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2 体系別整備の基本方針

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2 体系別整備の基本方針
第3章
2
基本構想
体系別整備の基本方針
●2-1
走行空間形成基本方針
○2-1-1
自転車ネットワーク【自転車利用が広がる「面」の整備】
1)自転車ネットワーク形成の基本的考え方
自転車ネットワークの検討にあたっては、以下の3つの視点(基本体系)から、それぞれ
必要な整備の方向性を整理する必要がある。
① ネットワークを構成する自転車道路の段階構成の考え方
:歩行者や自動車にも安全な自転車走行空間の確保に向けて
ネットワークを構成する道路の位置づけや幅員等に応じた段階構成に基づいて、自転
車レーン設置や歩行者自転車道の整備、また歩車共存道路など、自転車走行空間確保に
係る必要な考え方を整理する。それらを実情等に応じて組み合わせ、連続性が確保され
た効果的な自転車ネットワークの形成を図る。
② 目的別ネットワーク形成の考え方:ニーズに応じたネットワークづくり
ネットワーク検討にあたっては、基本となる骨格的ネットワークに加え、自転車利用
者のニーズ・目的等をふまえ、できるだけ自転車移動の起点から終点までをきめ細かく
連絡する必要がある。そのため、通勤・通学、健康づくり・スポーツ・レクリエーショ
ン、また観光や公共公益施設利用など、自転車移動の主な目的を設定し、それぞれにつ
いて必要なネットワークの形成を図る。
③ ネットワーク展開の考え方:様々な尺度でネットワークを捉える
ネットワーク検討にあたっては、市街地内のきめ細かなネットワークから、様々な機
能が集積した地域間や、広域的な都市間レベルまで、様々な尺度(スケール)・性格に
応じて必要なネットワークを捉える必要がある。自転車は、単一利用だけでなく、他の
交通手段と複合利用(組み合わせ)も考えられるため、必要に応じて他の交通手段との
役割分担も視野に入れたネットワークの展開を図る。
173
2)ネットワークを構成する自転車道路の段階構成の考え方
道路の位置づけや幅員、交通量等に基づく自転車道路の段階的構成
それぞれの状況に応じた自転車走行空間を確保する
これによって、歩行者や自動車を含め、誰もが安全・快適・便利に移動できる自
転車ネットワークが実現する
① 基幹ネットワークを構成する道路
基幹ネットワークを構成する道路としては、以下の道路が位置づけられる。これらの
道路においては、道路の位置づけや交通量等を考慮しながら、独立した自転車走行空間
の確保を図る。
【大規模自転車道等:骨格となる自転車走行空間の確保】
自転車走行空間が確保された大規模自転車道は、歩車道分離された幹線道路とともに、
自転車ネットワークの骨格となる。本市においては、浜松御前崎自転車道及び浜名湖周
遊自転車道が大規模自転車道として位置づけられる。また、必要に応じて新規自転車道
の整備検討を行う。
その他に馬込川沿いに有玉南十軒線、中田島上島線が特殊街路として都市計画決定さ
れており、これらの河川堤防等を安全に走行できる自転車歩行者専用道路や布橋住吉1
号線等(奥山線跡)の自転車歩行者専用道路も骨格となる自転車走行空間として位置づ
けられる。ネットワークが形成されていない区間については、必要に応じて自転車歩行
者専用道路の整備検討を行う。
【幹線道路(都市幹線道路/地区幹線道路等)
:自転車走行空間の確保】
国道や主要地方道、県道やその他の都市計画道路で構成され、大規模自転車道ととも
に骨格となる基幹ネットワークを形成する。原則として歩車道分離されており、中・長
距離の移動も想定されることから、交通量や道路幅員等に応じて、道路の両側に、一定
幅員で自動車や歩行者と区分した自転車走行空間を確保する。
自転車歩行者道においては、相互の安全かつ円滑な通行に配慮して、必要に応じて、
歩行者注意あるいは歩行者優先等の表示とともに、自転車進行方向等のマーク表示を行
う。なお、歩行者や自転車の通行量、並びにその幅員等から、自転車と歩行者の区分が
必要かつ可能な場合は、当面の整備形態として、歩行者の通行を妨げないよう留意しな
がら、歩行者の安全性と自転車の円滑な移動等を考慮して、それぞれの走行空間を区分
する。
174
第3章
基本構想
② 目的別ネットワークを構成する道路
目的別ネットワークを構成する道路としては、大規模自転車道路や幹線道路に加え、
以下の道路が考えられる。
【補助幹線道路:歩車道の分離/歩車共存道路の整備】
幹線道路ネットワークから自転車利用の目的施設までをつなぐ道路(アクセス道路)
によって形成されるネットワーク。ネットワーク形成にあたっては、車道側に自転車レ
ーン等を設けることを基本とし、必要に応じて道路の両側または片側に一定幅員の自転
車歩行者道を指定する等の方法で自転車走行空間を確保する。幅員等により歩行者と自
動車の分離(歩車道分離)が困難な場合は、歩車共存道路としての整備を検討する。
【主要区画道路:歩車共存道路の整備】
幹線道路ネットワークや目的別ネットワークを補完するもので、自転車の機動性を活
かした利便性の高いネットワークを形成することが可能となる。主に歩車道分離されて
いない主要区画道路等が対象となるため、歩行者や自動車との相互の安全性確保に配慮
した歩車共存道路としての整備を図る。
■ 自転車道路の段階構成概念図
175
3)目的別ネットワーク形成の考え方
買物や通勤・通学、健康づくり・スポーツ・レクリエーション、観光など
日常の様々な生活シーンを想定した目的施設をつないでいく
これによって自転車利用がより身近で便利になる
基幹ネットワークは、自転車ネットワークの基本となる路線であるが、これだけで全
ての自転車利用を満たすことはできない。そこで、日常の様々な生活シーンを想定しな
がら、基幹ネットワークを補完するために、利用目的別にネットワークを検討する。
これら全てを重ね合わせたものが、本市の自転車のネットワークとなる。目的別ネッ
トワーク形成の考え方や主な対象は、以下のように整理される。
■ 目的別ネットワーク形成概念図
基幹ネットワーク
[大規模自転車道等+幹線道路(国道・県道・都市計画道路)等]
健康・スポーツ・レクリエーションネットワーク
[基幹ネットワーク+スポーツ施設や公園等]
観光ネットワーク[基幹ネットワーク+観光施設や観光地等]
通勤ネットワーク[基幹ネットワーク+就業地]
通学ネットワーク[基幹ネットワーク+大学・高校等]
買物ネットワーク[基幹ネットワーク+商業施設等]
生活系ネットワーク[基幹ネットワーク+公共施設等]
■ 基幹ネットワークの対象
大規模自転車道等(浜松御前崎自転車道・浜名湖周遊自転車道、自転車歩行者専用道
路)及び幹線道路(国道・県道・都市計画道路等)で構成されるもので、目的別ネットワ
ーク共通の骨格となる。
基幹ネットワークの整備によって、各目的別ネットワーク共通の骨格となる自転車ネ
ットワークが形成される。
176
第3章
基本構想
① 健康・スポーツ・レクリエーションネットワーク形成の考え方
:基幹自転車道路等とレクリエーション施設等とをつなぐ
【整備の考え方】
基幹ネットワークと健康関連施設やスポーツ・レクリエーション施設等をつなぐネッ
トワーク。ネットワーク形成にあたっては、市全域からの広域的な利用を考慮して、幹
線道路及び鉄道駅からのアクセス道路を整備する。また、ウォーキングコースなどにお
いては、駐車場まで自動車でアクセスして、そこから自転車を利用するような使い方も
視野に入れた拠点整備が必要となる。
【整備による効果等】
市民の自発的な健康づくりや運動機会の増加促進が期待できる。また各施設を活用し
て、健康づくりや自転車活用に関するイベント・各種教室等を開催するなど、施設の有
