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中国海事通信 - maritimejapan.com
本事業は日本財団の支援を得て実施されています 中国海事通信 ― CHINA MARITIME NEWS ― (第 233 号:平成 25 年 3 月(上海事務所作成) ) <造船・舶用工業> 上海市「第十二次五カ年」海洋発展計画(概要)-------------------------- P1 2013 年の経済動向と中国船舶工業(中国船舶工業行業協会の予測と提言)---- P2 船舶工業の合併・再編はどのように行われるか --------------------------- P3 「第十二次五カ年計画」残り 3 年間の船舶工業計画を検討中---------------- P5 2012 年の海事関係業の統合事例 ---------------------------------------- P5 昨年の全国海洋生産総額、5 兆元を突破 -------------------------------- P6 <統計データ> 2012 年の中国船舶工業の現状 ------------------------------- P7 2012 年 1 月~12 月の中国舶用機械の輸出入について-------------------- P8 2012 年(1月~12 月)、船舶輸出は 30 年来初めて減少 ----------------- P10 <プレジャーボート産業・漁船建造業> 遠洋漁業の発展に向けた漁船設備に係る提言 ---------------------------- P11 江蘇省、漁船の更新・改造事業を推進 ---------------------------------- P12 「上海プレジャーボート管理規定」------------------------------------- P12 昨年の中国の舟艇輸出入は「独り勝ち」--------------------------------P14 中国のマリンレジャーの方向性 ---------------------------------------P16 【参照】上海市「第十二時五ヵ年」海洋発展計画(全文)-------------------P18 上海市「第十二次五カ年」海洋発展計画(概要) 1、 「第十一次五カ年」海洋発展計画について (1) 「第十一次五カ年」発展計画の主な成果 (2)直面する主な問題 2、 「第十二次五カ年」海洋発展計画の構想 (1)情勢の分析 (2)指導思想と基本原則 イ.指導思想 ロ.基本原則 (3)海洋発展の重点 (4) 主要目標 イ.海洋産業の分布を最適化し、海洋経済を持続的に発展させ、海洋経済総生産高を年平均 10% 増とし、全市経済成長率の平均レベルより高くする。 ロ.海洋生態の環境保護を強化し、汚染物排出総量を有効にコントロールし、市全体の中心部・ 鎮(町)における汚水処理率を 85%以上とし、同市海洋流入汚染物削減量に関する中国国家レベ ルの目標を達成し、生態回復と保護活動を実施し、生態環境を回復させる。 ハ.海洋科学技術の革新を推進し、海洋科学技術の全体レベルを国内トップレベルとし、優位な 分野においては国際的にもトップレベルとする。 ニ.海洋における総合的な管理を強化し、海洋公共サービス能力を向上させる。 3、 「第十二次五カ年」海洋発展計画の主要任務 (1)海洋経済の発展 イ.海洋サービス業の重点的な発展 ロ.海洋における先進製造業の発展 (a)船舶工業;2015 年までに、船舶工業の年産造船能力は 1,600 万トンに達し、船舶工業及び舶用 工業の総生産高は 1,300 億元を実現する (b)海洋構造物製造業;2015 年までに、生産高 400 億元を目指す ハ.海洋における戦略的な新規産業の重点的な育成 (a)海洋バイオ医薬 (b)海洋新エネルギー ニ.海洋における漁業モデルチェンジの調整 (2)海洋環境の保護 イ.汚染コントロール ロ.生態の回復 ハ.環境保護 1 (3)海洋における科学技術の発展 イ.科学技術による海洋振興プラットホーム建設の加速 ロ.海洋における経済発展に関するハイテク分野の特定プロジェクト 5 件の研究を推進 ハ.総合的な管理と公共サービスに関する重要技術の特定プロジェクト 7 件の研究を強化 (4)海洋における総合的な管理と公共サービスの強化 イ.海洋法規と計画的な管理の強化 ロ.海洋に関わる法律の執行・管理の強化 ハ.緊急対応の強化 ニ.海域への行政許可・管理の強化 ホ.海洋におけるデータ化管理の強化 4、対応施 (1)体制の確保 (2)制度の確保 (3)投資の確保 (4)広報の確保 2013 年の経済動向と中国船舶工業(中国船舶工業行業協会の予測と提言) 1.経済動向に潜む問題 (1)新造船受注の大幅な減少により、起工不足の現象が日々深刻化 2012 年 12 月末時点で、中国船舶企業の手持ちの工事量は 1.0695 億 DWT まで下降。年間造船竣 工量を 6,000 万 DWT として推算すると、現在の手持ちの工事量は 2 年間の施工量に満たない。 (2)船舶引渡し難が日増しに高まる 2012 年年初、中国の手持ちの工事量は 1.4991 億 DWT、そのうち、原契約による 2012 年の引き 渡し船舶は 8,962 万 DWT (2011 年の引渡し延期を含む) 。 これに対して実際引渡された船舶は 6,021 万 DWT で、残りの約 2,900 万 DWT の船舶は、契約引渡し日の延期又はキャンセルされた。 (3)造船企業の欠損、破産、人員削減が多発 業界全体の赤字経営の企業数は 323 社、損失額は前年同期比 158.3%増、一部の中小企業は更 に厳しい局面に直面し、生産転換、破産、人員削減等日々深刻になっている。 (4)融資のプレッシャーが高まり、企業の流動資金は深刻に不足している 2012 年、国内外の融資銀行は船舶業界をハイリスク業種として、貸付額を制限し、船舶リース 市場、証券市場の融資を大幅に縮小した。 2 2.予測と提言 (1)予測 手持ちの工事量の減少、竣工船舶価格の下落、生産コストの上昇等の影響を受け、2013 年中国 船舶業界の主な経済指標は下降し、年間竣工船舶は約 5,500 万 DWT、新造船受注量はやや増加の 可能性もあるが、手持ちの工事量は 1 億 DWT 以下となる見込み。 (2)提案 1.当面の情勢を認識し、必勝の自信を強める 2.市場需要に適応し、創造的な力を強化する 3.モデルチェンジ・グレードアップを強化し、細分化した市場にしっかりと対応する 4.基礎的な管理を強化し、製品の品質管理を強める 5.国際連携を強化し、国際的な実力を高める 国際金融危機は欧米諸国の経済に困難をもたらし、多くの造船技術の先進国家が新たな発展へ のチャンスと連携パートナーを探している。イ)中国造船企業はこの有利な市場と資金条件を利 用して、欧米の先進的な造船企業と有効な連携を行い、自主創造能力を向上し、企業内における 中核技術の問題を早急に補充・強化することができる。ロ)買収・合資、連携による経営の合理 化、関連技術及び市場の共同開発等により、国外の技術開発、経営管理等の先進的な企業運営ノ ウハウを吸収に努める。 6.多角経営により、市場減少への圧力に対応する 企業は豊富な余剰能力を利用して、市場調査を行い、単一製品から多様化へ、舶用市場から陸 上市場へ、製品の営業だけでなく物流等の付加価値サービスへの展開を行う必要がある。 船舶工業の合併・再編はどのように行われるか CSSCの内部再編により、傘下の基幹造船企業 2 社は既存の製品構造について最適 化を目指すが、外高橋造船は、業績へのプレッシャーも内在している。 中国船舶工業行業協会のデータによると、2012 年の業界全体の赤字経営の企業数は 323 社まで 増加し、赤字額は前年比 158.3%増となる。 (政府の力で統合を推進) 1 月 22 日、工業信息化部、財政部、国家発展改革委員会等の部門が連携して、 「重点業種の合 併再編に関する指導・意見」 (以下「意見」 )を発布。 「意見」では、2015 年までに、船舶業トッ プ 10 造船企業の造船竣工量が全国総量の 70%以上、世界造船トップ 10 企業のうち中国造船企業 が 5 社以上、国際的に影響力をもつ海洋構造物元請け業者と専門的な下請け業者 5~6 社、国際 的競争力をある程度有する修繕船企業の形成を目標として定めた。 3 (中船集団が先行して実行) 1 月 22 日、中国船舶工業集団(中船集団)傘下の上場企業、中国船舶工業股份有限公司(中国 船舶)は、全額出資の子会社の外高橋造船が上海江南長興造船有限責任公司(長興造船)の所有 株 51%を滬東中華造船(集団)有限公司(滬東中華)に譲渡することを発表。同時に、外高橋造 船は、江南造船(集団)有限責任公司(江南造船)が所有する上海江南長興重工有限責任公司(長 興重工)の株 36%を買収する予定であるとこと公表。 (別図 参照) 業界関係者によれば、 「中船集団が率先して行う集団の内部再編・統合は、個々の傘下造船企 業の規模を拡大し、中国船舶業における造船業の産業集中度を高める。このほか、 「意見」の発 布で、政府の重点造船企業の統合支援は、上場企業は基本的な重点となり、上場企業が相対的に 利益を得ることができるという意味を持つ。 」とのこと。 外高橋造船が黒字経営の企業を譲渡し、赤字経営の企業と連携するやり方は、中国船舶の株主 たちに不満を抱かせた。ある株主は、公の場で、 「中国船舶は、利益性の高い長興造船を大型株 主の傘下にある滬東中華に売り渡し、巨額の損失を抱える長興重工を買収。利益のある企業を売 り渡して赤字企業を購入することは、上場企業株主の合法的権益を損害しているのではないだろ うか?中国証券監督管理委員会は調査を行ってほしい。 」と発言。 このほか、中国船舶の 1 月 28 日付の情報によると、同社は 1 月 29 日、総額 50 億元、期限 270 日の 2013 年度第一期超短期債券を発行し、募集した資金は全て傘下子会社の原材料と舶用物資 の購買に充て、企業経営の支出需要を満たす、とのこと。 中船集団の内部再編構成対比 再編前 滬東中華 中国船舶 100% 外高橋造船 65% 長興造船 再編後 江南造船 滬東中華 中国船舶 江南造船 100% 65% 長興重工 外高橋造船 51% 14% 長興造船 4 36% 29% 長興重工 「第十二次五カ年計画」残り 3 年間の船舶工業計画を検討中 中国の船舶企業の国際金融危機からの脱却を支援するため、多くの部門・委員会が、 「第十二 次五カ年計画」の残り 3 年間(2013-2015)について、船舶工業の行動計画を検討中。