考え,文章を書く
ことができる
2 一神教の教え ユダ ・キ リ ス ト 教 の 母 胎 と ・歴史的事実や信仰はすべて
ヤ教・キリスト教・ なったユダヤ教につい 『聖書』に書かれたもので
あることに注意を促す。
て,その一神教的な特
イスラーム教
色 を 中 心 に 理 解 さ せ ・必要に応じ,聖書本文を生
① 神と人
徒に読ませるとよい。
る。
② 罪と救い
③ キリスト教の成立 ・キ リスト教について, ・十字架のイエスをモティー
フとした音楽や美術作品が
イエスの説く律法の内
とパウロ
たくさんある。具体的なイ
面化,神への愛と隣人
メージを把握するのによい
愛の教えを中心に理解
例なので利用するとよい。
させる。
ユダヤ教,キリスト教,イスラーム教の一神教にお
ける人間の生き方や在り方について,またその宗教
指導者が考え実践したことについて
●それが人間の罪や苦悩からの救済をめざす宗教と
して時間や空間を越えた普遍的な意義をもつもの
として,或いは自己自身の生き方や在り方に深く
関わるものとして関心をもって学ぼうとする意
欲・態度をもっている
人間とは何か
4月
第1編
青年期の課題と人間としての自覚
5月
6月
月 編
学習内容
学習の目標
指導上の留意点
評価の観点●関心・意欲・態度,□思考・判断,
◇資料活用の技能・表現,◎知識・理解
④ カトリックの思想 ・恩寵と贖罪についての ・ヨーロッパ中世においては, □基本的な歴史的知識を踏まえて認識し,イザヤ,
エレミヤ,イエス,パウロ,アウグスティヌス,
キリスト教が大きな社会的
パウロの思想を基軸に
テーマ1 ヨーロッパ
トマス,ムハンマドなどの生涯と思想を通して,
な力として,社会生活や宗
キリスト教が完成され
におけるキリスト教教
その意味について考え判断することができる
教生活に影響を与えたこと
ていったことを理解さ
会と社会
を発展的な課題として扱っ ◇旧約聖書,新約聖書,コーランなどの原典を読ん
せる。
⑤ 共同体と法
だり,キリスト教やイスラーム教がテーマになっ
てもよい。
・イ スラームの成立,宗
たりまたそれに触れた小説,映画,絵画,彫刻等
教的な義務と戒律を中 ・イ スラームの『コーラン』
の芸術に接し,認識を深めそれに基づいて自分の
には『旧約聖書』の記事と
心とするその教えの特
考えを話し,文章に書くことができる
重なる部分が多いことを指
徴について理解させ
摘し,ユダヤ教・キリスト ◎一 神教,モーセ,預言者,契約,罪,救い,神,
る。
福音,神の国,原罪,赦し,アガペー,隣人愛,
教と同根の一神教であるこ
教会,原始キリスト教,パウロ,回心,贖罪,恩
とを押さえる。
寵,教父,カトリック,スコラ,アッラー,シャ
リーア,六信五行等の概念について理解し,そう
した概念を使って考え,文章を書くことができる
6月
第1編
青年期の課題と人間としての自覚
7月
・バラモン教の中心教義 ・後年,仏陀が自分の青年時
3 仏教 苦と解脱
代をふり返って述べたとさ
となった輪廻と業の思
① 古代インド思想の
想について理解させる。 れる,出家の動機について
形成
触れるとよい。
・ガウタマの悟りの中核
② 仏陀の思想
とされる中道,四諦八 ・仏陀の最後の言葉「自灯明,
③ 仏陀の教えの継承
法灯明」について考えさせ
正道,縁起の法につい
と仏教教団の発展
たい。
て理解させる。
・日本にも伝えられた大 ・四 諦,八正道,四法印,縁
起の道理が実は同じことを
乗仏教について,空の
あらわしていることを押さ
概念を中心に理解させ
える。
る。
・小乗という呼称は,大乗仏
教側からの賤称であること
を指摘する。
仏教における人間の生き方や在り方について,仏陀
や竜樹などその宗教指導者が考え実践したことにつ
いて
●それが人間の苦や不安からの解放をめざす教えと