効活用と市民の健康づくりや自転車利用促進への意識啓発等の効果も期待できる。
■ 健康・スポーツ・レクリエーションネットワーク検討の対象
● スポーツ施設・レクリエーション施設
:体育館や運動公園、レクリエーション関連施設など、自転車利用の目的施設や、
周辺で自転車利用が想定される施設と幹線道路・最寄りの鉄道駅とをつなぐ。
● 都市計画公園等
:都市計画公園や都市計画緑地と、幹線道路や最寄りの鉄道駅とをつなぐ。
● ウォーキングコース・自転車歩行者道等
:健康増進に係るウォーキングコースや自転車歩行者道、緑道と、幹線道路や最
寄りの鉄道駅とをつなぐ。
177
② 観光ネットワーク形成の考え方:基幹自転車道路等と観光拠点とをつなぐ
【整備の考え方】
基幹ネットワークと観光施設等をつなぐネットワーク。ネットワーク形成にあたって
は、市内外からの利用を考慮して、幹線道路及び鉄道駅からのアクセス道路を整備する
とともに、観光する際の拠点となる市街地内の宿泊施設へのアクセスにも留意する。ま
た観光地など一定のエリアが対象となる場合は、周辺の駐車場まで自動車でアクセスし、
そこから自転車を利用する使い方も視野に入れた拠点整備が必要となる。
【整備による効果等】
合併によって一層豊かになった観光資源を有効に活用できるとともに、観光施設周辺
の利便性が向上することによって、施設利用者の増加と地域の活性化が期待できる。ま
た、観光資源を活用した様々なイベント等への発展も考えられる。
■ 観光ネットワーク検討の対象
● 観光施設・観光地
:市内の自然資源や歴史施設、産業資源や温泉など、自転車での観光の目的地と
なる様々な施設と、幹線道路や最寄りの鉄道駅とをつなぐ。
● 宿泊施設
:宿泊施設は観光の際の起終点となることから、これら宿泊施設と、幹線道路や
最寄りの鉄道駅とをつなぐ。
178
第3章
基本構想
③ 通勤(業務)ネットワーク形成の考え方:交通拠点等と就業地とをつなぐ
【整備の考え方】
基幹ネットワークと就業地とをつなぐネットワークで、本構想では、まとまった従業
員のいる主要な就業地を対象とする。ネットワーク形成にあたっては、幹線道路や鉄道
駅からの最短のアクセス道路を整備することによって、自動車通勤から自転車通勤への
転換を図るとともに、鉄道の端末交通手段として自転車の利用促進を図る。
【整備による効果等】
幹線道路や鉄道駅からの利便性の高いルート設定によって、短距離の自動車通勤者の
転換を促進することが期待できる。特に就業地については、企業との連携等によって、
比較的まとまった人数の転換を図ることが可能であることから、通勤時間帯における周
辺の渋滞解消や CO2 排出量の大幅削減等にもつながる。
■ 通勤(業務)ネットワーク検討の対象
● 就業地(大規模な工業地等)
:比較的まとまった従業員がおり、短トリップの自動車から効果的に自転車への
転換促進を図っていくため、市内の主要な就業地(大規模な工業地等)と鉄道
駅、幹線道路とをつなぐ。
179
④ 通学ネットワーク形成の考え方:交通拠点等と学校とをつなぐ
【整備の考え方】
基幹ネットワークと大学や高校、中学校等とをつなぐネットワーク。ネットワーク形
成にあたっては、幹線道路からのアクセス道路の整備だけでなく、鉄道駅からの最短の
アクセス道路を整備することによって、鉄道の端末交通手段として自転車の利用促進を
図る。具体的なネットワーク検討にあたっては、必要に応じて、他の歩行者(児童等)
の安全性確保にも留意する。
【整備による効果等】
幹線道路や鉄道駅からの利便性の高いルート設定によって、自転車利用促進が期待で
きるとともに、自転車走行空間の確保や交差点周辺の整備等によって、自転車通学時の
安全性が向上する。また、一定の自転車ルートを整備することによって、他の歩行者の
安全性確保にもつながる。
■ 通学ネットワーク検討の対象
● 大学
:自転車のみでの通学の他、鉄道からの端末交通手段としての利用も念頭に、幹
線道路や最寄りの鉄道駅から市内の大学までをつなぐ。
● 高校
:自転車のみでの通学の他、鉄道からの端末交通手段としての利用も念頭に、幹
線道路や最寄りの鉄道駅から市内の高校までをつなぐ。
● 中学校
:通学路をふまえながら、幹線道路から市内の各中学校までをつなぐ。
180
第3章
基本構想
⑤ 買物ネットワーク形成の考え方:基幹自転車道と商業拠点等とをつなぐ
【整備の考え方】
基幹ネットワークと中心市街地や商業施設等をつなぐもので、基幹ネットワークで直
接アクセスしない場合は、施設入口や駐輪場の位置等も考慮しながら、比較的自動車交
通量の少ない道路をアクセス道路として整備することが考えられる。また、中心市街地
や駅前商店街等一定のエリアに接続する際は、歩行者量や駐輪場の位置等をふまえなが
ら、地区内を貫通する方法と入口までをつなぐ方法を選択する。
【整備による効果等】
自転車の特性を活かしたきめ細かなルート設定が可能となり、買物環境の向上による
地域経済の活性化だけでなく、他の歩行者等の安全性確保にもつながる。また、日常生
活に身近で頻度も比較的多い買物時において自転車利用が促進されることによって、対
象地区周辺の自動車渋滞緩和や環境改善も期待できる。
■ 買物ネットワーク検討の対象
● 商業施設
:店舗面積 1,000 ㎡以上の大規模商業施設を対象に、基幹ネットワークから施設
入口までをつなぐ。
● 中心市街地
:多くの商業施設が集積することから、一定のエリアとして買物ネットワークの
対象に位置づけ、基幹ネットワークからきめ細かくつなぐ。
● 商 店 街
:基幹ネットワークから主に鉄道駅周辺に位置する商店街の入口周辺等をつなぐ。
181
⑥ 生活系ネットワーク形成の考え方:基幹自転車道路等と公共公益施設等とをつなぐ
【整備の考え方】
基幹ネットワークと生活に身近な公共公益施設等をつなぐネットワーク。様々な施設
が集積する中心市街地においては、利便性を高めるため、アクセス道路だけでなく裏道
ルート等も検討するなど、できるだけ高密度できめ細かなネットワークとなるよう留意
する。また郊外部においては、施設入口や駐輪場の位置等も考慮しながら、比較的自動
車交通量の少ない道路をアクセス道路として整備することが考えられる。
【整備による効果等】
自転車の特性を活かしたきめ細かなルート設定が可能となり、施設利用だけでなく、
地域経済の活性化や、他の歩行者等の安全性確保にもつながる。
■ 生活系ネットワーク検討の対象
● 行政関連施設
:行政関連施設と幹線道路・最寄りの鉄道駅とをつなぐ。
● コミュニティ関連施設・教育・文化施設
:地域住民の交流や諸活動、学習などにおいて利用される各公民館やコミュニテ
ィセンター、図書館や美術館等の施設と幹線道路・最寄りの鉄道駅とをつなぐ。
● その他の公益施設等
:自転車の目的施設等となる民間の公益施設等については、必要に応じてネット
ワークへの接続を検討する。
182
第3章
■ ネットワーク形成の基本的考え方
183
基本構想
○2-1-2
自転車走行空間形成【自転車が走るところ「線」の整備】
1)道路横断面構成
自転車走行の快適性や自転車と歩行者相互の安全性確保を図るため、自転車は車道
の左端を走行することを原則としつつ、道路の位置づけや幅員等に応じて、安全・
円滑・快適に通行できる走行空間を確保する
また、自転車利用に適した路面舗装の推進と安全かつ円滑な移動をサポートする路
面表示(車道ペイント)により、快適な走行環境を形成・維持する
① 断面構成の基本的考え方
● 自転車は車道左側通行を原則とし、自転車走行レーン等の
設置により、円滑な自転車走行空間を確保する。
● 車道左端へのペイントまたはライン等のカラー舗装によ
り、視覚的に自転車走行部分の認識性を確保するとともに、
自動車への注意喚起を促す。
● 自転車レーンの有効幅員は1.0m以上(L型側溝の場合、