この計画 には「船舶企業に対する財政、税収、金融面で政策により必要な支援を行うこと」も含まれる。 業界関係者は、行動計画には、以下が含まれると予測している。 イ)船舶業界への金融支援の拡大、輸出船舶に対する買手貸付資金の拡大の奨励。ロ)海洋構 造物、化学品船等の特殊船舶並びに低速ディーゼルエンジン及び舶用ディーゼルエンジンクラン クシャフト等の重点製品の発展を強化し、市場競争力を高める。ハ)造船業への参入規制を強化 し、企業の合併・再編、連携を奨励し、造船における基礎的な施設の統合を行い、船舶産業にお けるリソースの有効活用を図る。ニ)舶用工業及び舶用製品市場を発展させ、舶用工業の能力を 高め、船舶における産業チェーンを構築する。ホ)造船企業が先進的な造船モデルを確立し、船 舶製品の設計、生産及び経営方式の改革を行い、船舶建造期間を短縮し、安全な生産、クリーン な生産レベルの向上を奨励する。ヘ)長期的な発展を計画し、船舶産業の先進的な製造能力を蓄 積する等。 2009 年、国務院常務委員会会議において「船舶工業調整振興計画」が審議され、原則的に可決 された。2011 年末に発布された「船舶工業『第十二次五カ年』発展計画」では、2015 年船舶工 業の販売収入は 1 兆 2 千億元、輸出総額は 800 億米ドル超としている。一方、国際的な船舶市場 の低迷を受け、中国船舶工業は、手持ちの工事量の減少、契約履行・船舶引き渡しの困難、企業 の経営難等の情況により、同産業の発展は厳しい状況を迎えている。 業界内部では、現時点で、船舶工業「第十二次五カ年」発展計画における目標の達成は困難で あり、計画の適切な調整が必要であると考えている者もいる。一方、船舶業界は経済と国防に対 して重要な意義をもつため、船舶業界への政策の支援を拡大し、造船業の構造調整を加速させる 必要がある。 現在研究・検討中の行動計画は、船舶建造の効率化・利潤の向上、優良企業による技術開発の 推進、高付加価値船舶の製造能力の確保が主眼となる模様。 2012 年の海事関係業の統合事例 世界全体での主要国家の経済成長の鈍さと、中国における経済構造の急速な変換による業界の 低迷は、港湾・航運・船舶企業の統合と構造調整を加速させている。 7 月、北海港は、大株主の北部湾港務集団とその子会社の防城港務集団が株式を発行し港湾資 産を買収する予定であると発表。目標としている買収資産の予定額は 51.82 億元。買収によって 重启北部湾の三港の統合を行う。 5 8 月、中国外運長航集団は、2~3 年間で、傘下の純資産総額 40 億元で物流に関わる資産の統 合を推進すると発表。 10 月、浙江省能源集団有限公司は、協議を締結し、寧波海運公司の実質的な管理を行うことに なった。 12 月、中遠航運は、10.95 億元を捻出し、株主の中遠集団から広州遠洋の株式 100%を買い取 ると発表。 注)船舶工業界の企業再編が話題となっているが、 「船舶行業信息」に紹介されている 2012 年の 統合・再編例は以上4件(港湾関係1件。海運関係3件)であり、船舶工業関係については、2013 年以降に再編が行われるものと推測される。 昨年の全国海洋生産総額、5 兆元を突破 ―国家海洋局は、 「2012 年中国海洋経済統計公報」を発表、海洋経済は安定成長という好ましい 傾向を維持、生産総額が GDP の 9.6%を占めるー 国家海洋局は2月 26 日に記者会見を開催し「2012 年中国海洋経済統計公報」 (以下「公報」 ) を発表。 「公報」は 2012 年に海洋経済が安定成長という好ましい傾向を維持したことを示してお り、全国海洋生産総額は5兆 87 億元に達し(前年比 7.9%増) 、生産総額が国内総生産(GDP)に 占める割合は 9.6%となっている。 概算では、2012 年における中国の海洋産業付加価値額は 2 兆 9,397 億元、海洋関連産業付加価 値額は 2 兆 690 億元となった。両者の総額のうち、第一次産業の付加価値額は 2,683 億元、第二 次産業の付加価値額は2兆 2,982 億元、第三次産業の付加価値額は 2 兆 4,422 億元であり、海洋 生産総額に占める各産業付加価値額の割合は、第一次産業が 5.3%、第二次産業が 45.9%、第三 次産業が 48.8%となっている。 2012 年、中国海洋産業は全体として安定した成長を維持。主要海洋産業の付加価値額は 2 兆 575 億元で前年比 6.2%増。海洋科学研究教育管理サービス業の付加価値額は 8,822 億元で前年 比 7.3%増。このうち、海洋鉱業の成長率が最も高く、前年比 17.9%増。一方、国際的な原油価 格の変動や国内経済成長率の減速、石油・天然ガスの生産調整や生産能力制限など多くの要因の 影響で、海洋石油・天然ガス業の成長率はマイナス成長となり、年間付加価値額は 1,570 億元で 前年比 8.7%減であった。国家海洋情報センターの何広順副主任は「マイナス成長は海洋石油・ 天然ガス業の長い歴史のなかでも初めてのこと。 」と話す。 このほか、全世界で海運市場が低迷し続けている影響で海洋船舶工業の付加価値額は 1,331 億 元、前年比 1.1%減となったが、海洋漁業、海洋製塩工業、海洋化学工業、海洋バイオ医薬品産 業、海洋発電業、海水利用産業、海洋工学建築業、海洋交通運輸業、臨海観光業は前年比で増加 している。 「公報」では地域海洋経済の発展に関して、2012 年の環渤海地区、長江デルタ地区、珠江デル 6 タ地区の海洋生産総額はそれぞれ1兆 8,078 億元、1兆 5,440 億元、1兆 28 億元だったとのこ と。全国の海洋生産総額に占める割合が最も高かったのは環渤海地区で 36.1%、長江デルタ地区 は 30.8%、珠江デルタ地区 20%であった。 今回の「公報」は国家統計局により承認を受けた「海洋生産総額算定制度」に基づいており、 統計資料は国務院の関連部門、11 沿海地区と5計画単列都市(日本の政令指定都市に相当)の海 洋・統計部門により提供されている。国家海洋局はさらに、国内の統計、マクロ経済、海洋経済 といった分野における専門家を招聘し、2012 年海洋経済概算データの審査を実施した。 (億元) 海洋第三次産業 海洋第二次産業 海洋第一次産業 海洋生産総額が GDP に占める割合 2012 年の船舶工業の現状 1.竣工量、受注量、手持ち工事量 2012 年 1 月~12 月の全国の造船竣工量は 6,021 万 DWT(昨年同期比 21.4%減) 、新規受注量は 2,041 万 DWT(昨年同期比 43.6%減) 、 12 月末の手持ち工事量は 1 億 695 万 DWT(昨年同期比 28.7% 減) 。 2.工業総生産額 本年 1 月~12 月の一定規模以上の船舶工業 1,647 社の工業総生産額は 7,903 億元(昨年同期比 3.4%増) 、内、船舶製造業は 5,951 億元(昨年同期比 0.1%減) 、舶用工業は 1,130 億元(昨年同期 比 15.1%増) 、船舶修繕業は 181 億元(昨年同期比 11.6%増) 、船舶改造業は 317 億元(昨年同期 比 23.6%増) 、海洋構造物製造業は 282 億元(昨年同期比 19.1%増) 。 7 3.輸出船及び輸出 本年 1 月~12 月の全国の輸出船の竣工量は 4,949 万 DWT(昨年同期比 20.9%減) 、輸出船の新規 受注量は 1,496 万 DWT(昨年同期比 45.9%減) 、12 月末の輸出船の手持ち工事量は 8,844 万 DWT(昨 年同期比 35.3%減) 。 本年 1 月~12 月の一定規模以上の船舶工業の製品輸出額は 2,684 億億元(昨年同期比 11.6% 減) 、内、船舶製造業は 2,443 億元(昨年同期比 11.6%減) 、舶用工業は 115 億元(昨年同期比 7.5% 増) 、船舶修繕業は 44.3 億元(昨年同期比 5.8%減) 、船舶改造業は 25.2 億元(昨年同期比 15.7% 減) 、海洋構造物製造業は 17.6 億元(昨年同期比 32.7%増) 。 4.営業収入及び利益 本年 1 月~11 月の一定規模以上の船舶工業の営業収入は 6,162 億元 (昨年同期比 0.2%減) 、 内、 船舶製造業は 4,568 億元(昨年同期比 4.2%減) 、舶用工業は 949 億元(昨年同期比 17.0%増) 、船 舶修繕業は 135 億元(昨年同期比 8.7%増) 。 本年 1 月~11 月の一定規模以上の船舶工業の利益総額は 288 億元(昨年同期比 29.1%減) 、内、 船舶製造業は 225 億元(昨年同期比 35.3%減) 、舶用工業は 44 億元(昨年同期比 1.8%増) 、船舶 修繕業は-9,000 万元(昨年同期比 134%減) 。 2012 年 1-12 月中国舶用工業製品の輸出入 ――2012 年 1-12 月 中国舶用工業製品の輸出入額は―― ● 輸出額は 29.3 億米ドル、前年同期比 13.5%増 ● 輸入額は 43.7 億米ドル、前年同期比 14.8%減 1.概況 中国税関統計によれば、2012 年 1-12 月の中国舶用工業製品の輸出額は 29.3 億米ドルで前年同 期比 13.5%増、輸入額は 43.7 億米ドルで前年同期比 14.8%減。 2.舶用工業製品の輸出 (1) 製品別の輸出額 2012 年 1-12 月、製品別の輸出額で 1 億ドルを超える製品は下表のうち 7 製品。 表 1 2012 年 1-12 月 舶用工業製品の輸出額 順番 輸出製品 輸出額(万米ドル) 8 前年同期比(%) 1 レーダー及び無線航法援助装置部品 72,681.74 36.31 2 未分類の溶接鎖 34,724.83 8.93 3 門型クレーンと旋回型クレーン 30,432.06 29.24 4 未分類の無線航法援助装置 27,318.16 -15.35 5 スタッドリンクチェーン 24,167.81 8.14 6 舶用ディーゼルエンジン部品 23,567.58 -6.7 16,569.33 16.22 9,628.2 12.83 舶用船外機(火花点火型 往復又は回転ピ 7 ストン式) 8 舶用推進機及びプロペラ 9 未分類の荷揚げ装置 9,180.11 -15.84 10 鋼鉄製錨、グラブネル錨及びその部品 7,941.96 -4.36 (2)輸出国 2012 年 1-12 月、地域別の輸出額では、アジア地域への輸出が最も多く 16.8 億米ドル(前年同 期比 18.1%増) 、次いで、ヨーロッパ地域 4.85 億米ドル(前年同期比 9.3%減) 、北アメリカ地域 3.98 億米ドル(前年同期比 0.2%増) 。 