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野獣騎士の暴走求愛(18禁的な意味で)からの逃げ方
野獣騎士の暴走求愛(18禁的な意味で)からの逃げ方 イナテ !18禁要素を含みます。本作品は18歳未満の方が閲覧してはいけません! タテ書き小説ネット[R18指定] Byナイトランタン http://pdfnovels.net/ 注意事項 このPDFファイルは﹁ノクターンノベルズ﹂﹁ムーンライトノ ベルズ﹂﹁ミッドナイトノベルズ﹂で掲載中の小説を﹁タテ書き小 説ネット﹂のシステムが自動的にPDF化させたものです。 この小説の著作権は小説の作者にあります。そのため、作者また は当社に無断でこのPDFファイル及び小説を、引用の範囲を超え る形で転載、改変、再配布、販売することを一切禁止致します。小 説の紹介や個人用途での印刷および保存はご自由にどうぞ。 ︻小説タイトル︼ 野獣騎士の暴走求愛︵18禁的な意味で︶からの逃げ方 ︻Nコード︼ N6051BK ︻作者名︼ イナテ ︻あらすじ︼ ﹁早く、貴方が、欲しい︱︱﹂ 突然王国最強の騎士との婚約が決まった王女エルミア。 だがその男は、獰猛な野獣と恐れられる野獣騎士グランだった。 必死に逃げるエルミア。 だが、いつしかグランの熱く一途な暴走求愛に次第に絆され︱︱? 野獣騎士の一方通行すぎる暴走求愛︵18禁的な意味で︶と必死に 戦う王女様のお話。後半激甘。完結済。続編不定期更新中。 1 *本作は2015/5/2一迅社様新レーベル<メリッサ>より書 籍化致しました。読んでくださった皆様、本当にありがとうござい ます!現在2巻まで発売中です* 2 ︻婚約編︼ 超時短予告︵前書き︶ ﹃野獣騎士の暴走求愛︵18禁的な意味で︶からの逃げ方﹄︻婚約 編︼超時短予告。 3 ︻婚約編︼ 超時短予告 王国唯一の世継ぎである王女の私に、父から結婚命令が出た。 黒髪黒目の長身に鋭い目つきを持つ、鍛えられた体躯の軍のト 相手は王国筆頭騎士グラン。 国内の男の中では、姫婿として地位も外見も年齢も至って順当 ップ。父上の右腕だ。 ヤツは獰猛な野獣騎士、もしヤツと結婚しようものなら初夜の いやいや、ありえない、ありえないから。 な相手なのだが。 寝床で殺される、確実に。 ﹁ぐ、まて! まだこんにゃく、じゃない婚約しただけだろう! やめろ! 落ち着け、離れろ⋮⋮!﹂ ﹁もう王の許しは得ました、貴方に触れても許されるはず﹂ ﹁ぎゃ! やめ、無理、ぁぐ、ぅ!﹂ ︱︱一国の姫の婚姻だというのに、ロマンスの欠片もない︱︱! 4 ﹁何年も前からお前との婚姻を懇願しておったぞ、グランは。あの 若さで筆頭騎士まで登りつめたのもお前が欲しいが為と言っておっ た﹂ ﹁グラン様はずっと姫様との結婚が夢だったんです! ただ姫様だ けを見つめてきたんです! それはもう、恐ろしくて恐ろしくて逃 げ出したくなるほど一途に何年も何年も何年も!﹂ ﹁グラン様の弱点はただひとつ、姫様、貴方だけです!﹂ 切ない呟きとともに何度も何度も口付けされ、唇から強烈な想い がドッと流れ込んでくる。 ﹁あぁ、姫⋮⋮どうか貴方のこの唇で⋮⋮私を愛していると、言っ て、ください﹂ ﹁貴方、が⋮⋮貴方が、ここに居るだけで、もう、私は⋮⋮⋮⋮ッ﹂ ﹁おね、がい、です⋮⋮どう、か、私から、逃げ、ない、で︱︱私、 の⋮⋮エル、ミア︱︱﹂ あのグランに、あろうことかときめくなんて︱︱世界がひっくり かえってもありえないだろう⋮⋮!? ﹁く、あぁっ、待て、中、に出すなッ、こ、子供、が、出来⋮⋮っ 5 ひぁ、んっ、んーーっ!﹂ ﹁姫、ひめ⋮⋮!! あぁ何故、ですか、もう貴方は、私の、もの、 どうか⋮⋮私の子を、くっ、産んで、くだ、さ﹂ 完全に中に吐き出す気満々なヤツの言葉に、真剣に焦り身体をず り上げるが、大きなごつい手で腰骨を掴まれ、ズン、と結合をより 深くされ、思考が遥か遠くにぶっ飛んだ。 逞しい男根を火花が出そうなくらいの速度でぐちゅぐちゅと忙し なく突き入れ、ろくに言葉も紡げ無いほどに私をガンガンに追い詰 めてくる。 いや、追い詰められているのはヤツなのか。それすら、もう、 ﹁貴方が傍に居なければ、もう眠る事すらできない、たった一枚の ドア、一枚の衣服すら⋮⋮貴方と私を隔てるものが辛、くて、﹂ ﹁どうか、お願いです、姫⋮⋮! 今すぐ私の妻となり、私の子を 産み、生涯私の腕の中で、ずっと、ずっと⋮⋮⋮⋮!!﹂ 野獣騎士の激しすぎる暴走求愛は、止まらない︱︱︱︱?! 6 ROUND1:野獣騎士との婚約 ありえない︱︱私は愕然とした。 王国唯一の世継ぎである王女の私に、父から結婚命令が出た。 相手は王国筆頭騎士グラン。 黒髪黒目の長身に鋭い目つきを持つ、鍛えられた体躯の軍のトップ。 父上の右腕だ。 国内の男の中では、姫婿として地位も外見も年齢も至って順当な相 手なのだが。 いやいや、ありえない、ありえないから。 ヤツは獰猛な野獣騎士、もしヤツと結婚しようものなら初夜の寝床 で殺される、確実に。 根拠?根拠はありすぎて説明するのも億劫だ。⋮⋮察してください。 逃げるべきか、殺られる前に殺るべきか、それが問題だ。 などと戦々恐々としていたら、初夜どころか、婚姻前に殺された。 7 ﹁ぎゃ、ぐ、あ⋮⋮⋮⋮!!﹂ 決してモンスターの断末魔ではない。王女の悲鳴だ。念のため。 ヤツとの婚約を知らされたすぐ後に、グランに城の空室に連れ込ま れた。 さすが戦いの場においては疾風迅雷の王騎士と呼ばれただけある男。 早いな、それにしても早過ぎる。 ﹁ぐ、まて、まだこんにゃく、じゃない婚約しただけだろう!やめ ろ!落ち着け、離れろ!﹂ ﹁もう王の許しは得ました、貴方に触れても許されるはず﹂ ﹁ふっざけるな!どこに結婚前に婚約者を襲うバカがいるんだ!目 の前にいるな、残念な事に!﹂ ﹁襲ってはいません、ただ貴方に触れているだけです﹂ ﹁同じだろ!しかも、なにで触れてるんだナニで!﹂ ﹁男女はこうして、交わるのでしょう?﹂ ﹁痛!おま、やっぱりそうか!どうもオカシイと思った、女抱くの 8 初めてだな?!﹂ ﹁当然です。貴方以外の女に、私が触れるはずがないでしょう﹂ ﹁ぎゃ!やめ、無理、ぁぐ、ぅ!!﹂ ⋮⋮⋮⋮⋮⋮悪夢だ。 ありえない。これはなんの拷問だ。 一国の姫の婚姻だというのに、ロマンスの欠片もない。端からこれ っぽっちも期待はしていないが。 9 ROUND2:野獣騎士への対策 ⋮⋮股が割れるかと思った。 いや実際に割れたというか裂けた。 あれでほんの少ししか入らなかったってどういう事だ?人外か?野 獣か? 更にヤツが入口に性器を押し当てたままあろうことか射精したもの だから、内腿やら恥丘やら床やらに白くもったりとした体液がとん でもなく飛び散った。 後始末がとんでもなく恥辱プレイだった。 古参の執事ベルモアに任せたが、ベテランの爺があまりの惨状にひ っ⋮⋮!と悲鳴をあげたくらいだ。 掴まれた胸と尻も痛い。ヤツの指跡が残っていそうだ。確かめるの も嫌だが。 大体、あのグロテスクにそそり立つ巨大なものが入るわけが無い。 いやいやそもそも婚前にあんなものを見せられ、股に押付けられた まま精液をぶっかけられたのは歴代王族の中で私ただ一人だろう。 断言してもいい。 10 入り口に割り込んできたあの壮絶な痛みを思い出し、全身がぶるぶ る身震いした。 いっそあの部分を縫い付けてしまいたい。だがそれすらもぶち破っ てきそうだ、ヤツならば。 とにかくなにかがおかしい、ヤツは。 婚約が決まった途端、襲い掛かってくる男など聞いた事がない。 私も恋愛などしたことがないからなんとも言えんが、あきらかにお かしな事態だ。 とりあえずこの状況を打開する為にも、ヤツよりも疾風迅雷で動か なければ⋮⋮! ﹁たのもう!﹂ ﹁なんだ、エルミアか﹂ ﹁父上、貞操の危機です、今すぐグランとの婚約を撤回してくださ い!﹂ ﹁その事ならば、グランには好きにしろと言ってある﹂ ﹁はあぁ?!﹂ 11 ﹁何年も前からお前との婚姻を懇願しておったぞ、グランは。あの 若さで筆頭騎士まで登りつめたのもお前が欲しいが為と言っておっ た。そこで、ちょうど近頃北方を荒らす凶悪な賊に悩まされておっ たので、一掃したらお前をやるとそう約したらば、あやつ、即刻壊 滅させおった、愉快愉快!﹂ ﹁ふ ざ け な い で く だ さ い!そんな約束で私を殺 す気ですか、私を壊滅させるつもりですか?!﹂ ﹁だがしかし、あやつはお前にずっと懸想しておったようだぞ﹂ くび ﹁は?寝言が聞こえましたが、何か?初めて会った時から、敵を縊 り殺さんばかりの目つきで睨まれ続けていますが、何か?﹂ ﹁それは、恋慕ゆえに視線にも情熱が滾ってしまったのじゃろう﹂ ﹁あ り え ま せ ん。現に先程もヤツに襲われました。ヤツ は獰猛な野獣です、この城から、いやいっそ人界から追放すべきで す!﹂ ﹁ほほう、お前をそれほどまでに求めておるとは⋮⋮子の誕生も近 いな、沢山産むが良い。楽しみにしておるぞ﹂ 話が全然全くこれぽっちも通じなかった。 こうなったら、自分の身は自分で守るしかない。 12 ROUND3:野獣騎士の弱点 側仕えを倍に増やし、護身用のナイフを数本帯剣した。 もはや臨戦体勢、万全の迎撃体勢だ。 過剰防衛でうっかりヤツを殺ったとしても、きっと神は許して下さ る。きっと。 懇意にしている側仕えの一人ケイナは﹁箱入りの姫様が、あの獰猛 な野獣から逃げられるわけないじゃありませんか。どうせすぐにや られておしまいになるんですから、それが結婚前だろうが後だろう がたいした違いはございませんわよ﹂などと冷酷な事を呟いていた が、そういう問題ではない。 可能ならこのまま一生、やられるのは御免こうむりたい。可能なら。 誰かヤツへの必勝法やら攻略法を知ってるやつはいないのか。敵を 倒すには情報が必要不可欠だ。 もんもんと考えながら、夕食を終え部屋に帰る途中、バッタリと丁 度いい人物に出会う。 グラン直属の部下、ボルドー。 グランに一番近いヤツなら、グランの弱点や攻略法を知ってるに違 13 いない。 だがボルドーは、私と目が合うと明らかにびくうぅっ!と震え上が り、無礼にも廊下の端からそそくさと逃げようとした。 ⋮⋮なんなんだあいつは。 挙動不審なボルドーの肩を遠慮なくがしっと掴み、呼び止めた。 ﹁待て、ボルドー﹂ ﹁ぃひいい!は、はいぃ!!なななんでしょうか、姫!﹂ ﹁ちょっと話がある。私の部屋へ来い﹂ ﹁めめめめ滅相もございません、私ごときが恐れ多くも姫君の部屋 へ足を踏み入れる訳にはいきません!ここころころ、殺されます! !﹂ ﹁は?何を言ってるお前。まあいい、ならばちょっとそこで食後の 茶会に付き合え﹂ ﹁ひ⋮⋮!でででですがっ⋮⋮﹂ ﹁いいからこい。王女命令だ﹂ 問答無用で食堂に戻り、茶の席に座らせた。 14 ﹁さあ、遠慮なく吐け﹂ ﹁なななにをですか、姫﹂ ﹁グランの弱点だ、お前なら知ってるだろう?﹂ ﹁え、えええええ!!﹂ ﹁えええじゃない。さっさと吐け、可及的速やかに吐け。じゃない と私がヤツに殺される﹂ ﹁えええ!ま、まさかグラン様⋮⋮とうとう、我慢できなくて⋮⋮ や、やっちゃったんですか?!﹂ ﹁とうとう?お前、何を知ってる。ちゃっちゃと吐け﹂ ﹁グ、グラン様は⋮⋮もう、限界だったんです!!﹂ ﹁は?﹂ ﹁僕らももう限界だったんです!!﹂ ﹁さっぱり分からん﹂ ﹁グラン様の、嫉妬です!﹂ ﹁嫉妬?話が見えんな﹂ 15 ﹁グラン様はずっと姫様との結婚が夢だったんです。ただ姫様だけ を見つめてきたんです、それはもう、恐ろしくて恐ろしくて逃げ出 したくなるほど一途に何年も何年も何年も!﹂ 結婚が夢?⋮⋮ヤツは乙女か? ﹁姫様も感じていたでしょう?熱い熱いグラン様の激愛光線を!な のに、最近姫様には他国からの縁談が次々と押し寄せてくるじゃあ りませんか!その度にグラン様の荒れ様と言ったら⋮⋮っ﹂ ボルドーの情け無い顔が、くしゃっと更に情け無くなった。 ﹁騎士団ではグラン様の事を鬼・悪魔・死神と密かに隠語で呼ぶほ どでした!もし姫様が他の男と結婚しようものなら、すぐさま最凶 無双モードに切り替わりそうで、もう騎士団一同、怖くて怖くて⋮ ⋮!ですからグラン様が姫様とようやく婚約されたと聞いた夜は、 全員で狂喜乱舞の大宴会でした!⋮⋮どうか姫!我ら騎士団の救世 主!女神のようなその存在で、荒ぶるグラン様を鎮めてくださいぃ !﹂ ﹁断る。そんな事どうでもいいからグランの弱点を教えろ。この私 が、ヤツを即刻撃破してやる﹂ ﹁グラン様の弱点はただひとつ、姫様、貴方だけです!﹂ ﹁私?﹂ 16 ﹁そうです、姫様を得る為ならグラン様はなんだってやります、現 につい最近北の地で騎士団全員血反吐吐きました。姫様に害成す者 も容赦無くメッタ刺しです!﹂ ﹁その害を成そうとしてるのが今現在ダントツトップでヤツなんだ が、それはなんとかならないのか﹂ ﹁それは⋮⋮っ、ええ∼∼と、そうだ!姫様の魅力で誘惑でもすれ ば、きっとグラン様はイチコロです!それはも∼∼自由自在に操れ ます!絶対!﹂ ﹁そんな便利なスキルがあったらとっくに使ってる!他になにかス キャンダルはないのか?賄賂恐喝殺人なんでもいいぞ﹂ ﹁聞いた事ありません。強いて言うなら⋮⋮姫様への執着っぷりが 限りなく犯罪に近いスキャンダルです﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮あ、そう﹂ 突然ハッとボルドーが蒼白な顔で立ち上がった。 ﹁ああああああ!こんなに長く姫様とお話していた事がグラン様に バレたらっ⋮⋮⋮⋮ここころころ殺されてしまいます!どうか姫様、 グラン様の事、よろしくお願いします!﹂ バッと一礼してボルドーは消えた。 17 ⋮⋮なんの役にも立たない情報、ありがとう。 18 ROUND4:野獣騎士の夜襲 就寝中、耳元でギシリと不吉な音がして、ハッと目を見開いた時に は遅かった。 ヤツの硬く重い身体に思い切り圧し掛かられていた。 ﹁おま、どうやって、ここに、﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮姫。ボルドーと、なにを、して、いたの、ですか?﹂ ゾクウウゥッ⋮⋮!! 肩から背中にかけて、身の毛もよだつ悪寒が走った。 亡霊の様に生気の無いグランの顔が目の前に迫る。 き、気のせいだろうか、なんだか物凄く不穏な空気を感じるんだが ⋮⋮。 グツグツ煮えたぎる黒いマグマのような物騒なものが、ヤツの周囲 からじわじわと滲み出ているのが見える⋮⋮め、目の錯覚か?ごし ごし。 目を擦っても見える⋮⋮ヤツの怨念の具現化?怨念って見えるもの 19 なのか? ﹁ボルドーなら確かに会って話していたが、それがどうした﹂ ﹁⋮⋮なにを⋮⋮話して、いたのですか?﹂ ぎくぅっ。 まさか本人を前にして、お前の弱点を調査していた、お前を撃退す る為にな!フハハハハ!!などと高らかに言えるはずもない。 ﹁え、あー⋮⋮﹂ ﹁⋮⋮っ、口では、言えない、事を︱︱して⋮⋮いたの、ですか?﹂ ゾゾクウウゥッ⋮⋮!! なんでセンテンスを短く区切ってくるんだ。コワ、コワい、コワす ぎる⋮⋮! 見下ろしてくる虚ろな漆黒の目は、グラグラ暗く揺れていて、その 不吉さに呪われそうだ。 ﹁ちが、⋮⋮っそもそも、なんで私がボルドーに会っていた事が分 かった?﹂ 20 ﹁匂いが⋮⋮﹂ ﹁におい?﹂ ﹁貴方の香りが⋮⋮ボルドーから、したので、すぐさま、奴を、詰 問しました﹂ さすが野獣、鼻が効くZE! なんて褒め称えている場合じゃない。 そういえば、ボルドーはしきりに﹃グラン様にころころ殺される!﹄ と怯えていた。ま、まさか⋮⋮ ﹁まさかお前⋮⋮っ、ボ、ボルドーは無事なんだろうな?!﹂ ﹁︱︱姫、⋮⋮なぜ、そんなに⋮⋮ボルドーの事を、﹂ 案じるのですか、と苦悶の声で呟いたその精悍な唇で口を強く塞が れた。 卑猥な吐息まじりに何度も唇を食まれ、重たい身体に胸が圧迫され ている事も手伝い、徐々に頭がくらくらとしてくる。 これは⋮⋮明らかに酸欠↓気絶コースじゃ⋮⋮? 21 マジメに息があがって、く、苦し︱︱ いやいやいやいや、この状態で気絶なんてしようものなら、この野 獣に食い殺される!! しっかりしろ!このまま好き放題されてもいいのか?!いいや、よ くない、断固よくない。 ﹁っ⋮⋮は、はぁっ、ぁあっ、はぁ!﹂ ヤツが唇を離した隙に必死に酸素吸入した。生きる為に。酸素が美 味い。 だが、ヤツはそんな私を見て、益々苦しげに息を荒くした。 ﹁く⋮⋮っ、ぁあ、姫⋮⋮もう、耐えられ、な⋮⋮ッ﹂ 耐えられないって⋮⋮おま、﹃耐える﹄という言葉の意味、分かっ てるのか?! 我慢、辛抱と類義語だぞ!どう考えてもお前が使うのは間違ってる だろ! 人の部屋に夜襲した挙句押し倒しておいて、一体この上なにを耐え ていたというんだ。 22 ﹃耐える﹄という言葉に謝れ! だが一層野獣化したヤツは性急に私の夜着を剥ぎ取り、ヤツの眼前 に白い胸がふるりと無防備にこぼれた。 ヤツはそれを思い切り視姦した後、大きな手で揉み上げ、頂点に吸 い付いた。 ﹁っぁ⋮⋮!﹂ 思わず声をあげてしまうと、グランの熱に爛れた目が私を覗きこん できて、ここが⋮⋮気持ちいいのですかと骨に響く低音で呟いた後、 乳首をれろれろといやらしく舐められた。 ﹁ふ、⋮⋮く、ぁ、あっ!やめ、⋮⋮ろっ!﹂ ⋮⋮ヤバい。ヤツに女体の感じる場所がバレてしまった。 普通ならそんな事は周知の事実だろうが、明らかにこの男は⋮⋮今 初めて知った。絶対そうに違いない。 相変わらず胸を揉む力が強すぎて痛いが、乳首を舐められ、吸われ てしまうと、腰が痺れ、快感に連動してビクリビクリと動く。 23 すると太腿に押付けられ痛々しいまでに膨張しているヤツの陰部が 擦れ、益々強度と熱を増したものをぐぐと押付けられる。 この状況⋮⋮かなりヤバいんじゃ⋮⋮? 24 ROUND5:野獣騎士VS猟奇的王女 胸を執拗に舐められ喘いでいると、ヤツの息が益々荒ぶり、獲物を 前にした野獣のように低く苦しげに唸りをあげた。 そして私の腰に跨り半身起こすと、激しく上下する私の白い胸を漆 黒の瞳でじっと凝視しながら、上衣を一気に脱ぎ捨てた。 あー⋮⋮凄い身体だな、凄い、凄い。 もしこの身体が城の庭園とかに飾られている彫刻かなんかなら、素 晴らしい!実に逞しく隆々としたフォルム、男性美の結晶だ、一流 の芸術品だ!などと手放しで褒め讃えられるような凄まじくいい身 体だが、いかんせん一方的に襲われている最中なので、ハッキリ言 ってそんな事はどうでも良かった。 厚みのある硬い硬い身体が、軟い私の肌を押しつぶしながら再び圧 し掛かってきて、ヤツの身体の熱さと鼓動の早さにぎょっとする。 ⋮⋮百メートル全力疾走でもしてきたのか?あと子供体温だな、年 齢に似合わず。 それにしても、ぐ、は⋮⋮っお、重たくて圧死しそうだ。じ、ぬ⋮ ⋮⋮⋮!! ﹁⋮⋮っおも、グラ⋮⋮どけ⋮⋮っ﹂ 25 だが荒い息を吐き、硬い両腕で私の両脇をガッチリ固め、またして も夢中で胸の頂きを舐めまわすグランの耳には届いていない。 肩を殴ろうが、髪を引っ張ろうが、額を引っかこうが、まるで通じ ない。 思わずカッとなった私は、寝台のサイドテーブルに置いてあったペ ンを、グランの肩に思い切り突き刺した。 ⋮⋮猟奇的王女とか言わないで欲しい。ついうっかりカッとなって やった、だが後悔はしていない。むしろ心臓はあえて避けた良識を 褒めて欲しいくらいだ。 ようやくグランがこちらを向いた。 ﹁⋮⋮姫、っなにを⋮⋮怒って、いるのですか﹂ ﹁なにもくそもあるか!全部腹立たしいわ!とりあえず重い!圧し 掛かるな!﹂ ﹁ですが、貴方を抱くには⋮⋮この体勢が、一番やりやすいのです が﹂ ﹁せめて自分の体重くらい、自分で支えろ!それくらい常識だろう が!お前、ちょっと娼婦でも買って女の抱き方を一から勉強しなお してこい!﹂ 26 ﹁⋮⋮嫌です。貴方以外の人間に触れるなど⋮⋮汚らわしい、虫唾 が走る﹂ ﹁じゃあせめて女の扱い方を誰かに聞いてこい!﹂ ﹁嫌です。貴方の事は、貴方に聞きます。貴方の身体の事は、貴方 の身体に聞く﹂ 開き直った!開き直ったよコイツ! 宣言通り、ヤツの指や唇や舌が私の体を縦横無尽に這い回り、私を 探ってきた。 るな!痛! 私の声があがる度に、その部分を執拗に攻められた︱︱主に歯で。 なんで歯? かじ 痛!噛むな!齧 半分以上は痛みの悲鳴なんだが。逆効果なのだが、前戯的な意味で! てか肩にペン刺さったままなんだが⋮⋮⋮いいのか?自分でやって おいてなんだが。 思い切りやったのに、厚く硬い筋肉に阻まれて、先っぽしか埋まっ てないのが悔やまれる。 あれじゃあヤツがちょっと筋肉に力を入れただけで、ポンと取れそ 27 うだ。 しかし⋮⋮なんて硬い身体なんだ、モンスター並みの装甲だ。 この身体なら、全裸で戦場で戦い抜いてもかすり傷ですむな、絶対。 ⋮⋮決して、それを見たいとは夢にも思わないが。 てか、コワい⋮⋮肩にペン突き刺さったまま、事を進めようとする グランがコワすぎる⋮⋮⋮!! そうこうしてるうちに下半身も全て剥ぎ取られ、お互いに全裸とい う崖っぷちにとうとう辿り着いた。 想像通り、ヤツは下半身も異様に硬かった。⋮⋮聳え立つものも含 めて。 それについては、ついこの間見せられたばっかりだが、あえて何度 も見たいものじゃないなとコメントしておく。 肌と肌がこれ以上無いほどぴったりと密着し、ヤツが私の肌の感触 を全身で味わおうとするかのように身体を擦りつけてくるものだか ら、ヤツの熱さが私の身体にも染み込み、身体が異様に火照りだす。 ﹁姫、⋮⋮ぁあ⋮⋮⋮、姫⋮⋮っ⋮⋮﹂ 28 うわ言のように私を何度も呼びながら、身体のいたるところに唇を 押付け、舐めまわしてくる。 そうしてヤツが身じろぐたびに、内腿を熱い肉棒の先端が幾度も擦 りあげ、濡れ滑るその感触に肌がゾワゾワと粟立った。 ⋮⋮そろそろ、諦めたほうがいいのか? 結婚は妥協だと言うしな。いやいやまだ結婚前なんだが。 だが⋮⋮一国の王女ができちゃった結婚は、ちょっと勘弁して欲し いのだが。 29 ROUND6:野獣騎士への誘惑 待て待て待て。まだ諦めるな、私。 このままじゃヤツの思うがまま、好きなように蹂躙されて終わる。 奪われ尽くして、後には草一本残らない不毛な大地が!見える⋮⋮ 私には見える! 何か方法は無いのか、何か! ⋮⋮⋮そうだ! 今は亡き?ボルドーのヤツがなんか言ってなかったか? ころころ殺され︱︱って違う!ボルドーのヤツがコロコロコロコロ 煩いから、要らん事を思い出した。うーん、そうだ、誘惑だ! ﹁姫様の魅力で誘惑でもすれば、きっとグラン様はイチコロです! それはも∼∼自由自在に操れます!絶対!﹂とかなんとか、今際の 際にそう遺言を残して逝かなかったか? しかし⋮⋮誘惑?ゆーわくってなんだ?裸にでもなればいいのか? とっくに全裸の場合、どうすれば?これ以上、何をしろと? 30 仕方ない、なけなしの知識の中から搾り出してやってみるか。 どうせ呼んでも反応ないだろうから、ヤツの肩に突き刺さってるペ ンを再度ぐっと埋めた。 ﹁⋮⋮なんですか、姫﹂ しかし便利だな、このペン。ずっと埋めといていいんじゃないか? ヤツ専用の呼び鈴として。 まぁ、それはともかく︱︱ ﹁︱︱グラン、﹂ ﹁⋮⋮っ⋮⋮⋮⋮!!﹂ グランの太い首にしがみつき、くっと顔を引き寄せ、私からヤツに キスした。 グランは︱︱ヤツはフリーズした。 唇が離れても、呆然と黒の瞳を見開いたまま、完全に固まっていた。 31 苦し紛れのテキトー感満載の助言だったが、ただ私から口付けした だけでこれならば、なかなか効果ありそうだな、コレ。 ボルドーよ、心置きなく天国で成仏してくれ。冥福を、祈る。 ﹁ひ、︱︱め、﹂ ﹁⋮⋮姫じゃない、エルミアと呼べ。お前は、私の夫となるのだろ う?﹂ ヤツの首筋を撫で、それらしい?事を口にしながら、その黒髪をや んわりとかきあげた︱︱らば。 突然、ヤツの顔からざあっ⋮⋮と血の気が引く音が聞こえ、一気に 顔面蒼白になるのが見えた。 世界の終わりのような絶望一色の表情のまま、呆然と震える唇が地 獄の底から響く低音で恐怖の呪言を紡ぎ出した。 ﹁⋮⋮ひ⋮⋮め、ボルドー、にも⋮⋮このような⋮⋮事を、した、 の、ですか⋮⋮?﹂ はいいいい?!?!一体、何を言い出すんだ、この男は!? 32 ﹁ボルドー、にもそのような、言葉を⋮⋮かけたの、ですか?その 身を、心を︱︱どこまで⋮⋮許した、の、ですか⋮⋮っ﹂ びゅうううう︱︱と、新鮮なまま瞬間冷凍できそうな、底冷えのす る超寒波が襲いかかってきた。 その暗黒魔王の如き漆黒の目は、暗い暗い虚無の淵を映し出し、そ れこそ世界を滅亡させかねない大変物騒な眸に、なんだかよく分か らんが、私はどうやら行動を間違えたらしい事を悟る。 ⋮⋮っっおのれボルドーめ!地獄の底で必ず復讐してやるから覚悟 しろ⋮⋮!! ﹁⋮⋮⋮⋮ひ、め﹂ ﹁ぃひ、ぃ⋮⋮⋮っっ!﹂ 恐怖の余り、非常に情け無い声が出た。ガクブル!! ﹁貴方は⋮⋮私のもの︱︱その心、も身体も、全部私の、もの﹂ ヤツの上半身が私をさらに押しつぶし、グランのガッシリとした腰 が、私の両足を強引に割り開く。 33 パンパンに硬く張り詰めたグランのそそり立つものが閉じた蜜口に ぐぐ⋮⋮と押し当ててられ、腰が恐怖にびくついた。 入り口の軟い襞を強引に内側に巻き込みながら、ヤツの先端が徐々 に体内に呑み込まれる感触に戦慄する。 っっぎゃあああああああ!!! 34 ROUND7:野獣騎士とその部下達 ドゴーーン!! どら 絶対絶命のその時、突然、戦闘終了の銅鑼が鳴った。 ⋮⋮銅鑼?うちの国に銅鑼なんかあったか? それになんか⋮⋮ぐぎゃ!とか踏み潰されたネズミみたいな情け無 い悲鳴も聞こえたような︱︱ 音がしたのは、部屋のドアからだった。 見るとそれは片側は完全にぶっ壊れ、もう片方は唯一一箇所だけ残 ったつなぎ目から無残にも垂れ幕のようにブラブラとぶらさがって いた。 そこに現れたのは、野獣に襲われている姫君を颯爽と救いに来た正 義のヒーロー︱︱なんかでは断じて無く、グランの部下が二人⋮⋮ いや、床につっぷしているのも入れると三人が居た。 ドアの残骸の前に立っていたのは、同じ容姿の騎士二人。 いかにも女たらし典型の金髪碧眼に甘いマスクのタレ目でイケメン な双子だが、ヤツらと関わり合いになると碌な事は無いので、ずっ とあからさまに遠ざけてきた部類の人間だ。 35 今回も、きっと碌な事にならないだろう。 ちなみに床に突っ伏していたのは、ついさっき地獄の底での復讐を 固く誓ったボルドーだった。 あれっ?⋮⋮生きてたのか?よく生きてたな。 どうやらドアにしたたかに顔面をぶつけたらしく、顔を両手で押さ え、ひーひー呻いている。 ところで⋮⋮そこの双子騎士。 どう見てもお前らの上司が婚約者の王女にナニをアレしようとして いる瞬間の場面を目の当りにして、別段驚くでもなく、遠慮して視 線を外すでもなく、にやにやと同じ顔でくいいるように見てくるの はやめろ。 てかその鑑賞の仕方で、双子の見分けが容易についた。 私のこぼれた白い胸や太腿、グランのものが食い込もうとしている 股をさも好色そうに眺めているのが、アスター。 一方、惜しげも無く晒されたグランの逞しい身体や盛り上がった筋 肉、隆々と立ち上がった男根を舐めるように視姦しているのが、エ 36 スターだ。 この好色な双子の決定的な違いは、女好きがアスター、男好きがエ スター。分かりやすすぎて反吐が出そうだ。 軍部ではグランの次に有名だ。男女キラーの双子騎士として。 たっぷりと観察して満足したのか、ようやくアスターが用件を言っ た。 ﹁グラン様、お取込み中大変失礼を。ですが急務ゆえ、お返事が無 かったので突入させて頂きました。城の宝物庫を狙い、蛮族が入り 込んでおります。宿直の者達が大方切り伏せ、城門付近まで撤退さ せましたが、中に大斧を使う者と手練れの双剣の使い手がおり、苦 戦しております。グラン様、どうか即刻出動願います﹂ ﹁すぐに行く、先に行け﹂ ﹁はっ﹂ グランが私から離れ、淡々と服を身に付けていくのを、エスターが 名残惜しそうにチラ見していた。︱︱この変態が! 私もざっとシーツを身に纏ったが、それでもアスターの視線が無駄 な色気を込めて絡みついてくる。いいからはよ行け! 37 ﹁︱︱姫、﹂ ﹁はいいい!?﹂ 突然グランに普通に呼ばれて、キョドってしまった。 ﹁貴方はもう⋮⋮私のもの。誰にも︱︱渡しは、しません﹂ そう言い残すと、部屋を出て行った。ドアも閉めずに。って閉めよ うがないが。 すると、側仕えのケイナと執事のベルモアを筆頭に、結構な人数の 使用人が部屋を覗いていた。 ⋮⋮なんなんだ今日は。公開プレイの日か? あいつらも来るなら来るで、ヤツが私を押し倒す前に来い! ﹁⋮⋮ッ、﹂ 前回より多少深く入り込んできた痛みに顔を顰めた。 38 ヤツが段々と私の奥深くに文字通り入り込んできている。なんだか このまま侵食されていきそうな予感に思わず身震いした。 とりあえず私は、スタッフ︱︱じゃなく野次馬と化している連中に 事後処理を押付ける事にした。 39 ROUND8:野獣騎士の本分 結局、私の部屋は使い物にならなくなってしまったので、別室を急 遽宛がわれた。 ヤツと散々激闘した事だし、これでぐっすり眠れる︱︱訳が無い。 拒絶に相当力を使い身体は疲れきっているのにも関わらず、身体中 を舐められ触られた感触が消えずに燻り続けている事に、私はイラ イラと唇を噛んだ。 ヤツの熱さが乗り移ったかのように、身体の火照りが消えない。 私は頭を振って、余計な思考を無理矢理追い出した。 それより先ほどの一件が気になる。賊は無事捕まったのか。 急ぎ執事を伴い、状況を見に行く事にした。 安全の為バルコニーから見るよう苦言を受けたが、迷わず私は現場 となっている城門へと足を向けた。 そこから見た光景は︱︱ 城門付近で、まだ数人残っている賊と騎士達が小競合いをしていた。 40 先程の双子騎士とボルドーも、賊を囲んで取り押さえようと奮闘し ていた。 だが中でも斧を持った大柄の男と双剣を握った細身の長身の男がな かなかの手練れのようで、他の賊もその二人に鼓舞され、戦闘は膠 着状態のようだ。 ちょうどそこへ、見慣れた黒髪長身の男の姿が割り入って行くのが 見えた。︱︱グランだ。 ヤツの持つ威圧感はハンパ無い為、遠目でもすぐ分かる。 現れた救世主に、騎士達も次々に喜々としてグランの名を呼んだ。 どうやら騎士団のトップが現れた事に勘付くと、斧の男が果敢にも グランに突進していくのが見えた。 一直線に襲い掛かってくる男を迎えたグランは、目の前で斧を振り 上げた太い手首を片手で難なく掴んだかと思うと、繰り出した右腕 と膝を瞬時に男の身体に食い込こませ、その後一瞬で大柄な男を遠 くへと跳ね飛ばしていた。 は?!今、何が起こった?!全然、見えなかったんだが。 次に向かってきた細身の双剣の男には、一瞬身を沈め、脛に重い回 41 し蹴りをくらわせた後、前のめりに倒れた男の背後から、その背中 に肘を叩きこみ、その男も地の上にあっけなく沈んだ。 倒れた賊をすぐさま騎士達が取り押さえるのを見ながら、私は呆気 に取られていた。 ヤツの実戦を初めて目の当りにしたのだが︱︱ おいおいおいおい無双すぎるだろ!てか騎士なら剣で倒すもんじゃ ないのか?腰にぶらさげた大剣はお飾りか? だがそういえば、騎士団の下っ端のヤツらが﹃グラン様が剣を抜い たらこの世の終わり﹄とかなんとか、震え上がりながら呟いていた のを耳にした事があるな。 捕らえて吐かせる為にあえて剣を使わなかったのか?それにしても 強すぎる。 いよいよ逃げ道が断たれたような気がして、ゾクッとすると同時に、 胸が鷲掴まれたようにぎゅっとなり、心が無意識に高揚するのを感 じた。 あんな強すぎる男に組み伏せられ、貪るように求められた事に︱︱ なぜだか倒錯的な悦楽を感じる自分がいた。 42 ︱︱ってはぁあああーー?!一体どうした、自分!気は確かか自分 !! 元々強い男は好きなのだが、いかんせんヤツは行動がアレなのでそ ういう範疇から締め出し続けていた事は否めない︱︱ ︱︱っておいおいおいおい落ち着け、私!! ヤツに何度も襲い掛かられた疲労で、悪い夢でも見てるんじゃない だろうな?! あのグランにあろうことかときめくなんて︱︱世界がひっくりかえ ってもありえないだろ!! 今ならまだ間に合う、今ならまだ引き返せる⋮⋮! 私は必死にグランの数々のありえない行動を繰り返し反芻し、ヤバ い方向に流されそうな自分の心を何度も何度も修正し続けた。 43 ROUND9:野獣騎士からの大脱走 デンジャラスな方向にどしどし押し流されそうな自分の心を、ぐぎ ぎぎと無理無理承知で捻じ曲げている真っ最中に、後の処理を部下 に任せ、こちらに戻ろうとしていたグランの漆黒の目とバチイィ⋮ ⋮ッ!!と火花でも出そうなくらい、目線が激しく衝突した。 ヤツの目が鋭く光り、私というターゲットにロックオンしたのを感 じて、思わず口から心臓がハローしそうになる。 ⋮⋮マママズイマズイ、マズすぎる!! 壊滅的に血迷ったとしか思えない自分の気持ちを、歴とした正しい 方向へ修正する作業が、まだ終わっておりません!激しい動揺の余 り、作業が困難を極めております! っ、このままヤツに会ってはならない、もはや引き返せなくなる、 ノーモア、ノーリターン!一生ヤツから逃げられなくなるるる⋮⋮ !︵動揺︶ こんなそら恐ろしい気持ちをヤツに勘付かれたが最後、その場で押 し倒されーの貪り食われーので骨しか残らん、絶対に!! 考えろ!考えるんだ!このままヤツに絆された結果行きつく先の地 獄を⋮⋮! 44 一生グランに襲われ↓妊娠↓出産↓襲われ↓妊娠↓出産をエンドレ スで繰り返し、あららグランそっくりの子供が一ダース︵笑︶にな ってもいいのか!いいや良くない!! ⋮⋮いや⋮⋮それも⋮⋮いい⋮⋮のか⋮⋮? ふと、幸せそうなグランに寄り添いながら一ダースの子供達︵オー ル黒髪︶がわらわらと遊んで︵荒ぶって︶いるのを微笑みながら眺 めている風景が思い浮かび、ちょっとだけ胸がキュンと⋮⋮⋮ って違うわあああああーー!!しっかりしろ、私ぃぃいいーー!! 目を覚ませ!寝たら死ぬぞ!!良い訳あるか!断じて、良くないだ ろーが!! あわわわわわ、これはヤツの邪眼がかけた呪いか?!さっさと解除 しないと、人生オワタ!!たった一度切りの人生が、オワタになる ︱︱!! 後悔先に立たず、急がば回れ!逃げるが勝ち、っそれだ! てか逃げろーー!! ズンズンこちらに向かってくるヤツに回れ右して、私はダッシュで 逃げた。 背後から姫⋮⋮!とドスの効いたヤツの声が追いかけてきた為、背 水の陣的必死さで逃げた。 つい習慣で自分の居室方面へと走ってしまったが、そういえば私の 45 部屋、ドア、無いし!逃げ込めないし!意味ないし!そもそもヤツ にドアだの鍵だの無意味だし!その前に逃げ切れそうにないし!無 理だろ!これ、ぎゃ︱︱ガッ!ガシィッ! 結局、当然だがすぐさまヤツに追いつかれ、ガッと腕を掴まれ、逃 げられないよう背後から腰をガシィッと抱え込まれる。 ﹁ひ、め︱︱なぜ、⋮⋮私、から⋮⋮逃げるの、ですか﹂ 悲壮感を漂わせた地を這う擦れた声が後頭部に響いた。 ゾクウウウッッと背中に震撼が走る。これは恐怖か、それとも︱︱ ブルブルブル、か、考えたく無い!! 心臓がぎゅっとしてバクバク鳴り響き、なにも答えられない。こ、 これはっ、走ったから、い、息が切れてっ、そうだ、そうに違いな い。 ヤツの頑強な熱い身体に背後から覆い被さられて、顔がカーーッと 熱くなるのが自分でも分かった。 って、えええええ!!ちょ、待て、コラ!なんだこれ!!キャラ完 全に間違ってるだろ!読者様が混乱する!今更キャラチェンジする な!ありえんありえん絶対ありえん!! そうこうしてるうちに、ヤツの腕がブルブル震えだし、この世の終 46 わりみたいな声音が低く低く響いた。 ﹁っ⋮⋮そん、な、に私、が⋮⋮お嫌、い⋮⋮なの、で、す、か﹂ ⋮⋮ヤバイ、マズイ、センテンスが短い、短すぎる、最短記録だ、 ヤツが暗黒魔王にシフトチェンジする兆候だ。 だがそんな事分かったところで、今の自分の状況では、どうしよう もない。 な、なんだか、頭がグラグラしてきた。そういえば視界もぐるぐる まわっているような⋮⋮このまま高熱出してぶっ倒れて担架で運ば れたい。重症の為、面会謝絶でよろしく。 ﹁おね、がい、です⋮⋮どう、か、私から、逃げ、ない、で︱︱私、 の⋮⋮エル、ミア︱︱﹂ 苦悶の声で唐突に名を呼ばれ、全身に物凄い激震が走った。 もはや危篤状態だ、電報を打つ必要があるな、ヒメキトク、スグカ エレ! 腰を抱えた腕にぐっと力が入り、ぐえっとなんか口から出そうにな った。これは決して比喩ではない。 47 後頭部にヤツの唇が強く押付けられる感触に、思わず内心大悲鳴を あげた。 ぎゃあああああ!!てかヤツの手が、胸やら下半身に絡みついてく る。⋮⋮恐怖、蔦人間!! ああああパニくってるせいか、ツッコミが冴えん⋮⋮!滑ってる、 滑ってる。 はな、せ、この︱︱︱ ﹁はな、せっ︱︱︱!!お前なんか︱︱大、嫌い、だ︱︱っ!﹂ 48 ROUND10:野獣騎士と世界危機 ﹁はな、せっ︱︱お前なんか︱︱︱大、嫌い、だ︱︱っ!﹂ ピキーーン⋮⋮と世界が一瞬で固まる音がした。 背後で文字通り氷点下に凍りついたヤツの気配に、私もガッチーー ンと凍りついた。 てか、ぎゃあああ!!ま、間違えたあああーー!! ほ、放送事故!放送事故発生!!﹁しばらくお待ち下さい﹂テロッ プ早く入れろ、早く!! もうお前の事は嫌いじゃないから離せ!と言おうとした、のに、口 が、口が勝手に⋮⋮っ!! 余りの動揺に、脳と口の連携がてんでバラバラです!なんという恐 ろしいタイミングでのツンデレ属性による脳の伝達障害⋮⋮!ミ、 ミスった!! 逆だ!逆だろ、真逆だろ!! 49 たった一回のうっかりミスで、人類滅亡、世界滅亡の危機がーーッ !! まつりごと これが政なら、一国を滅ぼしかねない致命的ミスを、私は犯した。 完全な失言だ、後悔はしている、思い切り。 だが、一度発した言葉は二度と口には戻らない。覆水盆に返らず、 まさにその通りだ⋮⋮!! 私は咄嗟に言い直そうとした!!がっ︱︱ 腰をガッと掴んだヤツの手によって身体がぐるっと反転させられ、 ヤツの分厚い胸板が圧し掛かってきて、そのままダン、と背中がめ り込まんばかりに壁に押付けられた。 背中と心臓に衝撃が走り、ぐっと呼吸が止まる。 迫り来る禍々しい気配に、グランの顔が見れない。こ、コワすぎて ⋮⋮! 辺り一面どっぷりと恐怖の暗闇に閉ざされ、草木ひとつ生えない枯 れ果てた大地の上、全身にビュービューと猛吹雪が吹きつけてきて 凍傷になりそうだ! 拘束具のような頑強さでガッチリ私を鷲掴んだまま、グランが逞し い肉体をギシッと動かし、地獄の冥王の如きおどろおどろしさでこ 50 う呟いた。 ﹁︱︱︱︱壊し、ます﹂ ﹁へ?﹂ ﹁世界を、壊します﹂ ﹁っっ⋮⋮はいぃぃーーーー?!?!﹂ い、いったいなにを言い出すんだ、この男は︱︱︱︱?!?! ﹁この世界が、貴方と私、だけになれば⋮⋮⋮⋮私を、選んで、く れますか﹂ ⋮⋮っっはあぁあああーーーー?!?! ア、アホかーーーー!!おままま、どんだけ根っからのヤンデレな んだ?! なんで私の一言如きで世界が滅亡しなきゃならないんだ?!世界も とんだとばっちりだな!! そうか、分かった!ヤツは私にとって、いや世界にとっての真のラ スボスだったのか!! 51 コイツを倒さん限り世界に決して平和は訪れない的な、超極悪非道 な魔王そのものだったのか?! たった今邪悪なる力に目覚めたヤツの目の前にたまたまいただけの 私が、ここはひとつ伝説の勇者となってガンガンレベルアップして 伝説の奥義を手に入れ討伐すべし!なRPG的展開なのか︱︱︱︱ ?! 世界を揺るがす悪を目の当たりにして、みすみす見逃すわけにはい かない!! 我が人生、命をかけてでも、ヤツの世界征服を止めなければならな い⋮⋮!! っっさせん⋮⋮!!世界の平和は、この私が守ってみせる⋮⋮!!! ﹁バ、バカ者ォオ⋮⋮!!そんなことしたら永遠にお前を嫌ってや る!!例え世界が終わろうとも、未来永劫だ!!﹂ ﹁⋮⋮ッッ、で、は、どうすれば⋮⋮⋮⋮私を愛して、くださるの ですか﹂ 苦悶の余りひび割れた重低音が鼓膜をビリビリと震わせる。 渇望に震える精悍な唇が、超ド鬼畜なセリフを紡ぎ出す。 ﹁今、この場で貴方を貫けば︱︱︱︱私のものに、なってくださる 52 の、ですか﹂ 53 ROUND11:野獣騎士と世界滅亡 っっっえええええーーーー!!!ちょ、おま、何を言っている!! 心が手に入らなければ身体だけでも⋮⋮な∼んてセリフは、超美形 のキラキラ王子様キャラが口にするから許されるのであって、こん なガチムキ筋肉ダルマなお前が口にしたられっきとした脅迫罪だ!! ﹁っ⋮⋮ひ、め﹂ ﹁ぁ、ぁあ⋮⋮っッ!!﹂ 壁に押し付けられたまま、熱情と焦燥が入り混じった吐息が肌に吹 きかかり、身体の奥が痺れた。唇がねっとりと首筋を這っていく。 無骨な手が明らかに欲情した手つきで身体中を狂おしく這いまわり、 肌を暴こうと性急に蠢いた。 本能的に身を捩り逃れようとするも、揉み込む力が強すぎて、下手 に抗うとドレスがビリビリに破かれそうだ!そんな私の逡巡につけ 込んで、どんどんドレスの中に唇と手が入り込んでくる。 ﹁ぁ、ぅっ、ッぁあ⋮⋮︱︱っ!﹂ 54 息荒くドレスの上から胸の全体をグチャグチャに口の中で嬲られ、 ビクンと全身が震え、背が反り、肩が戦いた。 さっきの賊との戦闘でついうっかりときめいてしまった事が仇とな り、全力でヤツを拒めず、明らかに色艶の混じった喘ぎが何度も口 から漏れた。 ﹁ぁあ、姫、ひ、め︱︱︱︱ッ!!﹂ 熱く忙しない吐息を吐きながら、グランが衣服の上からはち切れそ うな己を押し付けてくる。その巨大さにギクン!!と全身が跳ね飛 んだ。 っ⋮⋮そうだった!!!すっかり忘れていた!!ヤツは人類最強兵 器の持ち主だった⋮⋮!!!こ、こんなの入れられたら、身体が真 っ二つに裂けるわ!! ﹁ッやめ、グラン!嫌だと言っている!!は、離せーーーーッッ! !!﹂ 渾身の力でヤツを拒むと、私を壁に押し付けながら、頭と両腕と片 足でドS御用達の頑強な肉体檻を作って追い込んだヤツの口元が、 冷然と、酷薄に、嗤うのが、見えた。 55 ゾオオオオーーーー!! 全身鳥肌!!全身総毛立ちのスタンディングオベーション!! きっと死神が鎌を振り上げた時、こういう酷薄な嗤い方をするに違 いない。見た事ないが。今まさに目の前に見えるので、見た事ある 事にしてもいいですか。 オワタ。 オワタ。 オワ ⋮⋮って待て待て!まだ敗者復活戦が残ってる⋮⋮!巷では敗者復 活でドン底から這い上がってきた強者こそが、真の勝者となり得る と言うではないか! まだ、諦めない、きっと世界を救ってみせる⋮⋮!勇者よ、今、立 ち上がれ⋮⋮!! 56 ﹁グラ︱︱﹂ ﹁︱︱貴方が、﹂ は、話を聞けえええーー!この、ドアホオオーーーー!! ﹁貴方が︱︱たとえ、私を拒んでも⋮⋮⋮⋮私は決して⋮⋮貴方を、 ︱︱っ﹂ ﹁グラ、﹂ ﹁ひ、め︱︱︱私の、ひめ﹂ 硬い両手で両頬を掴まれ、強く唇を押付けられた。 完全に固定されたまま、成す術も無く何度も熱い唇が重なってきて、 頭がグラグラ煮えそうだ。 ﹁や、⋮⋮め︱︱ッ﹂ ﹁っ⋮⋮どうか︱︱私を、拒ま、ないで、ください、どうか︱︱︱ っ﹂ さっきの冷笑は霧散し、失意と傷心、絶望と狂気、羨望と情熱が入 57 り混じった狂おしい表情に、こっちまで胸が痛くなると同時に、何 故かムラムラと怒りが込み上げてきた。 っ、な ん で!お 前 は!人 の!話 を!聞 か な い ん だーー!! 切実に例のペン、プリーズ!出でよ!ヤツ専用の呼び出しベル!! 怒りが頂点に達した私は、グランの耳を引っ張り、そのてんで用を 為さない役立たずの耳穴に向けて叫んだ。 ﹁もうお前の事は、っ、嫌って、いない!!さっきのは、その、ま、 間違えただけだッ!!﹂ ピキーーン⋮⋮と世界が再び固まる音がした。 目の前で文字通り石のように凝固したヤツの気配に、私もガッチー ーンと固まった。 ひいいいいーーー!さっきもヤだが、こっちもイヤだ、イヤすぎる ーーーー!! 58 結局⋮⋮どっちだろーが、この恐怖からは逃げられん、という事を 私は悟った。 59 ROUND12:野獣騎士と世界平和 ﹁ひ、め︱︱︱﹂ ヤツが呆然とした顔で、私を覗きこんできた。 ﹁っ、⋮⋮い、ま⋮⋮なん、と︱︱おっしゃったの、です、か﹂ いつもは周囲に鋭くレーザービームを放っているその漆黒の目は、 大きく大きく大きく見開かれて︱︱ ってえええーー?!おま、そんなに、目、大きかったか?!こぼ、 こぼれる、こぼれる!アンデッド化するにはまだ早い!ちゃんと死 んでから蘇れ!いいいいから、今すぐ目、閉じろ!! 思わず両手がヤツの目玉をキャッチすべく咄嗟にお皿の形を作った が、考えても見たら、そんなもの受け止めた所でまたはめる訳にも いかないので、やめた。 ﹁ひめ、もう、一度︱︱もう一度、言ってください⋮⋮どうか︱︱﹂ よし!ヤツのセンテンスの脅威的短さがやや回復した!世界は救わ れた、万歳!! 60 擦れた声で呟きながら狂おしい瞳が眼前にじり近寄ってきて、思わ ず後ずさろうとして、後頭部を固い石壁にしこたまぶつけ、星がい くつか飛んだ。 そういえば、私は壁とヤツで構成された檻の中にいるんだった。す っかり忘れていた。 しかし⋮⋮なんで私が檻の中なんだ、檻に入るべきはヤツだろう、 超合金製かつ分厚い錠前10ヶ程つけて永遠に閉じ込めておけ、頼 むから!世界の平和の為に! ヤツの目が飛び出しそうな勢いでリプレイを懇願してくるので、仕 方なく私はもう一度言った。 ﹁き、嫌いじゃない、と言った!何度も、言わせるなッ﹂ ﹁︱︱ッ、姫︱︱︱︱っ!!﹂ どおおおおおっとなにかが押し寄せてきたーー!!と思ったら、そ れは全グランだった。 がばあっと顔面にグランの厚い胸板がぶつかってきて、固く太い両 腕が背中と腰に巻きつき、きつくきつく抱き締め︱︱いや羽交い絞 めにしてきた。 61 す、凄いホールドだ、ちょうどいい具合に締まって、グホッ⋮⋮っ て、コラーー!ボルドーじゃないが、私をころころ殺す気かーー!? 鉄板並みの胸板に鼻、ぶつけたし!息、できないし!それに、ああ あああ足が、足がっ、宙に、浮いている⋮⋮?! えええええ超大型マジック、キターー!!いや、これは新手のイリ ュージョンか?! 子供のようにぶらんぶらんした両足をバタバタ動かそうとして、そ ういえば息出来て無い、酸欠になるわ、と思いなおし、ぶらんぶら ん状態のまま、この嵐が過ぎ去るのを某くったりぬいぐるみの如く 待つことにした。 ︱︱いやいやいや待てない、待てない、待てない無理無理無理無理 !!あと10秒で死ぬ。死因:酸欠と圧死だ!! 62 ROUND13:野獣騎士の巣穴へ 結論。 私は生き延びた。だが今は⋮⋮先行き不安な若者の一人となった。 あの後、酸欠へのカウントダウンが2あたりの所でひょっと横抱き にされ、ヤツのがっしりした腕と胸板にサンドイッチにされたまま、 獲物を口に銜えたまま巣穴へと疾走する獣と化したヤツに、危険か つデンジャラスな気配がミシミシするヤツの巣穴へ風の如く運ばれ た。 いつもよりとんでもなく高い位置での高速移動に思い切り悪酔いし た。⋮⋮なんて危険な乗り物なんだ、このグラン号は。二度と乗り たくないな。 グランのデカ足の一蹴りで、ヤツの巣穴もといヤツの城内の私室の 扉が蝶番ごと吹っ飛びそうな勢いでバンと開き、そのままガンと壁 にぶち当たり、私達が部屋に入った直後、バタムと素敵に閉まった。 ⋮⋮いつから自動ドアに? 当然ヤツのベッドの上にドサと降ろされ、当然ヤツがギシと覆い被 さってくる。 そのごつごつとした逞しい重みに、ドキンと心臓が鳴った。っ、っ 63 てない!鳴ってない鳴ってない、断じて鳴ってない!! ヤツの唇に熱く塞がれ、はぁっと熱い吐息が出て︱︱ない出てない !誰が出すかそんなもの!そんな気色悪いもの吐き出してたまるか! 相変わらず押付けてくるだけの口付けだ、こんなのは口付けとは言 わない、断じて言わない。 だが口付けの合間にヤツの微かに開いた唇から熱い息が苦しげに漏 れてきて、背中にゾクッと何かが走った︱︱ような気がしたが、気 のせいだ、気のせい。スルーしろ、華麗にスルーだ。 それはともかく、いい加減読者様もこの押し倒しパターンに飽きて いるに違いない。 実際にされている私はもっと飽きている。飽き飽きした!もう一度 言う。ぁあっ、あ、きあき、したっ⋮⋮! 大変失礼。ヤツがその、上衣を捲くり上げて急に胸を舐めてきたも のだから、驚いて息があがった。ただ単に驚いただけだから、誤解 しないで欲しい。 話を元に戻そう。読者様ならご存知だろうが、ヤツとの婚約が決ま った今日、ヤツに押し倒されるのはこれで通算3度めだ。 非常に絶望的かつ先が思いやられる数字だ。 もしヤツと結婚したら、日に3回押し倒されるとして週に21回、 64 月に︱︱って数えたくもないわーーーー!! だがこれは私にとって死活問題だ。近い将来、我が身に襲い掛かっ てくるかもしれないそら恐ろしい未来予想図だ。 最悪の事態はなるべくシュミレーションして心の準備をしておかな いと、いざその状況に追い込まれた時、真っ白に燃え尽きて灰にな る。 元気な黒髪っ子1ダース︵笑︶の悪夢もそうだ。ああやって最悪の パターンをあらかじめ想像しておけば、現実となった時のダメージ が確実に減る。今現在のダメージは減るどころか増える一方だが。 不意に、わらわらと群がる黒髪息子達と腕相撲対決したり、肩車し たり、剣の稽古をつけてやっているグランパパの情景が思い浮かび、 なんだか胸がキュンと︱︱しないしない絶対しない!いい加減目覚 めろ、私ぃぃ!本来の自分に戻れーー!! 元に戻ろう。ええと、さすがに月のものが来たらヤツも押し倒して は来ないだろうから一週抜くとして︱︱って⋮⋮ホントにそうか? ヤツならそんなもの、ものともせずに遠慮なく押し寄せてくるんじ ゃないか⋮⋮?全グランで。 ブルブルブルブル⋮⋮!!ありえる!ヤツならありえる!! 65 そ、そうすると一月30日として、3回×30日で月に︱︱90回、 だと⋮⋮?! 今、ありえない数字出た。私の計算間違いか?ええと3×30=9 0、3×30は⋮⋮きゅう⋮⋮じゅう。 恐ろしい⋮⋮!非常に恐ろしいシミュレーション結果出たーー!! っ、やってられんわ!殺す気か?私を廃人にするつもりか?!私の 人権はどこへ吹っ飛んだ?!遥かなる時空の彼方か?! こんなの心の準備もへったくれもあるか!そうだ、全力断固拒否す る!! 私の輝ける安息日は断固死守する! ﹁っ!は、ぁ、︱︱ぁあ、⋮⋮ぁっ︱︱!﹂ ﹁あ、姫、ぁあ⋮⋮⋮⋮姫︱︱っ﹂ 別世界のどこかからやけに淫らなけしからん声が聞こえてくるが、 空耳だと思って欲しい。切実に。 66 ROUND14:野獣騎士の前哨戦︵前書き︶ *身体的に痛い表現がありますので、苦手な方は退避推奨です 67 ROUND14:野獣騎士の前哨戦 ヤツのせいで過労死寸前、クラクラする頭を、シャッキリ目覚めさ せる大事件が起こった。 ヤツがゴツゴツした手で私の両膝を掴んでガバッと開き、思い切り 凝視してきたのだ。 ちなみに身に付けていたものは全てヤツの手によってとっくのとう に剥ぎ取られている。 鋭い眼を赤く染めて穴が空くほど見入ってくるだけでなく、入り口 を指でグパッと押し開き、ここに私を受け入れてくださるのですね ︱︱などと無駄に艶がある低音で呟きながら、ぱっくりと開いた秘 裂にあろうことか熱く濡れた舌をねちゅ、と押付けてきた。 っんんぎゃあああーー!!なにをする気だこの変態ッ!や、やめ、 やめろーーーーッ!! 両足をジタバタ動かし抵抗するが、ヤツの太い骨が浮き出たごっつ い両肩にガッツリ押さえ込まれ、ろくに動かない。 人生初の股舐められ事件の破壊力は、感触・光景ともにとんでもな く凄まじいものだった。 ヤツの舌が秘裂を縦に何度も何度も上下していく。舐め上げながら 唇を押付けてきたり、じゅぶじゅぶと音を立ててしゃぶられたり、 68 舌先が入り口にぬめっと入り込んできたり、もう散々だった。 ヤツの舌の動きに踊らされるように腰が跳ね上がり、激しく身悶え ずにいられない。 そんな私に興奮したヤツは更に襞を押し広げ卑猥的熱心さで舐めま くってきた。 入り口がじんじんと熱く痺れ、しまいには感覚が無くなってくる。 枯渇していた旅人が生きる為、一心不乱に泉の水を飲むようなその 恐ろしい光景に衝撃が止まらない。 ありえないありえないから!なんでそんなとこ舐める必要がーー? !お前は砂漠の旅人か、私はオアシスか?! ﹁あぁっ!やめ、っは、っ!!ぁあっ⋮⋮!んっ、あ、ぁあ!︱︱ あ、あぁあーーっ!!﹂ その間私の口から絶え間無く漏れ聞こえてきたのは、とんでもなく いやらしい悲鳴だった。即刻ミュートしてくれ、頼むから! 熱く舐られ火照り、ヤツの唾液でべしょべしょのままビクビクと震 えるそこは、ヤツの熱視線でジリジリ焦げつきそうだ。 だが私といえば、出したくもない嬌声を出しまくったせいで呼吸す るのに精一杯、悲惨な状態のそこを無防備にもヤツの眼前に晒した 69 まま、息も絶え絶えな瀕死体と化していた。 ヤツが荒すぎる息を吐き、ごくりと唾を呑み込んだ気配がした。 性急に服を脱ぎ捨て再び圧し掛かってくると、濡れた秘裂にぐんと 大きく張り詰めたものをぐぐぐと押付けてきた。 呼吸がろくに整わないうちに、ヤツのパンパンに膨らんだ先端がぐ ぷっ⋮と埋め込まれ、更に奥に突き進もうとする物凄い圧迫に、思 わず大悲鳴をあげた。 イターーッ!無理無理無理それ以上は、物理的に!! ヤツが辛そうに眉を寄せ低く呻いたが、いやいやいや辛いのは私だ、 この私だ!!加害者が被害者づらすんな!! ﹁く⋮⋮っ姫、⋮⋮なぜ、私を受け入れて、くれないのですか⋮⋮ っ﹂ お、お前のせいだろうがああーー!!私のせいにするな、何度も言 うが私は標準だ!規格外はそう、お前だ!! 何事も挑戦する心意気はまぁよしとしよう、だがこの世には努力だ けでは達成できないものもある、今、股の間に!燦然と高く聳え立 っているものがそれだ! 余りの痛みにヤツをギッと睨もうとして、うっかりビンビンに立ち 70 あがった極太肉棒が私のそこに突き立てられているのが見えて、ぐ りんと白目をむきそうになった。 相当無理があるなどう見ても!やはり、ここは引き返そう! ﹁っグラン!む、無理だ、そんなの入らな﹂ ﹁嫌です。早く、貴方が、欲し⋮⋮っ﹂ 切羽詰った痛切な言葉に一瞬心臓がドクンと跳ねたが、膣の引き攣 れる痛みにすぐに掻き消された。 わ、私は要らん!ヤツのコレなど、断じて要らん!!永遠にノーサ ンキューだ! そもそも私はヤツに﹁嫌いじゃない﹂と言っただけであって、別に ヤツを好きだの愛してるだの言ったわけでは無い!なんでこんな展 開になっている?誰か教えろ!! ヤツの単細胞は﹁嫌いじゃない﹂=﹁好きにしてよし﹂と自動変換 でもされるのか?!便利だな、全く!この部屋の自動ドアといい! てかこっちの都合はまるで無視か!!イダッ、無理無理押入れるな !捻じ込もうとするな!!入らないから!! てかこの痛さは死ねる。真面目に死ねる。いっそ気絶でもしてる間 にやられたほうが苦痛を感じなくて済むのか?いやいやいやどうせ 71 更なる痛さですぐに覚醒するから意味ないだろ! そういえばこういう状況で死ぬのをなんて言うんだったか?確か腹 上死︱︱いやこの場合腹下死か? 息荒くヤツが入り口をじゅぷじゅぷ捏ね回す。ヤツの唾液のせいか ぬるぬる滑るぬかるみをヤツの先端がぐちぐちと短く往復した。 ヤツが何度も擦りつけてくるせいで秘裂が熱く柔らかく解け、下腹 が引き攣れ、思わず逃げたくなるような感覚の波が何度も襲いかか ってくる。 ﹁ひ、あ!だ、だめ⋮⋮だ!あぁ、やっ、んんっ、ぁぁあっ!﹂ ﹁あ、あぁ⋮⋮っ!く、ぁ⋮⋮!姫、姫⋮⋮っ!!﹂ ヤツの動きが強く衝動的になり、ぐちぐちぐちぐちと膣口を突き入 れられ続けた後、ヤツが低く呻いて表情を歪めながら、入り口の浅 い部分に欲望を吐き出した。 どぷどぷと大量に吐き出され結合部から流れ続けるそれにぞくっと 痺れが走り、腰がヤツの先端を銜えたままビクンビクンと蠢いた。 72 ROUND15:野獣騎士との愛の誓い︵前書き︶ *身体的に痛い表現がありますので、苦手な方は退避推奨です 73 ROUND15:野獣騎士との愛の誓い 精液がたっぷりと零れ落ちる蜜口の更に奥を狂おしく求めてくるヤ ツの動きに、私は心底慌てた。 ヤツとの婚約が決まって以来ピンチにつぐピンチの連続、この罰ゲ ーム的肉弾戦は一体いつまで続くのか考えると気が遠くなりそうだ ったが、今が最大のピンチだ、絶対そうだ!! なにかヤツを宥める秘策はないのか!くっ⋮⋮疲労困憊で考えがま とまらん!この恐怖を先延ばしにする案ならあるが、文字通り先送 りにするだけで、更に恐怖が増す可能性がっ!だがもう時間がない、 これでいくしか⋮⋮!私は必死に叫んだ。 ﹁や、やめろグラン!け、結婚したら私を全部お前にやるから!や、 約束する!!だからもう、やめろ!﹂ ピキーンとグランが石のように凝固した。 もーこの際、未来なんてどーでもいい!ヤツに熨斗付けてくれてや る!それより今現在の身の安全、狂おしくバッチコイ!! だが、石像と化していたヤツが急にぎぎっと動き出し、その大きな 手で首根っこをわっしと掴み、姫⋮⋮と狂おしげに囁くそれで激し く唇を塞いできた。 74 遣る瀬無く荒い息が漏れる唇を成す術も無く何度も押付けられた。 ヤツが身じろぐ度に、埋め込まれた先端がぐちぐちと蠢き、熱くも どかしい感触に自然息があがり、腰がビクンビクンと跳ねた。 ﹁あ、ぁ⋮⋮ひ、め⋮⋮っそれは、本当、ですか?﹂ ﹁っ、ああ、本当だ!﹂ 私は必死に首をガクガクと縦に振った。 ﹁貴方の心も、身体も⋮⋮全て、私のものになると?﹂ ﹁っ、ああ、本当だ!﹂ なんか今⋮⋮願いの為に我が身を生贄に恐ろしい悪魔と契約を交わ すようなゾクゾク感が全身を猛スピードで走リ抜けていったが、ス、 スルーだ、スルー! とりあえず今日のところはやめとけ!とんでも大惨事になるぞ!主 に、私が!! ﹁⋮⋮⋮⋮っ!﹂ 75 途端ヤツが顔を真っ赤にして、狂おしいほどの歓喜が渦巻く潤んだ 瞳をまっすぐに向けてきたので、ドクンと鼓動が大きく高鳴った。 ほとばしるグランの熱情につられるように、全身がカッと火照って しまう。 おま、なんて目するんだ、し、心臓に悪い⋮⋮! ヤツが微かに震える指先で私の唇をなぞりながら、鬼気迫る真摯な 眼差しで私を一直線に貫いた。 ﹁あぁ、姫⋮⋮姫⋮⋮どうか貴方のこの唇で⋮⋮私を愛していると、 言って、ください﹂ ﹁え﹂ ﹁一生⋮⋮私のものになると、今この場で、誓ってください﹂ ﹁誓、う?﹂ ﹁そうです。お願い、です⋮⋮どうか、どうか姫⋮⋮⋮⋮っ﹂ 悩ましげな漆黒の目が縋るように狂おしく懇願してきた。 と同時に、パンパンに硬く張り詰めたグランの性器がくっと微妙に 奥へと呑み込まれる。 76 ちょ、えええええーー!!な、なんだなんだこの展開はーー!? お願いなどと言いつつ、これは身体的凶器を使った、きょ⋮⋮脅迫 なのか?!いや、ヤツにそんな華麗な技巧が扱える訳が無い。 だが、言わないとこのままヤツに全て奪われそうな空気をビンビン に感じるのは気のせいだろうか。まるでナイフを突きつけられ金を 出せと脅されている通行人のような気分だ。 まあでも確かにヤツのブツは脅迫のいい材料にはなる、ナイフを突 きつけられるより余程身の危険をビンビンに感じる。いっそ武器屋 かなんかで売り出したらどうだ?⋮⋮決してそれを購入しようとは 露ほども思わないが。 てか、っぎゃああああーー!! またズッと、ヤツが内側に入り込んできた。⋮⋮う、嘘だ、ありえ ない、こんなハンパ無い大きさのものが入るわけが⋮⋮!冷や汗が 背筋を垂れまくる中、私は叫んだ。 ﹁ち、誓う誓う!誓う誓う誓う!!﹂ ﹁っ、姫っ⋮⋮ぁあ⋮⋮!﹂ 最後の抵抗を試みる柔い粘膜がじわりじわりと押し開かれ、巨大な 異物が襞の中に入り込もうとしてくる。 77 待て待て待て待てまだ会話中なのになんで徐々に食い込んでくる? !確実にフライングだ、元の位置に戻れ! っぎゃあああ!無理無理無理!!っ、もうヤケクソだーー!! ﹁あ、愛してる、愛してる!お前のものになるから!かっ神に誓う !﹂ ﹁ッ︱︱︱︱姫︱︱︱︱ッ!!﹂ どおおおおおおーーーー!!となにかが押し寄せてきたーーー!! と思ったら、それは全グラン・改だった! ⋮⋮改?なんだそれは。⋮⋮な、なにぃ?!パ、パワーアップした だとぉ⋮⋮⋮⋮?! 吐き出した精液を潤滑油に、ヤツの巨根が体内にずぶうううと埋め 込まれる感触に、世界が全部弾け飛んだ。 っんぎゃああああーーーー!! 78 ROUND16:野獣騎士の全野獣騎士︵前編︶︵前書き︶ 姫、大変そうだけど⋮⋮がんばれー︵遠い目︶という感じで読んで やってくださいorz *身体的に痛い表現がありますので、苦手な方は退避推奨です 79 ROUND16:野獣騎士の全野獣騎士︵前編︶ ガチガチに腫れた欲望が埋め込まれる衝撃に耐える為、ヤツの腕の 固い装甲を砕く勢いでぎりぎりと掴んだら、ただ表面を爪がカリカ リと滑っただけだった。 おかしい⋮⋮なぜ猫の爪とぎに?なんだろう、この無性に沸きあが る悔しさは。 子孫を作る為とはいえ世の女性達はよくぞこんな衝撃に耐えている な、心から敬意を表したい。実に尊敬に値する。女性の鑑だ。 ちなみに私は全く尊敬されずともいいので即刻全力でリタイヤして もいいだろうか。 ⋮⋮できないだろうな、分かってはいるが。場の空気が読めてしま うこの身が恨めしい。 しかしよくあんなの入ったな、人生最大の驚き、カルチャーショッ クだ。 あんな規格外がよく⋮⋮って、ちょっと待て。あんなの入ったとい う事は、私もついに規格外の仲間入りか?! っ嫌だ、嫌すぎる!せめてもう少しだけでも燦然と輝くノーマルカ テゴリーに留まっていたかったのに! 80 ⋮⋮などとどうでもいい現実逃避をしつつ、とんでもない質量が狭 い膣内を押し広げ串刺しにしている事態に必死に耐えた。耐えまく った。いっそ悟りの境地に達しそうなほど。 だが︱︱ずぶっ⋮⋮と更に奥へと入り込んでくる感触がして、ぎょ ぎょっと目の玉が飛び出そうになった。 ええ、ええええ!!ちょ、ぜ、全部挿入ったんじゃなかったのか?! これで全グラン、もとい全グラン・改じゃなかったのか?! ぎゃ、ま、まだ入る気か?!どこまで入れる気だ!もう充分だろう、 初めからがつがつフルコースいくな、どんだけ強欲なんだ、お前は! 罵倒絶叫しつつ、ギッと下肢を見ると︱︱ 唇を微かに開き苦悶に呻きながら目をきつく瞑っているヤツのごつ ごつとした腹筋の下から聳え立っている巨大な建造物は⋮⋮まだ半 分しか、私の中に入っていなかった。 ⋮⋮んぎゃああああーー!! まだ半分ってなんだ、はんぺんじゃないことは確かだ、と言う事は この衝撃もまだ半分、前半戦を終えもう一杯一杯なのに、まだ後半 戦がーー?! この事態はヤツの赤黒く怒張したものが私の股にぐっさりと半ばま 81 で突きささっているのをうっかりガン見してしまった衝撃以上にそ ら恐ろしいものだった。 くっそおおおーーもうこんなのやってられるか!!とブチ切れそう になったが、またしてもズッと狭い膣道がヤツを呑み込み、内部が 妖しく戦慄く感覚にごっそり意識を持っていかれた。 ﹁ぎゃ!や、やめ︱︱グ、ラン⋮⋮ッグラ、ン⋮⋮⋮⋮ぅあ!や、 ぁっう!﹂ 身体がびびる余り非常に情けない声が出た。そしてそれはヤツの深 度が増していくに従ってより情けなくなった。 ﹁っひ!ぅ、グラ、ン、も、っ⋮⋮ぁ、あっ⋮⋮⋮んっ⋮や、ぁあ !﹂ ﹁っあぁ、姫⋮⋮⋮⋮か、わ、いい⋮⋮⋮⋮くっ、ぁ、﹂ ﹁っあ!ぎゃ、くっ、ひっく、んんっ!ひあ、ぁあ!⋮⋮あ、あぁ ああ、ぁああーーーー!!﹂ 私が情け無い声を出せば出すほど益々ヤツが荒ぶっていくのは何故 だ、何故なんだ?誰か教えろ! やっぱりヤツはドSなのか、てかかわいいってなんだ、ヤツは重度 82 の難聴か?! ヤツの超便利なご都合主義的変換機能は情け無い声がかわいく聞こ えでもするというのか? 全くもってけしからん、一度ヤツの脳内をキレイサッパリ初期化で もした方がいいんじゃないのか、私の心の平穏の為に! 狭い膣道を押し広げながらズッ、ズッ、とご立派なブツが、とんで もない存在感で奥に侵食してくる。 ぎゅうぎゅう圧迫する粘膜が、ヤツを一口呑み込む毎に妖しく引き 攣れ蠢く生々しい感触に、ゾクゾクと焼け付く痺れが直走る。 最後には、ただ押し込むだけでなく腰を引いては埋め込むという動 作を何度もじわじわと繰り返された挙句、ヤツの肉塊が下腹押し上 げんばかりの迫力で徐々に埋め込まれてゆき、はしたなく大きく開 かされた膝がふるふると無力に震えた。 そしてとうとうこれ以上沈み込めない位置まで辿り着くと、ヤツが 唇を震わし、とんでもなく艶のある濡れた吐息を吐いて身体を震わ した。 83 ROUND17:野獣騎士の全野獣騎士︵後編︶︵前書き︶ *身体的に痛い表現があるかもなので、苦手な方は退避推奨です 84 ROUND17:野獣騎士の全野獣騎士︵後編︶ うぁ⋮⋮も、一杯一杯、だ⋮⋮。 奥のどんづまりをヤツの先端にぐぶっと押しあげられて、んぎゃっ !と肩が大きく跳ねた。 限界まで押し広げられた内部が必死に元の状態に戻ろうと収縮して いるというのに、中のヤツはそれに真っ向から闘いを挑むかのよう に更にぐぐぐと膨張した。って⋮⋮ええええ!! コラコラこれ以上膨らますな、ああありえないから!! 膨張やめますかそれとも人間やめますかという感じの際どい瀬戸際 に堂々と立つんじゃない! 私の夫になるつもりなら、せめてギリギリでもいいから人間の範疇 に留まっとけ! ﹁っく!⋮⋮あ、ひ、め⋮⋮っ、ぁあ、﹂ ﹁うぁあっ!あっ、ひっ!!﹂ 歓喜と悦楽の呻きとともに、ズクンッと中のものが大きく脈動し腰 をビクンと跳ねあげると、ヤツが苦悶に低く唸った。 85 思わずヤツを見ると、熱く潤んで激しい陶酔に燻る漆黒の瞳に瞬殺 された。 ぐつぐつと煮えたぎる情熱を持て余し、爆発しそうな何かを必死に 耐えまっているのがひしひしと伝わってくる。 狂気と見紛うほどの激しい欲情がその瞳の中でグラグラと大きく揺 らめき、男のくせに壮絶な色香を漂わせている。 くっ⋮⋮な、なんだこの呼吸困難に陥りそうな、胸がぎゅんぎゅん する表情は⋮⋮ッ! いっそ髪掻き毟って身悶えたい。 お前、騎士辞めて男娼としてでもやっていけるんじゃないか、主に 経験豊富なマダム専門で。 てか苦しいのか気持ちいいのかどっちなんだ、はっきりしろ! ちなみに苦しいんなら早めにさっさと抜くのをお勧めする、お前の コレ、実に窮屈そうにビクビク苦しんでいるみたいだぞ! 正直こっちも一杯一杯なのだが、グランもかなり一杯一杯そうなの を見た途端、現金なものでガチガチだった身体がふっと緩んだ。い や下半身の方はガチで一杯一杯なのは相変わらずだが。 まあ、あれだな、自分が非常に切羽詰ってる時に更に上行く切羽詰 86 った人を見るとなぜか余裕を感じるという摩訶不思議なマジックだ な。下半身の方は相変わらず余裕のよの字もないのだが。あくまで 精神的世界での話だ。 ﹁⋮⋮く、⋮⋮あぁ、ひ、め⋮⋮っ姫⋮⋮っぁ、ぁあ、﹂ 時折唇を噛み締めつつ悦楽か苦痛かに必死で耐え、ヤツが漏らす淫 らな甘い喘ぎに背筋がぞくぞくした。 私の身体でそんなに気持ちよさそうもしくは苦しそうにされると、 なんだかヘンな気分だな。 ヤツをこんなにも翻弄できる事に、なぜか快感を感じてしまいそう になる⋮⋮ってちょちょちょっと待てぇえい!! 快感ってなんだ快感て! こんな好き勝手にズンズン挿入れられた上に、うっかりホロッと絆 されてどうする! くっ、これがかの有名なオカルト的マインドコントロールなのか?! いつから私は邪教グラン教の信者になったァ! そんな妖しげな宗教は即刻退会しろ! 身包み全部剥がされて人生がリプレイできなくなるその前に! 87 ﹁あぁ、姫、姫、も、う⋮⋮⋮⋮っ﹂ だがそんなどーでもいい思考も、ヤツが荒い息を吐きながら私の腰 を深く抱き込み、夢中で固い腰をガツンガツンと何度も打ち付けて きた事で、キレイサッパリ霧散した。 かつて味わった事のない尋常ならざる刺激がビリビリと襲いかかり、 全身が震撼した。 ぎゃ!!う、わ、あ、ぁっああ!!なん、だこれ、うぁッ!!これ、 はマズ、く、ぁ⋮⋮!! ちょ、バ、バカ者!せっかくこの巨大さに息も絶え絶えに耐えまく りなんとかようやく慣れてきていたというのに、そんなに激しく動 かしたら、また、ヤツの感触、がッ、ぁあ、あっ⋮⋮あぁ!! 猛獣が獲物に何度も喰らいつくように、剛直が幾度も埋め込まれて は引き抜かれ、秘肉がグリグリ上下に抉られて、悲鳴のような嬌声 をあげずにいられない。 滑って絡みつく粘膜を固い欲望で激しくぐちぐちと擦られる強烈な 刺激に、思考にノイズがかかり不規則にバチバチと白く途絶えてい く。 最も敏感な部分を密接に何度も擦り合わせる事で、お互いの身体を 発火させる至極原始的な行為。 それゆえに本能を大きく揺さぶられ、ただ没頭させられていく。 88 ギシギシグチャグチャ淫靡極まる音とともに、グランの首筋からつ つと汗が滴り落ち、その男性的な匂いと粘つく結合部から立ち昇る 性的な匂いにクラクラとトランス状態に陥る。 激しく揺さぶられ奥を熱く掻き混ぜられながら、忙しない吐息をお 互いに何度も繰り返す。 全裸で性器を貪り合っているこの状態に、体内の熱がぐらぐらと沸 騰しそうになる。 ヤツが奥歯を噛み締めガンガン突き上げながら、段々と余裕の無い 呼吸と動きになっていくのを感じ、そうして何度もこの身に精液を 吐き出された記憶がまざまざと蘇った。 う、ぁあ⋮⋮!!こ、この流れはマズいんじゃないのか、あんな濃 ゆいのをこんな最奥に吐き出されたら⋮⋮確 実 に婚前妊娠、だ ⋮⋮っ!! ﹁く、グラン、あぁっ、待て、中、に出すなッ、こ、子供、が、出 来⋮⋮っひぁ、んっ、んっ!﹂ ﹁ぅあ、姫、ひめ⋮⋮!!あぁ何故、ですか、もう貴方は、私の、 もの、どうか⋮⋮私の子を、くっ、産んで、くだ、さ﹂ 完全に中に吐き出す気満々なヤツの言葉に、真剣に焦り身体をずり 上げるが、大きなごつい手で腰骨をぐっと掴まれ、逆にヤツの腰元 89 に強く引き寄せられてズン、と結合をより深くされ、思考が遥か遠 くにぶっ飛んだ。 そのままガシガシと性急に揺すられ、中をぐぷぐぷと擦り上げ往復 する巨大なものに、ただ無力に大きく啼く事しかできなかった。 ヤツの腕を掴んだ指先が汗で滑り、グランの厚い胸板に激しく擦ら れた胸がひりひりと熱い。 激しく上下に揺さぶられる胸や、首を左右に振って喘ぎまくる私を、 漆黒の瞳が狂おしげにひたむきに見つめてくる。 がっしりとした腰が何度も打ち付けられ、内腿がじんじんと火照る。 剛直が突きいれられる摩擦に柔な内部がじんじんと爛れたように熱 く熟れ、ギシギシと激しく揺れるベッドの上でただ肉と肉がぶちゅ ぶちゅとぶつかり合う激しい刺激に、いとも簡単に屈服してしまい そうになる。 ﹁⋮⋮く、姫、あっ、姫⋮⋮っあっ、う、ぁあっ、あ、ああぁ⋮⋮ ⋮⋮!!﹂ ﹁ん、んあ!ぁ、ぅう、ぁあ!あっ、あっあ、ああぁあーー!﹂ ぐちゃぐちゃっ、ぐぶ、ぐぶ⋮⋮ッと一際早く重く突きいれた後、 ヤツが腰を強く押付けたまま突然動きを止め、体内の奥深くにぎっ ちりと埋め込んだ欲望をドン、と下腹で大きく破裂させた。 90 熱い飛沫が奥壁に一気にドブドブと雪崩れ込み、じわじわヤツの精 液が体の最奥に広がる抗いようのない感覚を必死に身体を震わせな がら呑みこんだ。 91 ROUND18:野獣騎士の全野獣騎士︵ROUND2︶ ﹁ぅ、ぁあ⋮⋮⋮⋮!ん、んん、ぁ⋮⋮ぁああ!﹂ 体内に埋め込まれたグランが破裂しそうなほど大きく膨らみ、これ 以上ないほど奥深くにぐっと押し当てられた先端から、凄い勢いで ドクドクと欲液を吐き出されるむずがゆい感覚に、大きく開かされ たままの脚がガクガクと震え続けた。 ⋮⋮う、く⋮⋮⋮⋮い、いつまで出す、つもり、だ?! っ、あぁあ!そ、それ以上奥を押し上げるな、人体構造上、無理無 理無理!! 悦楽の激しい波に揺さぶられ、目をきつく閉じていたヤツが、ゆっ くりとその漆黒の瞳を開き、熱に浮かされた恍惚とした瞳で私をじ っと見下ろしてきた。 ようやく吐精が収まったかと身を捩った途端、切ない呻き声ととも に再度中のものがドクンと脈動し、またしてもどくり、どくりと吐 き出した。 ⋮⋮うぅ、ホント、いつまで出すつもりだ!? 92 とんでもなく生々しい行為の連続に、ひたすら度肝を抜かれ続ける。 な、なんつー肉弾戦。 男の精を腹に受け女性は子を育むという原理は知っていた。が、こ こまで阿鼻叫喚の重労働だとは知らなかった。 子を作るって心底大変だなと、命の尊さを改めて重く重く実感させ られた一日だった。 ⋮⋮⋮⋮も、一人っ子でいいな、これは。 こんな悲惨な大事故は、一生に一度味わえば充分賞賛に値する。 などと暢気に一息ついていたら。 ヤツが。 また、 ぎしっと、 動きだした。 93 えええええ!!! おいこらちょ、待て、んっひ、あっ⋮⋮ひぁあ! こ、こーゆーのは一回中に吐き出せば終わりじゃないのか? それとも何回も出せば子が沢山できるとでも? ふ、あ、ぁあっ!ひ、やめ、バカ、ふ、双子、とか、できたら、ど ーするん、だッ! 初っ端から、んっ、ん、ぁ!子育て、が大変、だろーが! てか産めん⋮⋮ヤツの子なら必ずビッグベビーだ、そんなの同時に 二人も産めるか!は、破裂するわ!! だが不意に、黒髪の元気な双子がグランの逞しい両腕に鈴なりにぶ らさがって大はしゃぎしながら遊んでいるニコニコグランファミリ ーの情景が脳裏に浮かび、動物の肉球触った時のようなふにゅふに ゅした幸福感に一瞬包まれた。 が、忙しなくガツンガツン内部を抉られる衝撃に、そんなふわふわ はすぐに星空の彼方に吹っ飛んだ。 う、あ⋮⋮!マ、マズい!このままじゃあ恐怖の双子出産になって しまう⋮⋮!! 94 ﹁あっ、やめ、グラン、ふ、双子が、双子が、でき⋮⋮ッ﹂ ﹁く、ぁあ、姫、双子、が⋮⋮欲しいのですか?あぁ⋮⋮私も、欲 し、い﹂ ちがッ、違う、全然違うから!!なしてそう都合良く変換できるん だ、貴様の頭は⋮⋮!! ぎっ、ぎっとまたしてもベッドが軋みをあげ、ねちゅっ、ぐちゅっ と先程よりも粘着性のある卑猥な音が響いてきた。 ヤツがたっぷりと吐き出した精液のせいだろうが、ヤツの濃ゆい子 種が私の体内でぐちゅぐちゅ掻き回されていると思うと、なんか、 頭がグラグラしてきた。 いたたまれない。非 常 にいたたまれない⋮⋮! 濃厚すぎて頭に血が上りまくっていっそこのまま昏倒したい。 先程よりも緩慢に、だがうねってビクつく中の感触をじっくり味わ うかのように腰を大きくグラインドされ、うああと身悶えしまくっ た。 段々と訳が分からなくなってくる。息があがって呼吸困難気味、ガ クガクと身体の震えもずっと止まらない。 95 ところで⋮⋮一体いつまで私の中に居座るつもりだ? まままさか、一 晩 中とかじゃないだろうな?! 終わりなきエンドレスなループに、うああああと内心絶叫が止まら ない。 ﹁あぁ、姫、ひめ、ぅ⋮⋮は、ぁ⋮⋮は、っ⋮⋮あ!﹂ ﹁ひ、は、ぁん⋮⋮!!ん、んんっ、んっぁ!﹂ ヤツが大きく深く中を穿ちながら私をどろどろに蕩けた瞳で見つめ、 忙しない吐息に擦れた声ごとやや乾いた唇を押付け、喘ぐ私の唇を ねっとりと舐め、そのまま首筋を食みながら胸の頂点に吸い付いた。 ﹁あ⋮⋮ぁ!や、やめッ、ん、ぁああ、んんっ!﹂ 唇で食んでは舌で舐める行為を交互に繰り返しながら腰を強く抱き 寄せられ、ごつごつ硬い肉棒がずるると緩慢に引き抜かれてはじゅ ぶうぅと押し込まれ、奥壁をガツンと穿たれ星が飛ぶ。 腰ががくがくと大きく震え、背が大きく弓なりに反り返った。 過敏すぎる粘膜をごりごりごりごり何度も挿入され続け、中が熱く どろどろに蕩けて気がヘンになりそうだ。 96 ヤツが執拗にいやらしく動く度、またしても全力で逃げたくなる感 覚が襲いかかってきて、両手をヤツの厚い胸板に全力で突っぱねた が、逆に熱く火照った肉体に柔い身体を押しつぶされ、全身ごと内 側を執拗に擦られる。 バチバチと火花が散りそうなほど突き上げられ続けた果てに、ヤツ がまた最奥でドクンと熱く爆ぜ、艶のある呻きをあげ、しっとりと 汗に濡れた身体を震わせた。 97 ROUND19:野獣騎士の全野獣騎士︵ROUND3︶ つい昨日まで、まさかこの男にこうして貫かれる事になろうとは、 夢にも思っていなかった。 読者様もそうだろうが、私が一番、このとんでも急展開に微妙につ いていっていない。 男女の恋愛過程にも起承転結が仮にあるとしたら、もっとも長い時 間をかけ二人の愛とやらを育むだろう承転の部分が、ヤツのすさま じい暴走のせいでいっそ清清しいほどキレイにすっ飛ばされ、遠い お空のお星様と化している。 ヤツの想いの奔流に悉く押し流され、何度も溺れ、がぶがぶと飲み こんでいるうちに、なんだかんだ言いつつもヤツをこうして受け入 れざるを得ない状況に追い込まれている。 グラン⋮⋮心底恐ろしい男だ。 ちなみに私は泳げない。 幼少時、城の湯殿でガボガボ溺れるのは私の一日の終わりの恒例行 事だった。 そのうちケイナが私の両脇を抱えて湯船につからせるようになった 逸話は⋮⋮今の状況とは全くもって関係ないな。 98 それにしても⋮⋮くっそおおおーー⋮⋮!! 何が一番悔しいって、たった今、ヤツにみっともない泣き顔を思い 切り見られている事が一番悔しい。 ⋮⋮っ、かなり凹むな、くそ! 初挿入で3連荘はさすがにきた。いくら私でも半泣きする。耐えら れなかった。 ﹁う、うっ⋮⋮ヤ、だ、やめ︱︱ぅあ!グ、ラン⋮⋮ッグラ、ン⋮ ⋮⋮⋮ぅうっ、あ、ぁっ、あ!﹂ グランの容赦無い突き上げにガクガク揺らされながら、情けなくも 子供のようにしゃくり上げまくった。 ⋮⋮おいそこの、鬼の目にも涙wとかツイットしたヤツ!実名を名 乗れ、成敗してくれるわ! 泣くのは真性ドSのヤツにとっては全くの逆効果だと分かってはい ても、どうしても止められなかった。 っく、ぅうっ、ひぁ、ぁっ⋮⋮!などとボロ泣きして喘いでいたら、 予想通り、私の激レアな泣き顔でヤツの最終リミッターのネジが全 部どっかにぶっ飛び、激アツな確変モードに突入したのが見えた。 がくがく震える手でヤツの腕のこぶとこぶの間にしがみつき︵こぶ 99 部分は滑って掴めなかった︶泣きじゃくる私を見て、息荒く苦悶に 呻きながらぎりぎり奥歯を噛み締めたヤツは、私の両膝をグッと押 し上げ結合を一番深くしたままの状態で、埋めたものを更に体内で 隆起させ、私をガツガツ揺さぶってきた。 う、あ、あぁああ、あーーーー!! ひっ⋮⋮あぁ!も、ダ、ダメだ⋮⋮!!ほんとに、もう、ダメだ! !降参だ!ギブギブギブギブーーーー!! ガクガクと全身の震えが止まらない。 剛直が深く埋め込まれるたびに、ぐちゃっ!ぶじゅっ⋮⋮!と耳を 塞ぎたくなるようなとんでもない音が響く。 ヤツが何度も私の中に吐き出した精液が膣内に収まりきれずに溢れ、 ヤツの巨根がぐちゃりと勢い良く押し込まれるたびに、溜まった白 濁が互いの内腿に跳ね飛んでいる。 ⋮⋮ほんと、予想を裏切らない鬼畜展開だった、ありがとう。 という訳で、そろそろ暗転しとけ!!暗 転! ⋮⋮なんて都合良く魅惑の朝チュンシーンにすぐさま瞬間移動でき るはずもなく。 100 半ばかかえあげられたお尻のほうにも生暖かいものが大量にもった りと垂れてきて、何度も重く打ち付けてくるグランの硬い太腿にべ っとりと塗り付けられ、ぬるぬる滑って、もうなにがなんだかワケ 分からなくなってきた。 しまいには大きく開かされっぱなしの脚が、巨大なものに内部を激 しく抉られるたびにビクーッビクーッと大きく痙攣しだした。 ﹁ぁあ、姫⋮⋮⋮⋮っ、も、う、あ、はぁっ⋮⋮は、ぁ﹂ 悦楽に眉を寄せヤツがきつく唇を噛み締める。 下腹が蠢くほどに、ずぐん、と中のものが熱く大きく鼓動した。 あ、また、くる⋮⋮の、か?!も、入りきらない、あ、ありえ、な い⋮⋮! 凄まじい勢いで体内をやや乱雑に出し入れされ、中が火傷しそうに ガッと熱くなる。 私の体の芯にもヤツの業火が燃え移り、一緒に発火し始めた。 うあ、う、あ!っダメだ、もう、もう⋮⋮⋮⋮!あぁあ!! 101 ﹁うぅ!あぁっ!ひ、ぁ!っく、うあ、やめ、も、出す、なッ﹂ 必死に言い募ったが、グラグラ煮だって沸騰したグランの双眸は、 ただただ狂おしげにまっすぐに私を見つめてくるだけだった。 逞しい男根を火花が出そうなくらいの速度でぐちゅぐちゅと忙しな く突き入れ、禄に言葉も紡げ無いほどに私をガンガンに追い詰めて くる。 いや、追い詰められているのはヤツなのか。それすら、もう、 ﹁く、はぁっ、姫、わたしの、ひめ⋮⋮く、ぁ、あ⋮⋮あああ⋮⋮ ⋮⋮!﹂ ﹁⋮⋮っ!ぁあっ、あっ、ぁ⋮⋮⋮⋮っ!﹂ はっ⋮⋮は⋮⋮ぁっグランがとんでもなく熱い吐息を吐き、寸分の 隙も無く鍛え上げられたヤツの肉体が私の上でビクッビクッと激し く打ち震えた。 同時に中のグランも一際ドクン!と打ち震え、埋められた欲望の根 元から何かがビリビリと勢い良く駆け登ってくるのを感じた。 ﹁ぅ、ぁああ!っヤダ、らめ⋮⋮!!ん、んん!んーーーーっ!!﹂ 102 体の奥でドブッ⋮⋮ドボ⋮⋮ッと実に嫌な音が響いてきて、足のつ ま先が熱い精液が注がれるごとに激しく痙攣したのを最後に、私は 気絶するようにバツンと身体と意識の接続を断絶させた。 一歩間違えば人生の永眠コースまっさかさまの、深い深い暗黒の眠 りへと落ちていった。 103 ROUND20:野獣騎士と屍王女︵前書き︶ サブタイトルは﹃野獣騎士の幸せな朝﹄。 104 ROUND20:野獣騎士と屍王女 ああ。 長かった。 夜は明けたのか? もう⋮⋮闘いは終わったのか? 身体中の骨と筋肉がギシギシする痛みに目覚めると、まだ早朝のよ うだった。 明るいような暗いような、どっちつかずの見知らぬ部屋の風景がぼ んやり見える。 ところで⋮⋮何故、私はゴツゴツ固い岩場で寝ているんだ?⋮⋮と 思ったら、それはグランの筋肉布団だった。 私の後頭部に唇を押付けたまま、太い両腕が背後から私をガッチリ ホールドしていた。 腕や背や尻に当たる硬い身体の感触に、いまだお互い全裸のままな のが分かる。 105 ⋮⋮⋮⋮お⋮⋮お も い。 なんだ、この背後霊のような重圧感は?!しかも⋮⋮足が全く動か ない。 金縛りか怨念か、はたまた呪いか?と恐怖に慄きつつ自分の足を見 下ろすと、単純に両足首がヤツの両脛の間にガッチリ挟まれ頑丈に ロックされていた。 これは⋮⋮グラン肉体檻・Version2か? 色んなバリエーションがあるんだな、⋮⋮これ以上増えない事を祈 る。 とりあえず、霊的なものじゃなくて良かった。が、もしかするとそ れよりもタチが悪いかもしれない。 足を抜こうと何度かむぎぎぎと必死に頑張ってはみたが、微動だに しない。 ⋮⋮も、知らん。 全力で疲れきっていた私は、無理なもんは無理、と早々に投げ出し た。 と、昨夜グランが埋め込まれていた場所から、ゴボゴボッととんで 106 もない量の粘液が噴き出した。 ぎゃっと下腹を抑えると、指先に白濁がねっとりと絡まり、ぎゃあ あと昨夜に引き続き脳内絶叫が響き渡った。 おそらく昨夜大量に体内に吐き出されたものが、意識を手放してい る間にやや凝固した状態で溢れてきた⋮⋮のか? ⋮⋮なんて推理は心底どうでもいいな、それよりも、内腿がねとね として非常に気持ちが悪い。 だが動けないので必然的に放置。 ⋮⋮⋮⋮も、知らん。 ところで⋮⋮重い腕が長時間圧し掛かっていた為か、肩凝りが酷く なってきた。まるで四十肩のようだ。 この筋肉布団、あんまり寝心地がいいとは言えないな。 厚みがあるのはいいが、いかんせん硬い、硬すぎる。快眠の為には、 せめて低反発仕様にして欲しい。 あと、ぬくくて肌寒い朝にじんわり暖まるのはいいが、ヤツの体温 が常人よりやや高いせいか、ずっとびったりくっつかれるとなぜか 微妙に汗ばんでくる。 107 ⋮⋮てか、段々熱くなってきた! ぬくすぎる岩布団から逃れんと、まずは重い腕をどかそうと試みて みたが、これまた全然持ち上がらない。 ぐぎぎぎぎと奥歯を噛み締め、王女にあるまじき踏ん張りようで踏 ん張ってみてもてんでダメ。 なんだこれ、さては人間の腕じゃないな、バーベルか? なんでバーベルがこんな所に転がっている、こんな危険物を寝床に 転がしておくんじゃない、そして⋮⋮なんで私は朝から重量挙げ? 身じろぐ度に擦れ合う内腿がぬとぬとする気色悪さに必死に耐え、 自由を求め悪戦苦闘していると、突然ヤツの唇と手が動き出したの で、ガチで驚いた。 びびびっくりした⋮⋮⋮⋮!!起きてるなら起きてると早めにそう 申告しろ、リアル背後霊かと思った! ﹁ひ、め⋮⋮⋮⋮﹂ ﹁お、起きてたんならそう言え!し、心臓に悪い!!﹂ ﹁⋮⋮っ、ひめ、やっと⋮⋮目覚めて、くれた、の、ですね。ずっ と⋮⋮貴方が目覚めるのを、待って、いました﹂ 108 いまだ熱っぽく擦れた低音が響き、ヤツの硬く暖かな手がひんやり と冷えた柔い素肌を滑り、私の存在を確かめるように胸や腹部や腰 に触れてきて、ビクッと身体が反応した。 唇が後頭部に幾度も押し付けられ、そのうち髪を掻き分け耳朶やう なじ、肩甲骨に唇が降りて背中に辿り着き、唐突に肌をべろりと舐 められ、全身がぞぞぞと総毛立った。 ちょ、やめッ!なんでそんなとこに口付け!? てか背中にそんな事して楽しいか?!楽しいのか?!そこにはなん にもないが! それに私が爆睡してる間、一晩中寝ないで一体何をしていたんだ? まさか羊でも数えていた訳でもあるまい? ⋮⋮っふぎゃああ!! 腰の窪みや腰骨に熱い唇が這い降りてきて、下腹を撫でていた手が いつの間にか茂みを掻き分け、過度の過労とヤツの白濁でへろへろ よれよれねとねとの蜜口をぬるぬるさすった。 ぎゃ!!やめッ!そこは触るな!触れてくれるな!! 極度の慢性疲労の為芝療養中、何人たりとも立ち入り禁止だ! ﹁あぁ姫⋮⋮こうして、ずっと⋮⋮貴方に、触れていたい。貴方の、 109 中に⋮⋮入り、たい﹂ その申し出は全力で断る、その凶器が収まるべき場所は正しくは衣 服の中、しっかり厳重にしまっておけ! 昨晩のアレは一夜限定の悪夢だ、あんなのは一生に一度で充分、お 願いだからもう安らかに即二度寝させて欲しい。 這い回るグランの手と唇に、なけなしの最後の力を振り絞って対抗 しようとしたが、全身へろへろのくたくたで力など入るわけが無か った。 ヤツを引き剥がそうとなんとか動かした手は、ひゅるるるーぽてっ とヤツの腕に力無くへたれ落ち、ひ、め、私に⋮⋮触れて、くださ るの、ですか、などと、ものごっつ幸せそうにヤツの呟きが落ち、 むぎゅ、とその手を取られ幾度も唇が押し付けられ、ついでに指ご と食まれた。 あぁ⋮⋮お前は指しゃぶりする赤子か?などとツッコミ入れる気力 も無い。 電池残量が0以下を振り切っている。至急充電が必要だ。 自室でうつぶせに大の字で泥のように眠りたい、無論一人で。 思う存分惰眠を貪りたい、無論一人で。 110 こうして⋮⋮私の大いなる疲労感とは裏腹に、すっかりヤツの独壇 場と化したヤツ専用リングの上で、再び全グランによる闘いのゴン グが高らかに鳴り響いたのであった。 111 ROUND21:野獣騎士の全野獣騎士︵ROUND4・前編︶ 恐れ戦慄く入り口を愛しむように指でぬちぬちと撫でさすられ、ん っ、んんっとヘンな声が出まくり身悶えた。 大きな手で背後から柔い胸や臀部を揉まれ、息があがりながらもヤ ツの手を阻止しようと試みたが、力が入らない上にふるふるへろへ ろ、私の体を揉みまくるヤツの手をふにっと握るのが精一杯だった。 だがその行動は、まるでヤツの愛撫に感じまくり悶えながら、もっ と触ってとヤツの手を己の感じる部分に導くような大変間違った構 図となってしまい、グランが更にひ、め⋮⋮!と歓喜興奮し、愛撫 がより熱く激しく執拗になっていった。 とにかく身体のあらゆる所を食まれ舐められ触られ揉まれ、意図せ ず身体が勝手にびくつくのがずっと収まらず、もうどうしようもな い。 唇を噛み締め必死に刺激に耐えていたが、ビンビンに起ち上がった 巨大な肉塊がお尻にグサグサ刺さりまくって、う、ああああ!!と 全身が慄き硬直した。 胸を揉まれ入り口に触られ尻の柔肉をごつごつと固いもので擦られ、 身体にヘンな悶えがひた走り、喘ぎがもはや止まらない。 ﹁ぅうっ⋮⋮!ん、ぁ、う、ぁっあ!﹂ 112 ﹁あぁ、姫、なんて、柔らかい⋮⋮っ、あ﹂ 尾てい骨を熱く滲むヤツの先端がぬめぬめと何度も掠め、その度に ひぎゃっ!と腰が跳ね上がる。 背後のヤツの息がどんどんどんどん荒くなってきて、姫⋮⋮ッと呻 いたかと思うと唐突にグッと腰を掴まれ仰向けにドッと押し倒され た。 ⋮⋮朝から、大変マズい展開だ。 貪欲な渇望が嵐のようにグルグル渦巻くヤツの瞳にひたとロックオ ンされ、あ、ヤバ、と思った時には時既に遅し。 昨夜から意外性もへったくれもない、お決まりの展開に持ち込まれ た。 ﹁ぅあっ、ひ、うあ⋮⋮っ、く、ぁあ⋮⋮!﹂ ヤツが私の太腿を大きく押し開き、卑猥な熱心さで舌と唇を押し当 て、ぐちゃぐちゃと解きほぐしている。 自分の吐き出したものごと淫蕩に啜るヤツに、いいのか、共食いに なるぞと脳内ツッコミを入れようとしたが、外陰部ごと大きく食ま 113 れ、ぬちっとヤツの舌が膣内に押し入って敏感な内部まで啜ってき た為、そんな余裕は無限の彼方に消えて無くなった。 強い刺激に腰がビクつき膝がカクカク震え、もはや半泣き状態で首 を振りながら肩を震わし、いやらしく喘ぎまくってしまう。 するといつの間にかどろどろに蕩けたヤツの目が近付いてきて、唐 突に唇を塞がれた。 ﹁んう!んんんーん!!んんん∼∼∼∼!!﹂ 唇からとんでもなく性的なものを口移ししてくるヤツを激しく罵倒 したが、んんん語になってしまい訳が分からない。 おま、ふざけんな、せめて口くらい拭いてからしろ!私も共食いに なるだろ!!と怒鳴りつけているのだが⋮⋮分かってもらえるだろ うか。 粘ついたものが口に入ってきて、余りの苦さにうう、ん、ぅ!と身 悶えた。 唇を押し付けられたままモガモガ罵倒すればするほどに、まるで私 からヤツに情熱的な口付けをしているような構図となり、姫⋮⋮あ ぁ、姫!と、ヤツが益々熱く私の体をまさぐり、息を更に荒げ、ド ロドロに蕩けたその瞳で見つめてくる。 ようやく唇が離れたと思ったら、今度はべしょべしょの秘裂をヤツ の手でぐぐっと大きく開かれ、パックリ口を開けたその溝に、また 114 してもパンパンに膨れ上がった男根をぐり、と宛がわれた。 ⋮⋮っああ、あああーー!! 全身がビックーーッと猛烈に怖気づく。 その破壊力を知っているがゆえの恐ろしい恐怖が全身を一気に駆け 抜け、心臓がドドドドと太鼓の早打ち状態と化した。 すっかりヤツのコレが激しいトラウマと化してしまっている。 凶器のようなそれを体内への入り口にゴリゴリと押し付けられると、 コレに散々掻き回され、みっともなく泣き喚いた自分の醜態が蘇り、 膝がカクカクびくついて、うああと涙目になってしまう。 くっ、ど、どうすればいいんだ?!もうあんな訳の分からない滅茶 苦茶な状態にはなりたくない! だが逃げられないし話は通じないし余りに拒否ると世界滅亡まっし ぐら、宥めても何故かヤツの暴走被害が大きくなるばかりのこの四 面楚歌を一体どうしろと? 究極の中二病的選択肢として、今すぐグランか世界のどちらかと華 麗にオサラバする方法があるが、ヤツに圧し掛かられたが最後、事 件事故自然災害世界滅亡以外で逃げられそうに無い上、ヤツのよう に世界をサクッと一瞬で終わらす人外的パワーも無い。 115 ﹁っく、ひ、め⋮⋮あ⋮⋮ぁ!﹂ ﹁あ、ぁあっ!ひ、ぁ、ぅうっ、くっ、あぁ⋮⋮⋮⋮ああああ!﹂ で、結局逃げられず、ヤツをじわじわと体内に呑み込んでいくお決 まりの展開になっていった。 116 ROUND22:野獣騎士の全野獣騎士︵ROUND4・後編︶ ﹁ひあぁ⋮⋮!!く、っ⋮⋮ぁああ!!﹂ 折角閉じて収縮し安らかに休憩中だった入り口が、またしてもヤツ のどでかいイチモツにぐぐぐ、ぐっと押し広げられ、膝と内腿がフ ルフル情けなく震えてしまう。 私の入り口が狭すぎるのか、ヤツの先端が大きすぎるのか⋮⋮XL サイズの人物がSサイズの服に果敢に挑戦するような無理無理感が ひしひしとするのだが。 てかなんでこんなに先が大きいんだ、これじゃ入りづらいのは当た り前、用途的に全く正反対の方向に激しく間違ってないか? だが⋮⋮いったん挿入ったが最後、物凄く抜けにくそうな⋮⋮釣り 針でいうならかえし付き、一度銜え込んでしまえば、逃れようとも がけばもがくほどに深く肉に食い込んで益々逃れられなくなってい くという、まさに恐怖の負のスパイラル的な形状だ。 って⋮⋮っんぎゃああーー! わ、私はバカか?バカなのか?!自分で自分を恐怖のドン底に陥れ てどうする! 117 その凶悪な先端がぐぷぅとようやく全て埋め込まれても、ヤツのブ ツがブツなだけに一気に挿入は不可能だ。 ぎゅうぎゅう圧迫する中の襞をヤツの固く張った先端がじゅぷり、 ぬぷりと入っていく生々しい衝撃が、霞んだ思考を強烈に焼き切っ ていく。 逞しい全長が膣内一杯一杯に埋め込まれ、その膨張した熱い先端に 最奥を押し上げられ、呼吸が止まる。 そのまますぐに力の入らない両膝をぐいと広げられ、大股開きの状 態のままヤツの巨大なものにばちゅんぐちゅんと出入りされ、非常 に情け無い悲鳴があがってくる。 ﹁あひっ⋮⋮!う、ぁ、ひ、んっ!はぅ!﹂ 限界まで広げられた入り口がわなわなと戦慄き、内部がぎゅうぎゅ うと収縮し、その中をぐちゃぐちゃに突き入れられ、涙目になって 身悶えた。 ﹁姫、姫、はぁっ⋮⋮ぁ、もう⋮⋮貴方は、私の、もの、です。っ ぁ、決して、離しませ﹂ ﹁っひ!うぅ!あ、やめ、ッひあぁ!っく、ん、んっ!あっ、ぁん、 あぁあ!﹂ 118 ⋮⋮朝から卑猥なベッドのギシギシ音と熱気溢れる切羽詰った喘ぎ を耳にするのは、精神的ダメージが半端ない。 反らした首をべろりと舐められ、大きな手で胸を卑猥に揉まれ、立 った乳首をむちゅぅっと吸われ、中をごりごり捏ね回され、もうな にがなんだか、うぁあッ!ひッぁ、ダメ、だ、これ以上は、身体が、 ぁあっ、い、意識、が⋮⋮⋮⋮! さも私が過敏に反応してしまうところを熟知しているような際どい 攻め方に、早くもギリギリまでジリジリと追い詰められる。 ふ、ぅう、やっ⋮⋮な、んで、こん、な⋮⋮や、ダメッ⋮⋮だ、も ⋮⋮ぁ、あぁああ!! ﹁っふ、ひ、らめ、あぁっ、グラ、ン、も、やぁ!んぁあ!あひ、 あぁっン、んッ!﹂ ﹁あぁ⋮⋮姫、堪らない、ッひ、め、あぁ、私、も、も、う⋮⋮⋮ ⋮ぅ、ぁ⋮⋮!!﹂ ガッガッパンパン、ギッギッビチビチと、もはや何の音だか分から ない騒々しい擬音を出しまくって激しく穿たれ、思考が白く霞んで いく。 腰骨をガッツリ抱き込まれたまま、執拗に揺さぶられ、徐々に耐え がたい何かが身体の奥からビリビリと込み上げてきた。 119 ﹁あん、あぁ、ぁん!ひン、あぁ!んン、ぁああーー!!﹂ ぐぶうぅっ!とガチガチの屹立を奥底まで押し込められた瞬間、下 腹がビクビクゥッと今までになく大きく波打ち、全身が大きく震撼 した。 