走行部分の有効幅員は側溝を除く0.75m以上)を基本とす
る。
[兵庫県尼崎市]
● 歩車道境界ブロックは都市型水路(ライン導水ブロック等)
や円形水路の使用を基本とする。
● 路側帯(路肩)がない場合や、路側帯(路肩)の幅員等が
0.75m未満の場合は、車道左側にマークを設置し、自転車
の進行方向と走行部分を示すとともに、自動車への注意喚起
を促す。
● 自動車交通量や道路幅員を踏まえ、やむを得ず自転車歩行
者道とする場合、必要に応じて自転車と歩行者の通行区分の
視覚的な分離を行う。
[岡山県岡山市]
● 上記の自転車歩行者道において、通行区分の視覚的な分離
が出来ない場合は、歩行者注意あるいは歩行者優先等の表示
とともに、自転車進行方向等のマーク表示を行う。
[東京都江戸川区、小平市等]
[東京都世田谷区]
[アムステルダム]
● 自転車歩行者道等においては、必要に応じて、自転車の徐
行を徹底させるため、歩行者注意あるいは歩行者優先等の表
示とともに、自転車進行方向等のマーク表示を行う。
● なお、自転車歩行者道等において、歩行者や自転車の通行
量、並びにその幅員等から、自転車と歩行者の区分が必要か
つ可能な場合は、当面の整備形態として、自転車と歩行者の
通行区分の視覚的な分離を行う。
[徳島県徳島市]
184
第3章
基本構想
【自転車走行空間の確保】
■ 自転車走行空間確保の考え方
車道左側通行を原則とし、ペイント、
ライン、マーク表示等により自転車走
行空間(自転車レーン等)を確保する。
【歩車道境界部の段差解消】
自転車走行上やむを得ず、歩道上通
行が必要となる場所については、歩車
道面の高低差はできるだけ小さくする
とともに、歩車道境界部は面取り境界
ブロック等で段差解消を図る。
■ 歩車道境界部の処理方法
円形水路側溝の上部を一般部の舗装材
と揃え、車道から歩道への自転車乗り
入れも可能にした例[栃木県小山市]
【自転車に適した路肩改良例】
都市型水路(ライン導水ブロック)等により、自転車レーンの設定を可能とする。
L型側溝のため
自転車レーンが設定できない。
路 肩が 1m 程度あっ ても
走行しづらい
ラ イン 導水 ブロック の使
用 によ り効 果的に走 行部
分が確保できる。
ライン導水ブロックによって
自転車レーンの設定が可能。
都市型水路
(ライン導水ブロック)
185
② 断面構成の例
■ 車道端走行部分整備の基本イメージ例
【路肩整備型(円形水路等・ペイント)
】
[兵庫県尼崎市]
【路肩整備型(ペイント)
】
[東京都世田谷区]
【路肩整備型(ライン・マーク表示)
】
[岡山県岡山市]
【車道表示型(ペイント・ライン表示)
】
[整備イメージ例]
【車道表示型(マーク表示)
】
186
[東京都小平市]
第3章
基本構想
■ 歩車分離された道路横断面構成イメージ例
【標準断面構成イメージ:幅員16m】
【標準断面構成イメージ:幅員14m】
【標準断面構成イメージ:幅員12m】
【標準断面構成イメージ:幅員10m】
■ 歩車分離されていない道路横断面構成イメージ例
【標準断面構成イメージ:幅員8m】
187
【標準断面構成イメージ:幅員6m】
■ 自転車歩行者道
自転車や歩行者の交通量が多い道路において、
原則は車道走行とするものの、幼児や高齢者その
他のために、自転車走行空間を歩道内に設ける考
え方。必要に応じて、自転車の徐行を徹底させ、
歩行者注意あるいは歩行者優先等の表示とともに、
自転車進行方向等のマーク表示を行う。なお、歩
行者や自転車の通行量、並びにその幅員等から、
■ 整備例
自転車と歩行者の区分が必要かつ可能な場合は、
当面の整備形態として、歩行者の通行を妨げない
よう留意しながら、歩行者の安全性と自転車の円
滑な移動等を考慮して、サインや路面表示等によ
って自転車と歩行者の通行区分を視覚的に分離す
る。利用状況等を総合的に鑑みながら整備するこ
とを基本とする。
自転車歩行者道を整備した例
[徳島県徳島市]
■ 自転車歩行者専用道路
暗きょ化した水路上や農道、遊歩道や河川敷、
廃線敷などを活用して、自転車と歩行者の専用道
路を整備する考え方。自転車の徐行を徹底させ、
マーク表示や路面表示等により、自転車への歩行
者注意喚起等の一定のルールを定めた整備を行う
ことを基本とする。なお、歩行者や自転車の通行
量、並びにその幅員等から、歩行者との動線分離
が必要かつ可能な場合は、歩道との境界部に植栽
や簡単な構造部等を設けて、それぞれの通行部分
を明確化する。
■ 整備事例
住宅地内の狭あい道
路を活用した例
[滋賀県八日市市]
河川敷を有効活用し
た例[京都府京都市]
188
軽便鉄道跡を利用した例
[静岡県浜松市]
第3章
基本構想
■ ゆずりあい共用道路
歩行者と自動車の分離(歩車道分離)が不可能な道路は、歩行者・自転車・自動車の
共存が原則であり、自転車の「裏道ルート」に活用出来ることから、自転車都市にとっ
て重要な道路となる。
「ゆずりあい共用道路」の限られた道路幅員の中で重なり合った歩行・走行部分は、
完全に交通弱者優先となる。「歩行者・自転車追い越し禁止」道路のことで、ボンネル
フ・コミュニティ道路のひとつの考え方として、今回提案的に示したものである。
※ボンネルフ:車を徐行させる目的で街路を曲げたり、屈折させたりすることで、歩
行者優先で歩車道を一体化させた街路空間をいう。
【ゆずりあい共用道路の考え方】
「歩行者>自転車>自動車」
といった優先順位に基づき、限られた道路
幅員の中で重なった部分を弱者優先とする
自動車
【ゆずりあい共用道路のイメージ】
■ 参考イメージ
共存道路整備例[栃木県小山市]
189
■整備の考え方(イメージ)
①-1
a 新規・拡幅整備*1 ①
・設計段階から歩行者や自
動車と分離された自転
車走行空間を確保する
・生活道路の場合は、利用
者相互の安全性確保に
配慮した道路構造(コミ
ュニティ道路等)とする
マーク表示
歩車道境界部の
施工例
都市型水路
(ライン導水ブロック)
円形水路
車道と同一舗装
・車道において、外側線の歩道側に自転車走行空間を示すペイン
ト・ライン表示等を行い、自転車と自動車とを視覚的に分離する
※歩車道境界が L 型側溝の場合、走行部分が 0.75m 以上確保
されていること(道路構造令では、自転車1台あたりの通行
幅は1mだが、やむを得ない場合は 0.75m まで縮小できる
ため、最低 0.75m としている)
■ ペイント・ライン表示等のイメージ
(区画街路交差点のイメージを含む)
【ペイント】
C 歩 車 道 分 離
な し の 道 路
自動車に自転車走行部分を認識させることが重要
既
存
道
路
の
改
善
・
活
用
等
b 歩車道分離された道路
自転車ネットワークの対象路線(都市計画道路/生活道路等)
b1 路肩で走行空間が 1.0m~(L型側溝の場合、 ②
側溝部分を除く 0.75m~)確保できる道路
【ライン】
b2 路肩が 0.75m 未満の道路
③
・車道において、外側線から車道側に自転車走行空間を示す注
意喚起のためのペイント・マーク表示等を行う
・歩道内で自転車走行空間が確保できる場合、また、明らかに
車道通行が危険と思われる場合、歩道上のマーク表示やライ
ン表示等を検討する
■ ペイント・マーク表示等のイメージ
【ペイント】
【マーク】
c1 マーク表示による逆走抑制・順走促進等
④
・歩車道分離がされていない場合、車道端に逆走抑制・順走促
進等のためのマーク表示等を行う
c2 歩車分離がなされておらず、センターラインがない道路
⑤
・歩車共存道路(ゆずりあい共用道路)としてマーク表示等の
改善整備する[一定幅員内の共存通行]
190
第3章
基本構想
*1 新設する道路や計画にあわせて拡幅する道路
【整備イメージ例】
①-2
自転車レーン
のペイント
マーク表示
自転車レーンの
ペイント
②-1
マーク表示
円形側溝を採用した場合
②-2