して,時間や空間を越えた普遍的な意義をもつと
認識し,自己自身の生き方や在り方に深く関わる
ものとして関心をもって学ぼうとする意欲・態度
をもっている
□基 本的な歴史的知識を踏まえて認識し,ウパニ
シャッドやジャイナ教の教え,また仏陀の生涯と
思想を通して,その意味について考え正しい判断
をもつことができる
◇仏典や種々の解説書を読んだり,古代インドの仏
像をみたりまた仏教をテーマとした小説,映画,
絵画,彫刻等の芸術に接し,認識を深めそれに基
づいて自分の考えを話し,文章に書くことができ
る
◎ウ パニシャッド,カルマ(業)
,輪廻,解脱,ブ
ラフマン,アートマン,梵我一如,苦,中道,四
苦,四諦,縁起,四法印,上座部,大乗仏教,菩
薩,空等の概念について理解し,そうした概念を
使って考え,文章を書くことができる
・
『 論 語 』 の 本 文 を 通 し て,
孔子の現実主義的な生き方
や考え方に触れる。
・人間の善性を前提に考え行
動するか否か,生徒に問い
を投げかけるとよい。
・世界史既習の場合は,王道,
覇道,易姓革命,天命は現
実に歴史を動かした言葉で
あることを,例をあげて説
明する。
・老子・荘子の思想について
も,原典に言及し,適宜引
用したい。
中国における人間の生き方や在り方について,孔子
や孟子・荀子,また老子や荘子などが考え実践した
ことについて
●それが現実の人間関係や政治的社会の中でよりよ
く生きることを目指す教えであり,時間や空間を
越えた普遍的な意義をもつと認識し,自己自身の
生き方や在り方に深く関わるものとして関心を
もって学ぼうとする意欲・態度をもっている
□基本的な歴史的知識を踏まえて認識し,儒家や道
家の教えまたそれぞれに属する代表的な思想家の
生涯と思想を通して,その意味について考え正し
い判断をもつことができる
◇論語,孟子,老子や荘子などの原典やその解説書
を読んだり,古代中国の詩や小説に接し,認識を
深めそれに基づいて自分の考えを話し,文章に書
くことができる
◎天,天命,諸子百家,仁,礼,君子,性善説,王
道,覇道,性悪説,偽,無,無為,道,小国寡民,
真人,理気二元論,性即理,心即理等の概念につ
いて理解し,そうした概念を使って考え,文章を
書くことができる
4 徳と政治 中国思想 ・中国思想における天お
よび天と人間との関係
① 天と人
について理解させる。
② 修養と政治
・孔子の説く仁および仁
③ 儒家の思想
の発露としての礼につ
④ 無為自然
いて考えさせる。
⑤ 儒学の発展
・孟子の四端説や荀子の
偽の考えなど,儒家が
人間をどうとらえたか
に着目させる。
・道家の思想が儒家の批
判の上に立つことをふ
まえて理解させる。
9月
第3章 国際社会に生き ・日本の風土の特徴を理 ・日本人の自然に対する態度 日本の風土や日本人の自然観・宗教観・倫理観につ
が日本人に特徴的な心情や いて
解するとともに,この
る日本人
文化の形成に大きな影響を ●それが長い歴史の中で培われた伝統的なものであ
風土における日本人の
1 日本の風土と人々の
り,現在の自分の生き方や在り方にも関わるもの
与えていることに気づかせ
生き方について考えさ
考え方
として関心をもって考えようとする意欲態度を
る。
せる。
① 日本の風土と自然
もっている
・今日の生活の中に見ら ・花,雪,風などの付く漢字
観の形成
を挙げさせ,日本人の自然 □種々の文献・資料に基づいて思索をめぐらし,歴
② 日 本人の宗教観・ れる日本人の宗教観・
史的な諸事実や客観的な証拠・論拠に拠って判断
観を理解する助けとする。
倫理観について考察さ
倫理観
することができる
せる。
月 編
学習内容
学習の目標
指導上の留意点
評価の観点●関心・意欲・態度,□思考・判断,
◇資料活用の技能・表現,◎知識・理解
