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Title Author(s) Citation Issue Date URL Lipid metabolism in hepatic injury( Abstract_要旨 ) Ooe, Keiji Kyoto University (京都大学) 1961-09-26 http://hdl.handle.net/2433/210788 Right Type Textversion Thesis or Dissertation none Kyoto University 治 じ士 外博 え学 帥医 学 位 の 種 類 塵 江 大 氏) 【29 コ 号 学 位 記 番 号 医 学位授与の 日付 昭 和 36 年 9 月 26 日 学位授与の要件 学 位 規 則 第 5 条 第 1 項 該 当 研 究科 ・ 専 医 学 研 究 攻 学 位論文題 目 博 第 4 科 7 内 科 系 専 攻 L ipid m etabolism in hepatie injury (肝障害 にお ける脂質代謝) 教授脇坂行 教授 論文調査委員 三宅儀教授前川孫 二郎j 一 (主 査) 論 文 内 容 の 要 旨 珪酸 ・ カ ラム ・ クロマ トグ ラフィーによ り, 血清および臓器の コレステ ロールおよび燐脂質 の定量を行 な う方法 について基礎吟味を行 ない,遊離 コレステ ロールを試料 と して理論値 と測定値を比較 したところ, 再現率 は93% 以上, 同一試料の 4 回測定の結果 , 誤差 は 5 % 以 内であ ったO この方法 によ って, 肝障害時 の血清および肝臓脂質量の変化 について, 実験的な らびに臨床的研究を行 な った。 四塩化炭素およびェチオニ ンによる急性 肝障害 , 肝部分切除を白鼠 に行 ない, 血清 および肝臓 の コレス テロールお よび燐脂質の分画測定を行 な ったところ肝臓 にはエステル ・ コレステ ロールの増加 と燐脂質 の 減少を認めたO 血清脂質 は, コレステ ロール, 燐脂質 ともには じめ著 明に減少 し, 次 いで障害後48 ない し 72 時間で正常 または正常以上に増加 した。 しか し, 肝障害 の種類 による差 は認 めなか った。 四塩化炭素微量反復注射 による亜急性肝障害 白鼠では , 2 ない し 4 週間障害群 で肝 コレステロール の著 明な増加 を認 めた。 この傾向は白鼠 の雌雄問で差があ り, 正常群では肝 コレステ ロール, 燐脂質 ともに雄 のほうが雌 よ り大であるが, 四塩化炭素微量反復注射 2 週間群では有意 の差を もって雌 のほうが大である。 また, 去勢雄 白鼠およびテス トステ ロン投与雌 白鼠 に同様 の肝障害を行 ない, 肝および血清脂質量を上の 対照群 と比較す ると, 去勢は雄 白鼠の同様肝障害 に対す る抵抗性 を弱 めるに対 して, テス トステロ ンは雌 の抵抗性 を強めるとい う知見 を得 た。 家兎に対 して四塩化炭素急性 肝障害を行 な った結果 は, 著 明な高脂肪血を来たす以外は, 肝脂質 の態度 は白鼠の場合 と同様であ った。 以上の どと く, 薬物による実験的急性 および亜急性肝障害の際 の脂質代謝異常は, 肝臓 のエステル ・ コ レステ ロールの増加 と燐脂質 の減少 に要約 され, これは肝臓にお ける脂肪酸のエステル ・ コレステ ロール と しての蓄積であると推測 され る。 l 次にかか る肝障害時の脂質代謝異常に対す る各種肝疾患治療剤 の効果を検討 した。 オロチ ン酸の白鼠四塩化炭素亜急性肝障害 に対す る効果 は, 四塩化炭素 0.04m l 障 害 の場合 にのみ肝 エ ー 81 - ステル ・ コレステ ロールの増加 に対す る防止作用 を認めた。 