ライン表示
マーク表示
③-1
自転車走行空間
のペイント
マーク表示
③-2
マーク表示
③-3
マーク表示
マーク表示
+ライン表示
④
⑤
マーク表示
大阪府箕面市のイメージ例
191
2)交差点改良
交差点の規模等に応じて、自転車や歩行者の通行部分を明確に示すとともに、自転車が円
滑に通行できる道路構造とすることで、誰もが安全に通行できる交差点整備が実現する
① 交差点周辺整備・改良の基本的考え方
【整備の考え方】
交差点では、自転車は車道の左端を走行することを原則とした考え方を補完する必要が
あり、車道左側を走ってきた自転車が交差点内を直進することが最も安全かつ効率的であ
る。
交差点周辺及び交差点内については、自動車への注意喚起を行うため、その規模や役割
等に応じて舗装改良やペイント等の整備を行う。その際、自転車が直進することを念頭に、
自転車横断帯や自転車の走行部分・方向表示を兼ねたデザインとなるよう留意する。
左折専用レーンのある交差点の走行場所は、一般的には注意して直進(警視庁 HP)であ
るが、非常に大きな課題を抱えている。また、T字路における右折についても同様である。
これらについては、国や有識者が問題提起しており、それらを念頭におきながら、安全
性の確保や自転車の本来の走りやすさを前提にしながら、整備の方向性について検討する。
【整備による効果等】
注意喚起表示によって交差点周辺の安全性向上が期待できるととも
に、様々な動線が交錯する交差点部において、自転車走行部分を示すこ
とが可能となる。自動車に対して交差点手前にイメージ狭さくやイメー
ジハンプ等を設けることによって、より安全性の向上が期待できる。
■ 注意喚起・走行部分表示のための交差点整備事例
イメージハンプの例
[栃木県小山市]
注意喚起の事例
走行部分表示の事例
交差点周辺で事故防止等
のため、交差点周辺及び
内部の車道を塗装した例
[東京都千代田区]
注意喚起のため、交差点内
を舗装改良した例
[栃木県小山市]
注意喚起のため、交差点
内を舗装改良した例
[栃木県宇都宮市、
小山市等]
交差点部で自転車横断帯
を直線的に配置した例
[国土交通省 資料]
交差点部で自転車横断帯
を直線的に配置した例
[石川県金沢市]
交差点における自転車通行 交差点における自転車通
位置表示(ただし、相互通 行位置表示(片側通行)
行は問題)[東京都品川区]
[コペンハーゲン]
192
車道内の注意喚起路面表
示の例
[栃木県宇都宮市]
第3章
基本構想
■ 交差点における整備イメージ
現にある様々な交差点注意喚起表示を統合した交差点改良を行う
※国のガイドライン等を踏まえながら、あくまでも注意喚
起と路面走行表示をしている例。状況によって、路面表
示部分を茶色のペイントにすることもあり得る。
193
■ 整備イメージ例
【交差点部の設計(対応例)
】
※安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン(国交省・警察庁)より
194
第3章
基本構想
●段差の解消
【整備の考え方】
浜松市道路施設ユニバーサルデザイン指針に基づき、歩車道境界部に段差を設けず、
フラットに改良する。特に、歩車道境界部を通行した際に衝撃を感じないよう、歩車道
境界ブロックと車道面のコンクリート等は、UDブロックを用いて上面ができるだけ水
平な構造となるよう十分留意する。(縁石部分での切り下げ等、歩車道境界部に凹面を
生じないよう十分留意する。
)
【整備による効果等】
自転車走行上の快適性向上につながるだけでなく、視覚障害者誘導ブロック等の適切
な敷設によって、視覚障害者や車いすでの通行にも配慮した総合的なバリアフリー構造
が実現する。
■ 歩車道境界部断面イメージ例
【段差のある断面イメージ】
→
【段差を解消した断面イメージ】
段差が円滑な通行の障害となる
■ 段差解消の考え方
■ 整備事例
UDブロック
UDブロック整備事例
UDブロック整備事例
195
3)路
面
① 舗装等の改良
【整備の考え方】
ネットワーク上の未舗装部分の舗装化を積極的に推進する。また、舗装材の選定にあ
たっては、周囲の景観形成にも十分配慮しつつ、自転車の走行に配慮して、凹凸がなく
滑りにくい材質の舗装材を使用することが大切である。
【整備による効果等】
路面の整備・適切な舗装材の選定は、自転車走行上の快適性・安全性の向上に直接つ
ながる大切な要素である。
② 歩車道境界部の処理方法(同一舗装材での有効幅員確保)
【整備の考え方】
車道左端を走行する際に、路面に凹凸がなく安全・快適に走行できるよう、歩車道境
界部について側溝部分の処理方法を工夫し、できるだけ自転車走行空間の舗装面を同一
素材とする。
【整備による効果等】
側溝蓋やグレーチング等による路面の凹凸がなくなり、ゆとりがある幅員で安全・快
適に走行できる自転車走行空間が確保できる。
■ 歩車道境界部の処理方法の考え方
■ 整備事例
(同一舗装材での有効幅員確保)
都市型水路
(ライン導水ブロック)
円形水路
縁石と集水穴が一体となった製品
を用い、路肩に側溝蓋を露出させな
い処理方法例[栃木県小山市]
車道と同一舗装
196
第3章
基本構想
③ ライン表示・車道ペイント・マーク:自転車の走行空間や横断帯等の表示
【整備の考え方】
交差点や分岐点、合流点など、ネットワークが車道を横断する必要がある場所におい
て、ライン表示・ペイント、マーク設置等を行う。併せて、ペイントによるイメージハ
ンプを自転車横断帯の手前に設けることが効果的である。
歩車分離がなされていない道路においても、必要に応じて、歩行者や自転車利用者の
安全性確保に向けた路面表示方法を検討する。
【設置場所の考え方】
ネットワーク上の自転車の通行部分は、できるだけ統一的なデザイン・色彩で、連続
してペイントを行う。また、交差点部においては、四隅に逆走抑制・純走促進のための
マークを設置する。
【整備による効果等】
自転車横断帯やイメージハンプによって、自動車運転者に対する注意喚起と減速を促
すことが可能となるため、自転車走行上の安全性向上が期待できる。特に交差点周辺で
は、自動車だけでなく、信号待ちの歩行者との交錯を防止することも考えられる。
また、新しい路面表示を検討することによって、利用者相互における道路共用のルー
ルを意識させる効果も期待できる。
■ 整備事例
自転車走行空間とネットワ
ークを示す車道ラインの例
[岡山県岡山市]
自転車走行空間とネットワ
ークを示す車道ペイントの
例[海外事例]
自転車走行空間と注意喚起 外側線の車道側に自転車マ
を組み合わせた車道ペイン ークを設置した例
トの例[栃木県小山市]
[東京都世田谷区]
路肩のない車道に自転車マ
ークを設置した例
[石川県金沢市]
自転車走行空間とネットワ
ークを示す車道ペイントの
例[栃木県宇都宮市]
197
車道への自転車マーク表示
の例[アムステルダム]
警視庁による自転車ナビマ 交差点部における車道への
ークの例[東京都江戸川区] 自転車マーク表示の例
[パリ]
【マーク例】
【交差点部におけるマークの設置例】
自転車ナビマーク
[警視庁]
■ 整備イメージ例
60cm
60cm
198
第3章
基本構想
④ メンテナンス
【整備の考え方】
自転車走行上の快適性・安全性を維持するため、定期的なメンテナンスを行うもので、
特に自転車歩行者専用道路等、地域の憩いの場としての性格が強い場所においては、市
民との協働も念頭におきながら、重点的にメンテナンスを行う。
【整備による効果等】
自転車走行上の快適性・安全性の維持につながるだけでなく、市民参加によって、自
転車利用に関する意識啓発や地域コミュニティの活性化にも役立つものと考えられる。
■ メンテナンス事項例
・路面の陥没、ひび割れ、ブロック・ガードパイプの破損等[行政主体]
・雑草の除去[市民との協働]
