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第2の創生
NCA、第 2 の創生 特 集 ② 図 NCA のグローバルネットワーク 4 Section 機材・運航計画 B747 型貨物機 24 機体制確立へ 世界水準目指し運航戦略を充実 NCAでは 2007 年度末に当初の機材計画を約 3 カ月前倒しして、 旧型機材の B747-200F を全機退役させた。これによって 08 年 4 月、 5月の 2 カ月間は B747-400F6機という近年最小のフリートで運航 に臨んだ。シンガポールケロシン市況価格が1バレル= 170 ㌦に到 NCA の B747-400F 達しようという昨今、キャパシティーの拡大よりも費用削減にむ けた体質改善、つまり燃費向上による費用削減を優先した結果だ。旧型機材の早期退役により機材年齢を若返らせた同社 は、5年先の 13 年度末でも 4.2 年という極めて若いフリートによる運航が可能となる。24 機体制の確立、それに合わせたネ ットワーク拡大、そして世界の貨物会社に肩を並べるための運航戦略に注目した。 ーイングによる初期型の市場投入以来、ヒ 年齢が 1.4 年と06 年度末から 10 年の若返 ット商品として現在でも開発が続いており、 りを見せており、フェニックス・プロジェクト B747-400 型旅客機の貨物機転用をはじ 08 の最終年度である13 年度末でも4.2 年 同社の機材戦略に着目した時、B747 型 め、新造機市場だけでなく中古機材市場 と非常に若いフリートで運航を展開するこ による“モノフリート (単一機種) ”という点 でも人気のある機種だ。汎用性が高いた とができる計画だ。 は、その特徴として1番に上がるところだ。 めメンテナンスやパイロット訓練などにかか 最少機材数での運航期間を終え、 6月に NCAに限らず、貨物専門航空会社の戦略 る費用が削減できるだけでなく、時期を逃 として、同型機に統一したフリートでの運 さなければ退役機材の売却も可能だ。 “モノフリート”戦略 最新機材で燃費削減 ーデッキには3枚多い 12 枚のパレットが搭 かる。当然のことながら、燃費が改善され 載できる。 ているだけですでに環境面で貢献してい また注目に値するのが、GE (ゼネラル・ ると言えるが、GEnx エンジンを搭載した 今後導入予定の B747-8F は、さまざまな エレクトリック)社が開発を進めている最新 同型機では、B747-400Fと比較して CO2 角度から見てこれまでで最も優れた貨物 の GEnx-2B67 型エンジン。同エンジンの 排出量が 16.5 %、NOx排出量が 37.2 %改 機と言える。B747-400Fとの比較で言え 搭載によって B747-8F の燃料費は約 23 % 良されている。騒音値も30 %以上改良さ 7機目の B747-400F“アンドロメダ”を導入 ば、ペイロードが 140 ㌧と約 30 ㌧上回り、 削減(B747-200F 比では 37 %減) を実現。 れており、フットプリントで比較すれば、旧 した同社。引き続き今年度中に 10 機目ま フルロードでの最大航続距離も、B747- また燃費効率の向上には、主翼端に装備 型 B747F2種はもちろん、今年第4四半期 航スタイルを採るのは珍しくないが、その NCAでは今年3月末で B747-200F の退 で受領した後、来年 10 月、同社の戦略で 200F が 6200 ㎞、B747-400F が 7850 ㎞だ されたレイクド・ウィングチップなど機体デ の市場投入となる B777F よりも騒音範囲 理由の1つには、B747 型機に対する市場 役を終え、現在の最新機種である B747- 最も重要な要素といえるボーイング B747- ったのに対し、8185 ㎞と大幅な航続距離 ザインも大きく貢献している。 が狭い。これは双発機向けエンジンが4 の支持にある。 400F での同一機種による運航体制を整え 8F の初号機を受領する。そして 13 年末時 延長を実現している。メーンデッキには4 さらに環境面で比較してもB747-8F が他 発機向けよりも物理的に大きく、発着に高 た。