◇古典から現代の日常生活にいたるまで様々な文献
や資料を活用しそれに基づいて自分の考えをも
ち,話したり文章に書いたりすることができる
◎和歌や随筆などの代表的な古典作品や和辻の風土
などに即して理解し,日本における神の観念や善
悪・道徳の観念について祖先神,穢れ,清明心等
の概念を理解しそれを用いて文章を書くことがで
きる
わが国における仏教の受容と展開及びわが国独自の
仏教の成立と発展における
●仏教信仰のあり方について関心をもち,学ぼうと
する意欲をもち態度を身につけている
□信仰の内的な発展について歴史的な事実を基にし
て考え正しい判断力を働かせることができる
◇教科書や仏教祖師たちの原典,その解説書,小説
や映画などの芸術作品,種々の情報資料等を活用
し認識を深めその結果をまとめてレポートを書き
発表することができる
◎聖徳太子,十七条憲法,最澄,一切衆生悉有仏性,
空海,密教,即身成仏,末法,阿弥陀仏,法然,
他力,専修念仏,親鸞,悪人正機,道元,只管打
坐,日蓮,法華経等々の概念について理解し,そ
うした概念を用いて文章を書くことができる
・日本に伝えられた儒教 ・朱 子学の隆盛の背景には,
3 儒教の日本化
戦乱の世が終わり,武士が
が,徳川幕藩体制成立
① 朱子学・陽明学
軍事力よりも統治の根拠を
のころから日本化され
② 古学・古文辞学 求めていた背景があること
ていく過程をつかませ
を押さえる。
る。
・官学としての朱子学を ・各々の儒学者が,何を思想
の根本に据えたか,学問の
批判する過程で,陽明
方法論や教えを説いた相手
学や古学,古文辞学が
などとともに相違点を整理
生まれ,儒学が深化し
するとよい。
たことを押さえる。
テーマ3 日本文化の ・日 本の思想・文化を総 ・前節までに取り上げられな
かった日本の文化的要素,
合的にとらえさせる
形成
雅楽や歌舞伎,短歌などに
焦点を当てるのもよい
わが国における儒学の受容とその日本化について
●日本人のものの考え方の一つの伝統を形成した日
本儒学の孝,誠,礼等に関心をいだき,学ぼうと
する意欲と態度をもっている
□町人や武士の生き方やものの考え方の核となった
朱子学・陽明学・古学・古文辞学等の発展を踏ま
えて考え,日本儒学について正しい判断を働かせ
ることができる
◇教科書をはじめ羅山,藤樹,素行,仁斎,徂徠の
原典やそれにかかわる種々の情報資料等を活用し
て認識を深め,その結果をまとめ,また文章に書
くことができる
◎林羅山の上下定分の理,中江藤樹の孝,素行の古
学,仁斎の古義学,徂徠の古文辞学について理解
し,その諸概念を適切に使用して文章を書くこと
ができる
◇伝統文化の海外への紹介や現代日本を代表する文
化の国際的な広がりなどについて知識を持ち,国
家,社会や自己のあり方などの広い視野から考え
表現することができる
9月
・日本に移入された仏教 ・全体の流れとして,日本の
2 仏教の受容と展開
仏教が鎮護国家のための仏
が時代とともに変容し
① 仏教の移入
教から個人救済のための仏
ていく概要をつかませ
② 最澄と空海
教に変化していった点を押
る。
③ 鎌倉仏教の展開
テーマ2 東アジアの ・平安末期から鎌倉時代, さえる。
自己と衆生の救済を求 ・地獄草紙などの画像を活用
精神風土 し,地獄や死のイメージを
めた仏教者が何を説い
喚起して,願い求めた浄土
たか,教義や特色を理
の世界を浮き彫りにしても
解させ,仏教が内面化
よい。
していくことを理解さ
せる。
第1編
青年期の課題と人間としての自覚
月
10
4 国学と近世民衆の思 ・古典の研究に始まった ・国学の実証的・文献学的な 儒学や仏教などの外来思想に対して,国学や民衆思
手法には,古学や荻生徂徠 想について
国学が,儒学を批判す
想
の古文辞学の影響があるこ ●それらがわが国の固有の考え方や生き方に基づい
