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金融の社会的意義に関する 一考察

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金融の社会的意義に関する 一考察
∼経営戦略情報∼
2006 年 3 月 7 日 全 13 頁
金融の社会的意義に関する
一考察
―――CSRの観点から―――
経営戦略研究部
河口真理子
企業の社会的責任(CSR)を考える上で、本業の社会的意義・社会的使命を把握理解
することは不可欠である。モノを製造する事業会社の場合、社会的意義は明白な場合
が多い。しかし、形のない金融業の社会的使命は漠然としている。本稿では、金融の
生い立ちを大まかに整理した上で、金融の社会的な意義を考察した。
その結果導き出された金融の社会的意義を、以下のようにまとめた。①モノと貨幣価値
を適切に結びつけること、②信頼される金融市場を維持管理すること、③金融取引が
実体経済に与える影響を把握し、それを金融取引の判断に組み込むこと、④持続可能
な発展のために金融の「異なる時点間での資源配分機能」を活用すること、⑤金融は
あくまでモノ(実物経済)の上に成り立つことをはっきり認識し、金融に携わる人間は
謙虚であること。
1.はじめに
企業の社会的責任(CSR)の考え方には、コンプライアンスからステークホルダーとの対
話まで、幅広い領域があるが、これらの活動は「企業のあり方を内側からと外側から再確認する
こと」と定義することができよう。「内側から再確認」とは、自社の社会における使命・存在理
由を企業が自ら自身で再確認すること。「外側から再確認」とは、企業を取り巻くステークホル
ダーとのコミュニケーションを図り、それぞれのステークホルダーの要望や要求に対してどのよ
うに応えていくのか、を追求していくことである。
この場合「自社の使命・存在理由を再確認すること」とは、自社の事業の社会的な意義を再
認識することと置き換えられる。製造業などの多くの事業会社の場合、この社会的な意義がおの
ずと明白な場合が多いと思われる。例えば食品業であれば、安全で美味しい食を供給して人々の
健康や食文化の向上に寄与する、自動車会社であれば、人々に安全確実で自由な移動手段を供給
すること、などが考えられよう。
しかし金融業の場合はどうだろうか。金融のそもそもの意義を問われて即答できる人はどの
くらいいるだろうか。多くの金融機関のCSR活動報告を見ると、金融業の仕組みの紹介から、
社会的責任投資(SRI)や環境融資、金融教育の取り組みなどが挙げられている。しかし、‘金
融業’の存在意義を誰にでもわかる言葉で確認する作業が行われているようには見えない。
金融業としての社会的意義・使命をきちんと把握せずにCSR活動を推進したとしても、そ
れではステークホルダーに対して説得力に欠けるのではないか。金融機関がCSRという発想を
経営に盛り込むのであれば、原点に立ち返り、‘業’としての金融の社会的意義を再確認するこ
このレポートは、投資の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を意図するものではありません。投資の決定はご自身の判断と責任でなさ
れますようお願い申し上げます。記載された意見や予測等は作成時点のものであり、正確性、完全性を保証するものではなく、今後予告なく変更され
ることがあります。内容に関する一切の権利は大和総研にあります。事前の了承なく複製または転送等を行わないようお願いします。
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とが不可欠であろう。このように考え、金融論のテキストを 10 冊近くあたってみた。しかし、
これらのテキストには、信用創造や株や債券などの証券や様々な金融商品のしくみについての記
載は豊富にあるものの、‘業’としての金融の意義についての記述を見つけることはできなかっ
た。そこで、辞書で金融の定義を当たってみると、大辞林では以下のように説明されている。
金
融 : 金銭の融通、資金の需要と供給との関係。お金の流れ。
金融機関・・・金融取引を仲介する機関。中央銀行、各種銀行、金庫、証券会社、保険会
社、信用組合、質屋、郵便局など。
金 融 業・・・金融を営利目的とする事業
金融市場・・・資金の需要と供給とが出会い、金利体系が決定され、資金取引の行われる抽
象的な市場の総称。
ただし、これだけでは、その金融の社会的な意義・意味は読み取れない。そこで、本稿では、
まず簡単に貨幣や証券など金融の仕組みの成り立ち・変遷について概観しながら、そこから得ら
れる示唆をもとに現在の金融業が果たすべき社会的な役割を考察することとした。
2.金融の成り立ち1
1)貨幣の歴史
