...

地域のモビリティ確保の知恵袋2012

by user

on
Category: Documents
16

views

Report

Comments

Transcript

地域のモビリティ確保の知恵袋2012
地域のモビリティ確保の知恵袋2012
~ 災害時も考慮した「転ばぬ先の杖」 ~
平成24年3月
国土交通省 総合政策局 参事官室(総合交通体系)
表紙(カバー)の写真について
(表、上から)
・バスを事務所として利用する様子(岩手県交通大船渡営業所)
・道路啓開作業の様子(岩手県山田町)
—
—
岩手県交通(株)提供
国土交通省
・複数の公共交通機関の情報を提供する様子(八戸中心街ターミナルモビリティセンター) —
・カーシェアリング用の車を利用した被災者同士による送迎の様子
—
(裏)
・津波による被害を受けた地域を走る路線バス
—
岩手県交通(株)提供
(社)北海道開発技術センター提供
(社)日本カーシェアリング協会提供
はじめに
「地域のモビリティ確保の知恵袋」も4冊目になりました。
今回は災害対策に特化した
内容としました。
これは、昨年3月の東日本大震災を受けたものであり、適用範囲は主に地方都市圏を想
定しています(大都市圏については、現在関係機関で行われている前提条件や行動要領づ
くり等の検討結果を受けて、別途検討します)
。
本書の発刊目的は「この知恵袋を参考に、出来るだけ早く、各自治体は独自に交通危機
管理行動要領を作成、または、地域防災計画に織り込む」ことを推奨することです。理由
は明瞭で、交通に関する「まさかの時」の対応をしっかりと定め、訓練を行う、いわば「転
ばぬ先の杖」を持ち合わせている自治体が意外と少ないからです。
このように、本書は、主に地方都市圏の自治体関係者向けにまとめたものですが、大都
市圏所在の自治体や全国の各種交通事業者の方々にも、是非ご一読されることをお勧めし
ます。
参考になること請け合いです。
本書を通してご理解いただきたいことは唯一点「平常時にちゃんとやらないと、災害時
には何もできない。」ということです。
そういう意味で、
「自分達だったらどうしよう」
を考えるきっかけになれば幸いです。
本書を取りまとめるにあたり、精力的に被災地での聞き取り調査や資料収集を実施しま
した。
記載した事実は、全く不意に起こった天災に、地元自治体や交通事業者が全力で
対処したものです。
責任云々ではなく、反省の糧にして、読者に今後に備える参考とし
ていただきたいと考えています。
なお、発災直後から早速利用されたとみられるパーソナル・モビリティ(個別交通)の
実態については、被災地の復旧・復興が一段落してから調査することとしたので申し添え
ます。
最後に、本書の取りまとめにあたり多大なご協力いただいた国、地元自治体や交通事業
者、NPOの皆さまをはじめ、勉強会の有識者委員の方々に深く感謝申し上げるとともに、
今後の対応について、引き続きご尽力・ご協力いただくようお願い申し上げます。
平成24年3月
参 事 官(総合交通体系) 秋
村 成一郎
本書に寄せて
*地域の活力・個性の発揮と地域モビリティ
・ わが国はかつて経験したことのない継続的な人口減少と世界中のどの国も経験したこと
のない急速な少子・高齢化の時代を迎えている。
・ 持続的発展が可能な国土としていくためには、国土全体にわたり、人々が誇りを持って
住み続けることができる生活の場を整えていくことが重要である。地方部では、自地域
内では達成できない都市的サ-ビス・医療・福祉・教育・文化などの機能を補完するた
めに、最寄の都市とのアクセシビリティの確保が重要である。特に、若年層の定住促進
の観点から、児童、生徒の通学に必要な交通手段の確保等、子育て環境の整備が求めら
れる。また、地方部では、バスや地方鉄道などの公共交通機関が採算性の問題から縮減
される現状にあり、高齢者、学生、身体障害者などの自動車利用が困難な人々を含めて、
1時間以内で地方中心都市の中心部へ移動を可能にするためには、地域・利用者が支え
あう公共交通機関をはじめとする多様な地域モビリティを確保していくことが不可欠で
ある。
・ ところで、現民主党政権下で「新しい公共」の議論が盛んになされてきた。新しい公共
の原点は、市民自らによる公共サ-ビス提供への起業化(公共性の実践的な創出)によ
って、人々の間に広まる無力感やモラル低下などの現状をネガティブに捉えずに、個人
の絆の向上によって地域をポジティブに見直そうというものであろう。
・ 人間の満足の構成要素は多様であるが、その多くは身近なコミュニティの中で成就され
る。例えば、まず「個人の自由」があり、次に「自らも構成員であるコミュニティによ
る自助」がある。もしも、自助の発展として自治を考えると、地方自治でできないこと
を「国に預ける権限」と考えるべきであろう。財源、人的資源、情報もしかりである。
「地
域のことは地域で決める」という流れは、国から自治体への分権というよりは、地域ガ
バナンス、すなわち、最適な人が決めて実施する時代に入った。地域主権などの分権議
論は、国から自治体への官官分権をイメージするが、地域のことは自分たちで決めると
いう地域社会への分権を考えるべきである。確かに自分たちができることに参加すれば
コストを下げられる可能性は高い。
・ このような状況下、過去3カ年の「知恵袋」は、持続可能な地域を支えるモビリティを
いかに確保するか、との視点で取りまとめてきた。
*減災への備えとしての地域モビリティ
・ 2011 年 3 月 11 日に起こった東日本大震災によって、我々は 2050 年の地方の姿を
一瞬にして見た。東北 6 県の人口は、2010 年の 1168 万人から 2050 年には地震が
起こらなくても 727 万人に、つまり 440 万人減るとされていた。復興計画では、東北
の再生が、人口減に悩む地方都市に対する先駆的なモデルとなり、日本全国を元気にす
る、そういう強い姿勢で臨むことが、被災地域やそれを支える全国民に課せられている。
・ その中には、温暖化対策として原発推進が難しいことを踏まえて、低炭素化戦略の再構
築としてのまちづくりが挙げられている。ここでは、ひとり暮らし世帯、独居老人、孤
立などに配慮した生活面のコンパクトなまちづくりだけではなく、地域に根ざした農林
漁業、製造業等の産業の再生を含めた都市政策と農村漁村政策を合わせた「一体の都市」
としてのコンパクト化も議論されている。
・ 大災害時には交通システムが機能しないだけではなく、交通需要も繰り返しのない非日
常的なものとなる。そのような事象の調査研究はわが国でも殆ど蓄積が無い。
・ これを踏まえて、本調査では、避難直後からの非日常の生活に対応して、多様な主体に
よる地域モビリティがどのように形成されていったのかを、明らかにしている。例えば、
「車両・燃料・運転手不足」、「車道幅員がとれずバスが入れない道路状況」の中で、安
否確認や医療、入浴、買物といった交通需要に対応するため、公共的交通手段と個別交
通手段の確保が如何になされたのか、という事実の把握である。
*
・ 東日本大震災を受けて、国は「津波防災地域づくりに関する法律」を平成23年12月
14日に制定したところである。そこでは、都道府県が津波浸水想定の設定・公表を行
い、これを受けて各市町村がハザ-ドマップの見直しや集団移転などの計画を策定する
ことができるとしている。
・ 地震・津波のみならず、風水害、火山災害、雪害などを含めて、安全で安心な国土像に
ついて、衣食住の確保、エネルギ-の確保、交通手段の確保という、人間生活の最も基
本的なところから、わが国民は議論を始めなければならない。
・ この新しい国土のグランドデザインの立案においては、過去を含めた時間のデザイン、
土地利用などの空間のデザインに加えて、人と自然の接点(居住できるか否かの境界)
のデザインが重要となろう。例えば、多重防御の視点から、地方部では多極分散小単位
自己完結型の地域づくりが求められるかも知れない。
・ そこでは、これまでに築いてきた様々なネットワ-クを繋ぎ直す必要が出てこよう。減
災に向けた新しい社会システムづくりという「変化」に対応するためにどのような事が
必要であるか、持続可能な地域を支えるモビリティの確保の視点からも一度見つめ直す
ことが必要ではなかろうか。
・ 減災への備えとしての地域モビリティの一歩として、災害時も考慮した「転ばぬ先の杖」
の検討が活かされる事を願っている。
総合的なモビリティ施策の共有化に関する勉強会
座長
田村
亨(室蘭工業大学 教授)
コラム紹介
本書は、東日本大震災被災地における取り組み等を基に、災害時の地域のモビリティ確保の
ための重要な事項を整理し、必要となる取り組みの工夫・ノウハウをとりまとめました。
■コラムで取り上げた被災地における取り組み
※【 】は掲載頁。枠線の色は災害時における地域のモビリティ確保のための重要事項(右頁右上図。詳細は【23 頁】参照)と対応
青森県八戸市
各交通機関の運行状況を一元的に情報提供
(八戸中心街ターミナルモビリティセンタ
ー)⇒E-3-2 地域住民等への交通情報等の
提供【E-19 頁】
燃料不足の中で時間帯を限定した日祝ダイヤ
により路線バスの運行を再開(八戸市営バス)
⇒E-6-10 路線バスの運行【E-56 頁】
燃料不足の中で様々な方法により乗務員の通勤の足を確
保(被災地の交通事業者)南部バスでは、乗務員のため
の通勤バスを運行⇒E-5-3 乗務員の確保【E-34 頁】
燃料不足の中で地区・路線を限定して路線バ
スの運行を再開(岩手県交通)⇒E-6-10 路
線バスの運行【E-55 頁】
滝沢村
盛岡市
雫石町
青森
矢巾町
紫波町
内陸部の避難所から沿岸部への一時帰宅バ
スを運行(NPO 法人いわて地域づくり支援
センター)⇒E-6-12 共助の取り組みの支援
【E-66 頁】
45
395
岩手県大船渡市
三陸鉄道北リアス線
281
災害対応の拠点に車両や公共施設を活用
(被災地の交通事業者)岩手県交通大船渡
営業所は車両を活用し再開⇒E-2-2 対応拠
点の確保【E-11 頁】
455
JR山田線
秋田
盛岡
東北自動車道
自治体の委託により無料で路線バスの運行を再開(岩手
県沿岸部)大船渡市では無料で再開し、その後ワンコインバス、
通常運行に移行⇒E-6-10 路線バスの運行【E-56 頁】
岩手県
4
花巻空港
106
JR釜石線
東北新幹線
283
東北本線
三陸鉄道南リアス線
107
宮城県石巻市
343
障がい者、高齢者等の移動支援ボランティア(災害移動
支援ボランティアRera、NPO法人全国移動サービ
スネットワーク他)⇒E-6-12 共助の取り組みの支援
【E-65 頁】
284
JR大船渡線
398
山形新幹線
山形空港
住民とボランティアによるカーシェアリン
グ(仮設住宅の住民、(社)日本カーシェアリ
ング協会)⇒E-6-12 共助の取り組みの支援
【E-67 頁】
JR気仙沼線
108
JR石巻線
宮城県
仙台
三陸自動車道
山形
JR仙石線
代替ルート等の広域的な移動に関する情報提供(山形県)
⇒E-3-2 地域住民等への交通情報等の提供【E-20 頁】
仙台空港
JR仙山線
新潟
阿武隈急行線
県が被災市町村を支援(岩手県、宮城県)宮城県からの
臨時バスの運行手続きに関する情報提供の結果、最大 15
市町村において鉄道を代替する臨時バスが運行⇒E-2-1
組織体制の確立【E-7 頁】
福島
115
6
114
4
福島空港
福島県
宮城県仙台市
避難所と区役所をつなぐ無料の循環バスを運行(宮城県
仙台市)⇒E-6-6 行政手続きのための移動手段の提供
【E-47 頁】
49
289
50㎞
凡 例
※国道で太線で示した箇所は、
「くしの歯作戦」対象道路
宇都宮
前橋
発災数日後から市役所・避難所と遺体安置所や被災地区
を結ぶバスを運行(宮城県名取市、仙南交通)⇒E-6-3
家族等の安否確認のための移動手段の提供【E-40 頁】
25
新幹線
在来線
私鉄
高速道路
その他有料道路
国道
「かかりつけ医巡回バス」など避難所での共助によるモ
ビリティの確保(仙台市宮城野区の岡田小避難所)⇒
E-6-12 共助の取り組みの支援【E-64 頁】
複数のバス事業者による代替バスの共同運行(被災地の
交通事業者)⇒E-6-11 鉄道代替輸送の実施【E-60 頁】
0
水戸
岩手県釜石市
交通事業者の営業所を緊急車
両の給油拠点として活用(岩手
県・岩手県交通釜石営業所)⇒
E-5-1 燃料の確保【E-29 頁】
■災害時における地域のモビリティ確保のための重要事項
釜石市公用車
消防車
岩手県交通バス
岩手県
釜石地方
振興局
岩手県交通
釜石営業所
ヘリコプターとバスの連携により住民を避難
所へ輸送(岩手県釜石市)⇒E-6-1 被災者の
避難所への移動手段の提供【E-36 頁】
時間軸
発災時
緊急対応期Ⅰ
緊急対応期Ⅱ
応急期
復旧期
発災後直ちに
発災直後~
24時間程度
24時間~
1週間程度
1週間~
1か月後程度
1か月後程度~
項目1
発災時の
安全の確保
既存・臨時の入浴施設への様々な移動手段を確
保(岩手県釜石市)⇒E-6-5 入浴のための移動
手段の提供【E-44 頁】
項目2 災害対応の体制の確保
項目3 交通に係る情報の収集・共有
岩手県陸前高田市
項目4 交通施設の機能確保
軽症者を輸送するためのバスを運行(岩手県)
⇒E-6-2軽症者の医療機関への移動手段の提
供【E-38 頁】
市町村の要請に基づき交通事業者を手配(岩手
県・岩手県バス協会)陸前高田市では市と交通
事業者がローテーションを組みながら運行⇒
E-6-5 入浴のための移動手段の提供【E-45 頁】
臨時広報により自家用車利用の自粛や相乗り
を呼び掛け(岩手県陸前高田市)⇒E-7-1 パー
ソナル・モビリティ(個別交通)の支援【E-69 頁】
線
被災者に対し燃料や自転車を提供(経済産業
省、被災自治体等)陸前高田市では個人にガソ
リンを提供⇒E-7-1 パーソナル・モビリティ(個別
交通)の支援【E-70 頁】
項目5 輸送に必要な資源の確保
項目6 公共的交通サービスの提供
項目7 パーソナル・モビリティ(個別交通)の活用
■本書の構成
0
1
2
3
4
本書のねらいと内容
東日本大震災被災地での交通サービスの提供状況
災害時における地域のモビリティ確保のための重要事項
災害時も考慮した地域のモビリティ確保の基本的な考え方
危機管理
編・リスク管理
編の読み方
危機管理(災害時対応)編
リスク管理(事前対応)編
線
宮城県気仙沼市
臨時の広報等により被災者に情報提供(被災自
治体)気仙沼市は手書きの図面で経路情報を提
供⇒E-3-2 地域住民等への交通情報等の提供
【E-18 頁】
内陸部の自治体が沿岸部の被災自治体を後方支援(岩手県内市町村)
⇒E-2-1 組織体制の確立【E-6 頁】
自治体支援の一環としてバスを無償譲渡(兵庫
県尼崎市)⇒E-5-2 車両の確保【E-32 頁】
申請手続きの簡略化等により迅速なバス運行を支援(国土交通省東
北運輸局)⇒E-2-1 組織体制の確立【E-8 頁】
学区を離れて避難する児童・生徒を対象にした
スク-ルバスを運行(宮城県気仙沼市)⇒E-6-7
通学のための移動手段の提供【E-49 頁】
会員事業者支援や各種機関の要請に基づきバス事業者を手配(被災
地のバス協会)⇒E-2-1 組織体制の確立【E-9 頁】
宮城県南三陸町
沿岸地域では市町村庁舎も被災し代替施設等を活用(被災地の自治
体)⇒E-2-2 対応拠点の確保【E-11 頁】
避難所と店舗を往復する無料送迎バスを運行
(ウジエスーパー)⇒E-6-8 買い物のための移
動手段の提供【E-51 頁】
固定電話が通じない中で無線や携帯電話を活用(被災地の自治体、
バス事業者)⇒E-2-3 通信・連絡手段の確保【E-13 頁】
既存路線バスを活用した鉄道の代替輸送(ミヤ
コーバス、JR東日本)⇒E-6-11 鉄道代替輸
送の実施【E-59 頁】
七ヶ浜町民バス「ぐるりんこ」を医療機関行臨
時バスとして無料で運行(宮城県七ヶ浜町)⇒
E-6-4 通院のための移動手段の提供【E-42 頁】
仮設住宅と市街地を結ぶ「お出かけバス」を運
行(福島県相馬市)⇒E-6-9 多目的な移動のた
めの移動手段の提供【E-53 頁】
鉄道代替輸送に関する検討会の開催(岩手県)
⇒E-6-11 鉄道代替輸送の実施【E-61 頁】
東日本大震災を踏まえ、運行中の乗務員の行動
マニュアルを作成(岩手県交通)⇒R-1-1 乗
客の安全の確保策の整備【R-3 頁】
被災地に対し自転車を提供(全国の自治体)⇒
E-7-1 パーソナル・モビリティ(個別交通)の支援
【E-71 頁】
【別冊】参考資料編
地方公共団体等に通信機器等を貸 (国土交通省、総務省)⇒E-2-3
通信・連絡手段の確保【E-14 頁】
通行実績情報も活用した道路情報の提供(道路管理者、自動車メー
カー等)⇒E-3-1 交通情報等の収集・伝達【E-16 頁】
“くしの歯作戦”による沿岸部と内陸部
を結ぶ道路の確保(国土交通省東北地方
整備局)⇒E-4-1 道路の安全確保【E-24
頁】
バスへの緊急通行車両確認標章交付による広域的な移動の確保(警
察庁)⇒E-4-2 交通規制の実施【E-27 頁】
緊急重点サービスステーションを選定し緊急車両に優先給油(国、
石油販売業界)⇒E-5-1 燃料の確保【E-29 頁】
被災地の交通事業者に対し車両を提供(全国のバス・タクシー事業
者)⇒E-5-2 車両の確保【E-31 頁】
給油待ちの車列による渋滞により公共交通等の運行に支障(被災地
各地)⇒E-6-10 路線バスの運行【E-57 頁】
目
次
《は じ め に》
《本書に寄せて》
《コ ラ ム 紹 介》
0 本書のねらいと内容 ................................................ 1
1) 本書のねらい ......................................................... 1
2) 本書の内容 ........................................................... 5
3) ご協力いただいた学識経験者・機関 ..................................... 8
1 東日本大震災被災地における交通サービス等の提供状況 ................ 11
1) 地震・津波による被害が甚大な沿岸地域 ................................. 12
2) 地震・津波による被害を被った地域 ..................................... 18
2 災害時における地域のモビリティ確保のための重要事項 ................ 23
3 災害時も考慮した地域のモビリティ確保の基本的な考え方 .............. 31
3.1 平常時のモビリティ確保の体制整備の重要性 ............................... 31
3.2 リスク管理(事前対応)と危機管理(災害時対応)による取り組み ............ 33
3.3 交通危機管理行動要領の策定 ............................................. 35
3.4 地域防災計画との関連付け ............................................... 38
4 危機管理(災害時対応)編・リスク管理(事前対応)編の読み方 ............. 43
危機管理(災害時対応)編
リスク管理(事前対応)編
巻末資料
巻末資料1 自治体・交通事業者等に対するヒアリング結果<被災地の声> .. 資-1
巻末資料2
地域防災計画とリスク管理(事前対応)編・
危機管理(災害時対応)編個別シートの対応 .... 資-15
巻末資料3
リスク管理(事前対応)編・危機管理(災害時対応)編
個別シートの目的別索引 .... 資-19
巻末資料4
リスク管理(事前対応)・危機管理(災害時対応)
のチェックリスト .... 資-27
《あ と が き》
【別冊】参考資料編
Ⅰ.東日本大震災によるモビリティへの影響
Ⅱ.被災地における交通サービス等の提供状況
A
地震・津波による被害が甚大な沿岸地域における交通サービス等提供状況
B
地震・津波による被害を被った地域における交通サービス等提供状況
C
東電福島原子力発電所事故に伴う交通への影響と対応状況
D
首都圏の交通への影響とその後の取り組み
■参考資料編の入手方法
国土交通省総合政策局参事官室(総合交通体系)
【国土交通省 TOP ページ】
(国土交通省の政策クイックリンク)
ホームページからダウンロードしてください。
総合政策
(主な施策)
総合的な交通体系を目指して
ダウンロードサイト URL
地域のモビリティ確保支援
http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/soukou
/seisakutokatsu_soukou_tk_000001.html
モビリティ確保の知恵袋等報告書
○問い合わせ先
国土交通省 総合政策局 参事官室(総合交通体系)
TEL 03-5253-8111(代表電話)
FAX 03-5253-1675
http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/soukou/index.html
0 本書のねらいと内容
0 本書のねらいと内容
0 本書のねらいと内容
1) 本書のねらい
過去3ヵ年の検討においては、少子高齢化、過疎化などを背景として、平常時の地域のモビ
リティ確保も厳しい状況にある中で、様々な地域の課題への対応手段として各地で実施された
取り組みから地域のモビリティ確保に向けた取り組みの工夫・ノウハウについて、知恵袋とし
てとりまとめてきた。
平成 23 年 3 月に発生した東日本大震災においては、岩手・宮城・福島の3県の沿岸部を中
心に多数の避難者が発生したことなどから、被災者の生活の質を確保するための地域のモビリ
ティ確保が課題となった。また首都圏では、通勤・通学輸送を担う鉄道が運行停止したことで
多数の帰宅困難者が発生した。さらに、東電福島原子力発電所事故に伴う避難や避難先での生
活の足の確保も課題となった。この様に、災害時においても平常時と同様に地域のモビリティ
確保が重要であることが認識されたところである。
災害時に地域のモビリティを確保するためには、関係機関の協力や交通サービスの提供に必
要な資源の確保が不可欠である。平常時の取り組みが十分でなければ、こうしたことさえ困難
な状況になることから、関係機関とともに平常時から取り組むことが重要である。
さらに、より円滑に対応するためには、災害時特有の状況に対してどのように取り組むのか
について、事前に検討し、準備しておくことが重要である。
そのため、過去3ヵ年の平常時の取り組みに資する工夫・ノウハウの提供に加え、今年度は
東日本大震災被災地の自治体、交通事業者、NPO 等へのヒアリング調査、既存公表資料の調
査及び有識者等による勉強会を通じて、
「災害時の地域のモビリティ確保」に向けた取り組みに
係る工夫・ノウハウをとりまとめた。とりまとめに当たっては、取り組みの方法を少しでも分
かりやすくするため、検討や実施の内容・手順を具体的に示すことを試みたところである。
過去の3ヵ年の知恵袋に加え、本書を活用した検討が、地域のモビリティ確保における災害
時も考慮した「転ばぬ先の杖」となれば幸いである。
東日本大震災からの復旧、復興は一歩一歩進みつつある。
現時点では、被災地における災害時の対応を網羅的に把握し、検証が出来ている状況ではな
い。また、風水害、土砂災害といった災害への備えも重要であるが、本書では、地震・津波に
よる災害を主として想定している。
このように、今後とも事実関係の把握や、実際の地域・関係機関との連携による検証、他の
災害への対応のあり方の検討、既存の法律・規制を踏まえた検証等を継続して行い、よりよい
内容にしていく必要がある。
しかしながら現段階でも、これから取り組みを進める地域にとっては、有用と考えており、
本書を参考としつつ、各地域の実情を踏まえた、それぞれの取り組みを進めていただきたい。
1
0 本書のねらいと内容
<過去3ヵ年の知恵袋と本書の関係>
過去3ヵ年の知恵袋
平成20年度
地域のモビリティ確保の知恵袋
~モビリティは地域の元気の源~
効果的に計画・実施するための基礎
的な情報・ノウハウを Q&A 形式で
とりまとめたもの
平成21年度
地域のモビリティ確保の知恵袋 2010
~地域の人々が笑顔になれる持続可能
な地域交通の計画づくりのための工
夫 ・ ノウハウ~
計画に関る工夫・ノウハウに特化し、
深掘りしたもの
本書
平成22年度
地域のモビリティ確保の知恵袋 2011
~多様な主体の参画を促進するための
工夫 ・ ノウハウ~
取り組み実現のプロセスにおいて複数
の主体の合意形成に特化し、深掘りし
たもの
平成23年度
地域のモビリティ確保の知恵袋 2012
~災害時も考慮した 「転ばぬ先の杖」 ~
災害時の地域のモビリティ確保に特化
したもの
災害時の
地域のモビリティ確保
平常時の
地域のモビリティ確保
災害時の地域のモビリティ確保
による 「生活の質の確保」
2
0 本書のねらいと内容
<「平常時の地域のモビリティ確保」のための過去3ヵ年の知恵袋の内容>
地域のモビリティ確保の知恵袋
~モビリティは地域の元気の源~
■想定する読者:地域モビリティの確保を一から検討したいと考えている方
■内容:効果的に計画・実施するため、以下の取り組みのプロセスや項目ごとに基礎的な情
報・ノウハウを Q&A 形式でとりまとめ
(1)動機・背景
(2)体制・組織の設置・運営
(3)予算
(4)地域交通の現状の把握・分析による課題の整理・具体化
(5)基本方針・達成目標の設定
(6)施策・事業の検討、選択
(7)計画の策定
(8)計画の実施、モニタリング・フィードバック
(9)人材、計画技術の維持・向上
地域のモビリティ確保の知恵袋 2010
~地域の人々が笑顔になれる持続可能な地域交通の計画づくりのための工夫・ノウハウ~
■想定する読者:計画を立案しようと考えている方や、取組みの見直しを検討されている方
■内容:持続可能性に係る以下の視点から計画づくりに関する工夫・ノウハウをとりまとめ
(1)真のニーズ、隠れたニーズを掘り起こしたい
(2)健全な運営への転換を考えたい
(3)地域の力を活かした取組みを進めたい
(4)地域の人々にとって使いやすい地域モビリティに取り組みたい
(5)使えるサポートツールを知りたい
地域のモビリティ確保の知恵袋 2011
~多様な主体の参画を促進するための工夫・ノウハウ~
■想定する読者:多様な主体の参画・協力のもとで取組を検討されている方
■内容:主体により類型化した取り組みの実現のプロセスにおける多様な主体の合意形成の
工夫・ノウハウをとりまとめ
(1)自治体が住民主体の運営を促した取組
(2)住民発意・住民主体による取組
(3)地域の商業者等が主体となった取組
(4)自治体が多様な主体と連携した取組
(5)交通事業者同士が連携した取組
過去3ヵ年の知恵袋は国土交通省総合政策局参事官室(総合交通体系)ホームページからダウンロード可能
URL:http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/soukou/seisakutokatsu_soukou_tk_000001.html
3
0 本書のねらいと内容
■対象範囲
○対象とする災害
本書は、主に地震・津波による災害を想定している。風水害・土砂災害といった他の災害へ
の対応については、共通する部分、異なる部分を踏まえ、検討していただきたい。
○対象とする地域
本書は、主に大都市部を除く地域の災害時における地域のモビリティ確保を対象としている。
大都市部については、今回の震災を踏まえ、首都圏を中心に帰宅困難者、鉄道再開等につい
て、様々な取り組みが行われているところである。
また、東電福島原子力発電所事故に係る対応については、原発事故という特異な状況下にお
ける対応であることから、事実関係の整理にとどめた。
大都市部及び東電福島原子力発電所事故に係る対応については、参考資料編に「首都圏の交
通への影響とその後の取り組み」及び「東電福島原子力発電所事故に伴う交通への影響と対応
状況」として整理しているため、そちらを参考にしていただきたい。
○対象とする内容
本書は、燃料不足や避難所生活などの災害時特有の状況における、地域のモビリティ確保を
想定した「事前の対策」や「災害時特有の対策」(事後に実施)を主な対象としている。
避難所から仮設住宅に移行した段階においても、仮設住宅の規模や立地により、モビリティ
確保が困難な事態も想定される。しかしながら、これらは、公共交通が脆弱な地域における生
活の足の確保といった「平常時に近い対策」となり、過去 3 か年の知恵袋の活用が期待される
ことから、本書では対象範囲とはしていない。
<平常時・災害時の地域のモビリティ確保に係る対応と活用が想定される知恵袋>
平常時(事前)
( 時間軸 )
大
(
平常時の対策
災害に対する
事前の対策
災害時
特有の対策
4
平常時
の対策
被
害
の
規
模
小
災害対応
に切替
さ活
れ用
るが
知想
恵定
袋
平常時に
近い対策
)
に地
向域
けの
たモ
取ビ
りリ
組テ
みィ
確
保
災害時(事後)
災害
発生
リスク管理編
危機管理編
今年度の知恵袋
過去3ヵ年の知恵袋
0 本書のねらいと内容
2) 本書の内容
本書は以下のとおり、4 つの章と「危機管理(災害時対応)編」、「リスク管理(事前対応)
編」、別冊の「参考資料編」から構成されている。
<本書の構成>
東日本大震災の被災地における
取り組みの概要
1 東日本大震災被災地における交通サー
ビス等の提供状況
被災地の自治体・交通事業者等の
対応を踏まえた重要事項
2 災害時における地域のモビリティ確保
のための重要事項
災害時も考慮した地域のモビリ
ティ確保の取り組みの基本事項
3 災害も考慮した地域のモビリティ確保
のための基本的な考え方
3.1 平常時のモビリティ確保の体制整備の重
要性
3.2 リスク管理(事前対応)と危機管理(災害
時対応)による取り組み
3.3 交通危機管理行動要領の策定
3.4 地域防災計画との関連付け
危機管理編・リスク管理編の読
み方の解説
4 危機管理(災害時対応)編・リスク管
理(事前対応)編の読み方
災害時の取り組みの具体的な内
容
危機管理(災害時対応)編
災害に対する事前の取り組みの
具体的な内容
リスク管理(事前対応)編
東日本大震災被災地の取り組み
事例等
【別冊】参考資料編
東日本大震災による影響
被災地における交通サービス等提供状況
5
0 本書のねらいと内容
<本書の概説>
1 東日本大震災被災地における交通サービス等の提供状況
東日本大震災では、被災者の生活の質の確保が課題となった。その対応として、被害・復旧状
況に応じた様々な交通サービス等が提供された。
本章では、災害時に地域のモビリティを確保するために求められる交通サービス等を把握する
ため、ヒアリング調査・既存公表資料調査を基に、発災後に被災地で提供された交通サービス等
を被災状況別に整理している。
被災地における交通サービス等の提供状況の特徴
1)地震・津波による被害が甚大な沿岸地域
○鉄道や自家用車に大きな被害が生じたことから、バスを中心とした交通サービスが提供さ
れた。
○被災者のニーズや日常生活の再開状況に対応した交通サービスが提供された。
○交通事業者や自治体が主要な交通サービスを提供するとともに、地域や NPO などによる
補完的な取り組みが行われた。
○移動販売・訪問診療等様々な手段によりサービスが提供された。
2)地震・津波による被害を被った地域
○日常生活の早期再開のため、路線バスの再開や運休した鉄道の代替バスの運行が主な対応
となった。
2 災害時における地域のモビリティ確保のための重要事項
東日本大震災では、通信障害、燃料不足といった、地域のモビリティを確保する上での様々な
障害が発生した。
本章では、被災地の自治体・交通事業者・NPO 等へのヒアリング調査により把握した交通サ
ービス等の提供に当たっての問題・課題や対応を基に、災害時に地域のモビリティを確保する上
で重要となる事項を整理している。
災害時における地域のモビリティ確保のための重要事項
項目1 発災時の安全確保:発災時の乗客・乗務員や職員の安全確保のための行動
項目2 災害対応の体制の確保:災害対応に必要な人員・拠点施設・通信の確保
項目3 交通に係る情報の収集・共有:交通に係る被災・復旧の情報の関係機関との共有、被
災者への提供
項目4 交通施設の機能確保:災害時の道路機能確保のための安全対策、復旧対策や運用方法
項目5 輸送に必要な資源の確保:輸送に必要な燃料・車両・乗務員の確保
項目6 公共的交通サービスの提供:被災者のニーズに応じた移動手段の確保や燃料等の制約
下での公共交通の再開方針、運休した交通機関の代替輸送、共助の取り組み
項目7 パーソナル・モビリティ(個別交通)の活用:身近な移動手段としてパーソナルモビ
リティ(個別交通)の平常時からの普及啓発や避難も含めた災害時の活用
6
0 本書のねらいと内容
3 災害時も考慮した地域のモビリティ確保の基本的な考え方
災害時に地域のモビリティを確保するためには、平常時の取り組みが重要である。また、関係
機関と連携した事前及び災害時の対応や、関連する施策との整合を図ることも重要である。
本章では、東日本大震災を踏まえ、今後の災害への備えとして取り組むべき、災害時も考慮し
た地域のモビリティ確保の基本的な考え方を整理している。
災害時も考慮した地域のモビリティ確保の基本的な考え方
3.1 平常時のモビリティ確保の体制整備の重要性
3.2 リスク管理(事前対応)と危機管理(災害時対応)による取り組み
3.3 交通危機管理行動要領の策定
3.4 地域防災計画との関連付け
4 危機管理(災害時対応)編・リスク管理(事前対応)編の読み方
本書では、各地域における取り組みの参考となるよう、災害時の地域のモビリティ確保に向け
た取り組みの内容・手順や東日本大震災被災地等での取り組み事例を整理し、それらを災害時の
対応に向けた「危機管理(災害時対応)編」、事前の備えに向けた「リスク管理(事前対応)編」
の 2 編にとりまとめている。
本章では、これら2編の読み方を解説している。
危機管理(災害時対応)編
災害時に地域のモビリティを確保するために、災害時に実施すべき対応の内容・手順の例を示
している。また、参考として東日本大震災等における取り組み事例を掲載している。
リスク管理(事前対応)編
災害時に地域のモビリティを確保するために、事前に検討・実施すべき内容・手順の例を示し
ている。また、参考として災害に備えた取り組み事例を掲載している。
【別冊】参考資料編
災害時に想定される事態や実施
すべき対応について、より理解を
深め、事前の備えを含めた取り組
みの必要性を実感してもらうため、
東日本大震災における事実関係に
ついて、右に示す内容を整理して
いる。
○東日本大震災による影響
・通信障害・燃料不足や交通施設の被害といった地域のモ
ビリティを確保する上での問題・課題や住宅・生活施設
の被害といった被災地で発生した移動ニーズの背景
○被災地における交通サービス等提供状況
・被災状況により4つに分類した被災地域で発災後に提供
された交通サービス等
7
0 本書のねらいと内容
3) ご協力いただいた学識経験者・機関
(1) 学識経験者
本書の作成にあたっては、学識経験者等による勉強会「総合的なモビリティ施策の共有化
に関する勉強会」を設置してご指導・ご助言を頂いた。
○「総合的なモビリティ施策の共有化に関する勉強会」の学識経験者(敬称略、順不同)
氏名
座長
田村
亨
大串
葉子
加藤
博和
喜多
秀行
所属・専門分野
室蘭工業大学 工学部 建設システム工学科
教授
専門分野:都市地域計画
新潟大学 経済学部 経営学科
准教授
専門分野:経営情報論
名古屋大学大学院
環境学研究科 准教授
専門分野:交通・環境計画
神戸大学大学院
工学研究科
市民工学専攻
教授
専門分野:交通システム工学
(前)首都大学東京大学院 都市環境科学研究科 助教(~H24.2.29)
吉田
樹
(現)福島大学 うつくしまふくしま未来支援センター
特任准教授(H24.3.1~)
専門分野:地域交通計画
勉強会でのご意見のうち、災害時の地域のモビリティ確保に係るエッセンスを「勉強会委員
からのメッセージ」として、以下に整理した。
勉強会委員からのメッセージ
○災害時に、交通事業者が活動しやすい環境をつくるため、事前に必要となる取り決めをし
ておくことが重要である。
○平常時の取り組みをしっかり行っておかないと、災害時にモビリティの確保はできない。
また、災害時に自治体が機能停止した場合には、地域のモビリティを確保する上で、交通
事業者の役割が大きくなることから、交通事業者にも読んでいただきたい。
○災害時に、誰もが自家用車を利用すると渋滞を招き、誰も動けなくなる。また、鉄道は発
災後すぐには運行できないなど、平常時の交通手段が活用できないことも念頭に置く必要
がある。
○各自治体において、想定される被害といった地域特性に応じた検討が必要であり、その作
業を通じて災害時の対応をシミュレーションすることが重要である。
○地域防災計画と関連付けることで、関係する機関との間でオーソライズすることができ
る。
○災害時には状況に応じた対応が必要である。災害が発生した時に、関係機関と対応を議論
できる体制をすぐに作れるようにしておくことが重要である。
8
0 本書のねらいと内容
(2) 自治体、交通事業者等
東日本大震災被災地の自治体、交通事業者、NPO 等に対するヒアリング調査を実施し、
発災後の地域のモビリティの確保に向けた取り組みや取り組む上での問題・課題等の貴重な
意見を伺った。
○ヒアリング対象(21 機関)
区分
ヒアリング対象
国
県
行政機関
(6 機関)
東北運輸局 自動車交通部旅客第一課
岩手県 政策地域部地域振興室交通担当
宮城県 震災復興・企画部総合交通対策課
青森県 八戸市 都市整備部都市政策課
市町村
岩手県 釜石市 市民生活部市民生活課
福島県 富岡町 産業振興課
青森県
八戸市営バス
南部バス(株)
岩手県交通(株)
岩手県
交通事業者
岩手県交通(株) 乗合自動車部
岩手県交通(株) 釜石営業所
社団法人 岩手県バス協会
(11 機関)
宮城交通(株)
宮城県
仙南交通(株)
社団法人 宮城県バス協会
福島県
福島交通(株)
社団法人 福島県バス協会
NPO 法人 全国移動サービスネットワーク
NPO 等
(4 機関)
NPO 法人 いわて地域づくり支援センター
社団法人 日本カーシェアリング協会
岡田小避難所運営本部
9
0 本書のねらいと内容
10
1 東日本大震災被災地における交通サービス等の
提供状況
■内容
東日本大震災では、被災者の生活の質の確保が課題となっ
た。その対応として、被害・復旧状況に応じた様々な交通サ
ービス等が提供された。
本章では、災害時に地域のモビリティを確保するために求
められる交通サービス等を把握するため、ヒアリング調査・
既存公表資料調査を基に、発災後に被災地で提供された交通
サービス等を被災状況別に整理している。
1 東日本大震災被災地における交通サービス等の提供状況
1 東日本大震災被災地における交通サービス等の提供状況
災害時に地域のモビリティを確保するために求められる交通サービス等を把握するため、
1)地震・津波による被害が甚大な沿岸地域
2)地震・津波による被害を被った地域
のそれぞれについて、被災地で提供された交通サービス等を既存公表資料、ヒアリング調査を
基に整理した。
<被災地域の類型>
地域
被害状況
具体都市
1)地震・津波による
釜石市
交通サービス等
の提供状況
・津波による市街地の
・生活の質を確保する
被害が甚大な沿岸
陸前高田市
流失等の甚大な被害
ため、臨時のサービ
地域
気仙沼市
を受ける
ス提供など様々な取
仙台市(沿岸部)
・鉄道の被災や自家用
等
車の流出など交通の
り組みが行われた
被害も大きい
2)地震・津波による
被害を被った地域
仙台市(内陸部)
盛岡市
八戸市
等
・地震による一部の建
・日常生活の早期復旧
物損壊など比較的被
のため、代替も含め
害が小さい
既存サービスの復旧
・鉄道の運休や停電・
が主な対応となった
燃料不足などの影響
参考
が大きい
東電福島原子
福島県富岡町
・沿岸部の津波被害だ
・原発事故からの避難
力発電所事故
等
けでなく、東電福島
と避難先での生活の
よる影響が大
原子力発電所事故の
足の確保が主な対応
きい地域
影響が大きい
となった
首都圏
・建物損壊等の被害は
・帰宅困難者対策とし
少なかったものの、
て、鉄道再開等が主
広範囲で鉄道が運休
な対応となった
(※東電福島原子力発電所事故よる影響が大きい地域、首都圏を含め、それぞれの地域の交通サービスの提供状況の詳細
は別冊の参考資料編参照。首都圏については、東日本大震災を踏まえた今後の災害に備えた取り組みの状況について
も整理している。)
11
1 東日本大震災被災地における交通サービス等の提供状況
1) 地震・津波による被害が甚大な沿岸地域
○鉄道や自家用車に大きな被害が生じたことから、バスを中心とした交通サービスが提供さ
れた。
○被災者のニーズや日常生活の再開状況に対応した交通サービスが提供された。
○交通事業者や自治体が主要な交通サービスを提供するとともに、地域や NPO などによる
補完的な取り組みが行われた。
○移動販売・訪問診療等様々な手段によりサービスが提供された。
(複数の地域の事例から整理した地震・津波による被害が甚大な沿岸地域における交通サー
ビス等の提供状況を 14 頁に、具体の地域における状況を 16 頁に示す。)
○緊急対応期(発災後概ね 1 週間)
発災直後は、自治体の要請を受けバス事業者等により、被災者の避難所への輸送や遺体安
置所の送迎といった緊急的な輸送が行われた。バス事業者は本社と営業所の間で連絡が取れ
ない中で、現地営業所の判断による対応が行われた。
また、公共的な交通サービスが十分に提供されない中で、避難者同士の相乗り・送迎など
地域の共助による取り組みも行われていたとの事例も見受けられた。
○応急期(発災後概ね 1 週間から 1 か月まで)
発災後概ね 1 週間からは、通院、入浴など最低限の生活を確保するため、避難所と医療施
設、入浴施設などを結ぶバス運行等の臨時的な交通サービスが提供された。
また、幹線道路が早期に復旧し、バスの高速道路の通行が許可されたことで、甚大な被害
を受けた沿岸部と被害の少ない内陸部の都市や代替機能を果たす空港や新幹線駅までの高速
バスや鉄道代替バスが運行された。
○復旧期(発災後概ね 1 か月以降)
発災後 1 か月以降は、学校再開など日常生活の再開状況に合わせて、スクールバス、地域
内巡回バスなどの交通サービスが提供された。また、仮設住宅へ移行に合わせ、仮設住宅に
配慮した交通サービスも開始された。
○交通サービスの担い手
発災直後は、自治体や交通事業者により主要な交通サービスが提供される一方で、時間の
経過とともに、NPO 等により高齢者・障がい者等を対象とした移動支援や避難所独自の取
り組み(一時帰宅バス、カーシェアリングなど)も行われ、補完的な役割を果たした。
○様々な手段によるサービス提供
身近な生活利便施設等が被災した中で、移動販売、訪問診療といったサービス・モノの移
動など様々な手段により、被災者に対し各種サービスが提供された。
12
1 東日本大震災被災地における交通サービス等の提供状況
<提供された交通サービスと対応した主な移動目的>
地震・津波による被害が甚大な沿岸地域で提供された交通サービス(14 頁)と対応した移動
目的(想定を含む)を整理した。被害が甚大な沿岸地域では、災害時特有の移動目的が発生する
とともに、平常時とは異なる様々な方法により、これらに対応する交通サービスが提供された。
概ねの提供
開始時期
交通サービス
主な担い手
緊急対応期
(発災後概ね
1週間)
緊急的な輸送
自治体/交通事業者
被災者同士の
車の相乗り・送迎
その他
(被災者)
応急期
(発災後概ね
1週間から
1ヶ月まで)
対応した主な移動目的
(想定を含む)
目的
災害時特有 被災者の避難所への輸送
災害時特有 軽症者の医療機関への輸送
災害時特有 家族等の安否確認(避難所や遺体安置所への送迎)
通院
避難所から医療機関への通院
災害時特有 行方不明者捜索(他の避難所等への移動)
帰宅
来訪者の被災地から首都圏への帰宅
災害時特有 内陸部への避難
高速バス
交通事業者
通院
内陸部への通院
買物
内陸部への買い物
災害時特有 内陸部からの家族の見舞(救援物資を届ける)
鉄道代替バス
(主に内陸部~沿岸部間)
交通事業者
通院
内陸部への通院
買物
内陸部への買い物
災害時特有 内陸部からの家族の見舞(救援物資を届ける)
通院バス
通院
被災地で再開された医療機関への通院
その他
(医療機関・NPO等)
通院
都市部や隣接自治体の医療機関への通院
入浴送迎バス
その他
(自衛隊等)
移送サービス
その他
(NPO等)
燃料の配布
復旧期
(発災後概ね
1ヶ月以降)
自治体
災害時特有 自衛隊等が設置した入浴施設へ入浴
自治体
通院
高齢者や障害者の通院
買物
高齢者や障害者の買い物
通院
避難所からの通院
買物
避難所からの買い物
避難所への
自転車の配布
自治体
(自転車は全国から提供)
買物
避難所生活での短距離の移動
(買い物などでの利用が想定される)
鉄道代替バス
(主に沿岸部間)
交通事業者
通学
学校等の再開に伴い通学の足として運行
一時帰宅バス
その他
(避難先自治体、NPO等)
高校スクールバス
自治体
(県教育委員会)
通学
学校の被災による遠距離通学者の通学
買物バス
その他
(商業施設)
買物
避難所や仮設住宅からの買い物
路線バス
交通事業者
通院
被災地内での医療機関の再開に伴う通院
買物
被災地内での商店などの再開に伴う買い物
通院
避難所・仮設住宅からの通院
買物
避難所・仮設住宅からの買い物
災害時特有 内陸部への避難者が被災地の自宅へ一時帰宅
地域内巡回バス
自治体
小・中学校スクールバス
自治体
通学
学校の被災による遠距離通学者の通学
その他
(NPO等による支援)
買物
仮設住宅からの買い物
通院
仮設住宅からの通院
自治体
(自転車は全国から提供)
通勤
通勤先の再開に伴う通勤
通学
学校の再開に伴う通学
災害時特有 被災に伴う役所手続き
カーシェアリング
通勤・通学者等への
自転車の配布
:災害時特有の目的
平常時の主な
移動目的
通勤
買物
観光・行楽・レジャー
(日常生活圏外)
業務
通学
帰宅
食事・社交・娯楽
(日常生活圏内)
通院
13
1 東日本大震災被災地における交通サービス等の提供状況
<地震・津波による被害が甚大な沿岸地域における交通サービス等の提供状況>
緊急対応期
応急期
(発災後概ね1週間)
(発災後概ね1週間から1か月まで)
自助・共助
避難所
・高速バスの運行(内陸の都市、交通拠点等へのア クセス)
広域
隣接自治体
等行政界
を越えた移動
・鉄道代替バスの運行(主に内陸~沿岸間)
公共的交通
・通院バス(避難所から医療施設)
・通院・入浴などの最低限の生活
のために必要な移動ニーズ
⇒通院バス・入浴送迎バスが運行
※
交通
サービス
・学校など日常生活が再開
⇒スクールバス、地域内の
巡回バス等が運行開始
・沿岸部が大きな被害を受け内陸部へ
の移動ニーズが高まる
・幹線道路早期に復旧
⇒高速バス・内陸部と沿岸部を結ぶ鉄
道代替バスが早期に運行
地域
・緊急的な輸送(被
災者の避難所への
輸送、遺体安置所
への送迎)
・路線バスの再開
NPO等による
サービスも開始
・通院バス
・入浴送迎バス(避難所から入浴施設)
・緊急的な輸送への対応
⇒自治体・交通事業者による緊急的な輸送や避
難者同士の相乗り・送迎など共助による交通
サービス
コミュニティ
(学区)内
の移動
・移送サービス
・被災者同士の車の相乗り・送迎など共助的な交通
・燃料の配布
個別交通
全国から自転車が提供
避難所への自転車の配布
入
浴
移動入浴車によるサービス提供
サービスの移動
臨時入浴施設の設置
施設等の設置
訪問診療・移動診療車によるサービス提供
サービスの移動
サービスの
移動・施設
の設置等
医
療
急患のみ診療
施設等の設置
通常診療の再開
臨時救護所・診療所の開設
サービスの移動
買
物
移動販売車によるサービス提供
施設等の設置
日用品の配布
その他
※公共的交通:不特定多数利用
者に向けた交通サービス(交通事
業者、自治体、NPO等による)
14
■交通サービスの担い手
主に交通事業者
主に自治体
その他
サー
1 東日本大震災被災地における交通サービス等の提供状況
復旧期
(発災後概ね1か月以降)
公助
仮設住宅
・鉄道代替バスの運行(主に沿岸間)
・一時帰宅バス(内陸部の避難所から居住地)
・高校スクールバス
・通院バス(仮設住宅から医療施設)
・買物バス(避難所から商業施設)
・地域内巡回バス
・買物バス(仮設住宅から商業施設)
(仮設住宅へのサービス開始)
・仮設住宅への移行が進む
⇒仮設住宅を発着又は経由
する交通サービスが開始
・小・中学校スクールバス
・仮設住宅への移行が概ね完了
⇒地域公共交通確保維持改善事業(被災地特例)
により仮設住宅の生活の足の確保に取り組む(乗
り合いタクシーの新規運行、既存バス路線のルー
ト変更)
(仮設住宅へのサービス開始)
・カーシェアリング
通勤・通学者等への自転車の配布
仮設店舗の設置
買い物代行
ービスの移動・施設の設置等
15
1 東日本大震災被災地における交通サービス等の提供状況
<具体の都市における交通サービス等の提供状況(陸前高田市)>
緊急対応期
応急期
3月
4月
11日(発災直後)
21日(震災10日後)
1日(
・地震発生
・大津波警報
地震発生と津波警報
・津波警報
・津波注意報
当初は約9千人(最大時は約1万人)が避難所に避難
避難所・仮設住宅
3/19 仮設住宅の着工
3/26 仮設住宅入居申し込み開始(4
3/24 県立高田病院の臨時診療所が米崎コミュニティセ
3/21 自衛隊が入浴サービスを開始
都市
機能
都市施設
3/20 プレハブ仮設庁舎、臨時診療所を開設
3/18 一部の避難所で応急診療可
ライフ
ライン
燃料(軽油・ガソリン)
3/13燃料不足が顕在化
3月下旬 首都圏の燃料不足が概ね解消
3/17 経済産業省による対策開始
3/11 陸前高田市全域で停電発生
電気
3/18 高田町を通る農免道沿いから復旧
3/19 長部小、広田小と矢作町地域(一部除く)でも復旧
3/11 全線で通行止め
高速道路
3/24 緊急交通路指定が全面解除→東北道全線で一般
3/12 東北道が緊急交通路に指定され一般車両の通行不可(三陸道は3/13~)
3/30 三陸道全線
3/15 高速バスにも緊急交通路の通行許可
道路
3/16 内陸部と沿岸部を結ぶ国道で一般車両の通行可
国道
3/18 国道4号が全線で通行可能
3/19 高田町光照寺へ向かう道路は交互通行可
その他道路
交通
基盤
新幹線
鉄道
4/1 J
その他鉄道
3/12 山形空港と福島空港が再開
空港
3/15 花巻空港の再開
3/24 宮城県の離島航路が順次再開
港湾
岩
広域
交通
※
長距離バス(盛岡~高田自動車学校)
3/19~
内陸部に至る国道
開通直後から運行
高速
バス等
他
高速ライナー(陸前高田~一関IC高速バス停)
岩
高速バス(大船渡~仙台)
鉄道代替バス
岩
JR大船渡線振替輸送バス(盛駅~一ノ関駅)
花
一時帰宅バス(花巻市~陸前高田市)
他
一時帰宅バス(西和賀町~陸前高田市)
市
遺体安置所へのシャトルバス(住田町スポーツセンター)
3/21~
県
盛岡赤十字病院受診バス
3/21~
自
入浴支援バス(避難所~入浴施設)
その他
住
住田町コミュニティバスの特別運行(陸前高田~住田)
市
気仙中学校へのスクールバス
3/26~
自衛隊が入浴
支援バスを運行
4/1
県教 高田高校スクールバス(間借する大船渡東高行)
生活支援
バス
他
買物・通院バス(おもいやりバス)
市・自 巡回バス(各地区を巡回)
公共的
交通
地域内
および
地域間
交通
路線
バス
タクシー
その他
個別
交通
ガソリン供給
他
県立高田病院通院支援バス(避難所等~臨時診療所)
市
遺体安置所へのシャトルバス(旧矢作小学校)
他
通院支援バス(仮設住宅~高田病院行)
他
通院支援バス(仮設住宅~大船渡病院行)
市
乗合タクシー(スーパー~仮設住宅~県立病院~スーパー)
岩
広田線(広田小学校~鳴石団地間)
岩
的場線(的場~鳴石団地間)
岩
気仙線(福伏~鳴石団地間)
岩
合場線(合場~鳴石団地間)
岩
県立大船渡病院~鳴石団地間
岩
住田高校前~鳴石団地間
他
高田タクシーの営業再開
他
気仙タクシーの営業再開
他
東京へのホームステイバス
他
無料子ども遠足バス
他
被災地巡回コンサートへの送迎バス
他
温泉旅行バス
市
無料ガソリン供給
他
がんばろう陸前高田給油所(GS)の開設
3/27~3/29
※名称の前に書かれている文字は、運行の担い手を示す。市:陸前高田市、県:岩手県、岩:岩手県交通、自:自衛隊、花:花巻市、住:住田町、他:その他。
各交通の運行期間を示す矢印の色は交通サービスの担い手の分類を示す。
16
主に交通事業者
主に自治体
その他
1 東日本大震災被災地における交通サービス等の提供状況
復旧期
5月 (約2カ月後)
(20日後)
11日(30日後)
21日(40日後)
1日
11日
6月 (約3カ月後)
21日
1日
11日
7月 (約4カ月後)
21日
1日
11日
8月 (約5カ月後)
21日
1日
11日
9月以降 (約6カ月後~)
21日
・余震の発生
8/14 避難所が解散
6/30 仮設住宅必要数のおよそ65%が入居完了
(4/9から入居)
センターに開設
5/18 住田町スポーツセンターの
遺体安置所が閉鎖
4/21 小中学校の再開
7/18 仮設風呂が終了
7/20 自衛隊が撤収
7/25 県立高田病院が仮設診療所で診療再開
5/10 被災した高田高校等が再開
4月中旬 燃料不足が概ね解消
5/28 停電復旧作業が終了
般車両の通行再開
線で一般車両の通行再開
4/10 国道45号と6号は全線で一般車両通行可(一部迂回路あり)
4/12 山形新幹線は全線で運転再開
JR大船渡線が一部区間(一ノ関~気仙沼)で再開
6/26 国道45号の小泉大橋(本吉地域)に仮橋設置
4/29 東北新幹線は全線で運転再開
4/19 JR大船渡線が一部区間(一ノ関~気仙沼)で再開
4/7 JR大船渡線が余震の影響で運休
4/21 東北本線は全線で運転再開
4/29 JR気仙沼線が一部区間(前谷地~柳津)で再開
4/13 仙台空港の再開
4/28 仙台~苫小牧の旅客営業運行を再開(太平洋フェリー)
5/26 仙台~名古屋の旅客営業運行を再開(太平洋フェリー)
4/22~
4/28~
運休区間で振
替輸送開始
4/22~
5/7~
5/17~
1~4/23
4/21~
小中学校や高校の再開に
伴いスクールバスを運行
4/22~
4/25~
5/3~
5/18~
住田町の遺体安置所が
閉鎖に伴いルート変更
5/18~5/31
7/1~
7/1~
10/3~
4/20~
4/20~
4/20~
4/20~
路線バス2路線の再開に伴い住田
町のコミバスによる特別運行は終了
4/22~
4/22~
5/1~
6/21~
5/24~
6/5
6/24
7/13~15
4/9~4/11
4/22~
(資料:陸前高田市広報臨時号等既存公表資料を基に作成)
17
1 東日本大震災被災地における交通サービス等の提供状況
2) 地震・津波による被害を被った地域
○日常生活の早期再開のため、路線バスの再開や運休した鉄道の代替バスの運行が主な対応
となった。
(複数地域の事例から整理した「地震・津波による被害を被った地域におけるにおける交通
サービス等の提供状況(概要)」を 19 頁に、「主なバス事業者の路線バスの再開状況」を
20 頁に示す。)
○路線バスの再開
運転手、燃料など運行に必要な資源に制約がある中で、燃料の確保状況や路線の役割等を
踏まえ、日祝ダイヤや地区・路線の限定など、事業者により異なる方法で運行本数を削減し、
既存の路線バスが再開された。
<既存バス路線の再開方法>
再開方法の分類
A.路線全体を広く薄く
(日祝ダイヤ等)再開
左記の対応を行った主な交通事業者
・岩手県交通(中部地区、県南地区)
・宮城交通(仙台都市圏)
・福島交通