る形をとりながら道の
① 国学
て主張されていることを踏まえて日本の固有性に
とを押さえる。
学として大成されたこ
② 近世民衆の思想
興味や関心をもち,探求する意欲や態度をもって
・社会や経済の状況の変化を
とを理解させる。
いる
つかませたい。元禄文化に
・町人文化の繁栄のかた
ついては,視覚的には,近 □契沖,真淵,宣長の系統,西鶴や梅岩の思想,昌
わら,当時の日本で農
益・尊徳の思想について考察し,その意義につい
松の歌舞伎作品などを取り
民や町人の生活の実態
て正しく判断する力をもっている
上げるとよい。
に即した思索が行われ
◇契沖,真淵,宣長,梅岩,昌益,尊徳の著作をは
ていたことをつかませ
じめその解説書を読み,またその他諸資料を参考
る。
にして考え,文章に書くことができる
◎契沖,真淵,宣長の系統,西鶴や梅岩の思想,昌
益・尊徳の思想やその基本的概念を正しく理解し
ている
・時代が大きく動いた幕 ・時代の先駆者たちが日本に 近代日本の思想について
5 近代日本の思想
末から明治にかけて, 何が必要であると考えたの ●幕末から明治維新,明治期,大正から昭和,太平
① 新時代への胎動
洋戦争にいたる昭和期のそれぞれの特徴とその代
かつかませるとともに,現
先人がいかに考え,行
② 個人と国家
表的な思想について興味や関心をもち,探求する
代において必要なものを考
動したかをとらえさせ
③ 近代日本における
意欲や態度をもっている
えさせたい。
る。
自我の確立
・近代国家成立の過程に ・近代国家の形成の過程で表 □幕末から明治大正昭和の時代認識を踏まえて,各
時期の代表的な思想や思想家について考察し,そ
面化してきた諸問題に積極
おいて,先人が個人と
の歴史的意味について正しく判断することができ
的にかかわろうとした先人
国家の関係をどのよう
る
の思想とその意義について
にとらえたかを考えさ
考えさせる。
せる。
月 編
学習内容
学習の目標
指導上の留意点
評価の観点●関心・意欲・態度,□思考・判断,
◇資料活用の技能・表現,◎知識・理解
・西欧に範を取った日本 ・個人と共同体のどちらにも ◇幕末の洋学,崋山,長英,象山,松陰,諭吉,兆
民,鑑三,秋水,漱石,西田,和辻等の著作や同
偏らないあり方を,日本の
の近代化の中で,独自
時代資料,また後世の解説書や研究書を読み,ま
伝統的な考え方につながる
の思想の確立を求めて
たその他諸資料を参考にして考え,文章に書くこ
ものとしてとらえさせた
苦闘した思想家のあゆ
とができる
い。
みを理解させる。
◎幕末の洋学,崋山,長英,象山,松陰,諭吉,兆
民,鑑三,秋水,漱石,西田,和辻等の思想やそ
の基本的概念を正しく理解し,文章を書くことが
できる
◎「いき」や「民芸」などの種々の文化的伝統やそ
テーマ4 美意識に見
の現在の姿について幅広い知識を持ち,客観的で
る日本人の生き方
公正な視点にたって考え表現することができる
プロローグ
現代の倫理的課題
月
11
第2編
現代社会と倫理
月
12
・現代がどんな時代であ ・科学と技術の発展について, 現代の倫理的課題について
とくに 20 世紀の動向につ ●政治や経済,社会,文化的状況を踏まえて関心を
るかを押さえるととも
もち,考えようとしている
いて基本的なできごとに触
に,現代の諸課題を考
□科学・技術,産業や市場経済,大衆社会化,都市化,
れるとよい。
える中で,倫理的な問
家族の問題,
国際化等々の状況を踏まえて考察し,
題解決の方向を考えさ
客観的で適切な判断をもつことができる
せる。
◇多様な観点から,種々の情報資料を収集調査しそ
れに基づきプレゼンテーションを行ったり文章に
書くことができる。
◎責任や他者との共生という点から基本的な諸問題
について知識をもち理解している