大辞林にもある通り、金融業には銀行以外にも証券や保険も含まれるが、その要は、お金・貨
幣の流れである。金融業の歴史は貨幣の歴史に重なる部分が大きい。現在その貨幣には三つの機
能があるといわれている。第一が交換手段(決済手段)としての機能、第二が価値尺度としての機
能、第三が価値貯蔵手段としての貨幣である。しかし、貨幣には当初からこの三機能が備わって
いたわけではない。現在の貨幣にいたるまでのその生い立ちについて、形状の変化を中心に見て
みよう。
2)物々交換から、商品貨幣まで
人類の経済システムは文明が発展するに従い、自分が調達できる範囲内のモノで生きていく
自給自足の経済から、分業と物々交換の経済に移行してきた。物々交換ができれば、自分が生産・
調達できない財も所有・使用することができるようになる。しかし、物々交換とは、自分が手放
す代わりに入手したいものと、相手が手放す代わりに入手したいものが一致した場合(=二重交
換の一致)にしか成り立たない。しかし、実際にそのような相手がすぐ見つかるとは限らない。
さらに交換相手が見つかったとしても、商品の交換比率を決定することも容易ではなかった。こ
の困難さを「物々交換における取引費用」と表現することができるが、物々交換は取引費用が高
く交換の頻度は高くなかった。この取引費用を節約し、交換を進めるための手段として「貨幣」
が使用されるようになってきたといわれる。
最初に流通した「貨幣」は、自然貨幣と呼ばれたもので、自然に存在している貝や石などの
1本章は、青野正道「金融ビジネスの歴史」中央経済社、J.K..ガルブレイス「マネー」TBSブリタニカ、堀内昭義「金融論」東京大学出版会、貝塚啓明・奥村
洋彦・首藤恵「金融」東洋経済新報社、ミルトン・フリードマン「貨幣の悪戯」三田出版会を参考にした。
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自然素材で、腐敗・消耗しないものが使われた。その後、商品貨幣――流通する商品のうち普遍
性があるもの、例えば家畜、米や塩など――が使われるようになった。これらの2つを併せて物
品貨幣といわれる。
3)金属貨幣、銀行、信用創造
しかし物品貨幣は、持ち運びや保管の困難さ、あるいは家畜などの場合、分割が不可能だっ
たため、次第に金、銀、銅などの貴金属の貨幣が使われるようになっていく。
貴金属貨幣も、当初は秤量貨幣(貴金属の重さを量って貨幣として使用したもの)が使われ
ていたが、次第に金属を溶かしてコインにした鋳造貨幣が広く流通するようになる。世界で初め
て貴金属の鋳造貨幣が使用されたのは紀元前 7 世紀のリディアといわれている。その後アテネな
どギリシャの都市国家でも貴金属の貨幣が鋳造され使用されるようになった。
貴金属貨幣が流通するようになると、それほど時間を置かずに銀行が誕生している。紀元前
5 世紀アテネではすでに銀行業が営まれていた。自宅で貨幣を安全に保管する設備を持たない一
般市民にとって、銀行は安全に預金を保管する場所として歓迎された。また、商売の決済時にも
お互いに銀行に預けている預金で決済すれば、重たい金貨を持ち歩く危険と不便が排除できた。
当時の銀行は預金を保管する業務から始まり保管している貨幣をもとにそれを貸し出す業務を
行い始める。
その後中世にはいり、ベネチアなど貿易都市では、外国貿易の興隆にあわせて、手形取引や
信用創造を行う商業銀行が発達してきた。手形取引は、遠隔地にいる相手との取引毎に、決済と
して金属貨幣を送るわずらわしさとリスクを逃れる為に始められた。各地に支店をもつ銀行(当
初は大商人)に預金を預ければ、その銀行が発行した預り証を遠隔地の取引相手に送り、取引相
手は地元にある銀行の支店にて貨幣で代金を受け取ることができる。
こうした業務を始めた当初、銀行では受け入れた預金額に見合った預り証しか発行しなかっ
たが、預金者からの現金引き出しの要求はそれほど多くないことがわかると、預金を上回る預り
証を発行するようになる。これが銀行による信用創造の始まりである。信用創造をすることで、
現存する実物の価値以上の経済的な価値を創造することができるようになり、経済の拡大を加速
化することになった。
4)中央銀行と紙幣
一方、15 世紀のコロンブスの「新大陸」発見は、欧州の経済と金融をさらに拡大させる契機
となった。新大陸の貴金属が大量にヨーロッパに流入し、欧州での貨幣の流通量が大幅に増えて
欧州経済の拡大を後押しした。また、一部の粗製濫造された貨幣が増加していることもあり、貨
幣量が急増したためインフレーションを招来してしまった。そこで流通している貨幣の質は金銀
の含有率の高い優良なものから、粗悪なものまで、かなりの開きができたため、貨幣を管理する
銀行のための銀行――中央銀行――が生まれている。
一方、英国の植民地時代のアメリカでは紙幣が発行されはじめた。植民地では、常に金属貨