グランがびしょぬれの艶かしい呻きをあげ、最奥に深々と突き刺し たものをとんでもなくいやらしく蠢かし、愛液をどぷん⋮⋮!と奥 へ吐精した。 その迸る熱い精液を搾り取るように、埋め込まれた性器にいやらし く絡みつくような動きをいつまでも繰り返す内部に、ひぅ、ひぁ! ん、ぅう⋮⋮!とヘンな嗚咽が止まらない。 深く深く繋がったまま唇を幾度も食まれ、硬い腕に背と腰をすくい 上げられ、火照った逞しい肉体にきつくきつく抱き寄せられる。 あぁ。 昨夜から啼きっぱなしのみっともない事この上ない記憶を一気に全 部かき集めてどっかに穴掘って埋めたい。 朝から挿入れられたまま、またもや半泣き状態でROUND2まで 押し流された件についても⋮⋮ついでに深々と埋めておきたい。 120 ROUND23:野獣騎士の全野獣騎士︵FINALROUND ︶ この濃厚極まり無いエロ展開は、一体いつまで続くのか。 普通エロ達成が目的の物語は、読者を焦らす為何度も押し倒しと寸 止めを繰り返した挙句、ギリギリラストに華麗に結ばれ、良かった 良かったとそこでサックリ完結するもんじゃないのか? 延々とエロを続ける意味が分からない。 てかこのとんでも羞恥プレイな小説を今すぐ全削除するよう、切実 にお願いしたい。 深くグッサリと埋め込まれたまま、くったりと弛緩しきった身体を 寝台から抱き起こされ、ヤツの太腿の上に跨った状態で抱き寄せら れる。 まるでむずがる幼子をあやすような体勢で下から一気にズンと突き 上げられ、頭から腰骨まで物凄い電撃がビリビリと走り、喉を開い て声にならない叫びをあげた。 そのままズンズングチャグチャと突き上げられ、下腹に何度も激震 が走る。 ﹁っ、⋮⋮く、は⋮⋮っ、ひめ、ひ、め⋮⋮ッ!﹂ 121 ﹁ッ、あぁあア!んく⋮⋮あッ、ひあぁッ!!﹂ これは⋮⋮物凄く身の危険をビシビシ感じる挿入法だ。 気を抜く度に自分の身体の重みでグランが物凄く深く突き刺さって くる。 粘液でぐちゃぐちゃの最奥をグボォッ!と押し上げられると、激痛 寸前の物凄い衝撃が襲いかかり、意識が霞んで吹っ飛びそうになる。 卑猥に男を飲み込み続ける結合部から大量の精液がぶじゅっぐちゅ っと押し出され、グランの陰毛に滴り落ち淫らに湿らせる。 く、ぁあ!恐ろしい⋮⋮これは、マズい、このままガンガン串刺し にされ続けたら⋮⋮危険な猛獣を前にまたしても意識を呆気無く手 放してしまいそうだ。 恐慌に陥り、座位のまま私を腰を折れんばかりに抱き寄せて貪るヤ ツの腕を掴み、腕を突っ張って必死で身体を上に引き上げようとも がいた。 が、逃さないとでも言わんばかりに両尻にヤツの指が喰い込んでき て、ガッツリ鷲掴まれたまま思い切り腰を引き下げられ、ヤツの滾 った全長で思い切り貫かれた。 そのままヤツの突き上げる動きに合わせ、上下に激しくガクガク揺 122 すられ続ける。 傍から見たら、ドクドクと脈動し熱く暴れまわる滾った剛直に自ら 跨り、それを狂ったように腰を振り甘美に味わう娼婦のような光景 に見えるだろう。 グランの剛直が激しく出入りし上下にはしたなく揺れる尻の柔肉を 卑猥にぎゅうぎゅう揉まれ、ガチガチのものを体内に受け入れ続け る蜜壺がじんじん熱く痺れ、全身身震いが止まらなくなってきた。 だらしなくあんあんと喘ぎっぱなしの口をねちゃくちゃと乱雑に食 まれ、合わさった唇からお互いの唾液がねっとりと滴り落ちる。 ﹁あ、ぁ、ひめ、⋮⋮あ、ぁっ⋮⋮⋮⋮!﹂ 唇を貪りガンガン突き上げまくっていたグランが、やがてたわわに 上下しグランの厚い胸板に淫らに擦れまくっていた乳房の先端にが ぷっとしゃぶりつき、私の腰と尻を激しく揺さぶりつつ下からガン ガン突き上げてきて、悶えが最高潮に達する。 ﹁んあぁあっ⋮⋮!や、ひ、んぁあ!あぁん、あん、あん!﹂ 獣じみた息遣いとべろべろちゅぶちゅぶと舐めしゃぶられる刺激を 激しく乳首に感じながら、ぼおっと霞んだ視界がガクガクと上下に 延々と揺れ動く。 123 身体を容赦なく貫いてくる衝撃の逃し方が分からず、グランの太い 首に両腕で必死でしがみつき、腰と膝をガクガク震わせ泣き喚くし かなかった。 ﹁あひぃっ⋮⋮!ぁあん!あ、んっ!っひ、あぁ!あぁあん!!﹂ ﹁あぁ、姫、ひめ!⋮⋮ん、はぁっ、最高、です、ひめ、ひ、め、 あ、ぁ、あぁ⋮⋮!!﹂ ﹁っぁあ!ゃ、ああ!ン、あぁ、あっ⋮⋮あ、あぁああああーーー ー!!﹂ うねりをあげてこみ上げる熱い奔流にガクガク震え、両尻をぐっと 引き下げられこれ以上ないほど深々と串刺しにされたまま、またし ても最奥に熱い飛沫をたっぷりと吐き出される。 私の腰に食い込んだ欲望は、その大きな刀身を華奢な鞘にみっちり と収めたまま、いつまでも私の中で大きく震え続けていた。 124 ROUND24:野獣騎士とお風呂︵前編︶ 朝から2回目を思う存分中に放出された後、ようやく尻が持ち上げ られ、巨根がグボボッと抜かれ、心底ホッとする。 抜かれる凄まじい感触に中がビクビクッと窄まり、どろろっと大量 にグランの股に滴り落ちた白濁に、ヤツは大変名残惜しそうにして いたが、どうでもいいから、もう開放しろ、労働基準法を遥かに超 えまくってるぞ! ヤツが私を寝台の上に横たえ、髪を撫で口づけを落とした後、部屋 の隅の小部屋へと消えていく。 水音が聞こえ、出勤前にシャワーでも浴びるのかとぼんやり思って いたら、急に現れたグランにベッドからひょっと掬い上げられ、既 に熱い飛沫が噴出しているシャワールームに何故か一緒に押し込め られた。 ぶふっ⋮⋮!! いきなり頭から思い切りお湯を浴びてむせてしまった。 色々な事情でベタベタヌルヌルしていた身体が熱めのシャワーでザ アッと洗い流される気持ち良さで、ふあと熱い溜息が漏れる。 125 ふー、気持ちいい⋮⋮。 やはり注がれるなら普通のお湯に限る、濃厚な粘液を中に注がれ続 けるのは、もう当分いい。 と、ヤツがひめ、と呟き、湯が滴り落ちる私の身体に触れてきた。 ⋮⋮いや違った、洗ってくれているのか? ⋮⋮ッ、やっぱ違った!明らかに肉感を楽しんでいる手の動きだな、 これは! 大きな手が腰を撫で降り、髪と顎からお湯を滴らせたヤツの顔が近 付いてきて熱っぽい口付けをされる。 狭くて身体がぴっとり密着して動けず、熱い飛沫を浴びながらその まま口付けを受ける羽目になった。 てかこのシャワールームはどう考えても一人用じゃないのか⋮⋮? 狭い、狭すぎる。 ⋮⋮で、密着していると、やっぱりヤツのものが張り詰めてきた。 ⋮⋮ただでさえ狭いシャワールームなのに、これ以上狭くしてどう する。 あーでもコレ、どうするんだ?いやヤツもそろそろ出勤するだろう し、さすがにもう行くだろう。だがこんなんで⋮⋮服、着れるのか ?着た途端、思い切り裂けそうだ。 126 などと密かに考えていたら、ヤツが息荒く胸と尻をまさぐってきた。 ひ⋮⋮め、と濡れた低音で呟き、唐突に私の片膝をぐっと抱え上げ たかと思うと、股間に熱い隆起をまたしても挿入しようとしてきた ので、んぎゃあああーー!!と大悲鳴をあげた。 おいおいおいおいコラコラコラコラ一体何する気だーー?! いや、何したいかは分かりきっているが、無理無理無理無理死ぬ死 ぬ死ぬ死ぬーー!! ﹁やめッグラン!!も、無理だ⋮⋮ッ!!こ、これ以上は、こ、壊 れる!私が!!﹂ ﹁ひ、め、は、ぁ⋮⋮っ、ですが⋮⋮、っ、く﹂ ﹁無理、ダメ、だ!っぎゃ⋮⋮!やめッ!!そそそそんなの自分で なんとかしろ︱︱!!﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮ひ、め⋮⋮⋮⋮っ、分か、り、ました﹂ ?⋮⋮やけに話がすんなり通じるな、と訝しんでいたら。 苦悶に呻きながら私の髪に顔を埋めたヤツは、 127 あろうことか、私の目の前で、 自分の手で、 自分を、慰め始めた。 ⋮⋮っっふっっぎゃああああーーーー!! 128 ROUND25:野獣騎士とお風呂︵中編︶︵前書き︶ *自慰描写が苦手な方は退避推奨です 129 ROUND25:野獣騎士とお風呂︵中編︶ バババカバカバカバカ、おま、なななんてことするんだ、ありえな い、ありえないからーー!! ちちち違う違う、私は自分一人でなんとかしろと言ったのであって、 私の前でそれをやれとは断じて言ってない!断じて言ってないッ!! ﹁ひ、め、あぁ⋮⋮っは、姫、姫⋮⋮⋮⋮っ﹂ 降り注ぐ湯が私の鎖骨から胸の膨らみを辿ってその頂点から伝い落 ちていくのを、焼け付くような瞳で凝視していたグランが、その雫 を惜しむかのように大きな手で掬い上げ揉みしだきながら、己のギ チギチの肉棒を私の腹に押付け、きつく上下に扱いている。 黒い陰毛で覆われた下肢からそびえたつ陰茎はパンパンに膨らみ、 太い筋を浮き上がらせて大きくビクンビクンと跳ね上がっている。 っうああぁああーー!ななななんでこんな展開にーー?!?! こここんなの入れられてよくぞ無事だったな、私の身体!!自分で 自分の身体を褒めてやりたい!てか今の内褒めとけ、よくぞ最後ま でぶっ壊れずに頑張った!! ヤツにちょっとでも絆されたが最後、ゴッソリ全部貪り尽くされる 130 のは分かっていた、分かりきっていた。 そうしてヤツの延々と続く暴走を満身創痍になりながらも必死で受 け止めきったばかりだというのに、非 常 に頑張った私に対する、 これがご褒美だとでも言うのか?!ありえんありえん絶対にありえ ん!! こんなの私がいなくてもできるだろう、いいからとっとと私を離せ ーー!! 漆黒の髪とがっしり引き締まった屈強な肉体から熱い湯が幾筋も滑 り落ち、込みあげる悦楽に身悶えるその様はとんでもなく扇情的と いえば扇情的だが⋮⋮普通こういう事は一人でするものじゃないの か?あくまでも一人で!詳しくは知らないが!!知りたくもないが! 陸揚げされ苦しさの余り暴れまわる魚のようにビチビチと跳ねまわ る熱いものが私の腹に卑猥にこすられ続ける恐ろしい光景をとても 正視できず、うあああと目をきつくぎゅっと瞑ると、濡れて開いた 熱いものが唇に重なってきて、官能的な熱い吐息を腔内に吹き込ま れる。 荒い息と勃起しまくった性器を扱く水音が狭い個室に反響し、私の 耳と脳内を強烈に犯してくる。 そのうち、まるでそれを体内に突き入れられ、内部を激しく扱かれ ているかのような非常にいたたまれない感覚に襲われ、私まで息が あがってくる。 131 ななななんて心臓に悪い行為なんだ、これならいっそ中に突き入れ られたほうが精神的ダメージが少なく済むんじゃないのか?! ⋮⋮いやいやブルブル、無理無理無理!身体的に激しく無理!! 唇をひたすら貪り快楽に耽けっていたグランが、ひ、め⋮⋮と欲情 に爛れドロドロに溶けきった熱視線でひたと見下ろしてきて、ドキ ン!と心臓が勝手に飛び跳ねる。 色香駄々漏れの艶かしい目に腰に痺れが走り、身体がボッと燃え上 がって心臓がぎゅんぎゅん縮み上がった。 ⋮⋮って、違うっ待て待て待てっ、これ以上絆されようものならま たしても怒涛の暴走展開に逆戻りだ! 思い出せ!ヤツがこの目をした時、今までどうなったのかを⋮⋮!! 熱情渦巻くこの目を目にしたが最後、その度に阿鼻叫喚空前絶後の 事態に陥り、走り出したら止まらないヤツの暴走が尽き果てるまで ドシドシ押し流される事は既に実証済だ!! ⋮⋮だがそんな事分かったところで、毎回どうにもならないのも既 に実証済だったりする。 ヤツが熱い吐息を吐きながら、迫り来る厚い胸板を押し戻さんと精 一杯奮闘していた私の手を掬い上げ、卑猥に舐めしゃぶる。 132 それをゴツゴツした己の腹筋に押し当て、つつ⋮⋮とその下に滾り 立つ男の欲望の象徴に導いてきた。 っっつぎゃぎゃあああああーーーーー!!!! ややややめろーーーー!!なななんでこここんなの触らなきゃなら ないんだ、﹁これが婚約した二人の初めての共同作業ですw﹂など と幸福的テロップでも入れてみたいのか?!いい要らん、そんなテ ロップ、全力で要らんわーー!! あわわわ私の手ごと握りこむな、てかものが大きすぎて私の手じゃ 全く全然握り込めてないから!という訳で残念ながら私ごときの手 ではとてもお役に立てそうにない、サイズも合ってないようだし今 すぐこの手をひっこ抜いてもいいですか? 熱くてゴツくて硬くて大きくてビクビクしてる物体Xの感触に、う ああああと人生最大級の脳内絶叫が止まらない。 衝撃の余りわなわなプルプル震えまくる手をビクンビクン脈動する 地球外生命体からなんとか引き剥がそうと試みるが、ゴツい手で猛 った肉棒ごとガッチリ握りこまれ、まるで元からくっついているか のように離れない。 むぎぎぎぎーー!!はな、離せえええーー!! 133 人生初の男根握り⋮⋮それは、脳天に落雷レベルの衝撃的大事件だ った。<完> ⋮⋮などと勝手に現実からログアウトできるはずもなく。 滾りに滾った欲望を、 握りこんだ私の手ごと、 ビチビチと強烈に、 扱き始めた。 ⋮⋮⋮⋮んぎゃああぁあーーーー!んっっああぁああーーー!! 134 ROUND26:野獣騎士とお風呂︵後編︶︵前書き︶ *自慰描写が苦手な方は退避推奨です 135 ROUND26:野獣騎士とお風呂︵後編︶ バババババカバカバカバカーー!!なんで私まで強制参加?! 何度でも言う、そーゆーのは、一人でやれーー!! ﹁はぁっ、は、ぁ姫、姫っ⋮⋮⋮⋮ぅく⋮⋮ぁ⋮⋮!!﹂ 熱い欲望の塊が、はち切れんばかりに私の手の中を暴れまくってい る。 表面を覆う皮膚を上下に強く擦ると、ゴツゴツでビンビンの恐ろし く生々しい肉感が浮き彫りになり、あわわわわ!!とパニックが止 まらない。 あぁ⋮⋮もうそろそろ深窓の姫らしく可愛らしげに﹁うーんw﹂と か言いつつこってり失神したい気分になってきた。 生憎そんな乙女チックでナイスな技は持っていないが。恐らく永遠 に持つ事もないだろう、私というヤツは。 大体こんなにゴリゴリ強く扱いて大丈夫なのかコレ?!そんなに先 端までグイグイ激しく扱いたらポッキリ折れそ⋮⋮うあああ!!折 れ、折れる!再起不能になってもいいのか?! 136 グランが益々息を荒げ、耳たぶを食んだり首筋に噛み付いたりしな がら片手で私の腰を抱き込み、爆発しそうにうねりを上げる熱いも のを下腹部にぐぐと押し付けてきた。 火傷しそうな途切れ途切れの吐息を唇を噛んで押し殺し、一際大き く強く己を扱いた後、っぁあ!と呻いてその巨根の先端をぐっと握 った。⋮⋮私の手ごと。 そのまま熱く濡れそぼる大きな先端を私の腹にぐぐと押付けたまま、 身体を震わしドロドロの白濁を吐き出した。 ⋮⋮結局、ヤツが私を綺麗にしようとしたのか更に汚したかったの か微妙に謎のまま、湯浴みが終了した。 その後もこのままこの部屋にいてほしいと切実な目で懇願され続け たのだが、ありえんありえん絶対ありえん、居たが最後ヤツが戻り 次第、昨晩からついさっきまでの大悪夢の再現になるのは目に見え て分かりきっている、部屋に戻るのは譲れない、断固として譲れな い! そしてようやくヤツが着替え始め、私の最大のトラウマが視界から 消えてホッとする。 やはり人間は服を着るべきだと思う、全裸は当分見たくない、見た 137 くない。 出かける段階になってもなお、ならば部屋までお送りしますと言い 募るグランに、昨晩の事もあるし早く出勤しろと告げると、ヤツが 切なく顔を歪ませ、あぁ姫⋮⋮本当は鎖に繋いででも⋮⋮貴方を私 に縛り付けておきたい、などと不吉極まる恐怖の世迷言を漏らして きたので、いいからはよいけー!と脛を思い切り蹴り飛ばしてしま った。 ⋮⋮まあ、腰に全く力が入らないヘロヘロキックなので、ヤツを一 ミリたりとも動かせはしなかったが。 グランが去ってしばらくすると、ベルモアとケイナが一目散に救出 しに来た。 ⋮⋮という訳で、ようやく私は自室︵仮︶でうつぶせに大の字で泥 のように眠リ、思う存分惰眠を貪りまくったのだった。 138 ROUND27:野獣騎士について本気出して考えてみた その日はずっと屍となって爆睡していたかったのだが、さすがに昼 時は食事の為に起こされた。 今朝は朝餉もせずに爆眠してしまったので、確かにお腹は空いてい る。⋮⋮でも眠い⋮⋮でもお腹空いた⋮⋮お腹空いた! 睡眠欲と食欲が激しくバトルした結果、わずかに食欲が勝った! ギギギと身体を起こし、寝台から起き上がろうとした。 が、できなかった。 身体に力が全く入らず、寝台の上でORZの形で腕をプルプルさせ てしばらく耐えるという大変情けない羽目に陥り、結局寝台の上で 食事を取る事にした。 ﹁姫様⋮⋮お身体、大分お辛いようですわね﹂ ケイナが食事の補助をしつつ、心配そうに話しかけてきた⋮⋮と思 ったら、いつもの毒舌が炸裂した。 ﹁だから言いましたのに。箱入りの姫様が、あの獰猛な野獣から逃 139 げられるわけがないと。きっと姫様の事だから、精一杯無駄な抵抗 なされたのでは?そんな事をすれば、人類史上最強ドSのグラン様 には全くの逆効果、むしろ感極まって益々襲いかかってくるに決ま ってるじゃありませんか﹂ ⋮⋮グハ⋮⋮ッ。ぐ、ぐうの音も出ない。 なんで私の周りはグランを筆頭にドSの宝庫なんだ?私はドSホイ ホイか? ﹁昨夜ベルモアが﹃ひ、姫様がグラン様に攫われましたッ!﹄なん て駆け込んできた時には、まあそうなりますわねぇと驚きすらあり ませんでしたもの。予定調和ですわね。グラン様と婚約なされてか ら、ほぼ予測通りの展開を歩んでおりますわね。⋮⋮というわけで、 姫様、もう逃げられませんわよ﹂ ﹁⋮⋮分かってる﹂ ﹁ベルモアから聞きました。剣も抜かずに賊を取り押さえたグラン 様の勇姿に、コロッと絆されておしまいになったのでしょう?姫様 は昔から強いお方がお好きですものね。でなければ、今頃姫様は大 激怒なさって、グラン様をいかに追い払うかギリギリ案を練ってお られるはずですもの﹂ ⋮⋮そう分かっている、そんなのは、私自身がよ∼∼く分かってい る! 140 つくづくあの時、賊の様子など見に行くんじゃなかった! 自ら末恐ろしいフラグを立ててしまったがゆえに全力でヤツが拒め ず、﹁嫌いじゃない﹂、﹁お前のものになる﹂、更に﹁愛してる﹂ とまでヤツに言ってしまったのだ。 うああああああ!!お、思い出したら、気が遠く⋮⋮⋮⋮!! なんて赤面もののセリフなんだ、い、いつから私は誘い受けになっ たァ⋮⋮!! 字面だけ見たら、まるで私がヤツを妖艶に誘ったようじゃないか!? いやいやいや待て待て﹁愛してる﹂は極太な凶器で脅され無理矢理 言わされたようなものだ、あれは無効だ! それよりも⋮⋮ヤツにガンガン突き上げられ、アンアン泣き喚いた のはどこのどいつだ?!私だ! 決して出したくて出した声じゃない事は、聡明な読者様なら分かっ てもらえると思う! 不可抗力だった!決して、途中からはやや気持ち良かったなんて事 は断じて無い、絶対に! だかしかしだからといって、毎晩あんな凶悪事件に巻き込まれるの は御免だ、私はサスペンスドラマの主人公ではない! 141 ここは一つ、ヤツと話し合ってみようと思う、私達の未来について。 私も女だ、もうこうなった以上、グダグダ言うのはみっともなくて やってられん! 今後の為にも、前向きにヤツを説得していくしかない! ⋮⋮⋮⋮ヤツとノーマルな話し合いができるかどうかが、大きな問 題だが。 とりあえず、次なる対戦への英気を養う為に、またしても寝に入っ たのだった。 142 ROUND28:野獣騎士VS懐妊王女 その夕刻、勤務を終え即私の部屋︵仮︶を訪れてきたグランから、 私はじりじりと逃げ回っていた。頑丈でクソ重い大机を挟んでぐる ぐると。 ⋮⋮やはり話し合いまでの道のりは長いようだ。 冷静な話し合いを望んでいたが、ヤツは既に昨晩のような熱っぽい 目をしており、ビンビンに身の危険を感じる。話し合いどころでは ない! だが私も何度もヤツに襲われ学んだ、ヤツに半径2メートル以内に 近付かれたら即ゲームオーバーだと!要するに、押し倒されない為 には、猛獣注意近付くな!と。 毎回ヤツの全暴走を受け止めていたらとてもじゃないが身体が持た ん、やはり緊急にヤツとじっくり話し合う必要がある! ﹁それ以上くるな、グラン!!﹂ ﹁ッ何故、ですか、っ﹂ ﹁お前、絶対押し倒してくるだろう?!﹂ 143 ﹁無論です、一度、貴方を抱いてしまったら⋮⋮もう、抑えられ、 ません﹂ いやそこは抑えとけ、おま、一体何回私の中に吐き出したと思って る、夜3回、朝2回の計5回だぞ! おかげで動くたび溢れてきて下着がべしょべしょになって、ヤツの 精液が強力接着剤並の粘っこさの為、替えるのが少しでも遅れると 乾いて下着と陰部がくっついてとれなくてもう大変︱︱って、うわ あああああーーーー!! 最悪だ、余りのいたたまれなさにいっそ自分を埋めたくなってきた !! 今すぐ全力で棺桶に埋葬されたい、ヤツがちゃっかり一緒に入って こないように等身大のジャストサイズでよろしく! ううう、仮にこのまま黒髪五つ子でもできてみろ!一生恨んでやる !呪ってやる!子々孫々、未来永劫だ!! だが今のところ、ヤツの子々孫々は私にとっても子々孫々になる可 能性が非常に高い。 子々孫々はやめて、グラン本人のみ全力で呪っておく事にする。 とにかく色々な事をヤツに理解してもらわんと私に明日は無い!! 144 落ち着け落ち着くんだ、私!冷静になれ! この机を盾に、ヤツとしっかりディスカッションせねば!今後の私 の平穏の為にも! ﹁ダメだ!もう痛くて入るか、バカ者!ああいう事は、しばらく絶 対禁止だ!!﹂ ﹁ひ⋮⋮め⋮⋮!﹂ ﹁そ、それにまだ結婚前なのに、子供でもできたらどうするつもり だッ!﹂ ﹁子供、が⋮⋮?!わ、私の、子が、できたのですか?!ッ、姫︱ ︱!!﹂ 恐ろしい驚愕の表情の後、物凄い歓喜にブルブル震えながらガッと ヤツがテーブルに乗り出し、ゴゴッと凄い地鳴りで部屋全体が振動 した。 ゆ、床、抜ける!城、崩壊する!! ﹁バ、バカ者ォーー!!昨日の今日でそんなの分かってたまるか! !一国の王女が結婚前に妊娠するのは、他国への外聞が悪いとそう 言っている!﹂ 145 ﹁っ⋮⋮⋮⋮そ、う、で、す、か⋮⋮﹂ ガクッ⋮⋮という擬音が聞こえてきそうなほどに意気消沈し、グラ ンはものっそ凹んでいた。もはや私の言葉など耳に入っていないよ うだ。 なんでそんなに子が欲しいんだ?実は密かに赤ちゃんスキーなのか ?⋮⋮その風貌で? ッそんな事は今はどうでもいい、もうひとつ、ヤツに理解してもら わねばならない物凄く重要な議題がある!ここはひとつ私が大人に なって、理路整然と説明しなくては! ﹁それに身体的にきつい、耐えられそうにない!私とお前では体格 差がありすぎる、あんな風に何度もしてくるのも金輪際禁止だ!分 かってくれるな?﹂ ﹁っ、ですが、昨晩と今朝は、受け入れて、くれたではありません か、姫、どうか⋮⋮﹂ 内に秘めた燃えたぎる情熱駄々漏れで懇願しつつじりじりと迫って くるグランの頑強な身体に、昨晩ガンガン突き上げられた恐ろしい 衝撃が蘇って身が竦み、平静などどこへやら、思わず思い切り叫ん でいた。 ﹁ヤダ!!!だって、お前の、大きすぎるんだもんーー!!﹂ 146 だもんー!だもんーだもん⋮⋮と延々やまびこになって跳ね返って きそうな自分のこっぱずかしい叫びに、顔にカーーッ!と全身の血 流が昇った。 おまッ⋮⋮一国の王女になんつー事を叫ばせるんだーー!!って叫 んだのは私だが! 147 ROUND29:野獣騎士VS変態王女 自分が叫んだ内容の余りのこっ恥ずかしさにうわあああとカッカカ ッカしていると⋮⋮実に嫌∼な冷気が足元からじわじわと這い上が ってきた。 な、なんか寒気がする⋮⋮ブルルル!バナナで釘が打てそうだ! 恐る恐る冷気が漏れてくる方を見ると︱︱ グランが無言のままブルブル震えながら仁王立ちし、即死の呪いが かった不吉なオーラを湯の源泉のようにグツグツと全身から沸き出 させていた。 ゾックゥゥーー!!と毎度おなじみの大悪寒が走った。 禍々しい狂気に危険極まりなくグラグラ揺れるドス黒い瞳をこちら にひたと向け、死相すら浮かばせながらヤツが震える唇で、こう、 言った。 ﹁ひ⋮⋮め、一体、誰と⋮⋮比べ、て?他の、男の、もの、を、見 た、事が、ある、の、で、す、か﹂ っっひいぃいいいーーーー!!ななななんでそんな話にーー?! 148 え?そういう流れだったか、今?!そういう話の流れだったのか?! てかヲイ!!私を一体なんだと思ってる、色んな男のブツのサイズ や色形の研究に余念がない変態王女だとでも思ってるのか、この野 郎! 思わずギッとヤツを睨み、普段温厚?な私にしては珍しく、売られ たケンカをガッツリ買おうとしたのだが。 ヤツがズーンと沈黙したままブルブルと震え出し、二人を遮る激重 いテーブルを片手でガッと払い退けると、ソレはそのまま真横にす っ飛び、ベッドの上にドッ!と一瞬でご就寝した。 それを目にした私は思わずブルルン!と震え上がり、勢い込んであ げた反撃の狼煙はわずか数秒で呆気なく鎮火した。 もはや障害物の無い非常に心許ない距離をじりじりじわじわと詰め られ、私の背が壁にぶち当たる直前にガタガタ震える重い手でガッ !と両肩を掴まれる。 ﹁ひめ⋮⋮だれ、の、もの、を、見た、の、です、か?その、者の、 名、は?﹂ ひいいいいいいーーーー!!カタコト脅迫はやめろォォーー!!コ 149 ワすぎる、コワすぎるから!! 見下ろしてくるヤツの目は、大量虐殺の悦に浸る恐ろしい殺戮者の 如く⋮⋮その瞳を覗きこめば世にも恐ろしい禍々しい地獄絵図が見 れそうな、底知れない漆黒の狂気が渦巻いていた。 ﹁ひ⋮⋮め⋮⋮教えて、くださ、い、⋮⋮でなければ、私、は⋮⋮ ⋮⋮ッ!!﹂ 唇を噛み締め、血を吐くように呟いた苦悶の叫びが身体に重く響い てきて、背にゾクゾクと甘い痺れが走った。 ⋮⋮え⋮⋮甘?きょ⋮⋮恐怖、の間違いじゃないのか? なななんで怖いのに心臓がギュンギュンしてる?! ちなみに、目の前のヤツ以外、そんなものを私の前に堂々と晒しま くった男がいるはずもないのだが、もし存在しようものなら、その 人物は非常に惨たらしく縊り殺さる運命を辿る予感、いや確信をビ シビシ感じる⋮⋮! ﹁ッあ、!!﹂ 掴まれた肩の関節が軋んで悲鳴をあげると、 150 ﹁ッ?!あ、アスター、なのですか⋮⋮ッ﹂ グランが目をカッと見開き、殺気駄々漏れの地を這う超重低音で呻 いた。 ちちちがッ⋮⋮!!違う!激しく違う!!人物早当てクイズにして も早すぎる上適当すぎる! お前がギュウギュウ掴むから、肩が痛くて悲鳴あげただけだッ!! 勝手に勘違いするな!! ⋮⋮ちょ、待てえぇーー!今から即刻、消しに行こうとするなああ あーー!!! 151 ROUND30:野獣騎士VS姫の愛人 待て待てコラコラ!城内でコロシはやめろ!!無罪冤罪だし!そも そも激しく勘違いだし!! ヤツの暴走を食い止めるべく、私は果敢にも、うおおー!とヤツの 腰にタックルした! ⋮⋮いつから熱血スポ根モノに? ﹁ッく、なぜ、ですか、姫!なぜ⋮⋮アスターを、庇うの、ですか ⋮⋮!﹂ 庇ってない、庇ってない、そもそもあの変態を庇う理由などミジン コもあるワケが無い、とりあえず、落ち着け! 宥めようと口を開いたら、すぐさまヤツの大きい手でガボッ!と塞 がれ、背筋も凍る低∼い声が響いた。 ﹁っ、貴方の、口から⋮⋮他の男の事、など、ッ聞きたく、ありま せん﹂ おおおおおーーい!!ほこたて、矛盾!お前が言えって言ったんだ ろーがーー!! 152 言うのか言わないのか一体どっちなんだ、ハッキリしろ!! 息苦しさにむぐぐが!ともがいていたら、パッと手が離れ、ヤツの 口でまたしても呼吸が邪魔される。 顎をぐっと掴まれ、ヤツの熱い舌がぐぶッと私の腔内に唐突に押し 入ってきた。 口の中を激しく舐め回され啜られて、余りの生々しさに目を見開き 慄く。 んぐぐぐ!!こんなもの、口の中に突っ込んでくるな!!美味しく ない、このタン、美味しくないから!! んぎゃッ!ヤツの味と匂いが口の中にーー!! 懸命に舌でヤツを追い返そうとしたら逆に強引に絡まれ、きつく吸 われた。 腔内でぬめぬめと互いの粘膜が擦れ合い、身体の芯を熱い何かがビ リビリと駆け抜けていく。 ヤツの舌を受け入れて大きく開きっぱなしの口から、どちらのだか 皆目検討もつかない唾液がつつと顎を伝って私の胸の膨らみにタタ ッと滴り落ちた。 153 その様にヤツの目がボッと温度を上げ、その道筋を唇で辿って終点 の胸元へと啜っていく。 ちょちょちょちょーー!?ド、ドサクサに紛れて何をする!夜着の 上から胸に吸い付くな!んぎゃああ!も、揉むなァ!! なんでまたしても私は襲われかけている、なんでやねん!? くッ、そもそもの発端はなんだっけか? えーと、大きいからヤダ↓誰と比べて⋮⋮?の流れだったな、確か! 要するに、誰とも比べてない、つーか比べようがない事を分からせ んとヤツの暴走は止まらん!という事だ! 大体なんであんなグロテスクなもの、誰が好き好んで見なきゃなら ないんだ、お前の散々見せられただけでもう充分、一生分のノルマ どころか来世分のノルマまで達成したも同然だ! ヤツが薄い夜着の上から身体中を弄り出した。もう一刻の猶予も無 い!私は必死に叫んだ。 ﹁見てない、見てない、誰のも見てないッ!!お前のだけでもう懲 り懲りだ、他の男のモノなど誰が見るかッ!!﹂ 途端。 154 ヤツの嵐のような暴走が。 ピタリと止まった。 ⋮⋮⋮⋮そして。 ドオオオオーーーーッ!となにかが押し寄せてきたァーー!!と思 ったら、それは全グラン・改改だった! ⋮⋮⋮⋮って、もーいいわーー!!頼むからコレ以上パワーアップ するな、頼むから⋮⋮!! そんな私の祈りも虚しく、ガバ!と頑強な身体にガッチリ抱き込ま れ、ぐェ!とヒロインとして大変似つかわしくない潰れたカエル声 が口から飛び出た。 ﹁ひ、め⋮⋮!ぁあ⋮⋮嬉しい、です⋮⋮⋮⋮!!﹂ ⋮⋮は?!嬉しい?なぜに? なぜヤツは、蕩けんばかりに無茶苦茶嬉しそうな顔をしてる⋮⋮? 分からん!ヤツの思考回路がサッパリ読めん!! 誰か、15字以内で分かりやすく説明してくださ⋮⋮⋮⋮!! 155 ROUND31:野獣騎士の真の猛獣︵前編︶ 私はあんなもの︵ヤツのも含む︶を見せられるのはもう懲り懲りだ !!と言った! ホントーにホントーに、分かってるのか?! ⋮⋮分かってないな、完全に!その目を見れば丸分かりだ! 歓喜に震え高熱にうかされた重病患者のような漆黒の瞳が間近に迫 ってきたかと思うと、唇をむぐッと塞がれた。 何度も熱い肉感が押し当てられる荒い息つぎの合間に、あぁ、姫、 私は、一生、貴方だけです、貴方も、どうか私、だけ⋮⋮などと切 なげに漏らしつつ、背と腰を掴んで半ば覆いかぶさるように口付け を繰り返してきた。 そのうち唇や吐息が耳や首筋に降り注ぎ、ヤツの掌が腰のくびれや 臀部をじわじわと執拗に撫で始めた。 んあ!ぁあ!⋮⋮マズい、危険だ、まさか、このまま⋮⋮?! おかしい、まだディスカッションの途中、というかまだほんのさわ りにすぎないというのに、なぜ私はこんな崖っぷちにヤジロベエの ように危うく立っている?! 156 んああああ!!生地が薄い夜着だとヤツの反り返った硬いものが臍 に突き刺さって痛い!あわわ、爆発物、危険!! てか無理だ、絶対無理だ、中はダメだ、かと言って例の共同作業も 勘弁して下さい! っく、こうなったら奥の手だ、危険物には更なる爆薬で対抗するし かない!! ﹁や、やめ、グラン!こ、これ以上ヘンな事したら⋮⋮お前の事、 キ、キライになるからなーー!!﹂ ﹁ッ!ひ、⋮⋮⋮⋮め!﹂ ギッ!とヤツが動きを止めた。 このキライ爆弾、取り扱いには充分注意してください、うっかりす ると全世界が滅亡する恐れがあります! ﹁⋮⋮⋮⋮ッわ⋮⋮かり、ま、した。で、すが⋮⋮触れるだけ、な ら⋮⋮いい、ですか?﹂ ええええ!触れるってドコをーー!? しっしかしそれくらい許さんと、後が怖いような気も⋮⋮。 157 だが自分から、触れるくらい好きにしろ!なんて言えるか!!は、 恥ずかしすぎるわーー!!⋮⋮くっ! ﹁∼∼っ、ヘ、ヘンなところじゃなければ、いい!﹂ ヤツの顔がまともに見れず、思い切り不自然に目をそらしたまま言 った。 と、ヤツの頭がボン!と突然破裂した?!ってえええーー!?!? 見るとグランが直立不動のまま顔を耳まで真っ赤にして、口に手を 当てなぜかブルブル震えていた。首と頭からなぜか湯気がボーボー 出ているんですが⋮⋮? ⋮⋮え?一体どうしたんだ?!なななんだこの反応はーー?!わ、 私、ヘンな事、言ったか?! ヤツが真っ赤になって蒸気を出したまま、歓喜に潤んだ瞳で、こう、 言った。 ﹁⋮⋮⋮⋮ッ、ぁあ、姫⋮⋮なん、て可愛、い⋮⋮⋮⋮っ幸せ、で す⋮⋮こん、なに、幸せ、で⋮⋮いいので、しょうか。ひ⋮⋮め、 どうか、もう、一度、私を、愛していると⋮⋮言って、ください﹂ 158 はいいいーー?!な、なんでここで、あの、全私を震撼させたトラ ウマセリフのリプレイがくるんだ?! てか一体どんだけ私にトラウマを仕込んだんだ、このドS!ド鬼畜 め!!ももも∼騙されん、絶対に!! ﹁ヤ、ヤだ!!﹂ ﹁!ひ、め⋮⋮⋮⋮!﹂ ﹁お前が言えばいい。私ばかり言わせるな!﹂ ﹁です、が⋮⋮っ﹂ ﹁お前が言わない限り、私からはもう言わない!﹂ ﹁ひ、め⋮⋮!﹂ グランが世界の終わりのような悲痛な顔をして叫び、ヤツの身の内 に潜む、なにか⋮⋮とんでもなくドロドロとした邪悪なものを必死 で抑えこむかのように、苦悶の声を絞り出した。 ﹁⋮⋮言、え、ません﹂ ﹁なんで﹂ ﹁っ、⋮⋮ぁ、貴方への、想いが、強すぎて⋮⋮⋮⋮口にすれば、 159 全て、何もかも、壊し尽くして、しまいそうになるのです、⋮⋮ッ 貴方、までも⋮⋮⋮⋮﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮ぇ﹂ グランが顔を大きく歪めて呻いた。 その暗黒の瞳の奥底に⋮⋮凶悪で凶暴な真の猛獣が、世界を破滅の 業火で呑み尽くさんと低く獰猛な唸りをあげているのが、垣間、見 えたような気がした。 床一面が砂と化し、ヤツの中の煉獄の底なし沼にズルズルと引きず り込まれていくような恐ろしい感覚に、上体まで大きくグラついて くる。 ﹁私、は、貴方を、強く求めすぎてしまう自分を、ずっと⋮⋮無理 矢理、抑えつけて、います。口にすれば⋮⋮⋮⋮もう、何もかも、 止まらなくなるでしょう、それでも⋮⋮⋮⋮私を、全て⋮⋮受け止 めて、くださるの、ですか﹂ 160 ROUND32:野獣騎士の真の猛獣︵後編︶ ⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮ 無理矢理、押さえつけて⋮⋮? ⋮⋮⋮⋮あ れ で? ⋮⋮まだ、押さえつけて⋮⋮いた、のか? ⋮⋮⋮⋮⋮⋮こ れ で?! ⋮⋮ッッゾゾゾゾックウウウーー!!と全身に震撼が直走り、私は 大絶叫した。 ﹁わわ分かった分かった!い、言わなくていい!言わなくていいか らーー!!﹂ だ、だって、無理無理無理無理無理、ホントに無理なんだーー!! ﹁ひ、⋮⋮⋮⋮め、﹂ 161 ヤツが、荷馬車でゴトゴト市場に売られていく仔牛のような心底哀 しそうな瞳でじぃいい⋮⋮と見つめてきた。痛い、視線が! 許せ⋮⋮!!だって、無理なもんは無理だ! 大体、私はこれでも精一杯、全私でお前を無茶苦茶必死に受け止め ているんだぞ⋮⋮! これ以上は、私がオーバーキルしかねない!!白目向いて即白骨化 するわ! だが切なげに歪んだ漆黒の瞳が⋮⋮切実に、何かを必死で、懇懇と 訴え続けてきた。 くッ⋮⋮!そ、そんな迷える子羊みたいな目で、私を見るなああー ー!私をそんなに過労死させたいのか?!鬼!悪魔!死神め⋮⋮! ⋮⋮⋮⋮⋮⋮ ⋮⋮ッ、無理だったら!冗談抜きで!ホントに、真剣に、リアルに、 無理だから⋮⋮!! ⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮ ⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮ 162 ﹁⋮⋮分かった⋮⋮よ∼∼く、分かった!お前の全てとやらを⋮⋮ 受け入れれば、いいんだろう?!﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮ッッ、ひ、め⋮⋮ッ!!﹂ んぎゃああああーーーー!! またしてもヤツが全グランなんとかの勢いで私に飛びついてきそう になったので、慌てて言い募る。 ﹁んああ待て待て待て待て!!今は無理無理、もうちょっとだけ、 待て⋮⋮!!﹂ ﹁ッ、⋮⋮待て、ませ、⋮⋮どれ、くら、⋮⋮待て、ば、﹂ ⋮⋮っっんんああああーーーー!! ヤツの言語が、カタコトどころか、途切れ途切れにーー!? おままま、どどどどんだけ耐えてんだーー!! もももーじゅーが、もーじゅーが⋮⋮!! 163 ヤツの中に潜む猛獣が⋮⋮ダラダラ涎垂らして檻に齧り付いてぐる るるって唸ってるのが見える!! 恐怖の余り、あわわ、あわわとアワワ語しか喋られなくなり、焦れ たヤツが苦しげな息を吐き、ひ⋮⋮、︵め、と言いたいに違いない︶ と呟きながら、まるで神に縋る狂信者のごとくガタガタ震える手で 私の背にしがみつき、己の身体に私を引き寄せた。 ⋮⋮っは、とヤツの熱い息が唇から顎、首筋を熱く這い、爪が喰い 込まんばかりにしがみつかれた背中が痛い。イタ⋮⋮!背中を爪で 引っ掻くな!! ﹁⋮⋮ッ、あな⋮⋮ふ、れ⋮⋮⋮⋮気が、狂⋮⋮⋮⋮ふれ⋮⋮﹂ ⋮⋮説明しよう! おそらく、﹁⋮⋮ッ⋮⋮貴方に、触れ、ないと⋮⋮気が、狂い、そ、 うです⋮⋮ッど、うか、触れ、させ、て、くださ﹂と言っているに 違いない! ファイナルアンサー?!⋮⋮正解!! ⋮⋮ってオオオーーイ!! 私はヤツ専用の翻訳機じゃないんだぞ!! 164 なのにヤツの狂った言語を流暢にスラスラと翻訳できてしまう自分 が怖い、怖すぎるわーー!! 165 ROUND33:野獣騎士の愛の劇場 荒ぶる熱い呼吸を無理矢理抑えこんだ震える声で、触れたい、と耳 元に壊れた言語で懇願され、ヘンなゾクゾク感が首筋から腰に駆け 抜けた。 口付けがつむじ、額、瞼、頬と降りてきて、ガタブルな低音で口付 けを求めてきた。 ヤツの禁断症状が末期だ、揺れが段々酷くなってきた、怖い、怖す ぎる!も∼口くらい、好きにしろ!! ﹁⋮⋮⋮⋮わ、分かった、好﹂きにしろ、と最後まで言えなかった、 ヤツの大変熱烈な口付けで。 ﹁ッ、⋮⋮⋮⋮っは、中、は、﹂ ヤツが顎を掴み、私の唇を開かせ、例のアレを入れたそ∼にしてい る。 いやいや生は美味しくないから!焼いて塩振ってから食べたい!! それに⋮⋮アレをやられると、頭がグラグラする! ﹁っダ、ダメ、だ⋮⋮!﹂ 166 ﹁⋮⋮っな、ぜ、﹂ ﹁あ、頭がヘンになる、からだ!!﹂ 途端ヤツがぎギッ!と大きく動き、ガタガタ揺れが局地的地震並に なった! ッ⋮⋮わた⋮⋮殺、す⋮⋮気、⋮⋮か⋮⋮ッとグランが痛恨の表情 で意味不明な事をブルブル唸った。 その後も喉や項や鎖骨にヤツの唇でいちいち触診され、その度に触 れてもいいか確認される、非常にいたたまれない羞恥プレイ的展開 に陥った。 ﹁⋮⋮ひ、⋮⋮こ⋮⋮こ、は?﹂ ﹁んぁあ!そ、そこは、ダ、ダメだッ!﹂ 胸に大きな手を置かれてビクッと身体を震わせると、なぜかヤツの 身体も大きく震えた。 ﹁⋮⋮な、ぜ﹂ ⋮⋮⋮⋮ッ、このォ!!いちいち聞いてくるな!このド変態!! 167 罵倒しつつも、じいぃいいとひたむきに見つめてくるヤツの眼圧に 耐え切れず、半ば強制的に答えさせられる羽目になった。 ﹁∼∼ッ、︱︱ビクッてなるから、ヤダ!!﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮ッツ!!﹂ 突然ヤツが絶句し、なぜか鼻ごと口を手で押さえた。 ⋮⋮?鼻水?鼻血?吐血?おま、さっきからどっかおかしいんじゃ ないのか??早く自室に戻って寝たほうがいいぞ! し、しかし⋮⋮いつまで続くんだ、この珍妙な展開は。 触診が下に降りていくにつれて、ヤツの様子がどんどんおかしくな っていってるような気がするのだが。 ヤツの手が腰を降り臀部に辿り着くと、変な悶えが身体を走った。 ﹁⋮⋮⋮⋮っんん、ぁ⋮⋮ッ﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮﹂ ヤツから言葉がどんどん消失していき、大変重苦しい⋮⋮悶々とし た不気味な無言状態になっていった。 168 てか触れてから触れてもいいか聞いてくるのは、てんで順序が逆だ ろう? まぁ、ヤツの全行動が堂々たる逆走っぷりなのだが。 ヤツの手が子宮の膨らみに降りてきて、咄嗟にその太い手首をガシ ッと掴んで阻止した! ﹁や、やめ、ろ!!﹂ ﹁⋮⋮ひ、⋮⋮⋮⋮触れ⋮⋮、だけ⋮⋮、うか、﹂ ﹁ヤダ!!ヤダと言って⋮⋮ッ!あぁああ!!﹂ ヤツの指が割れ目を布の上からぐっと押しつぶし、電撃のような痺 れが走った。 ﹁ヤ!!ん、ぁ、んん、んッ!﹂ ﹁⋮⋮っ、⋮⋮ひ⋮⋮め︱︱︱︱ッ!!﹂ ﹁ぁああ、ああーーー!!﹂ 臨界点に達したヤツが服越しに胸の先端にガブッと齧り付いてきて、 169 ビクビクーーッと身体が反応した。 更に蜜口をグニグニ捏ね回され、んあ!ん!ふ、ぁあ!!と悶えが 止まらない。 とその時。 襲い来る漆黒の魔神からいまだ満身創痍の私を救うべく、純白の救 いの神が舞い降りた! 騎士団から緊急の伝令で、なんでも昨晩捕らえた賊の根城が判明し たとの事だった。 勘付かれる前に少数精鋭で奇襲的討伐に行くそうで、ヤツは大変名 残惜しそうに唇を噛み締め、できるだけ早く帰ります、という趣旨 の崩壊言語を呟くと、私をがっちりとした両肩にむぎゅ、と抱き締 め、唇が痺れるような濃ゆい口づけを残してから部屋を出て行った。 ⋮⋮っあ、危なかった⋮⋮!またしてもオールナイトブッチギリR OUND5+αコースになるところだった!! あ、あんなのが二晩も続いたら⋮⋮屍どころか肥やしになり、地上 の緑化活動に大いに貢献してしまう! しかし⋮⋮いったいどんだけ情念深いんだ!ついうっかり何も考え 170 ずに真の猛獣のラストケージを思い切りフルオープンしてしまうと ころだった! 全ヤツを受け入れるのは、心身共に準備ができるまでもうしばらく お待ち下さい、切実に!! 結局話し合いは、実を結ぶどころか意思の疎通もままならず、しあ さっての方角に暴走しまくった挙句⋮⋮なぜか、二人の愛が益々深 まったかのような感動的な形で集結した。 ⋮⋮一体なんだったんだ、今の、愛の劇場は⋮⋮ だがとりあえず、これで数日は安眠できる、その前に主人を差し置 いてベッドでぐーぐー寝ている大机をどかしてからだが⋮⋮と喜ん だのも束の間。 物語は、思わぬ急展開を迎える事となった。 171 ROUND34:野獣騎士、不在︵前編︶ 翌日、妙に城が騒がしいのでケイナに聞くと、突然北方の小国の王 が訪問してきたという。 ⋮⋮⋮⋮またか。一体何の用で? 今回も礼節を欠く急な訪問に心底溜息をつきつつ、嫌々ながら歓迎 の支度をする。 ﹁おお!これは姫!益々お美しくなられた、実に二ヶ月ぶりか﹂ ﹁王も⋮⋮ご健勝そうで、なによりだ﹂ たった二ヶ月で美しくなったり醜くなったりする筈がないだろう、 と内心舌打ちする私に、いつ見ても誠に美しい銀髪よ、古の伝承の 女神もかくやのごとき、などと会った早々美辞麗句を連発してくる 王に頭痛が酷くなりそうだ。 ﹁して突然のご訪問、誠に嬉しい限りだが⋮⋮なにか急ぎの御用で も?﹂ 王がさも意味ありげに私をじっとりと見つめてきた。 172 ﹁実は両国にとって、非常に素晴らしいご提案をしに参った﹂ 提案⋮⋮?なんだ? チラと父王を見やると、やや苦虫を噛み潰したかのような表情をし ている。 ﹁以前より、姫を我が花嫁にとの懇願書を幾度となくこちらへ送ら せて頂いた。だが唐突にも姫がかの有名な漆黒の死⋮⋮と失礼、こ ちらの国の類まれ無き優秀な筆頭騎士殿とのご婚約をなされたと耳 にし、急ぎこちらに参った所存﹂ ⋮⋮その話か。 この王は、以前からちょくちょく我が国を訪れては、大陸には希な 私の銀髪をレアアイテムに激興奮するマニアのように讃えまくり、 挙句身体を舐めまわすような下卑た目で見てきていた。 小国にも関わらずシドニア神聖王国などとご立派な名を掲げ、神を 崇める神国だと言いつつ、肝心のこの王は物欲色欲が非常に高く、 世界のレア物収集に国財を多いに散財し、妾を数十人囲い込んだ後 宮まで作る始末。 愚王に憤った者達が密かにクーデターを目論んでいるとの不穏な噂 まである。敬虔な神も目も当てられない惨状だ。 173 王妃もいたらしいが、度重なる心労で結婚数年で呆気無く早逝した と聞いた。 その後妻にこの私をとの全く訳が分からないふてぶてしくも不遜甚 だしい嘆願書は、父が馬の餌にしてやれと即効破棄されたのだった。 ⋮⋮なんだか面倒臭そうな展開になりそうだ。 ﹁我が国と貴国は長年懐を暖めあってきた友好国、私と姫の婚姻を 機に両国を合併し、更なる繁栄をとの妙案を提示しに参った﹂ ﹁その件については、幾度も丁重にお断り申した筈﹂ 父が一応フォローを入れたが、 ﹁使者と書状のご返答のみで早々諦めきれる想いでは無いのです。 姫君に今一度、直にお会いし打診させていただきたく馳せ参じた次 第。まだ婚約は内々に決まったばかりと聞きました。それくらいは ⋮⋮お許し頂けますかな?﹂ 全然効かなかった。⋮⋮ほら、かなり面倒な事態になってきたぞ。 グランが不在で良かったかもしれん。ヤツがこの場にいたら⋮⋮血 で血を洗う展開は必至だ。 174 とりあえず、ここは私から丁重にお断りの言葉を差し出し、王を納 得させるのが一番手っ取り早そうだ。⋮⋮心底、嫌だが。 ﹁あい分かった。話を聞こう﹂ ﹁エルミア、﹂ 父が咄嗟に立ち上がろうとするのを目で制し、私は王に向き直った。 ﹁部屋を用意させよう。そちらでいかがか﹂ ﹁それでしたらば⋮⋮貴国の庭園はいかがかな。以前訪れた時分、 大層美しく、非常に珍しい花が咲き乱れ、目を奪われた﹂ 王がじっとりと私を見つめて言った。⋮⋮なんかの比喩だと言いた いのだろうが、ここはあえてスルーさせてもらおう。 ﹁それでは、こちらへ﹂ 気は大層進まないが、侍女数名と護衛の兵を幾人か引き連れ、王と 共に庭園へと向かった。 思った通り、王の話は私の神経と時間を大いに浪費させるものだっ 175 た。 ﹁姫、なんとおいたわしい!この度姫の婚約者となった男は、諸国 でも悪名高き冷酷残忍極まる漆黒の死神の異名を持つ男と聞き及ん だ。聞けば野獣のように獰猛な男とか。王が大層気に入りの男とは 言え、姫の意に沿わぬ婚姻、心中お察し申し上げる﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮﹂ 心痛な面持ちで芝居がかった同情を熱心に向けられ、思わずポカー ンとしてしまった。 なんなんだ一体?そもそも﹃漆黒の死神﹄って誰だ?話の流れから 察するにグランの事だと思われるが⋮⋮ヤツも随分大層な渾名を付 けられているな、こみ上げる笑いを噛み殺すのに一苦労だ。 王の言葉はほぼその通りといえばその通りだが、どうもヤツの人物 像に尾ひれ背びれが付きまくっているような節がある。 ﹁まあ、やや粗忽な部分はあるが⋮⋮それほど恐ろしい男でもない﹂ 一応、未来の夫?にフォローを入れておく。 ﹁だがその男、戦場では悪鬼のごとく兵を虐殺する狂戦士と聞き及 んでおりますぞ!そのような男を姫に宛がうなど⋮⋮王もなんと冷 176 酷な事をなさるのか!﹂ ⋮⋮⋮⋮だから、なんだ。お前には関係無い。なんか⋮⋮だんだん イライラしてきた。 ﹁この私と結婚すれば幸福の未来をお約束しよう、さすれば両国に 固い絆が結ばれ、より豊かな大国となろう﹂ いらん、トップが残念な上に神に傾倒してる扱いづらそうな小国な ど、いらん。が、実際に口にするわけにもいかないので、ここはご 丁寧にお断り申し上げるしかない。 ﹁生憎この婚姻は随分と話が進んでいる。貴公のお心遣いは大変有 難いが、丁重にお断り申し上げる﹂ だが、王はしぶとかった。 ﹁︱︱聞きましたぞ、なんでもこの度の婚約は父王の命で、姫はそ の男を大層毛嫌いしておられると。ぜひこの私が、貴方をお救いい たしましょう﹂ ﹁︱︱え、っぅ︱︱?!?!﹂ 177 唐突に口元に湿った布を当てられ、すぐに瞼が自分の意思とは無関 係に重苦しく降り︱︱ 私は、意識を手放した。 178 ROUND35:野獣騎士、不在︵中編︶ ﹁美しき姫、ようこそ我が城へ﹂ 目を覚ますと絢爛豪華な部屋の中、これまた豪華な寝台の上だった。 控えていた侍女がすぐさま主を呼びに行き、こうして王からいらぬ 歓迎の言葉を受けた。 ッ油断した!完全に私のミスだ! 軍の精鋭はグランを筆頭に出征中で碌な護衛もいやしないのに、城 壁から近い無防備極まる庭園などで話すんじゃなかった! まだ頭がクラクラするが、必死に考えを巡らせた。立場の把握、王 への説得・懐柔は可能か、この場所の特定と、単独での脱出は可能 か。 そしてこの事態に、父王は⋮⋮そしてグランは、どう動くのか。 ⋮⋮ゾクゾクゥゥーー!!うあぁあ⋮⋮!!グランの反応を想像し たら、即恐怖の地獄絵図が出てきたアアーー!! 絶対確実にブチ切れて、烈火の如くここに押し寄せ、目の前の王を 非常に惨たらしく斬殺しそうだ⋮⋮!! 攫われた自分の事よりも、我が婚約者の大暴走の方が遥かに心配だ 179 !この国が壊滅してしまう前に、なんとか自力で穏便に国に帰らね ば︱︱!! 内心非常に焦りつつ、目の前の王を見た。 ﹁姫、もう恐れる事はない。あの凶暴な男の元へは帰しはしない、 安心召されよ﹂ 王がどんどんこちらへと近づいてくる。⋮⋮私が寝かされた寝台へ と。 心情的には近づかれた距離の10倍以上はダッシュで離脱したい気 分だが、王族として舐められる訳にもいかないので、あえてじっと 動かないでおく。 ﹁私を自国に拐かすとは⋮⋮⋮⋮神聖王国とは名ばかりの、神をも 恐れぬやり方だな?﹂ ﹁美しい姫君を獰猛な野獣の魔の手から救う為とあらば、きっと神 も許してくださるであろう﹂ ⋮⋮ダメだこりゃ!獰猛な野獣から王女を救い出す自分のカッコ良 さにベロンベロンに泥酔している!正義のヒーローにでもなりたい のか? パッと見シラフに見えるが⋮⋮相当酔いが回っているようだ。 180 ﹁妃を失い悲嘆に暮れていた矢先、天上の女神のように美しく聡明 な貴方を目にし、私の真の花嫁は貴方だったのだとそう天啓がくだ ったのです。ゆくゆくは国同士互いに手を組み、広大な地を我ら二 人で治めようではないか!﹂ 訳分からん世迷言までブツブツ言い出した! 一発殴れば正気に戻るだろうか?⋮⋮無理だな、目が逝っている。 こういう酔った輩は下手に刺激すると直ぐ様逆上して非常に危険だ。 思い切り油断させ、隙を見て逃亡を図るのがベターだが⋮⋮。 この場合一番有効なる常套手段として、この王を多少なりとも籠絡 しておくのが一番の手なのだが⋮⋮ご存知の通り、正直余り得意分 野ではない。 実際ROUND6では見事大失敗し、緊急事態を更に悪化させた。 婚約者も碌に操れていない現状だというのに⋮⋮いきなりハードル が激高いミッションだ。 とりあえず、相手を逆上させて乱暴されたり拘束されたり監禁され たり犯されたり殺されたりしないよう、巧くやらなければならない。 ⋮⋮⋮⋮んんぎゃああああーーー!!やややっぱり結構ヤバいんじ 181 ゃないのか、この状況!? 鬼畜展開はもーー勘弁してくださ⋮⋮⋮⋮!! 182 ROUND36:野獣騎士、不在︵後編︶ 内心のガタブルを無理矢理抑え、必死に踏ん張った。 もし私がこっぴどい目に遭えば⋮⋮ヤツは絶対、ブッ壊れて、何を するか分からない!! 決意を新たに目の前の男を改めて見た。 すると︱︱なんだかグランよりも⋮⋮扱いが簡単そうに見えた。 というかグランと比べたら世の全男がそう見えてきそうな自分が怖 い。 とりあえず、なんか希望が見えてきたような気がする。 私も伊達にヤツと激しい攻防を繰り返してきた訳では無い! よし、ここは王がツボりそうな王女を演じてみるか。 私は口角をあげ、王をしっかと見上げた。 ﹁ふ⋮⋮私は強い男が好きだ。あの男を貴公が見事仕留められたら 183 ば⋮⋮その話、考えても良い。⋮⋮仕留められたら、な﹂ 多分おそらく絶対確実に世界がひっくり返っても無理だろうがな! ﹁おお姫!!さすが我が花嫁と見込んだだけはある!安心めされよ、 騎士の一人や二人、我が神聖国軍の敵では無い!﹂ 王は私の言葉に嬉々として乗った。どうやら私も、ガラスの仮面と やらが被れたらしい。 だがその後がいけなかった。突然背に腕をまわされ、顔が引き寄せ られた。 おおおいおいおいおいふざけるな、ドサクサに紛れてちゃっかり何 する気だ、このドスケベキングが!! 恐怖の爪とぎ付き平手打ちをブチかましたいのをグッとこらえ、生 うそぶ 憎我が国では婚姻前の口付け並びに夫婦間の行為は固く禁じられて いるなどと咄嗟に嘯き、なんとか唇は免れた。 読者様からしてみたら苦笑失笑嘲笑の渦を巻き起こしかねないほど の大嘘を吐いた、だが後悔など一切していない! が敵もさるもの、華麗に方向転換して頬に口付けを落とされた。 んんぎゃあああやめろこのド変態!!き、気色悪いわーー!! 184 感触もその吐く息すら激しく拒否反応が出て、抑えるのに一苦労だ !ガラスの仮面に速攻ヒビ入った!! ッ、グラ、ン︱︱!!もう思う存分暴れていいから!ついうっかり 何か消しちゃってもいいいから!!早く、助けに来い⋮⋮⋮⋮!! いかにも女が喜ぶ術を知り尽くしているかのような悦に入った口付 け方で、まるで頬に虫が這い回っているかのような悪寒が走る。 それでもなけなしの矜持を振り絞り、必死に耐えた!偉いぞ、私!! 仮にも神聖王国の王だ、正式な花嫁にしようとする王女を突然犯す ような事はないだろう、とは分かっていても、非常に耐え難い拷問 タイムだった。 というわけで、牢獄などでなく豪奢な貴賓室に閉じ込められたのは いいが⋮⋮常に兵士数人と侍女の監視付きだ。 ⋮⋮⋮⋮それにしても。 あ の ク ソ エ ロ 魔 人 がーーーーッ ッ!! 185 なにが神聖王国の王だ、ただのエロエロ大王だ、口付けは免れたが、 それならと私の髪に口付けたり、身体を服の上から悉く撫でまくっ たうえに、下衣までまくりあげ太腿まで直に触ってきたのには心底 呆れ返った! 怒りの余りフラストレーションが溜まりまくって、手近に花瓶か壺 でもあればガッシャンガッシャン壊しまくりたい気分だった。一刻 も早く風呂に入って全身除菌したい!! それでもサブイボ我慢して身体張った甲斐あって、牢などに入れら れるよりは脱出がかなり容易な場所だ。 情報を探り機会を計り、とっととここから抜けだしてやる!! ⋮⋮その前に、急遽顔だけでも洗いたいのだが⋮⋮⋮⋮無理、だろ うな。 186 ROUND37:野獣騎士、出陣 豪奢な部屋で、これからどう情報を探ろうか悶々と思案していると、 不意に喧騒と剣技の音が耳に飛び込んできて、ハッと身体が緊張し た。 ガッ!!とドアを破らんばかりに飛び込んできたのは、ボルドー以 下数名の騎士だった。 は、早い!!それに、ど、どうやってここに?! 騎士達は室内の兵を瞬く間に斬り伏せると、いち早くボルドーが私 に駆け寄ってきた。 ﹁⋮⋮ッ姫様ァ⋮⋮!ご、ご無事で⋮⋮!!ここから脱出します! こちらへ!﹂ ﹁わ、わかった⋮⋮!﹂ やや薄暗い迷路のような回廊を、足早にくぐり抜けていく。 途中、警備の兵らしき者達が悉く床に転がっていた。 行き止まりの古びた重い木戸を騎士の一人がガッと蹴り開けると、 そこには鬱蒼とした薄暗い森が広がっていた。 187 とりあえず城内を抜けれたようでホッとする。これであの勘違い変 態王とも永久にオサラバだ! 私を人質にされ、我が国が不利な状況に追い込まれる可能性も無く なった。 だが、ボルドーがここにいるという事は⋮⋮グランは?!ヤツも、 ここに来ているのか?! 奇跡的にキリッとした顔つきのボルドーに問う。 ﹁ボルドー、状況を、手短に説明してくれ﹂ ﹁はい、姫様が攫われた直後、すぐさま追跡隊が組織され、すぐに 姫様の行方を突き止めました。数刻後、出征していたグラン様以下 百余名が城に帰還し、すぐに軍を編成し、もうこちらに到着してお ります!﹂ ﹁ぐ、軍⋮⋮?!なッ⋮⋮!!﹂ 余りの大事に、絶句する。 ﹁グランは⋮⋮軍を率いているのか?!私は無事抜け出した、わざ わざ攻め入る必要など、﹂ 188 ﹁王はふてぶてしくも我が国の王女を攫ったのです、それ相応の断 罪は免れません。王からも、姫を救出したのち城を落とし、王には 厳罰を下すよう、勅命を受けております﹂ なななんつー大事に⋮⋮!! ここで、戦が起きるのか⋮⋮?! ﹁姫⋮⋮王とグラン様のお怒りは、言葉でとても表せない程に凄ま じいものでした。特にグラン様は⋮⋮単身姫を救いにすぐにこちら に向かいたいと疾るお心を、どれだけ必死に堪えておいでだったか !ですが今後二度とこのような卑劣な行為を起こさせない為にも、 圧倒的な制裁が必要なのです﹂ ボルドーの言葉に、ぐっと胸が詰まって言葉を失う。 どれだけグランが自分を押さえ込んで軍を率いてきたか、容易に想 像がついてしまうがゆえに。 騎士の一人が狼煙をあげている。私を救出したとのサインだろう。 これで︱︱闘いが、始まってしまう! ﹁姫、こちらへ!闘いに巻き込まれてしまう前に、すぐに移動しま す!﹂ 189 ボルドーに先導され、ただ懸命に足を動かした。 空を揺るがす鬨の声が、空気をビリビリと縦横無尽に引き裂いて鼓 膜を震わし、既に開戦されてしまった事をまざまざと知らされる。 その禍々しく異様な熱気に、身体が戦慄する。 ﹁⋮⋮ッ、!!﹂ ﹁姫様、どうかグラン様を信じてください!あの方はどんな時も必 ずや勝利を手にします!﹂ それは分かっている、グランなら確実に勝利するだろう事は。 だが、目が勝手に⋮⋮グランの姿を探してしまうのを止められない。 ﹁姫、お早く!!どうか御身を大切に、急ぎましょう!﹂ ﹁⋮⋮っ、分かっ、た﹂ 190 ボルドーとともに不気味に荒れ狂う戦場を尻目にその場から離脱し ようとしたその時。 キィ⋮⋮ン!と天啓でも下ったかのような耳鳴りが頭の中を響き渡 り、まるで神に導かれたかようにある方角に目が奪われた。 混沌騒然とした荒れ狂う戦場の中、一際大きな馬の馬上で大剣を振 るうグランの姿が奇跡的に目に飛び込んできて、全身が震撼した。 敵兵をその大剣で鬼神の如くなぎ払い、城門に向けて一直線に我が 軍の戦線を見る見るうちに切り開いていく、その姿が。 ﹁︱︱︱︱︱︱グラン!!﹂ 191 ROUND38:野獣騎士、突撃 ﹁︱︱︱︱︱︱グラン!!﹂ 思わず大声で叫んでしまったが、この状況でグランの耳に届く筈も 無い。 ︱︱だが。 まるで時が止まったかのように、グランが急に動きを止め、こちら に目を、向けた。 燃え滾る強烈な視線が、物凄い勢いで私の全身を心臓ごと一瞬で貫 いた⋮⋮ような、気がした。 グランが向かってくる敵兵を悉く薙ぎ払うと、傍らの部下から何か を受け取り、それを馬上で大きく後ろに構えたのが見えた。 腰を大きく捻り、それを敵軍の中心に向け、ドッ⋮⋮!と大きく大 きく投げ飛ばした。 陽光を跳ね返し、一瞬だけ強く煌めいたその細長い物体は、物凄い スピードで空を切り裂き城門付近へとすぅっと吸い込まれ︱︱ 192 その数秒後、ドッ!と敵軍が蜂の巣をつついたような騒ぎとなり、 隊列を大きく乱したその瞬間。 グランが右腕を天高く掲げ、敵軍に向けて一気に振り下ろし、それ を合図に我が軍がドワッと敵軍に突撃し、動揺した敵勢を切り崩し、 そのままの勢いで城門を突き破ると、呆気無く敵の城が落ち、瞬く 間に勝敗が決した。 ⋮⋮⋮⋮一体、何が起こったんだ?!全く状況が分らない! 初めて目の当たりにした戦場の渦巻く熱気と耳をつんざく喧騒に、 しばし呆然と立ち竦む。 横にいたボルドーも、城を赤々と染め上げる炎の朱をその目に映し たまま、心を奪われたかのように口を開け呆けていた。 どれくらいそうしていたのか︱︱ 突如として城門から何かが勢い良く飛び出し、疾風の如くこちらに 駈け来るのが見えた。 193 その馬上の人影は、 ﹁︱︱グ、ラン⋮⋮!﹂ 見る見るうちに、黒の軍服姿で漆黒の髪を靡かせたグランの姿がグ ングン間近に迫ってきて、私は吸い寄せられるようにそちらへ身体 を向けた。 ﹁ッ、姫様!危ない!近寄っては︱︱!!﹂ 馬の蹄が地面を重く蹴りあげる地鳴りが私の全身をビリビリと骨の 髄まで激しく振動させる。 眼前に迫り来る大きな馬体に思わず目をぎゅッと瞑った直後、鋼の 様に固いものが腹部全体を掴み物凄い力で掬い上げられ、瞬間、熱 く固い感触に包まれていた。 私を地上から瞬時に奪い去ったグランの太い腕はそのまま私の身体 に強く巻きつき、その逞しい胸に隙間無くガッチリと抱き込まれて いた。 ﹁⋮⋮⋮⋮⋮⋮ッツ、はッ!!﹂ 194 馬を大きく大きく旋回させ、手綱をこれ以上ないほどに強く引き絞 り、粉塵をもうもうと周囲に巻き上げて馬が激しくたたらを踏み、 急停止した。 ﹁グ、グラン様!!﹂ ボルドーの叫びが遠くから聞こえたが、肝心のグランはまるで聞こ えていないかのように奥歯をぎりぎりと噛み締めた無言状態のまま、 ただ強く私をその両腕と厚い胸板の内に抱き込んで動かなかった。 ﹁っグ、ラ⋮⋮⋮⋮苦、し、⋮⋮ッ!!﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮、⋮⋮⋮⋮⋮⋮ッ!﹂ 呼吸するのも困難なほどにぎゅうぎゅう抱き締められ︱︱まるで風 船が急速に窄むように、全身からどんどん力が抜けていく。⋮⋮安 堵の余りに。 この世で一番危険なくせに、地上のどこよりも一番安全なグランの 腕の中で、うっかり気を抜いたのがいけなかったのか、頭が徐々に 白く霞んでいって⋮⋮⋮⋮そのままカックリと意識が落ちた。 195 ROUND39:野獣騎士、圧勝︵前編︶ 目覚めると、軍の天幕の中だった。 出口付近に控えていた兵士が慌てて飛び出していくのが目の端に映 る。 う⋮⋮まだ頭がくらくらする。私とした事が、最近なにかと意識を 失いまくりだ。王族としてもっと心身ともに鍛えなければ!帰国し たら修行でもしよう、そうしよう! などと固く決意していたら、厳しい表情のグランが天幕に飛び込ん できて、まだ敷き布の上で座ったままの私をガッ!と羽交い絞めに してきた。 固い腕で一向に私を離さないグランに、相当、大分⋮⋮物凄く心労 をかけさせてしまった事がじんじんびしびしと伝わってきた。 私の存在を確かめるように、身体のいたるところに触れてはきつく 抱き締めるという動作を何度も繰り返され、私まで熱く切なくなっ てくる。 こうして抱き締められていると、もう絶対に大丈夫だと心底そう思 えて、どうしようもなく力が抜けていく。 安堵の余り、目の前の頑強な身体にもたれかかってしまいそうにな 196 って︱︱その寸前でハッと我に返った。 い、今⋮⋮⋮⋮私は、何を、しようと?ヤツに⋮⋮抱きつ︱︱?! 身体がボッ!と暴発して、そのまま燃え盛る勢いで次々と引火した。 うあああ!は、恥ずかし⋮⋮!恥ずかしすぎて、即死できそうだ⋮ ⋮!! 猛烈にカッカカッカしていると、グランが私の髪に口付け、まだ不 安げに顔を寄せてきた。 ⋮⋮ッうっわーー!近い近い近いから!!なんでそったら近くに寄 る必要があるとーー?! 動揺の余り脳内言語までおかしくなりつつ、思いッ切り避けてしま う。 すると、ガシャンと落ちて粉々になったガラスのような目で見つめ られ、ズキィーン!と胸に痛みが走った。 そ、そんな壊れきった目で見るなァーー!私までぶっ壊れそうにな るだろう!そもそも粉々のガラス目ってどんな目だ?!全然サッパ リ分かりませんんんーー! グランをまともに直視できずに懸命に目を逸らした結果、甲冑のよ 197 うに固くガッシリとした肩が目に映りドキン!と心臓が跳ね上がっ た。 この腕が、一国の城を瞬く間に落とし、私を一瞬で馬上に掬い上げ たのだと思うと、ドム!ドム!と心臓が肋骨内でピンボール状態に なってきた!い、いつもより多く跳ねまくっております⋮⋮! 頭にグングン血が登って身体がガンガン熱くなり、もはやパニック 状態だ。 うああと悶えまくり視線を不自然に逸らしまくる私に、ッ何故⋮⋮ 目を、逸らすの、ですかとでも言わんばかりのグランの眼差しがグ サグサ突き刺さってきた。ひいぃいーー!! 危険だ、危険すぎる、今目線が合ったが最後、脳内のぶっとい導火 線に自動着火され、私という花火が空高くパーンと打ち上げられ、 見物人がうちわ片手にたまや∼状態に⋮⋮! そんな面白すぎる夏の風物詩をヤツに見せてなるものか!最近地に 落ちるどころか散々踏んづけられぺったんこな煎餅と化している私 のプライドにかけても!! だが例のごとく無言の凝視という名の圧力が私の上にズシッと伸し 掛かり、仕方なくその漆黒の瞳を見上げると、その底無し暗黒アイ ズに思い切り吸い込まれそうになってグラッと身体が傾いた。 当然グランが私の背を力強く支え、ひ、めと苦しげに呻いたかと思 うと、唐突に熱い唇で私を激しく食んだ。 198 コラコラコラコラーー!クラクラしてるのに更にクラクラさせてど うする!!そして時間無制限のバイキング並に延々とガツガツ食べ 続けるんじゃない! きつく目を瞑ったまま万感の想いが込もった熱烈な口付けに貪られ ていると、身体が熱さの余り痺れてきた。 力の入らない唇を舌でゴリ押しされ、唾液ごと熱いものが深く腔内 に押し込まれてぐちゃぐちゃと乱雑に掻き回され、頭がぼうっとし て視界までぼやけてきた。 ⋮⋮ッヤ、バ、真面目にグラグラしてきた、なんだかよく分からん が物凄く口付けの威力が増している、唇が甘く痺れて脳まで撃沈し そうになってきた⋮⋮!!何がダメなのか自分でもよく分からんが もーダメだ!もーー限界だ!! 掴まれた顎から垂れてきた生暖かいものを熱い舌と唇で舐め上げら れて、私の口からとうとう悩ましい嗚咽が漏れ⋮⋮⋮⋮グランが獰 猛に唸りを上げ、私の首筋に噛み付いた。 199 ROUND40:野獣騎士、圧勝︵中編︶ 首筋に噛み付かれ、次いで肩にも齧り付かれ、痛いのに何故か甘い 痺れが全身を駆けた。 どんどんクラクラしてきて、グランの厚い身体に何度も倒れこんで しまいそうになってはなけなしのプライドを振り絞り、ギリギリで 留まるこの状況に、徐々に大きな危機感が湧き上がってくる。 一体どうしたんだ私は⋮⋮まままさか私はヤツに⋮⋮完 全 に 堕 ち て し ま っ た の か?! イ、イヤだ!神様、嘘だと言ってくださいいいーー! ただでさえガンガン押され気味だというのに、このままうっかり落 ちてしまったら、途中の全駅ガン無視して、めくるめくドピンクの 終点へ直行だ! ヤツの底無し愛にドップリ飲み込まれてそのまま押し流され、愛と 冒険とロマンが待ち受ける大海原にいざ出航!となってしまう!そ んなものはヤツがパイレーツにでもなって行けばいい、私は行かん、 断固行かん!私は私の平々凡々な道を行かせてください! ビシー!ビシー!とヘロヘロな身体に必死に鞭打った。 200 ッ、そうだ、こんなメロキュンな世界に浸っている場合ではない⋮ ⋮! 小国といえど一国を落としたのだから、それ相応の対応と事後処理 が必要な筈だ。 あれからどうなったかを至急確かめねば⋮⋮! ﹁グラ、ン、状況⋮⋮は?ッ、あれから、どう、なった?﹂ なんとか体勢を持ち直して必死に状況を聞いたが、執拗な口付けは 全く勢いが止まず、唇を私から離す事無く、物凄い棒読みでサクサ クと説明された。 ﹁このシドニアは我が軍が完全に占拠しました、ほどなく我が国の 属領となる事でしょう。情勢と事後処理が落ち着き次第、エスター 率いる一個大隊のみこの地にしばらく駐留させ、私を含め他は一旦 帰国予定です。⋮⋮⋮⋮ひ⋮⋮め、﹂ ﹁なんだ?﹂ グランが顔を歪め、苦しげに呻いた。 ﹁本来なら⋮⋮姫は先発隊と共に一刻も早く帰国されたほうがいい のだと、分かって、います、が⋮⋮どうか、お願い、です、ッ私の、 201 傍に⋮⋮⋮⋮今、貴方と離れたら⋮⋮私、は﹂ グラグラ薄暗く揺れる強い眼差しで懇願され、またしても左胸ギュ ンギュン病の発作に襲われた。 ⋮⋮くッ、わ、私だって、このまま傍にいた︱︱って、んぎゃああ あ!オオオーイ!どどどーしたァ私ィ⋮⋮!本人になんの断りもな くいきなり乙女モード入んな、ビックリするだろう! やめとけお願いだから!激似合わないからーー! ﹁っ、残務が終わるまで、私もお前と残ればいいんだろう、分かっ た﹂ どーにかこーにか努めて冷静を装ってそう伝えると、グランが安堵 の長い吐息とともにそのガッシリとした体躯に私をすっぽりと包み 込んだ。 んああーー!ッやめ、やめろォーー!まままた発作がーーッ!! ﹁国王は⋮⋮私自ら手を下しました。もう、あのような事は、﹂ ﹁そ、うか⋮⋮⋮⋮グラ、ン、その⋮⋮心配をかけて、すまなかっ﹂ 言葉途中でまたしても、骨が軋むほどに強く引き寄せられる。 202 ﹁⋮⋮ッぁ、貴方、が⋮⋮⋮⋮貴方が、ここに居るだけで、もう、 私は⋮⋮⋮⋮ッ﹂ まるで悲鳴をあげるように低く掠れた悲痛な呟きを吐き出され、唐 突に⋮⋮ガボッと溺れた。 グランが造り出した深い深い恋の淵に共に引きずり込まれ、呆気無 く堕ちてしまった事を⋮⋮まるで他人事のように理解する。 きっと永遠に抜け出せないであろうその熱く渦巻く底無しの混濁の 中へ︱︱頭からつま先まで、全てすっぽりと、私は、囚われてしま った。 203 ROUND41:野獣騎士、圧勝︵後編︶ とうとう⋮⋮とうとう世紀末が、アルマゲドンが来てしまった⋮⋮! 実際に堕ちてみて分かった。ここは⋮⋮奈落の底だった。 地面も無く、まんま無限に広がる暗黒の異空間だった。⋮⋮どんだ け⋮⋮どんだけ深くて、果てしないんですか。 これはグラン特有のものなのか、それとも誰しも恋に落ちるとこう なるなのか。 とにかく落ち着け、表面だけでもクールに、冷静に、クールダウン だ! その時天幕の外から声がかかって、グランが無言で重々しく私を離 した。 そして私を目に焼き付けるように見つめた後、去ってい︱︱かなか った。 ど、どうした、呼ばれているんだろう、早く行ったほうがいいんじ ゃないのか? だがグランは目を見開いて私をじっと凝視したまま、動かない。 204 ⋮⋮ってぎゃあああ!!手が、手が勝手に、グランの軍服の裾、掴 んでますけどーー!? ま、またしても身体が勝手に乙女的行動を⋮⋮!マジで堪忍してく ださい⋮⋮!ちょ、コラ、離せ私の手!離⋮⋮せなかった。 ヤツの服を握った私の手を、グランが上から握りこみそのまま自分 の方に引き寄せたので、結果的に、またしてもヤツの胸に抱き寄せ られる事となってしまった。 ﹁ッ、ぁあ⋮⋮⋮⋮ひ、め⋮⋮﹂ ああわわわーー!またですか、またですか!? さっきから、一体どんだけハグハグしてるんだ?!自分から引き止 めといてなんだが、耐えられん耐えられん! 思わずグランの固い腕を掴んでこう言ってしまった。 ﹁わ、私も、行く!﹂ ﹁ひ、め、ですが、いまだ不安定な状況です、もし、貴方に、危険 が、﹂ ﹁お前が傍にいてそんな事にはならない、それに、今回の件は私の 205 不手際だ、休んでなど︱︱﹂ グランが私に腕を掴まれたまま、まるで時が止まったかのように呆 然と立ち尽くした。 そして、掴んだ私の手を強く握り込んだ。んんぎゃああ!今、骨が コリッっていった! ﹁ひ、め⋮⋮私を︱︱︱︱信じて、くださるの、ですか、﹂ 驚愕に目を見開き、それでもまっすぐに見つめてくるその瞳を同じ 強さで見返し、あ、当たり前だ!と叫んだ。 途端やっぱり羽交い絞めにされ、ギュウギュウと抱き締められた。 そして唐突に抱き上げられた。って、えええええ! ﹁ちょ、ちょグラン⋮⋮!バ、バカ者ォ!降ろせーー!﹂ ﹁っ、ぁあ⋮⋮ひめ、嬉しい、です⋮⋮ひ、め﹂ そして私達は、最終決戦へと向かった、違った、戦後の後始末に向 かったのであった。 206 ROUND42:野獣騎士、完全制圧︵前編︶ まだ慌ただしい戦後の状況の中、グランと共に各所を回ると、騎士 達からどよめきと歓声が上がった。 ウオオーー!!と雄叫びをあげる者、万歳三唱する者、驚愕の余り 固まる者、実に様々だった。 なんなんだ一体?我が国の圧勝と私の無事を喜ぶにしても熱気が凄 すぎる! そこで、ハッと気づいた。 どうやら皆、ずっと私の肩を抱いたままのグランに歓喜興奮してい るのだと。 確かにこれでは姫、ゲットだZE!と部下達に大々的にお披露目し ているようだ。 まるで長年の迫害から開放され自由を謳歌する民のような狂喜っぷ と顔にそう ビバ両想い!荒ぶるグラン様よこれで静まりたまえ!世 りだった。 皆一様に 界と騎士団に平和到来!後は姫様にぜーんぶお任せ! クッキリと書いてあった。物凄い期待と感謝に満ちた眼差しととも に。 207 ちなみにボルドーは、グググラン様ァ⋮⋮!ついに、ついに姫様と ォォ⋮⋮!!オォーン!と遠吠え&男泣きし、アスターは無駄な色 気たっぷりで意味深に微笑を寄越し、エスターは舌打ちしつつ嫉妬 に滾って睨みつけてきた。 ⋮⋮抱き上げられたまま来なくて、ホントに、良かった。きっと今 以上の狂喜乱舞の大狂宴と化していた事だろう。 激しい攻防の末、必死に交渉して降ろしてもらったのだ、やたら長 い口付けを交換条件に。⋮⋮もーホントに勘弁してください! だが⋮⋮周りの過剰反応より自分の過剰反応の方が深刻で、それど ころでは無かった。 肩を抱かれただけで心臓が激しく不整脈なのでそろそろ離して欲し いけど離して欲しくな⋮⋮って、ま た キ ターー!!またして も乙 女 様 が 降 臨 し たーー!!もーいいからー!もー 来なくていいからーー!! うぅ、正直グランの気配を傍に感じるだけでもうダメなんだ、勘弁 してくれ! 力強く低い声や私の肩をすっぽり覆う大きな手、黒の軍服をキリッ と着こなした逞しい姿、固い布地の軍服でも隠し切れない厚い胸板 を間近に感じて心臓がずっと強歩状態、そろそろいい加減動悸息切 れしてきた! 208 部下達に次々と指示していく姿も、いつもの私の前でのアレは一体 なんだったんだと思わずにいられないほど威厳に溢れ、その判断と 指示内容は無駄なく的確、軍のトップに相応しく有能極まりなかっ た。⋮⋮ホントに一体なんなんだ、お前は二重人格者なのか?! ⋮⋮くッ、い、一緒に来なければ良かった⋮⋮!これでは益々ヤツ にメロメロになってしまう、症状がより悪化して蕩けきったスライ ム一直線だ⋮⋮!! これはアレだな、余りにもヤツの評価が激マイナスすぎた為に今そ れが全部ひっくり返って激プラスになって手痛いしっぺ返しをくら っているに違いない! ぅぅ、顔が熱い、もう嫌だ、これ以上グランに傾きたくない!メロ メロ退散!もーおうちに帰る、帰りたいー!でも離れたくな︱︱っ て、もーいいわーー!! どんどん乙女化する自分にどんどんドン引きしていく、今日の私だ った。 209 ROUND43:野獣騎士、完全制圧︵後編︶ グランと共に行動しているうちに、戦の詳細が浮き彫りになってき た。 行軍の間、グランは殺気駄々漏れのままひたすら無言、ちょっとで も余計な事を口にしたが最期、ドカンと世界が破滅しそうな圧迫感 をずっと醸しだしていたという。 ボルドー以下数名が私を救出に向かった際には、自ら乗り込みたい のを必死に抑えまくった為にギリギリとノコギリで石を削るような 不吉な歯ぎしり音が軍の先頭で鳴り止まず、戦などよりグランの殺 気の方がよっぽど恐ろしく、一刻でも早く私が救出されるように全 兵士が祈り続けた結果、その後の闘いは史上最高レベルの一致団結 っぷりだったらしい。 本来なら、我が国を侮辱した罪を思う存分思い知らせる為、じわじ わと恐怖を味わわせてやれとのドSな王命が下っていたのにも関わ らず、私の無事を目にしたグランはいい加減我慢限界プッツン切れ、 一瞬で闘いを終わらせてしまった。部下から奪ったただの長剣をブ ン投げ、敵将を鎧ごと真っ二つにして。 そう、戦の最中に叫んだ私の声は、グランの耳にしっかりと届いて いた。 210 空を切り裂き物凄い勢いでブッ飛んでいったその剣先は、城門前の 敵総大将の身体を落雷の如く鎧ごと二枚おろしにした。 柄半ばまで地面にグッサリと突き立ったその剣は敵将の墓標となり、 しばらく死者を弔う線香のようにもうもうと煙を吐いていたとか、 大の男5人がかりでもその剣は引き抜けなかったとか、ウソかホン トか非常に怪しい眉唾ものの逸話まで産まれていた。 ⋮⋮いつからヤツは、アイアンシェフに?そのうち三枚おろしとか もマスターしそうで、怖い。 グランの大剣では届かないと見て傍にいた部下から分捕ったらしい が⋮⋮その部下がその後どうやって闘ったかは、神のみぞ知る。 あと、賊の討伐から結果的に2連戦となった強行軍組は、もはや立 派な屍と化していた。 地獄の早さで夜通し賊を壊滅し、やっと城に帰還したと思ったらす ぐ出陣させられ、そして今に至るのだから当然の状態だ。彼らに謝 罪と感謝を述べながら、隣でいつもと変わらぬ様相のグランに、や はり常人ならざる物凄さを感じずにはいられない。 今回の件でつくづく思い知った。 ヤツは⋮⋮無双どころではない、キッパリ人外だと。 同時に︱︱もう、ダメ、らしい事も思い知った。 211 何が?とか聞くな、ッ⋮⋮、つくづく、私は強い男に弱いんだ!そ れが例え、人外に両足突っ込んだ男でも! だがそれだけでは無い事も薄々は分かっている。 思い出すのもおぞましい窮地に思わずグランに助けを求めてしまっ たのも、もうその兆候がありありと出ていた。 ッ末期だ、私ともあろうものが⋮⋮ヤツの傍が一番安心できて、一 番胸騒ぐ場所となってしまった。 それについては大変恥ずかしい青春の一ページとして記憶の最奥に ギュウギュウ仕舞い込みたかったが、もう手遅れ感が半端無い。 そして我が国は北方に領土を広げる事となり、帰国後父王がグラン の功績を褒め殺しにしたのは言うまでもない。 ⋮⋮もう父王も、ダメ、だな。 思い切り目尻を垂れ下げ、己の息子の事のようにアホ丸出しで手放 しの喜びようだ。⋮⋮親子して、末期だ。 ところで我が未来の夫は、何か事ある毎にこの勢いを繰り返せば、 世界征服すらサックリ成し遂げてしまいそうだ。 だが天下統一とか全地上支配とか、そういった壮大な歴史の一ペー 212 ジを創ろうとするのは全力でやめて欲しい。 なんせ私は、この国とヤツだけでもう充分、手一杯なんだからな!! 213 ROUND44:野獣騎士の亡霊 シドニアでの件が一段落つき、ようやく城に戻って父王に無事を報 告しに行くと、すぐ傍に控えたグランに挙動不審な態度を取る私に、 父王がほほう⋮⋮と痛快かつしてやったりのニマニマ顔を寄越して きたが、完全スルーしておいた。 グランは父王への詳細報告やら軍幹部とのミーティングやらの残務 に追われ休む暇もないというのに、思い切りヘロヘロな私は自室︵ 仮︶に辿り着いた途端、ケイナがキーキー何か言っているのを子守 唄にそのまま倒れこむように爆睡してしまった。 ヤツと婚約してからというものずっと色々色々ありすぎて、も∼限 界です、いいからちょっとだけ寝かせてください! どれだけ眠り込んでいたのか、ふと何かの気配に目を覚ますと、も う薄暗い部屋の中、グランの亡霊がぼうっと現れ、驚きの余りガバ ア!と跳ね起きた。 ﹁ひ、⋮⋮⋮⋮め﹂ ぼぼぼ亡霊がしゃべった⋮⋮! 214 ﹁グ、グラン?!おま、死んじゃっ?!でも私もお前も生きて帰っ てきたよな?!﹂ ﹁姫を残して、私が、死ぬはずが、ありません﹂ 亡霊が、一言一言区切って、ちゃんと答えたァーー!? ﹁だだだって!﹂ ﹁私は、亡霊では、ありません﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮あ、⋮⋮そう、か﹂ どうやら亡霊じゃないらしい。⋮⋮頭が寝ぼけて相当アホになって いるようだ。 ﹁ど、どうした、残務は終わったのか?今日城に帰還したばかりだ し、部屋でゆっくり休︱︱﹂ ﹁ッ嫌、です、貴方の⋮⋮傍に⋮⋮、﹂ 語尾が震えて薄闇に消えてグランの顔が大きく歪むのが見え、憔悴 した瞳で切なく見つめられてドキンと鼓動が高鳴った。 今回の事件でグランにはどれだけ心労掛けたか計り知れない。何も 215 言えない、私の口からは何一つ、ひたすら謝るしか⋮⋮! ﹁すまなかった、その、助けに来てくれて⋮⋮あり、がとう﹂ なんとかそれだけ口にするとまたしてもグランの痛切な目にズドン と射抜かれ、益々胸がギュッと痛くなる。⋮⋮分かってる、末期だ、 自分でもよ∼く分かっているから、どうか生温い目でほっといてく れーー!! 今二人きりでいるだけでもドッドッドッと鼓動が鳴り止まない。心 臓が別生物のように全く言うことを聞かず、息継ぎの仕方すら分か らなくなってきた。こうやって話すだけでも相当な労力を費やして いる。⋮⋮終わった、心底、終わった! 心臓に悪いからそんなに見つめないで欲しいでもずっと傍にいて欲 し︱︱っていかんいかん、またしても例の乙女様が降臨してしまう 所だった! くっ⋮⋮どうすればいいんだ、この乙女様は!どうすれば永遠に退 散してくれるんだ?誰か教えろ! ﹁っ、姫⋮⋮⋮⋮触れても⋮⋮?﹂ 低く揺れる呟きにドッキーーン!ビックーーッ!と身体が激しく過 剰反応しまくった。 216 薄暗い部屋の中に二人きり、この状況でヤツに触れられたら⋮⋮そ のままお熱く濃厚ベッドインコース直行じゃないのか?! あぁあ!やめろ、やめてくれ、考えただけでも恥ずかしさで爆死だ !いやいっそ今、チュドーンと爆死したい!! 一緒にいるだけでも思考回路がおかしな事になっているのに、この 上この間のように全裸で絡み合っ、て食、い尽くされ、た、ら⋮⋮ うっっあぁあああーー!! 嫌だ駄目だ思い出すなァ!!ヤツとの超濃厚ベッドシーンを今思い 出してどうする!あわわわなんて事を、なんて事をしてしまったん だ私は! もー肌など見せられん、即爆死ねる!! それにヤツの裸と、か感触、と、か、うはあーー!!やめろ、思い 出すな、私ィーー!!んああ!あ、頭から湯気が、白煙がもうもう とーー!? 一度超クールにまじまじと観察したのがいけなかった。あの鋼の鎧 のような凄まじく逞しい身体が脳内3D映像にて大ヒット公開中だ! 3Dメガネ無しでも全然OK、自然な発色と高いコントラスト、奥 行き感など滑らかでノイズレスな美しい映像を貴方に!細部までク ッキリと再現可能です! ⋮⋮あわわわ!すぐ消せええ!!特に細部までクッキリとか全力で 217 要らないから!せめて3D機能だけでもカットしてください! も∼あんないやらしい事などできん!究極的に恥ずかしすぎる、勘 弁してください!! 大きな手で頬と首をいっしょくたに捕まれ、その熱情渦巻く瞳と精 悍な唇が近づいてきて、今まさに涙目で爆死寸前の私なのであった。 218 ROUND45:野獣騎士と永久凍土 爆 死 し そ う で す⋮⋮!! ﹁ひ⋮⋮め⋮⋮ッ、な、ぜ⋮⋮拒むの、です、か﹂ ﹁べッ、別に拒んでなど、いない!﹂ それは本当だ、別に拒んでなどいない! 折角自覚した事だしせいぜいラブラブすればいいのだが⋮⋮それは 私の残念なツンデレ気質が最強のお邪魔虫となってしまった。 私へと伸ばされるグランの手や肌に吸い付こうとするその唇を、身 体が勝手に頑なに押し留めようとしてしまう。 その度に焦れたグランの瞳がより熱く切なく苦しげに細められてい くのが分かるのだが⋮⋮自分でもどうしようもない、正直泣きたく なってきた⋮⋮!息が、出来な⋮⋮! もーー恋とか愛とかマジ無理だ! なぜ人は愛を求めるのか、なぜこんな爆死しそうなラブラブをする 必要があるのか?! 219 よく皆こんな心臓がぴょんぴょこ飛び跳ねておいおいこらこら一体 ドコ行くんだ待て待て分かったからちょっとここで落ち着け的な苦 境に耐えて恋愛したり結婚したり子を作る事ができるな!尊敬に値 する! じっと見つめられるだけで人間キャンプファイヤーだし!身体に触 れられるだけで全身心臓化してドックンドックン伸び縮みしてます が、それがなにか?!抱き寄せられるだけで体内でドラムロールが 鳴り響き、﹁それでは結果発表です!ダラララ⋮⋮栄えある優勝者 は⋮⋮人外野獣騎士グランーー!﹂とか訳分からん要らん異常電波 をビンビンに自動受信してしまうんですが! あああ見 え る⋮⋮ピンクのキラキラ乙女様がムカつく慈愛の眼 差しでにっこり微笑んでこちらにご光臨しようとしているのが見 え る!やめろ、来るなあーー!! ﹁ッダ、メだ、来るな⋮⋮ッ!!﹂ 脳内で叫んだ筈がいつの間にか口から飛び出し、ツッキーンとグラ ンの全身が凍りつき、私まで大きく動揺する。 ﹁⋮⋮⋮⋮ひ⋮⋮め︱︱な⋮⋮ぜ、﹂ ﹁ッ、違⋮⋮っ!ダ、ダメなんだ、グラン、私、は⋮⋮ッ、私は、 シドニアで、っ﹂ 220 お前の人外勇姿に超ベタ惚れしてしまったんだーー!!⋮⋮などと 元祖ツンデレの私がそう簡単に言える筈もなく、言葉をぎゅぎゅっ と詰まらせていると。 グランが、今までで一番⋮⋮⋮⋮一番低く、低く、低すぎる、低周 波音を、発した。 窓がガタガタ共鳴するほど低く、低く⋮⋮⋮⋮低く。 ﹁ひ、⋮⋮め⋮⋮⋮⋮⋮⋮あ、の男に⋮⋮何を、されたの、ですか﹂ いつもとは全く違う⋮⋮感情の一切篭らない軋んだ声音に、え⋮⋮ と心臓が急停止し、呼吸が完全に止まる。 な、⋮⋮に?グランは⋮⋮何を、言っているんだ?あ、の男?誰、 だ?︱︱あ、あの変態王、か?! な、なんでここで、思い出すのも穢らわしい人物が出てくるんだ? しかも、どうして⋮⋮⋮⋮何かされた事が大前提になっている? べ、別に何をされたとかそんなたいしたもんじゃない、ただ頬にベ トベト口付けされて身体をベタベタしつっこく触られたくらいで⋮ ⋮ななな何にもされてななないし!! 動揺の余りガタブルしてしまったので逆にバレそうだったが、グラ 221 ンは⋮⋮⋮⋮私など、見ていなかった。 ズーーン⋮⋮⋮⋮とドス暗く重々しい恐怖の背後霊を背負ったまま、 俯いて、こう、呟いた。 ﹁貴方を⋮⋮馬上に掬い上げた時︱︱貴方の頬から⋮⋮あの男の匂 いが、しました。貴方の髪、衣服⋮⋮⋮⋮至る所、から、﹂ ⋮⋮っっうぁああああーーーー!! し、しまった、ヤツにはこの特殊能力があった!恐怖の匂い識別能 力が⋮⋮!!バレバレだ、全部!!もう永遠に、思い出したくもな かったのに︱︱! ﹁⋮⋮⋮⋮姫、教えてください、ッ、あの、男は、貴方に、何を⋮ ⋮?ずっと⋮⋮ずっと己の中で、貴方が他の男に穢さ、れる訳がな いと、何度も何度も打ち消してきました、ですが、貴方にこうして 拒まれてしまうと︱︱どうしようもなく⋮⋮不安が、押し寄せて︱ ︱︱︱、ッ﹂ 低く震え続けるグランの声に、またしても胸がギュンギュンと強く 痛んだ。 な、んで⋮⋮いつもと喋り方が、違う⋮⋮?それに、穢され、るっ て︱︱私が、王に穢されたのではと⋮⋮グランはずっと⋮⋮不安で、 222 押しつぶされそうになって、いたのか?それでも私の無事を心底喜 んで⋮⋮ずっとそれを、押し殺して⋮⋮? なにかが全身を強く駆け抜けると同時に、王に触られた時の⋮⋮特 に頬にねとねとと口付けされた時のこの上もない悪寒がゾックーー と蘇った。 ⋮⋮ッ、イヤだ、おぞましい、お、思い出すなァーー!いっそ何も 無かったとキッパリ言ってしまいたい!必死に害虫の如き汚らわし い記憶を頭の中でゲシゲシと踏み潰しまくった。 ﹁、ひ、め︱︱︱︱﹂ ﹁な、何もされてないッ!さ、されてないったらーー!!﹂ 咄嗟に叫んだ内容は︱︱分り易すぎる、嘘だった。 ヤツに、通用する筈のない⋮⋮⋮⋮子供騙しの、嘘。 目の前のグランの瞳が氷付き︱︱︱︱ 瞬間、世界が⋮⋮⋮⋮極寒の永久凍土に、覆われた。 223 ROUND46:野獣騎士の嫉妬︵前編︶ バカ!!私はホントーーに大バカだ!!またやってしまった、また してもバカな事をーー!! あの気色悪い接触事件は脳内で無かった事として処理中だったが為 に、瞬時に口から漏れてしまった!正直に多少触られただけだと言 えばいいものを⋮⋮! 咄嗟に訂正しようと口を開いたが、固く凍りついたまま呆然と目を 見開いていたグランがギリッと奥歯を噛み締め低く呻き、苦痛に歪 んだ瞳で私を見下ろしてきて、その絶対零度の眼光に喉が詰まって 声が出なくなってしまった。 ﹁︱︱︱︱姫⋮⋮何故、嘘をつく、の、ですか?も、しや、あの、 男、は⋮⋮貴方、を⋮⋮⋮⋮﹂ ﹁ッ、ち、が、﹂ ﹁かの地で王を追い詰めた時、王は私にこう言いました、貴方はも う自分のものだ、と、貴方もそれを心良く承諾し、全、てを受け入 れてくれた、と︱︱﹂ ﹁ッ、あ、れ、は⋮⋮!!﹂ 224 確かに色仕掛けで王を籠絡しようとした事は認める、だが、い つ 私 が あ の 男 の も の に な っ た?!まるで私 があの王に身も心も全て委ねたかのような言い方だ、おいこら自分 勝手な肥大妄想も大概にしろォ! ︱︱って、黄泉の国に激ツッコミしても届 か な い! ﹁⋮⋮私を退き、意に沿わぬ婚約から姫を救い出した暁には、王の 花嫁となると、貴方がそう誓った、と、﹂ あれは脱出を容易にするための真っ赤な嘘だ!万一グランを仕留め る事ができたら考えてもいいとは言ったがそもそもお前を仕留めら れる人間がこの世にいるのか、いや居ない!だからあれは完全に本 当にだたの詭弁だ! ⋮⋮と懇懇と説明したかったのだが舌がもつれて上手く喋れず、グ ランが普段とは真逆に淡々と紡いでいく言葉にどんどん容赦無く追 い詰められていく。 真っ暗闇のその瞳が世界を不吉な暗黒の闇にじわじわと塗りつぶし、 おどろおどろしいその声だけが不気味に響き渡った。 ﹁私は信じませんでした、信じる訳がない、貴方は私のものだ、貴 方が他の男に奪われ、るなど⋮⋮ッで、すが、貴方の身体には⋮⋮ あの、男の匂いが、至る所に、そして、貴方はそれ以来様子がおか しく⋮⋮さきほどは、私を拒ん、で︱︱︱︱﹂ 225 ﹁ッぁ、グ、ラ︱︱、ッあぁ!!⋮⋮⋮⋮ッぅ!!﹂ 硬く重い肉体が覆いかぶさってきて、身体が寝台に深く深く沈み込 んだ。 グランの大きな手が頑強な鋼鉄の枷となって、手首を固く固く戒め る。 ⋮⋮い、息、でき、な、動け、な! ﹁ひ、め⋮⋮⋮⋮⋮⋮貴方、は、私、の、もの︱︱︱︱ッどう、か ⋮⋮そう、だと、言って、くださ、﹂ 極限までキリキリと張り詰めた低い低い呟きが言霊の鎖となって私 の全身を呪縛した。 まるで真綿で首を締められたかのように息が上手く出来ないまま⋮ ⋮⋮⋮ ひくっ、と喉が、震えて、鳴った。 226 ROUND47:野獣騎士の嫉妬︵中編︶ ぅ、あ、ぁあああ⋮⋮⋮⋮⋮⋮!! 重たい身体に伸し掛かられ身動きできないまま、夜着が肩から引き ずり降ろされる。 肌蹴た胸が思い切りヤツの眼前に無防備に差し出され、まるで前回 と同じような状況だが、そこには決定的な大きな違いがあった。 それは⋮⋮今私がヤツに激メロな事だった。 焼け付くような視線で肌を見られただけで、顔からボッ!と火が出 そうになってしまう。 首筋をねっとり舐められゾクゾクして既に涙目だ。涙目になるのが 早すぎる、最短記録だ! どんどんずり下げられる夜着に拘束され上半身が動かせない。 仮に動かせたとしても、頑強なグランを押し留め、冷静な話し合い に持っていける自信もない。 ﹁あぁ!ん、んッ!⋮⋮ッぁあーー!!﹂ 227 なぶ 卑猥に開いた熱い唇が乳房をしゃぶり尽くし、無茶苦茶に嬲られて 背がビクンビクンと面白いほどに飛び跳ねた。 ヤツの手が腰骨を伝い、下着ごと衣服をずり下ろそうと蠢いた。 膨らみに唇が熱く押し付けられ深く食まれては、長く出した舌に痛 いほど押しつぶされべろりと舐められる。 その衝撃は前回など比べようもなかった。 肉体的な刺激と精神的な羞恥、更に完全に心を向けてしまった男に 触れられ貪られる事で感じる紛れも無い歓喜に翻弄され、尋常でな い悦楽の渦が襲い掛かってくる。 ﹁あ、あ!ぁ、ん、んんーーッ!!﹂ 無言のままひたすら責められ続け、激しい過剰反応の連続だ。 衣服を腰下までずり下げられ、そのまま下腹に吸い付かれ舐められ まくった挙句、とうとう夜着が引きずり降ろされる。 大きく硬い手と熱い唇、そして漆黒の瞳が縦横無尽に私の肌を深く 味わい、熱い衝動を容赦無く与え続けた。 恥ずかしさと熱すぎる衝撃から逃れようと身悶える度、愛撫がより 執拗さを増していく。 228 背を掬い上げられ身体にしがみつかれるように息荒く貪られ、どん どんヤツのいいように責められた。 あッ、ぁ、ぅああ!な、なんでこんな事に︱︱︱︱!! 今ほど自分のツンデレ属性を恨んだ事はない! そもそもこの展開は二度目じゃないのか?! 思えば前回もこの流れで押しに押され流されまくって屍となったば かり、グランにツンデレ行為は身の破滅または世界滅亡という公式 を身を持って嫌というほど学んだばかりだというのに︱︱!! 今、こ こ に 宣 言 す る!今日を持って、ツンデレ、やめ ます!! 果たしてやめられるものなのかどうか知らんが、絶 対 に や め て や る⋮⋮! もーヤダ、怖い、怖すぎる!自業自得とはいえ毎回心臓が持たない! ヤツと婚約してからというもの、私の余命カウンターが面白いほど にカシャカシャと瞬速で目減りする一方だ! 初の乙女様降臨に身悶えてる場合じゃない、ヤンデレとツンデレは 人類史上最凶最悪の相性だとよ∼く分かった。﹁ヤンデレは ツン 229 デレやめれば 怖くない﹂だ!実にいい標語だ、国民栄誉賞がもら えそうだ、今後私の座右の銘にしようと思う! ダメ押しにもういっちょ﹁ヤンデレに ツンデレするな 地獄逝き﹂ これも実に素晴らしい、いっそ泣けてくるほどに⋮⋮! ⋮⋮と か や っ て る 場 合 か?! んんんっぎゃーーーー!!ヤ、だ、ヤダ!全、部脱がす、なァ! ヤダ、ヤめ⋮⋮ッ!そ、そんなとこ、もう見せられん、絶対ヤだ︱ ︱!! 身体に唯一残ったささやかな砦を懸命に死守しようとしてたら、焦 れたグランに指どころか手ごと思い切り食まれた。しかも、そのま ま銜えられ噛まれ、咀 嚼 さ れ ま し た!!んんっっぎゃ ああーーんぎゃああーー!! ⋮⋮とにかく猛烈に反省している、必ず更生してみせると心に決め た! だからどうか神様、時 間 を 巻 き 戻 し て く だ さ い!! はりつけ 磔で串刺しの刑・リターンズはホント、堪忍してください⋮⋮⋮⋮ !! 230 羞恥の余り悶え殺されそうな状況に、どうしても全力で抵抗しまう 事が状況を悪化させていく。 今までグランがどれだけ私に手加減してくれていたのかを⋮⋮⋮⋮ この身をもって、恐ろしいほどに知らされる事となったのだった。 231 ROUND48:野獣騎士の嫉妬︵後編︶ 伸し掛かって来る厚みのある身体を必死で突っぱねていた両手が鷲 捕まれ、両脇にギリッと固定される。 おのの 頑強な手枷に、ただ指先だけが無力に慄いた。 虚ろに揺れるグランの瞳が肌を焼き、熱い舌と唇が至る所をじわじ わ舐め回してくる。 肌が熱くじっとりと汗ばんで、ただ無意味に延々と喘ぎまくってし まう。 ﹁ぅッぁ、ッひ⋮⋮んっ、ん、あ⋮⋮っ!!﹂ ﹁ッぁひ⋮⋮め、王に、も⋮⋮この、ように⋮⋮甘く、啼い、たの、 です、か⋮⋮⋮⋮っ﹂ ん、ッぁ、誰が、啼くかッ、世にもキモい感触をサブイボ出しなが ら必死に堪えたんだぞ!! 激しく反論しようとした唇は唐突に突っ込まれた舌で強引に塞がれ た。 唇ごと貪り尽くされ、艶めかしい熱いもので腔内を奥深くまでじゅ 232 ぶじゅぶと蹂躙された。 ﹁ぅ、うッ⋮⋮!