・八戸市営バス
・南部バス(八戸市)
B.特定の地区・路線を優
先して再開
・岩手県交通(盛岡地区)
・仙台市交通局
○鉄道代替バス
仙台都市圏では、仙台市への鉄道(JR東北線、JR常磐線)での通勤が多いことから、
運休した鉄道を代替するバスが運行された。
また、仙台市地下鉄では一部区間を除き運行を早期に再開(3/14)したが、運休した泉
中央駅~台原駅間では、代行バスが運行された。
○その他
発災当日には、帰宅困難者のため、ホテル代わりとして車両の提供や深夜バスの運行など
が行われた。
また、鉄道運休や燃料不足に伴い、自転車の利用が増加した。
18
1 東日本大震災被災地における交通サービス等の提供状況
<地震・津波による被害を被った地域における交通サービス等の提供状況(概要)>
緊急対応期
(発災当日)
応急期・復旧期
(発災翌日から概ね1カ月)
平常時
(発災から概ね1カ月以降)
・高速バス、都市間バス
広
域
(帰宅困難者対応)
・ホテル代わりに
車両提供
・深夜バスの運行
・鉄道代替バス
中心都市と周辺都市との
間の交通を確保
公共的交通
・路線バスの再開
(日祝ダイヤや地区・路線を限定した運行)
燃料・乗務員等の資源制約下での
運行内容を限定した運行
地
域
・コミュニティバス
燃料供給が改善されはじめ、地域内
の移動を担うコミュニティバスが再
開(中心都市へ向かう地域間の路線
バスを優先)
個別
交通
・自転車の利用増加
運休した公共交通や燃料不足
により自家用車から転換
■交通サービスの担い手
主に交通事業者
その他
19
1 東日本大震災被災地における交通サービス等の提供状況
<主なバス事業者の路線バスの再開状況(地震・津波による被害を被った地域)>
3月
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
(当日)
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
(6)
(7)
(8)
(9)
(10)
(11)
(12)
(13)
(14)
(15)
(16)
(17)
(18)
金
土
日
月
火
水
木
金
土
日
月
火
水
木
金
土
日
月
火
※( )は発災日からの経過日数
岩手県交通
盛岡地区
3/14~20 主要14路線を特別ダイヤで運行
3/21~4/3 全路線を休日ダイヤで再開
3/12~13 運休
3/26頃~
通常の方法で燃料の確保が可能
3/11 発災後も運行継続21時で運行終了
岩手県交通
中部地区・
県南地区
3/12~20 運休
3/21~4/3 全路線を休日ダイヤで再開
3/11 発災後も運行継続21時で運行終了
3/26頃~
通常の方法で燃料の確保が可能
宮城交通
仙台都市圏
3/14~21 日祝ダイヤの朝晩カット+日中間引き
3/22~27 日祝ダイヤの朝晩カット
3/28~4/17
3/12~3/13 8時から21時までのダイヤにできるだけ穴をあけないよう運行
3/11 16時以降全路線運休
3/20 安定調達
仙台市交通局
3/28~4/17
3/22~運行路線を追加
3/13~27 主要幹線路線を30分~1時間間隔の不定期運行
3/12 7割程度の路線で運行。20:30まで
発災から2週間ほど
公共交通の機能を発揮できる燃料を確保
福島交通
3/12~15 平常運行
3/16~4/5 日祝日ダイヤ
3/11被災直後から全路線で運転見合わせ
八戸市営バス
3/16~31 12時~16時、19時以降運休
3/14~15 19時以降運休
3/28頃
青森県石油協同組合から安定供給の確約
3/12~13 始発~8時、17時以降運休
3/11 15時以降全路線運休
南部バス
3/14~3/31 平日・土曜:土曜ダイヤ 日曜日:日祝ダイヤ 19時以降出発便運休
3/13 運休
3/11
平常
20
19時頃全路線運行終了(一部路線は15時頃終了)
土曜日
日祝日
特別
運休
一部時間帯の運休・間引きあり
1 東日本大震災被災地における交通サービス等の提供状況
4月
30
31
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
(19)
(20)
(21)
(22)
(23)
(24)
(25)
(26)
(27)
(28)
(29)
(30)
(31)
(32)
(33)
(34)
(35)
(36)
(37)
(38)
(39)
(40)
水
木
金
土
日
月
火
水
木
金
土
日
月
火
水
木
金
土
日
月
火
水
4/4~ 平常運行
4/4~ 平常運行
平日・土曜:土曜ダイヤ
日曜日:日祝ダイヤ
4/18~ 平常運行
全路線を休日ダイヤで再開
4/18~ 平常運行
4/6~ 平常運行
発災から3週間ほど
燃料についてはほぼ正常化
4/1~ 平常運行
4/1~ 平常運行
路線限定
注)この他、道路の被災状況により運休・迂回等がある
(資料:ヒアリング結果・既存公表資料等を基に作成)
21
2 災害時における地域のモビリティ確保のための
重要事項
■内容
東日本大震災では、通信障害、燃料不足といった、地域の
モビリティを確保する上での様々な障害が発生した。
本章では、被災地の自治体・交通事業者・NPO 等へのヒア
リング調査により把握した交通サービス等の提供に当たって
の問題・課題や対応を基に、災害時に地域のモビリティを確
保する上で重要となる事項を整理している。
2 災害時における地域のモビリティ確保のための重要事項
2 災害時における地域のモビリティ確保のための重要事項
東日本大震災の被災地における事象・事例や自治体・交通事業者等へのヒアリング結果から、
災害時に地域のモビリティを確保する上で重要と考えられる事項を、次の 7 項目に整理した。
災害時における地域のモビリティ確保のための重要事項は、時間の経過により変化し、それ
に応じた取り組みが必要になる。(導出過程は 28 頁を参照)
本書における各時期の区分及び名称は、今回の既存公表資料、ヒアリング調査による東日本
大震災被災地における取り組みを踏まえて、設定したものである。
<重要事項の時系列変化>
時間軸
発災時
緊急対応期Ⅰ
緊急対応期Ⅱ
応急期
復旧期
発災後直ちに
発災直後~
24時間程度
24時間~
1週間程度
1週間~
1か月後程度
1か月後程度~
項目1
発災時の
安全の確保
項目2 災害対応の体制の確保
項目3 交通に係る情報の収集・共有
項目4
交通施設の機能確保
項目5
輸送に必要な資源の確保
項目6
公共的交通サービス※1の提供
項目7 パーソナル・モビリティ(個別交通)※2の活用
※1 公共的交通:不特定多数の人を対象とした交通。主に自治体、交通事業者等によって提供されるもの。
※2 パーソナル・モビリティ(個別交通):特定の人を対象とした交通。主に地域住民等の自助によるもの。
時期
取り組み
発災時(発災後直ちに)
発災時には、乗客及び職員の安全を確保する。
緊急対応期Ⅰ(発災直後
発災直後から、災害対応のための組織・拠点・通信の確保
~24 時間程度)
や被災状況等の情報を収集し、関係機関と共有する。
緊急対応期Ⅱ(24 時間
災害対応の体制が確保され、情報に基づき、道路の機能、
~1 週間程度)
輸送に必要な資源といった交通サービス提供の必要条件を
確保し、緊急的な公共的交通サービスを提供する
応急期(1 週間~1 か月
情報収集・共有や道路機能、輸送に必要な資源の確保に取
後程度)
り組みつつ、生活に必要な公共的交通サービスを提供する。
また、状況に応じて、共助の取り組みやパーソナル・モビ
リティ(個別交通)を支援する。
復旧期
上記に加え、買い物・通学等の平常時の生活に近い目的に
(1 か月後程度~)
応じた公共的交通サービスを提供する。
23
2 災害時における地域のモビリティ確保のための重要事項
項目1
発災時の安全確保
発災時には運行中の公共交通機関の乗客の安全確保を最優先とした対応が重要である。同時
に、職員の安全を確保し、発災後の対応を迅速に開始する必要がある。
そのため、発災時の対応については、乗務員や職員の各自の適切な判断が必要となることか
ら、具体的な行動についての事前の検討が必要である。
東日本大震災における事例等
発災時に沿岸部を多くの公共交通が運行しており、乗務員の適切な対応により、乗客の安
全が確保された事例も多数ある。一方で、現場に人を派遣し、運行を中止させたという事例
もあり、発災時の現場での乗務員の判断の重要性が明らかになった。
また、自治体や事業者の庁舎・事務所の安全が確保できず、職員の退避が必要になった事
例もあった。
※具体の被災地の声、事例等については、巻末資料1、参考資料編を参照(以下同様)
項目2
災害対応の体制の確保
災害時には、地域のモビリティ確保を担う自治体や交通事業者は災害時特有の様々な対応
を行う必要があり、対応に必要な人員の確保が困難になることが想定される。また、災害対
応を行う上で必要な拠点施設や通信手段が利用できない状況となることも想定される。
そのため、災害時には自治体や交通事業者が災害対応を実施する上で必要な人員・拠点施
設・通信を確保するため、関係機関との協力や代替施設・手段の確保も含めた災害対応の体
制の整備が必要である。
東日本大震災における事例等
市町村においては、避難所開設・運営等の対応が求められ、地域のモビリティ確保につい
て十分な対応ができる環境ではなかった。また、交通事業者においても、乗客の整理や電話
対応などが必要となり、人員の確保が課題となった。
災害対応の拠点となる市町村の庁舎や交通事業者の事務所も被害を受け、代替施設の確保
が行われた。また、停電や基地局の被災等により通信障害が発生し、関係機関相互の連絡が
不能となった。
項目3
交通に係る情報の収集・共有
災害対応を円滑に実施するためには、行政機関や交通事業者が被災や復旧の状況を把握し、
共有することが重要である。また、平常時と異なる様々な交通サービスが提供される中では、
被災者等が必要な情報を入手できる必要がある。
そのため、関係機関がそれぞれに管理・運営する施設・サービス等に関する被災及び復旧
の状況を収集し、関係機関と共有するための体制が必要である。また、公共交通の運行状況、
道路の通行止め等の情報を被災者に提供する体制も必要である。
24
2 災害時における地域のモビリティ確保のための重要事項
東日本大震災における事例等
交通事業者が独自に道路の安全を確認するなど、円滑な対応をする上で関係機関の情報共
有が課題となった。また、地域住民に対しては、様々な方法により公共交通機関の運行情報
等が提供された。
項目4
交通施設の機能確保
災害時には交通サービス提供の基礎となる道路が損壊することや一般車両の通行による渋
滞等で、道路の機能が確保されない事態も想定される。
災害時にも道路の機能を確保するためには、耐震化等の事前の対策を講じるとともに、被
害が生じた場合の復旧体制や災害時の運用方法を検討する必要がある。
東日本大震災における事例等
くしの歯作戦をはじめとした道路の早期の啓開、応急復旧を受け、道路を利用した交通サ
ービスの提供が可能となった。一方で、発災直後においては、救援物資や応急復旧要員等の
輸送のみに通行が限定され、公共交通の運行に支障が出た。
項目5
輸送に必要な資源の確保
災害時には、人やモノの輸送に必要な燃料・車両等の資源が、被災や流通の停滞により不
足することが想定される。
そのため、輸送に必要な資源について、燃料備蓄の見直しなど事前の対策や、災害時の確
保体制を関係機関と連携しながら検討する必要がある。
東日本大震災における事例等
製油所の被災や流通の停滞により、燃料不足が深刻な問題となり、交通事業者独自あるい
は行政機関との連携など様々な方法で、燃料を確保した。また、燃料不足に伴い、乗務員が
出勤できず、路線バス運行の障害となった。
さらに、津波により交通事業者の車両も多く流出したが、グループ会社やバス協会等を通
じ、被災地の交通事業者に対して全国の交通事業者から車両の提供も行われた。
項目6
公共的交通サービスの提供
ア)被災者の生活の質を確保するための移動手段の提供
災害時には、避難の状況や生活施設の被災状況により、目的や移動の発着地が平常時と異
なる様々な移動ニーズが発生することが想定される。
被災者の生活の質を確保するためには、時間の経過とともに変化する被災者のニーズに対
応した移動手段を確保する方策を検討する必要がある。
東日本大震災における事例等
発災直後においては家族の安否確認等、その後は入浴支援や通院などの被災者のニーズに
応じた公共的な交通サービスが提供された。
25
2 災害時における地域のモビリティ確保のための重要事項
イ)既存の公共交通の維持・確保
災害時には、燃料不足などの運行に必要な資源の制約により、既存の路線バス等が平常時
と同様の運行ができないことが想定される。また、鉄道等の交通機関そのものが被災し、運
休する場合も想定される。
生活の復旧状況に応じた交通サービスを提供するためには、運行に必要な資源の制約下で
の公共交通の再開方針や、運休した場合における代替輸送の実施体制整備が必要である。
東日本大震災における事例等
燃料が不足する中で、路線バスなどの既存の公共交通が、地域・路線の限定や運行本数を
削減した形ではあったが再開されたことにより被災者の生活の足となった。一方、鉄道が広
範囲にわたり被災したことで、代替輸送が円滑に実施されなかった地域もあった。
ウ)共助による移動手段の確保
災害時には、自治体や交通事業者のみでは十分な交通サービスが提供されないことが想定
される。また、高齢者・障がい者等に対する移動支援の必要性も高まる。
自治体・交通事業者が提供する交通サービスを補完するため、地域における相乗り・送迎
や NPO 等による交通サービスの提供といった共助による移動手段の確保も必要となる。
東日本大震災における事例等
自治体・交通事業者による交通サービスでは十分に対応できない移動ニーズに対して、自
家用車の相乗りや NPO 等による移動支援といった取り組みが行われた。
項目7
パーソナル・モビリティ(個別交通)の活用
災害時には、十分な公共的交通サービスが提供されないことや、道路状況の悪化、燃料不足
等による移動手段の制約が想定される。また、発災時の避難についても、地域の状況を踏まえ
た身近な移動手段が求められる。
このため、避難も含めた災害時における地域のモビリティを確保するには、公共的交通サー
ビスの提供のみならず、パーソナル・モビリティ(個別交通)の活用についての検討も必要で
ある。
なお、本書で用いる「個別交通」とは、歩行者および「交通具としてのパーソナル・モビリ
ティ」を用いた交通である。文中では便宜上「パーソナル・モビリティ(個別交通)」と記載し
た。
東日本大震災における事例等
燃料不足によりガソリンスタンド周辺で給油待ち車両による渋滞が起きるなど、自家用車
利用による問題も顕在化した。被災者への自転車や燃料の提供といった取り組みも行われた。
26
2 災害時における地域のモビリティ確保のための重要事項
補足説明)本書における公共的交通とパーソナル・モビリティ(個別交通)の関係
本書では、不特定多数の人を対象とし、主に自治体、交通事業者、NPO 等によって提供さ
れるものを「公共的交通」、特定の人を対象とし、主に地域住民の自助によるものを「パーソナ
ル・モビリティ(個別交通)」とした。
公共的交通は、多くの需要に対して、効率的な輸送ができる。
パーソナル・モビリティ(個別交通)は、ドア to ドア、時間制約がない、短距離の移動に
適するといった特性を有する。
公共的交通とパーソナル・モビリティ(個別交通)それぞれの特性に応じた利用に加え、乗
り継ぎ組み合わせて利用することで、より利便性の高い地域のモビリティを確保することが可
能となる。
東日本大震災被災地では、公共的交通が提供される一方で、様々なパーソナル・モビリティ
(個別交通)の事例もみられたことから、公共的交通が十分に提供されない、あるいは燃料不
足といった状況の中で、パーソナル・モビリティ(個別交通)が重要な役割を担っていたと考
えられる。
この様に、災害時に地域のモビリティを確保するためには、公共的交通、パーソナル・モビ
リティ(個別交通)それぞれの特性を活かし、状況に応じて手段を選択できることが重要であ
ると考えられることから、本書においては、双方を取り扱うこととしている。
<公共的交通とパーソナル・モビリティ(個別交通)の関係>
公共的交通とパーソナル・モビリティ(個別交通)の
それぞれの特性の活用と
連携させた活用による利便性向上
公共的交通
パーソナル・モビリティ
(個別交通)
パーソナル・モビリティ(個別交通)が
公共的交通の提供されない時間帯を補完
時間軸
緊急
対応期
応急期
復旧期
公共的交通
公共的交通とパーソナル・モビリティ
(個別交通)を乗り継ぎ組み合わせて活用
パーソナル・モビリティ(個別交通)
27
2 災害時における地域のモビリティ確保のための重要事項
<「災害時における地域のモビリティ確保のための重要事項」の導出過程>
ヒアリング結果
東日本大震災による影響
地震・津波の発生
・地域のモビリティを確保する上での問題・課題
・事前の備えにより計画的な対応が求められる取り組み
・人の派遣により、運行中止の指示が行われた。
(乗務員の判断のみでは、対応できなかった)
・交通事業者等の施設が被災し、避難を余儀なくされた。
(住宅・生活施設関連)
住宅・建築物・宅地の被害
・自治体は避難所の運営等の業務があり、交通に関する対応が十分にでき
なかった。
・県・自治体等の関係機関の連携・役割分担ができていない。
広範囲にわたる多数の避難者の発生
・災害時の対応拠点となる自治体の庁舎や交通事業者の事務所が使用でき
ない状態となった。
仮設住宅の建設
(通信・燃料関連)
通信障害の発生
・停電・基地局の被災により、通信障害が発生し、被災状況の確認や関係
機関との連絡ができない状況となった。
・交通事業者が独自に道路の状況を調査を行ったケースが多い。
燃料の不足
(交通関連)
道路の被害と復旧
車両の被災
・平常時とは異なる運行が行われたことや公共交通のニーズが高まり、交
通事業者や県に、運行状況に関する問合せが多く寄せられた。
-
バス・タクシー事業者の車両の滅失・流出
自家用車の滅失・流出
鉄道の被害と復旧
空港の被害と復旧
・発災直後から高速道路では交通規制が行われ、前例がないこともあり、
バスの通行許可に時間を要した。
・燃料が不足し、交通事業者は行政機関に要請したものの、十分な量は提
供されなかった。
・燃料の提供方法と受入方法が合わずに、提供された燃料を利用できない
ケースもあった。
・交通事業者の車両も多く被災した。
・燃料不足により、乗務員が通勤できず、バスの運行に支障が出た。
被災地における交通サービス等の提供状況
東日本大震災被災地では、被災者のニーズに応じた様々な交通サービスの
提供が緊急的な対応として実施された。今後、交通サービスを計画的に提
供するための備えが必要である。
【地震・津波による被害が甚大な沿岸地域】
・時間の経過とともに変化する状況に応じた交通
サービス等が提供された。
・鉄道・自家用車の被災により、バスを中心とし
た交通サービスの提供
・被災者のニーズや生活の復旧等に応じた、各種
の交通サービスの提供
・交通事業者、自治体、NPO等がサービスを提供
・移動販売等様々な手段によるサービスの提供
【地震・津波による被害を被った地域】
・平常時の交通サービスの再開、あるいはそれらを
代替するサービスが提供された。
・燃料等資源制約下での路線バスの段階的再開
・運休した鉄道の代替バスの運行
・燃料不足により、既存の路線バス等の運行に大きな支障が出た。
・給油待ち車両による渋滞により、迂回・遅延等の支障が出た。
・協定がなく交通事業者による代替輸送が円滑に行われなかった。
・鉄道とバスでは輸送力に差があり、乗客の積み残しも問題となった。
・外部の支援を引き継ぐ素地が被災地域にできていない。
・自治体・交通事業者が提供するサービスのみでは、地域のモビリティは十
分に確保されない。
・不要不急の自家用車利用による渋滞が発生した。
矢印は事象とヒアリング結果の対応関係を示す。
線の太さを以下を表している。
:複合的な事象が要因・背景となっているもの
:個別的な事象が要因・背景となっているもの
色・線種については、識別しやすくするため、事象の枠線と一致させている。
28
2 災害時における地域のモビリティ確保のための重要事項
(主な意見の要旨)
・事前の備えが役に立った取り組み
・緊急的な対応であったが参考となる取り組み
・日頃の注意喚起や訓練により、乗務員の判断で適切な避難が実施され
た。
災害時における
地域のモビリ
ティ確保のため
の重要事項
R リスク管理
(事前対応)
E 危機管理
(災害時対応)
重要項目に関係する各項目は「リスク管理編」、「危機管理編」を参照
1
乗客の安全確保策の整備
1
乗客の安全確保
2
職員の安全確保策の整備
2
職員の安全確保
1
組織体制の整備
1
組織体制の確立
・国、県の施設は非常用電源等が整備されていたことにより、発災後も使
用できた。
・交通事業者は車両や公共施設を代替施設として活用した。
2
対応拠点の整備
2
対応拠点の確保
・電話が使用できない中で使送、無線が連絡手段として活用された。
・また、個人の携帯電話も役立った。
3
通信・連絡手段の整備
3
通信・連絡手段の確保
1
交通情報等の収集・伝達
体制の整備
1
交通情報等の収集・伝達
2
地域住民等への交通情報
等の提供体制の整備
2
地域住民等への交通情報
等の提供
1
道路の安全確保体制の整
備
1
道路の安全確保
2
交通規制体制の整備
2
交通規制の実施
1
燃料確保体制の整備
1
燃料の確保
・全国の事業者から被災地の交通事業者に対して、車両が提供された。
2
車両確保体制の整備
2
車両の確保
・乗務員の通勤手段を確保するため、通勤バス運行や乗務員への燃料提供
が行われた。
3
乗務員確保体制の整備
3
乗務員の確保
1
被災者の避難所への移動
手段の想定
1
被災者の避難所への移動
手段の提供
2
軽症者の医療機関への移
動手段の想定
2
軽症者の医療機関への移
動手段の提供
3
家族等の安否確認のため
の移動手段の想定
3
家族等の安否確認のため
の移動手段の提供
4
通院のための移動手段の
想定
4
通院のための移動手段の
提供
5
入浴のための移動手段の
想定
5
入浴のための移動手段の
提供
6
行政手続きのための移動
手段の想定
6
行政手続きのための移動
手段の提供
7
通学のための移動手段の
想定
7
通学のための移動手段の
提供
8
買い物のための移動手段
の想定
8
買い物のための移動手段
の提供
9
多目的な移動のための移
動手段の想定
9
多目的な移動のための移
動手段の提供
1 発災時の安
全の確保
・日頃からの関係機関との関わりが災害時にも活かされた。
・県から市町村、バス協会からバス事業者などへの支援が行われた。
・交通事業者によっては、道路状況を災害対策本部に集まる情報を活用し
た。
・被災者のニーズを災害対策本部や交通事業者に入る情報により把握し
た。
2 災害対応の
体制の確保
3 交通に係る
情報の収
集・共有
・被災者向けの広報で交通情報も提供された。
・各社の運行状況を集約して提供した事例や広域的な迂回ルートに関する
情報を提供した事例もある。
・くしの歯作戦により、沿岸と内陸の交通が早期に確保された。
・バスの運行ルートの優先的な瓦礫の撤去も行われた事例もある。
4 交通施設の
機能確保
・通行規制区間について、バスに対する通行許可も行われた。
・バス事業者の営業所を緊急車両への給油拠点とすることで、バス事業者
に燃料が提供された事例もあった。
-
5 輸送に必要
な資源の確
保
6 公共的交通
サービスの
提供
・燃料不足の中、土日ダイヤでの運行、路線を限定した運行などが行われ
た。
10 路線バスの運行体制の整
備
10 路線バスの運行
・県からバス事業者に対する代替輸送の要請や県を中心とした代替輸送の
調整が行われた。
・積み残しを避けるため、2点間輸送といった工夫も見られた。
11 鉄道代替輸送の実施体制
の整備
11 鉄道代替輸送の実施
・日頃のコミュニティやNPOとの関係が、災害時の相乗りや避難所でのバ
スの運行といった取り組みに結びついた事例もある。
12 共助の取り組みの普及啓
発
12 共助の取り組みの支援
・個人へのガソリンの提供、自転車の提供など、個別交通への支援が行わ
れた。
7
パーソナル・モ
ビリティ(個別
交通)の活用
1
パーソナル・モビリティ
(個別交通)の普及啓発
1
パーソナル・モビリティ
(個別交通)の支援
29
2 災害時における地域のモビリティ確保のための重要事項
30
3 災害時も考慮した地域のモビリティ確保
の基本的な考え方
■内容
災害時に地域のモビリティを確保するためには、平常時の
取り組みが重要である。また、関係機関と連携した事前及び
災害時の対応や、関連する施策との整合を図ることも重要で
ある。
本章では、東日本大震災を踏まえ、今後の災害への備えと
して取り組むべき、災害時も考慮した地域のモビリティ確保
の基本的な考え方を整理している。
3 災害時も考慮した地域のモビリティ確保の基本的な考え方
3 災害時も考慮した地域のモビリティ確保の基本的な考え方
災害時に地域のモビリティを確保するためには、平常時の取り組みが重要である。また、関
係機関と連携した事前及び災害時の対応や、関連する施策との整合を図ることも重要である。
本章では、東日本大震災を踏まえ、今後の災害への備えとして取り組むべき、災害時も考慮
した地域のモビリティ確保の基本的な考え方を整理している。
災害時も考慮した地域のモビリティ確保の基本的な考え方
3.1 平常時のモビリティ確保の体制整備の重要性
3.2 リスク管理(事前対応)と危機管理(災害時対応)による取り組み
3.3 交通危機管理行動要領の策定
3.4 地域防災計画との関連付け
3.1 平常時のモビリティ確保の体制整備の重要性
○災害時のモビリティ確保には、地域交通の担い手の存在や担い手(関係機関)同士の円滑
な連携が重要であり、平常時から地域においてモビリティ確保の重要性が認識され、多様
な関係機関が連携した取り組みが必要である。
災害による被害を極力軽減し、被災者の生活の質を早期に確保するためには、地域のモビ
リティ確保が重要な要素の一つである。東日本大震災被災地では、各地の状況に合わせ、緊
急的な対応として、様々な交通サービスの提供等の取り組みが行われ、被災者の生活の足と
なった。
災害時に地域のモビリティを確保するためには、関係機関の協力や交通サービスの提供に
必要な資源の確保が不可欠である。そのため、日頃から地域のモビリティの重要性が認識さ
れ、関係機関の密接な連携が図られていた地域では、地域交通の担い手が存在し、地域の移
動手段の確保にあたり円滑な対応が可能となった。一方、日頃からの取り組み状況によって
は、移動手段の確保を依頼する機関を探すことから始める必要があるなど対応に差が見られ
た。
このように、平常時における日常生活に資する取り組みや、それにより培われる関係機関
との協力関係は、災害時にも有効である。
そのため、平常時の取り組みを基礎とし、災害時のモビリティ確保に向けた取り組みを行
うことが重要である。また、平常時、災害時にかかわらず、地域のモビリティ確保の必要性
を市民・事業者・行政などが認識し、多様な主体が参画・協力した取り組みを計画・実施し、
内容の検証・見直しを通して継続的な改善を図ることが重要である。
31
3 災害時も考慮した地域のモビリティ確保の基本的な考え方
市民・事業者・行政など、地域のモビリティ確保に関係する多様な主体が参加する既存の
枠組みとして、
「地域公共交通会議」
、
「地域公共交通活性化・再生法に基づく協議会」
、
「都市・
地域総合交通戦略に係る協議会」等がある。このような枠組みに代表される、多様な主体が
参加した場において、平常時のみならず、災害時の地域のモビリティ確保に係る議論・検討
を行うことで、「災害時も」考慮した取り組みを行うことができると考えられる。
過去 3 年の検討において、平常時のモビリティ確保に係る工夫・ノウハウを知恵袋として
とりまとめている。平常時の取り組みから検討したいと考えている方は、過去の知恵袋を一
読いただきき、本書とあわせて利用していただきたい。
<継続的な取り組みのイメージ>
Plan
・各種事前対策の検討
・交通危機管理行動要領の策定
等
(計画)
・各種事前対策の見直し
・交通危機管理行動要領
の見直し
等
Act
Do
(改善)
(実行)
・各種事前の対策の実施
・交通危機管理行動要領
に基づく訓練の実施
等
Check
・各種事前対策の検証
・交通危機管理行動要領の検証
等
(評価)
<地域交通に関する検討の枠組み>
名称
目的
構成員
地域公共交通
地域の需要に即した乗合運送サービス
市区町村、住民代表、利用者代表、
会議(道路運
が提供されることにより、地域住民の
都道府県、地方運輸局、旅客自動車
送法)
交通利便の確保・向上に寄与するよう
運送事業者(又はその団体)、旅客
努めるもの
自動車運送事業者の運転手の団体、
道路管理者、都道府県警察等
地域公共交通
地域公共交通のあらゆる課題に対し検
市町村、公共交通事業者、道路管理
活性化・再生
討し、地域にとって最適な公共交通の
者、港湾管理者、公安委員会、住民
法に基づく協
あり方について合意形成を図り、合意
等
議会
に基づき各主体が責任を持って推進
都市・地域総
道路交通の混雑緩和、公共交通の乗継
都道府県、市町村、道路管理者、警
合交通戦略に
ぎ円滑化など、都市や地域が抱える交
察、交通事業者、地元団体、関係者
係る協議会
通の課題を解決し、円滑な交通の確保
等
と目指すべき将来像を実現
32
3 災害時も考慮した地域のモビリティ確保の基本的な考え方
3.2 リスク管理(事前対応)と危機管理(災害時対応)による取り組み
○災害時の円滑な対応には、平常時から事前の備えと対応のシミュレーションを行い、災害
時には、事前に取り決めた体制・手順に基づき関係機関が必要な対応を実施することが重
要である。
災害時の地域のモビリティ確保には、交通施設や車両等の被害の予防・軽減とあわせ、関
係機関の円滑な対応が重要である。そのためには、災害時に発生する事態を想定し、事態に
対し、発生を回避するため施設・設備の整備・補強といった対策や対体制整備といった事態
発生に対する準備を行い、災害時に円滑な対応を行う必要がある。
本書では、災害を、事前においては「リスク(災害が発生する可能性)」、事後においては
「危機(災害が発生した状況)」として捉え、事前の対応を「リスク管理」、災害時の対応を
「危機管理」とし、この双方について十分な準備を行う事が必要との考え方を提示している。
リスク管理(事前対応)と危機管理(災害時対応)の考え方
○リスク管理(事前対応)~Risk Management~
・災害による被害を予防・軽減するために事前に講じることのできる対策を実施
するとともに災害時の対応を円滑に進めるための体制・手順の明確化する。
○危機管理(災害時対応)~Emergency Management~
・災害時には、事前に取り決めた体制・手順に基づき行動する。
(1) リスク管理(事前対応)
災害時の地域のモビリティ確保に向け、被害想定等の地域の特性を踏まえ、地域防災計画
等既存の各種計画を地域交通面から補完する取り組みを関係機関が連携して検討し、これに
基づき、被害を予防・軽減するための施設等の整備や発災後の対応に必要な資機材の備蓄、
協定の締結等の事前に講じることのできる対策を実施する。また、災害時の対応を円滑に進
めるため、関係機関の体制・手順を明確化する。
また、計画を策定するだけでなく、計画策定後に日頃から訓練や研修により、定期的に対
応のシミュレーションを行い、その結果や新たな知見を踏まえ、災害対策の継続的な見直し
を行うことが重要である。
(2) 危機管理(災害時対応)
災害時には、円滑な対応を実施するため、被災状況も踏まえ、事前に検討した体制・手順
に基づき、関係機関はそれぞれに定められた行動をとる。
33
3 災害時も考慮した地域のモビリティ確保の基本的な考え方
災害時の地域のモビリティ確保のためのチェックリスト
リスク管理(事前対応)編、危機管理(災害時対応)編の目次の後と巻末資料 4(資-27
頁)に、災害時の地域のモビリティ確保のためのチェックリストを掲載している。
○リスク管理(事前対応)のチェックリスト
事前の備えについて確認、検討しておくべき事項を整理している。現在の地域の状況に
ついて、どのようなことができており、できていないかを確認する際に活用していただき
たい。
重要事項
リスク管理(事前対応)編
チェック項目
( )内はページ
R-1-1
項目1
発災時の安全の 乗客の安全確保策の整備
確保
(R-1)
R-1-2
職員の安全確保策の整備
重要事項
□
発災時の乗客の安全確保のための乗務員の行動は定められてい
るか。
□
発災時の乗務員と運行管理者の通信手段は確保されているか。
リスク管理(事前対応)編
(R-39)
□ 事務所・営業所等の災害時の安全性は確認されているか。
R-6-2
□ 発災時の安全確保のための職員の行動は定められているか。
軽症者の医療機関への移動
手段の想定
(R-42)
(R-6)
項目2
R-2-1
災害対応の体制 組織体制の整備
の確保
R-2-2
対応拠点の整備
R-2-3
R-6-3
□ 災害時の交通に係る担当部署・担当者は明確化されているか。
R-6-4
(R-15)
通院のための移動手段の想
定
(R-47)
□ 通信手段が利用できない場合の対応についても定められている
か。
□ 災害時に関係機関が必要とする情報は定められているか。
□ 情報の収集・伝達の手段は定められているか。
R-6-6
R-3-2
□ 災害時に地域住民が必要とする情報は定められているか。
行政手続きのための移動手
段の想定
地域住民等への交通情報等
の提供体制の整備
□ 情報の収集・伝達の手段は定められているか。
R-6-7
□ 通院に必要な場合の手段は確保できるか。
□ 入浴に必要な場合の手段は確保できるか。
□ 行政手続きに必要な移動手段は確保できるか。
□ 災害時に学校の代替施設となる場所は確認できているか。
□ 通学に必要な移動手段は確保できるか。
(R-55)
□ 店舗等の場所や災害時の安全性は確認できているか。
R-6-8
買い物のための移動手段の
想定
□ 災害時の交通規制の考え方は定められているか。
□ 買い物に必要な移動手段は確保できるか。
(R-58)
□ 生活利便施設の場所や災害時の安全性は確認できているか。
R-6-9
□ 緊急通行車両の対象として被災者の移動も考慮されているか。
多目的な移動のための移動
手段の想定
(R-29)
項目5
□ 被災者等の移動を確保する車両を含め優先給油される体制はで
R-5-1
輸送に必要な資 燃料確保体制の整備
きているか。
源の確保
□ 広域的な燃料供給体制は整備されているか。
(R-31)
□ 駐車場・待機場所の安全は確保されているか。
R-5-2
□ 多目的な移動のための移動手段は確保できるか。
(R-60)
□ 燃料等資源制約時の運行方針は検討されているか。
R-6-10
路線バスの運行体制の整備
(R-62)
R-6-11
□ 災害時に車両が不足する場合の確保体制は整備されているか。
鉄道代替輸送の実施体制の
整備
(R-35)
□ 燃料不足等の乗務員の通勤手段は確保されているか。
R-5-3
□ 災害時の受け入れ可能な医療機関は確認できているか。また、
それらの災害時の安全性は確認できているか。
□ 災害時に行政サービスが提供される場所は確認できているか。
通学のための移動手段の想
定
(R-25)
車両確保体制の整備
□ 遺体安置所等への輸送が必要な場合の手段は確保できるか。
(R-52)
(R-22)
項目4
□ 災害時に優先して機能を確保すべき道路は定められているか。
R-4-1
交通施設の機能 道路の安全確保体制の整備
確保
□ 被害を受けた場合の復旧体制は整備されているか。
交通規制体制の整備
□ 軽症者等の輸送が必要な場合の手段は確保できるか。
(R-49)
(R-18)
R-4-2
□ 災害時の受け入れ可能な医療機関は確認できているか。また、
それらの災害時の安全性は確認できているか。
□ 災害時の被災者のための入浴施設の場所は確認できているか。
R-6-5
入浴のための移動手段の想
定
項目3
R-3-1
交通に係る情報 交通情報等の収集・伝達体
の収集・共有
制の整備
□ 輸送が必要な場合の手段は確保できるか。
(R-45)
(R-12) □ 災害時に使用できない場合の代替施設は定められているか。
□ 災害時の関係機関との通信手段は定められているか。
通信・連絡手段の整備
□ 孤立集落等避難所への移動手段等を確保する必要がある地域の
有無を確認できているか。
□ 遺体安置所の候補場所、避難所等は確認できているか。
家族等の安否確認のための
移動手段の想定
(R-9) □ 関係機関等との協力連携体制は確保されているか。
□ 災害対応の拠点施設の災害時の安全性は確認されているか。
チェック項目
( )内はページ
項目6
R-6-1
公共的交通サー 被災者の避難所への移動手
ビスの提供
段の想定
(R-65)
乗務員確保体制の整備
R-6-12
共助の取り組みの普及啓発
(R-37)
(R-68)
□ 災害時の被害を受ける可能性のある路線等を確認できている
か。
□ 運休した場合の代替手段は確保できるか。
□ 地域コミュニティ等に災害時に共助の取り組みを行う意識の醸
成はできているか。
□ 災害時の共助の取り組みへの対応は定められているか。
項目7
R-7-1
□ 災害時の交通について地域住民との意識共有はできているか。
パーソナル・モビリティ パーソナル・モビリティ
(個別交通)の活 (個別交通)の普及啓発
□ 災害時の個別交通への対応は定められているか。
用
(R-71)
○危機管理(災害時対応)のチェックリスト
発災後1週間程度までに実施すべき内容(例)をまとめている。地域独自の検討を踏ま
えて作成する災害時のチェックリストの参考としていただきたい。作成したチェックリス
トは、災害時の活用のみならず、防災訓練等の際に見直し、定期的に災害時の対応を確認
することが重要である。
時期
重要事項
危機管理
(災害時対応)編
チェック項目
(
( )内はページ
□職員の安全は確保されているか
)
項目1
E-1-2
発 直
災 ち 発 発災時の安全の 職員の安全確保
時 に 災 確保
後
(
発
災
後
~
初
動
期
■関係機関連絡先
(E-3)
項目2
□担当職員が配備についているか
E-2-1
災害対応の体制 組織体制の確立
□都道府県等への応援要請は必要ないか
の確保
分類
運輸局
(E-5)
)
2
4
時
間
程
度
E-2-2
対応拠点の確保
□拠点施設の安全は確認されているか
□代替施設の確保は必要ないか
(E-10)
□通信機器の作動確認も含め通信・連絡手段は確保されている
E-2-3
通信・連絡手段の か
□通信機器の貸出要請は必要ないか
確保
都道府県
行
政
機
関
(E-12)
□公共交通等の運行・被災情報が把握されているか
項目3
E-3-1
□交通情報等が災害対策本部に報告されているか
交通に係る情報 交通情報等の収
□交通情報等が必要な関係機関に提供されているか
の収集・共有
集・伝達
(
2
4
時
間
~
緊
急
対
応
期
)
1
週
間
程
度
項目4
E-4-1
交通施設の機能 道路の安全確保
確保
(E-23)
E-4-2
交通規制の実施
(E-26)
項目5
E-5-1
輸送に必要な資 燃料の確保
源の確保
(E-28)
項目6
E-6-1
公共的交通サー 被災者の避難所へ
ビスの提供
の移動手段の提供
(E-35)
E-6-2
軽症者の医療機関
への移動手段の提
供
(E-37)
E-6-3
家族等の安否確認
のための移動手段
の提供
(E-39)
34
□道路の被害状況が把握されているか
□被害を受けた道路の啓開・応急復旧が開始されているか
□道路の交通規制が実施されているか
□地域住民等に交通規制が周知されているか
□緊急車両に確認標章が交付されているか
鉄道
交
通
事
業
者
□緊急車両等への優先供給が実施されているか
□燃料供給の見通しが確認されているか
□都道府県等への協力要請は必要ないか
□避難所への輸送に移動手段の確保は必要ないか
(移動手段の確保が必要な場合)
→□避難所への移動手段の確保されているか
□軽症者の医療機関への輸送は必要ないか
□医療機関等の受け入れの状況は把握されているか
(移動手段の確保が必要な場合)
→□医療機関等の移動手段は確保されているか
□遺体安置所・避難所の設置状況は確認されているか
□遺体安置所・避難所等への移動手段は必要ないか
(移動手段の確保が必要な場合)
→□遺体安置所・避難所等への移動手段は確保されているか
警察
その他
(E-15)
□地域住民等に交通情報等が提供されているか
E-3-2
地域住民等への交
通情報等の提供
(E-17)
周辺
市町村
バス
タクシー
その他
道
路
管
理
者
そ
の
他
国
都道府県
高速道路
その他
燃料
取扱業者
高速道路
名称
TEL
FAX
メールアドレス
その他の連絡手段
3 災害時も考慮した地域のモビリティ確保の基本的な考え方
3.3 交通危機管理行動要領の策定
○災害時の対応を円滑に進めるためには、災害時の対応の体制・手順等を明確化し、要領等
としてとりまとめておくことが必要である。また、交通事業者等もBCP策定等に取り組
む必要がある。
東日本大震災のような大規模災害時においては、平常時とは異なる交通サービスの提供、
そのために必要な資源の確保など、災害時特有の様々な対応が必要とされる。こうした対応
を円滑に行うためには、災害時の体制や手順を具体的に検討し、要領としてとりまとめてお
くことが重要である。
本書では、災害時の交通に係る体制や手順を示した要領(以下、交通危機管理行動要領)
を、自治体が関係機関との協議の上で、策定することを提案するものである。
また、交通事業者等も、燃料・人員といった事業継続に必要な資源を確保し、交通サービ
スを提供するため、交通危機管理行動要領の策定の考え方などを参考にしつつ、事業継続計
画(BCP)※を策定する事が重要である。
※事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)
:自然災害等の緊急事態に遭遇した場合において、事業資産の損害
を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時
における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画のこと。
<事業継続計画(BCP)の概念>
(資料:内閣府ホームページ)
35
3 災害時も考慮した地域のモビリティ確保の基本的な考え方
東日本大震災を踏まえた事業継続計画(BCP)に係る動向
東日本大震災では、多くの企業において、重要な業務が停止した。
業務が停止した理由として、停電などのインフラの障害や従業員や機器・設備などの企業の資
源の被災が挙げられている。
震災時にBCPを策定していなかった企業の半数以上で、策定済・策定中あるいは策定する予
定となっている。
また、内閣府「事業継続計画策定・運用促進方策に関する検討会(平成 23 年度)」による「東
日本大震災を踏まえた企業の事業継続への取組みに関する提言」では、
「代替戦略の重要性」、
「事
業継続計画(BCP)の実効性の向上」、「企業内の人材育成」、「事業継続に関する訓練」といっ
た内容が挙げられている。
<東日本大震災発生時
に業務が停止したか
どうか>
<重要な業務が停止し
た理由>
<東日本大震災発生後
に地震又は津波を対
象リスクとする事業
継続計画(BCP)を
策定する予定がある
かどうか>
(アンケートの対象は全国の企業(東日本大震災における津波被害地域と原発事故に伴う福島県の避難区域は除く))
(資料:企業の事業継続の取組に関する実態調査-過去からの推移と東日本大震災の事業継続への影響-、内閣府防災担当)
36
3 災害時も考慮した地域のモビリティ確保の基本的な考え方
<リスク管理・危機管理の構成>
平常時(事前)
災害
発生
災害時(事後)
地域防災計画等既存の各種計画を
地域交通の面から補完する取り組み
(災害時の地域のモビリティ確保のための重要事項)
項目1 発災時の安全確保
項目4 交通施設の機能確保
項目5 輸送に必要な資源の確保
項目6 公共的交通サービスの提供
項目7 パーソナル・モビリティ(個
別交通)の活用
(交通に係る危機管理の体制・手順を示す)
項目3 交通に係る情報の収集・共有
交通危機管理行動要領の策定
項目2 災害対応の体制の確保
自治体
向け
交通危機管理行動要領
・施設・設備の整備・補強
に基づく行動の実施
・資機材の備蓄
・地域住民への普及・啓発
…
・関係機関との協定の締結
リスク管理
(事前対応)
⇒災害により想定される事態に対する予防・準
備を各機関が連携・調整を図りながら実施
危機管理
(災害時対応)
⇒被災状況等を踏まえ各機
関が分担して実施
37
3 災害時も考慮した地域のモビリティ確保の基本的な考え方
3.4 地域防災計画との関連付け
○災害時の地域のモビリティ確保に向けた取り組みを地域の防災に関する総合的な計画であ
る「地域防災計画」に関連付けることも重要である。
地域防災計画は、地方自治体が災害対策基本法に基づき、市民の生命,財産を災害から守
るための対策を実施することを目的とし、災害に係わる事務又は業務に関し、関係機関及び
他の地方公共団体の協力を得て、総合的かつ計画的な対策を定めた計画である。
地域防災計画については、上位計画である政府の防災基本計画が、東日本大震災を踏まえ
て修正されたところである(39 頁参照)。また、各地で津波の被害想定等の見直しも進めら
れている。これらを受け、今後、地方公共団体において地域防災計画の見直しが行われるこ
ととなる。
災害時における地域のモビリティ確保に向けた取り組みは、災害による被害想定等を踏ま
え、関連する他分野と連携しながら、地域の防災に関する全体の取り組みの一環として推進
することも重要であると考えられる。
そのため、今後行われる地域防災計画の見直しにおいて、地域のモビリティ確保の観点か
らも検討されることを視野に入れた取り組みが必要である。
リスク管理(事前対応)編、危機管理(災害時対応)編の個別シートに取り組みと関連す
ると考えられる地域防災計画の項目との対応を、現在公表されている釜石市の地域防災計画
を一例として示し、40 頁及び巻末資料2(資-15 頁)に対応の一覧を示している。
<地域防災計画との関連(イメージ)>
災害による被害想定
災害時の地域のモビリティ確保
に向けた取り組み
(交通危機管理行動要領等)
38
地域防災計画
■災害予防計画
・○○○○○○○○○○○
・○○○○○○○○○○○
:
■災害応急対策計画
・○○○○○○○○○○○
・○○○○○○○○○○○
:
■災害復旧・復興計画
・○○○○○○○○○○○
・○○○○○○○○○○○
:
3 災害時も考慮した地域のモビリティ確保の基本的な考え方
東日本大震災を踏まえた地域防災計画の見直しに係る動向
①防災基本計画の修正
政府は中央防災会議の下に設けられた「東北地方太平洋沖地震を教訓とした地震・津波対策に
関する専門調査会」の報告(平成 23 年 9 月 28 日)等を受けて、国の防災対策に関する基本的
な方針を示した計画である防災基本計画について、津波災害対策の充実・強化等を中心とした修
正を平成 23 年 12 月 27 日に行った。
災害対策基本法上、地域防災計画は防災基本計画に基づき地方公共団体が作成するものであり、
今回の修正に踏まえて、地方公共団体は地域防災計画の見直しを行うこととなる。
②地域防災計画における地震・津波対策の充実・強化に関する検討会報告書の公表
消防庁は東日本大震災を受けて、有識者や地方公共団体の防災担当者で構成される「地域防災
計画における地震・津波対策の充実・強化に関する検討会」を開催した。
検討会では、東日本大震災を踏まえ、消防庁が地方公共団体に対して発出した防災体制の緊急
点検の通知(下図参照)や中央防災会議における防災基本計画修正の動きを踏まえながら、震災
で特に甚大な被害のあった岩手県、宮城県及び福島県の沿岸市町村からの聞き取り調査などを基
に、地方公共団体が地震・津波対策に係る地域防災計画の見直しを行う際に参考となる留意点や
参考事例の取りまとめを行い、中央防災会議で防災基本計画の修正が決定されたことを受けて、
報告書を公表した。
<消防庁から発出された防災体制の緊急点検に係る通知の概要>
39
40
第3章
災害応急対
策計画
第2章
災害予防計
画
第1章
総則
第5節 広報広聴計画
第6節 交通確保・輸送計画
第4節 情報の収集・伝達計画
第3節 通信情報計画
緊急輸送
交通確保
第2節 気象予警報等の伝達計画
第1節 活動体制計画
第19節 企業等防災対策計画
第18節 ボランティア育成計画
第17節 海上災害予防計画
第16節 農業災害予防計画
第15節 林野火災予防計画
第14節 火災予防計画
第13節 土砂災害予防計画
第12節 津波・高潮災害予防計画
第11節 水害予防計画
第10節 危険物施設等安全確保計画
第9節 ライフライン施設等安全確保計画
第8節 交通施設安全確保計画
第7節 建築物等安全確保計画
第6節 防災施設等整備計画
第5節 避難対策計画
第4節 気象業務整備計画
第3節 防災訓練計画
第2節 自主防災組織等育成計画
第1節 防災知識普及計画
第7節 防災対策の推進方向
第6節 釜石市の概況
第5節 防災機関の責務及び業務の大綱
第4節 釜石市防災会議
第3節 他の計画及び他の法令に基づく計画との関係
第2節 市民の責務
第1節 目的
地域防災計画の目次(例)
職員の安全確保策の整備
乗客の安全確保策の整備
通信・連絡手段の整備
対応拠点の整備
組織体制の整備
地域住民等への交通情報等の提供体制の整備
交通情報等の収集・伝達体制の整備
交通規制体制の整備
道路の安全確保体制の整備
燃料確保体制の整備
車両確保体制の整備
乗務員確保体制の整備
R-5-1
R-5-2
R-5-3
輸送に必要な資源の確保
項目5
R-4-2
R-4-1
交通施設の機能確保
項目4
R-3-2
R-3-1
交通に係る情報の収集・共有
項目3
R-2-3
R-2-2
R-2-1
災害対応の体制の確保
項目2
R-1-2
R-1-1
発災時の安全の確保
項目1
R リスク管理(事前対応)
<地域防災計画とリスク管理(事前対応)編・危機管理(災害時対応)編個別シートの対応>
E-5-3
E-5-2
E-5-1
E-4-2
E-4-1
E-3-2
E-3-1
E-2-3
E-2-2
E-2-1
E-1-2
E-1-1
乗務員の確保
車両の確保
燃料の確保
交通規制の実施
道路の安全確保
地域住民等への交通情報等の提供
交通情報等の収集・伝達
通信・連絡手段の確保
対応拠点の確保
組織体制の確立
職員の安全確保
乗客の安全確保
E 危機管理(災害時対応)
3 災害時も考慮した地域のモビリティ確保の基本的な考え方
第3節 復興計画の作成
第2節 生活の安定確保計画
第1節 公共施設等の災害復旧計画
第31節 防災ヘリコプター活動計画
:「項目6 公共的交通サービスの提供」と関連する項目
:地域防災計画において充実させることが必要と考えられる内容
ゴシック :リスク管理(事前対応)編・危機管理(災害時対応)編の個別シートと関連する項目
資料:釜石市地域防災計画(H21修正)
第4章
災害復旧計
画
第30節 林野火災応急対策計画
第29節 海上災害応急対策計画
第28節 危険物施設等応急対策計画
第27節 ライフライン施設応急対策計画
第26節 公共土木施設応急対策計画
第25節 農畜産物応急対策計画
第24節 文教対策計画
第23節 応急対策要員確保計画
第22節 行方不明者等の捜索及び遺体の処理・埋葬計画
第21節 廃棄物処理・障害物除去計画
第20節 防疫計画
第19節 応急仮設住宅の建設等及び応急修理計画
第18節 給水計画
第17節 食料供給計画
第16節 生活必需品供給計画
第15節 医療・保健計画
第14節 避難・救出計画
第13節 災害救助法の適用計画
第12節 ボランティア活動計画
第11節 自衛隊災害派遣要請計画
第10節 相互応援協力計画
第9節 水防活動計画
第8節 消防活動計画
第7節 津波・浸水対策計画
(生活交通)
家族等の安否確認のための移動手段の想定
通院のための移動手段の想定
入浴のための移動手段の想定
行政手続きのための移動手段の想定
R-6-3
R-6-4
R-6-5
R-6-6
E-6-12 共助の取り組みの支援
パーソナル・モビリティ(個別交通)の普及啓発
E-7-1
パーソナル・モビリティ(個別交通)の支援
地域防災計画等の見直しの際に、地域のモビリティ確保の観点からも検討を行う場
合の参考として、釜石市地域防災計画を例に地域防災計画と知恵袋の各項目の対応
を整理している。
自地域の地域防災計画の項目立ても参照しつつ、検討の参考として活用いただきた
い。
R-7-1
パーソナル・モビリティ(個別交通)の活用
項目7
(矢印で結んだ項目の他、目的に応じた関連する項目等(左表青色着色項目)にも反映も検討する。)
R-6-12 共助の取り組みの普及啓発
E-6-11 鉄道代替輸送の実施
多目的な移動のための移動手段の提供
R-6-11 鉄道代替輸送の実施体制の整備
E-6-9
買い物のための移動手段の提供
通学のための移動手段の提供
行政手続きのための移動手段の提供
入浴のための移動手段の提供
通院のための移動手段の提供
家族等の安否確認のための移動手段の提供
軽症者の医療機関への移動手段の提供
被災者の避難所への移動手段の提供
E-6-10 路線バスの運行
多目的な移動のための移動手段の想定
R-6-9
E-6-8
E-6-7
E-6-6
E-6-5
E-6-4
E-6-3
E-6-2
E-6-1
R-6-10 路線バスの運行体制の整備
買い物のための移動手段の想定
R-6-8
通学のための移動手段の想定
軽症者の医療機関への移動手段の想定
R-6-2
R-6-7
被災者の避難所への移動手段の想定
R-6-1
公共的交通サービスの提供
項目6
3 災害時も考慮した地域のモビリティ確保の基本的な考え方
41
3 災害時も考慮した地域のモビリティ確保の基本的な考え方
42
4 危機管理(災害時対応)編・
リスク管理(事前対応)編の読み方
■内容
本書では、各地域における取り組みの参考となるよう、災
害時の地域のモビリティ確保に向けた取り組みの内容・手順
や東日本大震災被災地等での取り組み事例を整理し、それら
を災害時の対応に向けた「危機管理(災害時対応)編」、事前
の備えに向けた「リスク管理(事前対応)編」の 2 編にとり
まとめている。
本章では、これら2編の読み方を解説している。
4 危機管理(災害時対応)編・リスク管理(事前対応)編の読み方
4 危機管理(災害時対応)編・リスク管理(事前対応)編の読み方
(1) 読む上での留意事項
本書で示した内容は、東日本大震災の被災地における取り組みに関して、現時点で得られ
る情報を基にとりまとめたことから、災害時に地域のモビリティを確保する上で必要となる
事項を必ずしも網羅的には整理できていないところである。
また、コラムに掲載している東日本大震災等における取り組み事例は、その時々の状況や
地域特性など固有の条件下で成立したものであることから、他の地域において、そのままの
やり方を適用することが、最適とは限らないことに留意する必要がある。
上記を踏まえ、各地域においては、本書を一つの例として、地域の状況・特性に応じた独
自の取り組みを行う必要があることを念頭に読んでいただきたい。
(2) リスク管理(事前対応)編・危機管理(災害時対応)編の構成
本書において、災害時における地域モビリティ確保のための重要事項に対し、実施する事
前の対策を「リスク管理(事前対応)編」、災害発生後の対策を「危機管理(災害時対応)編」
で、個別のシートは、重要事項を対象とする内容により区分し、作成している。
<リスク管理編・危機管理編の構成イメージ>
例)
「視点5 輸送に必要な資源の確保」は燃料、乗務員、車両の 3 つに区分し、そ
れぞれに「リスク管理(事前対応)」、
「危機管理(災害時対応)」を作成する(計
6 項目)。
災害時における地域のモビリティ確保
のための重要事項
R リスク管理
(事前対応)
