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世界初の個体増幅器(点接触型トランジスタ)の発明 ショックレ−の創造的
接合トランジスタ開発の経緯と特許 1/3 ページ 世界初の個 体増幅器(点接 触 型トランジ スタ)の発明 1947年 12 月2 3日、ベル研究所で 歴史的な デモンストレ−ションが行われた。初めての固 体増 幅器で ある点接触 型トランジ スタ(下図参 照)が研究所内で 公開されたので ある。この発明 に貢献したの はバ−ディ−ンとブラッテンの2 人で ある。この発明 は接合型トランジ スタを生むアイ デアの触 媒として の役割があった。 点接触 型トランジ スタの発明 日は特許法 上で は12 月2 3日で あるが、考案す な わち発明 としては彼 らの研究ノ −トより12 月15日で ある。発明 されてから数ケ月はトランジ スタで はな くパ−シスタ (Persistor)と呼ば れていました。もちろんこの点接触 型トランジ スタの特許をアメリカで 取得 す るとと もに日本にも出願している(特公昭2 4−2 78 6 )。トランジ スタという言 葉を考案したのはジ ョン. R. ピアスで ある。 長 年 、固 体増幅器を彼らと研究してきたショック レ−は、この発明 に貢献す ることが出来な かった。 そ のくやしさから猛烈に思考をめぐらした結果、1ケ月後の1948 年 1月2 3日にショック レ−は接 合型トランジ スタのアイ デアを考案している。 点接触 型トランジ スタは、発明 後3年 間 ベル研究所内で 開発が進められましたが、1951年 初めに接 合型トランジ スタに取って代わられました。この年 ショック レ−は接合型トランジ スタの特許を取得 して いる(USP第2 56 9347、日本国特許は特公昭2 5−471)。出願は1948 年 6 月2 6 日 で 、特許権利者はベル研究所で す 。この特許も含めて点接触 型トランジ スタが公開された1948 年 6 月30 日まで に、ベル研究所は5件の特許を出願しています 。これらはベル研究所が出願した最 初のトラ ンジ スタに関す るもので あった。 この3人(バ−ディ−ン、ブラッテン、ショック レ−)は、トランジ スタの発明 者ということで 195 6 年 にノ −ベル物理学 賞を受賞しています 。またバ−ディンは超伝導理論の開発によって1972 年 に 二度目のノ −ベル物理学 賞を受賞しています 。1人で ノ −ベル賞を2 回受けるのは非常に珍しいことだ が、そ れが同じ部門で というのはバ−ディ−ン1人で はな いだ ろうか。 シ ョック レ−の創造的思考活動 1945年 ショック レ−は半導体薄膜を用いた電界効果トランジ スタ理論を考案している。これはN 形 半導体の薄板を用いたもので ある。そ してこれと金属薄板で 平行板コンデンサを構成したもので あっ た。しかし実験は完全に失敗してしまった。この実験を担当していたブラッテンから相談を受けたバ− ディ−ンは9ケ月後に表面準位という概念 を考案し、動作しな いことを理論的に解析した。 表面準位の概念 で は半導体の表面は多数キャリアを寄せ付けな いように帯 電している。つまりP形シリ コンの場合は正の表面準位電荷が、多数キャリアの正孔を寄せ付けな いので ある。バ−ディ−ンはこの表 面準位の概念 を含んだ 電界効果の特許を1948 年 2 月2 6 日に出願している(USP第2 52 40 33)。 この表面準位という概念 が実は点接触 形トランジ スタの発明 に大きく貢献しているので ある。このよう に1つの実験の失敗からそ の原因を突き止めることにより、次の大きな ステップへの足がかりを得 ること をショック レ−は『 創造的失敗』と呼んで いる。 file://C:¥Takei_Homepage¥www¥dokusou¥tokukyo6.html 98/05/29 接合トランジスタ開発の経緯と特許 2/3 ページ もう一度整理す ると、 (1)ショック レ−の電界効果トランジ スタの提案があり実験は失敗す る。バ−ディ−ンが表面準位の概念 を確 立し、ブラッテンが半導体の表面を精力的に研究し点接触 形トランジ スタの実験に成功す る。 (2 )点接触 形トランジ スタで キャリアの注入が行われていることがわかり、そ の注入されたキャリアに ついて一連の研究が行われる過程で 、接合形トランジ スタのアイ デアが生まれる。 