この時点で同社のフリートは平均機体 点で B747F 計 24 機体制を整える。 枚多い 34 枚のパレットが搭載可能。ロワ 機種を上回る水準の機材であることが分 負荷出力を求められるのに対し、4発機で 現時点で最大機材である同型機は、ボ 38 CARGO JULY 2008 CARGO JULY 2008 39 はエンジン1基あたりの負荷を低く抑えて 経由欧米間輸送を強化 発着することができるためだ。 していく方針だ」 。現在 「自社のネットワークはさらに充実させてい 同社では、日本から夜 く。将来的にはベトナムのハノイ、ホーチミ に香港、上海に向けて ン、米国のダラス・フォートワース、ヒュー 世界水準の運航へ 画について本間部長は次のように語る。 出発、深夜に両地点を ストン、マイアミなどの南部エリア、モスク 6月の7号機受領でようやく最小フリー 発ち、朝、再び日本に ワ、サンクトペテルブルクなども就航候補 ト期を抜けた同社。運航ネットワークで 立ち寄り、欧米に向か は、キャパシティーの再拡大に合わせて、 う “ダイナスティ・パター 一度削減した路便を復元する方向に進ん ン” と呼ばれる運航形態を増やしている。 本間部長 地として検討している」 。 シンガポール国籍であるジェットエイト 航空は、親会社である日本郵船が出資し この運航形態について本間部長は「フ ており、NCAとは姉妹会社である。同社 香港が6便、上海が7便、ソウルが2便、北 ェニックス・プロジェクト08 でも挙げている とはすでに提携を結んでおり、パートナー 京が1便、シンガポール・バンコクが6便、 通り、07 年度から 08 年度への体制の変化 として良い関係にある。ジェットエイトはN ロサンゼルスが6便、サンフランシスコが2 によって、1 日あたりの機材の平均稼動時 CAから機材をリースしてシンガポール∼ 便、ニューヨークが5便、シカゴが5便、ア 間は 11.2 時間から 13.5 時間に引き上げる。 香港線(週2便) 、シンガポール→ドバイ→ ムステルダムが7便、フランクフルトが1便、 世界の貨物航空会社は 1 日あたり13 時間 マンチェスター→ルクセンブルク→ドバイ ミラノが4便の計 38 便となっていたが、7 以上を当たり前に飛ばしている。世界水 →シンガポール線(週2便)の2路線を運航 機体制では、アムステルダムが9便、ロサン 準の運航レベルである 1 日あたり14 時間 していたが7月からは一部配便を見直し、 ゼルスが7便、サンフランシスコが3便、香 以上に引き上げることが目標」と語る。同 アジア発欧州向けのサービスを強化する。 港が7便、上海が8便、ソウルが3便に増 社はカーフュー時間帯のある成田空港と NCAはスペースを購入して同社サービス 便して計 43 便となった。8月には8号機が 完全 24 時間運用の関西空港を組み合わ を利用した販売を実施していく。またKL 加わって週48 便(アジア24 便、北米16 便、 せることで、より効率の良い運航サイクルを M、アリタリア航空、中国国際貨運航空、 欧州8便) となり、旧型機のあった 07 年冬 確立している。 「関西には現在 13 便が乗り エアブリッジ・カーゴ航空、フェデラルエク ダイヤ(9機、週 50 便)並みとなって、貨物 入れている。関西地区のお客様からの需 スプレス、ユーピーエスとも提携関係にあ シーズンを迎える。 要にも応えることができている」と本間部 りネットワークを共有している。 でいる。6機体制での就航地別便数は、 同社の本間啓之事業本部事業戦略部長 長は語る。 て、次のように説明する。 「われわれは日 グローバルネットワーク拡充 とらえている。日本を含むアジア発欧米向 今後、最新鋭機材 24 機までキャパシテ けの需要を取り込めるよう、アジア発日本 ィを拡大させる同社だが、今後の運航計 CARGO JULY 2008 セアニア、アフリカへのルートも開拓してい く考えだ。 本という立地を、アジアと欧米の中間点と 40 今後は自社ネットワークに加えて戦略的 な提携を広げていくことで中東や南米、オ はこれらの就航地を結ぶ運航体制につい