E 危機管理
(災害時対応)
項目1 発災時の安全の確保
・・・
・・・
項目2 災害対応の体制の確保
・・・
・・・
項目3 交通に係る情報の収集・共有
・・・
・・・
項目4 交通施設の機能確保
・・・
・・・
燃料
燃料確保体制の整備
燃料の確保
車両
車両確保体制の整備
車両の確保
乗務員
乗務員確保体制の整
備
乗務員の確保
・・・
・・・
・・・
・・・
項目5 輸送に必要な資源の確保
項目6 公共的交通サービスの提供
項目7
パーソナル・モビリティ(個別交
通)の活用
43
4 危機管理(災害時対応)編・リスク管理(事前対応)編の読み方
(3) リスク管理(事前対応)編・危機管理(災害時対応)編の個別シートの内
容について
リスク管理(事前対応)
・危機管理(災害時対応)は、
「3 災害時も考慮した地域のモビリ
ティ確保の基本的な考え方」でも述べたとおり、リスク管理は、事前に災害時に発生する事
態に対する回避策や準備を行い、危機管理は、災害時に事前の準備に基づき対応するもので
ある。
「リスク管理(事前対応)編」、「危機管理(災害時対応)編」では、以下の基本的な考え
方を基に、個別シートで各取り組みの内容・手順の例を示している。
<リスク管理(事前対応)・危機管理(災害時対応)の内容・手順の基本的考え方>
リスク管理(事前対応)【災害時に発生する事態に対する回避策や準備】
①現状の把握
・災害時における地域のモビリティ確保のために必要となる体
制・施設・資源といった項目の現状を把握する。
②災害時の事態の想
定
③災害時に想定される事
態に対する方針の検討
④事態発生の回避策
の検討・実施
⑤事態発生に対する
準備の検討・実施
・地域防災計画、ハザードマップや既往災害等を踏まえ、各項
目に係る災害時の事態を想定する。
・災害時に想定される事態に対して、事態発生の回避や発生に
対する準備等の対応の方針を検討する。
・施設の整備・補強等の事態発生を回避するための方策を検討
し、実施する。(事態発生の回避が可能なもの)
・事態発生に対する準備(災害時の対応)を検討し、実施する。
○災害時の体制・手順の明確化:災害時の対応の体制・手順を
明確化する。
○資機材の確保:災害時の対応に必要な資機材を整備・備蓄す
る。
危機管理(災害時対応)【事前の準備に基づく対応】
①被災状況等の把握
・各項目の被災状況等を把握する。
②被災状況等に応じ
・被災状況等に応じた対応を実施する。
た対応の実施
44
4 危機管理(災害時対応)編・リスク管理(事前対応)編の読み方
(4) 使い方
災害時の地域のモビリティ確保に向けた取り組みは、事前に検討・準備を行い、災害発生
を受け、事後の対応を実施するという流れとなる。
しかし、これから災害時の対応を検討する方々には、まず、災害時に実施すべき対応を把
握した上で、その対応に必要となる事前の取り組みをどのように検討・準備するのかを把握
することにより、より理解が円滑に進むものと思われる。
この観点から、まず、
「危機管理(災害時対応)編」で災害時に実施すべき項目の個別シー
トを時系列で示し、次に、
「リスク管理(事前対応)編」で各項目に必要となる事前の取り組
みの内容・手順を示している。また、各編に、検討に当たって参考となる事例をコラムとし
て掲載している。
さらに、目的に応じた使い方ができるよう、個別シートについて、3つの目的別索引を付
けている。
<知恵袋の使い方>
災害時に実施すべき対
危機管理(災害時対応)編
時系列に並んだ危機
管理の個別の項目に
ついて作成した個別
シートを読む
応を把握する
その対応に必要とな
リスク管理(事前対応)編
る事前の取り組みの
危機管理に対応した
リスク管理の個別シ
ートを読む
内容・手順を把握する
危機管理
(災害時対応)
個別シート
時系列
リスク管理
(事前対応)
個別シート
<目的別の索引>
①災害時の取り組
災害時には時間の経過に応じた対応が必要となる。いつどのような
みの実施時期か
対応が必要となるかを理解していただくため、
「危機管理(災害時対
らみた索引
応)編」の個別シートと災害時の実施時期の対応を示す索引を付け
ている。(リスク管理(事前対応)編は事前の 1 区分のみ。
)
②関係する機関か
らみた索引
災害時も考慮した地域のモビリティ確保は、様々な関係機関が連携
して取り組む必要がある。取り組みに関係する主な機関を理解して
いただき、各機関が関係するシートを読むことができるよう、個別
シートと関係機関の対応を示す索引を付けている。
③交通危機管理行
災害時の体制・手順を示す「交通危機管理行動要領」の使い方と作
動要領との対応
り方の関係を示すため、要領を使う「危機管理(災害時対応)編」、
からみた索引
作成する「リスク管理(事前対応)編」の個別シートと要領の対応
を示す索引を付けている。
45
4 危機管理(災害時対応)編・リスク管理(事前対応)編の読み方
①災害時の取り組みの実施時期からみた索引
災害時における地域のモビリティ確保のための重要事項は、時間の経過により変化するため、
変化に応じた取り組みが必要になる。各個別シートと実施時期は以下のとおり対応している。
<各項目の時系列の展開>
R リスク管理
(事前対応)
発災時
緊急対応期Ⅰ
発災後直ちに
発災直後~24時間程度
共
自助
項目1
発災時の安全の確保
R-1-1
乗客の安全確保策の整備
R-1-2
職員の安全確保策の整備
項目2
災害対応の体制の確保
R-2-1
組織体制の整備
R-2-2
項目1
発災時の安全の確保
R-1
E-1-1
乗客の安全確保
R-6
E-1-2
職員の安全確保
(掲載頁)
項目2
災害対応の体制の確保
R-9
E-2-1
組織体制の確立
対応拠点の整備
R-12
E-2-2
対応拠点の確保
R-2-3
通信・連絡手段の整備
R-15
E-2-3
通信・連絡手段の確保
項目3
交通に係る情報の収集・共有
項目3
交通に係る情報の収集・共有
R-3-1
交通情報等の収集・伝達体制の整備
R-18
E-3-1
交通情報等の収集・伝達
R-3-2
地域住民等への交通情報等の提供体制の整備
R-22
項目4
交通施設の機能確保
R-4-1
道路の安全確保体制の整備
R-25
R-4-2
交通規制体制の整備
R-29
項目5
輸送に必要な資源の確保
R-5-1
燃料確保体制の整備
R-31
R-5-2
車両確保体制の整備
R-35
R-5-3
乗務員確保体制の整備
R-37
項目6
公共的交通サービスの提供
R-6-1
被災者の避難所への移動手段の想定
R-39
R-6-2 軽症者の医療機関への移動手段の想定
R-42
R-6-3
家族等の安否確認のための移動手段の想定
R-45
R-6-4
通院のための移動手段の想定
R-47
R-6-5
入浴のための移動手段の想定
R-49
R-6-6
行政手続きのための移動手段の想定
R-52
R-6-7
通学のための移動手段の想定
R-55
R-6-8
買い物のための移動手段の想定
R-58
R-6-9 多目的な移動のための移動手段の想定
R-60
R-6-10 路線バスの運行体制の整備
R-62
R-6-11 鉄道代替輸送の実施体制の整備
R-65
R-6-12 共助の取り組みの普及啓発
R-68
地域・NPO等による自発的な取り組みが行われる部分
R-71
住民が自発的による自発的な取り組みが行われる部分
項目7
パーソナル・モビリティ(個別交通)の活用
R-7-1
パーソナル・モビリティ(個別交通)の普及啓発
46
4 危機管理(災害時対応)編・リスク管理(事前対応)編の読み方
凡 例
主体的に実施すべき機関⇒
市町村
(行政サーヒ ゙ス )
交通事業者
道路管理者
警察
各機関がそれぞれ
に主体的に実施
各機関が調整を図りながら実施⇒
各機関が各自又は分担して実施⇒
E 危機管理(災害時対応)
緊急対応期Ⅱ
応急期
復旧期
24時間~1週間程度
1週間~1か月後程度
1か月後程度~
助
公助
(掲載頁)
E-1
E-3
E-5
E-10
E-12
E-15
E-3-2
地域住民等への交通情報等の提供
E-17
項目4
交通施設の機能確保
E-4-1
道路の安全確保
E-23
E-4-2
交通規制の実施
E-26
項目5
輸送に必要な資源の確保
E-5-1
燃料の確保
E-28
E-5-2
車両の確保
E-30
E-5-3
乗務員の確保
E-33
項目6
公共的交通サービスの提供
E-6-1
被災者の避難所への移動手段の提供
E-35
E-6-2
軽症者の医療機関への移動手段の提供
E-37
E-6-3
家族等の安否確認のための移動手段の提供
E-39
E-6-4
通院のための移動手段の提供
E-41
E-6-5
入浴のための移動手段の提供
E-43
E-6-6
行政手続きのための移動手段の提供
E-46
E-6-7
通学のための移動手段の提供
E-48
E-6-8
買い物のための移動手段の提供
E-50
E-6-9
多目的な移動のための移動手段の提供
E-52
E-6-10 路線バスの運行
E-54
E-6-11 鉄道代替輸送の実施
E-58
E-6-12 共助の取り組みの支援
E-62
項目7
パーソナル・モビリティ(個別交通)の活用
E-7-1
パーソナル・モビリティ(個別交通)の支援
E-68
47
4 危機管理(災害時対応)編・リスク管理(事前対応)編の読み方
②関係する機関からみた索引
災害時も考慮した地域のモビリティ確保に向けた取り組みは、様々な関係機関が連携して取
り組むことが重要である。
各個別シートと関係する主な機関の対応は、以下のとおりである。
<各項目と関係機関の対応>
(◎:主体的に実施すべき機関、〇:連携・協力すべき機関)
主な関係機関
R リスク管理
(事前対応)
交
都
市
通
道
警
国
町
事
府
察
村
業
県
者
E 危機管理
(災害時対応)
項目1
発災時の安全の確保
(掲載頁)
(掲載頁)
R-1-1 乗客の安全確保策の整備
R-1
E-1-1 乗客の安全確保
E-1
◎
R-1-2 職員の安全確保策の整備
R-6
E-1-2 職員の安全確保
E-3
◎ ◎ ◎ ◎ ◎
R-2-1 組織体制の整備
R-9
E-2-1 組織体制の確立
E-5
◎ ◎ ◎ ◎ ◎
R-2-2 対応拠点の整備
R-12
E-2-2 対応拠点の確保
E-10
◎ ◎ ◎ ◎ ◎
R-2-3 通信・連絡手段の整備
R-15
E-2-3 通信・連絡手段の確保
E-12
◎ ◎ ◎ ◎ ◎
R-3-1 交通情報等の収集・伝達体制の整備
R-18
E-3-1 交通情報等の収集・伝達
E-15
◎ ◎ ◎ ◎ ◎
R-3-2
R-22
E-3-2 地域住民等への交通情報等の提供
E-17
◎ ◎ ◎ ◎ ◎
R-4-1 道路の安全確保体制の整備
R-25
E-4-1 道路の安全確保
E-23
◎ ◎ ◎ ○ ○
R-4-2 交通規制体制の整備
R-29
E-4-2 交通規制の実施
E-26
○ ○ ○ ◎ ○
R-5-1 燃料確保体制の整備
R-31
E-5-1 燃料の確保
E-28
◎ ○ ○
R-5-2 車両確保体制の整備
R-35
E-5-2 車両の確保
E-30
◎
R-5-3 乗務員確保体制の整備
R-37
E-5-3 乗務員の確保
E-33
◎
項目2
災害対応の体制の確保
項目3
交通に係る情報の収集・共有
地域住民等への交通情報等の提供体制の整備
項目4
交通施設の機能確保
項目5
輸送に必要な資源の確保
48
◎
N
P
O
等
地
域
住
民
4 危機管理(災害時対応)編・リスク管理(事前対応)編の読み方
(◎:主体的に実施すべき機関、〇:連携・協力すべき機関)
主な関係機関
R リスク管理
(事前対応)
交
都
通
市
道
警
国
事
町
府
察
業
村
県
者
E 危機管理
(災害時対応)
N
P
O
等
地
域
住
民
項目6
公共的交通サービスの提供
R-6-1 被災者の避難所への移動手段の想定
R-39
E-6-1 被災者の避難所への移動手段の提供
E-35
◎ ○
○
R-6-2 軽症者の医療機関への移動手段の想定
R-42
E-6-2 軽症者の医療機関への移動手段の提供
E-37
◎ ○
○
R-6-3
R-45
E-6-3
E-39
◎ ○
○
R-6-4 通院のための移動手段の想定
R-47
E-6-4 通院のための移動手段の提供
E-41
◎ ○
○
R-6-5 入浴のための移動手段の想定
R-49
E-6-5 入浴のための移動手段の提供
E-43
◎ ○
○
R-6-6 行政手続きのための移動手段の想定
R-52
E-6-6 行政手続きのための移動手段の提供
E-46
◎ ○
○
R-6-7 通学のための移動手段の想定
R-55
E-6-7 通学のための移動手段の提供
E-48
◎ ○
○
R-6-8 買い物のための移動手段の想定
R-58
E-6-8 買い物のための移動手段の提供
E-50
◎ ○
○
R-6-9 多目的な移動のための移動手段の想定
R-60
E-6-9 多目的な移動のための移動手段の提供
E-52
◎ ○
○
R-6-10 路線バスの運行体制の整備
R-62
E-6-10 路線バスの運行
E-54
○ ○
◎
R-6-11 鉄道代替輸送の実施体制の整備
R-65
E-6-11 鉄道代替輸送の実施
E-58
○ ○
◎
R-6-12 共助の取り組みの普及啓発
R-68
E-6-12 共助の取り組みの支援
E-62
◎
○ ○
R-71
E-7-1
E-68
◎
○
家族等の安否確認のための移動手段の想定
家族等の安否確認のための移動手段の提供
項目7
パーソナル・モビリティ(個別交通)の活用
R-7-1
パーソナル・モビリティ(個別交通)の普及啓発
パーソナル・モビリティ(個別交通)の支援
49
4 危機管理(災害時対応)編・リスク管理(事前対応)編の読み方
③交通危機管理行動要領との対応からみた索引
災害時の体制・手順を示す「交通危機管理行動要領」は、リスク管理(事前対応)における
検討を踏まえ作成し、危機管理(災害時対応)において使用するものである。
要領を検討する「リスク管理(事前対応)」と要領を使用する「危機管理(災害時対応)」の
個別シートと要領の対応は以下の通りである。
<リスク管理(事前対応)・危機管理(災害時対応)と交通危機管理行動要領の対応>
R リスク管理(事前対応)
(掲載頁)
項目1 発災時の安全の確保
項目2 災害対応の体制の確保
項目3 交通に係る情報の収集・共有
項目4 交通施設の機能確保
項目5 輸送に必要な資源の確保
項目6 公共的交通サービスの提供
項目7
50
パーソナル・モビリティ(個別交通)の
活用
R-1-1 乗客の安全確保策の整備
R-1
R-1-2 職員の安全確保策の整備
R-6
R-2-1 組織体制の整備
R-9
R-2-2 対応拠点の整備
R-12
R-2-3 通信・連絡手段の整備
R-15
R-3-1 交通情報等の収集・伝達体制の整備
R-18
R-3-2 地域住民等への交通情報等の提供体制の整備
R-22
R-4-1 道路の安全確保体制の整備
R-25
R-4-2 交通規制体制の整備
R-29
R-5-1 燃料確保体制の整備
R-31
R-5-2 車両確保体制の整備
R-35
R-5-3 乗務員確保体制の整備
R-37
R-6-1 被災者の避難所への移動手段の想定
R-39
R-6-2 軽症者の医療機関への移動手段の想定
R-42
R-6-3 家族等の安否確認のための移動手段の想定
R-45
R-6-4 通院のための移動手段の想定
R-47
R-6-5 入浴のための移動手段の想定
R-49
R-6-6 行政手続きのための移動手段の想定
R-52
R-6-7 通学のための移動手段の想定
R-55
R-6-8 買い物のための移動手段の想定
R-58
R-6-9 多目的な移動のための移動手段の想定
R-60
R-6-10 路線バスの運行体制の整備
R-62
R-6-11 鉄道代替輸送の実施体制の整備
R-65
R-6-12 共助の取り組みの普及啓発
R-68
R-7-1
R-71
パーソナル・モビリティ(個別交通)の普及啓発
4 危機管理(災害時対応)編・リスク管理(事前対応)編の読み方
交通危機管理行動要領
E 危機管理(災害時対応)
(掲載頁)
E-1-1 乗客の安全確保
E-1
職員の安全確保
E-1-2 職員の安全確保
E-3
組織体制の確立
E-2-1 組織体制の確立
E-5
対応拠点の確保
E-2-2 対応拠点の確保
E-10
通信・連絡手段の確保
E-2-3 通信・連絡手段の確保
E-12
交通情報等の収集・伝達
E-3-1 交通情報等の収集・伝達
E-15
地域住民等への交通情報等の提供
E-3-2 地域住民等への交通情報等の提供
E-17
道路の安全確保
E-4-1 道路の安全確保
E-23
交通規制の実施
E-4-2 交通規制の実施
E-26
燃料の確保
E-5-1 燃料の確保
E-28
E-5-2 車両の確保
E-30
E-5-3 乗務員の確保
E-33
被災者の避難所への移動手段の提供
E-6-1 被災者の避難所への移動手段の提供
E-35
軽症者の医療機関への移動手段の提供
E-6-2 軽症者の医療機関への移動手段の提供
E-37
家族等の安否確認のための移動手段の提供
E-6-3 家族等の安否確認のための移動手段の提供
E-39
通院のための移動手段の提供
E-6-4 通院のための移動手段の提供
E-41
入浴のための移動手段の提供
E-6-5 入浴のための移動手段の提供
E-43
行政手続きのための移動手段の提供
E-6-6 行政手続きのための移動手段の提供
E-46
通学のための移動手段の提供
E-6-7 通学のための移動手段の提供
E-48
買い物のための移動手段の提供
E-6-8 買い物のための移動手段の提供
E-50
多目的な移動のための移動手段の提供
E-6-9 多目的な移動のための移動手段の提供
E-52
E-6-10 路線バスの運行
E-54
E-6-11 鉄道代替輸送の実施
E-58
共助の取り組みの支援
E-6-12 共助の取り組みの支援
E-62
パーソナル・モビリティ(個別交通)の支援
E-7-1 パーソナル・モビリティ(個別交通)の支援
E-68
51
4 危機管理(災害時対応)編・リスク管理(事前対応)編の読み方
52
危機管理(災害時対応)編
Emergency Management
危機管理(災害時対応)編
<目
次>
:コラム掲載事例
項目1
発災時の安全の確保
E-1-1 乗客の安全確保 ................................................................................................................................ E-1
E-1-2 職員の安全確保 ............................................................................................................................... E-3
項目2
災害対応の体制の確保
E-2-1 組織体制の確立 ............................................................................................................................... E-5
No.1
内陸部の自治体が沿岸部の被災自治体を後方支援(岩手県内市町村)
No.2
県が被災市町村を支援(岩手県、宮城県)
No.3
申請手続きの簡略化等により迅速なバス運行を支援(国土交通省東北運輸局)
No.4
会員事業者支援や各種機関の要請に基づきバス事業者を手配(被災地のバス協会)
E-2-2 対応拠点の確保 ............................................................................................................................ E-10
No.5
沿岸地域では市町村庁舎も被災し代替施設等を活用(被災自治体)
No.6
災害対応の拠点に車両や公共施設を活用(被災地の交通事業者)
E-2-3
通信・連絡手段の確保 .............................................................................................................. E-12
No.7
固定電話が通じない中で無線や携帯電話を活用(被災地の自治体、バス事業者)
No.8
地方公共団体等に通信機器等を貸与(国土交通省、総務省)
項目3
交通に係る情報の収集・共有
E-3-1 交通情報等の収集・伝達 ............................................................................................................. E-15
No.9
通行実績情報も活用した道路情報の提供(道路管理者、自動車メーカー等)
E-3-2 地域住民等への交通情報等の提供 ......................................................................................... E-17
No.10 臨時の広報等により被災者に情報提供(被災自治体)
No.11 各交通機関の運行状況を一元的に情報提供(八戸中心街ターミナルモビリティセンター)
No.12 代替ルート等の広域的な移動に関する情報提供(山形県)
No.13 時間の経過とともに高まる災害時の交通に係る情報ニーズ(阪神・淡路大震災)
項目4
交通施設の機能確保
E-4-1 道路の安全確保 ................................................................................................................................ E-23
No.14 “くしの歯作戦”による沿岸部と内陸部を結ぶ道路の確保(国土交通省東北地方整備局)
E-4-2 交通規制の実施 ................................................................................................................................ E-26
No.15 バスへの緊急通行車両確認標章交付による広域的な移動の確保(警察庁)
危機管理(災害時対応)編
項目5
輸送に必要な資源の確保
E-5-1 燃料の確保 .......................................................................................................................................... E-28
No.16 交通事業者の営業所を緊急車両の給油拠点として活用(岩手県、岩手県交通釜石営業所)
No.17 緊急重点サービスステーションを選定し緊急車両に優先給油(国、石油販売業界)
E-5-2 車両の確保 .......................................................................................................................................... E-30
No.18 被災地の交通事業者に対し車両を提供(全国のバス・タクシー事業者)
No.19 自治体支援の一環としてバスを無償譲渡(兵庫県尼崎市)
E-5-3 乗務員の確保 ..................................................................................................................................... E-33
No.20 燃料不足の中で様々な方法により乗務員の通勤の足を確保(被災地の交通事業者)
項目6
公共的交通サービスの提供
E-6-1 被災者の避難所への移動手段の提供 .................................................................................... E-35
No.21 ヘリコプターとバスの連携により住民を避難所へ輸送(岩手県釜石市)
E-6-2 軽症者の医療機関への移動手段の提供................................................................................ E-37
No.22 軽症者を輸送するためのバスを運行(岩手県)
E-6-3 家族等の安否確認のための移動手段の提供 ...................................................................... E-39
No.23 発災数日後から市役所・避難所と遺体安置所や被災地区を結ぶバスを運行
(宮城県名取市、仙南交通)
E-6-4 通院のための移動手段の提供 ................................................................................................... E-41
No.24 七ヶ浜町民バス「ぐるりんこ」を医療機関行臨時バスとして無料で運行(宮城県七ヶ浜町)
E-6-5 入浴のための移動手段の提供 ................................................................................................... E-43
No.25 既存・臨時の入浴施設への様々な移動手段を確保(岩手県釜石市)
No.26 市町村の要請に基づき交通事業者を手配(岩手県、岩手県バス協会)
E-6-6 行政手続きのための移動手段の提供 .................................................................................... E-46
No.27 避難所と区役所を結ぶ無料の循環バスを運行(宮城県仙台市)
E-6-7 通学のための移動手段の提供 ................................................................................................... E-48
No.28 学区を離れて避難する児童・生徒を対象にしたスクールバスを運行(宮城県気仙沼市)
E-6-8 買い物のための移動手段の提供 .............................................................................................. E-50
No.29 避難所と店舗を往復する無料送迎バスを運行(ウジエスーパー)
E-6-9 多目的な移動のための移動手段の提供................................................................................ E-52
No.30 仮設住宅と市街地を結ぶ「お出かけバス」を運行(福島県相馬市)
危機管理(災害時対応)編
E-6-10 路線バスの運行............................................................................................................................. E-54
No.31 燃料不足の中で地区・路線を限定して路線バスの運行を再開(岩手県交通)
No.32 燃料不足の中で時間帯を限定した日祝ダイヤにより路線バスの運行を再開(八戸市営バス)
No.33 自治体の委託により無料で路線バスの運行を再開(岩手県沿岸部)
No.34 給油待ちの車列による渋滞により公共交通等の運行に支障(被災地各地)
E-6-11 鉄道代替輸送の実施 ................................................................................................................... E-58
No.35 既存路線バスを活用した鉄道の代替輸送(ミヤコーバス、JR 東日本)
No.36 複数のバス事業者による代替バスの共同運行(被災地の交通事業者)
No.37 鉄道代替輸送に関する検討会の開催(岩手県)
E-6-12 共助の取り組みの支援 .............................................................................................................. E-62
No.38 「かかりつけ医巡回バス」など避難所での共助によるモビリティの確保
(仙台市宮城野区の岡田小避難所)
No.39 障がい者、高齢者等の移動支援ボランティア
(災害移動支援ボランティアRera、NPO法人全国移動サービスネットワーク他)
No.40 内陸部の避難所から沿岸部への一時帰宅バスを運行(NPO法人いわて地域づくり支援センター)
No.41 住民とボランティアによるカーシェアリング(仮設住宅の住民、(社)日本カーシェアリング協会)
項目7
パーソナル・モビリティ(個別交通)の活用
E-7-1 パーソナル・モビリティ(個別交通)の支援 ................................................................. E-68
No.42 臨時の広報による自家用車利用の自粛や相乗りを呼び掛け(岩手県陸前高田市)
No.43 被災者に対し燃料や自転車を提供(経済産業省、被災自治体等)
No.44 被災地に対し自転車を提供(全国の自治体)
No.45 放置自転車を活用したレンタサイクル(阪神・淡路大震災)
危機管理(災害時対応)編
危機管理(災害時対応)のチェックリスト
この表は、発災時~緊急応急期(発災から 1 週間程度)に実施すべき内容を取りまとめたチェ
ックリストの例である。
時期
重要事項
危機管理
(災害時対応)編
チェック項目
(
( )内はページ
□職員の安全は確保されているか。
)
E-1-2
発 直
項目1
災 ち 発 発災時の安全の 職員の安全確保
時 に 災 確保
後
(
発
災
後
~
初
動
期
)
2
4
時
間
程
度
(E-3)
□担当職員が配備についているか。
項目2
E-2-1
□都道府県等への応援要請は必要ないか。
災害対応の体制 組織体制の確立
の確保
(E-5)
□拠点施設の安全は確認されているか。
E-2-2
□代替施設の確保は必要ないか。
対応拠点の確保
(E-10)
□通信機器の作動確認も含め通信・連絡手段は確保されている
E-2-3
通信・連絡手段の か。
□通信機器の貸出要請は必要ないか。
確保
(E-12)
項目3
□公共交通等の運行・被災情報が把握されているか。
E-3-1
交通に係る情報 交通情報等の収
□交通情報等が災害対策本部に報告されているか。
の収集・共有
□交通情報等が必要な関係機関に提供されているか。
集・伝達
(
2
4
時
間
~
緊
急
対
応
期
)
1
週
間
程
度
(E-15)
□地域住民等に交通情報等が提供されているか。
E-3-2
地域住民等への交
通情報等の提供
(E-17)
項目4
E-4-1
交通施設の機能 道路の安全確保
確保
(E-23)
E-4-2
交通規制の実施
(E-26)
項目5
E-5-1
輸送に必要な資 燃料の確保
源の確保
(E-28)
項目6
E-6-1
公共的交通サー 被災者の避難所へ
ビスの提供
の移動手段の提供
(E-35)
E-6-2
軽症者の医療機関
への移動手段の提
供
(E-37)
E-6-3
家族等の安否確認
のための移動手段
の提供
(E-39)
□道路の被害状況が把握されているか。
□被害を受けた道路の啓開・応急復旧が開始されているか。
□道路の交通規制が実施されているか。
□地域住民等に交通規制が周知されているか。
□緊急車両に確認標章が交付されているか。
□緊急車両等への優先供給が実施されているか。
□燃料供給の見通しが確認されているか。
□都道府県等への協力要請は必要ないか。
□避難所への輸送に移動手段の確保は必要ないか。
(移動手段の確保が必要な場合)
→□避難所への移動手段は確保されているか。
□軽症者の医療機関への輸送は必要ないか。
□医療機関等の受け入れの状況は把握されているか。
(移動手段の確保が必要な場合)
→□医療機関等の移動手段は確保されているか。
□遺体安置所・避難所の設置状況は確認されているか。
□遺体安置所・避難所等への移動手段は必要ないか。
(移動手段の確保が必要な場合)
→□遺体安置所・避難所等への移動手段は確保されているか。
その他
高速道路
都道府県
国
その他
タクシー
バス
鉄道
その他
警察
周辺
市町村
その他
燃料
取扱事業者
道
路
管
理
者
交
通
事
業
者
行
政
機
関
都道府県
運輸局
分類
■関係機関連絡先
名称
TEL
FAX
メールアドレス
その他の連絡手段
危機管理(災害時対応)編
危機管理(災害時対応)編
<危機管理(災害時対応)編
個別シートの見方>
○危機管理(災害時対応)編:災害時の対応の検討に活用
・災害時に地域のモビリティを確保するために、災害時に実施すべき対応の内容・手順の例を
示している。また、参考として東日本大震災等における取り組み事例を掲載している。
個別のシートは、災害時における地域のモビリティ確保のための重要事項を、対象とする内
容により区分した項目について、以下に示す様式でまとめている。
No:連番
リスク管理(R)・危機管理(E)の別
災害時における地域のモビリティ確保のための重要事項
○-○-○
通し番号
実施時期:実施すべき概
ねの時期
項目名:実施内容の名称
実施内容:実施内容の概
要
関係機関:実施内容に関
係する主な機関(◎:主
体的に実施すべき機関、
〇:連携・協力すべき機
関)
詳細:災害時の行動の手
順や内容
災害時の想定:当該項目
を実施すべき理由とし
て、災害時に想定される
事態
被災地の声:当該項目に
関連して、ヒアリング調
査で得られた意見
地域防災計画の関連項
目:当該項目が関連する
地域防災計画の項目
(巻末資料2に地域防災計画全体
との対応を示している)
重要事項:項目が該当する災
害時における地域のモビリテ
ィ確保のための重要事項
危機管理(災害時対応)編
No
実施時期
項目名
実施
内容
関係
機関
E-1-1
重要事項
発災時
発災時の安全の確保
緊急対応期Ⅰ
緊急対応期Ⅱ
応急期
復旧期
乗客の安全確保
・交通事業者の乗務員は、乗務中に災害が発生した場合には、事前に作成
したマニュアル等に基づき、乗客の安全を確保する。
市町村
都道府県
国
警察
◎交通事業者 NPO等 地域住民
その他
(
)
○乗客の安全確保の流れ(例)
<関係機関との関係>
1.地震の検知
・強い揺れの感知
・緊急地震速報の受信
・運行管理者等からの停止命令
(営業所・外部情報提供機関)
緊急地震速報受信システム
等
無線システム
2.車両の停車
(1)車内アナウンス
【例】「地震が発生しましたので車両を停車させます。おつかまり下さい。」
(2)周辺の状況確認・安全な場所に停車
・沿道の建物の状況、道路の状況等を確認し、安全な場所に移動。
・ハザードランプの点灯、他の車両の通行の妨げにならないように減速・停車
3.情報収集
(1)車内アナウンス
【例】「運行上の安全確認を行いますので、そのままでお待ち下さい」
(営業所・外部情報提供機関)
(2)情報収集
・ラジオ、テレビ等による地震情報の受信
・無線等による運行管理者への連絡・地震情報の収集。
・乗客の状況確認(負傷者等)
ラジオ等情報収集機器設置
詳細
4.避難・誘導
津波の可能性あり
(営業所・外部情報提供機関)
津波の可能性なし
ラジオ等情報収集機器設置
無線システム
・津波想定区域内・外の確認
・安全確認・運行
津波想定区域内
津波想定区域外
ハザードマップ・避難場所
(1)車両による移動の可能性確認
・道路・信号機・車両等の被災状況、混雑状況などを確認の上、バス
(タクシー)車両もよる移動の可能性を確認する。
(2)車内アナウンス
○車両による避難
【例】「津波の危険がありますので、これからバス(タクシー)にて
安全な場所に避難致します。」
○徒歩による避難
【例】「津波の危険がありますので、これから避難致します。お体の
不自由な方、お子様など徒歩による移動が難しい方はお申し出下さ
い。」
(3)避難
○車両による避難
・車両により安全な場所に避難(途中で移動が困難と判断した場合は
徒歩で避難)
○徒歩による避難
・運転手は、高齢者、障がい者、子どもなどに付き添いながら、乗客
を安全な場所に安全かつ迅速に誘導する。
・カギはつけたまま、ドアは開けたまま。
(1)車内アナウ
ンス
「津波の危険が
ありますが、津波
想定区域外のため
このまましばらく
待機致します」
無線システム等
E-1
危機管理(災害時対応)編
5.待機
・避難後、安全が確認できるまで、待機する。
・近くに避難所がある場合は、避難所に移動。
6.乗客の確認(氏名、負傷者等)
・乗客の氏名、けがの状況、気分が悪くないか等の確認を行う。
・負傷者、気分の悪い乗客については、可能な応急処置を行う。
7.運行管理者への連絡
(営業所等)
・あらゆる手段により、運行管理者と連絡を取る。
・避難した場所、乗客の氏名・健康状態等について連絡し、今後の行動の指示を仰ぐ。
災害に強い携帯型通信シス
テム(MCA無線等)
●実際の状況が、マニュアルの想定にそぐわない場合は、状況に応じて各自の判断で、
対応する。
理由・根拠
災害時
・運行中の車両が被害を受ける可能性がある。
の想定
・沿岸部の営業所では、日頃から点呼の際等に津波等の注意について確認しており、
被災地
の声
乗務員などの現場の判断で避難が行われた。(岩手県交通)
・災害時には、現場の乗務員の判断・対応によるところが大きい。机上の検討だけで
はなく、実態に即した対策を検討しておくべきかもしれない。(八戸市営バス)
地域防災計画 ・避難対策計画(予)
の関連項目 ・避難・救出計画(応)
E-2
危機管理(災害時対応)編
No
実施時期
項目名
実施
E-1-2
重要事項
発災時
発災時の安全の確保
緊急対応期Ⅰ
緊急対応期Ⅱ
応急期
復旧期
職員の安全確保
・市町村等は、交通危機管理行動要領に基づき、職員の安全を確保する。
内容
関係
機関
◎市町村 ◎都道府県
◎国
◎警察
◎交通事業者 NPO等 地域住民
その他
(
)
○職員の安全確保の流れ(例)
1.地震の検知
・強い揺れの感知
・緊急地震速報の受信(基準震度等)
・運行管理者等からの命令 等
職員配置施設
運行中車両等(乗務員)
2.情報収集
・乗客の安全確保(E-11)参照
・ラジオ、テレビ等からの地震情報の収集
・関係機関からの情報収集
・職員、車両等の状況確認(負傷者、車両の破損等)
<関係機関との関係>
関係機関からの情報収集
3.避難
津波の可能性あり
詳細
津波の可能性なし
・津波想定区域内・外の確認
・安全確認・営業再開
津波想定区域内
津波想定区域外
(1) 車両による移動の可能性確認
・道路・信号機・車両等の被災状況、混雑状況などを確認
の上、バス車両の移動可能性を確認する。
(2) 災害時持ち出し品の確認
・担当者が災害時持ち出し品を確認し、持ち出す。
(3) 避難
○車両による避難
・車両による移動が可能な場合には、バス(タク
シー)により所定の避難場所に避難し、職員・車両
の安全も確保する。(途中で移動が困難と判断した
場合は、徒歩で避難)
○徒歩による避難
・車両による避難が困難な場合は、徒歩により安全
な場所に避難する。
4.待機
・所定の避難場所に避難後、安全が確認できるまで、待機する。
5.職員の安否確認
・職員安否確認を行う。
・負傷者等に対して応急処置を行う。
6.災害対策本部との連絡
・あらゆる手段により、災害対策本部と連絡を取る。
・避難した場所、乗客の氏名・健康状態等を連絡し、今後の行動の支持を仰ぐ。
E-3
危機管理(災害時対応)編
理由・根拠
災害時
の想定
・職員が配置された施設が被害を受ける可能性がある。また、大規模災害時には、職
員の安否確認に時間を要する可能性がある。
・気仙沼営業所、石巻営業所、岡田受託出張所は、津波による甚大な被害があった。
被災地
の声
そのほか、女川車庫、古川営業所も被災した。
(宮城交通)
・従業員の安否については、避難所の名簿、県の安否確認情報、新聞などに従業員の
行方不明者がないかを確認した。3 月中には概ね確認できたが、死亡した社員が確
認できたのは、ゴールデンウィーク過ぎや夏になってからである。(岩手県交通)
地域防災計画 ・避難対策計画(予)
の関連項目 ・避難・救出計画(応)
E-4
危機管理(災害時対応)編
No
実施時期
項目名
実施
内容
関係
機関
E-2-1
重要事項
発災時
災害対応の体制の確保
緊急対応期Ⅰ
緊急対応期Ⅱ
応急期
復旧期
組織体制の確立
・市町村等は、交通危機管理行動要領に基づき、災害対応の組織体制を確
立する。必要に応じて、関係機関に対し応援を要請する。
◎市町村 ◎都道府県
◎国
◎警察
◎交通事業者 NPO等 地域住民
その他
(
)
○組織体制の確立の流れ(例)
<関係機関との関係>
1.職員の参集・被災状況の把握
・職員の参集状況
・職員の被災状況
2.対応に必要な人員の把握
(被災状況等に応じ、対応に必要な技術・
知識、業務量を踏まえ人員の把握)
詳細
3.応援要請の判断
・応援を必要とする業務内容・人員
応援要請が必要な場合
応援要請の
必要がない場合
4.応援要請
関係機関等へ事前の協議や協
定に基づき協力要請
応援要員の派遣・ノウハウ提供
5.災害対応の実施
理由・根拠
災害時
の想定
・実施すべき業務内容・業務量の増大や職員・従業員の被災により、対応に必要な人
員が不足する可能性がある。
・市民課は交通を担当しているが、火葬業務、窓口業務、避難所の運営の補助や食料
班なども担当しており、交通について十分な対応ができるわけではなく、専門に対
応できる部署や職員も必要ではないか。(釜石市)
被災地
の声
・今回の震災では、県内市町村の職員も多く被災し、十分な人手を確保できず、交通
事業者の手配などに手が回らないという状況となった。(岩手県)
・災害時には、混雑するバス停の乗客整理、炊き出し、乗務員の送迎など仕事はたく
さんある。乗務員には運行に専念してもらえるように、他の出勤できた従業員でな
んとか対応したという状態だった。
(宮城交通)
地域防災計画 ・活動体制計画(応)
の関連項目 ・自衛隊災害派遣要請計画(応)
・相互応援協力計画(応)
・応急対策要員確保計画(応)
E-5
危機管理(災害時対応)編
column
No.1
内陸部の自治体が沿岸部の被災自治体を後方支援
岩手県内市町村
・岩手県市長会が内陸部等の4市を選定、後方支援の協力依頼のうえ、県内の道路事情等
をも考慮し、県内市町村の横軸支援を基本に県振興局単位をブロックとした支援体制を
構築した。
<岩手県内の後方支援の体制>
後方支援拠点市
支援ブロック
(自治体名)
拠点施設名
久慈市
久慈市役所
【県北】
洋野町、普代村、野田村
盛岡市
旧農林中金盛岡支店
【県央】
宮古市、大槌町、山田町、岩泉町、田野畑村
遠野市
稲荷下屋内運動場
【県南1】
釜石市
一関市
一関市役所
【県南2】
大船渡市、陸前高田市
(資料:地域防災計画における地震・津波対策の充実・強化に関する検討会報告書)
・岩手県一関市は、県内の陸前高田市や宮城県気仙沼市で被災者の移動に係る後方支援も
実施した。
<一関市による沿岸部自治体への後方支援活動の内容>
支援自治体
陸前高田市
後方支援活動(被災者の移動に関わるもの)
・避難住民の健康診査、投薬、搬送
・避難所巡回バスの提供(平泉町、藤沢町と共同実施)
・避難住民に対する入浴サービス(送迎付き)
気仙沼市
・気仙沼市内病院間巡回バスの運行(藤沢町と共同実施)
・避難所巡回バスの提供(平泉町、藤沢町と共同実施)
・避難住民に対する入浴(送迎)サービス
・避難住民に対する入浴サービス(送迎付き)
(資料:一関市ホームページ)
E-6
危機管理(災害時対応)編
column
No.2
県が被災市町村を支援
岩手県、宮城県
・岩手県・宮城県では、市町村に対して経
費の支援、交通事業者の手配や情報提供
県
などの支援を行った。
・これにより、被災地では各種の交通サー
ビスが提供された。
市
町
村
・経費の支援
・交通事業者の手配
・情報提供
等
被
災
者
・交通サービス
の提供
<県による市町村に対する支援の主な内容>
—
岩手県
被災市町村に対する支援の主な内容
①無料バス等の運行経費の支援
・県内の市町村は発災後、交通事業者に委託し無料バス等を運行したが、
4/1 以降の運行経費について、3 ヶ月間を上限に、その2分の1を
補助した。
②交通事業者の手配等
・今回の震災では、県内市町村の職員も多く被災し、十分な人手を確保で
きず、交通事業者の手配などに手が回らないという状況もあり、県では、
市町村の要請や避難所への希望調査に基づき、内陸部への一時避難、入
浴支援、患者の輸送の手配を行った。
宮城県
①災害時の臨時バス運行手続きに関する情報提供
・鉄道(JR各線、阿武隈急行線)が運転を見合わせている区間におい
て臨時バスを運行するための手続き等について、国土交通省東北運輸
局に確認し、市町村へ情報提供を行った。道路運送法の各種手続きの
弾力的運用により、迅速な臨時バスの運行が可能となった。
・その結果、市町村からバス事業者に依頼し、最大15市町村において
臨時バスが運行された。
②バスの運行に関わる手続きや補助制度に関する情報提供
・沿岸被災市町村のバス路線の再編にあたり、道路運送法の手続きや問
い合わせ先を整理しての情報提供や、過去に同じ条文に基づく手続経
験のある市町村の担当者の紹介などの支援を行った。
・被災地域を対象とした国庫補助を最大限活用できるように,対象となり
うる沿岸被災市町村への制度の紹介や国土交通省東北運輸局への各市
町村のバス運行状況の情報提供など、きめ細かな支援を行った。
(資料:岩手県、宮城県へのヒアリング結果)
E-7
危機管理(災害時対応)編
column
No.3
申請手続きの簡略化等により迅速なバス運行を支援
国土交通省東北運輸局
・東日本大震災の被災地において、国土交通省自動車局は、大規模災害時通達※の再周知等
を内容とする通達「東北地方太平洋沖地震の発生に対応したバス輸送の確保について」
を 3/12 に発出した。
・これを踏まえ、東北運輸局では、必要最小限の書類を出せばバスの運行を可能にするな
ど申請手続きを簡略化し、被災地に関連するバス輸送の迅速な実施を支援した。
・また、バスの運行に関するアドバイスや各種調整といった支援も行った。
※大規模災害時通達:通達「大規模災害時におけるバス輸送の確保等について(平成 17
年 3 月 29 日国自旅第 305 号ほか)」
<通達「大規模災害時におけるバス輸送の確保等について」>
(資料:国土交通省資料)
E-8
危機管理(災害時対応)編
column
No.4
会員事業者支援や各種機関の要請に基づきバス事業者を手配
被災地のバス協会
・宮城県・岩手県では、バス協会が会員事業者への各種の支援、自治体等からの要請に応
じたバス事業者の手配やバス運行情報の収集・提供を行った。
<バス協会による取り組みの主な内容>
—
岩手県
会員事業者・被災市町村に対する支援の主な内容
①会員事業者に対する支援
バス協会 ・県への燃料提供の要請
・日本バス協会を通して車両提供の要請(東北バス協議会として)
・バス協会だよりの発行(中古車の斡旋、資金繰り等の情報提供)
・事業許可証明書発行手続きの業務代行
・必要帳票類の配布
②バス運行状況の発信
・バス事業者から高速バスや路線バスの情報を収集し、鉄道駅やバスセンタ
ー等を掲示するとともに、県や運輸支局に提供
③輸送要請への対応
・岩手県との協定に基づき、内陸部への一時避難、入浴支援、患者の輸送を
実施するバス事業者を手配
宮城県
①会員事業者に対する支援
バス協会 ・県への燃料提供の要請
・日本バス協会を通して車両提供の要請(東北バス協議会として)
・必要帳票類の配布
②バス運行状況の発信
・高速バス・鉄道代替バスの運行状況を収集し、県、仙台市、日本バス協会、
(社)日本旅行業協会東北支部等に提供
③輸送要請への対応(主なもの)
・自治体等による要請を受け、バス事業者の手配や調整
依頼主
自治体
東北運輸局
宮城県教育庁
仙台市
東北運輸局
東北大学病院
依頼内容
鉄道運休による代替バス
仙台空港アクセス鉄道運休に伴うシャトルバス
津波被害により代替施設で再開した高校への通学バス
避難所集約に伴う被災者の輸送
仙台空港アクセス鉄道運休に伴うシャトルバス
仮設診療所への送迎
この他全国の自治体・ボランティア団体等から支援要員やボランティアの輸送について、
事業者の紹介も行っている。
(資料:岩手県バス協会、宮城県バス協会へのヒアリング結果)
E-9
危機管理(災害時対応)編
No
実施時期
項目名
実施
内容
関係
機関
E-2-2
重要事項
発災時
災害対応の体制の確保
緊急対応期Ⅰ
緊急対応期Ⅱ
応急期
復旧期
対応拠点の確保
・市町村等は、交通危機管理行動要領に基づき、対応拠点となる施設を確
保する。
◎市町村 ◎都道府県
◎国
◎警察
◎交通事業者 NPO等 地域住民
その他
(
)
○対応拠点の確保の流れ(例)
<関係機関との関係>
1.拠点施設の安全等の確認
・施設の安全確認
・ライフラインの使用可否の確認
使用できない場合
詳細
使用できる場合
2.代替施設の確保
・代替施設の安全確認
・代替施設へ移動
協定等に基づき施設所有者
に要請(他者の施設を代替
施設とする場合)
関係機関に通知
3.対策本部等の設置
・対応スペースの確保
・対策本部等の設置
理由・根拠
災害時
・対応拠点となる施設が被災し、迅速な対応が困難となる可能性がある。
の想定
・通常は本社の 2 階に対策本部を設置するが、停電したことや余震も多かったことか
被災地
の声
ら、屋外に設置し、ラジオや携帯電話での情報収集を行った。(岩手県交通)
・対策本部を設置する本社は倒壊のおそれがあった。建物が安全で、観光バスがある
(無線とテレビが設置されている)本社に隣接する仙台北営業所に対策本部を設け
た。(宮城交通)
地域防災計画 ・防災施設等整備計画(予)
の関連項目
E-10
危機管理(災害時対応)編
column
No.5
沿岸地域では市町村庁舎も被災し代替施設等を活用
被災自治体
・
「地域防災計画における地震・津波対策の充実・強化に関する検討会報告書(被災沿岸市
町村への聞き取り調査)
」によると、主な被災3県の沿岸 37 市町村のうち、22 市町村
で市町村庁舎が被災し、そのうち 15 市町村で本庁舎や支所の移転が行われた。
・岩手県釜石市では、本庁舎が津波により浸水したため、シープラザ釜石に災害対策本部
を設置した。
(資料:地域防災計画における地震・津波対策の充実・強化に関する検討会報告書)
column
No.6
災害対応の拠点に車両や公共施設を活用
被災地の交通事業者
・東日本大震災では、バス事業者の本社や営業所も大
きな被害を受けた。
・津波により大きな被害を受けた沿岸部の営業所では、
車両や公共施設を利用し、災害対応にあたった。
・内陸部においても、停電や倒壊の危険性から、車両
や隣接の施設が利用するなどの対応がとられた。
車両を活用し再開した岩手県交通大船渡営業所
<交通事業者の災害対応の拠点施設と対応状況>
拠点
岩手県交通
被害の状況
停電
本社(盛岡市)
宮城交通
・屋外に対策本部を設置
・その後、観光バスを利用
地震による倒壊
本社(仙台市) の危険性
岩手県交通
代替施設の確保等の状況
津波により流失
大船渡営業所
・隣接する仙台北営業所を利用
・通信に貸切車両搭載の簡易無線を活用
・車両を活用し、現地で再開
・その後、高台に移転し再開
ミヤコーバス
津波により浸
気仙沼営業所
水、その後の火
災により全焼
・気仙沼市からリアスアーク美術館の会議
室、駐車場を借用(9 月まで)
・その後、場所を移転し再開
(資料:岩手県交通、宮城交通へのヒアリング結果)
E-11
危機管理(災害時対応)編
No
実施時期
項目名
実施
内容
関係
機関
E-2-3
発災時
重要事項
災害対応の体制の確保
緊急対応期Ⅰ
緊急対応期Ⅱ
応急期
復旧期
通信・連絡手段の確保
・市町村等は、交通危機管理行動要領に基づき、関係機関との通信・連絡
手段を確保する。
◎市町村 ◎都道府県
◎国
◎警察
◎交通事業者 NPO等 地域住民
〇その他
(通信事業者)
○通信・連絡手段の確保の流れ(例)
<関係機関との関係>
1.通信手段の機能確認
・通信機器の動作確認
・通信状況の確認
詳細
2.通信・連絡手段の選定
使用できない、又は不足する場合
3.通信機器の貸与
協定等に基づき国・通信事
業者等へ要請
4.通信・連絡手段の利用
※通信の復旧状況等を随時確認し、状況に応じて通信・連絡手段を選定する。
理由・根拠
災害時
・通信障害や停電により、平常時の通信・連絡手段が利用できない可能性がある。
の想定
・3/11、12 は電話などが一切通じず、外部への連絡が全くできない状況であった。
被災等の状況が分からないことが一番不安な状態であるため、情報手段がない中
被災地
の声
で、市町村や事業者と密に連絡を取るための情報網の整備が必要である。
(宮城県)
・災害直後は電話が繋がらず、職員が現場に出る際は防災無線を携帯させた。携帯
電話が通じるようになってからは、個人の携帯電話が役に立った。(釜石市)
・発災直後は、沿岸部の事業所とも連絡が取れたが、その後、津波により携帯電話
の基地局が被災したため、連絡が取れなくなった。(岩手県交通)
地域防災計画
の関連項目
E-12
・通信情報計画(予)
危機管理(災害時対応)編
column
No.7
固定電話が通じない中で無線や携帯電話を活用
被災地の自治体、バス事業者
・東日本大震災では、停電や基地局の被災により固定電話が通じなくなり、通信手段の確
保が大きな課題だった。
・こうしたなかで、代替手段として無線が活用された。バス事業者においては、車両に装
備した無線を活用した事例も多い。
・また、携帯電話は固定電話と比較して使用できる状態であったことから、関係機関内外
の通信手段として活用された。
【無線の活用】
○宮城交通
・震災翌日の 3/12 に、車載の簡易無線により通信が可能な貸切車両を仙台市内とその周
辺の各営業所に配備し、安否確認・被災状況・出勤状況等を把握した。
・簡易無線の通信範囲は数十キロと限られることから、遠方の営業所については、周辺の
営業所を介して連絡を行った。
【携帯電話の活用】
○岩手県
・発災直後から、交通事業者に被災状況、運行状況を確認するため電話をした。固定電話は
全く通じない状況であったが、個人の携帯電話には、通信状況が悪かったものの、繋がる
ことがあった。
・運行状況、被災状況等が収集できないことから、各社のバスが集まるバスセンターへ行き、
バスセンターで待機するドライバーに状況を聞いたり、事業者の担当者等の携帯電話の番
号を教えてもらったりした。
・翌日以降は、個人の携帯電話を中心に交通事業者に連絡し、被災状況、運行状況が徐々に
入手できるようになってきた。
○宮城県バス協会
・宮城県バス協会では、会員事業者の非常時の緊急連絡先を定期的(年 1 回)に調査して
いる。
・一部の事業者は携帯電話番号を届けており、発災後の連絡に役に立った。
(資料:宮城交通、岩手県、宮城県バス協会へのヒアリング結果)
E-13
危機管理(災害時対応)編
column
No.8
地方公共団体等に通信機器等を貸与
国土交通省、総務省
■国土交通省
・国土交通省では、発災直後から自治体の災害対応支援のため、情報連絡担当官(リエゾ
ン)を派遣するとともに、被災した自治体の機能確保のため、国土交通省の保有する災
害対策本部車や衛星通信車により、通信システム系統を確保した。
<国土交通省
が設営した
通信システ
ム系統>
(資料:国土交通省資料)
■総務省