第1章 現代に生きる人 ・私 た ち が 常 識 と し て ・歴史的背景には深入りしな ルネサンス,宗教改革,モラリストの思想について
いが,12 世紀以降,多くの ●それらが現代に生きる私たちの芸術や,キリスト
もっている自由や個性
間の倫理
教信仰,近代的人間観に基本的な枠組みを提供し
学者や宗教家がイスラーム
という概念が,この時
1 人間の尊厳と生命尊
ていることを踏まえ,興味や関心をもち,探求す
世界に学んでいたことに触
代に始まることを理解
重
る意欲や態度をもっている
れる。
させる。
① 人間性の自覚と尊
・ルターやカルヴァンの ・ルネサンスでは,美術作品 □そこにおける芸術や,キリスト教の近代的なあり
厳の形成
かた,近代の人間観が現在にも有効であることを
を提示して,遠近法を例に
思想と生涯を通し,近
② 宗教改革
理解し,それを踏まえて現代的な課題について客
新しい芸術表現の意義につ
代市民社会と信仰につ
③ モラリスト
観的で公正な判断をくだすことができる
いて触れてもよい。
いて考えさせる。
・政治や社会の激動の中 ・ルターの生涯を辿り,その ◇ダ = ヴィンチやミケランジェロの作品,
ルター,
カル
人間的な苦悩と改革への決
で,人間理性への信頼
ヴァンの著作,モンテーニュ,パスカルの著作を
意に触れるとよい。人生と
を基盤としたモラリス
読みさらに同時代資料或いは後世の研究を参考に
思想の一致を学ぶことで考
トたちの思索について
し,研究しその結果を文章にまとめることができる
えさせる。
考察させる。
◎基本的な知識理解をもち,それを踏まえて自己自
身の考え方を表現し文章にまとめることができる
・近 代的な科学は,自然 ・自然が宗教的意味や信仰か 近代科学の方法の確立とその発展及び科学の原理的
2 科学と人間
ら切り離され,自然それ自 考察に関して
のなかに数量的法則を
① 近代科学の成立
体のうちに物理的な法則性 ●ガリレイやニュートンによる天文学や物理学の成
発見し,技術的に支配
② 近代科学の方法 立また科学の方法論的考察としてデカルトやベー
を見いだしたことが近代科
する思想とともに発展
コンの思想に関心をもち,探求する意欲や態度を
学の成立につながったこと
したことを理解させ
もっている
をしっかり理解させたい。
る。
・ベーコンの帰納法によ ・近代科学は中世キリスト教 □天動説から地動説へ,ガリレイの思想と教会との
関係やまたデカルト,ベーコンの思想における科
文化やイスラーム文化など
る経験主義的立場,デ
学方法論や人間観・世界観の特徴を客観的に考え
他の文化圏から断絶したも
カルトの方法的懐疑と
その意味について適切に判断することができる
のではなく,さまざまな文
演繹法,合理主義につ
化の影響のもとで成立した ◇天文学の成立,近代科学の方法の確立,デカルト
いて理解させる。
やベーコンの著作や同時代の諸資料,また後世の
こと,今日の科学文化の特
・近代科学や知のかかえ
著作や研究書(トマス・クーンなどの)を参考に
質となっていることに留意
る問題点を理解し,そ
して,調査研究を行いその結果を文章に書くこと
する。
の成立当初に立ち返っ
ができる
て克服の方向を考えさ ・ガリレイの宗教裁判を取り
テーマ5 ガリレイの
上げ,科学とキリスト教会 ◎天動説,地動説,宗教裁判,科学革命,パラダイ
せる。
宗教裁判
ム,イドラ,経験論,方法的懐疑,cogito,合理論,
の相克について発展的テー
物心二元論等々について正確な知識と理解をも
マとして扱うのもよい。
ち,文章を書くことができる
・近 代において,個人と ・社会契約説が近代的な個の 近代社会における個人と国家や社会の関係について
3 民主社会と幸福
価値を認めるところから発 ●歴史的な先進世界であったヨーロッパがどのよう
