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~旧約聖書を読んで感じること~ ヨセフの主人ポティファルの妻 17 歳の時

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~旧約聖書を読んで感じること~ ヨセフの主人ポティファルの妻 17 歳の時
~旧約聖書を読んで感じること~
ヨセフの主人
ヨセフの主人ポテ
主人ポティ
ポティファルの
ファルの妻
17 歳の時、エジプトに売り飛ばされたヨセフは、ファラオの宮廷の役人で、侍従長のエジプト人
ポティファルの奴隷となりました。エジプトは高い文明を持つ地であり、ナイル川流域は広大な穀
倉地帯でした。強大な権力を持つファラオが紀元前 2700 年にはすでにピラミッドを建設し始めて
いますから、ヨセフはピラミッドの建設を目の当たりにしたかもしれません。ファラオの侍従長と
もなれば、権力、財力、知力ともに備えていた人物だったことでしょう。ヘブライ語、ギリシャ語
聖書の原本に厳密な逐語訳とされている Young's Literal Translation によればポティファルは
「宦官だった」と記されています。
母を失い、父ヤコブに幼い弟と共に溺愛され、思いのままに育って、「例の夢見るお方」と兄弟た
ちの憎しみと嫉妬をかっていたヨセフの境遇は奴隷へと転落させられました。けれども、ポティフ
ァルの家では、「主がヨセフと共におられたので、彼はすべてうまく事を運んだ」とあります。ヨ
セフは目をかけられ、家の管理、財産の管理、農地の管理など、ポティファルから全財産を任せら
れました。主人の信頼を得た上に、ヨセフは顔も美しく、体つきも優れていたと記されています。
Joseph and Potiphar's Wife, by Guido Reni 1630
さて、ポティファルに妻がおりました。彼女はヨセフ
に「私の床に入りなさい」と命令しました。いくら女
主人の命令とはいえ、ヨセフにはこのことは「大きな
悪」であり、神に罪を犯すことであると思い、きっぱ
りと断ります。ところが彼女は毎日ヨセフに言い寄っ
たのです。奴隷のヨセフは逃げようがありません。
ある日、無人となった家でポティファルの妻はヨセフ
の着物をつかんで、
「私の床に入りなさい」と命じます。
ヨセフが逃げると、ヨセフの着物をつかみ取り、証拠
とし、
「見てごらん。ヘブライ人などを私たちの所に連
れてきたから、私たちはいたずらをされる。彼が私の
所に来て、寝ようとしたから、大声で叫びました」と、使用人を呼んで、ヨセフに罪を着せました。
愚かな誇りが傷つけられて、いきなり居丈高になって、叫びます。まず、ヨセフをヘブライ人と呼
んで、蔑みます。妻は夫ポティファルにも同じように訴えました。身分の違いを超えて、しかも人
妻を凌辱しようとすれば大罪であり、即刻死刑だったでしょう。ところがポティファルはヨセフを
王の囚人をつなぐ監獄に入れたとあります。再びヨセフは助けられ、運命は転回していきます。
ポティファルの妻はヨセフが優秀で美男子だから、宦官の夫のせいで性的欲求不満があったから、
また、奴隷なのだから、自分の欲求を満たして当然と思ったのでしょう。暴力で支配できない女は、
人を陥れる嘘をつきます。自尊心を傷つけられ、逆襲の塊になるのです。彼女こそ性欲の奴隷、権
力の奴隷、虚偽、欺瞞を用いても保身する、欲望の奴隷になっているのです。気の毒です。
ディナ、タマル、ポティファルの妻と、女性の性にまつわる被害者、加害者の話が続きました。聖
書は生々しい人間の姿を記しています。ヨセフは夢見る人と呼ばれました。彼は見えている現実の
世界の向こうに、見えない真実を見ようと、清らかな目を持って生きた人間ではないかと思います。
それゆえヨセフは「泉のほとりの実を結ぶ若木」と、父ヤコブから祝福されたのです。
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