︱︱ん、む、ッぅ、﹂ ﹁っ⋮⋮ぁあ⋮⋮王は、貴方に、どう、触れ⋮⋮どこ、まで、貴方、 を、⋮⋮⋮⋮?﹂ 強く押し付けられ、微かに震える唇から重苦しい呟きが漏れ続け、 ゾクッと背筋が震えた。 それは獣の捕食の時間だった。 まるで獲物を仕留めるように全身にむしゃぶりつかれ、息も絶え絶 えで身体がバラバラになりそうになる。刺激と衝撃が交互に絶え間 無く襲い掛かってきて、涙が飛び散るほどに激しく悶えさせられ、 背筋が反って膝がカクカク震え出す。 有無をいわさずガンガン貪られ続けた結果、頭がぼうっとして目が 霞んで意識まで朦朧としてくる。 早く誤解を解かなければならない、のに、も⋮⋮身体も思考も、ッ く、ぁあ⋮⋮⋮⋮!! ﹁っ⋮⋮ひ⋮⋮⋮⋮め、ぁあ︱︱、﹂ ﹁っあ!ん、ぁ、はぁ、ッ、あ、ぁ⋮⋮ぁああ⋮⋮⋮⋮!﹂ 233 荒い息で火照るほどに肌を卑猥に舐めしゃぶられ、きつく吸われて は噛まれ続け、とうとう全身がガクガクと激しく痙攣し始めた。 グランの手が下肢に伸ばされ、蜜口をいやらしく蠢く頃には、虫の 息の半屍と成り果てた。 入り口の粘膜を強く押し開かれ、その太い指が柔らかな場所に吸い 付いたその時、ねちゅッとありえない感触と音がして、グランの手 が一瞬止まり、私も身体を固く強張らせた。 ⋮⋮え、濡れ⋮⋮な、んで、う、嘘だ、イヤだ、なんで⋮⋮?! 初めての感覚に腰を戦かすと、秘部を探るように蠢くグランの指に 滲み出した体液がいやらしくねちねちと絡まった。 腫れた粘膜を卑猥に擦られ、ジンジンと灼熱の悦楽がこみ上げてき て、もう耐え切れず大きく啼き叫んでしまう。 ﹁ぁあ、はぁン!ん、んッ⋮⋮ぁ、や、んぁあ⋮⋮ッッ!﹂ ﹁ッひ⋮⋮め、ぁあ⋮⋮なぜ、濡れ、て⋮⋮⋮⋮?ッく、王、が⋮ ⋮貴方を⋮⋮⋮⋮こんな、身体、に︱︱︱︱?﹂ ﹁ヤ、ち、が!!ぅッ、あ、あぁーーッ!!﹂ 234 粘液にねばつく襞と襞の間をぐちゃぐちゃに掻き混ぜられ、ビクー ーッビクーーッと、逃しようのない悶えが全身を貫いた。 ﹁⋮⋮ひぁ、あ︱︱!!あ、ヤっ、あ、ダッ、メ、ん、あ、あァ、 あーーーーッ!!﹂ っう、ぁ、入り口が熱、ッ、ネトネトしてっ⋮⋮な、涙止まらない し!全身ガクガクだし!! ダメ、だ!も⋮⋮ダメだ!!このまま私は悶え死ぬ運命なのか︱︱ ?! 耳元にひ⋮⋮め、という重たい呟きと荒い息が吹きかかり、身に覚 えがありすぎる熱く猛々しいものが震える入り口にネチッと押し付 けられ、ビクン!!と身体が大きく跳ね飛んだ。 熱い先端が濡れた秘裂にグプリと滑ってのめり込み、性器と性器が ねっとりとした粘液で滑って膨張しきった異物の侵入をいとも簡単 に許してしまう。 ﹁⋮⋮ひ、め、ッく、ぁ、あ⋮⋮貴方は、私だけ、の⋮⋮⋮⋮﹂ マ、マズい、今、挿れら、れたら⋮⋮も、話なんて、できな、⋮⋮ ⋮⋮!! 235 ﹁グラッ!!言、う、から⋮⋮!!全、部、言う、か、ら!!だか、 ら、も、﹂ ﹁ひ⋮⋮、め、私の、ひ、め︱︱︱︱!!﹂ ﹁あぁ!!ぁアーーーーッ!!﹂ 脚を大きく割り開かされたまま、無防備に口を開けた蜜口が滾った 男根をじわじわと熱く呑み込んでいく。 何度この身に受けても慣れない、鋭敏な秘肉が生々しく擦れ合う感 覚に全身をガタガタと震わした。 毎回初めて受け入れるような、何をしても逃しようのない、灼熱の 衝撃。 激しく燃え上がるグランの瞳が私の肌ごと全身を焼きつくし、 その暴走の炎は、私を悉く喰らい尽くすまで⋮⋮⋮⋮ 236 決して、止まることがないのだ。 237 ROUND49:野獣騎士の完全野獣騎士︵前編︶︵前書き︶ 238 ROUND49:野獣騎士の完全野獣騎士︵前編︶ ﹁ッひ⋮⋮ん、ぁ、ぁあ⋮⋮ぁ︱︱ッ!!﹂ 熱く猛々しいものが身体の奥深くへじりじりと埋められていく強烈 な感覚に、目を瞑ってガクガク震えながら必死に耐えた。 中が熱く滑ってグランを呑み込んでいくのがいたたまれなくて、頭 が吹っ飛びそうになる。な、なんで、こんな⋮⋮!! 繋がっただけで、こんなにビクビクうねって熱くて気が狂いそうに なるなんて、こんなの聞いていない! な、んだこれ⋮⋮!ど、どうすれば?!ぅう、な、泣きたくなって きたーー!! ﹁っは!⋮⋮ッぅ、く、ぁ!っ、ひ⋮⋮め、ッな、か、が⋮⋮ッ﹂ グランが挿入半ばで苦しげに喘ぎ、動きを止めた。 当然だ。中が勝手にその大きさと形を味わうように吸い付いて蠢い て⋮⋮っッんあぁああーー!! い、いつから私はこんないやらしい身体になった?!ツンデレなの 239 に身体は正直って⋮⋮どんな属性だ!? だが今はマズい、こんなに身悶えていたらまたグランに王にこんな 身体に︱︱?だ!!ッぁあ!ひ⋮⋮!奥、は、マズ、ひ、ぁ、は! !ん、ッぁあーー!! ⋮⋮⋮⋮現場からは以上でした、これ以上の実況中継は大変危険を 伴う為、スタジオにお返しします! ︱︱って、スタジオってど こ で す か!? ミッチリと埋め込まれていく熱い衝撃に息があがり、言葉を失う。 灼熱の杭がとんでもなく熱い快感を呼び覚まし、脳に激しい混乱を 巻き起こす。 ガクガクと逃げる腰がきつく抑えこまれ、猛々しいものが容赦無く 泥濘に深く沈み込み、物凄い重量のものが奥へ押し入ってきた。 ﹁︱︱ッ、ぁっ!⋮⋮ぁあ、く、あぁあ︱︱︱︱!!﹂ ﹁⋮⋮ッ、ひ⋮⋮⋮⋮め、ぁ、っく⋮⋮⋮⋮ッぁ!﹂ 銜えこんだ内部がドクドクと熱く脈動して爆ぜて、後頭部が寝台に のめり込まんばかりに反り返る。 240 ぅ、ぁあ!結局ろくに弁明できないままこんな事態に⋮⋮! 息も絶え絶えに喘ぐだけで精一杯、言葉を紡ぐ事などもはや不可能 だった。 王と何があったか聞いてくるくせに答えられない状況にドンドン追 い込んでくるのはなんなんだ!?天然か?!ワザとなのか?!ハッ キリしろオーー!! ぅ、くッ、ああ⋮⋮!!ヤツにコレの威力を思い知らせてやりたい !ホント一回味わってみるといい、物 凄 いから!!こんなの突 っ込まれ、ガンガン突き上げられながら、理路整然と弁明できるヤ ツがいたら即弟子にして欲しい! それともこれは巨大なマイクだとでも?体内インタビューか?!だ がもう少し普通に弁解させて欲しい、せめてマイクなら普通に握っ て上の口で記者会見を︱︱ って、おおおいーー!! 無茶苦茶下品極まりない想像、キターー!!乙女様がようやく引っ 込んだと思ったら今度はお下品様、キターー?!全力で帰ってくだ さい、全力で呼んでないから⋮⋮!! 恥骨が壊れるほどに硬い腰がぶつかってきて、思いッきり星が飛ん 241 だ。 ぁあ⋮⋮⋮⋮どうすればこの暴走が一瞬でも収まるのか?! いっそグランを押し倒し、私がヤツを泣かせて話を聞かせる︱︱っ て無理無理そもそもどうやってこの巨体を押し倒すんだ?!笑える ほど不可能だろうがーー! こうなったらこの状況を大いに楽しむ!って、そしたらまた﹁王が ⋮⋮貴方をこんな身体に?﹂ルートだ、はい、サヨナラ! もういっその事、あの変態王にメチャメチャガンガンヤラれまくっ た、それがなにか?!とでも思い切り開き直ってやろうか。 ⋮⋮分かってる、考えただけでも世界滅亡だな!危険すぎる!やめ ておけ!! ⋮⋮⋮⋮って、碌なアイデア浮かばんわ!この状況じゃーー︱︱!! 242 ROUND50:野獣騎士の完全野獣騎士︵後編︶ 大きく口を開かされ、グランを懸命に呑み込む部分がジンジン痺れ て熱く爆ぜ蠢いた。 絡みつく粘膜が激しくこすれ合い、全身を貫く快感に悶えて泣き喘 ぐしかない。 奥深くを獰猛に抉られ、最奥の壁にグチャッ!ブチュッ!と当たっ て吸い付いて、その衝撃と卑猥さに頭が爆発しそうだ︱︱︱︱!! ﹁ぁあ!!ッひ、ぅ、は、ぁッ!!あぁんッ!!あぁ、あぁ⋮⋮ン ン!!﹂ ﹁ぁあ、ひ⋮⋮めっ、は、ッ⋮⋮⋮⋮ぅ、くッッ⋮⋮⋮⋮!!﹂ 忙しなく漏れるお互いの熱い吐息の合間に、グチャ!ネチュッ⋮⋮ !ととんでもない水音が聞こえてきて、宇宙の彼方へ現実逃避した くなる。 つま先が引き攣れ、腰が浮きあがり、ただでさえガッチリと嵌めこ まれた結合が更に絶望的に深くなる。 ぅ、ァあ⋮⋮!!これでは決死の覚悟で放った脱ツンデレ宣言が浮 かばれない! 243 素直になれ、素直になるんだ、私ィ⋮⋮!! 恐怖のツンデレループから抜け出すには、ありのままを口にすれば いい、ただそれだけだ!至ってシンプルだ! ﹁グっ︱︱ぁ、んァ!ッは、ァあぁ!!﹂ ⋮⋮⋮⋮グ、しか喋れん!っ無、理⋮⋮!! 会話せんと全力で突っぱった両手は手首ごと片手でガッツリ握りこ まれ、肩をずり上げればヤツの牙でその場に留められ、身動きでき なくなる。 それでも情けなく首を左右に振っていると、ガプリとまるごと耳を 食まれた。 ﹁ひ、ぁあ⋮⋮⋮⋮!!﹂ ﹁ッぁあ、ひめ、どう、か⋮⋮⋮⋮抵、抗、ッしないで、くださ、 で、ないと、私は、貴方を⋮⋮ッ!﹂ 昏い情欲が烟る強い眼差しと骨まで響く重低音に心まで金縛りにさ れた。 244 深く腰を抱え込まれ、更なる奥をグチャグチャと突きあげられる卑 猥な感触に涙が止まらない。 激しい打ち込みにギ!ギ!と忙しなく寝台が悲鳴をあげ、切羽詰ま った熱い息と切ない呻きが響き渡り、脳内まで狂おしく翻弄してい く。 ﹁ッぁ、は、⋮⋮⋮⋮あッ!⋮⋮ぁあ、ひ、め、ッ⋮⋮ぅ!!﹂ ﹁ぅ、はぁン!っは!ぁ、っく、も、ああ!!っひッん!ン、ぁ、 あァん!﹂ 漆黒の熱視線が全身に絡みつき、私の激しい反応にいちいち低く唸 ってはドロドロの瞳で覗きこんで熱く穿つ。 その深い底無しの瞳に何もかも引きずり込まれそうになって思い切 り目を瞑ると、地にのめり込まんばかりの重苦しい呻きとともにメ チャクチャに抉るように責められ、意識を根こそぎ奪われた。 ﹁⋮⋮ひッ!っぅ!は、ぁあひ、はぁああ⋮⋮ッ!﹂ 下腹が爆発しそうなほどグチャグチャに突き入れられ、意味不明に 泣き喚く。 存在を永遠に刻み付けるように、消えない何かを残すように、執拗 に何度も押し込まれた。 245 ﹁ぅッう、あっ、ぁあ、あああーーッ!!っぅ、あ、グラ、ダ、メ、 あ、ああ、あーーーー﹂ まともに息も出来ないまま、火花が散るほど奥深くガンガンに抉ら れ、頭が真っ白になってきた⋮⋮!! ﹁ぅ、アぁ!っは、あッ!あぁあッ!ひ⋮⋮ッん、ぁあ!く、ぁ、 あーーッ!!﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮ッ⋮⋮⋮⋮⋮⋮っぁあ!!﹂ グランの手が内腿を鷲づかみ、これ以上開けないほどに股を押し開 き、硬く膨らんだ性器をグッサリと突き刺した。 火が出そうなほど擦られ続けた後、剛直を深々と埋め込んだまま私 を強く引き寄せ、ドブン⋮⋮ッ!と私の奥で思い切り爆ぜた。 吐き出された熱い熱で身体の奥が燃え上がり、全身が中のグランを 引き絞るようにガクガクと痙攣する。 ろくに息もできず、呼吸を必死で整えようとするたび、中のグラン が幾度と無く大きく脈動し、また息があがる。 246 そんな中、耳元に強く噛み締めてもなお漏れる悲痛な嗚咽が聞こえ てきて、ドキン!と鼓動が跳ねた。 グランの肩が⋮⋮泣いているように、小刻みに震えていた。 ﹁姫⋮⋮ッ、ぁあ、ひ、め⋮⋮⋮⋮ぅ、王、は、やはり、こうして 貴方を、抱、いた、の、ですか⋮⋮?ッ、ぁ、く⋮⋮、もっと早く、 貴方を奪いに行って、いれ、ば⋮⋮⋮⋮!!﹂ 深い絶望に沈み込んだ悲痛な泣き声に、胸が急激にこみ上げ喉が詰 まる。 グランが苦しそうにしていると私も苦しい。早く誤解を解きたい⋮ ⋮!! ツンデレなどドブに捨ててしまえ!私は変わる︱︱!! ﹁ッッバカ者ォオーー!!私があんな男に身体を許すと思うのか? !無礼にもほどがある!﹂ ﹁ッ⋮⋮な、らば、なぜ、王の匂いが、﹂ ﹁ッ、ちょっと触られたり、しただけだ!それだけだ!以上!!﹂ よし!!よく言えた私!!ツンデレ卒業?おめでとう⋮⋮!! 247 これでラブラブ街道まっしぐらだ︱︱!! ⋮⋮⋮⋮と喜んだのも束の間。 グランの背が大きく震え、埋め込まれたものがズクンと大きく蠢い て⋮⋮⋮⋮メッチャ不吉な予感にビックン!と腰が情けなく跳ねた。 ﹁⋮⋮⋮⋮⋮⋮ひ、め⋮⋮⋮⋮ど、こ、を、⋮⋮⋮⋮どう、やって、 ⋮⋮⋮⋮?﹂ っっ⋮⋮ふっっぎゃあああーーーー!!凶器がブチ込まれたままの 尋問、キターー?! 248 ROUND51:野獣騎士の尋問︵前編︶︵前書き︶ *死者を冒涜する発言があります。苦手な方は退避推奨です。 249 ROUND51:野獣騎士の尋問︵前編︶ 最後までガッツリ貪り食われたのち、ようやく釈明のターンが巡っ てきた。 ⋮⋮と思ったら、未だ体内に凶器が埋め込まれたまま、圧倒的に不 利な状況だ。 だが、今こそ全読者様と心を一つにし激しい困難に立ち向かう時! 全読者様、私に無限のパワーを分けてくれ⋮⋮⋮⋮!! 私は決死の覚悟でグランの尋問に挑むことにした。 ﹁ふ、服の上から、ちょ⋮⋮ちょっこっと触られただけだッ!!﹂ ﹁︱︱ッ、ど、こ⋮⋮⋮⋮を、﹂ ﹁ッ、!ん、ぁあ⋮⋮!﹂ 重∼く暗い、暗すぎる声にビクンと身体を跳ねさせると、中のグラ ンもドクンと脈動し、下腹が大きくビクつき、思わず喘ぐ。 250 っん、くぅぅ⋮⋮!!ちょ、コレ、どうにかならないのか?!全然 まともに答えられんわーー!! ﹁っ、グラン、これじゃ、んぁッ!話、せな⋮⋮抜、け!﹂ ﹁ッでき、ませ、っぁ⋮⋮こう、していな、いと︱︱とても⋮⋮耐 えられ、ませ、﹂ 私を見下ろすヤツの瞳の奥には暗黒の炎がゴウゴウと燃え盛り、不 気味にグラグラ揺らめいていた。⋮⋮まるで地獄の大釜のように。 ⋮⋮⋮⋮コレは⋮⋮諦めたほうがいいな、下手にツッコむと大火傷 するパターンだ! ﹁から、だ、じゅう、だッ⋮⋮⋮⋮ッひ⋮⋮!!ぁ、あぁ!ん、ぁ あーー!!﹂ ﹁︱︱︱︱ッッ!!﹂ グランが獰猛に低く呻いて、未だ張り詰めたままの巨根をググッと 奥へと押し込んだ。 散々抉られ続けドロドロに蕩けた内部がズチュゥッと擦られ、ひ、 ッぁあーー!!と非常に情けない悲鳴が口から勝手に飛び出し、目 から涙がたれ蔵です⋮⋮!! 251 ガタガタと苦悶に震えながらの尋問に、ガタブル度MAXなのはむ しろこっちだ!と大声で叫びたい!! ﹁ッ、ぁあ⋮⋮⋮⋮ひ、め⋮⋮ッど、の、ように、っぅ、触、られ、 たの、です、か⋮⋮⋮⋮、﹂ ﹁ぁ、ひ⋮⋮っ、は⋮⋮べ、つ、に⋮⋮ぅ、軽、く触られた、だ、 け︱︱ッ、﹂ ﹁⋮⋮ひ、⋮⋮⋮⋮め、﹂ ⋮⋮なんで、さも違うでしょう?とでも言わんばかりの詰問口調な んだ? なんで⋮⋮嘘が、モロバレ?私の態度か?それとも服に染み付いた 匂いでそこまで判別できるのか?!嘘だろ?!ありえない! ∼∼∼∼思い出したく、ないのに⋮⋮ッ!! ﹁っ、撫でられたり揉まれたり、した!でも服の上からだし、大し た事はない!!﹂ そう叫ぶと、グランが大きくグラーンと揺れた。余りのグラグラっ ぷりにグランが3人居るように見える。ひいいい!!私までグラン グランしてきたァーー!! 252 ﹁⋮⋮ッ!あ、れ、を⋮⋮⋮⋮もっ、と、残虐に⋮⋮粉々、に、切 り刻み、葬、る、べきで、した⋮⋮﹂ と歯ぎしり付きの暗黒の呟きに、ゾッックーーン!!と全身がガリ ガリ君化してカッチンコッチンに凍りついた。齧ったら歯が欠ける ぅーー!! 殺気が余りにも凶悪すぎて局地的にかまいたち現象が巻き起こり、 肌がビリビリ切り裂かれそうだ⋮⋮! ﹁ッ⋮⋮肌、は⋮⋮⋮⋮ぁあ、王は、貴方の、この、肌に、ッ触れ、 たのです、か、﹂ ドッキィーーン!!と心臓が飛び出た! ドッドッドッ!と鼓動が鳴り止まない胸の膨らみをじんわりねっと り狂おしく揉み上げられ、背をビクン!と反らすと、グランが切な く呻いて発火しそうに熱いものを大きくゆっくりと抜き挿ししてき た。内部の感触をじわじわ味わうように、じんわり、ねっとりと。 ﹁⋮⋮っ、ぁあ⋮⋮ひ、め、⋮⋮⋮⋮ッく!﹂ ﹁ッ、ぁあっ!あっ、ぁっ⋮⋮!は、ぁあぁん!!﹂ 253 くっそーー!!じ、尋問中にソレを動かすなあああ⋮⋮!!答えら れないだろう! ひん!ぁ、はッ!今、奥の奥が、ぐにッって⋮⋮!ぁあ⋮⋮!! ッ、これは尋問という名の二回戦目か?!せめてどっちかにしてく れ、身が持たん⋮⋮!! 腰を押さえ込まれたままいやらし∼く擦られ、ビチュ⋮⋮ッグチュ ッ⋮⋮と粘液が卑猥に絡まり合う音が大きく鳴り響き、頭が爆発し そうだ! ﹁⋮⋮っ、ぁあ!!太腿、だけ、んっ、は、下衣を捲られてっ、ぁ あン、あひッ、ぁっ、あ!!﹂ 凶悪なもので愛液と精液でグチャグチャの泥濘をズンズン責められ、 涙目でアンアン喘ぎながら必死にそう答えると、ギュギュギュ!ボ キボキッ!!と固い骨の音が寝室内に木霊した。 見るとグランが拳をきつく握りしめ、 ﹁⋮⋮ッ!!私の、姫に触れ、た汚らわしき両の手をもぎ取り、炎 の中に投げ入れるべき、でした⋮⋮﹂ という感じの、なにやら怖すぎる獰猛な唸り声をあげていた。 254 ⋮⋮⋮⋮っっんっあああ!!コワイコワイコワイからーー!!! まだまだ終りが見えない果てしない取り調べに、何故か無性にカツ 丼が食べたくなってきた私だった。 255 ROUND52:野獣騎士の尋問︵後編︶︵前書き︶ *死者を冒涜する発言があります。苦手な方は退避推奨です。 256 ROUND52:野獣騎士の尋問︵後編︶ ﹁⋮⋮⋮⋮ぁあ、ひ⋮⋮め⋮⋮⋮⋮っく﹂ ﹁ん、んッ⋮⋮!ぁっ、あああ⋮⋮っっ!!﹂ ガッチリ埋め込まれたままの部分が熱くジンジンと疼き、全身に熱 が回って息があがる。 疲労でグッタリしてきた身体がそれとな∼く中の巨大な異物を押し 出そうとするのだが、その度に互いの陰毛が強く擦れて痛い程に奥 深くズン!と嵌め直され、ビクビクッと痙攣が巻き起こる。 マズい事に、段々と痙攣の感覚が短くなってきた。 特に動かされた訳でもないのに、唐突に中がピクピクと蠢いてグラ ンに絡みつき、グランが堪らないというように呻いたり色気駄々漏 れの吐息を吐き出している。 ⋮⋮⋮⋮あぁ、末期だ、早くこの状態から抜け出さねば、私の身体 がヘンなピクピク体質になってしまうーー!! グランが唇を噛み締め物凄く辛そうな顔で、私の頬に触れてきた。 257 ﹁⋮⋮ッ、ひ、め、ぁあ⋮⋮頬、は、﹂ ⋮⋮⋮⋮ついに、来た。 最も思い出したくない黒歴史ランキング堂々の一位、あの頬にナメ クジ事件が⋮⋮!!ブルルル!!キモイキモイキモイーー!! 全身拒絶反応にサブイボ立ち、またしても﹁そんな事はされてない ⋮⋮ッ!﹂とうっかりツンデレ属性が飛び出そうになったがギュギ ュッと耐えた!耐えぬいた!! そう、私は生まれ変わったのだ!一味も二味も違う! フハハハ!見せてやろう、ツンデレから見事華麗に脱皮した、私の 真なる姿を⋮⋮!! ﹁グラン、頬は︱︱﹂ ﹁頬は、あの男、が⋮⋮貴方に、口付け、を、した、の、ですね?﹂ ︱︱︱︱ッッッ??!!⋮⋮っっにゃっっにいぃいいーーーー!? それについてはただの確認作業なんかーーい!だったら始めからそ う言えやーー! 思いッ切り気合の入りまくった前振りをドーン!と入れてしまった 258 じゃないか!無駄な労力使わせるんじゃない! それにやっぱり口付けまでバレてるし! ヤツの匂い識別能力は唾液の匂いも判別可能なのか?!麻薬探知犬 並の嗅覚だな!いつから人類の嗅覚はそんなに超進化したんだ?! も∼これ以上事態をややこしくしない為にもありのままを言いつつ、 なおかつフォローもしっかり入れておけ!! ﹁ぅ⋮⋮く、そうだ!でも唇は決して触れさせて、いない!!﹂ 素直で大変よろしい!しかもナイスフォローだ!!と自画自賛して いたら︱︱ どこからかビキビキィ⋮⋮!!と何かが軋む音がした! 家鳴り?ラップ音?ヤツが魔界から死霊・悪霊でも呼び寄せたのか ?! ⋮⋮なんてそんな事はあるわけはなく、単純に伸し掛かったグラン の全筋肉がビシバシ激しく膨張した音だった。 な、なぜ人体からそんな音が?!実に様々な音が鳴り響くな、ヤツ の身体は!全身オーケストラ、乙! 259 それにしても物凄い殺気だ、私まで木っ端微塵に吹っ飛びそうな勢 いだ⋮⋮! ﹁⋮⋮ッ、心の臓を貫いて首を落としただけでは生温い⋮⋮⋮⋮肉 を切り裂き骨を取り出し磨り潰し、荒野に遺棄すべきでした⋮⋮⋮ ⋮﹂ っっっっひいいいいーーーー!!ッッゾッツオオオオオオオーーー ー!!!! 今世紀最大級のゾックーー!!、キターー!!!! 冷酷な死刑執行人ぽい呟きに血の気がドオオ!!と激しくつま先に 向かって豪快に雪崩落ち、フラァーーッと急性悪性貧血に見舞われ た。 ⋮⋮という訳で、グランはしばらく殴られ続けたパンチドランカー のような危険なオーラを悶々と噴き出し続けていたが、どうにかこ うにか無理矢理何かの絶望的臨界点をギュウギュウにギリギリで押 さえ込んだようだった。 ﹁⋮⋮ッ、そ、れ、で⋮⋮⋮⋮ッ全、て、です、か﹂ これ以上の刺激は大変危険だと丸分かりのピッシピシに張り詰めた 260 空気を醸し出して恐怖の最終通告が、キた。 言うなれば世界平和か世界滅亡か、最期の究極の選択肢的な。 ﹁全部話した!本当だ!仕方なかった、脱出を容易にする為には王 を籠絡するしか、﹂ 瞬間息もできないほど強く羽交い絞めにされた。 ﹁決して⋮⋮もう決して、そのような事は、二度と、しないでくだ さい⋮⋮もう、決して﹂ 深い絶望にブルブル震えた声が頭に強く押し付けられた唇から響い てきて、心臓がガッシャンと壊れそうになる。 ﹁いいえ、私が、させません。これから先、私の全てを賭けてでも、 永久に、何人たりとも私から姫を奪わせは、しない﹂ 大きく逞しい身体から響いてくるその力強い振動は、グランならば 確実にそうするだろうと、そう私に強く確信させた。 きっと私は⋮⋮生涯この腕に固く固く守られ、あのような目に遭う ことは二度と無いだろうと。 261 しばらくきつく抱かれたまま、互いの呼吸の音だけが響き⋮⋮やが て耳元に悲痛な呻き声が落ちた。 ﹁⋮⋮ッ、ぁあ、ひ⋮⋮め、⋮⋮⋮⋮ッお願い、が﹂ 切なく揺れる響きに、何故か心がざわめいた。 ﹁な、なんだ﹂ グランが頬を掴み、心の奥底まで鷲掴むような強く真剣な眼差しで 私を貫き、こう告げた。 ﹁一刻も早く、私の妻、に﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮え﹂ ﹁ッ!!も、う耐えられないのです!!どうか、私を貴方の一番傍 に⋮⋮一生、永遠に、居させて、くださ、い!!もう決して⋮⋮⋮ ⋮貴方を見失う事など、無い、ように、﹂ 唐突すぎる申し出に言葉を失う。 泣きそうに歪んだ顔で必死に懇願してくるグランを、ただそのまま 262 見つめ返した。 世界から私だけを切り取ってただひたむきに見つめてくるその瞳に は、狂おしい程の切望と孤独、自戒と狂気、そして永久に消える事 なく暴走し続ける、炎のように燃え盛る私への激しい求愛があった。 ﹁貴方が傍に居なければ、もう眠る事すらできない、たった一枚の ドア、一枚の衣服すら⋮⋮貴方と私を隔てるものが辛、くて、っど う、か⋮⋮お願い、です、姫、今すぐ私の妻となり、私の子を産み、 生涯私の腕の中で、ずっと、ずっと⋮⋮⋮⋮⋮⋮!!﹂ 263 ROUND53:野獣騎士の求婚 悲痛な叫びに、しばし呆然としてしまう。 だが切迫した真摯な眼差しに心臓ごと強く打ち抜かれ、瞬時に理解 する。 これは、グランから私への、求婚だと。 父の思惑など一切関係無い、グラン本人から、その全てを賭けた求 婚。 そういえば⋮⋮グランが私に直接求婚してきた事は無かった。 そもそも、今までの私に対する求愛の全てが、世間一般とは激しく 逆走しまくっている。 今、ようやくスタート地点に辿り着いた⋮⋮のか? ひざまず 全裸で繋がったままの求婚。⋮⋮普通こういう時は跪くものじゃな かったか? ちなみにグランと私の婚姻は、誰がどう見ても確定的未来だ。 父王は私達をくっつけようとむしろ積極的だし、実質私はもう何度 264 もグランに身体を許してしまっている。 今更と言えば実に今更の求婚なのだが⋮⋮⋮⋮恐ろしい事に、嬉し いと思う自分がいた。 私を救い出してくれた時のグランの瞳をまだ覚えている。恐怖と絶 望に打ちのめされ、壊れかけた目。 本来なら恐れるものなど何もないはずの頑強な腕が、大きく恐慌に 震えていた事も。 ⋮⋮⋮⋮よし、決めた!グランの全てを今、受け入れる! くっ⋮⋮かなりの覚悟がいるな!これから先、一生グランの暴走求 愛を受け止め続け、私は五体満足、フツーの人生が送れるだろうか ?⋮⋮⋮⋮大丈夫か、私? いいや、ぐちぐち悩むのは性に合わん!もしヤツがとんでも暴走を 始めたら、その都度激しくガチバトルすればいいだけの話だ!⋮⋮ ⋮⋮ホント∼に、大丈夫か、私? だがその時、どこからか声が聞こえたような気がした。 が、頑張って姫さま︰︰と沢山の熱い声 姫頑張れー︵笑︶頑張れ姫サマwww姫サマ頑張って生き抜いてね ︵はぁと︶姫∼頑張れ! 援が!そして何故かカツ丼まで!⋮⋮元気100倍、デターー!! 265 ⋮⋮くっそォー、これでいかなかったら女じゃない! しっかと心を決め、大きく息を吐き出し、私の頬を包む大きなごつ い手をムギュッ!と強く握り込んだ。 ﹁分かった。グラン、お前の求婚を受け入れる。私の全て、心も身 体も人生も、お前に全部、くれてやる。一生⋮⋮私の傍にいろ!﹂ ﹁︱︱︱︱︱︱︱︱姫⋮⋮⋮⋮!!﹂ どおおおおおおーーーー!!となにかが押し寄せてきたーーー!! と思ったら、それは全グラン改改改だった!⋮⋮だろ?分かっとる わーー!! 侮る無かれ!毎回全ヤツを受け止めるこちらも、エルミア改改くら いにはなってるわ!バッチリ予想の範疇だ! も∼この先ヤツに改が何個くっつこ∼が驚かん!いくらでも受け止 めてやるわ、バッチコイやーー!! 腰を強く抱き込まれ、ドッ!と厚い胸板にムギュッ!!と押しつぶ される。 当然埋め込まれているものもムギュッ!と押し込まれ、内心ふぎゃ ッ!と激涙目になったがグッと堪えた!ぅう、がんばれぇ私ーー! 266 負けるな全私改改! んく、⋮⋮ッ、相変わらず凄いホールドで息がーー!! 歓喜にブルブル震えるグランの手にガッと頬を掴まれぐっと上を向 かせられ、切なく潤んだ熱い熱い視線をビシバシと注がれる。 ﹁ひ⋮⋮め⋮⋮あぁ、姫⋮⋮貴方を、一生、離しません!!ずっと、 御傍に⋮⋮貴方を、私のものに、﹂ ﹁ぅ、んん!﹂ ﹁っ、やっ、と⋮⋮やっと、貴方を私だけのものに、できる⋮⋮! あぁ⋮⋮幸せ、です、姫、姫⋮⋮!﹂ 歓喜に潤んだ瞳でじぃっ⋮⋮と見つめられ、直後熱く唇を奪われた。 唇も吐息も眼差しも火傷しそうに熱い。私の肺も酸素不足でもうそ ろそろ灼熱地獄だ! だが、泣きそうに嬉しそうに何度も唇を吸いあげてくるグランが愛 しくて、必死で受け入れる。 交わす口付けの合間に漏れる物凄く甘い吐息に、呼吸困難のせいだ けではなく頭がぼうっとして、背筋が熱く痺れる感覚に酔いしれた。 267 ROUND54:野獣騎士VS乙女樣︵前編︶ 何度も口付けを交わしじっと見つめ合うと、心も身体も熱くジンジ ン痺れてくる。 ⋮⋮なんだかフシギな感じだ。この目の前の男が、私の夫となるな んて。 はじめは一介の騎士だった。そのうちみるみるうちに我が国の軍を 率いるトップとなり、父上の片腕となり、私の護衛となった。 これからは、一生を共にする伴侶となるのだ。 グランと結婚して子を産み、共に国を統治し次代へと繋げていく。 強固な意志の光を放つその瞳と私を抱き締める頑強な腕に胸が高鳴 って仕方ない。 グランと共にあればどんな困難も乗り越えられそうな、そんな確信 がいつの間にか私の中に揺るぎなく根付いていた。 ホントに信じられない。こんなに好きになってしまうなんて。 って⋮⋮うあああああ!!待て待て待て、この流れは例の乙女樣が 来てないか?! 268 ッ、魔除けの札でも身につけておくんだった!悪霊退散んんーー!! だが抗った所で所詮無駄な足掻きだった。 乙女化最大の原因が目の前にいて私をきつく抱き締め、熱い眼差し でじっと見つめているのだから。 ほわほわした幸福感にぽぽぽぽと頬が紅潮していくのが自分でも分 かる。 うう、激似合わない事は充分承知だ!が、つい乙女な妄想が次々と ーー!! グランが王家に婿入りしたら、きっと城内に私達夫婦の部屋が新設 されるだろう。 まだ父王が現役だし、グランが軍の手綱を握り続けるのは変わらな いと思う。 そこで一番の問題は⋮⋮⋮⋮軍の任務から戻ったグランを新妻とし てどう迎えるか、だ。 普通に﹃グラン、お帰り﹄か?それとも﹃我が夫よご苦労だった﹄ とか?はたまた﹃お帰りなさいあなた。夕食にする?湯浴みが先? それともワタシ?﹄とか言うべきなのか? それに、新婚旅行とかは絶対行きたい!シドニアの温泉とか、いい 269 な。 一度行ったが、凄く身体がぽかぽかして極楽だった。 そういえば、その時グランも護衛として着いて来ていた。 正式訪問すると例の王が﹃麗しき姫、ようこそ我が国へ﹄とかうる さいからお忍びで行く計画をケイナとこっそり立ててたら、それを 知ったグランが私がお供しますと宣言して連れて行ってもらった事 がある。 あの時は私が温泉に入ってる間衝立の後ろでじっと控えていたが、 もう夫婦なのだから一緒に入ったり、するのか? その光景を想像して、ガガーーッと頭が爆発しそうになった。 そそそんな事できるかああーー!!全裸で共に湯浴みするなど、ど んだけ羞恥プレイ?!一国を担う夫婦が、そんなバカップル化して いいと思ってるのかーー?! たった今全裸でまぐわっているというのに、何が恥ずかしいんだか 自分でもよく分からんが、それとこれとは別物だ!どう別なのかは ツッコむな、頼むからーー!! ボボボーボーボボ!!と頬から火を吹いていると、グランが嬉しそ うにはにかんで私の頬をそっと撫で、またしても激愛駄々漏れの熱 い瞳を注いできた。 270 ッ、そうだ!この乙女な妄想に終止符を打つには、本人に聞いてみ るのが一番だ! 自分勝手に想像しまくるから妄想が果てしなく広がり続けるのであ って、現実をキチンと掌握すれば、このこっ恥ずかしい妄想もきっ と無事鎮まるハズだ!! コホン、と一息ついてグランを見上げ、こう聞いてみる。 ﹁グラン。あーその、呼び方は何がいい?﹂ ﹁呼び、方⋮⋮とは、﹂ ﹁結婚したら、普通に名を呼ばれるのがいいか、それとも我が夫と かっこ良く呼ぶのがいいか、妻らしくあなたと呼ばれたいか、教え ろ﹂ 途端、ガッタガタガタタタ⋮⋮!!とグランが猛烈に震撼しだした。 なんだなんだ?!そんなに悩むとこなのか?!どれでもいいのだが! ﹁あと新婚旅行はどこがいい?私は温泉とかいいな∼とか思ってる んだが。ッその、一緒に入るのはまだ恥ずかしいが、背中を流すく らいなら私にも出来︱︱﹂ 271 っっがばあああーー!!と突然グランに羽交い絞めにされた! ちょ、苦し⋮⋮!!答えは?!答えは一体なんなんだーー?! 無回答はやめろ!激しく気になるだろうがーー!! 272 ROUND55:野獣騎士VS乙女樣︵後編︶ 未来の妻として至極真っ当な質問をしただけなのにガンガンに羽交 い絞めにされた。⋮⋮何故に? それに何度も思うが、どうして全裸なのに硬い?骨とか筋とか当た って痛い。 とりあえず早くちゃんと答えろ!でないと乙女化が止まらない!あ ぁ、ほら見ろ!どんどんドピンクな妄想が次々とーー!! 毎朝起きたら甘∼いおはようのキスから始まる新婚らぶらぶっぷり や、妊娠中はお腹が重くて大変だからグラン号で城内を移動しよう かなとか︵勿論安全運転だ!︶ふぎゃふぎゃ泣きやまない赤子を抱 っこしてたら後ろから大きい腕で丸ごと包まれ、夫婦二人して一緒 にべろべろばーしてあやすハッピーグランファミリーの光景が走馬 灯のように延々と! あわわわわーー!誰か止めてくれ!うぅきっと顔が真っ赤だ、茹で ダコだ!タコ焼き、焼けるぅぅーー!! ﹁っ⋮⋮ぅ、しあわせ、すぎ、て⋮⋮⋮⋮ひ、め⋮⋮ああ、ど⋮⋮ すれば、く、ひ、め⋮⋮⋮⋮ッ、﹂ 私が真っ赤になってアワアワしているのというのに、グランはガタ 273 ガタ震えながら物凄い苦悶の表情で呻いていた。激しい苦悩っぷり にちょっと怖気づく。 そんなに悩むほどの究極の選択なのか?それはそうか、何事も始め が肝心だと言うしな。 この大切な始めの一歩で私達夫婦の未来が決まってしまうかもしれ ないのだ!⋮⋮にしても、苦悩しすぎのような?? ⋮⋮ハッ!それとも私の出した案以上のナイスなアイデアを必死に 絞り出しているのか?まさか﹃ハニー﹄とか﹃ダーリン﹄とか無茶 苦茶ハイレベルな呼び方をご所望か?! む、無理無理!歴戦の恋愛勇者ならともかく、私は超初心者なんだ ぞ!いきなり上級者のように呼べるわけがない!うぅ、ちょっとは 手加減しろぉーー!! ﹁ッグラン、私は、お前の妻となったらお前が充分満足するよう精 一杯頑張るつもりだ!だが私は何もかもお前が初めてだ!だからそ の、ッ余り急に、恥ずかしすぎる事を求められてもできな⋮⋮ッ! もっと優しく、ゆっくり、進めて欲しい⋮⋮!﹂ 話しの途中でグランを﹃ダーリンw﹄と呼ぶ鼻血ぶっ飛ぶ甘∼∼い 映像が頭をよぎって顔から業火を吹きそうになった!が、必死に堪 えた! 間違ってもグランが勘違い暴走しないよう、我ながら優しくゆっく 274 りと伝えられたと思う! すると。 ⋮⋮ガッタッタタタ⋮⋮!!と先程よりも加速した刻み方で震えな がら、わ、かり⋮⋮ま、⋮⋮と途中と最後の方は低音すぎて空気の 微動しか感じられなかったが、絞りだすようにそう呟いてくれた。 通じた、のか?!嬉しい⋮⋮! やはりツンデレ言葉でガーガー喚くより、こうして優しくゆっくり と語りかけるほうがきちんと伝わるんだな! ⋮⋮今私は、野生の獣を手懐けたような大いなる達成感に満たされ ている⋮⋮! ぅう、優しくゆっくり、素晴らしい!優しくゆっくり、最強だ! そう一人で感動していると。 グランが苦悶に震えながら、 ワナワナ震える手のひらで私の胸を優しくゆっくりと撫で上げ、 埋め込んだ巨根をグチィ⋮⋮ッと優しくゆっくりと蠢かし、 熱い唇を優しくゆっくりと合わせ、舌を差し入れ舐めてきた。 275 ⋮⋮ぇ。ん、んぅんーーーッ?!ふあ、あぁ、ん、んんんー︱︱︱ ︱!?!? ギッ⋮⋮ギッ、ねちッ⋮⋮ねチュッとなにやら相当卑猥な音が、優 しげにゆっくりと?響いてきた。 え、ええ、ええええーーー?!?!全 然 通 じ て な か っ た、だとおおおーー!?!? ﹁っんぅッ、んぁあ⋮⋮っ、ちが、ッ!グラッ⋮⋮ぁひっ⋮⋮んぁ あ⋮⋮んっ!﹂ ﹁で、は、こう、です、か⋮⋮?⋮⋮⋮⋮く、っぁ!ぁあ、ひ、め、 ひめ⋮⋮!!﹂ 違ッ⋮⋮!!違うううーーーー!!!! 誰も、突き上げる角度をもっと下から大きく抉るようにとか、乳首 を親指でこねくり回しながら優しく胸を揉んで欲しいとか、喉奥ま で肉厚な舌を深くずっぷり埋め込んでしゃぶって欲しいとか言って ない! 全力で、断固として言ってないからーー!! 276 ROUND56:野獣騎士の恋の成就︵前編︶︵前書き︶ *激甘身悶え展開が苦手な方は退避推奨です 277 ROUND56:野獣騎士の恋の成就︵前編︶ ﹁あっ⋮⋮あ!あんっ⋮⋮!あん⋮⋮っ!﹂ ﹁っ、は、あ⋮⋮っ⋮⋮姫、ひめ⋮⋮⋮⋮っあ、なんて甘い声、を、 ⋮⋮っ、﹂ 優しくゆっくりは、別の意味で最強、だった。 いじく 乳首を弄られながら、猛々しくガッチガチのもので優しくゆっくり 揺すられてしまうと、もうダメだった。 何がダメなのか全然さっぱり説明できないが、とにかく激悶え一直 線だった。 ねぶ 熱い唇にぴったり塞がれ、腔内を舐られ、恍惚とした吐息ごと喉奥 に吹き込まれると、首筋がジーンと痺れて唾液がドッと出て、それ と一緒に熱い舌を吸い込みそうになり涙目になる。 ぅうっ、こんなハズじゃ、なかった、私はこんないやらしい身体じ ゃ⋮⋮!男を咥え込み悦楽に身を躍らせるなんて⋮⋮ぁああ⋮⋮⋮ ⋮!! 優しくゆっくり、恐ろしい!優しくゆっくり、最凶だ⋮⋮! 278 全身をビリビリ直走る強烈な快感に、唇を噛み締めてはこらえきれ ず高く喘ぎ、首を振って身悶えまくった。 涙目ではぁはぁ言いつつ、全身がぞわぞわビックンビックンしてま すが、それがなにか? グランが私を熱くじいーーっと見つめながら、私の悶えが激しくな る動作を何度も何度も繰り返す。 ギンギンに腫れ上がった性器がズルル⋮⋮ぐ、チュ⋮⋮ゥッ!と私 の体内をとんでもなくいやらしく往復していく。 ただでさえ身体がぶつかりあうたびにびしょびしょ箇所が拡大の一 途を辿っているというのに、わざわざそのぬめりをグランがうっと りと撫でさすり押し広げている。 美容液じゃないんだからそんなもの内腿に塗り広げないで欲しい、 切実に⋮⋮! っっふぁあああーー!!ヘンなトコロにゴリグチュッってキターー !!うぅ⋮⋮も、あかん、なにもかも、あかんわーー!!! ﹁っく、ぁ⋮⋮ひ、め⋮⋮ッっ!!こう、すると⋮⋮⋮⋮気持ち、 いい、ので、す、か、﹂ ﹁ッああ!ダメ、そこは、ヤめ、ッ!!あっん!!ん、ぁあん!は 279 ぁ、ん!あぁああ!!﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮ッ!ぁ、はっ、ひ、め、可愛い⋮⋮ぁあ、ひめ︱︱︱︱ っ!﹂ ﹁あんっ⋮⋮!あんっ、っはぁ⋮⋮っく、あ、ダメ!!ダメだと、 ああっあああ!!﹂ 滾った巨根で下腹をググと押し上げられ、奥のどん詰まりをゆっく りゴリゴリ押し込まれると、どうしようもないうにゃうにゃしたも の︵それ以外説明しようがない︶が爆発しそうになって、グランの 胸板に手を必死で突っぱね、肩をガクガク震わした。 だが致命的なことに、強い快楽を感じると上半身が大きくうねって 逃げてしまうのがどうやらグランにバレてしまったようだった。 ﹁ぁあ、姫⋮⋮っく⋮⋮私、を、感じて⋮⋮くださって、いるの、 です、か、ぁあ、ッく⋮⋮幸せで、死んで⋮⋮しまいそう、です﹂ ホントに死にそうな声で素敵な遺言を遺された。 脆弱なつっかえ棒はすぐに大きな手で握られて寝台の上にぽて、ギ ュッ!としっかりガッチリ固定され、汗ばむ逞しい肉体がより強く 押し付けられ、さっき吐いたばかりの遺言とは真逆の大変生気に満 ち溢れたビンビンに活きのいいものでやっぱり優しくゆっくりと最 奥までみちッ⋮⋮と埋め込まれ、ぐにぐに掻き回された。⋮⋮んっ っっぁあああーーー!! 280 明らかに悦びまくっている私の反応に、グランの目がトロットロの キラッキラでとても正視できない。 頼むからゴーゴーヘブンなメロメロアイズで、喘ぐ私の顔と涎を大 量に流してお前を咥え込んでるトコを交互にウットリねっとり見つ めないで欲しい。 悶えれば悶えるほどにグランが激しくバーニングし、ギンッギンに エキサイティングしたものがアンビリーバボーな事態になっていく のは⋮⋮もはや一生逃れられない、私のデスティニーなのか。 281 ROUND57:野獣騎士の恋の成就︵中編︶ っっ、姫、ぁあ⋮⋮っ、とグランの目と吐息の温度がガンガン上が り。 首筋を舐め伝うその唇がどしどし激甘な甘言を連発し。 悦楽でびしょぬれの卑猥な濡れ声で切々と囁かれ、脳内までじっと りと舐め尽くされる。 ﹁っく、ぁあ、ひめ⋮⋮⋮⋮もっともっともっと⋮⋮貴方が欲しい ︱︱︱︱﹂ もっと×3、だとォ⋮⋮?!こ、これ以上どう与えろとーー?! ﹁ッあっ⋮⋮!んっ、全部お前に、っ⋮⋮ああ!やっている、だろ う、今!﹂ ﹁まだ、足り、ませ⋮⋮⋮⋮もっと、もっともっと⋮⋮貴方が、欲 しい、の、です﹂ っっええええーー?!?!たった今、これ以上ないほどに濃密イチ ャラブしてるというのに、更にもっと×3、だとォ⋮⋮?!読者様 の吐き出す砂もそろそろストックが尽きてくる頃だぞ! 282 ちなみにそれはもっと×3私からも愛が欲しいという意味か?!う う、なんという恥ずかしい事を求めてくるんだ、やっぱりお前は鬼 か?!悪魔なのか?!恋愛ビギナーをどんだけ身悶えさせれば気が 済むんだ?! っく⋮⋮!!もっとと言われても、これ以上どう捻りだせば⋮⋮! ?ぅう、やっぱり、アレ、か?! 実はROUND6で思い切りしているのだが、あれは単なる作戦と いうか謀略というか、ムニャムニャ、する前からあわわわーー!! と叫びたいくらい恥ずかしいが、やると決めたらトコトンやる!そ れが私だ!いっけええ!! 私はグランの首にしがみつくと、決死の覚悟で唇を押し付けた。 柔らかくて暖かくて心地よくて、ゆっくり自然に目を閉じる。 私からも唇を食んでみるとグランの唇が大きく震え、ひ、め、と声 にならない掠れた響きが漏れた。 目を開くと、グランの目が驚愕で見開かれ、ボッ!と火がつきそう なくらい顔が紅潮し、太い首筋まで真っ赤に染まるのが見えた。 そして、っ⋮⋮あぁ⋮⋮ひ、⋮⋮め⋮⋮ッッ!!と歓喜の唸りをあ げ、震える両腕で私の身体をきつくきつく抱き締めてきた。 283 しがみつくように抱き寄せる逞しい腕にキュンキュンしてしまう。 ぅう、どうしよう、これ以上キュンキュンしてたらキュン死にしそ うだ⋮⋮! ﹁あぁ⋮⋮ひ、め、⋮⋮⋮⋮っく、ぁあ、嬉、しい、で、す︱︱!﹂ 荒い息を吐く唇に唐突に胸にかぶりつかれ、肌を蠢く漆黒の髪にそ っと触れると、淫らに濡れきった唇でまた唇を塞がれた。 熱すぎる口付けがグランの強烈な想いを容赦無く私の身体に流し込 んで来て、意識が根こそぎ奪われる。 ギッ、ギッ⋮⋮!とじっくりと重く穿たれて、余りの快楽に中がジ ンジン痺れて全身総毛立つ。 ﹁ッ、あぁ、ひ、め、なか、が、⋮⋮ッく!!ぁあ、堪らな、ッ﹂ ﹁ッぅあ!ぁ、ぁあん!っ、くぁ、あぁあ⋮⋮っっ!﹂ そうか、すごく気持ち良さそうだ、良かった。正直すぎるな、私の 身体は⋮⋮!性格と清々しく真逆だ! それにしても⋮⋮ぅ、ぁ、ぁああぁ⋮⋮!う、なん、か、この大っ きくて硬いのに思い切り抉られるのが、堪らなくなって、きた! 284 ググッと強引に広げられて、グチュン!って押し込まれる感じが、 ぁあ、は⋮⋮ン、んッ!なんか物凄く、気持ち⋮⋮良すぎて、ッあ、 ぁあ⋮⋮⋮⋮!! これはもしかして⋮⋮ついに肉食獣樣、ご降臨か⋮⋮⋮⋮?! う、嘘だ!私は草食生まれの草食育ちだ!生粋の草食系だ!!決し て肉食なんかじゃない!なのに、なのに⋮⋮!! 熱い剛直に埋め込まれる度に走る熱い電撃に脳が焼き切れ、もっと メチャクチャに沈めて欲しいと思ってしまう。こ、こんなんじゃ一 国の姫として示しがつかん!絶望的だ⋮⋮! ﹁っあ!グラン、も、これ以上は、ダメだ!!っひン!ア、や、や め、はァん⋮⋮!!﹂ ﹁な、ぜですか、ぁあひめ、お願いです、もっと、貴方が、欲し﹂ ﹁ダ、ダメだっ!お前がいやらし∼事ばっかりしてくるから、気持 ち良すぎて、ぅう!﹂ 絶望に慄く私とは真逆にグランがガッキーーン!!と彫刻のように 固まった。 トンカチで叩いたら簡単に粉砕できそうな実に美味しい固まり具合 だが⋮⋮私はそれどころではない! 285 ﹁ッ⋮⋮!!ひ、め︱︱︱︱今、気持ち、いい⋮⋮と︱︱︱︱?﹂ ﹁ッ、だってお前が!っう、ぁあっ、ぁあああん⋮⋮⋮⋮!﹂ こんなハズじゃなかった、こんな淫らなエロエロ姫なんかじゃ⋮⋮ !!一体どこで間違った? ていうか絶対グランのせいだ!いつも濃ゆ∼くエロエロしてくるか ら私までエロエロにならざるを得なくーー!! 絶望の余り泣き叫んでいると、そんな私と全く対照的に、グランの 目が、世界最強の肉食獣のそれに、なった。 同時に、中のそれも、それに、なった。 ⋮⋮⋮⋮っっぎゃああああーーー!! 286 ROUND58:野獣騎士の恋の成就︵後編︶ ﹁ッひ、め、⋮⋮!あ、貴方が、愛、しくて⋮⋮ぁあ、身体が、爆 発、してしまい、そう、だ﹂ んっっにゃぁああーー!ダメ。ゼッタイ。こんなの、爆発、ダメー ー!! ﹁ぁあ、それに⋮⋮っく、なか、が⋮⋮姫の中が、淫らに⋮⋮私を、 苦しめて⋮⋮、ッ﹂ んっっにゃぁああーー!言うなぁそんな事⋮⋮! そもそも苦しめてるのはお前だ!いったいどこまで膨張させるつも りだ?!まさかまだ成長ホルモンでも出てるんじゃないだろうな?! ﹁ひめ、ああ、私に吸い付いて、離れな︱︱﹂ もういい、もういいからーー!読者様の前で私の醜態を懇懇と説明 すんな! くっそー!正直すぎる自分の身体が恨めしい! 287 ついに私はブチ切れた!メッチャ涙目で! ﹁ヘンな事言うな!お前がこういう事ばっかりしてくるから、私の 身体がおかしく⋮⋮ッ﹂ ﹁っおか、しくなど、っく、ぁ、堪らな︱︱ぁあ、ずっと⋮⋮貴方 を、抱いて、いたい﹂ 熱い吐息ごと顔中に唇を押し付けられ、身体を何度もガッツンガッ ツン押し付けられた。 ぅ、ぁ、ぁああぁ⋮⋮⋮⋮⋮⋮!! 濡れた中をギチギチのめり込んでくるその巨大な肉塊にガクガク慄 く。 ただ無心に私を欲して打ちつけてくるその動きに、全力で逃げたく なる熱い衝動が体内でドンドン湧き上がる。 唐突になにかが爆発しそうになって、分厚い胸板にすがりつくよう に置いた手を情けなくブルブル震わして叫んだ。 ﹁うぁ⋮⋮⋮⋮!!ヤだダメ⋮⋮ッ、グラ、ン、あ、も、う、あァ !イ、いッ⋮⋮あ!あァあ!﹂ ﹁ひ、⋮⋮⋮⋮め、っ⋮⋮ぁ⋮⋮!も、私、も、あぁ⋮⋮あ、⋮⋮ 288 ⋮⋮ッッ!!﹂ ︱︱︱︱ぇ⋮⋮っっぎゃ!あ、ぁあああーーーー!! 突然両膝をガバッと割り開かれ、灼熱の棒がメチャクチャに突き入 れられた。 ギッギ!ギッギ!と寝台が断末魔の悲鳴をあげ、結合部からぐっち ゃぐっちゃ涎を垂らして逞しいものを呑み込む卑猥な音が鳴り響き、 内腿に骨太な腰骨が何度もゴツゴツぶち当たる。 口の中を肉厚の舌でぐちゃぐちゃに掻き回され、んぶッ!ガボッと ヘンな呻きが出るほどにしゃぶられて吸い上げられる。 ﹁あ、あ⋮⋮⋮⋮ッひ、め、貴方の奥に、っく、は⋮⋮っ、出して も、い、いですか﹂ ぐっ⋮⋮はぁああーー!! えるみあ は 10000ポイント の ダメージ を うけた ! だ、だから!そ ん な 事、い ち い ち 聞 い て く る な あ あーー!! くっそーー!悶え死ぬ⋮⋮!死因・らぶえっちのしすぎ、だ! 289 どんだけ私を悶えさせれば気がすむんだこの男は?!もーいい、開 き直ってやる⋮⋮!! ﹁出、せ⋮⋮!っあ、も⋮⋮ッ!早、く⋮⋮っぁあ⋮⋮!﹂ ﹁⋮⋮ッッ、ああ、ひめ、あああッ!!﹂ とんでもない衝撃が何かのレベルをグングン押し上げていき、唐突 にバツンと弾け飛ぶ。 グランも悲鳴のような唸りをあげ、熱く膨らませた塊をドン!と大 爆発させた。 埋め込まれている場所がガッと温度を上げたままとんでもなく大き く波打ち、それに連動して全身が痙攣する。 腰とお尻の間にじわ∼っと熱いものが滲むような感覚にふああ⋮⋮ と熱いため息が漏れてしまう。 身体をべっとりと絡ませたまま、全身で呼吸した。脳内は真っ白で 余計な事は一切考えられない。全て綺麗サッパリ押し流されてしま った。 きつく抱き締められたまま呆けていると、グランが息を乱したまま 苦しげに呻いた。 290 ﹁ぁあ、ひ、め、ひめ⋮⋮っく、ま⋮⋮だ、ああ、っ⋮⋮!﹂ ︱︱︱︱ぇ。えええええーー?! ちょ、待て!終わったんじゃ、なかったのか?記念すべき初のらぶ えっちは、たった今、華麗なるグランドフィナーレを迎えたんじゃ なかったのか?! ⋮⋮⋮⋮なにぃいいい?!まだカーテンコールが残っている、だと おおおーーーー?! 思いッ切り油断していた下半身に再度熱い衝撃が走ってビックリ仰 天した!思わず史上最高レベルの情けない悲鳴をあげてしまう。 ﹁あ、ふぁっ⋮⋮ぁ!ちょ⋮⋮っあ、ら、め、あっ、ああぁあーー !!﹂ 熱いものをたっぷりと吐き出されたばかりの場所の更に奥深くに押 しこむようにズンズンと抜き挿しされ、くったりした身体が容赦な くガシガシ揺さぶられた。 グチ⋮⋮ィッ!グップ⋮⋮ゥッ!と恐ろしいネチャ音が響いてきて 脳もビックリだ! 291 ﹁ぁあ、ひめ⋮⋮⋮⋮っ、ま、だ、足りなッ⋮⋮⋮⋮﹂ ﹁ッひ、くっ、ぁ、あ、あぁんあん!!﹂ ぐちゃぐちゃの内部を熱く乱雑に出入りされ、激しい快感の火花が 早くも炸裂した。 激しく腰を振るグランが恐ろしく激しい甘い責め苦を与え続けてく る。 ﹁く、ぁ、ぁあひめ、ひ、め、ぁっ、あ︱︱!!﹂ ﹁っく、ぁああっ!んッ、んンーーーーッ!!﹂ グチャァッ!グボォッ!と何度も再奥にゴツンゴツンぶつけられる。 抱えられた腰がほぼ宙に浮いたまま、延々とグサグサ突き刺され、 下腹が熱く悶えてどうしようもなくなってきた⋮⋮! ﹁ふ、あああ!!あ、グラ、!⋮⋮ふあ!ぁあ、あああ!﹂ ﹁ッッ、ひ、め、また出、っ、ぁ、ひ、め︱︱︱︱!!﹂ 最後はグッチュウ⋮⋮!と一番奥にグッサリと埋め込まれ、またし てもドプッ⋮⋮ドプン!と濃厚な子種がたっぷりと注がれた。 292 断続的に奥にビュル、ビュ!と注がれる熱い衝撃に、子供のように ひっくひっくしゃくりあげてしまう。 すでに飽和状態の場所に更に注ぎ込まれる熱い液に、子宮がぐぶ⋮ ⋮っと圧迫され、膝がフルフルした。 歓喜に満たされまくった熱い眼差しを痛いほどに感じるが、目がぼ やけてよく見えない。んああーー!電池残量極小、大ピンチ⋮⋮! 風船がシュルシュルと萎むように全身から力が抜けていく。も⋮⋮ ⋮⋮気絶寸前、だ⋮⋮! 藁をも掴む思いで手を伸ばすと、すぐに大きな熱い手にむぎゅ、と 包まれ。 そのまま硬い腕に力強く背を掬われ。 逞しい肉体にギュギューーッと引き寄せられ。 無性に安心して、へにゃ、と力が抜けた。 じっとり汗ばむ肌と肌が吸い付くように重なって、そのぬくみで睡 魔が強烈に襲い掛かってくる。 293 もうこの際、湿ったカチカチ布団でもいいや、とぶっとい腕を枕に 3秒もたずにスゥ⋮⋮ッと心地良い眠りについたのだった。 294 ROUND59:野獣騎士の幸福すぎる朝 バチッと目が覚めると、グランの顔が目の前にあってドキッとした。 カッチコチのぶっとい腕で上半身をガッチリ抱き込まれている。 うあああなんかもう⋮⋮⋮⋮恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい! とりあえず全裸で濃厚ハグのこの状態をなんとかしたい。だが動け ないし、動こうとすればするほど硬く熱い感触が肌にこすれて、朝 から頭が大噴火しそうだ! こういうのは結婚すれば慣れてくるものなのか?とにかくとりあえ ず今の段階では無理そうだ! 部屋が仄かに明るい。もう朝が近いのか。 昨夜は尋問されたり求婚されたり怒涛のごとくラブラブしたりと、 実に盛りだくさんな夜だった。そして全ヤツを受け止める、バッチ コーイ!とカッコ良く宣言しといてちゃっかり先に寝落ちしてしま ったのだった。だがよく寝た! 目の前のグランの顔を見つめた。眼光鋭い瞳を閉じているといたっ て普通の男に見える。 婚約した途端、怒涛の勢いで私の心と身体を掻っ攫っていった男。 295 とりあえず、物凄∼く押しが強い男だという事はよ∼く分かった。 私も気が強い方だと思っていたが、更に上行く強固な意志の持ち主 だ。こうと決めたら何十年何百年かかろうが国が滅びようが世界が 滅亡しようが必ず成し遂げそうな末恐ろしさまで感じる。 そう、私は負けた、完膚無きまでに押し負けた! 普通の男相手ならここまで怒涛のごとく押し流されたりしなかった。 やっぱりヤツは人外だ! それにしても⋮⋮眠っている人間は無防備だ。なんか無性にいたず らしたくなってくる。 このカチンコチンの硬い身体はくすぐったらどう反応するのだろう か。気になる、非常∼に気になる。予想では﹁反応しない﹂だ。こ んなに分厚いから、きっとくすぐったくないとみた! 羽交い絞めにされてはいるが、じりじり動かした片手で胸板のあた りをこしょこしょしてみた。⋮⋮さて反応は︱︱っっのっっわああ ああああーー!! 突然ギュギュゥ∼∼ッ!と厚い胸板に引き寄せられた。 ビビビビックリした!っっく、あ、朝からホント、心臓に悪いわー ー! ﹁っ、ひ︱︱め﹂ 296 ﹁お、おはよう、グラ、んんッ⋮⋮!﹂ むに、と唇が重なってきて、大きなぬくい手で頬やら肩やら背中や ら撫でまくられた。 ﹁ひめ⋮⋮ひ、め⋮⋮﹂ まだ寝ぼけているのだろうか、全身で擦り寄ってきて唇を何度も押 し付けてくる。 私からもそっと唇を合わせ、硬い背に腕を回してぎゅ、と抱きつい た。 するとひ、め⋮⋮ぁあ⋮⋮っと切ない呟きとともに何度も何度も口 付けされ、唇から強烈な想いがドッと流れ込んできた。 幸せで、泣きそうで、切なくて、どうしようもなくて、熱くて、欲 しくて⋮⋮って、いったいどんだけの想いが詰まってるんだ?!ぅ う、溺れるぅーー!私は泳げないって言ってるだろうーー! 唇がジンジン痺れるほどに重ねられた後、少しだけ離され、ぷは、 と大きく喘いだ。そのまま歓喜に潤んだ漆黒の瞳で、大変長々と穴 の開くほど見つめられた。 ところで⋮⋮⋮⋮未来の夫に聞いてみたいことがマダマダあるのだ 297 が⋮⋮聞いてみてもいいだろうか? 別にたいした事じゃない、結婚を誓い合った男女なら普通に話し合 う事だ。 私はじっとグランを見つめ返し、聞いてみた。 ﹁グラン。お前、子供は男か女、どっちがいい?﹂ ﹁!!ッッ︱︱︱︱︱︱!?!?﹂ 私を抱き締めつつうっとりと目を細めていたグランが突如、目をギ ンッギンに見開いて絶句した。 ⋮⋮⋮⋮なんで、そこまで驚く必要が?まあいい、とりあえず私の 意見を言ってみようと思う。 ﹁あ∼コホン、私はまずは男がいい。一応跡継ぎが必要だしな。お 前との子ならきっと逞しく強い子が産まれるだろう、楽しみだ!﹂ そうだ、きっと産声が城中響き渡るような元気な子が生まれるだろ う!大きい赤子だろうから妊娠中は大きいお腹を抱えてはふはふし そうだ。やはりグラン号は必要不可欠だ! 298 そう思ってグランを見ると、なぜかプルプルプルプル震えていた。 なぜ、震えて?⋮⋮ハッ!もしやグランは是が非でも女の子が欲し いのか︱︱?!勿論女の子も産んでやるからちょっと待て! ﹁勿論、女の子も産む!女の子がいないと花が無いしな。どういう 順序がいい?そうだ、男男女でどうだ?実は、既婚の侍女達が産み 分けの方法を話していたのを小耳に挟んだことがあ﹂ 話途中で突然、ガッッバアアーー!!とムチャクチャ羽交い絞めに された。 コ、コラァァーー!これからが肝心肝要なトコロなのに⋮⋮!! 299 ROUND60:野獣騎士的家族計画 ﹁姫、姫⋮⋮!!ぁあ、沢、山⋮⋮⋮⋮沢山沢山、欲しい、で、す ⋮⋮!!﹂ ち、違ッ⋮⋮!!お前が子沢山スキーなのはとっくに知っとるわ! だが犬猫じゃないんだから、そんなにドンドコ産めるか!適度に産 む! そういう事を聞いているんじゃない、結婚を誓い合ったカップルが 真っ先にすることといえば、明るい家族計画を練る事じゃないのか? 子供は何人くらい欲しいか、男女をどういう順序で産むべきか、共 にファミリープランを語り合い、愛をよりいっそう深めていくのが 夫婦となる私達に必要不可欠なんじゃないのか?! ﹁違ッ、聞け、グラン!これは私達夫婦だけでなく、国の未来をも 左右する重大な事だ!﹂ ﹁っ、ぁあ⋮⋮も、う、限⋮⋮⋮⋮界、です﹂ ﹁は?﹂ なんか、超熱烈にじいいいいーーっっと見つめられているのだが⋮ ⋮コワイぞ、目が!ブルルン!と背中が震えた。ゾックゾク、する 300 ぅーー!! グランが呻いて切なく喘いで無言で唇を噛み締め、荒ぶった息を押 し殺すように必死に深呼吸して、言った。 ﹁ぁあ、ひ、め⋮⋮わ、私を⋮⋮キライと、そう言って、くだ、さ、 い﹂ ﹁はあああ?﹂ ﹁大嫌い、と⋮⋮そう、言ってくださ︱︱ッ!で、ないと、私、は ⋮⋮︱︱ッ!!﹂ ガタガタブルブル震えながら、切羽詰まった眼差しで懇願された。 え、えええええ!?どういう事だ?私はもうツンデレは卒業した! そんな事は断じて言わない! なんなんだいったい。これは罠なのか?なにかの暗号か?サッパリ 解読不能だ!! それに前に大嫌いと言ったら世界滅亡しそうになったじゃないか! ﹁ヤンデレに ツンデレするな 地獄逝き﹂はもはや私の座右の銘 だ! それに⋮⋮好きじゃなきゃ求婚にOKするわけ無いだろう! 301 って、うっわああーー!!顔が熱いぃい!こ、これ以上私をデレさ せるな、バカ者がーー!! ﹁キライじゃない!好き、だ⋮⋮ッ!﹂ 途端、ドッッゴーーーーン!!と火山が噴火したような衝撃波をく らった。 だ、大地が驚きに満ちている⋮⋮!?カ、タタカタタタタッ!とテ ーブルの上のものが揺れている! グラン的人為災害のひとつ、ポルターガイスト、キターー?!?! あわわわわ、なんだかよく分からんが早くフォローしろォーー!! ﹁さ、さっきのは、違⋮⋮ッ、ほんのちょっと、ほんのすこし、好 きなだけだからーー!!﹂ ってああああーー!ついにツンデレ属性、カムバックしたああああ ーー!! 並み居る読者様の前で﹁私エルミアは、GTD︵元祖ツンデレ︶を 卒業します!﹂と高らかに宣言したばかりなのに!うぅほんのすこ しって⋮⋮我ながらバリバリツンデレ臭がプンプンしまくっとるわ ーー! 302 久々に炸裂したGTDに激悶えていると⋮⋮⋮⋮おや?グランの様 子が⋮⋮⋮⋮? っっっうわあああああ!!なっっっにいいいいいーー?!?! あの全グランが、超合金合体して、スペシャルエディションにチェ ンジしただとおおお?!?! 愛と勇気と平和を胸に、今、野獣戦士がすっくと立ち上がったアー ー!! っておい!なんか間違えてるぞ激しく!いったいこれはなんの小説 だ?!どっかのヒーローものじゃないんだぞ! だがもしそれならグランはレッドかブラックか悩むところだ!ちな みに私はピンクは勘弁、シルバーでいい。シルバーといえばゲスト 的立ち位置だ、メインじゃないから気楽でいい。 ところで必殺技はなんだ?え?合体技がメイン、だと⋮⋮?スーパ ーバズーカー砲とツンデレサンダービームが合体して戦うんですか ?何と?いったい何と戦えとーー?! ﹁ひ、め⋮⋮⋮⋮!!嬉しい、です⋮⋮⋮⋮!!!﹂ ﹁ッ、んんん!!っむ⋮⋮︱︱ッッ!!!﹂ 303 歓喜に大きく震えたグランが私の腰をガッと掴み、唇を強く押し付 け、腰をグッと割りこませ、ズブブブ⋮⋮ッ!!と元気に起床した もので一気に貫いた。 んむ、く、うぅうう⋮⋮ッ!そ、挿入時の悲鳴くらい、きちんとあ げさせろ! 大変びしょびしょなので、実にスムースインだ! ⋮⋮⋮⋮っておおおおい!!まだするんかーーい!! 304 ROUND61:野獣騎士の最終決戦︵前編︶ 野獣戦士スペシャルエディションは、更に熱き戦いを挑んできた! 繋がったまま体を抱き起こされ、抱っこで羽交い絞めバージョン、 キターー!!う、ああ!!こ、このフォーメーションは⋮⋮!! こ、れはもしや⋮⋮ただでさえアンビリバボーなものをディープに 咥え込んでしまう末恐ろしいポジションでは?!っんんああーー! !やっぱり奥まで、ズップン!!ってキタァーー!!ッああ!!身 体が、熱ッ⋮⋮!! ううッ⋮⋮この体勢はヤダ!苦手だ! 恐ろしいくらい深くぶっ刺さってくるし、上を向けば即唇が塞がれ て苦しいし、下を向けば卑猥に揺れる自分の胸と無茶苦茶滾ったゴ ッツイものが下腹にのめり込んでるのが丸見えだ!そもそも抱っこ されて揺さぶられるこの体勢自体、恥ずかしすぎる! ヘブン あぁ⋮⋮﹁ヤンデレに ツンデレするな 地獄逝き﹂は実にいい標 語だった。だが﹁ヤンデレに デレデレするな 極楽逝き﹂もどう やら追加しなければならないようだ。 グランが息を荒げグチュン!ぐち⋮⋮ッと強弱をつけて突き上げて きた。不意打ちのようなきつい責めに頭が吹っ飛びそうになる。 305 く、は⋮⋮!死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ!!まだ朝だぞ!身体がビックリす るだろう!ぅう、もっと優しくしろぉおーー!! ﹁ん、ぁはァッ!!グラ、んん!!ぁ!もっ、と、やッ︱︱あァん !!あン!あァああーー!﹂ ﹁ぁあ、ひめ、もっと、です、か⋮⋮ッ!ああ!くっ⋮⋮ぁあ、堪 らない⋮⋮⋮⋮ッ!!﹂ ぅあああーー!!違うぅーー!!﹁もっと﹂の意味が全ッ然違う! !! グランが噛み締めた奥歯からも熱い吐息を漏らしている。 震える手が素肌を縦横無尽に撫でまくり、ガッチガチの剛直がぬめ ぬめと高速で行き来して肌が激粟立つ。 っぁ、そこ、イ⋮⋮ッ!じゃなくて、ぁあ⋮⋮ダメ、だ⋮⋮!! これは、マズい!良すぎてマズい!なんつーカオス! なんか、ふにゃふにゃくらくらしてきた!んあああーー!んんんん ーー⋮⋮!! ﹁っグラン、だ、め、あ、ん、んん!ぁ!きもち、いッ⋮⋮っああ !!﹂ 306 ﹁︱︱︱︱ッ!!あ、ひ、め、⋮⋮ッッ!!﹂ 突然、大きく開いた口の中に灼熱の塊がずぶうっと押し込まれた。 喉奥まで深く入り込んだ肉厚なもので内側をぶちゅぶちゅとしゃぶ られてビクンビクンと身体が跳ねる。 喉を開いて必死にそれを吸うと、チュブッはぶっ⋮⋮と大変淫らな 音が鳴り響く。 息荒く唸りながらしゃぶられ、グランの興奮が物凄く伝わってくる。 てか私の両尻をガッツリ掴んで、自分のナニの上で躍らせるのはや めろォ⋮⋮!! 体内に燃え盛る炎を制御できず、捌け口を求めてグランの太い首に ガブリと噛み付くと、グランの身体と例の部分がガッキィィーーン !!と超合金のようにトランスフォームした。冗談抜きで。 っっふっっぎゃーー!!自爆!自爆!大自爆!! ガツン!と腰を引き寄せられ、背が仰け反り、腰が下がり、大変奥 深∼くまで咥え込み、モロ自爆した。 ﹁ッッひめ!!ひめ⋮⋮!!ぁあ⋮⋮姫︱︱︱︱!!﹂ ﹁ぁ、ッッ⋮⋮!!あああーーっ!!﹂ 307 大歓喜の余りグランが激走モードに突入した。朝から。朝なのに! 強くしがみついた事で大きく大きく揺さぶられ、ズブズブズブ!と 超高速でギンギンなものを出し入れされた。 奥がドロドロに熱くうねっているのが分かる。っく⋮⋮!恐ろしい 突き上げに腰が激しくバウンドしてますが、なにか?! ﹁っあ、ひ、め、ぁあ⋮⋮っは、あ!⋮⋮っく、﹂ ﹁ひぃ⋮⋮ん!ひ⋮⋮っ、ぁ⋮⋮ぅ、っは、⋮⋮ぅうッッ!!﹂ もう抗う気力が尽きてきた。 ダランと弛緩した体内をガッチガチの肉棒が縦横無尽に行き来して いく。 内部の襞がグチャングッチャンに擦られ、ブルブルとこみ上げる快 感に全身が震え始めた。 ﹁ふ、ぁ⋮⋮ああっ!グラ、も、ら、め、ひっ、あひッ⋮⋮ぁひん !あ!﹂ うあああああ!!とうとう言語障害がーーーー!! 308 どうした私ィーー?!もしかして朝の方が感じやすいのか?そうい えば挿れられただけでビックン!ってしてたし! それともこうやって抱っこされてグチャグチャされるのが鬼門なの か?!そうなのか?! ッッ⋮⋮とりあえずもう喋るな!これ以上喋れば醜い醜態をさらす だけだ⋮⋮! だが、ドS人類代表ともいえる未来の夫は、汗だくの色気駄々漏れ の吐息を漏らしつつ、更に追い打ちをかけてきた。 ﹁あぁ、ひめ、っ、く、あ、私の、子を⋮⋮沢山、沢山、産んで、 くださ、︱︱ッ!﹂ ﹁⋮⋮ぅく!⋮⋮ん、んンッッ⋮⋮!!っ、︱︱!﹂ やけに沢山を連発されたがここはスルーだ!今喋れば危険なアヘ語 しか出てこないのは目に見えている! が、私の対面で恍惚として腰を振っているドSな野獣は執拗に食い 下がってきた。 私の両膝をグアッと抱え上げると、ズボォッ⋮⋮!!と己の剛直を 絶望のドン底まで押し込み、明確な私の返答を求めてきた。 309 っっああああああーー!!この変態!ドS!鬼畜!野獣!野獣⋮⋮ !! 310 ROUND62:野獣騎士の最終決戦︵後編︶ んっっぎゃああーー!!なんつー恐ろしい格好させるんだ!?あり えない、ありえない、史上最凶にありえないからーー!! ぐぎゃああヤダヤダ!!と大絶叫したが、まるで聞こえてないかの ように抱え上げられた下半身をメチャクチャズンズン突き上げられ た。大変卑猥な格好で。 込み上げてくる何かに耐えるように唐突に動きを止められたりもし た。物凄く卑猥な格好のままで。 ああ⋮⋮もはや内心絶叫も枯れ果ててきた⋮⋮! そして結果だけ報告すると、史上最強の雄に私は屈服した。 だってしょうがない、体格差的にも根本から勝ち目は無いのだ。 身悶え絶好調で世にも情けない声をあげまくって答えたのだった。 ﹁あひんッ!あ、産む、から⋮⋮!!だか、ら、も、ぅあっ、ぁあ ああッッ⋮⋮!!﹂ ﹁ぁあ、ひめ、ひ、め⋮⋮!!く、全て、飲み干してくださ、⋮⋮ ⋮⋮っぁっく、⋮⋮⋮⋮っっ!!﹂ 311 無理無理!一気飲みは無理!!てか昨晩から何回目だ?!溢れる、 絶対溢れるからーー! ﹁んぅっ、んッ、んッぅう⋮⋮!ぁ、⋮⋮っああああ!!!﹂ ﹁く、ぁあ⋮⋮⋮⋮ッ、は⋮⋮︱︱︱︱ッッ!!﹂ ﹁はぁああぁん⋮⋮︱︱っ!!﹂ 痛いほどにガッツリ押し上げられ、中で子種が大量にドボドボ吹き 出した。下腹から甘く痺れる衝動が全身を走る。 くっそーーーー!!身体はメッチャ悦んでますが、それがなにか? !私の中でビクンビクンと跳ねまわるグランが愛しく思えてしまう のも心底悔しい。 ああ⋮⋮もう奥がタプタプで、すでに腹の中でグランの子が10人 くらい大運動会しているような気がする⋮⋮! 大きく破裂してもなおドクンドクンと脈動を続けていた中のものが 徐々に鎮まって、グランが大きく息を吐き私の背と腰を撫でさすっ た。 上気した汗ばむ肌と乾いた忙しない吐息。未だ小刻みに震える身体 が徐々に弛緩していく。 312 精悍な顎から汗が滴り落ち、ぼうっっと烟る眼差しで熱く熱く見つ められる。 中がとろけて熱く滲んで感覚が無い。 昨夜から巨根を挿れられっぱなしの為、ようやくココもグランの形 に慣れてきたのかもしれない。 これが、愛の力なのか。偉大だな!私の身体の並外れた適応力も捨 てたもんじゃないな⋮⋮! と自画自賛していると、腰がぐ、と抱え上げられ、ズ、ボボボッッ !!と巨根が引きぬかれた。う、あ、あぁあぁあーー!! ゴリゴリと内部の秘肉が引きずり出されるような感触に、ちょっと 涙目に⋮⋮!しかも全部出て行く時、びちゃっっ!っとありえない 量の熱い液体が⋮⋮!! ッッく、誰だ、愛の力なんて言ったヤツは!!ものっそ違和感あり まくりだ!ギチギチミッチミチだ!! なんだろう⋮⋮ラブラブになってもヤツの激しい暴走は全くもって 変わらないということがよ∼∼く分かった。 ⋮⋮⋮⋮⋮⋮がんばれ、私。 313 FINALROUND:野獣騎士との結婚 二度寝から目覚めると、なんだか城内が騒がしいのに気づいた。 使用人達が必死の形相で駆けずり回っているのだが⋮⋮一体なんな んだ? 何かこの時期、大きなイベントでもあったか? 身体中がギッシギシなのを堪え、私は起き上がった。 こ、腰にきた⋮⋮!ぅう、全ヤツを受け止めるのは、毎回命懸け作 業だな⋮⋮! グランと結婚したら、ほぼ毎日この状態が延々と続くのか? ⋮⋮やっぱり、ヤツとの結婚は死亡フラグだったんじゃ︱︱いや、 考えるな、私!愛の奇跡を信じるんだ! グランはどうしても済ませなければいけない用事があるとかで、早 朝から出て行った。戦後の事後処理でも残っているのだろうか? しかし⋮⋮ヤツは連日ほとんど寝ていないような気がする。我が未 来の夫は体力も人外だ。 314 ケイナがやってきて、私の身支度を始めた。 ⋮⋮⋮⋮その前に、朝から湯浴みをする羽目になった。 あぁ⋮⋮今日という日も羞恥プレイで始まるのか。 城内が慌ただしい件についてケイナに聞くと、ま、まぁそうですか ?あら、一体どうしたのでしょうね、ほほほほ!と、どう見ても嘘 くさい対応で誤魔化してきた。 一体なんなんだ? それに⋮⋮今私が着せられている、この仰々しい装束はなんだ? 簡素ではあるが全身純白の、まるで婚礼衣装のような⋮⋮。 ﹁姫、﹂ 背後から聞こえたグランの声に振り向くと⋮⋮そこにグランは居な かった。 当然だ、ヤツは重要かつ緊急な案件があるとか言って、早朝から出 て行ったはずだ。 改めて目の前の人物を見る。 315 全身純白の上等な礼服に身を包んだ長身に、キッチリ整えられた黒 髪と漆黒の瞳のイケメンが、いた。 そのいかにも腕が立ちそうな頑強な体躯の持ち主は、まるで眩しく 輝く太陽を見るように、歓喜に打ち震えながらその漆黒の瞳を細め、 私を狂おしく見つめていた。 しばらくお互いにまじまじと見つめ合う。 その瞳の奥底に私に対する激しく渦巻く熱狂的な劣情を見つけ、よ うやく目の前にいるのがグラン本人だと分かる。 ﹁⋮⋮グ、ラン⋮⋮?﹂ ﹁はい。⋮⋮ひ、め。あぁ、綺麗、です、とても⋮⋮⋮⋮姫、﹂ ﹁どうしたんだ?なんで、そんな格好をしてる?﹂ ﹁この度、賊壊滅及びシドニア陥落の功績により、王に嘆願して姫 との婚姻を大幅に早めて頂きました。本日、正式な婚姻の儀を行い ます。日程の都合上、国民への披露目の式典は一月後となってしま いますが、あぁ⋮⋮ともかく、今日から⋮⋮私達は夫婦、です﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮ほ?﹂ ﹁貴方の心も、身体も、全て、私のものになるという貴方の誓いを ⋮⋮これから神殿の祭司の前でも、もう一度、聞く事が、できるの ですね﹂ 316 ﹁え、さ、祭司?﹂ ﹁さぁ、神殿に参りましょう、姫⋮⋮!王と祭司が、私達の婚姻を、 祝福してくれるでしょう﹂ ⋮⋮⋮⋮状況が、よく飲み込めないのだが⋮⋮⋮⋮?? このかつて見た事もないキラキラ笑顔ではにかみつつ、かつて聞い た事もないほどに流暢に語りかけてくるキリッと凛々しいイケメン と、いつものグランがイマイチ上手く咬み合わない。 そして途中かなり早口で良く聞き取れなかったのだが、なんとか最 後は聞き取れた。 今日から、私達は、ふーふだと。 ふーふ、フーフ、ふうふ⋮⋮⋮⋮夫婦、だとぉおおお⋮⋮⋮⋮?! たたた確かに祭司のもと互いに誓えば正式な夫婦となるが、え?な んで今日?そんな事、全くこれっぽっちも聞いて無いぞ!! なんなんだ、この展開の早さは!婚約してからまだ数日しかたって いないのだが? 317 そもそも順番も堂々と激しく逆走し続け、初っ端から18禁的フラ イングしまくりだった。 ムチャクチャな急展開だ!早い早い早すぎる、電光石火の早業だ! てかおい父!私をエサに相当グランを扱き使いまくってないか?! 私は大物を釣り上げる為の釣り餌か?!ルアーか?! 類稀なる能力を持つ人材を万が一にも他国に奪われないよう、私を 生贄にガッツリ掌握しようとしてないか?! ⋮⋮⋮⋮結局、混乱しつつもグランの両腕にひょっと抱き上げられ、 そのまま神殿まで連行された。 神殿に着くと、厳粛な面持ちの祭司とめでたいめでたいと至極単純 にご満悦な父王がしっかり待ち構えていた。 そして婚姻の儀が厳かに始まり、結婚の宣誓をしたのだが、その内 容はとんでもない濃ゆ∼いものだった。 死が二人を分かつまで⋮⋮どころではなく、死後の世でも、生まれ 変わった来世でも、そのまた更に生まれ変わった来来世でも、この 世界に二人の魂がある限り、未来永劫永遠の愛を、まるで悪魔の大 王と契約するかのような重々しさで誓い合った。 318 そして、肝心の花嫁を差し置いて感極まって涙ぐむ新郎に固く固く 手を取られ、超濃厚な誓いの口づけを交わし、夫婦となったのであ った。 完 で、怒涛の展開で夫婦となった訳だが。 その夜、新たに設えられた夫婦の部屋の新床で、私の上に伸し掛か って我が夫が幸せそうに呟いた言葉は、今までを上回るとんでもな い爆弾発言だった。 ﹁あぁ、姫⋮⋮私の、姫。愛おしい、愛おしい、私の、妻。これか らは毎日、貴方の待つ部屋に帰り、毎晩毎朝、貴方を抱き締める事 が、できるのですね。あぁ⋮⋮幸福すぎて、死んで、しまいそうで す。ひ、め⋮⋮一生、死んでも、何度生まれ変わっても、永遠に、 永久に、貴方を離しません。どうか、早く⋮⋮私の子を、産んでく ださい⋮⋮まずは30人、ほど﹂ 319 ダダダダダースを余裕で超えてきたアアアーーーー!? てか⋮⋮ばばば倍以上だとォ⋮⋮?! たった今、全私と全読者様が今世紀最大級のドン引きをした!! 余りにドン引きしすぎてもはやこれ以上引くスペースなど微塵も残 っていないほどにドン引きした!! 30人てなんだ?人類最多出産のギネスでも更新するつもりか?! アホか!?やっぱりお前はアホなのか?!どっかの砂漠のハーレム 王にでもなるつもりか? 無理無理無理無理かなり無理!いくら愛の奇跡が舞い降りても全く フォロー不可能だ! 夫の末恐ろしいグランファミリー構想に、真夜中に私の内心大絶叫 が響き渡り、夫婦という新たなリングの上で、またしても熱き闘い のゴングが鳴り響いたのは、言うまでもない。 320 FINALROUND:野獣騎士との結婚︵後書き︶ 読了、ありがとうございました!これにて完結とさせて頂きます。 主人公二人と作者へのたくさんのご声援、ホントにありがとうござ いました!ご意見ご感想素敵なネタを投下してくださった方々をは じめ、最後まで読んでくださった皆様にこの場を借りてもう一度御 礼を。本当にありがとうございます! グランと姫のお話は、結婚後ももう少しこちらで続ける予定ですの で、よろしかったらもうしばらくお付き合いくださると嬉しいです。 番外編集にもこの二人の小話がイロイロありますので、そちらも合 わせてお楽しみくださいませ。 また、結婚後や番外編、IF編などネタがありましたら、はくしゅ コメントにてぜひお恵みを∼!頂いたご意見は、続編・追加話にて 全 力 で参考にさせて頂きます!ヽ︵^ω^︶ノ 321 ROUND EX.1:野獣騎士の好物︵前書き︶ 結婚後のオマケ話。 322 ROUND EX.1:野獣騎士の好物 ﹁そういえば姫⋮⋮ボルドーとはなにを⋮⋮話して、いたのですか ?﹂ ﹁え﹂ 新婚夫婦の閨で着々と寝る準備を整えていたら、唐突に夫にそう聞 かれた。 ボルドー?なんの話だ? ⋮⋮もしかして婚約直後、ボルドーにグランの弱点を聞き出そうと した時の事だろうか。 おいおい一体いつの話だ?てかまだ気にしていたのか、コイツは?! ﹁お前、ボルドーを締め上げて聞きだしたんじゃなかったのか?﹂ サイドに纏めあげていたピンを引き抜き、少し濡れた長い髪を後ろ に放る。髪がだいぶ長くなってしまった。そろそろ毛先を揃えたほ うがいいな。 そんな事を思いつつ寝台へ向かうと、グランが淡々とした低音で末 323 恐ろしい事を呟いた。 ﹁勿論締め上げました。ですが、吐く前に意識を失ってしまったの です﹂ おおおい︱︱!!確実にやりすぎだろ!どんだけぎゅうぎゅうに締 め上げたんだ?王国騎士団のトップのくせに、尋問ヘタクソだな! てか、一応自分の部下なんだから手加減してやれ! しかしボルドーのヤツ、なかなかいい逃げ技を持っている。さすが はグラン直属の部下、ヤツからの逃げ方をよ∼く知っている。 だが私の場合、気を失った所で無事逃げきれるどうかは大いに疑問 が残るところだ。 ﹁⋮⋮⋮⋮で、なにを、話していたのですか﹂ ぎぎぎくぅっ︱︱!! まさか本人を前にして、お前の弱点を調査していた、お前を撃退す る為にな!フハハハハ!!などと結婚後の今でも高らかに言えるは ずもない。 324 ﹁あー、ええと﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮﹂ ち、沈黙がこわわわわ!!早くなんとかせねば⋮⋮! あの悪夢の再現はもうゴメンだ!ヤツがヘンな方向に暴走する前に なにか素晴らしい言い訳はないのか!? ﹁っ、ボルドーに聞いていただけだ!その、お前の好物を!﹂ ﹁好、物﹂ ﹁そうだ、夫となるお前に贈ってやろうかと思っ︱︱んぅ!!﹂ 唐突に腰を抱き寄せられ、唇を塞がれて息が止まる。 ヤツの荒い息毎、唇に押し付けられ鼓動が跳ねた。 足先が軽く宙に浮き、心身ともにひやっとしたものが走る。 ﹁ぁあ、姫⋮⋮嬉しいです。ですが、もう⋮⋮すでに頂きました﹂ ﹁はいい?﹂ ﹁ボルドーから聞いたのでしょう、私の欲しいものは⋮⋮この世で 325 貴方しか、いない﹂ 重々しい愛の言葉とともに非常に情熱的な口付けが降って来た、が。 おおおい⋮⋮!仮にも一国の王女を食い物と同列に並べるな! てか好物=妻↓いただきます、なんて使いに使い古されたクソ寒い ギャグを真剣に平然とかましてくるな⋮⋮! 余りのクソ寒さにブルブル震えながら私は大激怒したが、走り出し たが最後止まらない暴走過剰なヤツは、当然そのまま私の上に圧し 掛かり、その場で行儀悪く食い散らかした事は言うまでも無い。 326 ROUND EX.2:野獣騎士の呼び方︵前書き︶ 結婚後のオマケ話その2。 327 ROUND EX.2:野獣騎士の呼び方 ﹁姫﹂ ﹁なんだ﹂ ﹁呼び方、ですが﹂ ﹁え?﹂ 我が夫は頬を微かに染め、潤んだ眼差しで私をじーーっと見つめて いる。まるで初恋に戸惑う少女のように。 ﹁以前姫が提案してくださった私の呼び方ですが、﹂ ﹁ああ、あれか﹂ ﹁ええ。あれからずっ⋮⋮と、考えていたのですが⋮⋮﹂ ずっ⋮⋮と考えてたんかい!! ﹁普段は今まで通りグランと⋮⋮そう呼んで、欲しいのです﹂ ﹁分かった。⋮⋮⋮⋮え?﹂ 328 普段は? ﹁皆の前では﹃我が夫﹄と、そして閨では﹃あなた﹄と⋮⋮そう、 呼んで欲しい、のです﹂ 目の前で筋肉の塊がもじもじしている。 それはともかく、まさかの3パターン使い分け、キターー!? 毎回いちいちこういう時はこう呼ぶんだっけか?と思い出しながら 呼べと?結構面倒だぞ! だが私から言い出したことだし、慣れれば瞬速で切り替えられるハ ズだ! ﹁分かった。そうしよう﹂ 早速その晩は﹁グラン﹂呼びを封印して﹁あなた﹂呼びに切り替え てみたのだが⋮⋮ 私がそう呼ぶたび、とんでも大惨事に見舞われた。 329 私が﹁あなた﹂と呼ぶ毎にギンッギンになる余り抜けなくなって二 人してザーッと青ざめたり、何度吐き出しても復活を繰り返し、い つも以上にエンドレスでこねくりまわされた。 恐ろしい⋮⋮!この呪文は我が夫にはザオリク及びバイキルトの効 果があるらしい。 その為、大変危険な﹁あなた﹂呼びは、たった一晩で厳重に永遠に 封印される運びとなった。 330 ︻続編︼ 予告︵前書き︶ ﹃野獣騎士の暴走求愛︵18禁的な意味で︶からの逃げ方 予告。 映画予告的に生ぬる∼くお楽しみください︵*´v`*︶ ﹄続編 331 ︻続編︼ 予告 そう、ここに私は宣言する!立派な猛獣使いを目指す事を⋮⋮! ﹁姫、ワルシェの建国祭は我が国に次いで盛大なのです。露天の店 や大道芸、楽団や花火などが楽しめます。あぁ⋮⋮姫と一緒に行け るなど⋮⋮夢のようです﹂ ﹁いいと言っている。全て⋮⋮受け止めるから⋮⋮⋮⋮エルミア、 と﹂ ﹁めめめ、めえぇーっそうもありません!!グラン様以外の別の男 を姫様に紹介しようものなら、きょきょっきょ今日中に首と胴体が 別居してしまいます!﹂ ﹁ッ嫌です!貴方が、いなければ⋮⋮世界など、消えたほうが、ま しです﹂ そそそれは⋮⋮私の愛の奴隷だとでも言いたいのか?⋮⋮言いたそ うだな、その目は! ﹁あぁ貴方の為ならば、あらゆる城を攻め落とし、世界すら手に入 れてみせましょう⋮⋮!﹂ ぁあ⋮⋮⋮⋮どうしよう、無茶苦茶心配だ!双子とか三つ子とか四 332 つ子とか五つ子だったら⋮⋮!お腹、破裂するぅーー!! ﹁っ、あーーーーっはっは!!姫様はグラン様とご結婚されてから 大層可愛らしくなられましたね。っくく⋮⋮あっはは!!﹂ ﹁母さま!赤ちゃん、ちゃんと面倒みるから、どんどん作って!﹂ ﹁何人でもバッチコーーイ!﹂ ﹁もっと産んで!もっと沢山!!﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮避妊⋮⋮という言葉を、貴方の口から初めて、耳にしま した︱︱ひ、め⋮⋮⋮⋮その事を、いったい、誰、から?﹂ ﹁ひ、め⋮⋮⋮⋮な、ぜ、急に、そんなことを?私の子が⋮⋮もう、 産みたく、ない、と⋮⋮?べ、つの、男の、子、供を︱︱産み、た い、の、で、すか﹂ ⋮⋮もっと、見たい。グランが私を欲しがって、焦れて呻く様が。 ﹁耐えられない、貴方のその目に他の男が映り、その耳に他の男の 声が響く事が﹂ ﹁あぁ、いっそ⋮⋮私のように⋮⋮⋮⋮貴方も私以外、見えなくな って、しまえたら⋮⋮⋮⋮!﹂ ﹁っ、ひめ、あぁ、限界、なの、です、貴方が、欲しく、て⋮⋮っ く、どれだけ、待った、ことか﹂ 333 ﹁グラン、嫉妬か?⋮⋮かわいいな、お前﹂ 恥骨でゴリゴリ擦ると、グランが苦しげに艶めいた呻き声をあげた。 ぁあ、コレが、中に、欲しい。でも中に入れてしまうのも、惜しい。 ﹁⋮⋮貴方は私のもの、です、他の男が入る隙間など⋮⋮⋮⋮微塵 も、残しはしない﹂ 結婚後も野獣騎士の暴走求愛は止まらない?! 334 ︻続編︼ 予告︵後書き︶ 時系列もシーンもバラバラで適当に抜き出して並べてみたら、とっ てもカオスな仕上がりに。 グランのセリフになにやらヤンデレ臭が漂いまくっておりますが、 あくまで激甘ギャグなのでご心配なく! 335 ROUND1:野獣騎士との新婚生活 ⋮⋮⋮⋮なぜ、こんな事に? 今、私は夫と対峙している。城の裏庭で。 決闘的雰囲気を無駄に出すべく、二人の間をすきま風がびゅううぅ と吹き抜けていく。 こちらを見つめ仁王立ちする我が夫をギッと睨み付けると、私は獲 物を手に襲い掛かった。 事のはじまりは、我が夫が婚姻式の夜に大々的に発表した、例の家 族計画だ。 我が夫にとってその計画は、何にも代えがたい最重要優先事項らし かった。 ﹁んっ⋮⋮ん、っぁ、あぁ⋮⋮!﹂ ﹁ひめ⋮⋮っは、⋮⋮⋮⋮ぁ、は、ぁ﹂ 336 足首を肩に押し付けられたとんでもない体勢で深くみっちりと貫か れ、非常に苦しい。苦しいのだが、もはや抗う気力などどこにも落 ちてないのが現状だ。 固く膨張した先端が奥底に何度もブチ当たり、下腹に甘くもどかし い痺れが走りだした。⋮⋮⋮⋮ヤバい、非常∼に、ヤバい。 私をひたむきに見つめる漆黒の眼差しに全意識を引きずり込まれな がら、腰をうねらせ、甘ったるく叫んでしまう。 ﹁ぁ⋮⋮!ダ、メ、ぁ、も⋮⋮あ、ぁんッ、んん︱︱︱︱!﹂ ﹁く、ッぁ、ひめ、ひ⋮⋮め︱︱︱︱ッッ、ぁ⋮⋮⋮⋮!!﹂ 思い切り打ち込まれたまま、蕩けた身体よりもなお熱い液が最奥に 吐き出された。 強烈な悦楽に大きく脈動する男根に貫かれたまま、鼻が擦れ合うほ ど近くで唇を激しく食まれ、口を何度も吸いあげられる。 そのとんでもない甘さに、とうとう思考までぐにゃぐにゃに陥落し てしまった。 首に抱きつき私からもぎこちなく応えると、夫が切ない呻き声をあ げ、更に力強く引き寄せられた。 337 ﹁ぁあ⋮⋮⋮⋮ひ、め、私の、姫。⋮⋮は、ぁ最高、です⋮⋮⋮⋮ このまま、朝まで⋮⋮貴方の中に、居たい﹂ ﹁んっ⋮⋮はぁ、私も⋮⋮すごく、良かっ︱︱﹂ うっとりと答えようとして⋮⋮ふと我に返った。 あれ⋮⋮?おかしい⋮⋮おかしいぞ。いつの間にこんな激甘ラブラ ブモードに? 確かはじめは夫婦の家族計画の大きな食い違いについて、真剣に語 り合っていたはずなのだが。 今夜こそ、ヤツの﹃子グラン30人補完計画﹄を阻止しようと思っ たのに! 無理!30人、絶対無理!と叫ぶ私。 で、は⋮⋮29人、ならば、いい、のです、か、と訳の分からない 反論をする夫。 七面倒臭い問答を七転八倒で繰り返しているうちに、いつの間にか ︱︱そう、いつの間にか甘∼く唇が塞がれ、ドッと押し倒された挙 句、卑猥な舐め方で抵抗を削ぎ落とされ、ギンギンに膨張したもの を息荒く突っ込まれ、ぐちゃぐちゃと揺さぶられ、気がつけば、今 夜もまたROUND3まで暴走ブッチギリ状態に⋮⋮! 338 こういう流れは、なにも今夜に限った事ではない。結婚して以来ず っとだ。 夫に話しかけたり見つめたりするだけで、っあ、ぁ⋮⋮⋮⋮わたし の、ひ⋮⋮め!と叫ばれ、ドロッドロに蕩けた漆黒の瞳が急激に迫 ってきて、なし崩し的に全夫を受け入れるのがもはや日常となって しまった。 ⋮⋮っく!このままじゃ、ヤツの企画が着々と進行してしまう! ふと気がつけば、子グラン30人など軽く超えてしまいそうだ! 世界一の子沢山ロイヤルファミリーとして殿堂入りするのだけはホ ント勘弁してください⋮⋮! 339 ROUND2:野獣騎士的家族計画への対抗 そう、ここに私は宣言する!立派な猛獣使いを目指す事を⋮⋮! お手、おかわり、お回りをはじめ、一番肝心なのはやはり﹁待て﹂ だ! ぶっちゃけ、一旦圧し掛かられると、夫が満足するまでは喚こうが 叩こうが抓ろうが殴ろうが蹴ろうがなにやってもてんでムダ、延々 とやられっぱなしの情け無い現状から一刻も早く脱却したいのだ、 切実に! ヤツに﹁待て﹂をさせる為にはまず、一に体力、二に体力、三四に 体力、五に体力だ!ヤツの暴走に立ち向かえる、凄まじい体力をつ けなければならない! まずはジョギングと筋トレだ! という訳で、ケイナを引き連れ、城の中庭をランニングした。 が、ケイナはすぐに根をあげてしまった。 ﹁ちょ、ぜー、はー、ひ、姫様、け、結構体力おありになるんじゃ ⋮⋮?あ、明らかに一般女性の標準を思いッ切り、超えて、らっし ゃいますわよ、ぜーはー!ご夫婦の夜の営みが激しい分、心肺機能 340 が、鍛えられたのでは、ありませんか?﹂ ⋮⋮そうか? 毎晩半ば無理矢理ヤツに肉弾戦へと持ち込まれ、ムダと知りつつさ さやかな抵抗を続けていた事は、決してムダではなかったのかもし れない。 そういえばヤツとの戦闘中、すぐに息が切れるような事が無くなっ たような気もする。⋮⋮ふむ。 ならば筋力はどうだ?一番身近な筋肉と言えば我が夫なので、自分 の筋力などゼロに近いと思うのだが。 とりあえずケイナと腕相撲してみたらば、あっさりと勝った。おお おーー!アイ・ウィン!! ﹁ちょ、ぜーはー、姫様、け、結構力もおありになるんじゃ⋮⋮? 夜の営みが激しい分、︵以下略︶﹂ ふむ。では、あとは実戦あるのみだな! ﹁たのもう!﹂ ﹁ひ⋮⋮⋮⋮!!﹂ 341 騎士団の訓練場に現れた私の姿を目にした途端、ボルドーが直立し たまま絶句した。 ⋮⋮相変わらず失礼なやつだ。 全身でビックンビックンビクつきながら﹁ななな何かごよよ御用で しょうか﹂と聞いてきたので、体術の稽古の相手になるような人物 を紹介しろと伝えたら、なぜかひぃいっ⋮⋮!と非常に情け無い悲 鳴が訓練場に轟いた。 自分の部下が大勢いる前でそんなに私ごときにビクついていて、よ くその地位にいるな。 ﹁めめめ、めえぇーっそうもありません!!グラン様以外の別の男 を姫様に紹介しようものなら、きょきょっきょ今日中に首と胴体が 別居してしまいます!﹂ めえぇって⋮⋮お前は羊か?それにきょっきょきょっきょうるさい な。 まあボルドーを擬人化ならぬ動物化するなら、荒ぶるグランへの生 贄の羊が妥当だが。 ⋮⋮はっ。それについては、今の私の状況も似たり寄ったりなのか ⋮⋮? 342 い、いいや違う!私は違うぞ!!一刻も早くグランへの生贄の羊状 態から脱却し、立派な猛獣使いを目指そうとこうして行動している のだから! ⋮⋮というか、おい。 何か大きく失礼な勘違いをしてないか?私は別に愛人を紹介しろと 言った訳ではない! ﹁だ、誰が男を紹介しろと言ったァ!騎士団で、誰か体術を教えら れるやつはいないのか聞いただけだ!﹂ ﹁なななぜ姫が体術などを?﹂ ﹁まぁ、コホン、一国の姫として自分の身くらい自分で守ろうかと 思ってな。護衛術は一通り会得してはいたのだが、あれは全ッ然! 全く!これっぽっちも!役に立たなかった。もっと本格的な体術を 習いたい﹂ ﹁グラン様がいつも姫様のお傍にべったりおられるのですから、そ の必要など全くないのでは⋮⋮﹂ ﹁ッ、そ れ が 問 題 な ん だ!﹂ ﹁は?﹂ ﹁いや、なんでもない、コホン!﹂ 343 思わず声を荒げてしまった。いかんいかん。 常時べったりと張り付いてくる夫のとんでも暴走から可愛い自分の 身を守る為だなどと誰が言えるか! ﹁とにかく、体術に詳しいやつを教えろ﹂ ﹁そう申されましても⋮⋮体術に限らず武術全般において、グラン 様の前はおろか右に出る者などこの国にはおりません。そうだ!い っそグラン様に習われてはどうでしょう?﹂ ﹁も う 沢 山 だ!﹂ ﹁は?﹂ ﹁いや、なんでもない﹂ いかんいかん。またしても思わず声を荒げてしまった。 毎晩全裸で妖しげな体術︵18禁的な意味で︶を強制的に習わされ ているだなどと、口が裂けても言えんわーー!! 344 ROUND3:野獣騎士は愛の奴隷 落ち着け、落ち着け、私。 夫と対等の位置でキッチリ話し合う為にも、可及的速やかに己を鍛 えねば同じ土俵にすら立てないのは目に見えて明らかだ。 ﹁あー、グランの次に体術に秀でた者は?﹂ ﹁いません。グラン様の体術は、そのう、き、規格外すぎて⋮⋮二 番手などと呼べる者が皆無なのです。他は皆、似たり寄ったりです﹂ おーいグラン!お前の部下が、お前を人外の化け物だと言っている ぞーー! ﹁ならば剣術は?グラン以外で強いのは誰だ?まさか、お前か?﹂ ﹁ちち違います!私の武芸はおおむね平々凡々なもので⋮⋮﹂ ⋮⋮じゃあなんでその地位にいるんだ? いや今はそんなことはどうでもいい、それより自分の身の安全を確 保する事が先決だ! 345 ﹁じゃあ、誰がいる﹂ ﹁剣術ならエスターが頭一つ抜きん出ているでしょう。グラン様以 外、誰も彼に勝てた事はありません。⋮⋮ちなみに、実戦でも訓練 でも敵が自分好みの男じゃないと絶対に本気を出しませんが﹂ なんだそれは。つくづく根っからの変態だな! そんな変態に教えを乞うのは心から御免被りたい。 ﹁あー、双子以外ではいないのか?﹂ ﹁あとは似たり寄ったりかと﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮あ、そう﹂ 結局役に立たない情報、ありがとう、と思った途端、背後から異様 な殺気を感じた! 我が身可愛さに素早くぐりんと振り向くと、予想通りグランの鋭い 眼光にビシイと居抜かれた。 いつの間にか我が夫の頑強な身体が眼前に迫り来ていた。そのド迫 力に、思わず背中が仰け反ってしまう。 346 ﹁姫⋮⋮なぜ、ここに﹂ ﹁っ、ちょっと用があって来ただけだ。そんな険しい顔するな、元 から怖い顔がもっと怖くなるぞ!ボルドーも、そう思うだろう?﹂ ヤツの放つズッシリ重苦しい威圧感をせめて二等分せんと、くりん と振り向くと⋮⋮ まるで瞬間移動したかのように、そこにはボルドーのボの字も影も 形も欠片すら無かった。 は⋮⋮⋮⋮早ッ!逃げるの早ッ!! ﹁姫⋮⋮⋮⋮ボルドーに、何の、ご用が?﹂ っっひいいいい⋮⋮⋮⋮!! こ、この重圧をたった一人で受け止めるのか?!キ、キツイ!!つ ぶれる!!へしゃげる!! も、もしかして私は対グラン対策として闘い方なんかよりも、ボル ドー並の危険察知能力と逃げ足の早さを身に付けた方がいいんじゃ ないか?! 347 くっ⋮⋮ヤツの視線がぐさぐさと突き刺さって非常に痛い! とりあえず早急に答えんと、私の顔がヤツの眼圧でうっかりポッコ リへこみそうだ! ﹁じ実は私も一国の姫として、もう少し護身術を本格的に身に付け ようかと思ってな、師事してもらうにふさわしい人材をボルドーに 聞いていた﹂ ﹁私が傍にいる限り、その必要はありません。誰であろうと⋮⋮姫 に指一本、触れさせません﹂ ⋮⋮ゾゾックウウ⋮⋮⋮⋮!! 普通ならこんなに頼もしい事この上ない言葉を夫に言われたら、妻 として思わず胸キュンして惚れなおしそうな頼りがいのありまくる 発言だが⋮⋮我が夫に言われると、なぜこうもゾクゾク感が走るの か? ヤツの場合、﹁誰であろうと﹂=﹁自分以外の全人類﹂という、も のごっつだだっ広い世界規模の話に転換されて聞こえてくるからだ ろうか。 ⋮⋮くっ、こうなったらヤケクソだ!! ﹁分かった、こうなったらハッキリ言ってやる!強くなって、お前 をケチョンケチョンに負かしてやりたいからだ!!﹂ 348 ﹁私に、勝ちたい、と?なぜ⋮⋮?姫、貴方は⋮⋮私にもう充分、 勝っているではありませんか﹂ ﹁はああ?!どこがだ!?﹂ ﹁貴方は、私以外も見えるというのに⋮⋮私は⋮⋮貴方以外、見え、 ません。その時点で、私は永久に貴方に勝つ事などできはしない。 貴方は、もう既に、悉く私を打ち負かしているのです﹂ そそそれは⋮⋮私の愛の奴隷だとでも言いたいのか?⋮⋮言いたそ うだな、その目は! ⋮⋮ブルブルブル、急に腰が冷えてきた!今すぐ腹巻してぬっくい 布団にダッシュで滑り込みたくなってきた! 349 ROUND4:野獣騎士と鍛錬︵前編︶ とりあえず微妙に論旨がズレまくっている。ワザとなのか?天然な のか?未だ理解不能だ! ﹁姫、どうしても鍛錬されたいのならば⋮⋮この私が、お教え致し ます﹂ ﹁ヤ、ヤだ⋮⋮!絶対に、ヤだ⋮⋮!!﹂ 即答したら、ピキーーン⋮⋮と目の前の夫が一瞬にしてどっかの英 雄のブロンズ像みたいに凝固した。 ⋮⋮ハッ。マズい、空気がツンデレ、もといツンドラ気候に⋮⋮! キンキンに冷えまくって噛んだらシャリシャリ音がしそうなスーパ ードライな超重低音が響いてきた。 ﹁︱︱な、ぜ⋮⋮私、では、嫌⋮⋮なの、です、か﹂ ﹁い、嫌というか、だって︱︱﹂ ﹁⋮⋮ッ、他、の男、に⋮⋮⋮⋮教わ、りたいの、で、す、か﹂ 350 っっうっああああーーーー!ポロッと出た一言が、とんでもない方 向に飛び火した! ぅう、だって、だって⋮⋮! なんでイヤなのかは、ホント、察して欲しい。 目の前で我が夫のムチャクチャ凛々しい姿など目の当たりにしてみ ろ!たちまちメロメロの乙女様化するに決まってるだろう! そうしたら歓喜興奮した夫に野外だろーと公衆の面前だろーとその 場で羽交い絞めされ、アンアン悶え泣き大公開プレイで、前代未聞 の過激な王室スキャンダルがこの清々しい青空の下、号外でジャン ジャン街中にばらまかれるという国を挙げての大惨事に⋮⋮! ぅう、それだけは、それだけは、絶対、嫌だ⋮⋮! これ以上ヤツの得意分野を見せつけられるのは、ホントーに勘弁し てください⋮⋮! 私はくっ!と唇を噛んだ。 承諾すれば乙女様が、断れば暴走野獣による恐怖のオシオキが待っ ている。 前門の野獣夫、後門の乙女様、どっちも嫌すぎる。嫌すぎるが⋮⋮ まだ乙女様の方がいい、のか? 351 どっちか選ばなきゃならないのなら、自分で抑えられる可能性があ る方に賭けてみるしかない⋮⋮! という訳で、何故か夫との戦い方を、夫本人に教わる事になった。 ﹁姫、どのような状況を想定しますか﹂ 訓練場の真ん前ではヤジ馬が鈴なりになりそうだったので、城の裏 庭に移動した。 で、今私の目の前に、長身の逞しい体を騎士服に包み込み、威風堂 々とした我が夫が立っている。 ⋮⋮⋮⋮マズい、非常に、マズい。 対峙しただけで、早くもなんかドキドキしてきた! そう、最近、私はおかしい。 夫がやけにカッコ良く凛々しく見えるのだ。 特に騎士服はダメだ、激弱だ! シドニアでの一件以来、この姿の夫を見ると、動悸息切れがより一 352 層激しくなる傾向にある。 とりあえず応急処置として、余り夫をまじまじと見ないようにして おく。 ﹁あー、対格差のある相手を打ち負かす方法は?何か裏ワザとかな いのか﹂ ﹁相手は⋮⋮男、ですか?﹂ ﹁勿論﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮﹂ グランはしばし考えていたが、 ﹁姫⋮⋮⋮⋮⋮⋮物理的に、不可能かと﹂ と淡々と呟いた。 思い切りバッサリ、キターー! ﹁姫、そのような場合には、危険を感じたら一刻も早く逃亡するか、 凄腕の者を傍に置き対応させている間に逃れるか、最初からそのよ うな状況に陥らぬよう細心の注意を払うしか、方法はありません﹂ 353 ﹁⋮⋮⋮⋮⋮⋮﹂ ⋮⋮非常に真っ当な回答が返ってきた。要するに、何かあったら即 逃げろと、そういう事だな。 ﹁あー⋮⋮そうか。とりあえず万が一の時のための護身術を久しぶ りに使ってみたいのだが⋮⋮付き合ってもらえるか?﹂ ﹁勿論です。お相手致します、姫﹂ ⋮⋮そう、私は甘く見ていたのだ。