市民社会がどのような
① 人権思想の形成
に考え実践してきたか関心をもち探求する意欲や
していることを押さえる。
プロセスを経て確立さ
② 社会の発展と幸福
態度をもっている
れたのかを理解させる。 ・ホッブズの自然状態の理解
の追求
がキリスト教的な人間観か □社会契約論,イギリス経験論,大陸合理論,社会
・ホ ッブズ,ロック,ル
主義がどのように考えたか歴史的な状況を踏まえ
ら脱却している点に留意す
ソーの社会契約説の特
て考え,その意味について客観的に公正に判断す
徴の違いを理解させる。 る。
ることができる
・快楽についてのベンサム ・近代における個の肯定にと
とミルの思索をふまえ, もなって,幸福の規定がど
のように変わっていったの
快楽と人間の真の幸福
かを押さえる。
について考えさせる。
月 編
学習内容
学習の目標
指導上の留意点
評価の観点●関心・意欲・態度,□思考・判断,
◇資料活用の技能・表現,◎知識・理解
・マルクスがとらえた人 ・労働者の具体的な生活状況 ◇ホッブズ,ロック,ルソー,ミル,ベンサム,マ
ルクスなどの著作を読みさらに同時代の諸資料,
を例示するなど,マルクス
間と資本主義社会のし
後世の研究書などに拠って調査研究し,その結果
の問題意識を明確にさせ
くみについて理解させ
を文章に書いてまとめることができる
る。
る。
◎ホッブズ,ロック,ルソー,ミル,ベンサム,マ
ルクスなどの諸概念(自然状態,契約,自然法,
抵抗権,一般意志,功利,快楽計算,制裁,質的
功利主義,
疎外等)や思想について正しく認識し,
それについて書くことができる
1月
2月
ヨーロッパの 19 〜 20 世紀の哲学,アメリカ 20
世紀の哲学について
●私たちの生活する世界と時代に直接繋がっている
思想として関心をもち,探求する意欲と態度を
もっている
□カントの理性の哲学,ヘーゲルの歴史哲学,危機
と不安の時代の実存主義,優れた実践によって世
界 中 か ら 称 賛 さ れ た シ ュ ヴ ァ イ ツ ァ ー, ガ ン
ディー,マザー=テレサの思想,アメリカプラグ
マティズムいずれもその時代と社会に必然的に現
れたものであるが,現在の私たちにも深く関わる
思考であることを認識し,その現代的な意味につ
いて適切に判断することができる
◇カント,ヘーゲル,実存主義者たち,生命への畏
敬を説き優れた活動によって世界中から称賛され
たマザー=テレサなど,デューイなどの著作や同
時代資料,また歴史資料に拠りながら考え,その
結果について文章に書くことができる
◎カントの自律の哲学,ヘーゲルの歴史と自由,実
存主義者キルケゴール,ニーチェ,ヤスパース,
ハイデッガー,サルトル,シュヴァイツァー,ガ
ンディー,マザー=テレサなどの実践的思想,プ
ラグマティズムのジェームズ,デューイの思想と
その諸概念について正確に認識し,それについて
文章を書くことができる
・科 学の意味や有効性, ・科学的真理の性格・特徴に
5 新しい時代への扉
ついて考えさせる
科学的真理の性格につ
① 科学と論理
・理性主義や近代の自我中心
いて考えさせる。
② 深層心理学と現代
主義では把握されない人間
③ 理性主義への懐疑 ・人間の無意識について
の無意識の領域に目を向け
フロイトやユングを手
④ 民主主義と公正の
た思想家たちは,人間や社
がかりに考えさせる
両立
会を根底からとらえ返そう
・フランクフルト学派の
としたことに留意する
思索を通して理性の孕
む 問 題 点 を 考 え さ せ ・近代的理性の限界と理性の
新しい可能性について考え
る。
させる。
・自由と平等をどう両立
させるかを,現実の問 ・自由と平等を実際の社会で
具体的に実現していくには
題に即して考えさせ
どうすればよいか考えさせ
る。
たい。