接 合形トランジ スタの製 造技術 接合形トランジ スタはゲ ルマニウムの単結晶 の中にP形、N 形、P形という3つの層 を作りしかも真ん 中のN 形層 の厚さは多くても数10 um以 下で な ければ な らな い。ショック レ−自身は実験家で な い から、実験屋にいろいろさせるのだ が、うまくいかな い時期があった。 薄いベ−ス領域を接続す る金属のリ−ド線の接続の解決法 として合金法 が開発され、日本にも特許出願 している(特公昭2 9−4594)(下図参 照)。 1949年 4月にはゲ ルマニウムによる接合トランジ スタが一応出来たが、性能は極端に悪かった。19 50 年 には結晶 が成長 す るにつれて溶解液中にド−プす る不純物を変える方法 で 良質のPN 接合が得 ら れるようにな った。 そ してスパ−ク スとティ−ルが二重ド−ピング 法 という結晶 引き上げ 法 で PN P 構造を作り出し、1951年 のはじめには増幅作用を持った最 初の成長 接合形トランジ スタが出来上がっ た。ティ−ルらはこの二重ド−ピング による結晶 成長 法 の特許を取得 している(USP第2 70 32 9 6 )。もちろん日本にも出願されている(特公昭2 7−958 )。 ベル研究所は 特 許の重要性を認識 1947年 12 月16 日に点接触 型トランジ スタによる増幅に成功した時、これが注入で あることを 理解したショック レ−は思考活動が活発にな る。彼の研究ノ −トはそ れまで 毎月平均2 ペ−ジ くらいだ っ たのが、次の年 の1月には2 2 ペ−ジ に増えており、この月末に接合型の考えが完成している。 この研究ノ −トというのは日本にはな い米国独特のもので 、特にベル研究所で 活用されていた。番 号の 打 たれたノ −トが研究者に渡される。このノ −トには考えついた事、新しい考察 をどんどん書いていく。 そ して重要と思われる事は、必ず他人(上役、同僚 )に読んで もらい署名と日付をもらう。これは米国の 特許法 が日本の特許法 と違って、研究ノ −トの記載が発明 の日時を立証す ると共に特許申請書類で 決定的 な 意味を持っているからで す 。 ブラッテンのノ −トの記録を見ると、特許を取ろうという姿勢が強く、発明 という貢献を確 実に示そ う という威信 が動機 とな っていることがわかる。 ショック レ−はトランジ スタに関す る特許を90 件出願しています が、ほ とんどが接合トランジ スタ を考案した年 の前 後数年 間 で 出されている。これらの半導体特許で ベル研究所は莫大な 特許使用料を得 ている。この収入で ベル研究所の研究者の数年 分の給料がまかな えたと言 われている。 ただ 出願人はベル研究所な ので 特許料収入は個人には入らな い。トランジ スタの発明 で いくら稼いだ かというイ ンタビュ−で の質問にバ−ディ−ンはこう答えている。 『 オンリ−・ワン・ダラ−』 ベル研究所との契約で この偉大な 発明 も、ノ −ベル賞の賞金を除けば たった1ドルの報酬しかもたら さな かった。しかし彼らには社会に貢献したという満足感というす ば らしい報酬があったはずで す 。 Sumiaki Takei 署名は検証され ていません。 file://C:¥Takei_Homepage¥www¥dokusou¥tokukyo6.html 電子署名者 : Sumiaki Takei DN: cn=Sumiaki Takei, c=JP 日付 : 2001.05.12 22:32:43 +09'00' 理由 : この文書の著者 98/05/29 アンケート 読んだ感想をお寄せ下さい 名 前(省略可) メールアドレス(できれば記入願います) ホームページURL(省略可) http:// ●使用ブラウザ Netscape Navigator Internet Explorer その他 年 齢 10代 性 別 女 職 業 会社員 ●特許私考−ホームページにて全文公開中(参照用) (1)特許全般並びに私の経験 ●感想、御意見また、内容の誤記・訂正の御指摘などをどうぞ ■インターネットに接続後、送信して下さい 送る 取り消し 特許私考の最新情報は下記アドレスで確認して下さい。 http://village.infoweb.ne.jp/‾s1takei/dokusou/dokusou2.html http://village.infoweb.ne.jp/~s1takei/dokusou/enquete1.html (1/2) [01/05/11 20:49:32]