幣が不足する傾向にあり、貝殻玉や煙草など、様々なものが代用の貨幣として使われていたが、
1690 年に初めての紙幣がマサチューセッツ・ベイ植民地で発行された。当時の植民地政府が、
兵士への支払いとして将来的に硬貨を支払うという約束のもとに紙幣を発行したのが発端とな
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った。その後それ以外の植民地でも公的な支払いのために紙幣が発行されるようになる。その後
植民地各地では、公的な支払いのみならず、事業を興すための融資に紙幣を発行するようになっ
ていった。
一方フランス革命当時のフランスでも、教会の土地で償還するというユニークなアシニア貨
幣が発行されている。ここで、紙幣と金属貨幣の違いは貨幣のモノとしての使用価値である。金
や銀などの貴金属貨幣であれば、アクセサリーや食器などのモノに作り変えることが出来るし2、
貴金属というその物質自体には高い価値が認められる。しかし紙幣の原料の紙には殆ど価値がな
く、紙幣に価値を認めるためには、紙幣の価値を何らかの形で担保しなければならない。そこで、
このアシニア貨幣の場合は、教会の土地がその価値を担保した。しかし、土地の供給量は限られ
ていたのでこの制度には限界があり結局長続きしなかった。
その後土地に替わり、銀や金との交換が約束された兌換紙幣が発行されるようになる。19 世
紀後半になるとヨーロッパでは、金を支払手段(準備貨幣)とする金本位制がとられるようになり、
第二次世界大戦前の 1930 年代に各国が相次いで金本位制を停止するまで続いた。第二次世界大
戦後に発足したブレトンウッズ体制では、ドルを機軸通貨とし、金とドルの交換比率を金1オン
ス=35 ドルとした固定相場制の金・ドル本位制がとられるようになった。
5)信用通貨制度
しかし、1971 年のニクソンショックでドルと金の交換性が停止され、世界の通貨はモノとの
兌換性を持たない信用通貨制度に移行し現在に至っている。この信用通貨制度を支えているのは、
金や土地などの実物ではない。この制度のもとで流通している貨幣と貨幣を単位として計測され
ている資産価値を支えるものは、『貨幣として流通するのは、それがまさに貨幣として流通する
と人々に信じられている』3という人々の共有された意識である。言い換えると、人が価値があ
ると信じて流通させている貨幣は、この社会制度に対する信頼感によってのみ担保されているに
過ぎない。貨幣と貨幣によって表現される価値とは、実はバーチャルな世界なのである。
6)貨幣の形状変遷の歴史
このような貨幣の形状の変遷からどのような社会的意味が読み取れるだろうか。まず初期段階
の物々交換経済の場合を考えてみよう。例えば自分が塩を余分に所有しており米と交換したい場
合、米を余分に持っていて塩を手に入れたい相手を見つけない限り、交換が成立しない。社会全
体として見ても、物々交換が成功する頻度は低い。つまり交換が行われる頻度が低い。これが、
同じ価値観を共有する文化・社会内で物品貨幣を使うようになると、相手は自分が渡したいもの
を持っていなくても貨幣を持っていれば交換できるので、交換の頻度が上がる。しかし、モノの
交換が異なる社会や文化を跨いでより頻繁に行われるようになると、特定の社会だけでしか価値
が認められず時間の経過と空間の移動で激しく磨耗したり変質したりするような物品貨幣は通
貨としては不適になる。より普遍性・耐久性があり、同質で分割可能なものが、貨幣として使わ
れるようになり、結果として貴金属の貨幣が一般的になる。
ここで、貴金属貨幣では普遍性は増すものの、塩や牛などの物品貨幣よりモノとしての使用価
2ただし、貨幣を溶かして得られた金属の量がその時の貴金属の価格に一致するとは限らないが。
3堀内昭義『金融論』東京大学出版会 より引用
(5/13)
値は小さくなる。しかし、貴金属には依然として装飾品や食器の材料という物性と使用価値が残
る。さらに貨幣発行量は貴金属保有量以内に制限されるし、コインの貴金属を削り取るとか、貴
金属の含有率を減らして鋳造するという粗悪な貨幣が流通する、という物質特性に起因するリス
クを常に抱える。
これが紙幣となると、紙自体の物性・使用価値はさらに下がる。しかし、貴金属貨幣とは異な
り、その質自体が使用している紙の質に左右されることは無くなる。
図表1) お金の変遷
お金
モノ(実物)
物性
時間の経過
物々交換経済
物品貨幣経済
金属貨幣交換経済
兌換紙幣経済
兌換紙幣交換経済
バーチャル度
信用通貨制度
信用通貨制度
電子マネー制度
未来
出所)大和総研
紙幣には紙としての価値ではなく、その紙に記載されている「貨幣価値」という概念が重要
で、良質な紙か否かというのはそれほど重要ではなくなるからだ。ただし、当初の兌換紙幣の場
合、その発行量は金など準備通貨の保有量に制限されるという意味で、物質の制約をうけていた。