国別では、6 ヶ国への輸出額が 1 億米ドルを超えた。順番は中国香港、日本、アメリカ、韓国、 ドイツ及びシンガポール。 (3)製造地域 2012 年 1-12 月、舶用工業製品の輸出額については、江蘇省が最も多く 10.1 憶米ドル(前年同 期比 3.4%増) 、次いで、広東省 6.3 億米ドル(前年同期比 44.4%増) 、上海市 4.1 億米ドル(前年 同期比 25.1%増) 。 3.舶用工業製品の輸入 (1)製品別の輸入額 2012 年 1-12 月、製品別の輸入額で 1 億ドルを超える製品は下表のうち 8 製品。 表 2 2012 年 1-12 月 舶用工業製品の輸入額 順番 輸入製品 1 舶用ディーゼルエンジン 2 輸入額(万米ドル) 前年同期比(%) 168,446.24 -29.82 レーダー及び無線航法援助装置部品 90,051.45 40.97 3 舶用推進器及びプラペラ 52,134.55 -10.9 4 舶用ディーゼルエンジン部品 29,246.28 -16.45 5 未分類の無線航法援助装置 22,930.66 -0.54 6 門型クレーン及び旋回型クレーン 18,796.62 -27.58 7 操舵装置及びジャイロスタビライザー 10,284.44 -25.75 8 未分類の航海計器及び装置 10,271.99 -23.92 9 航海用レーダー設備 7,748.4 -33.75 10 舶用船外機(火花点火型 往復又は回転ピ 5,062.57 -1.99 9 ストン式) (2)輸入国 2012 年 1-12 月、地域別では、アジア地域からの輸入が 25.8 億米ドル(前年同期比 18.4%減) 、 次いで、ヨーロッパ地域 14.7 億米ドル(前年同期比 13.8%減) 、ラテンアメリカ地域 2.9 億米万 (前年同期比 21%増) 。 (3)輸入地域 2012 年 1-12 月、中国で舶用工業製品の輸入が最も多かったのは江蘇省の 12.4 億米ドル(前年 同期比 1.9%増) 、次いで、上海市 6.2 億米ドル(前年同期比 2.4%減) 、広東省 3.9 億米ドル(前 年同期比 7%減) 。 2012 年(1 月~12 月)、船舶輸出は 30 年来初めて減少 税関統計によれば、2012 年(1 月~12 月)の船舶輸出額は 388.2 億米ドル(昨年同期比 11.1% 減) 、船舶輸入額は 17.8 億米ドル(昨年同期比 1.5%減) 、船舶輸出入総額は 406 億米ドル(昨年 同期比 10.1%減)であった。 2012 年の輸出船の船型については、バラ積み船が主流であり輸出額 212.3 億元、輸出総額の 50%以上。バラ積み船及びタンカーについては、小型船の輸出が減少し、大型船が増加。例えば、 30 万 DWT 以上のバラ積み船の輸出額 11.3 億ドル(昨年同期比 333.2%増) 、30 万 DWT 以上のタン カーの輸出額 10.9 億ドル(昨年同期比 41.8%増) 。輸出額が 100 億米ドルを超えたのは「15 万ト ン以下のバラ積み船」 。輸出額が 10 億米ドルを超えたのは 10 船型。浮遊式又は半潜水式のプラ ットフォームの輸出額が 25.3 億米ドル(昨年同期比 41.3%増)となった点が特記される。中国 の船舶工業が海洋構造物製造の分野で国際的競争力を徐々につけてきたものと推測される。 輸出船の船価については、昨年に比べ平均 27.8%下降。15 万 DWT 以下のバラ積み船の輸出平均船 価は 11%下降。15~30 万 DWT のバラ積み船は 1.5%下降、30 万 DWT 以上バラ積み船は 30%上昇。15 万 DWT 以下の原油タンカーは 21%下降、15~30 万 DWT の原油タンカーは 15%上昇。 中国の船舶の輸出先はアジアが最大手市場。アジア向けの輸出額は 226.2 億米ドル(昨年同期 比 4.3%増) 。次いで欧州向けが 59.9 億米ドル(昨年同期比 38.6%減―欧州経済危機の影響と思わ れる) 。 中国で船舶の輸出実績がある省又は市は 30 カ所、うち、輸出額 10 億米ドル以上の省又は市は 10 カ所;①江蘇省が 92.3 億米ドル(昨年同期比 12%減) 、②浙江省が 61.5 億米ドル(昨年同期 比 6.8%減) 、③遼寧省が 53.5 億米ドル(昨年同期比 1.9%減) 。 10 2012 年の輸入船舶製品について、上位 3 種類は、解撤用の船舶及び構造物が 10.4 億米ドル(昨 年同期比 3.3%増) 、②船外機なしのボートが 1.8 億米ドル(昨年同期比 86.3%増) 、③浚渫船が 1.4 億米ドル(昨年同期比 84.8%増) 。 遠洋漁業の発展に向けた漁船設備に係る提言 2 月 6 日の中国船舶報の特集記事として、山東省船舶行業協会の周 安昌 副秘書長が遠洋漁業 の発展に向けた漁船設備に係る提言を行っており、主なポイントは次のとおり。 (なお、山東省 は漁船を主に建設する造船所の数が中国一多い省) A.中国の漁業および漁業設備水準の現状 2011 年 12 月に発表された「山東省漁業基本状況調査データ報告」によると、山東省全体の漁 船は 11 万 4,600 隻、99 万 4,000 総トンであった。このうち、鋼製および FRP 製漁船は 6,570 隻 で、全体のわずか 5.7%、1 隻当たり平均は 83 総トン、155kw。また、海洋漁船は 2 万 2,600 隻 で、その割合は 19.7%。出力別に見ると、441 キロワット以上の漁船はわずか 70 隻であり、1 隻当たり平均は 300 総トン未満。その他、 「トレモリノス漁船安全条約 1993 年議定書」の適用対 象となる 24 メートル以上の鋼製海洋漁船の割合もわずか 10.81%。近海漁船について、同条約の 安全技術指標をすべて満たすものはサンプル総数のわずか 9.15%、指標を満たさないものが 48.39%。また、遠洋漁船について、同条約の指標を満たすものはサンプル総数のわずか 7.98%、 指標を満たさないものが 51.64%であった。 2011 年末の中国漁船の総数は 106 万隻であり、その内の 90%は小型漁船、80%は木製漁船で あった。 現在、 中国には漁業船舶検査局の検査を受けて登録された遠洋漁船は 1,625 隻であった。 ・近海での漁業資源が枯渇による頻発する漁業紛争 ・世界に目を向け、海洋漁業を遠洋へ B.中国の遠洋漁業設備の発展を制約する要因 ・立ち遅れる経営モデル、質の低い漁業従事者 ・漁業設備技術の開発力不足 C.技術力強化が急務 ・国家レベルでの早急な研究機関への支援強化 ・漁船修理建造企業の管理を強化し、遠洋漁業設備の品質を確保 ・政策指導と社会支援を強化し、遠洋漁業設備の建造水準を向上(4つの提言) 1.国家級政策研究センターと漁業情報発信センターの設置 2.遠洋漁業設備の開発企業に対する資金援助 3.トータルサポートサービスのシステムを立ち上げる企業に対する政策支援 4.「漁政」 「海監」等の漁業支援・保護を行う公的巡視船団の増強 11 江蘇省、漁船の更新・改造事業を推進 ―2013 年の漁業目標と重点施策― このほど開かれた江蘇省海洋漁業工作会議において、江蘇省海洋漁業局は、2013 年の漁業事業 の全面的な事業配置を行い、 「基礎を固め、経済効率を高め、経営主体を強化し、活力を増す」 という江蘇省の海洋・漁業事業の全体方針に沿った要求を提示した。年間目標と任務の実現を目 指すにあたり、6 つの施策を徹底することが基本方針となる。この事業配置は、江蘇省が海洋漁 船の更新と改造を強化し、遠洋漁業において飛躍を遂げようとしていることを、明確に示してい る。 この 6 つの施策とは以下の通りである。 (1)現代漁業の産業体系を構築し、水産物の効果的 な供給と漁業従事者の持続的な所得増加を確実にする。その一環として、海洋漁業の改良を加速 する。会議では、国務院がまもなく公布する「海洋漁業の良好かつ迅速な発展の促進に関する意 見」と、すでに公布されている「農業部による遠洋漁業の持続的かつ健全な発展促進に関する意 見」の 2 文書の趣旨について、徹底的に実行していくという江蘇省の方針が表明された。その主 眼は、各級政府からの援助を勝ち取り、海洋漁船の改装・改造工事の実施推進に力を入れ、江蘇 省の漁船の外海における遠洋生産能力や安全性能を高め、遠洋漁業において大きな飛躍を遂げる ことにある。 (2)漁業経営の体制を刷新し、漁業経営を高度化する。 (3)品質・安全の監督管 理を強化し、水産物の品質・安全体系の構築水準を上げる。 (4)漁業の技術革新を進め、科学 技術に支えられた現代漁業の発展能力を高める。 (5)漁業資源と生態系保全を強化し、漁業の 生態文明構築を推進する。 (6)安全生産と法執行の監督などを強化し、漁業の健全な発展を保 証する能力を高める。 今回の会議で示された江蘇省の 2013 年漁業目標は、水産物の総生産量 500 万トン、漁業の総 経済規模 2,000 億元、漁民の一人当たり純所得 1 万 7,000 元を達成し、水産物の重大な品質事故 や、重大な感染症・災害が発生しないようにし、漁業生産における安全上の事故を年度指標内に 抑えることとされている。 プレジャーボート市場の要請に応え、年内に「上海プレジャーボート 管理規定」を公布 ―上海市、プレジャーボート(観光船)に優先通行権― 上海海事局の関係担当者はこのほど、2012 年水上安全情勢ニュース・ブリーフィングにおいて、 国内外観光客の通行ニーズに対応するため、プレジャーボート(観光船)に優先通行権を与える 旨を表明した。これは出入港が集中する時間帯に、一部の商船がプレジャーボート(観光船)に 進路を譲ることにより、プレジャーボート(観光船)の定時運航率を確保するもの。また、小型 高級プレジャーボートを対象とした「上海プレジャーボート管理規定」も今年中に公布されると のこと。 情報によると、ここ二年で、上海港を出入する大型プレジャーボート(観光船)の数は増加傾 12 向が著しく、今年港を通行するプレジャーボート総数は 330 隻を超えると予測される。1日当た りおよそ1隻が上海を訪れることになり、総数は昨年の 247 隻に比べ明らかに増加している。大 型のプレジャーボート(観光船)は宝山埠頭に係留できるが、中小型のプレジャーボート(観光 船)は北外灘に係留する。 上海海事局によると、小型高級プレジャーボートに一定のニーズがあることから、上海市は今 年、 「上海港プレジャーボート管理規定」を公布し、プレジャーボートを楽しむライフスタイル の普及と、プレジャーボートの安全性向上を図るという。