・ゴミの収集・美化[市民との協働]
⑤ 路上施設
【整備の考え方】
本計画においては、自転車走行部分を車道端にしているが、やむを得ず、歩道上通行
を可とする場合、かつ歩道上に自転車走行部分を指定する場合は、その走行上に支障と
なる電柱等の路上施設について、障害とならないような走行部分を設定する。
【整備による効果等】
一般的に歩道通行可の部分については、自転車は車道側を走ることが原則となる。そ
の際、路上施設は大きな問題となる。整備の考え方で述べた通り、走行上支障のあるよ
うなルート設定を避けることや、路上施設の移設を検討することが重要である。
結果、歩道上においても、円滑な走行が可能となる。
199
●2-2
利用向上空間形成基本方針
○2-2-1
拠点等の整備【自転車が立ち寄る「点」の整備】
1)拠点等の種類と配置の考え方
ネットワーク利用の目的や節目となる拠点(鉄道駅や公園等)の整備を進める
役割や施設規模等に応じたきめ細かな拠点配置によって、ネットワークの利便性が
大幅に向上する
■ 拠点等の種類と配置の考え方
拠点の種類
交通結節点
公共公益施設
公園・緑地
商業施設等
就 業 地
学校教育施設
対 象 例
鉄道駅
自転車ネットワ
ークとの関係
◎
バス停留所
○
駐輪場
◎
行政関連施設
観光施設
スポーツ施設
レクリエーション施設
コミュニティ関連施設
教育文化施設
福祉・保健施設
その他の施設
都市計画公園
都市計画緑地
中心市街地
大規模商業施設
商店街
コンビニ
工業地等
◎
○
◎
◎
◎
◎
大学
高校
中学校
小学校
△
宿泊施設
ホテル・旅館
◎
そ の 他
郵便局
自然資源
社寺・史跡等
医療関係施設
民間施設
○
200
役
割
他の交通手段との乗り換えなど、自転車
ネットワークの大切な拠点となる。
同上
ネットワークの節目として、他の交通手
段との乗り換え拠点となる。
自転車利用の主目的となる施設であるこ
とから、自転車ネットワークの大切な拠
点となる。
用途によって、自転車ネットワークを補
完する拠点となる。
公園の規模等に応じて、自転車ネットワ
ークを形成する拠点となる。
自転車利用の主目的となる施設であるこ
とから、自転車ネットワークの大切な拠
点となる。
通勤利用の主目的となる施設であること
から、自転車ネットワークの大切な拠点
となる。
通学利用の主目的となる施設であること
から、自転車ネットワークの大切な拠点
となる。
通学以外で、自転車ネットワークを補完
する拠点となる可能性がある。
中心市街地や観光拠点周辺の宿泊施設に
ついては、自転車ネットワークの拠点と
なる。
用途によって、自転車ネットワークを形
成する拠点となる。
第3章
基本構想
2)拠点階層の考え方
規模や自転車との関係等をふまえた段階的な拠点の位置づけ
適度な間隔に適正に拠点を配置することで、自転車の利便性を向上し、その利用を
きめ細かくサポートする
拠点の配置・整備検討にあたっては、拠点の規模や期待される役割等に応じて、主要
拠点・サブ拠点・ミニ拠点の3段階が考えられ、快適で利便性が高いネットワーク形成
には、これらをネットワーク上に適切に配置することが重要である。
① 主要拠点の考え方
自転車ネットワークを整備する上で、主要な目的地となる場所や施設、または他の交
通機関との主な乗り換え結節点を主要拠点として位置づける。
主要拠点としては、鉄道駅や主要な行政関連施設、規模の大きい公園やスポーツ施設、
文化施設、コミュニティ施設等や、自然を取り込んだ観光・レクリエーションゾーンな
どが考えられる。また様々な主要拠点施設が集積する中心市街地は、面的に広がりのあ
る拠点集中ゾーンと考えられる。
この主要拠点は、目的別ネットワークを検討する際に重要な要素となる。
② サブ拠点の考え方
主要拠点間を結びつける上で中継点となり、併せて主要拠点の機能を補完する役目を
持った場所や施設、また交通結節点をサブ拠点として位置づける。施設等の場合には、
休息等がとれ、数時間程度利用される規模のものをサブ拠点とする。このサブ拠点は主
要拠点間に適切に配置されることにより、ネットワークの利便性・機能強化に寄与する。
サブ拠点としては、市街地及びその周辺ではバスの停留所や既存の公園・文化施設等
が、また旧町村部や山間部では自然の景勝地などが考えられる。
既に拠点間に適切なエリア・施設がある場合はそれを活用し、ない場合には必要に応
じて公共施設等をサブ拠点として整備・配置する。新たにサブ拠点を形成する場合には、
主要拠点の性格を補完する役割を担うよう考慮し、全体としてバランスのとれた拠点配
置となるよう留意する必要がある。
201
③ ミニ拠点の考え方
ネットワークを構成する上で必要となる付帯施設及び利便施設等をミニ拠点として
位置づける。このミニ拠点は、主要拠点とサブ拠点が有機的にネットワークしたルート
上に、必要に応じて計画的に配置する。
中心市街地においては、サイクルステーションやポケットパークをミニ拠点として配
置する。拠点間の距離が長い場合やコースが単調となる場合等は休憩施設等を適宜配置
し、美しい景観が楽しめる場所には、駐輪設備とともに展望スペース等を設けることが
考えられる。
特に大規模自転車道等の長距離路線においては、既存の施設が近接していない場合が
多いので、これらミニ拠点の配置が大切となる。
■ 拠点形成概念図
サブ 拠点
・
・
・
・
・
主要拠点
公 園
景 勝 地
文化施設
小規模なレ ク リ エ ーシ ョ ン 施設
小規模なスポーツ 施設 等
拠点集中ゾーン(都心等)
拠点集中ゾ
ーン ( 都心等)
▽
▽
サブ 拠点
▽
ミ ニ拠点
▽
主要拠点
・
・
・
・
・
・
・
・
交通タ ーミ ナル
((拠点となる鉄道駅)
拠点と なる 鉄道駅)
宿泊施設
歴史・文化施設
公 園
レ ク リ エ ーシ ョ ン 施設
健康・スポーツ 施設
業務施設
観 光 地 等
ミ ニ 拠点
・
・
・
・
・
202
ポケッ ト パーク
サイ ク ルステ ーシ ョ ン
バス停
休憩施設・あずま や
公共ト イ レ 等
第3章
基本構想
3)拠点整備の考え方
既存施設や様々な資源の有効活用を基本としながら、必要に応じて新しい魅力創出
も視野に入れることで、効率的で効果的な自転車ネットワークの拠点整備が実現し
ていく
拠点の形成・整備にあたっては、既存の公共公益施設や自然資源等を有効活用すると
ともに、歴史的資産等の保全や修復、演出等による活用、あるいは全く新しい魅力を持
った新規拠点を創出する等の方法も考えられる。その考え方は以下のように整理される。
① 改善整備の考え方
【整備の考え方】
ネットワーク上の既存の公共施設の敷地内や公園等を、休息所として改善整備を行う。
整備にあたっては、駐輪スペースやトイレ、水飲み場やベンチなど、休息をとる際に必
要な機能の導入を図る。
【整備による効果等】
ネットワーク利用の快適性・利便性が向上するとともに、比較的簡便な整備内容で、
既存施設を有効かつ効果的に活用することができる。
【整備場所例】
・既存の公共施設内、都市公園(街区公園、近隣公園等) 等
② 新設整備の考え方
【整備の考え方】
ネットワーク上で一定距離以上拠点施設がない場合、周辺の環境を考慮しつつ、必要
に応じて休憩施設を新設する。整備にあたっては、改善整備の場合と同様、駐輪スペー
スやトイレ、水飲み場やベンチなど、休息をとる際に必要な機能の導入を図る。
【整備による効果等】
ネットワーク利用者が適度に休息をとりながら移動できるようになるため、自転車利
用の快適性・利便性が向上する。
【整備場所例】
・ポケットパーク、簡易休息場所[歩道脇、木陰のベンチ等] 等
203
③ 複合整備の考え方
【整備の考え方】
本来は休息所ではないものの、自転車利用の目的施設やネットワーク上の休息所とし
て活用できる既存の公共施設において、利用可能な場所を複合的に休憩所として整備す