ちなみに第二次世界大戦後のブレトンウッズ体制になり金・ドル本位制が採用されたが、それは
米国が多量の金を保有していたことが背景にあるし、1971 年に米国がそのドルと金の交換を停
止したのも、米国で金の準備高が不足してしまったためである。このように、兌換紙幣の場合、
実態経済が、金などの準備通貨の保有量に左右されるという物質起因するリスクを持つ。
しかし、現在の信用通貨はモノの裏づけは一切無く、通貨を発行する国の通貨当局、ひいて
はその国の経済全体への信頼感のみによって支えられるようになった。そのことは、国の金融政
策の失敗が、1997 年のアジア通貨危機にみるように、金融市場における投機的な行動を引き起
こし、通貨への信頼感を失わせ、実体経済と国民経済に深刻な打撃をあたえるリスクを抱えてい
ることを示している。
現在のところ、この信用通貨制度に大きな変革の兆しはないものの、貨幣の形状にはすでに
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変化の兆しが見られる。電子マネーである。我々の日常の生活を振り返ると、紙幣と硬貨だけで
なく電子マネーを使用できる状況が増えている。例えば 100 円のものを買って 1 万円札で支払っ
た場合、「おつりがないので買えない」という状況もありえる。このように紙幣の物質としての
制約によって取引自体が左右されることがある。しかし、スイカやエディなどの電子マネーでは
そうした問題は発生しない。100 円で商品を購入すれば、電子マネーの記憶媒体上のデータが
10000 円から 9900 円に変わるだけである。紙幣を使うようになった段階で、貨幣としての物質
性が大幅に減少したが、電子マネーの登場で、このように貨幣の物質性がさらに低減する。
2 月 27 日付の日本経済新聞では、「2005 年 12 月のエディとスイカの利用件数は 1 年前の 2.3
倍に増え、逆に硬貨の流通量が減少に転じた」と報道している。同紙によると、電子マネー利用
の増加の理由として、利用者にはポイント制などの特典があること、小銭を遣り取りする手間が
省けることが挙げられている。一方その半面、小売店で用意する小銭の必要性が減り硬貨流通量
の減少につながっていることも指摘されている。
今後電子マネー化は一段と進むと思われるが、その場合オツリの制約はなくなるが、従来同
様に記憶媒体というモノを紛失する物質性に起因するリスクは残る。さらに一方で、消費者の購
買データの記録が残るために、個人情報保護の観点から情報漏洩など、別な次元の問題が生じる
ことが予想される。
7)貨幣の意義
以上のことから、文明の発達とともにお金から物質性が失われ、よりバーチャル性が増して
きたことがわかる。それにつれて経済取引にともなう摩擦(取引コスト)が減少し取引がよりス
ムーズになって取引の回転速度が上がっている。そして初期段階では、経済取引を円滑にするた
めの補助的手段に過ぎなかった貨幣が、現在では、重要な経済領域に成長し、金融取引が経済全
体に占める割合も大きくなり、些細な金融取引の間違いがきっかけで実物経済に重要な影響をお
よぼすことも出てくる。
一方、減少している貨幣の物質性を補うのは、貨幣が流通している社会制度への信頼と信用
である。そして、貨幣の物質性と物質としての使用価値が低減すればするほど、逆説的に貨幣独
自の存在価値が増え、そして結果として金融の取引が経済全体に占める割合が高まってきている。
経済学の歴史を見ても、アダムスミス以来のいわゆる古典派経済学では、「貨幣とは実物経
済を円滑にする為の仲介手段にすぎない」といわれてきた。貨幣は実体経済を覆うベールにすぎ
ず、貨幣は実態経済に対して中立である、という「貨幣数量説」が当時は主流であった。これは
一つには経済全体に占める金融市場・金融取引の割合が現在社会に比べてずっと低く、金融市場
が、経済全体に与える影響が現在ほど大きくなかったことを反映していると思われる。
こうした見方に対して、20 世紀前半に入るとケインズは、「貨幣は実物を交換するための
手段としてだけでなく、貨幣自体に価値があり実物経済に対して中立ではなく影響を与える」と
いう貨幣経済性説を唱えた。貨幣数量説では、貨幣と実物は同等・対称であり、相互に自由に交
換されるとする。しかし、現実問題として、普通の消費者がパン屋でパンを購入することはでき
ても、購入した人がそのパンで貨幣を購入することは出来ない。貨幣数量説がは貨幣と実物は同
等で対称と仮定したが実体はそうではないのである。同価値のパンと貨幣を提示された場合、一
般的には今すぐパンを食べたいと思っている人でない限り、貨幣のほうが選好される。それは、
(7/13)
貨幣の場合はそれで交換できる財の選択肢が広がる、また最終的な需要の選択を先延ばしにする