・総務省では、地方公共団体からの要請を受け、衛星携帯電話 340 台、移動通信機器(MCA
無線、簡易無線)1,770 台の貸し出しを行った。
<災害対策用移動
通信機器の配備
(イメージ)>
(資料:総務省資料)
E-14
危機管理(災害時対応)編
No
実施時期
項目名
実施
内容
関係
機関
E-3-1
重要事項 交通に係る情報の収集・共有
発災時
緊急対応期Ⅰ
緊急対応期Ⅱ
応急期
復旧期
交通情報等の収集・伝達
・市町村等は、交通危機管理行動要領に基づき、交通情報等を収集し、関
係機関と共有する。
◎市町村 ◎都道府県
◎国
◎警察
◎交通事業者 NPO等 地域住民
その他
(
)
○交通情報等の収集・伝達の流れ(例)
<関係機関との関係>
1.情報の収集
2.情報の整理
詳細
3.災害対策本部等への情報の伝達
関係機関に提供
4.関係機関への情報提供
理由・根拠
災害時
の想定
・被害・復旧状況に応じた迅速で的確な対応を図るためには、関連する様々な情報が
必要となる。
・被災者のニーズは、災害対策本部に集まるものや市民課に寄せられる意見から把握
した。また、交通事業者に直接入る要望もあり、打合せで随時確認し、路線・ダイ
被災地
の声
ヤ等の見直しを協議した。(釜石市)
・道路の状況は、交通量の少ない夜間と早朝に 2 人ペアで現地を確認した。道路の被
害状況については、情報が欲しかった。早く道路の状況確認ができていれば、それ
だけ早く運行できたのではないだろうか。(宮城交通)
地域防災計画 ・情報の収集・伝達計画(応)
の関連項目
E-15
危機管理(災害時対応)編
column
No.9
通行実績情報も活用した道路情報の提供
道路管理者、自動車メーカー等
・東日本大震災では、被災地の道路情報を、道路管理者の通行止め情報と民間自動車会社
等 4 社が保有する通行情報を ITS Japan が統合し、web 上で配信した。
・震災直後で管理者が調査しきれない区間の通行実績情報についても一般ユーザーが入手
可能となり、物資の搬送や人々の移動に貢献し、復旧・復興活動を支援した。
・その後、2011 年9月、紀伊半島に大きな被害をもたらした台風12号の際には、大型
車の通行実績も提供された。
地震発生後~
東北地方整備局
3/23~
道路管理者毎に通行止め情報を提供
各県・政令市
東北地整で、
国道、
県道、NEXCO
東日本の情報を集約して、国
土地理院の HP で提供
NEXCO 東日本
3/12~
民間自動車会社等4社が通行実
績情報マップを提供
3/19~ ITS Japan が情報を統合して提供
4/6~4/28
道路管理者の通行止め情報と民間
の通行実績情報を ITS Japan が統合
して提供
凡例
:通行実績のある道路(民の情報)
:道路管理者提供の通行止情報(官の情報)
(資料:国土交通省資料を基に作成)
E-16
危機管理(災害時対応)編
No
実施時期
項目名
実施
内容
関係
機関
E-3-2
発災時
重要事項 交通に係る情報の収集・共有
緊急対応期Ⅰ
緊急対応期Ⅱ
応急期
復旧期
地域住民等への交通情報等の提供
・市町村等は、交通危機管理行動要領に基づき、地域住民等に交通情報等
を提供する。
・また、市町村は、関係機関の情報を集約し、一元的な情報提供も行う。
◎市町村 ◎都道府県
◎国
◎警察
◎交通事業者 NPO等 地域住民
その他
(
)
○地域住民等への交通情報等の提供の流れ(例)
<関係機関との関係>
1.被災状況等の把握
(1)災害時の情報ニーズ
(2)情報提供手段への影響
(通信・停電等の状況)
2.情報の収集
詳細
関係機関からの情報収集
(災害対策本部、各機関からの情報収集)
3.情報の編集
(情報の編集、注意喚起等の付与)
4.情報の提供
地域住民・マスコミ等へ提供
(提供可能な手段により提供)
※これとは別に、各機関は個別の情報提供も行う。
理由・根拠
災害時
の想定
・平常時と異なる交通サービスの提供や移動需要の発生により、地域住民等の交通
情報等へのニーズが高まる。
・
(事業者別の対応では各々の対応となってしまうので)第三者的機関が事業者や交通
被災地
の声
モードの区別なく公共交通情報を総合的にまとめて出すことが望ましい。(八戸市)
・運行時間帯が頻繁に変わっていたので、
「明日はどうなるのか」という問合せが多
かった。また、ホームページを見ても、普段バスを利用しない人には理解しにく
いので電話で問合せがある。(八戸市)
地域防災計画
・広報広聴計画(応)
の関連項目
E-17
危機管理(災害時対応)編
column
No.10
臨時の広報等により被災者に情報提供
被災自治体
・被災自治体では、臨時の広報等を発行し、被災者に被災状況や生活情報とともに、交通
情報も提供した。
・岩手県釜石市では、入浴施設と移動手段を併せて提供している。
・宮城県気仙沼市では、手書きの図によりバスの経路情報を提供している。
<釜石市災害対策本部情報(4/1)>
<気仙沼市から各避難所の皆様へお知らせ(3/22 配布)>
E-18
危機管理(災害時対応)編
column
No.11
各交通機関の運行状況を一元的に情報提供
八戸中心街ターミナルモビリティセンター
・八戸市では、震災直後から 2 日間停電となり、テレビやインターネット等を通じての情
報収集がほとんどできない状態となった。
・路線バスの情報案内を行う「八戸中心街ターミナルモビリティセンター」では、バス停
に掲示された情報やバス事業者・旅行会社に直接出向いて入手した交通機関の運行情報
を分かりやすく加工・図化し、モビリティセンターで提供した。
・観光客など来訪者からの帰宅手段に関する問い合わせも多く、地域内の路線バスだけで
なく、高速バス、飛行機や新幹線などの広域的な交通機関の情報も提供した。
<写真
八戸中心街ターミナルモビリティセンターにおける情報提供の様子>
(資料:八戸市へのヒアリング結果、写真は(社)北海道開発技術センター提供)
「八戸中心街ターミナルモビリティセンター」
(略称:モビセン)とは…
・八戸市の緊急雇用創出事業のひとつである「地域生活交通再生ミッショナリー育成・活動事業」の活動拠点とし
て、中心市街地の空き店舗を活用し、平成 22 年 10 月に設置された。
・市の委託事業として、路線バスに関する総合的なモビリティ・マネジメント(路線・運賃・ダイヤに関する情報
提供、利用促進活動、乗降支援アテンダント、アンケート調査等)を実施するほか、運営主体である(社)北海
道開発技術センターの自主事業として、回数券や企画乗車券の販売などを行っている。
E-19
危機管理(災害時対応)編
column
No.12
代替ルート等の広域的な移動に関する情報提供
山形県
・東北新幹線、仙台空港が被災し、東北地方と全国を結ぶ基幹的な交通インフラが長期に
わたり寸断される中、山形空港を有する山形県が代替的な交通拠点の機能を果たした。
・こうした中で、山形県では、発災直後から代替ルート等の広域移動に係る情報を収集し、
多様な手段で提供した。
・主な取り組みは、次の通りである。
①ネットワーク図の作成
・発災後、首都圏と山形の往来に関する問い合わせが多かったことから、被災地と全国各
地の移動に関する情報を提供するため、山形県を中心とした利用可能な交通機関と運行
状況をとりまとめたネットワーク図を作成し、3/13 正午過ぎから公開。
<HPに掲載を開始した当初のネットワーク図>
Web 検索で使われる単語をちりばめた
タイトルの設定
電話問合せ先を山
形県庁に一元化
(英語、中国語、韓国語の3言語で作成)
1 枚紙で機能性を重視した情報提供
E-20
英語、中国語、韓国語による情報提供
危機管理(災害時対応)編
②HP による情報提供
・山形県庁では 3/13 の13時頃から HP による情報提供を開始した。
<コンテンツの構成>
重要な注意喚起
不要な予約のキャンセル要請、マイカー乗入れ自粛要請など
事項
(ネットワーク図の前に赤字で表示)
ネットワーク図
情報提供のコアとなるコンテンツ
主な路線の時刻
主な路線時刻(各事業者 HP へ)、山形駅・山交 BT 周辺乗り
表
場案内図。後に、近隣自治体 HP の交通情報ページへのリンク
も掲載
乗車待ちの状況
主な交通拠点における混雑状況を掲載
お知らせ
最新の運行本数変更情報、最終便接続案内など
FAQ( よ く あ る
電話相談の効率化を図るため、典型的な照会内容と回答を掲
質問と回答)
載
③紙媒体(貼り紙、ネットワーク図の配布)による情報提供
・インターネットと並行して、移動を必要とする方が集まる場所(宮城県庁、仙台市役所、
山交ビルバスターミナル、山形空港、山形駅など)でネットワーク図の貼り紙や配布を
実施。
④電話相談窓口の設置
・個別の疑問点や不安を解消するため、インターネットや紙の配布による一方的な情報提
供だけではなく、双方向的な相談窓口として電話相談窓口を設置。相談時間も交通機関
の始発・終発の時間を考慮し、5:00~24:00と設定。
<電話相談窓口の設置状況>
期間
3/13~16
3/17~22
3/23~31
4/1~
開設時間
5:00~24:00
6:00~23:00
8:30~19:00
勤務時間内
対応人員
2~9名
7~10名
課内で対応
⑤主要な交通拠点への案内対応職員の配置
・山形県に土地勘がない人や各交通機関に関する情報が不足している方も多かったことか
ら、3/13から山形空港、3/14から山交バスターミナル、山形駅周辺の計3カ所で旅客
案内、一時宿泊施設の案内を実施(3/22まで)。
⑥仙台方面から山形に夜間到着する方への対応
・3/13 から、仙台・山形間の高速バスのうち、山形からの接続交通がなくなる便の乗客
に、その時点で最新のネットワーク図と一時宿泊施設の案内を配布し、車内放送で簡単
な案内を行った。
(資料:山形県資料をもとに作成)
E-21
危機管理(災害時対応)編
column
No.13
時間の経過とともに高まる災害時の交通に係る情報ニーズ
阪神・淡路大震災
・被災者の情報ニーズは発災時から時間の経過に従って変化する。
・阪神・淡路大震災で神戸市民が知りたかった情報は、当日は余震情報、安否情報、地震
情報、被害情報へのニーズが高く、1週間後でも余震情報のニーズは高いものの、ライ
フラインの復旧見通し、交通機関や生活物資等の生活情報のニーズが高くなる。
<阪神・淡路大震災発生時の神戸市民の知りたかった情報>
(資料:大規模災害発生時における情報提供のあり方に関する懇談会資料、
原出典:東京大学社会情報研究所『1995 年阪神・淡路大震災調査報告-1-』)
E-22
危機管理(災害時対応)編
No
実施時期
項目名
実施
内容
関係
機関
E-4-1
発災時
重要事項
交通施設の機能確保
緊急対応期Ⅰ
緊急対応期Ⅱ
応急期
復旧期
道路の安全確保
・道路管理者等は、交通危機管理行動要領を踏まえ、相互に連携を図りな
がら、建設業者等の協力も得て、道路の安全を確保する。
◎市町村 ◎都道府県
◎国
○警察
○交通事業者 NPO等 地域住民
○その他
(建設業者)
○道路の安全確保の流れ(例)
<関係機関との関係>
1.道路の被災状況の把握
2.優先して交通を確保する路線の選定
交通事業者等と連携
(事前に設定した優先順位や被災状況を基
に選定)
詳細
3.道路啓開の実施
建設業者等と連携
4.応急復旧の実施
5.本復旧の実施
(注) 道路啓開と応急復旧
・道路啓開:1車線で、緊急車両のみでもとにかく通れるように(迂回路も含め)、ガレキを処理し、簡易な段差
修正などにより救援ルートを開けること
・応急復旧:一定の工事を行い、一般車両も含め通行できるようにすること
理由・根拠
災害時
の想定
・道路の被災により、緊急輸送車両の通行や公共交通等の運行に支障が出る可能性が
ある。
・今回の震災では、くしの歯作戦で内陸部と沿岸部を結ぶ幹線道路が早期に啓開され
被災地
の声
たことで、内陸部と沿岸部との交通を確保することができた。(岩手県)
・バスの運行ルートを決めると、そのルートの瓦礫の除去を県の振興局や市が自衛隊
に要請するなど、優先的な対応をしてくれた。
(岩手県交通)
地域防災計画 ・交通施設安全確保計画(予)
の関連項目 ・交通確保・輸送計画(応)
E-23
危機管理(災害時対応)編
column
No.14
“くしの歯作戦”による沿岸部と内陸部を結ぶ道路の確保
国土交通省東北地方整備局
・東日本大震災では津波で大きな被害を受けた沿岸部への緊急交通・物流ルートを確保す
るため、高速道路を始めとする道路網を戦略的に早期復旧させた。
・沿岸部に通じる道路の救援ルートを設定し、優先的に道路の啓開・復旧を実施した。
■3月11日、津波被害で大きな被害が想定される沿岸部への進出のため、「く
しの歯型」救援ルートを設定
<第1ステップ>
東北道、国道4号の縦軸ラインを確保
<第2ステップ>
三陸地区へのアクセスは
東北道、国道4号からの横軸ラインを確保
→3月12日:11ルートの東西ルート確保
→3月14日:14ルートの東西ルート確保
→3月15日:15ルートの東西ルート確保
(16日から一般車両通行可)
<第3ステップ>
→3月18日:太平洋沿岸ルートの国道45号、6 号の97%
について啓開を終了。
(3月18日より応急復旧の段階に移行。)
図.くしの歯作戦展開図
(資料:国土交通白書)
E-24
危機管理(災害時対応)編
<道路の啓開作業の状況>
【岩手県陸前高田市内】
【岩手県山田町内】
(資料:国土交通省資料)
<道路の啓開が短期で終了した理由>
①橋梁の耐震補強対策により、被災が小さかったこと
・阪神淡路大震災での道路の被害を踏まえ、これまで東北管内490橋の耐震補強対策を
実施してきた結果、落橋などの致命的な被害を防ぐことができたこと
例:国道 13 号福島西道路(福島市) 吾妻高架橋、泉高架橋
②「くしの歯作戦」により、「16ルート」の「道路啓開」に集中したこと
・震災直後に内陸から被災地への啓開ルートを「くしの歯」として集約した16ルートを
明確にしたことにより、集中的に点検・調査を実施し、道路啓開を優先したこと
③道路啓開を第1段階、応急復旧を第2段階としたこと
④災害協定に基づき地元建設業等の協力が得られたこと
・沿岸部の国道45号等の道路啓開については、建設業界と事前に災害協定を締結してお
り、震災直後から地元建設業等の協力が得られたこと(地元建設業や内陸部の建設業全5
2チーム)
(資料:国土交通省資料)
E-25
危機管理(災害時対応)編
No
実施時期
項目名
実施
内容
関係
機関
E-4-2
発災時
重要事項
交通施設の機能確保
緊急対応期Ⅰ
緊急対応期Ⅱ
応急期
復旧期
交通規制の実施
・警察は、交通危機管理行動要領を踏まえ、交通規制を実施する。
・交通規制を実施した場合には、関係機関や地域住民等に周知し、通行の
必要が認められる車両に対し標章等を交付する。
○市町村 ○都道府県
○国
◎警察
○交通事業者 NPO等 地域住民
その他
(
)
○交通規制の実施の流れ(例)
<関係機関との関係>
1.道路交通状況の把握
・道路等の被災・復旧状況
・道路の通行状況
等
2.交通規制の対象区域・路線、通行を
認める車両の選定
詳細
道路管理者・交通事業者等と連携
(事前の取り決めや道路交通状況等を踏
まえ選定)
3.交通規制の実施
3.交通規制の周知
4.交通規制の周知
交通事業者等へ連絡
5.通行を認める車両への標章等の交付
交通事業者等の申請に基づき交付
理由・根拠
災害時 ・渋滞等により、緊急輸送車両の通行や公共交通等の運行に支障が出る可能性がある。
の想定
・くしの歯作戦により、内陸部と沿岸部との交通を確保することができた。しかし、
啓開直後は緊急輸送道路に指定され、バスの通行が許可されず、交通事業者からの
被災地
の声
要請もあり、通行許可を県警等にお願いした。
(岩手県)
・県警にバスの緊急車両指定を要請したが、命に直接関わらない限り前例がないこと
などから、最初は難色を示された。しかし最終的には、運輸局長又は県の要請があ
るものについては事業者が申請をすれば通行可能という回答を得た。
(東北運輸局)
地域防災計画 ・交通確保・輸送計画(応)
の関連項目
E-26
危機管理(災害時対応)編
column
No.15
バスへの緊急通行車両確認標章交付による広域的な移動の確保
警察庁
・東日本大震災では、3/12 に東北道、常磐道の一部が緊急交通路(緊急通行車両以外の通行
は規制)に指定された。
・緊急交通路の通行が可能となる緊急通行車両確認標章の交付対象は逐次拡大された。
・高速バスは 3/14 に交付対象となり、広域的な移動が確保された。
(バス協会を通して交通事業者に通知されたのは 3/15)
■東日本大震災における緊急交通路の基本的考え方
○指定の範囲を最小限度にとどめる
規制から除外しなければならない車両が増えると担保が困難、規制効果が低下
【参考】阪神・淡路大震災では、一般道路も含め広く指定
○広めに指定し順次縮小する:指定範囲の逐次拡大は不適切
道路の復旧状況、交通量、被災地の状況等に応じて規制範囲を縮小
○通行を許可する車両(標章交付)も逐次拡大
■交付対象の拡大(民間車両への対応)
3/12
政府の緊急輸送に協力する貨物自動車
医薬品・医療機器等を輸送する車両
3/13
宮城県以北に食料品・生活用品・燃料を輸送する貨物自動車
建設機材、資機材等を輸送する建設業者の車両
応急仮設住宅関係車両
3/14
高速バス、霊柩車
3/15
福島・新潟以北への食料品・
生活用品・燃料等・家畜の飼料
を輸送する車両
3/16
現金輸送車、食料品等関係
3/18
地震保険調査車両
3/22
大型車は標章なしで通行可
緊急通行車両確認標章
(資料:東日本大震災に伴う交通規制、平成23年9月警察庁交通局交通規制課)
E-27
危機管理(災害時対応)編
No
E-5-1
重要事項
実施時期
発災時
項目名
燃料の確保
実施
内容
関係
機関
輸送に必要な資源の確保
緊急対応期Ⅰ
緊急対応期Ⅱ
応急期
復旧期
・市町村・交通事業者は、交通危機管理行動要領に基づき、燃料を確保す
る。また、燃料が不足する場合には、都道府県・国等に確保を要請する。
◎市町村 ○都道府県
○国
警察
◎交通事業者 NPO等 地域住民
○その他
(燃料取扱業者)
○燃料の確保の流れ(例)
1.燃料需要の把握
・緊急輸送等の要請・実施状
況の把握
詳細
2.緊急輸送車両等への
優先給油の要請
協定等に基づき燃料取扱
業者等に要請
3.燃料の状況の把握
燃料取扱業者等に確認
・燃料在庫状況
・燃料供給の見通し
燃料不足の
懸念がない
燃料不足が懸念される場合
4.都道府県・国への
燃料確保の協力要請
5.緊急輸送車両への給油
協定等に基づき都道府
県・国に要請
交通事業者等に提供
※緊急輸送車両への給油に支障がでないと判断されるまで優先給油を継続
理由・根拠
災害時
の想定
・製油所の被災や流通の停滞により、公共的交通サービスの提供等に必要な燃料が不
足する可能性がある。
・燃料不足が一番苦労した点である。国、県などにお願いしたが、軽油は自衛隊や消
防の緊急車両が優先され、確保できなかった。
(岩手県交通)
被災地
の声
・交通事業者から燃料確保の要請があったが、十分な確保はできなかった。確保でき
た燃料も、ドラム缶で入ってきたものもあり、事業者によっては、バス営業所のタ
ンクに移し替える必要があるなど、事業者の受け入れ体制と合わない場面もあった。
(宮城県)
地域防災計画 ・交通確保・輸送計画(応)
の関連項目
E-28
危機管理(災害時対応)編
column No.16
交通事業者の営業所を緊急車両の給油拠点として活用
岩手県、岩手県交通釜石営業所
・岩手県交通釜石営業所では、県の振興局に燃料の確保を要請したところ、他の緊急車両
にも給油する条件で、営業所の燃料タンクに燃料が提供された。
・燃料の提供は、発災後 1 週間後頃から始まり、3 日に 1 回程度、計 5 回提供された。
・バスの他、市や消防署の車両に対して、給油が行われた。
<岩手県釜石営業所位置図>
<交通事業者の営業所を給油拠点として活用>
(イメージ)
釜石市公用車
消防車
岩手県交通バス
岩手県
釜石地方
振興局
岩手県交通
釜石営業所
岩手県交通釜石営業所
1.0
2.5
5.0km
(資料:岩手県交通釜石営業所へのヒアリング結果)
column No.17
緊急重点サービスステーションを選定し緊急車両に優先給油
国、石油販売業界
・国の要請を受け、石油販売業界では、消防・警察車両等の緊急車両への優先給油を実施
した。
・緊急車両への燃料供給を確実にするため、3月 18 日に東北圏で 178 箇所、関東圏で
161 箇所の緊急重点サービスステーションを選定し、3月 21 日に東北圏で 207 箇所、
関東圏で 187 箇所を追加して選定した。
・東北圏では、3/19~4/21 に延べ 4,351 ヵ所の緊急重点 SS に重点供給が実施された。
(資料:エネルギー白書 2011)
E-29
危機管理(災害時対応)編
No
E-5-2
重要事項
実施時期
発災時
項目名
車両の確保
実施
内容
関係
機関
輸送に必要な資源の確保
緊急対応期Ⅰ
緊急対応期Ⅱ
応急期
復旧期
・交通事業者は、車両が不足する場合には、事前に検討した方法により車
両を確保する。
市町村
都道府県
国
警察
◎交通事業者 NPO等 地域住民
その他
(
)
○車両の確保の流れ(例)
<関係機関との関係>
1.車両の被災状況の確認
2.車両の不足状況の確認
(輸送の需要を踏まえ車両の不足
を確認)
詳細
車両が不足する場合
車両が不足しない場合は現有車両
で対応
3.車両提供の要請
・自社内への要請
・グループ会社への要請
・バス協会等を通じて全国の事業
者への要請
協定等に基づき関係機関に要
請
理由・根拠
災害時
の想定
・車両の被災により、公共的交通サービスの提供等に必要な車両が不足する可能性が
ある。
・バスは 31 両流出。これに対して、名鉄グループをはじめ全国のバス会社から 60
被災地
の声
台以上のバスの提供があった。(宮城交通)
・20 両が使用不能になった。まず、内陸部の予備車両を投入した。その後、国際興
業グループ、日本バス協会(路線バス 19 台、貸切バス 1 台)、東京都交通局(路
線バス 19 台)からの提供があった。(岩手県交通)
地域防災計画
の関連項目
E-30
・企業等防災対策計画(予)
危機管理(災害時対応)編
column No.18
被災地の交通事業者に対し車両を提供
全国のバス・タクシー事業者
・東日本大震災により、東北3県(岩手・宮城・福島)の被災地のバス事業者及びタクシ
ー事業者は、車両の滅失・流失等甚大な被害を受けている。
・公益社団法人日本バス協会及び社団法人全国乗用自動車連合会が被災地支援の呼びかけ
を行ったところ、グループ会社間の協力を越えて、全国のバス事業者及びタクシー事業
者から車両提供の申し出があり、関係者間で調整した結果、以下のとおり車両の提供が
行われており、被災地における旅客輸送に供されている。
<被災地向けの車両の提供状況(H23.5.30 現在)>
【乗合バス】
被災車両数
提供済
調整中
合計
岩手県
24台
1台
7台
8台
宮城県
35台
5台
43台
48台
福島県
3台
-
-
-
62台
6台
50台
56台
合計
※上記のほか、宮城県ではグループ会社間の協力で 11 両が提供されている。
【貸切バス】
被災車両数
提供済
調整中
合計
岩手県
26台
10台
1台
11台
宮城県
108台
11台
8台
19台
福島県
23台
-
-
-
157台
21台
9台
30台
合計
【タクシー】
被災車両数
提供済
調整中
合計
岩手県
100台
20台
20台
40台
宮城県
408台
0台
90台
90台
福島県
3台
-
-
-
511台
20台
110台
130台
合計
(資料:国土交通省資料)
E-31
危機管理(災害時対応)編
column No.19
自治体支援の一環としてバスを無償譲渡
兵庫県尼崎市
・兵庫県尼崎市は、関西広域連合の兵庫県からの要請を受けて、気仙沼市を中心とした支
援を実施している。
・支援の一環として、気仙沼市からの要請に基づき、売却予定の市営バス 5 台を気仙沼市
に無償譲渡した。
・この車両は気仙沼市域のバスを運行するミヤコーバスに提供され、路線バスとして運行
を開始している。
気仙沼市へのバスの譲渡について
1
実施内容
交通局が所有する廃車予定のバス 5 台を気仙沼市へ譲渡します。
2
実施理由
気仙沼市においては、小中学生の送迎を担ってきた路線バスの多くが津波で流
出し、代替車両の確保が困難な状況にあります。
この状況を踏まえ、市長が4月5日に同市を訪問した際、車両譲渡の支援の申
し出を行いましたところ、後日、同市からバス5台の支援の要請がありました。
この要請を受けて、4月21日から新学期がスタートする小中学生の通学開始
に合わせて、当該車両を整備のうえ現地まで輸送します。
当該車両は、当初、ネットオークションを利用して売却する予定でしたが、被
災地の状況を鑑み、予定を変更し譲渡するものです。
3
輸送経路及び日程
【4月18日(月)】
交通局(11:00 発)
名古屋港(17:00 発)
⇒
名古屋港(15:30 着)
太平洋フェリーで仙台港へ
【4月19日(火)】
仙台港(14:15 着)
仙台港(15:00 発)
⇒
気仙沼市(18:00 着)
(資料:尼崎市ホームページ)
E-32
危機管理(災害時対応)編
No
実施時期
項目名
実施
内容
関係
機関
E-5-3
重要事項
発災時
輸送に必要な資源の確保
緊急対応期Ⅰ
緊急対応期Ⅱ
応急期
復旧期
乗務員の確保
・交通事業者は、燃料不足等により、乗務員が平常時の手段で通勤できな
い場合には、事前に検討した方法により通勤手段を提供し、乗務員を確
保する。
市町村
都道府県
国
警察
◎交通事業者 NPO等 地域住民
その他
(
)
○乗務員の確保の流れ(例)
<関係機関との関係>
1.乗務員の通勤状況の確認
・交通機関の運行状況
・燃料確保の状況
詳細
平常時の手段での通勤が困難な場合
2.乗務員の通勤手段等の提供
乗務員の通勤に問題がない場
合は対策は実施しない
①通勤バスの運行
②ディーゼル車の貸し出し
③燃料の提供 等
燃料取扱業者への要請
理由・根拠
災害時
の想定
・燃料不足や交通機関の運休により、平常時の手段で通勤できず、公共的交通サービ
スの提供等に必要な乗務員が不足する可能性がある。
・燃料不足により、バスの運行だけでなくバスのドライバーや従業員の通勤にも影響
被災地
の声
がでた。そのためにバスを有効に運行できない状況であった。(東北運輸局)
・ドライバーが何人出社できるのか分からなかったので、毎日ダイヤを改正した。車
両の弾力的な運用(他社名義のバスでの運行等)だけでなく、ドライバーの派遣等
の弾力的な運用があっても良かったのではないかと感じる。(宮城交通)
地域防災計画 ・企業等防災対策計画(予)
の関連項目
E-33
危機管理(災害時対応)編
column No.20
燃料不足の中で様々な方法により乗務員の通勤の足を確保
被災地の交通事業者
・東日本大震災の被災地では、燃料不足によりマイカー通勤者の出勤が困難になったこと
で、乗務員の確保が困難になった。
・これに対し、交通事業者は乗務員の通勤の足の確保のため、次のような対応を行った。
<燃料不足時の通勤手段提供方法事例>
交通事業者
宮城交通
内容
・乗務員のための通勤バスを運行
・ディーゼル車を貸し出し
・融通の利くガソリンスタンドで、乗務員の車に燃料
を提供
岩手県交通
南部バス
・ディーゼル車を購入し、貸し出し
・乗務員の通勤バスを運行(3/17~25)
(資料:宮城交通、岩手県交通、南部バスへのヒアリング結果)
E-34
危機管理(災害時対応)編
No
E-6-1
実施時期
項目名
実施
内容
関係
機関
重要事項
発災時
公共的交通サービスの提供
緊急対応期Ⅰ
緊急対応期Ⅱ
応急期
復旧期
被災者の避難所への移動手段の提供
・市町村は、交通危機管理行動要領に基づき、孤立集落が発生した場合に
は、道路の復旧や被災者の避難所への移動手段の提供を行う。
◎市町村 ○都道府県
国
警察
○交通事業者 NPO等 地域住民
○その他
(自衛隊)
○被災者の避難所への移動手段の提供の流れ(例)
1.孤立の恐れのある集落等の状況
把握
<関係機関との関係>
・孤立しているか否か
・被災状況
・避難の緊急性等
孤立の恐れのある集落へ確認
2.移動手段の被災状況の把握
・上記集落までの道路等の被災状況
・交通機関の被災状況
詳細
3.災害時の孤立集落対策(1)
(道路の復旧により孤立の解消
が可能な場合)
関係機関等へ確認
3.災害時の孤立集落対策(2)
(移動手段が必要な場合)
①移動手段の選定
道路の復旧
(E-4-1 道路の安全確保 参照)
②移動手段の確保
自衛隊、ヘリコプター事業者、
バス事業者等へ、事前の協議
や協定に基づき要請
・ヘリコプターの確保
(自衛隊、ヘリコプター事業者等)
・避難先でのヘリコプターの着陸
箇所から避難所へのバスの確保
(バス事業者等)
理由・根拠
災害時
・中山間地域・沿岸地域等において、道路等の寸断により、孤立する地区や集落が発
生した場合に、孤立を解消するための道路復旧や移動手段の提供が必要になる可能
の想定
被災地
性がある。
-
の声
地域防災計画 ・交通確保・輸送計画(応)
の関連項目 ・避難・救出計画(応)
E-35
危機管理(災害時対応)編
column No.21
ヘリコプターとバスの連携により住民を避難所へ輸送
岩手県釜石市
太平洋に突き出す箱崎半島に集落が点在する釜石市箱崎町は、震災後、道路が寸断され完
全に孤立した。
被災翌日の3月12日、同市両石町から10キロ近くを踏破した陸上自衛隊第21普通科
連隊(秋田市)の隊員が到着。ヘリによるピストン輸送などで14日までに全住民を救出し
た。
住民は、まず内陸の市の体育館等までヘリコプターで輸送され、そこから、さらに市内の
避難所へ、バスで輸送を行った。
なお、陸上自衛隊東北方面隊は、2008 年秋、岩手、宮城両県で宮城県沖地震津波を想
定した1万6千人規模の震災対処訓練「みちのくALERT(アラート)」を行い、各部隊
が担当市町村を受け持ち、実践的な訓練を実施している。
同隊はその後も釜石市と密接に連携し、災害発生時の対応を検討。孤立の恐れがある集落
の把握のほか、部隊の活動拠点やヘリポートの適地選定、地元自治体や警察、消防など関係
機関との連携強化に努めてきたため、スムースな救助につながった。
(資料:岩手県交通釜石営業所へのヒアリング結果、岩手日報(2011.6.10))
E-36
危機管理(災害時対応)編
No
E-6-2
実施時期
項目名
実施
内容
関係
機関
発災時
重要事項
公共的交通サービスの提供
緊急対応期Ⅰ
緊急対応期Ⅱ
応急期
復旧期
軽症者の医療機関への移動手段の提供
・市町村は、交通危機管理行動要領に基づき、軽症者の医療機関への移動
手段を提供する。
◎市町村 ○都道府県
国
警察
○交通事業者 NPO等 地域住民
○その他
(自衛隊)
○軽症者の医療機関への移動手段の提供の流れ(例)
1.軽症者等の状況把握
<関係機関との関係>
(1)軽症者の状況把握
都道府県、日本赤十字社、
医師会、災害拠点病院、消
防等に確認
(2)医療機関の状況把握
(3)移動手段の状況確認
2.災害時の軽症者の医療機関への移動手段の選定
詳細
(1)既存の移動手段で対応可能な
場合
3.移動手段の確保(1)
(既存の移動手段で対応可能な場
・既存のバス路線等の運行再開
(2)臨時の移動手段が必要な場合
3.移動手段の確保(2)
(臨時の移動手段が必要な場合)
①市町村が所有する車両の活用
②バス事業者、タクシー事業者等
への要請
③都道府県、バス協会、自衛隊等
への要請
車両を所有する部署へ要請
バス事業者、タクシー事業
者等へ事前の協議や協定に
基づき要請
都道府県、バス協会、自衛
隊等へ事前の協議や協定に
基づき要請
理由・根拠
災害時
・負傷者が多く発生し、軽症者の医療機関への輸送に救急車が利用された場合、重症
の想定
被災地
者の輸送に支障が出る可能性がある。
-
の声
地域防災計画 ・交通確保・輸送計画(応)
の関連項目 ・医療・保健計画(応)
E-37
危機管理(災害時対応)編
column
No.22
軽症者を輸送するためのバスを運行
岩手県
・岩手県の陸前高田~盛岡赤十字病院間で、3 月 19 日(発災 8 日後)~5 月 6 日まで、
岩手県が被災者受診用として大型バス(55 人乗りバス)をチャーターした。
・陸前高田(高田一中)と盛岡赤十字病院間を毎日一往復した。
・運行は岩手県交通一関営業所が行った。
・なお、軽症者の輸送だけではなく、処方箋や薬の輸送にも利用された。
(資料:岩手県バス協会資料、盛岡赤十字病院「東日本大震災における救護活動 対応経過」をもとに整理)
盛岡赤十字病院
陸前高田
E-38
危機管理(災害時対応)編
No
E-6-3
実施時期
項目名
実施
内容
関係
機関
重要事項
発災時
公共的交通サービスの提供
緊急対応期Ⅰ
緊急対応期Ⅱ
応急期
復旧期
家族等の安否確認のための移動手段の提供
・市町村は、交通危機管理行動要領に基づき、家族等の安否確認のための
移動手段を提供する。
◎市町村 ○都道府県
国
警察
○交通事業者 NPO等 地域住民
その他
(
)
○家族等の安否確認のための移動手段の提供の流れ(例)
<関係機関との関係>
1.家族等の安否確認に係る状況
把握
(1)遺体安置所の把握
(2)避難所の把握
(3)移動手段の状況確認
2.災害時の家族等の安否確認のための移動手段の選定
詳細
(1)既存の移動手段で対応可能な
場合
(2)臨時の移動手段が必要な場合
3.移動手段の確保(1)
(既存の移動手段で対応可能な場合)
3.移動手段の確保(2)
(臨時の移動手段が必要な場合)
・既存のバス路線等の運行再開
①市町村が所有する車両の活用
車両を所有する部署へ要請
②バス事業者、タクシー事業者等
への要請
バス事業者、タクシー事業者
等へ事前の協議や協定に基づ
き要請
③都道府県、バス協会等への要請
都道府県、バス協会等へ事前
の協議や協定に基づき要請
理由・根拠
災害時
・家族等の安否確認のため、複数の避難所や遺体安置所への移動需要が多く発生する
の想定
被災地
可能性がある。
-
の声
地域防災計画 ・交通確保・輸送計画(応)
の関連項目 ・行方不明者等の捜索及び遺体の処理・埋葬計画(応)
E-39
危機管理(災害時対応)編
column
No.23
発災数日後から市役所・避難所と遺体安置所や被災地区を結ぶバス
を運行
宮城県名取市、仙南交通
・宮城県名取市では、発災の数日後からコミュニティバス(なとりん号)を運行する仙南
交通が「災害復興支援バス」としてボランティアで、以下のバスを運行させた。
・3/14 朝に市役所で今後のコミュニティバスの運行について協議する中で、市から依頼
を受け、現場での調整を行いながら運行させた。
①
閖上・下増田地区の被災地見学バス
(大型バス)
・3 月 16~27 日までの間、市の要請に応じて、名取市役所と避難所から、津波で大きな
被害を受けた閖上・下増田地区を巡回するバスを運行した。
・被災者の自宅の被災状況の確認のために利用された。
・市役所の担当者も同乗し、行き先の指示を受けながらの運行であった。
②
遺体安置所送迎バス
(中型バス)
・3 月 17~27 日までの間、主に市役所と遺体安置所(ボウリング場跡)を結ぶバスを運
行した。運行時間は朝9時から15時まで。
・また、被災者の希望に応じて、避難所から遺体安置所までの間も、随時運行した。
・道路の状況をあらかじめ乗用車で確認し、運行ルートを決めた。
<災害復興支援バス運行の様子>
(資料:仙南交通提供)
E-40
危機管理(災害時対応)編
No
E-6-4
実施時期
項目名
実施
内容
関係
機関
重要事項
発災時
公共的交通サービスの提供
緊急対応期Ⅰ
緊急対応期Ⅱ
応急期
復旧期
通院のための移動手段の提供
・市町村は、交通危機管理行動要領に基づき、通院のための移動手段を提
供する。
◎市町村 ○都道府県
国
警察
○交通事業者 NPO等 地域住民
〇その他
(医療機関)
○通院のための移動手段の提供の流れ(例)
1.通院等の状況把握
<関係機関との関係>
(1)医療機関の状況把握
都道府県、日本赤十字社、医
師会、災害拠点病院、消防等
に確認
(2)避難所の把握
(3)移動手段の状況確認
2.災害時の医療機関への移動手段の選定
詳細
(1)既存の移動手段で対応可能な
場合
3.移動手段の確保(1)
(既存の移動手段で対応可能な場合)
・既存のバス路線等の運行再開
(2)臨時の移動手段が必要な場合
3.移動手段の確保(2)
(臨時の移動手段が必要な場合)
①市町村が所有する車両の活用
②バス事業者、タクシー事業者等
への要請
③都道府県、バス協会等への要請
車両を所有する部署へ要請
バス事業者、タクシー事業
者等へ事前の協議や協定に
基づき要請
都道府県、バス協会等へ事
前の協議や協定に基づき要
請
理由・根拠
災害時
・災害による負傷者や持病がある方のための通院ニーズの増大と、既存の交通機関の
運休や、身近な医療機関の被災等により、平常時とは異なる対応が求められる可能
の想定
被災地
性がある。
-
の声
地域防災計画 ・交通確保・輸送計画(応)
の関連項目 ・医療・保健計画(応)
E-41
危機管理(災害時対応)編
column
No.24
七ヶ浜町民バス「ぐるりんこ」を医療機関行臨時バスとして無料で運行
宮城県七ヶ浜町
・宮城県七ヶ浜町は、町内の避難所に避難されている方を対象に、3 月 22 日(発災 11 日
後)から 3 月 27 日まで、医療機関行きの臨時無料バスを1日2便運行した。
<運行概要>
行 き 先
笠神ハートクリニック、赤石病院、坂病院、塩釜市立病院
運行本数
各方面1日2便(午前1便・午後1便) 平日のみ運行
備
考
バス1台の定員は26名
・なお、町民バス「ぐるりんこ」は 3 月 28 日(月)から運行が再開されたため、これにと
もない医療機関行き臨時無料バスの運行は終了した。
(資料:七ヶ浜町広報をもとに整理)
E-42
危機管理(災害時対応)編
No
E-6-5
実施時期
項目名
実施
内容
関係
機関
発災時
重要事項
公共的交通サービスの提供
緊急対応期Ⅰ
緊急対応期Ⅱ
応急期
復旧期
入浴のための移動手段の提供
・市町村は、交通危機管理行動要領に基づき、入浴のための移動手段を提
供する。
◎市町村 ○都道府県
国
警察
○交通事業者 NPO等 地域住民
○その他
(自衛隊)
○入浴のための移動手段の提供の流れ(例)
<関係機関との関係>
1.入浴施設等の状況把握
入浴施設、周辺自治体等へに確
認
(1)入浴サービス提供状況の把握
(2)避難所の把握
(3)移動手段の状況確認
2.入浴施設への移動手段の選定
(1)既存の移動手段で対応可能な
場合
(2)臨時の移動手段が必要な場合
詳細
3.移動手段の確保(1)
3.移動手段の確保(2)
(既存の移動手段で対応可能な場合)
(臨時の移動手段が必要な場合)
・既存のバス路線の運行再開
①市町村が所有する車両の活用
車両を所有する部署へ要請
②バス事業者、タクシー事業者等
への協力依頼
交通事業者等へ事前の協議や協
定に基づき協力要請
③都道府県、バス協会等への要請
都道府県、バス協会等へ事前の
協議や協定に基づき協力要請
理由・根拠
災害時
・避難生活の中長期化により、入浴サービスが必要となり、既存や臨時の入浴施設へ
の想定
被災地
の移動手段が必要になる可能性がある。
-
の声
地域防災計画 ・交通確保・輸送計画(応)
の関連項目 ・避難・救出計画(応)
E-43
危機管理(災害時対応)編
column
No.25
既存・臨時の入浴施設への様々な移動手段を確保
岩手県釜石市
・岩手県釜石市では、発災 8 日後(3/19)に、自衛隊による臨時の入浴施設が設置され
た。また発災 13 日後(3/24)以降に、既存の入浴施設(民間事業者が保有する入浴
施設、周辺市町村の入浴施設)が開放された。
・移動手段としては、既存の路線バスを再開するとともに、釜石市が臨時のバスを用意し
た。
<釜石市での入浴施設への移動手段の概要>
入浴施設
入浴施設の概要
移動手段
臨時の
自衛隊が設置 ・自衛隊が、教育センタ
入浴施設
した
ー裏駐車場西側に、臨
が教育センターを起点とし
「すずらんの
時の風呂「すずらんの
た路線で再開(料金無料)。
湯」
湯」を設置。
・発災後、釜石市内の路線バス
・避難所等から、入浴施設をは
・期間:3/19~7/15
じめとする各種の目的地へ
の移動手段として、多くの方
に利用されたと考えられる。
既存の
遠野市の
入浴施設
「たかむろ水
野市内の入浴施設「た
光園」
かむろ水光園」を被災
・遠野市の協力により遠 ・釜石市災害対策本部がバスを
用意。
者に開放。
・期間:3/24~6/20
新日鐵釜石製 ・新日鉄釜石製鐵所の線
鐵所の入浴施
材工場の大浴場を被
設
災者に開放。
・期間:3/29~7/9
(資料:釜石市災害対策本部情報等をもとに整理)
遠野市
たかむろ水光園
すずらんの湯
釜石市
新日鐵釜石製鐵所
の入浴施設
入浴施設の位置
E-44
0
10km
0
500m
危機管理(災害時対応)編
column
No.26
市町村の要請に基づき交通事業者を手配
岩手県、岩手県バス協会
・岩手県では、県とバス協会が締結する「災害時における輸送の確保に関する協定」に基
づき、市町村の要請に応じて、入浴施設への臨時バス等を確保した。
・県は、市町村からの緊急輸送の要望を集約し、バス協会に輸送要請を出し、バス協会で
は、効率的な輸送を考慮しつつ、会員バス事業者に、輸送を割り振った。
・運賃は、県とバス協会が協議し、標準運賃で行った。
・バス協会に対するヒアリングでは、
「今回は初めての経験であり、また、協定には具体的
な対応方法等が記載されていないことから、対応に苦慮した。具体的な対応方法、実施
体制等を定めたマニュアルやマニュアルに基づく訓練の実施も必要である」との意見が
あげられた。
<岩手県における緊急輸送の実施体制>
輸送要請
輸送配分
市町村
交通
事業者
輸送要請
市町村
岩手県
岩手県
バス協会
交通
事業者
避難所※
災害時における輸送の
確保に関する協定
※県も独自に避難所で
希望調査を実施
交通
事業者
緊急輸送の実施
<岩手県・県バス協会の手配による入浴施設への臨時バスの運行状況>
市町村
運行期間
大槌町
3/21~8/9
岩手県交通(株)
3/23~6/30
岩手県交通(株)、開発運輸(株)、
陸前高田市
バス事業者
(有)一関グリーン交通
※市所有の車両とローテーションを組みながら運行
山田町
3/24~8/10
岩手県北自動車(株)
宮古市
4/1~7/10
岩手県北自動車(株)
野田村
4/5~7/3
(株)三陸観光
(資料:岩手県、岩手県バス協会へのヒアリング結果、岩手県バス協会提供資料をもとに整理)
E-45
危機管理(災害時対応)編
No
E-6-6
実施時期
項目名
実施
内容
関係
機関
重要事項
発災時
公共的交通サービスの提供
緊急対応期Ⅰ
緊急対応期Ⅱ
応急期
復旧期
行政手続きのための移動手段の提供
・市町村は、交通危機管理行動要領に基づき、行政手続きのための移動手
段を提供する。
◎市町村 ○都道府県
国
警察
○交通事業者 NPO等 地域住民
その他
(
)
○行政手続きのための移動手段の提供の流れ(例)
1.行政サービス提供状況等の把握
<関係機関との関係>
(1)行政サービス提供場所の状況
把握
(2)避難所の把握
(3)移動手段の状況確認
2.災害時の行政サービス提供場所への移動手段の選定
詳細
(1)既存の移動手段で対応可能な
場合
3.移動手段の確保(1)
(既存の移動手段で対応可能な場合)
・既存のバス路線等の運行再開
(2)臨時の移動手段が必要な場合
3.移動手段の確保(2)
(臨時の移動手段が必要な場合)
①市町村が所有する車両の活用
車両を所有する部署へ要請
②バス事業者、タクシー事業者等
への要請
バス事業者、タクシー事業
者等へ事前の協議や協定に
基づき要請
③都道府県、バス協会等への要請
都道府県、バス協会等へ事
前の協議や協定に基づき要
請
理由・根拠
災害時
・り災証明書等の発行申請をはじめ各種の行政手続きが必要になり、行政サービス提
の想定
被災地
供場所への移動手段が必要になる可能性がある。
-
の声
地域防災計画 ・交通確保・輸送計画(応)
の関連項目
E-46
危機管理(災害時対応)編
column
No.27
避難所と区役所を結ぶ無料の循環バスを運行
宮城県仙台市
・宮城県仙台市では、避難者の区役所における各種手続きや通院を支援するため、宮城野
区、若林区の各避難所と区役所や病院等を巡回する無料バス 3 路線を 5/3 から毎日運
行。1 日4~5往復。6/30 で運行終了。
<運行を知らせる広報>
(資料:被災者された方のための生活支援情報第7号(H23.5.13)
、仙台市)
E-47
危機管理(災害時対応)編
No
E-6-7
実施時期
項目名
実施
内容
関係
機関
重要事項
発災時
公共的交通サービスの提供
緊急対応期Ⅰ
緊急対応期Ⅱ
応急期
復旧期
通学のための移動手段の提供
・市町村は、交通危機管理行動要領に基づき、通学のための移動手段を提
供する。
◎市町村 ○都道府県
国
警察
○交通事業者 NPO等 地域住民
○その他
(学校)
○通学のための移動手段の提供の流れ(例)
1.通学状況等の把握
<関係機関との関係>
(1)学校の状況把握
(2)避難所の把握
都道府県、学校等へ確認
(3)移動手段の状況確認
2.災害時の通学のための移動手段の選定
詳細
(1)既存の移動手段で対応可能な
場合
3.移動手段の確保(1)
(既存の移動手段で対応可能な場合)
・既存のスクールバス、バス
路線等の運行再開
(2)臨時の移動手段が必要な場合
3.移動手段の確保(2)
(臨時の移動手段が必要な場合)
①市町村が所有する車両の活用
車両を所有する部署へ要請
②バス事業者、タクシー事業者等
への要請
バス事業者、タクシー事業
者等へ事前の協議や協定に
基づき要請
③都道府県、バス協会等への要請
都道府県、バス協会等へ事
前の協議や協定に基づき要
請
理由・根拠
災害時
・既存の交通機関が運休することや、学校が被災して遠方の代替施設への通学が必要
の想定
被災地
になることで、通学のための移動手段が必要になる可能性がある。
-
の声
地域防災計画 ・交通確保・輸送計画(応)
の関連項目 ・文教対策計画(応)
E-48
危機管理(災害時対応)編
column
No.28
学区を離れて避難する児童・生徒を対象にしたスクールバスを運行
宮城県気仙沼市
・気仙沼市は、東日本大震災で以前の学区を離れて避難所や親戚宅などに身を寄せている
児童・生徒を対象にしたスクールバスを、学校再開に合わせて 4 月 21 日から運行した。
・通学していた小・中学校への足がないために、保護者などから要望が寄せられ、運行す
ることになった。
・運行するのは、階上線、鹿折線、津谷川線の 3 コースで、各線とも、なるべく児童・生
徒がいる親戚などの家や避難所の近くを経由するように停留所を設定した。
・市内の業者に委託し、階上線、鹿折線は 55 人乗りの大型バス、津谷川線は 26 人乗り
のマイクロバスを使用。
・下校のダイヤは、小学校低学年と小学校高学年・中学生に分けて 2 便運行した。
<スクールバスの運行を知らせる広報(各避難所・市民の皆様へお知らせ(4/19)>
(資料:気仙沼市広報、三陸新報(2011.4.20)をもとに整理)
E-49
危機管理(災害時対応)編
No
E-6-8
実施時期
項目名
実施
内容
関係
機関
重要事項
発災時
公共的交通サービスの提供
緊急対応期Ⅰ
緊急対応期Ⅱ
応急期
復旧期
買い物のための移動手段の提供
・市町村は、交通危機管理行動要領に基づき、買い物のための移動手段を
提供する。
◎市町村 ○都道府県
国
警察
○交通事業者 NPO等 地域住民
○その他
(商業施設)
○買い物のための移動手段の提供の流れ(例)
1.買い物に係る状況の把握
<関係機関との関係>
(1)商業施設等の状況把握
(2)避難場所の把握
商業施設等へ確認
(3)移動手段の状況確認
2.災害時の買い物のための移動手段の選定
詳細
(1)既存の移動手段で対応可能な
場合
3.移動手段の確保(1)
(既存の移動手段で対応可能な場
・既存の店舗の送迎バス、路線
バス等の運行再開
(2)臨時の移動手段が必要な場合
3.移動手段の確保(2)
(臨時の移動手段が必要な場合)
①市町村が所有する車両の活用
車両を所有する部署へ要請
②バス事業者、タクシー事業者等
への要請
バス事業者、タクシー事業
者等へ事前の協議や協定に
基づき要請
③都道府県、バス協会等への要請
都道府県、バス協会等へ事
前の協議や協定に基づき要
請
理由・根拠
災害時
・既存の交通機関が運休することや、身近な商業施設等が被災して遠方の商業施設へ
の想定
被災地
の買い物が必要になることで、買い物のための移動手段が必要になる可能性がある。
-
の声
地域防災計画 ・交通確保・輸送計画(応)
の関連項目
E-50
危機管理(災害時対応)編
column
No.29
避難所と店舗を往復する無料送迎バスを運行
ウジエスーパー
・宮城県南三陸町の店舗が流失し、再開のめどが立っていないため、ウジエスーパー(宮
城県登米市)では、南三陸町内の避難所・町外の仮設住宅と、町外の店舗を往復する無
料送迎バスを運行。
・送迎バスは 7 路線、登米市の中田店・南佐沼店か石巻市の飯野川店と避難所等とを往復
し、いずれの路線も週に 2 日、1 日 2 回ずつ運行。
¾ 南三陸町~ウジエスーパー(中田店・飯野川店)
¾ 登米市南方町(仮設住宅)~ウジエスーパー(南佐沼店)
<循環バスの時刻表(例):登米市南方町(仮設住宅)~ウジエスーパー(南佐沼店)>
(資料:ウジエスーパーホームページ)
E-51
危機管理(災害時対応)編
No
E-6-9
実施時期
項目名
実施
内容
関係
機関
重要事項
発災時
公共的交通サービスの提供
緊急対応期Ⅰ
緊急対応期Ⅱ
応急期
復旧期
多目的な移動のための移動手段の提供
・市町村は、交通危機管理行動要領に基づき、多目的な移動のための移動
手段を提供する。
◎市町村 ○都道府県
国
警察
○交通事業者 NPO等 地域住民
その他
(
)
○多目的な移動のための移動手段の提供の流れ(例)
<関係機関との関係>
1.生活利便施設等の状況把握
(1)生活利便施設の状況把握
(2)避難場所の把握
生活利便施設等へ確認
(3)移動手段の状況確認
2.災害時の多目的な移動のための移動手段の選定
詳細
(1)既存の移動手段で対応可能な
場合
3.移動手段の確保(1)
(既存の移動手段で対応可能な場
・既存の路線バス等の運行再開
(2)臨時の移動手段が必要な場合
3.移動手段の確保(2)
(臨時の移動手段が必要な場合)
①市町村が所有する車両の活用
車両を所有する部署へ要請
②バス事業者、タクシー事業者等
への要請
バス事業者、タクシー事業者
等へ事前の協議や協定に基づ
き要請
③都道府県、バス協会等への要請
都道府県、バス協会等へ事
前の協議や協定に基づき要
請
理由・根拠
災害時
・既存の交通機関が運休することや、身近な施設等が被災して遠方に行くことが必要
になることで、生活利便施設の利用等多目的な移動のための移動手段が必要になる
の想定
被災地
可能性がある。
-
の声
地域防災計画 ・交通確保・輸送計画(応)
の関連項目
E-52
危機管理(災害時対応)編
column
No.30
仮設住宅と市街地を結ぶ「お出かけバス」を運行
福島県相馬市
・福島県相馬市では、6 月 20 日から、西工業団地と柚木工業団地に建設された仮設住宅
と市街地を結ぶ「お出かけバス」を市が運行。
・仮設住宅入居者を対象とし、病院や買い物の足として利用できるもので、利用料は無料。
・お出かけバスは、西工業団地から桜ケ丘、柚木工業団地から公立相馬総合病院の 2 ルー
トを、それぞれ午前、午後 2 便ずつ運行。
(資料:相馬市ホームページ)
E-53
危機管理(災害時対応)編
No
実施時期
項目名
実施
内容
関係
機関
E-6-10
重要事項
発災時
公共的交通サービスの提供
緊急対応期Ⅰ
緊急対応期Ⅱ
応急期
復旧期
路線バスの運行
・バス事業者は、燃料・乗務員等の確保状況を踏まえ、既存の路線バスを
再開させる。また、再開に当たっては、利用者への情報提供により、自
家用車からの転換を促進する。
○市町村 ○都道府県
国
警察
◎交通事業者 NPO等 地域住民
その他
(
)
○路線バスの運行の流れ(例)
<関係機関との関係>
1.資源の確保状況の把握
・燃料の残量・確保の見通し
・乗務員の出勤状況
2.沿線施設の再開状況の把握
詳細
沿線自治体・企業・学校・医
療機関等に連絡
・企業・学校・医療機関等の再開状況
を確認 等
3.運行ダイヤの決定
・上記を踏まえ、事前に作成した災害時特別
ダイヤから運行するダイヤを決定
4.災害時特別ダイヤでの運行
利用者に情報提供
5.利用者への情報提供
理由・根拠
災害時
の想定
・運行に必要な資源(燃料・乗務員)の制約により、平常時と同様の運行ができない
可能性がある。また、渋滞等により運行に支障が出る可能性がある。
・燃料不足が懸念されたが、盛岡地区では通勤の足を確保するため、3/14 から 3/20
まで、各営業所の幹線路線 2 路線を選び特別ダイヤで運行を再開した。ダイヤ作成
被災地
の声
や時刻表の貼り出し等、時間的な制限の中では 2 路線ぐらいが限度と考えた。(岩
手県交通)
・今回の震災では、燃料不足が最も問題だった。発災時には3日分(16,000 リッ
トル)しか備蓄がなかった。運休を避けるため、軽油を長く使えるように、運行ダ
イヤと運行時間帯を工夫した。(八戸市)
地域防災計画 ・交通確保・輸送計画(応)
の関連項目
E-54
危機管理(災害時対応)編
column
No.31
燃料不足の中で地区・路線を限定して路線バスの運行を再開
岩手県交通
・岩手県交通は、燃料が不足する中、地区・路線を限定して路線バスの運行を再開させた。
路線バスの再開方法
・岩手県交通では路線バスを運行するエリアを大きく盛岡地区、中部地区、県南地区、沿
岸地区の 4 地区に区分している。
・3/14 から盛岡地区の基幹的な 14 路線を特別ダイヤ(平日ダイヤの 1/3 程度)で再開
させた。
・その後、3/21 から沿岸地区を除く全路線を休日ダイヤで再開させ、4/4 からは通常運
行に移行した。
再開に当たっての検討内容等
○基本的な考え方
・燃料が不足するなかで、どれぐらいの運行が可能かを把握するため、燃料の在庫と交番
(仕業)の平均運行距離、車両の燃費から運行できる交番数を逆算した。
・各地区の利用特性を踏まえ運行・運休を決定した。
¾ 盛岡地区:通勤で利用が多い⇒運行
¾ 中部地区・県南地区:通学利用が多い⇒運休(学校も休校になると考えた)
○運行した 14 路線について
・盛岡地区で運行した 14 路線は、営業所ごとに利
用者数が多い 2、3 路線を選んだ。
滝沢村
盛岡市
・これらは、盛岡市の中心部と周辺市町村を効率的
に結ぶものであり、盛岡市内の幹線的な路線を概
ねカバーしている。
雫石町
矢巾町
紫波町
○通常ダイヤでの運行の再開について
・燃料については、発災後、本社で一元的に管理していたが、3/26 からは通常の方法(各
営業所ごとに発注)で、確保できるようになるなど、燃料が安定的に確保できるように
なってから、通常ダイヤでの運行を再開させた。
(資料:岩手県交通へのヒアリング結果)
E-55
危機管理(災害時対応)編
column
No.32
燃料不足の中で時間帯を限定した日祝ダイヤにより路線バスの運行を
再開
八戸市営バス
・八戸市営バスは、燃料が不足する中、時間帯を限定した日祝日ダイヤにより路線バスの
運行を再開させた。
・3/13 以降4/1 の平常運行まで、最終便入庫後の軽油残量と数日間の予想使用量及び
軽油の調達状況を勘案し、翌日以降の運行計画を検討した。
・検討に当たって、随時市内の高校・専門学校・大学の休校状況を確認した。
<発災当日~平常運行までの経緯>
3/11
3/12~13
3/14~15
3/16~31
4/1~
15 時以降 全路線運休
始発~8 時、17 時以降運休
19 時以降運休
12 時~16 時、19 時以降運休
平常運行
(この間信号故障等による運休路線あり、3/24 以降に全路線運行再開)
※燃料の確保について
3/24 青森県石油商業協同組合に「燃料油の安定的供給」の要望書提出
3/28 青森県石油商業協同組合から安定供給の確約
(資料:八戸市、八戸市営バスへのヒアリング結果)