る。
【整備による効果等】
ネットワーク利用の快適性・利便性が向上するとともに、比較的簡便な整備内容で、
既存施設を有効かつ効果的に活用することができる。また、暫定的な整備としての利用
も考えられる。
【整備場所例】
・鉄道駅、バス停留所、駐輪場、市役所・公民館等の公共施設に併設
・商店街や大型商業施設、民間の商店等で協力を得られる施設に併設
■ 拠点整備の考え方
既存公共施設・
公園・ 自然資源等
大切に残す
修復・保全
活かし つつ残す
活 用
ミ ッ ク スする
新し い機能・要素等
新し い魅力を 創る
204
創 出
第3章
基本構想
4)駐輪場整備の考え方
自転車ネットワークの各拠点には駐輪施設を必要に応じて整備する
便利な場所に、必要な規模が整備されることで、自転車利用の利便性向上とともに、
放置自転車の減少も期待できる
【整備の考え方】
道路交通法の改正によって歩道上への駐輪施設の設置が可能になったことをふまえ
ながら、拠点となる施設や公園、観光資源、ウォーキングコース等の入口、鉄道駅、バ
ス停留所や商業施設など、人が集まる場所において、計画的に駐輪場の整備を行う。そ
の際は、設置場所の状況や予想されるニーズ等をふまえ、適切な規模の設定を行う。ま
た、交通拠点への整備にあたっては、円滑に乗り換えできる位置を検討する。
特に、都心地区の駐輪場については、自転車利用者の十分な受け皿となる整備を進め
ることを基本とする。
【整備による効果等】
駐輪場の適切な配置は、ネットワーク利用上の利便性向上に加え、駅前や歩道上にあ
ふれた放置自転車対策としても有効である。また、公共交通機関との結節点に設置した
場合は、利用者の誘致距離の拡大に伴い、公共交通機関の利用拡大も期待できる。
【整備内容例】
・駐輪スタンド(スタッグ)
、駐輪ゾーン、立体駐輪場
・自動化駐輪場の整備
■ 整備事例
歩道上に設置された
駐輪施設の例
[広島県広島市]
歩道上に設置された
駐輪施設の例
[東京都渋谷区]
205
歩道の有効幅員確保に留意
した駐輪施設の例
[海外事例]
5)都心地区駐輪場整備の考え方
現在、策定中の「浜松市都心部における駐輪場整備推進基本計画」との整合性を取り
ながら、整備を進めていく。ここでは、都心部における具体的整備に向けたテーマと体
系等について表記する。
■ 整備推進基本計画のキャッチフレーズと総合的テーマ
総合的テーマとなる5つの柱
人にやさしく まちに優しい
都心部の駐輪場づくり
■ 1 効果的な駐輪場整備の推進
■ 2 安全・便利で使いやすい駐輪環境の整備
■ 3 周辺環境と調和した、美しい駐輪場の整備
■ 4 都心部における駐輪場の全体的コントロール
■ 5 利用環境の維持・向上のための管理・運営手法の検討
整
■ 整備体系と駐輪場の種類
備
A.ハード整備
B2
B3
B4
B5
ルール・マナー向上
取り締まり等
禁止・規制区域の見直し
有料化
管理・運営
類
206
B1
新 設
種
d.コミュニティサイクル
A3
施 設
の
c.施設附置駐輪場
A2
改 善
場
b2 分散型駐輪スペース
A1
施 設
b1 集合型駐輪場
a2 遠鉄高架下駐輪場
B.ソフト整備
維 持
b.歩道上
駐輪場
輪
a1 JR高架下駐輪場
系
現 状
駐
a.高架下
駐輪場
体
第3章
基本構想
6)休息所整備の考え方
街なかの小スペースや、ネットワークの合間、または自転車利用の目的施設等に
気軽に立ち寄り一息つける便利な休息所の整備を進める
【整備の考え方】
既存のポケットパーク等を活用して、自転車利用者が休息できる設備等を整備する。
また、周辺に休息所として活用できる施設等がない場合など、ネットワーク構成上必要
と思われる場合に、新たに休息所を設置する。
【整備による効果等】
ネットワークの要所への休息所の設置によって、気軽に立ち寄り休息できることは、
自転車利用の快適性や魅力向上だけでなく、自転車利用における安全性向上にもつなが
る。また、自転車利用者同士の交流・ふれあいの場ともなる。
【整備内容例】
・駐輪スタンド(スタッグ)
・立ち寄り施設[トイレ、水飲み場]
・休息施設[ベンチ、あずまや(日除け等)
]
・ネットワーク表示 等
■ 休息所整備イメージ例
■ 整備事例
a 日陰をつくる植裁
を設けたイメージ
既存の小空間等
休息施設に加え、日常生活路
線となるよう照明灯を設置
した例[千葉県浦安市]
b パーゴラとしたイメージ
207
○2-2-2
サイン【円滑な移動をサポートする「節目」の整備】
1)ネットワーク表示の考え方
自転車走行空間を示す路面表示と、標識やサインを組み合わせた整備によって
自転車のネットワークを分かりやすく示していく
【整備の考え方】
自転車の走行空間を表す車道ペイントやライン表示、要所に設置する共通デザインの
案内標識等によって、自転車のネットワークを分かりやすく示す。
特に路面への表示は、自転車走行時の視線が路面上の情報を確認しやすいことから有
効な方法であり、必要に応じて、自転車走行空間であることを示す路面表示等を行うこ
とを検討する。
表示のデザインは、自転車走行時に認識しやすい単純なものに統一する。
【整備による効果等】
自転車の走行空間を明確に示すことによって、ネットワーク走行上の利便性及び安全
性向上が期待できる。また、路面への表示は、自転車利用者の視認性がよく、ネットワ
ークが非常に分かりやすい。
■ 整備イメージ例
サインのイメージ例
208
第3章
基本構想
2)標識設置の考え方
① 広域路線標識の設置:広域的な位置や方向、概ねの距離等の表示
【整備の考え方】
広域路線標識は、広域的な道路標識と同様に、骨格となる道路ネットワークや概ねの
方向・距離等の情報を示すものである。自転車走行中の視認性等を考慮した大きさで、
見やすい位置に設置する。また、進行方向と標識の方向が一致するよう留意する。
【設置場所の考え方】
鉄道駅、またネットワークの結節点となる交差点部や広域幹線道路上などに設置する。
② ルート上路線標識の設置:走行位置や周辺施設等の情報を表示
【整備の考え方】
ルート上路線標識は、走行している路線名や現在の走行位置、また周辺の施設の位置
や交差するネットワーク路線等の情報を示すものである。自転車走行中の視認性等を考
慮して、統一された認識しやすいデザインで、統一的サインを使用した標識とすること
を基本とする。また、進行方向と標識の方向が一致するよう留意する。
【設置場所の考え方】
ネットワークの結節点となる交差点部を基本に、道路密度が高い市街地内の要所、ネ
ットワークが分岐する場所等に設置する。
③ 案内板の設置:施設へのアクセスや道路状況等を表示
【整備の考え方】
案内板は、ネットワーク上の拠点施設やネットワークからアプローチできるその他の
施設(規模の小さい観光施設や歴史的資源等)の位置を示すものである。自転車走行中
に見落とすことのないよう留意して、安全で円滑な通行を阻害しない範囲で、できるだ
け見やすい場所に設置する。
【設置場所の考え方】
案内板に記載された施設の直近や、当該施設へのアクセス道路との交差点部等に設置
する。
209
○2-2-3
修景【自転車移動を楽しめる「帯」の整備】
1)沿道緑化の考え方
緑を身近に感じられる自転車ネットワークを形成するために、地域の緑化を促進し
ていく
これによって、市民のまちなみ景観への意識も高まる
【整備の考え方】
都市内の幹線道路等においては、できるだけ街路樹の設置を行う。
また、ネットワーク沿道の宅地、周辺の河川堤防や空地、雑草地、公園や休息施設等
の緑化を促進し、自然と一体となった空間の演出を図る。
緑化に際して、市民参加による記念植樹等のイベントと組み合わせることによって、
その後の維持管理を含め、地域が主体的にネットワークづくりを行っていく足がかりと
もなる。
例)街路樹の設置、市民花壇等の整備(公園・休息所周辺等)、芝堤防(河川堤防等