テーマ7 身体を考え ・発展課題として身体へ
の問について考えさせ ・発 展課題としてメルロ=ポ
る
る。
ンティの身体論について考
えさせる。
20 世紀後半の思想が先の大戦や近年の民族紛争へ
の反省に立って,一般に理性主義への反省,生命や
無意識への注目,公正や正義についての新しい考え
方において成立していることを踏まえ
●そ うした観点から現代の課題について関心をも
ち,探求する意欲と態度をもっている
□コント・パース・ウィトゲンシュタイン・ポパー,
フロイトとユング,レヴィ – ストロース・フー
コー・ホルクハイマー・アドルノ・ハーバーマス,
ロールズとセンの思想を概観し,そうした思想に
拠って現代の倫理的諸課題について考え適切な判
断を行うことができる
◇フーコー・ホルクハイマー・アドルノ・ハーバー
マス,フロイトとユング,ロールズとセン等の著
作や同時代資料,また研究書や新聞雑誌等のメ
ディアの諸資料や諸情報を活用して,考察しその
結果を文章にまとめることができる
◎上述の思想家哲学者の哲学・思想について理解し,
正しい知識をもっている
第2章 現代の諸課題と ・生と死の問題について, ・生命科学やバイオテクノロ
ジー,先端医療の発展の歴
具体的な事例を通して
倫理
史や現状については,ビデ
考えさせる。
〈人間と自然〉
オやインターネットなど多
・生命科学技術や先端医
A 生命科学と倫理
様な教材を利用する。いの
療が今日どのような倫
B 地球環境の危機と倫
ちと人間について考えよう
理問題をもたらしてい
理
とする本を紹介するなどの
るか,考察させる。
方法もある。
・環境倫理学の問題提起
を,現実の環境問題と
関連づけながら考察さ
せる。
現代の諸課題と倫理について,生命科学あるいは環
境問題を研究テーマとして
●調査活動や研究発表を行うことに関心をもち探究
する意欲と態度をもっている
□自己自身の生き方や考え方また国家社会の在り方
について考え,広い視野に立って適切な判断を行
うことができる
◇それに関する諸情報・諸資料を収集活用し,それ
に基づいて考え自分の考え方をまとめ発表したり
文章に書くことができる
第2編
現代社会と倫理
4 自己実現と社会参加 ・カントが人間の理性能 ・カントは,近代人の生き方
の哲学的な基礎づけを行っ
力を吟味し,理性の限
① カントの思想
たことを押さえる。
界をも明らかにしよう
② ヘーゲルの思想
としていたことを理解 ・カントが道徳を動機の次元
③ 実存主義の思想 でとらえていることに留意
させる。
させる。自己の幸福,利益
・ヘーゲルが精神の歴史
を目的とする行為は道徳で
を重んじ,その中で「自
はない。功利主義と対比さ
由」の実現をとらえて
いたことを理解させる。 せてもよい。
・19 世紀の西欧の社会状 ・カントの「自由」を批判し
たヘーゲルが,自由は社会
況のもとで,実存主義
において実現されるものと
が成立したことを理解
したことを押さえる。
させる。個々の思想家
が追究した人間の本来 ・実存主義において,先哲が
それぞれに何を拠りどころ
的なあり方はどのよう
とし,人間をどのような存
なものか,その思索を
在ととらえたのかを押さえ
通して人間のあり方・
る。
生き方を考えさせる。
テーマ6 生命への畏 ・生命軽視の傾向が強ま ・テロや暴力,生態系の破壊
など現代社会が抱える具体
る現代社会を鑑み,生
敬
的な諸問題と,
「生命への
命への畏敬を説いた先
畏敬」の思想を結びつけて
人の思想を学び,その
考えさせたい。
意義を考えさせる。
④ プラグマティズム ・プラグマティズムでは, ・知性を問題解決のための道
具であるとするデューイの
思想や知識の意味や価
の思想
考え方を,実生活の中でど
値を現実的な有用性に
のように生かせるか,検証
おいたことに注目させ
させる。
る。