強い男にメッチャ弱い、己の属 性を。 だからまさかあんなことになるとは⋮⋮⋮⋮思いも、しなかった。 354 ROUND5:野獣騎士と鍛錬︵中編︶ 護身術か⋮⋮懐かしい。幼少より護身術の指南役であった白ヒゲ爺 を思い出す。 彼は父の武の師でもあった人物で、えびす顔の結構なご老体だとい うのに、授業からコッソリ逃げ出そうとするたび、思わぬ所から手 がニョキニョキ伸びてきてよく捕獲されたものだ。 ﹃姫様は女性ながら大層剛の気がお強い、本格的な鍛錬をなされば なかなかの武人になれますぞ。姫という御身分でなければ、騎士に でもなれたかもしれませぬなぁ、フォッフォッフォッ﹄ などとてんでやる気の無い私を発奮させるべくおだてては、私の身 体に護身術を叩きこんでいた。⋮⋮目の前の男には全くもって歯が 立たなかったが。 ﹁姫、腕を掴まれた場合の対処法は︱︱﹂ ﹁それなら知ってる。こう、だろう?﹂ 身体が覚えている通りに、型通り手首を掴んできた夫の腕を関節の 駆動域とは真逆の方向に捻り上げ︱︱られなかった。てんで、これ っぽっちも。 あれ?おかしいな。爺の時にはフツーに捻り上げ、合格点をもらっ 355 ていた筈だったんだが。 ﹁ん!んぬぬーー?﹂ ﹁⋮⋮姫、もっと立ち幅を広く取ってみては﹂ ﹁ん、こう、か?﹂ ﹁そう、そして余分な力は抜き、重心をこちらの方向へ﹂ ﹁ん、くっ⋮⋮⋮⋮っは!無⋮⋮理、だ!!﹂ 腕が太すぎて関節技が決まらないとはいったいどういう事だ?! これじゃあ護身術なんぞ極めても、夫には全然全くこれっぽっちも 役に立たないんじゃ? いやいや千里の道も一歩から、ここで退いてたまるか! ﹁姫、正面から襲われた場合は﹂ ﹁分かっている。こう、だろう?﹂ 夫に向け、思い切り急所である顔面、鼻、顎、喉に手刀を繰り出す と、全て大きくて硬い手のひらでしっかりと受け止められ、ドキン とした。 356 頬に血が上って思わず目を逸らすと、ギリと固く手を握られた。 今、私は普通の状態ではない。 突然婚約してうっかり陥落して怒涛の如く結婚した、蜜月真っ只中 の新婚さんだ。 夫が傍にいると妙にドギマギしてしまう、新婚特有の病気を患って いる。 夫のこういう姿に、心拍数が増加して頬が火照って目が潤むのは仕 方ない、だから見逃して欲しい。 だが肝心の夫は、見逃す気などこれっぽっちもないようだった。 ﹁ひ、め⋮⋮なぜ、目を逸らすの、ですか﹂ 苦しげな低音が降ってきて、勝手に胸がギュンとなる。 ﹁逸らしてなんか、いない!﹂ 負けず嫌いの性で、夫の瞳を真っ向から見つめてそう答えたら。 357 一瞬で、夫の強い瞳に捕まった。 硬い腕が腰に回って、強く引き寄せられる。 厚い布地越しでも分かる鎧のような頑強な身体を感じ、ドキンと心 臓が文字通り跳ね上がった。 トロットロの激甘∼い眼差しでじぃぃっと見つめられ、周囲の景色 と音がバツンと強制的に遮断される。 底なしの漆黒の瞳に吸い込まれ、その奥の燃え盛る熱情が、私の身 体に燃え移る。 頬に大きな大きな手の感触がして、夫の熱く蕩けた瞳が徐々に近づ いて来て⋮⋮⋮⋮ って、ぅああああーーーー!! 唇が触れ合う寸前でハッと我に返り、咄嗟に身を引いた。 ちょ、ちょっと待て!な、なんで私はこんな所で、夫と熱い口づけ を交わしそうになっているんだ?! グランの焦れて濡れた瞳が、何故、逃げるの、ですかと私をジリジ リ追い詰める。 ﹁ちょ、ま、待て。なんでこんな事、してる!﹂ 358 ﹁あぁ、ひ、め⋮⋮⋮⋮貴方が、誘うのです、私を﹂ さ、誘う?何が?どこが?どうやって? 思わず今日の己の出で立ちを見直した。 いたって普段と変わりない簡素なドレスだが、胸元が少し開きすぎ なような気もする。 これは今朝侍女が﹁姫様ももう人妻ですものね!お色気を全面に出 していきましょうね!﹂とかウキウキしながら用意していたものだ。 思わず下を見たら、服の胸元の隙間から情事の紅い跡が見えて、顔 からリアルに業火を吹きそうになった。 卑猥な証拠を隠匿すべく咄嗟に胸元を手で覆ったら、我が夫が獰猛 に呻いて非常にマズい反応をしてきた。 すなわち、私の両手首をガッと掴んで両脇にどけると、突然胸元に 唇を押し付けてきた。 っっぅぁああああーー!!野外!ここ、野外だから!場外乱闘、断 固反対⋮⋮!! 359 ROUND6:野獣騎士と鍛錬︵後編︶ ﹁ッ、やめ、あ!﹂ 我が夫の獣のような湿った息が胸元に吹きかかり、強く押し付けら れた唇が焼きごてのようにジリジリと肌を焼く。 両手首を顔の脇にきつく固定されたまま、むしゃぶりつくさんばか りの勢いで這いずりまわる唇と舌に、呼吸が乱れまくる。 生温いものが胸の谷間を垂れ落ちていく感触に、ゾックーーー!と 身震いしてしまう。 ちょ⋮⋮どういう流れでこういう流れに?! 燦々と降り注ぐ陽光の下、なぜ深夜の夫婦の営みのようなベッタベ タな雰囲気に? 一瞬見つめ合っただけなのにどうしたことか、愛の異空間へと強制 送還された。 これがかの有名な突発性・新婚ラブ・ストームなのか?周囲をガン 無視して、どんな状況だろうが激ラブファイヤーで燃え上がる、非 常にはた迷惑な新婚現象だ! 360 だがこんな淫らな昼下りの情事を誰かに見られたら、野外プレイ好 きなハレンチ王族として後の世までの語り草になってしまう!くっ ⋮⋮どこだ?探せ、探すんだ!我が夫のやる気スイッチ、って逆だ 逆、非常用緊急停止スイッチを! グググと身を引きつつ︵引くスペースなど皆無だが︶必死に探した が、そんな便利なものある筈もなく、仕方がないので崖っぷちでの 説得を試みる。 ﹁分かった、お前の気持ちはよ∼∼く分かった!とりあえず手を離 せ!﹂ 実は余りよく分かっていないが、まずは我が夫をなだめる事が先決 だ! ﹁ッは、ひ⋮⋮⋮⋮め﹂ ねちゅ、と胸元から濡れた唇が離れ、燃え盛る瞳でガン見された。 両手首の枷が手首から肘までゆっくりと伝い降り、そのぬくもりと ともにようやく離れる。 すかさず開放された両手を夫の厚い胸板を押し当て、落ち着けー落 ち着けーと呪文を唱えながら撫でさすった。 が、光の如き速さで背と顎を猛烈にガッと掴まれ、今度は噛み付か 361 んばかりの勢いで唇をガッチリと塞がれた。 ﹁んんーー!!っんん⋮⋮⋮⋮!﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮っ、は、っ﹂ どうやらうっかり間違えて、夫のやる気スイッチの方を思い切り押 してしまったらしい。 唇がきつく囚われたまま、大きな手が顎から耳朶、首筋をじわじわ と這い、胸元に降りて私の胸を揉み上げた。 ちょ、待て、おま、待て待て待て待て⋮⋮!ラブラブなのはいいが 場所をわきまえろ!外、ここ外だから!! 腰にあった手も徐々に臀部へと下がって撫でさすられ、グ、と鷲掴 まれる。 情事の最中のような官能的な掠れた荒い息と、強く擦りつけられる 熱い身体に、恐ろしいほどの危機感がガンガン湧いてきて、速攻ピ ークに達した。 ちょ、待て!まさかこのまま、ここで⋮⋮⋮⋮?! いやいやありえない、ありえないから!落ち着け、落ち着け、鎮ま 362 り給えーー! 大変露骨に、いっそ大胆すぎるほどに胸を何度も揉み込まれ、全身 に嫌∼な汗が流れた。 こ、拘束がキツすぎて動けん!二人きりだというのに、乗車率20 0%並の殺人的混雑っぷりだ!ここまで来ると内蔵圧迫レベルだ。 ぐほ⋮⋮ッ、なんか飛び出しそうだ! 身を捩れば捩るほどに自分の身体を夫の硬い筋肉に押し付けまくっ てしまい、益々荒ぶる夫の息が耳に入って、いつものあわわわ状態 になった。 マズい、非常にマズい状況だ。このままでは、この場でグッチャグ チャのビッショビッショの降水確率100%だ! そう、我が夫は走り出したらもう誰にも止められない。私以外には! ぐ、と胸元をずり下げられそうになって、恥も外聞もなく、っっん ぎゃあああーー!!と叫んだ。 ﹁グラン!待て、続きはまた来週、じゃなかった、今夜にしろ!!﹂ ﹁っ、待て、ませ﹂ 非常に端的に答えられ、ギュギュ∼∼とより一層引き寄せられ、と 363 うとう乗車率が300%超えに⋮⋮!無理なご乗車はおやめくださ い、列車のドアが、閉まりませんんんーー!! ﹁あぁ姫⋮⋮今、ここで⋮⋮貴方を、貫き、た、い﹂ っっぎゃああああーーーー!! 相変わらずどストレート過ぎて本気で泣けてきたーー!!こここん な所で本気で盛るな、このド変態・ド鬼畜めーー!! もはや大泣きで絶叫した。 ﹁分かった、分かったから⋮⋮!今夜は物凄∼∼くサービスするか ら⋮⋮!だから、今は、やめろーー!!﹂ 364 ROUND7:野獣騎士への奉仕 猛獣に更なる餌を与えたら、暴走が嘘のようにぴたッ!と止まった。 夫の瞳からド鬼畜色が消えていく。 耳元に荒ぶる息を噛み殺した、大変掠れた低音が響いてきた。 ﹁ひ、め⋮⋮⋮⋮サー、ビス、とは、﹂ ゾックゥゥ⋮⋮⋮⋮ッッ!! アレ?おかしい⋮⋮なんか今、背中全体が物凄く総毛立った。なん でだ? サービスくらい知っている。奉仕とも言う。相手を満足させる事だ ろう? そうだな、例えば疲れた夫の身体を揉みほぐすとか、今夜は手料理 に挑戦!とか。 凄くナイスな案が次々と湧いてきたから答えようとして、ギクッ! と身体が強張った。 な、なんだ、その壮絶な色気垂れ流しの激アツ∼∼い眼差しは⋮⋮ !服がドロッドロに溶け落ち、今にもボトボトッと足元に落っこち 365 そうだ! いかにもそんな案ではこの激アツ暴走は止まらないとでも言わんば かりのお色気タップリの空気に呑み込まれそうになる。 ⋮⋮分かってる。私とてもう生娘ではない。立派な人妻だ。 夫がこういう目をした時、私に何を望んでいるか、身を持って、怖 いくらいによ∼∼く分かっている。 いつの間にか胸を這っていた手が私の腰の曲線をジリジリと往復し、 更に下へと降りていく。ッ、もはや時間がない! ﹁わ、分かった!今夜は、お前が喜ぶ事を、してやる!夫婦にしか、 出来ないような事だ!﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮ッ!!ひ、め︱︱︱︱!!﹂ ただでさえ逞しい事この上ない夫の身体が歓喜でブオン!!と膨張 し、ギュウギュウに抱き締められる。 ﹁ぁあ⋮⋮姫⋮⋮⋮⋮今夜が⋮⋮待ち遠、しい﹂ 歓喜に震え、獰猛な欲情を無理矢理押さえ込んだ喘ぐような熱い吐 息まじりの呟きに、綺麗に退路を塞がれた。 366 墓穴掘り︱︱それは、自分で自分の墓穴を掘る事。 その心境を今、私は味わっている。これからは墓穴の生き字引きと そう呼んで欲しい。 だがあの場で実に様々な粘液垂れ流しの濡れ場に突入し、城の裏庭 が腐海に呑み込まれるより遥かにマシな状況だと思いたい。 しかし⋮⋮自分で言っといてなんだが、妻として夫を喜ばせるには、 一体何をすればいいんだ? 例の婚約時代に、毎回毎回絶体絶命の危機から逃れようと、自分で 考えつく事はやり尽くした感満載なのだが。 サッパリ分からないので、侍女に丸投げしようと思う。 で、まずはケイナに聞いてみた。 ﹁お、夫を喜ばせる方法、ですか?ひ、姫様、いったいどうしたと いうのです、死ぬおつもりですか?!あの野じゅ、コホン、グラン 様は、姫様と結婚できただけでもう充分たっぷりと、毎朝毎晩悦び まくっていらっしゃるじゃありませんか!これ以上極上の餌を与え ていったいどうするおつもりですか?!この国を野生のサファリ王 国にするおつもりですか?!今でさえ日々とんでもなく熱烈極まり ないご求愛をされていらっしゃるというのに、更に喜ばせるなど、 367 姫様の身が危険すぎます⋮⋮!﹂ ﹁のっぴきならない事情により、約束してしまった。なんでもいい から、何かいい案がないか教えて欲しい。私の威信が賭かっている﹂ ﹁そもそもなぜ、そんな恐ろしい約束をされたのです?﹂ ﹁あーー﹂ 私は遠い目をした。頼むからこれ以上聞いてくれるなという、暗黙 の要請でもある。 大体想像がつくのか、ケイナが長∼いため息をついた。 ﹁⋮⋮分かりましたわ。すぐにその道のスペシャリストを呼んで参 りましょう。ですが、やるからにはトコトンやりますわよ!グラン 様を一生姫様の下僕にするつもりで挑みますわ!勿論、安全対策も 綿密に立てましょう。もしも姫様の只ならぬ悲鳴やグラン様の常軌 を逸した咆哮を耳にした時は、すぐに姫様救出隊を出動させますわ !﹂ ⋮⋮という訳で、男女の事なら百戦錬磨と豪語する侍女に、あの手 この手を教授してもらう事になった。 ﹁よろしいですか姫様。男女の閨事は寝室に入ってからでは遅いの です。まずは夕食の時間からジワジワと攻め落とすのです﹂ 368 その侍女曰く、どうやら先制攻撃が大事らしい。 という訳で、早速夕食の席から行動開始した。 いつも通り城の食堂で夕食を共に取る。が、その摂取方法を変えた。 らっぶらぶ仕様に。 ﹁グラン、あーん﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮ッッ︱︱︱︱︱︱!!﹂ 今私は夫の硬く太い片股の上に腰掛け、手ずから夕食を夫に食べさ せようとしているところだ。 子供でも病人でも老人でもないのに、こうして食べさせてもらって なにが嬉しいのかは謎だが、侍女が﹃絶対これです!これしかない わ!グラン様なら確実に泣いて喜びます、ええ、100%保証致し ますわ!﹄とやけに自信満々豪語するのでやってみた。 だがどうも苦悶に唸って唇を噛み締めているようだが⋮⋮これじゃ あ、食べさせられないじゃないか。 仕方なく顔をそっと寄せ、わなわな震える夫の唇を指で開かせ、夕 食をむぐ、と押し込んだ。 369 ﹁美味しいか?﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮ッッ!!﹂ 咽び泣いている。感極まっているようだ。 目を潤ませ、恐ろしいほどに喜んでいるようだ。言語すら発せない ほどに。良かった。 次はスープにいってみようと思う。 これが結構難しい。この体勢で液体をスプーンで運ぶなど曲芸に近 い。零れそうだ。 それにさっきから、夫の腿がガタガタ振動して揺れまくって不安定 極まりない。 ﹁このスープは、私も作るのを手伝ったんだ。お前に食べてもらお うと思って、ぅあああ!?﹂ 地震、地震、大地震!!夫の腿の上で突如大地震が起こった! 視界がガッタガタ揺れ、思わず太い首にかじりつく。 すると低い唸り声とともに、後頭部を掴まれ、噛み付くように唇を ガップリと塞がれた。 370 ブフ⋮⋮⋮⋮ッ!!わ、私を食べて、どうするーー!! 371 ROUND8:野獣騎士の夕食 ﹁ん、グラン、待ッ、食事、んぅ!﹂ ﹁ぁあ、ひ、め、幸せ、すぎて⋮⋮喉を、通りませ﹂ 私は通るんかい!私は流動食じゃないぞ! 侍女たちの嬉々とした黄色い悲鳴がそこかしこであがるのが聞こえ る。食事の席でとんだハプニングだ! 相当無理な体勢で口付けられ、ギギギと腰がねじれ、硬い太腿がグ リグリお尻に当たって非常に痛い。 互いの身体の隙間に腕を割り入れ夫を宥めようとするが、上半身が 余りにもビッタリくっつきすぎていて指の爪の先っちょくらいしか 入らない。 無駄と知りつつカチコチの脇腹にゴスゴスとボディブローするが、 清々しいくらいに効果はゼロだ。 背を狂おしく撫でさすられ、あらゆる角度から唇を大層きつく吸わ れまくった後、ようやく開放された。 ﹁ッぷ、は⋮⋮!﹂ 372 ﹁あぁ姫、貴方が私の為に、食事を⋮⋮ッ、嬉、しい、です⋮⋮!﹂ ﹁そ、そうか、良かった﹂ どうやら今の烈火の如きハグ&キスは妻の手料理︵といってもスー プをかき混ぜただけ︶への熱い熱∼いお礼だったらしい。 とりあえずサービス第一弾は成功だ。肩どころか全身でゼーハー呼 吸しつつ、達成感に満たされる。 引き続き、せっせとスープや食事を夫の口へと運んでいく。 一口食べる毎にうるるると目を潤ませているグランが妙に可愛いく 思えてお尻をムズムズさせていると、グランが私の腰をぐ、と引き 寄せ、こう言った。 ﹁姫、今度は、私が﹂ スプーンを手に持ち、私の顎を掴んで上向きにし、甘い甘∼∼い眼 差しとともにそう告げてきた。 ⋮⋮え。ええええーー?!この展開は⋮⋮私があーんのターン、キ ターー?! 373 私に雛鳥のようにピーチクパーチク口を大きく開けて餌をもらえと ?っっひぃいいーー!恥ずかしすぎるにも程がある! ﹁わ、私は、いい!﹂ ﹁ひ、め、お願い、です。口を⋮⋮開けて、ください﹂ 必死にご遠慮申し上げたが、下唇をむにむにされつつ、蕩ける熱視 線で懇願され、仕方なく、ホント∼に仕方なく、了承した。 観念して夫を見上げ、目を瞑って唇を開く。こみ上げてくる羞恥心 をムギュゥウと踏み潰しながら。 なぜ目を瞑るのか。それは、私には昔から上を向いて口を開けると 目を瞑ってしまう習性があるからだ。なぜだかは知らない。生まれ つきだ。 だがいつまでたっても食事がやってこない。上向き目閉じ体質の為、 状況が全然見えない。自分からお願いしたくせに放置プレイすると は何事だ! ガタタタタタとグラン椅子が超振動を起こし、余りのグラつきっぷ りに夫の服の胸元をギュと掴んだ。 ⋮⋮ッく!超高速貧乏揺すりしてないで、早くしろォ!人前で無防 備に開口するのは究極的に恥ずかしい!しがみついた手がぷるぷる してきた! 374 ﹁っ、グラ⋮⋮ン、はや、く⋮⋮っ﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮⋮⋮ッッ!!﹂ んぶーーーーッッ?! 口に入ってきたのは美味しいご飯ではなく、夫の分厚い舌だった。 おいいいーー!飽きた!このパターンはさすがに飽きてきた! 結婚編になってからというもの、なんなんだこのワンパターンっぷ りは⋮⋮! いつにもまして激しく熱く抗議しようとしたが、夫の唇がクチャク チャと私を咀嚼し、腔内をグチャグチャと味わって中の唾液をゴッ ソリ啜った後、ゴツイ喉仏を大きく上下して私の反論をごっくんと 綺麗に飲み下してしまった。 い、いかん!このままじゃ、侍女たちが生温か∼く見守る中、夕食 =ワ・タ・シのステキなテンプレ展開に⋮⋮!! ﹁っん、んぅ!⋮⋮ヤだ、皆が、居る⋮⋮ッ﹂ と必死に抗議したが、返ってきたのは驚愕の言葉だった。 375 ﹁ひめ⋮⋮⋮⋮もう、ここには、誰も⋮⋮おり、ません﹂ へ⋮⋮?と半分色ボケした頭を動かし周りを見回すと。 そこには人っ子一人、居なかったとさ⋮⋮ヒュウウウウウーー⋮⋮ という感じの光景が広がっていた。 っっんあああーー!!サ ブ イ!ゾックゾクするぅ⋮⋮!真 夏の怪談話じゃないんだぞ!ただでさえお前のしゃべりはそういっ た雰囲気満載なのに、実に適材適所な使い方をするなぁ!!やめろ、 本気でやめろ!幽霊とか怪奇現象とか、実は苦手だ! はわわわわ、きききききっと、皆、気をきかせて姿を消したに違い ない、そうだったらそうだ!それなら怖くない、安心だ! って⋮⋮全然安心ちゃうわあああーー!!ものっそ危ない、この状 況、危険極まりないわーー! いつの間にか不埒な夫の手がドレスの裾から入り込み、膝から太腿 をじわじわと大きく這い上がってくる。 ゾクゾクと腰に悦楽の痺れが走って身体をビクンと跳ね上げると、 当然夫の息が熱く滲んで荒ぶった。 無骨な指が内腿に食い込み、あろうことか、足をググッと開かされ そうになる。 376 っっんあああーー!!この行動は究極にヤバい!足を開かされたら もう終わりのような気がビッシビシする!恐怖の夕食プレイフラグ が確立してしまう!! ちょ、コラ!皆速攻、戻って来いいーー!オールカムバアアーーッ ク! こんな場所で飢えきった猛獣︵一応夫︶と二人ッきりにするなぁあ ーー!! 377 ROUND9:野獣騎士の妻の夕食 ちょちょちょちょやめ⋮⋮ッッ!こんな所でナニする気だ?! 夫の無骨な手が内腿をググと押し開き、私の足をグバッと開いて腰 に抱き込んだ。 またが 結果として、夫の腰に跨るとんでもない姿勢となってしまい、物凄 く身に覚えのありすぎる岩石のように硬く盛り上がったものが股に ガツンとぶつかり、不本意ながら、ン、ん⋮⋮ッ!といかにも艶っ ぽい声がもれてしまう。 いつもは奥深く埋め込まれるそれが熱くビックンビックン鼓動を打 つ感触が布ごしに伝わってきて、ゾワゾワッとした何かが這い上が ってくる。 押し付けた唇をクチャクチャと蠢かす執拗な口付けに脳と唇を濡ら され、臀部を強く揉み込まれ、身体の芯がジンジンと火照り出す。 ﹁っは、⋮⋮ひ⋮⋮⋮⋮め、﹂ ﹁ン!っは、ァあ⋮⋮!﹂ 欲情に燃え盛り、呼吸すら覚束ない激しい興奮が夫の全身から伝わ ってくる。 378 息荒く胸までもみくちゃに揉みしだかれる。食堂で。夫椅子の上で。 んッッ⋮⋮ぁあーー!! ﹁グ、グラン⋮⋮!待、﹂ ﹁っ⋮⋮ぁあ、ひめ、⋮⋮っひ、め﹂ 股の深い窪みを大きく主張したものがググ、と押し上げてきて、腰 に激しい電撃が走って後頭部が点滅した。 新婚ドピンクの深海に溺れきった眼差しと、噴火前の火山の如く焼 けついた吐息が私にタップリ注がれる。 衣服がずり落ち剥き出しになった肩に、途切れ途切れの切なげな低 音が熱く濡れ落ちてくる。 ﹁どうか、どうか⋮⋮貴方の中、に、少し⋮⋮⋮⋮だけ、﹂ で済んだ試しがあるのか?読者 は、いいいーー?!少しだけ?!少しだけって、いったいどう、少 少しだけ しだけ、なんだ⋮⋮?! おま、今までしてきて 様もご存知だろうが、あるわけないだろうがーー!! 一旦挿入れたが最後、延々とグチャグチャズンズンしっぱなしだ! 379 昨夜も当然ノンストップの3連チャン、というか結婚以来ずっと連 日3コンボという荒業が続いてるぞ! ッッ!あぁ⋮⋮うっかり昨夜の血湧き肉躍るビショビショ祭りを思 い出しただけで気が遠く⋮⋮! 一回目はまだいい、かろうじて理性が残っている為、ヤツのいかが わしい暴走を初々しくも正しき新婚夫婦生活の範疇に少しは押し留 める事ができる。 おかしくなってくるのは二回目中盤以降だ。 いったいなんの鍛錬だと絶叫するほどとんでもなく激しく揺さぶら れ、三半規管がぶっ壊れ、頭はクラックラ身体はふにゃっふにゃと なり、とんでもなく甘ったるい嬌声をあげて夫の身体にしがみつき、 みっともなく大泣きしながら悶え狂う羽目になる。 三回戦目ともなると、抗う気力体力が底をつき、大変不本意だがも う好きにしろ状態、通常の私ならムチャクチャ嫌がって大激怒する とんでもない格好で、それこそ文字通り遠慮のえの字もなく好き放 題だ。 ⋮⋮これ以上思い出すのはよそう、不毛すぎる。 だが、自分の股間に押し付けられているものがかなり大胆にその存 在をビンビンに主張してきて、嫌でもソッチ系の思考に意識をゴッ ソリ持っていかれる。気のせいか、いつもより20%増量中という 気さえする。 380 ただでさえ我が夫のあれはあれなのにあれ以上肥大化したら人体構 造上バランス的にも非常におかしい、人類の進化を先取りしすぎて いる。 お願いだから真剣に全力で退化してくれ!と叫びたいくらいにガン ガン発熱&ギンギン膨張一直線だ!っっんんああああーーーー!! 長い考察の結果、人類のオスの標本として博物館に飾っておきたい くらいご立派なものは、どうポジティブに考えてみてもちょっとグ ッと入れてパッと終わりそうなそんな微笑ましくも可愛い有り様で は断じてなさそうなので、ここはキッパリお断りすることにした。 ﹁ここではしない!それに、お腹減った!﹂ そう、私は一口も食事を口にしていない!お前の舌と唾液しか! 人間の三大欲求の一つ、食欲を舐めんな!いいから早く、何か食わ せろーー! 381 ROUND10:野獣騎士夫婦の夕食︵前編︶ そう、私はお腹が減っている。 久々に身体を動かしたり、野外プレイ突入を断固阻止したりと、大 量にエネルギーを消耗したのだから当然だ。 が残念なことに、私の空腹の叫びは、沸騰した夫に完全スルーされ た。 ﹁姫、はぁ、⋮⋮っ、!!﹂ ﹁ぅ、⋮⋮ぁあ、あ、ぐ!!﹂ 指跡がバッチリ残りそうな食い込み具合で腰をガッチリ縫いとめら れ、巨大化した塊がググ⋮⋮ッ!と容赦なくのめり込んでくる。 いやいやありえない、ありえないから⋮⋮! まだ互いに一枚足りとも脱衣していないというのに、どうしてこん なに体内にのめり込んでくるんだ?!このまま下着ごと押し入って きそうな勢いだ!布すら突き破りそうな硬度ってどんだけなんだ? !妻として大いに逆ギレしたくなってきた! 強烈に押しあてられた場所が何度も息を吹き込まれたかのようにじ 382 わっと熱く淫らに湿って、夫のソレが大暴発寸前だという事を非常 に生々しく伝えてくる。 強引に下着に割り入ってきたゴツイ指が性急に花心を弄ってきて、 ぴちゃ、というこちらとしては大変都合の悪い嫌な水音が鳴り響い た。 ⋮⋮マズい。非 常 に、マズい。 っひ⋮⋮めと掠れた低音を吐き出す夫の喉仏が、ごくりと大きく大 きく動いた。 噴き出す欲情でドロドロの目が明らかにこう告げている。 貴方も⋮⋮私に、飢えて、いるのですか、と。 いやいや違う、違うから!勘違いするなぁ⋮⋮! ちょっと身体が反応してるからって、別にお前のコレを早く挿れて 欲しいとかそういう意味では決して、ない! 最近濃ゆく長∼く口付けされたり、身体中揉まれたりするとすぐ潤 うのは、ただ単に新婚蜜月特有の条件反射であって、私にこんなと ころで夫婦の営みをおっ始める趣味はない!ないったら⋮⋮! そもそもこの、餌を前に涎を垂らす犬みたいな自分の身体の反応に、 毎回どれだけ私がいたたまれない気持ちになるか分かるか?!塩大 量にぶっかけられて水たまりと化してそのまま大気へと還りたくな るほどの、この恥ずかしさが⋮⋮! 383 自分の肉体にいとも簡単に裏切られた屈辱にプルプル震えていると、 耳元で逆巻く情欲にうち震えた掠れた吐息と姫⋮⋮と熱っぽく私を 呼ぶ声が熱くかかり、直後ビッ︱︱!と細く甲高い音がした。 え⋮⋮と音の発生源である下の方に目を向けると、ドレスの下衣が 思い切り捲りあげられた自分の下肢には、下着が、どこにも、無か った。 ええええええ!!き、消えたァ⋮⋮?!どこいった?! 音からして引き千切られたとしか考えられない音だが、夫の手に無 いという事は、床にでも落ちているのか?! 消失した下着を追うべく視線を床に向けたら、ガチッ!と火傷しそ うな熱さの巨大な何かが股に押し当てられる感触がして、全身が硬 直した。 あ、マズ、と焦った直後、グ、ッブゥ⋮⋮ッ!と凶悪に反り返った 夫の先端がガッポリ沈みこむ卑猥すぎる音が耳を容赦無く犯した。 っっぁあああーーーー!!!! ぅうう⋮⋮!!早、早すぎる⋮⋮!っ、いつの間にソレをホルスタ ーから取り出したァ?!お前は早撃ちガンナーか?!しかもなんと いうドンピシャな照準精度!⋮⋮などと褒め称えている場合ではな い! 384 さっきから何も食べてないと言っているのに、オイコラ、コレが私 の夕食か?下の口にあーんした覚えは一切無いぞ! だが我が夫は、是が非でも己の出来たて熱々の肉棒を私の下の口に あーんしたいらしかった。 ド鬼畜な本性丸出しで、閉じられた襞と襞の隙間をミチミチと強引 に押し開き、滾りに滾ったソレを猛烈にギリギリ捩じ込んできた。 ﹁んンっっ!!!ああ!!ちょッ、バカ、者⋮⋮!!あ、ァああー ーッ!﹂ ﹁っあぁ、ひめ、⋮⋮早、く、私を、全、て、呑み込んで、くださ、 ﹂ ﹁んあ!!ム、リ、無理だッ!大き、すぎ、る⋮⋮っダメぇ!!や め、ッ、あぁんッ、ぁああああ!!!﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮⋮⋮ッッ︱︱︱︱!!!!﹂ んぎゃああああ!!またしても例のブツがググッ⋮⋮!!って、巨 大化したーー!! もういい、もうやめろォ!!無理無理無理無理やめやめやめやめ! !んっっぎゃーーーー!!!! 385 息荒く妻の腰を己に引き寄せ、ありえないほど巨大化したソレを、 いたいけな妻の体内の奥深くにズッポリ埋め込まんとする夫。 分厚い鉄板のごとき夫の胸板に両手をつき、ぐぎぎぎと身体を持ち 上げて、なんとか極太棒串刺しの刑からの執行猶予を手に入れよう とする妻。 まだサービス第一弾だと言うのに、新婚激甘なはずの食卓が、食う か食われるか?!手に汗握る肉と肉の大混戦・激闘!!エロサバイ バルスタジアムへと変貌した! ﹁んッ、は⋮⋮!ひァッ、あ、ぁ、ン、ん︱︱︱︱っっ!!﹂ 狭い体内を突き進まんと夫のゴツゴツとしたものが閉じた肉をゴリ ゴリミチミチと掻き分け、体内に徐々にのめり込んできて、息が、 出来な⋮⋮!! それでも侵入を阻止せんと必死に身体を引き上げようとしたら、ガ ッと背を獰猛に掴まれ、そのままテーブルの上に押し倒された。 ガシャガシャン!と卓上で皿がぶつかり合う音とともに、膝を思い 切り抱え上げれられ、夫の硬く重い身体が腰に伸し掛かってくる。 無駄に空気を読みすぎる配下の者達によって孤立無援の状況となっ た私は、 386 まさに身一つで、 脂汗をたらしつつ、 欲情ダダ漏れの夫に一人、立ち向かうしかなくなったのであった。 387 ROUND11:野獣騎士夫婦の夕食︵中編︶ っっぅあぁああああーーーー!!ッッく、ぅぁあ⋮⋮!バ、バカ、 やめッ、そんなの挿れられたら、本気で裂ける⋮⋮!死ぬ死ぬじぬ ーー!! 挿入しょっぱなから体裁もへったくれもなく、無様にも大泣きした。 真面目に目から滝涙がゴーゴーと⋮⋮! 無理!ホント無理!ちょこっと挿れられただけで入り口がビッシビ シいってるし! 身の危険を感じる余り、お尻がフルフル震えてキターーーー!! だが本性=ド鬼畜な夫は、妻が激涙目でプルプル震えているという のに、更に獰猛に息を荒げ、容赦なく全体重を乗せ、その頑強な腰 をジリジリと股に押し付けてきた。 ビンビンに怒張して反り返った性器がミ、チッ⋮⋮ゴリッ!と押し 込み強盗のごとく押し入ってこようとする動きに、噴水のような冷 や汗が背中にドドッ⋮⋮!と吹き出した。 ちょ⋮⋮!待てぇええ!た、頼むから、どうか察して欲しい、ソレ はココには入らない!もう一度言う、ソレはココには入らない⋮⋮! 388 しぼ ⋮⋮誠に恐れ入りますが、本日の営業は終了いたしました、もうち ょっと萎んだらもしかしたら入るかもしれないから、またのご来店 を心よりお待ち申し上げます⋮⋮!! ただでさえ常時より怒張率がアップしているというのに、お尻が硬 いテーブル押し付けられているせいか中が狭窄としててんで入らず、 浅い部分にゴツゴツブチ当たって痛い。 ぅあ!肉、裂ける!んあ!ちょちょッッ、張りに張ったエラ部分で グチュグチュゴリゴリ凶悪に抉ってくるなァ⋮⋮!! 当然の正当防衛として、なんとか照準だけでもズラそうと必死に腰 を蠢かしたら、 ﹁︱︱︱︱ッッ、ぁ、あ、ひ、め⋮⋮⋮⋮っっく︱︱︱︱!!﹂ ﹁ぇ、ぁ!んンッ⋮⋮!!あっ、ぁああ⋮⋮ンっ⋮⋮!!﹂ 埋め込まれた先端からブシュッーーッ!!と熱い熱い粘液が吐き出 され、接合部からビシュッと勢い良く跳ね跳んだ。腿とお尻にもっ たりと垂れていく感触。 肩を震わせ、熱情をギリギリと噛み殺し、狂おしく見つめてくる夫 の瞳に、全身が沸騰しそうになる。 マ、ズい、本当に、マズい、このままじゃ、楽しく和やかな筈の夫 389 婦の食卓が、熱々ジュワーッな料理を我先にと奪い合う大混雑ビュ ッフェと化してしまう⋮⋮!! お、落ちつけ!流されるな!暴走夫には更なる餌でこの場を凌ぐし かないと何度も学んだ筈だ! 心情的にはキリッと凛々しく、現実的には大変情けない涙目と喘ぎ 声で必死に夫に訴えた。 ﹁っぅ、グ、ラン!せっかくお前の為にッ、お前が喜ぶと思って、 沢山サービスを考えたのに、私のサービス、もう、っく、要らない のか?!﹂ ピタ⋮⋮!と体内への猛攻が、止まった。 夫がガタガタ震える手で私の腰を鷲掴み、っぁ、ひ、め⋮⋮!と今 にも死にそうな苦悶に満ちた低音で呻いた。 もう心臓バックンバックンで、頭がグラグラ煮だりそうだったが、 無茶苦茶大きく押し広げられ、無理!絶対無理!と熱いSOSを訴 えてくる蜜口の平和を守る為、全身全霊で闘った。 ﹁思いッきり、サービス、するから⋮⋮!っぁあ!お願い、だから ⋮⋮!﹂ ﹁ッッく、は、ひ、め⋮⋮⋮⋮!ぁあ!﹂ 390 夫がガタガタ震えながら、歯を食いしばり、必死に挿入を耐えまく っているのがビンビン伝わってくる。 ッッく!よし、もうひと押し、か?!こうなったら、最後の切り札 だ! ﹁あ⋮⋮愛してる、から⋮⋮⋮⋮っっ!!﹂ ﹁ッッ、ぁ、ひ⋮⋮⋮⋮め︱︱︱︱!!!!﹂ ﹁ぇ、ふぁ!く、ァッ!ッぅぁ!あァああ⋮⋮!あ、ぁああァあ⋮ ⋮⋮⋮!!!﹂ 突如として筋骨隆々の腕に下半身を力強く抱え込まれ、ゴ、リゴリ ⋮⋮ィッッ⋮⋮!!と狭い膣内を剛直が無情に体内を突き進んだ。 ﹁ッ、あァ⋮⋮⋮⋮!!ッふぁ!!ァ、ああぁああーーーーッ!!﹂ ﹁あぁ、ひ、め⋮⋮ッ、あ⋮⋮⋮⋮っく、はっ!!﹂ ズブズブズブゥ⋮⋮!!と熱い塊が肉を無理矢理掻き分け、奥まで 一気にズブン!と捩じ込まれ、しまいには下腹部を重苦しくググと 突き上げた。 内部を卑猥に擦り上げながら強引に突っ込まれた衝撃にジーンと痺 391 れ、頭が真っ白だ! グランも同じく、猛々しい剛直をミッチリ私に埋め込んだまま、忙 しなく不規則に低く唸りながら、しばしの間、動きを完全に止めた。 ﹁ぁあ、姫⋮⋮⋮⋮ぁ、は、ッ、く⋮⋮⋮⋮ッ!﹂ まだ全然馴染んでいない中をズズと引き抜かれ、内部の肉が引きず り出される感触に、脳天からビリビリと熱い衝撃が走ったのも束の 間、また一気にズ、ブチュン!と深く重∼く埋め込まれ、声なき悲 鳴が喉から飛び出た。 テーブルマナーもへったくれもなく、飢えた獣が生肉にかぶりつき、 ぐチュッ!ガボッ!!ビシュッ!!とガツガツグチャグチャ咀嚼さ れ、悶えまくった。 ﹁ぁッ、あ!!ぁひ、ンッ、はッ⋮⋮ぁッ⋮⋮はァん⋮⋮!!﹂ ﹁ッッ、は、く、っひめ、!!﹂ より深い結合を求める夫に腰ごとガッと持ち上げられ、発火しそう な凄まじさでグチャグチャ!グプグブ!!と捏ね回される。 食器が激しくぶつかり合うガチャガチャ音が徐々に遠のき、いつも の甘く熱く重い衝撃に全身を強烈に支配される。 392 出来たて熱々の肥大化したものが下腹で思い切り暴れまわっている 為に、なんだかリアルにお腹一杯になりそうな私だった。 393 ROUND12:野獣騎士夫婦の夕食︵後編︶ さすがは新婚、濃厚かつ激アツな、大満足ディナーだった。 極限までとんでもなく張り詰めたものが奥まで埋め込まれ、グチュ ッ!グチャッ!と大変力強く掻き回され、中を熱くドロドロにされ まくった。 冗談抜きで胃が迫り上がり、物凄い満腹感に襲われる。 いきなり腹十二分目で、胃もたれ・胸焼けを起こしそうなレベルだ。 ﹁っぁあひめ、ひ⋮⋮め、くッ、は、美味しい、です、か﹂ 食卓だけに、まさかのお味はどうですか的展開が、キターー! ぅう、ぁ⋮⋮!!こっちはただ咥えるだけで精一杯、息も絶え絶え に大悶絶中だというのに⋮⋮! こんな過酷な状況で悠長に食レポなどやってられるか!ここは断固 キッパリ、拒否らせてもらう! ﹁ッんは⋮⋮!ぁ、お、美味、しく、な、ッ⋮⋮あ、あぁあーーッ !!んくッ!ちょッ、ヤ、やめ⋮⋮ッあ!ひッ、んッは⋮⋮!っあ ん、あん、ヤ、ダ、ぁ⋮⋮⋮⋮!!﹂ 394 拒否る最中にビンビンに反り返ったモノで奥の奥をゴリッゴリこす られ、全身震わせて大泣きしながら喘ぎまくる羽目に陥った。 これでも断固、キッパリと、拒否ったつもりですが、なにか? ﹁ぁあ⋮⋮⋮⋮姫、ですが、姫のこちらの口は、とても、美味しい と⋮⋮っく、貪欲に、しゃぶりついて私を舐め回し、もっと欲しい、 と絡み、ついて、ッ﹂ ぅッッあぁああああーーーー!!かなり臨場感に溢れまくった食レ ポ、キターー!!誰も頼んでないのに! い、言うなぁ!それ以上、言うなぁあーー!!これ以上、私を号泣 させるんじゃない! 毎晩体中捏ねられて、おっきくてぶっといのをズッコンバッコン入 れられてたら、身体が勝手にそうなっちゃったんだもん⋮⋮! あああ!!﹁だもん﹂てなんだ、我ながら気色悪いな!体内だけじ ゃなく脳まで相当犯されてきた! ﹁っく、ひめ⋮⋮⋮⋮貴方とこうして、睦めるのなら⋮⋮生涯、食 事など、要りませ、﹂ ﹁あ、はぁ、グラ、ッイ、⋮⋮はあっ、イッぁ、お腹、一杯ッ、欲 395 し⋮⋮っ、んァ!あぁあん⋮⋮!!﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮ッッ!!ひ、め⋮⋮⋮⋮!!﹂ ﹁ッッ!!んァ、あああーー!!﹂ おかしい、懸命に﹁いる!ごはん、いる!お腹一杯、欲しい!﹂と 訴えたつもりなのだが、なぜか夫の攻めが更にハードに獰猛になっ た。 ガッチガチでパンパンなモノを、火を噴きそうな勢いで奥までグッ チャグチャに突っ込まれると、思考がいとも簡単に吹っ飛んだ。 机のガタガタ音が、ガガガガガ!とテロリストによる機関銃乱射音 並になった。 ﹁っは!ひ、め!⋮⋮ひめ!!ぁ、はぁ、ッ︱︱︱︱く、あぁあ! !﹂ 巨根がゴリゴリと最奥を掻き分けてきて、その逞しすぎる全長でも って、ズップリと下腹を強烈に押し上げ、呼吸が一切奪われ、もは や呻き声しか出ない。 ﹁っぁ!ぅ、ぅう⋮⋮⋮⋮ッッ!!﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮ッッ︱︱︱︱ひ⋮⋮⋮⋮、め!!﹂ 396 下半身をガッチリ抱え込まれたまま、ガチガチに硬い夫の身体が更 に強張り、猛烈に押し上げられた奥壁に熱い飛沫が一気に雪崩打っ て大量にドブドブと注がれた。 机の物凄い騒音が急に止み、押し殺した荒い息と血が燃え盛るよう な熱い視線が降ってくる。 ドクンドクン⋮⋮!といまだ体内で小爆発が起こる振動が、全身に 波紋のように広がった。 こうして、私の空腹は夫によって、充分たっぷりと満たされたので あった。 ⋮⋮というオチでスッキリ綺麗に幕を引きたかったのだが、こうい う状況で我が夫がたった一回で済む筈がない。 放っておいたら、夫のコレを延々と食べ続ける羽目になる! 姫、ひ、め⋮⋮ぁあッとなおも張り詰めた灼熱でグチャッグチャッ と凶暴に抉られ、最奥で吐き出されたものが掻き出され、お尻を伝 って机を汚した。 腰を打ち付けられるたびに、腰がヌルヌルと滑りそうだ。 あぁ、神聖な食卓が、卑猥な粘液でベタベタに⋮⋮!! 397 ﹁グラ、ぅ、やめ、ッ⋮⋮!机、汚れ⋮⋮ッ!﹂ そう叫ぶと、両膝を抱え込んで獰猛にガツガツと私を貪っていた夫 の動きが、ピタ、と止まった。 そして﹁分かり、ました﹂と例のごとく全く分かっていなさそうな 低い呟きが、聞こえた。 ⋮⋮嫌∼な予感が、した。勿論、当たった。大当たりだった。 下半身を抱き込まれたまま、唐突に両腰をガッと掴まれ、夫に抱き 上げられた。⋮⋮繋がったままで。 重力でお尻が一気にずり下がり、夫の巨根がズ、ブン⋮⋮!と更な る奥へと突き刺さり、脳天が清々しくブッ飛んだ。 ⋮⋮っっぎゃぎゃああぁああーーー!!ななななんだ、この格好は ーーーー!? 両膝抱えられてぶっ刺さったまま夫に抱き上げられるという、夫婦 の閨史上前代未聞、世にも恐ろしい状況に、世界最大級の絶叫が私 の脳内で響き渡った。 398 ROUND13:野獣騎士の立食 膝ごと腰をガッツリ抱え込まれ、身体の重みで下半身がグッサリ串 刺し状態、早くもアーッ!状態に⋮⋮! 心臓飛び出て思考がブッ飛び、真っ白な天国だか地獄だかの風景が 垣間見えた。 こんな格好絶対ヤだ!と全力で叫びたいのはやまやまだが、もはや 嗚咽と喘ぎしか出てこない。 ﹁ッ、うぁ、あぁあーーーー⋮⋮ッッ!﹂ ﹁くッ、はっ⋮⋮ひ、め︱︱︱︱!﹂ 戦闘開始直後から、逃亡不能で戦闘不能の二重苦に陥った。 はたまた逃げられない・どうしようもない・やられ放題の三重苦の 華麗なるプレリュードなのか。 無条件降伏するなら今でしょ!と大変ご利益ありそうなトレンドな 助言が脳内のどこかから聞こえたような気がした。が、 ﹁っあ!!あっ⋮⋮あぁああーーーーッッ!﹂ 399 ッ深⋮⋮!挿れ過ぎ!奥、入り過ぎだ⋮⋮! お腹にジーーンって、物凄い衝撃が⋮⋮ッ!ううぅ∼∼! 己が発する大絶叫で、今自分がどれだけマズい状態にいるのかがよ ∼く分かる。 ッく⋮⋮これはもう、今回は夫の大勝利、私のコールド負けってこ とで、即戦闘終了という事でいいんじゃないか?と私にしては珍し く早々に完全敗北宣言を発令しようとしたのだが。 猛烈に腰を引き寄せられ、ここまで挿れる必要無いんじゃないかと 激しく思われる一番ぶっとい根本までガツン!と狂おしく体内に埋 め込まれ、全力でそれどころじゃなくなった。 んっっあああーーーー!!し、死ぬかもしれな⋮⋮!特注ビッグサ イズの死亡フラグが今、体内にビンビンにおっ勃った⋮⋮! 全身に大激震が直走り、ガックガク、頭が人智を超えた衝撃を吸収 しきれず、軽く錯乱し始めた。 ああ⋮⋮このままグラーーッと地面に激突してどこか遠い異世界へ トリップし、ドキッ!☆イケメンだらけの逆ハー世界へようこそ! と熱烈大歓迎を受け、﹁こんなの望んでないから!勘弁してくださ い⋮⋮!﹂と言いつつも、ちゃっかりめくるめく愛と官能の世界︵ ガッツガツの複数プレイ的な意味で︶へれっつらごーしそうだ! 400 ヤバい、思考が史上最高にありえへん世界になってキターーー! ﹁っぁあ、ひ、め、姫︱︱︱︱!!﹂ 頑強な腰にお尻をガツン!と突き上げられ、目から流星群が飛び出 した! 腰が激しくバウンドし、体内のものがズボボ⋮⋮ッ!と抜けたかと 思ったら、すぐに絶望的な深さでズブズブズブゥッ⋮⋮!としっか り埋め込まれ、そのたった一回で、何もかもブッ壊され、全部綺麗 サッパリブッ飛んだ。 床に足がついていないせいで、貫かれる感が無茶苦茶半端ない。今、 私の身体の中にぶっとい稲妻が落雷したのか、局地的に!?真面目 に耐えられな、っァあああーー⋮⋮ッッ!! 息荒く熱く濡れた口付けが降ってきて、厚い舌がぐちゃぐちゃに絡 まってきて、頭が高熱に侵される。 下腹まで凶悪に圧迫してくるゴッツイものにグニッグリリッ!と捏 ね回され、唐突に、自分では全然どうしようもない、物凄い絶頂感 が全身を突き上げた。 ﹁あ、ぁ、ひッ⋮⋮ひィん⋮⋮!!ぅぁあっ、も、う、ぁッ!ぅう ∼∼∼∼ッッ⋮⋮⋮⋮!!﹂ 401 何がなんだか分からないまま、夫の腕の中で身体が勝手にビク⋮⋮ ッ!ビックン!と何度も跳ねまくって何度も爆発した。 強引に激しく引っ張られるような感覚が延々と続き、それに耐える 為に噛み締めた奥歯がガチガチと音をたてた。 ﹁っぁあ、ひ⋮⋮め︱︱⋮⋮ッッ、は!!﹂ ﹁っん、んんっ!グラン、んは、ぁ、ふァ、ぁ︱︱︱︱ッ!!﹂ ヒクヒクと体内が猛烈に縮み上がり、夫の逞しい男根をきつくきつ く締めあげた為に、恐ろしいほどに圧迫された接合部がガガガッ! と熱く燃えた。 全身天に召されたまま、逞しい肉体にギリギリとしがみつき、大き く喘ぎながら必死になって激しい責め苦に耐えた。 ﹁ッッ⋮⋮⋮⋮!!あぁ⋮⋮ひ、め、くッ、は⋮⋮ぁっ、たまらな、 い、はぁっ、ここ、が⋮⋮良い、の、です、か﹂ ﹁っアぁ!!ん!あぁ⋮⋮っ!!ダ⋮⋮メ、や、んんッ!!ぁっ︱ ︱ッあッ︱︱ぁああーーっっ!!﹂ 奥に獰猛に食い込んだ怒張の先で腹部の下をグニグニと押し上げら 402 れ、さっきよりも更に熱い快楽がすぐに迫り上がって弾け飛ぶ。 ぅ、あぁ!!腰がガクガク、腕も手もガタガタ、喉までヒックヒッ クしてきたーー! ヘルモードの夫にガッツンガッツン攻められまくって、グチャッ! ビシュッ!グチャッ!と地獄のように貫かれる。 互いの腰が振り子のように忙しなくぶつかり合い、びしょびしょの 股と股が激しくぶつかり合い、結合部が業火を吹いた。 ﹁ひ、ン!ぁ、ふ!⋮⋮アッ!あっ!ぁッ!ぁあ⋮⋮ん!あぁっ、 あッ、あ!!﹂ 最奥を突かれる度、狂いそうなほど襲ってくる絶頂の波に腰が砕け、 しまいには夫の分厚い胸板にぐったり倒れ込んでしまった。 そのままメチャクチャに突きまくられ、身体がガクガクのまま、壊 れたように大音量で喘ぎまくり、夫の首にかじりついて泣き喚く。 ﹁っ、ぁあ、ひ、め⋮⋮姫!!﹂ ﹁や、やぁッ!ッひ!はァン!あァん!!⋮⋮うっ、ぅ、あ⋮⋮あ ⋮⋮っ!﹂ ﹁くはッ!!はァっ、ひめ、も、う︱︱︱︱っ﹂ 403 ﹁あっ、あっ、ダメ、ッ!だ、め⋮⋮っ、ま、た⋮⋮っ、ダメ!! あっ、ぁああん!!ん、ンんッ、んんーーッッ!!﹂ ﹁⋮⋮ッ!︱︱︱︱あああっッ!!﹂ 最奥をガボォッと激しく押し上げられた瞬間、ビシューーッと熱い 愛液で下腹をビショビショに濡らされた。 泣きたいほどの激しい悦楽の痺れが全身を貫いて、しゃくり上げ、 全身の痙攣が一向に止まない。 未だジンジン熱く爛れ痺れる内部が夫の怒張に狂おしくしがみつき、 ひくっひくっと締め上げてしまい、結合部から精液が溢れだしてベ ットリと内腿を汚していく。 きつく抱き上げられたまま、力無く喉奥から漏れ出る甘い喘ぎを、 熱く乾いた唇にきつく塞がれた。 404 ROUND14:野獣騎士の完全奴隷化計画 ぅう⋮⋮まだ中がジンジンする⋮⋮! 湯浴みをしても、あのお腹までグチャグチャ突き上げられまくった 熱い衝撃がまだ体内にガンガンに残っている。 あの後、なんとか夕食にはありつけたが⋮⋮それまでが、非 常 に、長かった。 ﹁あああっ︱︱!ひ⋮⋮あ⋮⋮ぅあ⋮⋮!あ、んあん!あんんッッ !!﹂ ﹁っ、ぁあ、ひめ、もっ、と、ぁあ⋮⋮私を、感じて、ッくださ、 い﹂ ﹁く⋮⋮あ、ひッ!凄、ッ!あ!ダメ、ぁダメっ⋮⋮!あ、あっ、 ぅうーー⋮⋮ッ!!﹂ ﹁あ、なん、て、あ、ッッく︱︱︱︱ッ!!﹂ という感じで、空中稲妻落としをされながらノンストップでガツガ ツ食われまくり、ビショビショ大洪水の濡れ場が延々と続いた。 今回は私の惨敗だった。 405 ケイナの発案で夫を下僕化する勢いで挑んだら、私が完全奴隷化し た。食堂がワイルドな野生のサファリ王国化してしまったのだ。 ブルブルブル、今思い出しても身体の内側に震えが来る!恐ろしい 事に、最大の弱点を夫に知られてしまった! あ、あの体勢はダメだ⋮⋮!!抱き上げられたまま深く埋め込まれ、 腰と臀部をガツガツ揺すられてしまうと、お腹の底からヘンな悶え とガクガク絶頂が収まらず、しまいには夫の腰に足をきつく巻きつ け身も世もなく善がり狂ってしまった。 ただでさえ日々夫の激愛に押されっぱなしだというのに、私を即陥 落させる超必殺技を手に入れてしまった夫。今後の夫婦生活が更に 夫優勢になってしまった⋮⋮! 激しい食前の運動に体中ギッシギシだったが、湯浴みを終えたらか なり回復した。 さすがに夫へのサービスは食堂のアレでもう充分だろう。今夜はも う身も心も安らかに眠りたい。 そう思いつつ、ケイナが手渡してきた夜着を手に取ると⋮⋮例の、 夜着だった。サービス第二弾の。 ﹁ケイナ、もう普通の夜着でいい﹂ ﹁あら姫様、志半ばで諦めるおつもりですか?グラン様籠絡まであ 406 ともうひと押しですわよ!﹂ ﹁はああああーーーー?!﹂ 思わず全裸で叫んでしまった。ま、まさか、満身創痍のこの私に、 作戦第二弾も決行しろと!? いやいや、ありえない、ありえないから⋮⋮! ﹁もう無理だ、私を殺す気か⋮⋮!?それに例の安全対策はいった いどうした!?ピンチには即駆けつけるんじゃ無かったのか?﹂ そうまくし立てると、1ミリも隙のない、侍女として優秀極まりな い満面の笑みが返ってきた。 ﹁あら姫様、ドア外で一同、中の様子をうかがっておりましたけれ ど、とーってもお喜びになられている姫様のお声がしっかり響いて 参りましたわよ?年若の侍女達には目の毒、いえ、耳の毒でしたわ ね。漏れ聞こえた衛兵達がどこかに慌てて駆け込む有り様でしたわ。 あの激しい夫婦愛を確かめていらっしゃる最中に突入するのはむし ろKYかと。グラン様も大ッ変、喜んでらっしゃるご様子でしたし、 ここで手を緩めてはなりません!猛獣使いへの道は一日にしてなら ず、一気に畳み掛ける最大の好機ですわ!﹂ んんっっぎゃああーー!!ド鬼畜!野獣世界最強の、モノホンのド 407 鬼畜がここに、居た⋮⋮!! てか救助する気がないのならわざわざ聞き耳立る必要なかったんじ ゃないのか?!ケイナだけならまだしも、あの乱れに乱れ、淫ら極 まる嬌声が丸聞こえだったとは!あぁあ⋮⋮今すぐ他国へ出奔した くなってきた!! だが彼らも仕事で、主の状況を逐一把握し、後の行動を推測し、先 手を打って手配やら指示やらしなくてはならないという責務がある のは分かってはいる。ぶっちゃけ、あんな場所ですべきでない事を おっ始めたこちらに否があるのだ。 しばらくケイナと激烈な問答を繰り返したが、結局負けた。実はケ イナに口で勝てた事はない。 仕方なくソレを着ようとしてその前に下着を要求したら、﹁必要あ りませんわ﹂と一笑に付された。はああああーー?! 実は薄衣の下に下着をつけるかつけないかは、事前に私と百戦錬磨 侍女との間で熱い熱い攻防戦が繰り広げられた。 NO!下着!と激しく主張する侍女と、NO!変態!と頑固一徹に 叫ぶ私。 結局平行線のままで終わったが、私の身の回りの世話を一手に握る ケイナに抗える筈もなかった。 という訳で、夜着のみを着る羽目になった。 408 その夜着というのも、明らかにいやらしい、いやらしすぎる。 スルッとした滑らかな肌触りの夜着なのだが、相当透けていて、丈 も秘部をかろうじて覆うほどに短い上にヒラヒラとしていて、大変 心許ない。 裾の部分が繊細なレース編みになっていて、かろうじて卑猥な部分 は見えづらいのが救いだが、胸は相当透けてしまっている。 こんないやらしいものを着るくらいなら裸の方がマシだ!と叫んだ ら百戦錬磨侍女に大層嘆かれた。 曰く﹃姫様は男心を全ッ然分かってません!これは裸とは全然別物 です!全くの別次元です!﹄と叫ばれた。 ああ⋮⋮こんなのを着てグランの前に出たら、生贄の羊以外のなに ものでもない⋮⋮!大出血大サービスにも程がある! ああ⋮⋮今夜は、死ぬ、かも知れん⋮⋮!! 409 ROUND15:野獣騎士の甘い夜 謎だ。男が喜ぶポイントというものが、私にはイマイチ理解できな い。 果たしてこんな格好で喜ぶものなのか。 甚だ疑問に思いつつ、夫婦の寝室へと入ると、私の姿を目にした途 端、寝台の上のグランが一瞬で固まった。今までで一番最高の硬度 かもしれない。 ﹁ひ、め︱︱︱︱﹂ 瞬きすらせず、ガッツリ視姦された。熱視線が剣山のようにザクザ クと刺さって痛い⋮⋮! そしてなんだろう、このゾクゾク来る武者震いは⋮⋮まるで熱気渦 巻く戦場の只中にパジャマ︵防御力3︶と枕︵攻撃力2︶とぬいぐ るみ︵運1︶装備で放り出されたような、この凍えんばかりの絶望 的な無防備感は。 被食者的立場として、本能的に自分の身体を抱きしめた。下着をつ けていないのが心許なくて、内腿を何度もすりあわせてしまう。 と、夫の身体からブッ⋮⋮ツン⋮⋮!!ととんでもなくぶっとい何 かがブチ切れる音がした。 410 寝台から降り、じり、じり、と目の前に迫ってくる。ぅあああっ、 怖い、怖いからーー!! ﹁ひ、め、そ、の、お姿は﹂ ﹁サービスすると、言った!﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮ひ、め、あぁ、見せて、ください﹂ ﹁えっ、ぁ⋮⋮⋮⋮っ⋮⋮ぁ!﹂ 身体を隠していた両手首をガッと捕らえられ、ギギギと両脇へと追 いやられた。 燃え盛る漆黒の瞳が、私を舐めるように蹂躙していく。 焦げ付くような熱視線が目から唇、首筋から鎖骨、そして形が浮き 彫りとなってしまっている胸へと灼熱の温度を残しながら伝い降り ていく。 恐ろしいほどの獰猛な熱視線で見つめられて、ちょっと身の危険⋮ ⋮いや生命の危険すら感じるレベルになってきた。ちょ、ちょっと サービス過剰だったか? ﹁⋮⋮⋮⋮ッ﹂ 411 ﹁ッ、あア⋮⋮っ!﹂ 突然薄い夜着の上から大きく胸を食べられた。 いつもより強い。薄布が破けそうだ。透けた衣の下の乳房が卑猥に 形を変えていく。 その様を焼けつくように見ていたグランは大きく唸り、突然私の腰 を抱き、子供のように軽々と抱き抱えた。 そのまま寝台へと運ばれ、すぐに厚く硬い身体に重く伸し掛かられ る。 ﹁っ、姫⋮⋮ひめ⋮⋮っは、﹂ ﹁あっ⋮⋮あっ⋮⋮!﹂ 胸元をきつくしゃぶられて、唾液でぺっとりと肌に吸い付いて肌の 色と質感まで浮きあがらせ、余りの卑猥さに直視できない。 落ちてくる吐息と蠢く手のひら、私を押しつぶす硬い肉体が熱すぎ て、私も息があがり、激しく胸を上下させた。 忙しない熱い息が、這いまわる唇とともに下肢へと性急に降りてい くのを感じる。 っあ、マズい⋮⋮まださっきのとんでもない快感が尾を引いていて、 412 余り身体に力が入らない。 肌を降りていく熱い感触に、ん、あ!と過敏に感じまくって、狂お しく身を捩ってしまう。 そして、骨ばった大きな手が私の内腿を掴み、押し開き、夫の頭が 股間に潜ったその時。 ﹁︱︱︱︱ッッ!!﹂ 夫が呻く声がして、内腿に熱くねっとりとした液体が飛び散った。 ⋮⋮え?と足の間から覗きこめば、そこには、下着をつけていない 秘所を目にして、熱く真っ赤な粘液を鼻から噴き出す夫の姿が⋮⋮ !! っっんんんぎゃああーー!!と、とんでも大惨事、発生⋮⋮!!出 血大サービス、しすぎたーー!? 閑話休題。 結婚してからというもの、イロイロな体液の処理がプロ級になった と自分でも思う。 緊急事態を素早く察知した私は、神速でサイドテーブルに手を伸ば し、夫の鼻にタオルをムギュ!と押し付けた。その間僅か三秒。我 413 ながら凄い。 俯く夫の頭に手を伸ばし、優しく撫でた。 ﹁だ、大丈夫か?﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮⋮⋮﹂ ﹁その、あー﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮⋮⋮ッッ!!﹂ ﹁え?!っっあ︱︱︱︱!!﹂ 唐突にガプッ!と大きく銜えられた。足と足の間を。んんぎゃああ あーー!! 肉厚な舌がぱっくり開いた場所をメチャクチャに舐めしゃぶる。 唇を強く押し付けられたまま、舌が中に押し入ってきて、熱い刺激 に下腹が収縮した。 ベチャクチャと舐め続けた後、息荒くググ!と両足を更に押し開か れた。 夫の腰が両足に割り入り、つぷッッ!と何かが蜜口に引っかかり、 ついでグチュゥと滾ったものを嵌めこまれそうになって、全身が震 撼した。 414 ﹁っあ、ダメ、だっ、グラ、ン⋮⋮!!も、無、理!﹂ ﹁っっぁぁ、ひめ、私も、無理、で、す、ぁあ!﹂ ググと物凄い圧力で内部に押し入れられそうになって、必死に脚を 閉じて拒んだ。 っは、ダメだ、さっきの凄いプレイの余韻がまだ体内に残っていて、 挿入れられただけで全部ぶっ飛んで気が狂う、絶対! ﹁挿れ過ぎ、だ!これ以上したら、もう、しばらくしない、から︱ ︱︱︱!﹂ ﹁ッッッ︱︱︱︱ひ、め⋮⋮⋮⋮!!﹂ ググ、と熱気渦巻く大きな先端を押し付けたまま、グランが硬直し た。 ﹁ひ、め︱︱︱︱そ、ん、な⋮⋮ッ、耐えられ、ませ﹂ ﹁ッア、あぁーーーーッ!!﹂ ミチッ⋮⋮!!と蜜口が抉じ開けられる感触に、下腹に激震が走っ 415 た。夕食での衝撃が鮮明に蘇り、夫の身体の下で思わず大絶叫した。 ﹁口で、する⋮⋮から⋮⋮ッ!﹂ ﹁︱︱︱︱︱︱、︱︱︱︱?!﹂ わあああああ!!極限まで追い詰められ、うっかり侍女から教えこ まれていたサービス第三弾が口からポロッと︱︱!! 416 ROUND16:野獣騎士の甘い甘い夜 これまで何度も我が夫の凝固っぷりを見てきた。 が、今回は最高の硬直っぷりだった。てか私も完全にフリーズした。 ここは彫刻の森か? グランの驚愕に見開いた目が恐ろしいほどにガン見してきて、顔中 蜂の巣になりそうだ。 ﹁ひ、め︱︱︱︱それは、どう、いう、意味、で、す、か﹂ え。 急にズシ⋮⋮ッと、とてつもない重力が全身に襲いかかってきたの だが。 重ッ、物凄いGだ、ありえない重量だ、このまま寝台を綺麗にスポ ーンと型抜き出来そうだ! 頭上で夫のがっしりした肩がガタタタタ⋮⋮と震えている。なんか ⋮⋮嫌な予感がする。 予想通り、夫のワナワナ震える唇が世界を破滅、いや私を破滅させ るに等しい恐怖の呪言を発してきた。 417 ﹁ひ、め⋮⋮貴方が、な、ぜ、そんな、事を⋮⋮?ど、の、男、か、 ら、教わった、の、で、す、か﹂ ッッぎゃあああああーーーー!えええーー?! ちょ、おま、いったいなんの勘違いをしている!こんな恥ずかしす ぎるピンクネタ、他の男に相談する筈ないだろうが!妄想逞しいに も程がある! だが我が夫は息荒く唇を噛み締め、その逞しすぎる上半身で私の身 体をジワジワと押しつぶした。 大変禍々しい気配が辺り一面を覆い尽くし、横たわっているという のに重力の法則に逆らって血の気が頭の天辺から爪先に向かってザ ーッと雪崩落ちていく。 で、大変重く硬い夫の身体にジワジワとプレスされながら、両手首 をガッチリシーツに縫い付けられ、首筋や肩や胸を甘咬みされつつ、 得た知識の入手ルートを非常に事細かに根掘り葉掘り一から十まで 半泣きで吐かされた。 ⋮⋮なんで毎回こうなるのか。夫婦の七不思議の一つだ。 巨大な建造物を前にして、私は途方に暮れた。 ⋮⋮これを、いったいどうしろと言うのだろう。私に。しかも、こ んな透け透けのいやらしい格好で。 418 夫の尋問により、なにがなんだか覚えていないが、何故か第三のサ ービスを実行する事になってしまった。 百戦錬磨侍女からは﹃姫様が夜毎グラン様にされているように、し て差し上げてくださいませ﹄と言われた。 要するに、撫でたり揉んだり舐めたりしゃぶったりすればいいのか。 ⋮⋮私に長く険しい砂漠を乗り越えようやくオアシスに辿り着いた 旅人になれ、と? だが目の前の雄大な景色にやや怖気づく。 改めてマジマジと見るとやっぱり凄い。 我が国の観光名所、いやパワースポット、いやいやいっそ世界遺産 にすら登録できそうなくらい壮大な光景だ。 もはや神の領域、人間が触れてはいけないものような⋮⋮見るから に触るな危険臭がする。とんでもなくハードルが高い。高すぎる。 だが、そういえば手で触った事はあった。 忘れもしない、婚約の翌朝。人生で一番疲弊しきっていたというの に、あろうことかシャワールームで半ば強引に握らされたうえに上 下に扱かされた。 419 決死の覚悟で目の前のものに手のひらを当て、スルと撫でてみる。 縦に大きく浮き出た血管にそってそのまま撫で下ろすと、突然ビッ クン!と大きく動き、思わず手を離してしまった。ちょ、突然動く な!びっくりするだろう! また触るとまたビクンと動いた。⋮⋮気持ちいい、のか? 思い切って顔を近づけ大きく膨らんだ先端を少しだけ舐めてみた。 ﹁っ⋮⋮⋮⋮あ、ひ、め⋮⋮⋮⋮!!﹂ ドゴッ⋮⋮⋮⋮! 頬に硬い肉塊がブチ当たった。 なんだこの巨大な暴れん棒は。少しは落ち着けぇ!あちこち元気に 跳ねまわって大変舐め辛い! 仕方なくガシッと首根っこを掴んで、暴れ回る恐ろしい凶器の動き をなんとか封じた。 ぶっとい根本を握って固定し、唇を押し付け舌で舐めた。 すると手の中で暴れまくった挙句、唇までベシッっと弾いてきた。 ⋮⋮⋮⋮ホントは嫌なのか?実は。なんの恨みがあって打撃攻撃し てくるんだ? 420 思ったよりも舐めるのは難しい。やはり侍女のご教授通り、口に入 れないとダメか。 だが⋮⋮⋮⋮入るのか、コレ。 試しに思いッ切り口を開いてみたが⋮⋮コレを銜えられるくらいの 大きさまで開かない。誇張ではなく。顎がぐぎッといいそうだ。こ んなに大口を開けたのは人生初だ。 なんとか先端が腔内に入った。ギリギリだ。顎が痛い。 ﹁ん⋮⋮⋮⋮く、﹂ ﹁ぁあ⋮⋮ッ!﹂ グランが艶のある呻きをあげた。悦楽に歪み、とてつもなく艶めい た表情が見えてドキンとする。 いつもは夫の激しすぎる行為を受けとめるだけで一杯一杯で、夫が 感じている様子を目にする余裕など無かった。⋮⋮なんだかすごく、 鼓動が高鳴る。 そのまま口の中で大きく舐めあげると、逞しい棹が一際大きく跳ね 上がり、腔内の敏感な粘膜をゴリゴリと擦った。 いつも私の中で、こんな風に淫らに暴れまわっているのか。 421 そう思うと、脳内が痺れ、腰がジンジンと熱くなってきた。 ﹁っんん⋮⋮ッ、んぐ⋮⋮っ﹂ ﹁っは、ぁ、く︱︱ッぁ、姫、ひ、め︱︱︱︱ッッ!!﹂ ﹁ん?!ンんんんーーーー?!?!﹂ 突然、腔内の敏感な粘膜を、熱い飛沫が激しく叩いた。 そのまま腔内どころか、喉奥まで大量に勢い良くドブドブ注がれ、 むず痒くも痺れるような衝撃が腰に走った。 ﹁んん!!んく、ぅンんーーーー!?!﹂ ッ⋮⋮く!!コレ、どうすればいいんだ? ッ、まだ出てるし⋮⋮!今、口を離したら、それこそ大噴水状態に なるんじゃないのか?! 混乱の余り腔内に吐き出された大量の、しかも舌が痺れるほど苦み ばしった粘液を保持しきれず、夫のソレをしっかりと咥え込んだま ま、思い切りゴックンと呑み込んでしまった。全部。 422 ッッンンあああああーーーー!!!美味しくない!こんな不味いの、 初めて飲んだ!! だが良薬口に苦し、健康に良さそうだ、ってちゃうわああーー!! 夫をまだ口に咥えたまま、涙目でんぅ、んんんん∼∼!!と呻いて いたら、グランが腰を引き、ようやく口から男根がグプッと抜けた。 すぐさま口元を覆い、明らかに食用じゃないものを思い切り呑み込 んでしまった衝撃にしばし茫然自失する。 ッッ、顎、痛⋮⋮!口、閉じないし! 夫の傍らで膝をフルフルさせつつ、口の端から何かの粘液をタラー ッと垂らしてしまう。 と、何故かまたしても唸りをあげた夫に押し倒された。そして︱︱ 無防備に晒された股の間に、 散々舐めしゃぶってヌラヌラと凶悪にテカる巨根をぴったりと押し 当てられ、 襞と襞の間でジュブジュブと卑猥にいやらし∼く滑らされた。 ふっっぎゃああーーーー!!え、えっ?!あぁっ!ちょ⋮⋮コ、コ 423 ラ、待てええーー!! 424 ROUND17:野獣騎士の甘い甘い甘い夜 今、私の眼前には恐ろしい光景が繰り広げられていた。 腰が半ば抱え上げられ、閉じた内腿の間から、先程口で味わってい たものが何度も何度も眼前に飛び出してくる。 確かに中には挿入っていない。そのかわり、濡れた股を剛直でヌチ ャッグチュッ!と大変卑猥な粘着音を騒々しく立てて捏ねまくられ、 その太さと硬さと熱さに早くも全身激悶えした。 蜜口の上部をゴリゴリ擦られ、火花が散るような熱い熱い電撃が走 る。 ﹁っんんっ⋮⋮!は、あ、ッ!あああぁ⋮⋮!!﹂ ぅわああ⋮⋮!!な、なんだこれはーーーー!! 中に挿れていないのに、っは、ぁ、こんなに気持ち、いい、なんて ⋮⋮!股が、熱くしびれて⋮⋮ぁあ!! ﹁っン!ふぁ!んっんっ!ぁあぁあ⋮⋮!!﹂ ﹁っはぁ、姫⋮⋮気持ちいい、ですか、ぁあ、私も、とても︱︱っ 425 ぁ⋮⋮⋮⋮!!﹂ ﹁んンッ!は、ぁッや、ぁ、ん、あ⋮⋮!﹂ どんどんヌルヌルぬめりを帯びていくそこを、ガッチガチの太いも のが何度も激しく往復していく。 滾って反り上がったものがよりべしょべしょヌラヌラになっていく のが史上最強にいやらしい。中に挿入されるより、遥かにいやらし い。 卑猥に下腹を濡らしては先端部分だけ残して引っ込み、べっとりと した愛液をまとって再度突き出される様をとても正視できない。 あぁ⋮⋮もう股が大洪水でお尻までベットリと濡れ滴っている。夫 の腰が股にブチ当たる度にけたたましい水音を立てて滑って、感じ まくってしまっている事を隠しようもない。 グチャグチャグリゴリと上下に擦られ続けているうちに、呆気無く、 本当に呆気なく、腰が勝手にガクガクと熱くなって、身体がビクビ クーーッ!と痙攣した。 ﹁︱︱︱︱ッッぁああ!!﹂ ﹁っく、ひ、め⋮⋮⋮⋮ひめ!!﹂ 426 夫が何故か歓喜に唸って、腰の動きを更に激しくしてきた。 半泣きしながら快感の強引な継続という責め苦に必死で耐える。 ぅ、あ⋮⋮!入り口が熱⋮⋮ッ!それだけじゃない、中までカッと 熱く燃え上がているみたいだ。 う⋮⋮あ!もう、ダメ、だ⋮⋮っ!中に、欲しい⋮⋮!奥まで、全 部、思い切り、入れて欲しい⋮⋮!! 恥も外聞もなく叫んだ。 ﹁はぁあ⋮⋮っ!グ、ラン⋮⋮!ダメ、だ、も、っ挿、れ⋮⋮て︱ ︱︱︱ぇっ!!﹂ ﹁ひ⋮⋮め︱︱︱︱!!ッあ、く、ぅッッ⋮⋮⋮⋮⋮⋮!!﹂ 待ってましたとばかりにグチャッと蜜口に燃え盛る杭がブチ当たり、 グボッ⋮⋮!と入り口を強引に割られた。 ジュボボボボ⋮⋮ッ!とガチガチの熱い塊で一気に体内をゴリゴリ 抉られ、熱い肉塊を欲しがって疼く最奥まで、ズドン⋮⋮!と押し 込められた。 ﹁ふッ⋮⋮あああーーーーっ!!っく、ぅうんーーーーっ!!﹂ 427 ﹁ッ!︱︱︱︱ぁ、く︱︱︱︱ッッ!!﹂ 待ち望んでいた激しい愉悦に、挿入されただけで物凄い絶頂感に押 し上げられた。 大きく弓なりに反った腰を掴まれ、地獄のように何度も貫かれ、穿 たれる。 ﹁ッく、っは、ッ、ぁあ︱︱︱︱!﹂ ﹁ンんんっッ⋮⋮!あ⋮⋮ぁ!﹂ 息をつく余裕もなく、激しく重く突き入れられ、身体が弾け飛びそ うになる。 硬くて太いものに柔い内部を壮絶に擦られ、何度も込み上げてくる 悦楽に涙が飛び散る。 その大きすぎる存在感を訴えるようにゴチュッ!ブチュッ!と激し く押し込まれ、下半身をどうしようもなくドロッドロに溶かされた。 最後は両足を抱え込まれ、奥の奥までガッツリ埋め込まれたまま、 たっぷりと吐精された。 勢いよく噴出した飛沫が最奥に飛び散って、お腹の奥が熱く震えた。 身体も頭もトロトロに蕩けて、身体がふにゃっと弛緩してしまう。 428 意識朦朧とする中、呼気荒く唇がぴったりと合わさり、ぬめぬめと 食まれた。 ﹁⋮⋮⋮⋮ッッ、ぁぅ⋮⋮!﹂ 吐き出した子種を、まだ太いままの杭で更に奥へと押し込まれる。 身体の奥でグチャッと泡立つ大量の精の感触に、またしても悦楽の 種火が熱く燃え盛った。 はぁ⋮⋮っと、どうしようもなく甘く熱い吐息が頬にかかり。 ﹁今夜も、離しま、せん﹂と濡れた低音で耳元に甘く甘く囁かれ。 うっかりうっとりこっくりと頷くと、狂おしく濡れた瞳で心の奥底 まで深く愛おしげに覗き込まれ。 結局、いつもの何倍も濃厚な、甘い甘い甘い夫婦の夜を過ごす事に なった。 429 ROUND18:野獣騎士の部下 翌朝。 父の政務補佐が終わった後、またしても裏庭の片隅で、一人黙々と 木刀を振るった。 気怠い足腰を叱咤激励しながら、昨夜の盛り沢山な煩悩を断つべく、 必死の形相で。 こうでもしないと、すぐに昨晩の痴態の数々が脳内にプレイバック しかねないのだ。 数え上げたら切りが無いので割愛するが、昨晩は爆発事故が何度起 こったことか。 思えばあれがいけなかった、自分から﹃挿入れて欲しい﹄などと強 請ってしまった事が。あれで全てが崩壊した。 一気に超濃厚ラブラブイチャイチャコースに突入してしまったのだ。 ただでさえ深く繋がっているというのに、更にきつく抱き締められ ながら超筋肉質の身体を全身に擦り付けられ、シーツがベタベタビ ショビショになるまでぐっちゃぐちゃにされた。 羽交い締めされているせいで全身のたうって快感を逃すことが全く 430 できず、震えるような悦楽が下半身に溜まりに溜まりどうしようも なくなり、思い切り甘ったるく咽び泣いてしまった。 ⋮⋮ッく!頭からシューシュー白煙がーー!これ以上思い出すと思 考回路がショートする! ああ⋮⋮結婚というものがこんなにもエロエロなものだったとは。 皆涼しい顔をして、裏ではこんなドエロい事をしていたのか。 ちょっとでも油断すると昨夜の激エロ動画が何度も蘇り、既に物凄 い再生回数となっている。 しかも温度とか匂いとか感触のリアルな再生っぷりに、朝から身体 がヘンな反応してしまいそうだ。 煩悩滅却!と稽古に励んでいると、背後から男にしては艶のありす ぎる声が響いてきた。 ﹁おや?こんなところで姫がお一人で稽古とは﹂ 今一番会いたくない種類の人間が、来た。 夫の部下、色ボケ双子の片割れ。私に話しかけるということはアス ターの方だ。女嫌いのエスターなら、間違っても私に自分から話し かけなどしない。 431 せっかく新婚色ボケを退散しようとしてるのに、色欲が服着た男に 出会ってしまった。 間違ってもこの男の前で、昨夜の濃厚な閨事の名残を微塵も出さな いようにせねば。ちょっとでも気づかれたが最後、いやらしく絡み つかれそうだ。 特に腰の辺りとか、まだ夫の剛直がみっちりと埋め込まれている感 覚が抜け切らないというのに︱︱ ッッ⋮⋮!バ、バカか私はーー!ふぁああ!逆に濃厚に思い出して しまった! ビンビンに反り返ったものにゴリゴリ擦られ、夫にしがみついてア ンアン泣き悶える動画の再生ボタンを自ら思い切り押してしまった! ぅああ!一時停止しろ!いや、誰か削除してくれーー!! ﹁体が鈍っているから、動かしているだけだ!﹂ ﹁ですが大分、お身体が気怠いご様子とお見受けしますが⋮⋮﹂ 背後でアスターがいやらしく含み笑いしつつ、私を舐めるような視 線で見ている気配を感じ、内心激しく舌打ちした。 相変わらず色事に関する察知能力がべらぼうに高い。なんという無 駄スキル。 432 ﹁そういえば⋮⋮改めまして姫様、ご結婚、おめでとうございます。 人妻 とは⋮⋮いまだ実感が湧きませんが、グラン様とは 王族として他に例を見ないほど短すぎるご婚約期間でしたね。姫様 がもう 大変、仲睦まじいご様子だとか。孤独で寂しい身の上には羨ましい 限りです﹂ なんだ、この慇懃無礼な発言は。 ちょうしょう お前の上司の暴走求愛にことごとく押し流された私への嘲笑か?い や、この享楽的な男の事だ、ただ単に面白がってるに一票、投じて おこう。 ﹁お前も結婚したらどうだ。相手は引く手数多だろう﹂ ﹁姫様とグラン様のように、誠の運命の相手に運良く出会える事は 非常に稀なのですよ。懸命に探してはいるのですが⋮⋮存外うまく はいかないものです﹂ ﹁手広く探しすぎて見落としてるんじゃないのか?まあ、頑張れ﹂ お前みたいに四方八方手を出しまくっていたら、運命の相手とやら が訳分からなくなって当然だろうと言外に思い切り揶揄しつつ、投 げやりかつ無責任な声援を送っておいた。 ﹁そういえば⋮⋮先ほどちらと耳にしたのですが、体術のお相手を 433 お探しとの事。それでしたらば、この私が適任かと。ご存知の通り、 男の弱点 というもの 私は医師の免状も持っております。人体の急所は勿論、万一お怪我 なされた場合の手厚い応急処置、なにより を⋮⋮非常に事細かくお教えできますよ?﹂ ゾックゥ⋮⋮!! 突然ヘンなゾクゾク感が背中を襲った。特に﹁男の弱点﹂とかいう くだりで。 なんでこの男はいちいちセリフ一つ一つにいやらしい響きをネリネ リ練り込んでくるのか。気色悪い事この上ない。 これ以上他の男に近寄られ、夫からの仕置きフラグを無駄に増やす 気など毛頭ない。即、断っておいた。 ﹁そうだ、軍部に女性が数名いるだろう。その中で、武術の師事が できる者の心当たりは居ないか﹂ ﹁女性、ですか⋮⋮おりますよ?なかなか見所のある人物です。我 が隊の一小隊の隊長を勤めております。ご紹介致しましょう﹂ ﹁頼む﹂ 後日、まさかこれが最大の仕置フラグになるとは︱︱この時の私が、 思う筈がなかった。 434 ROUND19:野獣騎士の部下の部下 アスターご推薦の女小隊長は、名をエルスといった。 長身細身、お肌はつるっつる、機敏で爽やかな身のこなしにハキハ キとした物言いのポニーテール黒髪美女だ。 会う前はもしやアスターのお手つきか?などと下衆の勘ぐりをして しまったが、その澄んだ翠の瞳は清純そのもの、キラキラと輝いて いる。アスターの毒牙にはかかっていなさそうだ。 ﹁姫様の剣筋って凄く素直なのに、時々予想外で面白いです!姫様 は細身でいらっしゃいますから、スピードとフェイントで隙を作り、 相手の急所を確実に狙っていく戦法がいいと思います!﹂ 我が夫と似たような事を言われ、早速実地でレクチャーされた。や はり定石なのか。 同い年のようだが、さすが小隊長を務めるだけあって、なかなか手 強い。いい鍛錬になる。 そして数日の間、外出や政務のない時間は密かに彼女と稽古に勤し み、こっそり筋トレをした。 休憩中には女子会もした。軍での我が夫の様子などを聞いてみる。 435 ﹁え?グラン様ですか?直接お話した事はないんですけど、厳格で 真面目な方だと思います。ちょっと怖いですけど⋮⋮﹂ げ、厳格?真面目⋮⋮?!誰だそれは?!別人か? ﹁寡黙でミステリアスでかっこいいです!﹂ 私の前では、奇想天外・摩訶不思議な男なのだが。 ⋮⋮完全に、我が夫の人物像が掴めなくなった。迷子状態だ。 ﹁グラン様との新婚生活ってどんな感じですか?とってもラブラブ と伺ってますけど!﹂ ﹁あー⋮⋮﹂ 実は大盛りサービスの夜以降、益々夫婦性活が激しく濃厚の一途を 辿っているのだが⋮⋮アレを巷ではラブラブと言うのだろうか。 ﹁実はこの間、軍の皆で﹃姫様がいつ頃、めでたくご懐妊されるか ?﹄という話題になったのですが、全員満場一致で﹃もうご懐妊さ れているに違いない!﹄でした!﹂ 436 ちょ⋮⋮!オイオイコラコラァーー!お前達、軍でいったい何の話 をしてるんだ?!末恐ろしい予言をぶちかますな! 確かにこのところ、私の身体から夫の子種が消え去る事がない。 毎晩毎朝埋め込まれ吐き出されるのはもはや当然の事として、全部 排出される間もなくまた新たなものを吐き出されるの繰り返しだ。 も、もしやもう、皆の予言通り、腹の中にグランの子が宿っている のだろうか。 下腹に手を当ててみた。撫でてみたり、コンコンと叩いたりしてみ た。 ⋮⋮返事がない。まだいないような気がするが。 ﹁いいですよね、好きな人の子供⋮⋮欲しいです﹂ ﹁結婚すれば自然に出来るだろう。急ぐこともない﹂ ﹁でも私、こんな外見ですし⋮⋮﹂ エルスが頬を染めてモジモジし始めた。好きな男でもいるんだろう か。 ﹁エルスは美人だ。きっといい夫が見つかる﹂ 437 ﹁姫、様!ありがとうございます⋮⋮!私、私、頑張りますーー!﹂ 突然感極まったエルスに抱きつかれた。やや驚きつつもその細い身 体をぎゅ、と抱きとめた。 よし、私も頑張ろう!今日辺り、夫と対決してみるか。ここ数日で どのくらい実力がついたか、試してみたい。 で、今、私は夫と対峙している。城の裏庭で。 決闘的雰囲気を無駄に出すべく、二人の間を城内を巡るすきま風が びゅううぅと吹き抜けていく。 ﹁姫、﹂ ﹁前回よりも強くなってる筈だ!覚悟しろ!﹂ そう言い放ち、こちらを見つめ仁王立ちする我が夫をギッと睨み付 けると、私は木刀を手に猛然と襲い掛かった。 ガッ!と渾身の振りを真正面から受け止められる。 438 木刀と木刀がギリギリと軋む音を立て、腕にもの凄い衝撃が走る。 どうせ力では敵わないのは分かっている。すぐに距離を取り、構え ようとして︱︱ 何故か、手の中の木刀が、消えていた。ええええ?! そしていつの間にやら夫の腕檻の中にガッチリ捕らえられていた。 ﹁え、ちょ⋮⋮なんだ?!﹂ともがけばもがくほどに拘束がじわじ わときつくなり、身動き取れなくなっていく。 そんな中、夫の低すぎる、重苦しい声音が、脳髄と骨に直に響いて きた。 ﹁ひ、め⋮⋮⋮⋮今まで、どちら、に⋮⋮⋮⋮?﹂ ﹁へ?﹂ なんか嫌な予感が、する。奥歯がガタガタ、する。 冷たーい汗が一筋、背中のど真ん中をツツーと勝手に流れていく。 ﹁っ裏庭で、訓練していただけだが?﹂ ﹁っ、だ、れと︱︱?﹂ 439 ﹁え﹂ ﹁ッ、何故、貴方、の、身体、から⋮⋮他の、男の、匂いが⋮⋮⋮ ⋮?﹂ ﹁︱︱︱︱ぇ﹂ お、男の、匂い⋮⋮? 今日、誰か男に近寄ったか?いやそんなに近寄ってはない。政務で も、机ごしに多少話したぐらいだ。 ﹁知らない。ずっとエルスと訓練していたが﹂ ﹁エル、ス?﹂ ﹁アスターの隊の女小隊長だ﹂ は、男、です﹂ ﹁アスター、の?⋮⋮彼の隊に、女の小隊長など、おりません﹂ エルスタイン ﹁いるだろう、黒髪翠目の︱︱﹂ ﹁ッ、ひ、め⋮⋮⋮⋮彼は、 ぇ。ええええええーーーー?!?! 440 ﹁おと、男ォ?!男って⋮⋮あ、あれでーー?!﹂ 一体うちの軍はどうなってるんだ?!男好きエスターといい、女に しか見えないエルスといい、変人の巣窟か?! ﹁ッッ、あ、れ、とは⋮⋮?ひ、め⋮⋮彼の、ど、こを、見、て、 女、だと⋮⋮?﹂ っっんぎゃああーーーー!!火に油、いや、ガソリンを撒いてしま った! のっけから、会話が恐ろしい尋問コースへと大炎上した! 441 ROUND20:野獣騎士との激論 羽交い締めにされたまま、いつの間にかじりじりと城壁の壁際に追 い詰められていた。 夫の硬く厚い筋肉質の肉体とゴツゴツした岩壁にガッチリとサンド イッチにされる。 ぐ、は⋮⋮っ!ちょ、コラ!具、はみ出る、はみ出るからーー!筋 肉と岩のサンドイッチなど、誰も食べんわ! イロイロな圧迫感MAX、逃げ場無し息も絶え絶え状態のまま﹁エ ルスタインの、どこを見たの、で、すか、﹂とジリジリ迫られ、具、 もとい返答が口からはみ出た。 ﹁くっ⋮⋮ええと⋮⋮肌、とか?﹂ ﹁ッッ⋮⋮!は、だ⋮⋮の、ど、の、部分を、見た、の、です、か、 ﹂ ちちっ違ッーー!間違えた!! この言い方じゃ、まるで私がエルス︱︱じゃなかった、エルスタイ ンの服をひん剥いてガン見したみたいじゃないか! 足元に不吉なドス黒い風が巻き起こり、夫の硬めの漆黒の髪がゆら 442 ぁッと立ち上がった⋮⋮ような気がした。 周囲の気圧が重すぎて、口を動かすのすら重労働になってきた⋮⋮! ﹁っ肌っていうか、その、顔がすべすべだったし⋮⋮!ヒゲとか無 かったし!ホントにエルスは男なのか?!﹂ ﹁男です﹂ ﹁胸もあったし!腰、細かったし!﹂ ﹁男です﹂ ﹁嘘だ!あんな可愛い女の子が男な筈ないだろう!﹂ ﹁男です﹂ ﹁なんで分かる?!﹂ ﹁匂いが⋮⋮男、だからです﹂ っっんんっっぎゃあああーーーー!!意味不明!メッチャ意味不明 !誰か助けろーー! ﹁ッ⋮⋮ぁあ、!?﹂ 443 突然臀部ごと身体をガッと抱えられ、ブワッっと宙に浮く。ななな ななーー?! 硬い夫の腕に腰掛けるような形で、実に軽々と抱き上げられる。 腕を突っ張り両足をバタバタさせようとしたが、どちらもガチムキ な腕にガッチリアームロックされピクリとも動かない。これは、マ ズイ。しょっぱなから拘束レベルが半端ない。 そのままグラン号は華麗に出発進行し、乗客の安全の為徐行する気 などさらさら無いらしく、物凄い勢いで景色が逆流していく。 ええええーー?!っ、ちょ、どちらへ?!どちらへお出かけですか ーー?! 通りがかりの者達の残像が目の端を掠めては一瞬で流れ去り、周囲 の音声がドップラー効果により悪夢の中の音声のように中途で不吉 に立ち消えていく。ああ⋮⋮人生の走馬灯が、見える。 あっという間に城内に入り、背後でドゴン!と爆裂音がしたと思っ たら、部屋の風景が一瞬見え、ふかふかの物体の上に押し倒される。 唇に獣のような湿った荒い息が吹きかかり、ガッチリとした筋肉質 の身体に思い切り全身をプレスされた。 寝台に深く深く身体が沈み、身動き取れなくなった所で、無言のま ま上衣を剥かれ、のっけから大悲鳴をあげた。 444 ﹁え、ちょッ、ななななんで脱がせる!﹂ ﹁っ匂い、が、﹂ ﹁え﹂ ﹁他の、男の、匂いが、染み、付い、て︱︱︱︱ッ、﹂ ﹁はぁあああーー?!ちょ、コラ、待て!っぎゃ!っんぁああーー っ!!﹂ 妻早脱がせ競技会に出たら確実にMVP取れそうな速度で服をひん 剥かれ、真っ昼間の日差しが降り注ぐ中、何故か上半身素裸にされ る羽目に陥った。 無駄に盛り上がった白い胸が夫の眼前にはいどうぞと差し出され、 焼けつくほどの熱視線で超絶ガン見された。ぎゃああーー!変態! 変態!ド変態⋮⋮! 隠匿を試みた両手はお約束通り片手でガッシリ鷲づかまれ、頭上に むぎゅ、と追いやられ、やがて夫の顔がゆっくりと双丘に埋まった。 ぎゃあああ!! ﹁ッあぁ⋮⋮肌、に、も、匂い、が⋮⋮⋮⋮ッヤ、ツ、は、貴方に、 いったい、何、を︱︱︱︱?﹂ ギリリ⋮⋮と奥歯を噛みしめ、低く喉奥で唸りをあげる暗黒の不協 445 和音が、聞こえた。 ゾッッゾオォーー!!な、なんかムチャクチャ怖いから!おち、落 ち着けぇーー!! 今なんか夫の背後に物凄い不吉なものが見えたし!なんだあの荒廃 した大地にズーンとおっ立つ四角くて細長いものは!墓?エルスも といエルスタインの墓標?いわゆる死亡フラグというやつなのか⋮ ⋮!? 匂いとか、絶対気のせい!気のせいだから!抱き締められたくらい で肌に匂いがうつってたまるか! だがそういえば、胸に顔埋めてスリスリされたような気がする。甘 えてるのかと思って気にも止めなかったのだが。⋮⋮ええええーー !? やっぱりエルスは男?!男なのか?!オカマなのか女装男子なのか ニューハーフなのかハッキリしろォーー!! だが一応師事を受けたからには師匠の危機。 完全なとばっちり感満載の漆黒の死神の大鎌から、彼だか彼女だか を救わなくては⋮⋮! 決死の覚悟で弁明しようとしたが、胸の膨らみの上部に鼻を埋め込 まれ、頂きに大きくかぶりつかれた挙句べろりと舐め上げられ、上 半身がビチビチと跳ねまくった。ちょちょちょちょーー!! 446 ﹁グラン!やめ、んンッ!あぁ⋮⋮!﹂ 制止を求めて叫んだつもりが、喉奥に呑み込まんばかりに熱く肌を 吸われ、ただの嬌声と化してしまった。 胸全体を大きく執拗に舐め回され、早くも息があがってしまう。 至る所に唾液をベトベトつけられ、無茶苦茶スースーする。サブイ! 白い両胸をベットリ制覇した夫の熱気篭もる唇と赤い舌が、鎖骨を 辿って首筋を移動し、耳下の敏感な肌を強く食み舐め上げた。 そして、苦悶の呼気とともに恐ろしい⋮⋮恐ろしすぎる言葉を、吐 き出した。 ﹁ッ、ぁあ、ひ、め︱︱︱︱今すぐ、消毒、しま、す⋮⋮貴方の、 全て、を﹂ 447 ROUND21:野獣騎士の消毒︵前編︶ ﹁っ!ンンッ、ん︱︱!﹂ ﹁姫︱︱ぁあ、動か、ないで、くだ、さい、﹂ ッ、そんな事言われても、剥き出しの肌を非常に熱心に丹念極まり なくヌメヌメ舐めまくられたら、身体がビチビチ飛び跳ねるに決ま ってるだろう! あぁ⋮⋮ベチャベチャと舌全体を押し付けるように丹念に塗りこま れた唾液が、バカ高い美容液のように肌にじわじわと染み込んでい く⋮⋮なんか、内側まで上書きされているような気がする。 ねぶ 嬲り終わると、鼻を埋め込まれ、匂いをかがれた挙句、肌にきつく きつく吸い付かれ、ジリッと焦げ付くような赤い消毒済の証をしっ かと刻まれる。 ﹁ッく、は、教えて、ください、っな、にを⋮⋮⋮⋮され、たの、 で、すか﹂ ﹁ぁ、別、に、剣の、相手、だけ︱︱ッ、あぁあーーッ!!﹂ 首筋の柔い部分に、夫の歯がガプリと甘く食い込んだ。 448 面白いほど腰がビックン!と跳ねあがり、激しく熱く荒ぶった吐息 が肌を焼く。い、いきなり、噛むなぁーー! ﹁ひ、め⋮⋮⋮⋮本当の、事を、言って、くだ、さ、﹂ 噛んだ部分をベロリと舐められ、なぜかまた噛まれた。 自分で噛んどきながら﹁舐めたら治ります﹂みたいな事しといて、 また噛むとは⋮⋮なんたるド鬼畜! ﹁ッあァ!ちょっと抱きつかれた、だけ、だ!﹂ ﹁ッ⋮⋮どの、ように⋮⋮?﹂ ええええーー?!抱きつき方に、そんな色々な種類、あったか?! ﹁ええと、いきなり、ギュッと抱き締め、ッぁ!!﹂ 対抗するかのようにギュギュッ!とぶっとい片腕で抱き込まれ、肺 から強制的に息がはふ、と漏れ出した。 ﹁それ、から⋮⋮?どこに、触れ、られ、たの、です、か﹂ 449 こ、細かい⋮⋮!ただ﹁抱きつかれた﹂だけじゃダメなのか?! ﹁っ頬が、首に、当たっ、ぁあ︱︱︱︱!!﹂ ッッ!!またしても、首を噛まれた!そして勿論ベロリ、ベロリと 大きく、大きく舐められた。んっあああーー! そのまま濡れた舌が喉を上下にレロレロと往復し、鎖骨、胸へと降 りていく。 ツンと立ち上がった乳首を舌全体でググッと押し潰され、﹁っぁあ ーー⋮⋮っ!﹂とまたしても甘い悲鳴をあげてしまう。 ちゅばちゅばと卑猥な音を大きく立て、しゃぶられたり吸われたり しまくって、頭がヘンになりそうだ。 ﹁他の男の匂いなど⋮⋮全て消し去ります。貴方は私の、私、だけ、 の︱︱他の男には、決して、二度と、触れさせないで、くださいと、 そう、言った、筈、﹂ ﹁っ!だって、アスターが⋮⋮!!﹂ ビ、クン︱︱ッ!!と重く伸し掛かった硬い身体が、大きく、大き く、戦慄いた。 450 ⋮⋮⋮⋮あ、マズ︱︱︱︱ ﹁ひ、め⋮⋮⋮⋮ア、スターが、なに、を⋮⋮?アスター、と、何 を⋮⋮話した、の、ですか﹂ んあああーー!! ギ、ギッ!と一纏めに束ねられた両手首が不吉な音を立て、軋んだ。 うああ!手首が超極細になりそうだ⋮⋮!尋問が、より過酷に︱︱ ︱︱!! これ以上の大惨事になる前に一気に白状しようと口を開いたら、突 如唇に獰猛にしゃぶりつかれた。 ﹁ッぅ!んぶ⋮⋮ッ!んんーー!!﹂ ネチャクチャと唇を貪られ、腔内をグッチャグチャにかきまわされ、 ゴプッと大量の唾液が遡った。 深い深い口付けが延々と続き、溢れんばかりの唾液をたっぷりと呑 み込まされる。 ﹁ふぁ!あぁ、はぁっ、んん⋮⋮ッぅ!﹂ 451 ﹁ッひ、め︱︱︱︱ぁあ、﹂ 夫の熱い唇と舌と手、吹きかけられる濡れた荒い吐息に翻弄され、 身体の内側がジンジン熱く痺れ始め、なんだか頭がボーーッとして きた。 自分の甘ったるい喘ぎとグランの荒々しい苦悶の吐息。 騒々しく鳴り響く粘着質な音と寝台が細かくキシキシと軋む音。 色々入り混じってゴチャゴチャしてるうちに、なぜかしわくちゃの シーツの上にうつ伏せにされ、背中まで舐められていた。 そして背中じゅうサンオイル、もとい唾液を塗りたくられた後、濡 れた感触が段々と下に降りてきた。 背後から腰を抱え上げられる体勢で、いつの間にか剥き出しにされ ていた臀部にガップリ噛み付かれた後、やっぱりナメナメナメナメ された。 っく!ちょ、お尻、齧るなぁ⋮⋮!!背中はともかく、そこは消毒 する必要ないだろう! 悶えつつも腰を振って夫の唇から逃れようとした。が⋮⋮ ︱︱ぇ。ちょ、待て、話せば分かる、っっぎゃああーー!! 452 あろうことか、お尻の溝に、夫の顔がガッツリ、埋まった。 そして当然、ベチャベチャレロレロと舐められた。実に色々んな場 所を、一緒くたに。 ぎゃああ!!ぎゃあああ!!待て!んあ!あああーーーー!! 453 ROUND22:野獣騎士の消毒︵中編︶︵前書き︶ *なんだか凄い事になっているので、閲覧注意!* 454 ROUND22:野獣騎士の消毒︵中編︶ ﹁あ!ゃめッ、あぁ!あ、あぁああーーーーッ!!﹂ 脳内で叫んでいたはずが、いつの間にかリアルで大絶叫していた。 が、うつ伏せなので、ほとんどがシーツに吸い込まれる。 ぁあ!んあぁ!!どうしてそんなトコまで舐める必要がーー?! 百歩譲って﹁夫たるもの、妻に他の男の匂いがついていたら、舐め て上書きする権利がある﹂としよう。 だが、これは明らかに越権行為だ! ぎゃ、あああ!ど、どこ、舐めッ、ああッ!そこ、違ッ!!行き過 ぎ行き過ぎ、やり過ぎだから⋮⋮!! 大きな手に臀部をググッと鷲掴まれ、思いッ切り割り開かれ、唇と 舌がベットリ強烈に押し付けられヌメヌメ擦られる感触にビクンビ ックン!と身体が反応しまくった。 卑猥な溝全部、大量の唾液をベチャッ!ビジュッ!と塗りたくられ つつ、嬲られ突付かれしゃぶられまくって、ドロリと滲み出た愛液 をジュブッ!ジュルルル⋮⋮!と貪欲に啜られる。 455 腰をガクガク震わせ、ひっきりなしに情けない悲鳴が漏れる。早く も咽び泣く有り様だ。 あああ!死ぬ⋮⋮⋮⋮ああ!!なんか、下腹がブルブル震えてきた ⋮⋮! 体中グランの唾液でベトベトだし!大量の唾液と愛液が股の膨らみ や太腿裏にダラダラ垂れ落ちてくるし!もうなにがなんだか⋮⋮!! しまいには溝全体にガッツリ大きくしゃぶりつかれ、熱心極まりな く猛烈にビチャグチャレログチュ舐められた。 ﹁ああああ!!ヤダ、ヤ⋮⋮ッ!あぁッ!駄目、ッあああ!ああー ーーーッ!!﹂ ブルブルしたなにかが極限を超え、大きく弾けた。 そして︱︱ ぎゃあああーーーー!!なんか出た!!ビシャーッって、どっかか からなんか出たーー!!! そして、吹き出し口をビッタリ唇で覆われたまま、 それを、思いっきりゴックゴク、飲まれた。 456 さらに、飲み干した後も、ベロベロとおかわり?を要求された。 っっんんっっああああーーーー!!っっんんっっああああーーーー !!! さ、砂漠のオアシス・改、キターーーー?! 本日は野獣動画に 御アクセスいただき、 ありがとうございます。 大変申し訳ありませんが、 この動画は主演女優の申し立てにより 削除されました。 またの御アクセスをお待ち︱︱しておりませんんんーーーー!! ﹁っああ!も、やめッ!ぁッ、グラ、ン⋮⋮!バカ!バカバカーー ーー!!やめ、あッ、あぁあああーーーー!!﹂ もうヤだ!もうヤだ!もう舐めるなバカーー!!と精一杯訴えた。 が、もっと飲みたいとでも言わんばかりに、更にべちゃくちゃ猛烈 457 に舐めまくられ、大泣きした。 仕方ないのでシーツを握りしめ、肩と膝をフルフルさせ、ヒーハー 喚きながら歯を食いしばって必死で耐えた。耐えまくった。 が、やっぱり耐えられなかった。 ベロベロ舐められた秘部が火を噴くようにガガーッと熱くなり、身 体の内部がギュギューッと引き絞られ、全身ビックビクな大悪寒が 襲いかかった。 ﹁︱︱ッぁ、あァ︱︱︱︱ッッ﹂ 訳分からない絶頂に、全身ガックガクさせてグッタリとシーツに倒 男 は、私、だけ︱︱﹂ れ込み︱︱たかったが、ガッツリ阻止された。 ﹁ぁあ、姫⋮⋮貴方にとっての ﹁え、ちょ、ああッ、ンんッ⋮⋮ァアーーーーッ!!﹂ 臀部が更に高く抱えられ、膣口に熱い屹立の先端が何度かぶつかり、 ヌッと飲み込まれた。 抵抗する間もなく、物凄い質量のものが物凄い圧力を伴って後ろか らズズ、ン⋮⋮!と挿入ってきた。 458 ︱︱ッッぁぁぁあああーーーー!!! 459 ROUND23:野獣騎士の消毒︵後編︶ ギブ!ギブ!!と息も絶え絶えに何度もリング?をバシバシ叩いた が、ふんわりシーツがポフポフ可愛い音を立てただけだった。 ﹁うぁ!ぁ⋮⋮ふ、ぁあぁあ!!﹂ いつもの太く逞しすぎる存在を、いつもと全く違う角度からズブズ ブと埋め込まれる。 物凄い硬度のものが内部のとっかかりを丹念になめし、突き進んで くる。 中が強烈に押し広げられ、じわじわと前後しながら灼熱の杭がギッ チリと奥まで入ってきた。 ﹁ひッ、ぁああ⋮⋮⋮⋮!!﹂ ガッチガチの先端が奥壁をグニぃッと押し潰してきて、大変情けな い悲鳴が漏れた。 いつもより奥深くまで突き刺さる、獣の交配のようなとんでもない 格好に、羞恥心で頭にガーーッと血が上った。 460 身体をくねらせ逃れようとしたら、後ろ首をガプッと噛まれ、ゴツ ゴツの硬い胸が背中にズシッとのしかかり、その圧力に耐え切れず、 顔と肩と胸を寝台に強く押し付け、腰だけ高く抱え上げられまま、 後ろから深く深く蹂躙された。 ﹁あ、ぁあぁ、ああーーーーっっ!!﹂ ﹁あ、あぁ姫⋮⋮ひめ︱︱︱︱!!﹂ 滾りに滾ったものでびしょ濡れの中をガボズボ猛烈に抜き挿しされ、 リアルに眼前に星が沢山飛んだ。 ゴツい腰骨が何度もお尻に当たって、大きく膨張したものが奥壁に 激しく衝突し、早くも大泣きする羽目に陥った。 しまいには後ろから全身で伸し掛かられ、下腹をガッツリ抱え込ま れ、ガツガツと性急に貪られた。 余りにも激しくギシギシと揺れるベッドの反動で、グチャグチャの シーツに皮膚が擦られ、ヒリヒリと痛い。 ﹁っく、ぁあ、姫⋮⋮今、貴方の中に居る男は⋮⋮だれ、で、すか﹂ ﹁ぇ、ぁ、ぁッ⋮⋮ぁあ!﹂ 中を凶悪に押し広げながら最奥をグボォと抉られ、高く喘いだ。 461 訳が分からない。無駄に存在感ありすぎるものを思い切りブチ込ん でおきながら、なんでそんな事聞く必要がーー?! ﹁あっ、ぁっ⋮⋮ぅああっ!﹂ ﹁っはぁ⋮⋮っ、答、えて、ください、ひ、め⋮⋮⋮⋮ッッ、ぅく ︱︱︱︱!!﹂ ぁああーーーー!! 熱い怒張がドン底を更に突き上げ、どこかを抉じ開けミチ⋮⋮ッと 割り入ってきて、一瞬で強烈に身体が硬直した。 やッ⋮⋮⋮⋮ぁ、やめ、あ、あぁぁぁーーーー!!! 全身を揺るがす未知の衝撃に、膝が笑って力が抜け、腰がヘロヘロ に⋮⋮!! ッ深、深い、深すぎる⋮⋮!!あ、頭が、おかしくなりそうだ!! 本能的に物凄い危険を感じ、全く動けない。 微塵も抵抗できず、プライドもへったくれもなく泣き叫んだ。 ﹁うぁ!ぁ、ッグラ、ンーー!!グランしか、いないから︱︱ッ! 462 !ぁ、ぁあ、ダ、メ、ぇ⋮⋮⋮⋮ぁーー⋮⋮!﹂ ﹁く、は、ぁあ、ひ︱︱め⋮⋮⋮⋮っッ!!﹂ グランが大きく淫らに喘ぎ、動きを止めた。 そして指跡がつきそうなほど両尻をきつく掴まれたまま、最奥にグ ップリと埋め込まれた先端が、大きく破裂した。 ﹁ッッ︱︱︱︱!!あ、ぁーーーー!!﹂ ﹁︱︱︱︱ッッ⋮⋮⋮⋮!!﹂ っっぁぁああーーーーっっ!!死ぬ死ぬ死ぬーーーー!!! どこかとんでもない場所で、直に、熱い子種を大量に吐き出された。 ドクッドクッと吐き出された体内奥深くがじわぁと熱くなり、全身 が恐慌に陥り、ガタガタと震えが止まらない。 ﹁あ、ぁ、あ⋮⋮⋮⋮!!﹂ ﹁ぁあ、ひめ⋮⋮私の、ひめ︱︱︱︱!﹂ ﹁ッひ⋮⋮ん!ぁふ⋮⋮ッ!!あっ、ぁあぁ⋮⋮んんッ!!﹂ 463 またしても後ろから、何度も何度もグブガボと地獄のように熱く埋 め込まれた。 ﹁っや、ダメ⋮⋮ぇ︱︱!!グラン、グラ、ン!!ぁッ、あっ、ぁ ︱︱︱︱っ!!﹂ ビジュッ!グジュゥッ!と今まで擦られたことのない女壁を、グリ ゴリと猛々しいもので押しつぶされ、めちゃくちゃに擦られた。 いつもと全然違う角度から挿入され、入り口の違う部分が強引に広 げられ、引き攣れて痛い。 びしょ濡れの臀部に夫のガッチリとした腰が何度もぶち当たり、ギ ッチリと埋め込まれた内部にまでその衝撃が伝わり、ジンジンと熱 い。腰にまでビーンと激しい振動が達して、全身の力が抜け落ちる。 ヘロヘロの両腰をガッツリ掴まれ、末恐ろしいものが聳え立った夫 の腰にガツンガツン強く引き寄せられ、腰に巨大なものが何度も埋 め込まれ、とうとう思考まで手放した。 ﹁ぁ、ひッ!あァ、ァぁああ︱︱!!﹂ ﹁ッ、ぁ、っは︱︱ッぁあ︱︱︱︱!!﹂ 464 猛然と色々な方向からむちゃくちゃに突き入れられ、うねるような 激しい快楽の津波が襲いかかり、内部が爆発しそうに燃え上がった。 内部の感触を狂おしく味わうように夫の剛直が縦横無尽に膣内を暴 れ回り、急激な悦楽に強引に押し上げられる。 ﹁ぁあっ、も、ぅ、ダメ、ダメ︱︱!あぁッ!あああーー!!﹂ めちゃくちゃに大泣きしながらそう叫ぶと、夫が唸りを上げ、更に 恐ろしい事態になった。 背後から筋肉質の厚みのある身体がずっしりと全身に伸し掛かり、 両手は遥か遠い所で一纏めに縫い止められ、逞しい片腕で下腹をガ ッツリ抱え込まれ、それこそ全身全霊で獣のようにガツガツと喰ら われ、征服し尽くされた。 挿抽がより抉るような激しいものになっていき、息ができないほど グチャグチャにされる。 ﹁ぅ、ふぁ⋮⋮!ぁ⋮⋮ぁ⋮⋮!﹂ ﹁あぁ、ひ、め⋮⋮も、う︱︱!く︱︱︱︱!!﹂ ﹁ひぁぁ⋮⋮!ぁぁぁ⋮⋮⋮⋮!!﹂ 熱い精液がビシューーッと最奥を激しく叩き、溢れた精液で結合部 465 をビショビショに濡らされた。 ビクン!ビクビクン⋮⋮!とどうしようもなく勝手に痙攣してしま う身体を、背後から逞しく濡れた身体にきつくきつく抱きしめられ る。 やがて首筋に熱い唇がそっと吸い付き、グランの鼻先が肌を滑った。 