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IEの威力(20号)

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IEの威力(20号)
仮説の経営技術
【「IE」の威力】
手法や道具を知り、それを活用できれば効率の良い仕事をする事が出来る。
「IE(インダストリアル エンジニアリング)」は随分昔から知られている手
法ではあるが、多くの企業ではまだまだ充分活用出来ているとは言えない様
に感じる。そこで、BSOのIEのとらえ方をいくつか紹介したい。
1.ロスのありかを探し出す技術としてのIE
1)仕事のロスとは
普段我々がしている仕事にはどれくらいのロスがあるのかを考えてみ
ると、次の図のように見ることが出来る。つまり、認識しているロスより
も見えていない(認識していない)ロスの方がはるかに大きいのである。
顕在ロス
見かけの
潜在ロス
真の
潜 在ロ ス
(1)顕在ロス
:目に見えるロス
(2)みかけの潜在ロス:よくみると見えるロス
(3)真の潜在ロス
:見えないが一番大きいロス
2)なぜ、大きいのに見えないロスがあるのか
これについては、以前、協働通信 Vol.2「使っていただきたいBSOの
ワンチャート経営技術『BSOの総合生産性』」のチャートで紹介したも
のを再度紹介したい。
直接部門と間接部門というとらえ方からすると、多くの企業では総務部
門等の間接部門の人員は、以前に比べてかなり減っている。これはアウト
ソーシング化やIT投資などにより業務の効率化が進められた事が一因
であろう。しかし、直接部門の人々の仕事をよく見てみると、事務担当者
等というように本来は間接部門の人が担当していた役割を直接部門で行
っているのを見かけることがある。また、直接部門の人々の仕事を業務レ
ベルで観察してみると、事務処理等の間接業務に従事している工数を発見
できる。さらにこの直接業務をより突っ込んで作業レベルで見てみると、
直接的業務の中にも伝票を書いたりその集計をしたりといった間接作業
を行っているのを見かけることが少なくない。
この様に考えてみると、次の図のように非生産的(付加価値を産まない)
間接工数は結構多いように思う。
仮に社員数が20人、1人の労働時間が200時間として
総労働時間:200時間
部門
間接
直接
直接
担当
業務
直接
作業
直接 間接
間接
間接
付加価値を生む作業を支援する仕事
改善できるロスが
あっても全体から
見ればその量は
少ない
ロスの宝庫
改善余地が∞にある
3)ロスの大きさとありかを大づかみする技術
ある職場を一目見ただけで、その職場の大きなロスが何かを言い当てる
経営者や管理職がいる。その手法を誰もがより正確にできるように科学的
に改造したといってもよい便利な技術があり、大きな時間や手間をかけず
に今まで気づかなかったロスの大きさ、ありかを教えてくれる。それがI
E的モノの見方なり手法の活用である。
2.あらゆる角度からロスを追いつめる技術
IEには多くの手法があるが、ロスをなくすための考え方を次の4つの側
面から考えてみたい。モノづくりの現場である工場を考えてみた場合、以下
に示す様に、人と物の関係は人が作業する流れと物が加工される流れにより
交差する。
1)「人を基準に見た場合、作業の手順(流れ)にロスやよどみはないか。そ
の作業は本当に必要か。」を分析する技術
2)「物を基準に見た場合、加工・組立の手順(流れ)にロスやよどみはない
か。その工程は本当に必要か。」を分析する技術
3)「人の作業の流れと物が加工されていく流れが交差する点、すなわち人の
作業により物が加工される状態を見た場合、その作業方法や動作順序にロ
スはないか。」を分析する技術
例)ロスの大きさとありかを大づかみする技術。
タテ(人の作業)とヨコ(物の加工)の交点のロスを分析する。
人 A
人 B
人 C
人 D
物1
物2
時間
物3
物4
人 が 作 業 す る流れ
4)時間を基準に見て作業のロスを発見する技術
物が加工される流れ
方 法 ・手 順
3.思いつきやひらめきに頼らない改善設計技術
IE手法は科学的管理手法であり、その面では技術である。つまり、勉強
し手法を修得すれば誰でもが使うことが出来るモノである。当然、これらは
定量的にデータを把握するだけでなくそれに基づいて改善していくための