に芝を植える)、低木植裁・高木植裁、シンボルツリー、記念植樹、ワイルドフ
ラワー(空地・雑草地等に草花の種をまく)等
2)ストリートファニチャーの考え方
自転車ネットワークの利便性や快適性だけでなく、個性的かつ魅力的なまちなみ形
成を視野に入れたデザインを検討する
【整備の考え方】
休息所や公園等の拠点に設置するストリートファニチャーは、自転車での利用を想定
した実用性のある整備に加え、遊びの要素を取り入れた、デザイン的にも優れたものを
用いることが好ましい。また、ネットワーク全体や各路線における統一感に留意するこ
とによって、本市の自転車ネットワーク自体の個性化にもつながる。
ストリートファニチャーの整備にあたっては、自転車の走行の妨げとならないよう留
意する必要がある。
例)ベンチ、ゴミ入れ、噴水、水飲み場、モニュメント等
210
第3章
●2-3
基本構想
利用促進基本方針
○2-3-1
レンタサイクル事業等【様々な利用形態を想定した環境づくり】
自動車のみに依存しない便利な移動交通環境の実現を図るとともに、ネットワークの整備
効果を高め、市民が自転車に親しむきっかけづくりにも大きく寄与する。
整備にあっては、民間企業、行政、NPO、関係団体の中から、効果的かつ主体的に事業
が推進できる組織による運営を検討していくことが望ましい。
1)カー&サイクル等
駐車場で自転車に乗り換え市街地へ
渋滞知らずで軽い運動も兼ねる
疲れたら中心市街地からバスで駐車場に戻ってこられる
便利なシステムの構築
中心市街地の入口部分等の駐車場にレンタサイクルステーションを設置する。また、
必要に応じて、公共交通機関や他のレンタサイクルシステムと連携する。
■ 整備概念図(イメージ)
※デポとはデポジットのことで、ここでは貸し自転車や
コミュニティサイクルの貸出拠点(場所)を言う。
2)サイクル&バスライド
バス停から気軽に自転車で移動できる環境づくり
山間部等では生活に密着した移動交通手段としての活用も期待できる
主に鉄道の整備されていない市街地縁辺部や山間部等で、路線バスの停留所にレンタサ
イクルステーションを設置する。
■ 整備概念図(イメージ)
211
3)サイクル&ライド
自転車の機動性を最大限活かした鉄道との連携によって
通勤や業務等、様々な利用の展開が期待でき、鉄道の利用性も高まる
駅前にレンタサイクルステーションを設置し、各鉄道駅周辺施設等への移動手段とし
て整備する。
■ 整備概念図(イメージ)
4)観光レンタサイクル
豊かな観光資源を有効に活用できる観光レンタサイクル
来街者にも使いやすく、市民の健康増進にもつながる
主に一定のエリアを有する観光地や規模の大きい公園・緑地等の観光拠点等にレンタ
サイクルステーションを設置し、観光・レクリエーションのための自転車を貸し出す。
■ 整備概念図(イメージ)
212
第3章
基本構想
5)ショップ&サイクル
自動車のみに依存しない買物環境づくり
駐車場の確保や渋滞とも無縁で、周辺の店舗へも楽に気軽に移動できる
主要な大規模店や商店街等にレンタサイクルステーションを設置し、店舗間移動の主
要な交通手段として整備する。また、商店街に整備する場合は、自動車から乗り換えで
きるよう、必要に応じて駐車場を確保する。
■ 整備概念図(イメージ)
6)コミュニティサイクル
レンタサイクルの集大成ともいえるコミュニティサイクル
地域のどこでも乗り捨て自由
みんなで使い
中心市街地等において、要所にきめ細
かくレンタサイクルステーションを設置
し、使いやすい貸出・返却システムを構
築するとともに、分かりやすく個性的な
デザインの検討や盗難・破損への対応、
各ステーションへの効率的な配車システ
ムの検討等を行う。また、整備にあたっ
ては、必要に応じて、社会実験による検
証を行う。
213
みんなで支える仕組みづくり
■ 整備概念図(イメージ)
○2-3-2
サイクルステーション等【自転車を活用しやすい拠点づくり】
観光利用者やサイクルツーリスト等を対象としたサイクルステーションや、広場・
公園、コンビニ等を活用したミニサイクルステーション(工具、空気入れ等)の整
備を進める
観光利用者やサイクリスト等のため、休憩所、更衣室、シャワー室、自転車整備スペ
ース、展示スペース等を備えたサイクルステーションを整備する。また、ミニサイクル
ステーションとして、広場・公園、コンビニ等に工具や空気入れ等を設置する。
● サイクルステーション
・休憩所、更衣室、シャワー室、自転車整備
スペース、展示スペース等の設置
● ミニサイクルステーション
・コンビニ等:工具、空気入れ等の設置
■ 整備イメージ例
宮サイクルステーション
[栃木県宇都宮市]
ランナーズステーション
[東京都千代田区]
自転車の駅(コンビニ)
[栃木県宇都宮市]
工具と空気入れの例
214
第3章
○2-3-3
基本構想
チェインモビリティシステムの実現【鉄道・バスとの連携システム】
自転車を持って鉄道やバスに乗り込み
また自転車に乗り換えて目的地へ
それぞれの特性を活かした便利な移動環境システムを検討する
■ 整備事例
【整備の考え方】
鉄道会社の協力のもと、一般客の利用に影響のない範
囲で、電車内への自転車の持ち込みを可能とする。(輪
行)
また、バス会社の協力のもと、バスに自転車を乗せる
ことができるシステムを導入する。車内への持ち込みが
困難な場合は、キャリア(ラック)の設置を検討する。
バスに自転車ラックを導入
した例[神奈川中央交通]
【整備による効果等】
鉄道やバスとの連携を高め、自転車でアプローチでき
る範囲が広がることによって、ネットワーク利用上の利
便性・快適性が飛躍的に向上し、新しいレクリエーショ
ンの創出等にもつながる。
バス路線に自転車を持ち込
んだ例[群馬県前橋市]
■ チェインモビリティの考え方
鉄道に自転車を持ち込んだ
例[島根県松江市]
都市における自転車の活用は、単に自転車利用を推進することだけではなく、むしろ他
の交通手段と上手に組み合わせることによって、各々の特性を活かし、便利で効率的な移
動環境を総合的に形成する視点が重要である。
すなわち、
「徒歩」
、
「自転車」
、
「鉄道」
、
「公共交通(鉄道・バス・タクシー)
」、
「車(自
家用車)」の性格や性能が効率的に発揮できる交通体系の構築である。
その効率的な都心交通体系とは、単にモーダルミクス(交通適正配分)というより、各
交通手段の「組み合わせ方」に重点を置いた「チェインモビリティ:連鎖交通環境」の実
現であり、円滑な乗り換えの方法や拠点整備が重要となる。ここで、自転車は各交通手段
の隙間を補完する乗り物として大きな役割を果たす。
215
●2-4
ルール・マナー向上方策
○2-4-1
ルールの周知とマナーの向上【思いやりの心育て/自転車への関心づくり】
1)PRパンフレット等
自転車の走りやすいルート等を分かりやすく示したサイクルマップや効果的なパ
ンフレットによって、自転車の利用促進とともに、自転車に関する様々な情報提供
や、ルール・マナー向上等の意識啓発を図る
【取り組みの考え方】
自転車の走行環境、周辺の施設、お薦めの周遊コース等の情報を掲載したサイクルマ
ップや、自転車のマナー・ルール等を掲載したパンフレットを作成し、自転車の利用促
進やマナー啓発等、自転車ネットワークを活性化させるためのPRを検討する。また、
作成にあたっては、市民や関連団体等との協働によって必要な情報を収集・整理する。
【取り組みによる効果等】
自転車が走行しやすい道路等を分かりやすく示すことによって、自転車の利活用拡大
が図られる。また、自転車の走行部分や利用上の注意事項等を掲載したパンフレットの
活用によって、自転車利用に関するマナー向上に向けた意識啓発等につながる。
また、市民や関連団体等との協働によって必要な情報を収集・整理することによって、