column
No.33
自治体の委託により無料で路線バスの運行を再開
岩手県沿岸部
・津波により甚大な被害を受けた岩手県の沿岸部では、住民の移動手段を確保するため、
市町村の委託により、一部バス路線が無料で運行が再開された。
・その後、ワンコイン化、通常運行に移行している。
<岩手県沿岸部の路線バスの運行について>
釜石市
大船渡市
陸前高田市
H23.3.16~
H23.8.1~
H24.4.1~
H23.4.4~
H23.9.5~
H23.10.17~
H23.4.20~
H23.9.5~
無料で運行再開
ワンコインバス(一乗車 100円)
通常運行(予定)
無料で運行再開
ワンコインバス(一乗車 100円)
通常運行
無料で運行再開
ワンコインバス(一乗車 100円)
(資料:自治体広報等を基に作成)
E-56
危機管理(災害時対応)編
column
No.34
給油待ちの車列による渋滞により公共交通等の運行に支障
被災地各地
・震災による影響により、東北地方・関東地方の広い範囲で、燃料不足が発生した。
・これにより、各地のガソリンスダンド周辺の道路で、給油を待つ車列により渋滞が発生
し、路線バスの遅延や迂回などの支障が出た。
<被災地の交通事業者等の声>
東北運輸局
・ガソリンスタンドに給油待ちのマイカーの行列ができ、道路の
渋滞を招いた。中には、翌日の給油の順番待ちのために前日に
車だけを置いていってしまう人もいた。
宮城県
・交通事業者から、ガソリンスタンドへの給油待ちの車列により
渋滞が発生し、一部の路線において運行に支障が生じたので、
路線バスや他の車両が安全に運行できるよう対応の要請があ
った。
八戸市営バス
・ガソリンスタンドに並ぶ車の列が道路をふさぎ、バスに遅れが
出た。(最大で 3 時間の遅れが発生)
岩手県交通
・ガソリンスタンドの渋滞は、多車線道路ではあまり問題になら
なかったが、2 車線道路では迂回して運行することもあった。
宮城交通
・ガソリンの給油待ちの渋滞が連日にわたり発生したため、バス
の運行経路の変更・迂回運行を招き、事業者だけでなく利用者
をも混乱させた。
(資料:上記機関へのヒアリング結果)
E-57
危機管理(災害時対応)編
No
実施時期
項目名
実施
内容
関係
機関
E-6-11
重要事項
発災時
公共的交通サービスの提供
緊急対応期Ⅰ
緊急対応期Ⅱ
応急期
復旧期
鉄道代替輸送の実施
・鉄道事業者は、鉄道が運休する場合には、バス事業者等の協力を得て、
代替輸送を実施する。
○市町村 ○都道府県
国
警察
◎交通事業者 NPO等 地域住民
その他
(
)
○鉄道代替輸送の実施の流れ(例)
<関係機関との関係>
1.鉄道の被災状況等の把握
(1)被災状況の把握
(2)復旧の見通しの把握
詳細
(3)利用需要の把握
沿線自治体・施設等へ確認
(4)代替可能な移動手段の確認
バス事業者へ確認
2.代替輸送手段の選定
(1)既存の移動手段で対応可能な
場合
3.移動手段の確保(1)
(既存の移動手段で対応可能な場合)
・既存のバス路線等による振替輸送
(2)臨時の移動手段が必要な場合
3.移動手段の確保(2)
(臨時の移動手段が必要な場合)
・代行輸送
バス事業者、バス協会等、都
道府県へ事前の協議や協定に
基づき協力要請
理由・根拠
災害時 ・鉄道が被災等により運休することで、代替する輸送手段が必要になる可能性がある。
の想定
・JR との間には、運休した時の代行輸送に対関する協定が無かったため、補完する
被災地
の声
バスの運行開始が遅れた。(宮城交通)
・鉄道の代行バスが運行されたが、仙石線などで積み残しが問題となった。鉄道とバ
スでは輸送力に差があり、代替は難しい。始発駅での積み残しもあったが、始発駅
では乗れても、途中駅で乗れないこともあった。(東北運輸局)
地域防災計画 ・交通確保・輸送計画(応)
の関連項目
E-58
危機管理(災害時対応)編
column
No.35
既存路線バスを活用した鉄道の代替輸送
ミヤコーバス、JR 東日本
・JR 気仙沼線「気仙沼~本吉間」では震災により大きな被害を受け運休していたが、高校
の授業再開(5/9)に伴い、鉄道を利用して通学していた学生への代替交通手段の確保
が必要となった。
・JR 気仙沼線と並行して路線バス(三陸線)を運行するミヤコーバスは、JR 東日本との
協議を重ね、次の枠組みで代替輸送を行った。
○代替輸送の枠組み
①JR 気仙沼線(気仙沼駅~本吉駅)の代替交通の役割を担えるようミヤコー
バス三陸線(気仙沼市役所~津谷営業所)の経路変更と一部延伸を行い、駅
への乗り入れを実現する。
②ミヤコーバスで「気仙沼~本吉~志津川間」の臨時バスを運行する。
③上記 2 系統の指定停留所間の利用に限り、JR 定期券・回数券による振替輸
送を行う。
④想定される高校生の通学需要をみたすため、ダイヤ改正を行うとともに最大
3 台の同時発車を行う。
<JR気仙沼線代替輸送のイメージ>
気仙沼高校最寄駅
※主要駅のみ
鉄
道
気
仙
沼
駅
不
動
の
沢
駅
南
気
仙
沼
駅
陸
前
階
上
駅
大
谷
海
岸
駅
本
吉
駅
運休(5/9 現在)
歌
津
駅
志
津
川
駅
柳
津
駅
陸
前
豊
里
駅
前
谷
地
駅
4/29 運転再開
振 替
既存路線バス (三陸線:気仙沼市役所~津谷営業所)←経路変更と一部延伸
バ
ス
臨時バス (気仙沼~本吉~志津川) 5/9~
※7/11~柳津まで延伸
(資料:宮城交通へのヒアリング結果、気仙沼市広報等を基に作成)
E-59
危機管理(災害時対応)編
column
No.36
複数のバス事業者による代替バスの共同運行
被災地の交通事業者
○概要
・仙台空港にアクセスする鉄道が大きな被害を
受けたことから、仙台空港の再開に合わせ、
東北運輸局、宮城県バス協会が主導し、仙台
空港アクセスバスを運行(4/13~9/30)。
・19 の交通事業者の共同運行により、必要な
輸送力を確保。
○運行の経緯
・東北運輸局では、仙台空港アクセス鉄道が大
きな被害を受け、再開の見込みが立たないた
図.仙台空港アクセスバス運行ルート
め、仙台空港再開に備え、仙台駅・名取駅から仙台空港への直通バスの運行を検討。
・運行に向け、東北運輸局自動車交通部、鉄道部、宮城運輸支局、また、宮城県、宮城県
バス協会、仙台空港鉄道、仙台空港ビルの関係者なども参加する連絡会議を開催した。
・宮城県バス協会を通じ、運行する交通事業者を探したところ、19 の事業者が手を上げ
たことから、幹事会社を決め、各社が車両を 1 台ずつ出し、共同で運行することとなり、
4/13 の仙台空港の民航機の就航再開に合わせ、アクセスバスの運行が開始された。
10/1 にアクセス鉄道全線が運行再開するまで、運行は継続された。
連 絡 会 議
輸送要請
輸送打診
協会会員事業者
東北
運輸局
宮城県
バス協会
宮城県運輸支局
仙台空港鉄道(株)
交通
事業者
(幹事会社)
交通
事業者
…
宮城県
交通
事業者
交通
事業者
仙台空港ビル(株)
(計 19 事業者で共同運行)
(資料:東北運輸局、宮城県バス協会へのヒアリング結果)
E-60
危機管理(災害時対応)編
column
No.37
鉄道代替輸送に関する検討会の開催
岩手県
・岩手県内では、広域幹線交通を担う鉄道が運休していたことから、岩手県(政策地域部
地域振興室)は日常生活の再開に合わせて代替交通手段を確保するため、県と鉄道事業
者、バス事業者から構成される「地震津波災害に伴う県内広域幹線交通確保に係る検討
会」を開催した。
・検討会では、鉄道運休区間の状況や今後の見通しや代替輸送の課題を踏まえ、具体の対
応方策について協議した。
・JR 東日本(株)盛岡支社の鉄道運休区間の代替輸送に対する考えは、以下の通りである。
¾ 並行して既存の路線バスがある区間⇒既存のバス路線で振替輸送を行う
¾
〃
ない区間⇒代行バスを運行する
地震津波災害に伴う県内広域幹線交通確保に係る検討会の概要
1.メンバー
○鉄道事業者:JR 東日本(株)盛岡支社
○バス事業者:岩手県バス協会、岩手県交通(株)、岩手県北自動車(株)、ジェ
イアールバス東北(株)
○行政機関:岩手県政策地域部地域振興室(主催)
2.検討事項
○第1回(3/24、発災 13 日後)
・県内広域幹線交通の現状と今後の見通しについて
・課題と対応について
・対応時期について
○第2回(4/1、発災 20 日後)
・広域幹線交通の確保に係る対応状況について
・課題と対応について
(資料:岩手県へのヒアリング結果)
E-61
危機管理(災害時対応)編
No
実施時期
項目名
実施
内容
関係
機関
E-6-12
重要事項
発災時
公共的交通サービスの提供
緊急対応期Ⅰ
緊急対応期Ⅱ
応急期
復旧期
共助の取り組みの支援
・市町村は、交通危機管理行動要領に基づき、地域コミュニティやNPO
等が行う共助の取り組みに対する支援を行う。
◎市町村 都道府県
国
警察
交通事業者 ○NPO等 ○地域住民
その他
(
)
○共助の取り組みの支援の流れ(例)
<関係機関との関係>
1.共助の取り組みに係る状況
の把握
・車両喪失、燃料不足の状況
・交通サービスの提供状況
・高齢者・障がい者の状況 等
それぞれ状況に応じて実施
詳細
2.地域コミュニティ等の
取り組み支援
・車両・燃料の提供
地域コミュニティ等と
連携
等
3.NPO等への協力要請
地域内外のNPO等へ
の要請
4.NPO等の取り組み支援
地域内外のNPO等と
連携
・車両・燃料の提供 等
理由・根拠
災害時
の想定
・自治体や交通事業者のみでは、被災者のニーズに対応した十分な交通サービスが提
供できない可能性がある。
・外部からのNPOは、いずれかの時期に撤退しないといけないが、地元にこれを引
き継ぐ素地を作らないといけない。
(全国移動サービスネットワーク)
・元々西和賀町で地域づくり支援、公共交通計画支援などの活動を行ってきており、
被災地
の声
いろいろな支援をすることになった。
(支援の一環として、一時帰宅バスを運行)
(い
わて地域づくりセンター)
・地域のコミュニティが密なので、車の相乗りも行われていたと思う。そのため、移
動で困った、ということは聞かない。(岡田小避難所運営本部)
・石巻市仮設住宅管理室には、カーシェアリング用の専用駐車場の設置の許可や仮設
E-62
危機管理(災害時対応)編
住宅の所在地、コミュニティの状況等の情報提供といった協力をしてもらっており、
効率よく活動する上で役に立っている。((社)日本カーシェアリング協会)
地域防災計画
の関連項目
・自主防災組織等育成計画(予)
・ボランティア育成計画(予)
・ボランティア活動計画(応)
E-63
危機管理(災害時対応)編
column
No.38
「かかりつけ医巡回バス」など避難所での共助によるモビリティの確保
仙台市宮城野区の岡田小避難所
・仙台市宮城野区の岡田小の避難所では、日頃から地域のコミュニティが密だったため、
避難所での被災者同士の車の相乗りや、避難者が通院していた医療機関で受診できるよ
うに「かかりつけ医巡回バス」の無料運行が行われた。
「かかりつけ医巡回バス」について
・避難所には、当初、仙台オープン病院の医師らが出向いて診療を行っていたが、4月上
旬から仙台市医師会の医師が加わり、4月下旬にはオープン病院から完全に引き継いだ。
・医師会の医師の指導で、持病のある人が多数いるため、地域の医療機関が再開する中で、
地元の7町内会で作る避難所運営本部は、4月中旬から計4回、旅館のマイクロバスを
借り、避難所と JR 陸前高砂駅周辺の複数の医療機関を巡回した。
・旅館のバスの使用は4月末までだったため、避難所運営本部で対応を検討していたとこ
ろ、避難者の中に観光バスの元運転手がおり、自身で所有するワゴン車でボランティア
での運行をすることになった。ガソリン代は、運営本部が支払った。
・運行は、避難所の閉鎖まで続けられた。
0
0.5
1km
(資料:岡田小避難所運営本部へのヒアリング結果)
E-64
危機管理(災害時対応)編
column
No.39
障がい者、高齢者等の移動支援ボランティア
災害移動支援ボランティアRera、NPO法人全国移動サービスネットワーク他
・北海道や神奈川などの福祉団体で構成される「災害移動支援ボランティアRera(以
下、Rera)」が、被災直後の3月中旬から、宮城県石巻市を中心に、被災した障がい
者や高齢者等を病院などへの送迎支援(無償)を行っている。
(被災後約1年を経過した
平成 24 年 3 月時点においても活動中)
・利用希望者は、活動本部に電話で予約し、予約内容を取りまとめ配車する仕組み。
・運転手と介助者の2人1組で活動し、病院のほか、入浴施設、スーパー、コインランド
リーへの送迎・介助等も行っている。
・平成 23 年 5 月~10 月の送迎人数は 10,371 名、送迎回数は 6,938 回。
・Reraの活動に対して、移動サービス提供団体等により構成される「NPO 法人全国移
動サービスネットワーク」の呼び掛けにより、全国の福祉・移動サービス関係の団体や
個人のボランティアが、交代で支援を行っている。
・また、活動拠点の民家や駐車場は、石巻市の住民が無償提供したものである。
(資料:NPO 法人全国移動サービスネットワークへのヒアリング結果、
災害移動支援ボランティア Rera ホームページ等)
E-65
危機管理(災害時対応)編
column
No.40
内陸部の避難所から沿岸部への一時帰宅バスを運行
NPO法人いわて地域づくり支援センター
・陸前高田市は地震と津波により壊滅的な被害を受けたため、市内に避難所を確保できず、
内陸部の多くの自治体が被災者を受け入れた。西和賀町もその一つであり、仮設住宅が
できるまでの約4ヶ月(4月~7月)の間、町内の旅館などが避難場所となった。(約
100 名を受け入れ)
・西和賀町のまちづくりなどに関わっていた岩手まちづくりセンターがコーディネータに
なり、被災者のニーズを調査しながら、行政(西和賀町)、老人ホーム等と連携して一時
帰宅バスを運行した。
<NPOと行政・避難所コミュニティの関係>
<被災地と避難所の関係>
役所が所有する車両・運転手提
供(行政が費用負担)
行政(西和賀町)
老人ホームが所有する車両・運
転手提供(助成金で費用負担)
働きかけ
助成金の確保
運行調整
NPO
(いわて地域づくり
支援センター)
週2回(火曜・木曜)
一時帰宅バスを運行
西和賀町
(避難所)
助成金の確保
家族の宿泊費支給
コミュニティ形成補助
ニーズ調査
避難所コミュニティ
(はまなすの会)
一時帰宅希望者の募集・調整
陸前高田市
約 100km
<使用した老人ホームの車両>
<運行時の様子>
(資料:いわて地域づくり支援センターへのヒアリング結果等から作成)
E-66
(被災地)
危機管理(災害時対応)編
column
No.41
住民とボランティアによるカーシェアリング
仮設住宅の住民、(社)日本カーシェアリング協会
・
(社)日本カーシェアリング協会は、全国の企業等からの寄付や
車両の提供を受け、石巻市を中心とした仮設住宅において、自
治会・住民による手作りのカーシェアリングを支援している。
・石巻市もコミュニティの状況等の情報提供や専用駐車場の許可
といった協力をしている。
・住民により構成されるカーシェアリングサークルは、車の共有
図.利用の様子
だけでなく、車を運転できない住民の送迎や仮設住宅地内のゴ
ミ拾いなど、仮設住宅におけるコミュニティ形成にも一役買っ
ている。
・また、カーシェアリングを実施している住民が他の仮設住宅等
の取り組みを支援する取り組み(カーシェアリング・コミュニ
ティ・サポートセンター)も始まっている。(石巻市から(社)
日本カーシェアリング協会への業務委託)
図.集会所横に設置さ
れた専用駐車場
<カーシェアリングの仕組み(万石浦公園仮設住宅団地の場合)>
契約
日本カーシェアリング協会
(車の所有者)
・車の確保
・保険料・車検代の支払い
・サークル運営の支援 等
カーシェアリングサークル(住民)
(車の共同使用者)
・車の利用
・サークル運営・運行の管理
・日常的な車の清掃 等
参加者同士も契約を結ぶ
石巻市仮設住宅運営管理室
(駐車場の所有者)
・駐車場の提供
市民、企業・団体等
・寄付や車両の提供
<カーシェアリングの導入までの流れ>
住民(カーシェアリングサークル)
日本カーシェアリング協会
石巻市
①アンケートの実施
コミュニティの状況等の情報提供
集会所の貸出
②説明会の開催
③試験運行
運営の支援
専用駐車場の提供
④本格運行
(資料:日本カーシェアリング協会へのヒアリング結果を基に作成)
E-67
危機管理(災害時対応)編
No
E-7-1
実施時期
項目名
実施
内容
関係
機関
重要事項
発災時
パーソナル・モビリティ(個別交通)の活用
緊急対応期Ⅰ
緊急対応期Ⅱ
応急期
復旧期
パーソナル・モビリティ(個別交通)の支援
・市町村は、交通危機管理行動要領に基づき、車両の被災状況や燃料の供
給状況を踏まえ、パーソナル・モビリティ(個別交通)に対する支援を
行う。
◎市町村
都道府県
国
警察
交通事業者 NPO等 ○地域住民
○その他
(周辺自治体、燃料取扱業者等)
○パーソナル・モビリティ(個別交通)の支援の流れ(例)
<関係機関との関係>
1.パーソナル・モビリティ(個別交
通)に関する状況把握
・公共的交通サービスの提供状況
・車両喪失、燃料不足の状況
・道路の被災・混雑状況
等
(以下、状況に応じて実施)
2.注意喚起
地域住民等への注意喚起
・マイカーの利用自粛
・相乗り促進 等
詳細
周辺自治体・燃料取扱事業者
等に要請
3.車両・燃料等の調達
・自転車の調達
・燃料の調達 等
4.車両・燃料等の地域住民等への提供
地域住民等に提供
・自転車の提供
・燃料の提供 等
理由・根拠
災害時
・自治体や交通事業者のみでは、被災者のニーズに対応した十分な交通サービスが提
供できない可能性がある。また車両喪失、燃料不足や道路状況により、地域住民等
の想定
被災地
の個別の移動に支障が出る可能性もある。
-
の声
地域防災計画 ・防災知識普及計画(予)
の関連項目 ・生活必需品供給計画(応)
E-68
危機管理(災害時対応)編
column
No.42
臨時の広報による自家用車利用の自粛や相乗りを呼び掛け
岩手県陸前高田市
・陸前高田市では 3/18 から「広報りくぜんたかた 臨時号」を発行し、様々な生活情報
とともに、交通に関する情報も提供した。
・発災直後は、車による外出の自粛や相乗りの呼び掛けを行っている。
【臨時号 1
3/18 発行】
【臨時号 2
3/19 発行】
E-69
危機管理(災害時対応)編
column
No.43
被災者に対し燃料や自転車を提供
経済産業省、被災自治体等
・被災地では、被災者へのガソリンや自転車の提供といった個別交通に対する様々な支援
も行われた。
○ガソリンの提供
・経済産業省は、岩手県の陸前高田市、釜石市、大槌町において、仮設ミニ SS※を設置し、
被災者にガソリンを提供した。
・陸前高田市では、地区のコミュニティ推進協議会を通じて、給油券を配布し、被災者に
ガソリンを提供した。
(※仮設ミニSS:SS(サービスステーション)が十分に稼働しておらず、特にガソリン供給が困難となっている地
区において、学校等の避難所等でドラム缶での給油を行った。3月27日から4月21日までの26日間で、計9
市町村に設置され、累計で約9,200台に対して給油を行った。以下 3 市町を除いては、公用車等を中心に給
油を行っている)
<仮設ミニ SS における被災者車両等への燃料の提供状況>
市町名
期間
給油台数
陸前高田市
3/27~3/29
1,835台
4/9~4/11
1,882台
釜石市
3/30~4/1
1,513台
大槌町
4/1~4/7
2,549台
(資料:資源エネルギー庁資料)
○自転車の提供
・被災自治体に対し、全国から救援物資として自転車も多く贈られた。
・被災自治体では、これらの自転車を貸自転車として役場等へ設置した他、通学・通勤等
で必要な被災者に対して提供した。
<全国から提供された自転車の活用状況>
市町名
岩手県山田町
概要
全国から提供された自転車を無料の貸自転車と
して町役場に設置。
岩手県大槌町
通学・通勤に自転車が必要な被災者に対し、全国
から提供された自転車を提供。
宮城県七ヶ浜町
通学に使用していた自転車が津波で流失し、通学
が困難で希望する人に自転車を提供。
(資料:自治体広報等)
E-70
危機管理(災害時対応)編
column
No.44
被災地に対し自転車を提供
全国の自治体
・被災地に全国の自治体から救援物資として、自転車が提供された。
・放置自転車問題を抱える自治体により構成される全国自転車問題自治体連絡協議会(会長:
練馬区長)は阪神・淡路大震災の被災地に、再生自転車を提供した経験から、全国の会員
に提供を呼びかけ、東日本大震災の被災地に復興応援自転車として提供している。
・平成 23 年7月 15 日現在で、29 会員自治体から被災地(14 団体)に 2,370 台の再生
自転車を提供している。
・大阪府堺市からは、通常の再生自転車の他、タイヤをノーパンク化した自転車や折り畳み
自転車が提供されている。
・また、東京都世田谷区からは、自治体の他、教育委員会に対する提供も行われている。
・この他、自転車メーカーから被災地に自転車が贈られた事例もある。
<主な自治体の自転車の提供状況>
大阪府堺市
東京都世田谷区
3/23
宮城県仙台市
144 台
3/25
宮城県名取市
16 台
4/1
宮城県石巻市
150 台
3/25
宮城県岩沼市
4台
〃
宮城県仙台市
6台
4/11
宮城県石巻市
100 台
4/8
岩手県大槌町
61 台
5/13
宮城県石巻市
50 台
4/19
岩手県陸前高田市
2台
7/28
福島県教委
104 台
5/22
岩手県遠野市
ノーパンク 100 台
10/18
福島県教委
100 台
〃
8/9
〃
2/15
〃
岩手県大槌町
〃
岩手県盛岡市
折畳 60 台
20 台
折畳 30 台
折畳 6 台
注)全国自転車問題自治体連絡協議会の要請によるものと、そうでないものが含まれる。
(資料:堺市、世田谷区ホームページ)
E-71
危機管理(災害時対応)編
column
No.45
放置自転車を活用したレンタサイクル
阪神・淡路大震災
1995 年1月 17 日の早朝に発生した兵庫県南部地震は大都市直下型で、道路、鉄道、
港湾などの交通基盤施設にも大きな被害を与えました。
震災直後の3日間で道路の不通箇所は、一般道路で40路線55箇所、高速道路・自動
車専用道路で10路線にも達し、残された通行可能な道路区間に様々な目的の車が集中し
て、道路交通は大混乱となったのです。
このような状況の中、被災地において市民の"足"として機動性を発揮したのが、自転車
でした。
自転車道路協会が同年7月に実施した事後ヒアリング調査によれば、85%の方が食料品
の買い出しに、58%の方が親戚・知人との連絡に、また 27%の方が配給物資の受け取り
に自転車を利用しました(複数回答)。
被災地では、自転車の需要が急増して、西宮のある自転車店では、1月 18 日に 100
人を越える行列ができ、在庫がすぐに売り切れました。
そんな状況の中、西宮市では、阪急西宮北口駅近くのスポーツセンター駐車場を借り、
1月 23 日からレンタサイクルを始めました。貸出は、申込み当日を含め2日間を期限と
し、料金は無料。利用されたのは、市が移動・保管した放置自転車で引き取り手のない6
0台。その後、全国の自治体や企業から約500台のレンタル用自転車の提供を受けまし
た。
公共の交通手段として活躍した自転車は、2月末までの37日間に、多い日は約280
人、延べで4977人に利用されました。
(資料:近畿地方整備局ホームページより転載)
E-72
リスク管理(事前対応)編
Risk Management
リスク管理(事前対応)編
<目
次>
:コラム掲載事例
項目1
発災時の安全の確保
R-1-1
乗客の安全確保策の整備 ......................................................................................................... R-1
No.46 東日本大震災を踏まえ、運行中の乗務員の行動マニュアルを作成(岩手県交通)
No.47 訓練を義務づけたスクールバス運行マニュアル(群馬県教育委員会)
No.48 東海地震に備えバスに緊急地震速報システムを設置(三重交通)
R-1-2
職員の安全確保策の整備 ......................................................................................................... R-6
No.49 東海地震に備え社員の行動マニュアルを作成(遠州鉄道グループ)
項目2
災害対応の体制の確保
R-2-1
組織体制の整備 .......................................................................................................................... R-9
R-2-2 対応拠点の整備 ............................................................................................................................ R-12
No.50 災害時の代替施設について警察とバス事業者が協定を締結
(神奈川県警高津警察署、東急バス高津営業所)
R-2-3
通信・連絡手段の整備 .............................................................................................................. R-15
項目3
交通に係る情報の収集・共有
R-3-1
交通情報等の収集・伝達体制の整備................................................................................. R-18
No.51 タクシーを活用した被災情報の収集(東京都、東京乗用旅客自動車協会)
R-3-2
地域住民等への交通情報等の提供体制の整備 ............................................................. R-22
項目4
交通施設の機能確保
R-4-1
道路の安全確保体制の整備 .................................................................................................... R-25
No.52 東日本大震災を踏まえ、緊急輸送ルート確保の活動計画を検討
(四国地方幹線道路協議会地域部会)
R-4-2
交通規制体制の整備................................................................................................................... R-29
項目5
輸送に必要な資源の確保
R-5-1
燃料確保体制の整備................................................................................................................... R-31
No.53 市町村や民間事業者も含めた燃料優先供給に関する協定(群馬県、群馬県石油協同組合)
R-5-2
車両確保体制の整備................................................................................................................... R-35
R-5-3
乗務員確保体制の整備 .............................................................................................................. R-37
リスク管理(事前対応)編
項目6
公共的交通サービスの提供
R-6-1
被災者の避難所への移動手段の想定................................................................................. R-39
R-6-2
軽症者の医療機関への移動手段の想定 ............................................................................ R-42
No.54 民間救急やタクシーによる医療機関への輸送の取り組みを災害時にも活用
(東京都、タクシー業者等)
R-6-3
家族等の安否確認のための移動手段の想定 .................................................................. R-45
R-6-4
通院のための移動手段の想定 ............................................................................................... R-47
R-6-5
入浴のための移動手段の想定 ............................................................................................... R-49
R-6-6
行政手続きのための移動手段の想定................................................................................. R-52
R-6-7
通学のための移動手段の想定 ............................................................................................... R-55
R-6-8
買い物のための移動手段の想定 .......................................................................................... R-58
R-6-9
多目的な移動のための移動手段の想定 ............................................................................ R-60
R-6-10 路線バスの運行体制の整備 ................................................................................................ R-62
R-6-11 鉄道代替輸送の実施体制の整備....................................................................................... R-65
R-6-12 共助の取り組みの普及啓発 ................................................................................................ R-68
項目7
パーソナル・モビリティ(個別交通)の活用
R-7-1
パーソナル・モビリティ(個別交通)の普及啓発 ................................................... R-71
No.55 徒歩を原則とし、自動車も含めた避難方策の検討の必要性を報告(中央防災会議)
No.56 阪神・淡路大震災で得られた教訓をまとめた冊子を作成(神戸市東灘消防署)
No.57 「高齢者が利用しやすい移動交通に関する研究会」で高齢者のモビリティを検討(広島市)
リスク管理(事前対応)編
リスク管理(事前対応)のチェックリスト
この表は、事前の備えとして確認しておくべき事項、整備しておく体制等を取りまとめたチェ
ックリストの例である。
重要事項
リスク管理(事前対応)編
チェック項目
( )内はページ
項目1
R-1-1
発災時の安全の 乗客の安全確保策の整備
確保
(R-1)
□
発災時の乗客の安全確保のための乗務員の行動は定められてい
るか。
□
発災時の乗務員と運行管理者の通信手段は確保されているか。
□ 事務所・営業所等の災害時の安全性は確認されているか。
R-1-2
職員の安全確保策の整備
□ 発災時の安全確保のための職員の行動は定められているか。
(R-6)
項目2
R-2-1
災害対応の体制 組織体制の整備
の確保
R-2-2
対応拠点の整備
R-2-3
□ 災害時の交通に係る担当部署・担当者は明確化されているか。
(R-9) □ 関係機関等との協力連携体制は確保されているか。
□ 災害対応の拠点施設の災害時の安全性は確認されているか。
(R-12) □ 災害時に使用できない場合の代替施設は定められているか。
□ 災害時の関係機関との通信手段は定められているか。
通信・連絡手段の整備
□ 通信手段が利用できない場合の対応についても定められている
か。
(R-15)
□ 災害時に関係機関が必要とする情報は定められているか。
項目3
R-3-1
交通に係る情報 交通情報等の収集・伝達体
□ 情報の収集・伝達の手段は定められているか。
の収集・共有
制の整備
(R-18)
R-3-2
□ 災害時に地域住民が必要とする情報は定められているか。
地域住民等への交通情報等
の提供体制の整備
□ 情報の収集・伝達の手段は定められているか。
(R-22)
項目4
□ 災害時に優先して機能を確保すべき道路は定められているか。
R-4-1
交通施設の機能 道路の安全確保体制の整備
□ 被害を受けた場合の復旧体制は整備されているか。
確保
(R-25)
□ 災害時の交通規制の考え方は定められているか。
R-4-2
交通規制体制の整備
□ 緊急通行車両の対象として被災者の移動も考慮されているか。
(R-29)
項目5
□ 被災者等の移動を確保する車両を含め優先給油される体制はで
R-5-1
輸送に必要な資 燃料確保体制の整備
きているか。
源の確保
□ 広域的な燃料供給体制は整備されているか。
(R-31)
□ 駐車場・待機場所の安全は確保されているか。
R-5-2
車両確保体制の整備
□ 災害時に車両が不足する場合の確保体制は整備されているか。
(R-35)
□ 燃料不足等の乗務員の通勤手段は確保されているか。
R-5-3
乗務員確保体制の整備
(R-37)
リスク管理(事前対応)編
重要事項
リスク管理(事前対応)編
( )内はページ
R-6-1
項目6
公共的交通サー 被災者の避難所への移動手
ビスの提供
段の想定
(R-39)
R-6-2
軽症者の医療機関への移動
手段の想定
(R-42)
チェック項目
□ 孤立集落等避難所への移動手段等を確保する必要がある地域の
有無を確認できているか。
□ 輸送が必要な場合の手段は確保できるか。
□ 災害時の受け入れ可能な医療機関は確認できているか。また、
それらの災害時の安全性は確認できているか。
□ 軽症者等の輸送が必要な場合の手段は確保できるか。
R-6-3
□ 遺体安置所の候補場所、避難所等は確認できているか。
家族等の安否確認のための
移動手段の想定
□ 遺体安置所等への輸送が必要な場合の手段は確保できるか。
(R-45)
R-6-4
通院のための移動手段の想
定
(R-47)
□ 災害時の受け入れ可能な医療機関は確認できているか。また、
それらの災害時の安全性は確認できているか。
□ 通院に必要な場合の手段は確保できるか。
R-6-5
□ 災害時の被災者のための入浴施設の場所は確認できているか。
入浴のための移動手段の想
定
□ 入浴に必要な場合の手段は確保できるか。
(R-49)
R-6-6
□ 災害時に行政サービスが提供される場所は確認できているか。
行政手続きのための移動手
段の想定
□ 行政手続きに必要な移動手段は確保できるか。
(R-52)
R-6-7
□ 災害時に学校の代替施設となる場所は確認できているか。
通学のための移動手段の想
定
□ 通学に必要な移動手段は確保できるか。
(R-55)
R-6-8
□ 店舗等の場所や災害時の安全性は確認できているか。
買い物のための移動手段の
想定
□ 買い物に必要な移動手段は確保できるか。
(R-58)
R-6-9
□ 生活利便施設の場所や災害時の安全性は確認できているか。
多目的な移動のための移動
手段の想定
□ 多目的な移動のための移動手段は確保できるか。
(R-60)
R-6-10
□ 燃料等資源制約時の運行方針は検討されているか。
路線バスの運行体制の整備
(R-62)
R-6-11
鉄道代替輸送の実施体制の
整備
(R-65)
R-6-12
共助の取り組みの普及啓発
(R-68)
□ 災害時の被害を受ける可能性のある路線等を確認できている
か。
□ 運休した場合の代替手段は確保できるか。
□ 地域コミュニティ等に災害時に共助の取り組みを行う意識の醸
成はできているか。
□ 災害時の共助の取り組みへの対応は定められているか。
項目7
□ 災害時の交通について地域住民との意識共有はできているか。
R-7-1
パーソナル・モビリティ パーソナル・モビリティ
(個別交通)の活 (個別交通)の普及啓発
□ 災害時の個別交通への対応は定められているか。
用
(R-71)
リスク管理(事前対応)編
リスク管理(事前対応)編
<リスク管理(事前対応)編
個別シートの見方>
○リスク管理(事前対応)編:事前の備えの検討に活用
・災害時に地域のモビリティを確保するために、事前に検討・実施すべき内容・手順の例を示
している。また、参考として災害に備えた取り組み事例を掲載している。
個別のシートは、災害時における地域のモビリティ確保のための重要事項を、対象とする内
容により区分した項目について、以下に示す様式でまとめている。
No:連番
リスク管理(R)・危機管理(E)の別
災害時における地域のモビリティ確保のための重要事項
○-○-○
通し番号
項目名:実施内容の名称
実施内容:実施内容の概
要
関係機関:実施内容に関
係する主な機関(◎:主
体的に実施すべき機関、
〇:連携・協力すべき機
関)
詳細:実施すべき内容の
詳細。検討の手順や内容
災害時の想定:当該項目
を実施すべき理由とし
て、災害時に想定される
事態
被災地の声:当該項目に
関連して、ヒアリング調
査で得られた意見
地域防災計画の関連項
目:当該項目が関連する
地域防災計画の項目
(巻末資料2に地域防災計画全体
との対応を示している)
重要事項:該当する災害時
における地域のモビリティ
確保のための重要事項
リスク管理(事前対応)編
No
項目名
実施
内容
関係
機関
R-1-1
重要事項
発災時の安全の確保
乗客の安全確保策の整備
・交通事業者は、乗務中に災害が発生した時に、乗務員が災害や現場の状
況に応じ、乗客の安全確保のための対応をとることができるよう、発災
時の乗務員の対応方針を検討し、行動マニュアル等を作成する。
市町村
都道府県
国
警察
◎交通事業者 NPO等 地域住民
その他
(
)
○乗客の安全確保策の検討の流れ(例)
<関係機関との関係>
1.現況の把握
(1)車載通信機器整備状況の把握
(2)利用者特性の把握
・利用者の属性(高齢者、障がい者、児童等)等
2.運行ルート・区域等の被害の想定
・運行ルート・区域の災害危険箇所の確認
(津波浸水想定区域の内外、土砂災害危険箇所の有無等)
3.発災時の対応方針の検討
ココがポイント
・乗務員による発災時の対応方針の検討
4.通信機器等の検討・整備
詳細
(1)災害情報の入手手段
(2)運行管理者等との通信手段
5.乗務員の行動手順の検討
ココがポイント
・行動手順、情報収集手段の明確化
1.現況の把握
(1)車載通信機器整備状況の把握
・車両の通信機器(ラジオ、テレビ、無線、携帯電話等)の整備状況を把握する。
(2)利用者特性の把握
・利用者の属性を整理し、避難に際して支援が必要となることが想定される高齢者、
障がい者、児童等の利用が多い運行ルート、区域等を把握する。
R-1
リスク管理(事前対応)編
2.運行ルート・区域等の被害の想定
・ハザードマップ等を基に、運行ルート・区域等の災害危険箇所(津波浸水想定区
域の内外、土砂災害危険箇所の有無等)を確認し、災害時の被害の可能性を把握
する。
ココがポイント
3.発災時の対応方針の検討
・災害や現場の状況に応じ、乗務員自らの判断により乗客の安全を確保するための
対応がとれるよう、発災時の対応方針を検討する。
・発災時には、運行管理者等から乗務員に連絡ができないことも想定されることか
ら、乗務員が独自に災害情報を入手し対応することが望ましい。
・津波浸水想定区域等を運行するものについては、乗客を安全な場所へ避難誘導す
ることも想定し、地域防災計画等を基に、避難場所・経路を設定する。避難場所・
経路がない場合には、市町村等に整備・確保を要請することも考えられる。
4.通信機器等の検討・整備
(1)災害情報の入手手段
・乗務員が乗務中に災害情報を入手するためのラジオ、テレビなど、車両に整備す
る通信機器を検討し、必要な機器を整備する。
(2)運行管理者等との通信手段
・乗客の安全を確保した後、乗務員が運行管理者等に状況を報告するための通信手
段を検討し、必要な機器を整備する。
・携帯電話は、災害時に不通となる可能性があるため、無線等が望ましい。
5.乗務員の行動手順の明確化
ココがポイント
・1~4の結果を踏まえ、乗務員の行動手順を明確化し、行動のマニュアル等を作
成する。行動マニュアル等は、発災時に見てすぐに分かるものが必要である。
理由・根拠
災害時
・運行中の車両が被害を受ける可能性がある。
の想定
・沿岸部の営業所では、日頃から点呼の際等に津波等の注意について確認しており、
被災地
の声
乗務員などの現場の判断で避難が行われた。(岩手県交通)
・災害時には、現場の乗務員の判断・対応によるところが大きい。机上の検討だけで
はなく、実態に即した対策を検討しておくべきかもしれない。(八戸市営バス)
地域防災計画 ・避難対策計画(予)
の関連項目 ・避難・救出計画(応)
R-2
リスク管理(事前対応)編
column
No.46
東日本大震災を踏まえ、運行中の乗務員の行動マニュアルを作成
岩手県交通
・岩手県交通では、地震が発生した場合には、乗務員に「逃げる」という方針だけを伝え
ていた。
・東日本大震災を踏まえ、運行中の乗務員の行動マニュアルを作成した。
<運転士行動マニュアル>
(資料:岩手県交通)
R-3
リスク管理(事前対応)編
column
No.47
訓練を義務づけたスクールバス運行マニュアル
群馬県教育委員会
・多くの自治体では、学校における災害対応マニュアルを作成している。
・群馬県教育委員会では、
「学校災害対応マニュアル」の中で、スクールバス運行時の対応
も規定している。
・この中では、緊急事態訓練を、各学期1回程度実施することが義務づけられている。
<スクールバス運行マニュアル>
(資料:「学校災害対応マニュアル」群馬県教育委員会事務局)
R-4
リスク管理(事前対応)編
column
No.48
東海地震に備えバスに緊急地震速報システムを設置
三重交通
・三重交通では、東海地震などの発生が懸念されていることを受け、平成 23 年 6 月1日
から、緊急地震速報システムを配備した。設置されたバスは、山間地域を除く全路線の
88%をカバーし、震度5弱以上の揺れに反応する。
・システムは、気象庁が発信する緊急地震速報を受信した後、変換機を通して信号を送信
し、各バスの無線機に音声が流れる仕組みとなっている。
<三重交通における緊急地震速報システム>
(資料:三重交通ホームページ)
R-5
リスク管理(事前対応)編
No
項目名
実施
内容
関係
機関
R-1-2
重要事項
発災時の安全の確保
職員の安全確保策の整備
・市町村等は、発災時の職員の安全確保の方針を検討し、職員が配置され
た施設の安全対策や職員の避難方法等を検討する。
◎市町村 ◎都道府県
◎国
◎警察
◎交通事業者 NPO等 地域住民
その他
(
)
○職員の安全確保策の検討の流れ(例)
<関係機関との関係>
1.職員の配置状況の把握
・職員の配置施設・人数
・職員の居住地・連絡先 等
2.職員が配置された施設の被害の想定
・耐震性の確認
・津波想定区域内外の確認 等
3.発災時の職員の安全確保の方針の検討
(施設の防災対策、避難方法、安否確認等
の方針検討)
4.職員が配置された施設の防災対策の検討・
実施
詳細
・想定される被害の内容に応じた対策の検討・
実施
5.職員の避難方法の検討
ココがポイント
・職員の避難方法(避難場所・経路等)
・職員の安否確認手段
6.災害時の体制・手順の検討
・災害時の体制・手順を明確化
・避難マニュアル等の作成
交通危機管理行動要領
1.職員の配置状況の把握
・職員の配置場所や人数を把握する。あわせて、職員の居住地、連絡先などについ
ても、把握する。
R-6
リスク管理(事前対応)編
2.職員が配置された施設の被害の想定
・耐震診断やハザードマップ等を基に、職員が配置された施設の耐震性や災害危険
箇所(津波浸水想定区域の内外、土砂災害危険箇所の有無等)を確認し、災害時
の被害の可能性を把握する。
3.発災時の職員の安全確保の方針の検討
・1、2を踏まえ、職員が配置された施設の防災対策や職員の避難方法、安否確
認など発災時の職員の安全確保の方針を検討する。
4.職員が配置された施設の防災対策の検討・実施
・
「2.職員が配置された施設の被害の想定」の結果、被害の可能性がある場合には、
耐震補強や移転など想定される被害の内容に応じた対策を検討し、実施する。
5.職員の避難方法の検討
ココがポイント
・
「2.職員が配置された施設の被害の想定」による被害の可能性の有無にかかわら
ず、屋外避難等が必要な場合も想定し、地域防災計画等を踏まえ、避難場所・経
路を設定する。避難場所・経路がない場合には、市町村等に整備・確保を要請す
ることも考えられる。
・また、避難後の職員の安否確認の手段についても検討する。
6.災害時の体制・手順の検討
・1~5の結果を踏まえ、災害時の職員の安全確保を円滑に行うための体制・手順
を明確化する。
理由・根拠
災害時
の想定
・職員が配置された施設が被害を受ける可能性がある。また、大規模災害時には、職
員の安否確認に時間を要する可能性がある。
・気仙沼営業所、石巻営業所、岡田受託出張所は、津波による甚大な被害があった。
被災地
の声
そのほか、女川車庫、古川営業所も被災した。
(宮城交通)
・従業員の安否については、避難所の名簿、県の安否確認情報、新聞などに従業員の
行方不明者がないかを確認した。3 月中には概ね確認できたが、死亡した社員が確
認できたのは、ゴールデンウィーク過ぎや夏になってからである。(岩手県交通)
地域防災計画 ・避難対策計画(予)
の関連項目 ・避難・救出計画(応)
R-7
リスク管理(事前対応)編
column
No.49
東海地震に備え社員の行動マニュアルを作成
遠州鉄道グループ
・遠鉄グループ(遠州鉄道のほか)では、東海地震に備えて、地震発生時の行動フローや
注意するポイントなど必要な知識が一目で分かる「東海地震ポケット行動マニュアル」
を作成している」。
・また、
「安否確認システム」を導入し、地震が発生した際には、社員が携帯・パソコンな
どから各自の安否情報を登録するこで、管理者は全社員の安否を確認できる仕組みにな
っている。
<東海地震ポケット行動マニュアル>
(資料:遠鉄グループホームページ)
<安否確認システム>
(資料:遠鉄グループホームページ)
R-8
リスク管理(事前対応)編
No
項目名
実施
内容
関係
機関
R-2-1
重要事項
災害対応の体制の確保
組織体制の整備
・市町村等は、災害対応を円滑に実施するため、組織内における交通に係
る担当部署・人員の位置付けを明確化するとともに、関係機関との協力・
連携体制を構築し、災害対応の組織体制を整備する。
◎市町村 ◎都道府県
◎国
◎警察
◎交通事業者 NPO等 地域住民
その他
(
)
○組織体制の検討の流れ(例)
<関係機関との関係>
1.既存計画における組織体制の把握
(地域防災計画等における地域のモビ
リティ確保に係る組織体制、業務内容)
2.災害時の業務内容・業務量の想定
国・都道府県・周辺市町村、交通事業
者等と連携
(災害時における地域のモビリティ確保
に係る業務内容・業務量の想定)
3.災害時の組織体制の方針の検討
ココがポイント
(業務内容・業務量等を踏まえた組織体制
の検討)
詳細
4.災害時の地域のモビリティ確保に係る
担当部署・担当者の検討
ココがポイント
(災害時における組織内の地域のモビリ
ティ確保に係る担当部署・担当者の位
置付け)
5.関係機関の協力・連携体制の検討
ココがポイント
(国・都道府県や周辺市町村による
協力・支援の内容)
6.災害時の体制・手順の検討
・災害時の体制・手順の明確化
・必要に応じて協定の締結
上記関係機関と協議
交通危機管理行動要領
R-9
リスク管理(事前対応)編
1.既存計画における組織体制の把握
・地域防災計画等から災害時の地域のモビリティ確保に係る対応の組織体制、担当
部署・担当者を把握する。担当部署・担当者が担当する他業務についても把握す
る。
2.災害時の業務内容・業務量の想定
・各種の被害想定(ハザードマップ等)や既往災害における対応を踏まえ、災害時
における地域のモビリティ確保に係る業務内容・業務量を想定する。
3.災害時の組織体制の方針の検討
ココがポイント
・災害時における地域のモビリティ確保に係る対応の業務内容・業務量を踏まえ、
必要となる組織体制の方針を検討する。
・大規模災害等において人員が不足する場合の協力・連携を確保するための方針を
検討する。
<災害対応の組織体制のイメージ>
協力・連携
市町村災害対策本部
国
医療・保健担当
都道府県
避難所担当
位置付けの
明確化
交通担当
周辺市町村
…
窓口の一本化
バス事業者 等
協力・連携
体制の構築
4.災害時の地域のモビリティ確保に係る担当部署・担当者
の検討
ココがポイント
・災害時における地域のモビリティ確保に係る各種の業務について、担当部署・担
当者を検討する。
・災害時の対応を円滑に進めるためには、担当する部署・職員の組織内での位置付
けを明確にし、さらに専従できる職員を配置することが望ましい。
・そのため、既存の地域防災計画で交通を担当する部署・職員が他の業務も分担し
ている場合には、交通に係る対応が十分に行えるよう見直しを行う。
・また、対外的な対応は、情報伝達の混乱を避けるため、組織内の窓口を一本化し
ておくことが望ましい。
R-10
リスク管理(事前対応)編
5.関係機関の協力・連携体制の検討
ココがポイント
・大規模な災害が発生した場合には、被災した市町村は様々な対応に追われるため、
当該市町村のみでの対応には限界がある。
・そのため、国、都道府県や同時被災の可能性が少ない周辺市町村との間で、災害
時の協力・連携体制について検討する。
6.災害時の体制・手順の検討
・1~5の結果を踏まえ、災害対応の組織体制の確立を円滑に行うための体制・手
順を明確化する。
・また、必要に応じて、関係機関と協定等を締結する。
参考)交通事業者における組織体制
・災害時には、被災状況の確認、関係機関との連絡、利用者への対応などバスの直接
の運行以外にも様々な業務が発生する。
・しかし、従業員が被災することや通勤手段が確保できないことにより、必要な人員
が不足することも考えられる。
・東日本大震災では、混雑するバス停の乗客の整理や利用者からの電話への対応など
に、多くの人員が必要となった。電話の対応については、震災により仕事がなくな
ったバスガイドを充てるなどの対応も取られている。
・こうしたことから、災害時に想定される業務に必要な人員や災害時に業務量が減少
する部門を把握し、必要人員の不足に対して、業務量が減少する部門の人員を充当
するなど、災害時の従業員不足の対策について検討しておくことが必要である。
※乗務員の確保については R-5-3 乗務員確保体制の整備を参照
理由・根拠
災害時
の想定
・実施すべき業務内容・業務量の増大や職員・従業員の被災により、対応に必要な人
員が不足する可能性がある。
・市民課は交通を担当しているが、火葬業務、窓口業務、避難所の運営の補助や食料
班なども担当しており、交通について十分な対応ができるわけではなく、専門に対
応できる部署や職員も必要ではないか。(釜石市)
被災地
の声
・今回の震災では、県内市町村では、職員も多く被災し、十分な人手を確保できず、
交通事業者の手配などに手が回らないという状況となった。(岩手県)
・災害時には、混雑するバス停の乗客整理、炊き出し、乗務員の送迎など仕事はたく
さんある。乗務員には運行に専念してもらえるように、出勤できた他の従業員で何
とか対応したという状態だった。(宮城交通)
地域防災計画 ・活動体制計画(応)
・相互応援協力計画(応)
の関連項目 ・自衛隊災害派遣要請計画(応)
・応急対策要員確保計画(応)
R-11
リスク管理(事前対応)編
No
項目名
実施
内容
関係
機関
R-2-2
重要事項
災害対応の体制の確保
対応拠点の整備
・市町村等は、災害時の対応拠点となる施設の安全を確保する。
・また、災害時に対応拠点となる施設が使用できない場合も想定し、代替
施設を設定する。
◎市町村 ◎都道府県
◎国
◎警察
◎交通事業者 NPO等 地域住民
その他
(
)
○対応拠点の検討の流れ(例)
<関係機関との関係>
1.対応拠点の被害の想定
・耐震性の確認
・津波想定区域内外の確認 等
被害の可能性がある場合
被害の可能性
がない場合
2.対応拠点の防災対策の
検討・実施
・想定される被害に応じた
対策の検討・実施
3.代替施設の検討
詳細
ココがポイント
・代替施設の検討
代替施設の保有者と協議
4.災害時の体制・手順の検討
上記関係機関と協議
・災害時の体制・手順の明確化
・必要に応じて協定の締結
交通危機管理行動要領
1.対応拠点の被害の想定
・地域防災計画等で定められた災害時の対応拠点となる施設について、耐震診断や
ハザードマップ等を基に、施設の耐震性や災害危険箇所(津波浸水想定区域の内
外、土砂災害危険箇所の有無等)を確認し、災害による被害の可能性を把握する。
2.対応拠点の補強・移転
・
「1.対応拠点の被害の想定」の結果、被害の可能性がある場合には、耐震補強
や移転など想定される被害に応じた対策を実施する。
R-12
リスク管理(事前対応)編
3.代替施設の検討
ココがポイント
・
「1.対応拠点の被害の想定」による被害の可能性の有無にかかわらず、災害時
にライフラインの途絶等により使用できない場合も想定し、代替施設を検討す
る。
・代替施設としては、次のものが考えられる。
<代替施設として考えられる主な施設>
区分
内容
①所有する他施設
行政機関
:支所・出張所等
交通事業者:周辺の営業所等
②他機関の施設
周辺の施設等
③バス(交通事業者の場
車載無線などの通信設備が装備された車両の
合)
活用
4.災害時の体制・手順の検討
・1~3の結果を踏まえ、対応拠点の確保を円滑に行うための体制・手順を明確化
する。
・また、必要に応じて、代替施設の所有者と協定等を締結する。
理由・根拠
災害時
・対応拠点となる施設が被災し、迅速な対応が困難となる可能性がある。
の想定
・通常は本社の 2 階に対策本部を設置するが、停電したことや余震も多かったことか
被災地
の声
ら、屋外に設置し、ラジオや携帯電話での情報収集を行った。(岩手県交通)
・対策本部を設置する本社は倒壊のおそれがあった。建物が安全で、観光バスがある
(無線とテレビが設置されている)本社に隣接する仙台北営業所に対策本部を設け
た。(宮城交通)
地域防災計画 ・防災施設等整備計画(予)
の関連項目
R-13
リスク管理(事前対応)編
column
No.50
災害時の代替施設について警察とバス事業者が協定を締結
神奈川県警高津警察署、東急バス高津営業所
・神奈川県高津警察署は、地震などの大規模災害発生により署庁舎の使用が不能になった
場合に、東急バス株式会社高津営業所を代替施設として使用できる協定を締結した。