そして、安堵したような、深く甘い甘い吐息を吹きかけられ、夫の 腕の中で全身が蕩けそうになってしまう。 という訳で、この日は夫の超強力な消毒液?で、体内までしっかり と完全消毒されたのだった。 466 ROUND24:野獣騎士の殺人予告 余りにも夫の色々な体液で全身がベトベトなので、湯浴みすると伝 えて身体を起こしたら、すぐに後ろから太い腕が絡みついてきた。 胸と腹部をガッチリ掴まれ、背に硬くゴツゴツした筋肉がギュムと 押し付けられる。 情事後で、未だ湿って熱い唇がつむじに強く押し付けられ、甘く掠 れた低音が頭に直に響いてきた。 ﹁姫、なぜ⋮⋮私の跡を、消すの、ですか﹂ いやいやいや、だってこのままでいたら、見た目も匂いも昼間から 激しく子作りした事がバレバレだろーが! ﹁っ、消さないで、ください。姫、どうか⋮⋮⋮⋮﹂ 私を囲む腕にギュッと力が入り、私の胸もギュっとなる。 同時に腹部が押されたせいか、先程の名残が例の場所からドロロッ と勢い良く大量に吐き出されてしまう。 467 ⋮⋮マズい!シーツに卑猥な染みが、大量に⋮⋮!! 咄嗟に両脚の間にバッと手を挟み、大量の粘液をなんとか手のひら のうちに留めることができた。 ⋮⋮が、どうすればいいんだ、コレ。もの凄い量なのだが⋮⋮。 ﹁ひ、め︱︱?﹂ 私の動作を疑問に思ったのか、精液の受け皿と化している手をギュ と捕まれ、そのまま引き上げられた。 ちょ⋮⋮!せっかくミラクルキャッチしたのに!こぼれる⋮⋮!あ ぁああーーーーっ!! ビシャァッ⋮⋮!! 見事、思いっきり、飛び散った。胸とか、お腹とか腿に。 無駄に膨らんだ両胸から、白く濁って泡だった精液がゆっくりとい やらしく滑って、股や太腿の付け根に垂れ落ちていく。 と、後ろから夫の手が伸びてきて、飛び散った生温い粘液を更に広 げるように柔胸をいやらしく擦られた。 468 まだ火照りが消えない敏感な肌をヌルヌルと滑る手に、身体が勝手 に反応し、甘い喘ぎを漏らしてしまった。 ﹁っぁ、ぁあ⋮⋮ん!﹂ ﹁ッ、ひ、め︱︱︱︱!!﹂ 性的な匂いが充満し、一気に夫婦の淫らな雰囲気に逆戻りした。 夫の手が下肢にも伸びてきて、腿や股に滴り落ちた白濁を指でぬる りと掬われ、元あった場所︱︱つまり、垂れ落ちてきた中へと指ご とググと押し込まれた。 激しい摩擦の名残でジンジン爛れたままの中をグチャグチャと擦ら れ、ビクンビクンと腰が跳ねた。 ﹁っ、ぁあんん⋮⋮ッあ!!﹂ ﹁ひ、め、姫︱︱⋮⋮!﹂ 重たい身体が背に伸し掛かり、またしてもシーツの上にドッと押し 倒された。 お尻の溝にガッチガチの肉棒が挟まって、先程後ろからガッツガツ に貪られた衝撃が蘇り、お腹の底がビクビクと引攣れた。 469 ちょ、やめッ、後ろからは、もう、やめろォーー!! 先程の情事で、後ろから挿れられると夫のものがむちゃくちゃ深く 突き刺さるのが身にしみてよ∼く分かってしまった。 これ以上後ろから深く突かれまくったり、またヘンな場所に入れら れたりしたら、なんかおかしな事になりそうだ⋮⋮!!ダメだ!ダ メだ!絶対ダメだ︱︱!! ﹁やめッ、グラ、ン⋮⋮!も、もう、しないッ、しないから︱︱ッ !!﹂ 私は叫んだ。 あんな獣みたいな格好で、しかもあんなよく分からないところまで 突っ込まれて、なおかつ大量に注ぎこまれた物凄い衝撃が鮮明に蘇 って、情けなく腰がフルフル震えてしまう。 グランに臓器まで蹂躙されたかのような強烈なショックと、恐ろし い事にそれをどこかで悦ぶ淫らな女の部分がせめぎ合って大混乱だ! 自分が全部グラン一色に染まってしまいそうな危機感と、毎回徹底 的に征服される被虐的な悦び。 相反する、でも表裏一体の、様々な感情がひしめき合い、自分でも どうしていいか分からなくなりつつ、我が夫を見たら⋮⋮ 470 ゾッとするほどの土気色の顔で、仮死状態に陥っていた。ええええ ーーーー?! カッと目を見開いたまま、微塵も動かない夫に、かなり動揺する。 え?え??ショ、ショック死?!ちょ、コラァーー!!死ぬなーー !起きろォーー!! ガクガク夫の身体を揺さぶったが、大変重たい体躯の為、私の腕力 ではゆ∼らゆら陽炎のように揺れただけだった。 ﹁グラン!グランーー!?﹂ そう叫んでいると、骨に響く低音が、死霊の嘆きのごとく緊迫した 空気を不気味に震わした。 ﹁⋮⋮だ、⋮⋮と︱︱?﹂ ﹁え?﹂ ﹁ッ⋮⋮ひ︱︱教、ッそ⋮⋮男、こ︱︱⋮⋮﹂ っっぎゃああああーー!!ちょ、早まるなぁ⋮⋮!怖すぎる怖すぎ 471 る怖すぎるからーー!!! ⋮⋮翻訳しよう! 今我が夫は顔面蒼白のまま、世にも恐ろしいセリフを口にした。 曰く、﹁で、は、だ、れ、と、する、のです、か︱︱?ひ⋮⋮め、 教、えてくださ︱︱ッそ、の、男、を⋮⋮今すぐ、殺し、ます︱︱ ⋮⋮﹂と。 さ、殺 人 予 告、キターー!? 472 ROUND25:野獣騎士の殺人阻止 マズイ、マズイ、マズイイイーー!! 予告と言いつつ、我が夫が口にすれば、絶対確実な未来の予言だ!! っ、いやいや、ちょっと待て! ここで慌ててはいけない。常日頃我が夫の奇想天外な発言にこうし ていちいち動揺するから、毎回しあさっての方向に会話が炎上し、 いつまでたっても立派な猛獣使いになれないのだ! おつつけ︱︱ッてちゃうわ!落 ち 着 け、私ィィーー!! 探偵よろしく、まずは推理・検証だ! 今回、我が夫が漏らした暗号が殺人予告だったのは、すぐに解読し た。 なんであんな壊れまくった崩壊言語を瞬時にパパーッと解読できる のか自分でも謎だが、あれで正解だ、間違いない。伊達に毎日濃ゆ 過ぎる夫とバトルしていない。 で、殺人予告対象は、私が、グラン以外に、身を許す男⋮⋮⋮⋮ って、オオオイコラアーー!そんな男、居る訳ないだろうーがーー !! 473 ゆえに夫の殺人予告は無効だ!山なしオチなし意味なしのただの世 迷い言だ!恐るるに足らず⋮⋮! 冷静な論理分析により、ひとまず落ち着いた。ヨシ! ここしばらく鍛錬で培った不屈の精神を、今こそ発揮する時⋮⋮! すなわち、先手必勝だ! 背後から夫に伸し掛かられているという大変キッツイ体勢の中、背 をなんとか捻り、僅かな隙間の中で身体を反転し、私だけしか映さ ない漆黒の瞳をじっと見つめた。 そしてその強張った頬を優しく撫で、ゆっくりと唇を合わせた。 ついば 柔らかく厚みのある唇を喋み、押し付け、擦り合わせ、やや冷えて しまった唇を温める。 命の息吹を吹き込むように、何度も何度も吐息と唇と目線を合わせ た。 やがて唇が微かに震え、夫が現世にカムバックした。 我に返ったように濡れた漆黒の瞳で私を見つめる夫に、こう告げる。 ﹁私はお前以外に身を許す予定など全くない。私の夫は、生涯、ず っとお前一人だ﹂ 474 ﹁ひ、め⋮⋮⋮⋮﹂ ﹁あーコホン、さっき﹃しない﹄と言ったのは、あれはだな︱︱﹂ ⋮⋮しまった。﹁あの格好だと、お前のがコワイくらい奥まで入っ てきて、どうにかなりそうなんだ⋮⋮!﹂などと口が裂けても言え ない、恥ずかしすぎる!絶対言えんわーー!!どうする?! ﹁っ、だから、その⋮⋮⋮⋮ぅ、後ろからだと、お前の顔が見えな いから、イ、イヤだーーーー!!﹂ ﹁っ⋮⋮ひ、め︱︱︱︱ッ!!﹂ グランが大歓喜の呻きとともにガバア!と抱きついてキターーーー !!ええええーー!! こここれはまさか⋮⋮⋮⋮夫婦間でもはや伝説と化している、全グ ラン改改改か?いや、改改改改か? どーでもいいが、カイカイカイカイ言ってたら、なんかかゆくなっ てキターーーー!? という訳で、筋骨隆々の夫の身体に今度は正面から覆い被さられ、 背が寝台にズドンと沈んだ。 475 ﹁姫⋮⋮!﹂と歓喜の雄叫びとともに腰をガッ!と捕まれ、両脚の 間に夫の腰がグッ!と割り入る。ぎゃああ! そして、互いの顔を見つめ合いながら、その濡れた逞しい全長をズ ップリと埋め込まれ︱︱そうになった寸前で、ガシッと阻止した! ヨシ! ﹁っっ、ひ、め︱︱︱︱ッ、ぁあ!﹂ グランが呻いた。何故か甘く⋮⋮熱い熱い吐息を吐きながら、身を 震わせて。 ハッと我に返り、気づいた。 私の右手が、 夫のソレを、 思いッきり、握っていた。 ぎゃあああ!!ええええーーーー?! ﹁っく、ぁあ⋮⋮姫⋮⋮っ﹂ 476 グランが歓喜に震える濡れきった瞳でじいぃっと見つめてきた。 まるで﹁早く挿れて⋮⋮﹂とでも言わんばかりに、挿入直前に夫の 剛直をキュと握ってきた、大胆かつ積極的な妻を。 ちちち違⋮⋮ッ!握ったのは、阻止するためです!﹃待て﹄という 意味なんです!ホントです!信じてくださいいい!! だが私の内心絶叫など聞こえる筈もなく。 夫が私の手ごとソレを握り込み、ゆっくりと大きく、上下に動かし た。 まるで﹁私の形を、覚えておいて、ください﹂とでも言わんばかり に、上から下まで、念入りに。 夫の悦楽に喘ぐ熱い吐息が頬にかかってくる。 そして共同作業︵強制的︶で、膣口にゆっくりと嵌めこんできた。 ぎゃああーー!!待て待て待て待て! 私は叫んだ。必死に叫んだ。﹁グラン、待て!﹂と。 が、必死すぎて、ついちょっとだけ、言い間違えた。ちょっとだけ。 477 ﹁グラン、来て︱︱!﹂と。 ⋮⋮⋮⋮で、結局。 ﹁ぅあぁ⋮⋮ッッ!ぁ、ひィんッ︱︱!!ぁっ、ぁあーーっっ!!﹂ 互いの顔をじいぃっと見つめ合いながら、その逞しい全長を正面か ら堂々と、たっぷりと埋め込まれる羽目になった。 478 ROUND26:野獣騎士の愛の劇場・改︵前書き︶ *激甘注意* 479 ROUND26:野獣騎士の愛の劇場・改 その後。 一言で言うと、大変な目にあった。 ﹁ン、んっ︱︱!!ぁ!あぁんッ、んぁああ⋮⋮!﹂ ﹁っあぁ、姫⋮⋮もっと、私を、感じてください⋮⋮貴方がこうし て私の全てを受け入れ、私の全てを感じてくれるこの表情が⋮⋮堪 ら、ない﹂ きつくきつく抱き締められ、みっともなく啼き叫ぶ顔をガン見され ながら、ズチュッゴチュッ!と強烈な狭窄音を立て、膨張しきった ものが腰に突き刺さってくる。 逞しく反り返ったもので下腹をグッチャグチャに掻き回され、泣き たいほどの悦楽がガンガンに込み上げる。早くもクラックラだ! あぁ⋮⋮夫婦なのに!毎日してるのに!夫のこの巨大なフォルムに 毎回大泣きしなくて済むようになるのはいつの日なのか。 燃える漆黒の瞳が私を狂おしく覗きこみ、大きな手で肩や背中を撫 でまくられ、首筋や鎖骨や肩に何度も口付けられる。 480 ﹁く、あぁっ⋮⋮ひ、め、こんな細く、柔らかな身体で、私に挑も うなどと、思わないでください、貴方がそう強く思えば思うほどに、 貴方を力ずくで、奥の奥まで、征服し尽くしてしまいたくなる︱︱﹂ 苦しげに囁かれた低音に、ゾッックゥーーッ!と強烈な痺れが走っ た。 なまめ 私を永遠に強く強く欲してやまないその瞳にガッチリ囚われ、激し くも艶かしい官能と恍惚の世界へと強引に引きずり込まれた。 ﹁貴方はゆくゆくはこの国を統べるべきお方、自ら武器を手にする 必要など︱︱まして、私が夫となったからには、この国ごと貴方を 取り巻く全てのものを、私が生涯守り抜きます。これから産まれく る、私達の子を含め、全てを﹂ 歓喜と悦楽に掠れきった低音でそう呟かれ、背筋のゾクゾクが止ま らなくなった。 ⋮⋮ッッ!!コ、コラァアーー!!ななななんだこの女殺しみたい なセリフはーー!わ、私への殺人予告、キターー!? 夫のまっすぐな目と力強い言葉に、完膚無きまでに心をズキューン と撃ち抜かれた。 ッいやいや待て待て、この流れでデレるな、私ィーー!私には王族 481 として国民の模範となるべく清廉潔白な生活を送るという尊い義務 がある!こんな真っ昼間からデロデロに蕩けそうな睦事に溺れる訳 にはいかない!! こころざし ⋮⋮という熱い志も空しく、逞しすぎる腕の中でガッツリ埋め込ま れたまま熱く熱∼く見つめられ、言葉で語り尽くせない想いをぶつ けるように何度も唇を押し付けられ、﹁ひ、め⋮⋮あぁ⋮⋮私、の ⋮⋮ひめ﹂と愛おしげに何度も何度も囁き続けられた結果、全身が 蕩けきって力が抜けまくり、ふにゃっふにゃの腑抜けと化してしま った。 ﹁ンんん⋮⋮ッ!っふ、ぁあっ!﹂ ズルルッと大きく腰を引かれ、中に溜まった熱い粘液がビシャッと 大量に零れた。 巨大な灼熱の塊がその熱さとともに体内から去っていき、ホッとし たのも束の間、その後一気にズボォ⋮⋮ッ!と深く深∼く穿たれ、 大きく肩が飛び跳ねた。 発火しそうな熱い衝撃に中がギュルギュルと収縮し、大きく脈打つ 夫の剛直に絡まり、幾重にも蠢く襞で淫らに舐めまくってしまう。 ﹁ぁっ、はぁ、ん!グラ、ン⋮⋮⋮⋮!あっ、ぁあぁん!﹂ ﹁ッ︱︱⋮⋮ぁ、あ、姫︱︱︱︱!!﹂ 482 自分でもドン引きするほど、甘い甘∼い声が、出た。 っだって、ぁ、ムリ、だ⋮⋮!こんなガッツリ抱かれながら、あー んな殺し文句を囁かれたりしたら、さすがの私でも、もう⋮⋮⋮⋮! 完全にくにゃくにゃになった私を、グランが甘く苦しげな息を吐き 出しながら執拗に追い詰めてくる。 身体に力が入らない事で、より深く夫の望むままに、中をグッチャ グチャに掻き回される。 グポッグプッと音までいやらしく濡れまくり、気持ち良すぎて泣き 咽ぶしかない。 髪や額に何度も熱い唇が押し付けられ、食まれながら、逞しい夫の 腕の中で甘い甘い悦楽の楽園へと堕ちていく。 ﹁っ、ぁ、グラ、ン、あ、気持ち、ぃ⋮⋮⋮⋮はぁ、ん!あぁっ⋮ ⋮!﹂ ﹁︱︱ッッ!!ひ、め︱︱︱︱!!﹂ 濡れた唇を狂おしく塞がれ、焼けるような吐息ごとそれを食んだ。 唇を開いてもっと深い口付けを強請ると、すぐに肉厚な舌がグチャ リと熱く絡まってきて、腔内が熱く熱く溶けてしまう。 483 あ、ぁ⋮⋮⋮⋮凄く、いい⋮⋮。 腰から下がグチャグチャに溶けて完全に夫の身体と繋がって同化す る。 甘美過ぎる感覚に腰を大きく反らすと、グランの滾った剛直が下腹 を強烈に押し上げた。っ、あ⋮⋮!気持ち、良すぎる⋮⋮!! グランが大きく呻いて歯を食いしばり、息を呑み、深く埋め込んだ ものを更にググと雄々しく隆起させた。 下腹がギュンとなり、ふ、ああ!!と腰を大きくひねると、グラン が私の上で全身を強張らせ、眉間を寄せ、苦しげに色気たっぷりに 呻いて、震えた。 私に全面降伏するかのようなその仕草に、これまでにないほど体内 が熱く燃え上がった。 悦楽を噛み殺すように戦慄くそれに唇を押し付け、体内に突き刺さ ったものを押しつぶすように腰をくねらせ、その逞しさと脈動を味 わう。 こみ上げる灼熱の快感に息が乱れに乱れた。 欲しい⋮⋮欲しい。もっと奥まで、激しく貫いて欲しい。 484 ﹁っぁ、グラン、来、て、もっと、激しく、して︱︱︱︱!﹂ ﹁︱︱︱︱︱︱ッッッ!!﹂ 内腿に夫の指が食い込み、グッと膝を大きく押し上げられた。 グボォ⋮⋮ッ!と信じられないほどの最奥を突き上げられ、涙腺が 快感的な意味で大崩壊した。 中の感覚が麻痺しそうなほど激しく擦られ、身を捩るほどの快感が グングンこみ上げ、息が出来ない。 汗に滑った太い腕が私の腰骨を力強く掬いあげ、首が仰け反ったま まガツガツと貪られる。 グッサリと根本まで埋め込まれたものが、力の全く入らない柔く狭 い中を縦横無尽に暴れまくる。 ﹁っあ!!っ、あ!あっ、あっ⋮⋮あぁああーー!!﹂ ﹁く⋮⋮は、ぁ姫⋮⋮⋮⋮ひめっっ!﹂ 男根が激しく出入りする結合部からビチャッブシュッと熱い粘液が 飛び散って、互いの腰をドロドロビショビショに濡らしていく。 濡れた逞しい身体にガッチリしがみつき、激しい快感を全部享受し、 大きく弾けた。 485 ﹁んっ、ンんッ!︱︱︱︱ぁああ!!﹂ ﹁︱︱ッ︱︱︱︱ぁ、︱︱︱︱ッッ!!﹂ 埋め込まれた根本からビリビリと駆け上ってくる熱い熱い刺激に、 内腿が震えた。 夫の熱い飛沫が子宮に捩じ込むように勢い良く注がれ、痺れるよう なその振動が気持ち良すぎて喉奥がカラカラになる。 トロットロに蕩けた眼差しと激愛てんこ盛りの熱い口付けが降りし きる中、絶頂に押し流されたまま、情けなく泣き喘ぎ続けてしまっ た。 ⋮⋮という訳で、またもやいつからか愛の劇場が始まり、肝心の論 旨はズレにズレ、何故か益々夫婦愛が深まった?のだった。 486 ROUND27:野獣騎士の部下の部下の性別 後日、エルスと城の廊下でばったり会った。 すぐさま疑問をぶつけた。﹁男なのか女なのかオカマなのか女装男 子なのかニューハーフなのかハッキリしろ!﹂と。 万が一にも匂いがつかぬよう、一定の距離を保ちながら。 ﹁ひ、姫様?なぜいきなりそんな事を?わ、私、男に見えますか⋮ ⋮?﹂ つぶらな瞳を見開き、私を見つめてきたエルスは、いつもと同じく 髪は長くサラサラ、お肌はすべすべ、肩も腰もほっそりしている。 ﹁いや、女に見える﹂ 女の子 というこ 素直にそう答えると、手を合わせて彼女︵彼?︶は喜んだ。 ﹁良かったぁ!そうですよね!それでしたら、 とにしておいてくださいね、姫様の中では!﹂ ﹁はいぃ?!﹂ 487 大変間抜けな声が漏れた。結局どっちなんだ?頭が混乱の余り爆発 しそうだ! 女の子 なんです。着るものも女の エルスがもじもじと語りだした内容はこうだった。 ﹁私、産まれた時からずっと 子でしたし、好きになるのも男の子でしたし。ただ⋮⋮﹂ ﹁ただ?﹂ 棒 っていうか⋮⋮ほら、よくちっち ﹁ただ、女の子には無いものがちょこっとだけついちゃってますけ ど⋮⋮でも、これはただの ゃな子供が木の棒振り回して遊ぶでしょう?そんな感じのものなん です、私にとって!﹂ ⋮⋮なんだかよく分からんが、なんとな∼くよく分かる説明、あり がとう。 要するに、生物学的には男なんだな。 ⋮⋮アウトだ。私の夫にとって、彼︵彼女︶が完全にアウトな存在 だということが、よ∼∼く分かった。 あぁ⋮⋮⋮⋮頭痛が、痛い。 488 結婚してからというもの、我が夫をヘンに刺激しないよう、他の男 との直接的な接触はなるべく控えていた。 だが、今回はさすがの私も分からなかった。分かるわけがない。 今後国民は勿論、親善の意味も兼ねて他国の王族に触れる事も多々 あるだろう。 実際数日後に父の名代で東国ワルシェの建国祭に赴く予定なのだが、 国賓として招かれている為、確実にそういう接触があるだろう。 実は、こんな急に結婚するとは思わなかったから、ちょっと複雑な 事態になってしまっている。 婚約者 のままなのだ。 大国の王族としては前代未聞の超スピード婚の為、対外的に私とグ ランはまだ 婚約者 私達が正式に夫婦だと諸外国に知れ渡るのは、数週間後の我が国で の結婚式典以降となる。 勿論ワルシェにはグランも同行するが、私の護衛兼王女の としてだ。 夫と婚約者では扱いが雲泥の差となる。滞在中の居室も別々となる だろう。 あぁ⋮⋮ムチャクチャ心配だ! 489 グランが他国の公式な場で大暴走しないよう、最善の対策を練らな ければ⋮⋮⋮⋮! 猛獣使いへの道は、まだ始まったばかりだ。 新米猛獣使い編・完 490 ROUND27.5:野獣騎士の世界征服宣言︵前書き︶ *突発バレンタイン企画* リクを頂いたデレデレ小話です。姫がちょっとでもデレるともー大 変? 一行ごとに大量砂吐き展開。激甘で死にそう︵作者が!︵笑︶︶ 491 ROUND27.5:野獣騎士の世界征服宣言 エルス事件で、私は学んだ。 溺愛の集中豪雨が降り注ぐグランの腕の中では、下手に抵抗するよ り、思い切り身を委ねたほうがいいということを。 グランが幸せそうに甘く蕩けそうな顔するし⋮⋮かくいう私もメチ ャクチャ気持ちいい。 ﹁んっ、んっ⋮⋮ぁあ⋮⋮ぁ!﹂ ﹁っ、は、ぁ、姫⋮⋮、ッ﹂ 消毒からのらぶえっち以来、ずっとらぶらぶが続いている。 ついに私もツンデレを卒業できたのだろうか。大変素直に夫とらぶ らぶ一直線だ。 互いに甘ったるく湿った吐息を交わし、一番敏感な部分をグチャグ チャと擦り合わせ、痺れるような悦楽に溺れ込む。 身体の奥をきつくきつく押し上げられると、腰がゾクゾクするほど 燃えあがる。 492 ピンと立ち上がって激しく揺れ動く胸の突起が夫の逞しい胸板に何 度も擦れて、甘く甘く心臓が溶かされる。 身体の奥底で深く繋がって、味わえば味わうほどに深みにはまって いく強烈すぎる一体感が堪らない。 ﹁ん、ぁあぁ⋮⋮っ!﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮⋮⋮ッ、ぁ⋮⋮あぁッッ!!﹂ 中を凶暴に押し広げる巨大なものがドクドクッ⋮⋮!と中で跳ね跳 び、爆発した。 奥壁に熱いものが降り注ぐ甘美過ぎる恍惚感が、腰の奥から全身に 波紋のように広がっていく。 短い吐息とともに太い腕が私の肩を大きく抱き込み、筋肉が硬く盛 り上がって首筋を圧迫し、互いの顔を近づけた。 激しい悦楽の深淵に溺れた漆黒の瞳がぴたりと私を捕らえ、熱く湿 った唇を何度も押し付けられる。 最近夫の深い瞳と精悍な唇が近づいてくると、自然に唇を開いて瞳 を閉じるのが習慣になってしまった。 心地良い気だるさの中で、ミッチリと筋肉の詰まった厚く逞しい胸 板を掌で撫でる。 493 私とまるで違う身体。同じ人間だというのに、性別が違うだけでこ うも違うのか。 元より頑強な骨格だったのだろうが、極限まで鍛えぬいてきた長い 年月を重く感じる。 そんな身体に子供のようにスッポリ包まれていると、自分がとても 小さくちっぽけな存在になったような気がする。 本来ならば国を背負うべき立場の私が、この腕の中でだけは完全に 庇護されてしまう。それも悪くはないと最近思う。 手のひらだけでは足りなくて、その熱い肌に唇を押し付け、滑らせ た。 ﹁⋮⋮⋮⋮っ、ひ、め﹂ ﹁お前の身体、凄い、な。逞しくて⋮⋮好き、だ﹂ ﹁︱︱︱︱︱︱ッ!!﹂ なんか今、物凄い衝撃波がビリビリッ!と襲いかかってきたような 気がしたが⋮⋮気のせいか。 ﹁シドニアでのお前も凄かった。ああも城を瞬時に落としてしまう とは﹂ 494 ﹁ッ⋮⋮我が国にとって、小国シドニアなど赤子のようなもの。お 言葉は嬉しいですが、至極当然の結果かと﹂ ﹁だが、その⋮⋮あの時のお前は、カッコ良かったと、思う⋮⋮!﹂ 自分で言った言葉に、ポポポポ︱︱ッと頬が火照って目をギュッと 瞑ってしまう。 うはーー!こんな言葉を口にしたのは人生初だ!でも確かにカッコ 良かったし!ぅう、思い出すとまたしてもボボン!と頭ごと破裂し そうに⋮⋮! っく!耐えろ、耐えるんだ、私⋮⋮!私はもう、生まれ変わった! ツンデレはもう、卒業します⋮⋮! ﹁!!ひ⋮⋮め⋮⋮⋮⋮!そ、れ、は、誠ですか?!姫が、私、を ⋮⋮⋮⋮?!﹂ グランが目をひん剥いてギロリと私を凝視した。 ギョギョ⋮⋮!なんだか嫌な予感がする、また全グランなんとかが 来そうだ!緊急避難警報発令!ただちに全軍撤退せよ! ﹁あーちょっとだけ!ほんの一瞬、チラッとそう思っただけだ!﹂ 495 だから落ち着け、落ち着けええーー!と荒ぶる夫魂を鎮めようとし たが、既に手遅れだった。 グランが私をギュギューーッッと抱き締め︱︱いや、抱き潰さんば かりにガッチリ羽交い締めして、こう言った。 ﹁っぁあ⋮⋮あぁ、姫⋮⋮⋮私の、姫︱︱!あぁ貴方の為ならば、 あらゆる城を攻め落とし、世界すら手に入れてみせましょう⋮⋮!﹂ はいいいいいいーーーー!?いきなり世 界 征 服 宣 言、キ ターー?!ええええーー?! い、いったい何を言い出すんだ、我が夫はーー!? ﹁貴方ならば、全世界を統べる女王となるに相応しい⋮⋮!この穢 れた世界を、貴方の澄んだ眼で浄化してください⋮⋮!﹂ ええええ?!ちょ、ちょちょ︱︱?!いったいどうしたァ!?なん か悪いもんでも食べたのか?! しもべ ﹁姫、ぁあどうか、貴方の下僕にご命令を⋮⋮!貴方の手足、駒の 一つとなり、貴方の思うがまま、どんな働きでもしてみせましょう !この私をどう使うも、全て貴方次第﹂ 496 のたま とキラッキラ目を輝かせながら、そう宣った。厳粛な面持ちで。ま るで騎士の神聖なる誓いのごとく。思い切り全裸だが。 だが待て待て待て待て、再三言ってるが、この国とグランだけで私 のキャパは埋まりまくっている!それはもうギッチギチだ! この上世界など献上されてもとても扱いきれん!明らかに容量オー バーだ!速攻オーバーキルするわ! なので、ここはキッパリハッキリお断りすることにした。世界平和 のためにも! ﹁世界など要らん!お前がいるから、もうこれ以上、何も要らない ⋮⋮!﹂ すると。 ﹁っっ、ぁあ、ひ、め︱︱︱︱!!﹂ ドオオオオーー!!といつもの全夫が猛烈に襲いかかってキターー !ええええーー?!ななななんでーー?! ﹁っぁあ⋮⋮!私も、要りませ、ん、貴方以外、誰も、何も︱︱︱ ︱!!﹂ 497 ﹁ぇ、ええええ?!ンん、むグ、ゥう︱︱!?﹂ 突然唇を強烈に塞がれたと思ったら、濡れきった低音で﹁ぁあ⋮⋮ 貴方の存在を、また⋮⋮確かめ、たい﹂とかなんとか呟かれ、熱く 大きな切っ先がガツンと膣口にブチ当たり、ズズ、ズン⋮⋮!!と 一気に内部に押し込まれた。 ﹁っふ、ぁアああ⋮⋮!!ぁふ、ぁああぁん⋮⋮⋮⋮!!﹂ 先程散々ブチ込まれ、ビショビショに濡れて夫の形で開きっぱなし でドロドロの卑猥な白濁を垂れ流していた膣道が、再度押し入って きた巨大な肉塊をゴックンゴックンと美味しそうに呑み込んだ。 絶頂の余韻が色濃く残る内部が歓喜に震え、逞しくも雄々しいそれ にビッタリといやらしく吸い付いてしまう。 下腹がギュンギュンと捩れるような感覚に、目尻から何かが垂れ落 ちた。 っっぁああ⋮⋮⋮⋮!!しょっぱなから大変危険な状態だ! なんという敗戦色が濃い開戦だ!完全に負け戦だ!ギブギブギブギ ブ⋮⋮!! 498 グングン込み上げる快感地獄に必死で停戦を申し込んだが、聞き入 れてもらえるはずもなく。 その後、いつも以上に長々としつっこく細かく隅々まで大変いやら し∼く執拗に何度も存在を確認された。 それこそ、世界が木っ端微塵に粉々に砕けそうなほどに。 499 ROUND27.5:野獣騎士の世界征服宣言︵後書き︶ おまけ*もし姫が﹁世界すら手に入れてみせましょう⋮⋮!﹂にY ESと答えていたら? ﹁野獣小話・番外編集﹂にupしてあります。 500 ROUND28:野獣騎士との他国訪問 周辺諸国の王族の集う、きらびやかな他国の舞踏会。 絢爛豪華な大広間の中心で、始まる優雅な曲とともに手を取られ、 二人の足が滑り出す。 グランとこうして踊るのは初めてだ。 というか踊れたのか?上位騎士の教養としてひと通り習得している とは思うが⋮⋮全然想像もつかない。 ﹁エルミア姫並びにグラン殿、ご婚約おめでとうございます。結婚 式典はさぞや盛大でしょうな。貴国の隆盛を知らしめる慶事に我が 国も参列できる事、光栄に思います﹂ 典雅な仕草でワルシェ王に恭しく右手を掬い取られ、指先に唇を落 とされる。 ことほ こちらも感謝の意を伝え、長く続くワルシェの隆盛を言祝いだ。 隣に並び立つグランも挨拶を交わし、和やかに握手を交わしている。 501 ⋮⋮良かった。手袋の上から口付けられるくらいの接触は華麗にス ルーしてくれた。 私の血の滲むような努力?が報われたらしい。 ワルシェの建国祭に参列するに至って、出発前に夫婦で緊急会議を 開いた。 公式の場では王族として、儀礼的しきたりによる接触は免れない。 私が他人に触れられるたび毎回消毒されていたら、とてもじゃない が身体がもたな︱︱コホン、仕事にならないのだ。グランには必然 的に耐えてもらうしかない。 夫にそう告げた途端、一気に部屋のGが五倍くらいになったが、そ れはそれだ。 いくすえ 我が国の行末が関わっているので、超念入りにしつこくしつこく念 押しし続け、ようやく夫から超スローモーな重々しい頷きをゲット 出来た。 だが婚約前、私の護衛として傍に控えていた時は、私が誰と触れよ うが誰と踊ろうが全然平気だったような⋮⋮あのグランはいったい どこへ行った? それについて我が夫に尋ねると、一言一言、苦悶をゴリゴリ噛み潰 すような答えが返って来た。 502 ﹁必死で、抑え込んで、いたのです。ですが貴方はもう、私の⋮⋮ 私だけのもの。どうか、姫、出来得る限り、私の傍に⋮⋮他の男に は、触れさせないで、ください﹂ ぐちゃぐちゃな寝台のシーツの上で熱い熱いハグに包まれた。 きつくきつく抱き寄せられ、夫の高めの体温に私の身体もじわじわ と火照っていく。 顎を掴まれ濡れた口づけをねっとりと落とされた後、耳元に苦しげ な低音が響いた。 ﹁他の男が貴方に近づき、この芳しい香りを嗅ぎ、この滑らかな肌 に触れたらと、そう、思うだけで︱︱心臓が、破裂してしまいそう、 だ﹂ 大きな手で背骨に沿って背をじんわりと撫で下ろされ、微かに震え る唇をこめかみに強く押し付けられ、ゾッ⋮⋮クン!と甘美な痺れ が背筋を一直線に貫いた。 そのまま夫の腕檻にきつくギュギューッと囚われてしまい⋮⋮簡単 に言えば、胸キュンしてしまった。 結局、出来得る限りグランの傍に居る事で、一時的な和平条約が結 ばれたのであった。 503 ﹁グラン殿、貴殿のお噂はかねがね伺っております。さすがは賢王、 つよ 広大なる豊かな国と類まれなる宝石の如き手中の姫を託すにふさわ しき毅き存在を婿として選ばれた。貴国は益々並ぶもの無き強国と なりましょう﹂ ﹁卑小な我が身ではありますが、このような僥倖を承った事、この 身に余る光栄に存じます﹂ 王の祝辞に対し、グランが穏やかな声音で答えている。 ⋮⋮なんだか、こそばゆい。 グランを夫としてから、他国の公式の場に出たのはこれが初めてだ が、私の婚約者、我が未来の伴侶として、実に申し分のない振る舞 いだ。 改めて我が夫を見る。 婚姻式の時のようにキッチリ整えられた硬い黒髪。 逞しい肉体をシンプルではあるが上質な生地の礼服で包み込み、そ の所作言動はそこいらの王族と遜色ない、威厳と礼節に満ちたもの。 見上げるような長身も相まって、場内の視線を強く集めていた。 504 この様子なら、数日後の帰国まで平穏無事に過ごす事が出来そうだ。 ⋮⋮と思ったのだが、そうは問屋が卸さなかった。 505 ROUND29:野獣騎士とダンス 建国祭前夜の、各国の要人の集う、きらびやかな舞踏会。 各々会話と会食に楽しんだ後、楽団による華やかな演奏が始まった。 婚約者 であるグランに手を取 数組の男女が吸い寄せられるように中央に集う。 いざな 私もファーストダンスに相応しい られ、厳かに誘われる。 始まる優雅な曲とともに手を取られ、二人の足が滑り出す。 最初の数歩で分かった。メチャクチャ、踊りやすい。 元々ダンスは得意な方だが、グランの腕の中で全ての動きが綺麗に 決まり、身体が淀みなく流れていく。⋮⋮すごく、気持ちがいい。 なんでだろうと考え、すぐにいたって単純な理由へと辿り着く。 グランが、恐いくらいに私を見つめてくるからだ。恐ろしいほどに 私だけを。 見つめる のレベルが違う。まるで世界中 ダンス中パートナーと目線を合わせ、互いの呼吸を合わせて踊るの は基本中の基本だが、 に私一人しか存在していないかのような見つめ方だ。 506 その瞳に宿る熱は夫婦の閨で私に覆い被さってくる時と寸分違わぬ もの。 深い闇色の瞳が私の内面まで鷲掴み、狂おしく私の胸を掻き乱す。 たずさ 重々しくも優雅さを携え、深い情感に溢れたその所作は、他の人物 には決して醸し出せない奥深くも独特な世界を構成し、周囲の者達 を否が応にも引きずり込む。 揺るぎないリードが私の望む高みへと力強く導いていく。 曲が終わり、グランに手を取られ一礼すると、割れんばかりの賛辞 の拍手が鳴り響いた。 我に返り周囲を見渡すと、いつしか踊っているのは私達だけとなっ てしまっていた。 止まない賞賛に一礼し、その場を辞した。 身体が、熱い。胸がどくどくと高鳴り、高揚感が収まらない。 手を取られたまま、夫をじっと見つめてしまう。 踊り終えてもなお私だけを見つめ続けるその瞳に、ものすごい吸引 力で吸い込まれてしまいそうだ。 頬が熱くなり、高鳴る鼓動で胸が激しく上下する。 507 あぁ⋮⋮もう一度、踊りたい。 ﹁っはぁ⋮⋮グラン、﹂ ﹁姫﹂ ﹁すごく、良かった⋮⋮もう一度、したい⋮⋮﹂ そっと夫に寄り添いそう呟くと。 ﹁⋮⋮ッ!ひ⋮⋮め、⋮⋮っ︱︱︱︱!﹂ 突然大きな身体にガッツリ抱き込まれた。おもいッきり、公式の場 で。ええええーー?! ﹁⋮⋮⋮⋮っはぁ⋮⋮姫、姫⋮⋮!﹂ ﹁え、な、ちょ、え﹂ 動揺の余り、早くも言語崩壊した。 ﹁っ、あぁ姫⋮⋮!今すぐにでも⋮⋮貴方をこの場で、組み伏せた、 い﹂ 508 うああああーー!!なぜにーー?!なぜにそうなったァーー?! 509 ROUND30:野獣騎士と地雷原 今、夫婦間で、なんらかの地雷が盛大に誤爆した。 だが、いったいどの地雷を踏んづけてしまったのかが全く分からな い。 どうやら私とグランとの間には、果てしなき地雷原が延々と広がっ ているようだ。 兎にも角にも公務中だ。 人目もある事だし、ここは婚約者同士の甘い戯言みたいな感じで夫 の問題発言を艶っぽく右から左へと受け流せないだろうか? 夫を見上げ、できるだけ甘やかに宥めてみた。 ﹁情熱的、だな。お前がそれほどまでに私を求めてくれる事はすご く嬉しい⋮⋮が、ここは公式の場だ、この続きは帰国後にでも、﹂ ﹁っッ⋮⋮!ぁあ姫⋮⋮︱︱!﹂ 腰骨がグニィ∼ッと湾曲しそうなほど強く強く引き寄せられ、燃え る漆黒の瞳が眼前にガンガンに迫ってきた。 510 ちょ!ち、近い!近いから⋮⋮⋮⋮! ま、まさかこんな所で、いつもの超濃厚バターのようなベッタベタ な口付けでもする気じゃないだろうな?!そんな事したら、全参列 者超ドン引き展開だぞ! 大きな手のひらでガッと頬を包まれる。唇の温度と湿度が伝わりそ うなほど接近しまくった崖っぷちで、グランの瞳が華やかな照明効 果でキラキラと甘やかに煌めいて揺れた。 ﹁あぁ、姫⋮⋮どこに、どんな場所に居ようとも、貴方は私の⋮⋮ 私、だけのもの︱︱﹂ うっっわあぁーー!げ、激甘の倍返し、キターーーー!?熱∼∼い 眼差しで、ベッタベタな睦言がガッツリ返ってキターー!! な、なんだこの状況は!完全に二人の世界逝ってるぞ⋮⋮! 腰をジリジリと這いまわる手がジュワッと焦げそうなほど熱い。な んかチリチリする!腰一帯、低温やけどしてしまいそうだ! こめかみに寄せられた夫の唇が、更に甘く危険な睦言を紡ぎ出した。 ﹁ぁあ、姫⋮⋮今ここで、貴方を、思いきり、貫きたい⋮⋮⋮⋮皆 の前で、貴方はこの私のものだと、見せつけ、られたら︱︱!﹂ 511 ええええーー!!にゃ、にゃにを言っているーー!絶対、ダメだー ーーー!! 今、私の体内を駆け巡る全血流が足元にドオオーー!とフリーフォ ールした!ついでに、全髪の毛が揃って元気よくビンビンに逆立ち しそうになった! そ、そんな変態ドエロ大公開プレイなど、お前の脳内で勝手に延々 と繰り広げておけ!健全な人々とリアルの私をお前のドロドログチ ャグチャに巻き込むな!この、大馬鹿者がーーーー!! とりあえず公務に戻らねば⋮⋮!それにはやはり奥の手を使うしか ないのか?! ﹁待て﹂できたら後でご褒美作戦 発動⋮⋮! できれば極力使いたくない方法だが、この緊急事態で背に腹は代え られん!名づけて これは近未来の自分を生贄に、今現在の自分の身の安全をゲットす るカードだ!実はまだ一回しか発動していないが為に成功率はまん ま100%だが、代わりに後でとんでもエロエロ体験を超涙目で強 制奉仕させられるサクリファイス要素満載な切り札だ! つま先立ちで夫の耳元に顔を寄せ、早速作戦を発動した。 ﹁グラン、帰国したらまた﹃あーん﹄してやるから⋮⋮!だからこ こは耐えろ!﹂ ﹁ッ、ひ⋮⋮⋮⋮め、﹂ 512 グランが今猛烈にグラングラン来ている。よし、あともうひと息だ! だが﹁あーん﹂以外に何を言えばいい?それ以外の対夫既出サービ スは超暗黒歴史につき厳重に封印した為、咄嗟に﹁あーん﹂しか出 てこない! ﹁ええと⋮⋮⋮⋮わ、私も﹃あーん﹄して、いいからーーーー!!﹂ ええええーー?!オイコラ私ィーー!!一体全体何言っちゃってる んですかーー?!⋮⋮バカですか?!やっぱりもしかして真性のバ カなのか私はーー?!もはや一旦死んでもう一度生まれ変わったほ うがいいなこれは⋮⋮⋮⋮!! 全身火だるまと化して自分の発言に激悶えしていると。 ﹁ッ⋮⋮姫⋮⋮⋮⋮!!﹂ ッッぎゃああーーーー!!なっっにイイーー!?まさかの公式の場 で、全グラン発動、キターー!? あわわわ!完璧に出すカードを間違えたーー!! 我が夫から大変艶っぽい空気がガンガンに滲み出し、夫婦間に局地 的大雨洪水注意報が発令された。 513 ﹁ぁあ、姫、今すぐ、貴方を⋮⋮抱き、た、い﹂ ﹁バ、バカ者!ダメだ!何言ってる!耐えろ!﹂ 小声で必死に矢継ぎ早に夫を叱咤激励した。が。 ﹁ッ無理⋮⋮で、﹂ ガッタガタ震えながらそう呟かれた。ぅぁあああああーーー!! 追い打ちを掛けるように漆黒の濡れきった瞳に甘く切なく懇願され た。 ﹁あぁ姫⋮⋮僅かな時間だけ、っどうか、﹂ ﹁せめてこの会が終わるまで耐えろ!﹂ ﹁ッ無、理、﹂ マズイ、マズイな!言語が途切れ途切れな臨界点まできている!大 事故になる前にどうにかせねば⋮⋮! 514 という訳で。 仕方なく、本当に仕方なく、先ほどのダンスで乱れた着衣を直すと かいう、苦し紛れに絞り出したにしてはまあまあの出来栄えの名目 で私専用の客室へと引き上げた。 扉を閉めた途端、低く獰猛な唸りをあげた夫にムグッと唇を強烈に 塞がれ、同時にドレスの胸元をガバァ!と豪快に引きずりおろされ た。 ちょちょちょーー!?待て待て待て待て! も少し、もうほんの少しだけでも慎ましやかにできないのか?!こ こ他国!他国の客室だから⋮⋮⋮⋮! いつでもどこでも豪快にもほどがある!うっかり路地裏でバッタリ 追い剥ぎにでも出会った気分だ! ウェイト!ジャスト・ウェイト⋮⋮⋮⋮!! 515 ROUND31:野獣騎士とダンス︵18禁的な意味で・前編︶ 本日の夫婦の気象予報は、大いに外れた。 大雨洪水注意報どころでは、なかった。 ﹁ッグラ、ン!っ、ぁ、んん!んんん︱︱!!﹂ 今、私は夫とダンスしていた。 他国の客室で。大変不本意ながら、18禁的な意味で。 恐ろしく密着した卑猥極まりないダンスポジションのまま、目と目 がくっつきそうな程近くで熱烈ガン見されつつ、唇をガッツリ塞が れ、口内をたっぷりと濡らされる。 突然の強襲から逃れようとするも、大変流麗で情熱的なステップで すぐに追い詰められ、逃れられない。 熱い唇が首筋を履い降り、鎖骨をガプッと甘く齧られ、熱い吐息が 肌を焼く。 ﹁ぁあ、姫⋮⋮⋮⋮踊っている間、ずっと、貴方をこう、したくて ⋮⋮堪らな、かった﹂ 516 コラコラコラ!こんな卑猥な事を考えながら踊っていたのか?!ど うりで無駄に情感に溢れすぎてると思った! ッ、返せ⋮⋮!夫との初めてのダンスにうっとりデレてしまった貴 重な乙女時間を即刻、返せーー! ﹁っは、姫︱︱姫⋮⋮⋮⋮﹂ 厚 過 ぎ 片手と腰をしっかりホールドされながら、深く深∼く口づけられる。 わーー!! 物凄く濃厚に。⋮⋮って、んぐ、ぅう!濃 る 毎晩恒例の夫婦の閨で例えるならば、ROUND2の最後あたりの レベルだな、これは! まみ 二度も私の中に放っておきながら、っぁあ、姫⋮⋮⋮⋮まだ、足り ませ、とかなんとか途切れ途切れの官能塗れの口調で呟きながら、 グチャグチャに繋がったまま猛烈に唇をしゃぶってくる時と同じ濃 さだ! 濃厚な夫の味と匂いに、背中がゾクゾクして腰がガクガク震えた。 ぅああ⋮⋮!私の身体まで熱くなってきた⋮⋮!大変マズい状況だ! とにかくこの激アツダンスを止めなければ!一刻も早くだ! 517 丸出しになった胸にガッ!と伸びてきた夫の手をすんでのところで ガシィッ!と受け止めた。 余りの衝撃に骨がジーンと痺れたが、なんとか耐える。 くッ!これ、ほんとに人間の手、なのか?お、重⋮⋮ッ!なんでこ んなに重いんだ?中に鉛でも仕込んであるのか?押し戻す事など到 底不可能、ぐぎぎぎぎと押し留めるだけで精一杯だ! 手首をブルブルさせ、奥歯をギリギリ噛み締め、夫の手と自分の胸 との危険極まりない邂逅を全力で阻止し続けた。 が、敵もさるもの。 胸の先端をバクッと一口で銜えられ、全胸脂肪が吸引されそうなほ どの勢いで吸い上げられた。 敏感な突起を口の中でジュルジュルと舐めあげられ、全身がビクン ビクンと跳ね上がり、背がグン!と反り返る。 ﹁んッ、ぁあ!あァあぁ⋮⋮⋮⋮!!﹂ ﹁っく⋮⋮は、﹂ 荒ぶる呼気を吐き出す夫の口が私の胸を狂おしく舐めまくった。 518 キッチリ整えられていた黒髪は額に乱れ落ち、漆黒の瞳は悩ましく 細められ、壮絶な色気にクラクラしそうになる。 が、ここで踏みとどまらねば一気に溺愛ビショビショコースに押し 流される事請け合いだ!しっかりしろォ、私⋮⋮!! ﹁ッグラン、身体に触れるな。口づけだけ、許す﹂ ﹁ひ、め︱︱︱︱﹂ 熱情に荒れ狂う夫の瞳を見つめ、頬を掴み、その熱い唇を食んだ。 ﹁すぐに戻らねばならない。大事な公務だ、分かってくれるな?﹂ グランが目を見開いてビクリと硬直した隙に、超特急で肌蹴た胸元 をしっかり元に戻した。 そう、口付けだけなら、口紅さえ直せばなんとかなる。 時間も短くて済む。痕跡も残らない。我ながらいいアイデアだ! ⋮⋮と、その時はそう思っていたのだが。 それが大誤算だった事を、すぐに思い知らされた。 519 ﹁ん、ぶ、ぅ⋮⋮!んんんっ、ぅううぅ⋮⋮⋮⋮!!﹂ 羽交い締めされたまま、とんでもない濃ゆい口付けを延々とされる。 強く押し付けられた唇が強引に私の口を大きく開き、口内を野太い 肉塊が縦横無尽に暴れまわる。 口の中が夫の舌と唾液で一杯になり、ゴプッ⋮⋮と生温い液体が溢 れた。っく⋮⋮!このまま卑猥な粘液の海でブクブクと溺れそうだ! ﹁ッふ、ぅう、は、ぶ、んんん︱︱︱︱ッ﹂ ﹁ッは、⋮⋮っぁ、﹂ 一番深く交わる角度で歯列と喉奥をグチャグチャと擦られ続け、深 刻な酸素不足で頭がクラクラしてきた。 唇と頬、顎がジンジンと腫れぼったい。 腰がジーンと重く痺れ、下着がじわりと濡れる感触に背中がゾワッ とした。 頑強な胸の中で身を捩り、タイムアウトの意を伝えようとしたが、 口内を犯される動きがより熱く激しくなり、喘ぐ声すら発せずに喉 520 奥が発火した。 ﹁んぅ、んん!んうん⋮⋮⋮⋮ッ!﹂ 両頬を捕まれ、肉厚な舌をグチャグチャと激しく抜き差しされる。 息が出来ないのに鼓動だけ激しく鳴り響き、顎に力が全く入らない。 口の中をグチャグチュッグブガボッ!と猛烈に掻き回され、思考が 霞んで頭が真っ白になっていく。 膝が震え、両足の間から大量の熱い蜜が溢れ出す。 挿れられているわけでもないのに秘裂がジンジンと熱くなり、そし て︱︱ ﹁ッ、っっ、︱︱︱︱ぅぅうぅう⋮⋮⋮⋮!!﹂ 硬い剛直で下腹の奥をゴリゴリと押し上げられ、熱い飛沫を受けた 時のような激しい絶頂に強引に引き上げられた。 下腹部がビクビクッと痙攣した。唇と顎の震えが止まらない。 急激に高ぶった身体に支配されたまま、ぐったりと夫の胸元にもた れかかってしまう。 521 背骨が折れんばかりにギューッときつくきつく抱き寄せられ、耳元 で切なく懇願される。 ﹁っ、ぁあ姫⋮⋮⋮⋮もう一度、﹂ 濡れて掠れた喘ぎが唇にかかり、ビクンと身体を震わせてしまう。 身体が、熱い。胸がどくどくと高鳴り、高揚感が収まらない。 腰をきつく抱き込まれたまま、じっと夫を見つめた。 永遠に私だけを見つめ続けるその瞳に、ものすごい吸引力で吸い込 まれてしまいそうだ。 頬が熱くなり、高鳴る鼓動で胸が激しく上下する。 もう一度だけ。もう一度だけならば。私も⋮⋮したい。 ﹁っはぁ⋮⋮グラン、﹂ ﹁姫⋮⋮﹂ ﹁私も⋮⋮もっと、したい⋮⋮﹂ 522 そっと夫に寄り添いそう呟くと。 ﹁⋮⋮ッ!ひ⋮⋮め、⋮⋮っ︱︱︱︱!﹂ 突然大きな身体にガッツリ抱き込まれた。そして︱︱︱︱ ﹁っはぁ⋮⋮姫、姫⋮⋮⋮⋮!﹂ ﹁︱︱えええ?!な、ちょ、えッ、ぁ⋮⋮!!﹂ 動揺の余り、またしても言語崩壊した。 なぜなら。 突然、片足をグイと持ち上げられ、夫の硬い腰がグッと割り入り、 ガッとずらされた下着の隙間から、 どう考えても例のアレとしか思えないギンギンに滾ったものが、 濡れそぼった溝にグ、チャッ⋮⋮!と熱く激しく口付け?してきた からだ。 ﹁え、ぇ、ちょ、待ッ⋮⋮⋮⋮ひ、ぁあッ⋮⋮!ぁ、あ、ぁあああ 523 ぁあぁーーーー⋮⋮っ!!!﹂ 524 ROUND32:野獣騎士とダンス︵18禁的な意味で・後編︶ 溢れた蜜をいやらしく身に纏い、恐ろしいほどの存在感が体内にグ、 プン⋮⋮!とめり込んできそうになって、咄嗟に下肢にグッと力を 入れて、迫り来る凶刃を足の間で真剣白刃取り?した! 今、初めて、我が夫のものがビックサイズで良かったと思う。 寝台では一旦伸し掛かられてしまえば、どんなに気合を入れようが 身を捩ろうが、絶対確実に侵入を許してしまうのだが、この不安定 な体勢ならばちょっと位置をずらすだけでなんとか回避できる! とその時。 ﹁姫様?お召し替えのご準備に伺いました。入っても宜しいですか ?﹂ 扉を叩く音とともに声がした。 ケイナだ!天の助け! ケイナに﹁ちょっと待て﹂と告げ、入り口に膨張した先端が猛烈に 押し当てられている恐ろしい状態のまま、なんとか夫を宥めようと 試みた。 525 ﹁グラン⋮⋮っ早、く︱︱!!﹂ 離れろ!!と言う前に、なぜかいきなり腰をグアッと持ち上げられ た。 ︱︱え。⋮⋮なんで今、私をリフティングする必要が⋮⋮? 太い腕で両膝をガッとすくい上げられ、パックリ開ききった両足の 間に夫の腰が割り込んできた。 げげ⋮⋮ッ!!こ、この、最 終 ポ ジ シ ョ ンは⋮⋮!! これはまさかもしや、マ、マズイ︱︱︱︱!! ﹁グラ、待、ッぁ!待ッッ⋮⋮⋮⋮あ、ぁあああぁあーーーー!!﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮ッぁ、く︱︱︱︱っ!!﹂ 空中で腰を引き寄せられば、もはや抵抗する術もない。 抱え上げられたまま、 ガッチガチに聳え立ったものを、 腰の奥まで押し込まれ、強烈に貫かれた。 526 ﹁ッぁあ、ひ、め⋮⋮⋮⋮すぐに、終わらせ、ます︱︱︱︱﹂ 壮絶な艶に濡れきった喘ぎが耳元に落ちてきた。が、ち、違⋮⋮ッ !﹁早く﹂って、ソ ッ チ じ ゃ な い か らーー!! ﹁あ!ぁ!ぁあぁああーー⋮⋮!!﹂ ﹁っ、ぁ、はぁ⋮⋮っ!﹂ 硬い腰がガツンガツンと臀部にぶつかってきて、頭の中でキラキラ 星が沢山煌めいた。 荒い呼気とともに首筋をジュルジュルと舐めあげられ、ぐちゅん! ぐちゃん!と何度も深々と串刺しにされる。 物凄い激震が襲うたびに﹁ふッッぁああーー!!﹂﹁はぁあ、ンん ︱︱!!﹂とふにゃふにゃの情けない嬌声が勝手に口から飛び出し ていく。 ぁああ⋮⋮!!強烈、過ぎる⋮⋮⋮⋮!!ここまでくると、火山現 象警報、いやいや地震動警報並だ!もはや天災、天変地異の様相を 呈している!ぁあ⋮⋮ノアの方舟、プリーズ⋮⋮⋮⋮!! 527 お腹いっぱいに埋め込まれて息も絶え絶えに喘ぐ唇や、大胆にこぼ れ出た胸を凄い勢いでガツガツとしゃぶられ、強烈に突き上げられ まくって腰骨に重い衝撃が響き渡る。 あ、ぅああ⋮⋮!と涙目でその太い首に藁をもつかむ思いでしがみ つくと、更に息を荒げて大きく体ごとガッツガッツに揺さぶられた。 ﹁あぁ姫⋮⋮ッ辛い、のです、貴方のその芳しい身体が、私のすぐ 傍に、その瞳が私を見つめているというのに⋮⋮⋮⋮皆の前でこう して貴方に触れられない事が、辛、くて、あぁ⋮⋮⋮⋮せめて、ふ たりきりの時は、貴方が私の永遠の伴侶だと、しっかりと確かめ、 たい︱︱!﹂ ﹁あっ、ふあぁっ⋮⋮!!っン、は⋮⋮ッ、あぁあっ!﹂ もはや返答不可能です! ﹁く、はぁ、ひめ⋮⋮⋮⋮っぁあ、最⋮⋮高、です⋮⋮⋮⋮!﹂ く、ちょ、コラ!⋮⋮っぁ、最、悪、だ⋮⋮⋮⋮!! ずっと、あれ以来、この体位だけは、涙なしに語ることすらできな い血の滲むような努力の末、なんとか無事、逃れ続けていたのに⋮ ⋮!他国だし油断した!っぁああーーーーッッ!! ありえないありえない!この場この時こんなやり方でこんな事する 528 なんて、ありえないからーー!!変態!ド鬼畜!エロエロ魔人ーー !! ッく、ぁあ⋮⋮お尻からいやらしい粘液がつつつ∼∼っと大量に垂 れていく感触がする。うぅ、夜会用ドレスに卑猥な染みが⋮⋮!! 最近こうしてガッツリハメられると、勝手に身体の奥からジュワッ って蜜が湧き出てしまうのが心底いたたまれない。深海のドン底ま で沈んで泡となって綺麗サッパリ消えたい気分だ! 腰骨が痺れそうなほど豪快にドロドログチャグチャになった中を更 に狂おしく掻き回され、目が白く霞んできた⋮⋮! 丸出しのまま上下に揺れまくる胸を追いかけてきた唇にしゃぶられ 背がグン!と反り返った時、グランが大きく呻いて体内でドッック ン!!と爆発した。 ﹁⋮⋮っは、ひ、め、︱︱︱︱ッッ!!﹂ ﹁ん、く︱︱︱︱ッッ!ぁあ⋮⋮ぁ!!﹂ 散々捏ね回されてグチャグチャになった蜜壺の奥底をビクンビクン と打ち震えるものでベットリ押し上げられ、下腹部を熱いものでビ ッシャビシャにされる。 全て出し終えた陰茎をズボォ!と引き抜かれると、熱い感触が下に ドロドロと降りてきて、ぱっくり口を開いたままの蜜口からパタパ 529 タと淫らな雫が落ち床に跳ねた。 ぅう、今日もまた、大型衝突事故の決定的証拠が床に⋮⋮!! 530 ROUND33:野獣騎士と他国の姫 ⋮⋮⋮⋮大変な目にあった。 結局、ドロドログチャグチャな事故現場の痕跡は、我が国の優秀な 侍女達により跡形もなく消え去った。 さすがは我が国で連日のように勃発する事故処理をこなし続けてい るだけあって手慣れている。瞬く間に完全犯罪?が成立してしまっ た。なんというプロ集団。 で、なんとか夜会に復帰した。諸々の事情で身につけるものを総取 っ替えする羽目になったが。 さっきの二の舞いとならぬよう、冷静に外交に務める事を心に誓っ ておく。要は私の乙女様降臨を阻止すれば、この会は平穏無事に終 わるはずだ! グランとともにワルシェ王と歓談していると、ドレスの裾をツンツ ンと引っ張られた。しかも左右から。んんん? 見下ろすと、おんなじ顔の少年達が揃って私を見上げ、小さな手で ドレスをくいくいと引っ張っていた。 ﹁エルミア様、次は、僕と踊ってください!﹂ 531 ﹁僕も!とっても素敵なダンスでした、ぜひ僕のお相手を!﹂ 同じ顔の大変可愛いらしい紳士達に囲まれ、同時にせがまれた。ワ ルシェ王の末子、まだ幼い双子王子だ。 ワルシェ王には六人の子がいるが、男子はこの双子王子のみ。 栗色巻き毛にクリクリお目目の少年達だ。 ﹁あなた達ではまだまだ背が足りないわ。もっと大きくなってから ね﹂ ええーー?!と見事なボーイソプラノでハモる双子王子の背後から 彼らを諌めたのは。 ﹁エルミア様、久しぶりにお会いできて大変嬉しく思います。この たびはご婚約、おめでとうございます﹂ ワルシェの第四王女、フランソワーズ姫だ。 近隣の王族の中では一番年が近く、顔を合わす機会も多い為、大変 よく話す親しい間柄だ。 以前会った時には、私と同じく山のように降り注ぐ縁談に嘆息して 532 いて、互いに労を労ったのはまだ新しい記憶だ。 ﹁筆頭騎士殿も⋮⋮お久しぶりです﹂ ﹁フランソワーズ姫。またお会いでき、光栄です﹂ 挨拶を交わす二人は親しげだ。 そういえば私の護衛時代、この二人は何度か顔を合わせていたはず だ。 ﹁グランと面識がおありに?﹂ ﹁ええ、実は彼には以前一度、助けてもらった事が︱︱恥ずかしい わ﹂ ﹁姫︱︱どうか、お気になさらず﹂ 頬を染めたフランソワーズに、グランが低く穏やかな声音で答えた。 姫 と呼ぶグランの声に、一瞬だけ、心臓が ⋮⋮?なんだろう、なんだか胸が、ザワザワする、ような⋮⋮? フランソワーズ姫を 変な動きをした。 533 ﹁いいえ。あれからずっと、またお会いした時には再度お礼を申し 上げたいと思っていたの。今夜お会いできて良かったわ。あの時は 本当にありがとうございます。それからご婚約、おめでとうござい ます。結婚式典には謹んで参列させて頂きますわ﹂ ニッコリと微笑み、婚約の経緯などを尋ねてくる彼女としばし歓談 した後、グランと二人きりになった時、コッソリ聞いてみる。 ﹁グラン、フランソワーズを助けたって、どう助けたんだ?﹂ ﹁以前一度だけ⋮⋮ほんの些細な事です﹂ ﹁内容は?﹂ ﹁それは︱︱︱︱﹂ 珍しくグランが言い淀む。 ⋮⋮なんだか胸のザワザワが、いい感じに大きくなってきた⋮⋮! が、何か言いづらい理由があるのなら仕方ない。 ﹁あー、余り詳しく言えない事なら、言わなくていい﹂ ﹁姫︱︱いいえ、本当に些細な事柄です。以前夜会で姫が体調を悪 534 くされて貧血をおこされ、背後にいた私が抱きとめたのですが、そ の際、衣服の一部分が絡まり、ドレスの背の部分が開いてしまった 為、そのまま控室へとお送りしたのです﹂ ﹁そうか﹂ そういえばフランソワーズ姫は、季節の変わり目などは病がちにな り、体調を崩す事が多いと言っていた。 ちょうどいい所にグランが居て、良かった。危うく床に倒れてしま う所を救えたのだな。 だがその後、ドレスの背の部分が開いて︱︱んんん? 今、なにか、引っ掛かった。 ⋮⋮グランは、フランソワーズ姫の肌を、見たのだろうか? ﹁姫?﹂ グランに呼びかけられ、はっと我に返る。 ちょうどワルシェの外相がこちらに来るのが見えた。 というわけで、この話題は終わらせたのだが、その後も何故かその 事が気になって仕方ない。 535 あぁ⋮⋮なんか、モヤモヤ、するーーーー! 536 ROUND34:野獣騎士の跡 なんだろう。 グランが他の女性の肌を見たかもしれないと思うだけで、なんかこ う、ツンツンツンツンした気持ちになってくる。今すぐグランの胸 ぐらをガッツリ掴んで、訳もなくガクガク締めあげたい気分だ! だが話によれば、グランはただ人助けの為に動いたに過ぎない。そ の場で姫を抱き留めたのは居合わせた者として当然の行動だ。 でも、フランソワーズ姫を抱き留めるグランを想像すると、なんだ かモヤモヤする。 姫のドレスが乱れたのもただのハプニングだ。グランが彼女の肌を 見たとしても全くの不可抗力。頭では分かっているのに、気持ちが 波立って仕方ない。 だがヤンデレにツンツンしたらどうなるか我が身を持って何度も何 度も経験している。毎回毎回同じ轍を踏む訳にはいかない!静まれ、 静まれーー!私! 父王から頼まれていた、両国の関税の引き下げについての腹の探り 合いをワルシェ外相と繰り広げた後、今度は東国の第三王子が会話 に加わってきたので、にこやかに会談した。 537 ﹁︱︱︱︱光栄です。では、姫。御手をよろしいですか?﹂ は?!手?いったいなんの話だ? 見ると、目の前の王子が恭しく私に手を差し伸べていた。 条件反射でニッコリ微笑み手を差し出すと、颯爽と手を取られ、腰 を引き寄せられた。んんんーー?? ﹁では騎士殿。ほんの束の間、姫をお借り致します﹂ 穏やかな笑みをたたえながら王子がグランにそう告げ、流れるよう な所作でダンスを始めた。私と。 ⋮⋮アレレ?なんで私は、この青年と踊っているのだろうか。 そういえばたわいもない歓談中、王子に何事か問いかけられたよう な⋮⋮。 咄嗟に曖昧に微笑んでしまったが、それが了承の意と取られてしま ったのだろうか。 ⋮⋮⋮⋮マズイ。 夜会では出来るだけグラ という条件で、毎回ビショビショの大惨事に 自国での記念すべき第一回夫婦会議で、 ンの傍から離れない 538 なる大消毒戦争の一時的な和平条約を締結したばかりなのに⋮⋮! 軽やかなステップでリードされ、身体が滑らかに動く。この王子も なかなかの踊り手だ。 王子が魅惑的に微笑み、話しかけてきた。 ﹁エルミア姫⋮⋮以前夜会で貴方と踊って以来、こうして再び貴方 の手を取り、踊る事を待ち望んでおりました﹂ 確かにこの王子とは以前踊った事がある。身体が覚えている。返答 代わりにニッコリ微笑み返しておく。 早めの曲調で周囲の景色がめまぐるしく回り、グランの姿が見えな い。 目線が全然違う。王子は男性の平均的身長だが、グランはもっと高 い。 目の前に見える肩の位置も、身体の大きさも、腰に置かれた手の大 きさも、まるで違う。グランはもっと︱︱ ﹁貴方と婚約できる栄誉を勝ち取ることの出来た騎士殿が羨ましい。 覚えておられますか、以前私との婚姻のお話もありましたね。儚く も潰えてしまい、とても残念に思います。騎士殿はどのように貴方 を射止めたのでしょうか?﹂ 539 ゆるやかに微笑みながら尋ねられ、ふと婚約した日を思い出してみ る。 ある日突然、なんの前フリも無く婚約が決まり、婚約したその日に 襲われた。ビックリした。あれは人生最大の驚きだった。 などとバカ正直に語るわけにもいかず、適当にお茶を濁しておく。 ﹁ところで、姫、﹂ やや頬が紅潮し、戸惑ったような王子と目線がぴったり合った。 ﹁失礼ながら⋮⋮肌に真紅の薔薇の跡が。これ以降、貴方の騎士殿 以外と踊られないほうがよろしいかもしれませんね﹂ ︱︱ぇ。ぎゃあああーー!!一瞬で体温が二、三度上昇した! 先程私の身体も全て隠匿した筈だったのだが、動いた拍子にドレス の胸元の隙間から覗いてしまったのかもしれない。とんだ失態だ! 我が国の優秀な事故処理班も、慣れない他国の部屋の処理に追われ、 私の方の処理が疎かになっていたのかもしれない。 540 ﹁あぁ、これは︱︱先程衣装替えの際、爪で肌を傷付けてしまった ようだ﹂ 極上の微笑みを添え、さもそれが真実であるかのように押し通した。 ﹁これはとんだ失礼を。美しい貴方を前に少々舞い上がっていたよ うです。どうかお許しを﹂ 王子が礼儀正しく謝罪した。 良かった、本当に納得したのかやや微妙だが、なんとかこのピンチ は切り抜けられそうだ。 が、その時。 下腹の内側を、この場に大変似つかわしくないものがじわりと落ち て来る感触がして、サーッと血の気が引いた。 必死に下肢に気合を入れ、卑猥な粘液の降下を阻もうとしたが、逆 効果だった。 ゴプッと中で渦巻いて、じわりと下着に染みこむ感触がする。ぎゃ ああ⋮⋮⋮⋮!たった一回だけだったのに、いったいどんだけ沢山 私の中に放ったんだ?! 腰が硬直し、ステップが乱れる。完全にリズムが狂ってバランスを 541 失い、図らずも王子に両腕をしっかり掴まれ、紳士的に支えられた。 すぐに体勢を整え、身を離す。 ﹁失礼。その、靴のかかとが少し欠けてしまったようだ﹂ 大変苦しい言い訳で誤魔化すと、王子が目を細め、ゆっくりと身を 引いた。 ﹁それでは踊りづらい事でしょう。名残惜しいですが、貴方を婚約 者殿の元にお返し致しましょう﹂ なかなかスリルのあるダンスが終了した。⋮⋮要らん汗を大量にか いたような気がする。 やれやれとグランの元に戻ると、フランソワーズ姫がにこやかにグ ランに話しかけていた。 ⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮ ハイ、ここで質問!最近食べた中で一番の大ヒット作は? う∼んそうだな、この間食べた城のコックの新作ケーキは美味かっ た。見た目はただのチーズケーキだが、まったりしてそれでいてし つこくない、口の中でじわりととろける大変クセになる味だった。 ケイナも大絶賛していて⋮⋮そうだ、今度侍女達も一緒にお茶会で 542 も開いてみるか! ⋮⋮⋮⋮ヨシ!上手く感情を制御できた。我ながら上出来だ! と思ったら、思わぬ方向から爆弾が投下された。 ﹁やはりあの噂は本当でしたか。フランソワーズ姫が、ある他国の 騎士に好意を抱き、彼との婚姻をご所望されたという、誠しめやか に流れていたあの噂は︱︱﹂ 王子が漏らした呟き一つで、感情を制御する弁がバーン!と全部ブ ッ飛んだ! ええええーー?!グランに、まさかの縁談がーー?! いやいや、落ち着け!落ち着けぇーー私! そんな話、一度も私の耳に入ってきた事がない。ぶっちゃけ当時は 全然興味が無かったから完全スルーしていた可能性もなきにしもあ らずだが、もしやグラン本人に直接打診が来たのか? いやいや待て待てこれはただの噂話、不確かな情報だ!そんなもの に惑わされるのは馬鹿馬鹿しい事極まりない。 それにグランは既に我が夫。今の私が心乱される要因は全く無いの だ。 543 ︱︱︱︱なのだけれども。 あぁ⋮⋮⋮⋮すっっごく、気 に な るーーーー!! 544 ROUND35:野獣騎士VSツンツン姫 フランソワーズ姫がグランに好意を⋮⋮?! そう考えるだけで、なんか、いつにもまして、ツンツン度が最高潮 に⋮⋮! ッ、だが、静まれ、私ーー! こんな感情などに振り回されていたら、王族など務まるものか! ツルッツルに磨き上げられた床を、ギュギュッと煙を吐かんばかり の勢いで踏みつけ、なんとか耐えた! とその時、幸運の女神が私に微笑みかけた。 ワルシェ王の音頭により、非常に心乱されまくった夜会がようやく 幕を閉じたのだ。 良かった。正直このまま続いていたら、気もそぞろなままありえな い大失態を延々と繰り広げていたかもしれなかった。危ない危ない! 各国の要人が続々と客室へと案内されていく中、ワルシェ王に挨拶 し、私達も引き上げる。 明日からワルシェの建国祭が始まる。盛大な祭りは一週間続くが、 545 私達は結婚式典の準備もあり、参加するのは明日だけ。明後日には 帰国予定だ。 フランソワーズ姫の事もすっごく気になるが、明日の為に今日は早 めに就寝すべきだ。 ﹁グラン、ここでいい﹂ 私の部屋の前まで送り届けてくれたグランにそう告げると。 よ 燃え盛る熱を湛えた漆黒の瞳と唇が近付いてきて︱︱思わず、思い っきり、避けてしまった。 グランの瞳と、場の空気が、一瞬で凍りついた。 マ、ズイーー!なんで避ける、私ーー?! 自分で避けといて呆然としてしまった。だって、身体が、勝手にー ー! 自分で自分が分からない。思いッ切りあからさまに拒絶してしまっ た!⋮⋮うあぁ!完全にフォロー不可能だ! でも、なんか今は、グランに、触れられたくない︱︱!! 周囲の空気がどんどん重苦しくなり、不吉にひび割れた低音がおど ろおどろしく響いてきた。 546 ﹁ひ⋮⋮⋮⋮め、な、ぜ、﹂ ﹁別に⋮⋮なんでもな、い!﹂ 鋭い眼光に問い詰められ、あろうことかまたしてもマズイ行動を、 してしまった。 すなわち、ツーーン!と思いッきり、顔を背けてしまったのだ。 オオオイ!コラコラコラコラーー!いったいどうしたァ、私︱︱!? またしてもフォロー不可能な行動を、身体が、勝手にーー!! あぁもう、自分でも、なにがなんだか︱︱!! ﹁ッ⋮⋮!な、ぜ、目を⋮⋮逸らすの、です、か﹂ 夫の恐怖の片言言葉に、心拍数がガンガンにあがっていく。 大きく大きく顔を逸らしたが為に、夫の強烈な眼光の餌食となった 首筋が痛い⋮⋮!ビシバシ切れ目が入りそうだ⋮⋮! でも今グランを見たら、フランソワーズ姫との事をしつこくしつこ ∼く詰問してしまいそうで、嫌だ! 547 聞きたくないのに!でも聞かないとモヤモヤするし!聞いたら聞い たで、なんか超絶イライラしそうだし! ッあぁ!もう、いったい、私に、どうしろと︱︱︱︱?! そうこうしてる間に、扉が背に当たり、じりじりと追い詰められて いた。 ﹁っ!!﹂ 逃げ場を失った私は、咄嗟に後ろ手でドアノブをまわし、部屋に入 り、マッハでドアを閉じ、ガチャリ!とカギをかけた。その間わず かニ秒。早業だ! ﹁姫︱︱!﹂ ﹁明日、話す!今日はもう寝る!お前も、自分の部屋に戻れ!﹂ ﹁ッ︱︱!﹂ あぁ!も∼メチャクチャだ!感情が全然制御出来ない!なんでこん なに気持ちが荒れ狂うのか! これはもう、不可解な行動ばかり取るこの使えない頭をしっかりと 冷やすべきだ!つくづく、与えられた客室が別々で良かった⋮⋮! 548 何度も何度も深呼吸をし、残念な事になってしまった頭を蘇らせん と必死で新鮮な酸素を送り込む。 が、その酸素が無事巡る間もなく、ド⋮⋮ン、と重々しい振動が背 を打ち、心臓も一緒に仲良くドォン!と元気一杯跳ね上がった! ﹁⋮⋮⋮⋮姫、開けて、ください﹂ 我が夫の放つ重低音が、分厚いドアをビィイーーンと不吉に震わし た。 だがしかし今はダメだ!これ以上みっともない己の姿を見せたく、 ない⋮⋮! ﹁ヤ、だ!﹂ ﹁ひ⋮⋮め、!﹂ ﹁駄目、だ!﹂ 必死で言い募ったが、返って来たのは、世にも恐ろしい返答だった。 ﹁ッ︱︱わ、たし、が⋮⋮⋮⋮この扉を破壊してしまう前に、どう、 か、早、く︱︱︱︱!﹂ 549 ッッ⋮⋮ぎゃあああああーーーー!! しょ、しょっぱなから、他国の建造物破壊宣告、キターーーー!! 550 ROUND35:野獣騎士VSツンツン姫︵後書き︶ 祝☆100話達成!いつも読んでくださって、本当にありがとうご ざいます∼!︵◎´・v・︶з 551 ROUND36:野獣騎士は 世界滅亡へのカウントダウンを 唱えた! ありえないありえない、他国の施設を破壊するなど断じてありえん !ここは私が折れるしかないのか?! だが今私の中で強力なツンツン寒波が大荒れ中だ! こんなんじゃ冷静な話し合いなど出来るわけがない。絶対とんでも 大惨事になる!開けたく、ない! だが︱︱ ミ⋮⋮シ、ィッ!と背後の扉から不吉過ぎる断末魔が⋮⋮! ﹁グラン!命令だ!扉を、壊すな!﹂ ﹁ッ!ひ、め⋮⋮⋮⋮!﹂ ﹁別に、拒絶などしていない!ただ今は、話したくないだけだ!﹂ ﹁な、ぜ⋮⋮な、ぜ、です、か︱︱︱︱?!﹂ ﹁そ、れは︱︱ッ!﹂ うぅ!またしてもフランソワーズ姫が煌めいた眼差しでグランに話 し掛けている情景が鮮やかに蘇り、一気に気分がモヤモヤッと⋮⋮! 552 くっそーー!ホント今夜は自分の感情に全く制御が効かない!ヤな 記憶は忘れろーー!忘れるんだ、私︱︱!! だが必死に己を律しているうちに、扉の外では勝手に世界滅亡への カウントダウンが始まっていた。 ﹁ッ⋮⋮王、子、が⋮⋮⋮⋮原因、ですか﹂ ﹁え?﹂ ﹁貴方の様子がおかしくなったのは、かの王子と踊ってから、王子 は、貴方に何、を︱︱︱︱?!﹂ ズバリ言い当てられ、ドッキーン!と心臓が飛び上がった! そう、王子が最後に放ったあの言葉が未だ胸につっかえている。 フランソワーズ姫がグランに好意を持ち、しかも婚姻まで望んだと いう噂。 それを聞いてからというもの、感情のセーブが全く効かない。 図星を指されぐぐっと絶句していると、またしても扉がミ、シシッ ⋮⋮!と大悲鳴をあげた。 ゴリゴリッ⋮⋮!と扉に拳を捩じ込むような音とともに、苦悶に掠 れまくった声が扉をビリビリ震わせてくる。 553 ﹁ぁあ、姫、教えてください!王子は貴方に何を︱︱︱︱?﹂ ミシッ⋮⋮ミシミシシイィ⋮⋮⋮⋮!!! っっぎゃあぁあーー!!今ブ厚い扉がなんか大きく歪んで曲がっ︱ ︱ええええーー?! マ ズ イ⋮⋮! 扉ごしに鬼気迫る迫力でガンガン追い詰められ、その扉もありえな い形に変形しつつあるこの危機的状況で、頭がパニクり、思わず叫 んだ! ﹁ヤだ!絶 対、言わない︱︱︱︱!!﹂ おごそ シーー⋮⋮ンと、その場が厳かな葬式会場のように静まり返った後。 地を這う獰猛な唸り声が猛然と響き渡り、 ドアノブ付近からガ、ッキイッ⋮⋮!!ゴ︱︱ッ!ととんでもない 炸裂音が弾け、 バァアーーン!!と扉が思いッ切りフルオープンした! 554 瞬時に夫の逞しい体躯がドッと雪崩れ込んできて、目にも留まらぬ 早さで両腕をガッツリ掴まれた。 反射的に頑強な手枷を外そうとしたが、全 然 外 れ な い! ビクともしない! かかと ギリギリ奥歯を噛み締め後退を試みるが、踵がズベズベと引きずら れ、ムーンウォーク状態になるばかり。 大恐慌に陥り、キッツイ拘束から逃れようとする私に、ただでさえ 眼光鋭いグランの瞳が険しく獰猛に細められ、激しい衝動が渦巻く その瞳が更に熱くマグマのように燃え盛り、そして︱︱ 突然、腕にはめていたシルクの長手袋をビッ!と引き裂かれた。ま るで紙を破くかのように、簡単に。 ええぇええ?!ちょ、なななな︱︱?!?! 艶やかな光沢を放っていた真白の生地が瞬く間に散り散りのゴミと 化し、毛足の長い暗赤色の絨毯の上にヒラヒラと儚く舞い落ちてい く。 血溜まりに浮かぶ白き花びらのように。 これから巻き起こる壮絶な夫婦バトルの不吉な行く末を暗示してい るかのように。 ⋮⋮って、オオオイ!やめろォーー!!超不吉な前振り勝手に入れ 555 るの、やめれーー!! 剥かれた白く生っちょろい腕を大きな手で鷲掴まれ、無駄に腰骨に 響きまくる死霊の嘆きが地獄の底からおどろおどろしく聞こえてき た。 ﹁他の、男の、匂いがするものなど⋮⋮⋮⋮身に、つけないで、く ださい﹂ ッッッ⋮⋮ゾッッオォーーーー⋮⋮ッッッ!!! 骨をグリゴリ削る重低音に心臓をガッツリ鷲掴まれ、世界がぐるり んと一回転した!光の速さで! コワいわーー!!今までで、一番、コ ワ イ わーーーー!! 556 ROUND37:野獣騎士は 暗黒の異空間を 召喚した! 掴まれた左腕がぬるりと滑り、咄嗟に目をやると、不吉な赤い跡が 付いていた。 え?血?なんで、血が⋮⋮?! 素早く視線を走らせると、漆黒の手袋が数箇所裂け、ドス黒く滲ん でいた。 な、なんだそれはーー?!爪、の跡?いつだ?いつから?! ﹁グラン!その手、﹂ ﹁ッなんでも、ありません、夜会の折、少々強く握りしめてしまっ ただけです﹂ 少々強く握り締めただけって⋮⋮おままま、どんだけギッリギリ握 り締めてたんだ︱︱?! ただ握りしめていただけでグッサリ手袋に穴が開いた上に皮膚まで 突き破るものなのか?! そういえば王子と踊った後、グランはずっと手を握りしめたままだ ったような気がする。 557 もしや私が他の男と踊っている間、ずっとそうやって耐えまくって いたのか?ええええーーーー!? ﹁あぁ⋮⋮⋮⋮姫、言って、ください、貴方は、私の妻、だと︱︱ ︱︱﹂ 瞬時に夫の漆黒の魔眼に捕縛され、時が止まった。 天上も壁も床も全て忽然と消え、暗黒の異空間に閉じ込められる。 平坦な重低音が漆黒の鎖のように全身に絡みつき、全く身動きが出 来なくなる。 ﹁婚約者などという脆弱な繋がりではない、貴方と私は、神の前で 永遠の魂の結びつきを誓い合った、伴侶だと︱︱﹂ 強烈な視線が眼球を伝って内側にジワジワと入り込み、私の心臓を 鷲掴む。 掴まれた両腕の熱い痺れさえ、感覚が麻痺して分からなくなる。 ﹁私は⋮⋮一晩足りとも貴方と離れて眠るつもりなどない、ようや く、貴方を手に入れたのに、﹂ ﹁グラン、ッア、ッッ⋮⋮⋮⋮!!﹂ 558 ダン!と掴まれた両腕を壁際に貼り付けられ、全身で強く壁に押し 込められた。 伸し掛かってきた熱い身体が重石となり、その場にきつく縫いとめ られる。 ﹁っ、︱︱︱︱!!﹂ 跳ね上がる心臓を鋼のような肉体で容赦なく押しつぶされ、声なき 悲鳴しか出てこない。 ﹁く!あっ、は!やめ、⋮⋮⋮⋮!!﹂ ﹁っ⋮⋮ひ、め、どうか、私を拒絶、しないでください、でなけれ ば、わ、たし、は︱︱︱︱!!﹂ 喉奥から絞り出す狂おしい呻きとともに、大きな手に両目を覆われ る。 ﹁耐えられない、貴方のその目に他の男が映り、その耳に他の男の 声が響く事が﹂ 559 完全に闇に閉ざされた視界の中で、低く擦り切れた声だけが心に響 き渡り、全身が総毛立つ。 ﹁あぁ、いっそ⋮⋮私のように⋮⋮⋮⋮貴方も私以外、見えなくな って、しまえたら⋮⋮⋮⋮!﹂ きつくきつく抱き寄せられた。 厚い胸板と逞しい腰にガッツリと抱き込まれ、腰にジン!と甘い痺 れが走った。 と同時に、フランソワーズ姫もこの腕の感触を知っているのかと思 ったら、突然私の中の何かが、バーーン!!と破裂した! グランは、私の夫なのに⋮⋮!私のものなのに︱︱︱︱!他の女が 触れるなんて、許せない︱︱!ぁあ、もう、我慢できない⋮⋮! とうとう積もりに積もったモヤモヤが大爆発した! ﹁離せ︱︱︱︱ッ!お前なんてもう知らない⋮⋮!フランソワーズ 姫と沢山沢山、仲良く、話してーー!﹂ ツーーーーン!!と史上最大級のツーン、キターーーー!!! 560 このツーン、走り出したらもう誰にも止められない⋮⋮! ﹁!!ひ⋮⋮め︱︱︱︱?!﹂ 大きく大きく目を見開き、驚愕甚だしい顔でガン見してくるグラン を負けじとギッ!と睨みつけた! 伸し掛かる夫の全身が激震しているがそんなの知るか! もういい!この際全部吐き出してやる!世界が滅びようと知った事 か⋮⋮! ﹁私以外の女をこの腕に抱くなーー!許さないから!絶対に、許さ ないから︱︱︱︱!!﹂ ぎゃああ!かなり残念な方向にプッツンした!なんなんだこの幼稚 過ぎる言いがかりはーー! こんな事言いたくないのに!言わずにはいられない! 究極的にイライラが収まらず、グランの腕の中で全力で暴れたが、 いつものパターンで腕どころか指一本動かせず、更にイライラがピ ークに達した! なのに。 561 ﹁ひ め︱︱︱︱!!!﹂ ッッドオオオオーーーーッッ!!!と全グラン・大 歓 喜Ver が、猛 然 と、襲いかかって、キターーーー?!?! ぎゃあああああーーーー!!いったいなんなんだーー?!いったい 何が、何が起こったアーー?! 一瞬にして周囲の空気が、虚無のブラックからお色気ムンムンなド ピンクへと変化した。 大きな身体に取り込まんばかりにきつく抱き込まれ、熱い熱い口づ けが何度も何度も髪や額に降り注ぐ。 グランの声が、物凄∼く甘ったる∼い呟きが、こめかみを熱く湿ら せた。 ﹁ッぁあ、ひ、め⋮⋮⋮⋮っ、かの姫が私の前に倒れてきたので受 け止めただけです、仮に銅像が倒れてきても、全く同じように抱き 留めたでしょう﹂ っはぁあーー?!ど、銅像⋮⋮?!い、いったいどういう例えなん だそれは!一国の姫、しかも他国の姫を銅像に例えるなア! 562 ﹁ッでも、フランソワーズ姫の背中を、肌を見た、くせに︱︱⋮⋮ !﹂ ツンツーーン!!と激しくツンツンモードのまま思い切り言い放つ と、これまたデロ甘でうっとり蕩けそ∼な艶のある声音でやんわり と返された。 ﹁いいえ﹂ ﹁嘘だ!﹂ ﹁かの姫はドレスの下に何か着ておられました。肌など一切、目に していません﹂ 下に?コルセットか?てかそれだって下着じゃないか!どっちにし ろヤダーー!! ﹁ヤだ!私ももうお前に肌は見せない!絶対に絶対に、見せないか らーー!!﹂ ﹁ひ、め︱︱!!﹂ ﹁それに、それに、フランソワーズ姫と結婚の話まで︱︱︱︱!﹂ ﹁そのお話は、確かにワルシェ王より一度だけ内々に打診を受けた ましたが、その場で丁重にお断り申し上げました﹂ 563 や、やっぱり結婚話はあったんだな!っく⋮⋮!なんか、それが、 一番モヤモヤ、する︱︱︱︱!!あぁ、もう、ツンツン度MAXの 最高潮にーーーー!! ﹁あ、当たり前だ︱︱!!お前はもう、私の、私だけの、夫だ!も う私以外の女を、見るな話すな触るなーーッ!!﹂ ぎゃああーー!!ななな何を言っているんだ私はーー!?誰か、誰 か止めろォーー!! ちょっと待て冷静になれェ!そんな事言ったって無理だろう、立場 的に!公務が!国交が!絶対不可能だ! 支離滅裂すぎる己の発言で大恐慌に陥っていると。 我が夫は、更にギュウギュウに私を羽交い締めして、 咽 び 泣 い て い る⋮⋮⋮⋮?! ﹁ッ姫︱︱︱︱!!ぁあ!!ひ、め︱︱︱︱!!﹂ ﹁!?な!はッ、離、せーー!!﹂ ﹁嫌です!あぁッ⋮⋮姫、姫︱︱︱︱!!あぁ、もう、どうにかな 564 ってしまいそうです、こんな奇跡が、起こるとは⋮⋮⋮⋮!!﹂ ﹁え??き、奇跡⋮⋮?!﹂ いったい、なんの話だ?! ﹁あぁ、姫︱︱ひ、め⋮⋮⋮⋮﹂ 歓喜に潤み切った漆黒の眼光が、私の全身を心臓ごと甘く掴んで激 しく揺さぶった。 ﹁っ私、を︱︱いつから私を、そんなに、愛して、くださっている のですか⋮⋮?ッあぁ私も、いいえ私こそ、貴方を⋮⋮!この世界 でただ一人、貴方、だけを︱︱︱︱!!﹂ え。ええええ?!あ、愛⋮⋮?!愛だとォ⋮⋮!?なななんでそん な話に︱︱︱︱?! 話の超展開に全くついていけず、頭が大混乱した! だが我が夫は、私の頬をガッツリ掴み、胸の内から深く震えるよう な低音で、こう言った。 ﹁嫉妬、して、くださっているの、です、か﹂ 565 ﹁︱︱︱︱え。﹂ ﹁ッッ、あぁ⋮⋮⋮⋮貴方が、私に、嫉妬、して、くださる日が来 る、とは︱︱︱︱!!﹂ ﹁え?し、嫉、妬⋮⋮?﹂ ヤキモチ を︱︱︱︱? えええええーーーー!?嫉 妬?嫉妬だとォ⋮⋮⋮⋮?! って、わ、私は、グランに、俗に言う、 !?! っっっぅっっっわああああああ∼∼∼∼∼!!!恥ずかし⋮⋮⋮⋮ !! 恥ずかしすぎて、今すぐ、死 ね る わーーーー!!! 566 ROUND38:野獣騎士に 愛の奇跡が 舞い降りた! うっにゃあああーー!うっっにゃああああーー!! 恥ずかしさの余り、全身火だるまになりそうだ! てか、熱烈な抱擁の強烈な摩擦熱でホントに発 火 し そ う 嫉妬 など、私には一生縁がないものだと思っていたのに! で す⋮⋮! あぁ なぜ来た?しかも今!よりにもよって、こんな他国での公務期間の 真っ最中に! 要するに、私はグランが他の女と親しく接するのイヤで、ずっとも やもやしたりツンツンしたり不可解極まる行動を取りまくっていた のか? ぎゃあああ!恥 ず か し い︱︱!! 誰か埋めろォ!こっ恥ずかし過ぎる私を、二度と地上に戻って来な いよう地中奥深く、埋めろォ! 激しい羞恥の余り、グランがまともに見られない。もーー知らん! も∼∼知らんわーー!! 567 ﹁ぁあ姫、私は一生、永遠に、貴方しか見えないと、そう何度もお 伝えしている筈。貴方以外は全て、私にとって影の如き存在に過ぎ ません﹂ ゾワワワ⋮⋮ッ!い、いきなり耳元で低く甘∼く囁くなァ!ゾック ゾクするわーー!! ﹁あぁ⋮⋮ですが貴方ならば、晴れ渡る空の如き美しき澄んだ瞳、 甘き香りを放つ滑らかな肌、可憐な仕草に銀の髪が揺れ踊るその一 本一本までが鮮明に目に映り、私の心の中で眩いほどの輝きを放つ のです﹂ 私の頬を撫でながら、グランがうっとりと呟く。 まつげ ﹁先程も⋮⋮鎖骨のそばの小さなほくろが艶かしい汗に滲む様や、 銀の睫毛に悦楽の涙が宝石の如く散りばめられる様、強く突き上げ れば肩の付け根が愛らしく火照る様や、魅惑的な肢体が懸命に私を 呑み込む様は、いつ何時でも、まざまざと︱︱﹂ ﹁わああああーー!!もういい!もう言わなくていい!分かった、 よ∼∼く、分かったから⋮⋮!﹂ どうやら我が夫は、局地的近視・遠視・乱視の三重苦を患っている らしいな!よ∼∼く分かった! 568 説明がどんどん妖しい方向にシフトしてきた為、慌てて遮ったら、 熱い唇で逆に遮られた。 感極まって震える唇が猛然と吸い付いてきて、全呼吸が奪われた。 喘ぐ吐息さえ発する前にゴッソリ吸い上げられ、クチャクチャビチ ャビチャと大層いやらしい会話が延々と続き、ようやく唇が離れた かと思ったら、強烈に吸い付かれた生々しい感触が全く消えないう ちにまた塞がれる。 ﹁ッんん!グラ、ンんっ、ンんぅ︱︱!!﹂ 唇を強く重ねられたまま、腰と臀部にぶっとい腕が絡みつき、その まま抱き上げられた。 ベトベトに蕩けた激甘∼い眼差しを至近距離でモロにくらって、頭 がグラッとしたところで、そのまま奥の寝台へと運ばれ、飢えた猛 獣の如き勢いで逞しい肉体に伸し掛かられた。 ﹁あっ⋮⋮!ぁあっ、ああぁ⋮⋮ッ!!﹂ 首筋に熱い舌がネトネトと這いまわる。大きな手が胸を全部鷲掴み、 大きく捏ね回してくる。 ドレスの裾を暴かれ、太腿を撫で上げられ、甘いゾクゾク感に喉奥 がひくついた。 569 ﹁あぁ姫、私など幾度醜い嫉妬に身を焦がした事か⋮⋮!貴方と出 会ったその日から、貴方の目に映る者、貴方の言葉を賜った者全て に嫉妬し、貴方に触れた者の手はその腕ごと切り落とす願望を幾度 抑えた事か⋮⋮﹂ 歓喜に潤みきった眼差しが、私をガッチリと捉えてくる。 ﹁貴方と縁談のあった男など︱︱千回は、殺しています。心の、中 で﹂ んっぎゃああ!んんっぎゃああああーー!恐 怖 の 千 切 り 発 言、キターーーー!! てか、今お前は病んでるのかデレてるのかどっちなんだ?!サッパ リ分からんわーー! 表情は明らかにデレているが、発言がさっきからどうも病みまくっ ているような気がする! こっちは人生初のヤキモチでアワアワしているというのに、さっき からいったいなんなんだ、この展開は!? 倍返し?これが嫉妬の﹁倍返し﹂というやつなのか?! まるで自分の嫉妬の方がスゴイ!みたいな言い方は、全くもって気 570 に食わん! わ、私だって、お前に負けないくらい、嫉妬してる︱︱︱︱!! ﹁ぁあ、姫⋮⋮私、は、﹂ ﹁ッ﹃姫﹄じゃ、ない︱︱ッ!﹂ 思い切りツーーン!と叫んだ。 ﹁他の女と同じ呼び名で私を呼ぶな!お前は私の夫だ!きちんと名 を、呼べ!﹂ そう言い放つと。 グランが大きく大きく目を見開き、ガタガタと震えだした。 ﹁ッッ︱︱︱︱!!い⋮⋮い、の、で、すか︱︱︱︱?!﹂ 歓喜にブルブル震えた大変重々しい返答が返ってきた。 私を見つめる瞳の奥底に、何か得体の知れない、獰猛で凶悪なもの が蠢く気配が、見えた。 571 ⋮⋮⋮⋮え?この目は、どっかで見たこと、あるような⋮⋮ だが思い出すより早く、我が夫が、猛然と襲いかかって、キターー !? ﹁ッッ!!ぁ⋮⋮⋮⋮、エ⋮⋮ル、ミ、ア︱︱︱︱!﹂ ﹁ぇ。ッッ!ぁ、あぁ︱︱ッ!!ンッ!なッ、あぁああ︱︱⋮⋮! !﹂ そう、私はこの時、気づくべきだったのだ。 愛している と言えないと告げた時と、同じ目。 グランはあの時と、同じ目をしていた。 私を 姫 と呼び続けていたのも、 私を 私に対して未だ敬語が抜けないのも、 鎖 の一部だったのだと。 すべては私を前に激しく暴走しかねない、 己を抑え込む為の重要な 572 ⋮⋮という訳で。 他国の客室という、本来ならば全力でご遠慮願いたいリングの上で、 ヤンデレな夫に死ぬほど愛されて眠れない、熱き夜が今、 盛大に幕を開けたのだった。 573 ROUND39:野獣騎士に死ぬほど愛されて眠れない夜︵前編 ︶︵前書き︶ *濃厚注意!* 574 ROUND39:野獣騎士に死ぬほど愛されて眠れない夜︵前編 ︶ ﹁エル、ミア⋮⋮ッ!は、ぁ、エ、ル、ミア⋮⋮!!﹂ ﹁ンっく!あッ、は、んンッ!あ、あアーーッッ!!﹂ ズ、ズブッと雄々しい屹立が体内にじわじわと突き刺さってくる。 太く長い全長を私の中に埋め、更に奥深く押し込むと、飢えた瞳が 甘く激しく揺らめいた。 ﹁っ、ぁあ⋮⋮貴方を抱けば、抱くほどに、貴方が、もっと⋮⋮欲 しく、なる、それこそ、こうして永遠に深く繋がっていたい、ほど、 に︱︱︱︱﹂ ﹁っンん!ぁ、あァああ︱︱⋮⋮ッ!!﹂ ににんばお 永遠にって⋮⋮!いくら夫婦といえども、二人羽織り人生は御免こ うむる⋮⋮! びしょ濡れの熱い眼差しにしっかり絡め取られる。 ﹁一刻も早く、私の子を、身篭ってください。生涯消える事のない、 貴方との愛の証が、早く、欲しい⋮⋮﹂ 575 ぎゅうぎゅう窄まる狭い体内を激しい炎で焼き尽くされる。 申し訳程度に濡れた体内に、臀部から臍を抉るような凶悪過ぎる角 度でガッツンガッツン押し入ってくる滾ったものに、ずっと上半身 が超ウルトラ級エビ反り状態だ! 耳元に熱い熱い吐息を零しながら何度も何度も名を呼ばれ、ろくに 服も脱がぬまま、しょっぱなからラストスパートの如く強烈に貪ら れた。 ﹁ッあ、ひぃィん⋮⋮!ぁ、ぁああ︱︱︱︱ッッ⋮⋮!!﹂ 燃え滾る灼熱の瞳と、鍛えに鍛えた逞しい肉体に全身を支配される。 漏れる淫猥な息遣いとともに、下肢からありえない擬音語が聞こえ てきた。ギチャッ!ギチャッ!という、怪物が獲物を生きたまま咀 嚼するような訳の分からない音が⋮⋮! あ、ありえない!夫婦のらぶえっち的に、確実にありえない音だ⋮ ⋮!! 今すぐ全力で耳を塞ぎたいが、両手首が夫の手でガッチリ戒められ ていて以下略⋮⋮! ﹁ッひ、ぁあああーー⋮⋮ッッ!!﹂ 576 ﹁ッッエル、ミア、︱︱ッ!!﹂ 激しくこみ上げる快楽を胸の内に呑み下す息遣いが究極的にいやら しい。 ずっと皮膚の表面を細く裂くような享楽の信号がビリビリと走りっ ぱなしだ。 ガッツリ唇を塞がれ、腰と腰がガツンガツンぶつかり合い、寝台ご とギッシギシ揺さぶられ、悦楽の頂点に無理矢理引き上げられる。 っはぁ、嘘だ、早い、早すぎる、クるのが、早すぎる︱︱︱︱!! ﹁っあ!んンぅ︱︱ッ!!っ、︱︱︱︱っッッ⋮⋮!!﹂ ﹁ッ⋮⋮!ッ、ぁ、く︱︱︱︱!﹂ ろくに叫び声も上げられないまま、身体の一番奥で思いッ切り吐精 された。 埋め込まれた剛直が狭い体内を抉るようにビクビクと跳ね跳んだ。 腫れた肉でギッチギチだった中が、大量の熱い粘液でネットネトに なる。 凄まじい快楽の渦に強引に巻き込まれ、ただただ呆然とする。 577 まるで突然襲いかかってきた悪の軍団に訳も分からず蹂躙された一 村人のような気分だ、道端転がった瀕死体も同然。なので、今回は サクッと離して欲しい。 だが︱︱ 熱情に烟る濡れた瞳で、名を、呼ばれた。 ﹁っ⋮⋮は、ッく、ぁあ、エル、ミア︱︱︱︱!!﹂ え。っぎゃあああーー!! 体内の肉塊がグググッ!とおっきくなり、グイン!と雄々しく跳ね 上がった! エルミア はダメだ!今すぐ夫婦間におけるNGワード ぅあああーーっ!!い、いかん、私の名が、妖しい滋養強壮剤に︱ ︱!? ダメだ、 にぶっこまないと、いつにもましてとんでもない事態に⋮⋮!! だが、もう遅かった。賽は投げられていた。勝手に。 ﹁ぁあ⋮⋮エルミア、私の、エルミア!ッぁ、あ︱︱︱︱!﹂ 578 いつもの五倍速くらいの速度で、そのまま猛烈に愛の営みが再開さ れた。 無論棍棒のようなぶっとい腕で身体をガッツリ抱え込まれ、逃げら れないのは以下同文。 あぁ⋮⋮﹁嫉妬は身を滅ぼす﹂とはよく言ったものだ。たった今、 私の身が滅びそうになっている。18禁的な意味で。現在進行形で! 唸りを上げた夫にグアッと腰を持ち上げられ、真上から突き刺すよ うに強烈に埋め込まれ、余りの衝撃にカッと目を見開いたら、とん でもない光景を目の当たりにした。 今までろくに見たことがない我が身の一部がパックリ大きく口を開 け、ゴツゴツとグロテスクに膨らんだ肉塊を卑猥に呑み込んで、い た。 ズボォ!と深く嵌め込まれ、互いの陰毛がこんがらがりそうな勢い でグッチャグチャに絡まり。 ズルゥ!と引き抜かれると、我が夫の極太棒に恐ろしく粘っこい白 濁が絡みつき、ネバアッと糸を引くのが、見えた。 ⋮⋮ッッぎゃああああ!!ぎゃああああーーーー!!! すぐにギュギュッと目を瞑ったが、もう遅い。 溢れた子種がベッチョンベッチョン餅つき状態という恐ろしい光景 579 が、脳裏にまざまざと焼き付いてしまった⋮⋮! 悪夢だ。毎晩でも夢に出て来そうな凄まじさだ!ッあぁあ︱︱︱︱ !! だが我が夫は、 その恐怖の粘液地獄をうっとりとガン見しつつ、 いかにも堪らないという感じに、切ない吐息を漏らしていた。 うぁあぁあ!見るなぁーー!そんなもの、見るなあーー!! もはや全身熱中症、全肌がメラメラと燃え上がりそうだ! ぎゃあああああーーーー!!もーヤダーーーー!!も∼ヤダ∼∼∼ ∼!!! 580 ROUND40:野獣騎士に死ぬほど愛されて眠れない夜︵中編 ︶︵前書き︶ *濃厚注意!* 581 ROUND40:野獣騎士に死ぬほど愛されて眠れない夜︵中編 ︶ ギチャッ!グチャッ!と掻き回される結合部から溢れまくった白濁 液が臀部に垂れ落ちてくるのはいつもの事だが、今回に限っては下 半身が思い切り持ち上げられている為に、下腹部や臍にまで吐き出 された濃ゆい粘液がじわじわ幾筋も伝い落ちてきた。 ﹁っ、はぁ、ッく!エルミア、エル、ミ、ア、⋮⋮⋮⋮ッ!﹂ ﹁ぁあ!ぁあン!や、ぁアッ!あアーーッ⋮⋮!!﹂ ああ⋮⋮段々、気が遠くなってきた⋮⋮! こんこん なんだか神へ恨み事を滾々と言いたくなってきた。 ⋮⋮ヨシ!いっちょポエマーチックにいってみよう! あぁ神よ 貴方はなぜ こんな風にお造りになられたのか 人間を こんな粘液に塗れた方法ではなく もっと美しい方法で子孫を残す よう 我々を造り直したまえ⋮⋮! とりあえず 口付けだけで 子供が出来たら いいのにな 582 極限に切迫した状況で致し方ないとはいえ、実に残念極まりないポ エム?が完成した。 おかしい。神への敬虔な祈りと今現在の私の切実なる願いを込め、 慣れない倒置法まで引っ張り出して切実に訴えたのだが⋮⋮改めて、 私にポエムの才能はないと思い知らされた出来栄えだった。 だが本当に子作りは口付けだけで充分だと思うのだが、そこんとこ どうだろう。 まあそんな簡単な方法では、誰とでも簡単に子作り出来てしまって 大変だ。 そうかなるほど、だからこんなに生々しく卑猥極まりない方法にし たのか。 だがしかしそれにしてもちょっと大変すぎやしないかコレは⋮⋮! ホント冗談抜きで真顔で涙目で全力でいたたまれない情景なんだが ⋮⋮⋮⋮!! ﹁ひ、アぁッ、ぁあ︱︱ッッ!!﹂ 余りにも激しい挿入にポエムが吹っ飛び、うっかり第三の目がカッ !と開眼した! あぁ、見える!目を閉じていても、見 え る⋮⋮! 583 火花散る局部で恐ろしく粘着性のある粘液がネバネバ練りこまれ、 より粘着力を増してぶっとく糸引くモザイク必須の超卑猥映像が、 クッキリと見える⋮⋮!ぅああああーーーー!! ⋮⋮も∼ダメだ!こんなドロドロネトネトな粘液地獄は耐えられん !!限 界 だ! 豆腐メンタルと罵られようと構うものか!今すぐ戦線離脱する!撤 退!撤退ィィ!! 崖っぷちの真っ只中で一大決心した私は、熱い吐息とともに先端を 残しズボボッと巨根が半ばまで引きぬかれた瞬間に、諸悪の根源で あるソレをガッシィッ!と掴んだ!⋮⋮つもりだったが、実際はヌ ルビシャッ!と嫌な粘着音が炸裂した。 おのの ドックンドックン大きく脈打ち、ドロドロに蕩けそうな熱い感触に 手が戦慄き、思わず手を引っ込めそうになった。 ッ、く⋮⋮!だが、ここでめげる訳にはいかない! 他国で突然開催されたグチャグチャ粘液祭を今ここで確実に打ち止 めにすべく、意を決して夫のソレを引っ掴み、自分の体内からグボ ボッ!と引き抜こうとした! が、何故かグランは、痺れるような甘い艶声で、低く呻いた。 ﹁ッぁあ、く︱︱︱︱あぁ⋮⋮ッ!!﹂ 584 ⋮⋮ッッぎゃああああーーーー!! し、しまった⋮⋮! たっぷりまぶされた粘液でヌルヌルと手が滑り、硬く膨張した竿を ズルネチャッ!と思いッ切りいやらし∼く擦り上げてしまった! ッ、は、ぁ⋮⋮ッ!!と夫が荒ぶる吐息を吐き出し、ドロドロの熱 光線で私を見つめてきた。 私の上でガクガクと腰を震わし、非常に色っぽく喉を鳴らし、ぴた りと動きを止めた。 ︱︱のは、ほんの一瞬で。 まるで﹁貴方の、手も⋮⋮私を、悦ばせて、くれるのです、か﹂と でも言わんばかりに、 剛直を掴んだ手ごと、大きな手でガッツリ握りこまれ、 凄まじく気持ちよさそ∼な、この世の春という感じの幸せ溢れる吐 息とともに、 そのままグッチャン!とソレを体内に押し込められた。 っっぅっっあああーーーー!! 夫の暴走を阻止するつもりが、いつもの夫婦の愛の共同作業︵強制 585 的︶に⋮⋮!息をするかの如く、スムーズに。⋮⋮ッ、ァああああ ーーーー!! で、結局。 夫のパッツパツでビンビンで逞しい事この上ない存在を、手と体内、 ダブルでタップリと味わい尽くす超ハードな展開へと持ち込まれた のであった。 586 ROUND41:野獣騎士に死ぬほど愛されて眠れない夜︵後編 ︶ 私は悟った。 体内よりも手の平の方が、ビンビンなその感触をよりダイレクトに 味わえるという事を⋮⋮! ﹁ッ⋮⋮ぁッ!ふぁ⋮⋮!あー︱ーーッッ!!﹂ 手の平を通過して中を抉るそれも、手の甲に垂れ落ちる粘液も、ジ ュワッと肌が溶けそうなほど熱い。 ゴリゴリッ!グチャグチャッ!と手の平と体内を硬く膨張したもの を強烈に行き来する。 ずっと雄々しく反り上がったままの夫のモノが、コワイ⋮⋮! いったいいつまで続くんだ、このヤンデレナイトは︱︱?! 夫が愉悦に震える熱い唇を耳朶に押しつけ、大変色っぽ∼く囁いて きた。 ﹁はぁ⋮⋮っ、もっと、触ってください⋮⋮私、を⋮⋮﹂ 587 っはああーー?!こ、これ以上触るって、いったい、ド コ を︱ ︱?! もういい、もうこれ以上はきっと読者様もお腹一杯、私はもっとも ーっとお腹一杯だ!リアルに、お腹の中が、一杯だ!! 口の方は嬌声でビジー状態なので、フルフル首を横に振って﹁全力 でご遠慮します!﹂の意を懸命に伝えた。 が、激しく突き上げられているせいで、思いッ切り、縦運動に、な った。 ⋮⋮ッァあああーー!!も∼∼アカン!も∼∼なにもかも、アカン わーーーー!! 妻から何度もコクコクと了承の意?を得た夫は即、実行に移してき た。 ゴッツイ手が悶えに悶える私の手をギュッと握り、己のソレを懇切 丁寧にガイドしていく。 ⋮⋮うんうん分かった分かった、確かにこんなにゴツゴツしてる上 に四方八方グングン激しく暴れまわる熱い物体で体内を抉られてし まったら、私が毎回超涙目で嗚咽しまくり、全身が激しく痙攣しま くり、しまいには呼吸困難に陥ってギブアップするのも仕方ないう ん仕方がない、よ∼く身にしみて分かったから、お願いだから手を ⋮⋮手を、離 し て く だ さ いいい⋮⋮⋮⋮!! 必死で涙目で訴えたが、返って来たのは実にシアワセそ∼な熱い吐 588 息だけだった。 夫の逞しい体躯の下、やや遠い目になりながらも、私は華麗なるポ ジティブシンキングを試みた。 これは巷の夫婦よりも、すこ∼しだけ激しい愛の営みに過ぎないの だと。 例え握りこまれた手に互いの濡れた陰毛がグシャグシャ押し付けら れようと、 ガツガツ腰が激しく激突するせいで手が疲労骨折になりそうでも、 怒張の根本の更に下、なんだかやけに皺が深く刻まれ私の手の平に ジャストフィットするサイズの硬い物体をガッシリ握らされようと も︱︱って、ッッああアあああーーーー!!! ちょ、待て待て待てぇえーー!ななななんでこんなモノまで触る必 要がーー?! こ、これ以上悪夢ネタを惜しみなく提供してくるなぁあーーーー!! 589 ROUND42:野獣騎士のヤンデレナイト 夫の数々のハレンチ行動により、私のメンタルはゼロどころかマイ ナスにまでガリガリガリガリ削られまくった。 コレナニ?ナニコレ?!あわわわわ!! しっかと手で握らされた謎の物体の感触に、私は思い切りパニクっ た。 思えばグランは私の身体をそれはもう隅々まで知り尽くしていると いうのに、私はそれほど知らない。 そうか、これは妻として決して避けては通れない試練なのか。そう 思っておこう、そう思っておくしかない⋮⋮! 夫の身体の一部とはいえ未知の物体を握らされたままガツガツと突 き上げられ、大泣き悶絶しつつも逞しい身体にしっかりしがみつき、 共に熱く果てた。 どくせんじょう それ以降も、いつも以上に夫の独擅場だった。 クニャクニャヘロヘロになった身体を軽々と引き上げられ、夫の腰 の上でガボグボ跳んだり跳ねたりした。⋮⋮なんという激し過ぎる アトラクション。 勿論、胴体には世界一頑丈な安全ベルト︵夫の腕︶がガッチリ装着 590 され、脳内で﹁乗り物が完全に停止するまでベルトは決して外さぬ よう、お願い申し上げます﹂とのバカ丁寧なアナウンスまで空耳で 聞こえてきた。 延々と卑猥な棒で掻き回されたが為に、手足や後頭部までジンジン 熱く痺れてきて、何もかも熱くてドロドロで、ああ!も∼訳分から ん! ﹁ッぁ、ふ、ぁ、グ、ラ、も⋮⋮ッあ、ぁ!!﹂ ﹁ッま、だ、です、まだ︱︱﹂ 焼け掠れた吐息と汗ばんだ熱い肌。 上下左右に激しく揺れ動く胸を掴まれ、力強く揉みしだかれて力無 く腰を捩ると、杭がほんの少しだけ外れた。 