オロチ ン酸, チオ ク ト酸, パ ン トテ ン酸, メチオニ ン, A T P お よび ビタ ミン B 1 を四塩化炭素急性肝障 害家兎に対 して, 単独 および混合投与を行 な った ところ, 脂質代謝異常に対す る正常化 作用は, オロチ ン 酸単独投与 およびオ ロチ ン酸 とパ ン トテ ン酸の混合投与 において最大であった。 各種肝疾患患者 の血清脂質を測定 した結果 は, 急性肝炎において初期 の低脂肪血 と コレステ ロール ・ エ ステル比 の低下 および これ に次 ぐ高脂肪血 の時期 のあることを認 め, また, 肝硬変 お よび急性黄色肝萎縮 の患者 において肝不全 の時期 における血清 コレステ ロ- ルの著 明な低下, 脂肪肝患者 における血清総 コレ ステ ロール ・ 総燐脂質比 の増加, な らびに閉塞性 黄症患者 における高脂肪血を認 めた。 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨 本論文 は珪酸 カラムクロマ トグラフ法 によ り実験的肝障害時 にお ける血清および肝臓 中の脂質の変動を 検索す るとともに, 各種肝疾患患者 の血清脂質を測定 してその臨床的意義を検討 した ものである。 従来脂 質 の測定法 と しては種 々の方法があるが, 得 られ た成績は測定法 によ りかな りの差があ る。 著者 は各脂質 を純粋 に分画定量 し得 る方法 と して珪酸 カラムク ロマ トグラフ法 を採 り上げ, まず本法 について基礎的吟 味を行 なった結果, その信頼度の高い ことを認 め, 本法を用いて肝障害時の脂質代 謝を検索 した。 すなわ ち四塩化炭素, エチオニ ンによる 急性肝障害 白鼠 および肝部分切除 白鼠では肝臓 のエステル ・ コレステ ロール の増加 と燐脂質 の減少を認 め, 血清 コレステロールおよび燐脂質はい ったん著 明に減少 した後正常 に複 し, または正常以上 に増加す るのを認めた。 四塩化炭素微量反覆注射による亜急性肝障害 白鼠では 2 - 4 週間障害群で肝 コレステ ロール の著 明な増加 を認め, この傾 向は雌 のほうが雄 よ りも強 く, また この ような脂質代謝異常を指標 と した場合, 四塩化炭素による肝障害 に対 して去勢 は雄 白鼠の抵抗性を弱 め, テス トステ ロン投与 は雌 白鼠の抵抗性 を強め るという知見を得 た。 次に このような肝障吾時 の脂質代謝異常に対す るオ ロチ ン酸, チオ ク ト酸, パ ン トテ ン酸, メチオニ ン, A T P , ビタ ミン B 1 等 の効果を検討 し, 四塩化炭素による辞急性 肝障害 白鼠においてはオ ロチ ン酸が肝 エ ステル ・ コレステ ロール の増加 を防止す ること, 四塩化炭素 による急性肝障害家兎においてはオ ロチ ン酸 お よびオ ロチ ン酸 とパ ン トテ ン酸 の併用が脂質代謝異常を正常化す る作用の強い ことを認めた。 臨床例で は, 急性肝炎 においては初期 の低脂肪血 とコレステ ロール ・ エステル比の低下および これ に次 ぐ高脂肪 血 を認 め, また肝硬変および急性黄色肝萎縮症 の肝不全時における血清総 コレステ ロールの著 明な低下, 脂 肪肝患者 にお ける血清総 コレステ ロール ・ 総燐脂質比の増加, 閉寒性黄症 における高脂肪血等を認め, こ れ ら肝疾患の診断な らびに予後判定に血清脂質 の測定が有意義な ことを認めた。 以上, 本論文 は最近発達 したあた らしい測定法 によ り肝障害時 における脂質代謝 を検索 し, 肝疾患の病 態生理 , 診断, 治療 に関 して有意義な基礎的知見 を加 えたもので, 医学博士 の学位論文 として価値 あるも のと認める。 一 一82 -