現在、上海水域で長期にわたり停泊す るプレジャーボートは 30 隻余りあるが、航行が不便、停泊場所が足りないなどの理由により、 一部の船主はプレジャーボートを南方の都市に移して係留しており、これは上海のプレジャーボ ート産業の発展に影響する恐れがある。国外や南方の諸都市の経験を参考に、上海市はプレジャ ーボート業界に対し、緩やかな管理を基本原則とする。また、上海市はプレジャーボート業務従 事者の資格に対する監督管理を、資格取得の段階から強化・徹底することにしているとのこと。 上海プレジャーボート管理規定」が今年公布、青草沙ダム保護区を拡大 上海市海事局の担当者は、先日開催された水上安全情勢会議で、全市民の 70%に飲用水を供給 する青草沙ダムについて、イ)年内に保護区を拡大すること、ロ)海事部門がすべての通過船舶 を警護しリアルタイムで追跡監視すること、及びハ)環境保護部門、水道部門等と連携し、水質 汚染を発見した場合には、青草沙取水口を直ちに閉鎖して安全を確保することを明らかにした。 (油汚染帯への対策) 先ごろ、上海の長江河口にある九段沙には約1海里にわたる油汚染帯が見つかったが、海事部 門がすみやかに対策を講じたため、拡散には至っていない。市の海事局担当者によれば、上海に 停泊する石油・化学物質運搬船は年々減っているものの、化学物質を積載した船舶の入国数はな お多く、安全上の弱点になっている。 「危険物運搬船が入国する場合、荷卸港に対してのみ積載 物の申告が必要で、通過水域では申告をしないため、その船に一体どんな重度危険物や化学品が 積載されているか、また航行ルートや乗組員の資質等について、こちらでは把握できません。転 覆や衝突が起きて漏れ出した場合もスピーディーに対応できず、非常に受身的にならざるを得な い。 」と担当者は語っている。海事局では、入国する化学物質運搬船に対して監督を強化したい という要望を市政府に申し出ている。 上海に停泊する危険化学物質運搬船は年間約 5,000 隻、危険化学物質運搬船の入国は 1 日 30 隻あまりで、運搬される液体化学物質は7万トン以上、70 品目以上に及ぶ。長江河口には船舶油 流出事故の緊急対応設備が完成しており、通常の油汚染除去機材のほか、基本的化学物質の吸着 剤なども準備され、緊急時にすみやかに対策を講じられるようになっている。 (今年は大型クルーズ客船 330 隻超が上海に) 過去2年間に、上海港を出入りする大型クルーズ客船は急増しており、今年は入港するクルー ズ客船の総数が 330 隻を上回ると予測され、基本的に毎日 1 隻が上海に入る。そのうち超大型船 13 は宝山埠頭に停泊可能で、中小型船は北外灘に停泊する。国内外の旅客の便を考え、クルーズ客 船には優先通航権が与えられることになっており、出入港が集中する時間帯には、定刻率を守る ために商業船はクルーズ客船にスペースを譲らなければならない場合もある。また、小型高級プ レジャーボートの管理に関する「上海プレジャーボート管理規定」も年内に公布される。 現在のところ、上海に長期停泊するプレジャーボートは 30 隻あまりで、プレジャーボートの 航行が最も頻繁な区域は盧浦大橋-楊浦大橋間、黄浦江中心区間で、時間は 18 時以降に集中し ている。海事部門では、プレジャーボートがこれらの水域でフェリー、黄浦江遊覧船、商業船と 衝突することがないよう重点的に安全措置をとり、管制を強化して場合によっては航行速度規制 も行っていく。 昨年の中国の舟艇の輸出入は「独り勝ち」 輸出額は 2 億 6,200 万ドルで前年同期比 17.5%増、輸出額は 2 億 3,600 万ドルで同 46.8%増、 2013 年の輸出入額は低めの伸びが続く見込み。 比較的活況な舟艇消費市場の恩恵を受け、2012 年の中国の舟艇輸出入は、世界的な不況と船 舶市場全体の低迷にもかかわらず、依然急速な伸びを維持している。税関の統計データによると、 2012 年の中国の舟艇輸出入総額は 4 億 9,800 万ドル(前年同期比 28.8%増) 、輸出入総数は 274 万 5,000 隻(同 3.8%減)となった。そのうち、輸出額は 2 億 6,200 万ドル(同 17.5%増) 、輸 入額は 2 億 3,600 万ドル(同 46.8%増) 。 2012 年、中国の上半期の舟艇輸出額は下半期を上回った。輸出額が最も多かった 5 月は 4,064 万 7,200 ドル(前年同期比 61.1%増) 、最も少なかった 2 月は 1,165 万 8,600 ドル(同 12.6%増)。 輸入面では、年間で最多となった 5 月の輸入額は 4,211 万 7,400 ドル、最少となった 2 月の輸入 額は 771 万 3,400 ドル。 現在の舟艇消費市場の状況から考えると、2013 年の中国の舟艇輸出入は引き続き増加傾向を維 持すると予想される。ただ、その伸び幅は比較的低水準にとどまる状況が続く見込み。一部の輸 入舟艇取扱業者がここ数ヶ月、財務状況が逼迫しているため、リース貿易により輸入される舟艇 が大幅に増加しており、こうした状況はかなり長期間続くと予想される。 「膨張式以外のプレジャーボート」が舟艇輸出品目構成の主体 2012 年、中国では舟艇製品 3 品目の輸出額が 1,000 万ドルを超えた。そのうち、最も多かった のが「膨張式以外のプレジャーボート」で輸出額は1億 3,500 万ドル、輸出総額の 51.44%を占 め、前年同期比 61.3%増。2 番目は「膨張式のプレジャーボート」で輸出額は1億 100 万ドル、 3 番目の「帆船(補助原動機付きであるかないかを問わない)」で輸出額は 1,753 万 4,500 ドル、 前年同期比 125.6%増。 中国の主な舟艇輸出先は欧州とアジア 14 2012 年、中国から 155 の国と地域に舟艇が輸出された。大陸別にみると、輸出額が 1,000 万ド ルを超えたのは、多い順に欧州、アジア、北米、オセアニアの 4 地区となった。このうち、欧州 への舟艇輸出額は 9,189 万 700 ドル(前年同期比5%減)で輸出総額の 35%、アジア向け輸出額 は 7,187 万 9,500 ドル(同 94.3%増)で輸出総額の 27.4%、北米向け輸出額は 6,044 万 2,100 ドル(同 9.1%増)で輸出総額の 23.1%、オセアニア向け輸出額は 2,953 万 8,400 ドル(同 15.5% 増)で輸出総額の 11.26%を占めた。 省(区・市)別舟艇輸出額の上位 3 位は広東省、山東省、浙江省 2012 年、中国では 30 省(区・市)から舟艇が輸出され、そのうち輸出額が 1,000 万ドルを超 えたのは、多い順に広東省、山東省、浙江省、福建省、上海市、遼寧省の 6 地区となった。1 位 となった広東省の輸出額は 8,060 万 7,600 ドル(前年同期比 82.4%増)で輸出総額の 30.7%、2 位の山東省の輸出額は 5,908 万 5,400 ドル(同 2.8%増)で輸出総額の 22.5%、3 位の浙江省の 輸出額は 3,945 万 7,300 ドルで輸出総額の 15%を占めた。 「モーターボート(船外機付きのものを除く)」が舟艇輸入品目構成の主体 2012 年、中国に輸入された舟艇のうち、3 品目の輸入額が 1,000 万ドルを超えた。中でも最も 多くを占めたモーターボート(船外機付きのものを除く)の輸入額は1億 7,500 万ドル(前年同 期比 86.29%増)で輸入総額の 73.93%。それに次ぐ「膨張式以外のプレジャーボート」の輸入 額は 4,053 万 8,500 ドル。三番目が「帆船(補助原動機付きであるかないかを問わない)」で、 輸入額は 2,080 万 2,400 ドルとなった。 依然強い活力を保つ欧州の舟艇製造市場は、中国の主要な舟艇輸入元 2012 年、中国では 35 の国と地域から舟艇が輸入された。中でも最大の輸入元である欧州から の輸入額は1億 6,500 万ドル(前年同期比 42.2%増)で輸入総額の 69.8%を占めた。2 番目に多 い北米からの輸入額は 4,519 万 9,500 ドル(同 51.7%増)で輸入総額の 19%、3 番目のアジアか らの輸入額は 2,489 万 8,000 ドル(同 82%増)で輸入総額の 10.5%を占めた。 リース貿易による舟艇輸入が大幅に増加 2012 年、一般貿易による中国の舟艇輸入額は1億 800 万ドル(前年同期比 6.2%減)で輸入総 額の 45.9%、リース貿易による舟艇輸入額は 9,134 万 6,500 ドル(同 194.9%増)で輸入総額の 38.7%を占め、保税倉庫輸出入貨物貿易による輸入額は 2,265 万 3,100 ドル、保税区保管中継貨 物貿易による輸入額は 954 万 4,300 ドル、加工貿易による舟艇輸入額は 428 万ドルとなった。 省(区・市)別舟艇輸入額の上位 3 位は海南省、広東省、上海市 2012 年、中国では、17 省(区・市)で舟艇が輸入され、そのうち輸入額が 1,000 万ドルを超え たのは、多い順に海南省、広東市、上海市、福建省、江蘇省の 5 地区となった。1 位となった海 南省の舟艇輸入額は 9,914 万 2,900 ドル(前年同期比 200%増)で輸入総額の 42%、広東省の輸 入額は 4,043 万 2,900 ドル(同 21%減)で輸入総額の 17%、上海市の輸入額は 3,267 万 3,000 ドル(同 40%増)で輸入総額の 13.8%を占めた。 15 表1 2012 年の舟艇輸出品目構成 単位:万ドル 品目名 輸出額 割合 前年同期比 膨張式以外のプレジャーボート 13,490.63 51.44% 32.59% 膨張式のプレジャーボート 10,181.95 38.82% -5.91% 帆船(補助原動機付きであるかないかを問わない) 1,753.45 6.69% 98.13% モーターボート(船外機付きのものを除く) 3.05% 81.85% 798.77 表2 2012 年の舟艇輸入品目構成 単位:万ドル 品目名 輸入額 割合 前年同期比 17,474.05 73.93% 86.29% 4,053.85 17.15% -17.46% 帆船(補助原動機付きであるかないかを問わない) 2,080.24 8.8% 17.99% 膨張式のプレジャーボート 0.12% -46.01% モーターボート(船外機付きのものを除く) 膨張式以外のプレジャーボート 26.95 中国のマリンレジャーの方向性 2 月 2 日、国務院の承認を受け、 「国民観光レジャー綱要(2013-2020 年) 」が公布。