ことが出来るという自由度、流動性があるからである。
図表2)金融取引と実物経済
金融市場
実物経済
取引1
取引2
取引3
取引4
出所)大和総研
貨幣にこの流動性があるために人々に選択されるのである。この流動性は貨幣独自の使用価
値である。そして貨幣は実物経済に対して中立ではなく独自の使用価値があるからこそ、実物経
済にいろいろな影響を与えている。そして、時代が進むにつれ、さまざまな金融の仕組みが作り
出されて現在のように金融市場が複雑・高度化してくると、実物経済と金融市場の距離は離れて
いく。金融市場参加者にとって金融市場が実体経済とは離れた別個の世界を形成しているように
見えるようになる。
貨幣が介在する初期の取引とは、図表2の取引1(モノ→カネ→モノ)や、取引2(カネ→
モノ→カネ)のように、金融と実物が常に隣りあわせで交換される取引であった。しかし、金融
の仕組みが高度化するにつれ、、図表2の取引3のように、金融から金融に交換される取引が増
えていくために、金融市場の参加者にとって、実物とは切り離され、金融市場だけで完結するよ
うに見える取引が増えてくる。こうした取引の実例としては、実需を伴わない為替のデイーリン
グや株のデイトレーデイングなどがあげられよう。
これらの取引があくまで金融市場だけで完結する取引であるならば、単なるマネーゲームに
すぎず、その結果がどうなろうと、実物経済には影響を与えないはずである。しかし、金融取引
はゲームだけではない。その取引の連鎖を辿ると、どこかで必ず実物経済に結びつき影響を与え
ることになる(図表2の取引3や取引4のように)。具体的には、株価が暴落すれば、企業経営
(8/13)
が困難になったり、個人の資産が目減りして消費の冷え込みをもたらすなどの影響が考えられよ
う。さらに 97 年のアジア通貨危機では、急落した為替レートよって各国の経済が大混乱に陥る
など多大な影響がみられた。しかし金融取引の現場にいる市場参加者は、こうした影響を、取引
の際にはほとんど認識していないのではないか。
3.証券の生い立ち4
次に簡単に証券の生い立ちを見てみよう。世界で最初の株式会社が設立されたのは、16 世紀
中ごろの英国である。国王からの特許で設立された特許会社として始まり、鉱山、銀行、保険、
ガラス製造、水道などの事業を営む株式会社が設立されるようになった。これらの中で特に有名
なのが、1600 年に設立された貿易会社の東インド会社である。これは、インドの香料や絹を、
アフリカの喜望峰経由で輸入するために 218 人が出資して設立されたもので、当初は航海ごとに
精算していた。しかし 17 世紀中ごろになると、出資者からの資本は永続的に保持し、収益だけ
が出資者に配分される仕組みと、出資者の責任を出資金に限定する株主有限責任制度をとるよう
になり、現在の株式会社の原型となった。
当時、これらの会社の株式は相対で取引されていたが、1690 年代ごろからは証券仲介業が介
在する証券の流通市場が形成されるようになり、いわゆる株式投機が始まっている。また、同時
期には英国政府の戦費を調達する手段として、長期短期の政府証券が発行されるようになり株式
と債券投資の形が整っていく。
1760 年代に入ると、英国では運河建設ブームが起き、この運河事業のために株式会社の設立
が増えた。当時の株式の所有者には、直接運河に関係ある運河の利用者(製造事業者、商人)や
土地所有者以外にも、すでに投資目的で保有する一般の人も含まれるようになった。さらに 1830
年代に始まった鉄道建設ブームで、株式会社設立による資金調達は広く定着する。株式会社の設
立のプロセスも 1840 年代には特許方式から準則主義に変わったため、簡単に設立できるように
なる。特に鉄道事業は大規模な事業で多額の資金を必要としたため、資金調達の手段も普通株の
発行だけにとどまらず、債券や、配当支払いが優先される優先株の発行など、証券の種類も多様
化していった。これらの証券の発行は、証券仲介業を同時に育成することになり、その証券を取
引する株式市場や債券市場が整備されていく。
証券の生い立ちを貨幣と比較すると、貨幣は交換経済の必然性から生まれたのに対して、証
券は、大規模な資金調達(鉄道などの大規模事業や、戦争など)の必要性から生み出されたとい
えよう。大規模プロジェクトでも、ピラミッド建設や日本の古墳など古代の専制君主の時代なら、
君主の権力で強制的に大規模プロジェクトを遂行することが可能だったろう。しかし、中世から
近代以降専制君主の力が弱まり、商人や市民の権利が確立されていく中で、大規模プロジェクト
を遂行するためには、人々が自発的に従事したくなる価値(報酬)を提供しなければならなくなり、
その価値(報酬)を集める為に資金調達のニーズが生まれ、その調達を魅力的にするために、様々
な証券の仕組みや制度が生み出されていった。