マップづくりを通じて、自転車が市民に広く支えられたものとなる。
■ 参考:自転車走行ルール・マナー(豊田市自転車マップ:市街地周辺版)
現地調査実施の様子
結果整理の様子
216
第3章
基本構想
2)交通安全教育
交通手段の一員としての意識を持って、また自転車の走行位置に応じて、
きちんとマナーを守った利用を促進するための、ルール検討と交通安全教育を推進
する
【取り組みの考え方】
自転車利活用の推進にあたって、小中学生・高校生・高齢者等の事故低減のみならず、
歩行者や自動車を含めた総合的な安全性等を確保していくために、法改正や警察庁通達
の意義をふまえながら、車道内・歩道内それぞれの走行位置に応じて、自転車に関する
必要なマナー・ルール等について検討する。
また、自転車関連業界や学校等と連携して、市民の自転車利用時におけるマナー向上
や歩行者と自動車との関係を考慮した交通安全の視点から、市民(小中学生・高校生・
高齢者等)やドライバー・運送事業者等を対象にした必要な講習会等を開催する。
例)幼児・小中学生・高校生・高齢者等を対象にした自転車体験教室・交通安全教室・
自転車の紹介・地域活動の充実、ヘルメット着用の徹底、「毎月10日は市民交
通安全の日」による市民自らの意識改革の推進(浜松市交通安全計画)等
【取り組みによる効果等】
自転車利用に関する市民のマナー向上とともに、必要なルールの検討によって、自転
車事故の低減だけでなく、歩行者や自動車を含めた総合的な安全性・移動円滑性等が確
保される。また、都市の移動交通手段として有能である自転車の性能を再評価し、市民
の利用促進を図ることも期待できる。
■ 参考:自転車安全利用五則(警視庁ホームページ)
1
自転車は、車道が原則、歩道は例外
【罰則】3か月以下の懲役又は5万円以下の罰金
2
3
車道は左側を通行
歩道は歩行者優先で、車道寄りを徐行
【罰則】2万円以下の罰金又は科料
4
安全ルールを守る(飲酒運転・二人乗り・並進の禁止、夜間はライトを点
灯、交差点での信号遵守と一時停止・安全確認)
【罰則】飲酒運転:5年以下の懲役又は100万円以下の罰金(酒酔い運転の場合)
二人乗り:2万円以下の罰金又は科料、並進の禁止:2万円以下の罰金又は科料
夜間はライトを点灯:5万円以下の罰金、信号遵守:3か月以下の懲役又は5万円以下の罰金
交差点での一時停止・安全確認:3か月以下の懲役又は5万円以下の罰金
5
子どもはヘルメットを着用
217
●2-5
イベント・PR活動
○2-5-1
イベントの実施等【自転車利用の拡大】
1)健康・レクリエーションイベント
健康づくりに効果的な自転車利用を広くPRしていく
様々な体験・実験を組み合わせることで、より楽しめるイベントとなる
【取り組みの考え方】
様々な自転車の展示や試乗、また健康増進への効果等の紹介、その他、主に自転車を
健康的に楽しむことを主題とした効果的なレクリエーションイベントを企画・運営する。
開催にあたっては、市民や関連団体等と協働で行う。
【取り組みによる効果等】
様々な自転車利用のあり方や楽しみ方を提案する機会となり、自転車利用者の増加が
期待できる。また、市民等との協働作業とすることによって、地元に支えられたイベン
トとして、その拡大や継続的開催、市民ネットワークづくりも見込まれる。
■ 整備事例
サイクルツアーイベントの例
[群馬県]
218
おもしろ自転車試乗イベントの例
[群馬県]
第3章
基本構想
2)スポーツイベント
自転車乗車技術の最高峰から
身近な市民・子供のレースまで
みんなが自転車を楽しめる、効果的なイベントを検討する
【取り組みの考え方】
自転車の性能や運転技術を競うロードレース等の競技・スポーツイベントを効果的に
企画・運営する。開催にあたっては、市民や関連団体等と協働で行う。
例)浜松ロードレース大会、浜松クリテリウム(市街地に設定された短い距離の周回
コースを走るレース)、浜名湖周遊ロードレース、天竜川山岳レース、浜松市民
自転車レース大会等
【取り組みによる効果等】
様々な自転車利用のあり方や楽しみ方を提案する機会となり、自転車利用者の増加が
期待できる。また、市民等との協働作業とすることによって、地元に支えられたイベン
トとして、その拡大や継続的開催、市民ネットワークづくりも見込まれる。
3)文化イベント・シンポジウム
イベントを通じて、市民等による自転車応援団を育てるとともに
広く自転車まちづくりを支える交流ネットワークを構築する
【取り組みの考え方】
自転車に関する国際会議やシンポジウム等の効果的な文化イベントを企画・運営する。
開催にあたっては、市民や関連団体等と協働で行う。
例)
・自転車利活用推進のためのシンポジウム開催
・キープレフト推奨集団ツアー等
【取り組みによる効果等】
全国的・世界的に浜松市の自転車活用まちづくりをPRすることができるとともに、
様々な自転車利用のあり方を提案する機会となり、自転車利用者の増加が期待できる。
また、市民等との協働作業とすることによって、地元に支えられたイベントとして、そ
の拡大や継続的開催とともに、広く自転車応援団のネットワークづくりも見込まれる。
219
4)エコ・モビ
プロジェクト(車に乗らない生活体験)
車だけに頼る生活を見つめ直すきっかけづくり
地域の交通事情の理解を深め、自転車利用や公共交通利用促進等を PR する
【取り組みの考え方】
通勤や買物等で日常的に車を利用している人に、一定期間内である日数以上、できる
だけ車を利用せず、環境への負荷が小さい交通手段を利用する生活を体験してもらうこ
とで、自家用車から、バス等の公共交通、自転車、徒歩への移動行動の転換を促す。
なお、実施にあたっては、市民や関連団体、企業等と協働で行い、体験者に対して
自転車の貸出、バスの IC カード、回数券等の貸与等の支援を行う。
【取り組みによる効果等】
過度に自家用車に依存した生活を見つめ直す機会となり、自転車や公共交通の利用
者増加等が期待できる。
また、交通行動の記録から、二酸化炭素排出量の削減量を計算するなどして、環境
問題への意識啓発や地域の交通事情を理解することができる。
平浜 23 年度 浜北区内野台地区での実施例
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第3章
●2-6
基本構想
自転車まちづくりの輪の拡大
○2-6-1
検討組織等の継続と展開【具体化に向けた検討・調査研究等】
【取り組みの考え方】
既存の検討組織等の継続と展開により、自転車活用を支え、具体化に向けた必要な検
討作業や調査研究等を行う。
【取り組みによる効果等】
様々な検討作業や活動を通じて、自転車活用の目標や意識の共有が図られるとともに、
道路管理者等の関係者の参画によって、円滑な事業推進が可能となる。
○2-6-2
地域住民等の協力体制づくり【(仮)市民自転車応援団づくり】
【取り組みの考え方】
広く市民に親しまれ、活用される自転車ネットワークづくりに向けて、地域住民等が
参加できる様々な仕組みづくりを検討する。
【取り組みによる効果等】
地域住民の参加によって自転車への関心が高まり、ネットワークの活性化や整備促進
につながる。
○2-6-3
企業等のバックアップ【自転車利活用に関する理解と協力】
【取り組みの考え方】
主に短距離移動の自動車から自転車への転換促進に向けて、従業員の自転車通勤を推
奨したり、利用しやすい駐輪場やシャワールームを整備するなど、企業等の理解と協力
を得ながら、自転車利用を総合的に促進する。
【取り組みによる効果等】
企業等の理解・協力を得ることによって、比較的まとまった人数について自動車から
自転車への転換が図られ、CO2 排出量の大幅な削減が期待できる。また、朝晩の通勤時
間帯における周辺の渋滞緩和にもつながる。
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