これは、 国家主導の国民レジャー体制が始動し、中国の 13 億余りの人々が国民的レジャー時代に入ろう としていることを意味する。この綱要では、中国のプレジャーボート産業の発展目標が示され、 イ)国がウォーターレジャー、ボートレジャーを、国内観光産業の新たな業態として位置づけて いること、ロ)国が国内のウォーターレジャー産業の発展にとって重要な構成要素であると判断 していることが明らかになった。この戦略措置により国内のプレジャーボート産業では成長が加 速し、プレジャーボート産業は中国の産業高度化のための新たな突破口になると思われる。中国 の造船会社は、その特長を生かしながらウォーターレジャー、海洋観光向けの企画を打ち出し、 そこに潜むチャンスを逃すことなくさらなる発展を目指していく必要がある。 業界専門家の予測によれば、プレジャーボート産業は、わが国でウォーターレジャー産業、海 洋観光が発展していく中で最初に恩恵を受ける産業の一つになる。ウォーターレジャー、ボート レジャーには、消費水準、産業連関、ブランド効果が異なるという特徴があるが、海外では比較 的成熟している。国際セーリング連盟のデータによれば、現在、世界の船舶市場で、プレジャー ボートの年間売上は海上運輸船舶と同レベルの 2,000 億ドル超になる。 プレジャーボート関連品、 ウォータースポーツ器材を加えると、年間売上総額は 3,000 億ドル以上にもなる。こうしたこと から、わが国では、プレジャーボート産業発展への取り組みを強化し、海洋観光を「海岸」から 本来の「海洋」へと進めるための、そしてマリンレジャー、海洋観光向け製品とレジャーサービ 16 スのモデルチェンジと高度化を実現するための重要手段としていく必要がある。 現在、わが国のプレジャーボート消費額は、先進国と比べればまだ大きな隔たりがある。先進 国全体ではプレジャーボート 1 隻当たり人口は 171 人で、ノルウェー、ニュージーランドでは8 人、米国では 14 人、内陸国のスイスでも 69 人であるのに対し、中国はこれよりもはるかに低い 水準にとどまっている。現段階で、わが国ではプレジャーボートに対する一般的なニーズは芽を 出したばかりで、プレジャーボートの個人消費は全体としてはまだスタート段階にある。大衆向 けの個人用プレジャーボートの消費市場には、巨大な潜在力があるものの、まだ十分には発揮さ れていない。しかし、本当の意味でプレジャーボートの大衆消費が進まなければ、プレジャーボ ート産業は成長のための原動力を欠くことになる。 こうした中、 「国民観光レジャー綱要」が公布されたことは、わが国のプレジャーボート産業 にとって非常に心強い後押しとなる。国家観光局では、今年はボートレジャーなどマリンレジャ ー用製品の開発を加速し、マリンレジャー産業の宣伝普及を強化して、マリンレジャーによって 新たな消費のトレンドをリードすることで、新しい消費ポイントを作り出しいくとしている。海 南省、広東省、福建省、上海市、山東省などでは、マリンリゾート観光、有給休暇リゾート観光、 海洋観光、島嶼観光、クルーズ観光、プレジャーボート観光、マリンスポーツ観光を重点的に推 進していくことを明らかにしている。海洋観光を着実に発展させていくためには、国内のプレジ ャーボート消費を今のビジネス接待中心から大衆的個人消費へと転換させることで、プレジャー ボートに対するさまざまなニーズを増大させていく必要がある。 以上を踏まえ、わが国造船企業はこの流れに積極的に順応し、市場ニーズに合致した製品を開 発していくべきである。 そのためには、第一に、個人レジャーやウォータースポーツを中心とするモーターボート、ヨッ ト、フィッシングボートなどの一般向けプレジャーボート製品の開発に重点を置き、環境に優し い省エネ型のプレジャーボートを研究開発していくことが重要である。また、プレジャーボート の販売面では一般消費者層によりいっそう目を向け、銀行、保険会社などの金融機関とも協力し ながら、ボートのためのローン、保険、ファンド、所有権分譲などのサービスを推進していくこ と、そしてプレジャーボートの購入・維持コストを下げて、より多くの人にマリンレジャー、プ レジャーボート利用を通じて海洋観光の楽しみを味わってもらうことも必要である。 第二に、プレジャーボートの設計については、海外製品を模倣するのではなく、中国らしさを 存分に発揮して、幅広い消費者にアピールできる魅力を持たせていく必要がある。 最後に、海外の進んだ海洋観光の経験を参考にし、プレジャーボート製品の開発時には海洋生 態環境の保護をよりいっそう重視し、プレジャーボート製品の省エネ・環境保護性能向上に努め、 無動力の各種レジャー用・競技用ヨットの研究開発を進め、同時に将来を見据えてソーラーボー ト、リチウム電池ボート、ハイブリッドボートの開発に取り組んでいく必要がある。 中国経済が発展を続けていく中、マリンレジャー産業に今後、非常に大きな発展が見込まれる ことは疑いない。わが国の造船企業は、国がマリンレジャー産業を強力に後押しするこのチャン スを逃すことなく、より多くのプレジャーボート、関連製品を開発、建造し、各消費者層のニー ズに応えるとともに、国の海洋戦略実施のためにしかるべき貢献をし、今後の自らの発展を支え 17 るフロンティアを勝ち取っていかなければならない。 上海市「第十二次五カ年」海洋発展計画(全文) 海洋資源は重要な戦略資源であり、海洋産業は上海市の重要な戦略的新規産業である。上海市「第 十二次五カ年」海洋発展計画は、 「中華人民共和国国民経済及び社会の発展に関する第十二次五 カ年計画綱要」の「海洋経済の発展」に関する戦略的な重要な構成部分であり、上海市第十三回 人民代表大会にて承認された「上海市国民経済及び社会の発展に関する第十二次五カ年計画綱要」 を更に具体化して広く展開するもので、今後五年間の同市海洋発展を指導する行動綱要として、 政府管理機能の履行、公共的サービスの重要な拠り所とするものでもあり、上海経済の継続的な 発展への支えとして重要な意義をもつ。 1、 「第十一次五カ年」海洋発展計画について 上海市は中国大陸海岸線の中部に位置し、 長江河口で東シナ海と接し、 海域面積約 10,000 ㎞ 2、 海岸線の全長は約 518 ㎞(無人島を除く)であり、沿岸線は全長 211km に及ぶ。島嶼部は崇明島、 長興島、横沙島の有人島 3 島、大金山島、佘山島、九段沙等の無人島(砂州)23 島を有する。ま た、港湾・航路、砂浜湿地、漁業、臨海観光、風力エネルギー、潮汐エネルギー等の多くの海洋 資源を保有する。 「第十一次五カ年」計画期間、上海市は、市委員会、市政府の指導のもと、各方面の協力によっ て、全体的、基礎的、戦略的に特徴を持った海洋事業を実現した。この結果、同市海洋経済はス ピード発展を続け、海洋汚染をコントロールし、科学技術の進展とともに、海洋における総合的 管理を強化し、公共サービスに係わる能力の向上を図り、上海市の経済発展のために大きく貢献 した。 (1) 「第十一次五カ年」発展計画の主な成果 イ.海洋産業の分布を最適化し、海洋経済の発展を促進 「第十一次五カ年」計画期間、上海市の海洋産業の分布は、黄浦江両岸から長江河口と杭州湾沿 海地区へと転移し、洋山深水港と長江河口の深水航路を中心として、臨海新城、崇明三島によっ て、江蘇省・浙江省との共同開発による海洋経済エリアを構築した。a)長興島エリアの船舶・海 洋構造物の製造業基地、臨港エリアの海洋構造物基地及び沿海区・県の臨海観光業は基礎を形成 し、b)洋山深水港と外高橋港区の海運業はすでに大規模化を形成している。 海洋経済は持続的に成長し、海運業、船舶工業、臨海旅行業、海洋電力業、海洋工事建設業、海 洋バイオ医薬業等の六大海洋産業は目覚しく発展した。2010 年の上海市海洋総生産高は 2006 年 18 比 19.6%増の 4,756 億元であり、上海市総生産高の 27.7%を占めた。 ロ.汚染源の整備を強化し、海洋における生態環境を保護 「第十一次五カ年」計画期間中、省エネ・汚染物の排出削減に関して、a)陸地からの海洋汚染の 流入防止に係わる対策を強化し、市全体の汚水処理能力は「第十次五カ年計画」期間末の 471 万 ㎥/日から 684 万㎥/日となり、汚水の処理率は 70.2%から 81.9%まで向上した。b)廃棄物の海洋 への投棄処理許可証に関するルールを整備し、廃棄物の海洋投棄をコントロールした。c)船舶へ の汚染防止、整備、監督・管理制度と船舶油漏れコントロールの仕組みを確立し、船舶汚染物の 受入・処理合格率は 100%に達した。d)上海を 11 の海域に分け、その中の約 60 個所のモニタリン グ地点において目標指数を網羅する海洋における環境モニタリング任務を完成させ、同市海域の 環境質量の状況と変化の趨勢を把握した。e)海洋漁業の生態修復を強化し、約 5 億匹(個)の稚 魚放流をした。f)金山三島自然保護区の建設に力をいれ、保護区の生態を安定させて、生物の多 様性(Biological Diversity)を確保した。 ハ.海洋における科学技術の革新を継続し、海洋事業の発展を支援 「第 11 次 5 カ年」計画期間、以下を実施した。a)海洋の防災・減災、海洋資源の利用、海洋環 境の整備、船舶製造、海洋構造物等の関連基礎理論と応用技術の研究を行い、上海市海洋科学技 術研究センター、デジタル化造船国家工程実験室、海洋工事材料・防護技術研究センター等の海 洋科学技術の革新的なプラットホームの設立を検討し、海底観測、深海ボーリング、海上風力発 電、液化天然ガス船等の先端船舶の技術分野、水中積載容器、ロボット等の海洋ハイテク分野に おいて大きな進歩があり、中国におけるハイテク及び高付加価値船舶、大型風力発電ユニット分 野における研究開発・製造レベルを引き上げた。b)大型深水掘削プラットホームの設計・建造に 関する問題を解決した。c)中国初の海底における総合的な観測試験とそのモデルシステムである 東シナ海海底観測小衢山試験場、東シナ海でよく発生する赤潮・藻類における毒素の遡源機能の 仕組み、河川・海域のモニタリング・早期警戒システム及び長江河口の海水侵入の観測・予報シ ステムを確立し、海洋災害の予測・予報とその緊急対応力を高めた。d)魚・えび・蟹・貝・藻(海 鮮類)の養殖技術と育苗技術は国内でトップレベルとなり、深海ボーリングと深海基礎研究等の 分野は国際的な優位を確保し、上海海洋事業の持続的な発展のため、科学技術面での重要な支援 を行った。 ニ.海洋に関する基礎的な事業を推進し、海洋管理能力を向上 「第十一次五カ年」計画期間、以下の事業を行った。