4 本章の記述は、青野正道「金融ビジネスの歴史」を参考にして英国での証券の歴史をまとめたものである。
(9/13)
また大量の資金調達を必要とする大規模プロジェクトは、将来どうなるかわからないリスク
を伴う。証券化は、そのリスクを分散化して、現在の価値ではなく将来の価値予想に基づいた出
資行動を促す手段ともなる。先物取引やオプション取引のように、異なる時点間での取引を可能
にする仕組みも定着してきた。これらは言い換えると将来時点での決断や選択に対して投資する
ことを可能にする仕組みである。さらに最近人気化している不動産投資信託(REIT)は不動
産という金額が大きすぎて一般には取引しにくいものを、証券化して小口化することで多くの市
場参加者が取引可能になった金融商品である。また最近取引が始まった温室効果ガスの排出権取
引は文字通り空気―(CO2の排出量)−を取引可能なモノとしてしまった新たな金融商品であ
る。
このように証券とは、大規模な資金調達、将来の予想リターンやリスク、将来時点での決断
や選択、不動産など価格が高額なもの、ひいては空気まで、従来取引が容易でなかったものを取
引可能にして付加価値を生み出す手段といえよう。
さらに証券は、保有すれば何らかの価値(これも貨幣で表示できる)を生み出す可能性があ
るので、そのまま保有し続けることできるが、その価値をより高く評価する第三者に売却するこ
とも可能な商品である。そのために証券の流通市場が発生し、それが将来リターンと負担するリ
スクを天秤にかけて投資決断する、投資家という新しいカテゴリーの人々を生み出した。
銀行の信用創造も、新たなお金を作り出すことで経済的価値を生み出す手段であったが、証
券は資金を持たない人が将来性を担保に事業を始めたり、事業を拡大する手段であり、広く社会
に散らばっているお金を集約して事業にまわして経済的価値を生み出すことで、社会の資源配分
機能を担う。
ただし、将来のリターン・リスクを予測して購入するために、その予測がマイナス方向に外
れた場合、ゆがんだ資源配分を助長することになり、実物経済に与える打撃も極めて大きくなる。
4.金融の社会的意義
現在の金融市場は、図表3に示すように、複雑な制度になっており、これらの金融の意義を
一口で表現することは難しい。しかしこの単純化した金融の生成過程から、金融の意義を考える
と「金融とは、実物の取引の効率化を図り、期待やリスクなど実物以外のモノの取引と異なる時
点間での取引を可能にすることで、経済取引を活性化し、また人々が望ましいと思う経済活動に
多くの資源が配分されるるように誘導し、その結果経済活動が質・量の両面で拡大し、社会が豊
になることに寄与する道具・仕組み」と総括できよう。
(10/13)
図表3)金融市場の類型
コール
インターバンク市場
手形
短期金融市場
(マネー・マーケット)
債券現先
オープン市場
伝統的金融市場
市場取引
債券レポート
譲渡先預金(CD)
コマーシャル・ ペーパー(CP)
割引短期国債(TB)
政府短期証券(FB)
公共債
債券市場
金融債
社債等
長期金融市場
(資本市場)
株式市場
外国為替市場
金融派生市場
派生商品市場
外国為替派生市場
先物
先渡し
スワップ
オプション等
(出所)貝塚啓明他「金融」(第2版)東洋経済新報社
具体的に、「貨幣」は、人間の保有する財やサービスに価値の基準を与え、交換を容易にし、価
値を貯蔵することを可能にし、銀行の信用創造を通じて、経済活動の活性化をはかる。「保険証券」
は人々が持つ様々な物質的なリスクを軽減して将来の安心感を増しことに寄与する。「株式」や「債
券」などの「証券」は取引が容易でないものを取引可能にし、また、将来性というリスクのあるモノ
を取引対象とすることで、将来の夢とチャンスを与える。金融にはこうした社会全体の安定性と安心
感と将来性を提供するしくみ、としての社会的使命がある。
しかし、一方で、最近のライブドア事件や、エンロン事件、など資本市場を悪用した企業不祥事
の事例や、極端な投機に走った 1989 年のバブル崩壊や、国際的な金融不安を招いたアジア通貨危機
ななどからも明らかなように、扱い方を誤ると実体経済に多大な打撃を与える危険な道具ともなりう
る。更に金融制度が高度化・複雑化している現在、ほんのわずかに金融を動かすと実体経済が大きく
動いてしまうようになっている。そして、株式売買注文の誤発注問題が明らかにしたように、ボタン
一つの押し間違いという、人の行動としては些細なことが、数百億円の損失を実体経済に与えてしま
うリスクも抱えていることが明らかになった。
株価暴落といっても目に映る現象としては株価ボードの数字が変わることでしかない。しかし
1929 年の米国の大恐慌や 1989 年の日本のバブル崩壊のあとのように、企業倒産・失業そして不況な
ど、人間社会に多大な影響を与えている。こうした金融システムを知らない宇宙人が地上にやってき