ツールなのである。
1)問題点を定量的に把握する技術
<稼働分析例>
稼働分析により問題点の大きさと改善方向が定量的に把握できる。
区分
13:
00∼
13:29
観 測 項 目
主作業
13:
30∼
13:
59
14:00∼
14:29
17:
00∼
17:
29
観測 構成 観測 構成 観測 構成
数 比率 数 比率 数 比率
伝票記入
17:30∼
17:
59
合計
観測 構成 観測 構成 観測
数 比率 数 比率 数
構成
比率
0
0%
0
0%
2 10%
1
3%
3
9%
14
6%
付随作業 プリントアウト
0
0%
0
0%
1
0
0%
0
0%
2
1%
付帯作業 電話をする
1
8%
1
6%
2 10%
5 13%
6 18%
28
12%
職場余裕 書類を探す
1
8%
3 19%
1
5%
3
8%
0
0%
10
4%
職場余裕 打ち合わせ
0
0%
3 19%
0
0%
3
8%
1
3%
31
13%
0
0%
0
0
0%
1
3%
0
0%
7
3%
非作業 雑談
12 100%
合 計
0%
16 100%
5%
21 100%
39 100%
33 100%
235 100%
<工程分析例>
仕事の手順や方法に潜む問題点を浮彫にする
分 析 用 フ ロ ー ・プ ロ セ ス ・チ ャ ー ト (F P C )
分
析
対
象
調
査
結
果
工
程 ル ー ト セ ー ル ス事
名
務
現 状
改 善 後
差 異
モ ノ分 析
・ ヒト分 析
現状
製品
名
作 成 班 :村 田 班
加工
11
ルートセールスマン
検査
停 滞 ・手 待
6
0
工 程 の概 要
作業
時間
貯蔵
運 搬 ・移 動
0
7
合 計
24
運 搬 ・移 動 距 離
時間
回数
時間
回数
時間
工 程
加
NO.
検
○
□
D
▽
○
□
D
▽
⇒
工
2 出 荷 依 頼 票を訂 正す る
3 モップタオル出 庫 依 頼 票 に 転 記
4 セ ー ル ス レ ホ ゚ ート に 記 入
5 伝 票を取 る
6 伝 票 をめくる
7 伝 票を確 認す る
○
9 伝 票を順 番に並 べ る
10 伝 票 をめくる
計
□
お
く
れ
D
蔵
▽
□
D
▽
⇒
○
□
D
▽
⇒
○
□
D
▽
⇒
○
□
D
▽
⇒
○
□
D
▽
⇒
□
D
▽
運搬
距離
数量
時間
( 単位)
(単 位)
(単 位 )
問 題 点
目 的 ・方 法 ・設 備 ・人
作 業 間 に 1プ ロ セ ス
あ る
改善
可能 排
性
(%)
除
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
20
0
0
0
100
0
0
0
結
変
合
更
40
単
純
化
その
他
100
⇒
○
○
8 伝 票 をめくる
査
貯
改 善 方 法 指 数 (改 善 可 能 性 の 内 訳 )
運
搬
・
移
動
⇒
作 業 内 容
1 出 荷 依 頼 票を確 認す る
作 成 日 :12年 3月 3日
生産量
作業
者名
回数
・ 改善後
⇒
○
□
D
▽
⇒
○
□
D
▽
⇒
11
6
0
0
7
100
作 業 間 に 6プ ロ セ ス
あ る
100
60
100
80
2)真の原因を見つける技術
< 機 能 関 連 図 >
「作業」する目的や他の作業との
関連からその作業の必要性を明
らかにする。
目的・手段の 流れ
時系列の 流れ
鞄 の 中の
名 刺 入れ
が探される
名 刺 の向 き
を変 えられ
る
名刺が受
け取られる
方法
人
少 し づ つ運
んでいる
検査が多い
運搬具を
使 わない
運搬用具が
使 いにくい
名刺が差
し出される
コ ン ベ アが
邪 魔 になる
部品が床置
きされている
材料置場が
遠い
不必要
な作業
製品
運 搬 が 多い
名刺入れ
が取り出さ
れる
名刺入れ
か ら名 刺
が取り出さ
れる
< 特 性 要 因 図 >
問題点とそれに影響を及ぼす原因を
系統的に整理し原因追及をしやすく
する。
機 械 と機 械 が
離 れている
設備
3)理想の姿を描く技術
仕事の目的を達成するためにどうしても必要な機能だけを体系化するこ
とにより理想の姿が描け、現状にこだわらない改善案を作成しやすくする。
目 的
15 積層接着
手 段
14 本締め(接着用)
11 の り付
け
13 仮締め(
接着用)