バス会社と大災害発生時の代替施設に関する協定を結びました
高津警察署は、11 月 24 日、大災害発生時に警察署庁舎が使用不能となっ
た場合に、代替施設として使用できる協定を高津区内の東急バス高津営業所と
結び、その調印式を行いました。
これは、地震等の大規模な災害が発生し、警察署庁舎が倒壊したり、通信機
能がまひした場合、代替としてバス営業所の研修室等を使用したり、軽油等燃
料の提供を受けることができるというもので、万一の際、迅速な人命救助や治
安維持の体制を確保できるように締結した協定です。
(資料:神奈川県警高津警察署ホームページ)
<神奈川県警高津警察署と東急バス高津営業所の位置関係>
東急バス高津営業所
約 600m
神奈川県警高津警察署
R-14
リスク管理(事前対応)編
No
項目名
実施
内容
関係
機関
R-2-3
重要事項
災害対応の体制の確保
通信・連絡手段の整備
・市町村等は、災害時に被災・復旧状況等の情報収集や各種要請等の情報
伝達を迅速・的確に行うため、関係機関相互の通信・連絡手段を整備す
る。
◎市町村 ◎都道府県
◎国
◎警察
◎交通事業者 NPO等 地域住民
○その他
(通信事業者)
○通信・連絡手段の検討の流れ(例)
<関係機関との関係>
1.通信・連絡手段の整備状況
の把握
・平常時の通信・連絡手段
・災害時の通信・連絡手段
2.災害時の通信・連絡手段
の検討
・多重化・停電対策
・通信障害時の連絡手段
3.通信機器等の検討・整備
詳細
通信事業者等と連携
ココがポイント
ココがポイント
・通信機器、非常用電源等
の検討・整備
4.災害時の体制・手順の検討
・災害時の体制・手順の明確化
・必要に応じて協定の締結
関係機関と協議
交通危機管理行動要領
1.通信・連絡手段の整備状況の把握
・平常時や地域防災計画等で定められた災害時の関係機関との通信・連絡手段の整
備状況を確認する。
2.災害時の通信・連絡手段の検討
ココがポイント
・関係機関相互の災害時の通信・連絡手段を検討する。
・一般の固定電話は、災害時には不通となる可能性が高いことから、衛星電話、無
線等により、通信手段の多重化を図る必要がある。また、停電した場合にも利用
R-15
リスク管理(事前対応)編
できるよう、非常用電源等の停電対策についても検討することが望ましい。
・また、国(総務省、国土交通省)や通信事業者では、通信機器等を備蓄し、災害
時に自治体等に貸出を行っていることから、こうした仕組みの活用も検討するこ
とが望ましい。
・東日本大震災では、災害に備えた通信手段も使用できない状況が発生した。通信
手段が使えない場合も想定し、職員による情報の直接の伝達(使送)などの連絡
手段も検討する必要がある。
<災害時の通信機器の特徴>
区分
固定電話
特徴
・回線切断や基地局被災により不通となる可能性がある
・発災直後はつながりにくくなる(通信制御も行われる)
携帯電話
・固定電話と同様の特徴があるが、固定電話よりも復旧が早い
・東日本大震災では、固定電話不通時に携帯電話が活躍
衛星電話
・一般の電話回線を介しないため、一般の電話が使用できない場
合に有効
・東日本大震災では国土交通省が被災自治体等の通信回復に使用
無線
・一般の電話回線を介しないため、一般の電話が使用できない場
合に有効
・停電時に利用できない場合がある(非常用の電源が必要)
車載
・バッテリーを電源としているため停電時でも利用可能であった
ココがポイント
3.通信機器等の検討・整備
・
「2.災害時の通信・連絡手段の検討」で検討した通信手段について、必要な通信
機器等を検討し、整備を行う。
4.災害時の体制・手順の検討
・1~3の結果を踏まえ、災害時の通信・連絡手段の確保を円滑に行うための体制・
手順を明確化する。
・また、必要に応じて、通信機器等の貸出しを行う機関と協定等を締結する。
理由・根拠
災害時
・通信障害や停電により、平常時の通信・連絡手段が利用できない可能性がある。
の想定
・3/11、12 は電話などが一切通じず、外部への連絡が全くできない状況であった。
被災地
被災等の状況が分からないことが一番不安な状態であるため、情報手段がない中
の声
で、市町村や事業者と密に連絡を取るための情報網の整備が必要である。
(宮城県)
・災害直後は電話が繋がらず、職員が現場に出る際は防災無線を携帯させた。携帯
R-16
リスク管理(事前対応)編
電話が通じるようになってからは、個人の携帯電話が役に立った。(釜石市)
・発災直後は、沿岸部の事業所とも連絡が取れたが、その後、津波により携帯電話
の基地局が被災したため、連絡が取れなくなった。(岩手県交通)
地域防災計画
・通信情報計画(予)
の関連項目
R-17
リスク管理(事前対応)編
No
項目名
実施
内容
関係
機関
R-3-1
重要事項
交通に係る情報の収集・共有
交通情報等の収集・伝達体制の整備
・市町村等は、災害時に交通情報等を収集し、関係機関が共有できる体制
を整備する。
◎市町村 ◎都道府県
◎国
◎警察
◎交通事業者 NPO等 地域住民
その他
(
)
○交通情報等の収集・伝達体制の検討の流れ(例)
<関係機関との関係>
1.既存の情報収集・伝達体制の把握
関係機関との連携
・平常時や災害時の関係機関の情報収集・
伝達体制の把握
2.災害時の情報収集・伝達に関わる
事態の想定
(1)災害時に必要な情報の想定
(2)災害による情報収集・伝達手段
への影響の検証
3.災害時交通情報等の収集・伝達
体制の検討
詳細
ココがポイント
(1)情報の内容の検討
(2)情報の収集方法の検討
(3)情報の伝達方法の検討
(4)各機関への提供方法の検討
4.災害時の体制・手順の検討
・災害時の体制・手順の明確化
・必要に応じて協定の締結
関係機関との協議
交通危機管理行動要領
1.既存の情報収集・伝達体制の把握
・平常時及び地域防災計画等の災害時における関係機関の情報収集・伝達体制(情
報の内容、収集・伝達手段等)を把握する。
2.災害時の情報収集・伝達に関わる事態の想定
(1)災害時に必要な情報の想定
・各種の被害想定(ハザードマップ等)や既往災害などを踏まえ、災害時の対応に
必要な情報を想定する。
R-18
リスク管理(事前対応)編
(2)災害による情報収集・伝達手段への影響の検証
・通信障害・停電等が想定されることから、既存の情報収集・伝達手段が、災害時
においても活用可能かどうかを検証する。
ココがポイント
3.災害時交通情報等の収集・伝達体制の検討
・災害時の対応に必要となる交通情報等の収集・伝達体制を検討する。
・各機関が収集した情報を市町村の災害対策本部等で、一元的に管理を行い、関係
機関と共有できる体制が望ましい。
<情報収集・伝達体制のイメージ>
市町村(又は都道府県)
災害対策本部
道路情報
市町村
都道府県警
公共交通情報
避難所情報
生活関連情報
都道府県
バス事業者
医療機関等
入浴施設
国
鉄道事業者
店舗等
被災者の要望・苦情
(1)情報の内容の検討
・災害時の対応に必要となる情報の内容を検討する。
・公共的交通サービスの提供に当たって、道路情報や被災者の移動のニーズに係る
情報として、避難所、生活関連施設等の状況が必要となる。
・また、優先的に機能を確保すべき道路の被害・復旧状況等の重要な情報や避難所
の設置状況等の初期の対応必要となる情報を、優先的に収集・伝達すべき情報と
して設定する。
<災害時の対応に必要な情報>
項目
道路情報
公共交通情報
避難所情報
内容
被害・復旧状況、交通規制状況等
鉄道・バス・タクシーの運行状況等
避難所の設置状況等
生活関連情報
医療機関、入浴施設、店舗等の再開・設置状況等
被災者ニーズ
要望・苦情等
R-19
リスク管理(事前対応)編
(2)情報の収集方法の検討
・被害及び復旧状況等の情報の収集方法を検討する。
・情報の収集は、施設・サービスを管理・運営する機関が収集することが基本とな
る。しかし、道路のように広範囲にわたり、情報収集に時間を要するものについ
ては、交通事業者等の協力を得て把握することも考えられる。
(3)情報の伝達方法の検討
・収集した情報の伝達手段を検討する。
・情報の伝達については、伝達のモレをなくすため、伝達様式等を事前に作成する。
(4)各機関への提供方法の検討
・市町村災害対策本部・担当部署等から、各機関が必要とする情報を提供する方法
を検討する。
4.災害時の体制・手順の検討
・1~3の結果を踏まえ、災害時の交通に係る情報収集・伝達を円滑に行うための
体制・手順を明確化する。
・また、必要に応じて、情報収集等を依頼する機関と協定等を締結する。
理由・根拠
災害時
の想定
・被害・復旧状況に応じた迅速で的確な対応を図るためには、関連する様々な情報が
必要となる。
・被災者のニーズは、災害対策本部に集まるものや市民課に寄せられる意見から把握
した。また、交通事業者に直接入る要望もあり、打合せで随時確認し、路線・ダイ
被災地
の声
ヤ等の見直しを協議した。(釜石市)
・道路の状況は、交通量の少ない夜間と早朝に 2 人ペアで現地を確認した。道路の被
害状況については、情報が欲しかった。早く道路の状況確認ができていれば、それ
だけ早く運行できたのではないだろうか。(宮城交通)
地域防災計画 ・情報の収集・伝達計画(応)
の関連項目
R-20
リスク管理(事前対応)編
column
No.51
タクシーを活用した被災情報の収集
東京都、東京乗用旅客自動車協会
・東京都では、地域防災計画の指定地方公共機関として東京乗用旅客自動車協会を位置づ
け、災害時の「輸送の確保」に加え、「災害情報の収集・伝達」の協力を求めている。
・
「災害情報の収集・伝達」の協力として、災害時にマスメディアや行政機関に道路状況等
を提供する「タクシー防災レポート車」を導入している。
東京都地域防災計画における位置づけ
○東京乗用旅客自動車協会の役割
1 タクシー、ハイヤーによる輸送の確保に関すること
2 発災時の災害情報の収集・伝達に関すること
○東京乗用旅客自動車協会の報告体制
・「タクシーによる防災情報ネットワーク」により収集した発災直後の被害状況等を、都
に対して、直接または東京放送及びニッポン放送の協力を得て提供する。
(資料:東京都地域防災計画)
タクシー防災レポート車
都内を走るタクシーの中で、
「防災レポート車」はリアフェンダーの左右に「防災レポー
ト車」のステッカーを貼付し、車両屋上に上空からも確認できる表示をしています。
活動その1
大地震・風水害・大事故が発生した時、お客様の安全をはかりな
がら、目撃した被害現場の状況・周辺の様子・道路状況を、搭載し
ている携帯電話(災害時優先電話)で、マスメディア(ラジオ等)
や関係行政機関を通じて迅速に状況を提供いたします。
活動その2
災害の初期消火
や援助に協力する
ため、救助機材を
提供いたします。
救助機材
・携帯電話
・ロープ
・ノコギリ
・救急セット
・ジャッキ
・発煙筒
・消化器
・バール
・赤色旗
(資料:社団法人東京乗用旅客自動車協会ホームページ)
R-21
リスク管理(事前対応)編
No
項目名
実施
内容
関係
機関
R-3-2
重要事項
交通に係る情報の収集・共有
地域住民等への交通情報等の提供体制の整備
・市町村等は、災害時の地域住民等への交通情報等を提供する体制を整備
する。
・また、市町村は関係機関の情報を集約し、地域住民等に一元的に情報提
供する体制を整備する。
◎市町村 ◎都道府県
◎国
◎警察
◎交通事業者 NPO等 地域住民
その他
(
)
○地域住民等への交通情報等の提供体制の検討の流れ(例)
<関係機関との関係>
1.既存の交通情報等の提供体制の
把握
関係機関との連携
・平常時や災害時の地域住民等への情報
提供体制の把握
2.災害時の交通情報等情報提供に関
わる事態の想定
(1)情報ニーズの想定
(2)情報提供手段への影響の検証
詳細
3.災害時の交通情報等の提供体制の
検討
ココがポイント
(1)情報の内容の検討
(2)情報の入手手段の検討
(3)情報の提供手段の検討
4.災害時の体制・手順の検討
・災害時の体制・手順の明確化
・必要に応じて協定の締結
関係機関との協議
交通危機管理行動要領
1.既存の交通情報等の提供体制の把握
・平常時及び地域防災計画等の災害時における地域住民等への交通情報等の提供体
制(情報の内容、提供手段等)を把握する。
R-22
リスク管理(事前対応)編
2.災害時の交通情報等情報提供に関わる事態の想定
(1)情報ニーズの想定
・各種の被害想定(ハザードマップ等)や既往災害などを踏まえ、地域住民等の交
通情報等のニーズを想定する。
(2)情報提供手段への影響の検証
・災害時には、通信障害・停電等が想定されることから、既存の情報提供手段が活
用可能かどうかを検証する。
3.災害時の交通情報等の提供体制の検討
ココがポイント
・災害時の地域住民等への交通情報等の提供体制を検討する。
・地域住民等が、効率的に交通情報等を入手できるよう、各機関が個別に提供する
だけでなく、市町村等が関係機関の情報を集約し、一元的に提供することが望ま
しい。
<地域住民等への情報提供体制のイメージ>
運行情報
運行情報
通行止情報
通行規制情報
臨時バス情報等
バス事業者
鉄道事業者
道路管理者
警察
市町村
情報の一元化
交通に係る情報の一元的
な提供を行う組織
マスコミ
多様な手段の活用
避難所
案内所
ホームページ
広報
テレビ・ラジオ
バス停等
駅等
道路情報板等
メール
バス停等
駅等
地域住民等 案内所 避難所 広報 ホームページメール
道路情報板等
テレビ・ラジオ
(1)情報の内容の検討
・情報ニーズを踏まえ、地域住民に提供する情報の内容を検討する。
・災害時には、被災者の移動ニーズに合わせ、交通情報だけでなく、医療施設・入
浴施設の状況など各種の生活関連情報もあわせて提供することが望ましい。
・また、状況に応じて、自動車の利用等の注意喚起も行うことも考えられる。
<提供する情報内容>
項目
道路情報
内容
被害・復旧状況、交通規制状況等
公共交通情報
鉄道・バス・タクシーの運行状況等
生活関連情報
医療施設、入浴施設、店舗等の再開・設置状況等
注意喚起
自家用車利用自粛、相乗りの呼びかけ等
R-23
リスク管理(事前対応)編
(2)情報の収集方法の検討
・提供する情報の収集方法を検討する。
・提供する情報は、各機関がそれぞれ管理・運営する施設・サービスについて、情
報を収集する。
・市町村等が一元的に情報提供を行う場合には、災害対策本部や関係機関への照会
等による収集方法を検討する。
(3)情報の提供手段の検討
・地域住民等への情報提供手段を検討する。
・災害時には、地域住民等の情報入手の手段・機会が制限されることから、避難所・
交通拠点(鉄道駅、バス)等への掲示、マスコミへの提供など各種の情報提供手
段を検討する。
・また、情報の提供に当たっては、文字情報だけでなく、図化等により分かりやす
く編集することも重要である。
・災害時には、日頃からの情報提供手段も有効であることから、日頃から災害時も
考慮し、各種の情報提供手段を整備することが望ましい。
・災害時の情報提供手段として以下のものが考えられる。
■情報提供手段
手段
概要
避難所へ掲示や広報 ・避難所へのチラシ等の掲示や広報発行による情報
の発行(紙媒体)
提供
案内所等による提供 ・交通拠点等に設置された案内所等における人手に
(人手)
よる情報提供
携帯電話等へのメー ・携帯電話、インターネット等のメールを用いた情
ル配信
報提供
4.災害時の体制・手順の検討
・1~3の結果を踏まえ、災害時の地域住民等への交通情報等提供を円滑に行うた
めの体制・手順を明確化する。
理由・根拠
災害時
の想定
・平常時と異なる交通サービスの提供や移動需要の発生により、地域住民等の交通情
報等へのニーズが高まる。
・第三者的機関が、事業者や交通モードの区別なく公共交通情報を総合的にまとめて
被災地
の声
出すことが望ましい。(八戸市)
・運行時間帯が頻繁に変わっていたので、
「明日はどうなるのか」という問合せが多か
った。また、ホームページを見ても、普段バスを利用しない人には理解しにくいの
で、電話で問合せがある。(八戸市)
地域防災計画 ・広報広聴計画(応)
の関連項目
R-24
リスク管理(事前対応)編
No
項目名
実施
内容
関係
機関
R-4-1
重要事項
交通施設の機能確保
道路の安全確保体制の整備
・道路管理者等は、災害時の緊急的な輸送等を確保するため、交通事業者
等と連携し、優先的に機能を確保すべき道路を設定する。
・これらの道路について、必要な防災対策を実施するとともに、建設業者
と連携し、復旧体制を整備する。
◎市町村 ◎都道府県
◎国
○警察
○交通事業者 NPO等 地域住民
○その他
(建設業者)
○道路の安全確保体制の検討の流れ(例)
<関係機関との関係>
1.道路交通の現況把握
・道路状況 ・交通状況 ・沿道状況
2.災害時の道路交通の想定
・道路の被害の可能性
・災害時に拠点や避難所となる沿道施設
・道路の途絶により孤立する集落等の有無
3.災害時の道路の機能確保の方針
の検討
・道路の機能確保の優先順位の検討
交通事業者等と連携
ココがポイント
詳細
4.道路の防災対策の検討・実施
・道路の機能確保の優先順位も考慮し、
防災対策の実施
5.災害時の道路の復旧体制の検討
・復旧に必要な人員・資機材の確保
6.災害時の体制・手順の検討
・災害時の体制・手順の明確化
・必要に応じて協定の締結
建設業者と連携
ココがポイント
上記関係機関との協議
交通危機管理行動要領
R-25
リスク管理(事前対応)編
1.道路交通の現況把握
・地域内の道路状況、交通状況、沿道状況等を把握する。
2.災害時の道路交通の想定
・防災点検やハザードマップ等を基に、地域内の道路について、地震による損傷や
津波による浸水の有無などを確認し、災害時の被害の可能性を把握する。
・防災拠点や避難所となる施設の位置や道路の途絶により孤立する集落等の有無を
確認する。
3.道路の機能確保の方針の検討
ココがポイント
・関係する道路管理者や交通事業者と協議の上、被災の状況により柔軟な対応が必
要となることにも留意しつつ、災害時に優先的に機能を確保すべき道路を設定す
る。
・優先的に機能を確保すべき道路は、通常地域防災計画に定められる防災拠点や輸
送拠点を結ぶ緊急輸送路の他、発災直後の早い段階での確保が求められる避難所
や孤立する可能性がある施設・地域へのアクセス道路、その他路線バス等の運行
経路などの視点からも検討することが望ましい。
<道路の機能確保の優先順位を検討する際の着目点(例)>
・緊急輸送路、緊急輸送路へのアクセス道路
・病院等主要公共施設や役所、警察署、消防署等防災関係機関を結ぶ路線
・主要な防災拠点に接続する路線
・避難所となる施設、孤立する可能性がある地域へのアクセス道路
・主要な公共交通の運行路線
等
4.道路の防災対策の検討・実施
・
「2.道路交通に係る災害時の想定」で、災害時の危険性が確認された箇所につい
て、
「3.道路の機能確保の方針の検討」で設定した機能確保の優先順位も踏まえ、
計画的に防災対策を実施する。
5.道路の復旧体制の検討
ココがポイント
・災害時の円滑な復旧を図るため、障害物の除去や道路の応急復旧に必要な資機材
を配備する建設業者等と協力し、道路被災時の復旧体制を検討する。
6.災害時の体制・手順の検討
・1~5の結果を踏まえ、災害時の道路の安全確保を円滑に行うための体制・手順
を明確化する。
R-26
リスク管理(事前対応)編
・また、必要に応じて、建設業者等と協定等を締結する。
理由・根拠
災害時
の想定
・道路の被災により、緊急輸送車両の通行や公共交通等の運行に支障が出る可能性が
ある。
・今回の震災では、くしの歯作戦で内陸部と沿岸部を結ぶ幹線道路が早期に啓開され
被災地
の声
たことで、内陸部と沿岸部との交通を確保することができた。(岩手県)
・バスの運行ルートを決めると、そのルートの瓦礫の除去を県の振興局や市が自衛隊
に要請するなど、優先的な対応をしてくれた。
(岩手県交通)
地域防災計画 ・交通施設安全確保計画(予)
の関連項目 ・交通確保・輸送計画(応)
R-27
リスク管理(事前対応)編
column No.52
東日本大震災を踏まえ、緊急輸送ルート確保の活動計画を検討
四国地方幹線道路協議会地域部会
・四国地方幹線道路協議会地域部会(WG)では、道路啓開の議論を皮切りに、各道路管
理者間で共有・連携すべき事項を整理している。
・今後、啓開・復旧オペレーション計画(活動計画)の作成、
(仮称)道路啓開サポートマ
ップの作成・共有により、道路啓開等に有効活用することを想定している。
(関係機関:四国地方整備局、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、西日本高速道路(株)四国支社、本州四国連絡高速道路(株))
道路啓開・復旧オペレー
ションイメージ
(仮称)道路啓開サポー
トマップイメージ
(1/30万、1/10万)
障害
(資料:四国地方整備局ホームページ)
R-28
リスク管理(事前対応)編
No
項目名
実施
内容
関係
機関
R-4-2
重要事項
交通施設の機能確保
交通規制体制の整備
・警察は、関係する道路管理者や交通事業者と連携し、災害による交通の
混乱防止及び緊急時の交通確保のため、交通規制体制を整備する。
〇市町村 〇都道府県
〇国
◎警察
〇交通事業者 NPO等 地域住民
その他
(
)
○交通規制体制の検討の流れ(例)
<関係機関との関係>
1.道路交通の現況把握
2.災害時の道路交通の想定
3.災害時の道路の機能確保の方針
の検討
(R-4-1参照)
4.交通規制の基本的考え方の検討
道路管理者・交通事業者等と連携
・交通規制の区域・区間
・通行を認める車両
等
ココがポイント
5.交通規制の区域・区間の検討
ココがポイント
・交通規制の区域・区間
詳細
ココがポイント
6.通行を認める車両の検討
・通行を認める車両の対象の検討
・通行を認めるの事前登録
7.災害時の体制・手順の検討
道路管理者・交通事業者等と協議
・災害時の体制・手順の明確化
交通危機管理行動要領
1.道路交通の現況把握
2.災害時の道路交通の想定
3.災害時の道路の機能確保の方針の検討
(R-4-1 道路の安全確保体制の整備参照)
4.交通規制の基本的考え方の検討
ココがポイント
・関係する道路管理者や交通事業者と協議の上、災害時の交通規制の区域・区間、
通行を認める車両等の基本的な考え方を検討する。
R-29
リスク管理(事前対応)編
参考)東日本大震災における交通規制の基本的考え方
○指定の範囲を最小限度にとどめる
・規制から除外しなければならない車両が増えると担保が困難、規制効果が低下
【参考】阪神・淡路大震災では、一般道路も含め広く指定
○広めに指定し順次縮小する:指定範囲の逐次拡大は不適切
・道路の復旧状況、交通量、被災地の状況等に応じて規制範囲を縮小
○通行を許可する車両(標章交付)も逐次拡大
(資料:東日本大震災に伴う交通規制、平成23年9月警察庁交通局交通規制課)
5.交通規制の区域・区間の検討
ココがポイント
・関係する道路管理者や交通事業者と協議の上、交通規制を実施する区域・区間は、
「R-4-1 道路の安全確保体制の整備」で検討した優先的に機能を確保する道路
のうち、特に、災害が発生した際に、消防・救急・警察・自衛隊や交通事業者な
どの緊急車両の円滑な通行を確保する観点から検討する。
6.通行を認める車両の検討
ココがポイント
・関係する道路管理者や交通事業者と協議の上、交通規制実施時にも通行を認める
車両を検討する。
・通行を認める車両については、被災者の交通を確保するため、公共的な交通サー
ビスを担うバス等についても、対象とすることが望ましい。
・また、災害対応の円滑な実施のため、確認手続きの省力化・効率化を図るため、
通行を認める車両の事前届出を行うことが望ましい。
7.災害時の体制・手順の検討
・1~6の結果を踏まえ、災害時の交通規制を円滑に行うための体制・手順を明確
化する。
理由・根拠
災害時 ・渋滞等により、緊急輸送車両の通行や公共交通等の運行に支障が出る可能性がある。
の想定
・くしの歯作戦により、内陸部と沿岸部との交通を確保することができた。しかし、
啓開直後は緊急輸送道路に指定され、バスの通行が許可されず、交通事業者からの
被災地
の声
要請もあり、通行許可を県警等にお願いした。
(岩手県)
・県警にバスの緊急車両指定を要請したが、命に直接関わらない限り前例がないこと
などから、最初は難色を示された。しかし最終的には、運輸局長又は県の要請があ
るものについては事業者が申請をすれば通行可能という回答を得た。
(東北運輸局)
地域防災計画 ・交通確保・輸送計画(応)
の関連項目
R-30
リスク管理(事前対応)編
No
項目名
実施
内容
関係
機関
R-5-1
重要事項
輸送に必要な資源の確保
燃料確保体制の整備
・市町村・交通事業者は、燃料取扱事業者等の協力を得て、災害時の輸送
を担う車両に対して、優先的に燃料が供給される体制を整備する。
・地域内での確保が困難な場合も想定し、都道府県・国等を交え、広域的
な燃料確保体制も検討する。
◎市町村 ○都道府県
○国
警察
◎交通事業者 NPO等 地域住民
○その他
(燃料取扱業者)
○燃料確保体制の検討の流れ(例)
<関係機関との関係>
1.平常時の燃料確保の状況の把握
・市町村・交通事業者等の燃料確保・供給体制
・自市町村及び周辺の給油所
2.災害時の燃料確保に係る事態の想定
・給油所等の被災の可能性
・災害時の燃料使用量の想定
3.災害時の燃料確保の方針検討
都道府県、国、燃料取扱業者等
と連携
(災害時の給油拠点や広域的な燃料確保体制、
優先供給車両等の方針検討)
詳細
4.災害時の給油拠点の検討
ココがポイント
・災害時の給油拠点の指定
・燃料の備蓄量の見直し
5.広域的な燃料確保体制の検討
ココがポイント
・都道府県・国等も含めた広域的な燃料確保
体制の検討
6.優先供給車両の検討
ココがポイント
・交通事業者を含めた優先供給車両の検討
・優先供給車両の事前登録
7.災害時の体制・手順の検討
・災害時の体制・手順の明確化
・必要に応じて協定の締結
上記関係機関と協議
交通危機管理行動要領
R-31
リスク管理(事前対応)編
1.平常時の燃料確保の状況の把握
・平常時の市町村・交通事業者等の車両の燃料の確保体制を把握する。
・自市町村及び周辺の給油所を把握する。
2.災害時の燃料確保に係る事態の想定
・地域防災計画、ハザードマップ等を基に、燃料の入手先、給油所等の災害時の被
害の可能性を把握する。
・また、災害時における公共的交通サービスの提供等に必要な燃料使用量等を想定
する。
3.災害時の燃料確保体制の方針の検討
・1、2を踏まえ、災害時の給油拠点や広域的な燃料確保体制、優先供給車両とい
った、燃料確保・供給体制の方針を検討する。
4.災害時の給油拠点の検討・整備
ココがポイント
・自市町村給油所等から災害時の安全性や緊急輸送道路との位置関係を考慮し、災
害時に緊急車両等への給油を行う拠点を指定する。
・災害時の給油拠点に指定された施設は、必要に応じて耐震化や燃料タンクの増設
などを検討・実施する。
5.広域的な燃料確保体制の検討
ココがポイント
・製油所の被災や流通の停滞により、燃料が不足し、地域のみでは対応できない場
合に備え、都道府県・国等を交えて、広域的な燃料確保体制を検討する。
・給油拠点への具体的な供給方法(ドラム缶、ローリー等)についても、検討して
おくことが望ましい。
6.優先供給車両の検討
ココがポイント
・復旧に要する人員・物資に係る輸送だけでなく、被災者の移動を確保する車両も
含めて、災害時に優先的に燃料供給を行う車両を検討する。
・また、災害時に緊急的な輸送を実施する可能性が高い車両については、事前に緊
急輸送車両等として登録し、災害時に円滑な給油が受けられるようにする。
7.災害時の体制・手順の検討
・1~6の結果を踏まえ、災害時の燃料確保を円滑に行うための体制・手順を明確
化する。
・また、必要に応じて、関係機関と協定を締結する。
R-32
リスク管理(事前対応)編
理由・根拠
災害時
の想定
・製油所の被災や流通の停滞により、公共的交通サービスの提供等に必要な燃料が不
足する可能性がある。
・燃料不足が一番苦労した点である。国、県などにお願いしたが、軽油は自衛隊や消
被災地
の声
防の緊急車両が優先され、確保できなかった。
(岩手県交通)
・交通事業者から燃料確保の要請があったたが、十分な確保はできなかった。確保で
きた燃料も、ドラム缶で入ってきたものもあり、事業者によっては、タンクに移し
替える必要があるなど、受け入れ体制と合わない場面もあった。(宮城県)
地域防災計画 ・交通確保・輸送計画(応)
の関連項目
R-33
リスク管理(事前対応)編
column No.53
市町村や民間事業者も含めた燃料優先供給に関する協定
群馬県、群馬県石油協同組合
・群馬県では、東日本大震災を踏まえて、過去に群馬県石油協同組合との間で締結した協定を
見直し、新たに「災害時等におけるガソリン等燃料の供給に関する協定」を締結した。
新たな協定の特徴
・燃料の優先供給を行う対象を、
「避難所等」から大幅に拡充し、緊急通行車両
や医療・福祉関係施設・事業など、民間事業者も含めて、県民の安全を確保
するために重要な施設・車両などを対象とする。
・県と組合との間で締結した協定であるが、市町村から県に要請があった場合
も優先供給の対象とする。
(資料:群馬県ホームページ)
R-34
リスク管理(事前対応)編
No
項目名
実施
内容
関係
機関
R-5-2
重要事項
輸送に必要な資源の確保
車両確保体制の整備
・交通事業者は、災害時の運行に必要な車両を確保するため、車両の被災
を防止するとともに、車両が不足する場合の確保体制を整備する。
市町村
都道府県
国
警察
◎交通事業者 NPO等 地域住民
その他
(
)
○車両確保体制の検討(例)
<関係機関との関係>
1.駐車場・待機場所等の状況
把握
・位置、規模、車両数等
2.駐車場・待機場所等の被害の
想定
・耐震性の確認
・津波想定区域内外の確認 等
被害の可能性がある場合
被害の可能性
がない場合
3.駐車場・待機場所の防災対策
の検討・実施
ココがポイント
・耐震補強、移転 等
4.車両の避難方法の検討
避難場所所有者等と協議
・避難場所、避難経路 等
詳細
5.車両の入手方法の検討
①自社内での融通
②グループ会社からの提供
③業界団体等を通じた
全国からの提供
バス協会等と協議
ココがポイント
6.災害時の体制・手順の検討
上記関係機関と協議
・災害時の体制・手順の明確化
・必要に応じて協定の締結
1.駐車場・待機場所等の状況把握
・駐車場・待機場所等の位置、規模、車両数等を把握する。
2.駐車場・待機場所等の被害の想定
・駐車場・待機場所等について、耐震診断やハザードマップ等を基に、施設の耐震
性や災害危険箇所(津波浸水想定区域の内外、土砂災害危険箇所の有無等)を確
認し、災害による被害の可能性を把握する。
R-35
リスク管理(事前対応)編
3.駐車場・待機場所の防災対策の検討・実施
ココがポイント
・
「2.駐車場・待機場所等の被害の想定」の結果、災害による被害の可能性がある
場合には、駐車場・待機場所等について、耐震補強や移転など想定される被害の
内容に応じた対策を検討し、実施する。
4.車両の避難方法の検討
・
「2.駐車場・待機場所等の被害の想定」による被害の可能性の有無にかかわらず、
車両の避難場所、避難経路を検討する。
・避難場所については、行政機関等から借用することも考えられる。
5.車両の入手方法の検討
ココがポイント
・災害時の車両の確保については、上記対策の実施により、車両の被害を無くすこ
とが基本となるが、車両が被災し、必要な車両が不足する場合も想定し、車両の
入手方法を検討する。
<車両被災時の入手手段>
①自社内で被害が少なかった地域などの車両等を活用
②グループ会社等に依頼し車両を入手
③バス協会等を通じて全国の交通事業者等から入手
6.災害時の体制・手順の検討
・1~5の結果を踏まえ、災害時の車両の確保を円滑に行うための体制・手順を明
確化する。
・必要に応じて、関係機関等と協定等を締結する。
理由・根拠
災害時
の想定
・車両の被災により、公共的交通サービスの提供等に必要な車両が不足する可能性が
ある。
・バスは 31 両流出。これに対して、名鉄グループをはじめ全国のバス会社から 60
被災地
の声
台以上のバスの提供があった。(宮城交通)
・20 両が使用不能になった。まず、内陸部の予備車両を投入した。その後、国際興
業グループ、日本バス協会(路線バス 19 台、貸切バス 1 台)、東京都交通局(路
線バス 19 台)からの提供があった。(岩手県交通)
地域防災計画
の関連項目
R-36
・企業等防災対策計画(予)
リスク管理(事前対応)編
No
項目名
実施
内容
関係
機関
R-5-3
重要事項
輸送に必要な資源の確保
乗務員確保体制の整備
・交通事業者は、災害時に平常時の手段で通勤できない場合も想定し、通
勤手段の提供など乗務員を確保する体制を整備する。
市町村
都道府県
国
警察
◎交通事業者 NPO等 地域住民
その他
(
)
○乗務員確保体制の検討の流れ(例)
<関係機関との関係>
1.乗務員の通勤手段の把握
・自宅
・通勤手段 等
2.災害時の事態の想定
・燃料不足
・交通機関の運休 等
3.災害時の通勤手段の検討
①通勤バスの運行
②ディーゼル車の貸し出し
③燃料の提供 等
ココがポイント
燃料取扱業者と連携
詳細
4.災害時の体制・手順の検討
・災害時の体制・手順の明確化
・必要に応じて協定の締結
燃料取扱業者と協議
1.乗務員の通勤状況の把握
・乗務員の自宅や通勤手段を把握する。
2.災害時の事態の想定
・燃料不足や交通機関の運休などの災害時の乗務員の通勤に影響を与える事態を想定
する。
R-37
リスク管理(事前対応)編
ココがポイント
3.災害時の通勤手段の検討
・
「2.災害時の事態の想定」を踏まえ、平常時の手段で通勤できない場合の通勤手段
の提供など乗務員を確保する手段について検討する。
・燃料の不足や交通機関の運休が発生した場合に、通勤手段の提供方法として、次の
ものが考えられる。
<燃料不足時の通勤手段提供方法>
項目
①通勤バスの運行
内容
・乗務員の自宅から営業所等までの通勤用のバスを
運行する。
②ディーゼル車の貸し
出し
③燃料の提供
・バス運行用に確保する軽油から燃料を融通できる
ディーゼル車を貸し出す。
・燃料取扱業者からガソリンを確保し、乗務員の自
家用車に提供する。
4.災害時の体制・手順の検討
・1~3の結果を踏まえ、災害時の乗務員の確保を円滑に行うための体制・手順を
明確化する。
・また、必要に応じて関係機関と協定を締結する。
理由・根拠
災害時
の想定
・燃料不足や交通機関の運休により、平常時の手段で通勤できず、公共的交通サービ
スの提供等に必要な乗務員が不足する可能性がある。
・燃料不足により、バスの運行だけでなく、バスのドライバーや従業員の通勤にも影
被災地
の声
響がでた。そのためにバスを有効に運行できない状況であった。(東北運輸局)
・ドライバーが何人出社できるのか分からなかったので、毎日ダイヤを改正した。車
両の弾力的な運用(他社名義のバスでの運行等)だけでなく、ドライバーの派遣等
の弾力的な運用があっても良かったのではないかと感じる。(宮城交通)
地域防災計画 ・企業等防災対策計画(予)
の関連項目
R-38
リスク管理(事前対応)編
No
項目名
実施
内容
関係
機関
R-6-1
重要事項
公共的交通サービスの提供
被災者の避難所への移動手段の想定
・市町村は、災害時に孤立する恐れのある集落内住民の避難所への移動手
段を検討する。
・移動手段について、必要に応じて都道府県や交通事業者等を交えて検討
し、協定の締結等、災害に備えた対策を実施する。
◎市町村 ○都道府県
国
警察
○交通事業者 NPO等 地域住民
○その他
(自衛隊)
○被災者の避難所への移動手段の検討の流れ(例)
1.現況の把握
<関係機関との関係>
(1)孤立の恐れのある集落の確認
(2)地域防災計画等での避難に関す
る内容の確認
(3)孤立の恐れのある集落への
交通手段の確認
(4)孤立の恐れのある集落の
災害時の孤立への備えの確認
2.孤立集落対策の検討(1)
(災害時に道路の復旧により孤立を
2.孤立集落対策の検討(2)
(災害時に孤立した場合の対応)
防げる場合の対応)
詳細
道路の復旧
(R-4-1 道路の安全確保体制の
整備参照)
①災害時の避難手段の検討
・集落内にヘリコプターの離着
陸が可能な場所の確保
・複数機関のヘリコプターの
総合的な運用調整
・避難先でのヘリコプターの
着陸箇所から避難所へのバス
の確保
ココがポイント
都道府県、自衛隊、ヘリコ
プター事業者、バス事業者
等への協力要請
②孤立した際の備えの検討
・食料・医薬品の備蓄
・災害時の通信手段の確保
・自主防災組織の組織化、支援
上記の関係機関と協議
3.災害時の体制・手順の検討
・災害時の体制・手順の明確化
・必要に応じて協定の締結
交通危機管理行動要領
R-39
リスク管理(事前対応)編
1.現況の把握
(1)孤立の恐れのある集落の確認
・国や都道府県等の既存の調査結果から、孤立の恐れのある集落を把握する。
・既存の調査結果で整理されていない場合には、以下のような条件をもとに、孤立
の恐れのある集落を想定する。
孤立の可能性を判断する上での条件
・地区または集落へのすべてのアクセス道路が土砂災害危険箇所(土石流
危険渓流、急傾斜地崩壊危険箇所、地すべり危険箇所)または山地災害
危険地区に隣接している。
・船舶の停泊施設がある場合は、地震または津波により当該施設が使用不
可能となるおそれがある。
出典:中山間地等の集落散在地域における孤立集落発生の可能性に関する状況フォローアップ調査 調査結
果(平成 22 年 1 月、内閣府政策統括官(防災担当))
(2)地域防災計画等での避難に関する内容の確認
・地域防災計画等での避難に関する内容を確認する。
(3)孤立の恐れのある集落への交通手段の確認
・孤立の恐れのある集落と周辺地域とを結ぶ平常時の交通手段として、以下に示す
ような事項を確認する。
¾ 道路、船舶の停泊施設、空港、ヘリポートの整備状況
¾ 上記施設を使った陸海空の交通状況
(4)孤立の恐れのある集落での災害時の孤立への備えの確認
・孤立の恐れのある集落での孤立への備えの状況として、以下に示すような事項を
を確認する。
¾ 食料・医薬品の備蓄状況
¾ 災害時の通信手段の確保状況
¾ 自主防災組織の結成状況等
2.孤立集落対策の検討
ココがポイント
(1)孤立集落対策の検討
(災害時に道路の復旧により孤立を防げる場合の対応)
・道路の復旧体制について検討する。
⇒ R-4-1 道路の安全確保の体制整備 参照
R-40
リスク管理(事前対応)編
(2)孤立集落対策の検討
(災害時に孤立した場合の対応)
①災害時の避難手段の検討
・孤立した集落から住民を避難させることを想定して、避難手段を検討する。
¾ 集落内にヘリコプターの離着陸が可能な場所の確保
¾ 複数機関のヘリコプターの総合的な運用調整
¾ 避難先でのヘリコプターの着地箇所から避難所へのバスの確保等
※都道府県、自衛隊、警察、消防、ヘリコプター事業者、バス事業者等に協力
要請を行う。
②孤立した際の備えの検討
・孤立した集落での発災直後、あるいは住民が避難しない場合を想定して、食料や
通信手段等の備えを検討する。
¾ 食料・医薬品の備蓄
¾ 災害時の通信手段の確保
¾ 自主防災組織の組織化、支援等
3.災害時の体制・手順の検討
・1、2の結果を踏まえ、被災者の避難所への輸送を円滑に行うための体制・手順
を明確化する。
・また、必要に応じて、関係機関と協定等を締結する。
理由・根拠
災害時
・中山間地域・沿岸地域等において、道路等の寸断により、孤立する地区や集落が発
生した場合に、孤立を解消するための道路復旧や移動手段の提供が必要になる可能
の想定
被災地
性がある。
-
の声
地域防災計画 ・交通確保・輸送計画(応)
の関連項目 ・避難・救出計画(応)
R-41
リスク管理(事前対応)編
No
項目名
実施
内容
関係
機関
R-6-2
重要事項
公共的交通サービスの提供
軽症者の医療機関への移動手段の想定
・市町村は、災害時における軽症者の医療機関への移動手段を検討する。
・移動手段について、必要に応じて都道府県や交通事業者等を交えて検討
し、協定の締結等、災害に備えた対策を実施する。
◎市町村 ○都道府県
国
警察
○交通事業者 NPO等 地域住民
○その他
(自衛隊)
○軽症者の医療機関への移動手段の検討の流れ(例)
<関係機関との関係>
1.現況の把握
(1)地域防災計画等での災害時の
医療に関する内容の確認
都道府県、日本赤十字社、医
師会、災害拠点病院、消防等
と連携
(2)医療機関の確認
(3)移動手段の確認
2.災害時の軽症者の医療機関への
移動手段の想定(1)
(既存の移動手段で対応可能な場合)
2.災害時の軽症者の医療機関への
移動手段の想定(2)
(臨時の移動手段が必要な場合)
ココがポイント
①既存の路線バスの運行再開
①市町村が所有する車両の活用
車両を所有する部署と調整
②タクシー事業者による輸送
②バス事業者、タクシー事業者等
への要請
交通事業者等へ協力依頼
③都道府県、バス協会、自衛隊等
への要請
都道府県、バス協会、自衛隊
等への協力依頼
詳細
上記の関係機関と協議
3.災害時の体制・手順の検討
・災害時の体制・手順の明確化
・必要に応じて協定の締結
交通危機管理行動要領
1.現況の把握
(1)地域防災計画等での災害時の医療に関する内容の確認
・地域防災計画等における、軽症者の医療施設への輸送に関わる内容を確認する。
(道路計画、医療計画、災害時の被災者の輸送に関わる計画等)
(2)医療機関の確認
・災害拠点病院(基幹災害医療センター、地域災害医療センター)、その他地域の主
な病院の位置、診療科目、病床数等を確認する。
・医療機関の確認の際には、都道府県、日本赤十字社、医師会、災害拠点病院、消
防等と連携する。
R-42
リスク管理(事前対応)編
(3)移動手段の確認
・医療機関と連携して、現在の利用者の利用交通機関、送迎バスの有無等を把握す
る。
2.災害時の軽症者の医療機関への移動手段の想定
ココがポイント
・災害時の被害状況等に応じた複数のケースを想定し、軽症者の医療機関への移動
手段を想定する。
(1)既存の移動手段で対応可能な場合
(既存の路線バスやタクシーでサービス可能で、需要に対して供給が不足しない場
合)
・既存のバス事業者、タクシー事業者と協議して想定する。
(2)臨時の移動手段が必要な場合
(既存の公共交通が運行不可能、あるいは需要に対してサービスの供給が不足する
場合)
①市町村が所有する車両の活用
・市町村が所有する車両(マイクロバス等)を災害時に活用するため、所有車両
の保有状況や災害時の利用方法について検討する。
・市町村内の車両を所有する該当部署と調整が必要である。
②交通事業者等への要請
・バス事業者、タクシー事業者等の車両を活用するため、災害時の利用について
これらの交通事業者等に協力を依頼する。
③都道府県、バス協会、自衛隊等への要請
・①及び②で示した、市町村の自力による臨時移動手段の確保が困難な場合には、
都道府県、都道府県バス協会、自衛隊等に輸送手段の確保を要請することも考
えられる。
3.災害時の体制・手順の検討
・1、2の結果を踏まえ、軽症者の医療機関への輸送を円滑に行うための体制・手
順を明確化する。
・また、必要に応じて、関係機関と協定等を締結する。
理由・根拠
災害時
・負傷者が多く発生し、軽症者の医療機関への輸送に救急車が利用された場合、重症
の想定
被災地
者の輸送に支障が出る可能性がある。
-
の声
地域防災計画 ・交通確保・輸送計画(応)
の関連項目 ・医療・保健計画(応)
R-43
リスク管理(事前対応)編
column
No.54
民間救急やタクシーによる医療機関への輸送の取り組みを災害時にも
活用
東京都、タクシー業者等
・東京民間救急コールセンターでは、安定期の患者の転院搬送や入退院、通院など、緊急
性のない場合に、患者の都合や希望に合わせて移送サービス(有料)を行う、民間救急
(寝台専用または車椅子専用)または「サポートCab」
(一般のタクシー)を、都内全
域を対象に案内している。
・自力での歩行が困難な方は民間救急を、自力での歩行が可能な方は「サポートCab」
を、用途に合わせて利用できる。
・これらは、地域防災計画に位置付けられ、災害時の活用も想定されている。
民間救急
サポート Cab
(資料:東京民間救急コールセンターホームページ)
東京都地域防災計画
第6章 救助・救急対策
第2節 救助・救急体制の整備
(2) 救急体制の整備
○民間患者等搬送事業者、タクシー事業者(サポート Cab)等と連携し、
多数傷病者の搬送補完体制の確立を図る。
(資料:東京都地域防災計画)
R-44
リスク管理(事前対応)編
No
項目名
実施
内容
関係
機関
R-6-3
重要事項
公共的交通サービスの提供
家族等の安否確認のための移動手段の想定
・市町村は、災害時における家族等の安否確認のための移動手段を検討す
る。
・移動手段について、必要に応じて都道府県や交通事業者等を交えて検討
し、協定の締結等、災害に備えた対策を実施する。
◎市町村 ○都道府県
国
警察
○交通事業者 NPO等 地域住民
その他
(
)
○家族等の安否確認のための移動手段の検討の流れ(例)
1.現況の把握
<関係機関との関係>
(1)遺体安置所候補施設の確認
(2)避難場所の確認
(3)移動手段の確認
2.災害時の家族等の安否確認の
ための移動手段の想定(1)
(既存の移動手段で対応可能な場合)
詳細
2.災害時の家族等の安否確認の
ための移動手段の想定(2)
(臨時の移動手段が必要な場合)
ココがポイント
①既存の路線バスの運行再開
①市町村が所有する車両の活用
車両を所有する部署と調整
②タクシー事業者による輸送
②バス事業者、タクシー事業者等
への要請
交通事業者等へ協力依頼
③都道府県、バス協会等への要請
都道府県、バス協会等への
協力依頼
上記の関係機関と協議
3.災害時の体制・手順の検討
・災害時の体制・手順の明確化
・必要に応じて協定の締結
交通危機管理行動要領
1.現況の把握
(1)遺体安置所候補施設の確認
・地域防災計画等における、災害時の遺体安置所候補施設に関する内容を確認する。
(2)避難場所の確認
・災害時に避難所になる可能性のある施設等を確認する。
R-45
リスク管理(事前対応)編
(3) 移動手段の確認
・上記で確認した施設等と連携して、平常時の利用者の利用交通機関を把握する。
2.災害時の家族等の安否確認のための移動手段の想定
ココがポイント
・災害時の被害状況等に応じた複数のケースを想定し、家族等の安否確認のための移
動手段を想定する。
(1)既存の移動手段で対応可能な場合
(既存の路線バスやタクシーでサービス可能で、需要に対して供給が不足しない場
合)
・既存のバス事業者、タクシー事業者と協議して想定する。
(2)臨時の移動手段が必要な場合
(既存の公共交通が運行不可能、あるいは需要に対してサービスの供給が不足する
場合)
①市町村が所有する車両の活用
・市町村が所有する車両(マイクロバス等)を災害時に活用するため、所有車両
の保有状況や災害時の利用方法について検討する。
・市町村内の車両を所有する該当部署と調整が必要である。
②交通事業者等への要請
・バス事業者、タクシー事業者等の車両を活用するため、災害時の利用について
これらの交通事業者等に協力を依頼する。
③都道府県、バス協会等への要請
・①及び②で示した、市町村の自力による臨時移動手段の確保が困難な場合には、
都道府県、都道府県バス協会等に輸送手段の確保を要請することも考えられる。
3.災害時の体制・手順の検討
・1、2の結果を踏まえ、家族等の安否確認のための移動を円滑に行うための体制・
手順を明確化する。
・また、必要に応じて、関係機関と協定等を締結する。
理由・根拠
災害時
・家族等の安否確認のため、複数の避難所や遺体安置所への移動需要が多く発生する
の想定
被災地
可能性がある。
-
の声
地域防災計画 ・交通確保・輸送計画(応)
の関連項目 ・行方不明者等の捜索及び遺体の処理・埋葬計画(応)
R-46
リスク管理(事前対応)編
No
項目名
実施
内容
関係
機関
R-6-4
重要事項
公共的交通サービスの提供
通院のための移動手段の想定
・市町村は、災害時における通院のための移動手段を検討する。
・移動手段について、必要に応じて都道府県や交通事業者等を交えて検討
し、協定の締結等、災害に備えた対策を実施する。。
◎市町村 ○都道府県
国
警察
○交通事業者 NPO等 地域住民
〇その他
(医療機関)
○通院のための移動手段の検討の流れ(例)
1.現況の把握
<関係機関との関係>
(1)地域防災計画等での災害時の
医療に関する内容の確認
都道府県、日本赤十字社、
医師会、災害拠点病院、消
防等と連携
(2)医療機関の確認
(3)避難場所の確認
(4)移動手段の確認
2.災害時の医療機関への移動手段
の想定(1)
(既存の移動手段で対応可能な場合)
2.災害時の医療機関への移動手段
の想定(2)
(臨時の移動手段が必要な場合)
ココがポイント
①既存の路線バスの運行再開
①市町村が所有する車両の活用
車両を所有する部署と調整
②タクシー事業者による輸送
②バス事業者、タクシー事業者等
への要請
交通事業者等へ協力依頼
③都道府県、バス協会等への要請
都道府県、バス協会等への協
力依頼
詳細
上記の関係機関と協議
3.災害時の体制・手順の検討
・災害時の体制・手順の明確化
・必要に応じて協定の締結
交通危機管理行動要領
1.現況の把握
(1)地域防災計画等での災害時の医療に関する内容の確認
・地域防災計画等における、医療施設への輸送に関わる内容を確認する。
(道路計画、医療計画、災害時の被災者の輸送に関わる計画等)
(2)医療機関の確認
・災害拠点病院(基幹災害医療センター、地域災害医療センター)
、その他地域の主
な病院の位置、診療科目、病床数等を確認する。
・医療機関の確認の際には、都道府県、日本赤十字社、医師会、災害拠点病院、消
防等と連携する。
(3)避難場所の確認
・災害時に避難所になる可能性のある施設等を確認する。
R-47
リスク管理(事前対応)編
(4)移動手段の確認
・医療機関と連携して、現在の利用者の利用交通機関、送迎バスの有無等を把握す
る。
2.災害時の医療機関への移動手段の想定
ココがポイント
・災害時の被害状況等に応じた複数のケースを想定し、医療機関への移動手段を想
定する。
(1)既存の移動手段で対応可能な場合
(既存の路線バスやタクシーでサービス可能で、需要に対して供給が不足しない場
合)
・既存のバス事業者、タクシー事業者と協議して想定する。
(2)臨時の移動手段が必要な場合
(既存の公共交通が運行不可能、あるいは需要に対してサービスの供給が不足する
場合)
①市町村が所有する車両の活用
・市町村が所有する車両(マイクロバス等)を災害時に活用するため、所有車両
の保有状況や災害時の利用方法について検討する。
・市町村内の車両を所有する該当部署と調整が必要である。
②交通事業者等への要請
・バス事業者、タクシー事業者等の車両を活用するため、災害時の利用について
これらの交通事業者等に協力を依頼する。
③都道府県、バス協会等への要請
・①及び②で示した、市町村の自力による臨時移動手段の確保が困難な場合には、
都道府県、都道府県バス協会等に輸送手段の確保を要請することも考えられる。
3.災害時の体制・手順の検討
・1、2の結果を踏まえ、通院のための移動を円滑に行うための体制・手順を明確
化する。
・また、必要に応じて、関係機関と協定等を締結する。
理由・根拠
災害時
・災害による負傷者や持病がある方のための通院ニーズの増大と、既存の交通機関の
運休や、身近な医療機関の被災等により、平常時とは異なる対応が求められる可能
の想定
被災地
性がある。
-
の声
地域防災計画 ・交通確保・輸送計画(応)
の関連項目 ・医療・保健計画(応)
R-48
リスク管理(事前対応)編
No
項目名
実施
内容
関係
機関
R-6-5
重要事項
公共的交通サービスの提供
入浴のための移動手段の想定
・市町村は、災害時の入浴移動手段を検討する。
・移動手段について、必要に応じて都道府県や交通事業者等を交えて検討
し、協定の締結等、災害に備えた対策を実施する。
◎市町村 ○都道府県
国
警察
○交通事業者 NPO等 地域住民
○その他
(自衛隊)
○入浴のための移動手段の検討の流れ(例)
<関係機関との関係>
1.現況の把握
(1)既存の入浴施設の把握
都道府県、周辺市町村と連携
(2)避難所の確認
入浴施設と連携
(3)移動手段の確認
2.災害時の入浴施設の想定
(1)災害時に活用できる既存の入浴
施設の想定
(2)入浴施設が不足する場合の臨時の
入浴施設の設置場所の想定
3.災害時の入浴に関わる移動
手段の想定(1)
(既存の移動手段で対応可能な場
担当部署、自衛隊等に確認・
協議
3.災害時の入浴に関わる移動
手段の想定(2)
(臨時の移動手段が必要な場合)
ココがポイント
詳細
・既存の路線バスの運行再開
①市町村が所有する車両の活用
車両を所有する部署と調整
②バス事業者、タクシー事業者等
への要請
交通事業者等へ協力依頼
③都道府県、バス協会等への要請
都道府県、バス協会等への協
力依頼
4.災害時の体制・手順の検討
・災害時の体制・手順の明確化
・必要に応じて協定の締結
上記の関係機関と協議
交通危機管理行動要領
1.現況の把握
(1)既存の入浴施設の把握
・都道府県、周辺市町村と連携を図り、既存の入浴施設を把握する。
(2)避難場所の確認
・災害時に避難所になる可能性のある施設等を確認(一時避難場所は除外)。
R-49
リスク管理(事前対応)編
(3)入浴施設に関わる移動手段の把握
・入浴施設の所有者・管理者と連携して、現在の利用者の利用交通機関、入浴施設
の送迎バスの有無等を把握する。
2.災害時の入浴施設の想定
(1)災害時に活用できる既存の入浴施設の想定
・被害想定を考慮し、災害時に活用できる入浴施設を想定する。
(2)入浴施設が不足する場合の臨時の入浴施設の想定
・入浴施設が不足する場合、臨時の入浴施設の確保するため、自衛隊等に確認・協
議を行う。
3.災害時の入浴に関わる移動手段の想定
ココがポイント
・災害時の被害状況等に応じた複数のケースを想定し、入浴に関わる移動手段を想
定する。
(1)既存の移動手段で対応可能な場合
(既存の路線バスでサービス可能で、需要に対して供給が不足しない場合)
・既存のバス事業者等と協議して想定する。
(2)臨時の移動手段が必要な場合
(既存の公共交通が運行不可能、あるいは需要に対してサービスの供給が不足する
場合)
①市町村が所有する車両の活用
・市町村が所有する車両(マイクロバス等)を災害時に活用するため、所有車両の
保有状況や災害時の利用方法について検討する。
・市町村内の車両を所有する該当部署と調整が必要である。
②交通事業者等への要請
・交通事業者やその他車両所有者等の車両を活用するため、災害時の利用について
これらの交通事業者等に協力を依頼する。
③都道府県、バス協会、自衛隊等への要請
・①及び②で示した、市町村の自力による臨時の移動手段の確保が困難な場合には、
都道府県、都道府県バス協会、自衛隊等に輸送手段の確保を要請することも考え
られる。
4.災害時の体制・手順の検討
・1~3の結果を踏まえ、入浴のための移動を円滑に行うための体制・手順を明確
化する。
・また、必要に応じて、関係機関と協定等を締結する。
R-50
リスク管理(事前対応)編
理由・根拠
災害時
・避難生活の中長期化により、入浴サービスが必要となり、既存や臨時の入浴施設へ
の想定
被災地
の移動手段が必要になる可能性がある。
-
の声
地域防災計画 ・交通確保・輸送計画(応)
の関連項目 ・避難・救出計画(応)
R-51
リスク管理(事前対応)編
No
項目名
実施
内容
関係
機関
R-6-6
重要事項
公共的交通サービスの提供
行政手続きのための移動手段の想定
・市町村は、災害時における被災者の行政手続きのための移動手段を検討
する。
・移動手段について、必要に応じて都道府県や交通事業者等を交えて検討
し、協定の締結等、災害に備えた対策を実施する。
◎市町村 ○都道府県
国
警察
○交通事業者 NPO等 地域住民
その他
(
)
○行政手続きのための移動の検討の流れ(例)
1.現況の把握
<関係機関との関係>
(1)地域防災計画等での災害時の
行政サービスに関する内容の