てこの光景をみたら実に奇妙な仕組みと思うのではないか。
以上のように金融の特性を理解した上で、金融機関の役割・社会的意義を以下のように整理した。
①
貨幣価値(バーチャルなもの)とモノ(実物・実体)の橋渡し役として、両者を信頼ある関係で
つなげること。
銀行による事業や個人への融資や大規模なプロジェトファイナンスは、借り手の返済能力、
(11/13)
や担保価値といういずれも最終的には実物に還元できるものを評価して、それに適切な利息を設
定して資金(貨幣価値)を貸し付けることであり、資金とモノを直接結びつける役割を果たす。
またベンチャーへの投資や、企業を上場・公開のための引き受け業務は、投資対象企業の将来の
収益性・安全性(いずれも最終的にはモノとして表現される)を適切に評価して、妥当な出資額
や株価(貨幣価値)と結びつける作業である。
そもそも、実物と貨幣価値が適切に結びついていなければ、金融市場の信頼性は生まれない。
両者を適切に結びつけるためには、金融市場をとりまくステークホルダーが公正・公平と認める
方法に拠る必要がある。当たり前のことだが、融資の場合の審査や融資の決定、引き受けやM&
Aの場合のデューデイリジェンス、株価算定などの業務を行うに当たり、正しい客観的な情報に
もとづき、公正で客観的なプロセスで行なければならない。
この場合、どのように何を評価し判断すれば正しく客観的なのか、という問題が残る。例え
ば、米国では、financially
disabled people という言葉がある。直訳すると「金融上の障が
い者」ということになり、居住地域、所得レベルや人種などが障害となり金融機関の融資が受け
られない階層の人々のことをさす。日本でも女性だと起業するにしても住宅を購入するにしても、
女性だからという理由で融資が受けにくい、という問題は従来から指摘されてきている。少なく
ともこのように借り手の属性(偏見)を融資の判断材料として重視することは、客観的・公正なプ
ロセスとはいえないだろう5。
②
つねに信頼できる金融市場を整備しておくこと。
金融関係者には、高度化し複雑化している金融市場を、常に透明性が高く公正で信頼のおけ
るものに維持する義務がある。具体的には、市場参加者が判断材料とする情報の質のレベルを多
角維持しなければならない。また市場参加者にとって公正なルールを作り、社会の要請の変化が
あればそれに合せて適切に修正しなくてはならない。金融機関自らがこうしたルールを尊重する
ことはもちろんのこと、市場参加者に対してもルールの徹底と遵守をはたらきかけることが必要
である。
また、金融市場が複雑になればなるほど、「よく分からない」としてそこから遠ざかる人々
も増える。そして、ライブドア事件や株の誤発注問題は、そういう人々に対して、「金融市場と
は、そのしくみに精通すればお金を生み出すことができる錬金術だ。また、ボタン一つで財産を
失うかもしれない、恐ろしいいかがわしいところだ。」という誤った印象を与えかねない。
株式投資は一切行わず、銀行で預金するとき以外は金融市場には直接参加しないと思い込ん
でいる人々も、例えば年金や生命保険などを通じて間接的に金融市場に参加している。一見金融
市場から遠いように見えるこれらの人々も、金融市場の重要なステークホルダーである。金融機
関にはこうした人々にも「金融市場は信頼できる」ということを理解納得してもらうための取り
組みが求められよう。
なおここで注意したいのは、公正さ・透明性を追及する結果金融規制(金融当局による法規
制と、金融機関の自主規制両方)が厳しくなり、あまりにも金融商品の説明や販売のルールが複
5 米国では、こうした financially
域際投資法)がある。
disabled people に対しても金融サービスを受けられるよう、金融機関に義務付けた Community Reinvestment Act(地
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雑になりすぎ、結果として混乱を招くリスクがあるということである。例えば投資信託を購入す
る際に必ず読まなければならない分厚い目論見書や、損害保険に入ると渡される辞書のような保
険の説明書などを全部読んで理解している人はどのくらいいるだろうか。逆に「金融商品は難し
くてわけが分からない、下手をするとヤケドをする怪しいもの」という印象が強まることはない
だろうか。金融取引が高度化するなかで、複雑な金融商品が開発されていくことは社会の要請で
もあるが、公共財としての金融市場を、誰にとっても使い易い分かり易いものに整備ておく、と
いうことは金融関係者全員にとって重要な使命といえよう。
③ 金融取引が実物経済・社会に与える影響を適切に把握、評価し、市場参加者にきちんと伝えるこ
と。すなわち広い意味での SRI(社会的責任投資)を実践すること。