中に溜まった愛液がドッと下へ垂れ下がってくる強烈な感覚に思わ ず唇を強く引き結ぶと、大きな手が臀部をいやらしく揉み込み、そ そり勃ったものをしっかりと腰の奥の奥まで嵌め直された。 ﹁っひァ、う!あ、ぁあああーー⋮⋮ッっ!﹂ 脳天にまで自分の悲鳴が響き渡る。顎から頬にかけて産毛がゾクゾ クッと立ち上がる。 591 腰の中はもうグチャグチャで、ちょっとの刺激ですぐに引火して爆 発しそうだ。 永遠に終わらない溺愛絶頂地獄にドップリと嵌り込み、逃れられず に喘ぎまくった。 少しでも夫の暴走を制止しようとちょっとでも口を開けば、すぐに 唇がしゃぶられ。 ホントに死にそうな青息吐息の中、夫の唇が例の呪文を紡ぎ出す。 背筋も凍る、不吉極まる呪文を。 エルミア を唱えた! ﹁ッ⋮⋮ぁあ、エル、ミア︱︱︱︱!﹂ 夫が最強チート呪文 我が夫の攻撃力が五倍に跳ね上がった! って、えええええーー!?いやいやもう無理、もうダメ、ダメよ∼ ダメダメ、絶対ダメェ︱︱!!ッあァあーー!! ⋮⋮という感じで、またしても夫婦生活における暗黒の黒歴史がし っかりと追加されたのだった。 592 呪文 は絶対に厳重に封印せねばと心に固く誓った私だった。 とりあえず、これ以上ヤンデレナイトメアを増やさない為にも、例 の 593 ROUND43:野獣騎士と妻の名前︵前書き︶ いつもの激甘注意。 594 ROUND43:野獣騎士と妻の名前 ﹁んん⋮⋮﹂ 生暖かい空気が揺れ動き、耳たぶがジンと熱く痺れた。 頬や唇、首筋が濡れ火照る感触。 分かっている。グランが就寝中の私を啄んでいるのだ。いつもの事 だ。だが、まだ眠い。 迫り来る生暖かいものから逃れようとしたら、ガッツリと唇を塞が れ、パッチリと元気よく目が覚めてしまった。 神々しい朝日が窓の隙間から差し込んでいる。 昨晩は気付かなかったが︵気づく余裕も無かったとも言う︶豪奢な 装飾が至る所に施された部屋。 あぁ、そうか。ようやく終わったのか、あの凄まじ過ぎるヤンデレ ナイトは⋮⋮ だが多少筋肉痛がするだけで、スッキリ爽やか元気ハツラツで起き れた自分がコワイ。夫につられ、私もどんどん人外化しているのか ?末恐ろしいな。 595 それはともかく、今日は建国祭。 友好国との親善を兼ね、色々と訪れねばならない所もあるし、早く 起きて支度せねば。 未だ私に伸し掛かり、肌の至るところに吸い付いてくる夫の唇を引 き剥がし、迫り来る重苦しい胸板をぐぐぐと押し返した。 ﹁グラン、もう時間だ、支度する﹂ ﹁っ分かっています、ですが、もう少し、もう少し、だ、け⋮⋮﹂ ﹁⋮⋮っ!﹂ 大きく逞しい身体にスッポリと抱き込まれ、ジワリと体温が上がる。 ひとしきり濡れた唇を濃密に擦り合わせた後、顔中に口付けの雨が 降ってくる。 朝から感極まった夫の唇が震え、例の呪言を紡ぎ出そうとしたので、 慌てて夫の口を手で塞いだ。 ﹁ッ駄目だ!もう私の名を、呼ぶな!﹂ ﹁ッ⋮⋮何故、で、すか﹂ 596 当然の事ながら理由を聞かれた。 ﹁仮にも王族に連なる私の名を妖しい精力増強剤と同じ扱いにする な!﹂というような趣旨を、夫を刺激しないよう、柔らか∼く伝え たら。 深い深い漆黒の瞳が、一度くっついたら二度と離れない超強力な吸 盤のようにぴったりと張り付いてきた。 こいねが ﹁っ貴方と出会ったその日から⋮⋮愛しい貴方の名を呼び、この腕 の中に永遠に閉じ込めたいと⋮⋮ずっとずっと、希ってきたのです﹂ 超激甘な反論が返って来た!うっかり胸ギュンしそうになった。が、 こらえた! ﹁だが、これでは公務に支障が出かねない。この私と結婚した以上、 この件に関しては私に従ってもらう!﹂ うっかり絆されぬよう、ビシイ!と正論を突きつけた。 すると。 ﹁ッ分かり、ました。⋮⋮⋮⋮では、公務が無ければ、いいの、で 597 すか﹂ ﹁え﹂ ﹁翌日、公務が無い夜は⋮⋮貴方の名を、呼んでも?﹂ ゾックン!と背中全体が粟立った。なななんだなんだ、この成熟し た男の色気駄々漏れな、超低音ボイスは⋮⋮!? 昨晩ついうっかり盛大にヤキモチを焼いてしまったせいか、我が夫 の様子がどうもいつもと違うような気がする。どこがどうとはハッ キリとは言えないが、微妙にこう、いつもより迫り方に余裕がある ような⋮⋮いつにもまして逃げ道の塞ぎ具合も巧妙なような気がす るのは気のせいか? とりあえず今は時間が無い。ここがギリギリ限界の妥協点だ。 ﹁分かった。休前日の場合だけ、許す﹂ 不吉に小躍りする心臓をなんとか宥めながらそう告げると。 私をうっとりと見つめ続ける漆黒の瞳がゆらりと甘やかに揺れ動い た。 ﹁では、最後に、もう一度だけ⋮⋮貴方の名を、呼んでも?﹂ 598 大きな手で頬を包まれ、瞳を深く覗きこまれながら懇願され、仕方 なく頷いた。 ﹁分かった。本当に、もう一度だけだぞ﹂ ﹁っ、ぁあ⋮⋮⋮⋮⋮⋮エ、ル⋮⋮ミ、ア﹂ 私の名を一文字一文字、それはそれは大切に、万感の思いを込めて 呼ばれた。 すると、何故か唐突に身体の中がカッ!と熱くなった。 よじ 甘くもどかしい痺れが腰をひた走り、下腹がギュギュッと切なく捩 れた。 そして。 ﹁っ、はぁあっ⋮⋮!はぁあ、ん⋮⋮︱︱!!﹂ 紛れも無く自分の口から飛び出してきた、超甘ったる∼い声に愕然 とする。な、なんでこんな声が⋮⋮ッぁあ、んッ、んンん︱︱っ、 え、ええええーーーー!?! ﹁ッッ⋮⋮ぁあ、っ︱︱︱︱ぁあ!!﹂ 599 ズズ⋮⋮ッと身体の中をきつくきつく擦り上げられる感覚。 グ、ブ⋮⋮ッ!となんだか巨大なモノで奥の奥を強烈に押し上げら れる感触。 こ、これはまさかもしかして⋮⋮えええええーーーー?!?! ﹁ッ、ぁああ、ぁ⋮⋮⋮⋮あはぁッ、ああっ!﹂ ﹁ッく、はぁっ⋮⋮⋮⋮ひ、め︱︱︱︱!!﹂ ぎゃあああ!!ちょちょちょーっと待て!ま だ 入 っ て た ん かーーい!! 全ッ然気づかなかった!いったいどこに隠れてた?! てかいつから入ってたんだ?昨晩からずっとか?いやいやいくらグ ランでもそれはないだろう、さすがにそれはないと、誰かお願いだ から言ってくれ⋮⋮⋮⋮!! 完全な不意打ちで思わぬ奇襲を食らい、物凄く情けない嬌声をキャ ンキャン上げつつ、朝から身悶えまくってしまう。 ﹁っちょ、ん、ぁ、バ、カ!時間、が⋮⋮!ぁあ、あ⋮⋮っ!!﹂ 600 ﹁っは、ぁあ、すぐ、に、ぁあ、姫⋮⋮⋮⋮っす、ぐに、終わり、 ます﹂ ッバ、バカ者ォーー!!すぐ終わるとかそ∼ゆー問題じゃない!そ もそも最初からこんなこと、するなァーー!! てか金輪際、一晩中入れっぱなしは絶対禁止だ︱︱︱︱!! こうして夫婦生活における暗黒の黒歴史がおまけにも一つ、追加さ れた。 今後は朝起きたら、まずは夫が身体の中にちゃっかり紛れ込んでい ないかどうか、身の安全をしっかり確認してから行動しよう、そう 固く決意した私だった。 601 ROUND44:野獣騎士と建国祭 城下町を歩いている最中、そこかしこで祝砲がパンパンと空にあが り、ノリのいい楽団の演奏や陽気な歌がそちらこちらから聞こえて くる。 地元の名産を並べた店や実演販売しながら小気味良く客引きしてい る屋台、精巧な細工を施した装身具の露店や、色鮮やかな衣服を所 狭しと吊り下げている服飾店などを眺めながら、本会場からまっす ぐに伸びているメインストリートを歩いていく。 ああ、ワクワクする⋮⋮!私のお祭りスキーの血が騒ぐ! 本日は建国祭。午前中は有力者への挨拶まわりと顔見せでほぼ潰れ てしまったが、午後は比較的自由に歩き回れる貴重なフリータイム をもぎ取れた。 しせい 思えばグランと婚約してからというもの、夫が暴走するたびに寝室 に拉致監禁され、まともに二人で市井に出掛けた事など無かった。 折角なので、夫婦二人で祭りを思い切り楽しもうと思う。 常に私の斜め後ろにぴったりと張り付いている我が夫を振り返れば、 コンマ一秒かからずにジュワッと溶けそうな熱視線が絡まってきて、 ドキン!と心臓が跳ね上がる。 602 昨晩のグランの言葉がふと蘇る。 ﹃っ私、を︱︱いつから私を、そんなに、愛して、くださっている のですか⋮⋮?﹄ 頬がぽぽぽ∼んと熱く弾けた。 触れられてもいないのに首筋にゾクゾクッと甘い痺れまで走る。動 愛 とか言うな、お願いだから!考えるだけで恥ずかしい⋮ 揺の余り、両手両足がいっしょくたに前後しそうだ!あ、歩けん! ぅう ⋮! 確かにグランの事は好き、だが、あ、愛して、いる、のか?!︵疑 問形︶っ私は、グランを⋮⋮!︵倒置法︶ ッッぅああ⋮⋮!なんだかお尻がモゾモゾ、する︱︱!! ッく⋮⋮!こういう時は読者様から熱∼いリクエストも頂けた事だ し、気を落ち着かせる為にも只今の心境をいっちょポエムで詠んで みよう! 気がつけば 野獣に呑まれ 腹の中 熱く蕩けて ああ 溺愛地獄 603 ヨシ、完璧だ!世に大流行間違いなしの素晴らしい短歌?が完成し た! 感嘆詞の字余りっぷりもヤツの溺愛地獄がいかに凄まじいものかを 熱く強調しまくっている。 ⋮⋮頼むから、﹁出来が微妙すぎて非常に反応しづらい﹂とか言わ ないでくれ、お願いだから⋮⋮! だ。 最近グランの熱視線を浴びたり身体に触れられたりすると、身体が イチャイチャし過ぎ 勝手に甘く疼いてしまうのも困りものだ。 この反応の原因は分かっている。 どうイチャイチャし過ぎたのかはここまで読んでくださった読者様 を前にあえて説明する必要は微塵も感じない。割愛させてもらう。 今度一週間⋮⋮いや三日、せめて一日でもいい、私の華麗なる安息 日︵18禁的な意味で︶を一国民の権利としてしっかり夫に要求し ようと心に固く決めた。 あぁ⋮⋮それにしてもいつの間に、本当にいつの間に、グランがこ んなにも私の中に侵食してきてしまったのか。まさか私が男にヤキ モチを焼く日が来ようとは。 おかげで我が夫は昨晩からずっと満たされた表情をしており、溢れ んばかりの幸福オーラが体中から遠慮無くはみ出しまくり、全身眩 く発光しているように見える。まるで後光が差しているかのようだ。 604 ⋮⋮だからといって拝む気はさらさら無いが。 ﹁ゆくゆくは我が国を代表するお二方が仲睦まじいのはなにより。 ですが、独り身にはまったく目の毒ですね⋮⋮﹂ 背後から、盛大な溜息とともに無駄に色気のある呟きが聞こえてき た。本日の私達の護衛の一人だ。 正直、治安がいい友好国での行幸に護衛など無用の長物なのだが、 形式上王族が共も連れずに他国の町中をうろつく訳にもいかないの で、今日は一日中ぴったりと張り付かれる予定となっている。 ﹁あ、アスター様ずるいですよ!護衛中私語は厳禁とおっしゃって たくせに!⋮⋮あ∼でも、私も早く恋人、欲しいです⋮⋮!﹂ オオオイコラコラいったいドッチの恋人だ⋮⋮?! 私達の背後にくっついているもう一人の護衛エルスに心の中で激し くツッコミが入れた。 あれから彼︵彼女︶がオカマなのか女装男子なのか未だハッキリし ないまま、結局ドッチの性別の恋人が欲しいのか分からずじまいだ った。 このような他国訪問の際は、外面が極めてよろしい上に慣れぬ土地 でもそつなくこなせるアスターの隊の者達がついてくる事が多い。 605 だが本日の護衛にアスターはともかく、なんでエルスが?見た目か ?今日のチョイスは見た目重視なのか?背後の護衛達はどうみても 究極の美男美女カップルにしか見えない。 その見目麗しさは他国での衆人環視に充分耐え得るどころか、ジャ ンジャンお釣りがきそうなレベルの高さである。 今日も今日とてどこからどう見ても清純な乙女にしか見えないエル スを見て思う。あの女子会は楽しかった。 私の周囲の女達︵主に侍女︶は性根逞しいパワフル系が何故か多い 為、ああいう控えめでフツー?の会話ができる女子?は大変貴重だ。 また語り合いたいものだ。⋮⋮モチロン、女同士として。 夫にヤキモチを焼いて大変困っているとある匿名女子の相談にもぜ ひのって欲しい。⋮⋮匂いが染み付かない距離でそんな内輪ネタト ークが出来るかどうかが問題だが。 606 ROUND45:野獣騎士と愛の球体 左右にズラリと並ぶ露天を眺めながらメインストリートを歩き始め ると、さすが親交が深い隣国だけあって、隣国の王女と筆頭騎士が 祭りに現れたとちょっとした騒ぎとなった。 ﹁ご婚約、おめでとうございます∼∼!﹂と握手を求められたり、 ﹁建国祭、楽しんでいってくださいね!﹂と素朴な笑顔を向けられ たり、大歓迎ムード一色だ。 グランまでなにやらワルシェキッズに囲まれ、﹁ウオーー!疾風迅 雷の王騎士様だ!スッゲ、かっけーー!﹂と叫ばれたり、その硬く 太い腕をグイグイ掴まれたりと、てんやわんやの大騒ぎとなった。 何はともあれ、私達の婚約をワルシェ国民にも喜んでもらえて、非 常に嬉しい。 ﹁エルミア姫様!﹂﹁漆黒の騎士様ーー!﹂と通りがかりに熱く歓 迎されつつ、祭り会場を見て回っていると、突然ムギュッと右手を 取られた。 ﹁姫、見て⋮⋮行きますか?﹂ グランに手を引かれ、とある露店へと連れて行かれた。 607 その店には、ちっちゃくて可愛い沢山の小物が所狭しと並べられて いた。 ﹁うわ、可愛い⋮⋮!﹂ 私の目が輝く。可愛いものは大好きだ! 中でも目を引いたのは、露店の中央に置かれたオシャレな置物だ。 透明な丸い球体の中に濃紺の夜空と月と星が入っている。 手にとって眺めてみると、見る角度によって朝昼夜と中の景色がク ルクル入れ替わる不思議な造りの代物だった。 いったいどういう造りでこんなふうに見えるのか? 興味津々で長時間クルクルしながらマジマジと眺めていたら、店主 がにこやかに声をかけてきた。 ﹁そちらをお手に取るとは、さすがはお目が高い!そちらは、今ワ ルシェで一番人気の品物で、小さな球体の中に朝昼夜全てが詰まっ ております。ワルシェでは、これを意中の人や恋人に送ると、アラ 不思議!それはもう一日中ベッタリのラブラブカップルになること 間違いなし!と言われております!︱︱おおっ!さすがは疾風迅雷 の王騎士殿、決断がお早い!どうも!毎度ありぃ⋮⋮!﹂ ﹁⋮⋮へ?﹂ 608 見るとグランが疾風迅雷の如く、己の分厚い財布から札束を取り出 し、ワキワキと待ち構えていた店主の手の中に目にも留まらぬ早さ でバサササッ!と手渡していた。 ⋮⋮早ッ!即 決 か い! だがこのラブだか呪いだか分からんグッズで、一日中ベッタリずっ と一緒に居られるって⋮⋮今でもず∼∼っと一緒なのだが? それはもう四六時中、まるで超優秀なSPの如く、私にビッタリベ ッタリと張り付いているのだが? このラブラブ状態に更なる上があるのか?もはや眩しすぎて見えん わーー! それにしても⋮⋮いつ見ても分厚い財布だ。いったいどんだけの大 金が入ってるんだ、その財布には。 ﹁姫様、騎士様、どうか末なが∼く、お幸せにぃ∼∼!﹂ やたらノリのいい軽∼い掛け声を背に店を離れた。 私の手には、しっかりとラブラブグッズが乗っかったまま。 と、不意に肩をギュッと抱かれ、耳元に甘やかな低音が落ちてきた。 609 ﹁部屋に、飾りましょう、姫。私達の、寝室に⋮⋮﹂ 強く引き寄せられたまま、激甘∼い眼差しで囁くように告げられ、 ゾックーーン!と甘ったるい痺れが背骨を駆け抜けた。 こ、これは⋮⋮早速ラブラブグッズ効果が発動したのか?! 一瞬でピンクのドーム型球体にぴったりと隙間なく二人きりで閉じ 込められ、周囲がムーディな星空に包まれたスウィートナイトモー ドに早変わりした! 気のせいかグランの闇色の瞳の中に星がキラキラと瞬いている⋮⋮ ような気がする⋮⋮! だが昨夜からずっと激甘ヤンデレピンク風呂に頭まで浸かっていた せいで、もう激甘はお腹一杯、普通にノーマルに祭りを楽しみたい! 世界を元の健全な昼間の建国祭へと戻す為、私は華麗に話題を切り 替えた。 ﹁そうだな、寝室に飾ろう。︱︱あっグラン!あそこにお前に似合 いそうなものが売ってるぞ!﹂ 私は咄嗟に装身具の露店を指差した。 グランは装身具は普段余り身につけない。 610 だが昨夜のような夜会などでは、もう少し身につけてもいいと思う。 ﹁グラン、これなんてどうだ?﹂ 目についたややゴッツイ雰囲気の腕輪を手に取り、早速グランの腕 に嵌めてみようとした。 が、全然入らなかった。もっと大きめの腕輪も試してみたがてんで ダメ。我が夫にはどれもこれもお子様サイズだった。 ﹁指輪はどうだ?これならイケる!﹂ 店内で一番大きいサイズの指輪を見繕い、夫の指に嵌めようと奮闘 したが、やはりダメだった。 なかなかいいデザインのものが揃っているのだが⋮⋮どうやら既成 品では無理のようだ。 ヨシ、今度城出入りの宝石商にでも相談してみるか。 そう心に決めつつ、つくづく我が夫はなにもかものサイズが規格外 なのだな、と改めて思った私だった。 611 ROUND46:野獣騎士と女神様 ﹁あっ、占いのお店まであるんですね!﹂ 祭りのメインステージに向かって歩いていくと、背後からエルスの 無邪気な声が聞こえてきた。 ﹁私、占い、大好きなんです!この前も、城で評判の占い侍女さん に占ってもらったら、﹃近いうちに運命の人に出会うでしょう﹄な 運命の人 ですか﹂ ーんて言われちゃって!あ∼∼今から楽しみです!﹂ ﹁ほほう、 に出会い過ぎて、苦悩は増 ﹁ええ!アスター様はもう運命の人に出会いました?﹂ 運命の女性 の性別はいったいどっちな はとてつもなく軽いな!そこら中に 運命の相手 運命 ﹁そうですね⋮⋮沢山の すばかりですよ﹂ コラコラコラ、お前の 転がってそうだ。 エルスはエルスで、その のかが気になる。 本日の護衛達は、ツッコミ所が多過ぎて実に忙しい。 612 ちらと話題の店に目を向けると、﹁絶対当たる!幸せ運ぶ占いコー ナー﹂というライトな誘い文句ののぼりが立っていた。 個性的な衣装に身を包んだ占い師達が数人並び、順番待ちで行列の 出来ている占い師も居る。なかなかの盛況ぶりだ。 そういえば、かつて私も驚異的に当たると評判のその占い侍女に占 ってもらった事がある。 あれは確か、グランとの電撃婚約のちょっと前。侍女達の間で占い が流行っているという噂を聞き、占ってもらったのだ。 だが、占い始めてすぐにその侍女が﹁ひ⋮⋮⋮⋮!!﹂とまるで世 界の終わりを目にしたかのような悲鳴をあげ、白目をむいて気絶す るばかりか、顔面蒼白で小刻みにカクカクと震えまくり、そうして やたらと不吉な前フリを振りまくった挙句、﹁姫様のすぐお近くに ⋮⋮世界を破滅させかねないほどのとんでもない凶星が見えますぅ ⋮⋮!﹂とか﹁その凶星にほんの少しでも近付かれたが最後、たち まち禍々しい渦に巻きこまれ、姫様の人生はその凶星の望むままに されてしまうでしょう⋮⋮!﹂と、近い将来私の人生が終末を迎え るかのような大変不吉な予言を下したのだった。 ⋮⋮ブルルル!恐ろしい⋮⋮!!もう二度とあんな不吉な予言は耳 にしたくない。ここはスルーしよう! 素知らぬ顔でスーッと店先を素通りしようとしたが、それは叶わな かった。 613 とある占い師が私達を目にした途端、目をひん剥き、パッカーンと 大口を開けたかと思うとビョーーン!と驚異的なジャンプでカウン ターを飛び越え、こちらにやって来た。な、ななななな⋮⋮⋮⋮?! シュタアッ!と目の前で華麗な着地をキメたその占い師は、ド派手 な紫色の長衣を着たやたらに化粧の濃ゆい熟女占い師だった。 その熟女占い師は、それまでの奇行がまるで無かったかのような面 持ちでにっこりと微笑み、話しかけてきた。 ﹁エルミア姫様、並びに漆黒の騎士グラン様、ですわね?一目見て 分かりましたわ!お二方とも大国を継ぐお立場である事を差し引い ても、実に大ッ変強力な相をお持ちでございます。ええそれはもう、 こちらまでプンップンに漂ってまいりましたわ!どうかぜひともこ の私にお二方を占う栄誉をお与えくださいませ!どうかどうか、一 生のお願いです⋮⋮!﹂ 地べたに土下座せんばかりの勢いで、いや、実際にガバアァァ!と 思いっきり土下座して懇願された。 っく⋮⋮!往来の場でこうも必死に懇願されては、無下に断る訳に もいかない。 やむを得ず、占ってもらう事にした。 すると。 614 ﹁あぁ⋮⋮っ、スゴイ、スゴイわ⋮⋮⋮⋮っ!!﹂ その占い師は妙に色っぽい声を上げながら、手が真っ白になるまで きつく虫眼鏡を握りしめ、私とグランの手相を何度も何度も代わる 代わる舐めんばかりにガン見してきた。 ああ⋮⋮今回はいったいどんな不吉な結果が待ち受けているんだ? 聞きたくない、全力で聞きたくない⋮⋮! 内心戦々恐々としていると、突然目の前の占い師がプルプルプルプ ルッと震えた。 ま た か⋮⋮!やはり不吉な結果なのか?! ﹁ス テ キ⋮⋮!!﹂ 占い師が急にすっくと立ち上がり、天に向かって吠えた。目がキラ ッキラしている。紅潮した頬からシューシューと湯気が吹き出そう だ。 ﹁噂には聞いておりましたが⋮⋮本当にこのような相を持つ方がお られるなんて⋮⋮!﹂ 前置きが長い、早く教えろ!もしここでCMでも入ったら、悶え転 615 がって暴れ回るレベルだぞ! 辛抱強く待っていると、ようやく占い師がキリッとドヤ顔になった。 やっと本題に入るようだ。 の相、エルミア の相が、それはもうクッキリと、刻み込まれており 世界 ﹁お二人の手相、じっくりと拝見させて頂きました。お二方とも世 女神 にも稀なる相をお持ちです。グラン様には 様には ます⋮⋮!﹂ せ、世界?女神?なんだかスゴイな!⋮⋮どうスゴイのかは、てん で分からないが。 とは奇跡の相︱︱森羅万象、生きとし生ける とは文字通り世界を手にするパワーを秘めた覇者 女神 世界 ﹁具体的に言うとどういう相なんだ?﹂ ﹁はい、 の相。そして ものの運命を大いなる幸運へと導く力を持っております﹂ 世界 と 女 大層小難しい言い回しだが⋮⋮要するに、グランは世界を手にする 相、私は幸運を呼び寄せる相という事か? の相の持ち主がこうして揃うとは⋮⋮!﹂ ﹁あぁなんという事でしょう!私が生きている内に 神 616 ﹁揃うと何か良い事でもあるのか?﹂ コンボボーナスでも付くのかと思って聞いてみたら。 ﹁はい。お二方が望めば、世界をも手にする事が出来ましょう!﹂ ぅぁああああーー!!またまた世界、キターーー! そういえば以前我が夫に﹁貴方の為ならば、世界すら手に入れてみ せましょう﹂とかなんとか言われた事があった。 が、何度も言うが世界など要らん!手に入れてもな∼んにも嬉しく ない。なので対策を聞いておく事にした。 の相の持ち主、ただお の相の持ち主を唯一制御出 ﹁願わなければいいのか?世界とかそーゆうのが、全くもって要ら ない場合は﹂ 占い師が重々しく頷いた。 世界 女神 のご意思次第なのですわ!﹂ 以上の力を持つ 女神 世界 ﹁尋常ならざるパワーを秘めた 来るのは、 一人。全ては 617 そうか、つまりはこの私が、夫がまかり間違っても世界征服などお っ始めたりしないよう、ぶっとい手綱を掛けてギューギューに締め あげておけばいいんだな? 世界平和に向けての新たな決意を胸に席を立つと、私達を垂涎の眼 差しでじぃっと見つめている者がいた。エルスだ。よほど占いが好 きなのだろう。 次は彼︵彼女︶を占ってやってくれと占い師に告げ席を譲ると、﹁ ひ、姫様ぁ!あ、ありがとうございます∼∼!﹂とエルスが愛らし い瞳をキラキラさせながら喜んだ。 とりあえず、不吉な占い結果じゃなくて、良かった! 一安心しつつ、隣のグランに小声で話しかける。 ﹁世界とか女神とか、なんだかスゴイ内容だったな。本当に、当た ってると思うか?﹂ すると、グランが珍しくきっぱりと答えた。 ﹁当って、います﹂ 確信しているかのような口調に、ちょっと驚く。 618 ﹁なぜそう思う?﹂ そう問うと、蕩けそうな眼差しで見つめられた。 女神 そのもの⋮⋮⋮⋮﹂ どこまでも深い闇色の瞳に、強烈に吸い込まれそうになる。 ﹁私にとって、貴方は、 っっ⋮⋮ぁあああーーーー!! トロットロに蕩けた眼差しで、なんつー激甘なセリフを⋮⋮⋮⋮!! ボボボォーー!!と頬から業火が吹き出た! ついでに、後ろでちゃっかり聞いている金髪護衛の生暖か∼い視線 が、痛い! うう、このお祭りデート、やたらとラブラブイベントが勃発し、私 のラブ耐久値がまさに風前の灯火だ! タ、タスケテーー!神様仏様、女神様ーーーー!! 619 ROUND46:野獣騎士と女神様︵後書き︶ 占い侍女小話は、﹃野獣小話・番外編集﹄ 小話2:﹁凶星﹂参照。 620 ROUND47:野獣騎士と天使様 露店通りを半分ほど過ぎ、噴水のある広場を通りがかった所で、不 意に靴の先をコツコツと何者かに攻撃された。 足元を見ると鳩だった。クルックークルックー!と鳴きながら、忙 しなく首を動かしている。 ﹁なんだ?エサでも探しているのか?﹂ ﹁人慣れしているようです。普段から人間に餌をもらっているので しょう﹂ グランの言葉に周りを見ると、噴水の近くで鳩に餌をやっている子 供達を見つけた。 集まった鳩達相手に﹁ソリャー!くらえぇ!豆鉄砲ーー!﹂とか﹁ 豆手裏剣!しゅしゅしゅしゅ∼∼!!﹂と元気一杯に叫びながら豆 をばらまき、餌やり?をしていた。 私はそれを興味深く眺めた。 私は鳩に餌をやった事がない。というか、動物に餌を与えるという 行為をした事がない。 興味津々でその様子をじーっと見ていたら、いつの間にか結構近く 621 に寄っていたようで、子供達が私に気づき、ドドドドーー!ともう もうたる土煙を立ち昇らせ、瞬く間にこちらへとやってきた。 ﹁お姉さんも、やるーー?﹂﹁ホイ!エサ!﹂と大変フレンドリー に不揃いの豆をドサドサッ!と私の手の上に乗せてきた。 かと思うと﹁あ∼腹減った!オレ、なんか買いに行ってくるわ!﹂ ﹁オレも!肉!肉食ぅ!﹂﹁あッ待てよ!置いてくなよォーー!﹂ と口々に叫びながら、これまたドドドドーーッ!と瞬く間に去って いった。 ⋮⋮今、凄まじくパワー溢れる集団が私の元に一瞬で押し寄せ一瞬 で去っていった。 に挑戦してみよう! なんという凄まじきお子様パワー。ワルシェの未来は明るいな! 鳩の餌やり 手の上の豆を見る。 ヨシ!人生初の ⋮⋮でも、どうやってやればいいんだ? 子供らは﹁くらえーー!豆爆弾!トオーー!!﹂とか叫びつつ思い 切り豆を投げつけ、鳩がクルックー!クルックー!と右往左往して いたのだが⋮⋮ アレが普通のやり方なのか?いやいや違うだろう。ここは普通に撒 くべきか、はたまた手のひらの上であげるべきか。 622 だがどちらにしろ、両手が塞がっていて、どうすることも出来ない。 すると、私の前に大きな手がヌッと差し出された。 ﹁姫、こちらへ﹂ どうやらグランの手に移し替えろという意味らしい。 早速餌を移し替えると、私の両手一杯だった量がグランの大きな手 だと片手で済んだ。なんというビックハンド。 その大きく厚みのある手のひらから目が離せなくなり、じぃと眺め ていたら、バラバラバラッと餌がこぼれ落ちた。 すると足元にいた鳩が嬉々として餌にぱくつき、更にもう一羽やっ て来て、競うように餌に食いついた。 更にもう一羽、二羽三羽、四羽十羽、百羽︱︱って、ええええーー ?! バサバサバサーーッッ!!とこちら目掛けて鳩の大軍が一斉に襲い かかって、キターー!? 足元が白?山の人だかりとなり、豆が周囲に盛大に飛び散った。当 然鳩も四方八方に飛び散った! 623 ﹁姫⋮⋮!﹂ ブワワワーーッ!と大量の羽毛が辺り一面に舞い上がり、なんだか 鼻が、ハ、ハックショーーン! ⋮⋮となる寸前、ボスッ!となんだか異様に硬く盛り上がった物体 に顔面を押し込まれた。 おかげで羽を吸い込まずに済んだが、こ、これは、もしや⋮⋮大変 身に覚えのある感触なのだが、まさか⋮⋮⋮⋮? 思った通り、埋まっていた場所は夫の分厚い胸板だった。 頭ごと身体まできつく抱き込まれ、互いの身体がベットリ密着して いる状況に、最近面白いくらい乙女化が止まらない心臓が勝手にド ックン!と跳ね飛んだ。 ッ⋮⋮ぅああぁあーー!頼むから、状況的にやむを得ないとはいえ、 このような公共の場所で思いッ切り私を抱き締めないで欲しい、頼 むから⋮⋮⋮⋮! ﹁うわー!抱き合ってるーー!﹂﹁スッゲーー!ラッブラブーー!﹂ ﹁え?なに?チューしてんの?﹂﹁してねーよ!よく見ろよ!﹂﹁ え?今からすんの?﹂﹁知るかよ、バーカ!﹂といつのまにやら食 料を大量に買い込んで戻ってきたワルシェキッズらが大騒ぎしてい た。 未来ある青少年に大変不適切なものを見せてしまっている状況を打 破すべく、慌てて自分の身体を夫から引き剥がそうとした。 624 が、そんな私の努力も虚しく。 ようやっとこぶし一つ分ほど身体が離れた頃には、﹁オレ、パン屋 の兄ちゃんからパンくずもらった!噴水の魚にやろうぜ!﹂﹁うっ わーー!こいつらもう寄ってきた!食い意地はってんな!﹂﹁ヨー シ!開いてる魚の口に入ったら百点な!⋮⋮イエーイ!オレ百点ん ∼∼!﹂﹁あ!お前ズリィぞ!オレにもそのパンくずよこせ!﹂と、 既に子供らの興味は魚の餌やりへと移っていた。 先の思考が全く読めないキッズパワーに圧倒されつつ、未だ私をハ グしたままの夫の硬い腕を解こうとして、ある事に気づいた。 ﹁あっ⋮⋮グラン、ちょっとかがめ﹂ ﹁ひ、め⋮⋮⋮⋮?﹂ 私を見つめる蕩けそうな瞳に疑問符を浮かべるグランに、いいから かがめと目線で促した。 ギギ、ギとグランがその長身を折り曲げ、頭を下げた。 私はその頭に手を伸ばした。 頭の天辺に真白の羽が一枚乗っかっている。黒髪だから非常に目立 つ。 625 ﹁ん、グラン、もう少しこっちに、﹂ 来い、と言い終わる前に、突然グランの顔が視界から消失した。 ボフン!とまたしても顔面が夫の厚い胸板に埋まる。 そして頭の天辺に、じわりと生暖かい感触。 ⋮⋮⋮⋮ぇ?い、今、何が起こった⋮⋮⋮⋮? 生暖かい感触が違う場所にズレていき、ようやく気づく。 ちょちょちょ︱︱!?い、いったいどうゆう流れで私の頭に口付け が降ってくるんだ?! 私の頭の上にも羽が乗っかっていたとでも?そしてそれをグランが その鋭いクチバシで取ろうと⋮⋮? ⋮⋮って、鳩 じ ゃ な い わーーーー!! ワンパクワルシェキッズ以上に、我が夫の行動が理解不能だ⋮⋮⋮ ⋮!! ﹁違ッ⋮⋮私の頭じゃなくて︱︱!﹂ 626 お前の頭に、羽が乗っかってるんだーー!と言い切る前に、今度は 頭じゃなく、額に夫の唇がむに、とくっついてきた。 ッッ⋮⋮ぅああああーーーー!! ち、違ッ⋮⋮違うーーーー!!誰も﹁頭じゃなくて額に口付けして 欲しい﹂なんて言ってない!一ッ言も、言ってないいい︱︱︱︱!! なんでこうなったのか全然サッパリ分からないまま、更に高密度に ギュギュウゥ⋮⋮!と他国の広場のド真ん中で抱き締められた。 そして﹁あぁ⋮⋮真白の羽が舞い飛ぶ中、まるで、天使のよう、で した⋮⋮私の、天、使⋮⋮﹂とかなんとか、激甘∼いうわ言を呟い た夫の唇が瞼や頬にまで降りてきそうになって、公共の健全化の為、 真剣に全力で阻止したのは言うまでもない。 627 ROUND48:野獣騎士と愛のイベント︵前編︶ 祭りのメイン会場へ近づいていくと、なにやら大盛り上がりしてい る。 もの凄い人だかりで、会場に近づく事すら出来ない。これから何か 始まるのだろうか。 その時、祭りのスタッフの腕章をつけた一人の若者が私達に元気よ く声をかけてきた。 ﹁エルミア姫様とグラン様、お会いできて光栄です!ちょうど良い 所においでくださいました!もうすぐ建国祭最大のイベントが始ま ります!よろしければぜひこちらへ来てください!﹂ グイグイと人垣を掻き分け、なにやらステージ方面へと私達を誘導 しようとしている。かなり強引だ。大丈夫か?! 思わずグランを振り返ると、漆黒の鋭い眼差しがそのスタッフを一 瞥し、すぐに重々しい頷きが返って来た。 う∼ん、どうやら怪しい人物ではなさそうだが⋮⋮ワルシェ国民は 活きが良いのが多いな! せっかくなので、スタッフ青年に付いて行く事にした。 628 ところが、案内されたのはイベント会場の裏手だった。 何故バックステージに?ここからだとステージが全然見えないのだ が。 ﹁ええっ!エルミア姫、様ッ?!まさか、姫様が参加してくださる んですか?!﹂ ﹁ご婚約なさったんですよね!それならOKですね!﹂ 大勢のイベントスタッフ達がドワッと押し寄せてきた。 え?参加?何に?婚約してたら何がOKなんだ?話が見えん! ﹁お二人が参加してくださるなら大盛り上がり間違いなしですね!﹂ ﹁来てくださって嬉しいです!楽しんでいってください!﹂ ﹁あっ後でサイン、下さい∼!﹂ 矢継ぎ早に次から次へと話しかけられ、疑問を挟む余地もない。 訳が分からないながらも大歓迎されつつ、そのままどんどん裏手の 方へと連れていかれた。 629 そこには若い男女が何組も居た。 ?これはいったい⋮⋮? その時、ステージの方から司会者と思われる張りのあるいい声が聞 こえてきた。 ﹁みなさ∼ん!もうすぐ建国祭一番人気のイベント﹃恋人当てクイ ズ﹄が始まりま∼す!全問正解したカップルには豪華景品が当たり ますので、振るってご参加ください!﹂ ⋮⋮へ?!こ、恋人当てクイズ、だと⋮⋮?!なんなんだその怪し さ満点なイベント名は︱︱︱︱!? すぐさま近場に居たスタッフ数人をふん捕まえて聞いてみると、と んでもなく恥ずかしい内容が浮き彫りになった。 ﹁このイベントはカップルが参加するイベントで、男性が多くの女 性の中から自分の恋人を探し当てるゲームなんです!﹂ ﹁去年は第三王女のミラネーゼ姫が婚約者の王子と参加してくださ ったんですけど⋮⋮今年は王族の方々が参加してくださらなくて困 っていたんです﹂ ﹁以前、エルミア姫様のお父上がご夫婦で参加してくださった事が 630 あって聞いた事があります!とってもラブラブだったそうですよ!﹂ ちょ、ええええーーーー?!ま、まさか父王がそんな恥ずかしいプ レイをおおっぴらに国外でお披露目してたとは⋮⋮! だがそのせいで、私達までこのラブラブイベントに強制参加させら れそうに⋮⋮!せっかくこっそり庶民感覚で建国祭を楽しむ予定だ ったのに! ここはなんとか是が非でも逃げ切らなければ⋮⋮⋮⋮!! ﹁あ∼私達はちょっとこれから行かねばならない所が、﹂ ﹁現ワルシェ王も王妃様とご婚約時代に参加してくださった事もあ るくらい長く続いてきた伝統行事なんです!﹂ ﹁毎年皆がとっても楽しみにしているイベントなんです。お二方も、 ぜひ⋮⋮!﹂ 超熱烈に勧誘されまくり、どんどん退路が断たれていく。 いったいどーゆー伝統なんだ、こんなラブラブ行事が国の伝統なの か?ワルシェはアムール王国なのか?! ﹁あ、準備が出来たみたいです!こちらへ!﹂ 631 ええええーー!!ちょっ待て⋮⋮!まだ承諾しとらんわーー!! 一致団結したスタッフ達に押し負けそうになったその時。 息巻くスタッフ達と私の間に、スッと無言で立ち塞がる者が居た。 ﹁グラン⋮⋮!﹂ それは我が夫だった。 ずっと私の隣に張り付いていた我が夫が突然、スタッフ達の前に威 風堂々と立ち塞がったのだ! 夫の凛々しい後姿に乙女胸がキュンとした。 もしや、立場上なかなか断れない私に代わって、ここはキッパリハ ッキリと男らしく辞退してくれるのだろうか? ⋮⋮と思ったら、全然違った。 ﹁分かりました。私達を、一番最初の順番にして頂けるのなら⋮⋮ 参加します﹂ ⋮⋮はいいいいーーーー?! 632 ワァーッ!!とスタッフ達が盛りあがった。﹁勿論構いません!﹂ ﹁ありがとうございます!﹂﹁ワルシェ国民も喜びます!﹂と次か ら次へと歓声があがった。 ﹁すぐに司会者に伝えろ!﹂﹁エルミア姫と漆黒の騎士殿、参加決 定!﹂とスタッフ達が口々に叫びながらステージの方へすっ飛んで 行く。 すぐにイベント司会者の威勢のいい声が鼓膜にビンビン響いてきた。 ﹁ここで大ニュースです!隣国よりお越しのエルミア姫並びに婚約 者のグラン殿が、このワルシェ祭最大の催しに特別参加してくださ るそうです!!﹂ ウオオーー!!と会場が湧きあがる。 ⋮⋮オワタ。 こうなったら覚悟を決め、イベントに参加するしかない⋮⋮⋮⋮! ちらと観客席を覗いてみると、ワルシェ国王夫妻並びにフランソワ ーズ姫と幼い双子王子が思いっきり最前列にズラリと勢揃いしてい た。 ぅあああーー⋮⋮!!最 悪 だ⋮⋮⋮⋮!! 633 こんな状況で、何が切っ掛けで突然暴走し始めるか全く予測がつか ない夫とともに甘∼いラブイベントに参加せねばならないなんて、 いったいどんな苦行だ?! 今から嫌な予感がビンビンする!いやむしろ、嫌 な 予 感 し か し な い!! 並み居る他国の王族と民衆のド真ん前で、 只今ラブラブ絶好調の我が夫が、 どうか、どうか暴走しませんよーに⋮⋮⋮⋮!! 634 ROUND49:野獣騎士と愛のイベント︵中編︶ 司会者がイベントの開始を高らかに宣言した。 観客達に向かい、早速説明を始めている。 ⋮⋮ついに、始まってしまった。私達を否応なしに巻き込んだ、超 ラブラブ仕様なイベントが⋮⋮! ﹁姫様、グラン様!お二人の愛の強さをワルシェ国中に見せつけち ゃってくださいね∼∼!!﹂ エルスが満面の笑みで声援を送ってきた。両手にポンポン持ってチ アダンスを踊りかねない勢いだ。 対するアスターといえば、微笑しつつ艶然とこちらを眺めており、 そのお綺麗な顔には﹁グラン様が民衆の前で激しく暴走されません よう、心よりお祈り申し上げております﹂とクッキリそう書いてあ った。 あぁ⋮⋮頭痛が、痛い⋮⋮! イベント内容は男性側が女性の声や手足やシルエットなどで自分の 恋人が誰かを当てるというもの。 635 回が進むにつれ、段々と難度が高くなっていき、最後は男性側が目 隠しまでするらしい。例年最後で脱落するカップルが多いという。 だが、私は思った。これは⋮⋮マ ズ イ!! このゲームは、グランのグランによるグランの為のゲームじゃない か?! ヤツの人類超えた超嗅覚が遺憾なく発揮出来る、実におあつらえ向 きのオンステージだ! 我が夫ならば、確実に全問正解しそうな気がする⋮⋮! しかも私達はトップバッター。目立つ。非 常 に、目立つ。 立場的外見的に私達はただでさえ目立ちまくっているというのに、 更にお膳立ての整いすぎた舞台に無理矢理押し出されてしまった。 激しく鳴り響く私の頭痛を開始の銅鑼に、華々しくイベントが始ま った。 予想通り、手を変え品を変え課せられた難題をグランはことごとく クリアしていった。さも当然のように、息をするかの如く。 ⋮⋮コ ワ イ! どんなお題を出されうようと、始めの第一歩からなんの迷いもなく 636 超最短距離で私の所にズンズン向かってくる我が夫が、コワイ⋮⋮ ⋮⋮! 観客達も、グランが超最速で当てる度、ワアァーー!スゴいぞー! と大層盛り上がっていたのだが、回が進むにつれ、私達の回になる と会場全体がシ∼ンと静まり返り、ゴクリと息を呑む非常に緊張感 溢るる空気に包まれていった。 ワルシェ国王夫妻並びにフランソワーズ姫までも揃って胸の前で両 手を握り締め、固唾を呑んで見守る有り様だ。 こ、これは⋮⋮このイベントの趣旨からどんどん離れていっている ような気がする! ちょっとしたお遊びのゲームなのだから、観客サービスで多少迷う フリくらいしたほうがいいんじゃないのか? じゃないと、当たるか当たらないかというドキドキ感が微塵もない。 王族として、このような娯楽目的のイベントでは多少のお茶目な失 敗も必要だ。状況に応じ、女優、いや男優になるべし⋮⋮! 今の所、私達の番だけ記録的な速さでサクサクと終わり、勿論全問 正解だ。 最後の挑戦が始まる前に、急遽我が夫の元へと急いだ。 周囲の者達には聞こえぬよう、背伸びしつつ夫にこっそりと耳打ち 637 した。 ﹁グラン、私を当てるのが早すぎる!少し迷うフリくらいしろ!﹂ ﹁な、ぜ、ですか﹂ ﹁会場を盛り上げる為だ!それに、このままでは私達がブッチギリ で優勝してしまう。次はわざと間違えろ。いいな?﹂ だが妻の心夫知らず。 返って来た答えは﹁⋮⋮出来、ません﹂の一言だった。 オオオイコラコラーー! 私は器用にも小声で叫んだ! ﹁バカ者!祭りの主役は誰だ?ワルシェ国民だろう!ここは彼らに 花を譲るべきだ!﹂ 切実にそう訴えたが、返って来たのは唸るような超重低音の反論だ った。 ﹁ッ⋮⋮貴方を、他の男に、触れさせる、など⋮⋮⋮⋮!﹂ 638 ッッ⋮⋮⋮⋮そ こ か い︱︱︱︱! そうか、トップバッターにしてもらったのもそういう理由なのか? 今、分かった! 女性側はサクラも混じって常にランダムな配置だが、大抵は他カッ プルの女性も混じっている。 だが、当てられた女性はすぐにその恋人の元に戻れる仕組みだ。 万が一にも私が他の男と接触する事がないよう、一番手を願い出た のだろう。 だがしかし、ここで他国民の私達がMVPをかっさらう訳にはいか ない⋮⋮! 無情にも、ラストの挑戦への準備が始まろうとしている。時間が無 い! 私達の作戦会議は中途で無残にも打ち切られた。 焦る私を尻目に、司会者がフィナーレに向け、いよいよ会場を盛り 上げていく。 ﹁それでは最後の挑戦です!果たして全問正解のカップルは誕生す るのでしょうか?!毎年お集まりの皆様はご存知かとは思いますが、 639 優勝者には豪華景品の贈呈とともに、お二人の真実の愛の証として、 このステージ上で熱烈な愛の口づけを交わして頂きます!﹂ ⋮⋮⋮⋮⋮⋮ぇ。 ッッえええええーーーー!?!? ちょちょっと待て!そんな話、聞いてない!これっぽっちも聞いて ない︱︱︱︱!! 観客達が色めき立って歓声を上げる中、私は一人、生まれたての子 鹿のように脚をプルプルプルプルと震えさせていた。 く⋮⋮口 付 け、だとォ⋮⋮⋮⋮?! そんな事出来ん!絶対、出来ん⋮⋮⋮⋮!! 何が楽しくて大勢の観客の前で我が夫と熱烈な愛の口づけを交わさ なきゃならないんだ!? しかも、ワルシェ王やフランソワーズ姫の前で、なんて⋮⋮⋮⋮!! ッッイヤだ⋮⋮⋮⋮!!絶対に、イヤだーーーー!!! 640 ROUND49:野獣騎士と愛のイベント︵中編︶︵後書き︶ いつも野獣騎士を読んでくださり、本当にありがとうございます。 このたび、﹃野獣騎士の暴走求愛︵18禁的な意味で︶からの逃げ 方﹄が一迅社様より書籍化する運びと相成りました。 既にamazonにて、予約販売が始まっております。 出版社様のご意向により、書籍化による削除はありませんが、書籍 版もサイト版もどちらも楽しんで頂けるよう、大幅な改変を行う為、 現在婚約編を一旦引き下げさせて頂いております。詳しくは活動報 告に記載しておりますので、どうぞよろしくお願い致します。 野獣は今後も読者の皆様と楽しく更新していきたいと思いますので、 これからも楽しんで頂ければ幸いです︵*´ω`pq゛ ツイッターも始めました!︵イナテ@野獣騎士︵@inate1︶︶ 更新情報や作品について超亀速度でポツポツ呟く予定です。 せっかくtwitterを始めたので、twitter限定企画と か出来たらイイナ∼と考えております。宜しかったらぜひ覗いてや ってくださいませ。 641 ROUND50:野獣騎士と愛のイベント︵後編︶ 羞恥の余りプルプルプルプル震えているうちに、とうとう私達の番 が来てしまった。 今のところ全問正解のカップルは私達だけだ。会場がキャアアーー !!ワアアーー!!と野太い歓声と黄色い声で沸きまくった。 だが私にとっては四面楚歌、絶体絶命の大ピンチだ⋮⋮! 私は必死で考えた。 民衆の前で口付けするという地獄の公開プレイを是が非でも回避す る為に、限られた時間の中、脳がピキピキと筋肉痛になりそうなほ ど必死で考えた。 が残念な事に、すぐに使えそうな案は一つしか思い浮かばなかった。 しかもかなりの反則技だ。うぅ⋮⋮どうする、私?! ﹁次の方、どうぞーー!﹂と情け容赦ない司会者の掛け声がかかる。 ッッ⋮⋮ダメだ!ここはしょっぼい奥の手を使わせてもらうしか⋮ ⋮! 題して、仮病作戦、発動⋮⋮! 642 ﹁ぅっ!﹂ 突然呻いて身体を屈ませると、スタッフが慌てて聞いてきた。 ﹁ど、どうされたんですか、エルミア様?!﹂ ﹁急に腹痛が⋮⋮裏で休ませてもらってもいいだろうか﹂ ﹁えッ?!っあ、ハイッ!では、こちらへ!!﹂ 慌てふためいたスタッフが私を裏手へ連れて行く。 ﹁どうした?もう始まってしまうぞ!﹂ ﹁次の回は中止だ!早く騎士殿にこの事をお伝えしろ!﹂ スタッフ達が騒然としつつも機敏に対応してくれた。 どうか、このまま棄権扱いとなりますように⋮⋮! が、時は既に遅かった。 華々しい装飾が施されたステージ上に、真っ黒な布できつく目隠し をされたグランが立っていた。 643 眼光鋭いその瞳が完全に覆い隠されてしまうと、精悍な唇や男らし い顎の線が妙に際立ち、どこかアンバランスで危険極まりない雰囲 気が漂っている。 見上げるほどの長身と鍛えあげられた鋼の体躯を併せ持つその威風 堂々たる姿は、まるで一流の舞台役者のようだ。 ⋮⋮気のせいか、会場の女性達から、熱い熱い視線が注がれている ような気がする。 この最後の問題は男性が目隠しをし、座っている女性の肩に触れ、 自分の恋人を当てるというものだった。 だが肝心の私が居ないせいか、グランは微動だにしない。 次第に会場がざわめき始めた。 今までとんでもない早さで私をピタリと当ててきたのだから当然だ。 とその時、グランの精悍な唇が、微かに動いたのが見えた。 誰も聞き取ることが出来ないほどの微かな低音。 だが、私にはハッキリと解読出来た。 ﹁ひ⋮⋮め、﹂と小さくも重々しい呟きが。 644 突然グランが目隠しをしたままグルリと振り返った。私の居る方角 へ。 そして寸分の狂いなく、一直線にこちらへと向かって来た。えええ えーー!! 物凄いド迫力でこちらへとやって来る夫に、全身武者震い状態とな り、足裏が地面に凍りつく。 ッックル⋮⋮!目隠しをした不吉極まる恐怖の漆黒の死神が、ズン ズン大股で、こっちに向かって、クルーーーー!! あっという間に夫の真剣な表情がドアップで迫ったかと思うと、ガ ッシイ⋮⋮!と肩を思い切り掴まれた。 ジィイー∼ン⋮⋮と背骨に凄まじい衝撃が走る。手の重量が重すぎ て、このまま足元から身体ごと地面にズゴゴゴ!と埋まってしまい そうだ⋮⋮! 目隠しを一瞬で剥ぎ取ったグランが鬼気迫る表情で問い詰める。 ﹁姫⋮⋮!ッ何、故、こちらに、﹂ ﹁も、もももも申し訳ありません⋮⋮!姫様が突然腹痛をおこされ、 こ、こちらでお休みになられていたのです⋮⋮!﹂ 645 なんと、勇敢なスタッフがすぐさまフォローしてくれた。ボルドー 並みのどもりっぷりだが、ナイスフォローだ! ﹁腹、痛⋮⋮?!ッ姫、︱︱︱︱!﹂ ﹁大丈夫だ!もう治った!完ッ璧に治った!元気だ!﹂ すぐさま世界中の医師薬師看護師骨接師果ては全然全く関係無い助 産師まで呼び寄せかねないド迫力に、私は慌てて叫んだ。 すると先程までの世界を切り裂かんばかりの鋭さとは打って変わっ て、漆黒の眼差しが和らぎ、安堵の光で満ち満ちた。 じっと甘∼く私を見つめ、グランが呟いた。 ﹁では、参り、ましょう、姫﹂ ﹁へ?﹂ 何処へ?と問うより早く、グランは私を連れ、ステージへと戻った。 その腕で、私の身体をひょいと抱き上げて。⋮⋮って、ええええー ーーー?! ひ、姫だけに⋮⋮お姫様抱っこ、キターー?! 646 で、結局。 ワアアアアーーー︱!! 湧きに湧く観客の大歓声に迎えられ、私はステージに逆戻りする事 となった。全世界の乙女の夢・お姫様抱っこで。 世にも逞しき騎士の腕で軽々と抱き上げられて。 そもそもこの一連のトラブルは、元からこういう華々しい結果にな るように仕向けられた演出だったのかと、観客が都合よく誤解しか ねない程、素晴らしいフィナーレだった。 奇しくも意図せずして、このイベントをメガトン級に盛り上げてし まった⋮⋮! 激しく興奮した司会者が手に持ったマイクをポイ!と投げ捨て、ど こから調達したのかメガホンに持ち替え、ドデカイ怒号で叫びまく った。 ﹁なななんと、お相手がステージ上に居ないというアクシデントに もかかわらず、漆黒の騎士グラン殿、見事全問正解です!スゴい⋮ ⋮スゴいとしか言いようがありません!なんという強い絆でしょう !皆様、誰よりも強いお二人の愛の絆に、盛大な拍手をお願いしま す!﹂ 647 ワアアアーー!!パチパチパチ⋮⋮!!ヒューヒューヒュー!!と 恐ろしいほどに盛り上がりまくる会場。 それはいいが、いつまで衆人環視の元、お姫様抱っこ? こっそりグランに﹁降ろせ﹂と願い出たが、速攻﹁いけません﹂と 怒られた。 どうやらさっきの嘘八百の腹痛が心配らしい。この状況を回避しよ うと使った仮病が、今やすっかり仇となっている。 そして︱︱ ﹁それでは!優勝者であるお二人に、この場で熱∼い口づけを交わ して頂きます!﹂ キャアアーー!ワアアーー!ウオオーー!!と会場が物凄い興奮の 坩堝と化した。 こうして私は、 他国のイベントのステージ上で、 夫の腕に抱き上げられたまま、 648 後は熱い熱い口づけを待つのみという 人生最大の窮地へと追い込まれてしまったのだった。 649 ROUND51:野獣騎士と愛の口付け ﹁姫⋮⋮﹂ 目の前にグランの漆黒の瞳が迫り、大きな手が私の頬骨をガッツリ 固定した。 焦りの余り、奥歯がギッシギシ、する⋮⋮!! 抱き上げられている為、ろくに抵抗も出来ない。 ﹁グラッ︱︱ちょ、待、﹂ ッ待て待て待て待て、まだココロの準備がーーッ! って違うわ!心の準備とかそ∼ゆ∼問題じゃない!むしろ準備しな い!絶対、しない⋮⋮!! てか、おま、ヤル気満々だな!お前に羞恥心とかそういうものはほ んの一欠片も存在しないのか?! この世に産まれて来た時どっかにうっかり置き忘れてきたんじゃな いだろうな⋮⋮!? 650 私には王族としての矜持がある! 人前、特にこのような公共の場で、むやみやたらにプライベートを 曝け出す事は厳重に控えてきたのだ。 だがその不文律が、今日という日はことごとく破られる運命にある のか⋮⋮?! この流れだと、並み居る他国民の前で、いつもの濃厚熱烈な口付け を披露する羽目に⋮⋮! どうする私!私、どうする︱︱?! ッそうだ、せめて頬ならば、まだ羞恥度数としては耐えられるレベ ルだ、急げ! 今すぐプシュー!と吹き出しそうな羞恥をググッと飲み込み、急い でグランに告げた。 ﹁ッグラン、頬、に、﹂ しろ、と伝え終える前に、視界全部が深い深い漆黒の眼差しで覆い 尽くされた。 ぁっと唇を開いた瞬間に、もう全身が嫌というほど覚え込んでいる 熱く肉感タップリな夫の唇が、私の唇をガッツリと、遠慮のえの字 651 もなく、塞いでいた。 ︱︱⋮⋮ッッぁああああーーーー!! ︱︱⋮⋮ッッワアアアアーーーー!! 私の脳内大絶叫と会場の大歓声が見事にハモった。 その歓声は、雲一つ無い清々しい蒼天にまで響き渡り、私達の超ラ ブラブっぷりをワルシェ国中に大きく大きく轟かせたのであった。 永遠とも思えるやたら長∼い口付けを終え、グランがようやく名残 惜しげに唇を離した。 と思ったら、またしても唇を合わせてきた。 コラコラコラコラーー!!なんで一度ならず二度までもする必要が あるんだ?! 要らん!一回でいい!それともこれがほんとのリップ・サービスと でも言うつもりか? そんな大サービス、全力で要らんわーーーー!! 652 我が夫の骨身を惜しまないワルシェ国民への大サービスにより、イ ベント会場はべらぼうに盛り上がった。ステージ上に菓子や花、果 ては鍋やかんまで投げ入れられそうな勢いだ! だがそろそろさすがにもうこれ以上はサービス過剰なんじゃないの か?明らかに長すぎる!長時間キスコンテストじゃないんだぞ! だが我が夫ならば、私をこうやって抱き上げたまま、余裕で一ヶ月 くらいは熱い口づけを続けられそうだ、世界記録更新は間違い無し だ!ハハハ。ハッハハ⋮⋮! ⋮⋮⋮⋮てか、いい加減、やめろォーー!! 岩壁のように硬い胸板辺りでへしゃげている自分の手を壊れたロボ ットの如くカクカクと動かしてみたが、一向に熱い口付けはやまな かった。 更にガッツリと唇を押し付けられた挙句、こっそり舐められーの噛 まれーの、実にやりたい放題だ! ﹁いいぞォーー!﹂﹁もっとーー!﹂とノリの良すぎるワルシェ国 民の大歓声で空が割れ、天が落っこちてきそうです! オワタ。⋮⋮も、完全に、オワタ。 それでも私はなけなしの王族としての挟持を昆布のようにカジカジ 653 と噛み締め、ようやく唇を離したグランを見つめ、ゆっくりと優美 に微笑んでみせた。⋮⋮内心、滂沱の涙だったが。 なおかつ、そんじょそこらでは滅多に見られないロイヤルキスシー ンを目の当たりにして、大歓声をあげまくるワルシェ国民にしっか りと応え、この上もなく優雅に手を振ったのであった。 ﹁素敵です!お二人の愛のこもった口付け⋮⋮とっても感動しまし た!﹂ ﹁さすがは姫、いかにすれば民衆を楽しませられるかを充分、心得 ておられるようですね。私も⋮⋮大変、楽しませて頂きましたよ﹂ 我が国の護衛二人の出迎えの言葉に、偏頭痛がより酷くなったのは 言うまでもない。 そういえば⋮⋮今回の建国祭では、我が夫の根回しがやけにいいよ うな気がしてならない。 私の好きそうな露店を薦めてきたり、先程のイベントでも、私達を トップバッターにしてもらったり、妙に手際が良すぎるのだ。⋮⋮ ⋮⋮もしや。 ﹁グラン。お前⋮⋮このイベントの内容、知っていたな?﹂ 654 ﹁はい。例年王と共に見ていました﹂ ッッ、や っ ぱ り⋮⋮⋮⋮!! 毎年この建国祭には父が参加していた。当然護衛であるグランも、 父に付いて建国祭を回っていたに違いない。 という事は⋮⋮優勝者が皆の前でする、例のアレも︱︱ っっ⋮⋮!!嵌 め ら れ た⋮⋮⋮⋮!! イベント終了後、スタッフが豪華景品を持ってきた。 ⋮⋮んん?これは、どこかで見たことがある。どこだったか。 ⋮⋮そうだ!確かこれはワルシェの公式マスコット、ワルミン君と シェーラちゃんだ! クマのようにずんぐりむっくりした姿の二つのマスコットが異様に くっつき、しかも熱烈にチュ∼している。 ⋮⋮さっきグランが即買した愛の球体といい、いつからワルシェの 名産はラブラブグッズになったのか。 不意にグランがギュギュッと私の手を握り、激甘∼い低音で呟いた。 655 ﹁姫、飾りましょう⋮⋮私達の、寝室に﹂ 絶対に、飾 り ま せ ん⋮⋮⋮⋮!! 656 ROUND51:野獣騎士と愛の口付け︵後書き︶ ﹃野獣騎士の暴走求愛︵18禁的な意味で︶からの逃げ方﹄、とう とう来月5月2日発売です。 うさ銀太郎様の超美麗カバーイラストが目印です!どうぞよろしく お願いします。 *うさ銀太郎様のツイッター︵@usagintarou︶にて、 既にカバーイラストや挿絵・ピンナップ画像が続々とUpされてお りますので、よろしかったら覗いてみてくださいませ∼!ヽ︵^ω ^︶ノ 657 ROUND52:野獣騎士と打ち上げ花火 珍しいものが売っている店や道端で繰り広げられる大道芸などを楽 しみながら、露店のもので軽めの夕食を取り終える頃には、辺りに 宵闇が落ちてきた。 街中にぽつぽつと灯りが灯り始めている。 ワルシェ城もその輪郭を縁取った松明で彩られ、どこか幻想的な雰 囲気だ。 そろそろ祭りもお開きの時間かと思いきや、辺りは益々賑やかにな り、物凄い人出になってきた。 皆何かを楽しみに待っているようだ。いったい何が始まるのだろう? とその時、突然遠くからパーンと破裂音がし、ついで頭上でドドー ンと爆裂音がした。 見上げると、濃紺の夜空に色とりどりのまばゆい光が弾け飛んでい た。花火だ⋮⋮! そういえば、出掛けにグランが超特急で支度を終えた私をうっとり 見つめながらこんな事を言っていた。 ﹁姫、ワルシェの建国祭は我が国に次いで盛大なのです。露天の店 658 や大道芸、楽団や花火などが楽しめます。あぁ⋮⋮姫と一緒に行け るなど⋮⋮夢のようです﹂と。 朝から思わぬ奇襲︵18禁的な意味で︶を食らい、時間に全く余裕 が無かった為、思い切り聞き流していた。 美しい花火だった。 我が国でも式典などで花火があがるが、ワルシェの花火は一風変わ った色や面白い形をしていた。 興味深く空を眺めていると、不意にムギュと手を取られ、腕に何か 硬い感触がした。⋮⋮んんん?? 見ると、左の手首に大層高貴な眩い光を放つ腕輪が嵌められていた。 その銀の腕輪はつやのある黒曜石で縁取られ、青い宝石が所狭しと 散りばめられており、頭上で次々とあがっていく花火の光を乱反射 し、まるで呼吸をしているように虹色に瞬いた。 ﹁グラン、これは?﹂ ﹁王にお力添えを頂き、貴方の瞳に限りなく近い色彩を持つ宝石を 世界中から選びぬき、特別に作らせたものです﹂ 父に⋮⋮? 659 父王の口添えという事は、国王御用達の宝石商が差し出した国宝級 の逸品だろう。一目見れば分かる。 ぴたりと私の腕に吸い付くように嵌ったその腕輪は、花火のきらめ きが途絶えたほんの一時、本来の色である晴天の輝きを放つ。その 強い強い煌きは、地平線まで届きそうなほど。 ⋮⋮気に入った。 ﹁ありがとう﹂ 礼を言うと、指先を掴まれ、手の甲に唇を押し付けられた。 そして、熱っぽい瞳が私を覗き込み、大きな大きな手が私の頬を包 み込んだ。 ﹁空を彩る花火より、この宝石の輝きよりも⋮⋮貴方の、その瞳が、 世界で一番美しく、何よりも尊いのです﹂ その漆黒の瞳には、花火の輝きと、世界で私一人だけに向けられた 底知れぬ情熱が映り込んでいた。 ⋮⋮⋮⋮な、なんだかロマンチック過ぎて、うなじがムズムズムズ 痒くーーーー!! 今すぐこの場から消え去りたい気持ちを抑え、蚊の鳴くような声で 660 ﹁ありがとう﹂となんとか呟いた。 が、まだ危機的状況は続いていた。 グランがその大きな身体に私をすっぽりと抱き込み、あろうことか、 掴んでいた頬をぐいッと上向かせた。 ︱︱︱︱え。ええええ!! ちょ、待て、まさか⋮⋮頬グイからの熱烈口付けコースかーー?! や、めっ⋮⋮やめろォ!!!こういう行為は屋内でひっそりとしめ やかに行われるものであって、決してこういう場で無闇やたらに何 回も繰り返す事ではない! 前から思っていたのだが、グランは事あるごとに私とのラブラブっ ぷりを周囲に見せつけようとしてないか?実は公開プレイスキーな のか?な、なんという事だ⋮⋮!! 夜空に花開く満開の花火の下、 激甘な愛の言葉とともに国宝級の贈り物を貰い受け、 更に熱い口付けまで︱︱︱︱?!?! 千手観音に変化出来そうな急いで、ここ、外!周り、見てる!と必 死で猛アピールしたが、返って来た返答は誰も⋮⋮見て、いません、 の一言だった。 661 っいやいや、よく見ろ!じーーっと見てるだろ! 花火にすっかり気を取られている周囲の人々はともかく、護衛とし ての責務を果たす為なのかなんなのかは知らないが、背後の護衛二 人が嫌味なくらい、超ガン見してるだろ⋮⋮!! 怒涛の如く繰り広げられる愛のフィナーレに、足元どころか全身が グッラグラしてきたーーーー!! ﹁っグラ、やめ⋮⋮ぁ、っ﹂ なんとか否の声だけは出してみたが、本日の我が夫の繰り出してき たラブラブイベントがどれもかなり強烈かつ熱烈過ぎて、元来乙女 的イベントに免疫ゼロな私のライフは既に底を尽き、頭までフーラ フラしてきた。 その為、大変か弱い、本気で嫌がってるんだか嫌がってないんだか よく分からない、いかにも誘い受け臭いか弱い喘ぎが漏れてしまい ⋮⋮ 結局またしても野外で、熱く激しく、唇を塞がれてしまったのであ った。 662 ROUND53:野獣騎士は公開プレイがお好き? ⋮⋮重症だ。 度重なるラブイベント攻撃で足元がフラフラする。 もう今日は早く眠りたい。 が、我が夫は今夜も私を寝かす気などさらさらないようだった。 ﹁んん、ッ⋮⋮は、っン!﹂ ﹁は⋮⋮ぁあ、ひめ、ひめ⋮⋮⋮⋮﹂ ワルシェ最後の夜、当然グランは私の部屋に来た。 壊れたドアノブは、私がドアを壊すなと言った為、カギの部分を一 時的に外していたらしく、今朝壊した張本人が瞬間芸で直していた。 それはともかく。 部屋に辿り着いて早々熱く抱き寄せられ、爛れる様な口づけを何度 も繰り返された。 663 もはや立っていられないほどに強烈だ。 こうして固くきつく抱き締められていなければ、このまま真後ろに ぶっ倒れてしまいそうなほどに。 ﹁今日は、貴方とずっと共に居れて⋮⋮幸せでした﹂ ﹁⋮⋮っぁ、う、﹂ 脳がデロデロに溶けてろくに答えられない。 身体はクニャックニャで目は霞み、時折目に映るグランの瞳が滲ん でぼやけてまるで亡霊のようだ。 腰と背を大きな骨ばった手でじわじわ撫で回され、身体の芯がじわ りじわりと熱くなる。 漆黒の深い眼差しや激しい情欲で乱れた吐息。 火傷しそうな熱い舌が口の中の柔らかな粘膜を執拗に舐めまわす。 熱く爛れた口の奥から溢れる唾液を飲み込むのに精一杯で、呼吸が うまく出来ない。 なのにグランの手は私の胸を持ち上げるように強く揉み上げ、鼓動 が鳴り止まない胸を更に追い詰めてくる。 厚みのある逞しい肉体に抱かれ、食い尽くすような口づけを何度も 664 受けていると、腰の奥が熱く滲み始め、そして⋮⋮ ﹁んう、ぅ⋮⋮っ⋮⋮!?﹂ 身体の奥から、何かとてつもなく熱いものが、大量に伝い落ちてき た。 その正体に気づいた私は、思わず顔をそむけ、激しく身を捩った。 ﹁っ、ひ、め⋮⋮⋮⋮?﹂ 実は、花火の時からヤバかった。あの激甘∼い口付けで身体の奥が じんじんと痺れるばかりか、少し濡れてきて︱︱ ⋮⋮ぅっぁああーーー!!思い出したく、ない!野外であんな状態 になるなんて、なんという痴れ者なんだ、私は⋮⋮! 恥辱にフルフル震えていると、更にギュッと引き寄せられた。 ﹁ぁあ姫⋮⋮来年も、再来年も、また一緒に、祭りを楽しみましょ う﹂ ﹁っっ︱︱ヤ、だ!﹂ ﹁︱︱︱︱ッ?!﹂ 665 あっ!いかん!つい、本音が!! ﹁ひ、め⋮⋮⋮⋮な、ぜ、﹂ グランの手がブルブル震えている。マズイマズイ! ﹁っ、なんだかお前と居ると、心臓に、悪い!っ胸が、ドキドキし て⋮⋮⋮⋮!﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮ッ!!﹂ 猛烈に骨も折れんばかりに抱き締められた。左胸に夫の顔がムギュ !と埋まり、顔面で触診された。 心臓まで届きそうなほどに顔面を埋めながら、グランが唸った。 ﹁ぁあ、姫⋮⋮⋮⋮私は、貴方がこの世界に居るだけで、幸福の余 り、胸が破裂、してしまい、そうです︱︱︱︱!﹂ ええええ︱︱?!も、もういいから!激甘、も∼お腹一杯だから⋮ ⋮!! 666 私も、触って⋮⋮ください、と、手の平をグランの左胸にムギュと 押し当てられた。 ⋮⋮が、残念な事に、ムチャクチャ分厚く硬い筋肉で覆われている 為、心臓の音などこれっぽっちも聞こえなかった。 ﹁っ、もうそういう事を言うな⋮⋮!それに、人前で口付けとか⋮ ⋮絶対、やめろ!!もう、二度と、するな!!﹂ そう叫ぶと。 いつもの重苦しい低音が胸に押し当てた手に直接響いてきた。 ﹁いいえ﹂ ﹁は?!﹂ ﹁します﹂ ﹁はああーー?!﹂ おのれ反抗期か?!と愕然としたが、そんな生易しいものではなか った。 ﹁貴方が⋮⋮貴方の全てが、この私のものだと⋮⋮世界中に、地上 667 の人間全てに知らしめるまでは、やめ、ません﹂ っっぎゃあああ⋮⋮⋮⋮!! キョーフの大公開プレイ続行宣言、キターーー!?!? 勿論、私は即反論した。 ﹁そんなことをする必要はない!結婚式典を終えれば、お前が私の 夫だと嫌でも全世界に知れ渡る筈だ!﹂ ﹁いいえ、それではまだ、足り、ません﹂ な、何がーー?! 突然、暗黒の瞳が創り出す情念渦巻くブラックホールへとグラァッ ⋮と吸い込まれ、目の前が真っ暗になった。 ﹁私から貴方を奪おうなどという愚かな考えを、誰一人持たぬよう になる、その日まで⋮⋮ずっと知らしめ続けます。貴方は、この私 の⋮⋮私だけの、ものだと︱︱﹂ ッッゾックウウ⋮⋮!!と背筋を何かが猛烈に走り抜けた。 吸引力の変わらない、ただ一人の夫⋮⋮いやいや変わらないどころ 668 か、日々益々吸引力がアップし続けているような⋮⋮ ﹁もっともっと︱︱︱︱貴方を、私だけの、ものに、したい⋮⋮⋮ ⋮﹂ 伏せられた漆黒の瞳が眼前に迫る。 唇をぴったりと塞がれそうになって、ハッと我に返った。 いやいやいや、ダメだダメだ!うっかり流されるな私⋮⋮! 今日のように外で濃厚な行為をされれば、自分の身体がどんな破廉 恥な状態になるのか、ついさっき思い知ったばかりではないか⋮⋮! 夫に言い聞かせるならば今だ、今しかない!! ﹁しない!もう外では、絶対に、しない!﹂ ﹁ッ、嫌です﹂ ﹁駄目だ!﹂ ﹁ッ⋮⋮!なぜ、ですか﹂ ﹁しっ⋮⋮⋮⋮下着が濡れるから、イヤだ⋮⋮⋮⋮!!!﹂ 669 ⋮⋮⋮⋮ピッキーーーーーーン⋮⋮⋮⋮!!! 世界が、突然カッチコチに固まった。 ⋮⋮ハッ。これはまさか、もしや︱︱︱︱?!?! 予想通り、ガッッッバアアアアーーーー!!!と全夫にガッツリと 押し倒された。床に。 ゆ、床ぁああーーーー?!?! ﹁ッッ⋮⋮⋮⋮!!ぁあ⋮⋮!見⋮⋮せて、くだ、さい、ひ、め⋮ ⋮⋮⋮今、す、ぐ︱︱︱︱!﹂ えええええーーーー?!?! いやいやコレ、見世物じゃないから⋮⋮!!見ても全ッ然、面白く ないから︱︱︱︱!!! 670 ROUND54:野獣騎士と愛の泉 ﹁ッぁあッッ︱︱︱︱!!﹂ 床の上にドッと押し倒され、我が夫の頭が足の間に埋まり、下着の 上から子宮の膨らみにパックリと食いつかれた。 布地を通して湿った熱い息が吹き込まれ、ゾクッと身体を震わすと、 突然下着が引き裂かれた。歯で。はあああーーーー!?!? ぎょっとして思わず凝視すると、凝ったレースの華奢な下着は、ま るで風呂敷のように見るも無残に広げられ、下着と蜜口の間が、ね っとりとした愛液で繋がっていた。 ⋮⋮もうヤだ⋮⋮!濃厚な口付けを繰り返されただけでこんなにも ビショ濡れになる自分の身体が、心底、イヤだ⋮⋮⋮⋮!! ゴツイ手で太腿の裏側を押し上げられ、その淫ら極まる蜜の架け橋 を、まるで天上の虹でも見るかような眼差しで見つめられた。 ﹁ッ︱︱ヤ、だ、見るな︱︱︱︱ッ!﹂ ﹁あぁひ、め⋮⋮私の、口付けで⋮⋮こんなにも、感じてくださっ たのですか﹂ 671 心底嬉しそうな濡れた吐息が下肢に吹きかかった後、ねちゃっと熱 いぬめぬめしたものが張り付いてきて、強烈に啜られた。っっ⋮⋮ あぁあああ⋮⋮!! 妖しく蠢く我が夫の舌に、とろっとろの粘液がネバネバと絡みつく 光景を目の当たりにし、頭がボン!と爆発した。 入り口を思い切り開かれ、こんこんと熱いものが湧き出る源泉に熱 くくねる物体が侵食してきた。 身体の内側の敏感な襞を舐められて、早くも体内がビショビショに なる。 勿体無いとでも言わんばかりにとろとろ際限なく溢れてくる愛液を 根こそぎ吸われ、何かが爆発しそうになる。 溢れ出るそれを一滴残らず啜り尽くさんばかりの勢いだが⋮⋮いや いやこれ、一生拭き取れないから⋮⋮!むしろ啜られれば啜られる 程にどんどん溢れてくるから⋮⋮!! ねぶ 奥の奥まで肉厚な舌が捩じ込まれ、グチャグチャと内壁を舐られ、 新鮮な蜜が次から次へと湧き出してくる。 ビチャクチャ啜られる音とゴクゴクと飲み下す音が延々と鳴り響く。 舌先で敏感な突起までグリゴリ押し潰され、堪え切れないくらいの 灼熱がこみ上げ、焼き付く悶えの頂点に押し上げられた。 672 ﹁ぁあっ!あっ、あ⋮⋮ッぁああーーっっ!﹂ 面白いくらいに全身がビクンビクン!と跳ね上がった。 悦楽の余り視界が涙で滲む中、埋め込まれた舌を押し出すように体 内から愛液がドロリと溢れ出す。 あっ、あぁ⋮⋮⋮⋮!!ほ、んとに、死ぬ⋮⋮!死んじゃ、あっぁ、 ぁあ⋮⋮⋮⋮!! もはや何がどうなっているのかサッパリ訳が分からない。 身体の奥底からブルブルと這い上がってくる灼熱の疼きに、息すら 出来なくなってくる。 ﹁や、め、ッグラン⋮⋮!も、あっぁ、ぁあ⋮⋮⋮⋮!!﹂ 思い切り広げられた入り口を無我夢中でベチャクチャと舐められま くり、ビクビクーーッ!と二度目の絶頂に押し上げられたところで、 ようやく夫の口がちゅぶっと卑猥な音を立てて離れた。 すぐに筋肉隆々の重たい体躯が伸し掛かってきて、息を整える間も なく両足の間にガッシリとした腰が割り入み、熱く焦げ付いた場所 に更に熱いものがグチャリと押し付けられた。 673 ﹁っぁ⋮⋮ふ、あああああ⋮⋮⋮⋮!!﹂ 死、ぬ⋮⋮!今、こんなの入れられたら、死ぬ!! ﹁っく︱︱︱︱ひ、め、ぁあ!!﹂ ﹁やっ⋮⋮やめっ!ぁうっ!あっ、くぅ⋮⋮ッ!﹂ 巨大な塊でビクビク震えて縮小しようとする内部が強烈に押し広げ られ、ゴリゴリと擦られ、腰が爆発しそうになる。 まだ悦楽の波が去っていない中をギッチギチに膨張したものがドク ンドクンと妖しく脈打ちながら突き進んでくる。 絶頂が続いたままの身体が何度も何度も跳ね上がり、中の巨大なも のを意図せずに捏ねくり回してしまう。 ﹁ぁあ、ひめ、なか、が⋮⋮!こ、んなにも、私を、感じて⋮⋮く ださって、いるのですか﹂ グランが悦楽に顔を歪ませ、震えるように呻いた。 ﹁違ッ、っ、ぁあ!!﹂ 674 ﹁ひめ⋮⋮⋮⋮っく、ぁ⋮⋮あッ﹂ ⋮⋮ああああ!!やめろ、やめてくれ⋮⋮!!そんな苦しげに切な く感極まった声を出すなぁ⋮⋮!! 今日の私は本当におかしい、いくらなんでもビクビクあんあんと感 じ過ぎだ⋮⋮! いつもより熱く膨らんで痛いくらいきつく狭い中を狂おしくジリジ リと奥に埋め込まれる強烈な摩擦が堪らない。 ググッと奥に入ってくるたびにビクビクッ!と中が収縮し、内部の 痙攣が止まらなくて、頭がおかしくなりそうだ! ﹁グラン、っは⋮⋮、や、め、ぁあっ!﹂ ﹁嫌、です、今日一日、ずっと⋮⋮⋮⋮貴方の中に、入り、たくて ︱︱っ﹂ コラコラいったい何を言っている⋮⋮!私の記憶が確かならば、今 日も今朝方、ガッチリしっかり私の中に入っていたような気がする ぞ!しかも目覚めたら既に私の中に居たという末恐ろしい居座りっ ぷりだ! ﹁姫⋮⋮私の、ひめ⋮⋮﹂ 675 ﹁あッ、ん、むッ︱︱︱︱!﹂ 屹立を体内に半ばまで突き刺されたまま、思いッ切り唇を塞がれた。 舌を囚われきつく吸われ、またしても身体の奥から熱い液がドッと 溢れた。 ぬるりと身体の奥が滑った所で、グボボボボ⋮⋮ッ!と強烈な狭窄 音とともに全長を最奥までガッチリと嵌めこまれた。 ﹁ぁあッ⋮⋮!あああぁああっっーー⋮⋮!!﹂ 676 ROUND55:野獣騎士の妻の死 予感は的中した。 私は︱︱死んだ。 夫の手⋮⋮もとい、夫の凶悪過ぎるソレによって。 ﹁ぁああああっっ⋮⋮︱︱︱︱!!!﹂ ﹁ッく︱︱︱︱ぁあ⋮⋮︱︱ッッ!!﹂ 狭い狭い泥濘を大きく大きく抉られ、激しい業火がひた走り、一 瞬で体内が焼け野原と化した。 凶悪な得物で串刺しにされた私は︱︱そのままパタリと意識を手放 した。 ⋮⋮⋮⋮終わった。 長々と続いてきたこの野獣騎士も、主人公の死という衝撃のラスト で幕が下りるのか。 677 ︱︱と思ったら、すぐに現世にカムバックした。 超強力な人工呼吸と、熱烈極まる心臓マッサージによって。 ﹁⋮⋮ンんっッ︱︱?!んン︱︱︱︱ッッ?!?!﹂ ﹁ッ、はぁっ、ひ、め︱︱︱︱ひめ⋮⋮︱︱!!﹂ 気が付けば、唇を熱くしゃぶられながら卑猥な吐息を吹きこまれ、 いつの間に丸出しになっていたのか、左の乳房を思い切り鷲摑まれ ながら激しく揺さぶられていた。 ガッチリと身体を繋げたまま、やっぱり床の上で。 ﹁んっ、ぁあッ!ん⋮⋮ッッ⋮⋮⋮⋮!!﹂ ﹁ぁあ、ひ、め⋮⋮⋮⋮もっと、唇を⋮⋮開いてください︱︱﹂ 激痛にも似た強烈な快楽に泣き喘いだら、熱い肉塊が口内にグブグ ブと押し入り、濡れた唇と舌が更に深く絡みついてきて、滅茶苦茶 に舐られた。 体内にも熱く滾った肉塊が何度も押し入り、重く激しく執拗に何度 も突き上げられる。 678 ⋮⋮っっあぁああ⋮⋮⋮⋮!物凄い衝撃だ⋮⋮⋮⋮!! 床に押し倒されているせいで、ただでさえいつも強烈過ぎる衝撃が、 逃す術無く全て身体の中に押し込まれてくる。も⋮⋮う、腰の奥が、 爆発しそうだ⋮⋮! ﹁っぁあ⋮⋮⋮⋮姫、ひ、め︱︱⋮⋮ッッ!!﹂ ﹁っ、ぁ、ぅあぁあッ⋮⋮!﹂ 膨張しきった熱の棒が下腹を物凄い勢いで行き来する。グッチャグ チャに中を掻き回され、身体の奥底をゴチュゴチュと叩き上げられ る。弾ける悦楽で何度も意識が断絶する。 凶悪なものを必死で呑み込むそこは既にビショビショドロドロで、 奥に至っては愛液が溢れすぎてちょっとした沼地と化し、互いの腰 が激突するごとにグチャン!グチュン!と騒々しい音を撒き散らす。 それをまるで天上の音楽の調べのようにうっとりと聞き入り、熱く 爛れた漆黒の瞳を更に蕩けさせ、グランが低く甘く囁いてきた。 ﹁あぁ姫⋮⋮もっと、私で⋮⋮濡れて、ください﹂ ﹁んああっ⋮⋮!!ぁ、は⋮⋮ッ!やめ、あッ⋮⋮!!﹂ ﹁もっと︱︱︱︱私で、濡れる貴方が、見たい⋮⋮⋮⋮﹂ 679 ﹁っ、あッ⋮⋮あ!!ダ、メっ、ああっッッあぁああ︱︱︱︱!!﹂ 膨らんでより敏感になった中をギッチギチと激しくかき混ぜられ、 もはや会話にならない。 顔中に唇を押し付けられながら体内をグチャグチャ擦られ、全身が 一瞬で炭化しそうなほど熱く激しく燃え盛る。 奥の奥まできつくのめり込んでくる巨大な塊に、腰がガクガクと慄 いた。紛れも無い悦びで。 爆発しそうな享楽に耐え切れず逞しい身体にしがみつくと、間髪入 れずにきつくきつく抱き締め返され、二人の結合が恐ろしい程に深 まった。 っぁあ⋮⋮!ホントに、爆発しそうだ⋮⋮!気持ち良すぎて言葉も 無い。 体内で狂おしく暴れまわる欲望をもっと深く、もっと奥まで迎え入 れようと、身体が捻じれんばかりに狂おしく蠢いた。 奥までガッチリと嵌め込んで︱︱壊れるくらいグチャグチャに掻き 回して欲しい︱︱と。 壊されてもいい、むしろもっと滅茶苦茶に壊されたい、と︱︱︱! 680 ﹁ッひぁ⋮⋮!!ダメ、う、ぁッ!あッ、ぁああん⋮⋮!!﹂ 剛直を好き放題にズンズンと埋め込まれている真っ最中に、突然、 激しいゾクゾク感に全身を攫われた。身体が熱く弾け飛ぶ。 ﹁あ、ぁ⋮⋮ッ!!ひ、め⋮⋮⋮⋮っく︱︱︱︱!﹂ 欲望をギッチリと埋め込んだまま、グランが苦しげに喘いだ。 中のものを熱く脈動させ、硬い腕で私の腰をガッと深く抱え込む。 そして、その逞しすぎる全長でもって、ガッツンガッツンと押し上 げた。私の身体ごと、全体を。 っぁああぁああーーーー!!も、無理、も、っぁあああーーーー!! 可哀想なくらい腫れ上がりビクビクと蠕動の止まらない中をゴリゴ リと強烈に擦り上げられる。 腰の奥までガンガン激しく打ち込まれ、またしても身体がビクビク ッ!と弾け飛ぶ。 ﹁ふ、ぁ⋮⋮っ、ぁあ︱︱︱︱っっ!!ぁ⋮⋮っっ!!!﹂ 681 今まで一番強烈な絶頂感に息が止まる。 身体が痛いほどに中のグランを握りつぶして締め付けて⋮⋮もう自 分ではどうしようもない有り様だ。 正直、もう抜いてくれないと、私の気が、狂いそうだ⋮⋮!! なのに、ド鬼畜な我が夫は、 ただでさえ凶悪なソレで、 更に獰猛に無我夢中で、 私の中を、貪ってきた。 っっあ、あぁあああ⋮⋮⋮⋮!!! も⋮⋮⋮⋮死 ぬ か も し れ な⋮⋮⋮⋮!!!! 682 ROUND56:野獣騎士と一心同体︵前書き︶ *なんだか凄い事になっているので、閲覧注意* 683 ROUND56:野獣騎士と一心同体 ﹁っっあ、あぁあ⋮⋮⋮⋮!!!﹂ 激しい打ち込みで視界がぶれまくり、もはや激しい直線の世界しか 見えない。 グチャン⋮⋮!と押し込まれる強烈な一体感と、容赦なく引き抜か れる激しい喪失感。 とんでもない衝撃で苦しくて仕方がないのに、全身痺れて泣き叫ぶ ほどに︱︱気持ちい、い⋮⋮︱︱!! ﹁ぁふ、ぁ⋮⋮!グラ、ン、ッぁ、ぁ⋮⋮︱︱ッ!!﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮ッッ、く︱︱︱︱!ぁあ!!﹂ グチュン!グチャン!グブグブグブグブ!ととんでもない淫音を立 てて中をこねくり回される。 腰が熱くて熱くて、もはや耐えきれそうになくなってきた頃、突き 上げられすぎて捩れそうな下腹部をきつくきつく押し上げられて呼 吸が止まる。 ﹁ぁ、ぁあああ︱︱⋮⋮っッ!!﹂ 684 ﹁っ⋮⋮⋮⋮っは、ッく︱︱︱︱!!﹂ ドクッ!ドクン⋮⋮!と肥大化した欲望が大きく脈打ち、熱く切な く弾け飛ぶ。 ジンジン疼く体内に、濃厚な子種を大量にドプドプと流し込まれた。 ﹁っは⋮⋮⋮⋮ぁあ、ひ、め⋮⋮︱︱!!﹂ ﹁ひぁ!⋮⋮ぁあっ⋮⋮!﹂ グランが切なげに細めた瞳で私を見つめながら、全身をガクガクと 震わせた。 埋め込まれたものが再度ドクン!と力強く脈打ち、またじわぁっと 内側が熱く滲んでいく。 ぅ、あ、中が、熱︱︱⋮⋮ッ!っは、なんか⋮⋮いつもより沢山、 吐き出されているような気がする⋮⋮奥がタプタプして、完全に水 っ腹だ⋮⋮⋮⋮! ッは⋮⋮︱︱と熱い熱い吐息を漏らし、欲望を吐き出してもなおパ ンパンな熱いものを引き抜こうとするグランの上衣を慌ててワシ! と掴んだ。 685 ﹁っぁ、ダメ、だっ⋮⋮!抜、くな⋮⋮︱︱っ!!﹂ ぎゅぎゅっと夫の身体にしがみつき、咄嗟に叫んだ。 今抜いたら、色々なものが大量に溢れて、また床が⋮⋮!! もう既にわたしの愛液で相当汚れていそうだが、もしこれ以上染み 付いたら我が国の超優秀な閨処理班の匠の技を持ってしても、後処 理が大変だ、これ以上、汚すわけには⋮⋮⋮⋮! ﹁⋮⋮ぁあ、ひ、め︱︱︱︱ッッ!!!﹂ ﹁ぇ、っは、ぁうぅう!!﹂ ギュギュウウウ!!と窒息しそうなほどきつく抱き締められたかと 思ったら、そのまま抱き起こされ、夫の腰に跨った状態で、再度ガ ッチュン!!と強烈に嵌め直された。 ただでさえギッチギチグッチャグチャの体内を、ガッチガチドッロ ドロなもので貫かれる。 ﹁ぁっ⋮⋮あ!!ダ、メ、だめ、ぁああ⋮⋮︱︱っっ!!﹂ 686 そのたった一撃で、私は身も世もなく、達した。 ビクビク!ビクンビクン!!と物凄い勢いで感じまくり、ギュウギ ュウに抱き締められながら身悶える。 ﹁っく、ぁあ⋮⋮姫、私も、ずっと、ずっと⋮⋮貴方と、離れたく、 な、い︱︱⋮⋮!!﹂ ﹁っひ、ぁあ⋮⋮!!ち、違⋮⋮っは、ぁあっッ!!はぁああん⋮ ⋮!!﹂ ガチュン!ガチュン!とちょっと今までに聞いたことのない強烈な 狭窄音とともに、情欲に掠れまくった呟きを耳元に吹きこまれる。 固く深く繋がった部分は溢れ出る愛液と精液でドロドログチャグチ ャ、脳までグッチャグチャに蕩け、ぁあ⋮⋮胸までギュンギュンし てきた⋮⋮!! ガッチガチに膨らんだものが下腹部をグチュグチュと往復していけ ばいくほど、身体が熱くて熱くて︱︱ぁあ⋮⋮クッラクラ、する⋮ ⋮⋮⋮!! ﹁ぁあんっ!あぁん⋮⋮!ぁぁああんん⋮⋮!!﹂ ﹁ひ、め⋮⋮ぁああ⋮⋮︱︱ッ!!ここが⋮⋮いいの、ですか﹂ 687 グランが火傷しそうな眼差しとともに、熱く張り詰めた全長を何度 も何度も体内に押し込んできた。 が、⋮⋮っっぁああ⋮⋮⋮⋮!!ここっていったい何処ですか?! 全然サッパリ分からない、完全に迷子だ⋮⋮! 正直、もうこことかそことかそういう問題じゃない、奥にグッブン !と強烈に突き上げられようが、浅い部分をぶっとい部分でグッチ ャグチャに広げられようが、どこになにされようが、なにもかも、 も∼∼ダメダメだ!! 全部が全部、恐ろしいほどに気持ち良すぎて⋮⋮⋮⋮ぁあ!! 最近、こうして身体の奥にたっぷりと吐き出された後、それをグチ ャグチャに熱く掻き回されてしまうと、またたびをかがされた猫み たいに身体が歓喜し、くにゃっくにゃのメロッメロ状態になってし まう。 私は夫の腰の上、迷子のキツネリスのようにフルフル震えながらあ んあん喘ぎまくった。 ぁあ⋮⋮分かっていたのに⋮⋮!! 今日のメロッメロラブラブ状態で嵌められたが最後、グッチャング ッチャンあんあんあんあん悶えまくる展開になることはもう充分に 分かっていたのに⋮⋮!! ああ、もう、ダメかもしれな⋮⋮ッ、私は、私は、もう⋮⋮︱︱︱ ︱!! 688 ﹁やっ、ぁ⋮⋮っあ!あっ!あぁっ⋮⋮!﹂ ﹁ッく!!はぁっ⋮⋮⋮⋮っぁ、ひ、め⋮⋮⋮⋮ッ!!﹂ すごく気持ちよさそうな濡れた吐息が耳元を掠める。私を感じて発 する切なく苦しげな喘ぎに、身体の奥がジンジンと発火していく。 あぁ⋮⋮いったい私の身体はどうなってしまったのか。 くびき 何度も達してもうぐったりしているのに、何度も熱い軛押し込まれ てもう中が焼けついてしまっているのに、身体が腫れた欲望をガッ チリ握り込んで離さない。 ︱︱まだ足りないと。むしろ、もっと欲しい、と︱︱︱︱! ﹁ぁあっ!あぁん⋮⋮!ぁふぁああんっ⋮⋮!!﹂ とうとう世にも甘い甘∼∼い声が、私の口から漏れだした。 逞しい腕に抱かれながら腰の奥の奥まで貫かれ、身も心もグランに 深く侵食される。 ドロドロに蕩けそうになりながら、熱く弾ける快感を貪って、グラ ンと一心同体になる。 689 そのシンクロ率は凄まじく、身体だけでなく心臓まで繋がり、呼吸 や汗、心臓の鼓動まで完全に同化しそうな勢いだ⋮⋮!! 息荒く口内をグチャグチャに舐められ、快感に喘ぐ二人の唇が合わ さって、舌が深く絡み合う。 蕩けて窄まる中を、灼熱の塊が何度も押し広げては淫らに激しく擦 り上げる。 その大きさと熱と脈動に酔いしれ、身体の奥が熱く燃え盛り、歓喜 に脈打つそれをきつく呑み込んで吸い上げる。 腰がジンジン熱くて今にも弾け飛びそうでギュッと目を瞑る。全身 が熱く痺れ、上手く息ができない。胸が苦しくて身を苦しくて⋮⋮ ギュンギュンする⋮⋮! ﹁あぁ⋮⋮たまらな、ひめ、ひめ⋮⋮⋮⋮!!﹂ ﹁あ、ぁあん!ぁん、あんっ!﹂ 身体の奥から凶暴な快感のうねりが巻き起こる。 手の施しようがないほどに過敏な内部を性急に乱暴に抉られて、思 考が真っ白に弾け飛んだ。 ﹁っ、ぁく、ぁあ︱︱!ひ、め︱︱︱︱ッ!!﹂ 690 ﹁あッぁ⋮⋮!んンっんーーーーっッ!!﹂ ドクドクドクッ⋮⋮!と物凄い勢いで吐き出され、余りの快感に泣 き咽ぶ。 耐え切れないほどの悦楽に、全身の細胞という細胞がきつくきつく 収斂した。 汗がドッと湧き出て異様に熱い。 グランもそれは同じようで、私を貫いたまま上衣を脱ぎさり、胸の 頂点にかぶりついてきた。 ﹁ぁっ⋮⋮あふぁっ!ぁあん⋮⋮⋮⋮!!﹂ 腰を串刺しにされたまま、敏感な胸の先を舌と唇でクチャクチャも みくちゃにされ、全身がブルブルと震えてしまう。 ﹁ぁっ⋮⋮あ!!ダ、メ、ぁああ!!も、だめ、ぁああ⋮⋮︱︱っ っ!!﹂ 私はまたしてもビクビクビビクンッ!と物凄い勢いで感じまくり、 グランをきつく戒めた。 691 きつくきつく︱︱痛いほどにきつく。 その時、夫婦の閨史上、最も大変な事が、起こった。 ﹁ぁ⋮⋮なッ、なに、これ、ぁあああ⋮⋮︱︱!!﹂ あろうことか、繋がった部分が糊で固めたようにガッチリ固まり、 動かすことすら出来ない。 私の中が、きつくきつくグランを咥え込んだまま︱︱︱︱離さなか ったのだ。 692 ROUND57:野獣騎士と一心同体︵18禁的な意味で︶ 抜けない、だとォ⋮⋮!? いやいや嘘だ、そんな事あるわけない⋮⋮!! まるで鉄の鎖でギュウギュウに締めあげたかのようにガッチリ結合 したままのそれを、なけなしの体力を引きずり出して引き抜こうと したら︱︱出来なかった。 あろうことか、中が固く固く硬直して、文字通り夫のものをガッチ リしっかり握りこんだまま、てんで離さなかったのだ。えええええ ︱︱︱︱!?!? 私は慌てた。大いに慌てた! こんな事態は見た事も聞いた事もない⋮⋮!! だが、私が激しく恐慌に陥っているというのに、我が夫はすっごく 幸せそうにいつもの何倍ものバカ力でギュウギュウ私を抱き締めて きた。 ﹁ぁあひめ⋮⋮⋮⋮っく、幸せ、です、このまま⋮⋮永遠に、貴方 と繋がって、いたい⋮⋮︱︱﹂ 693 いやいや、イ ヤ だ⋮⋮!! ずっとこのまま、夫婦で愛の一心同体状態は、絶 対 にイヤだ⋮ ⋮︱︱!!! だから言ったのに⋮⋮!!グランにメロッメロな状態で、あんなグ ッチャングッチャンいやらしい事するから、こんな事態に⋮⋮!! そういえば占い師も言っていた、世界だか女神だか知らないが、私 テンホー 達が二人揃えば、ロンドラドラチー役満ドン!で全世界を手にする ことが出来ると⋮⋮!!いやいやむしろ天和でトリプル役満!みた いなありえない奇跡が、今起こっているのか⋮⋮?!⋮⋮実は麻雀 はよく知らないが!この末恐ろしい状態が、世界征服完了の完全形 なのか︱︱︱︱?! いやいやそんなアホな事ある訳ない、そんな事どうでもいいから、 とりあえず救急車ーー!!⋮⋮みたいな大変便利なものがこの世界 にある訳ないので、結論として自分でなんとかするしかない⋮⋮!! とにもかくにもどどどどうしよう⋮⋮?!?! ヘタすると、一生このままリアルに一心同体夫婦になってしまうう うーーーー!!! とりあえず深呼吸だ深呼吸⋮⋮!! 694 バックバクに暴走する心臓をなんとかしようと、必死に息を吸い込 もうとしたら、ギチイッ⋮⋮!と体内が激しく引き攣れ、全身がザ ー︱ッ!!と青ざめた。 ﹁あ、ぁああッッ⋮⋮!!グ、ラっ!!あぁあああ⋮⋮ッッ!!﹂ グランが私に唇を寄せた拍子に、ギュウギュウ握りこんでいるもの がグ、リグリッ!と動いたのだ! ﹁っぁ、ひめ⋮⋮︱︱ッッ!!はぁ、っ⋮⋮︱︱!!﹂ ﹁ふ、ぁ!ひン⋮⋮!はぁああんん⋮⋮!!﹂ ああぁああーーーー!!!ただでさえギッチギチな中が、更にギッ チギチに︱︱︱︱!!! ﹁っは⋮⋮ッ!苦し︱︱ッ、グラン、抜、け︱︱︱︱!!﹂ ﹁姫、っく、ぁあっ⋮⋮!!﹂ 大ッ変悩ましい声で呻かれたが、そ れ ど こ ろ で は な い!!いいから、は よ 抜 けーーーー!!! 695 何度も涙目で懇願し、今度は夫婦共同作業で抜こうとした。が、や っぱり無理だった。 ダメだ⋮⋮!!押しても引いてもてんでダメ。もはや万策尽き果て た⋮⋮!! むしろ無理に抜こうとすると、内部まで引きずり出されそうなほど の素晴らしい一心同体っぷりだった。⋮⋮あぁあああーーーー!!! 私は夫の逞しい身体にしっかとしがみつき、ヘロヘロに掠れきった 涙声で叫んだ! ﹁グ、グラン⋮⋮!!ぁ、ふあぁっ、ダ、メ⋮⋮ッ!!やっぱり、 抜いちゃ、だめ︰︰⋮⋮ぇ︱︱︱︱!!!﹂ ゴッド ﹁︱︱︱︱︱︱ッッッ⋮⋮⋮⋮⋮⋮!!!!﹂ 結果。 スーパー 何故か大歓喜大興奮した夫が、超全グラン神へと大進化を遂げ。 もはや世界中の誰にも引き離すことの出来ないほどの夫婦一心同体 ︵18禁的な意味で︶っぷりとなった。 696 スーパー ゴッド そして、ギュウギュウ締め付けているのになおも大暴れしようとす る超全夫神︵18禁的な意味で︶のせいで、ビックンビックン止ま らない快感地獄に全気力体力を使い果たして全身の筋肉がグッタリ して弛緩しきるまで⋮⋮ 私達の愛の結合は、決して解ける事はなかった。 697 ROUND58:野獣騎士への想い 昨晩は⋮⋮凄 か っ た。 昨日は一日中ラブラブデートをしたせいで、ずっと胸がキュンキュ ンしていたが、閨でまであんなにグランをギュンギュン咥えこんで しまうとは。 愛の力というものが、どれだけ人体にありえない奇跡を呼び起こす のか、我が身を持ってまざまざと思い知らされた。 なんというか⋮⋮とにかく、凄 か っ た。 余りに凄すぎると人間、﹁凄い﹂という言葉しか出なくなるようだ。 兎にも角にも、身体を分離出来て、良かった。 あのままずっっと一心同体だったら、もはや公務どころではない。 人間としての生活に差し障りが出まくりだ⋮⋮! だが、逆にこうも思う。 もうさすがに、昨晩以上の物凄い出来事などこれから先起こらない だろうと。 そう、昨晩夫の暴走求愛は、ついに頂点へと達したのだ! という事は、今後はもうアレ以上恐ろしい事態にはなりえない!と 698 いう事だ!てか、あ っ て た ま る か⋮⋮!! 私の心は燃えていた。 決して身も心も魂すらぶっ飛ぶような昨晩の強烈な悦楽地獄の余韻 が体中でガンガンに燻っているから、ではない。 朝目覚めたら一心同体じゃなかった事に心底ホッとしつつも、何故 かついうっかり物足りなさを感じてしまったせいでは、断じてない! 私は決意した。 これより先、私は、攻めにまわる!攻め姫に、私はなる⋮⋮ッ!! ヤツの激愛を受け止めるだけの受け姫など、昨晩を持って閉店終了、 投げ売りだ! 昨晩死地を見た事で、逆に沸々と勇気が湧いてきた。 もはや夫の暴走求愛など、恐るるに足らず⋮⋮! ここからが、ホントのホントの勝負だ⋮⋮! 私の真の下克上は、今、ここから始まるのだ⋮⋮!! 699 身支度を終えた後、帰国の挨拶の為、ワルシェ王に謁見した。 私達の結婚式展での再会と、来年度の建国祭訪問を約し、グランと 共に場を辞した。すると︱︱ ﹁エルミア様!﹂ 追いかけてきたフランソワーズ姫に、廊下で呼び止められた。 グランに客室で待っているように伝え、姫と話をした。 ﹁もうご帰国されてしまうのですね⋮⋮あっという間でしたわ﹂ ﹁建国祭、楽しませてもらった。来年もまた、グランと二人で参加 しようと思う﹂ あのらぶらぶイベント以外は!だが。 ふふと柔らかな眼差しで姫が微笑んだ。 ﹁わたくしも楽しみにしておりますわ。でも⋮⋮来年お会いする頃 には、お二人じゃないかもしれませんわね﹂ ﹁え?﹂ 700 ﹁もうお子様が⋮⋮いらっしゃるかもしれませんわね﹂ ⋮⋮子供?私と、グランの⋮⋮?! ふと脳内で、子連れで建国祭に訪れる光景が思い浮かぶ。 まだ首の座らない赤子を胸に抱き、グランとともに祭りを巡る。 大ッ変元気な赤子で、常に周りの景色を見たがるので、前向き抱っ こだ。 が、賑やかな祭の様子に興奮し、ずっと手足をジタバタさせて空中 駆けっこをしているので、非常に抱きづらい。 ここは怪力の夫にバトンタッチをすべきじゃないのか?とクリンと 隣を見たら。 私達をじいぃっと愛おしそうに見つめてくるグランの腕には⋮⋮⋮ ⋮もひとつおまけの、赤子が居た。 ⋮⋮えええええーーーー?! ボン!と音を立て、妄想が大爆発した! 二人⋮⋮?!赤子が、二人?!双子か⋮⋮?! いやいや無理無理、いきなり双子なんて絶対無理! 701 うっかり現実化しないよう、今すぐ全力で忘れておこう! 赤くなったり青くなったり忙しい私に、姫が珍しく声を立てて笑っ た。 ﹁エルミア様ったら。以前お会いした時には、﹃想いを寄せる殿方 など、まったくどこにも心当たりの欠片すらない!﹄などとおっし ゃっておりましたのに⋮⋮⋮⋮エルミア様は、グラン様がとてもお 好き、なのですわね﹂ フランソワーズ姫の言葉にドキン!と心臓が飛び跳ねた。 ぜ ⋮⋮しまった。心が勝手に﹁是﹂と答えてしまった! フランソワーズ姫が遠くを見るような眼差しで、窓の外に目を向け た。 ﹁今でも覚えておりますわ。昨年、炭鉱の爆発事故で、沢山の人々 が閉じ込められてしまった際、すぐにあの方が援軍を率いて駆けつ けてくださった日の事を。グラン様はワルシェの国民をその奇跡の ような力で救ってくださいました。 あの方と共に歩んでいけるのなら⋮⋮どれほど、どれほどに心強い 事でしょう。エルミア様はとても善き伴侶を得られましたのね﹂ 702 ことほ グランと私の婚姻を言祝ぎながら、フランソワーズ姫のその澄んだ 瞳の奥底には、グランへの暖かな想いが密やかに瞬いていた。 私は︱︱愕然とした。 もしやグランは、こんなにも強く想いを寄せる女性と結ばれた方が、 より幸せになれるのではないだろうか。 ⋮⋮などという考えが、全くこれっぽっちも、浮かばなかったから だ。 私はもう、分かっている。 この広い世界の中で、グランは私しか見ない。私しか、選ばない。 これは予測ではない。確信だ。 ならば、グランを、この世界で唯一、幸せに出来るのは︱︱︱︱? ﹁グランとは、父の命により婚約し、当初は戸惑いましたが⋮⋮﹂ 私はフランソワーズ姫をまっすぐ見つめた。 703 同じく姫もまっすぐに見つめ返してくる。 ﹁今は、生涯を共にする伴侶として、誰よりも大切に大切に、想っ ている﹂ 私の胸の中を、激しく熱い炎が燃え盛る。 その炎は心地よくも熱い、一度灯ったのならば、永遠に消えない炎 だ。 ⋮⋮⋮⋮負 け ら れ ん⋮⋮! もうグランは、私の未来に必要不可欠な存在となっている。 私の人生の一部、いやそれどころか、完全に同化してしまって、そ れこそ一心同体人生になりつつある。 ならば、フランソワーズ姫の想いは私がしかと受け取り、今後グラ ンと全力で対峙していく為の糧とするのだ⋮⋮!! フランソワーズ姫はそんな私をじっと見つめ⋮⋮やがて、大輪の花 が咲き乱れるように、笑った。 ﹁今一度、お二人の前途を祝し、心よりお祝いを申し上げますわ! 704 ご婚約おめでとうございます、エルミア様。大切なお二方の未来に、 幸多からん事を⋮⋮!﹂ 私達はガッチリと固い固い握手を交わし、ニッコリと微笑み合った。 ああ⋮⋮⋮⋮今、私の進むべき道が、ハッキリと見えたような気が する⋮⋮! グランの待つ客室へと向かう道中、私は拳を固く握りしめ、気合が 十二分に入った両足で、ギュギュッ!と廊下を踏みしめて歩いた。 分かった。今、分かった︱︱! なぜ、私がグランを制御できないのか。 その謎が今、ようやく分かった⋮⋮! 真の猛獣使いへの道が、今、確かに、見えてきた⋮⋮! 705 ROUND59:野獣騎士への告白 ワルシェ訪問を終え、帰国したその夜。 ﹁今宵のお召し物はこちら?﹂ ﹁それでは布が裂けた時、姫様がお怪我をなされる可能性があるわ、 こちらで!﹂ ﹁まあ⋮⋮!姫様の身体中に、こんなにも沢山のグラン様の跡が⋮ ⋮!﹂ ﹁大丈夫、姫様は明日、何も公務が入っておられないはずよ﹂ 侍女達が目にも見えない早さでテキパキと身支度していく中、ケイ ナのお小言が始まった。 ﹁⋮⋮コホン、姫様﹂ ﹁分かってる﹂ 長年の付き合いで、大体何が言いたいのか分かりすぎている。 が、ケイナがそんな一言で留まるはずもない。 706 ﹁姫様。ご夫婦仲が宜しいのは大ッ変喜ばしい事ですが、他国にて 姫様までもがグラン様の溺愛に溺れてしまっては、我が国の行く末 に関わりますわ。そろそろグラン様の手綱をキーッチリと締めてく ださいませ!﹂ ﹁分かっている﹂ よ∼∼く分かっている。 思えば婚約してからというもの、ヤツの手綱を握れた事などなかっ た。 最大の敗因は分かっている。ひとえに、私が日々ヤツの激愛に絆さ れまくっているがゆえに、手綱が緩みがちなのだ。 毎回乗り手ごと暴走させまくり、ずっとロデオ状態のまま、無残に も連戦連敗が続いていたのだ。 だが、今日からは違う⋮⋮!! 攻撃は最大の防御。今こそ、私が攻めに回るべき時⋮⋮!! グランはいわば私からの愛に飢えた獣のようなもの。 ならば、たとえ妖怪大戦争になろうとも、形勢逆転、下克上を狙う 707 しかない!! この私が夫婦間の全てにおいて、ガッチリとイニシアチブを取るし かないのだ⋮⋮! 中途半端な愛情は大火事の元、今度こそ、徹底的に、やりきるのだ ⋮⋮!! ﹁︱︱グラン﹂ ﹁ひ⋮⋮め︱︱︱︱﹂ その夜、私は夫を寝台に沈ませ、逞しい肉体の上に身を乗り上げた。 驚愕に目を見開き、完全な無防備状態で横たわる夫の肢体を見下ろ し、高揚する。 ⋮⋮なんだ、この難攻不落な山の登頂に成功したような清々しさは ⋮⋮! まるで世界の覇者にでもなったかのようだ⋮⋮! いつもと全然景色が違う。 708 湯浴みの名残で、硬い黒髪は艶やかに濡れ、太い首筋を水滴が垂れ 落ちる。 世界で私しか映さないその瞳を覗き込み、胸の厚みを手で確かめた。 硬く雄々しく盛り上がった胸筋は、私の手の下で激しく上下してい た。 ゆるやかに手を腹の方に撫で下ろすと、跨った硬い腰が動き、寝台 がギシリと鳴いた。 ズクンと体の芯が疼いた。心が騒いでむず痒い。 ﹁グラン。お前に⋮⋮⋮⋮伝えたい事がある﹂ グランが暴走するのは何故か。 