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Doctoral Dissertation / 博士論文
Frequent association of thrombophilia in
cerebral venous sinus thrombosis
池尻, 誠
三重大学, 2014.
内容の要旨・審査結果の要旨 / 三重大学大学院医学系研究科生命医科学専攻病態解明医学講座臨床検査医学分野
http://hdl.handle.net/10076/13990
学位論文の要
ヒ
二A
目
三 重 大 学
三重大学大学院医学系研究科
所属
申
生命医科学専攻
病態解明医学講座
氏名
池尻誠
臨床検査医学分野
主論文の題名
Frequent association of thrombophilia ln cerebral venous sinus
thrombosis
主論文の要旨
I
目的]
米国では毎年約 1
70,
000症例の静脈血栓塞栓症 (VTE) 患者が治療を受けている。脳静脈洞血
栓症 (
CVST) は VTEの一種であり、年開発症率が成人 200万人当たり 3,4例、新生児 100万人
当たり 7例と稀な疾患である。疫学調査の報告は少なく、正確な発生率は分かつていなし、。 CVST
のリスクファクターは、腫E
吾、感染症、外傷、経口避妊薬使用、妊娠/周産期ならびに血栓性素因
などである。主な後天性の血栓性素因は抗リン脂質抗体であり、先天性の血栓性素因にはアンチト
ロンピン (
A
T
) 、プロテイン C (
P
C
) 、プロテイン S (
P
S
) の異常症と、第 V因子Lei
d
e
nや プ
ロトロンビン 20210G>A変異があるが、日本人には第 V因子Lei
d
e
nやプロトロンピン 2021OG>A
変異は報告されていない。
本研究では、 CVSTを発症した 1
2症例て、血栓性素因の有無について検討を行った o
【対象・方法]
対象は 2
003年 1月 1日から 2011年 2月 28日の聞に CVSTと診断された 1
2症例である。血栓
症を発症する誘因としては、症例 1は妊娠、症例 3は重篤な炎症、症例 5は鉄欠乏性貧血、症例 6
は経口避妊薬の服用が認められた。症例 1と 1
1は脳静脈洞以外の部位にも血栓が認められた。
PSと PC活性は、それぞれ S
T
A
S
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-P
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tならびに S
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(
D
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g
n
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s
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t
a
g
o
) を用いた凝固時間法で測定した。遊離型 PS抗原濃度は、 Asserachrom仕 e
e
三
PSk
i
t(
D
i
a
g
n
o
s
t
i
c
aS
t
a
g
o
) を用いた ELISA法で測定した。 PC抗原濃度は、 LPIA-ACEPC C
菱化学メデ‘イエンス)を用いたラテックス凝集反応で測定した。 AT活性は、 C
hromorateA
T
I
I
I(
C
)
、 I
ムt
e
s
t(
G
r
a
d
i
p
o
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e
)
k
i
t (三菱化学メデイエンス)を用いた合成基質法で測定した。 DRVVTは
を用いて測定した。 s2GP1抗体は、 ELISAk
i
t (Yamasa) を用いて測定した。遺伝子組み換え
PSの一過性または安定発現細胞株での PS発現レベノレの定量は、自家製の ELISAと ProSRβagent
C
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u
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o
nL
a
b
o
r
a
t
o
r
y
) を用いた凝固時間法で測定した。
I
結 果1
1
2症例中、 AT活性低下は 3症例、 PC活性あるいは抗原低下は 5症例、 PS活性あるいは抗原
の低下は 7症例でみられた。 AT
、PC
、P
Sの低下がみられなかった症例の
1つには DRVVTと s2GP
(
A
P
S
) と診断された。血栓性素因の遺伝子
S遺 伝 子 変 異 が
解析を行った結果、 AT遺 伝 子 変 異 が 1症例、 PC遺 伝 子 変 異 が 1症例、 P
2症 例 み ら れ た 。 こ れ ら の PS遺 伝 子 変 異 の 1例 は 、 新 規 遺 伝 子 変 異 (Gly
1
8
9
A
l
a
) と PS
徳島変異 (
L
y
s
1
9
6
G
l
u
)の複合ヘテロ接合体変異であった。この新規変異は 1
0
0人 の 健 常
人ボランティアにはみられなかった。野生型と変異型を COS7細 胞 に 一 過 性 に 発 現 さ せ た
S濃度は野生型と変異型聞に有意差は認、められなか
系において、培養液中に分泌された P
った。しかし、 BHK細 胞 で 野 生 型 と 変 異 型 を 安 定 発 現 さ せ た 系 で は 、 培 養 液 の APCコフ
3
.