金融市場の参加者は普通自分の金融上の利益のみを追求して金融取引を行っている。そして
それによって知らず知らずのうちに実体経済・社会に何らかの影響を与えている。こうした影響
力があることを認識して、社会的に好ましくない影響をなるべく排除し、社会的に望ましい方向
に影響を与えるように金融取引を行う必要がある。これが社会的責任投資(SRI)の基本的な考
え方である。
現在金融機関の社会的責任というと、真っ先にエコファンド、SRI ファンドがでてくるが、
これらは、あくまで SRI の考え方を反映させた投資信託という一つの金融商品にすぎない。金融
商品は多様なものが含まれる。それぞれの金融取引において、それが最終的に実物経済にどうい
う影響を与えるのか、それをまずしっかり把握し、そこで社会的に望ましくない影響が確認され
るのであれば、それを回避するような手段を考え、それを実行することが必要となろう。
例を挙げれば、日本政策投資銀行の環境配慮型事業融資制度は、融資基準に企業の環境配慮
度を加え、環境配慮度が高い企業には低利に融資するというスキームである。同様のコンセプト
のものに、多くの銀行が行っているエコカーや省エネ住宅への低利融資プログラムなどもある。
また、シティグループが始めた赤道原則では、プロジェクトファイナス時の環境配慮を銀行が行
うものとしている。あらゆる金融取引の取引判断基準のなかにその取引の最終的な帰結としての
社会的な影響度が考慮されるようになれば、社会全体の資源配分が社会的に望ましい事業に多く
資源が配分されるようになる、という効果が期待される。
④
持続可能な発展のために、金融の「異なる時点間での資源配分機能」を活用すること。
企業の社会的責任の重要なテ-マとして自社のことだけでなく、広く社会・地球環境の「持
続可能な発展」に寄与することが挙げられる。持続可能な発展とは、「将来世代のニーズを損な
うことなく、現在世代のニ-ズを満たす発展」と定義される。例えば、現在世代のニーズを満た
すために、森林資源を乱伐して砂漠化を招いたり、漁業資源を乱獲したりして枯渇させてしまう
ことは、「持続可能」ではない。金融取引における先物取引やオプション取引など、将来時点で
の判断や選択に投資するという、異なる時点間での資源配分機能は、「持続可能な発展」に充分
活用できるのではないか。たとえば、温室効果ガスの排出権、購入者がそれを現在使わず、将来、
充分に温室効果ガスの排出量が減った時点になるまで排出しないというようなことは実行でき
ないだろうか。また、89 年代後半から 90 年代に、累積債務に悩む南米諸国の債務を自然保護実
(13/13)
施を条件として相殺する自然保護債務スワップがいくつか行われた。これらは結果として途上国
の内政干渉と批判され、また現地では自然保護より開発が優先されたため余り成果をあげること
がなかった。しかし最近でも、途上国での温室効果ガス(カーボン)削減の取り組みと途上国の
債務を交換する、債務カーボンスワップなどの考え方を提示する学者もおり6。金融機能を使い
自然の生み出す価値を評価して、持続可能性を高めるというスキームを開発することも、重要な
役割であろう。
⑤
金融はあくまでモノ(実物経済)の上に成り立っていることを、金融業としてはっきり認識し、金
融に携わる人間は謙虚であること。
現在の金融の仕組みは高度な知識が要求されるし、通常金融機関の従業員の所得は相対的に
高い傾向にある。こうしたことから、金融関係者は知らず知らずのうちに、世の中を動かすのは
金融である、と傲慢になる傾向はないか。
ギリシャ神話に、拝金主義を戒めたミダス王の寓話がある。神に自分の体が触ったものが全
て黄金になるように願い、叶った王は、周囲のモノを全て黄金に変え、富が増えたと喜んでいた
が、いざ食べようとしたパン一切れ、水一杯も金に変わってしまった。もはや彼にとり、周囲の
黄金の山はどのような意味も持たなくなり、結局自分の愚かさを悔いてもとの体に戻してもらっ
た。
人が生きていく為に一番必要なのもの、生存のための水や食料であり、お金ではない。金融
とは、実物経済の上に成り立っている。現在では、その金融の仕組みが経済社会の中で肥大化し
て複雑になっているために、金融取引を行うだけで人々は生きていけるような錯覚さえ覚える。
しかし、人は、莫大な価値を取引する金融市場からみると、水とか食糧とかいくらでも出回って
いる安価に思えるモノに依拠して生きているのであり、社会もそうしたモノのうえに成り立って
いる。金融関係者はこの事実を認識し、金融取引に対して慎重にふるまいあくまで謙虚さを失っ
てはいけない。
以上
6 http://www2s.biglobe.ne.jp/~stars/pdf/swap.pdf
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