至って単純な回答だ。 それは︱︱私からの愛が、絶対的に足りないからだ⋮⋮! この結婚は、グランと私のラブバトル。 負けるのは、単純にパワーが劣っているからだ。 709 ならばグランの想いより私の愛が強ければ、ヤツの暴走は止まる筈。 海より深い私の愛で、グランをガッボガボのブクブクに、溺れさせ てやる︱︱︱︱!! 野獣騎士の暴走求愛からの究極の逃げ方は、私からの愛。こ れ だ︱︱︱︱!! 私の腰を包む大きな大きな手を強く握り込む。 分厚く硬く、剣だこでボコボコの、強大過ぎる力を秘めたその手を。 艶然と笑みを浮かべ、グランを見下ろした。 強く深く私を凝視してくる漆黒の瞳を︱︱︱︱今、初めて跳ね返す。 ﹁グラン。私は︱︱お前を⋮⋮愛している﹂ 710 ROUND60:野獣騎士VS猛獣使い︵前編︶ ﹁グラン。私は︱︱お前を⋮⋮愛している﹂ そう告げた途端、世界から全ての音が、消えた。 キーーンと耳鳴りがするほどの静寂の中、ド、クン⋮⋮ッと大きく 脈打つグランの熱い鼓動だけを感じる。 互い以外は何も見えず、何も感じず、完全な二人だけの世界に埋没 する。 あぁ⋮⋮胸が、これまでにないほど、熱い。 心のままに己の想いを告げた事で、その真実が私の内で更に確固た るものとなる。 心の奥底から溢れんばかりの勇気が滾々と湧いてくる。 今まで、グランからの暴走求愛を必死で受け止めてきた。 だが、今なら。 私も誰よりもグランを愛していると、そう自覚した今なら。 711 溢れるこの想いを、グランに全部、ぶつけてやる︱︱︱︱!! 何かを訴えるように開いたその唇を、私のそれで塞いだ。 グランの全身が大きく大きく戦慄いた。 重なる胸を、跳ね飛ぶ鼓動が強烈に殴打してくる。 どうしようもなく︱︱嬉しさがこみ上げる。 私の動作ひとつで、こんなにも熱い反応が返ってくることが、嬉し い。 この、天上天下唯我独尊を地で行くようなこの男が、世界中で唯一 私の前でだけ、こんなにも心と身体を大きく震わせる事が。 もっと見たい。 ⋮⋮足りない。 もっと、この男に、触れてみたい。 ﹁⋮⋮⋮⋮ッ、ッッ︱︱︱︱!!!﹂ その胸元を肌蹴けさせ、見慣れた厚い胸板を剥き出しにした。 712 ゴツゴツと盛り上がるそこに手をつき、雄々しく突き出た胸板から 割れた腹筋を撫でまわす。 私の手の動きに合わせ、異様に発達した筋肉が妖しく蠢き、じわり とじわりと肌が汗ばんでいく。 同時に、熱く勃ち上がったものでぐぐと臀部を押し上げられた。 じじゅう 力強く跳ね上がるそれを自重でぐっと抑え込むと、きつく結んだ精 悍な唇から切迫した吐息が漏れた。 その様が、我が夫ながら壮絶に艶かしい。 常と違い、私が優位に立ったようで、おかしな高揚感に身体を支配 される。 世界を焼きつくすような熱情を湛えて私を見上げてくる漆黒の瞳に、 深い満足感で背筋がゾクゾクと震えた。 ずっと私だけ⋮⋮私だけ、見ていればいい。 それこそ世界が終わるまで、ずっと。 ﹁⋮⋮っっ!⋮⋮ひ⋮⋮⋮⋮め︱︱︱︱?!﹂ 713 柔らかな夜着の肩紐をするりと落とし、夫の前で肌を晒した。 またグランの腰が大きく動いた。勿論、腰の下のそれも。 零れ出た胸に熱を帯びた視線が突き刺さる。 微かに開いた口の端から熱い息を吐き出し、必死で情動を抑え込み ながらも、腰で押さえつけたそれは耐え切れずにドクドクッと力強 く脈打ち、益々硬化していく。 下着の窪みを荒々しく押し上げる熱い躍動に、甘い痺れが直走る。 息を荒げ、声も無く艶やかに顔を歪めるグランが眼下に映る。 心臓が壊れそうなほど大きく大きく高鳴り、身体の芯が燃え盛る。 ⋮⋮欲しい、この男が。 その重々しい心ごと、丸ごと全部。 ﹁グラン。私が好きだと、言え﹂ 欲しい。その想いごと。 714 ﹁聞きたい。お前の言葉で、私を愛している、と︱︱︱︱!﹂ 今なら受け止められる。お前のすべてを。 ﹁生涯、私だけを愛すると、今この場で、もう一度、誓え⋮⋮⋮⋮ !﹂ 715 ROUND61:野獣騎士VS猛獣使い︵中編︶ ﹁⋮⋮⋮⋮言、え、ませ︱︱︱︱ッ﹂ 返って来たのは、今にも泣きそうな掠れた呻き声だった。 ﹁なぜ。もう私は、お前を全て受け止められる︱︱︱︱!﹂ ﹁ッ、ぁ⋮⋮違⋮⋮う、のです、ひ、め⋮⋮⋮⋮わ、たし、は︱︱ ︱︱!!﹂ ドクン⋮⋮ッ!と心臓が大きく脈打った。 乗り上げた世にも逞しい肉体の内側で、ゴソリ⋮⋮と禍々しくも狂 暴な何かが蠢くような気配を感じて。 あの時と同じ目。 私を愛していると言えないと告げた時の、真っ黒な底無しの、グツ グツ煮えたぎる何かが噴き出すのを懸命に抑えこんでいる目。 それらのほんの一部を引きずり出すように、グランが顔を大きく歪 め、唇をきつく噛み締め、その震える唇から苦悶の声を漏らした。 716 世界の終わりのような痛切な顔をして、身の内に潜む何かが吹き出 すのを、懸命に堪えるかのように。 ﹁ぁ、貴方への、想いは⋮⋮⋮⋮以前よりも、もっと強く、更に、 しるし 深く︱︱︱日々貴方を見つめるたび、貴方に触れるたび、この胸に 愛しい貴方を抱き、私の印を刻めば刻み込むほどに⋮⋮より貪欲に、 狂おしいほどに、貴方が、もっと、欲し、く、て︱︱︱︱︱︱!!﹂ 暗黒の瞳の奥底で、狂暴で凶悪な真の猛獣が、まだ、足りない、も っと欲しいと、焼けつくような渇望に獰猛な唸りをあげているのが 見えた。 その煉獄の底なし沼は以前よりももっと深く︱︱それこそ世界ごと 私を呑み込まんばかりの絶望的な深淵。 ゾクゾク︱︱︱︱ッッ!!と全身の肌という肌が粟立った。 どれだけ⋮⋮どれだけ己を戒める枷を何個も課して私を愛している のか︱︱とても計り知れない。底が、見えない。 だが。 その深さが、私を愛するがゆえの深さだと言うのなら。 ︱︱︱︱受け止めたい。 717 どれほど絶望的な深さで私を愛しているのか、私の全てで感じてみ たい。 ﹁いいと言っている。全て⋮⋮受け止めるから⋮⋮⋮⋮愛している、 と﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮⋮⋮ッッッ⋮⋮︱︱︱︱︱︱!!!!﹂ 今までで一番強く強く、抱き締められた。 一瞬で唇を制圧され、口内をきつく撹拌される。 渇望の喘ぎと抑圧の震え。 焼け爛れた想いの奔流。 全て受け止め、負けじとそれに応えると、グランの身体が歓喜に震 え、更に息荒く唇にしゃぶりつかれた。 身体が、熱い。 焼けるような吐息ごと燃え盛る想いを体内に吹き込まれ、身体の芯 が燃え上がる。 718 苦しげに細められた闇色の瞳は私しか映さない。 圧迫される胸も背も、その熱さと重さ、息もできないほどの苦しさ さえ︱︱この上もなく、心地良い。 グランは、胸の内に私を抱え込んだまま 苦しげに眉を寄せ、きつくきつく奥歯を噛み締め 宝物のように一言一言大事に区切って その言葉を⋮⋮重く、切なく、呟いた。 ﹁ッッ⋮⋮あ⋮⋮あ、い、し、て⋮⋮い、ま、す⋮⋮⋮⋮貴方だけ を、永、遠に︱︱︱︱︱︱!!﹂ 全身を、熱い熱い歓喜が駆け巡る。 身体も心も、魂までもが熱く心地よく満たされ、余分なものは跡形 もなく消え失せる。 心を占めるのはただ一つ。 至ってシンプルな想いだ。 719 ﹁私も⋮⋮⋮⋮愛してる﹂ この男が︱︱︱︱欲しい。 腰の下、痛々しい程に膨らみ、ドクドクと脈動しているものを、布 の上から握り込む。 途端、グランが大きな身体を震わせた。 肌蹴た筋肉質の胸板が蠱惑的に上下し、その精悍な口元から吐き出 されるのは獣の唸り声にも似た、地を這う狂暴な呻き。 原始的な本能に突き動かされ、私はそれを暴いて︱︱︱︱思い切り、 咥えた。 720 ROUND62:野獣騎士VS猛獣使い︵後編︶ 雄々しく跳ね上がり、敏感な粘膜を容赦無く抉ってくるそれを、き つくきつく吸い上げる。 余りに大きくて、少ししか呑み込めない。 舌は巨大なものに押しつぶされ、むしろ引っ掛かって邪魔なくらい だ。 大きく膨らんだ先端が口内をぬめぬめと滑り、性器の味とは違った 苦味が口の中に広がった。 ﹁っっ⋮⋮ぁあッ︱︱︱︱!!﹂ 強い悦楽の滲む呻きに導かれ、更に奥深く、えずく直前まで咥え込 む。 高揚しているせいなのか、はたまた食事を口一杯に頬張っていると 脳が勘違いしているせいなのか、溢れ出た大量の唾液が呑み込みき れない棹を滴り落ちていく。 その唾液ごと肉棒を啜り上げると、グランが一層激しく息を切らし た。 721 全身を硬直させ、腰を大きく震わせている。 ﹁ッ、はぁ、っ!!⋮⋮⋮⋮ひ、め、ッ﹂ 口の中が、熱い。 身体の内側が熱く蕩け、じわりと脚の間から身に覚えのある感触が 滴り落ちてくる。 中に⋮⋮欲しい。 私を欲しがって発火するこれを、一刻も早く私の中に埋め込みたい。 渇望する手が、屹立した棹を彷徨った。 欲しい気持ちが心を熱し、鼓動を早くしていく。 ﹁グラン⋮⋮﹂ 私は自ら下着を脱ぎ去ると、頑強な腰に跨り、痛々しいほどに勃ち 上がったそれを、濡れた溝にグチャリと押しつけた。 グググ⋮⋮ッ!と巨大な男根が益々膨張し、体内への入り口を大き 722 く淫らに割り開く。 柔い隙間に熱く滾った塊がねちゃりと挟まって絡み合い、ドクドク 脈打つその力強さに、熱い痺れが背筋を駆け上った。 ドクン︱︱⋮⋮ッ!!と強く打ち震えたのは、どちらの鼓動か。 欲しているのが丸分かりな濡れた吐息が互いの口から漏れる。 胸が苦しい。 ﹁グラン。私が、欲しいか﹂ ﹁あ、ぁあ⋮⋮⋮⋮ッ、ひ、め︱︱︱︱!!﹂ 苦悶に呻くグランが、私の腰を力強く引き寄せる。 いつになく息を荒げ、艶やかに顔を歪めている。 心臓が、大きく高鳴った。 私はその破裂しそうな先端を、濡れそぼる蜜口にグチャリと嵌め込 んだ。 ﹁ッは⋮⋮!⋮⋮︱︱っっ⋮⋮く!!﹂ 723 ﹁んん⋮⋮︱︱っ!!﹂ ただでさえ硬い夫の腹筋が、ガッチガチに引き締まる。 腰が蠢き、浅い部分がグチャリと擦られ、燃え上がるような快感が 弾け飛ぶ。 ブルブルと震える腰が、己の欲望を早く私の中で突き上げたいと強 く訴えかけてくる。 激しい欲情でドロドロに濡れた瞳を見下ろし、更にもう一段階グプ リ、と体内に呑み込んだ。 ﹁ッッ!!ぁ⋮⋮︱︱︱︱ッ!!﹂ ドクドクドクドク⋮⋮ッ!!と妖しく脈打つ屹立を、ぬるぬるとし た愛液がゆっくりと滴り落ちていく。 ﹁私は⋮⋮お前が、欲しい。⋮⋮お前は?﹂ 私を見上げる漆黒の瞳は、私以外のすべての存在をその深い闇で消 し去った。 724 ﹁ぁあ⋮⋮姫⋮⋮⋮⋮わ、私は⋮⋮⋮⋮っ﹂ まるで泣いているような切ない叫びに、胸いっぱいに温かなものが 溢れた。 ﹁私は、ずっと貴方だけが、っ貴方だけを︱︱︱︱!!﹂ ﹁早く、貴方が、欲し、い⋮⋮︱︱︱︱!!﹂ 私はその想いごと、それを体内に呑み込んだ。 725 ROUND63:野獣騎士の涙 こうして、自分から繋げるのは初めてだ。 そのせいか、自重と勢いで半ばまで入ったが、その後がキツい。 湧き上がる興奮のせいか、互いの性器が熱く膨み、凄まじい圧迫感 が胸にまで迫り上がる。 ﹁ッぁあ⋮⋮ッ、ひ⋮⋮め︱︱︱︱!!﹂ グランが目元を赤く染め、中のものをグチャリと大きく蠢かした。 硬く太いものが内部を強烈に擦り上げて身体の奥へと入り込み、内 蔵を抉るようなきつい衝撃に、痛いほど収縮した中がビクビクと不 規則に戦いた。 ﹁⋮⋮っぁあ、お願い、です、早く、貴方の、中、に︱︱︱︱!!﹂ ﹁っダ、メだ⋮⋮っうご、かす、な!﹂ ﹁無理、です、ぁあ⋮⋮⋮⋮ッ!!﹂ ﹁っッ︱︱︱︱ぁあ!!﹂ 726 ズ、ン!と腰を強く引き下げられた。 グプリと大きな粘着音を立て、逞しい男根がもう一段階、奥まで入 り込む。 腰に食い込む太い指から、燃え盛る程の渇望が伝わってくる。 己の欲望を、一刻も早く私の中に全部埋め込みたいと。 その熱情に、身体の奥が痺れた。 ズルリとほんの少しだけ引き抜いた後、私はそれを一気に体内へと 呑み込んだ。 ﹁ぁ、ふぁ、あ⋮⋮︱︱っッ!﹂ 巨大な先端に最奥を押し上げられ、熱い熱い衝撃に引き裂かれる。 熱い、焼け焦げそうな、大きな塊。 その存在感に、背筋が震えた。 ﹁っっ⋮⋮⋮⋮!!く︱︱︱︱ッッ!!﹂ 727 グランが耐え切れないとばかりに切なく呻き、ドクドクッと中のも のを打ち震わした。 歓喜に満ちたその様子に、胸の底から深い悦びが湧き上がる。 こうして自ら求めて受け入れれば、こんなにも大きな幸福に満たさ れる。 身体を焼き焦がす情動に突き動かされ、逞しい肉体の上で腰を揺ら すと、硬く大きな尖りが私の中をギチギチと獰猛に暴れ回った。 強く求めれば求めるほどに、身体が熱く融け合い、激しい一体感に 満たされる。 今なら分かる。 この行為はグランにとって、尽きることなく燃え盛り続ける私への 求愛の、一番の伝達方法なのだと。 熱く脈打つそれを体内に呑み込んだまま、深く深く息を吐く。 激しく上下する盛り上がった胸板に手を突き、灼熱の温度で私を見 上げてく る漆黒の瞳を見下ろした。 ﹁︱︱︱︱幸せに、する﹂ 728 ビ、クン︱︱ッ!と強く跳ね跳ぶ逞しい肉体の上で、私は高らかに 宣言した。 ﹁この私が愛するからには⋮⋮お前を、この世で一番、幸せな男に してみせる︱︱︱︱!!﹂ そう、この私が愛するからには、中途半端な愛し方などするものか ⋮⋮!! 元来私は器用な質ではない。 一人の男を愛したら、生涯心変わりする事など、決して無い。 ならば一切の迷いなくこの男を愛し、世界で一番、幸せな男にして みせる︱︱!! 不意に、グランの瞳が、大きく大きく揺らめいた。 ﹁ッ、ぁあッッ、ひ、め⋮⋮⋮⋮っ﹂ 大きく震える、精悍な唇。 729 ドクン︱︱ッと鼓動が鳴り響く。 その目尻から垂れ落ちる、透明な雫に。 ﹁っ私は、私は︱︱︱︱ずっと⋮⋮耐えて、きました﹂ ギリリと腰に太い指が食い込む。 その想いの強さを、私に深く刻みこむように。 ﹁誰よりも尊き貴方の夫として相応しくあるよう、必死に、己を、 ッ⋮⋮抑えて、きたのです﹂ ﹁で、すが、も⋮⋮う︱︱︱︱!!!﹂ ⋮⋮⋮⋮バツ、ン⋮⋮⋮⋮ッッ︱︱︱︱!!!! 世界が、真っ二つに、断絶した。 730 一瞬の、強制的な暗転。 その中でただ聞こえたのは 世界一凶暴にして凶悪な、 人類最強の、野獣の︱︱︱︱咆哮だった。 731 ROUND64:野獣騎士の暴走求愛 腰に乗り上げたまま羽交い締めにされ、それこそ世界が壊れそうな ほど、激しく貪られた。 ギッギ!ギッギ!ぐちゃん!ぐちゃん!という騒々しい音と、互い の切羽詰まった呻きや悲鳴で周囲の音が埋め尽くされる。 今にも爆発しそうな凄まじく熱く滾ったものを体内に抱え、息つく 間もなく身悶えた。 ぁ、あ⋮⋮︱︱!マズ、い︱︱︱︱!! これは⋮⋮一心同体どころではない!完 全 融 合だ︱︱︱︱!! 個々としての存在が成り立たないほどの深い深い交合。 きつく埋め込まれる部分から私への熱い熱い想いが雪崩れ込み、う っかりその想いに感化され、思わず喉から両手両足が出そうなほど に自分が欲しくて欲しくて堪らなくて本気で死にそうになった。 ⋮⋮ッだが、負けてなどいられない⋮⋮!! 私は、夫からの最大の暴走求愛を、ガッツリと受け止めた!私の、 全愛で︱︱︱︱!! 732 そして、全力で味わった。 その躍動する逞しい肉体を、 身体を焼き焦がす熱い欲望を、 そして︱︱私を、私だけを追い求める、苛烈極まる、その暴走求愛 を。 ﹁ッッ⋮⋮⋮⋮!!っく、ぁああッッ⋮⋮︱︱︱︱!!﹂ ﹁ぁあッ、あぁ!!あ︱︱︱︱ッッ!!﹂ 身体の奥が疼いて堪らない。 もっと︱︱欲しい。 もっとグチャグチャに溶け合えば、その想いを、もっともっと感じ る事が出来る。 ﹁︱︱︱︱ッあ、ぁあ!!﹂ 更に腰を押し付け結合を深くすると、最も熱く疼く奥の部分に硬く 膨張した塊が嵌り込み、全身が慄いた。 733 得も言われぬ、快感で。 ﹁ぁふ、あッ!!グラ、ン、ぁ、すご、ッぁ、んっ、んン⋮⋮︱︱ ッ!!﹂ 感じまくる私に、グランの呼吸がありえないほど荒ぶった。 ﹁︱︱ぁッ、あ⋮⋮ひ、め、ひめ⋮⋮︱︱ッ!!﹂ ﹁ッッぁ、︱︱っくぅ、っ︱︱︱︱!!﹂ 感じれば感じるほどに、心も身体も同化していく。 互いに貪り合う事で、何倍にも快感が増幅する。 私を雄々しく貪り尽くす存在が愛おしくて堪らない。 ﹁ッッ⋮⋮⋮⋮!!ぁあ⋮⋮ッも、うっ︱︱︱︱!!﹂ ﹁あッ、あ、︱︱!!﹂ ﹁ッぁ、愛して、います、貴方を、愛、して︱︱︱︱⋮⋮ッッ!! !﹂ 734 ﹁あ、ぁ、あぁ︱︱⋮⋮ッ!!﹂ グチャグチャな内部をメチャクチャに突き上げられ、滲んだ涙が飛 び散った。 熱い熱い衝撃が悦楽のレベルをグングン押し上げ、唐突にバツンと 熱く弾け飛ぶ。 ﹁⋮⋮⋮⋮ッッ、っぁ、︱︱︱︱くッ、ッ!!﹂ 悲鳴のような呻きとともに、私の中でグランが爆発した。 ﹁っぁ、ぁ⋮⋮⋮⋮あ!!﹂ ドクドク⋮⋮ッ!と打ち震え、大量の精を吐き出す熱い塊に、激し い幸福感で満たされる。 歓喜に震える眼差しが、切なく、そして狂おしく私を見つめてくる。 大きな手が私の頬を包み込み、もう片方の手が私の背を抱き、逞し い肉体に二人の身体がぴたりと密着した。 汗ばむ肌が吸い付くように重なり、蕩けるような幸福感に全身が淡 雪のように解けそうになる。 735 愛し愛された歓喜で、身体の震えが止まらない。 ぁあ⋮⋮ついに⋮⋮ついに、私は受け止めた! グランの全愛を、丸ごと全部、受け止めきれた︱︱︱︱!! そう、私は⋮⋮真の猛獣使いとなったのだ︱︱︱︱!!! 嬉しさにギュギュッとしがみつくと、グランの身体が大きく震え、 きつくきつく抱き返してきた。 そして、世にも甘い甘∼∼い愛の言葉が精悍な唇から紡がれた。 ﹁あぁ⋮⋮姫⋮⋮⋮⋮愛して、います﹂ が。 その愛の言葉には、ちょっと⋮⋮ほんのちょっとだけ、余分なオマ ケがついていた。 736 ﹁ッッあぁ⋮⋮愛して、います⋮⋮⋮⋮私の、エ、ル、ミア⋮⋮︱ ︱︱︱!!!﹂ ︱︱︱︱ぇ。えええ?!ええええーーーー?!?! な、なんでここで、今朝固く固く厳重に封印した、禁断の呪文が︱ ︱︱︱?!?! ギュルン!と天地が、目にも留まらぬ早さで一回転した。 ガッシャーン⋮⋮!と、もはやお馴染みの強固な筋肉牢にガッチリ と閉じ込められる。 そして、 今まで以上の幸福と歓喜と⋮⋮いっそ笑えるほどにてんで底の見え ない私への愛がグルグル渦巻く漆黒の瞳に一瞬で金縛りにされ、 身体の内側を、史上最大級の熱さが駆け抜けた。 ﹁︱︱っっっあぁああぁあああ︱︱︱︱⋮⋮⋮⋮ッッ!!﹂ 737 FINALROUND:野獣騎士の暴走求愛からの逃げ方 どうやら我が夫は、私の愛で、私の伴侶としてより大きく立派に成 長したらしい。 どこがとは言いたくないが、我が身をもって、存分に思い知らされ た。 ⋮⋮要するに。 その鍛冶屋かなんかで徹底的に焼き直し叩き直し、超念入りに研ぎ 直されたのかと思わず錯覚するほどにガンガンギッチギチに膨張& 硬化した見事な大剣の収まるべき場所は、大悪党の腹の中などでは 断じてなく︱︱当然、私の中な訳で。 全身全霊であげた声すらブツブツと途切れさせるほどのド迫力で膨 張硬化するソレに、私は大いに泣いた。いや啼いた。 ﹁ッ、っく、ぁあ⋮⋮ッ!ひ、め⋮⋮︱︱!!どうか、私に全て、 委ねて、くださ、︱︱⋮⋮ッッ!!﹂ ﹁ッうあ!!ぁああぁああ⋮⋮⋮⋮っっ!!﹂ バ、バカ者ォーーーー!!!とっくに力など抜いている⋮⋮!! 738 お前が押し入って来る時はいつもそうしている!れっきとした生存 本能で!でなければ毎回毎回この荒れ狂う地獄の戦場から生還出来 る訳がない⋮⋮!! 今現在、こんなに中がギュウギュウで超混雑しているのは、明らか にお前のせいだ⋮⋮!ぅう、バカバカーーーー!! ﹁ぁっ⋮⋮!あ、ぅ⋮⋮ッッ!!は、あぁん︱︱︱︱ッ!!﹂ ﹁ッッッ⋮⋮︱︱︱︱!!!﹂ てんで色気もへったくれもない、情けなさすぎる悲鳴をあげたら、 それを聞いた我が夫は俄然ヒートアップした!し、しなくていいわ ーーーー!!! ﹁あぁ⋮⋮!!ッッ愛、して、います⋮⋮⋮⋮!!この世界を⋮⋮ 貴方と私、二人だけの世界に、してしまいたい、ほどに︱︱︱︱︱ ︱!!!﹂ ﹁んはぁっ︱︱︱︱!!っっ、ああああ︱︱ーー!!!﹂ あ、愛してる!私も、愛 し て る⋮⋮!!! が、やっぱりお前の求愛は、世界的規模で、とてつもなく重 た い わーーーー!!! 739 ﹁ひめ、っく⋮⋮⋮⋮ぁあッッ⋮⋮︱︱︱︱!!﹂ ﹁あっはぁああん⋮⋮!!!んっ、んン⋮⋮︱︱!!!﹂ ああああ⋮⋮!どこからか工事現場の音がする⋮⋮!!ガガガガゴ ゴゴゴ!!と超急ピッチで突貫工事を進める音が!!具体的に言う と、私の中で!! それをどこか遠い国で起こった大事件の如く聞きながら、瀕死と紙 一重のありえない快楽にブルブル震える手をぶ厚い胸板に押し付け たら、益々ギュギュギュウウ︱︱︱︱ッ!!!と抱き締められ、自 分の胸に自分の拳がガッツリ埋まるという、リアル大惨事に陥った。 とにかく、もうメチャクチャな状態だった。 両膝をガッツリ割られ、灼熱の棒がメチャクチャに突き入れられる。 体中を何かが駆け抜けて過ぎ去ってはまた駆け抜けていく。 ﹁⋮⋮⋮⋮ぁあ、っく︱︱︱︱!!私の、エル、ミア⋮⋮︱︱!!﹂ ﹁ッあぅ、ひ⋮⋮!あ、あぁああーーーー⋮⋮!!!﹂ 何度も何度もゴッツイものを最奥にガンガンゴンゴンぶつけられ、 740 早くも身体がビクビクッ!と戦いて達しそうになる。 ﹁あ!あ、く、ぁああん!!ぁんあんッ︱︱!!!﹂ ﹁ッッ、ひ、め、っ、ぁ⋮⋮ッッひ、め︱︱︱︱!!﹂ ﹁あ⋮⋮ぁあ!ああああーー⋮⋮っっ!!﹂ 情緒もへったくれもなく、体内奥深く突き刺さったものがドン!! と唐突に破裂し、濃厚極まりない子種がたっぷりと私の中に注がれ た。 ﹁ッ、は、んん⋮⋮っ、あ⋮⋮あ︱︱っっ!!﹂ ビュル、ビュ︱︱!!と勢い良く注がれ続ける震えるような快感に、 掠れまくった悲鳴が止められない。 正直、もう気絶寸前だった。 が、そんな中、 世界を焼きつくす業火の如く熱く荒い息を吐きながら、 真の猛獣が︱︱ 741 永遠に果て無き進化を遂げ続ける、世界最強の猛獣が、 またしても叫んだ。 ﹁ッッぁあ⋮⋮⋮⋮っエ、ル、ミア⋮⋮︱︱︱︱!!!﹂ ﹁︱︱︱︱︱︱っッッッ⋮⋮⋮⋮ぁあああああーーーー!!!﹂ その後。 つい今朝方、翌日公務が無い夜は名を呼んでもいいとキッチリ約束 した事をうっかり忘れた私は、﹁愛してる﹂と﹁エルミア﹂呼びの 激烈なコンボで、己の全存在、いや全人生、いやいや全宇宙のパワ ーをこの一点に集約したかのような勢いで、一晩中、いや翌朝、い やいや昼も、いやいやその夜も延々と貪られた。⋮⋮って、いい加 減、死 ぬ わーーーーー!!!! 翌々日。 742 身体がズタボロに使い古されたボロ雑巾、もしくはよ∼く天日干し された高級干物状態となった私は、思った。 今回はちょっと⋮⋮ほんのちょっとだけ、我が夫の愛に押され気味 だった。 が、いつかきっと、 いつかきっと絶対に、 山より高く、海より深い私の愛で、 グランをガッボガボのブックブクに、溺れさせてやる︱︱︱︱!!! それからというもの、グランは毎日、私を見るたび、ああ、姫⋮⋮ 今日も、貴方を、貴方だけを、愛して、います⋮⋮!!と非常に熱 烈極まりなく、何度も何度も告げてくるようになった。 その瞳が、その深い深い闇色の瞳が、狂おしいほどに、泣きそうな ほどに幸せそうなので、まあ良かったと思う、今日この頃だ。 が、﹁愛してる﹂と名前呼びのコンボ技だけは、今後夫婦間で固く 743 固く厳重に封印されたのは、言うまでもない。 初級猛獣使い編・完 744 ROUND EX.1:野獣騎士と妻の怪我 ﹁ひ、め﹂ ﹁うっ﹂ 口の前にスプーンがずいっと差し出され、思わず私は固まった。 公務の際、書類の端で指先をちょこっと切ってしまった。 全然大した事なかったのだが、慌てふためいた侍女によって大げさ に手当されてしまい、それを見たグランが夕食の席で甲斐甲斐しく 世話を焼いてきた。 あぁ、スプーン。 これは、ヤツとの婚約以来ガンガンに増え続けている私のトラウマ アイテムの一つだ! つい先日、食事を﹁あ∼ん﹂されたのに、なぜか分厚いタンを口一 杯頬張る事になったり、アッツアツの超特大フレッシュミートを下 の口に飲み込む事になったりした苦い黒歴史があるのだ! 745 なかなか口を開けようとしない私に、深い闇色の瞳が、ひめ⋮⋮大 きく口を開けて、くださいと目で強制してくる。 せっかく作ってくれた料理を冷ますわけにもいかず、仕方なく、ほ んと∼に仕方なく、口を開けた。 すると、奇跡が起きた。 フツーにゴハンを食べれたのだ⋮⋮! ヤツの分厚い舌ではなく、爆発しそうに滾った巨大なモノでもなく、 フツーの食べ物を⋮⋮! ⋮⋮美味しい⋮⋮!なんか、自分で食べるよりも美味しい気がする ぞ⋮⋮!! しばらく無心でもぐもぐしていると、ヤツがじいい⋮⋮ッと私の口 の動きを凝視してきた。 なんか⋮⋮食べているのをこうもガン見されると、非常に食べづら い。 なんとなく咀嚼のスピードが落ち、若干喉をつまらせながらも飲み 下した。 746 すると、再度グランがずいと食べ物を差し出してくる。 ﹁あーん﹂↓ごっくん↓ずいっを繰り返していくうちに、なんだか ヤツの目が妙に熱くなってきたような⋮⋮?それに、顔もなんだか 近くなってきたような気もする。 ﹁っ⋮⋮喉、かわいた!﹂ 現在、無駄にらぶいちゃ撲滅運動期間真っ最中の為、やけに湿って きた場の空気を意図的に吹き飛ばした。 すると間近に迫っていた顔が離れていき、ほっとする。私を見つめ るヤツの目の温度はまったく変わらなかったが。 グランがコップを手に持ち、今度は飲み物を飲ませてくれた。⋮⋮ 思いッきり、口移しで。 ﹁⋮⋮んっっ、ぐ︱︱?!﹂ ビッタリ押し当てられた口から、液体がドボドボと注がれる。 本来冷たいはずの飲み物がグランの唾液と混ざった事で、生温い部 分と冷たい部分が入り混じる摩訶不思議なドリンクとなった。 747 味も、夫の味と飲み物の味が奇跡的出会いを遂げ、絶妙なハーモニ ーを奏でて︱︱︱︱いや、いないいない!! ちょ、コラーー!!!すっかり飲み物がグラン温度とグラン味に⋮ ⋮!! もはやなんの飲み物だかさっぱり分からんわーーーー!! だがしかしこの摩訶不思議味な液体を飲み干すまで、我が夫は唇を 離す気は全く無いようだった。 仕方なく、ほんと∼に仕方なく、私はそれをこくんと飲んだ。 そしてまた口移しで飲み物を飲まされた。⋮⋮と思ったら、今度は なんかの果肉入りだった。 ﹁ん、ンぶ⋮⋮︱︱ッッ?!﹂ ああああ危なかった⋮⋮!!危うく果肉に擬態した夫の舌ごとゴッ クンと飲み込んでしまうところだった⋮⋮!! こ、これ以上トラウマを増やしてくれるな、頼むから︱︱︱︱!!! 748 そんな私の叫びも虚しく、その後も私のトラウマはガンガン増えて いくのだった。 749 ROUND1:野獣騎士との式展準備 ﹁姫様、いかがですか?﹂ 侍女の言葉に鏡の中を覗き込む。 腰まで届く長い長い銀髪を一つに纏め上げ、絢爛豪華な純白のドレ スに身を包んだ長身細身の女が映っている。 ﹁いいんじゃないか?﹂ この衣装は、もうすぐ執り行われる結婚式典で着用する婚礼衣装だ。 本来ならば、少なくとも数ヶ月前までには用意されてしかるべきも のなのだが、色々と事情があったせいで、王族の婚礼衣装としては おそらく類を見ないスピードで仕上がってきた逸品だ。 様々な角度から見てみたが⋮⋮ス ゴ イ。この短期間で細部まで きめ細やかかつ丁寧に仕上がっている。とても半月弱で仕上げたも のとは思えない。神業だ。 ﹁デザインや着心地などもよろしいでしょうか﹂ ﹁悪くない、これでいい﹂ 750 式典までの日数も迫ってきている事だし、サクッとGOサインを出 しておく。 すると、なにやらブツブツと不平不満を呟いている人物がいた。ケ イナだ。 ﹁ありえません、おかしいですわ、こんな筈じゃ⋮⋮!﹂ ﹁どうした?何か気になる所でもあるのか?﹂ なにやら眉間に深くしわを寄せ、親の仇を見るような険しい目つき でドレスをチェックしている。 どうやらケイナ的にどこか不具合があるようだ。 厳しい表情のまま、ほんの一瞬だけ逡巡した後、意を決し、ケイナ がキッパリと言い放った。 ﹁姫様、式典までお日にちが限られている事は重々承知ではござい ますが⋮⋮少々サイズの調整が必要なようですわ﹂ ﹁⋮⋮え?サイズ?どこが?﹂ 意外な部分で指摘を受け、驚いた。 751 鏡で再度確認したが、生憎自分ではどこを調整すべきなのか分から ない。 ちょっと言いにくい事なのか、わざとらしく咳払いしつつ、ケイナ がこう告げてきた。 ﹁⋮⋮コホン、姫様。失礼ながら、お胸が⋮⋮以前より、大ッ変大 きくなられたようですわ﹂ ⋮⋮胸? 思わず自分の胸をガン見した。 ⋮⋮そういえば、前よりも少しだけ、突き出ているような気もする。 ﹁お腰も⋮⋮﹂ ﹁腰?﹂ ﹁ええ、腰回りの方も、だいぶ細くなっておいでです﹂ そうか? 腰の辺りに触れてみると、確かにやや緩みのようなものが⋮⋮ある ようなないような⋮⋮? 752 ﹁成長期、なのか?﹂ 呑気に呟いたら、即反論された。 ﹁姫様!わたくし、姫様にお仕えさせて頂いてかれこれもう十数年 経っておりますが、こんなにも短期間で姫様のお胸がここまで大き くなられた事など一度もありませんでしたわ!﹂ ⋮⋮なんだか、イヤ∼な予感がする。この展開に強烈なデジャブを 感じるのだが。 ケイナがプルプルプルプル震えながら叫んだ。 ﹁この成長ぶり!前回採寸させて頂いてから、まだ数週間も経って いないというのに、通常ならありえません!これはやはり、グラン 様とのご夫婦仲が大ッッ変よろしいがゆえに、姫様のお身体が急激 により女性らしく変化なされているとしか思えませんわ⋮⋮!﹂ そうきたか⋮⋮! 私とて最近の夫婦性活︵誤字ではない︶がより激しくパワーアップ し、現在とんでもなく凄まじい有り様となっている事はよ∼∼く分 かっている。 753 なぜこんなにも大変な事になっているのかというと。 前回、毎度毎度大惨事︵18禁的な意味で︶を引き起こす夫の暴走 求愛に打ち勝とうと、溢れんばかりの私の愛で攻めまくったら、我 が夫の超絶重たい愛の反撃を受け、うっかり大地が割れ、世界が真 っ二つに裂け︱︱ とどのつまりは、ちょっと⋮⋮ほんのちょっとだけ、夫の愛に押さ れ気味になってしまったのだ。詳しくは言いたくない。⋮⋮察して 下さい。 ケイナが長い長∼∼い溜息をついた。 ﹁なんという事でしょう!式典まで余りにもお日にちが無さ過ぎて、 城内の者達一同ずっとハイテンションなばかりか、一部の者達は訳 の分からない不気味な高笑いが止まらないという有り様ですのに、 お式の直前でこんなにも姫様のお身体が変化されてしまわれるなん て⋮⋮!やはりご夫婦仲が大ッッ変よろしいがゆえに、︵以下略︶﹂ 改めて自分の姿を鏡で見てみた。 確かに以前より身体の凹凸がより際立ち、どこか妙に艶かしい⋮⋮ 人妻のお色気?みたいなものが滲み出ているような気もする。つい でに肌も内側から輝かんばかりにツヤッツヤだ。新妻効果なのだろ うか。 754 ﹁急ぎお針子にすべて直させて!大至急、超特急で⋮⋮!!﹂ ケイナが鬼気迫る迫力で周囲の侍女達にビシバシ指示を飛ばしてい く中、私は思った。 これは⋮⋮これ以上身体のサイズを変えない為にも、夫婦での話し 合いが必要なのでは? ぶっちゃけ、連日連夜身体に押し入られている為、たまには休肝日、 いや休竿日、いやいやとにかく安息日的な休養日が切実に欲しい! ⋮⋮というのも、正直ある。 という事で、早速我が夫に提案してみることにした。 755 ROUND2:野獣騎士との別れ話 ﹁グラン、ちょっと話がある。あー、私達夫婦にとって大事な話だ !﹂ その夜。ちょっと改まった態度でそう告げると。 突然、我が夫の顔面からザアアッ⋮⋮!と血の気という血の気が全 部すっからかんに消え失せた。 ゴッツイ喉仏を大きくゴクリと上下させ、固唾を呑んだ後、霊験あ らたかなどっかのご神木のようにドォオン!と棒立ちになった。 そして、いきなりガッバアア!と全身鷲掴みされた。 なななんだなんだ⋮⋮?!い、いったいどうしたァ⋮⋮?! 分厚い筋肉に押し込まれたまま、断末魔の叫びが、聞こえてきた。 ﹁嫌、です⋮⋮!!﹂ ﹁へ?﹂ ﹁⋮⋮⋮ッッ、別れ、ま、せん︱︱︱︱!!﹂ 756 ?!?!はいぃいーーーー?! ﹁ッ⋮⋮あ、貴方を、この世の誰にも、何者にも、渡しはしません ⋮⋮!!どうか、私を捨てないで、ください、姫⋮⋮︱︱!!﹂ ええええーー?!別れる?捨てるぅ⋮⋮?! い、いったいいつからそんな別れ話が始まってるんだ?!誰か教え ろ⋮⋮⋮⋮!! ﹁別れ話、違う!全ッ然違う、かすりもしとらんわー!﹂と懸命に 訴えたが、効果はゼロだった。 ぶっとい腕でまるで雑巾のようにギュウギュウ絞られ、口どころか 身体すら動かせない。 ちょッ、苦し⋮⋮ッ!!お前は人間コルセットか?!そんなに私の 腰をあらん限りの力でギューギューギューギュー締め上げるな⋮⋮ !! なけなしの気力を振り絞り、﹁バカ者ォ!そんな話などしていない !﹂と一喝しようとした! 757 が、震える手で後頭部ごと鷲掴まれ、顔面衝突寸前の勢いで唇同士 が激しくぶつかって、互いの唇が強烈に張り付いた。 ッん、ぐぐぐ︱︱︱︱ッッ!! 物凄い圧力が唇に襲いかかり、顔面から唇が陥没しそうだ!しかも、 物凄い粘着力!は、離れん⋮⋮!まるで口にガムテでも貼られたよ うだ! ッく、話、聞けエーー!会話、させろォ⋮⋮!! 大きな手で夜着の上から腰や脇腹を狂おしく撫で回され、震える唇 で首筋や鎖骨をきつく吸われまくり、勝手に体温が上がっていく。 ﹁⋮⋮ぁあっ、あーーっッ!!﹂ 突然、胸をガプリと食われた!しかも生で!い、いったいいつの間 に︱︱⋮⋮!? 多少大きくなったらしいそれはなんと半分以上、夫の口の中にスッ ポリ収まっていた。 大きく頬張ったまま尖った先を四方八方から舌で押しつぶされ、肩 が大きく戦いた。 758 ﹁ッぁあん!!っぁあ!⋮⋮ぁん⋮⋮っっ!!﹂ 猛烈に胸をしゃぶられながら、臀部を強く揉み込まれ、早くも身体 の奥がじわりと熱く濡れてくる。 甘ったるく漏れてくる私の声に、グランの息がありえないほど荒ぶ った。 ッマズイな、この流れは⋮⋮! いかにもなし崩し的な流れで濃厚ベッドインしそうな妖し∼い雲行 きになってきた! どうやら別れ話?を切りだされる前に、己の全肉体を駆使し、どっ ちの口も厳重に塞いでしまえ作戦が今目の前で遂行されようとして いる⋮⋮!! いやいや意味、無いから!そもそも、別れ話じゃないからーーーー !! ⋮⋮と、ようやっと言えたのは、ガッツリ下の口を塞がれた後だっ た。 759 ﹁ッんぁあああーーっ!!別、れ話、違ッ⋮⋮全ッッ、然、違︱︱ ︱︱ッ!!﹂ ﹁ッ、は⋮⋮⋮⋮っ、本当⋮⋮⋮⋮、ですか、﹂ ﹁んッ、あ、は、ぁホント、だ︱︱!だからやめッ⋮⋮!!﹂ ろくに服も脱がぬまま、下腹部だけがこれ以上ないほど密接に繋が り、猛烈に内部をグッチャグチャにされた。 立ったまま片足だけ抱えられ、鬼のように激しく下から突き上げら れると、時折足裏が重力を忘れて地面から離れ、まるで空中遊泳し ているかのような大変ファンタスティックな惨状に陥った。 上下左右の感覚が麻痺するほどの猛攻に、身体の芯が悦楽の業火で 焼き尽くされ、今にも爆発しそうになる。 ﹁っあぁひ、め⋮⋮⋮⋮!!ならばどうか、聞かせてください、貴 方のその口から、貴方が、永遠に、私の、もの、だと︱︱︱︱!!﹂ ﹁っっ、ぁあああ⋮⋮︱︱ッッッ!!﹂ グッチャン⋮⋮!と凶悪かつ野太いものを身体の奥まで押し込まれ、 その勢いでホントに口から﹁ワタシハ オマエノ モノダ!﹂と飛 び出しそうになった! 760 ッッぁあああ⋮⋮⋮⋮!!鬼畜!ド鬼畜!!ドドドS⋮⋮!!! 761 ROUND3:野獣騎士の暴走炎上 姫⋮⋮⋮⋮ぁ、ひ、め︱︱︱︱ッ!と叫ばれながら、猛烈にギッシ ギシ揺すられ、強烈な摩擦で身体がガンガン燃え上がる。 口から火を吹きそうな勢いで私は叫んだ! ﹁私は永遠に、お前のものだと、言って、いる⋮⋮︱︱!﹂ ﹁ッ、は⋮⋮⋮⋮っ、本当⋮⋮⋮⋮、ですか、﹂ ﹁んッ、は、ぁっ、ホント、だ︱︱!だからやめッ﹂ ﹁で、は、ッく⋮⋮⋮⋮愛してると、言って、くださ⋮⋮⋮⋮!﹂ ッッはああああーーーー?!毎度毎度会話の流れが全然サッパリ掴 めんわーーーー!! てか、言えるか、こんな状況で⋮⋮!例えるなら、プロのアスリー トの試合中に緊急記者会見を開くようなものだ⋮⋮! こんな状況で激しく愛の言葉を求めらても、あいにく﹁ぁ、ふ⋮⋮ あ!く、あ⋮⋮ッ!﹂と情けない喘ぎ声しか漏れてこない。 ﹁っァッ⋮⋮壊、れ︱︱︱︱ッ、ひ、ァぁああ⋮⋮⋮⋮っ!﹂ 762 ﹁ッッ!!ぁあ⋮⋮壊れて、ください、ひめ、私、に⋮⋮⋮⋮ッく、 私は、もう⋮⋮貴方に、壊、れ、て︱︱ッ、﹂ ⋮⋮ッッあぁあああーーーー!!ち が う!今のはバカップ ルの甘∼い睦言的な意味で言ったんじゃない! 単純に!物理的に!私の身体が!壊れると!そう言ってるんだ⋮⋮ !ッぁあああああーーーー!! 限界までゴッツゴツに膨らんだもので体内をグッチャグチャにされ、 身体の奥に灼熱のマグマがどんどん溜まり込んでくる。 狂暴かつ凶悪に暴れまくる衝撃がビリビリと下腹から頬にまで伝わ って、ガクガクずれまくる奥歯をギュギュッと噛み締めた。 だが腰を掴まれ、グッチャン⋮⋮!!と猛烈に押し込まれ、身体の 奥が燃え盛り、込み上げる高熱に浮かされ、早くも息も絶え絶えと なった。 ﹁ぁ!はぁああ⋮⋮ン!!ッは⋮⋮死、ぬ、死んじゃ⋮⋮ひぁ、ッ ッ!﹂ ﹁ぁあ⋮⋮⋮⋮貴方に殺されるならば、本望です⋮⋮⋮⋮!!﹂ ッッオオオーーイ⋮⋮!!逆だ!真逆だ!お前が、私を、殺そうと 763 してるんだ!!この、世にも凶暴凶悪な、巨大な凶器で⋮⋮⋮⋮! !! あぁ⋮⋮寝台にグニグニ潰されまくるお尻が悲惨な床ずれになりそ うだ。まだ健康な若人なのに! 最近18禁的な意味で寝たきりになることが多いせいか、身体に色 々と支障が出まくりだ⋮⋮! ﹁は、ぁ⋮⋮っ、姫︱︱︱︱ッく、︱︱!!﹂ ﹁ぁっ!あっ⋮⋮ぁあああっっ!!﹂ 夫が切羽詰まった荒ぶる息を吐きながら、厚みのあり過ぎる肉体で 私を押しつぶしながら、グチャン!グチャン!!と胎内を強烈に穿 ってきた。 喘ぎだか悲鳴だか泣き声だかよく分からない絶叫が私の口からほと ばしり、胎内が熱くドロドロに痺れてくる。 重く荒々しい一突きが繰り返される毎に、絶叫の音階が一足飛びに あがっていき、グッチャグチャに突かれまくったその後、グランの 身体が大きく震えた。 ﹁ッッッ⋮⋮⋮⋮っぁあ︱︱ッッ!!﹂ 764 ﹁ああ︱︱︱︱ッ!!﹂ 内側をきつく押し上げられたまま、熱い熱い源泉が体内に巻き散ら かされた。 吹き出し口があまりにも最奥にビッタリと押し付けられているせい か、迸る飛沫が腰全体に飛び散るような錯覚まで見せられた。 ﹁ッ、はあっっ⋮⋮ぁッ、あ、﹂ 奥の奥まで蹂躙し尽くされ、激しい悦楽の痺れがいつまでたっても やまない。 背をきつく反らし、未だ中で雄々しく反り返ってビクビク打ち震え る感触を心ならずも噛み締めた。 そこで、ふと気づいた。 ⋮⋮アレ??⋮⋮なぜ私は、ほんの束の間しか会えない熱烈な恋人 同士の如く、前戯?ナニソレ、美味しいの?的性急さで息荒く突っ 込まれ、沸騰しそうな欲液を大量に吐き出されているのだろうか。 ﹁はぁっ、グラン、は、っ﹂ しょっぱなからてんでしあさっての方向に暴走炎上した夫婦の会話 765 をなんとか軌道修正せんと、まだろくに呼吸が整わないまま、精一 杯夫に呼びかけた。 ﹁っっ⋮⋮⋮⋮ぁ、ひ、め︱︱︱︱ッッ﹂ ﹁え、っふ、あぁああっ⋮⋮︱︱!?﹂ あろうことか、夫のものがまたしても暴走炎上した! そして、ぁあ⋮⋮っ耐えられ、ませ⋮⋮ッとかなんとか、大変色っ ぽい掠れた低音と共に、今度はしょっぱなから激しく暴走炎上した 挙句、一度目よりも更に濃ゆい粘液をたっぷりと吐き出された。 ﹁ぁっ⋮⋮あっ、あぁ︱︱︱︱っ!!﹂ ﹁くっ、はぁっ⋮⋮︱︱!!ぁ、﹂ 何度も捏ねられきっと相当腫れぼったくなっているのだろう、ドク ドクと精を撒き散らかされる奥の感覚がどんどん鈍くなり、だがそ の分ジンジンと蓄積されていく熱は高まるばかりで、結局その後も もう一度放たれるという全く訳の分からない展開に持ち込まれた。 で、禁欲とは全くかけ離れた過程を経て、凄まじい勘違いによる熱 暴走を数回私の中に受け止めた所で、なんとかまともに会話できる 766 ようになった夫とようやく条約を締結出来た。 内容は、まず手始めに明日の不可侵条約、すなわち明日は絶対に一 日中、しない⋮⋮!!という約定を固く固く交わす事が出来たのだ った。 767 ROUND4:野獣騎士とお見合い 翌日。 結婚生活初、いや婚約以来初の実に清々しく健全な朝を迎えた。 勝因は、あの後ヘロヘログチャグチャヨレヨレの身体をなんとか払 拭し、互いにキチンと夜着と下着を身につけてから寝た事だろう。 やはり衣服や下着は大事だ。それさえきちんと身につけてさえいれ ば、まだ寝ぼけている内に全裸で思いッ切り伸し掛かられ、朝から 大変執拗に肌に吸い付かれ、挙げ句の果ては前夜大量に吐き出され たものを全て掻きだす勢いでとびっきり寝起きのいいモノ︵18禁 的な意味で︶を突っ込まれたりする危険性が格段に減るという事に ようやく気づいた。 今日はお互い午後過ぎまで公務や軍務をして過ごし、その後は早速 条約に則って、夫婦で健全に過ごす事にした。 密室に二人きりは大ッ変危険なので、二人で城の庭園に出て、のん びりとティータイムを楽しむ事にした。 ここしばらく、こうして城の庭園をじっくり眺める機会などなかっ た。 一面に広がる緑の芝の絨毯や、複雑な流線型に区画された花壇で咲 768 き乱れる花々を目や鼻で大いに楽しむ。 さすがは我が国が誇るカリスマ庭師達による芸術品、この庭園は世 界一美しいと胸を張って誇れる。 ふと正面に座った夫と目が合う。 さっきからグランはひたすら私をガン見していたので、否応なく目 線が引きずり込まれたような感じだ。 相変わらず視線が熱い。なんだか肌をじっとりと舐められているよ うな感覚まで感じる。 このままじっと見つめ合っていたら、オートマチックに色っぽい展 開になりそうな嫌∼∼な予感がしてきた。 ヨシ!ここは一つ、健全な会話を交わそう! 実は、会話しようとするとすぐに18禁的展開に雪崩れ込む私達へ の対策として、男女が普通に親しくなる為の由緒正しき会話を侍女 に習ってきたのだった。早速それを実行してみようと思う。 コホンと軽く咳払いをした後、質問した。 ﹁グラン。お前、趣味は?﹂ カッコーン⋮⋮と、どこからか風情あるししおどしの音が聞こえた 769 ような気がした。 ﹁趣味、ですか﹂ ﹁そうだ。まさか軍務以外でも筋トレや鍛錬ばかりしている訳じゃ ないだろう?﹂ 趣味。これを通じて、より相手の内面を知るいい切っ掛けとなった りすると年若の侍女のミルテが言っていた。 ミルテはケイナの妹分で、以前からよく噂を耳にしていた。最近庭 師のネロとラブラブなのだが、切っ掛けとなったのが共通の趣味で あるお菓子作りだと言う。どんなお菓子が好きか語り合い、一緒に お菓子を作ったりしているうちに段々と心が通い合い、近しい存在 になっていったそうだ。 しかし⋮⋮お菓子作りが趣味の少年とは珍しい。先日偶然ネロを見 かけたが、フリフリエプロンの似合いそうな可愛らしげな風貌の砂 糖菓子少年だった。同じく綿菓子のようにフワフワクルクル巻き毛 の大変愛らしいミルテと実にお似合いだった。 という事で、共通の趣味でもあれば、自然と共に過ごす事も多くな り、仲良くなれるらしい。 グランはしばらく考え込んだ後、厳粛な面持ちでこう答えた。 770 ﹁鍛錬は、職務です。私、の、好きな、事は⋮⋮⋮⋮﹂ じいいいっっ⋮⋮とやけに熱烈に見つめられ、テーブルごしにギュ ッとぬっくい大きな手で両手を握られた。 ま、まさかこの流れは⋮⋮⋮⋮ ﹁貴方と共に、過ごす事⋮⋮それが今の私の、一番の幸せ、です﹂ デロッデロに蕩けそうな甘やかな眼差しと、はにかむような表情で そう呟かれた。 ヒイイ⋮⋮⋮⋮!!ありがとう、新婚激甘な答えを、ありがとう⋮ ⋮⋮⋮!! ﹁わ、私も、こうしてお前と過ごすのは、好きだ⋮⋮!﹂ ッ、恥 ず か し い⋮⋮⋮⋮!!自分で言っといて結局羞恥に 耐え切れず、思い切りあさっての方角を向いて言ってしまった。 ﹁姫⋮⋮⋮⋮﹂ 771 グランが呟き、私をじいいっっと見つめてきた。場の空気がより一 層甘い甘∼いものになった。 そうして当然の流れで姫、は?と返され、窮地に陥った。 私の趣味、か。私の趣味は沢山ありすぎて返答に困る。 普通にのんびり部屋でお茶したり、遠方の珍しいものを取り寄せて 侍女達とワイワイ食べ比べしたり、城内の庭園をケイナと散歩した り⋮⋮ ⋮⋮アレ?なんだか王女の趣味としてはやけに地味過ぎる。他に何 か無かったか? そうだ! ﹁馬に乗るのが好きだ﹂ ﹁馬、ですか﹂ ﹁そう、私が乗ると、普段おとなしい馬でも何故か興奮する事が多 くて、なかなか御せないのが玉にキズだが、馬で遠乗りするのは好 きだ。気持ち良い﹂ ﹁そう、ですか﹂ グランがすっと漆黒の瞳を細め、珍しく微笑んだ。 772 目の前にすっと手を差し出される。 ﹁行きましょう、姫﹂ ﹁どこへ?﹂ ﹁遠乗りへ﹂ ﹁へ?﹂ 今?今から?今すぐ? 突然の超展開に困惑している間に、グランが実にイキイキした様子 でテキパキと侍女達に指示し、瞬く間に遠乗りの準備が整った。 すぐに馬丁が大層立派な黒馬とともにすっ飛んできて、目にも留ま らぬ早さで馬の準備を済ませ、すぐに出発することになったのだっ た。 773 ROUND5:野獣騎士と遠駆け 用意されたのはたった一頭だった。 ﹁二頭じゃないのか?﹂ ﹁ブルクスならば、一頭で充分でしょう﹂ 馬丁に連れられてきた馬を見て驚く。 見るからに大きく逞しく立派な黒馬だった。 軍馬と言っても差し支えない勇壮な馬が一頭、グランに鼻先を寄せ ている。 ﹁お前の馬か﹂ ﹁はい﹂ 確か、この馬には見覚えがある。忘れもしない、シドニアとの戦で グランが乗っていた馬だ。 疾風の如く私の元へ駆けつけてきてくれた時の、戦神のような勇姿 が蘇る。 774 ﹁ブルクスか。いい名だ﹂ そっと手を伸ばすとブルクスは私にも鼻先を寄せてきた。ヒクヒク と匂いを嗅いでいる。 怖がってはいなさそうなので、よしよしと逞しい首筋を撫でると、 ブルルと気持ち良さそうに嘶いて黒い眼を細めて喜んだ。 軽々と馬の背に乗せられ、視界が急に高くなる。 すぐに背後に乗ってきた逞しい体躯が私に覆いかぶさり、全身がし っかりと固定された。 相乗りはかなり密着してちょっと恥ずかしい、という私の躊躇はす ぐに掻き消された。 滑らかに流れていく風景。頬を撫でる風が日々の疲れを吹き飛ばし ていく。 突然現れた私達に驚く人々を尻目に、グランは実に見事な手綱さば きで石畳で舗装された城下をすり抜け、大通りを通過した。 北の方角へと続く広い街道に入ったところで、突然、太い腕が腹部 にグッと巻きついた。 775 ﹁姫、捕まっていてください﹂ ﹁え、ぅわ⋮⋮︱︱!!﹂ 跨いだブルクスの背が力強く躍動し、グンとスピードをあげた。 身体が思い切り後ろに引っ張られて思わずのけぞると、頑丈な分厚 い背もたれでガッチリ支えられた。 広大な景色が眼前に迫ってきては真横に飛び去っていく。 ⋮⋮ワクワクする! 馬は好きだ。特に早駆けが。普段見れない景色と世界が見える。夫 婦で遠駆けも悪くないな︱︱! だが、いつまでたっても加速がやまない。むしろどんどんスピード アップしているような⋮⋮? そのうち、トップスピードまで到達した。ええええーーーー!!! 空気を切り裂く風の音と力強い蹄の音だけが聞こえる中、必死で太 い腕にしがみつく。 776 す、スピードが早すぎて、前が見えん⋮⋮⋮⋮!! まさに人馬一体となった超早駆けで、どんどん王城から離れていく。 い、いったいどこまで行くつもりだ?!このまま突っ走ると、余裕 で国境を超えそうなのだが⋮⋮?! ま、まさかこのまま駆け落ちでもするつもりじゃないだろうな!? いやいやもう結婚してるのに駆け落ちする意味ないし⋮⋮!! 未だかつて体験した事のないハイスピードの世界に、脳が混乱をき たした。 まるで世界最速のジェットコースターに乗っている気分だ!視界ゼ ロ、行き先不明のまさにミステリーコースターだ⋮⋮! 物凄い風圧に、吸おうした酸素が後から後から逃げていく。い、息 が吸えん⋮⋮!! 小休止を求めるべく声をあげたが、強風に吹き飛ばされグランの耳 まで届かない。 仕方ないので目の前のぶっとい腕に思いッきり齧りついてやろうか と思ったその時、ふっと速度がゆるやかになった。 突然の気圧変化に対応しきれず、フラフラしつつも必死で酸素を吸 った。 777 美味しい⋮⋮!逃げない酸素がこれほどにありがたいものだったと は⋮⋮! しばらく無心で呼吸を繰り返し、ふと気づく。 空気が︱︱すごく濃厚だ。 余り嗅いだことのない色んな香りが混ざっている。 樹木の香り、草花の香り、それに⋮⋮鼻につく、つんとした香りが する。 ゆるやかに流れる風景を見渡せば、そこは深い森の中だった。 背の高い樹木が鬱蒼と覆い茂る森の中、ブルクスの大きな馬体がス イスイくぐり抜けていく。更に奥へ行くようだ。 ﹁グラン、ここは?﹂ 背後のグランに問うと、驚きの答えが返ってきた。 ﹁シドニアです﹂ ﹁⋮⋮シ、シドニア︱︱?!﹂ 778 忘れもしない、あの変態王に攫われた、あのシドニアか︱︱?! っお、恐ろしい⋮⋮!!どんだけかっ飛ばしてきたんだ︱︱?!よ もやこんな短時間でシドニアに着くとは⋮⋮!! だが、なぜシドニアに? もうあの変態王はおらず、我が国の領土の一部として平定した為、 危険はないだろうが、我が夫がわざわざシドニアまで足を運ぶ理由 が思いつかない。 こんな森の中に、いったいなにが︱︱? 更に奥へ奥へと進んでいくと、先ほどのツンとした匂いが強くなっ てきた。 視界を縦に分断する樹木の隙間に、時折なにか白い⋮⋮もわもわし たものが見えてきた。 そして辿り着いたのは︱︱ ﹁︱︱え?!温、泉⋮⋮?﹂ 少し周囲が開けたその場所には、モクモクと柔らかな湯気を立てる 秘境の温泉があったのだった。 779 ROUND5:野獣騎士と遠駆け︵後書き︶ はくしゅに男女逆転★野獣劇場うpしました!︵!放送事故発生中 !︶ 780 ROUND6:野獣騎士と温泉 情緒溢れる秘境の温泉を目にし、私のテンションが一気にあがった! スゴイ⋮⋮!人の手の一切入っていない天然の温泉だ! 以前お忍びできちんと整備された別の温泉に入った事があるが、そ れよりもっと広い。 湯は透明に近く、浅い場所と深めの場所があリ、色々な成分が混ざ っているのだろう、温泉独特の刺激臭が辺りに漂っている。 馬から降りた私達は、早速温泉に近寄った。 肝心の温度はどのくらいだろうか?見たところそんなにグツグツ煮 だっている訳でもないので大丈夫そうだが、そもそも入れるのか? 試しに指先をちょこっと浸してみると、じわじわぬくぬくと程よい 熱さが伝わってくる。すぐにでも入りたくなるような適温だった。 そういえば婚約時代、かなりの紆余曲折を経てグランと両思いにな った頃、ラブラブ絶好調で﹁新婚旅行は温泉がいい﹂などと伝えた 事があったような気がする。 もしやそれを叶えてくれたのだろうか?だとしたら嬉しい︱︱! 781 前代未聞の超早駆けで身体がちょっとフラフラする事だし、気つけ にちょうどいい。 ちょっと足でも浸せば、温泉だし、ぬくぬくが巡り巡って全身ぽっ かぽかになるだろう。 ﹁よし、入ろう!﹂ くるりと振り向きそう伝えると、グランが重々しく頷いた。 そうと決まれば早速準備だ! ちょうどいい岩を見つけたのでそれに腰掛け、靴を脱ぐ。 そして足先をチャプンと浸すと、早くもジワジワジワ∼∼∼ッと温 みが伝わってきた。 ﹁グラン、お前も︱︱﹂ 一緒にどうだ?とクルッと振り返ると。 なんと、我が夫は既に上半身裸になっていた。ええええーーーー? !?! 782 世にも逞し過ぎる超筋肉美を惜しげもなく外気に晒しまくった我が 夫に私は慌てた。 ﹁ななななんで脱いでる?!﹂ そう叫ぶと、姫⋮⋮⋮⋮一緒に、入りましょう、と温泉よりも熱っ ぽい低音で告げられ、なぜか手を差し伸べられた。 ふ、夫婦で、湯けむり混浴デート、キターーーー?!?! って、いやいやいや、こんなところで脱がないから⋮⋮!!明るい 野外で肌を晒すなど、できない、できないったら⋮⋮!!! 以前入った時は夜だったし、衝立があったし、その背後でグランが 護衛として控えていたから、安心して全身ゆっくり浸かれたが、こ こにはなにもない。無理無理無理無理!! ﹁人が来たらどうする!﹂ ﹁姫、ここはかなり奥まった場所です。人の気配など一切感じませ ん﹂ た、確かにここに来るまでも人っ子一人いなかったが、だがしかし 恥 ず か し い⋮⋮!! 783 ふるふると高速で首を振り、全力で辞退する私に、半裸の夫がじり じりと迫ってくる。 迫り来る分厚い筋肉の塊にどんどん退路が絶たれていく。 いやいや、脱がない!絶対に脱がないから⋮⋮!!と後退するも、 濡れた素足が土で滑り、あわや背中からすっ転びそうになったとこ ろでガシッと筋肉まな板の上の鯉と化し、完全に逃亡不能になった。 ﹁姫⋮⋮⋮⋮﹂ ﹁ちょッ、やめっ⋮⋮ぁあっ!!﹂ 早く入りましょう、とでも言わんばかりに、勝手知ったる夫の手に よりドレスの胸元が大胆に暴かれ、ケイナ曰くやや大きくなったら しい両胸の深い谷間が丸見えになった。 ぎゃあああ⋮⋮!!!エ ロ い⋮⋮!!! 自分で言うのもなんだが、最近自分の身体がエロく見えてしょうが ない。 明らかに男を誘ってるとしか思えない身体だ。こんないやらしい事 この上ない身体を屋外で晒していいはずがない⋮⋮!! ちょ、やめ、バカバカ!!と必死でムダな抵抗を続けるも、抵抗す 784 ればするほどにドレスが肩からずり落ち、そのまま瞬く間に全裸に されそうになって、思わず私は叫んだ! ﹁やめ⋮⋮ッッ!!じ、自分で脱ぐから⋮⋮︱︱!!﹂ で。 仕方なく、ホント∼に仕方なく、燦々と降り注ぐ陽光の元、何故か 野外、しかも夫の目の前で、最近妖艶かつお色気超ダタ漏れなカラ ダの公開ストリップショーをやる羽目になったのだった。 785 ROUND7:野獣騎士とストリップ 緑ひしめく深い深い森の中。 背の高い樹木で細く分断された真白の陽光が辺り一面に降り注ぐ、 すわ神の地か妖精の住処かとでも言わんばかりの神秘的かつ悠然と した大自然のステージの上で、何故かストリップショーをやる羽目 になってしまった。 これは致し方無い選択だった。あのまま夫の手で衣服を剥かれてい たら、そのまま肌に吸い付かれ、あの場で私の身体が熱々ホカホカ の温泉と化していただろう。 だがこちらの選択も危険極まりない。こんなおあつらえ向きの美し い大自然の中、裸身を晒そうものならきっとすぐに襲われる⋮⋮! ガツガツ貪り食われる光景が目に見えるようだ⋮⋮! だが、今日は素晴らしい約束をしている。そう、今日一日絶対しな い!という夫婦初の禁欲デー宣言だ! グランは私にとって支離滅裂阿鼻叫喚摩訶不思議的思考の持ち主だ が、どうも聞くところによると根はひどく真面目な男らしい。きっ と約束は守ってくれるだろう、多分。 だったら私の身は安全だ。安心して脱げる⋮⋮! 786 周囲が木々で鬱蒼と囲まれている為、遠方から覗かれる事はまずな い。 こんな深い森の奥深く、やってくるとしたらせいぜい森の動物達く らいだろう。かわゆい小動物ならば一緒に入ればよし、万が一獰猛 なクマでも襲い掛かってきたら、我が夫ならば一撃で倒すだろう。 ⋮⋮全裸のまま。 仮に誰か人がやって来たとしても、きっとグランの事だ、恐るべき 超嗅覚で近寄ってくる前にすぐに気づき、即撤収できるだろう。 それに、ここが一番大事なのだが⋮⋮コホン。ぶっちゃけ、温泉は 好きだーーーー!!! 温泉⋮⋮それは、日々の疲れや憂いを吹き飛ばす魔法の湯。 普通の湯とは違い、身体の芯まで蕩けさす、極楽浄土への最短切符 だ⋮⋮! 全身浸かれるのなら、いっそ肩までガッツリほっこり浸かりまくり たい⋮⋮! ここ最近ずっっっっと続いてきた肉体疲労︵18禁的な意味で︶を ホカホカ温泉で癒やしまくるのだ⋮⋮!!! 私の方は脱ぐのに時間がかかるから先に温泉に入って待っているよ う伝えると、グランは一つ頷き、淡々と残りの衣服を脱ぎ落とした。 それを目にし、ドキン!と心臓が飛び跳ねた。 787 夫の全裸はほぼ強制的に毎晩見せられているが、やはり大自然の中 でなにも身につけていない姿になるという行為はそれだけでしては いけない、どこか背徳的で落ち着かない気分にさせられる。 しかも我が夫は古の戦神もかくのごとしという感じの筋骨隆々超絶 肉体美を誇る男だ。全裸マッスルコンテストでも開催されれば、即 全世界チャンピオンになるくらいの凄まじさだ。⋮⋮まあそんなも の、開催される予定は永遠にないが。 とにかく、人界最強の筋肉の持ち主である為、とても直視できなか った。 全部が全部イロイロと逞し過ぎる裸体が露わになる前に、てんであ さっての方向を向いてやり過ごす事にした。 バサッと衣服をどこかに乱雑に置く気配。 素足で草を踏みしめる音。 ザブザブ、バシャン!と激しく揺らめく湯の音の後、視線を戻すと、 グランが腰まで湯に浸かりながらじっとこちらを見ていた。 意を決した私は自分の服に手を掛けた。 まずはドレスを肩からスルリと脱ぎ落とす。 覗く白い肌に陽光が乱反射し眩しく輝く。まるで発光しているかの 788 ようだ。なんという天然美白効果。 胸の圧迫を外すと、押さえ込んでいた白い両胸が勢い良くフルリと 零れ落ちた。 ⋮⋮やはり胸が大きくなったのだろうか。下着を取った時の反動が 大きい。ツンと突き出た胸はバッチリ上向きだが、むっちりとした その重みで下に引っ張られているような感じがする。 気になった私はちょっと手で胸をぐいと持ち上げてみた。手のひら にたっぷりとした重たい感触。う∼ん、やはり以前より重い気がす る。 とその時、ザザザアァッ⋮⋮!!と大きな波音がした。 驚いて音の発生源に目を向けると、さっきから微動だにしない夫を 中心に、温泉全体がザザザザ⋮⋮ッッ!!と大きく波立っていた。 ⋮⋮え?さざ波?海⋮⋮?ここは温泉じゃなかったのか?! 目の前で起こっている摩訶不思議な超常現象を見つめていると、い つの間にかおさまっていた。 なんだったんだ、いったい⋮⋮? 気を取り直して腰元を緩め、ドレスを足元までスルリと滑り下ろし た。片方づつ足を抜き、岩の上に置く。 789 そして、おもむろに最後の下着に手をかけた所で、ジリジリッ⋮⋮ !!と肌が焼けつく灼熱の視線を感じた!!⋮⋮と思ったら、当然 それは我が夫の熱視線だった。 不吉にガタガタと震えながら、周囲の空気までもドロッドロに爛れ 落ちそうな熱光線を放ち、こちらを凝視していた。 一度湯を頭から浴びたのだろう、その漆黒の髪は濡れ、精悍な頬や 顎から湯が滑らかに滴り落ち、濡れた分厚い胸板からは仄かに湯気 が立ち昇っていた。 スゴイな⋮⋮!成熟した男の色気駄々漏れだ!フェロモン5倍増し だ⋮⋮! しっとりと濡れた髪も、湯が滴り落ちる太い首筋から骨太な肩とか、 上気した熱い肌と潤んだ瞳とか、とにかく物凄い破壊力だった。男 なのにそんなに色気をまき散らしてどうする?! ﹁⋮⋮ッッ姫︱︱︱︱!﹂ グランが突然、湯からザバァッ!!と立ち上がった。⋮⋮っっっあ あああーー!!! くっ⋮⋮!いまさら目を逸らしても遅い!もう目に脳に焼き付いて しまった! お湯も滴るいい濡れ具合の、どこもかしこもゴツゴツモリモリの逞 し過ぎる裸体が!ああぁあ⋮⋮⋮⋮!!脳内に湯けむり、プリーズ 790 !!! 更に我が夫は、全身鋼のような筋肉で覆われた肉体を惜しげもなく 晒しまくって全裸で仁王立ちしたまま私をじいいっと凝視し続けた 後、ザブザブと湯を押し分け、こちらへとやってきた。⋮⋮ぎゃあ ああーーーー!!! ちょこら待てええーー!!火照った上半身だけでドギマギしている いたいけな妻の前で、堂々とイロイロ晒しまくりながらこっち、来 るなあああーー!!! しかもまだ全部脱いでない!脱いでないからーーーー!! ストリップ中は踊り子さんの身体に決して手を触れぬよう、お願い 申し上げます⋮⋮⋮⋮!! 791 ROUND8:野獣騎士と岩盤浴 迫り来るヌレヌレ超絶筋肉に向かって、私は叫んだ! ﹁く、来るな!来なくて、いい⋮⋮!!﹂ そう、なんでこっちに来る必要が︱︱?!まだ全部脱いでないのに! 温泉で相当温まったのか、ムンムン上気する筋肉がこんなにも艶め かしいものだとは⋮⋮!目の毒だ!いっそ永遠に潜水して欲しいく らいだ、私の心の平穏の為に⋮⋮!! だが全裸の夫が視界でどんどん巨大化していく。遠近法、スゴイ! 思わず本能でダッシュで逃げだしたくなったが、ほぼマッパの状態 で森の中を遁走する訳にもいかず、金縛りにあったように動けない でいると、迫り来る夫にガッッ⋮⋮!!と超強烈なタックルをくら った。ぅうああああーー!! そしてドオオッ!!と柔らかな草原の上に見事トライされた! 全裸で仁王立ちかつガタブルというルーチンワークからのナイスタ ックル、キターーーー?!⋮⋮ってええええ!!!いつから私はラ グビーボールになったあああ⋮⋮?!?! 792 すぐにズシッ!!とホカホカアッツアツの超筋肉が重たく伸し掛か り、ビットリ重なってくる濡れた熱い肉体に強烈に押し潰され、身 体がボボッ!と燃えあがる。 ボタボタと大量に垂れ落ちる湯が肌を幾筋も滑り落ち、夫の身体か らムンムン発せられる熱い蒸気で周囲の湿度がガンガンにあがって いく。まるで熱帯雨林で寝湯に浸かっているようだ⋮⋮!!デトッ クス効果、抜群だ!!! ⋮⋮ッッ、いやいや騙されるな、私ぃいい⋮⋮⋮⋮!!! 私はまだ温泉に入っていない!一歩足りとも入っていない!なのに こんな筋肉岩盤浴でゆったりたっぷりの∼んびりなんて、絶ッッ対 に、イヤだ︱︱⋮⋮!!!フツーの温泉、プリーズ⋮⋮!!! だがしかしこの岩盤、強固たる意志を持って私の身体にビッタリ張 り付き、一度くっついたら何が何でも離れない気満々だった。 問答無用で唇が塞がれ、ガッ!と胸を鷲掴まれた後、はぁはぁと飢 えた獣の如き息遣いで胸がありえない形に変形しそうなほどにグニ グニ揉みしだかれ、ベロベロと舐められ、頂きをきつくきつく吸い あげられた。 不埒極まる手が造形師も真っ青な匠のエロ技で私の身体をよりダイ ナマイトボディにせんと体中を這い回り捏ね繰り回していく。 793 ちょ、禁欲は⋮⋮?!あの日確かに夫婦二人で固く誓いあった例の ニコニコ禁欲協定はいったいどこにいった⋮⋮⋮⋮?!?! ﹁やめッ、グラ⋮⋮ッ!っも、揉むな!!っまた、胸が大きく︱︱ っ﹂ ﹁ッッ⋮⋮⋮⋮ぁあ、姫、ひ、め⋮⋮︱︱!!﹂ ⋮⋮きいていない。ただのけもののようだ。 そう、夫はまさに飢えた獣だった。 大きな手がグニグニと両胸を揉みまくり、大きな舌が胸中をベロベ ロと舐めまくる。 一面唾液でコーティングされた胸は真昼の陽光にいやらしく照り輝 き、吹きかかる荒い息にふるふると波打った。 一通り胸を舐めまくった後、グランが逞しいその腕でガッと私の両 膝を抱え、下着を太腿まで一気にずり降ろした。 間髪入れずガツン!と今にも爆発しそうなものを足の間に嵌め込ま れ、私は大悲鳴をあげた。⋮⋮ッッッぎゃああああ⋮⋮!! ﹁し、しな⋮⋮ッ!!今日は、しない⋮⋮!!!﹂ 794 ﹁っく⋮⋮!!は、ッひ、め︱︱︱︱ぁあッ、耐、えられ⋮⋮ませ ︱︱︱︱ッ!!﹂ 濡れ火照る身体を苦しげに震わせ、グランが胸の奥から絞りだすよ うに呻いた。 グチャグチャッ⋮⋮!と埋め込まれたものが入り口をいやらしく捏 ね回す。 つい条件反射でビクビクッと跳ねあがりそうになる身体を堪え、飛 び出しそうになる嬌声を無理矢理呑み込んだ。 ﹁ぁく⋮⋮ッッ!!姫︱︱︱︱!!﹂ ﹁ぁ、あ⋮⋮ッッ!!あ、あ︱︱︱︱!!﹂ グ、プリと怒張した先端が狭い入り口を押し開き、今にもアツアツ の熱棒を突っ込まれ、身体の中からホッカホカにされそうになって、 私は叫んだ! ﹁っ約束、したはずだ!今日はしない⋮⋮!!﹂ ビク、ン︱︱⋮⋮ッッッ!!!と伸し掛かる夫の全身が大きく震え た。 795 ギ、チ⋮⋮ッッ!!!!と鋼の肉体が硬直する。ガタガタと超振動 しながら。 ﹁っ、これ以上体型が変わると、式が延期になるぞ⋮⋮!!﹂ そう叫ぶと。 ﹁⋮⋮⋮⋮︱︱︱︱ッッッ!!﹂ と夫が世にも辛そうな掠れ声で呻いた。 そしてゆっくりと掴んでいた私の両足を離した。 ⋮⋮⋮⋮良かった! 昨晩まるで異文化コミュニケーションの如く話がまったく通じない 中、あの素晴らしい協定を結んでおいたのは大正解だった! もし協定がなければ、きっと今頃明るい野外でガッツンガッツンや られまくり、卑猥な汗がキラキラ飛び散る大惨事となっていただろ う。 心底ホッとして身体の力を抜いた途端、摩訶不思議な事が起こった。 796 何故かガタガタ震える手で太腿にいやらしく中途半端に引っかかっ ていた下着を一気に引きずりおろされた。⋮⋮⋮⋮え。 そしてガッバアッ!と大きく足を開かれたその場所に、いつも通り オートマチックに夫の顔が埋まった。⋮⋮え。ええええーーーー! !! ﹁ぅっう、ぁあ⋮⋮ッ!!!﹂ パックリ開いた溝に熱く滑る舌が何度もビシャビシャと往復してい く。 速攻熱く蕩けてきた場所に肉厚なそれがグチャリと潜り込み、内側 をグチュグチュと捏ね繰り回した挙句、ぷっくり膨らんだ敏感な芽 を必要以上に執拗にベチャベチャと舐めまくった。 唐突に始まった猛烈な愛撫にビリビリとした快感が全身に走り、呼 吸が乱れまくって身体の奥がガンガンに熱くなる。 ﹁ひ、ぁ!や、め⋮⋮ッ!!⋮⋮ッぁ、ア︱︱︱︱ッッ!!﹂ 逃れられない悦楽の大波に呆気無く押し流され、全身を震わせて絶 頂に酔いしれる。 すると、ひくひくと悦楽の余韻が色濃く残る蜜口に再度巨根の先が グチャリと押し付けられた。 797 ﹁ぁ、あ!!ダ、メ⋮⋮!し、ない︱︱︱︱!!﹂ ﹁ひ、め⋮⋮⋮⋮っどう、か﹂ わざとなのか天然なのか、まるで情事の最中のような爛れた瞳と熱 く掠れた濡れ声で懇願され、押し付けられた粘膜がジュンと熱く滲 み、両膝がか弱くフルフルと震えた。 って、コラーーーー!!!な、流されるなぁ⋮⋮!!流されるな、 私ーーーー!!!! しない!今日はしない⋮⋮!!しかも野外でなんて、絶ッッ対、し ないからーーーー!!!! 798 ROUND9:野獣騎士と間欠泉 嬉し恥ずかし新婚温泉ツアーは、妻として大変心臓に悪い事態が待 ち受けていた。 まさかこんな山奥で、飢えた猛獣︵一応夫︶に襲われるとは夢にも 思わなかった。 てか、常日頃かなり疑問に思っているのだが⋮⋮なぜ我が夫はこん なにも私に飢えているのか。 需要と供給という観点から言わせてもらえば、どう考えても明らか に供給過多のような気がするのはきっと私だけではないはずだ⋮⋮ !! ﹁ぁあ、ひめ⋮⋮ッく︱︱⋮⋮!!﹂ ﹁っんンッッ!!はッ⋮⋮んんっ︱︱!!﹂ ググ、グッ⋮⋮!!と力強く泥濘の中に割り入ってこようとする滾 ったものに心臓がバックバク脈打った。 毎回毎回そうなのだが、この態勢に持ち込まれてしまうと逃げ切れ た試しがまるでない。 799 パワー・ウェイトともに恐ろしいほどに差があり過ぎるのは勿論だ が、近頃大変敏感かつ素直すぎる私の身体が毎度毎度埋め込まれこ ねくり回された挙句、無理矢理激しい悦楽の高みへと押しあげるこ のガッチガチに太くて固いものを私の意志とは全く関係なく喜々と して受け入れようとしてしまうのだ。 実際今も、先だけ埋め込まれたソレにミチミチといやらしくまとわ りつき、一刻も早く奥まで全部呑み込もうと蠢いている。 ﹁く︱︱︱︱ッッ!!﹂ 一際苦しげに呻いた拍子に夫の精悍な顎から汗だかお湯だか判別出 来ない生温∼い雫が鎖骨にボタボタッと跳ね飛び、次から次へと湧 き出てくるイヤ∼∼な冷や汗とともに肌を滑り落ちていく。 既に喘ぐような息遣いを繰り返すその口元からは、悦楽と欲情がゴ チャ混ぜになった熱い熱∼∼い溜息が零れ落ち、逞しく太い首をゴ ッツイ喉仏が何度も何度も蠱惑的に上下している。 逆光効果なのか、獰猛に底光りした漆黒の瞳が私という格好の獲物 を決して逃すまいとその強烈な視線でガッツリ釘付けにしてくる。 ﹁ぁあ⋮⋮⋮⋮綺麗、です、この世界で、貴方だけ、が︱︱︱︱! !﹂ ﹁ぁ、やめ⋮⋮ッ!んぁッ!!ぁあ︱︱⋮⋮ッッ!﹂ 800 グッと腰を掴まれ、張り詰め過ぎてまるで石のように硬化したもの が濡れた溝をヌチャヌチャと執拗に捏ね繰り回してきた。 ﹁っぁ⋮⋮ッ!!ダメ⋮⋮だ!!し、しな⋮⋮い!!﹂ ﹁っく︱︱︱︱ぁあ、っ⋮⋮ひ、め、姫︱︱!!﹂ ﹁ぁっ、あぁ︱︱⋮⋮っッ!!﹂ ⋮⋮きいていない。ただのうえたけもののようだ⋮⋮⋮⋮! というワケで。 夫婦初の輝かしき禁欲条約は、興奮しきった夫によって綺麗サッパ リ完ッ全にスルーされた。 ⋮⋮って、オオオイーーーー!!早 い な!!禁欲破るの、早ッ ッ⋮⋮⋮⋮!!! ﹁ぁあ⋮⋮⋮⋮ッッ!ひめ、ひめ⋮⋮!!﹂ ﹁んぁっ!あぁッ!あぁあん⋮⋮ッッ!﹂ 801 ビクンビクン!と力強く脈動しながらガッチガチのものが濡れ滑る 感覚に翻弄される。 とめどなく溢れ出る愛液がまるで媚薬のように互いの性器を熱く濡 らしドロドロに蕩けさせる。 どんどん加熱していく漆黒の瞳が上気しまくる私の顔や乳首をピン と立てて揺れ動く乳房、擦られまくって真っ赤に腫れて剛直を挟み 込む卑猥な場所を食い入るようにうっとりと見つめてくる。 とにかく、もう禁欲もへったくれもなかった。 強く上下に擦られまくったせいで、グチャグチャになった濡れた襞 が膨張しきった棹にネトネトと絡まったり、感じすぎて膨らんだ敏 感な芽が重量感のあるソレにグニグニグニグニ延々と押し潰され擦 られまくった挙句、勢い余って臍にまで突き刺さりそうになったり、 溢れに溢れたトロットロの愛液のせいでヌルヌル度がMAX、ちょ っとした泉と化した蜜口に男根が一瞬だけグポッ!と突き入れられ たり、まさにやりたい放題、正直18禁ブッチギリの卑猥極まる状 況だった。 ﹁っは⋮⋮⋮⋮ひめ⋮⋮ぁっ、はあッ、もう﹂ ﹁はぁあんっ!!んッん︱︱︱︱っっ!!﹂ うっかり火花でも散りそうな強烈な下半身の擦れ合いとは対照的に、 802 互いの唇がねっとりと熱く絡まった。 肉厚な舌が嬌声に忙しくてんで呑み込みきれていなかった唾液を根 こそぎ掬いあげ、喉越し良くゴクリと美味しそうに飲み干していく。 身体を走る強烈な快感に呼吸が乱れに乱れ、騒々しい嬌声と卑猥な グチャグチャ音が爽やかな森の中を卑猥に木霊した。 ﹁っぁあ姫⋮⋮⋮⋮っく、はぁっ⋮⋮中、に﹂ ﹁え、ひ、あぁッッ︱︱!!ぁ、あぅ︱︱⋮⋮ッッ!!﹂ 問答無用で唐突にグボッ⋮⋮!!と巨大な先端が下肢に埋め込まれ、 凄まじい勢いで沸騰寸前の熱い源泉を中に吐き出された。 ﹁あ、ぁ、あ⋮⋮⋮⋮!!!﹂ ﹁っく︱︱︱︱ぁあ⋮⋮⋮⋮っっ!!﹂ ビュルビュルと奥まで注がれる熱い熱い間欠泉に、下腹全体が燃え さかる。 ドクドクドクッ⋮⋮!と大変長ったらしく吐き出され、受け止めき れなかった残液が凄まじい放出の圧力を一身に受けてジンジン発熱 しながらひくつく入り口から大量に飛び散った。 803 噴き出す勢いがあまりに凄すぎて、かなり奥まで熱い湯︵18禁的 な意味で︶が注ぎ込まれた。 ッッ⋮⋮!お、恐ろしい⋮⋮⋮⋮!!本体を入れなくとも子種だけ はキッチリ奥まで注ぎこむとは⋮⋮︱︱!! おままま、どんだけ生殖本能が強いんだ︱︱?!?! ﹁ッ、ぁ、ぁひ、め⋮⋮⋮⋮﹂ 未だ悦楽にビクつく先端だけを埋め込んだまま、グランが苦しげに 呻いた。 そのドロッドロに濡れ爛れた目は、まだ全ッッ然満足していない感 山盛りだった。 そう、自身を奥までギッチリと埋め込んで、気が遠くなるほどに延 々と中に突き立て、思う存分欲液を注ぎ込みたいと、それはもうビ ンビンに訴えかけてくる。 その貪欲な瞳に、ズクン⋮⋮ッ!と体の奥が燃えたぎる。 実は私も⋮⋮奥の奥まで嵌め込まれ、大量に注がれる快感がそれは もう存分にこの身に刻み込まれている。 804 軽やかな鳥の声。 涼し気な木々のざわめき。 コポコポと湧き出る湯の微かな水音が耳をくすぐり、清浄な森の風 が濡れ火照る素肌を優しく撫でていく絶好のシチュエーションの中、 ここまで本能むき出しに切実に熱っぽく求められてしまうと⋮⋮⋮ ⋮つい思わずすべてを許してしまいたくなる。 もう、こんな浅い繋がりではもう満足できない。 もっと、欲しい︱︱⋮⋮!! ⋮⋮って、ぁああああーーーー!!ヤ メ ロォ⋮⋮⋮⋮!!! ただでさえ夫が本能剥き出しなのに、私まで押し流されてしまって どうする⋮⋮!! っっく⋮⋮!!気合だ、なけなし気合で、この窮地を振りきるんだ ⋮⋮⋮⋮!! 805 ROUND10:野獣騎士VS森の猛獣 ついうっかり、熱き煩悩の渦に巻き込まれてしまいそうになったそ の時。 突然、伸し掛かる夫の筋肉がピキピキィ⋮⋮ッッ!!と膨張した。 鋭い漆黒の眼差しに、殺気駄々漏れの凶暴な光がギラリと宿る。な、 なんだなんだ⋮⋮?! 骨に響く低音が鼓膜を不吉に震わせた。 ﹁姫⋮⋮そちらの大木の影に﹂ ﹁わ、分かった﹂ 指示通り、素早く大木の影に身を潜めた。 グランの只ならぬ様子に、心臓がバクバク鼓動打つ。 まさか⋮⋮こんな奥まった秘境の地に、誰か来たのか︱︱︱︱?! 固く固く剣を握り締め、森の奥を鋭く見やるグランの後ろ姿をじっ と見つめた。 806 我が夫ながら⋮⋮コ ワ イ。その姿は、まさに戦場の鬼神さなが らである。 しかも全裸。くどいようだが、全裸だ。 こんな森の中で、イキナリ臨戦態勢のガチムキマッパ男にバッタリ 出会ったら、それだけでもう相手はメガパニック状態に陥りそうだ ⋮⋮!! どこからか、ザザッ、ザザザザッ⋮⋮!と下草を乱雑に掻き分ける 音が微かに聞こえてきた。 パキッ⋮⋮バキバキッ!と大小の枝が折れる破裂音も鳴り響く。 樹木の隙間から、怪しい巨大な影が見え隠れしてきた。あれは︱︱ ︱︱?! 森の奥からのっそり現れたのは︱︱巨大なクマだった。ええええー ーーー!!! クマを見たのは初めてだ!!これぞリアルガチ⋮⋮!!! まさかこんな所で、全裸のガチムキ夫VS森の猛獣という超激レア 対戦カードが実現するとは⋮⋮!! 果たして勝利を手にするのはどちらか︱︱?!手に汗握る世紀のバ トルの行方は⋮⋮?! 807 脳内アドレナリン出まくりでギュギュッと拳を握っていると、ふと 気づいた。 巨大グマの後ろから、なにやら小さな影がノソノソと⋮⋮あれは︱ ︱︱︱ ﹁グラン⋮⋮!﹂ 急いで夫を呼び寄せ、ぶっとい腕をむんずと掴んで大木の影に引き ずり込んだ。 ﹁ッ⋮⋮⋮⋮姫?﹂ ﹁しっ!﹂ 怪訝な顔をする夫に、唇に指をあて、制した。 木の影からそっと様子を伺うと︱︱︱︱ クマの背後からノソリと姿を現したのは、かわゆい子グマだった。 母グマらしき巨大クマはなにやら周りの様子を伺った後、ホカホカ 湯気を立てる温泉にジャブンと入った。子グマもそれに続く。 しばらく親子して浸かった後、ザバッと温泉からあがると、ブルブ 808 ルブルッと水分を跳ね飛ばしまくった後、全身からモウモウと湯気 を立てつつ、森の奥へと帰っていった。 大木の影でホッと一息つく。 いやはや、無闇な争いが避けられて良かった。 こうした大自然の憩いの場は、互いに譲りあうべきだ。 あの親子クマはこの温泉の常連だろうか。 森のクマも初めて見たが、クマの入浴も初めて見た。⋮⋮クマも入 るのか、温泉。 それはともかく。 折角温泉に来たというのに、まさかクマに先越されるとは思いもよ らなかった。 いい加減、私も温泉に入らせろ⋮⋮⋮⋮!!! ここはひとつ、新たに場を仕切りなおそう! 再度キチンと禁欲協定を結び直さなくては⋮⋮!! ﹁グラン﹂ 809 ﹁⋮⋮ッッ︱︱︱︱?!﹂ 夫の目の前にピョコンと小指を差し出した。 ﹁もう一度、きちんと約束だ!今日はもう絶対に絶対に、さっきみ たいな事はしない!絶ッッッ対、だ!!﹂ 決意を新たに、非常にわかりやすい約束をすべく、そう告げた。 が、夫はなぜかガタガタガタ⋮⋮!と震えだした。なぜに⋮⋮?! 仕方がないので、きつ∼く握りしめたままブルブル震える重たい拳 を持ち上げ、到底小指とは思えない太過ぎるそれを自分の小指に無 理矢理絡めてキッチリ指きりげんまんした。 ﹁分かったな?﹂ ﹁分かり、ました﹂ ﹁ほんと∼∼に分かったのか?﹂ ﹁は、い﹂ しつこくしつこ∼く念押しし、今度こそ固く固く禁欲協定を結んだ。 810 そして、ようやく念願の温泉に入る事ができたのだった。 811 ROUND10:野獣騎士VS森の猛獣︵後書き︶ いつも野獣騎士を読んでくださり、本当にありがとうございます! ﹄文庫版が発売します!本編グラン視点書きおろし付きで 今月5/28、﹃野獣騎士の暴走求愛︵18禁的な意味で︶からの 逃げ方 す♡♡♡宜しかったらどぞ∼∼!ヽ︵^ω^︶ノ そして来月6/30は、﹃野獣騎士の暴走求愛︵18禁的な意味で︶ からの逃げ方2﹄が発売します!こちらもイロイロ加筆&ピンナッ プにはなんとアスター&エルスが登場!! 書きおろしの内容など、詳しくは活動報告に書かせて頂きましたの で、よろしくお願いします∼∼♡♡♡︵*´ω`pq゛ 812 ROUND11:野獣騎士と混浴 ﹁⋮⋮ッッ、気持ちいい︱︱︱︱!!﹂ ようやく、本当にようやく、夫婦でざぶんと一緒にお風呂した! 浸かるのにちょうどいい深さの場所を見つけ、ゆっくりと肩まで沈 み込む。 温泉の温みがジワ∼ッと体の芯まで到達し、骨までとろとろに蕩け そうになる。 湯の中で肩から手首までそっと撫でおろすと、温泉の成分なのか滑 らかに滑り落ちる。 ホカホカと立ちのぼる湯けむりを思いっきり肺の中まで深く深く吸 い込み、はあぁっと極楽の溜息を漏らす。 はぁあ、最高、だ⋮⋮!! 身体が薪がくべられたかのように気持よく燃焼し、グングン活力が 湧いてくる。 せっかく馬をカッ飛ばして遠路はるばる温泉に来たのだから、ここ 813 はひとつゆったりのんびり楽しみたい!! が、なんだろう⋮⋮⋮⋮背後から、異様な熱気をビンビンに感じる。 グランは私との約束をキチンと守っていた。 背後から分厚い胸板にガッチリと私を抱き込みながら、18禁的接 触一切ゼロで実に大人し∼∼くじっっとしていた。 なのだが、やけに熱く乱れまくった呼気が後頭部にビュービュー吹 きかかり、固く盛り上がった胸筋で背中をグイグイ按摩され、温泉 よりもなお熱い巨大なもので腰中央をグリグリグリグリと指圧され た。 温泉に浸かった上、更に人間マッサージチェアで全身をほぐされる とは⋮⋮これはある意味極楽、なのか? いやいや、イタタタ⋮⋮⋮⋮!!! 頭部へのヒート効果と肩甲骨へのエアーマッサージは百歩譲って極 楽だが、腰への指圧?がきつすぎる⋮⋮!!しかもこの指圧、バイ ブ機能までついてるぞ⋮⋮⋮⋮!! 温泉&超強烈なマッサージで、なんだかメチャクチャ熱くなって、 キターーーー?! そういえば、先ほどのクマの親子もそんなに長湯はしていなかった。 814 きっとすぐに身体が温まってしまったのだろう。 茹だるような熱さに耐え切れず、景気いい水音を立て、私は立ちあ がった。 ザバァッ⋮⋮!熱い湯が全身を一瞬で滑り落ちる。 森林の香りを纏った爽やかな風が篭った熱を瞬く間に奪い去る。そ の感触が、たまらなく気持ちがいい。 ぐんと背を反らし身体を伸ばすと、胸の先や肘から雫が飛び散りキ ラキラと煌めいた。 ッッッ⋮⋮⋮⋮!!最高、だ!温泉、最高⋮⋮︱︱︱︱!!! ﹁グラン!温泉、いいな!﹂と夫の賛同を求めるべく、満面の笑み でクルリと振り向くと、突然ザッバアアーーーーッッ!!と大津波 に襲われた!! と思ったら、それは大量のお湯を身に纏った我が夫だった。 その妖怪?海坊主は、世にも逞しい練りあげられた筋肉で私をガッ シイイ⋮⋮!!と鷲掴み、折角ひんやりしていた私の身体をまたし てもアッツアツの湯でずぶ濡れにした。 ﹁あ、熱ッッ⋮⋮⋮⋮!!グラ、ッは、離れろ⋮⋮!!﹂ 815 ﹁あぁ⋮⋮綺麗、です、姫。私の、姫⋮⋮⋮⋮﹂ 高熱渦巻く低音でなにやらブツブツ呟かれ、まさに今茹でたての筋 肉で、ギュギューーッと熱された。 唇が痺れるほどにきつく吸われながら、私の背を強く搔き抱く濡れ た手が肌を滑り、ゾクゾクゾクーーッッ!!と背に甘い震撼がひた 走る。 あ、熱ッッ⋮⋮!!夫の身体で、のぼせる⋮⋮⋮⋮!! 結局、身も心もアッツアツのホッカホカにされ、クラックラになっ たところで軽々と抱き上げられ、ちゃっかり馬に括りつけられてい た大きめの布で拭きあげられた。 ⋮⋮とは言っても、布で拭かれたのはせいぜい髪ぐらいで、後はな ぜか唇や舌で、大ッ変ねちっこ∼く身体の隅々まで水滴一粒も残さ ずに払拭された。 姫⋮⋮まだ、ここが濡れて⋮⋮とかなんとか骨に響く低音で細かく 細かく指摘され、なぜか私が声をあげざるをえない過敏な所ばかり 拭かれる羽目に陥った。 で、身支度が終了すると、またしても馬に乗せられた。 816 もう私はグッタリフラフラだ。馬に乗ったはいいが、今にも転げ落 ちそうだった。 まあ、世界一安全性と信頼性の高い超高級馬具がすぐに装着される のだから絶対安全なのだが⋮⋮。 私は思った。 いったいどこからが18禁なのか、線引がイマイチ良く分からない が⋮⋮15禁とか17禁とか中途半端な状態のほうがむしろ疲労の 溜まり具合が大きく思えるのは⋮⋮果たして私の気のせいなのだろ うか? そうして私は、分厚い筋肉で天地無用かつ壊れ物扱いで厳重に梱包 され、無事帰城したのだった。 その夜は初志貫徹をモットーとし、どんなに甘ったる∼い雰囲気に なりそうになっても、頑として譲らず、普通に寝た。 グランは私を抱き締めながら、超不規則な呼吸をしつつ、生唾を何 度も飲み込み、大ッ変苦しそうだったが、いつもとは違うヘンな疲 れでグッタリだった私は即寝した。 私はスリッと夫の胸元に頭をすり寄せた。 817 胸板のこんもり盛り上がったあたりが一番の快眠スポットだ。 そこを枕に、婚約以来初の全年齢的健全さで、スヤアッと快眠した のであった。 ⋮⋮翌朝、夫婦史上、大ッッ変な事態になる事も、知らずに。 818 ROUND12:野獣騎士と火事 翌朝、火事で、目が覚めた。 全身が物凄い暑、いや、熱い⋮⋮⋮⋮!! 息が苦しい。喉が焼ける⋮⋮!火事か?!城炎上か⋮⋮?! 肌はジリジリと焦げ、血が沸騰して逆流して燃えたぎる。 滝のような汗が全身を伝い落ち、シーツが背にビットリ張り付いて いる。 更に、起きあがろうとしたが、起きあがれない。 なにか、とんでもなく重たい物の下敷きになっているようで、全ッ 然動けない⋮⋮! こ、このままでは焼け死ぬ⋮⋮!!急いでここから脱出せねば!! 緊急避難!緊急避難んんんーーーー!! 心底焦り、ようやく出した火事場のクソ力でえええい!!と超絶重 たい障害物をどけようとして、そこでようやく気づいた。 819 確かに火事だった。全身どころか、身体の内側までガンガンに燃え 盛っていた。⋮⋮夫の強烈なラブファイヤーで。 グランが私を抱いていた。紛れも無く、疑いようもなく、ガッツリ 18禁的な意味で。 私が目覚めた事に気づいたグランは、その漆黒の目を切なげに細め、 私の背をギュギューーッと引き寄せると、まるで獲物を見つけた猛 獣のように歓喜の雄叫びをあげた。 ﹁ぁあ、姫⋮⋮⋮⋮ッひ⋮⋮め、ッッ︱︱︱︱!!﹂ ﹁っ⋮⋮!!っっ、っ、︱︱︱︱⋮⋮?!?!﹂ コ、コレは︱︱︱︱と ん で も な い 事 態 だ⋮⋮⋮⋮ !!! 既に声が枯れている。互いに全身びしょ濡れで、もはや寝台の上は 水泳大会の会場の様相を呈していた。 私を見下ろすその瞳は、世界を一瞬で溶かすほどの激しい炎で潤み、 ドロドロに溶けて垂れ落ちんばかり。 もう何度も何度もたっぷりと注がれたのだろう、体の奥からとんで 820 もない水音や粘着音が鳴り響き、心なしか乳幼児のように可愛らし い?ポッコリお腹になっているような気がする。 ⋮⋮って、えええええーーーー!!!ちょ、いやいやいや、や り 過 ぎ!!!明らかにべらぼうにやり過ぎだ⋮⋮!!!! ﹁ぁッ、っっ︱︱︱︱!ッ、ぁ︱︱︱︱ッッ!!﹂ あああ⋮⋮!!耐 え ら れ な い⋮⋮⋮⋮!!! 私が爆睡している間に、もう既に好き放題入れられて何度も達して しまったのだろう、男を咥え込む部分全体が可哀想なほどビクビク と蠢き、慢性的痙攣を起こしている。 その為、永遠に勢いがやまない夫の猛攻にだらしなく蕩けきり、も はやされるがまま快感を享受しまくる情けない器官と成り果ててい る。 グプン⋮⋮!!と巨根を重々しく腹の奥に突き入れられるたびに、 全身がビリビリ痺れてガガッと発火する。その熱伝導率は凄まじく、 髪までメラメラと燃えんばかり。 卑猥な粘液だか汗だかでグチョグチョのシーツの海の真っ只中で、 ロマンティック的比喩等では断じてなく、真面目にブクブクと溺れ そうだ⋮⋮!! 821 ﹁ッ⋮⋮!!ぁあ、姫、ぁ、く︱︱ッ、ぁ⋮⋮⋮⋮!!﹂ ﹁ァ、あ、ぁ⋮⋮⋮⋮ぅッッッ!!!﹂ それでもなけなしの原始的体力を総動員して、この、身体の内側も 外側も強烈に侵食してくる重々しい塊から逃れようと身体を捻ると、 うっかり中で凄まじい勢いで暴れる男根をまるでいやらしく舌なめ ずりするように擦ってしまい︱︱︱︱ ﹁ッッ⋮⋮⋮⋮ぁ、ひ、め⋮⋮⋮⋮ッ!!﹂ ただでさえ硬い腹筋と太腿をきつく強張らせ、その震える唇から悦 楽の喘ぎを漏らした。 見下ろす漆黒の瞳に、世界の終末を意味する紅蓮の炎が燃えあがる。 ⋮⋮⋮⋮っっっぁぁあぁあーーーー!!! グランが私の腰をガッ!!と掴んだ。そう、紛れもなく、より深く 激しく突き上げる為に。 ﹁っっっ⋮⋮!!ぁぐ⋮⋮⋮⋮!!ひぅぁあ、ぁんん︱︱︱︱ッッ !!﹂ 822 予想通り、より深く激しく、おまけに超高速で突きあげられ、色気 の欠片もない悲鳴があがる。 吹き出す熱い汗で互いの肌がビショビショに滑りまくり、大きく開 かされた脚の間からは夫の巨根を呑み込むごとにもったりとした卑 猥な熱い液がマグマのようにドロドロと溢れ続けた。 とにかく、もう全部が全部、ビショビショヌルヌルドロッドロで、 特に結合部付近は粘液の海と化し、大量に溢れまくったそれはお尻 どころか腰を通過し背中にまで広がっていた。 い、いったい今、何ROUND目なんだ︱︱︱︱?!?! 何ラウンド目かは分からないが⋮⋮間違いなく最多記録だろう、こ の大惨事は︱︱︱︱!!! っっっ⋮⋮⋮⋮もういい!!もうこれ以上更新するなぁ⋮⋮!!人 様には決して口が裂けても言えない、破廉恥極まるエロエロ記録を ををーーーー!!! 息も絶え絶え、激しく発火する身体をとことん揺さぶられながら、 ﹁今日は政務、休みます。﹂と頭の片隅で呟いた私だった。 823 ROUND12:野獣騎士と火事︵後書き︶ 温泉小旅行編・完 824 ROUND13:野獣騎士の噂話 ちょっとした夫婦のボヤ騒ぎの後、なんとか奇跡的に間に合った政 務を終えた私は、グランと昼食を取る為、食堂へ向かっていた。 すると﹁清掃中﹂の札がかかった開いたドアの隙間から、侍女達の ちょっとした噂話が聞こえてきた。 ﹁最近グラン様、すごく落ち着かれたわね∼﹂ ﹁姫様とラッブラブだから、幸せが滲み出ちゃってるのかしら﹂ ﹁時々うっすら微笑まれる事もあったりして⋮⋮勿論、姫様の前限 定ですけど﹂ ﹁女は愛されると美しくなるって言うけど、男性でも当てはまるの ね。なんだかグラン様が輝いてみえるわ∼﹂ ﹁愛の力ね!偉大だわ∼!﹂ などなど、思いっきり我が夫グランの噂話をしていた。 ⋮⋮⋮⋮ふむ。 825 そういえば、以前と比べて大分夫の態度が落ち着いて来たように思 う。⋮⋮私の前以外では。 目つきもかなり穏やかになり、なんだか妙に色気?が出てきたよう な気もする。 以前は視線一つで数十人薙ぎ倒せそうな勢いだったのに、今や無駄 に男性フェロモン駄々漏れだ。 我が夫は、元から外見はそんなに悪くない。 それでなおかつ最近のように大人の男性的満ち足りた余裕のある態 度を取られると、男ぶりがかなり上がって見える。 城内の女達のグラン見る目もだいぶ変わってきているようだ。 と納得したはいいが、なんだか唐突にムカッとした。 我が夫を認めてもらうのは単純に嬉しいが、私の夫をそういう目で 見られるのは腹が立つ。 分かっている。これは嫉妬だ。 最近、グランの過去もふと気になる事がある。 あのフランソワーズ姫との婚約話があったくらいだ、きっと他にも 826 そういった話があったんじゃないのか? う∼∼ん、ちょっと気になる。 で、昼食の後のお茶を飲みながら、さりげな∼く夫への尋問を開始 した。 ﹁そういえばグラン。お前、過去、フランソワーズ姫以外に縁談の 話はあったのか﹂ ﹁っ、︱︱︱︱!!﹂ 目の前のグランがなぜか硬直して絶句した。 コラコラコラコラ!そこで声を詰まらせるな⋮⋮!! 無駄に言い淀むグランに、ツン度がそれはそれは駄々上がりした! ﹁正直に言わないと、キライになるからな!!﹂ ﹁ッッひ、め⋮⋮⋮⋮!!﹂ ツーーン!!と言い放つと、容疑者Gはすぐに自白した。 827 それはもうすぐに。疾風迅雷の早さで。 で、聞いてみたところ⋮⋮ ふむふむ、グランにはどうやら全部で五件、縁談の話が来たらしい。 ⋮⋮って、結構多いな! 国内では軍部関係者や地方の有力者が多く、他国では豪商人やなん と小国の末姫まで、実によりどりみどりだった。 思った以上の数に、ツン度が速攻MAXに達し、ひんや∼りした声 音で私は言った。 ﹁⋮⋮⋮⋮ふ∼∼∼ん、結構モテてたんだな、お前。⋮⋮⋮⋮ふ∼ ∼∼ん﹂ ちなみに私はその数十倍は縁談があったが、そんなもの大半は国同 士のほんの軽い挨拶、よくある社交辞令の様なものだ。 大層可愛げのないジト目で夫をじいぃっと見つめていると、グラン が苦しげに眉根を寄せた。 ﹁ッひ、め⋮⋮私、は、貴方、以外、誰、も︱︱︱︱!﹂ ﹁実際に縁談相手に会ったりはしなかったのか?﹂ 828 ﹁誰一人、会っておりません﹂ ﹁本当に?﹂ ﹁真実です﹂ ﹁神に誓って、私一人か?﹂ ﹁貴方以外、誰一人として︱︱欲しいと願った事はありません﹂ などと大変重々しく告げられたが、狭量とは分かっていても、そん な過去のことはどうでもいいと思いつつも、なんだか胸の奥がモヤ モヤする私だった。 このモヤモヤの改善策はおそらく誰かに相談する事だが⋮⋮ 一番身近のケイナは彼氏いない歴=年齢という有り様の為、事恋愛 に関しては相談不能だ。 真っ先に浮かんでくるのは、恋愛のエキスパートと呼ばれる百戦錬 磨侍女だが⋮⋮以前彼女のアドバイスで夫へのサービスを実行した ら、とんでもない大惨事︵18禁的な意味で︶になったトラウマが ある。やめておこう。 最近よく耳にするのはケイナの妹分、年若いミルテが庭師のネロと 恋仲だそうだが、どうも聞いていると、小さな恋のメロディみたい な大変可愛らしい恋愛の為、こんな超絶濃厚ドロッドロな夫婦性活 829 を送っている私達とは別次元の存在だ。 だとすると、誰よりも乙女心を理解している相談相手は︱︱エルス しかいない。 だがエルスはあれでも一応男だ。グランに見つかったら大変な事に なる。さてどうしよう? ⋮⋮そうだ!イイ事を思いついた。 手紙という手がある。文通なら身体に匂いもつかない。無臭だ! 早速空き時間に筆を手に取り、手紙をしたためる事にしたのだった。 830 ROUND14:野獣騎士についての手紙 私はサラサラと筆を滑らせ、端的に分かりやすく書いてみた。 ﹃エルスへ 先日は剣術を教授してもらい、大変助かった。礼を言う。 実は、お前を女性と見込んで折り入って相談があるのだが⋮⋮乗っ てもらえるだろうか。 返事はケイナかそこらの侍女辺りに託してくれると助かる。﹄ 公式以外の文書を書くのは初めてなので格式張った書き方になって しまったが⋮⋮こんなものだろうか。 書き終えると、ちょうど部屋にミルテが来た。 まだ新米で緊張しているのか、フワフワの巻き毛を揺らしながらぎ こちなくも可愛らしくお茶の用意をしてくれた。 ちょうどいい、彼女に手紙を託す事にしよう! ﹁⋮⋮はい!姫様、分かりました!ええっと⋮⋮このお手紙を、軍 部の、大隊長アスター様配下であられる、小隊長エルス様、にお届 けすればよろしいのですね?﹂ ﹁そうだ﹂ 831 新米侍女らしく、大変真面目に一言一句違えずキッチリと復唱して きたミルテににっこりと微笑むと、ミルテもつられてフワフワッと 春の日だまりのように温かく愛らしい笑顔を向けてきた。 ⋮⋮うぅッ!!眩しいな⋮⋮!!なんだこの純真無垢な天使の笑顔 は⋮⋮!! こんな笑顔を向けられたら、どんな男でも目尻垂れ下がりまくりの だらしない顔になる事間違いなしだ!! そこで、ハッと思い至る。 こんな愛らしい天使をあの男だらけのムサイ軍部に差し向けたら大 変危険なのでは? 絵面的に、飢えた狼の群れの中に無垢な子羊を放り込むようなもの だ! いかんいかん!ここはひとつ、ボディガードをつけるべきだ!! ﹁あーコホン、ミルテ。軍部は広い。一人では迷子になってしまう かもしれないから、ネロと一緒に行くといい﹂ ﹁ええっ⋮⋮!!﹂ 832 恋人のネロの名を出した途端、ミルテの顔がポポポッ!と赤くなっ た。大ッ変分かりやすい。 ネロも可愛らしい少年だが、まあエスターの隊に行く訳じゃないか ら大丈夫だろう。うん。 私は顔を赤らめつつ退室するミルテを見送ったのだった。 返事はすぐ来た。手紙は無事エルスに届いたようだ。 が、受け取ったケイナは目をひんむきながらド迫力で速達してきた。 ﹁姫様⋮⋮!!どういう事か、詳しく詳し∼く説明してくださいま せ⋮⋮!いったいなぜ一介の騎士が、姫様にお手紙を?このような 大型爆弾に等しいものを、とてもとても姫様の手にお渡しすること などできません!万が一グラン様の目に留まる様なことがあれば、 姫様の身がいったいどうなることか⋮⋮!身の破滅、いいえ国の消 滅、いいえいいえ、世界の終末ですわ!!﹂ ﹁大げさ過ぎる。ただの女同士の文通だ。気にするな﹂ ﹁いいえいいえ!侍女生命にかけてでも、お渡しする訳にはいきま せん!﹂ ﹁なら、内容を読んでみればいい。危険なものじゃない﹂ 833 それならと早速ケイナが手紙を読み、ようやく納得したのか、しぶ しぶ私に引き渡した。 それにはこう書いてあった。 ﹃姫様へ はい!勿論です! 姫様のお力になれるなんて光栄です!なんなりと仰ってください! 姫様からのお手紙、いつでもお待ちしております! PS.姫様、達筆ですね! 力強いタッチで胸キュンです! お部屋に飾らせて頂いてもいいですか∼?﹄ グシャアッ⋮⋮!! 思わずエルスからの返事を握りつぶしてしまった。 や、やめろォ!!こんな手紙を部屋に飾られたら、羞恥で死ねるわ! ケイナが去った後、私は速攻返事を書いた。 ﹃エルスへ 気に入ってくれたならなにより。だが部屋に飾るのは全力でやめて 欲しい。よろしく頼む。 で、相談なのだが⋮⋮ 834 最近、過去夫に縁談があった女性がすごく気になったり、夫に女性 が近づくと気分が悪くなったりするのだが⋮⋮それに対して何か良 い対処法を知っていたらぜひ聞きたい。 あと、これは余談なのだが、一日に何度も閨に誘われるのは、通常 のまったき夫婦として、至極普通の事なのだろうか。これも知って いたらでいいので、よろしく頼む。﹄ ちょうどいい機会なので、日頃疑問に思っている事もついでにコッ ソリ聞いてみる事にした。 すると、またすぐに返事が来た。 今度は新人侍女経由だったので、すんなりすぐに受け取れた。 ﹃姫様へ !!!姫、様⋮⋮⋮⋮!!! 今度は、お手紙の内容に胸キュンです⋮⋮⋮⋮!! なんて、なんて愛らしい事を仰るのですか⋮⋮?! もう姫様は、グラン様をとーーっってもと∼∼っても愛していらっ しゃるのですね⋮⋮! ぜひともグラン様本人に伺ってみるとよろしいかと思います! きっときっと、姫様のご満足頂けるお答えが︱︱いえ、それ以上の 愛の奇跡が、お二人に訪れる筈です! 2つ目のご質問は、私にはレベルが高すぎて⋮⋮残念ながらそんな 大恋愛の経験がないので⋮⋮ なので、私が恋の大先輩と密かに思っているアスター様にそれとな 835 ∼く伺ってみた所︵勿論、姫様のお名前は伏せてあります!︶ ﹁おや、それだけで済んでいるとは⋮⋮⋮⋮相当、我慢なさってお られるようですね﹂ と仰っておりました!なので、多分愛し合っているお二人には当然 の現象みたいですよ!どうぞご安心くださいませ! それにしても⋮⋮愛する人に一日に何度も何度も求められてしまう なんて⋮⋮!うぅ、とっても羨ましいです!あああ⋮⋮!素敵です !! 早く私も姫様のようなアッツアツの大恋愛がしてみたい⋮⋮⋮⋮!! お二人の愛がより一層深まる事を、心よりお祈り申し上げます。 かしこ﹄ グッシャアァァ⋮⋮ッ!! 愛 愛 が大流行だ! 。またしても愛、キターー!! またしても、エルスからの返事を握りつぶしてしまった。 ⋮⋮ 最近私の巷で だが、こんなムカムカイライラする気持ちが愛なのか?いいや、違 う! 愛とはもっと穏やかで尊いものなのではないのか? 836 互いが互いを尊敬し合い、信頼しあい、尊重しあう、清廉な美しい 関係なのでは? 更に問題は後半だ。 明らかに誰からの相談なのかよ∼∼く分かりきっているのがミエミ エなアスターからの回答に、顔から火が出そうになった!! だが、女子力が異様に高い師匠とも呼ぶべき人物からの非常にあり がた∼い助言だ。 解決法の糸口がほんのちょっとでも掴める事が出来るのならば、実 行に移すのはやぶさかではない! ヨシ!!今夜辺り、実行に移してみよう!と決意した私だった。 837 ROUND15:野獣騎士と爆弾 さてとりあえず、この爆弾︵手紙︶をグランに絶対に見つからない 場所に厳重に厳重に封印せねば。 ケイナ曰く﹁そのような危険物など、読まれたら即焼却すべきです !﹂だそうだ。 それに、物凄く真剣にこうも言っていた。 ﹁近頃、姫様の寝室係の者達が皆一様に毎朝の過酷な重労働を嘆く 声が私の耳に多く届いております。どうか、どうか寝室崩壊の世に も不吉で危険なフラグはすぐに破棄されますよう!でなければ、今 度こそ姫様とグラン様のお部屋ごと城が崩壊致しますわ⋮⋮!!﹂ と忠告、いや警告してきた。 しかも、先程私の送った手紙まで出戻ってきた。 なんでも、エルスの元に私の手紙が存在するのは非常に危険と判断 し、ケイナがわざわざ持ち帰ってきたのだという。 が、私の手紙はともかく、人から譲り受けたものを粗野に扱うよう な教育は生憎受けていない。 838 要は、グランに見つからなければいいのだ。何処かにしまい込めば いい。 グランの絶対行かない場所︱︱そうだ!私の衣装部屋とかがいいか もしれない。 早速手紙を手に寝室を通り抜け、続きの間からだだっ広い私の衣装 部屋へ向かった。 大量のドレスが掛けられた華やかな空間で隠し場所を探す。 どこだ⋮⋮?どこがいい? 衣装と衣装の隙間とかではいつ侍女に見つかるか分からない。やは りここは装身具がゴチャゴチャ入っている小箱の奥にでも突っ込ん でおくべきか? だが、肝心の小箱が見つからない。確か、昨日はここらへんにあっ たのだが⋮⋮ と、その時。 ガチャリ、と寝室のドアが重々しく開く音が聞こえた。 839 ﹁⋮⋮ひ、め?﹂という、聞き覚えのあり過ぎる重低音も。 ッッ︱︱︱︱マ ズ イ⋮⋮⋮⋮!!! 来る⋮⋮!きっと来る⋮⋮!! 私が部屋に居なければ、匂いを嗅ぎ分け、きっとグランはここに探 しに来るだろう。 ッ早く⋮⋮!早く隠せ⋮⋮⋮⋮!! 手近にサッとしまえる場所が無いか素早く目で探す。 だが、手当たり次第適当な引き出しをパカパカ開けても、どれもこ れもきらびやかな装身具でパンパンで、手紙を突っ込むスペースな ど皆無だった。 そうこうしている内に、我が夫が、こちらへやって来る気配がする ⋮⋮! ﹁姫︱︱︱︱?﹂ きらびやかな衣装部屋に似つかわしくない、大変重々しい低音が響 き渡る。 840 ッッッ早い⋮⋮!来るのが早過ぎる︱︱︱︱!!! ギックウウ⋮⋮!!と全身が総毛立ち、骨という骨がギッシギシ軋 んだ。 私は咄嗟に危険極まる爆発物を握りしめ、背中にサッと隠した。 そしていかにも自然体を装い、新妻らしくにこやか∼に夫を迎えた。 ﹁ググググラン⋮⋮!今日は早かったな、ビックリしたぞ!﹂ あ か ん わ⋮⋮⋮⋮!!思いッきりどもりまくってる!超不自 然体だ!! しかもグイグイグランを寝室方面に押し戻そうとしてしまった。 当然我が夫の漆黒の瞳に不審な暗黒の影が宿り⋮⋮一度掴んだら永 久に離さないいつもの超強力な眼光で私をガッシリ捕らえてきた。 っっうああああーーーー!! ﹁ひ、め⋮⋮⋮⋮どうしたのですか、何か、隠して︱︱︱︱?﹂ ﹁ッ別に、ななななにも、隠してないいい!﹂ 841 あ か ん わ⋮⋮⋮⋮!ますます思いッきりどもりまくって以下 同文!! ジリジリとこちらに向かってくる我が夫の物凄い威圧感に押される ように後ずさった。 既に背中と手の平がビショビショだ! そこに、通常よりも10段階くらい音階が下がった夫の声音が、響 いてきた。 ﹁ッ⋮⋮私、に⋮⋮見せ、られない、もの、なの、で、すか﹂ ッッゾオオオォーーーー⋮⋮ッッ!!!! 気のせいか、後頭部からも冷や汗が噴き出してきた! 最近、この声の低さで夫のデンジャラス度が分かるようになってき た。 この下がりっぷりは⋮⋮イキナリ世界滅亡の危機だ!危険度レベル 100000だ⋮⋮!! 842 だがこれを見せる訳にはいかない、あの超恥ずかしい文面を、当の グランに見せる訳には⋮⋮⋮⋮! ﹁これは女同士の秘密というか、要するにお前とは一切関係ない代 物だ!それに、私は今からちょっと出掛ける用事がある!﹂ ﹁ど、ちらへ?﹂ ﹁大した用事じゃない﹂ ﹁では、お供致します﹂ ﹁いやいい。すぐに戻る﹂ 足が大ッッ変嫌がるのを叱咤激励して、心身ともに丸裸にされそう な強い強い眼差しで私を見つめ続ける我が夫の横を通り過ぎる。 私を射抜く視線が余りにも重すぎて体中に絡まり、鉛を嵌めたよう に足が面白いほどにもつれた。 こんがらがりそうになる足を叱咤激励してなんとか動かし、やっと 天国︵廊下︶への扉に手を掛けたその時。 ﹁︱︱⋮⋮エル、ス、﹂ 843 夫の精悍な口元から発せられたその重た∼∼い呟きに、全身がギク リと激しく硬直した。 ﹁姫⋮⋮⋮⋮それは、エルスの、もの、です、か﹂ ⋮⋮⋮⋮⋮⋮っっっっぎゃああああああーーーー!!!! 844 ROUND16:野獣騎士と地獄行き 気がつけば、私は猛ダッシュで逃げていた。 心臓が破れんばかりの全速力で。なけなしの、全私で︱︱︱︱!! 死ぬ気で戦場を駆け抜ける。 ッ振り向くな!決して後ろは振り向くな! 全力で駆け抜けたこの先が天国か地獄かは分からない、だが人生に は、輝かしい明日に向かってがむしゃらに駆け抜けなければならな い時があるのだ! そう、今がその時だ⋮⋮!! ﹁ッッ︱︱︱︱ひ、め⋮⋮⋮⋮!!﹂ ⋮⋮知っていた。読者様もそうだろうが⋮⋮とっくに分かっていた。 845 そう。今回の行き先は︱︱︱︱地獄、だと。 トップアスリートばりに華麗に加速出来たのはほんの数秒、いや一 秒にも満たなかった。 足先をほんのちょろっと前に出した所で、あっけなく夫の太い腕で 全身ガッツリ捕獲された。 一度巻き付いたら決して剥がれた事のないぶっとい拘束具︵夫の両 腕︶で拘束されたまま、その場で恐怖の尋問が始まった。 ﹁姫⋮⋮⋮⋮見せて、くださ、い﹂ ﹁ヤ、だ!!﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮な、ぜ、ですか﹂ ッッ、駄目だ!コレを見られたら、私は羞恥で燃え尽きる! ほら見ろ!今からボボボッ⋮⋮!と顔が火ダルマだ! 超悶絶の恥ずかし∼い内容が赤裸々に綴られまくっている⋮⋮! ッッ、コレを、グランに、読ませる訳にはいかない⋮⋮⋮⋮!! 846 私は必死で腹の底からなけなしの声を絞り出した。 ﹁っただの、手紙だ!﹂ ﹁ッ⋮⋮!!恋、文、です、か⋮⋮⋮⋮?!﹂ っち、違ううううーーーー!!いや、違わない?アレ?ドッチだ?! 混乱の余り、頭がおかしくなってきた! ﹁姫、手を⋮⋮開いて、ください﹂ ﹁嫌、だ!﹂ 数通の手紙は私の手の中でぎゅうぎゅうに握りつぶされ、びしょ濡 れの冷や汗と火事場のバカ力で泥団子のように固まっている。 グランの大きな手が私の手をガッチリと包み込み、開かせようとす るが、火事場のド根性でギリギリと握り続けた。 っっ⋮⋮!!なんとしてでも、コレを、夫に見せる訳にはいかない ⋮⋮⋮⋮!! 847 もみ合っているうちに、背が衣装部屋の壁にブチ当たり、手を掴ま れながら夫の巨体に伸し掛かられる、夫婦間で最もデンジャラスな 態勢に追い込まれた。 ヤバイ!マズイ!こ、この流れは︱︱︱︱恐怖の18禁的尋問への 第一歩だ!!! 顔の両側を重く太い鉄格子︵夫の肩から肘︶がガッシャーンンン⋮ ⋮!!と不吉な音を轟かせ、降ろされる。 腰が夫の重い体躯がのしかかる重圧でギシギシと軋みを上げ、ギッ クリ腰になりそうだ! 見下ろしてくるのは、冷酷非情に咎人を断罪する、底知れぬ真っ黒 な瞳。 ﹁教えて、ください︱︱ひ、め⋮⋮⋮⋮ッで、なければ、私、は︱ ︱︱︱ッ!﹂ 絶体絶命の窮地に瀕し、私がとった行動は︱︱ 私は手の中の手紙を増々握りこみ、もはや半泣きで叫んだ。 848 ﹁︱︱︱︱ッヤ、だ⋮⋮⋮⋮!!!﹂ 849 ROUND17:野獣騎士と地獄行き︵18禁的な意味で︶ ガチムチ筋肉檻の中、私は叫んだ! ﹁︱︱︱︱ッヤ、だ⋮⋮⋮⋮!!!﹂ あんなこっ恥ずかしい手紙を見られるくらいなら、死んだほうがマ シだ︱︱︱︱!!! ⋮⋮⋮⋮で。 ﹁あッ⋮⋮!ぁあん!ぁああん!﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮ッく、!ぁ、ひ、め⋮⋮⋮⋮!!﹂ 片足をガッツリ抱えあげられ、思い切り滾った肉棒で背後から貫か れた。衣装部屋のド真ん中で。 いつもならシンと静まり返っている部屋にグチャッ!グチャッ!と 場にそぐわない激しい粘着音が鳴り響く。 850 ﹁ッ姫、教えて、ください⋮⋮⋮⋮ぁあ、何故、エルスに、手紙を ⋮⋮⋮⋮ッ!!﹂ ﹁あッ、っはぁ、ンん⋮⋮ッ!嫌、だ!!言わ、な、ああ︱︱︱︱ ッ!!﹂ ガッと臀部を鷲づかまれ、強く引き寄せられて野太い根本までズズ ン!と突き上げられた。 ﹁ッは⋮⋮うぅ︱︱︱︱ッッ!!﹂ ﹁︱︱︱︱ッッッ!!﹂ 下腹部と腰に物凄い衝撃が走った。 巨大化したものを無理矢理全部飲み込まされた入り口が爛れたよう にジンジンと熱くなる。 お腹の底が強烈に押し上げられ、喘いで大きく開いた唇を太い指で グチャグチャと掻き回され、下肢と同じく奥の奥まで肉の塊を突き 立てられる。 強烈な摩擦で熱せられた粘液が口の端と結合部から大量に垂れ落ち、 互いの激しい呼気で周囲が異様な熱気に包まれていく。 851 ⋮⋮ちょ、な、なんでこんな衣装部屋で夫にガッツリ襲われなきゃ ならないんだ⋮⋮!? しかもここは、別名鏡の間とも呼ばれる試着スペースだ! 周囲には超特大の鏡がズラリと無駄に張り巡らされ、全力で隠匿し たい私達の超卑猥映像をありとあらゆる角度からクッキリと映し出 していた。 ブルブルブル⋮⋮!見たくない見たくない!! どんな妖しい腰つきで我が夫が私を貪っているのかなんて、全力で 見たくない⋮⋮⋮⋮!!! 超危険映像を全カットする為、決死の覚悟で唇を噛み締めギュギュ ッ!と目を瞑る。 だが、妻の心、夫知らず。 何故か突如として夫の呼吸が荒ぶり、肌蹴た胸に指が食い込み、腰 の動きが更に激化した。 視覚を閉じたが為に、口の中を指がベチャベチャと這いずりまわる 感覚と内部を強引に抉じ開けられゴリゴリゴツゴツ掻き回される激 しい衝撃がダイレクトに脳に突き刺さり、全身痙攣しまくりでドロ 852 ッドロのゾックゾクな状態に陥る。 恐ろし過ぎる18禁的責め苦にとても耐えられず、ぅあああ⋮⋮! !と大きく目を見開いた。 すると、夫の巨大な手でひしゃげた自分の胸と、ビショビショに蜜 を垂らしながらゴッツゴツの逞しい男根を何度も咥え込む下肢が見 えた。 っっっ⋮⋮ぁああああーーーーー!!!ぎゃああ!ぎゃあああ!! 空恐ろしい光景に思わず我が目を覆いたくなるが、それにはまず背 後から私の腕ごと全身を羽交い締めにしている我が夫を押しのけな ければならない。 ホント、いつも手を変え品を変え私の精神をガリガリ削るシチュエ ーションによくぞここまで追い込んでくれるな⋮⋮!! その時、寝室の方からコンコンとノックの音がした。 ﹁姫様、いらっしゃいますか?﹂という年若い侍女の声も。あの声 はミルテだ! 居るには居るが⋮⋮ちょっと今、夫とともにTPOをてんでわきま 853 えない物凄い卑猥な状況にあるので、全力で居ない事にしてもらっ てもいいだろうか。 その名も秘技・居留守使い!事を穏便に済ませるにはコレしか無い ︱︱! だが、妻の心、夫知らず。 周囲の雑音などまるっきり耳に入らないのか、ドロドロに熱く濡れ た溜息を吐き、ぁあ⋮⋮!ひ、め⋮⋮⋮⋮!!と感極まった掠れ声 を放った後、グ、ッッチイ⋮⋮ッッ⋮⋮!!と結合をより深くして きた。 ﹁っっ︱︱︱︱ぁア⋮⋮⋮⋮ッッ!!﹂ ﹁⋮⋮姫様?いらっしゃるのですか?入ってもよろしいですか?﹂ この場に大変そぐわない純真無垢で可愛らしい声に思わず﹁いない !今、いない︱︱!!﹂と叫びそうになった。 とんだ居留守だ︱︱︱︱!! 854 ︳︶m ROUND17:野獣騎士と地獄行き︵18禁的な意味で︶︵後 書き︶ 婚約編、再投稿始めました!詳細は活動報告にてm︵︳ また、6/30発売の野獣騎士2巻のカバ−をupしました!︵@ inate1︶ とっても野獣らしい表紙です!宜しかったらぜひ∼♡♡♡ヽ︵^ω ^︶ノ 855 ROUND18:野獣騎士の試着︵18禁的な意味で︶ っっ、いやいや待て待て、居留守など悠長に使っている場合ではな い! これは、これから延々と続くであろう地獄の耐久レース︵18禁的 な意味で︶から即離脱する大いなるチャンスなんじゃないか?! むしろウェルカム!千客万来!天の助け⋮⋮!! ﹁グラッ、んぁっ!侍女、が、来⋮⋮っ!!﹂ 棚ボタでヒラヒラと舞い込んできた天国への切符をゲットすべく、 末恐ろしい突きあげでブツブツ分断されつつも背後の夫に必死で訴 えた。 そう、ホントに国家的緊急の用件だったらどうするつもりだ!こん な淫蕩な行為に耽っている場合ではないのだ⋮⋮!! が、次の瞬間、国家的緊急用件よりも更に恐ろしい︱︱︱︱世界滅 亡の危機的内容が、扉越しにハッキリと聞こえてきた。 ﹁姫様、ええと、エルス様、からお手紙をお預かりしておりますわ !入ってもよろしいでしょうか?﹂ 856 大ッ変可愛らしくも一生懸命なミルテの声に、ピッキーーーーン! !と場が極限まで凍りついた。 っっ⋮⋮⋮⋮ぎゃああああーーーー!!! ちょうど今夫婦間で急上昇ワード第一位にノミネート中の人名が、 キターー⋮⋮!!! 天国への切符が、一瞬で更なる煉獄行きの搭乗券に⋮⋮!! 一旦搭乗してしまったが最後、問答無用で即ハイジャック、こちら が仁義なき要求に応えるまで延々と果てしなき空︵ある意味天国︶ をぶっ飛び続ける魔のジャンボ機だ⋮⋮⋮⋮!! まるで浮気の確たる証拠をつきつけられたような血も凍りつく緊迫 感ビッシビシな空気にとても耐えられず、かくなる上は洗いざらい 正直に白状するしかない⋮⋮︱︱!とついに私は決心した! が、遅かった。 ﹁⋮⋮⋮⋮行かせ、ません。絶対、に︱︱︱︱﹂ 背後から、頭蓋骨にヒビが入りそうなほどの重低音が鳴り響き、同 857 時にとんでもない勢いでドレスを引きずりおろされた! え⋮⋮ちょ、なんで今、着替え⋮⋮?!?!衣装部屋だけに試着? !試着のお時間ですか︱︱︱︱?! ⋮⋮まあ、確かに試着といえば試着だった。 全身フルでフィッティングする事になった。巷では漆黒の死神とも 呼ばれているらしい大変屈強かつ強靭過ぎる夫の肉体を、とんでも ないポーズで。 ドレスどころか下着まで全て剥ぎ取られ、背後からガッ⋮⋮!と両 膝を持ち上げられる。 当然思いっきり足を開いたまま宙に浮いた私の身体を、凶暴にそそ り立つ男根が背後から凶悪に貫いてきた。 ﹁ッッ⋮⋮⋮⋮っぁあああーーーー!!!﹂ なななんて格好させるんだーーーー!!!私の人権は何処へ?!元 から無い?ああそうですか︱︱!!! ⋮⋮分かってる、グランを受け入れたその日から、私の人権など全 て白い泡となってスッキリ排水口に吸い込まれていった事はよ∼∼ ∼く分かってる!! 858 グボボッッ!!とお腹に巨根がきつく食い込み、ガッチリと夫の身 体に釘付けになる。 それだけでも今この瞬間の記憶を即抹消したいくらいの事態だとい うのに、更にとんでもない事に、私の痴態が鏡一面クッキリと映っ ていた。 あまり詳しく説明したくないが、全裸の女が背後から屈強な男の突 きあげに超涙目で身悶えまくっている。も∼一杯一杯です!とでも 言わんばかりの紅潮しきった顔と潤みきった瞳で。 で、体勢的に、一番隠すべき局部がこれでもかと言わんばかりに丸 見えで、豪快に広げられた足の間に巨大な赤黒いものがガツガツと 凶暴凶悪に抜き差しされていた。 ⋮⋮︱︱っっっぁああああーーーーー!!! っっっっもういい⋮⋮⋮⋮!!ホントに、もういいからーーーー! !! 859 ROUND18:野獣騎士の試着︵18禁的な意味で︶︵後書き ︶ 野獣騎士2巻発売しました!野獣騎士恒例の激甘暴走新婚Verを お楽しみ頂ければ幸いです♡♡♡ またケイ様より野獣騎士2巻発売記念イラスト頂きました!ヽ︵* ´∀`︶ノ目次下部にてリンクしてありますので、ぜひ♡♡♡ 860 ROUND19:野獣騎士からの手紙 それは︱︱︱︱とても正視できないレベルのドギツさだった。 野太い剛直が湿った柔肉を最大限に割り開き、グチャン!グチャン !と壮絶に行き来している。 悔しいことに、最近すっかり中で感じるようになった身体が夫の突 きあげ一つでビクビクと痙攣して濡れそぼリ、硬く怒張した切っ先 がグチャン!と奥に食い込んでくるたびに、グチュリグチュリとい やらしい音を立て愛液が掻き出される。 体内にズップリと埋め込まれ、猛烈に出し入れされているソレは、 その太さといい長さといい、只者では無い感ビッシビシで、このま ま突然魔法少女になってホウキ代わりにビュンビュン飛べそうな巨 大さと頑丈さだった。 ﹁ひ、ぁッッ!!ぁ、う!!ぁ⋮⋮ッッ!﹂ 逃げようもないまま、ズボズボと体内を熱く抉られ、激しい悦楽が 下腹に溜まり込む。 体位のせいか、いつもより下がった奥底を激しく押し上げられ、腹 部が波打った。 861 もはやミルテの事など頭からすっ飛んで、卑猥な悲鳴が口からガン ガン飛び出していく。 ﹁ぁあん!!あぁん!!ぁ、ぁああ⋮⋮ッッ!!﹂ ﹁ッ⋮⋮⋮⋮ぁあ、姫⋮⋮⋮⋮!!こんなにも、私に感じて、﹂ ﹁っっひ︱︱ぁあ⋮⋮ん!!っっぁぁあああ⋮⋮⋮⋮︱︱っっ!! !﹂ ⋮⋮⋮⋮結局、てんでコチラの話を聞かない夫を宥める為に、我が 人生で一番恥ずかしいブツを夫に引き渡す羽目になった。 勿論、あのとんでもない格好で私の中に大量の自白剤を放った後で。 っっあぁあ⋮⋮⋮⋮!!死ぬーーーー!!! グッチャグチャの紙レベルにまでなんとか復元した元泥団子を目の 前で凝視され、消えたい思いで悶えていると、あっという間にその 逞しい胸の中に瞬間移動していた。 862 ﹁グ、ラン?!﹂ ギュギュ∼∼ッ!と強烈に筋肉固めされ、今度は私が泥団子状態に ⋮⋮!! グランが感極まって噛みしめるように呟いた。 ﹁⋮⋮⋮⋮ッッ!!家宝に、します﹂ ええええーーーー?! ﹁一生⋮⋮⋮⋮宝物に、します﹂ 何を?!ソレを?!ヤ メ ローーーー!!すぐに徹底的に殺 菌処理した後、廃棄処分にすべき有害物体だぞ!! だが夫は私の手紙をムギュと握りしめたまま、震える唇で呟いた。 ﹁あり、がとう、ございます﹂ ﹁へ?﹂ ﹁恋、文⋮⋮ですね﹂ 863 ﹁ち、違ッ、んン︱︱ッ!﹂ 世にも幸せそうな呟きに慌てて否定するも、頬を捕まれ、唇を熱く 塞がれて遮られた。 潤んだ漆黒の瞳がじっと私を覗きこむ。 ﹁私と⋮⋮⋮⋮文通、してください﹂ ﹁へ?﹂ ﹁私も、貴方に手紙を送りたい﹂ っっええええーーーー?!四六時中一緒にいるのに?いったいなに を書くつもりなんだ?! 翌日。 物凄∼く分厚いラブレターが私の手に届いた。というか朝、直にズ シッと渡された。 広げてみると、一面真っ黒だった。 あぶり出しか何かなのかとよくよく見れば、所々紙がヨレヨレにな 864 るほどメチャクチャ力強く太い筆跡でびっしりと私への熱い想いが 何枚も何枚も綴られていた。 いわく、 ﹃︵しょっぱなからゴチャゴチャと私への激しい賛美が延々と書い てあったので、前略︶ 朝目覚ざめ、貴方が私の腕の中に居るだけで⋮⋮ただただ、幸せで す。 この世界の何を見ても、何を聞いても⋮⋮ただ思うのは貴方の事ば かり︱︱ ︵﹁ひっ⋮⋮!﹂と恥ずかしさの余り情けない悲鳴をあげつつ、か なり中略︶ 愛しい貴方のその姿、声、眼差しは私の心のうちに深く根付き、い ついかなる時でもこの身に感じる事ができるのです。 ︵やっぱり耐え切れず、大幅に中略︶ ぁあいっそ、世界中の人間が貴方であったならどんなに幸せな事か ⋮⋮! ︵以下、顔から火を吹き出しそうになって、全部スッ飛ばし︶﹄ ッッグッシャアァァ⋮⋮︱︱ッ!!! 865 私は夫からの手紙を思いッきり握りこんでしまった。 お、恐ろしい⋮⋮!!夫は常日頃こんな事を考えて過ごしているの か。どんだけ頭の中が私だらけ︱︱?! だが、貰い受けたからには返事を書かねばなるまい⋮⋮! 私はうんうん唸りながら、まるで公務の報告書の如く丁寧懇切に夫 への返事を書いたのだった。 ちなみにあの大悪夢の後、ドアの隙間に可愛い花柄のメモが残され ていた。 ミルテからの手紙だった。 ﹃姫様へ お届けものに伺いましたが、ご就寝中のようですのでまた参ります。 あの⋮⋮何か怖い夢でもご覧になられたのでしょうか? 大変うなされていらっしゃるご様子でしたのでとても心配です。 もしよろしければ、とびっきりいい夢が見られる枕をお持ちします! 身を焦がすほどの熱烈な恋 永遠不滅の愛 二番目の姉お手製の安眠を誘うシロメの花を縫い込んだ枕です。 シロメの花言葉は 866 この枕で眠ると、毎晩大好きな人の夢が見られます! 姫様に安らかな眠りが訪れますように。 ミルテ﹄ ⋮⋮うっ⋮⋮!!ま、眩しい⋮⋮!!なんて清らかな文面なんだ。 目が潰れそうだ⋮⋮!! どうやらミルテは、私が昼間から盛大に眠りこけ、悪夢を見てうな されていたのだと思っているらしい。 ⋮⋮まあ、ある意味当たってはいる。二度と見たくない大悪夢だっ た、という点においては。 しかしせっかく安眠枕をもらっても、グランが起きている限り私に 安眠は訪れない。 ついでにグランの分も作ってもらおう⋮⋮!とコッソリ思った私だ った。 867 ROUND20:野獣騎士のヤンデレエンド︵前編︶ 夢を見た。 金色の草原の中、私は立っていた。 空は燃えるように赤い。 風は強く吹き荒び、縦横無尽に舞い踊る髪が視界を銀の閃光で不規 則に遮断する。 辺り一面何もない、見渡す限り永遠に続く金色の大地。 その中で、一際眩く光る黄金が瞬いた。 視界を遮る髪を押さえ、目を凝らす。 あの光は⋮⋮人?かなり背の高い⋮⋮⋮⋮男? 正体を確かめようと一歩前に踏みだそうとして、不意に背後から伸 びてきた逞しく太い腕に一瞬で抱き込まれた。 鋼のように逞しくも硬い身体。すぐに誰だか分かる。 868 そのまま全身すっぽりと包まれ、すっかり無風地帯となった熱い熱 い腕の中、切なくも低い声音が身体の芯まで響き渡る。 ﹁あぁ姫⋮⋮愛、して、います﹂ 真摯な呟きに、胸が熱くなる。 その太い腕を自分の身体に引き寄せるようにして抱き締めると、ド クン!と熱い鼓動が背を打った。 ﹁あぁ姫、愛して、います⋮⋮⋮⋮!この世界を、貴方と私、二人 だけの世界にしてしまいたいほどに︱︱︱︱!!﹂ 瞬間、バ、ツ︱︱ン!!と世界が真っ暗になった。 そして︱︱︱︱世界は、滅亡した。 私とその男だけを残して。 人の気配が途絶えた世界で、ただ二人だけが存在する恐ろしさ。 足元から拭い様のない悪寒がじわじわと這い上がってくる。 869 背後から男の腕が鋼の蔦のように巻き付いて、私をきつくきつく縛 り上げてくる。 ﹁⋮⋮⋮⋮ひめ、もう、この世界には⋮⋮私と、貴方だけしか、居 ない。これで、貴方には、私しか、いない。貴方の目は、永遠に⋮ ⋮私しか、映さ、ない⋮⋮⋮⋮あぁ⋮⋮幸せ、です、ひめ︱︱︱︱﹂ ⋮⋮⋮⋮っっんっっァああああーーーー!! ビックン!と身体を震わせ目を見開くと、目の前に太い首と鍛えに 鍛えあげられたゴッツゴツの胸筋が見えた。 いつもの朝の風景に心底ホッとする。 ッッ⋮⋮良かった⋮⋮!さっきのは夢だ!夢と言うことは嘘だ、幻 だ、良かった良かった!フツーの現実、バンザイ⋮⋮!! それにしても、なにやら不可解かつ不吉な夢だった。 実は昔から、私の夢や直感は非常に現実化しやすい。 だがあれはきっと遥か遠くのパラレル世界の出来事に違いない!き っとそうだ、っっそうであってください⋮⋮︱︱!! 870 心臓バックンバックン、呼吸困難のまま朝から喘いでいると、毎晩 恒例の肉体檻に私を抱え込んでいたグランがその深い漆黒の瞳を薄 く開き、じっとこちらを見つめてきた。 口元を﹁ひ、め﹂という形に微かに動かし、深く息を吐き出した後、 私の頭ごと裸の逞しい胸に引き寄せ、寝起きの掠れた低音で呟いた。 ﹁あぁ、姫⋮⋮⋮⋮こうして、貴方の隣で目覚める度に、思うので す⋮⋮⋮⋮この世界が、貴方と私、二人だけの世界であったなら⋮ ⋮どんなに、いいか、と﹂ ものすごく幸せそうな吐息とともに、頭部にじんわり暖かい唇が幾 度も押し付けられる。いたっていつもの朝の風景だ。 だが︱︱私は恐慌に陥った。 せ⋮⋮か、い、に、二人、だけ⋮⋮? ⋮⋮え?これはさっきの夢の続きか?夢?現実?どっちだ?! せ、世界は今、どうなっている︱︱?! 871 ROUND21:野獣騎士のヤンデレエンド︵後編︶ 慌てて今現在の世界情勢を確認しようと身じろいだら、これまた毎 度恒例で微塵足りとも身動きできず、目の前に見えるのは我が夫の 骨太な鎖骨と恐ろしく固く盛り上がった胸筋のみ。 太い腕が全身に巻きついているおかげで、首を動かす事もままなら ない。 え?え⋮⋮?こ、これは⋮⋮ニュータイプの、ヤンデレエンドか?! 世界を滅亡させ、いっそ世界を二人きりにしてしまえ、的な? ある場所に一生監禁など生温い、二人ぼっちの世界そのものに永久 拉致監禁愛玩ルート、なのか?! 助け手はおろか他の生命体すら存在せず、逃げ場所などありません、 ハイ残念!的、な? ⋮⋮⋮⋮っっッッんんニャアアアァーーーー!! 恐怖の余り、脳内絶叫がネコ科もといネコ化した! 872 思わず火事場の馬鹿力で目の前の分厚い事この上ない胸板でバリバ リバリバリ爪とぎしたら、ひ⋮⋮め、っぁあ⋮⋮いい、の、です、 かと、何がどういいのか全然サッパリ分からないまま、ズシ、と熱 い裸の肉体に伸し掛かかられた。 潤んだ熱い瞳をドボドボと注がれ、脳がグラッとしたところで、両 肩をやんわりガッチリ押さえつけられ、ついうっかり昨晩お互い全 裸のまま寝落ちしたのが災いし、全身をしつっこく啄まれしゃぶら れまくった挙句、軽々と後ろにひっくり返され、唾液が垂れ落ちる ほどに背をたっぷりと舐めあげられた後、実に極太なものを後ろか らズン!と体内に埋め込まれ、朝から激しくギッシギシ揺さぶられ てアンアン喚く羽目に陥った。 ﹁っぅ、んあぁ⋮⋮ッ!あっ、ンぁ!⋮⋮あ!﹂ こ、これは現実?夢?どどどどっちだ︱︱︱︱?! 寝ぼけて頭が激しく混乱しているうちに段々とギシギシグチャグチ ャパンパンと腰付近からの騒音が激しくなり、それに比例して身体 が勝手にガンガン熱くなっていく。 ﹁ッ⋮⋮︱︱!はぁ、っ姫⋮⋮これからも⋮⋮ずっと永遠に︱︱︱ ︱貴方を、愛して、います﹂ ﹁ぁっひ、あうっ⋮⋮ァっ、ぁ︱︱っッ!!﹂ 873 激しく揺れ動く胸を揉み込んでいた大きな手が重い衝撃に震える腹 部を撫で降り、びしょびしょに愛液を垂らして懸命に滾ったものを 飲み込んでいる部分へと潜り込む。 野太い肉棒に何度も擦られぷっくりと腫れ上がった肉芽を指の腹で 押し潰された。 ﹁あっ、ぁあああ⋮⋮っっ!!﹂ 凄まじい悦楽の電撃が腰全体に走り、身体の内側が強張り、体内を 暴れ回るそれをきつくきつく絞り込む。 ﹁ぁ、あ、姫、⋮⋮ッッ﹂ ﹁あっ、はぁっ、やめ、ッぁあ⋮⋮ぁああん︱︱ッッ!!﹂ ﹁ッ約束、してください、こうして⋮⋮貴方の中に入り込むのが許 されるのは、この世でただ一人、私だけだと﹂ 悦楽に掠れきった濡れた低音が、爛れた意識を甘く引っ掻きまわす。 ﹁約束、してください︱︱生涯、誓って、私だけだと︱︱︱︱!!﹂ ﹁っ、当たり前、だ⋮⋮っ!私は、私の許した男にしか、身体は許 874 さない!!﹂ ﹁っく、は、ぁっ⋮⋮姫︱︱ッ、ぁ︱︱︱︱!!﹂ 夫が私をガッチリ抱き込んで切なく呻き、いつもの熱い奔流を身体 の奥にドッと解き放った。 長く激しい奔流が過ぎ去ると、非常に満ち足りた幸そうな溜息とと もに、熱い口付けと執拗な愛撫が雨あられと降り注ぐ。 はぁはぁと当分整いそうもない荒ぶりまくる呼吸に苦しさを覚えな がら、はたと気づく。 ⋮⋮アレ?どうして朝からこんな濃厚18禁的展開に⋮⋮?いつも ながら、全然さっぱりわからん⋮⋮!! その後も熱く硬い筋肉に全身を押しつぶされながら、蕩けるような 一日の始まりが過ぎていった。 ⋮⋮この日、夫婦最大の危機が訪れる事になるなど、知らずに。 875 ROUND22:野獣騎士と他国の王︵前編︶ ﹁姫様並びにグラン様の結婚式典がとうとう七日後に迫って参りま した。明日より、式典に参列してくださる各国の方々がご来国され る予定となっております。日程はこちらに書き記してございます﹂ ﹁うむ。出迎えの準備は整っておるな﹂ ﹁はい。万全でございます、王﹂ ﹁結構結構。では下がってよし﹂ ﹁はっ﹂ 今回の式典の取りまとめ役の大臣がキッチリお辞儀して退室してい った。 ついに私達の結婚式典も七日後か。 明日から各国の賓客が来国する。 つくづくあの大悪夢を見たのが今日で良かった。 こんな火照った身体では、とても賓客など迎えられん! 876 あの大悪夢の原因は、おそらくミルテからもらった枕だ。 ミルテの姉お手製の枕をぜひ欲しいとミルテに伝言すると、すぐに ピンクのフカフカ枕︵グランのは水色︶を届けてくれた。 それは大変可愛い枕だった。 すべすべした肌触りの良い生地で作られており、銀糸で細かく編ん だレースがふんだんに縫い付けられ、初めて持った時はその羽根の ような軽さにまるで雲の上に乗っているような気分になった。 フワリと漂う花の香りは脳内を一瞬でお花畑へと変化させ、なにや らうっとり夢心地になり、思わず立ったまま寝てしまいそうになっ たほどだ。 これならきっとグッスリ安眠出来るに違いない!と期待に胸を膨ら ませ寝てみたら、見たのはなぜかとびっきりの大悪夢だったという 訳だった。 で、朝から数回、私の中にたっぷりと寝起きの熱い体液を放った後、 それはもう幸せそうにうっとりとグランが語っていたのだ。 ﹁姫⋮⋮⋮⋮昨晩はとても⋮⋮とても幸せな夢を、見ました。この 世界で、貴方と二人きりになる、夢です﹂ と。どうもグランは私と同じ夢を見ていたらしかった。 877 現在、あの危険な枕はワルシェの建国祭グッズとともに窓際に丁重 に飾ってある。 そういえば枕をもらった時、彼女の兄弟構成について尋ねてみて驚 いた。 ミルテは四姉妹の末っ子で、一番上の姉はなんとあの百戦錬磨侍女 だった。 ミルテの極秘身内情報によると、彼女はあのアスターと付き合った 事もあるという。 だが本命は別にいるらしく、すぐにサクッと別れたらしい。 二番目の姉は、私の婚礼衣装チームのリーダーだった。 そういえば衣装合わせの時、ミルテと同じ髪色の侍女がケイナの指 示の元テキパキと働いていたような気がする。 なるほど、私の婚礼衣装が短期間かつ超特急で仕上げられたのにも 関わらず見事な出来栄えだったのも頷ける。 ミルテいわく、裁縫一筋の超お硬い男嫌いで、ネロとの交際もまだ 早いと反対されて困っているらしい。 そして三番目の姉は、あの有名な占い侍女だった。 878 彼女の占いは神がかり的な的中率を誇り、今や予約が一月待ちにな っているそうな。ちなみに霊感もあるらしく、人には見えないもの も見えるとか見えないとか。 ミルテ自身は料理お菓子作りが得意で、﹁将来、自分のお菓子屋さ んを開くのが夢なんです﹂と恥ずかしそうに語っていた。このまま いけば、将来ネロと一緒に夫婦で店を開けそうだ。 ﹁あ∼∼エルミア、ちょっと話がある﹂ 午前の打ち合わせが済んだので、昼食を取ろうと席を立ったところ で、父王に呼び止められた。 ﹁なんでしょうか、父上﹂ ﹁明日はウィッテドールからアシュレイのヤツがやってくるのじゃ が⋮⋮﹂ アシュレイ、か。会うのはもうかれこれ3、4年ぶりか? ウィッテドールは父の出身国。父は第二王子だった。 879 だが私と同じくこの国唯一の王位継承者であった母と結婚して女王 婿となり、母の死後は王に即位して今に至る。 ウィッテドール現国王であるアシュレイは、父の兄、つまり前王の 息子で私とは従兄弟の間柄だ。 幼い頃から前ウィッテドール王と共にしょっちゅうこちらに来てい たのだが、4年ほど前、前国王が突然崩御し、彼が王に即位してか らというもの、その後めっきり会う事はなくなっていた。 が、噂は耳に届いている。 その燃えるような金の髪と武芸に秀で物怖じしない豪気な性分から 金獅子王などと呼ばれているそうだ。 ﹁出迎えの手はずは整っていますが、それがなにか﹂ ﹁あーー⋮⋮コホン。くれぐれも、アシュレイと親しくしすぎんよ うにな﹂ ﹁⋮⋮は?どういう事でしょう﹂ 賓客をもてなすなとは。不可解な発言だ。 なおも言いづらそうに父王が言葉を告げたのは、意外過ぎる内容だ った。 880 ﹁ホラ、お前とアシュレイは、あ∼∼、幼い頃、結婚を誓い合った 仲じゃったじゃろうが﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮はあぁああーーーーッッ?!﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮えええええーーーーッッ!!﹂ 背後に控えていたケイナと私の声が見事にハモった。 け、結、婚︱︱︱︱?!?! い、いったいなんの話だ⋮⋮︱︱?!全く覚えがないのだが!! 881 ROUND23:野獣騎士と他国の王︵後編︶ け、結婚︱︱?!いったいなんの話だ?全く覚えがないのだが⋮⋮! 脳内CPUをブン回し、記憶という記憶を検索しまくったが、出て こない。 そうこうしているうちに、それまでさも優秀な侍女の如く粛々と私 の背後に控えていたケイナが突然ズズズイッと前面に割り込んでき た。 ﹁王様!恐れながら申し上げます⋮⋮!わたくし、姫様がご幼少の みぎりより、かれこれ十余年、誠心誠意お仕えさせて頂いておりま すが、そのようなお話、全く聞いた事などございません⋮⋮!恐れ ながら、それはいったいいついかなる時の事なのでございましょう﹂ 私もケイナと同意見だった。 アシュレイとは年齢が近く︵確か3歳ほど上だ︶親同士が政治論と いう名の退屈な世間話をしている時は、よく子供同士で一緒に遊ん でいた。 父の甥とは到底思えないほど顔の造形が整っていたので、よく侍女 達がアシュレイが来るたびに﹁天使だわ!天使様がキターー!﹂と 黄色い声で騒いでいたが、その実、中身はただのヤンチャ坊主でよ 882 く木登りだの川遊びだのにグイグイ強引に誘ってきては、私が喜々 としてそれに乗ろうとするので慌てて周りの侍女達が﹁姫様、いけ ません!﹂﹁あああ!仕上がったばかりのドレスがーー!﹂と金切 り声をあげていた。 だが、ウィッテドール国特有の薄い金の髪と紫がかった蒼の瞳は父 と同じもので、まるで兄妹のような気安さで接していた。 なのに、結婚? 果たしてそんな色っぽい展開になった事があっただろうか? 盛大に首をかしげていると、おもむろに父が語り始めた内容はこう だった。 ﹁そう、あれはお前が10歳にもならん頃じゃった。昔からお前は 月の女神 とは、フワッフワの焼き菓子に甘 じゃった。覚えておるか?﹂ 甘いものに目がなくてのう、特に一番の好物はウィッテドール銘菓 月の女神 ﹁覚えています﹂ 説明しよう! ウィッテドール銘菓 ったる∼いクリームがたっぷりと入った、結構どこにでもあるとい えばどこにでもある菓子なのだが、酪農が盛んな高山国ウィッテド ールでしか出せない濃厚な味わいの一品で、一度食べたら病みつき 間違いなし、スイーツ業界では知る人ぞ知るスイーツなのだ! 883 当然、甘いものスキーな私がそれの虜だったのは言うまでもない。 ﹁元からお前達は気が合うのか兄妹のように仲が良かったのじゃが、 どちらも王位継承者、そういう話は出ておらんかった。じゃが、あ れは確か、部屋でベンネルと我が国の未来について語っている時じ ゃった。ベランダでアシュレイがお前に話しておるのが聞こえてき たのじゃ。﹃もしもお前に弟が生まれたら、自分の国に来い﹄とな﹂ 弟⋮⋮?今、記憶の中でなにかが引っかかった。そして、とうとう 思い出した。 ベンネルとはアシュレイの父、前ウィッテドール王である。 部屋で父王達がつまらない話︵私の縁談の話︶を始めたので、アシ とともに。 ュレイと一緒にベランダに避難したのだ。手土産にもらった銘菓 月の女神 好物を幸せ一杯で頬張る私を見て、アシュレイが笑ってこう言った。 ﹁エルミア。もしお前に弟が産まれたら、俺の国に来るか?﹂ 私の口の端についたクリームを手の甲で乱暴に拭い、更に豪快に大 笑いしてこうも言っていた。 884 ﹁そうすれば、それが毎日食えるぞ﹂ と。 で、当時食い意地の張っていたアホな私は、これが毎日食べられる のならと元気よく即答で﹁行く!!﹂と答えたのだった。 だが今思うと、あの会話の真の意味は︱︱ ﹁﹃弟が生まれたら﹄とは、もしも我が国に新たな王位継承者が誕 生したら、まあ、お前を自分の后として迎えたいと、そういう意味 じゃな。結局、その後フィリアが帰らぬ人となり、お前に兄弟は作 ってやれんかったが﹂ ッッうぁあああーー!!お、恐ろしい⋮⋮!! 幼かったとはいえ、なんという恐ろしい約束をしてたんだ、私は⋮ ⋮!! 例え子供同士の口約束とはいえ、王族が一旦口にしたのならば、あ れはれっきとした公約と成り得る。 つまり、もし仮に私に弟が生まれていたら、私は今頃、父の母国ウ ィッテドールの王妃となっていたかもしれないのだ! 885 父の﹁親しくしすぎるな﹂の意味がよ∼∼く分かった。 要するに、大事な式典前にグランの嫉妬心をいたずらに煽るべから ず、という父からのありがた∼い訓示なのだ。 ﹁分かりました。ですが、杞憂でしょう﹂ 私は余裕の笑みで微笑んだ。 ﹁私はグランを愛しています。対外的にはグランは婚約者という立 場ですが、実情は既に私の夫。夫を不安にさせるような行動など一 切取らないようにすればいいのでしょう﹂ 父の前できっぱりと男らしく?言い切ると、﹁うむ、あっぱれ!! さすがは我が娘よ!﹂と調子良くおだてられた。 だが、父に言われるまでもない。 私はグランを愛している︱︱! この心さえ確かならば、過去の事など些末事。 何も起こる訳がないのだ︱︱! 886 ⋮⋮と思っていたのだが。 この後、私のアホな失態で、よもやあんな大事になろうとは︱︱夢 にも思わなかったのだ。 887 ROUND24:野獣騎士への事情説明︵18禁的な意味で︶ その時、ヒッッ⋮⋮!!とケイナのものと思われる恐怖の悲鳴が聞 こえた。 ハッと振り向くと、当然そこには我が夫が仁王像のようにズーーー ンと立っていた。ヒイイイイ⋮⋮!!! ﹁グ、グラン、間に合ったのか﹂ ﹁は、い。軍への連絡事項があり、この時間に⋮⋮申し訳ありませ ん﹂ 妙に淡々とした夫のしゃべりに、ゾッッックーーーッッッ!!!と 背中が寒∼∼く波立った。 ﹁⋮⋮⋮⋮⋮⋮﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮⋮⋮﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮⋮⋮﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮⋮⋮﹂ 888 その場を重∼∼い沈黙が支配した。これぞ四面楚歌、まるで魔界に でも転移したかのようだ⋮⋮! 大地が禍々しい気に満ち満ちている。このまま部屋ごと地獄の底ま でのめり込みそうだ⋮⋮! が、そこは年の功なのか、父王がサックリフワッと場の空気を浮上 させた。 ﹁あ∼∼コホン、グランよ!明日以降の予定はしかとエルミアに伝 達済みじゃ!よって、詳細はすべてエルミアに聞くがよい。すべて、 今日中に、な!ではな!﹂ 忙しい忙しいとやけに颯爽と去る父王。 背後のケイナはすっかり空気と化し、透明人間のような存在感で一 介の側仕えに徹している。 ⋮⋮で。 自室に戻ってから、一人孤立無援状態のまま、詳しい事情を夫に説 明する事になったのだが。 889 ﹁グラッ、ンん︱︱⋮⋮っ!﹂ 説明し終わると、すぐに唇ごと全身の自由をすべて奪われた。 呼吸や喘ぎ、肺の中の空気すら吸いあげられ、脳が急速にクラクラ と酩酊した。 切ない吐息混じりの低音が甘く切なく懇願してくる。 ﹁っ⋮⋮!!ぁあ、姫⋮⋮︱︱もう一度、もう一度、言ってくださ い﹂ ﹁なに、を﹂ ﹁﹃私を⋮⋮愛している﹄、と﹂ ドキン︱︱ッッ!!と心臓が脈打った。 ま、まさか聞いていたのか︱︱?!あの父王に言い放った、世にも こっ恥ずかしいドヤ顔宣言を⋮⋮! っっ⋮⋮は、恥ずかしいいいい︱︱︱︱!!! 890 身体中揉みまくられ、ジュッ、ビチャッとけたたましい粘着音を立 てながら唇を情熱的にきつく吸われる。 加速する心音で肺が焼けつき、早くも唇がジンジンと腫れあがる。 苦しくて開いた口の中を分厚い舌で大きく大きく舐め回された。 ﹁っ⋮⋮もう一度、言ってください。もう一度⋮⋮⋮⋮﹂ 激しい歓喜に潤んだ漆黒の瞳で真剣に求められ、真実の言葉が胸か ら溢れ出す。 ﹁っっ⋮⋮あ、いしてる︱︱︱︱!!﹂ その一言で、時が一気に加速した。 ろくな愛撫もないまま、息荒く滾りに滾った先端をグチュリと体内 に押し込められ、そのまま着の身着のままズンッ⋮⋮!!と強引に 身体を繋げられた。 ﹁っぁああ!!ぅ、う︱︱︱︱ーッッ!!﹂ 891 ﹁は、ぁッ、姫︱︱︱︱っ!!﹂ 言葉も発しないまま、ただ無言で激しく内部を擦られる。 その衝動的な動きにグランの熱い熱い想いが伝わってきて、背筋が 痺れ、身体が燃えあがる。 数回強く突き入れられただけですぐに中が熱く濡れ滴り、激しい摩 擦にブルブルと快楽落ちし、痛いほど硬化したそれを甘くきつく淫 らに吸いあげる。 互いに獣のような息遣いで身体を揺すり、熱を交換し、熱く弾けた。 ﹁ぁっ、あ︱︱︱︱ッッっ!!﹂ ﹁ッッく、⋮⋮⋮⋮ぁ、⋮⋮あっ!!﹂ ドクドクドクッ!と身体の奥で起こる小爆発でいつもよりも熱く激 しい悦楽がこみあげ、こらえきれずに呼吸が止まる。 もっと熱い液が欲しくて、下腹が収斂し、熱く蠢く巨大な塊をギュ ウギュウに吸い上げる。 当然その塊もビクンビクンと硬化し、更に膨張したソレで狂おしく グチャグチャと突き入れられる。 892 ﹁っ、ひぁあ⋮⋮︱︱っ!!ぁあっ、ぁあぁん⋮⋮⋮⋮!!﹂ ﹁ひめ⋮⋮⋮⋮あぁ、私も、愛して、います、ッ、愛して︱︱︱︱﹂ ﹁ぁ、は、うっっ!!ぁくッッ⋮⋮!!ぁああっっ!!﹂ そこからは、もうメチャクチャだった。 何度突かれたのか分からない。 奥が広がるほどに存在感のあり過ぎるもので抉じ開けられ、身も世 もなく喘ぎまくった。 卑猥な汗が滝のように滴り落ち、互いの衣服が湿ってシワクチャに なるまで無我夢中で交わった。 途中まではなんとか夫の求愛に応えていた私も、幾度吐き出しても なお発火し続ける逞しい肉体に、最終的には思うがままとことん揺 さぶれられ、埋め込まれ、途方も無い快楽を享受させられ続けた。 ﹁っぁ、あ姫︱︱︱︱!!﹂ ﹁んん⋮⋮︱︱ッッ!!ぅ⋮⋮っ、は、ぁぅ、ぁあ︱︱ッ!!﹂ 893 腰をガッツリ固定された後、後ろから体内をグッチャグチャに掻き 回された。 グチュン、グチャン!という重々しい粘着音をBGMに熱く掠れた 低音が耳に吹き込まれる。 ﹁過去にどんな約束があろうと⋮⋮⋮⋮貴方は私の、もの、身体の、 奥の奥まで、すべて︱︱﹂ ﹁っは!!っあ、く、ぁ︱︱︱︱っぁああ!﹂ ﹁はぁ、っ、⋮⋮⋮⋮︱︱く、ッ︱︱︱︱!!!﹂ 腰を思いっきり引き上げられ、一番奥底までギンギンに膨張した夫 の証を押し込められる。 頭が真っ白く擦り切れるまで延々と抜き差しされた後、火傷しそう に熱い夫の証を腹の奥にたっぷりと注がれた。 ようやく巨根が引き抜かれた時には、巨大な栓が抜けた蜜口から未 だ熱い精液が勢い良く噴き出すというありえない事態にまで陥った。 いつまでたっても夫の形で開いたまま閉じない女陰からポタポタと 流れ続ける白濁をうっとりと見つめていたグランが、そこに顔を埋 め、唇と舌を総動員して垂れ落ちるいやらしい粘液を根こそぎ舐め 取っていく。 894 ﹁んんッッ!!ぁ、あん⋮⋮!ぁあっ、あ⋮⋮っ!﹂ 未だひくつく蜜壺の内側までもねっとりと舐め啜られ、さすがの私 も全身痙攣が止まらず、息絶え絶え状態となる。 やがて二人の愛液をすべて吸いあげ終わったグランの口から漏れた のは、紛れも無い幸福と歓喜の溜息だった。 ﹁ひ、め⋮⋮⋮⋮私も、貴方に送ります。毎日、﹂ ﹁な⋮⋮に、を﹂ ﹁貴方の、好きなものはすべて⋮⋮送り続けます、これから毎日、 一日足りともかかさずに、ずっと︱︱︱︱﹂ ﹁ひッ、ぁああ!!ぁ⋮⋮︱︱ッッ!!﹂ ズブリ、と未だ収まりきらない剛直をまたしても体内にしかと受け 入れる。 そうして、熱く濡れた逞しい肉体にまたしても押し潰されながら、 その想いを全部受け入れたのだった。 895 ROUND25:野獣騎士と蝋人形と私 ﹁姫様、いけません!お持ちいたしますわ!﹂ ﹁いや、大丈夫だ。これくらい軽い﹂ あの後、また軍務へと戻っていったグランと別れ、父王と午後の打 ち合わせを済ませた。 そして書類を持って部屋に戻る途中、その事件?は起こった。 ﹁痛ッ⋮⋮!﹂ ﹁姫様!!﹂ 城仕えの侍女の子供だろうか、中庭の方からキャー!ワ∼!と聞こ えてくる元気な歓声にうっかり気を取られ、なんにもない所で思い ッきりコケた。 両手に書類を持っていたが為に受け身が取れず、固い岩壁にガンッ !と頭をしこたまぶつけてしまった。 ﹁大丈夫でございますか、姫様!!﹂ 896 背後に控えていたケイナが大慌てで私に駆け寄ってくる。 しばし視界にお星様が飛ぶ中、私はなんとか立ち上がった。 ぶつけた所に手をやると、やや膨らんでいる。 だが出血はしていないようだし、すぐに視界も回復し、いつも通り になった。 ﹁平気だ。なんともない。少したんこぶが出来たくらいで⋮⋮﹂ ﹁いいえ!すぐに城の典医の元へ参りましょう!﹂ 大丈夫だ、案ずるなと言ってもケイナは頑として聞かず、すぐさま 城のよぼよぼメガネ典医の元へ連れて行かれた。 そして、すわ人間ドックかと思うほど超念入りに全身診察された。 やがて、ぼうぼうの白眉を上下させながらメガネ典医が笑ってこう 言った。 ﹁ほうほう、姫様。これは立派なたんこぶじゃ!近年稀に見る素晴 らしい出来栄えじゃ!ほっほほ!﹂ 897 と、やたらたんこぶを褒められた。てか、素晴らしいたんこぶって なんだ?! なおもふぉっふぉっふぉっ!と豪快にバカ笑いし続ける典医に激し くツッコミたくなったが、一応怪我を診てもらっている最中なので やめておいた。 ﹁まあ、これだけ立派なたんこぶが出来ておれば、大丈夫じゃろ!﹂ ここまでくるとたんこぶは大きければ大きいほど立派なご利益があ りそうな気がしてきた。 大丈夫かどうかについては同意だ。ただ頭をぶつけただけなのに、 ケイナが大げさなのだ。 ケイナが心底安堵した表情でこう言った。 ﹁良かったですわ!もしも姫様の身に何かあったら、グラン様が一 体どうなることか!﹂ ︱︱︱︱へ? 私は目をぱちくりしながら呟いた。 898 ﹁グラン?なんでここに、ヤツの名前が出てくるんだ?﹂ 一瞬で、場の空気がガッチーーン!!と凍りついた。 ﹁⋮⋮っひ⋮⋮ひひ姫、様︱︱︱︱!?!?﹂ ﹁な、なんと⋮⋮⋮⋮!!!﹂ ケイナとメガネ典医が青緑色に青ざめて私をガン見している。まる でゾンビのような顔色だ。 ⋮⋮?いったいどうしたんだ?なんでこんなに驚いている⋮⋮? ケイナがゴックンと息を呑み呑み、カサカサに乾きまくった声音で 聞いてきた。 ﹁ひ、姫様⋮⋮⋮⋮グラン様は⋮⋮っいえ、グラン様を︱︱ご存知、 ですわよね⋮⋮?﹂ 私は大きく頷いた。 899 ﹁勿論知っている。王女が自国の軍のトップを知らない訳がない﹂ 端的にそう答えると。 今度は二人の顔色がゾッとするような土気色になった。まるで土偶 のようだ! ﹁⋮⋮ひ、ひひひひめさま⋮⋮⋮⋮!!﹂ ﹁な、なななんというコトじゃ⋮⋮!!﹂ ﹁??いったい何を驚いている?ヤツは最近、父の護衛でひっつい ている事が多いから大分話す機会も増えたが、そんなに親しい訳じ ゃない﹂ ﹁ひ⋮⋮⋮⋮ッッッ!!!﹂ ﹁はわわわわ⋮⋮⋮⋮!!!﹂ ⋮⋮なぜだろう。 私がグランの事を話せば話すほど、二人の身体が冷凍マグロのよう にガッチガチに凍りついていく。 横にして蹴飛ばしたら壁にぶち当たって跳ね返って、そのままクル クルと回ってすっ飛んでいきそうな硬直具合だった。 900 いったい、どうしたんだ⋮⋮? と、バーン!と扉が丸ごとすっ飛んでいきそうな勢いで開き、同時 に姫⋮⋮︱︱!!と戦場の怒号のような野太い声が部屋に轟いた。 見ると、ちょうど話題の渦中にいたグランだった。 まるでこの世の終わりのような物凄い形相で額に玉の汗を浮かべ、 ズンズン私に近づいてきた。 ﹁ひ、め⋮⋮!お怪我を、なされた、と︱︱﹂ ﹁頭を強く打っただけだ。大したことはない﹂ そう告げると、途端グランが床にガックリと膝をついた。 そして強烈な光を放つ漆黒の瞳で私を見つめ、手をグッと握ってき た。 ﹁痛、みは﹂ ﹁たいして痛まない。ピンピンしてる﹂ ﹁⋮⋮ッ!!﹂ 901 ﹁っ、あ!!﹂ 突然ギュムッ!と抱き締められた。 そして、私の全身を一通り検分した後、挨拶にしては熱烈過ぎる口 付けを私の手に残し、退室していった。 ︱︱︱︱ポカーーン。 グランの取った行動の意味が全く分からず、唖然とする私。 ケイナとメガネ典医はもはや突っ立ったまま動かない。顔色はもは や蝋人形のように真っ白だ。 いち早く蘇生したケイナがなにやら決意の篭った眼差しでキッパリ と叫んだ。 ﹁姫様⋮⋮⋮⋮大切な、大切な、お話がありますわ⋮⋮!!﹂ 902 ROUND26:野獣騎士が世界を壊さない為の対策会議︵前編 ︶ ﹁何かの冗談だろう?﹂ 事の次第を全てケイナから聞かされたが、言葉通り冗談としか思え ない。 私が、ヤツと結婚した?ヤツが、私の夫だと? いやいや、ありえない、ありえないから。 ヤツは獰猛な野獣騎士、もしもこれが本当ならば、私はもう既に死 んでいる。 よしんば生きていたとしても、生ける屍にはなっている、確実に。 こんなに五体満足でピンピンしている訳がないのだ。 ﹁いいえ、姫様!全て真実、誠に本当の、実際に起こった出来事で すわ⋮⋮!﹂ ﹁信じられんな﹂ サックリ否定すると、ケイナがなおも息荒く熱弁をふるった。 903 ﹁確かに姫さまは突然グラン様との婚約が決まった当初は大ッッッ 変嫌がっておいででしたが、それがまあ、いつのまにやらグラン様 の強烈なご求愛に幸か不幸かうっかりスットーンと落っこちてしま われ、その後はもう城中、いえ国中、いえいえ国外ですら目も当て られないほどの超ラッブラブっぷりでございましたのよ⋮⋮!﹂ はああ?!私がヤツの求愛に落ちた? それは本当に私なのか?偽物の私じゃないのか?? これだけ詳しく聞いても、ヤツと夫婦だという実感がまるでわかな い。 ケイナがなおも言い募る。 ﹁結婚式展を終えていない為、まだグラン様は公には婚約者という お立場ではありますが、実質上、もう立派に姫様の夫君ですわ!﹂ ﹁実質上?﹂ ﹁ええ!姫様は身も心も⋮⋮グラン様と立派なご夫婦でいらっしゃ いますわ!﹂ 904 はああ?!全く身に覚えがないのだが⋮⋮!? ﹁ヤツと?まさか!﹂ 到底ありえない話に思わず叫ぶと、ケイナが益々必死な形相になっ ていく。額にジットリ脂汗まで垂らしている。 ﹁姫様!本ッッッ当に、思い出せませんか?﹂ 仕方なく、私は想像してみた。 あの人外野獣騎士グランと結婚した私を。 が、何度シミュレートしてみても、新婚初夜でジエンドだ、確実に。 体格差的にも、あの怒涛の勢い的にも、デッドエンドしかありえな い。 ﹁いやいや、ありえない、ありえないだろう。ヤツと結婚していた ら、今頃私は生きていない﹂ ﹁ッッ、な、なにをおっしゃっておられるのですか⋮⋮!! 姫様というお方は、お生まれになった時から踏んでも叩いても壊れ ないくらい大変頑丈︱︱コホン、大層お元気なお育ちで、これまで 905 病気虫歯怪我かすり傷一つ負われたことなどないではありませんか! グラン様のまさに餓えきった猛獣の如き︱︱コホン、激しくも熱∼ いご求愛も、それはもうバッチコーイ!と逞しく受け入れておいで でしたわ! ええ、それこそ城中の者達が馬に蹴られて殉職しかねないばかりの 痛々しいバカップルっぷり︱︱コホン、仲睦まじさでございました のよ!﹂ まるでこの私こそが人外そのものだとでも言わんばかりの主張だっ たが⋮⋮それはともかく、私とヤツが、城中ドン引くほどのラブラ ブバカップル夫婦だっただと⋮⋮?! まったくもってこれっぽっちも想像できないな! ﹁ありえない。もしそれが本当なら、今すぐヤツとの婚姻を撤回す ることは出来ないのか?﹂ ﹁ああああーーーーっっ!!﹂ ﹁ふおおおお!!!﹂ なんだなんだ⋮⋮?!いきなりケイナとメガネ典医が同時に雄叫び をあげ、私の発した言葉は見事かき消された。 ﹁いきなり大声を出すな!びっくりするだろう!﹂ 906 だがケイナは私の叱責をまるっと無視し、まるで何かに怯えるよう にキョロキョロと辺りを見回している。 メガネ典医に至っては、ビョッ!!と一足で廊下へと飛び出し、ド ア外をしきりに警戒しているではないか。 ﹁グラン様は?!﹂ ﹁おらんようじゃった⋮⋮!!﹂ バルス ﹁ならば今の姫様の破滅の呪文、よもや聞こえてませんわよね?!﹂ ﹁大丈夫そうじゃ!﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮ッ!ああ、神様⋮⋮⋮⋮!ご慈悲を感謝致します⋮⋮! !!﹂ ﹁世界は救われたようじゃな⋮⋮!﹂ さっきからいったいなんなんだ?三文芝居でも見ているような気分 だ。 ずずずいっとケイナが物凄い形相で眼前に迫ってきた。 907 ﹁ひ め さ ま⋮⋮⋮⋮!!大切な、大ッッ切なお願いがござい ますわ!全人類の世界平和の為にも、必ずや絶対に、ご協力してく ださいませ⋮⋮!!!﹂ 908 ROUND27:野獣騎士が世界を壊さない為の対策会議︵後編 ︶ あのケイナが。 いつもふてぶてしく、私を姫だとも王位継承者だとも丸っきり思っ てもいなさそうに、超図太いキレッキレな毒舌をぶちかますケイナ が。 生気がゴッソリ失せたゾッとするような顔で、こう言った。 ﹁お話から察するに、どうやら姫様はグラン様とご婚約された時か らの記憶を失っておられるようですわ。ですが、お二人の結婚式典 は刻一刻と迫っております。今後グラン様の前においては、どうか これだけは、これだけは守ってくださいますよう、お願い致します わ⋮⋮!﹂ ﹁何を﹂ ﹁決して決して、グラン様を拒むような言動をなさってはなりませ ん!!﹂ ⋮⋮はあああ?!いったいどういう事だ?! この私に、あの野獣騎士の言いなりになれ、と? わ、私を殺す気か︱︱!? 909 ﹁断る!大体なぜそんな事しなくちゃならないんだ?!﹂ ﹁﹁世 界 が 破 滅 す る か ら﹂﹂﹁ですわ!﹂﹁じゃ !!﹂ 二人の声が見事にハモった。 だが、世界が破滅するだと?二人揃って大仰な事を。私は一笑に付 した。 ﹁はは、世界が破滅?まさかそんな事ある訳、﹂ ﹁﹁あ り ま す﹂﹂﹁わ!﹂﹁のじゃ!﹂ またしても二人の声が見事にハモった。 なんという素晴らしきシンクロ率。この二人、いつからこんなに仲 良くなったんだ? やがて私を除け者にして、目の前で勝手に熱い議論が繰り広げられ 始めた。 ﹁ううむ⋮⋮これは由々しき事態じゃ⋮⋮!先々代王の五大国大戦 以来の危機じゃ!なんとかせねばなるまい!﹂ 910 ﹁ええ、世界が破滅する前に!﹂ ﹁そうじゃ!姫様が突然流行病にかかったことにするのはどうじゃ ?うつるといかんから医者以外面会謝絶!明日から来国する諸外国 の賓客は姫様のご記憶が戻るまで王や大臣達が盛大にもてなす!完 璧じゃ!﹂ ﹁甘いですわ!たかが病気ひとつであの凶暴な野じゅ、コホン、グ ラン様を留める事など不可能に決まってますわ!﹂ ﹁ならば城出じゃ!式典前に更なる国の繁栄を願掛けに行くとかや むにやまれぬ事情とやらを捏造して、姫様がちょこ∼∼っと遠出の 旅に出るのはどうじゃ!?﹂ ﹁姫様の護衛に自ら名乗りでて一緒に付いて行く事は確実ですわ! そうなると、姫様とグラン様が二人きりでむしろより危険な状態に ⋮⋮!﹂ 眼前で物凄い弾丸ディベートが繰り広げられ、完全に置いてけぼり をくらった。 だが議論途中でどうやら八方塞がりとなったらしく、非常に重た∼ い沈黙が部屋中に漂った。 ﹁かくなるうえは!﹂ 911 ケイナが決意も新たに突然鬨の声をあげた。 ﹁姫様、あとでお咎めは充分に受けますわ!⋮⋮失礼致します!! ええい!!﹂ パッッコーーン!!といきなり頭をはたかれた。いったいどこから 取り出したのか、そこらへんのスリッパで。 だが意外にフカフカだった為、全然痛くなかった。 ﹁どうですか、姫様!!さあ、おっしゃってくださいませ、グラン 様を愛していると!!﹂ 訳が分からない。なぜ私がそんな事を言わなければならないのか。 ﹁別に、愛していないが﹂ ﹁ああああーーーーっっ!!﹂ ﹁ふおおおお!!!﹂ またしてもケイナとメガネ典医が雄叫びを上げ、私のセリフが完ッ 全に掻き消された。 912 ケイナが侍女生命を懸けた背水の陣的ギラギラした眼差しで、とう とう最終通告をしてきた。 ﹁姫様!!今日この時より、グラン様を拒む発言をしてはなりませ ん!! 一度口にしたが最後、この城が、姫様がご幼少時よりお過ごしにな られたこのお城が、一晩で崩壊致します!! ﹃そうだな﹄﹃分かった﹄以外のセリフはNGワードですわ!!﹂ ﹁いやいや城だけで済むとは思えん、国ごと滅亡じゃ⋮⋮!!﹂ 丸メガネをクイクイあげながらメガネ典医まで話の尻馬に乗ってき た。 大袈裟だな!ヤツは天災か︱︱?! 本人を差し置いて超盛り上がっている二人を横目に、私は思った。 多分これは、私をからかうための大掛かりな嘘八百に違いないと。 近頃余りにも舞い込んでくる見合い話を蹴飛ばしまくっている私に 対する、ちょっとしたこらしめのひとつに過ぎないと。 913 だがそうでないことは、その夜、文字通り我が身の全てをもって、 恐ろしいくらいに思い知らされたのだった。 914 ROUND28:野獣騎士の強襲 手当を終え、居室へと向かう。 が、階が違う。方向も。 ケイナに問うと、婚姻後新たな夫婦の居室が用意されたのだと言う。 かなり手の込んだドッキリだな、などと思いながら歩いていると、 足の間から何か泡だった粘液のようなものが大量に溢れてきた。な んだなんだ?! 月のものでもきたのかと思い、その旨をケイナに伝えると、﹁すぐ にお部屋で清めさせて頂きますわ。どうかご安心くださいませ﹂と 平然としたり顔で返答された。 案内された部屋は、以前の私の私室よりも相当広くて豪華だった。 寝台がやたら大きい。私が100人くらい乗れそうだ! 窓際の飾り棚には色んな小物が置いてあり、中でも目を引いたのは 丸い球体の形をしたオシャレな置物だった。 見た途端、私の目が輝く。可愛いものは大好きなのだ。 早速近寄って眺めてみると、透明な丸い球体の中に濃紺の夜空と月 915 と星が入っていて、見る角度によって朝昼夜と中の景色がクルクル 入れ替わった。 ⋮⋮面白い!いったいどういう造りでこんなふうに見えるんだ?! ﹁⋮⋮コホン!姫様、それはワルシェの建国祭でグラン様が姫様の 為に買ってくださった贈り物ですわ!﹂ ﹁グランが?私の為に?﹂ 意外だ。もしそれが本当ならば、ヤツは私の好みを恐ろしいほどに 熟知している。 が、その隣にあるこれはなんなんだ? クマのようにずんぐりむっくりしたむいぐるみが異様にべったりく っつき、熱烈にラブラブしているのだが⋮⋮ ﹁コホン、それは同じくワルシェの建国祭のイベントで、お二人が ベストカップルとして優勝された時の景品ですわ﹂ なるほど、景品か。グランの趣味じゃなくて、良かった。 916 夕食までまだ時間があるので、まずは湯浴みする事にした。 ケイナの介助の元、ドレスを脱いでギョッとする。 なんだかよく分からないのだが、身体中至る所に赤い跡がある。 しかも下着の汚れは月のものではなかった。色が違う。なんだか白 くもったりとしていていた。 それに、なんだか以前より胸が大きくなったような気がする。 自分の身体の変化に戸惑う。自分の身体なのに自分のものではない ようだ。 もしや、周囲の反応といい、この部屋の様子といい、身体の変化と いい、グランと結婚したという話は本当、なのか? 途端、ゾックーーーッッ!!と全身が震撼した。 なんか、これはマズイような気がしてならない。一刻も早く逃げた ほうがいいのではないだろうか? かつての私がどうだったのかは知る由もないが、少なくとも今現在 の私は荒ぶる漆黒の野獣から生還する為の術が全く分からない。こ れでは丸裸で戦場に立つようなものだ! さっさとグランに事情を説明し、しばらく距離を置くべきだ⋮⋮! 917 が、遅かった。 ﹁ご夕食のお時間になりましたらまた参りますわ﹂と言い置いてケ イナが去って間もなく、グランが部屋に戻ってきた。 私は咄嗟に二人に厳重に言われた通り、いたって新妻らしく、軍務 を終えた夫をにこやかな笑顔で出迎えた。 ﹁グラン。おかえ、ンん、ン︱︱⋮⋮ッッ?!?!﹂ グランは私を目にするなり、ガッ!とそのガッチガチの筋肉でいき なり私を捕獲し、息つく暇もなく唇を貪ってきた。 ちょ、な、なんだなんだ、この目にも留まらぬ強襲は︱︱︱︱?! まるで強く想い合った恋人同士が数年ぶりにようやく再会したかの ような熱烈っぷリだ⋮⋮!! しかも極めて超濃厚だった。 一切の隙間なく唇がビッタリとはりつき、胸焼けしそうな熱い吐息 が口内から肺に吹き込まれ、唇を強く押し付けられて開かされた空 洞に肉厚な舌が猛然と押し入ってくる。 918 っく⋮⋮!凄まじい特攻だ!よもや本日の軍の訓練内容は捨て身の 特攻訓練か? だとしたら凄い、我が軍が世界最強とまで謳われるようになった所 以が身を持ってよ∼∼く分かる。 このスピード、このパワー。もはや不意打ちとか強襲とかそういう 次元の問題ではない、力の差が歴然とした覇者による一方的な殺戮 に近い!! ッ、だが待て待て待て待て!!私達は夫婦ではなかったのか? なぜ出迎えた早々、夫から全軍総攻撃をくらわなくてはならないの か。 いったい私は⋮⋮この男と、どんな夫婦生活を送っていたんだ︱︱ !? 919 ROUND29:野獣騎士の猛攻 ﹁ン、ん︱︱︱︱ぁ、アッ!﹂ 一心不乱に私を貪っていた唇が口元から顎、喉元へと這い下りてき て、ゾクゾクーーッ!と背中全体が粟立った。 開いた唇が肌を熱く這い、肉厚な舌で舐めあげられ、きつくきつく 吸われてはまた這い回り、その唇が通った道が熱く熱く燃えあがる。 成熟した男の匂いを立ち昇らせながら、深い深い漆黒の瞳が燃える ような眼差しで私を見つめてきた。 ﹁ひ、め⋮⋮⋮⋮お身体は﹂ ﹁へ?﹂ ズッシリと胸の奥まで鳴り響き、背骨が粉々に砕けそうな重低音と ともに、とんでもなく大きな手が私の後頭部を壊れ物のようにそっ と包み込んだ。 ﹁怪我なら心配ない、大丈夫だ﹂ 920 そう伝えると、骨も折れんばかりにギュウゥーーッ!!と抱き締め られた。 ッッ︱︱︱︱?!ちょ、おまッ、お前の抱擁の方がよっぽど危険だ ⋮⋮!! 今、背骨がポキポキポキッ!っていった⋮⋮!! 背と胸が強烈に圧迫され、肺を膨らますことができない。とどのつ まりは無呼吸状態、息、できな⋮⋮!! ミチミチに詰まった超絶筋肉に押し潰され、うっかりフェードアウ トしそうな意識を必死で保っていると、 ﹁ッ、心臓が、凍る、かと⋮⋮⋮⋮!﹂ と、とんでもない悲壮感が漂う重々しい呟きがこめかみを熱く濡ら し、心臓がカッと熱くなった。 ⋮⋮え?えええ?!ちょ、ちょっとなんだ、この反応は?! グランの一挙一投足に勝手に過剰反応する自分に、頭が激しく混乱 した。 921 王女である私にとって、グランは国軍のトップであり、父上の右腕 だ。 ただそれだけの存在なのだが、こんなにも溢れんばかりの熱情を込 めて心底身を案じられてしまうと、なんだかよく分からんが、つい うっかり絆されてしまいそうになる。 ヤツに吸われた唇も首も焼け野原と化しジンジン熱く、頭がぼうっ として足もフラフラ、なんだか地に足が着かない心地だ。 で、足をワキワキさせたら、ホントに足が地に着いてなかった。 しかもお腹の辺りになんだか硬く尖った巨大なものが突き刺ってい る。って、コレはまさか︱︱︱︱?! 衣服すら突き破り、腹部に直接のめり込んできそうなほどガッチガ チのソレは、何よりも雄弁に今現在のグランの心情を熱く語ってい た。 ﹁一刻も早く、貴方の中に、帰り、たい﹂と。 そうか、ヤツにとっての帰宅は私の中に押し入る事なのか。だから 帰宅の挨拶はまだ無いと。なるほど、納得だ⋮⋮! 922 って、いやいやなんかおかしい!明らかになんかおかしいだろ⋮⋮ !! ついでにこの大きさもなんかおかしい。どう見ても人間の範疇から 逸脱している。私の身体には入らなさそうだ!! だが、私とヤツは夫婦だったという。 という事は⋮⋮この伝説の魔剣並の超大型武器をかつての私は受け 入れていたのか? いやいやいやいや、無理!!!絶対、無理︱︱︱︱!!!!! 923 ROUND30:野獣騎士と破滅の呪文 絶体絶命の窮地に追い込まれた私の頭の中にケイナの助言が鳴り響 く。 ﹃グラン様を拒む発言をしてはなりません!口にしたが最後、姫様 がご幼少時よりお過ごしになられたこのお城が一晩で崩壊致します !﹄ 拒むなとは、この、とんでもなく筋肉質な鎧の如き身体を拒むな、 という事か? この、痛いほどに腹部をガンガン圧迫してくる超巨大古代武器を喜 々として受け止めろ、と? ⋮⋮⋮⋮⋮⋮ハッハッハッハ! 私は笑った。心の中で、思いッきり。 そして瞬時に決断した。⋮⋮⋮⋮ヨシ、全部話そう! さすがの私もこんな禍々しい代物で身体が真っ二つに引き裂かれる のは御免こうむる⋮⋮! 924 私が記憶を失っているという事実をさっさと告げよう! ﹁ッ、グラッ、聞け⋮⋮⋮⋮ッッ!﹂ 猛獣を全力で拒否りつつ、会話を試みた。 が、びくともしない。腕がブルブルブルブル震えるばかりだ! むしろ暴れれば暴れるほどに鋼鉄の如きの肉体が膨張し、拘束がよ りきつくなっていくのはいったいどういう事だ?!ヤツは新手の拷 問具か?! 暴れているうちに、いつの間にやらフワフワした場所にボスンと押 し込められ、どうやらそこが寝台らしいと認識する頃にはゴッツゴ ツの超重量級の肉体に押し潰されていた。 じいいぃ⋮⋮っと燃え盛る暗黒の瞳に凝視される。 っ、ひ⋮⋮め、と押し殺した苦しげな呻き声とともに、尖ったもの を股の間にググと押し付けられ、ベチャクチャと唇と口内を食べら れながら、胸をガッと掴まれた。生で。 見ると、己の白い胸が露わになり、巨大な手でガッシリと鷲掴みに されていた。 925 柔い胸に太い指が何本もガッツリ食い込み、輪郭がクネクネ波模様 に変形している己の乳房を目の当たりにし、無性に怒りが湧いてき た。 なんなんだ、この男は⋮⋮獣か?! 話が通じないにも程がある⋮⋮! 思わずカッとした私は、寝台のサイドテーブルに置いてあったペン をヤツに突き刺した! ﹁ッく⋮⋮ッ!!ひ、め⋮⋮⋮⋮!!﹂ 渾身の一撃! 野獣グランを倒した!! ⋮⋮となるはずだったのだが、そうはならなかった。 握ったペンはてんで刺さらず、なんとペン先がポッキリ折れていた。 ついでに本体も真っ二つに折れ、2本に増えていた。⋮⋮⋮⋮な、 なにいいい⋮⋮?! 926 グランとペンで、ンー!グランペン!!にならなかった、だとオオ オ︱︱︱︱?!?! もはやてんで役立たずのペンを握りしめる私に、凶暴かつ獰猛な漆 黒の猛獣がドオオオオーー⋮⋮ッ!!と襲い掛かって、キターーー ー!!!⋮⋮⋮⋮ぎゃあああ⋮⋮⋮⋮!! 荒々しく唇を塞がれながら胸をガッツリ揉み込まれる。 震える手で性急に下着をずり降ろされそうになり、全身をひた走る 物凄い危機感に、私は思い切り叫んだ! バルス 世界を滅ぼしかねない、破 滅 の 呪 文を。 ﹁ッ⋮⋮やめ⋮⋮ろ!!じゃないと、お前とは、もう、離婚、だ︱ ︱︱︱ッッ!!!﹂ 927 ROUND31:野獣騎士の妻の破滅︵18禁的な意味で︶・前 編 ﹁お前とは、もう、離婚、だ︱︱︱︱ッッ!!!﹂ 分厚い胸板を押しのけ、グランを全力で拒んだ! すると。 ガッッシャーーーン⋮⋮⋮⋮!!!と、世界が粉々に割れる音がし た。 ⋮⋮⋮⋮⋮⋮え?雷?今、超特大の雷槌が落ちたのか、ココに?! そんで、世界、割れ⋮⋮?え、ええええーーーー!?!? 伸し掛かるヤツの身体から、ギ、シシシ⋮⋮ィィッッ!!と錆びつ いた大型機械が急停止したかのような異音がし、ガチムチな筋肉が 更にガッチガチに膨張硬直し、思わず圧死しそうになる。 驚愕に見開いた暗黒の瞳に凝視され、ゾクゾックゥ︱︱︱︱ッッ! !と背筋を大悪寒が駆け抜けた。 その目は⋮⋮⋮⋮死んでいた。 928 暗黒魔王の如きその闇の瞳からは一切の光という光が消え失せ、絶 望の虚無が延々と広がっていた。 な、なんなんだこの不穏な空気は⋮⋮壁とか窓がミシミシいってい るのだが?? まるで地獄の底に引きずり込まれそうな⋮⋮⋮⋮ ⋮⋮⋮⋮︱︱︱︱ッッッ!!と目の前の男が、大地がひび割れんば かりの仰々しさで咆哮した。 物凄い殺気だ⋮⋮!ここは戦場か?! ﹁⋮⋮︱︱︱︱︱︱で、す、﹂ ﹁へ?﹂ 口を動かすのも億劫になるほど重ッ苦しい空気の中、地を這うしゃ がれた重低音が、聞こえた。 だがその声は掠れに掠れ、ビッシバシにひび割れて、いったい何を 言ってるんだか全然分からない。 再度ヤツが吠えた。胸が潰れるような苦痛な叫び。 929 ﹁ッッ、絶⋮⋮⋮⋮に、離︱︱︱︱ま、せ︱︱︱︱ッ⋮⋮⋮⋮!! !﹂ ⋮⋮⋮⋮甘く考えていた。 ヤツを拒んだら、世界が破滅など︱︱バカバカしい、と一笑に付し ていた。 だが、それは本当だった。 本当に破滅した。 ただし、世界ではなく︱︱私が。 ﹁ッッ、やめ⋮⋮⋮⋮っ、ぁああああ︱︱︱︱!!﹂ ﹁︱︱︱︱ぁあ⋮⋮ッ⋮⋮⋮⋮!!﹂ 930 ガッ!!と足がとんでもなく割り開かれ、ゴッッ!!と岩のように 固いモノが股にぶつかったかと思うと、下着すら引き裂いて、とん でもない質量のモノで身体を串刺しにされた。 ﹁は、ぅ!!ぁ、ひ⋮⋮⋮⋮ッ!!﹂ ﹁は、っく︱︱︱︱ッ!!﹂ ⋮⋮⋮⋮な、なんだコレは⋮⋮︱︱︱︱?!?! この硬質具合、巨大さといい、何かの凶器が埋め込まれているのか ?! ﹁ヤ⋮⋮ッ、やめ、ろ⋮⋮⋮⋮ッッ!!﹂ 渾身の力で伸し掛かる巨体を押し返そうとするも、腕がブルブルブ ルブルと震えるばかりで、ムッキムキに膨らんだ胸筋によって両腕 が簡単に押し潰された。 ﹁⋮⋮⋮⋮ッッ、ひ⋮⋮め、姫︱︱︱︱ッ!!﹂ ﹁んあ!や、ぁぐ︱︱︱︱ッッ!!﹂ ズ⋮⋮ブッ!と熱り立つ巨根が私の中に入り込んでくる。 931 ⋮⋮⋮⋮あり得ない。自分の身体が信じられない。私の中はブラッ クホールか⋮⋮?! ﹁っや、めっ!!ぁ、う!!﹂ ﹁っく、ひめ⋮⋮ッ、ぁ︱︱︱︱!!﹂ グボッ⋮⋮グチッ⋮⋮と巨大なもので自分の体内が押し広げられて いく。 これ以上の異物混入を防ぐため、歯をきつく食い縛り、足を閉ざし、 身を固くし、必死で抗うも、ヤツの息使いは益々荒くなるばかり、 内部への圧迫は激しくなるばかりで、私はまるで死にかけの兵士の ようにぐはあ⋮⋮っ!!と呻いた。 狭窄とした中をビクンビクンと大きく波打つ杭に強引に貫かれ、力 無く喘ぎ、カクカクと膝を震わせていると、荒々しい息にまみれた 掠れ声で懇願された。 ﹁っぁ、ひ、め︱︱︱︱もっと⋮⋮足を開いて、くださ⋮⋮っ﹂ ﹁イ、イヤ、だ⋮⋮!!!﹂ 断固拒否した。当然だ、これは正当な自己防衛だ!! 932 今でさえ苦しいのに、これ以上は死ぬ死ぬ⋮⋮⋮⋮!! なのに、ヤツはなぜかゴクリと唾を飲み込み、世にも熱い息でこう 言った。 ﹁っ、貴方の、奥、に⋮⋮﹂ ﹁っく、やめ、ッ!!ぁ、ああ⋮⋮︱︱ッッ!!﹂ あろうことか膝をガバアッと広げられ、グッチュウ⋮⋮!と雄々し い全長を根本まではめ込まれた。 更に、ズン⋮⋮ッ!!と腰の奥を強烈に突き上げられた。 ﹁っっ⋮⋮⋮⋮ぁ、ああァあ︱︱⋮⋮⋮⋮!!!﹂ 933 ROUND32:野獣騎士の妻の破滅︵18禁的な意味で︶・後 編 ﹁ひ⋮⋮︱︱︱︱ぁッッ!!!﹂ グボオ⋮⋮ッッ!!と容赦なく最奥まで突き進んできた巨塊に、息 が止まり、全身が硬直する。 猛りに猛った剣が身体の奥の一番狭い場所にぐっさりと突き刺さり、 ビクビクと全身が痙攣した。 ﹁ッ、ぁ、姫︱︱︱︱!!﹂ グランがたまらないというふうにその精悍な唇を震わせ、唸った。 そして心底苦しげに顔を歪ませながら、私の中にソレをガッツリ埋 め込んだまま、突然ガツガツと腰を振り始めた。ぁ、ああああ⋮⋮ ⋮⋮!!! ﹁ひ、め、っは、ぁ⋮⋮︱︱ッぁ!!﹂ ﹁あッ!!⋮⋮ぁあ、ァあッッ!!﹂ 強引に押し広げられてジンジン疼く中を、何度も何度もグチャグチ 934 ャにされる。 膨張した雄の塊が身体の中で獰猛に暴れまわり、グボォ⋮⋮ッ!! と奥底まで叩き上げられる重い衝撃に、肺が焼け、呼吸困難に陥り そうだ⋮⋮! ﹁ッァ、ぅ、動く、な、やめ⋮⋮⋮⋮ッ!!﹂ 虫の息で必死に抗う。だが、抗えば抗うほど、ヤツの勢いは止まる どころかより熾烈になっていく。 ﹁ひ、め、っは、ぁ⋮⋮︱︱ッく!!﹂ ﹁ヤダ、やっ⋮⋮⋮⋮ぁあァあッッ!!﹂ 好き放題中を突かれ抉られ捏ね回され腰が炎上する。 重く激しい打ち込みで全身に延焼が広がり、頬や喉まで焼け爛れて いく。 ﹁ぁあッ!!っひ、ん⋮⋮!!ぁ、ぅ⋮⋮⋮⋮ッ!!っは、ああぁ ⋮⋮⋮⋮っ!!﹂ グチャン!グチャン!と延々とド鬼畜に出し入れされ、早くも何か 935 が爆発しそうになる。 中のものもビクビクとのた打ち回り、強烈な摩擦で目から火花が飛 び出しそうだ⋮⋮!! ﹁っ、は、っく⋮⋮ぁ︱︱︱︱ひ、め︱︱︱︱!﹂ と、突然ヤツがガッ!!と私を抱き込み、グチャグチャッ、グチュ グチュゥ⋮⋮ッ!!と狂ったように奥壁を抉ってきた。焼け付く呼 気を飲み込みながら、幾度となく、何度も何度も。 腰を抱えられ、頑強な腰がガツガツとぶつかってくる。 そしてゴリッ、グチュウッ⋮⋮!!と身体の奥の更に奥、未知の領 域にまで張り詰めた先端を強引に捻じ込まれた。 ﹁や⋮⋮め、ッッぁあ!!ぁあ⋮⋮⋮⋮!!!﹂ 瞬間、頭が真っ白になった。 身体の奥深くで灼熱の塊がビクビクビクゥ⋮⋮ッ!と大きく波打つ 感覚にドキン!と心臓が跳ね上がる。 え、ちょ、ま さ か︱︱︱︱ 936 ﹁ッ⋮⋮やめ、グラ︱︱ッッ!ぁ、ぁあ⋮⋮⋮⋮!!!﹂ 本能的な恐怖に慌てて腰を引こうとするも、ガッ!!と腰骨を捕ま れ、ガッツリヤツの腰に固定された。 ﹁っ⋮⋮⋮⋮姫!!っは、ぁ⋮⋮⋮⋮く︱︱︱︱ッ!﹂ ﹁ッあ、ぁう、っ⋮⋮ぁあ︱︱︱︱ッッ!!﹂ ﹁ッッ⋮⋮︱︱︱︱︱︱く!!﹂ 逃れられないまま、身体の中でド、クン⋮⋮︱︱ッッ!!とヤツが 大きく破裂した。 ビュク、ビュク︱︱ッと腰の奥に熱い飛沫が大量に注がれる。 掠れた切ない声を漏らし、強靭な肉体を断続的にガクガクと打ち震 わせ、ヤツが何度も何度も注ぎ込んでくる。 ﹁っヤ、っぁ、はあ⋮⋮っ、ンん︱︱︱︱︱︱っっ!!﹂ ﹁ッぁ、ひ、め︱︱︱︱︱︱!!﹂ 937 いったいなにが起こったのか分からない。 強引に身体を繋げられ、勝手に子種を吐き出された。 だがそれは、私の破滅︵18禁的な意味で︶へのほんの序章に過ぎ なかった事を、すぐさま思い知る事になったのだった。 938 ROUND33:野獣騎士の離婚阻止 ﹁ぁ、く⋮⋮ッ!!﹂ ﹁ひ、アッ!ぁあ︱︱⋮⋮ッ!!﹂ グジャッ⋮⋮!グジョッ!と自分の下肢から訳の分からない音が延 々と鳴り響く。 あの後、中に吐き出され呆然としてる間に衣服は全て剥ぎ取られた。 同時にヤツも一糸まとわぬ身となり、ガッチリ腰を抱かれたまま身 体を抱き起こされ、ヤツの硬い太腿の上で激しくバウンドし続ける 羽目になった。 体内を思いッきり串刺しにされる衝撃に何度も奥歯を噛み締める。 頭がおかしくなりそうなこの衝撃を少しでも逃せないものかとヤツ の分厚い胸板をグググと押し返してみたり、足を固く閉じようとし てみたが、全て無駄な徒労に終わった。 鬼のような激しい突き上げで、更に腰が落ちる瞬間にもガツン!と トドメをさされ、容赦なく奥まで突き刺さってくる巨根に何度も脳 内が焼け飛んだ。 939 ﹁ぁあっ!!はぁっ!!っひ、ん︱︱︱︱!!﹂ ﹁ひめ、ひめ⋮⋮︱︱ッ!﹂ 野太い掠れ声で唇を濡らされながら、裸の上半身が熱く擦れ合い、 ボッコボコに盛り上がった胸筋で乳首が押し潰され、上下するたび に激しく擦られ、腰がビリビリと燃え上がる。 ヤツは物凄い筋肉の持ち主だった。腕も太腿も鋼のように固く、私 をガッチリと拘束し続けた。 私の中に埋め込まれている巨大な棍棒︵18禁的な意味で︶も凄か った。 一度中にたっぷりと注がれたせいで実に滑りよくグチャグチャヌル ヌルと身体の中を暴れ回り、さっきよりもより獰猛に好き勝手に腫 れた粘膜を抉りまくってくる。 喉奥まで食い尽くすように口内を舐られ、ツンと尖った胸の先端を 節くれ立った太い指の間できつく挟まれ押し潰されながら、地獄の ように腰の奥をゴンゴン突き上げられ、さすがに意識が朦朧として くる。 そんな中、ガッツリ臀部ごと鷲掴まれ、腰を思いッきり引き下げら れながら、獰猛かつ切実な唸り声で懇願された。 940 ﹁っぁあ、姫⋮⋮⋮⋮言ってください、私から、離れないと︱︱︱ ︱!!﹂ ﹁︱︱︱︱ッッひ、ぁアあ!!﹂ グボオォッッ⋮⋮!と身体の奥から凄まじい狭窄音が破裂し、これ 以上無いほど子宮をググと押し上げられた。 私を見下ろすその漆黒の瞳は煉獄の炎が燃え上がり、吐く息も鼓動 も超弩級の荒々しさだ。 膨張した先端で固く閉じられた奥までグ、リッと抉じ開けられそう になり、唇がブルブル、顎がカクカクだ⋮⋮!! ﹁あ、ぁ⋮⋮⋮⋮どうか、言って、ください、ひめ、私から、一生、 離れないと︱︱︱︱!!﹂ とんでもない苦境に追い込まれているのは私のはずなのに、なぜか 私以上に苦痛で歪んだ死にそうな顔でグランがそう訴えてきた。 精悍な口元は弱々しく震え、全身に張り巡らされた分厚い筋肉が最 高の硬度を保ったまま、淫らな汗に濡れそぼり打ち震えている。 だが。 941 ﹁ッッ、イ、イヤ、だ⋮⋮︱︱!!!﹂ 私は叫んだ!全裸でギッチギチに繋がりながらも、キッパリと断固 拒否した!! すると、次の瞬間。 ギ、ぎ⋮⋮⋮⋮ッッッ!!と大変不吉な不協和音が、自分の身体の 中で、した。 バーサク状態だか瀕死状態だかのヤツの肉体から、なにかおどろお どろしいモノが漏れ出す。 その禍々しい暗黒の渦はたちまち世界を覆っていき︱︱︱︱えええ え⋮⋮⋮⋮?!?! 目の前で勝手に爆誕した暗黒魔王は、骨を削るが如きざらついた低 音で、世にも恐ろしい破滅の予言を下した。 ︱︱︱︱勿論、私の、破滅の。 942 ﹁ッッ⋮⋮⋮⋮どうか、私を、拒まな、ッッでなければ⋮⋮⋮⋮私、 は、貴方を壊、して︱︱︱︱ッッッ!!!﹂ ⋮⋮⋮⋮ッッッ、アぁ、ぁあ、あ︱︱︱︱︱︱!!!! 943 ROUND34:野獣騎士の胴上げ︵18禁的な意味で︶ ﹁アぁ、ぁあ、あァあ︱︱︱︱!!﹂ ゾオオオオオオオ︱︱︱︱︱︱ッッッッ!!!と原始的な大恐怖が 私を襲った。 で、咄嗟に叫んでいた。 それはもう、鬼のような早さで。 ﹁分かっ!!っ離れ、なッ︱︱︱︱ッッ!!﹂ ⋮⋮⋮⋮すると。 ヤツの動きが、ピタリと止まった。 ついでに中の侵攻も、ピタリと止まった。 944 ギギ、ギッ!と機械仕掛けの人形の如く首だけ動かして、ヤツが私 を、見た。 魂の深淵まで深く深く覗き込むように、じいいい︱︱っっっと。 ﹁⋮⋮⋮⋮ほ⋮⋮ん、とう、です、か﹂ 安物の鶏胸肉のようにパッサパサに乾いた声音で、ヤツが言った。 私はすかさず答えた。 ﹁離れな、と言って、る⋮⋮!!だか、ら、っっ﹂ 今 は、全 力 で、離 れ ろオォーーーー!!! と、そう告げようとしたら。 物凄い大歓喜の渦が、襲いかかって、キターーーー?!?!ッッッ えええええーーーー?!?! え、ちょ、大歓喜の渦ってなんだ?!歓喜って目に見えるモノなの 945 か?!いや見えないだろう! でも、見える⋮⋮世界中でただ一人、この私に向かってゴウゴウと 渦を巻いて迫り来る、強烈な大歓喜ストリームが⋮⋮⋮⋮!!!っ っっアああああーーーー!!! ッギュムウウウウ!!と超全力で抱き締められ、歓喜にガタガタ震 える唇が猛然と襲い掛かってくる。 そして、グチョン!!グチュン!!とヤツの腰の上で激しく胴上げ ?された。ええええ︱︱︱︱?!?! ﹁っン、ふあッッ!!ちょ、ぁ、ふアッ⋮⋮ァああ!!﹂ ﹁ッッっぁ、は、姫ッッ⋮⋮!!っく︱︱︱︱ッッ!!﹂ ただでさえボウボウと燃え上がる内部をガッツガツ抉られ、何度か 瞬間的に意識がブッ飛んだ。 ッッオォイコラーーーー!!!お前はカープ女子か?!?!いくら 優勝?したからって、にわかに胴上げ万歳三唱するなあああーーー ー!!! それはもう、物凄い喜びようだった。 946 私は、決して、貴方を、離、ませ︱︱︱︱ッ!!という勝利宣言? とともに、ヤツの喜びの具現化したモノが私の中にグサグサ突き刺 さり、ぶっちゃけ吐き出された精液が更に身体の奥へと奥へと捩じ 込まれた。 恐ろしいことに、私の身体がこの巨大な異物の侵入を明らかに悦び 始めていた。 グボッ!グボオッッ!!と容赦なく奥に突き進んでくる巨塊に、腫 れ上がった内部がギチギチとまとわりつき、大きく脈動する塊をい やらしく扱き上げる。 中のものが歓喜に益々ビクビクとのた打ち回り、世にも強烈な快楽 で全身がメラメラと燃え上がった。 ﹁ぁ、ぅう、ぁああ⋮⋮︱︱ん!!!﹂ ﹁っひ、め⋮⋮ぁあ!っっ⋮⋮⋮⋮く!!﹂ ﹁アぅッ!!あ、ッひ︱︱ん⋮⋮!!﹂ 散々巨根で激しく掻き回されグチャグチャでドロッドロの内部が奥 の奥まで容易にソレを受け入れ続けた。 グジョッ!!ッグジュ⋮⋮!!とけたたましい音が下肢から鳴り響 947 く。 何度もきつく吸われ続ける唇。 もげんばかりに上下に揺れ動いて厚い胸板に擦れまくる胸。 硬い下腹部にぶち当たる子宮の膨らみ。 まさに満身創痍の状態でガンガンに貫かれ続けた。 強引に快楽を呼び起こされ、身体の奥がヒクヒクと痙攣しだす。 ﹁アッ⋮⋮あぅ︱︱︱︱ひッッ!!﹂ ﹁ぅッ、ぁあ⋮⋮⋮⋮ひ、め、ッ、!!﹂ 一際低くグランが呻いて動きを止めた。 と思ったら、猛獣のように喉奥で唸りながら、その巨根でズンズン と私を突き上げた。 ッッッッあぁあああ︱︱︱︱!!! 948 ROUND35:野獣騎士の懇願 ミッチミチに膨らんだ先端が奥底にぶち当たるたび、痙攣がどんど ん激しくなる。 やがて全身を巻き込んだ大きなうねりが襲い掛かってきた。 ドロドロに蕩けてもうもうと湯気まで出そうな熱い肉体で思いッき り揺さぶられ続けた挙句、最後は文字通り天国まで胴上げされた。 ﹁あああッ!!ああん!あん!!﹂ ﹁ッく、ぁ、ッッひ、め﹂ ﹁ッア、も、や⋮⋮ッ、く、アああ!!ダメ、ィ⋮⋮⋮⋮ッく︱︱ ッッ!!﹂ ﹁ッ、ッッ⋮⋮⋮⋮!!!﹂ ガクガクガク⋮⋮ッ!!と角ばった動きで全身がはね飛んだ。 ギュギュッッ!!と身体の奥が地獄のように締まり、膨張しまくっ たその形をまざまざと感じたところでたまりにたまった熱が決壊し た。 949 何度も突き上げられ腫れぼったくなった粘膜にビッタリとくっつい た先端からドプドプと大量の熱が際限なく雪崩打つ。 お腹と腰がボウボウと燃え上がり、吐き出されたものを一滴残らず 貪欲に吸い上げようと激しく収縮し続けた。 更におかわりが欲しいとでも言わんばかりに、精液を吐き出した後 の肉棒を根本からキュウキュウ扱きあげようとする内部に愕然とす る。 っく︱︱︱︱!!い、いったいどうしたんだ、私の身体は︱︱︱?! 記憶を失っている間、いったいどんな天変地異が起こったんだ︱︱ ︱︱?! ヤツの暴挙に対し、勝手に歓びまくる自分の身体に思いッッきりド ン引きする。 吐き出してもまだ雄々しく私の中で起ち上がり続けているそれのせ いで、疲弊しきった身体をくったり猫背にすることもできない。 そして高熱にうかされた漆黒の瞳でまたしてもドッと押し倒され、 吐き出した子種の量を確かめるようにゆるゆると掻き回された挙句、 その粘ついた動きにまたしてもビクンビクンと身体が勝手に震え始 め、次第に息を荒げ始めたヤツにビチャビチャグチャグチャパンパ ンとはめられ続け、更にもう一度大量に吐き出された後。 950 今度こそ、しっかりと事情を話すことにした。 婚約以降の記憶がまったくない事をグランに告げると、ヤツの顔が 一瞬で土気色になった。 ﹁ひ⋮⋮⋮⋮め⋮⋮それは、本当、ですか﹂ ﹁本当だ。私も聞きたい。私がお前と結婚したというのは⋮⋮本当 に、真実か?﹂ ﹁は、い﹂ 丸っきり生気ゼロ、まるでゾンビのような顔色で重々しくグランが 頷いた。 ﹁真実、夫婦の関係にあったと?﹂ ﹁は、い﹂ こっちまでズーーンと地の底までのめり込みそうな重苦しさで返答 された。 951 かなりの衝撃を受けているのだろう、その漆黒の瞳は暗黒の虚無を 見つめ、大きな拳がブルブル震えていた。 う∼む。どうやら本当のようだ。 だが、やはりどうしても思い出せないものは思い出せない。 ﹁すまないが、思い出せない﹂ ﹁ッ、ひ⋮⋮め﹂ 二人の間を大ッッ変思ッ苦しい空気が流れた。 が、これだけは言っておかねばなるまい⋮⋮! なんとか少しでも雰囲気を軽∼くしようと、なだめるようにヤツの 肩に手を置いた。 ﹁⋮⋮コホン。という訳で、今夜から私は別室で寝る。今の私はお 前とともに居ることはできない。分かってくれるな?﹂ そう伝えると、グランは呆然と目を見開いたままじっと動かない。 しばし待ってみたが、呼吸が止まってしまったかのように一ミリた 952 りとも動かない。 仕方なく、再度すまないと言い残し、部屋を去ろうとしたら、突然 ガッ!!と背後から猛烈に抱き締められ、悲痛な呻き声で懇願され た。 ﹁ッ⋮⋮!姫、どうかお願いです、私と、ともに﹂ ﹁だが、﹂ ﹁お願いです⋮⋮⋮⋮!!貴方に、忘れられても⋮⋮愛されて、い なく、とも︱︱︱︱それでも、私は⋮⋮⋮⋮貴方の傍に、いたい﹂ 背から大きな震えが伝わってくる。 まるでこの願いが叶わなかったら世界が終わるかのような切実さに、 結局ついうっかり承諾してしまった私だった。 953 ROUND36:野獣騎士と他国の男 さて、今日から私とグランの結婚式典に参列する来賓が続々と来る らしい。 結婚式典。私と、グランの。 いいのだろうか。肝心の花嫁が花婿と結婚に至ったいきさつをまる っと忘れているのだが⋮⋮ 記憶喪失の花嫁など、王族の結婚式典では前代未聞の状況ぬなので は? だが、もはや動き始めている国の大きな祭事を一個人の理由で取り やめる訳にもいかない。 あの後。 夕餉の後もグランの強烈な視線が全身に絡まってきて、約束通り同 室で寝る事になった。 正直とことん突き上げられたせいで身体の内側が非常に重い。未だ ジンジンと熱を放っていた。 954 で、夫婦としての行為は私の記憶が戻るまで断固拒否の意を告げる と、っ⋮⋮分かり、まし、たと大変重々しい了承が返ってきた。 もしやまた問答無用で襲い掛かってくるんじゃないかと内心戦々恐 々していたが、そんな事は一切なかった。 グランはその太い腕で私を抱き締めたまま、じっとしていた。 時折手の甲を擦られたり、後頭部に唇が押し当てられる温みを感じ るくらいで⋮⋮時が経つにつれ背に低い唸り声が聞こえはしたが、 本当に何もしてこなかった。 私といえば、その逞しい腕の重みと身体の温みに、驚くほどスヤア ッと寝入ってしまったのだった。 で、翌朝目覚め、早朝から仰々しい服装で、同じくキッチリ正装し た父王とグランとともに来賓を出迎えた。 その男の出現に王の間がざわめいた。 一瞬、視界が炎に包まれたかと思った。 炎といっても朱ではなく、黄金の炎だ。 955 その燃えるような黄金の髪と煌めく眼差しを持つその男は、周囲の 視線を物ともせず、出迎える私達の元へと一直線にやってきた。 ﹁アシュレイよ。遠路はるばるよう来た﹂ ﹁ご無沙汰しておりました、叔父上。ちょうど国の奴らを喧しく思 っていた所です。渡りに船でした﹂ ﹁あ∼∼ちょこちょこ噂は聞いておった。まあ、お主も大変よの﹂ ﹁仕方ありません。王とはどこまでも責務が付き纏うもの。︱︱エ ルミア﹂ 不意に、父と同じ紫がかった蒼の瞳が私へと向けられた。 ﹁久しぶりだな。俺の即位式以来か?随分な不義理だな、我が従姉 妹殿は﹂ 冗談交じりの微笑。相変わらずヤンチャな性分は健在のようだ。 だがこうして面と向かって相対すると、随分背が伸びたようだ。 肩も以前よりガッシリとしている。 声も低くなった。よく通るその声は人を従わせる重みを纏っている。 956 何よりも変わったのはその風格。 即位して、王としての威厳が備わっている。 ﹁アシュレイ。この男がエルミアの伴侶となるグランじゃ﹂ 父王が隣に並び立つグランを紹介した。 アシュレイがグランにゆっくりと目を向けた。 ﹁噂は聞いています。大国の大軍を一手に動かす一騎当千の強者だ と﹂ 二人の男が、真っ向から相対した。 グランを一瞥し、何故か不敵に微笑むアシュレイ。 ただじっと、底の見えない漆黒の瞳でアシュレイを見つめるグラン。 ︱︱⋮⋮⋮⋮バチバチイイ︱︱︱︱ッッ!!! 957 何故か両者の間に激しく飛び散る火花と不穏かつ物々しい空気に、 妙に気圧される私だった。 958 ROUND37:野獣騎士と妻へのお土産 ﹁アシュレイ。部屋を用意しておる。まずは旅装を解いてくつろぐ がいい。エルミア、案内するがいい﹂ ﹁はい、父上﹂ 早速アシュレイの付添い人と我が国の侍女数名引き連れ、アシュレ イを部屋まで案内する。 何故か背に痛いほどの熱視線を感じるような気がするのだが⋮⋮気 のせいだろうか。 道中、軽い昔話などしながら隣を歩く。 なんだか不思議な感じだ。 当然だが、父と同じ髪と瞳の色なのにまるで雰囲気が違う。 以前はただのヤンチャ坊主だったというのに、並び立つその背はま っすぐ伸びて逞しく、王としての威厳を兼ね備えている。 ﹁エルミア﹂ 959 ﹁なんだ?﹂ ﹁お前は⋮⋮ああいう男が好みなのか﹂ 前を向いたまま、唐突にアシュレイがそう言った。 ﹁別にグランは、﹂ 私の好みという訳じゃない、とバカ正直に口から出そうになって、 咄嗟にゴックンと呑み込んだ。 さすがにそんな事を口にしたらマズいだろう。 だが、正直好みの男というものがイマイチよく分からない。 よく侍女達が理想の男というものについて激論を交わしていたが、 てんでついていけなかったしな。 などとつらつら考えていたら、妙に察しのいいアシュレイはすぐに 理解したようだった。 ﹁は、相変わらず正直だな。あの男は以前から叔父上のお気に入り なのだろう。︱︱国力をより盤石なものとする為の政略結婚、か。 互いに辛い立場だな﹂ 960 つまりこの結婚は100%父の意向によるものだと完全に読まれて いる。親子して思考がスケスケだ⋮⋮! 幼少からの知り合いなせいか、彼との会話はどう考えてもこちら側 の分が悪い。 仕方なく、話の矛先を変える事にした。 ﹁アシュレイはそういった相手は居ないのか?﹂ ﹁なかなか俺好みの伴侶が見つからなくてな。縁談の話が煩くて敵 わん﹂ ﹁王なのだから、好みとか言ってる場合じゃないだろう﹂ ﹁そうだな。だがお前も山程届いた縁談の書状で城中が埋まったと 聞いているぞ。さぞかし断りの詫び状を書くのは大変だったろうな﹂ は、と豪快に笑うアシュレイに憮然とする。 いやいや埋まってないから。ウチの城は年末のポストではない! ﹁あのシドニアの王にも言い寄られたんだろうが﹂ ﹁あぁ、そうらしいな﹂ 961 ﹁︱︱らしい?﹂ 紫がかった蒼の瞳が怪訝そうにこちらへと向けられる。 ⋮⋮はっ!いかんいかん、私がちょこっとだけ記憶を失っている事 は、一応第一級国家機密扱いなのだった。 ﹁あ∼、あれはすぐに解決した、問題ない﹂ 確かケイナとメガネ典医の話だと、王に攫われてすぐにグランが全 軍引っさげて怒涛のごとく私を奪い返し、シドニア王は即刻処断さ れた筈だった。 客間へと辿り着き、今宵はささやかな歓迎の宴がある旨を伝え、去 ろうとすると呼び止められた。 ﹁エルミア。いつもの、土産だ﹂ 付添人が恭しく差し出してきたものを私に手渡してきた。 丁寧に包装された長方形の箱。 962 それは勿論、私の好物、ウィッテドール銘菓 月の女神 だった。 ほころぶ私の顔を見て、アシュレイも破顔し、こう言った。 ﹁さて、この国も久しぶりだ。存分に楽しませてもらおう﹂ 963 PDF小説ネット発足にあたって http://novel18.syosetu.com/n6051bk/ 野獣騎士の暴走求愛(18禁的な意味で)からの逃げ方 2017年3月20日18時24分発行 ット発の縦書き小説を思う存分、堪能してください。 たんのう 公開できるようにしたのがこのPDF小説ネットです。インターネ うとしています。そんな中、誰もが簡単にPDF形式の小説を作成、 など一部を除きインターネット関連=横書きという考えが定着しよ 行し、最近では横書きの書籍も誕生しており、既存書籍の電子出版 小説家になろうの子サイトとして誕生しました。ケータイ小説が流 ビ対応の縦書き小説をインターネット上で配布するという目的の基、 PDF小説ネット︵現、タテ書き小説ネット︶は2007年、ル この小説の詳細については以下のURLをご覧ください。 964