a)上海近海における海洋における総合的調 査とその評価、海域使用の全面的な調査、海岸線の修正・測定、海洋における環境モニタリング とその評価、高潮・波浪等の海洋災害の緊急予報等の基礎的な事業。b)「上海市海洋における赤 潮防止・整備作業方案」の組織・編成を行って、長江河口に赤潮コントロールエリアを設定し、 赤潮の発生、拡大、生態への影響において全面的にコントロールを行い、テレビ、無線放送局、 ネットワーク等を通して短期的及び中長期的に海洋予報を公開。c)「デジタル海洋」上海モデル 区の建設を進め、 「デジタル海洋」情報システムの基礎的な枠組みを形成し、上海の海洋及びそ の開発への利用の現状を調査。d)海域使用の全面的な調査によって関係ドキュメントを整理。e) 上海における水運貿易港の開放領域の確認を実施。 海洋における公共サービスの能力は引き続き高められ、同市海洋における経済発展・環境保護、 19 総合的な管理のための基礎データと科学的根拠を提供した。 (2)直面する主な問題 「第十一次五カ年」計画期間、上海市の海洋事業は、 「第十一次五カ年」計画で定めた各種目標 と任務を概ね達成したが、上海の「4 つの率先」 (発展方式の転換、自主創造能力の向上、改革開 放の推進、社会主義の調和のとれた社会の構築)の加速、 「四つの中心」 (国際的な経済、金融、 航運、貿易の中心)建設の加速については、要求と比較してまだ十分に実現されておらず、以下 の問題がある。 イ.海洋産業構造は更なる最適化が必要 上海市における海洋交通輸送と船舶工業等の伝統的な海洋産業は国際金融危機による影響によ り、海洋工事・新エネルギー開発・バイオ医薬等のハイテク分野のウェイトが低く、低迷し、発 展が緩慢であり、海洋航運サービス、臨海観光、海洋情報サービス業の関連施設のインフラ整備 は脆弱である。 ロ.海洋科学技術の革新は更なる問題解決が必要 上海市の多くの海洋関連科学技術研究機構は、それぞれ管轄部門が異なるため、科学技術の研究 能力が分散されている。具体的には、a)海洋産業のコア技術の自主創造能力が依然として低い。 b)海洋における防災・減災、海洋の環境保護、島嶼部の利用等の重要な技術と公共サービスに関 する新たな要求への格差が大きい。 ハ.海洋における環境保護は更なる強化が必要 長江河口・海洋への汚染物の流入総量は依然として高い。具体的には、a)長江から運ばれる土砂 量は激減し、河口海岸地帯の砂浜湿地面積は減少傾向にある。b)海洋資源と環境受入能力は低下 している。c)近海の生物の多様性は低下している。d)船舶油漏れと化学品漏洩等の事故発生の潜 在リスクが依然として存在する。 ニ.海洋管理能力は更なる向上が必要 上海市海洋局と水務局が共同で行う新体制は 2009 年に設立したばかりで、十分に機能していな い。具体的には、a)海洋管理設備と公共サービスプラットホームが不足している。b)海洋開発に 関する法体系の整備が必要である。 2、 「第十ニ次五カ年」海洋発展計画の構想 (1)情勢の分析 21 世紀に入り、海洋経済は今後の新たな資源開発、新しい産業開拓の重要な分野として、すでに 世界経済が発展するための重要テーマの一つとなっている。国際的には、世界の海洋経済は加速 的に成長し、海洋科学技術の進展は各国の重要課題となり、現在、海洋分野の発展は大きく伸び ている状態である。国内的には、中国は「海洋経済の発展」戦略を打ち出し、陸海の統一計画を 求め、海洋発展戦略の制定と実施を行い、海洋開発、コントロール、総合的な管理能力を高めて いる。全国における海洋経済地区を形成し、海洋産業構造は調整され、沿海部における省・市の 海洋経済は持続的な発展を遂げている。特に、上海近隣の江蘇省、浙江省等では海洋経済の発展 20 を加速させ、 「江蘇省沿海開発全体計画」 、 「浙江海洋経済発展モデル区計画」等はすでに国家戦 略まで格上げされている。 「第十二次五カ年」計画時期、上海は「革新駆動(イノベーション・ ドライブ) 、モデルチェンジ発展」の重要な時期であり、産業エネルギー水準の向上、省エネ・ 汚染物排出削減の推進、気象変動への対応、安全な生態への対応を行い、海洋における総合管理 と公共サービスに対してより高い要求を提起している。 イ.海洋経済発展;「四つの中心」を建設し、率先し経済発展方式を転換する。 「四つの中心」の建設、経済発展方式を率先して転換・実現することは、中国共産党中央政府、 国務院の上海の発展に対する切なる期待であり、中国全体の競争力を高める重大な戦略的措置で ある。上海海洋経済の発展を加速させ、上海の黄金海岸と黄金水道が合流するロケーションの良 さを十分に発揮して、海洋産業の分布を最適に調整し、海洋経済の発展方式を転換し、海洋経済 の品質及び総量を高めることは、上海市経済社会の良好な発展を促進する重要な施策となる。 ロ.海洋環境保護;省エネ・汚染物排出削減を推進し、安全な生態への高い要求に適合する 上海は河川下流域、東シナ海沿岸に位置する。海域環境は長江、銭塘江の水流、蘇北沿岸流と沿 岸排水等多くの影響を受けるため、環境保護対策が困難である。一方、長江流域と長江デルタの 経済社会の発展と人口集中に伴い、海洋へ流入する汚染物の排出は更に増加する恐れがあり、ま た、国のより高い汚染物排出削減目標を達成し、河口・海洋生態を保護する必要があるため、海 洋へ流入する汚染物の排出削減コントロールはより大きな課題に直面する。 ハ.海洋科学技術の革新;更なる核心的競争力の向上、成果利用へ向けた挑戦を加速する 上海の豊富な海洋科学技術力により、ハイテク、高付加価値の海洋産業分野において強い競争力 を形成するため、以下について取り組まなければならない。 「科学・教育に基づく市場の振興」実現に向け、 「需要の牽引、革新の推進」原則を堅持し、プ ラットホームの統合、成果・情報の共有化により、海洋分野における科学技術の革新を進める。 基礎的な科学・研究能力を高め、コア技術の自主的な研究・開発レベルを高め、科学技術の革新 的な成果の応用と産業化を加速し、海洋経済、海洋管理、防災・減災、海洋安全に対するサポー トと指導機能を持たせる。 ニ.海洋における総合的な管理;統一的な計画・協調、サービス能力の向上・強化のための任務に 重点を置く 海洋における総合的な管理における新機能を全面的に履行するため、具体的に以下を強化する。 a)海域と陸域の連動した発展、河口と海洋の共同保護を推進し、各部門の自立と各方面との連携 を保ち、上海市の海洋経済発展連席会議制度を整備し、海洋関連部門間の協調歩調を強化する。 b)基礎を固め、安定して推進し、海洋管理機関の健全化を図り、海洋インフラ建設を強化し、海 洋管理とサービス保障能力を高める。 (2)指導思想と基本原則 イ.指導思想 革新駆動、モデルチェンジ発展、民生改善の市全体の情勢について、科学的な発展を軸とし、海 洋産業エネルギー水準の最適化・向上を主線とし、河川・海洋連動、海陸の統一的な計画、安全、 21 資源、環境の協調した発展を堅持し、海洋における総合的な管理能力と公共サービスレベルを向 上し、上海経済が持続的な発展をするための支援・対応を進める。 ロ.基本原則 (a)河川・海洋の連動、海陸の統一計画を堅持 国家の河川・海岸線の発展戦略と長江デルタ地区計画に基づき、上海市は、河口と海洋の連動し た発展、海域と陸域の統一した計画的発展、江蘇・浙江・上海における沿海地区の協調した発展 により力を注ぐ。 (b)科学技術の革新、環境保護の重視を継続 科学技術の革新に向けた事業を推進することにより、科学技術の革新的なモデルの建設を加速す る。海洋経済の発展において、海洋生態の環境保護を重視する。海洋資源の最適化された配置で、 海洋資源の節約・集中利用に力を注ぐ。 (c)優位性のガイド、エネルギー水準の向上を堅持 上海のロケーション、人材と科学技術の優位性によって、海洋産業の分布と構造を最適に調整し、 産業エネルギー水準を向上し、戦略性の高い重点的な新規産業の育成に向け、先進的な海洋製造 業と海洋現代サービス業の発展を加速する。 (d)政府の誘導、市場原理を重視 政府の誘導・調整・統制の役割により、総合管理を強化し、公共サービスを最適化する。市場原 理による資源の最適な配置を重視し、社会の各方面が協力し、上海海洋事業の健全な発展を推進 する。 (3)海洋発展の重点 「第十二次五カ年」計画期間、海洋発展は上海市の重要な発展戦略の基礎的な役割を果たしてい る。海洋サービス都市へのモデルチェンジを目指し、生態安全への保護機能を有し、上海市の海 洋分野における深海・沿海域も含めた大きな発展を目指していく。 「需要の確認、問題への対応、 プロジェクトの指導」の原則に基づき、海洋発展は以下を重点とする。 イ.産業分布の最適化、構造調整を重点とし、海洋経済の持続的発展を促進 中国の国家戦略に関して、上海市の「第十二次五カ年」計画の新型産業体系の分布と結合し、上 海市は現代的サービス業を主として、戦略性の高い重点新規産業への指導、先進的な製造業をサ ポートする新型海洋産業モデルの構築を加速しなければならない。a)海洋現代サービス業は、海 洋金融サービス、現代商業貿易、観光コンベンション、情報サービス及び航運物流等を発展させ る。b)先進的な海洋先進製造業は、ハイテク及び高付加価値船舶、海洋構造物を発展させる。 海洋産業構造の最適化・グレードアップを経て、 「1 ベルト 3 圏 7 区」の海洋産業分布を形成し、 海洋経済の持続的発展を促進する。 ロ.排出根源のコントロール、生態回復を重点とし、海洋生態の環境保護を強化 中国の省エネ・汚染物排出削減への要求と上海市の基本生態ネットワークの建設目標を達成する ため、上海河口・海洋環境の特徴に基づき、 「健全な海洋の上海行動計画」を重点的に実施し、 環境汚染へのコントロールを実施、生態回復活動、環境保護への活動を展開して、河口・海洋の 生態環境を改善し、海洋生態の安全を確保する。 22 ハ.技術の集中、科学技術の革新を重点とし、海洋科学における研究成果の転利用を推進 科学技術による海洋振興戦略に関して、海洋科学技術の資源を統合し、科学技術力を集中させ、 高い創造力、ハイテクをもちいた海洋経済の総合的な管理に重きを置き、海洋科学技術の革新的 な成果の応用利用・産業化を加速し、科学技術への指導と支援を行う。 ニ.基礎を固め、サービス強化を重点とし、海洋総合管理レベルを向上 政府機能の転換と海洋公共サービスの強化に関して、法規と計画、法律の執行、緊急対応、各海 域への行政許可、情報化等の五項目の管理の強化を重点として、基礎を固め、能力向上を行い、 海洋総合管理レベルを高める。 (4)主要目標 「第十二次五カ年」計画期間末までに、上海市の海洋経済発展、海洋環境保護、海洋科学技術 革新、海洋総合管理は沿海部の省・市の先進的なレベルとする。海洋経済を発達させるために、 生態環境を良好な状態で維持しながら、海洋科学技術をリードする。海洋管理についての科学的 な事業発展モデルを形成し、上海経済のより良く速い発展に貢献する。具体的には、以下のとお り。 イ.海洋産業の分布を最適化し、海洋経済を持続的に発展させ、海洋経済総生産高を年平均 10% 増とし、全市経済成長率の平均レベルより高くする。 ロ.海洋生態の環境保護を強化し、汚染物排出総量を有効にコントロールし、市全体の中心部・ 鎮(町)における汚水処理率を 85%以上とし、同市海洋流入汚染物削減量に関する中国国家レベ ルの目標を達成し、生態回復と保護活動を実施し、生態環境を回復させる。 ハ.海洋科学技術の革新を推進し、海洋科学技術の全体レベルを国内トップレベルとし、優位な 分野においては国際的にもトップレベルとする。 ニ.海洋における総合的な管理を強化し、海洋公共サービス能力を向上させる。 3、 「第十二次五カ年」海洋発展計画の主要任務 (1)海洋経済の発展 「第十二次五カ年計画」期間、中国国家の「海洋開発の実施」と「海洋経済の発展」の戦略的な 展開に基づき、市海洋経済発展連席会議に出席している指導者達と協調し、海洋産業構造を調整 し、海洋経済の科学的発展レベルを向上させる。 イ.海洋サービス業の重点的な発展 (a)海洋交通輸送業 上海が国際航運における中心的な役割を担うために、具体的に以下を推進する。①港湾の分布を 合理的に調整し、埠頭バースの大型化及び専業化レベルを高め、長江河口の円滑な深水航路を確 保し、港湾を要として、水陸交通の円滑化、施設の改善を行い、内外に影響を与えるような現代 的な航運ターミナルシステムを確立し、多様な航運方式を用いながらも一体化した発展を実現さ せる。②貿易港の利用可能な設備を統一的に計画・管理し、開かれた港湾機能を提供する。2015 年までに、上海港の貨物取扱量約 6.5 億トンを維持し、コンテナ取扱量を 3,300 万 TEU まで増加 させ、上海港を極東アジアにおける国際コンテナ輸送ハブ港の地位を確立させる。 23 (b)海洋航運サービス業 浦東新区における上海国際航運センターの中枢区の建設に関して、具体的は以下を推進する。① 港区の連動、港湾・都市の連動、航運と金融・貿易の連動を推進し、航運金融、航運保険、航運 経営、航運取引、航運情報等の現代的な航運サービスの発展に力を注ぐ。②国際航運における総 合的な開発試験区の建設を推進する。③上海における港運交易所のサービス機能を高め、船舶取 引査証、船舶オークション、船舶見積もり等のサービスを行う。④上海港における航運データセ ンターとデジタル処理による港湾管理システムの二つを合わせることによる優位性により、上海 における国際航運センターの総合的なプラットホーム機能を確立する。⑤海洋における情報サー ビス市場を育成・発展させ、情報サービスモデルを確立させる。 (c)臨海観光業 上海を世界的な観光都市として発展させるため、①崇明三島、浦東臨海、奉賢、金山のマリンレ ジャーの発展に力を注ぎ、エコツアー、レジャー・リゾート、ビジネスコンベンション、野外ス ポーツ等を一体としたエコ型観光リゾート区を確立する。②呉淞炮台湾公園、崇西明珠湖、崇東 陳家鎮地区、奉賢生態海岸等の観光エリアのサービス施設の建設を重点的に推進する。③上海の 定期客船業務の発展を加速させ、上海港の国際旅客センターと呉淞港の国際定期客船埠頭で、客 船による国際定期航路の世界的な拠点をつくる。④海洋文化の創造、海洋に関わる展示・交易・ 観光、会議フォーラム等の関連産業の発展に力を注ぐ。 ロ.海洋における先進製造業の発展 (a)船舶工業 世界の船舶工業が中国へ転移しつつあるチャンスを掴み、①自主開発、技術導入、科学技術の革 新の連動によって、既存の船舶工業を基礎として、製品構造の最適化を行い、船舶の自主設計・ 製造能力を高める。②三大主流船型を最適化し、超大型原油輸送船、1 万 TEU 級以上コンテナ船、 大型液化天然ガス船、海洋掘削船、豪華客船、プレジャーボート、海洋探査及び海底ケーブル敷 設船舶等のハイテク及び高付加価値船舶を重点的に発展させて、舶用主機、舶用補機と通信ナビ ゲーション等の重要舶用機器産業の発展を加速させる。③長興島、外高橋等の船舶製造基地と奉 賢プレジャーボート製造基地の建設を加速させる。 2015 年までに、船舶工業の年産造船能力は 1,600 万トンに達し、船舶工業及び舶用工業の総生産 高は 1,300 億元を実現する。 (b)海洋構造物製造業 海洋構造物の製造能力を強化する。①海洋掘削プラットホーム、水上作業プラットホーム等の海 洋構造物及びその関連設備を重点的に開発する。②高深度潜水器、海底パイプライン・ケーブル 検査及びその補修装置、深海潜水ネットワーク設備等の海洋潜水と海底工事設備の研究製造を行 う。③海洋構造物産業の配置を最適化し、長興島、臨港等の海洋構造物基地の建設を推進し、北 部は長興島、南部は臨港産業区により海洋構造物における産業集中区を形成する。④海上都市空 間における工事建設の研究を具体的に進める。 2015 年までに、海洋石油ガス採掘設備、海洋構造物作業船及び補助船、海洋工事重要システム及 び関連設備等の三大分野において生産高 400 億元を目指す。 ハ.海洋における戦略的な新規産業を重点的に育成する 24 (a)海洋バイオ医薬 上海国際バイオ産業基地の役割により、投資と支援を拡大し、海洋薬物の重点実験室と海洋バイ オ資源センターを設立し、自主知的財産権を有する海洋薬物を重点的に研究・開発し、国際的な 先進技術を有する海洋バイオ医薬企業の育成と誘致を行い、海洋バイオ医薬業の海洋産業におけ る割合を増加させる。また、海洋生物の優良品種の開発を強化する。 (b)海洋新エネルギー 海上風力発電建設の先進的なモデルの確立によって、東海大橋海上風力発電二期、臨港、奉賢海 上風力発電及びその拡張建設等のプロジェクトを建設し、ユニット容量約 60 万 kW を新たに増設 し、東海大橋、臨港、奉賢の三カ所の海上風力発電基地を形成する。同時に、潮汐エネルギー、 波浪エネルギー等の海洋新エネルギーの研究及び開発を強化する。 ニ.海洋における漁業モデルチェンジの調整 海洋における漁業構造の調整と最適化により、漁船の標準化を進め、横沙等の標準化漁港の建設 を促進し、マグロ巻き網漁船の購入と建造を行い、中西太平洋(=Pacific, Western Central、 国連食糧農業機構が定めた漁獲統計海区)のマグロ延縄漁を推進し、大型巻き網魚場の探索を行 い、遠洋漁業を積極的に発展させる。 (2)海洋環境の保護 「健全な海洋に関する上海行動計画」を実施する。海洋における生態環境・汚染コントロール、 生態の回復、環境保護を主たるものとする。 イ.汚染コントロール (a)陸地からの汚染物質の海洋流入のコントロール 都市における汚水処理システムの整備と同時に、直接排出される海洋に流入する汚染源、海洋・ 河川に流入する汚染物、沿海のゴミのコントロールを強化する。 (b)海上汚染コントロール 具体的には以下のとおり。①海上巡視パトロール、定点監視、特定監視を組み合わせた固定及び 可動式の船舶汚染監視システムの建設を行う。②廃棄物の海洋における投棄処分許可証制度を厳 格に執行し、海域における廃棄物の投棄処分エリアの配置に対するコントロール、調整、最適化 を行い、廃棄物の投棄処分エリアの管理をルール化して、海上投棄の実態の追跡モニタリングを 実施する。③漁業船舶の汚染物の排出管理を強化し、海洋環境への影響を軽減させる。 海洋における関連工事が環境に影響する評価制度を厳格に執行し、海洋工事と海岸工事の建設プ ロジェクトの海洋における生態環境に対する影響をコントロールする。 (c)港湾汚染のコントロール 具体的に以下のとおり。①港湾における汚染物排出に関わる工事の建設を強化し、港湾における 生活排水のコントロール及び排水管工事を実施する。②港湾における環境汚染に対しての特別整 備を行う。③港湾汚染の緊急対応のための設備の倉庫と専門処理部隊の設立をし、港湾船舶の油 を含む汚水、バラスト水、船室洗浄水、船舶の生活汚水及びごみ受入処理施設を整備する。 ロ.生態の回復 (a)水生生物の増殖・放流の実施 25 具体的には、以下を実施する。①海洋生物の生態系へのモニタリングを積極的に行う。②水生生 物の増殖・放流を引き続き実施し、近海、外海域まで延長して、放流品種を 30 種類まで増やし、 放流品種を 70%以上とし、種苗 4 億匹(個)の放流に努力する。③経済的な価値のある水生生物・ 水生種の人口飼育を行う。④既存の重要な漁業海域の水生生物のバックグラウンド調査、モニタ リングを強化し、放流による漁業資源の増加高を評価する。 (b)海岸における生態回復の強化 具体的には、以下を強化する。①崇明、浦東、金山、奉賢の侵食された海岸部分の砂浜・海岸の 護岸工事を実施する。②崇明、金山、奉賢海岸をモデル海岸に選択し、生態系回復への活動を実 施する。③浦東新区海岸において生態系保全のための防護林地帯を建設し、生態系の保護と回復 を行い、海洋における生態環境を改善し、生態にとって良質な海岸線を建設する。 (c)海洋牧場建設の研究を開始 5 ㎞ 2 のエリアを決め海洋牧場を建設し、海洋生物の放牧を行い、海底の砂漠化現象の蔓延防止 のための方法を検討し、海底の生態系を回復させる。 ハ.環境保護 (a)島嶼部における生態系の保護 具体的に、以下を実施する。①「海洋島嶼保護法」を実行し、崇明島、長興島、大金山島等及び その周辺海域のバックグラウンド調査を行う。②島嶼部における生態系モデルを研究・確立し、 生態環境の調査を行う。③市及び区(県)の両レベルにおける島嶼部の保護、情報の監督・管理 ネットワークを確立し、島嶼部の生態環境への影響に対しての評価制度を厳格に執行する。④島 嶼部の生態保護区の整備や該当エリアへの進入禁止等を強化し、人的活動による島嶼部の海岸の 地形、海岸線の状態、海域の資源、生態環境の破壊を防止、減少させる。 (b)水源地の保護 具体的には、以下を実施する。①青草沙、陳行、東風西沙の水源地の保護を強化する。②青草沙 水源地の生態系保全のためのリアルタイムコントロールシステムを作り、水源地の生態環境をコ ントロールするとともに、海洋生態に甚大な被害をもたらすような事故の発生を防止する。 (c)自然保護区の保全 崇明東灘鳥類国家級自然保護区、九段沙湿地国家級自然保護区、長江河口中華チョウザメ(カラ チョウザメ)自然保護区、金山三島自然保護区の建設を推進する。保護区のインフラ施設の建設 を強化し、保護区における生態系モニタリング・監視ネットワークと総合的な監督・管理情報プ ラットホームを建設し、保護区周辺海域の開発活動に対するコントロールを強化する。 (d)佘山島の国家による領海エリアの保護 佘山島の国家による領海エリアの調査を行い、周辺における海洋環境の状況を詳しく調査して、 佘山の領海エリアの保護方案の研究・提出を行い、組織的に実施する。 (3)海洋における科学技術の発展 科学技術による海洋振興、科学的な海洋開発を維持し、革新的な科学技術の確立に力を注ぎ、科 学技術による海洋振興プラットホームの建設を加速し、総合的な管理と公共サービスの重要技術 に関する研究を強化し、海洋における経済発展のハイテク技術の研究を推進する。 26 イ.科学技術による海洋振興プラットホーム建設の加速 上海市海洋科学技術研究センターの設立により、各研究プロジェクトを連動し、専門人材を中心 として、海洋における科学技術の集結、科学技術力の集中のための連携研究を行い、科学技術の 革新と研究成果の応用を進める。産業、学術、研究、運用と一体化した科学技術による海洋振興 プラットホームを確立し、開放的、流動的、競争可能な、協力した科学技術の革新メカニズムを 形成し、上海臨港「国家科学技術の海洋振興産業モデル基地」の建設を加速させる。 ロ.海洋における経済発展に関するハイテク分野の特定プロジェクト 5 件の研究を推進 (a)ハイテク、高付加価値船舶の研究 超大型原油輸送船、1 万 TEU 級以上コンテナ船、大型液化天然ガス船、海洋調査測量・海底ケー ブル敷設船舶等のハイテク及び高付加価値船舶の重要技術を重点的に研究し、重要舶用工業製品 の開発と応用研究を強化する。 (b)海洋構造物の研究 具体的な研究は以下のとおり。①海洋石油ガス掘削プラットホーム、海底パイプライン敷設検査 補修設備、港湾機械等のハイテク研究。②深海探査、輸送・積載、作業設備の設計・製造に関わ る重要技術に関する研究・開発のための育成。③海水淡水化等の応用的な工事設備の技術、極地 でも利用可能な設備の開発及び考察・研究。④海洋構造物材料の耐腐食の為の防護技術の研究。 ⑤海洋構造物の専業化、標準化、モジュール化、インテリジェンス化に関する応用的な研究。 (c)海洋バイオ医薬の研究 海洋生物の不飽和脂肪酸製品の研究・開発、コラーゲンと活性ペプタイドの研究・開発、海藻の 活性物質の純化及び活性機能の研究及びその製品開発、海洋生物の活性物質と海洋薬物の組合せ パターンによる研究等を行う。 (d)海洋の新エネルギー開発技術の研究 具体的な研究は以下のとおり。①海洋における風力発電技術の研究・開発を行い、海上における 高効率の風力発電ユニットのコア技術と主要部品の製造技術に関する研究。②潮汐エネルギー、 波浪エネルギー等の海洋新エネルギーの研究。 (e)深水航路の開発と保全技術の研究 長江河口における深水航路の保全技術を研究し、北港と南槽航路の整備・開発を研究する。 ハ.総合的な管理と公共サービスに関する重要技術の特定プロジェクト 7 件の研究を強化 (a)海洋における防災・減災に関する重要技術の研究 河口海洋水動力、水質、泥砂、高潮のデータ予報の研究と海岸侵食、海水侵入、海上の突発的な 汚染事故の緊急対応策を研究し、高潮、赤潮、油漏れ汚染拡散の予報と処理能力を高める。 (b)上海沿海の海面上昇に関する都市における安全への影響に対応する重要技術の研究 上海沿海の海面上昇の状況を予測・分析する。具体的には以下のとおり。①上海沿海の理論上の 海面上昇と地盤沈下の関連性と影響を分析する。②海面変化によって受ける海岸被害の保護、洪 水対策、排水、給水の安全への影響を分析する。 (c)東シナ海における海底観測応用システムの重要技術の研究 東シナ海における海底観測システムの計画とその導入立地の検討、海底観測ネットワーク設備の 27 導入、海底観測応用システムのネットワークの確立等の重要技術を研究し、東シナ海における海 底観測の応用システムの建設を推進する。 (d)海洋資源の開発・利用と保護技術の研究 上海市の海岸、海域、島嶼部の等の海洋資源を調査し、海洋資源の開発利用と保護を研究すると ともに、海洋域における開発利用と海陸連動の新モデルを構築する。 (e)近海海域の環境への受入能力及びその対策の研究 長江河口、杭州湾海域の環境への受入能力に柔軟性を持たせ、陸地からの汚染物の海洋排出総量 のコントロール方法を研究して、近海海岸・海域の主要な汚染物総量のコントロール指標を確定 し、関連する保護対策案を提出する。 (f)長江河口・杭州湾の地理的条件の検討 既存の長江河口の地理的条件に関する情報を、長江河口、杭州湾及び上海の海岸・海域範囲まで 拡大し、上海市沿岸全般にわたる地理的条件について検討する。 (g)浚渫物、廃棄物に関する総合的な資源活用の研究 浚渫物、廃棄物の総合的な資源活用の研究を強化し、浚渫物、廃棄物の総合的な資源活用を活発 にする。 (4)海洋における総合的な管理と公共サービスの強化 海洋における発展戦略に関して、総合的な管理と公共サービスは法規、計画、法律執行、緊急対 応、行政許可、情報化等の管理を更に強化し、公共サービスレベルを引き上げ、海洋事業へのサ ービスの発展を加速させる。 イ.海洋法規と計画的な管理の強化 法に基づく行政、海洋に関わる整備を継続し、法律・法規に則り、上海の海洋事業の実態と発展 目標とをすり合わせ、 「上海市海洋環境保護条例」 、 「上海市海域使用管理条例」 、 「上海市の『海 洋工事建設プロジェクトの汚染防止・整備に関する海洋環境管理条例』の実施弁法」等の同市海 洋における法規、規則の円滑に立法過程を進める。 「上海市海洋機能区画の修正編成」 、 「上海市 海岸保護とその利用計画」 、 「上海市無人島開発利用とその保護計画」 、 「金山三島海洋生態自然保 護区計画」等を積極的に進め、海洋に関わる法規と計画モデルを構築し、海洋事業の発展のため の基礎を固める。 ロ.海洋に関わる法律の執行・管理の強化 具体的に以下を強化する。①法律の執行・設備を強化し、法律の執行・監督、環境モニタリング 観測等の多種の機能を一体とする海洋における総合的な管理機能を持たせる。関連船舶への実施 方案を検討する。②同市の海洋管理の要求を満たす、海洋法の執行能力を伴う独立した監督組織 を整備し、海域使用の法律執行と環境保護に関する法律執行を強化する。そしてその他の海洋関 連部門の法律の執行能力も高める。 ハ.緊急対応の強化 具体的に以下を強化する。①海洋観測におけるモニタリング拠点のネットワーク化、環境へのモ ニタリングセンター、総合的な管理拠点、環境問題に関する早期警戒情報サービスのプラットホ ームを確立し、緊急対応のための施設を配備し、海洋へのモニタリングを強化する。②海洋関連 28 のモニタリング、海水侵入へのモニタリング、泥砂のモニタリングとその予報等を含む海洋にお ける観測・予報システムを整備し、海洋における防災・減災に努める。 ニ.海域への行政許可・管理の強化 海域、島嶼部の資源の科学的に有効な配置を促進し、海域使用における管理の基本的な制度に則 り、機能毎の区画整備及び指導を強化し、埋立及び区画整備の計画管理を強化する。海洋におけ る行政許可をルール化し、審査・批准の効率を高めそのレベルを引き上げ、社会のために効率を 上げ、至便性を保ち、協力的であり、透明な行政による公共サービスを提供する。 ホ.海洋におけるデータ化管理の強化 「デジタル海洋」上海におけるモデル区の建設、海域監視のモニタリング業務に関する管理シス テムの設立を進め、同市の海洋経済動向の観測・評価のために、関連情報のデータ化施設の建設 を進め、系統的なデータ化により応用的な対応基盤の構築に力を注ぎ、安全のための組織管理、 技術サポート、運行サービスを整備し、安全のための海洋情報の安定提供し、ネットワーク化さ れた対応基盤及びデータセンターを用い、応用的な対応基盤を核とする海洋情報のデータ化の枠 組みを形成する。 4、対応施策 (1)体制の確保 組織におけるリーダーシップを強化し、健全な管理体制のもと、統一的な運用をする。 「上海市 海洋経済発展連席会議制度」の役割により、海洋における事業発展のための重大な政策及び重大 なプロジェクトの連携を強化し、市の関連海洋部門の交流と協力を強化するとともに、環境保護、 海洋、海事、港湾、漁業等の部門間の行政協力の体制を確立する。投融資、成功施策の転換利用、 連携・交流等に力を入れた長期的に効果のある体制を作り、連携を強化して、相互補完を行いな がら、協力して産業の発展を激励し、上海における海洋経済の発展を加速させる。 (2)制度の確保 革新的な科学技術をもとにした新たな政策制度の検討・制定を行い、海洋経済の持続的発展を導 き、産業・学術・研究の公共サービスのプラットホームを建設し、科学技術の革新を加速させ、 ハイテク人材の招聘と養成を強化し、科学技術における研究成果の転換利用・応用・産業化を促 進する。生態環境の損害賠償における制度の検討・制定を行い、生態環境において損害を引き起 こした組織及び個人に対して、法的に生態への賠償を行わせ、生態環境を保護する。経済・科学 の発展のための推進制度の検討・制定を行い、産業へのガイドラインを強化して、産業構造のグ レードアップと最適化を推進する。 (3)投資の確保 具体的には、イ)各種資本の海洋企業への投資を奨励し、海洋産業のリスク投資の誘致・集中を 行い、海洋経済の発展を加速させる。ロ)海洋におけるハイテク企業に対する金融支援を拡大し、 ハイテク企業のためにサービスを行う中小金融機関を健全に整備する。ハ)海洋観測・予報、環 29 境モニタリング、法執行のための設備等の基礎施設の建設に関する財政投資を拡大し、海洋にお ける総合的な管理能力と公共サービスレベルを高める。 (4)広報の確保 具体的には、イ)テレビ、放送、雑誌・新聞、書籍、ネットワーク等の媒体を用いて、海洋知識 を普及させ、海洋意識の教育・広報活動を強化し、特に、小中学生に対する海洋への意識を向上 させる。ロ)市民に対して「海洋資源は国家的戦略資源である」という概念を持たせ、市民の海 洋開発、保護、管理の支持、参加及び監督を奨励し、市民が参加しやすい雰囲気づくりを行い、 優秀な人材を海洋事業に参加させる。ハ)国際的な海洋記念への活動、海洋科学の普及活動等の 開催を通して、豊かな海洋文化の雰囲気をかたちづくり、海洋事業の発展を加速させる。 30