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第1号 理解できる企業への投資 - 農林中金バリューインベストメンツ株式

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第1号 理解できる企業への投資 - 農林中金バリューインベストメンツ株式
オクノホソミチ - 投資の視座 -
平成 27 年 1 月 23 日
第1号
理解できる企業への投資
運用担当執行役員(CIO)
奥野 一成
ファンド・マネージャー
坂田智史
ファンド・マネージャー
有村亮一
コミュニケーションをさせて頂いております皆様方に,「オクノホソミチ -投資の視座-」
をお届けさせて頂きます。「オクノホソミチ-投資の視座-」は,株式投資に関する個別
のテーマ・トピックについて,定期的にご紹介をさせて頂くものです。
「オクノホソミチ-投資の視座-」は,私たちが農中信託銀行において業務していた頃か
ら定期的に発行していました。今般,農林中金バリューインベストメンツの新設にあたり,
今日的な視点も加え,再発行していきたいと考えています。
5 年前に書いた題材を以下に載せていますが,内容は色褪せておりません。これは長期
的な視点による投資分析の普遍性の現れであると考えています。では早速,内容に入り
たいと思います。
ファンド・マネージャー
桑山妙子
今回は,世界的に高い競争力をもつと一般的に言われている「任天堂」を例に,「理解で
きる企業への投資」をテーマとして考えてみたいと思います。
ファンド・マネージャー
図表 1: 任天堂の株価推移
岡島翔士郎
80,000
70,000
ファンド・マネージャー
60,000
藤森淳一
(円)
50,000
40,000
30,000
20,000
10,000
1990
1991
1992
1993
1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
-
出所: Bloomberg
2000 年代後半にかけて,ゲーム機の付加価値軸を変えたと言われる「Wii」や「DS」の躍
進を梃子として,ピークである 2009 年 3 月期に任天堂は 5,000 億円を超える営業利益を
計上しました。しかしながら,直近では 3 年連続の営業赤字となっており,任天堂の成長
路線は大きな曲がり角を迎えています。
下表は,「次世代ゲームプラットフォームの変遷」をまとめたものです。
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本資料は、貴職限りでのご利用をお願いします。
本資料は、金融商品取引法等における広告等には該当しません。
本資料は、個別企業の有価証券等への勧誘・販売を目的としたものではありません。
本資料は信頼できると考える情報に基づいて作成しておりますが、情報の確実性あるいは完全性を保証するものではありません。
本資料の意見にかかる部分は筆者の個人的意見も含まれており、必ずしも全てが当社の意見でないことについてご了承下さい。
図表 2: 次世代ゲームプラットフォームの変遷
時期
勝者
第 1 世代
1980 年代
任天堂
第 2 世代
1990 年代後半
ソニー
第 3 世代
2000 年代前半
ソニー
第 4 世代
2000 年代後半
任天堂
第 5 世代
2010 年代前半
アップル,グーグル,DeNA,GREE
第 6 世代
2010 年代後半
?
ハード名
ファミリーコンピューター
プレイステーション
プレイステーション 2
Wii
スマートフォン
?
83 年に任天堂のファミリーコンピューターから始まったゲームプラットフォーム争奪戦は,
概ね 5 年サイクルで新たな勝者を生んでおり,この点のみを見ても,「先行きが見通し難
い産業である」との仮説を持つことができると思います。昨今のゲーム産業を取り巻く競
争環境は,アップルやグーグルなどの異業種との,いわゆる「アイボールシェア」(消費者
の視線)の争奪戦へと一段と厳しいステージを迎えつつあり,私達は「任天堂」をはじめと
するゲーム機メーカーのビジネスは,益々,「理解し難い」ものになってきているとの印象
を強めています。
以下は,バフェット氏が投資対象とする企業の4つの条件を紹介したものです。
1.
2.
3.
4.
理解可能な企業であること
事業の長期的見通しがよいこと
正直で有能な人々によって経営されていること
魅力的な値段で買えること
4 つの条件の最上位にあるのが「理解可能な企業」です。それは,ビジネスの内容が理
解できない限り,ビジネスの経済性・長期的見通しの良し悪しや,経営者が優秀か否か,
そして魅力的な値段で売られているか否か,の全てについて理解できないことになるた
めでしょう。
実際にバフェット氏は,技術革新が激しくビジネスが理解し難いハイテク企業への投資は
控える一方で,ビジネスの内容が容易に理解でき,10~15 年先のビジネスの状況が予
測可能な企業への投資を行ってきました。例えば,誰もが知るコカコーラや,カミソリメー
カーのジレットなどがそうです。仮にネット革命を上回る更なる技術進歩が将来的にもた
らされたとしても,10 年後に世界の人々がコカコーラを飲まなくなり,男性がヒゲを剃らな
くなるような世の中を,一体誰が想像できるでしょうか?
事業の強さの源泉を理解できれば,そこから創出されるキャッシュフローも推定でき,最
終的には企業価値も信頼性をもって算出できます。前提となっているキャッシュフローに
変更がないのであれば,毎日の相場変動に一喜一憂することなく,むしろ日々の変動を
収益機会に変えることもできるのです。外部環境の変化が著しい昨今の市場において,
「理解できる企業」への厳選投資のほうが精神衛生上も良いと思いませんか?
次回以降は,「企業の強さ」をどのように理解するのか,という点について,またバフェット
氏の考え方を引用しながら議論してみたいと思います。
以 上
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