9 表面仕上(接着強度)
12 積層組合せ
8 寸法切り(
寸法)
7 縦継ぎ
3 縦継用継ぎ手加工①
10 積層組合せ(仕組み)
4 縦継用継ぎ手加工②
2 欠点除去(
強度)
5 のり付け①
1 材料の等級選別(強度)
6 のり付け②
4)具体案作成のための技術
<レイアウト設計法>
各工場、事務所や職場に必要な近接性を図式化することによりレイアウ
ト設計に重要な判断基準を与える。
1.プレス工場
A
2.溶接工場
E
A
3.塗装工場
E
E
A
4.組み立て工場
E
E
D
A
5.検査場
E
D
E
6.工具室
E
E
D
E
A
E
E
E
E
E
9.製品倉庫
E
E
D
D
A
A
E
8.部品倉庫
A
C
E
E
7.材料倉庫
B
E
E
E
E
D
D
D
D
D
D
10.事務所
記号
近接させる必要性
A
B
C
D
E
絶対必要
図記号
できるだけ近く
普通
近くなくても良い
全く不必要
格子の交わった枠の中に、隣接させる必要性に応じて記号を入力する。
これによりおよその配置の基本や改善の際の問題点が明確になる。
<ECRS>
改善設計のための着眼点を実践で使えるようわかりやすく、覚えやすく
まとめたもの
ヒ ン ト
・補 助 機 能 の 排 除
1.排 除 ・目 的 追 求 の 徹 底
E liminate ・ム ダ の 洗 い 出 し
・5W 1Hの 利 用
2.結 合 ・い くつ か の 成 分 の 結 合
C o m b i n e ・同 期 化
・5W 1Hの 利 用
3.交 換 ・順 序 の 入 れ 換 え
R e a r r a n g e ・い くつ か の 成 分 の 置 換
・単 純 化
4.簡 素 化 ・動 作 経 済 の 原 則 の 利
S implify
用 に よ り労 力 の 軽 減
適 用 例
・シ ュ ー タ ー の 利 用 に よ り不 必 要
な 物 の 取 り扱 い の 排 除
・過 剰 な 検 査 を な くす
・プ レ ス 加 工 に お い て の 型 抜
きと穴 あ け の 同 時 加 工
・材 料 / 設 備 治 具 を か え る
・検 査 と作 業 の 順 序 を か え る
・仕 事 を分 担 して 簡 単 に す る
・部 品 の 標 準 化
5)改善効果を予測する技術
現状と改善後の差を明示し、改善実施の根拠と目標を明確にする。
作移保手手 保移作
業動持待待 持動業
○⇒ D DDD⇒○
左手の動作
NO
1
シールシートを取る
2
シールシートを折る
3
シールシート
の保持
4
シールシート
の保持
5
商品を押さえる
6
伝票を取る
7
伝票を置く
8
手待ち
9
伝票を押さえる
10
伝票をめくる
⇒
右手の動作
D
手待ち
○
○
D
シールシート
を折る
○
D
シールを剥がす
⇒
D
シールの移動
○
⇒
D
⇒
D
D
手待ち
手待ち
⇒
D
○
シールを貼る
ペンを取る
○
書く
D
手待ち
11
12
13
14
15
16
左手の合計回数→ 2 3 4 1 4 0 2 4 ← 右手の合計回数
改
善
前
・
後
比
較
集
計
表
分類項目
改 善 前
左 右 合計
改 善 後
構成
比率
成
左 右 合計 構
比率
備考
作 業
2
4
6
20
2
4
6
30
移 動
5
2
7
23
3
2
5
25
29%減
保 持
7
5
12
40
4
0
4
20
67%減
手 待
1
4
5
17
1
4
5
25
4.「IE」の弱点
IEは一般的には常識となっているが、初心者(手法を十分には活用でき
ない者)が知識としてだけではなく「IE」を実際の現場で使って改善を進
めていくためには、指導できるトレーナーと実践でのトレーニング及び経験
が必要な場合があるのが現実である。
そういった意味ではまだまだ「技術」とは言えず、「技能」の域を脱して
いないと言えるかも知れない。
5.BSOの「IE」
BSOでは次のように「IE」の技術化を目指したいと考えている。
1)基本技術をわかりやすく、使いやすく、修得しやくするように工夫し
ていく。
2)様々な実践活動から得た基本技術の応用例を応用技術化していく。
3)実際のIE活動に必要な詳細事項を明文化し、初心者でも読めば今日
から実践できるというテキストづくりを行う。
以
上
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