月 編
学習内容
学習の目標
指導上の留意点
評価の観点●関心・意欲・態度,□思考・判断,
◇資料活用の技能・表現,◎知識・理解
・環境問題への取り組みでは, ◎臓器移植,生殖医療,クローン技術,生態系,環
境倫理学等について基本的な知識をもち,それに
水俣市や豊島をはじめとす
基づいて自己の考え方をもち発表したり文章を書
る環境再生の取り組みを,
いたりまた行動するための実践的な認識をもって
新聞やインターネットで調
いる
べさせる。
2月
第2編
現代社会と倫理
・高 齢化の進行,地域社 ・生活環境はその人の生き方 現代の諸課題と倫理について,家族の諸問題あるい
〈社会生活と自己〉
に大きく影響をあたえる。 は情報社会を研究テーマとして
会の変容など現代社会
A 家族・地域社会の倫
家族や地域社会の形成に各 ●調査活動や研究発表を行うことに関心をもち探究
の課題をふまえ,家族
理
する意欲と態度をもっている
自どのように関わることが
や地域社会のあり方に
B 情報社会における倫
□自己自身の生き方や考え方また国家社会の在り方
できるか,考えさせる。
ついて自分なりに考え
理
について考え,広い視野に立って適切な判断を行
・情報メディアを媒介とした
させる。
うことができる
人間関係やコミュニケー
・情報リテラシーの必要
ションの可能性について考 ◇少子化問題,高齢社会の問題,都市化や過疎の問
性を実感させるととも
題,また情報社会に由来する多様な問題について
える視点を盛り込む。
に,情報社会における
諸資料や種々の情報を収集しそれに基づいて考え
自己実現のあり方につ ・ネットワークにおけるモラ
問題の解決を目指して適切な判断を下し,行動へ
ルについては,具体的な事
いて考えさせる。
の道筋を展望することができる
例を用いて考察したい。
◎少子化の傾向,少子高齢社会の現実とその将来に
ついて,また情報社会の光と影について理解し,
適切な判断や行動のための実践的な認識をもって
いる
・地球市民の一人として, ・自国文化の理解と異文化理
〈国際社会と自己〉
解が密接に関わっている点
多様な異文化を共感と
A 文化の多様性と国際
ともに受けとめさせ, に留意する。自国文化の独
理解
自性の理解が異文化尊重の
共生の方向を考えさせ
B 人類の福祉
基礎である。
る。
・国際社会が抱えている ・異文化理解については,生
課題に眼を向けさせ, 徒の体験や身近な人の体験
を取り上げたい。
人類のめざす方向につ
・共生という理念を具体化し
いて考えさせる。
ていくためにはどんなこと
が必要かを考えさせたい。
・ストリートチルドレンや臓
器売買の実態に眼を向けさ
せたい。個々のより具体的
なデータについて検索さ
せ,レポートや発表のかた
ちで深化させたい。
国際社会における諸課題と倫理について,国際理解
あるいは南北問題を研究テーマとして
●調査活動や研究発表を行うことに関心をもち探究
する意欲と態度をもっている
□国際社会の中で生きることや異文化理解について
また国際協力や人類の福祉について考え,広い視
野に立って適切な判断を行うことができる
◇宗教や民族などの相違やそれが引き金となって国
際社会において現在生起している諸問題,貧困の
解消や人権の尊重など多様な問題について諸資料
や種々の情報を収集しそれに基づいて考え問題の
解決を目指して適切な判断を下し,行動への道筋
を展望することができる
◎異文化理解,国際理解,子どもの人権,ODA,
NGO等についての現実とその将来について理解
し,適切な判断や行動のための実践的な認識を
もっている
(注)第2編第2章(課題学習)については,A,Bのいずれかを選択して取り扱うこととする
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