9
土5
.
8
%と有意に低下していた。
ァクター活性は、野生型に比べ変異型で 3
、 PC
、P
Sが低下していた症例は、多臓器不全やワノレファリ
遺 伝 子 変 異 が な く て も AT
ン の 服 用 な ど が 見 ら れ た 。 遺 伝 子 変 異 の な い 症 例 は CVSTの治療後、 AT
、 PC
、P
Sは改
I抗 体 が 陽 性 で あ り 、 抗 リ ン 脂 質 抗 体 症 候 群
善された。
I
考察 I
CVST発症原因における、 AT、PC、PSの欠乏ならびに APSなどの血栓性素因の比率は、約
9%と報告されている。また、各因子の CVST発症リスクのオッズ比は AT欠乏で 7
.
0
6、 PC欠乏
.
7
6、PS欠乏で 3
.
2
0ならびに APSで 6
.
9
5と報告されている。本研究は少数例の検討である
で8
4
/
1
2
) の症例にみられ、 C
VSTにおける先天性血栓性素囚
が、先天性の血栓性素因は約 33.3% (
の頻度は、以前の報告より高い可能性が示唆される。この原因としては、 C
VSTの大規模な調査で
は遺伝子解析は行われていないことが考えられる。
AT遺伝子変異 1例
、 PC遺伝子変異 1例
、 P
S遺伝子変異 2例がみられた。
これらの中、未報告の P
S遺伝子変異(Gly
1
8
9
A
l
a
) と PS徳島変異 (
L
y
s1
9
6Glu
) を複合ヘテロ
S
.Gly
1
8
9
A
l
a変異が PS欠乏の原因となり得るかを調べるため、細
接合体でもつ症例があった。 P
胞発現実験を行った。変異型は P
S分泌量が野生型と差がなく、 APCコファクター活性が約 30%
まで低下しており、タイプ I
Iの P
S異常症と推測される。また、 PS徳島変異 (
L
y
s
1
9
6
Gl
u
) は日
本人の約 2%にみられる遺伝子変異であり、タイプ I
Iの P
S欠乏症である。この 2種類の遺伝子変
異を有するため、 P
S活性が著明に減少し、 CVSTの発症に至ったと推測される。
AT
、PCならびに P
Sは低下していたが、遺伝子変異がみられなかった症例は、これらの低下は
、
多臓器不全や経口避妊薬の影響と考えられる。あるいは、血栓症を発症した結果、二次的に AT
PCならびに PSが低下した可能性もある。 CVSTを含む様々な血栓症において、 AT、PCならび
にP
Sの二次的減少機構についての検討が必要である。
遺伝子解析の結果、
多くの脳梗塞は動脈血栓に起因すると考えられ、アスピリンのような抗血小板薬で治療されてい
CVSTはワノレファリン治療が推奨されている。このため、動脈硬化性脳血栓と CVST
の鑑別は重要である。また、 C
VSTは DVTほど手術後の長期臥床の影響を受けないので、血栓性
素因が発痕の原因となる頻度は、 DVTより C
VSTの方が高い可能性がある。
VSTの原因としての血栓性素因の検索は重要であると考えられる。
以上、 C
る
。
方
、
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