確認
都道府県、周辺自治体等と連
携
(2)行政サービス提供場所の確認
(3)避難場所の確認
(4)移動手段の確認
2.災害時の行政サービス提供場所
への移動手段の想定(1)
(既存の移動手段で対応可能な場合)
詳細
2.災害時の行政サービス提供場所
への移動手段の想定(2)
(臨時の移動手段が必要な場合)
ココがポイント
①既存のバス路線の運行再開
①市町村が所有する車両の活用
車両を所有する部署と調整
②タクシー事業者による輸送
②バス事業者、タクシー事業者等
への要請
交通事業者等へ協力依頼
③都道府県、バス協会等への要請
都道府県、バス協会等への協
力依頼
上記の関係機関と協議
3.災害時の体制・手順の検討
・災害時の体制・手順の明確化
・必要に応じて協定の締結
交通危機管理行動要領
1.現況の把握
(1)地域防災計画等での災害時の行政サービスに関する内容の確認
・地域防災計画における行政サービスに関わる内容を確認する。
(2)行政サービス提供場所の確認
・地域防災計画の内容を踏まえ、災害時の行政サービス提供場所を確認する。
・広域的な連携による行政サービスの確保の観点から、都道府県、周辺市町村等と
連携を図る。
R-52
リスク管理(事前対応)編
(3)避難場所の確認
・災害時に避難所になる可能性のある施設等を確認(一時避難場所は除外)。
(4)移動手段の確認
・現在の利用者の利用交通機関、送迎バスの有無等を把握する。
2.災害時の行政サービス提供場所への移動手段の想定
ココがポイント
・災害時の被害状況等に応じた複数のケースを想定し、行政サービス提供場所への
移動手段を想定する。
(1)既存の移動手段で対応可能な場合
(既存の路線バスやタクシーでサービス可能で、需要に対して供給が不足しない場
合)
・既存のバス事業者、タクシー事業者と協議して想定する。
(2)臨時の移動手段が必要な場合
(既存の公共交通が運行不可能、あるいは需要に対してサービスの供給が不足する
場合)
①市町村が所有する車両の活用
・市町村が所有する車両(マイクロバス等)を災害時に活用するため、所有車両
の保有状況や災害時の利用方法について検討する。
・市町村内の車両を所有する該当部署と調整が必要である。
②交通事業者等への要請
・バス事業者、タクシー事業者等の車両を活用するため、災害時の利用について
これらの交通事業者等に協力を依頼する。
③都道府県、バス協会等への要請
・①及び②で示した、市町村の自力による臨時移動手段の確保が困難な場合には、
都道府県、都道府県バス協会等に輸送手段の確保を要請することも考えられる。
3.災害時の体制・手順の検討
・1、2の結果を踏まえ、行政手続きのための移動を円滑に行うための体制・手順
を明確化する。
・また、必要に応じて、関係機関と協定等を締結する。
理由・根拠
災害時
・り災証明書等の発行申請をはじめ各種の行政手続きが必要になり、行政サービス提
の想定
被災地
供場所への移動手段が必要になる可能性がある。
-
の声
R-53
リスク管理(事前対応)編
地域防災計画 ・交通確保・輸送計画(応)
の関連項目
R-54
リスク管理(事前対応)編
No
項目名
実施
内容
関係
機関
R-6-7
重要事項
公共的交通サービスの提供
通学のための移動手段の想定
・市町村は、災害時における通学のための移動手段を検討する。
・移動手段について、必要に応じて都道府県や交通事業者等を交えて検討
し、協定の締結等、災害に備えた対策を実施する。
◎市町村 ○都道府県
国
警察
○交通事業者 NPO等 地域住民
○その他
(学校)
○通学のための移動手段の検討の流れ(例)
1.現況の把握
(1)地域防災計画等での災害時の
通学に関する内容の確認
<関係機関との関係>
都道府県、周辺市町村、学校、
想定される代替施設と連携
(2)災害時に被災の可能性のある
学校、代替施設の確認
(3)避難場所の確認
(4)移動手段の確認
2.災害時の通学のための移動手段
の想定(1)
(既存の移動手段で対応可能な場合)
2.災害時の通学のための移動手段
の想定(2)
(臨時の移動手段が必要な場合)
①既存のスクールバス、路線バス
の運行再開
②タクシー事業者による輸送
ココがポイント
①市町村が所有する車両の活用
車両を所有する部署と調整
②バス事業者、タクシー事業者等
への要請
交通事業者等へ要請
③都道府県、バス協会等への要請
詳細
3.災害時の体制・手順の検討
・災害時の体制・手順の明確化
・必要に応じて協定の締結
都道府県、バス協会等への
要請
上記の関係機関と協議
交通危機管理行動要領
1.現況の把握
(1)地域防災計画等での災害時の通学に関する内容の確認
・地域防災計画等における学校、通学に関わる内容を確認する。
(応急教育計画、学校対策等)
(2)災害時に被災の可能性のある学校、代替施設の確認
・災害時に被災の可能性のある学校、および学校が被災して使えなくなった場合の
代替施設の位置、規模等を確認する。
・確認にあたっては、都道府県、周辺市町村、学校、想定される代替施設と連携す
る。
R-55
リスク管理(事前対応)編
(3)避難場所の確認
・災害時に避難所になる可能性のある避難場所を確認(一時避難場所は除外)。
(4)移動手段の確認
・学校、教育委員会と連携して、現在の児童・生徒の利用交通機関、スクールバス
の有無等を把握する。
2.災害時の通学のための移動手段の想定
ココがポイント
・災害時の被害状況等に応じた複数のケースを想定し、通学のための移動手段を想
定する。
(1)既存の移動手段で対応可能な場合
(既存のスクールバス、路線バス、タクシーでサービス可能で、需要に対して供給
が不足しない場合)
・学校、スクールバス事業者、路線バス事業者、タクシー事業者と協議して想定す
る。
(2)臨時の移動手段が必要な場合
(既存の公共交通が運行不可能、あるいは需要に対してサービスの供給が不足する
場合)
①市町村が所有する車両の活用
・市町村が所有する車両(マイクロバス等)を災害時に活用するため、所有車両
の保有状況や災害時の利用方法について検討する。
・市町村内の車両を所有する該当部署と調整が必要である。
②交通事業者等への要請
・バス事業者、タクシー事業者等の車両を活用するため、災害時の利用について
これらの交通事業者等に協力を依頼する。
③都道府県、バス協会等への要請
・①及び②で示した、市町村の自力による臨時移動手段の確保が困難な場合には、
都道府県、都道府県バス協会等に輸送手段の確保を要請することも考えられる。
3.災害時の体制・手順の検討
・1、2の結果を踏まえ、通学のための移動を円滑に行うための体制・手順を明確
化する。
・また、必要に応じて、関係機関と協定等を締結する。
理由・根拠
災害時
の想定
R-56
・既存の交通機関が運休することや、学校が被災して遠方の代替施設への通学が必要
になることで、通学のための移動手段が必要になる可能性がある。
リスク管理(事前対応)編
被災地
-
の声
地域防災計画 ・交通確保・輸送計画(応)
の関連項目 ・文教対策計画(応)
R-57
リスク管理(事前対応)編
No
項目名
実施
内容
関係
機関
R-6-8
重要事項
公共的交通サービスの提供
買い物のための移動手段の想定
・市町村は、災害時における買い物のための移動手段を検討する。
・移動手段について、必要に応じて都道府県や交通事業者等を交えて検討
し、協定の締結等、災害に備えた対策を実施する。
◎市町村 ○都道府県
国
警察
○交通事業者 NPO等 地域住民
○その他
(商業施設)
○買い物のための移動手段の検討の流れ(例)
1.現況の把握
(1)商業施設等の確認
<関係機関との関係>
都道府県、周辺市町村、商
業施設等と連携
(2)避難場所の確認
(3)移動手段の確認
2.災害時の買い物のための移動手段
の想定(1)
(既存の移動手段で対応可能な場合)
①既存の商業施設の送迎バス、
路線バスの運行再開
②タクシー事業者による輸送
2.災害時の買い物のための移動手段
の想定(2)
(臨時の移動手段が必要な場合)
ココがポイント
①市町村が所有する車両の活用
車両を所有する部署と調整
②バス事業者、タクシー事業者等
への要請
交通事業者等への協力要請
③都道府県、バス協会等への要請
都道府県、バス協会等への
協力依頼
詳細
3.災害時の体制・手順の検討
・災害時の体制・手順の明確化
・必要に応じて協定の締結
上記の関係機関と協議
交通危機管理行動要領
1.現況の把握
(1)商業施設等の確認
・災害時の利用が想定される商業施設、商店街について、市町村内及び周辺の市町
村を対象に確認する。
・確認にあたっては、都道府県、周辺市町村、商業施設等と連携する。
(2)避難場所の確認
・災害時に避難所になる可能性のある施設等を確認(一時避難場所は除外)。
(3)移動手段の確認
・商業施設等と連携して、現在の利用者の利用交通機関、送迎バスの有無等を把握
する。
R-58
リスク管理(事前対応)編
2.災害時の買い物のための移動手段の想定
ココがポイント
・災害時の被害状況等に応じた複数のケースを想定し、買い物のための移動手段を
想定する。
(1)既存の移動手段で対応可能な場合
(店舗の送迎バス、路線バス、タクシー等でサービス可能で、需要に対して供給が
不足しない場合)
・商業施設、バス事業者、タクシー事業者等と協議して想定する。
(2)臨時の移動手段が必要な場合
(既存の公共交通が運行不可能、あるいは需要に対してサービスの供給が不足する
場合)
①市町村が所有する車両の活用
・市町村が所有する車両(マイクロバス等)を災害時に活用するため、所有車両
の保有状況や災害時の利用方法について検討する。
・市町村内の車両を所有する該当部署と調整が必要である。
②交通事業者等への要請
・バス事業者、タクシー事業者等の車両を活用するため、災害時の利用について
これらの交通事業者等に協力を依頼する。
③都道府県、バス協会等への要請
・①及び②で示した、市町村の自力による臨時移動手段の確保が困難な場合には、
都道府県、都道府県バス協会等に輸送手段の確保を要請することも考えられる。
3.災害時の体制・手順の検討
・1、2の結果を踏まえ、買い物のための移動を円滑に行うための体制・手順を明
確化する。
・また、必要に応じて、関係機関と協定等を締結する。
理由・根拠
災害時
・既存の交通機関が運休することや、身近な商業施設等が被災して遠方の商業施設へ
の想定
被災地
の買い物が必要になることで、買い物のための移動手段が必要になる可能性がある。
-
の声
地域防災計画 ・交通確保・輸送計画(応)
の関連項目
R-59
リスク管理(事前対応)編
No
項目名
実施
内容
関係
機関
R-6-9
重要事項
公共的交通サービスの提供
多目的な移動のための移動手段の想定
・市町村は、災害時における多目的な移動のための移動手段を検討する。
・移動手段について、必要に応じて都道府県や交通事業者等を交えて検討
し、協定の締結等、災害に備えた対策を実施する。
◎市町村 ○都道府県
国
警察
○交通事業者 NPO等 地域住民
その他
(
)
○多目的な移動のための移動手段の検討の流れ(例)
1.現況の把握
<関係機関との関係>
(1)生活利便施設の確認
都道府県、周辺市町村、生活
利便施設等と連携
(2)避難場所の確認
(3)移動手段の確認
2.災害時の多目的な移動のための
移動手段の想定(1)
(既存の移動手段で対応可能な場合)
2.災害時の多目的な移動のための
移動手段の想定(2)
(臨時の移動手段が必要な場合)
ココがポイント
①既存の路線バスの運行再開
①市町村が所有する車両の活用
車両を所有する部署と調整
②タクシー事業者による輸送
②バス事業者、タクシー事業者等
への要請
交通事業者等への協力依頼
③都道府県、バス協会等への要請
詳細
3.災害時の体制・手順の検討
・災害時の体制・手順の明確化
・必要に応じて協定の締結
都道府県、バス協会等への
協力依頼
上記の関係機関と協議
交通危機管理行動要領
1.現況の把握
(1)生活利便施設の確認
・災害時の利用が想定される生活利便施設(行政サービス提供場所、医療機関、入
浴施設、学校、商業施設等)について、市町村内及び周辺の市町村を対象に確認
する。
・確認にあたっては、都道府県、周辺市町村、生活利便施設等と連携する。
(2)避難場所の確認
・災害時に避難所になる可能性のある施設等を確認(一時避難場所は除外)。
R-60
リスク管理(事前対応)編
(3)移動手段の確認
・生活利便施設と連携して、現在の利用者の利用交通機関、送迎バスの有無等を把
握する。
2.災害時の多目的な移動のための移動手段の想定
ココがポイント
・災害時の被害状況等に応じた複数のケースを想定し、多目的な移動のための移動
手段を想定する。
(1)既存の移動手段で対応可能な場合
(既存のバス路線、タクシー等でサービス可能で、需要に対して供給が不足しない
場合)
・バス事業者、タクシー事業者等と協議して想定する。
(2)臨時の移動手段が必要な場合
(既存の公共交通が運行不可能、あるいは需要に対してサービスの供給が不足する
場合)
①市町村が所有する車両の活用
・市町村が所有する車両(マイクロバス等)を災害時に活用するため、所有車両
の保有状況や災害時の利用方法について検討する。
・市町村内の車両を所有する該当部署と調整が必要である。
②交通事業者等への要請
・バス事業者、タクシー事業者等の車両を活用するため、災害時の利用について
これらの交通事業者等に協力を依頼する。
③都道府県、バス協会等への要請
・①及び②で示した、市町村の自力による臨時移動手段の確保が困難な場合には、
都道府県、都道府県バス協会等に輸送手段の確保を要請することも考えられる。
3.災害時の体制・手順の検討
・1、2の結果を踏まえ、多目的な移動を円滑に行うための体制・手順を明確化す
る。
・また、必要に応じて、関係機関と協定等を締結する。
理由・根拠
災害時
・既存の交通機関が運休することや、身近な施設等が被災して遠方に行くことが必要
になることで、生活利便施設の利用等多目的な移動のための移動手段が必要になる
の想定
被災地
可能性がある。
-
の声
地域防災計画 ・交通確保・輸送計画(応)
の関連項目
R-61
リスク管理(事前対応)編
No
項目名
実施
内容
関係
機関
R-6-10
重要事項
公共的交通サービスの提供
路線バスの運行体制の整備
・バス事業者は、燃料・乗務員等に制約がある場合の既存の路線バスの再
開方針を、沿線の自治体等を交え事前に検討する。
○市町村 ○都道府県
国
警察
◎交通事業者 NPO等 地域住民
その他
(
)
○路線バスの運行体制の検討の流れ(例)
<関係機関との関係>
1.平常時の路線バス運行に係る状況の把握
(1)地域の交通状況
①既存の路線バスの利用状況
②地域の交通流動
(2)燃料の使用状況の把握
2.災害による路線バス運行に係る事態の想定
①運行に必要な資源(燃料・乗務員)の制約
②燃料不足に伴う給油待ち車列による渋滞
3.災害時の運行再開方針の検討
沿線自治体・企業・学校・医
療機関等と連携
・燃料等制約下での運行再開の方針
・給油待ち渋滞等への対応方針
ココがポイント
4.災害時の運行方法の検討
ココがポイント
詳細
・複数の状況を想定した災害時特別ダイヤ
・災害時の需要への対応策
・災害時の情報提供
5.災害時も念頭においた平常時からの利用促進
6.災害時の体制・手順の検討
・災害時の体制・手順の明確化
R-62
ココがポイント
上記関係機関と協議
リスク管理(事前対応)編
1.平常時の路線バス運行に係る状況の把握
(1)地域の交通状況
・地域の路線バスの利用状況等の交通状況を把握する。
・災害時に燃料が不足する場合には、公共交通の運行だけでなく、自家用車利用に
ついても制約を受ける。そのため、自家用車からの転換も考慮し、路線バスの利
用状況だけでなく、地域交通の全体を把握することが望ましい。
・把握する項目として、次のものが考えられる。
①既存の路線バスの利用状況
・利用者数(路線別、曜日別、時間帯別等)
・利用者属性(高齢者・学生・勤め人)
・沿線の企業・学校・医療機関等の立地状況
等
②地域の交通流動
・通勤・通学先
・交通機関分担率
等
(2)燃料の使用状況の把握
・既存の運行内容について、燃料の使用量を把握する。
2.災害による路線バス運行に係る事態の想定
・災害による路線バスの運行に影響を与える事態を想定する。
・路線バスの運行に与える影響は、次のようなものが考えられる。
①運行に必要な資源(燃料・乗務員)の制約
②燃料不足に伴う利用者の増加(自家用車からの転換)
③燃料不足に伴う給油待ち車列による渋滞
3.災害時の運行方針の検討
ココがポイント
・燃料・乗務員の制約により、通常の運行ができない場合に運行の方針(優先して
運行する路線、時間帯)を検討する。
・また、円滑な運行の利用者の増加、給油待ち渋滞等、運行に影響を与える事態へ
の対応方針を検討する。
4.災害時の運行方法の検討
ココがポイント
災害時特別ダイヤのイメージ
・3.で検討した運行方針を基に、具体の運行方
・災害時の燃料の在庫や供給見通しといった燃料
①平日ダイヤ(時間限定)
←
法(以下、災害時特別ダイヤ)を検討する。
多
に必要な燃料・乗務員数等を検討する。
少
不足の程度を事前に想定することは困難であ
・平常時の平日の時間帯を限定したダイヤや休日
→
ることから、複数のケースを想定し、それぞれ
燃
料
使
用
量
②休日ダイヤ
③休日ダイヤ(時間限定)
④地区・路線限定
R-63
リスク管理(事前対応)編
ダイヤでの運行などが考えられる。
・さらに削減が必要な場合として、地区・路線の限定などのダイヤを検討する。
・燃料不足等により自家用車からの転換が想定される場合には、続行便による対応
などの方策も検討する。
・また、発災後の運行再開時に利用を促進するための情報提供などの方策も検討す
る。
5.災害時も念頭においた平常時からの利用促進
ココがポイント
・運行に支障となる渋滞の発生を防ぐためには、地域住民が災害時の不要不急の
移動には公共交通を利用する(マイカーを利用しない)など適時適切な交通行
動をとる必要がある。
・そのためには、公共交通が日頃から交通手段の選択肢の1つに入っていること
が重要であり、自治体等とも連携し平常時から公共交通の利用を促進する。
6.災害時の体制・手順の検討
・1~5 の結果を踏まえ、災害時の路線バスの運行を円滑に行うための体制・手順
を明確化する。
理由・根拠
災害時
の想定
・運行に必要な資源(燃料・乗務員)の制約により、平常時と同様の運行ができない
可能性がある。また、渋滞等により運行に支障が出る可能性がある。
・燃料不足が懸念されたが、盛岡地区では通勤の足を確保するため、3/14 から 3/20
まで、各営業所の幹線路線 2 路線を選び特別ダイヤで運行を再開した。ダイヤ作成
被災地
の声
や時刻表の貼り出し等、時間的な制限の中では 2 路線ぐらいが限度と考えた。(岩
手県交通)
・今回の震災では、燃料不足が最も問題だった。発災時には3日分(16000 リット
ル)しか備蓄がなかった。運休を避けるため、軽油を長く使えるように、運行ダイ
ヤと運行時間帯を工夫した。(八戸市営バス)
地域防災計画 ・交通確保・輸送計画(応)
の関連項目
R-64
リスク管理(事前対応)編
No
項目名
実施
内容
関係
機関
R-6-11
重要事項
公共的交通サービスの提供
鉄道代替輸送の実施体制の整備
・鉄道事業者は、バス事業者等の協力を得て、災害時に、鉄道が運休した
場合の代替輸送の実施体制を整備する。
・また、地域における鉄道の役割を踏まえ、必要に応じて、市町村、都道
府県等の協力を求める。
○市町村 ○都道府県
国
警察
◎交通事業者 NPO等 地域住民
その他
(
)
○鉄道代替輸送の実施体制の検討の流れ(例)
<関係機関との関係>
1.現状の把握
(1)鉄道の利用状況の把握
(2)災害時の安全性の把握
バス事業者へ確認
(3)代替可能な移動手段の確認
2.鉄道運休時の代替輸送手段の想定(1)
(既存の移動手段で対応可能な場合)
・既存のバス路線等による振替輸送
2.鉄道運休時の代替輸送手段の想定(2)
(臨時の移動手段が必要な場合)
・代行輸送
ココがポイント
バス事業者、バス協会等、都
道府県へ事前の協議や協定に
基づき協力要請
3.災害時の体制・手順の検討
詳細
・災害時の体制・手順の明確化
・必要に応じて協定の締結
上記の関係機関と協議
1.現況の把握
(1)鉄道の利用状況の把握
・平常時の鉄道の利用状況(利用者数・利用 OD)を把握する。
(2)災害危険性の把握
・地域防災計画、ハザードマップ等を基に、鉄道の災害危険箇所(津波浸水想定区
域の内外、土砂災害危険箇所の有無等)を把握する。
(3)代替可能な輸送手段の把握
・バス協会・バス事業者等と連携し、代替可能な移動手段を把握する。
・鉄道を代替する輸送手段としては、以下のものが考えられる。
① 既存の公共交通機関による代替
・鉄道路線と並行して運行する路線バス・高速バス等、運休時に代替可能な既存の
R-65
リスク管理(事前対応)編
交通機関の有無、輸送力を把握する。
② 臨時運行による代替
・臨時運行を実施可能な、貸切事業者を含めたバス事業者の保有する輸送力を把握
する。
※鉄道網が密な都市部や都道府県を跨ぐような広域交通については、他の鉄道路線への迂回等も想定されるが、
ここでは、鉄道の代替としてバスを活用することを想定する。
2.鉄道運休時の代替輸送手段の想定
ココがポイント
・災害時の被害状況等に応じた複数ケースを想定し、代替輸送手段を想定する。
・鉄道とバスには輸送力に大きな差があるため、災害時に確保できるバスの輸送力
に応じた対応が必要となる。
(1)既存の輸送手段で対応可能な場合
(並行して既存の路線バスが運行し、想定される需要を賄える場合)
・路線バスを運行するバス事業者に振替輸送への協力を要請する。
※続行便により対応可能な場合を含む。
(2)臨時の輸送手段が必要な場合
(並行する既存の路線バスが運行されていない、又は運行されていても想定される
需要を賄えない場合)
・臨時の代行輸送を行うため、貸切事業者を含むバス事業者に協力を要請する。
・また、複数の事業者による共同運行が必要な場合には、共同運行のための体制に
ついても検討する。
3.災害時の体制・手順の検討
・1~2の結果を踏まえ、災害時の鉄道代替輸送を円滑に行うための体制・手順を
明確化する。
・また、必要に応じて、代替輸送を実施するバス事業者等と協定を締結する。
理由・根拠
災害時 ・鉄道が被災等により運休することで、代替する輸送手段が必要になる可能性がある。
の想定
・JR との間には、運休した時の代行輸送に対関する協定が無かったため、補完する
被災地
の声
バスの運行開始が遅れた。(宮城交通)
・鉄道の代行バスが運行されたが、仙石線などで積み残しが問題となった。鉄道とバ
スでは輸送力に差があり、代替は難しい。始発駅での積み残しもあったが、始発駅
では乗れても、途中駅で乗れないこともあった。(東北運輸局)
R-66
リスク管理(事前対応)編
地域防災計画 ・交通確保・輸送計画(応)
の関連項目
R-67
リスク管理(事前対応)編
No
項目名
実施
内容
関係
機関
R-6-12
重要事項
公共的交通サービスの提供
共助の取り組みの普及啓発
・市町村は、地域コミュニティや NPO、福祉関係団体等と連携し、災害時
も考慮した地域のモビリティ確保に係る共助の取り組みの普及啓発を行
う。
・また、災害時の共助の取り組みに対する支援策についても検討する。
◎市町村
都道府県
国
警察
交通事業者
○NPO等 ○地域住民
その他
(
)
○共助の取り組みの普及啓発の検討の流れ(例)
<関係機関との関係>
1.地域におけるモビリティ確保や防災
に係る取り組み実態の把握
・モビリティ確保に係る取り組み実態の把握
・防災に係る取り組み実態の把握
2.災害時も考慮した地域におけるモビ
リティ確保の取り組みの促進・支援
(1)地域コミュニティ等との意識の共有
(2)取り組みの促進・支援
詳細
ココがポイント
3.災害時の取り組みの支援策の検討
(1)地域コミュニティ等の取り組み支援策
の検討
(2)地域内外のNPO・ボランティア、福祉
分野関係団体等の協力確保
4.災害時の体制・手順の検討
・災害時の体制・手順の明確化
・必要に応じて協定の締結
R-68
地域コミュニティ・NPO・福
祉分野関係団体等との連携
ココがポイント
上記関係機関と協議
交通危機管理行動要領
リスク管理(事前対応)編
1.地域における防災やモビリティ確保に係る取り組み実態の把握
・町内会、自治会といった地域コミュニティの実態や地域で活動する NPO・ボラン
ティアの活動状況を把握する。
・また、災害時において、移動支援も含めた生活支援の必要性が高まると想定され
る高齢者、障がい者等の分布状況、モビリティ確保の実態、福祉分野等関係団体
の活動状況を把握する。
2.災害時も考慮した地域におけるモビリティ確保の取り
ココがポイント
組みの促進・支援
(1)地域コミュニティ等との意識の共有
・地域コミュニティや NPO・ボランティア、福祉分野等関係団体等と災害時におけ
る地域のモビリティに係る問題点・課題を共有する。
(2)取り組みの支援
・事例紹介等により、地域における取り組みを促進し、必要に応じて支援を行う。
・また、地域コミュニティにおける相乗り、送迎といった取り組みについては、平
常時からの導入についても促進・支援を行うことも考えられる。
3.災害時の取り組みの支援策の検討
ココがポイント
(1)地域コミュニティ等への支援策の検討
・災害時における共助的取り組みに対する車両・燃料等の提供といった支援策を検
討する。
(2)地域内外の NPO・ボランティア、福祉分野等関係団体等の協力確保
・災害時には、地域コミュニティ自体が機能しないことも考えられることから、コ
ーディネートを含む地域内外の交通に係る活動が可能な団体等を把握する。
・地域内外の NPO・ボランティア、福祉分野等関係団体等と災害時における協力を
確保する。
4.災害時の取り組みの支援体制・手順の明確化
・1~3の結果を踏まえ、災害時の共助の取り組みの支援を円滑に行うための体制・
手順を明確化する。
・また、必要に応じて、NPO・ボランティア、福祉分野等関係団体等と協定を締結
する。
理由・根拠
災害時
の想定
・自治体や交通事業者のみでは、被災者のニーズに対応した十分な交通サービスが提
供できない可能性がある。
R-69
リスク管理(事前対応)編
・外部からのNPOは、いずれかの時期に撤退しないといけないが、地元にこれを引
き継ぐ素地を作らないといけない。
(全国移動サービスネットワーク)
・元々西和賀町で地域づくり支援、公共交通計画支援などの活動を行ってきており、
いろいろな支援をすることになった。
(支援の一環として、一時帰宅バスを運行)
(い
被災地
の声
わて地域づくりセンター)
・地域のコミュニティが密なので、車の相乗りも行われていたと思う。そのため、移
動で困った、ということは聞かない。(岡田小避難所運営本部)
・石巻市仮設住宅管理室には、カーシェアリング用の専用駐車場の設置の許可や仮設
住宅の所在地、コミュニティの状況等の情報提供といった協力をしてもらっており、
効率よく活動する上で役に立っている。((社)日本カーシェアリング協会)
地域防災計画
の関連項目
R-70
・自主防災組織等育成計画(予)
・ボランティア育成計画(予)
・ボランティア活動計画(応)
リスク管理(事前対応)編
No
項目名
実施
内容
関係
機関
R-7-1
重要事項
パーソナル・モビリティ(個別交通)の活用
パーソナル・モビリティ(個別交通)の普及啓発
・市町村は、地域住民に対して災害時の交通に関する知識や災害時の活用
を想定したパーソナル・モビリティ(個別交通)の普及啓発を行う。
・また、災害時のパーソナル・モビリティ(個別交通)に対する支援策に
ついても検討する。
◎市町村
都道府県
国
警察
交通事業者
NPO等 ○地域住民
○その他
(周辺自治体、燃料取扱業者等 )
○パーソナル・モビリティ(個別交通)の普及啓発の検討の流れ(例)
<関係機関との関係>
1.平常時の交通実態の把握
・交通機関分担状況
等
2.災害による地域交通への影響の把握
・道路寸断、公共交通の被災、車両の喪失等 等
3.災害時のパーソナル・モビリティ(個別交通)
の活用方針の検討
・災害時のパーソナル・モビリティ(個別交通)の活用
方針の検討
4.災害時の交通に係る知識の普及啓発
詳細
・災害による交通への影響
・災害時の交通に係る自治体等の取り組み 等
5.災害も考慮したパーソナル・モビリティ(個別交通)
の普及啓発
・燃料(ガソリン・軽油)不足に強い個別交通
・道路状況の悪化に強い個別交通 等
6.災害時のパーソナル・モビリティ(個別交通)への
支援策の検討
(1)注意喚起
(2)車両・燃料等の提供
7.災害時の対応の明確化
・災害時の体制・手順の明確化
・必要に応じて協定の締結 等
地域住民との連携
ココがポイント
地域住民との連携
ココがポイント
周辺自治体、燃料取扱業者等
との連携
ココがポイント
周辺自治体、燃料取扱業者
等との連携
交通危機管理行動要領
R-71
リスク管理(事前対応)編
1.平常時の地域交通の実態の把握
・平常時の交通の機関分担状況など、平常時の地域交通の実態を把握する。
2.災害による地域交通への影響の把握
・地域防災計画、ハザードマップや既往災害における交通への影響等を踏まえ、道
路寸断、公共交通の被災、車両の喪失等、災害による地域交通への影響を整理す
る。
3.災害時のパーソナル・モビリティ(個別交通)の活用方針の検討
・1、2を踏まえ、災害時のパーソナル・モビリティ(個別交通)の活用に向けた
取り組み方針を検討する。
4.災害時の交通に係る知識の普及啓発
ココがポイント
・東日本大震災等既往災害による交通への影響や地域の災害時の交通に関する取
り組み、発災時の避難方策を含めた災害時における交通行動の留意点について、
地域住民と情報共有し、災害時の交通に関する知識を普及させる。
・地域住民と共有する情報として、次の事項が考えられる。
<地域住民と共有すべき情報>
項目
内容
災害による交通への影響
・車両の被災、燃料不足の可能性
災害時の交通に係る自治
・交通規制
体等の取り組み
・交通確保の方針
災害時における交通行動
・発災時の避難方策(徒歩避難を原則とし、
の留意点
等
・緊急輸送の条件
等
地域の状況により自動車も含めた方策)
・不要不急のマイカー利用を控える
5.災害を考慮したパーソナル・モビリティ(個別交通)の
等
ココがポイント
普及啓発
・災害時には燃料不足や道路状況の悪化等が想定されることから、この様な状況に
おいても、活用可能なパーソナル・モビリティ(個別交通)を普及させる。
・災害時にも活用可能なパーソナル・モビリティ(個別交通)として、以下のもの
などが考えられる。
○燃料(ガソリン・軽油)不足に強いパーソナル・モビリティ(個別交通)
・化石燃料の不足が想定されることから、日頃からEV・LEV・ミニカー等の普
及を促進する。
○道路状況の悪化に強いパーソナル・モビリティ(個別交通)
R-72
リスク管理(事前対応)編
・がれきや浸水等により、平常時の車両による走行が困難になることが想定され
ることから、日頃からパンクレスタイヤ、電動アシスト自転車、水陸両用車等
の普及を促進する。
6.災害時のパーソナル・モビリティ(個別交通)への
ココがポイント
支援策の検討
・災害時には、道路混雑や車両喪失、燃料不足などの状況に応じてパーソナル・モ
ビリティ(個別交通)での対応方針を検討する。
(1)注意喚起
・被災者にマイカーの利用抑制、相乗りの促進といった注意喚起を行う。
(2)車両・燃料等の提供
・災害時のパーソナル・モビリティ(個別交通)への支援策として以下のものなど
が考えられる。
○自転車の提供
・放置自転車や救援物資の自転車を被災者に提供する。自転車は救援物資として
提供を依頼することなども考えられる。
○燃料の提供
・燃料確保の状況や公共的交通サービスの提供状況等により、個人への提供につ
いても検討する。
7.災害時の対応の明確化
・1~6の結果を踏まえ、災害時のパーソナル・モビリティ(個別交通)の支援を
円滑に行うための体制・手順を明確化する。
・また、必要に応じて、関係機関と協定を締結する。
理由・根拠
災害時
・自治体や交通事業者のみでは、被災者のニーズに対応した十分な交通サービスが提
供できない可能性がある。また車両喪失、燃料不足や道路状況により、地域住民等
の想定
被災地
の個別の移動に支障が出る可能性もある。
-
の声
地域防災計画 ・防災知識普及計画(予)
の関連項目 ・生活必需品供給計画(応)
R-73
リスク管理(事前対応)編
column
No.55
徒歩を原則とし、自動車も含めた避難方策の検討の必要性を報告
中央防災会議
・東日本大震災では、自動車
で避難し生存した者も多く
存在した。
・
「中央防災会議
東北地方太
平洋沖地震を教訓とした地
震・津波対策に関する専門
調査会」では、徒歩避難を
原則とし、避難者が自動車
で安全かつ確実に避難でき
る方策について、今後検討
するとの報告をとりまとめ
ている。
(資料:中央防災会議 東北地方太平洋沖地震を教訓とした
地震・津波対策に関する専門調査会報告 参考図表集)
東北地方太平洋沖地震を教訓とした地震・津波対策に関する専門調査会
報告(抜粋)
6.津波被害を軽減するための対策について
(4)津波に対する防災意識の向上
③徒歩避難原則の徹底等と避難意識の啓発
○地震・津波発生時には、地震の揺れやそれに伴う液状化などにより家屋の倒壊、落下物、
道路の損傷や段差が発生したり、渋滞・交通事故が発生するなど多くの課題があること
から、津波からの避難については、これまで徒歩による避難を原則としてきたところで
あり、今後ともその原則を維持することが適切である。
○その一方で、今回の東日本大震災において、自動車で避難し生存した者も多く存在した
という状況を勘案すると、地震・津波発生時においては徒歩による避難を原則としつつ
も、各地域において、津波到達時間、避難場所までの距離や災害時要援護者の存在、避
難路の状況等を踏まえて、やむを得ず自動車により避難せざるを得ない場合において、
避難者が自動車で安全かつ確実に避難できる方策について、今後十分に検討する必要が
ある。
○その上で、各地域の状況に応じた具体的かつ実践的な津波避難計画を作成し、住民等に
周知徹底するなどの取組を実施するべきである。なお、津波避難計画を作成する際は、
地域において避難しなければならない人口、避難場所・津波避難ビル等や避難路・避難
階段などの設置状況などを踏まえ、具体的なシミュレーションや訓練を実施するなど、
できるかぎり実効性を高めるよう努めるべきである。
○地震・津波発生時における自動車による避難については、多くの課題があることから、
例えば運転免許の取得や更新の機会に、地震・津波発生時の自動車による避難の留意点
について継続的な啓発を行うなど工夫を行うべきである。
(資料:東北地方太平洋沖地震を教訓とした地震・津波対策に関する専門調査会
R-74
報告)
リスク管理(事前対応)編
column
No.56
阪神・淡路大震災で得られた教訓をまとめた冊子を作成
神戸市東灘消防署
・神戸市では、阪神・淡路大震災時に得られたアイデアや生活の知恵を、市民等から収集
し、「震災時のサバイバルパッケージ」を作成している。
・消防署からのアドバイスとして、災害時に役立つ様々な物品とともに、災害時のバイク・
自転車の利用について、以下のように記述されている。
<震災時のサバイバルパッケージの内容>
家庭防災編
1
2
3
4
5
6
7
8
9
ガラスシート
トイレの水
懐中電灯
非常食
アウトドア用品
家具
食器棚
冷蔵庫
非常持ち出し袋
救出・救援活動編
1
2
3
4
5
6
ホイッスル
生還
バイク
電柱
担架
ジャッキ
避難生活編
1
2
3
4
5
6
7
8
9
水
食事
カイロ
電気製品
ポリ袋
消毒
トイレ
自転車
照明
【救出・救援活動編—3 バイク】
地震発生後、多くの人がマイカーで移動しよ
うとしました。そのため、大渋滞が発生し、消
防車や救急車などの緊急走行や救援物資の搬
送に大きな障害となりました。
迅速な救援、救出活動を実現するためにも、
地震発生時にはマイカーの使用は自粛し、バイ
クや自転車、徒歩で移動するようご協力を切に
お願いします。また、地震発生後に行動する場
合は、余震や津波に十分注意してください。
【避難生活編—8 自転車】
バイクや自転車の走行には、必ずタイヤの空
気入れや簡易式のパンク修理セットを携帯す
ることをすすめます。路面への落下物で状態が
非常に悪いので、必ずといっていいほどパンク
します。パンクしたからといって乗り合わせる
公共交通機関は、まず動いていません。
(資料:震災時のサバイバルパッケージ(発行:神戸市東灘防火協会、神戸市防災安全公社、監修:神戸
市東灘消防署))
R-75
リスク管理(事前対応)編
column
No.57
「高齢者が利用しやすい移動交通に関する研究会」で高齢者のモビリテ
ィを検討
広島市
広島市では、
「高齢者が暮らしやすい広島のまちづくり」をめざして、高齢者が利用しや
すいパーソナルな移動交通手段の開発促進・普及、高齢者の安全な移動環境整備に取り組ん
でいる。
<「高齢者が利用しやすい移動交通」の検討方針>
(資料:「高齢者が利用しやすい移動交通に関する研究会」第5回研究会資料)
R-76
巻末資料
■内容
巻末資料1
自治体・交通事業者等に対するヒアリング結果
<被災地の声>
巻末資料2
地域防災計画とリスク管理(事前対応)編・
危機管理(災害時対応)編個別シートの対応
巻末資料3
リスク管理(事前対応)編・危機管理(災害時対
応)編個別シートの目的別索引
巻末資料4
リスク管理(事前対応)
・危機管理(災害時対応)
のチェックリスト
巻末資料
巻末資料1
自治体・交通事業者等に対するヒアリング結果
<被災地の声>
資-1
資-2
R リスク管理
(事前対応)
E-1-1
E-1-2
R-1-2 職員の安
全確保策
の整備
職員の安
全確保
乗客の安
全確保
E 危機管理
(災害時対応)
R-1-1 乗客の安
全確保策
の整備
項目1 発災時の安全の確保
重
要
事
項
回答者
-
-
発災直後、ラジオで10m以上の津波が来るとの警報が流れたため、全ての 運行を中止させることとした。
沿岸部を運行する名取市のコミュニティバスについては、車で現地まで行
き、運行を中止させた。
-
-
仙南交通
従業員の安否については、避難所の名簿、県の安否確認情報、新聞などに
従業員の行方不明者がないかを確認した。3月中には概ね確認できたが、
死亡した社員が確認できたのは、ゴールデンウィーク過ぎや夏になってか
らである。
対策本部を設置する本社は倒壊のおそれがあった。
気仙沼営業所、石巻営業所、岡田受託出張所は、津波による甚大な被害が
あった。そのほか、女川車庫、古川営業所も被災した。
協会が入居するビルは古く、2階建ての建物にあとから3階部分を増築した もので、揺れが強く、床に落ちたもので足の踏み場もないような状態と
なった。
会員の被災状況を確認しようとしたが、発災当日は電話もfaxも使えず、ま
た、入居しているビルから避難指示が出たため、何も出来なかった。
岩手県交
通
宮城交通
宮城交通
岩手県バ
ス協会
-
-
-
大船渡営業所と高田バスターミナル(営業所)が津波により、流失した。釜
石営業所の車庫も流失した。
岩手県交
通
-
通常は本社の2階に対策本部を設置するが、停電したことや余震も多かっ
たことから、屋外に設置し、ラジオや携帯電話での情報収集を行った。
岩手県交
通
宮城交通
岩手県交
通
-
停電時には、危ないところを通行するバスには、営業所から人が先回りし
てバスを止めた。
南部バス
八戸市営
バス
災害時には、現場の乗務員の判断・対応によるところが大きい。市営バス
では、対応マニュアルはあったが、停電並びに携帯電話の不通により連絡
手段が途絶えた。机上の検討だけではなく、実態に即した対策を検討して
おくべきかもしれない。
内容
ヒアリング結果
八戸市営
バス
回答者
・地域のモビリティを確保する上での問題・課題
・事前の備えにより計画的な対応が求められる取り組み
:リスク管理(事前対応)編・危機管理(災害時対応)編掲載
-
-
-
-
-
-
発災時に、沿岸部を38台のバスが走っていた。しかし、乗客、従業員とも
に被害はなかった。これは、運が良かったということもあるが、前年に発
生したチリ地震での避難行動の成果だと思う。
沿岸部の営業所では、乗務員などの現場の判断で避難が行われた。
日頃から点呼の際等に津波等の注意について確認していたことや、震災の
2日前の地震でも車両を高台に避難させるなど、発災直後の行動について
は、日頃の取り組みが役に立った。
乗務員には、これまで、「逃げる」という方針だけを伝えていたが、今回
の震災を踏まえ、行動マニュアルを作成した。
-
3/14に津波警報が出た際には停電していなかったので、バスロケの情報
を見て、危険な個所を通行する運転手にはバスロケ車載無線機(携帯電話
方式)で連絡して避難させた。
内容
・事前の備えが役に立った取り組み
・緊急的な対応であったが参考となる取り組み
巻末資料
R リスク管理
(事前対応)
R-2-1 組織体制
の整備
E-2-1
組織体制
の確立
E 危機管理
(災害時対応)
項目2 災害対応の体制の確保
重
要
事
項
市は、バス事業者に対して運行に関する指示を出すなどのことはしていな
い。もっとも、市自体も避難所対応等があり、必ずしも公共交通に特化し
た業務を行える環境ではなかった。
県のバス担当は少数であり、今回の対応は経験がないことばかりで大変
だった。人的な支援があればあったでありがたいが、土地勘がないと難し
いところがあるのではないか。
交通事業者との日頃のコミュニケーションが非常に重要である。いろいろ
なことを交通事業者と言い合えるようになっていないと災害時の対応は難
しい。
今回の震災では、県内市町村では、職員も多く被災し、十分な人手を確保
できず、交通事業者の手配などに手が回らないという状況となった。
-
臨時バスの運行についての関係機関の役割分担、連絡体制を明確にするな
どの検討も行いたい。
自治体の対応は、バス運行の制度に精通しているかどうかが大きく影響し
てくる。日頃から交通への関わりがないと、災害時にどうすればよいか、
どこに問い合わせればよいのかを考えるところから始まるため、対応に時
間がかかる。
八戸市
岩手県
岩手県
岩手県
-
宮城県
宮城県
-
-
-
-
市民課は交通を担当しているが、火葬業務、窓口業務、避難所の運営の補
助や食料班なども担当しており、交通について十分な対応ができるわけで
はなく、専門に対応できる部署や職員も必要ではないか。
内容
釜石市
回答者
・地域のモビリティを確保する上での問題・課題
・事前の備えにより計画的な対応が求められる取り組み
岩手県交
通
宮城県
宮城県
岩手県
岩手県
-
-
釜石市
釜石市
回答者
ヒアリング結果
釜石、大船渡、陸前高田の営業所は、ダイヤなどについて日頃から市の担
当者との付き合いがあり、災害時の窓口となってもらった。
バスの運行について、市町村はどこに問合せをしたらよいか分からず、県
に問合せをしてくるケースもある。県としては,バス等の運行に関わる手
続きや活用ができる補助制度、問い合わせ先などについて整理しアドバイ
スを行っている。県であれば、他市町村の状況も分かるので、手続きの経
験がある市町村の紹介もしている。
仙台への移動手段を確保するため、3/16に道路運送法21条による貸切バ
スによる乗合運行を認めてもらうよう運輸局に要請し、市町村に対してそ
の旨を通知した。市町村は独自にバス事業者に依頼し、最大15の自治体が
臨時バスを運行させた。
県内の市町村は、発災後交通事業者に委託し、無料バスを運行する等した
が、市町村からはこれらの経費の支援要請があり、4/1以降の運行分につ
いて、3ヶ月間を上限に、その1/2を補助することとした。
県では、市町村の要請や避難所への希望調査に基づき、内陸部への一時避
難、入浴支援、患者の輸送の手配を行った。
-
-
県とは鉄道・バスだけでなく、「『減クルマ』キャンペーン」などの取り
組みでも連携しており、平常時から気軽に連絡できる関係はできていた。
発災後も県は経費の支援やアドバイスなど市町村の支援を行っており、県
と市町村はよい関係ができているのではないか。
発災後の交通事業者の対応については、災害直後は混乱するところもあっ
たが、基本的に市民課が対応した。
内容
・事前の備えが役に立った取り組み
・緊急的な対応であったが参考となる取り組み
:リスク管理(事前対応)編・危機管理(災害時対応)編掲載
巻末資料
資-3
重
要
事
項
R リスク管理
(事前対応)
E 危機管理
(災害時対応)
資-4
内容
災害時には、混雑するバス停の人員整理、炊き出しなど仕事はたくさんあ
る。乗務員には運行に専念してもらえるように、他の出勤できた従業員で
なんとか対応したという状態だった。
被災者輸送に対する取りまとめ役の不在(行政から、無償での運行依頼が
たくさん来た。また、県や自治体から要請がバラバラに来たため、整理に
混乱を極めた)
複数の市町村との広域的な連携が必要になったが、自治体間の取りまとめ
役が機能したとは言えず、当社が調整役となった場面もある。広域をまと
める県の役割等対応策が必要。
-
-
バス協会を通じた輸送については、一度輸送要請を受けたところに要請が
集中しているようなところがあり、県北の事業者が県南の輸送を行ってい
るものがある。
協会は全ての事業者に要請を伝えるべきではなかったかと思う。また、要
請の一部なら対応できるような場合も考えられるため、事業者を上手く調
整し、効率的にバスを確保するようなこともあってもよいのではないか。
ただ、現在のバス協会の人員ではこれ以上の対応は難しいと思う。災害時
には、会員事業者が人を出すような仕組みがあってもよいのではないか。
バス協会として災害対応ができるよう対策本部の設置など防災計画のよう
なものが必要である。
また、緊急輸送要請に対応するための具体的なスキーム作りが必要であ
る。
回答者
宮城交通
宮城交通
宮城交通
-
-
仙南交通
岩手県バ
ス協会
・地域のモビリティを確保する上での問題・課題
・事前の備えにより計画的な対応が求められる取り組み
岩手県バ
ス協会
-
岩手県交
通釜石営
業所
岩手県交
通釜石営
業所
-
宮城交通
宮城交通
回答者
ヒアリング結果
会員のために何ができるかを考え、震災発生直後に県への燃料確保の要請
を行った。また、東北バス協議会として、日本バス協会を通して全国のバ
ス事業者に対して中古バス車両の提供依頼を行なった。
平時も通達などがあればその都度、会員に情報提供を行っているが、震災
後は3/18から会員向けに「バス協会だより」を発行し、被害状況、中古
車のあっせん、資金繰り等に関する情報を提供した。基本的にfaxである
が、faxで送信できない場合は郵送した。
事務所が流され運行に必要な帳票等の書類がない事業者(4社)には、必要な
書類を一式送るなどの支援もした。
-
防災会議のメンバーになっていることから防災課とは日頃から面識があ
り、また、ダイヤの調整等で市民課と面識があった。こうした日頃からの
付き合いが、災害時の対応にも役に立っている。
バスの運行に関して担当課と細かな調整があったが、基本的には災害直後
は災害対策本部(防災課)、平常時に近い形でバスを運行するようになっ
てからは市民課が連絡窓口となった。
-
昨年から年1回、各自治体を回って意見交換を行っている。その環境を整
えていたことにより、今回の被災後の調整でも、話し合いをしやすかっ
た。
電話が復旧してから、利用者からの電話が殺到し、震災で仕事が減ったバ
スガイドが対応するなどした。バス停の乗客の整理については、現場に出
たことない部署の職員にもお願いした。
内容
・事前の備えが役に立った取り組み
・緊急的な対応であったが参考となる取り組み
:リスク管理(事前対応)編・危機管理(災害時対応)編掲載
巻末資料
重
要
事
項
E 危機管理
(災害時対応)
E-2-2 対応拠点
の確保
E-2-3 通信・連
絡手段の
確保
R リスク管理
(事前対応)
R-2-2 対応拠点
の整備
R-2-3 通信・連
絡手段の
整備
大船渡営業所と高田バスターミナル(営業所)が、津波により流失した。釜
石営業所の車庫も流失した。
対策本部を設置する本社は倒壊のおそれがあった。
気仙沼営業所、石巻営業所、岡田受託出張所は津波による甚大な被害が
あった。そのほか女川車庫、古川営業所も被災した。
協会が入居するビルは古く、2階建ての建物にあとから3階部分を増築した もので、揺れが強く、床に落ちたもので足の踏み場もないような状態と
なった。
会員の被災状況を確認しようとしたが、発災当日は電話もfaxも使えず、ま
た、入居しているビルから避難指示が出たため何も出来なかった。
岩手県交
通
宮城交通
宮城交通
岩手県バ
ス協会
所管事業の被害状況、運行状況については、管内(東北6県)の交通事業
者に連絡を試みたが、なかなか電話が通じず当日に連絡が取れたのは5事
業者(秋田2社、青森2社、宮城1社)のみである。
通常は本社の2階に対策本部を設置するが、停電したことや余震も多かっ
たことから、屋外に設置し、ラジオや携帯電話での情報収集を行った。
岩手県交
通
-
宮城交通
宮城交通
岩手県交
通
岩手県交
通
岩手県
-
-
東北運輸
局
-
東北運輸
局
回答者
宮城県バ
ス協会
-
内容
自治体からの輸送要請に対応できたことはよかったが、要請が県、バス協
会や事業者などからバラバラに来たため、それぞれ個別に対応している。
県などが全体をみてコーディネートするような仕組みも必要ではないか。
また、県や自治体、バス協会などが人を出し合って、輸送要請に対応する
ようなことができればよいのではないか。バス協会は4人しかおらず、協
会だけでは対応できない。
回答者
宮城県バ
ス協会
・地域のモビリティを確保する上での問題・課題
・事前の備えにより計画的な対応が求められる取り組み
ヒアリング結果
-
-
車両の活用(石巻営業所、古川営業所)や公共施設の借用(気仙沼営業
所)により対応。気仙沼は既存用地での再開は困難。
建物が安全で、観光バスがある(無線とテレビが設置されている)本社に
隣接する仙台北営業所に対策本部を設けた。
大船渡営業所は車両1台を事務所として配備し、現地で再開した。現在
は、高台に移転した仮設の営業所で営業を再開している。高田バスターミ
ナル(営業所)は高台に土地がなく、再開の見込みは立っていない。大船
渡営業所から車両を回している。
夜になり、矢巾営業所から観光バスを一台用意し、そこを対策本部とし
た。21時に運行を終了してからは、県庁前にバスを移動させ、県の対策本
部で情報収集するとともに、県の担当者と翌日の運行について打合せなど
を行った。
県庁内は棚が倒れる等の被害はなく、また、非常用電源があったため停電
せず、通常の業務ができる状況だった。
庁舎は停電していたが非常用電源により照明は点灯した。また、炊事場に
非常用電源を使えるコンセントが一つあることが分かり、そこから延長
コードを引き、自動車交通部のパソコンが1台使えるようになった。これ
により、本省とのパソコンによる連絡も可能になり、災害対策本部の資料
もパソコンで作成したものになった。(震災当日の資料は手書きのもの
だった。)
会員事業者への支援として、以下のことを行った。
① バス譲渡の要請
② 帳票、物資等の支給
③ その他(見舞金の支給や会費の免除等)
内容
・事前の備えが役に立った取り組み
・緊急的な対応であったが参考となる取り組み
:リスク管理(事前対応)編・危機管理(災害時対応)編掲載
巻末資料
資-5
重
要
事
項
R リスク管理
(事前対応)
E 危機管理
(災害時対応)
資-6
-
-
3/11、12は停電もあり電話などが一切通じず、外部との連絡がとれない 宮城県
状況であった。
-
-
被災等の状況が分からないことが一番不安な状態であるため、情報手段が
ない中で、市町村や事業者と密に連絡を取るための情報網の整備が必要で
ある。
今回の震災では、会員事業者の被害状況の確認に時間を要し、緊急輸送へ
の対応も大変だった。
通信が確保できない事態でも、協会と会員事業者が連絡できる方法の検討
や体制が必要である。
-
-
宮城県
宮城県
岩手県バ
ス協会
岩手県交
通釜石営
業所
岩手県交
通
岩手県交
通
-
発災直後に全ての営業所に対し、電話で安全確認(人、施設、運行状況)
を行った。この時点では、沿岸部の事業所とも連絡が取れたが、その後、
津波により携帯電話の基地局が被災したため、沿岸部の営業所とは連絡が
取れなくなった。
バス事業者の電話に利用者の問合せが集中し、市から電話してもつながら
ない状態だった。
八戸市
-
岩手県交
通
交通事業者との連絡体制については、固定電話だけでなく、携帯電話の番
号、メールアドレスを把握しておくと有効である。
岩手県
岩手県
回答者
釜石市
発災直後から交通事業者に被災状況、運行状況を確認するため電話をし
た。固定電話は全く通じない状況であったが、個人の携帯電話には、通信
状況が悪かったものの、繋がることがあった。
岩手県
-
-
内容
災害時には、交通事業者が運輸局、支局の防災用のメールアドレスに被災
状況、運行状況等を報告することになっているが、停電したこともあり報
告がなかった。交通事業者の状況はほとんど把握できない状況であった。
回答者
ヒアリング結果
東北運輸
局
・地域のモビリティを確保する上での問題・課題
・事前の備えにより計画的な対応が求められる取り組み
:リスク管理(事前対応)編・危機管理(災害時対応)編掲載
内容
-
-
被害、運行状況の収集については、直接行き来したり,個人の携帯電話を
活用したりと,さまざまな手段により情報を入手した。
災害直後は電話が通じず、本社や市とも連絡が取れない状況だった。発災
当日に市の災害対策本部から伝令が来て、翌日以降のバス運行の要請が
あった。
災害直後は電話が通じず、本社や市とも連絡が取れない状況だった。3日
目くらいに遠野に携帯電話が通じる場所があることが分かり、本社と連絡
するようにした。その後、都南営業所と無線が通じ、都南営業所を経由
し、本社と連絡を取るようになった。
大船渡営業所は津波により営業所が流失したことから、本社まで直接状況
報告に来るなどの対応が取られた。
災害直後は電話が繋がらず、職員には現場に出る際は防災無線を携帯させ
た。携帯電話が通じるようになってからは、個人の携帯電話が役に立っ
た。電話が通じない中では、関係機関が無線を共有できるとよい。
-
-
運行状況や被災状況等が収集できないことから、各社のバスが集まるバス
センターへ行き、バスセンターで待機するドライバーに状況を聞いたり、
事業者の担当者等の携帯電話の番号を教えてもらったりした。
翌日以降は、個人の携帯電話を中心に、交通事業者に連絡し、被災状況、
運行状況が徐々に入手できるようになってきた。
-
・事前の備えが役に立った取り組み
・緊急的な対応であったが参考となる取り組み
巻末資料
R リスク管理
(事前対応)
E 危機管理
(災害時対応)
R-3-1 交通情報
等の収
集・伝達
体制の整
備
E-3-1 交通情報
等の収
集・伝達
項目3 交通に係る情報の収集・共有
重
要
事
項
-
-
沿岸部の道路状況については独自に調査した。
道路の状況は、交通量の少ない夜間と早朝に2人ペアで現地を確認した。
道路の被害状況については、情報が欲しかった。早く道路の状況確認がで
きていれば、それだけ早く運行できたのではないだろうか。
道路の状況については市の災害対策本部にも確認したが、実際の走行の前
に一度現地を確認した。
道路状況については、試走(現地確認)の他、地図で沿線の商業施設を探
し、そこに電話をかけ、状況を確認した。
発災後の道路の状況確認の方法は徒歩で行っていた。徐々に情報が入って
くるという状態であった。また、自衛隊や建設会社が啓開作業を行ってお
り、報告は受けていたものの、災害対策本部でも全体の把握に苦慮した。
-
-
-
岩手県交
通
宮城交通
岩手県交
通釜石営
業所
仙南交通
釜石市
-
災害時の連絡体制の整備が必要である。営業所には衛星電話、車両には無
線の設置も必要である。
その他、バスロケなどバスの位置を把握できるような設備も必要である。
福島交通
岡田小避
難所運営
本部
釜石市
-
-
-
岩手県交
通
宮城県
岩手県
-
宮城県バ
ス協会
発災直後は停電などにより全く電話が通じなかったため、会員事業者の安
否確認はできなかった。
3/14(月)に電話が通じるようになり、会員事業者と連絡が取れるよう
になったが、三陸地域の事業者とは2、3週間連絡が取れなかった。
回答者
宮城県バ
ス協会
内容
普通の電話回線、災害優先電話回線、携帯電話は全く使えない状態に陥っ 宮城交通
た。また、市内の営業所をつなぐ路線バス用のデジタルMCA無線も、本社
に予備電源がなかったので使えなかった。
宮城交通
回答者
・地域のモビリティを確保する上での問題・課題
・事前の備えにより計画的な対応が求められる取り組み
ヒアリング結果
避難所運営本部は毎朝会議を開催し、これには仙台市の職員と自衛隊員も
参加した。自衛隊の苦竹駐屯地にある、自衛隊のお風呂に週に3日、市の
バスで通った。3月20日ころから4月いっぱい続いた。また、市で書類手
続きなどのため市役所行きのバスも運行され、書類手続きが必要な人は利
用した。
被災者のニーズは、災害対策本部に集まるものや市民課に寄せられる意見
から把握した。
また、交通事業者にも直接入る要望もあり、打合せで随時確認し、路線・
ダイヤ等の見直しを協議した。
-
-
-
幹線的な道路については県が収集した情報を活用した。また、従業員に通
勤ルートの道路の状況を確認するなどを行なった。
道路の被災状況については土木部等が対応していた。県災害対策本部に国
などの関係機関も入っており、情報が集まっていた。交通事業者からの問
い合わせはなかったので各自で確認していたのではないか。
道路の被害状況については、基本的に交通事業者が現地の営業所等で独自
に確認しているが、問い合わせがあったものについては災害対策本部で調
べて回答している。
-
会員事業者の非常時の緊急連絡先を定期的(年1回)に調査している。
一部の事業者は、携帯電話番号を届けており、発災後の連絡に役に立っ
た。固定電話以外の連絡先も必要と考えていたが、個人情報の保護の問題
などもあり、届出があったものをそのままにしていた。
運行しているバスに対し、運行営業所より路線バスのMCA無線を使用し
て、「道路状況に注意して終点まで向かい、その後運行を中止して、営業
所に戻るように」指示した。対策本部では、各営業所に無線を搭載した観
光バスを配置し、情報の収集に努めた。
内容
・事前の備えが役に立った取り組み
・緊急的な対応であったが参考となる取り組み
:リスク管理(事前対応)編・危機管理(災害時対応)編掲載
巻末資料
資-7
重
要
事
項
資-8
E 危機管理
(災害時対応)
E-3-2 地域住民
等への交
通情報等
の提供
R リスク管理
(事前対応)
R-3-2 地域住民
等への交
通情報等
の提供体
制の整備
福島交通
利用者からの交通に対する具体的な問合せに、画一的な情報では対応でき
ない。そのため最終的には人手(コミュニケーション)が重要。
運行時間帯が頻繁に変わっていたので、「明日はどうなるのか」という問
合せが多かった。また、ホームページを見ても、普段バスを利用しない人
には理解しにくいので、電話で問合せがある。
1日あたり600~700件の問合せがあり、3/16には、1日で915件の問 八戸市営
い合わせがあった。
バス
3日後に電話が復旧すると運行状況の問い合わせが殺到した。
-
-
-
八戸市
八戸市
八戸市営
バス
岩手県交
通
-
-
-
-
岩手県バ
ス協会
岩手県交
通乗合事
業部
岩手県交
通
岩手県交
通
岩手県交
通
-
八戸市
八戸市
(事業者別の対応では各々の対応となってしまうので)第三者的機関が、
事業者や交通モードの区別なく公共交通情報を総合的にまとめて出すこと
が望ましい。
宮城県
八戸市
-
-
宮城県バ
ス協会
回答者
一般から鉄道・バスの運行状況の問合せが多くあった。
-
-
-
宮城県
内容
被災状況について報告の統一様式がないため、会員事業者に確認などの作
業が発生し、対応が大変だった。
回答者
宮城県バ
ス協会
・地域のモビリティを確保する上での問題・課題
・事前の備えにより計画的な対応が求められる取り組み
ヒアリング結果
内容
高速バスについて各事業者が情報提供を行っていたが、正確な情報が必要
と考え、関係事業者と協議し、3/16から翌日の各社の運行予定をまと
め、鉄道駅やバスセンター等乗車券販売所に掲示するとともに、県や運輸
支局に提供した。また、最初は高速バスの情報だけであったが、都市間バ
ス、路線バスの情報も提供した。
バスの運行情報は災害対策本部への提供、全バス停へ掲示の他、利用者の
多い盛岡駅、県庁・市役所前、バスセンターの3箇所に人を配置し、案内
などをさせた。
特別ダイヤで運行を再開したため、運行再開の前日深夜に時刻表をバス停
に貼り出した。
災害対策本部は被災状況等の情報を優先するため、バス運行情報について
は十分に周知されないので、災害対策本部の掲示板に運行状況を掲示し、
マスコミ等に提供した。
回線が復旧してからは、ホームページに運行情報を掲載した。
運行状況が変更になる場合には、全停留所・全待合所にお知らせを掲示。
そのほか、ホームページへの情報提供、「ほっとスルメール」(八戸市安
全・安心情報メール)で情報発信、電話での問合せへの対応。
-
八戸中心市街地モビリティセンターでは、各事業者の情報を収集し、分か
りやすく加工し提供。新聞等に掲載される文字情報だけでは利用者は分か
らないのではないか。
今回の災害では、市の職員は人手が割けなかったが、代わりにモビリティ
センターがあったがゆえに情報提供の手助けを担うことができた。
鉄道・バスの運行状況については、3/15あたりから事業者から入手した
情報をHPに掲載した。
道路状況については県・市町村の情報を収集した。
高速バスについて一般からの問合せも多くあったため、3/15から高速バ
ス、鉄道代替バスの運行状況を収集し、宮城県庁、仙台市、東北運輸局、
日本バス協会やJATA(一般社団法人日本旅行業協会)東北支部など
に、震災後約3週間、毎日メールによる情報発信を行った。
-
・事前の備えが役に立った取り組み
・緊急的な対応であったが参考となる取り組み
:リスク管理(事前対応)編・危機管理(災害時対応)編掲載
巻末資料
R リスク管理
(事前対応)
E-4-2 交通規制
の実施
R-4-2 交通規制
体制の整
備
R-5-1 燃料確保
体制の整
備
E-5-1 燃料の確
保
項目5 輸送に必要な資源の確保
E-4-1 道路の安
全確保
E 危機管理
(災害時対応)
R-4-1 道路の安
全確保体
制の整備
項目4 交通施設の機能確保
重
要
事
項
-
高速バスの高速通行の許可は出されたものの、警察担当者が内容を理解し
ておらず、運行の許可がおりるまでに、数時間を要する場面もあった。
岩手県バ
ス協会
-
震災直後は、バスは緊急輸送車両扱いとはされておらず、高速道路など緊
急輸送路の通行はできない状態であった。3/14に北信局から中越地震で
の経験を踏まえ、高速道路を長距離バスが通行できるよう、警察に要請し
てはどうかとのアドバイスがあり、東北運輸局から宮城県警に要請をした
が、命に直接関わらない限りバスを緊急車両にした前例がないことなどか
ら、最初は難色を示された。しかし最終的には、運輸局長または県の要請
があるものについては事業者が申請をすれば通行可能という回答を得た。
東北運輸
局
燃料不足が深刻となり、交通事業者からは燃料を確保できないかとの要請
があった。
燃料列車の運行などにより、徐々に燃料が行き渡るようになったが、燃料
不足は震災後約1ヶ月は続いた。
(内陸部と沿岸部を結ぶ幹線道路は)啓開直後は緊急輸送道路に指定さ
れ、バスの通行が許可されず、交通事業者からの要請もあり、通行許可を
県警等にお願いした。
岩手県
東北運輸
局
発災後、学生の移動や家族の安否確認等で高速バスの利用ニーズがあった
が、高速道路をバスが通行できず、運行が再開できなかったことは問題で
ある。
-
-
八戸市
-
内容
-
-
発災後の道路の状況確認の方法は徒歩で行っていた。徐々に情報が入って
くるという状態であった。また、自衛隊や建設会社が啓開作業を行ってお
り、報告は受けていたものの、災害対策本部でも全体の把握に苦慮した。
回答者
釜石市
-
・地域のモビリティを確保する上での問題・課題
・事前の備えにより計画的な対応が求められる取り組み
岩手県
燃料不足は3月いっぱいまで続いたが、沿岸部ではオイルターミナルから
燃料を確保し、バス事業者に提供もしている。
JR貨物が日本海ルート(青森経由)で燃料列車を運行することとなった。
そこで、東北運輸局鉄道部から、計画停電で列車が止まらないように東北
電力へ要請した。
-
-
通行止めの区間についても県警に相談し、バスは通行の許可をもらうなど
の対応を取ってもらったところもある。
バスの運行ルートを決めると、県の振興局や市がそのルートの瓦礫の除去
を自衛隊に要請するなど、優先的な対応をしてくれた。
今回の震災では、くしの歯作戦で内陸部と沿岸部を結ぶ幹線道路が早期に
啓開されたことで、内陸部と沿岸部との交通を確保することができた。
-
-
東北運輸
局
内容
電気や電話がつながるようになってから、それぞれ以下の情報提供を行っ
た。
・マスコミに運行情報を連日FAXで流した。
・電話の問合せに対応した。
・3/14からホームページを修正した。(名古屋経由で修正)
-
-
:リスク管理(事前対応)編・危機管理(災害時対応)編掲載
・事前の備えが役に立った取り組み
・緊急的な対応であったが参考となる取り組み
-
岩手県交
通
岩手県交
通
岩手県
-
宮城交通
回答者
ヒアリング結果
巻末資料
資-9
資-10
E 危機管理
(災害時対応)
E-5-2 車両の確
保
E-5-3 乗務員の
確保
R リスク管理
(事前対応)
R-5-2 車両確保
体制の整
備
R-5-3 乗務員確
保体制の
整備
難所への移
動手段の想
定
R-6-1 被災者の避
E-6-1 被災者の
避難所へ
の移動手
段の提供
項目6 公共的交通サービスの提供
重
要
事
項
燃料タンクは1週間分もなく、発災直後から燃料がボトルネックとなっ
た。
-
福島交通
-
-
-
ドライバーが何人出社できるのか分からなかったので、毎日ダイヤを改正
した。車両の弾力的な運用(他社名義のバスでの運行等)だけでなく、ド
ライバーの派遣等の弾力的な運用があっても良かったのではないかと感じ
る。
宮城交通
-
燃料不足により、バスの運行だけでなくバスのドライバーや従業員の通勤
にも影響がでた。そのためにバスを有効に運行できない状況であった。
東北運輸
局
31台が流失。
盛岡地区では独自に商社等に掛け合い確保した。秋田からローリー輸送さ
れたが、給油場所を2か所とされたため、盛岡の営業所に給油をお願いし
た。そのため、県南地区への供給に遅れが出た。
岩手県交
通
宮城交通
燃料不足が一番苦労した点である。国、県などにお願いしたが、軽油は自
衛隊や消防の緊急車両が優先され、確保できなかった。
岩手県交
通
バスは乗合車両19台、貸切車両1台が流出した。
今回の震災では、燃料不足が最も問題だった。発災時には3日分
(16000リットル)しか備蓄がなかった。
八戸市営
バス
岩手県交
通
交通事業者からの要望として燃料確保が一番強かった。また、全く想定し
ていなかった事態であり、災害時に燃料を安定的に供給ができる仕組みが
必要である。
宮城県
内容
交通事業者から燃料確保の要請があり、担当する経済商工観光部商工経営
支援課に希望数量を伝えたが、十分な確保はできなかった。結局確保でき
たのは、希望の1~2割ほどである。
確保できた燃料も、ドラム缶で入ってきたものもあり、事業者によって
は、バス営業所のタンクに移し替える必要があるなど、事業者の受け入れ
体制と合わない場面もあった。
宮城県
回答者
・地域のモビリティを確保する上での問題・課題
・事前の備えにより計画的な対応が求められる取り組み
釜石市
発災の翌日の3/12からは、沿岸部の孤立地区から避難所までの被災者の
輸送を行った。
燃料不足で通勤できない乗務員のための通勤バスを運行した。
従業員の車のガソリンがないため、朝の3時くらいから従業員の通勤のた
め小型バスを運行した。夜も各戸を回った。
ディーゼル車を集めて従業員に貸したり、融通の利くガソリンスタンドで
少しずつ従業員に分け与えたりした。
宮城交通
南部バス
-
名鉄グループをはじめ全国のバス会社から60台以上のバスの提供があっ
た。
沿岸部の営業所では、20台のバスが使用不能になり、内陸部の予備車両を
投入した。その後、国際興業グループ、日本バス協会(貸切バス1台)、
東京都交通局(路線バス19台)から車両の提供があった。
燃料については県に依頼し確保した。従業員の通勤用の燃料についてはガ
ソリンスタンドを回り確保した。
知り合いなどに聞いて自力で確保した。トラック会社などは自前でGSを
持っているところがあり、こうしたところから入手した。
県の振興局に燃料の提供を要請したところ、釜石営業所で緊急輸送車両に
も給油する条件で提供された。
-
-
宮城交通
岩手県交
通
福島交通
仙南交通
岩手県交
通釜石営
業所
-
-
-
-
-
被災した仙台港にあるJXのタンクから残った燃料を取り出し配布したこ
となどで、燃料不足は徐々に解消された。
内容
・事前の備えが役に立った取り組み
・緊急的な対応であったが参考となる取り組み
:リスク管理(事前対応)編・危機管理(災害時対応)編掲載
宮城県
回答者
ヒアリング結果
巻末資料
重
要
事
項
-
-
E-6-5 入浴のた
めの移動
手段の提
供
E-6-6 行政手続
きのため
の移動手
段の提供
E-6-7 通学のた
めの移動
手段の提
供
E-6-8 買い物の
ための移
動手段の
提供
E-6-9 多目的な移 -
R-6-5 入浴のため
R-6-6 行政手続
きのため
の移動手
段の想定
R-6-7 通学のた
めの移動
手段の想
定
R-6-8 買い物のた
R-6-9 多目的な移
動のための
移動手段の
想定
めの移動手
段の想定
の移動手段
の想定
動のための
移動手段の
提供
-
-
E-6-4 通院のた
めの移動
手段の提
供
R-6-4 通院のため
-
-
-
-
-
の移動手段
の想定
-
-
E-6-3 家族等の
安否確認
のための
移動手段
の提供
-
-
-
-
-
R-6-3 家族等の
安否確認
のための
移動手段
の想定
回答者
-
E-6-2 軽症者の
医療機関
への移動
手段の提
供
R-6-2 軽症者の
医療機関
への移動
手段の想
定
内容
・地域のモビリティを確保する上での問題・課題
・事前の備えにより計画的な対応が求められる取り組み
E 危機管理
(災害時対応)
R リスク管理
(事前対応)
-
-
仙南交通
-
-
仙南交通
仙南交通
岩手県交
通釜石営
業所
釜石市
回答者
ヒアリング結果
-
-
バス協会を通じて依頼があった農業高校のスクールバス(名取市体育館~
加美農業高校)を運行した。
農業高校は津波により被害を受け、加美農業高校を間借りしたために運行
したものである。
-
-
イオンの依頼により、石巻市で渡波地区などの避難所と石巻日赤病院を結
ぶバスを6/20~7/19まで運行した。
乗車は無料で、運行費用はイオンと仙南交通がそれぞれ1/2ずつ負担し
た。
3/15からボランティアで、災害復興支援バスとして被災場所の視察や遺
体安置所と避難所を結ぶバスを運行した。このバスは、市役所の担当者が
乗車し、行き先を指示しながら運行するような形だった。家族の捜索や自
宅の状況確認などで利用されていた。
発災の翌日から道路が通行できないことから、沿岸部に残された被災者を
内陸の市の体育館等までヘリコプターで輸送しており、そこから、市内の
避難所へ輸送を行った。
3/14頃から、被災者のニーズに合わせ避難所間や避難所と遺体安置所、
医療機関を結ぶバスを運行した。
内容
・事前の備えが役に立った取り組み
・緊急的な対応であったが参考となる取り組み
:リスク管理(事前対応)編・危機管理(災害時対応)編掲載
巻末資料
資-11
重
要
事
項
資-12
E 危機管理
(災害時対応)
E-6-10 路線バス
の運行
R リスク管理
(事前対応)
R-6-10 路線バス
の運行体
制の整備
-
バスの運行時間を頻繁に変えるのは、利用者には分かりにくいかもしれな
い。
災害時のバスの運行時間等を検討する際には、学校等の関係機関に確認を
することが重要である。発災の時期によっては、バスへの影響の大きさは
変わる。今回は学校が春休みの時期だったが、通常の時期であれば影響は
さらに大きかったと考えられる。
-
今考えるともう少し運行できたと思うが、燃料が不足し、運行判断が慎重
になった。
-
八戸市
八戸市営
バス
-
-
岩手県交
通
内容
盛岡地区では、一部の沿線市町村から運休した路線の再開の要望もあっ
た。
今回のような燃料の不足等により通常の運行ができない場合に、どのよう
な路線を優先的に再開させるかなどを、事前に市町村と話し合ってもよい
のではないか。
岩手県交
通乗合事
業部
回答者
・地域のモビリティを確保する上での問題・課題
・事前の備えにより計画的な対応が求められる取り組み
岩手県交
通
釜石市
南部バス
-
-
八戸市営
バス
岩手県交
通
回答者
ヒアリング結果
これだけの震災であれば、土日に遊びに出る人はいないだろうと考え、ま
た、燃料不足も懸念されたことから、翌日、翌々日は運休とした。
盛岡地区では通勤の足を確保するため、3/14から3/20まで、各営業所の
幹線路線2路線を選び特別ダイヤで運行を再開した。ダイヤ作成や時刻表
の貼り出し等時間的な制限の中では、2路線ぐらいが限度と考えた。
県南地区の路線バスは通学で主に利用されており、発災後休校となると考
え運休を決定した。3/21は沿岸部を除く県南地区でも土日ダイヤで運行
を再開した。4/4からは通常ダイヤで運行を再開した。
3/16からは道路の開通状況に合わせながら、運行経路や運行本数など随
時見直しを行いつつ、鈴子町(教育センター、釜石駅近傍)を起点とした
既存のバス路線に近い循環バスを無料で運行している。鈴子町を起点とし
たバス路線は震災前からバス路線の効率化のために検討していたものであ
る。
軽油不足で苦労した。これに対処するため、土曜日ダイヤにするとともに
19時以降を運休にして便数を減らした。
-
-
今回の震災では、燃料不足が最も問題だった。発災時には3日分
(16000リットル)しか備蓄がなかった。運休を避けるため、軽油を長
く使えるように、運行ダイヤと運行時間帯を工夫した。(軽油が不足して
いたため、通常ダイヤに戻せなかった)
燃料不足であったが、盛岡地区では通勤の足を確保するため、3/14から
各営業所の幹線路線2路線を選び運行を再開した。その他の地区の路線バ
スは通学で主に利用されており、発災後は休校となると考え運休を決定し
た。今考えるともう少し運行できたと思うが、燃料が不足し、運行判断が
慎重になった。東日本大震災を踏まえ、燃料の使用量を考慮した緊急時特
別ダイヤを事前に作成する予定である。
内容
・事前の備えが役に立った取り組み
・緊急的な対応であったが参考となる取り組み
:リスク管理(事前対応)編・危機管理(災害時対応)編掲載
巻末資料
重
要
事
項
E 危機管理
(災害時対応)
E-6-11 鉄道代替
輸送の実
施
E-6-12 共助の取
り組みの
支援
R リスク管理
(事前対応)
R-6-11 鉄道代替
輸送の実
施体制の
整備
R-6-12 共助の取
り組みの
普及啓発
回答者
-
-
-
JRとは運休した時の代行輸送に関する協定が無かったため、補完するバス 宮城交通
の運行開始が遅れた。
宮城交通
-
JR東日本の代行バスについては、通常JR東日本のサポートセンターがバ 仙南交通
ス事業者に要請することになっているが、JR東日本は路線の復旧を最優先
させるため、代行バスは、地域で対応してほしいということだった。
仙南交通
外部からのNPOはいずれかの時期に撤退しないといけないが、地元にこ
れを引き継ぐ素地を作らないといけない。 しかし、元々コミュニティ活動
の文化が無く、排他的な地域で、外から来た人たちが、「こうやってNP
Oを作って、お互い話し合いながら、支え合ってやりなさい」と言っても
受け入れてもらえない。地元から自然発生的に生まれてくるのを待つしか
ない。
-
-
全国移動
サービス
ネット
ワーク
-
-
岡田小避
難所運営
本部
いわて地
域づくり
支援セン
ター
いわて地
域づくり
支援セン
ター
岩手県
岩手県交
通
宮城県
県全体を見渡した時の話として、災害時に交通機関が運休となった場合
に、どこの市町村が困るのか、また、代替する交通手段やルートなどの対
応について、事前に検討しておくとよいのではないか。
東北運輸
局
宮城県
内容
在来線については代行バスが運行されたが、仙石線などで積み残しが問題
となった。鉄道とバスでは輸送力に差があり、代替は難しい。始発駅(バ
ス停)での積み残しもあったが、始発駅では乗れても、途中駅では満員で
乗れないこともあった。
東北運輸
局
回答者
・地域のモビリティを確保する上での問題・課題
・事前の備えにより計画的な対応が求められる取り組み
ヒアリング結果
地域のコミュニティが密なので、車の相乗りも行われていたと思う。その
ため移動で困ったということは聞かない。日頃からの町内会活動や学校と
の交流など円滑なコミュニティの下地があったので、対応がスムーズにで
きた。
避難直後は、代表者も自治会等もなく、コミュニティが形成されていな
かったが、要望を聞いていくうちに、避難者の代表が出てきて、後にキー
マンになる「幹事」(4人)が決まった。(物事を進める上で、これが大
きかった)
元々西和賀町で地域づくり支援、公共交通計画支援などの活動を行ってき
ており、役場とのつながりがあった。4/18に「いわセン」側から、何か
できることはないかと飛び込んだところ、町民課から手伝ってほしいと言
われ、いろいろな支援をすることになった。(支援の一環として、一時帰
宅バスを運行)
被災地を結ぶ高速バスは複数のバス停を使用すると混乱するため、公平に
乗車できるよう、バスの起終点を2ヵ所に限定し運行した。
仙台市中心部への移動、県外への避難、通院のために広域路線が必要にな
り、バスの自由化で撤退せざるを得なかった廃止路線を復活させ運行し
た。
3/22~4/2まで、名取市の要請で名取駅西口~地下鉄長町南駅を走る代
行バスを桜交通と共同で運行した。また、亘理町の要請で、4/3~4/9ま
でJR常磐線亘理駅~岩沼駅の代替バスを運行した。
県内広域幹線交通を担う鉄道が運休していたことから、日常生活の再開に
合わせ代替交通手段が必要になると考え、交通事業者とともに「地震災害
に伴う県内広域幹線交通の確保に係る検討会」を3/24、4/1の二回開催
した。検討会では、特に鉄道運休区間の対応が検討され、代替輸送を担当
する事業者を決めるなどした。
盛岡~陸前高田については、鉄道が運休し、陸の孤島となったことから、
運輸支局とも相談し、新たな路線として運行した。
鉄道が全面的に運休していたため、仙台への通勤手段が必要になると考
え、市町村からの直接の要請があったわけでないが、公共交通の空白地帯
となる区域でのバス路線の開設を、宮城交通・ミヤコーバスに要請した。
新幹線も含め鉄道網への被害が大きく、幹線旅客輸送を代替するため、本
省では、関東の事業者に対し首都圏と東北を結ぶ高速バスの輸送力の増強
を要請した。東北運輸局でも、管内の県庁所在地間や被災地と仙台市など
を結ぶ高速バスを迅速に運行できるよう、必要最小限の書類を出せば運行
を可能にするなど申請手続きを簡略化した。
内容
・事前の備えが役に立った取り組み
・緊急的な対応であったが参考となる取り組み
:リスク管理(事前対応)編・危機管理(災害時対応)編掲載
巻末資料
資-13
資-14
R リスク管理
(事前対応)
E 危機管理
(災害時対応)
カーシェアリングを成功させるためには、気軽に使える文化や利用者間の
信頼関係を醸成する必要がある。そのため、車両の提供だけでなく、懇親
会の開催などの取り組みも一体的に進めている。
(社)日
本カー
シェアリ
ング協会
R-7-1 パーソナ
ル・モビ
リティ
(個別交
通)の普
及啓発
E-7-1 パーソナ
ル・モビ
リティ
(個別交
通)の支
援
ガソリンスタンドに給油待ちのマイカーの行列ができ、道路の渋滞を招い
た。中には、翌日の給油の順番待ちのために前日に車だけを置いていって
しまう人もいた。
給油待ちの車がバス専用レーンに並び、バス専用レーンが機能しなかった
ため、県警に指導取締を要請した。県警では被災地の応援で人出が足りな
いとのことであった。また、ガソリンスタンドに対して整理券の発行など
により、車が道路に並ばないように指導してほしいことも県警へ要請し
た。
交通事業者から、ガソリンスタンドへの給油待ちの車列により渋滞が発生
し、一部の路線において運行に支障が生じたので、路線バスや他の車両が
安全に運行できるよう対応の要請があった。
災害時においても、過度に自家用車に頼らない、あるいは公共交通を有効
活用(優先)するという観点から、広い意味でのモビリティマネジメント
が重要ではないか。
今回のガソリン不足のように、自家用車以外に頼れる移動手段がないと、
いざという時にパニックになることが考えられる。
ガソリンの給油待ちの渋滞については、警察はもっと規制する必要があっ
たのではないか。また、あらかじめルールを決めておけばよかったのでは
ないか。この渋滞が連日にわたり発生したため、バスの運行経路の変更・
迂回運行を招き、事業者だけでなく利用者を混乱させた。
ガソリンスタンドの渋滞は、多車線道路では追い越し車線を走行するなど
であまり問題にならなかったが、2車線道路では迂回し、バス停を飛ばし
て運行することもあった。このことは事後に運輸支局に報告した。
東北運輸
局
東北運輸
局
宮城県
八戸市
宮城交通
岩手県交
通
-
-
-
-
-
-
これを受け、生活の足である路線バスの安全運行の確保のため渋滞の解消
が必要との判断にたち、県警への交通整理の要請のほか、3/15に報道機
関に対して給油待ちの車のドライバーへの「他の車や路線バスの運行への
配慮」や「警察による交通整理への協力」についての報道要請を行った。
県警では、ガソリンスタンドへの指導(整理券の発行)や現場での交通整
理などを行った。
-
-
-
石巻市仮設住宅管理室には、カーシェアリング用の専用駐車場の設置の許
可や仮設住宅の所在地、入居状況やニーズ、コミュニティの状況等の情報
提供といった協力をしてもらっており、効率よく活動する上で役に立って
いる。
内容
・事前の備えが役に立った取り組み
・緊急的な対応であったが参考となる取り組み
:リスク管理(事前対応)編・危機管理(災害時対応)編掲載
宮城県
-
-
-
回答者
(社)日
本カー
シェアリ
ング協会
内容
万石浦仮設住宅の場合、バス停は近くにあるが、本数が少ない、目的の場
所に行けない、乗り継ぎに時間がかかるという声を聞く。
回答者
・地域のモビリティを確保する上での問題・課題
・事前の備えにより計画的な対応が求められる取り組み
ヒアリング結果
(社)日
本カー
シェアリ
ング協会
項目7 パーソナル・モビリティ(個別交通)の活用
重
要
事
項
巻末資料
巻末資料
巻末資料2
地域防災計画とリスク管理(事前対応)編・
危機管理(災害時対応)編個別シートの対応
資-15
資-16
第3章
災害応急対
策計画
第2章
災害予防計
画
第1章
総則
第5節 広報広聴計画
第6節 交通確保・輸送計画
第4節 情報の収集・伝達計画
第3節 通信情報計画
緊急輸送
交通確保
第2節 気象予警報等の伝達計画
第1節 活動体制計画
第19節 企業等防災対策計画
第18節 ボランティア育成計画
第17節 海上災害予防計画
第16節 農業災害予防計画
第15節 林野火災予防計画
第14節 火災予防計画
第13節 土砂災害予防計画
第12節 津波・高潮災害予防計画
第11節 水害予防計画
第10節 危険物施設等安全確保計画
第9節 ライフライン施設等安全確保計画
第8節 交通施設安全確保計画
第7節 建築物等安全確保計画
第6節 防災施設等整備計画
第5節 避難対策計画
第4節 気象業務整備計画
第3節 防災訓練計画
第2節 自主防災組織等育成計画
第1節 防災知識普及計画
第7節 防災対策の推進方向
第6節 釜石市の概況
第5節 防災機関の責務及び業務の大綱
第4節 釜石市防災会議
第3節 他の計画及び他の法令に基づく計画との関係
第2節 市民の責務
第1節 目的
地域防災計画の目次(例)
職員の安全確保策の整備
乗客の安全確保策の整備
通信・連絡手段の整備
対応拠点の整備
組織体制の整備
地域住民等への交通情報等の提供体制の整備
交通情報等の収集・伝達体制の整備
交通規制体制の整備
道路の安全確保体制の整備
燃料確保体制の整備
車両確保体制の整備
乗務員確保体制の整備
R-5-1
R-5-2
R-5-3
輸送に必要な資源の確保
項目5
R-4-2
R-4-1
交通施設の機能確保
項目4
R-3-2
R-3-1
交通に係る情報の収集・共有
項目3
R-2-3
R-2-2
R-2-1
災害対応の体制の確保
項目2
R-1-2
R-1-1
発災時の安全の確保
項目1
R リスク管理(事前対応)
<地域防災計画とリスク管理(事前対応)編・危機管理(災害時対応)編個別シートの対応>
E-5-3
E-5-2
E-5-1
E-4-2
E-4-1
E-3-2
E-3-1
E-2-3
E-2-2
E-2-1
E-1-2
E-1-1
乗務員の確保
車両の確保
燃料の確保
交通規制の実施
道路の安全確保
地域住民等への交通情報等の提供
交通情報等の収集・伝達
通信・連絡手段の確保
対応拠点の確保
組織体制の確立
職員の安全確保
乗客の安全確保
E 危機管理(災害時対応)
巻末資料
第3節 復興計画の作成
第2節 生活の安定確保計画
第1節 公共施設等の災害復旧計画
第31節 防災ヘリコプター活動計画
資-17
:「項目6 公共的交通サービスの提供」と関連する項目
:地域防災計画において充実させることが必要と考えられる内容
ゴシック :リスク管理(事前対応)編・危機管理(災害時対応)編の個別シートと関連する項目
資料:釜石市地域防災計画(H21修正)
第4章
災害復旧計
画
第30節 林野火災応急対策計画
第29節 海上災害応急対策計画
第28節 危険物施設等応急対策計画
第27節 ライフライン施設応急対策計画
第26節 公共土木施設応急対策計画
第25節 農畜産物応急対策計画
第24節 文教対策計画
第23節 応急対策要員確保計画
第22節 行方不明者等の捜索及び遺体の処理・埋葬計画
第21節 廃棄物処理・障害物除去計画
第20節 防疫計画
第19節 応急仮設住宅の建設等及び応急修理計画
第18節 給水計画
第17節 食料供給計画
第16節 生活必需品供給計画
第15節 医療・保健計画
第14節 避難・救出計画
第13節 災害救助法の適用計画
第12節 ボランティア活動計画
第11節 自衛隊災害派遣要請計画
第10節 相互応援協力計画
第9節 水防活動計画
第8節 消防活動計画
第7節 津波・浸水対策計画
(生活交通)
入浴のための移動手段の想定
行政手続きのための移動手段の想定
通学のための移動手段の想定
R-6-5
R-6-6
R-6-7
E-6-12 共助の取り組みの支援
パーソナル・モビリティ(個別交通)の普及啓発
E-7-1
パーソナル・モビリティ(個別交通)の支援
地域防災計画等の見直しの際に、地域のモビリティ確保の観点からも検討を行う場
合の参考として、釜石市地域防災計画を例に地域防災計画と知恵袋の各項目の対応
を整理している。
自地域の地域防災計画の項目立ても参照しつつ、検討の参考として活用いただきた
い。
R-7-1
パーソナル・モビリティ(個別交通)の活用
項目7
(矢印で結んだ項目の他、目的に応じた関連する項目等(左表青色着色項目)にも反映も検討する。)
R-6-12 共助の取り組みの普及啓発
E-6-11 鉄道代替輸送の実施
R-6-11 鉄道代替輸送の実施体制の整備
多目的な移動のための移動手段の提供
買い物のための移動手段の提供
通学のための移動手段の提供
行政手続きのための移動手段の提供
入浴のための移動手段の提供
通院のための移動手段の提供
家族等の安否確認のための移動手段の提供
軽症者の医療機関への移動手段の提供
被災者の避難所への移動手段の提供
E-6-10 路線バスの運行
E-6-9
E-6-8
E-6-7
E-6-6
E-6-5
E-6-4
E-6-3
E-6-2
E-6-1
R-6-10 路線バスの運行体制の整備
多目的な移動のための移動手段の想定
通院のための移動手段の想定
R-6-4
R-6-9
家族等の安否確認のための移動手段の想定
R-6-3
買い物のための移動手段の想定
軽症者の医療機関への移動手段の想定
R-6-2
R-6-8
被災者の避難所への移動手段の想定
R-6-1
公共的交通サービスの提供
項目6
巻末資料
巻末資料
資-18
巻末資料
巻末資料3
リスク管理(事前対応)編・危機管理(災害時対応)編
個別シートの目的別索引
資-19
巻末資料
①災害時の取り組みの実施時期からみた索引
災害時における地域のモビリティ確保のための重要事項は、時間の経過により変化するため、
変化に応じた取り組みが必要になる。各個別シートと実施時期は以下のとおり対応している。
<各項目の時系列の展開>
R リスク管理
(事前対応)
発災時
緊急対応期Ⅰ
発災後直ちに
発災直後~24時間程度
共
自助
項目1
発災時の安全の確保
R-1-1
乗客の安全確保策の整備
R-1-2
職員の安全確保策の整備
項目2
災害対応の体制の確保
R-2-1
組織体制の整備
R-2-2
項目1
発災時の安全の確保
R-1
E-1-1
乗客の安全確保
R-6
E-1-2
職員の安全確保
(掲載頁)
項目2
災害対応の体制の確保
R-9
E-2-1
組織体制の確立
対応拠点の整備
R-12
E-2-2
対応拠点の確保
R-2-3
通信・連絡手段の整備
R-15
E-2-3
通信・連絡手段の確保
項目3
交通に係る情報の収集・共有
項目3
交通に係る情報の収集・共有
R-3-1
交通情報等の収集・伝達体制の整備
R-18
E-3-1
交通情報等の収集・伝達
R-3-2
地域住民等への交通情報等の提供体制の整備
R-22
項目4
交通施設の機能確保
R-4-1
道路の安全確保体制の整備
R-25
R-4-2
交通規制体制の整備
R-29
項目5
輸送に必要な資源の確保
R-5-1
燃料確保体制の整備
R-31
R-5-2
車両確保体制の整備
R-35
R-5-3
乗務員確保体制の整備
R-37
項目6
公共的交通サービスの提供
R-6-1
被災者の避難所への移動手段の想定
R-39
R-6-2 軽症者の医療機関への移動手段の想定
R-42
R-6-3
家族等の安否確認のための移動手段の想定
R-45
R-6-4
通院のための移動手段の想定
R-47
R-6-5
入浴のための移動手段の想定
R-49
R-6-6
行政手続きのための移動手段の想定
R-52
R-6-7
通学のための移動手段の想定
R-55
R-6-8
買い物のための移動手段の想定
R-58
R-6-9 多目的な移動のための移動手段の想定
R-60
R-6-10 路線バスの運行体制の整備
R-62
R-6-11 鉄道代替輸送の実施体制の整備
R-65
R-6-12 共助の取り組みの普及啓発
R-68
地域・NPO等による自発的な取り組みが行われる部分
R-71
住民が自発的による自発的な取り組みが行われる部分
項目7
パーソナル・モビリティ(個別交通)の活用
R-7-1
パーソナル・モビリティ(個別交通)の普及啓発
資-20
巻末資料
凡 例
主体的に実施すべき機関⇒
市町村
(行政サーヒ ゙ス )
交通事業者
道路管理者
警察
各機関がそれぞれ
に主体的に実施
各機関が調整を図りながら実施⇒
各機関が各自又は分担して実施⇒
E 危機管理(災害時対応)
緊急対応期Ⅱ
応急期
復旧期
24時間~1週間程度
1週間~1か月後程度
1か月後程度~
助
公助
(掲載頁)
E-1
E-3
E-5
E-10
E-12
E-15
E-3-2
地域住民等への交通情報等の提供
E-17
項目4
交通施設の機能確保
E-4-1
道路の安全確保
E-23
E-4-2
交通規制の実施
E-26
項目5
輸送に必要な資源の確保
E-5-1
燃料の確保
E-28
E-5-2
車両の確保
E-30
E-5-3
乗務員の確保
E-33
項目6
公共的交通サービスの提供
E-6-1
被災者の避難所への移動手段の提供
E-35
E-6-2
軽症者の医療機関への移動手段の提供
E-37
E-6-3
家族等の安否確認のための移動手段の提供
E-39
E-6-4
通院のための移動手段の提供
E-41
E-6-5
入浴のための移動手段の提供
E-43
E-6-6
行政手続きのための移動手段の提供
E-46
E-6-7
通学のための移動手段の提供
E-48
E-6-8
買い物のための移動手段の提供
E-50
E-6-9
多目的な移動のための移動手段の提供
E-52
E-6-10 路線バスの運行
E-54
E-6-11 鉄道代替輸送の実施
E-58
E-6-12 共助の取り組みの支援
E-62
項目7
パーソナル・モビリティ(個別交通)の活用
E-7-1
パーソナル・モビリティ(個別交通)の支援
E-68
資-21
巻末資料
②関係する機関からみた索引
災害時も考慮した地域のモビリティ確保に向けた取り組みは、様々な関係機関が連携して取
り組むことが重要である。
各個別シートと関係する主な機関の対応は、以下のとおりである。
<各項目と関係機関の対応>
(◎:主体的に実施すべき機関、〇:連携・協力すべき機関)
主な関係機関
R リスク管理
(事前対応)
交
都
市
通
道
警
国
町
事
府
察
村
業
県
者
E 危機管理
(災害時対応)
項目1
発災時の安全の確保
(掲載頁)
(掲載頁)
R-1-1 乗客の安全確保策の整備
R-1
E-1-1 乗客の安全確保
E-1
◎
R-1-2 職員の安全確保策の整備
R-6
E-1-2 職員の安全確保
E-3
◎ ◎ ◎ ◎ ◎
R-2-1 組織体制の整備
R-9
E-2-1 組織体制の確立
E-5
◎ ◎ ◎ ◎ ◎
R-2-2 対応拠点の整備
R-12
E-2-2 対応拠点の確保
E-10
◎ ◎ ◎ ◎ ◎
R-2-3 通信・連絡手段の整備
R-15
E-2-3 通信・連絡手段の確保
E-12
◎ ◎ ◎ ◎ ◎
R-3-1 交通情報等の収集・伝達体制の整備
R-18
E-3-1 交通情報等の収集・伝達
E-15
◎ ◎ ◎ ◎ ◎
R-3-2
R-22
E-3-2 地域住民等への交通情報等の提供
E-17
◎ ◎ ◎ ◎ ◎
R-4-1 道路の安全確保体制の整備
R-25
E-4-1 道路の安全確保
E-23
◎ ◎ ◎ ○ ○
R-4-2 交通規制体制の整備
R-29
E-4-2 交通規制の実施
E-26
○ ○ ○ ◎ ○
R-5-1 燃料確保体制の整備
R-31
E-5-1 燃料の確保
E-28
◎ ○ ○
R-5-2 車両確保体制の整備
R-35
E-5-2 車両の確保
E-30
◎
R-5-3 乗務員確保体制の整備
R-37
E-5-3 乗務員の確保
E-33
◎
項目2
災害対応の体制の確保
項目3
交通に係る情報の収集・共有
地域住民等への交通情報等の提供体制の整備
項目4
交通施設の機能確保
項目5
輸送に必要な資源の確保
資-22
◎
N
P
O
等
地
域
住
民
巻末資料
(◎:主体的に実施すべき機関、〇:連携・協力すべき機関)
主な関係機関
R リスク管理
(事前対応)
交
都
通
市
道
警
国
事
町
府
察
業
村
県
者
E 危機管理
(災害時対応)
N
P
O
等
地
域
住
民
項目6
公共的交通サービスの提供
R-6-1 被災者の避難所への移動手段の想定
R-39
E-6-1 被災者の避難所への移動手段の提供
E-35
◎ ○
○
R-6-2 軽症者の医療機関への移動手段の想定
R-42
E-6-2 軽症者の医療機関への移動手段の提供
E-37
◎ ○
○
R-6-3
R-45
E-6-3
E-39
◎ ○
○
R-6-4 通院のための移動手段の想定
R-47
E-6-4 通院のための移動手段の提供
E-41
◎ ○
○
R-6-5 入浴のための移動手段の想定
R-49
E-6-5 入浴のための移動手段の提供
E-43
◎ ○
○
R-6-6 行政手続きのための移動手段の想定
R-52
E-6-6 行政手続きのための移動手段の提供
E-46
◎ ○
○
R-6-7 通学のための移動手段の想定
R-55
E-6-7 通学のための移動手段の提供
E-48
◎ ○
○
R-6-8 買い物のための移動手段の想定
R-58
E-6-8 買い物のための移動手段の提供
E-50
◎ ○
○
R-6-9 多目的な移動のための移動手段の想定
R-60
E-6-9 多目的な移動のための移動手段の提供
E-52
◎ ○
○
R-6-10 路線バスの運行体制の整備
R-62
E-6-10 路線バスの運行
E-54
○ ○
◎
R-6-11 鉄道代替輸送の実施体制の整備
R-65
E-6-11 鉄道代替輸送の実施
E-58
○ ○
◎
R-6-12 共助の取り組みの普及啓発
R-68
E-6-12 共助の取り組みの支援
E-62
◎
○ ○
R-71
E-7-1
E-68
◎
○
家族等の安否確認のための移動手段の想定
家族等の安否確認のための移動手段の提供
項目7
パーソナル・モビリティ(個別交通)の活用
R-7-1
パーソナル・モビリティ(個別交通)の普及啓発
パーソナル・モビリティ(個別交通)の支援
資-23
巻末資料
③交通危機管理行動要領との対応からみた索引
災害時の体制・手順を示す「交通危機管理行動要領」は、リスク管理(事前対応)における
検討を踏まえ作成し、危機管理(災害時対応)において使用するものである。
要領を検討する「リスク管理(事前対応)」と要領を使用する「危機管理(災害時対応)」の
個別シートと要領の対応は以下の通りである。
<リスク管理(事前対応)・危機管理(災害時対応)と交通危機管理行動要領の対応>
R リスク管理(事前対応)
(掲載頁)
項目1 発災時の安全の確保
項目2 災害対応の体制の確保
項目3 交通に係る情報の収集・共有
項目4 交通施設の機能確保
項目5 輸送に必要な資源の確保
項目6 公共的交通サービスの提供
項目7
資-24
パーソナル・モビリティ(個別交通)の
活用
R-1-1 乗客の安全確保策の整備
R-1
R-1-2 職員の安全確保策の整備
R-6
R-2-1 組織体制の整備
R-9
R-2-2 対応拠点の整備
R-12
R-2-3 通信・連絡手段の整備
R-15
R-3-1 交通情報等の収集・伝達体制の整備
R-18
R-3-2 地域住民等への交通情報等の提供体制の整備
R-22
R-4-1 道路の安全確保体制の整備
R-25
R-4-2 交通規制体制の整備
R-29
R-5-1 燃料確保体制の整備
R-31
R-5-2 車両確保体制の整備
R-35
R-5-3 乗務員確保体制の整備
R-37
R-6-1 被災者の避難所への移動手段の想定
R-39
R-6-2 軽症者の医療機関への移動手段の想定
R-42
R-6-3 家族等の安否確認のための移動手段の想定
R-45
R-6-4 通院のための移動手段の想定
R-47
R-6-5 入浴のための移動手段の想定
R-49
R-6-6 行政手続きのための移動手段の想定
R-52
R-6-7 通学のための移動手段の想定
R-55
R-6-8 買い物のための移動手段の想定
R-58
R-6-9 多目的な移動のための移動手段の想定
R-60
R-6-10 路線バスの運行体制の整備
R-62
R-6-11 鉄道代替輸送の実施体制の整備
R-65
R-6-12 共助の取り組みの普及啓発
R-68
R-7-1
R-71
パーソナル・モビリティ(個別交通)の普及啓発
巻末資料
交通危機管理行動要領
E 危機管理(災害時対応)
(掲載頁)
E-1-1 乗客の安全確保
E-1
職員の安全確保
E-1-2 職員の安全確保
E-3
組織体制の確立
E-2-1 組織体制の確立
E-5
対応拠点の確保
E-2-2 対応拠点の確保
E-10
通信・連絡手段の確保
E-2-3 通信・連絡手段の確保
E-12
交通情報等の収集・伝達
E-3-1 交通情報等の収集・伝達
E-15
地域住民等への交通情報等の提供
E-3-2 地域住民等への交通情報等の提供
E-17
道路の安全確保
E-4-1 道路の安全確保
E-23
交通規制の実施
E-4-2 交通規制の実施
E-26
燃料の確保
E-5-1 燃料の確保
E-28
E-5-2 車両の確保
E-30
E-5-3 乗務員の確保
E-33
被災者の避難所への移動手段の提供
E-6-1 被災者の避難所への移動手段の提供
E-35
軽症者の医療機関への移動手段の提供
E-6-2 軽症者の医療機関への移動手段の提供
E-37
家族等の安否確認のための移動手段の提供
E-6-3 家族等の安否確認のための移動手段の提供
E-39
通院のための移動手段の提供
E-6-4 通院のための移動手段の提供
E-41
入浴のための移動手段の提供
E-6-5 入浴のための移動手段の提供
E-43
行政手続きのための移動手段の提供
E-6-6 行政手続きのための移動手段の提供
E-46
通学のための移動手段の提供
E-6-7 通学のための移動手段の提供
E-48
買い物のための移動手段の提供
E-6-8 買い物のための移動手段の提供
E-50
多目的な移動のための移動手段の提供
E-6-9 多目的な移動のための移動手段の提供
E-52
E-6-10 路線バスの運行
E-54
E-6-11 鉄道代替輸送の実施
E-58
共助の取り組みの支援
E-6-12 共助の取り組みの支援
E-62
パーソナル・モビリティ(個別交通)の支援
E-7-1 パーソナル・モビリティ(個別交通)の支援
E-68
資-25
巻末資料
資-26
巻末資料
巻末資料4
リスク管理(事前対応)・危機管理(災害時対応)
のチェックリスト
資-27
巻末資料
リスク管理(事前対応)のチェックリスト
この表は、事前の備えとして確認しておくべき事項、整備しておく体制等を取りまとめたチェ
ックリストの例である。
重要事項
リスク管理(事前対応)編
チェック項目
( )内はページ
項目1
R-1-1
発災時の安全の 乗客の安全確保策の整備
確保
(R-1)
□
発災時の乗客の安全確保のための乗務員の行動は定められてい
るか。
□
発災時の乗務員と運行管理者の通信手段は確保されているか。
□ 事務所・営業所等の災害時の安全性は確認されているか。
R-1-2
職員の安全確保策の整備
□ 発災時の安全確保のための職員の行動は定められているか。
(R-6)
項目2
R-2-1
災害対応の体制 組織体制の整備
の確保
R-2-2
対応拠点の整備
R-2-3
□ 災害時の交通に係る担当部署・担当者は明確化されているか。
(R-9) □ 関係機関等との協力連携体制は確保されているか。
□ 災害対応の拠点施設の災害時の安全性は確認されているか。
(R-12) □ 災害時に使用できない場合の代替施設は定められているか。
□ 災害時の関係機関との通信手段は定められているか。
通信・連絡手段の整備
□ 通信手段が利用できない場合の対応についても定められている
か。
(R-15)
□ 災害時に関係機関が必要とする情報は定められているか。
項目3
R-3-1
交通に係る情報 交通情報等の収集・伝達体
□ 情報の収集・伝達の手段は定められているか。
の収集・共有
制の整備
(R-18)
R-3-2
□ 災害時に地域住民が必要とする情報は定められているか。
地域住民等への交通情報等
の提供体制の整備
□ 情報の収集・伝達の手段は定められているか。
(R-22)
項目4
□ 災害時に優先して機能を確保すべき道路は定められているか。
R-4-1
交通施設の機能 道路の安全確保体制の整備
□ 被害を受けた場合の復旧体制は整備されているか。
確保
(R-25)
□ 災害時の交通規制の考え方は定められているか。
R-4-2
交通規制体制の整備
□ 緊急通行車両の対象として被災者の移動も考慮されているか。
(R-29)
項目5
□ 被災者等の移動を確保する車両を含め優先給油される体制はで
R-5-1
輸送に必要な資 燃料確保体制の整備
きているか。
源の確保
□ 広域的な燃料供給体制は整備されているか。
(R-31)
□ 駐車場・待機場所の安全は確保されているか。
R-5-2
車両確保体制の整備
□ 災害時に車両が不足する場合の確保体制は整備されているか。
(R-35)
□ 燃料不足等の乗務員の通勤手段は確保されているか。
R-5-3
乗務員確保体制の整備
(R-37)
資-28
巻末資料
重要事項
リスク管理(事前対応)編
( )内はページ
R-6-1
項目6
公共的交通サー 被災者の避難所への移動手
ビスの提供
段の想定
(R-39)
R-6-2
軽症者の医療機関への移動
手段の想定
(R-42)
チェック項目
□ 孤立集落等避難所への移動手段等を確保する必要がある地域の
有無を確認できているか。
□ 輸送が必要な場合の手段は確保できるか。
□ 災害時の受け入れ可能な医療機関は確認できているか。また、
それらの災害時の安全性は確認できているか。
□ 軽症者等の輸送が必要な場合の手段は確保できるか。
R-6-3
□ 遺体安置所の候補場所、避難所等は確認できているか。
家族等の安否確認のための
移動手段の想定
□ 遺体安置所等への輸送が必要な場合の手段は確保できるか。
(R-45)
R-6-4
通院のための移動手段の想
定
(R-47)
□ 災害時の受け入れ可能な医療機関は確認できているか。また、
それらの災害時の安全性は確認できているか。
□ 通院に必要な場合の手段は確保できるか。
R-6-5
□ 災害時の被災者のための入浴施設の場所は確認できているか。
入浴のための移動手段の想
定
□ 入浴に必要な場合の手段は確保できるか。
(R-49)
R-6-6
□ 災害時に行政サービスが提供される場所は確認できているか。
行政手続きのための移動手
段の想定
□ 行政手続きに必要な移動手段は確保できるか。
(R-52)
R-6-7
□ 災害時に学校の代替施設となる場所は確認できているか。
通学のための移動手段の想
定
□ 通学に必要な移動手段は確保できるか。
(R-55)
R-6-8
□ 店舗等の場所や災害時の安全性は確認できているか。
買い物のための移動手段の
想定
□ 買い物に必要な移動手段は確保できるか。
(R-58)
R-6-9
□ 生活利便施設の場所や災害時の安全性は確認できているか。
多目的な移動のための移動
手段の想定
□ 多目的な移動のための移動手段は確保できるか。
(R-60)
R-6-10
□ 燃料等資源制約時の運行方針は検討されているか。
路線バスの運行体制の整備
(R-62)
R-6-11
鉄道代替輸送の実施体制の
整備
(R-65)
R-6-12
共助の取り組みの普及啓発
(R-68)
□ 災害時の被害を受ける可能性のある路線等を確認できている
か。
□ 運休した場合の代替手段は確保できるか。
□ 地域コミュニティ等に災害時に共助の取り組みを行う意識の醸
成はできているか。
□ 災害時の共助の取り組みへの対応は定められているか。
項目7
□ 災害時の交通について地域住民との意識共有はできているか。
R-7-1
パーソナル・モビリティ パーソナル・モビリティ
(個別交通)の活 (個別交通)の普及啓発
□ 災害時の個別交通への対応は定められているか。
用
(R-71)
資-29
巻末資料
危機管理(災害時対応)のチェックリスト
この表は、発災時~緊急応急期(発災から 1 週間程度)に実施すべき内容を取りまとめたチェ
ックリストの例である。
時期
重要事項
危機管理
(災害時対応)編
チェック項目
(
( )内はページ
□職員の安全は確保されているか。
)
E-1-2
発 直
項目1
災 ち 発 発災時の安全の 職員の安全確保
時 に 災 確保
後
(
発
災
後
~
初
動
期
(E-3)
□担当職員が配備についているか。
項目2
E-2-1
□都道府県等への応援要請は必要ないか。
災害対応の体制 組織体制の確立
の確保
(E-5)
)
2
4
時
間
程
度
E-2-2
対応拠点の確保
□拠点施設の安全は確認されているか。
□代替施設の確保は必要ないか。
(E-10)
□通信機器の作動確認も含め通信・連絡手段は確保されている
E-2-3
通信・連絡手段の か。
□通信機器の貸出要請は必要ないか。
確保
(E-12)
項目3
□公共交通等の運行・被災情報が把握されているか。
E-3-1
交通に係る情報 交通情報等の収
□交通情報等が災害対策本部に報告されているか。
の収集・共有
□交通情報等が必要な関係機関に提供されているか。
集・伝達
(
2
4
時
間
~
緊
急
対
応
期
)
1
週
間
程
度
(E-15)
□地域住民等に交通情報等が提供されているか。
E-3-2
地域住民等への交
通情報等の提供
(E-17)
項目4
E-4-1
交通施設の機能 道路の安全確保
確保
(E-23)
E-4-2
交通規制の実施
(E-26)
項目5
E-5-1
輸送に必要な資 燃料の確保
源の確保
(E-28)
項目6
E-6-1
公共的交通サー 被災者の避難所へ
ビスの提供
の移動手段の提供
(E-35)
E-6-2
軽症者の医療機関
への移動手段の提
供
(E-37)
E-6-3
家族等の安否確認
のための移動手段
の提供
(E-39)
資-30
□道路の被害状況が把握されているか。
□被害を受けた道路の啓開・応急復旧が開始されているか。
□道路の交通規制が実施されているか。
□地域住民等に交通規制が周知されているか。
□緊急車両に確認標章が交付されているか。
□緊急車両等への優先供給が実施されているか。
□燃料供給の見通しが確認されているか。
□都道府県等への協力要請は必要ないか。
□避難所への輸送に移動手段の確保は必要ないか。
(移動手段の確保が必要な場合)
→□避難所への移動手段は確保されているか。
□軽症者の医療機関への輸送は必要ないか。
□医療機関等の受け入れの状況は把握されているか。
(移動手段の確保が必要な場合)
→□医療機関等の移動手段は確保されているか。
□遺体安置所・避難所の設置状況は確認されているか。
□遺体安置所・避難所等への移動手段は必要ないか。
(移動手段の確保が必要な場合)
→□遺体安置所・避難所等への移動手段は確保されているか。
その他
高速道路
都道府県
国
その他
タクシー
バス
鉄道
その他
警察
周辺
市町村
その他
燃料
取扱事業者
道
路
管
理
者
交
通
事
業
者
行
政
機
関
都道府県
運輸局
分類
■関係機関連絡先
名称
TEL
FAX
メールアドレス
その他の連絡手段
巻末資料
資-31
あとがき
平成23年3月11日、東北地方太平洋沖地震が発生、揺れや大津波により多大なる被害にみ
まわれました。この東日本大震災に対し、日本国中の力を総動員し、緊急的な対応を図る時期を
越え、被災地における復旧、復興の動きが進んでいます。
そのような中、「地域のモビリティ確保の知恵袋」の作成を通し、地域のアクティビティの拡
大に向けた円滑な移動(モビリティ)の確保を進めるために必要な考え方や知恵、ノウハウを整
理、提供してきた我々に何ができるか?ということを、緊急的な対応の後、考えてきました。
まずは、「今回起きたこと、今起きていることをしっかり記録、把握しよう」そして、災害発
生後の地域の円滑な移動の確保を目指す各地域にとって支えとなる「杖」、より円滑に検討の歩
みを導く「杖」のようなものを提供できないか、と考え本書の作成に至りました。
いまだ十分ではありませんが、本書が各地域における検討の契機となり、参考となれば幸いで
す。
最後に、本書の作成にあたり多大なる協力を頂いた、ヒアリング調査にご協力頂いた皆様、資
料提供いただいた皆様、そして勉強会にて活発なご議論を頂いた先生方、より読んで頂ける資料
となるよう昼夜を分かたずご尽力頂いた関係各位へ、この場を借りて感謝申し上げます。
参事官室(総合交通体系)付 専門調査官 野津隆太
地域のモビリティ確保の知恵袋2012
~
災害時も考慮した「転ばぬ先の杖」
~
平成24年3月作成
■編集・問い合わせ先
国土交通省
総合政策局
参事官室(総合交通体系)
TEL
03-5253-8111(代表電話)
FAX
03-5253-1675
http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/soukou/index.html
Fly UP