Comments
Description
Transcript
イ メージ画にみる母と娘の関係
-1 5 7生活科学研究誌 ・Vo l .1( 2 02) イメージ画にみる母 と娘の関係 一母親への 「 依存 ・独立 ・葛藤尺度」 との関連か ら- 板垣奈未,岩堂美智子 大阪市立大学大学院生活科学研究科 ( 平成1 4年8月9日受付 :平成1 4年1 2月2日受理) Re l a t i on s h i p sb e t we e nmo t h e r sa n dda u gh t e r ss e e ni ndr a wni ma g e s - Fr omt her el at i onof" dependence, i ndependenceandconf l i ctscal es"t ow. ar dsmot her sNa miNe ga kia ndMi c hi kol wado GL T a du at eSc ho o lo fHu ma nLl ' f eSc l ' e nc e , Os a kaCL ' t yUnL ' v e z T S J ' t y Summar y 5 0 3youngwome na st e s ts ub j e c t s .We r ea s s i gne dt odr a wi ma ge so fr e l a t i o ns hi psbe t we e nt he ms e l ve sa ndt he i r mo t he r s" i nt he i rc hi l dho o d"a nd' . a tpr e s e nt " ,a swe l l .t he ywe r ea s ke dt of iuo utaque s t i o nna ir ec o ns i s t i ngo f2 8 i t e mst ha ts c lede a pe nde nc e ,i nde pe nde nc ea ndc o n li f c tt o wa r dapa r e nt . Ther e s ul t ss ho wt her e l a t i o no ft he ' i ma ge sa ndt hes c o r eo ft het hr e es c le a smo unt e dt ha tt he r ea r enos i gni ic f ntdi a f f e r e nc e ss t a dc ll a ywi t he i t he rt he t hr e es c a l e so rt het wope r i o dso ft i me ,b e t wee ne ve nape r s o nwhodr e wa ni ma gel i ke me ,t r yi ngt obe c o meo ne mot he ra ndI ,i nde pe nde ntf わ r me a c ho t he r "i ma ge . Weobs e r vedt ha tt her e s ul t ss ho wt ha tr e l a t i o ns hi psbe t we e nJ a pa ne s emo t he r sandda ught e r sha so r i ina g l di r e c do nwhi c hde er f sf ro m we s t e r ns e ns eo fva lue s . Keywor ds:母娘 関係 Mo t he ra ndDau ght e rRe l ab ' o ns hl p, 依存 de pe nde nc e ,毅 彦 ) ' nde pe nde nc e , 葛藤 c o nhl c t ,イメー ジ画 dL T aWaL ' ma ge その時々において、様々な視点で母親を捉えることにな 問題 る。そのような意味で、「 母 と娘」め関係は特殊 なもの 母 と娘の関係は今 日の 日本の臨床心理学における重要 であると言えるだろう。 なテーマである。では 「 母 と娘」、そ こにある関係の特 で は果た して、その特殊 な 「 母 と娘」の関係性はどの o mR L. ( 1 9 9 0 ) 殊性 とはいったい何なのか.そのひとつはNa ような距離感をもって動いているのだろうか。 の定義する、祖母 ・母 ・娘 ・孫娘か らな り家族の歴史を 支える女性の繋が りである 「 母の系列」が挙げ られる1 ) 。 そ もそ も 「 母子密着」と言 うように、母 と子の関係に すなわち、母 と娘の間には、決 して二者関係で終わるこ は常 にどこか 「 離れ られない」 イメージが付 きまとう。 とのない連綿 と続 く女性の繋が りが存在す るのである。 母親か らの溺愛、子 どもか らの強い依存は、子 どもの成 娘にとっての母は絶対的な 「 母」であるが、次第に娘は、 \ ■ 母が 「 娘で もある母」 ▲であることに気づ き、そ して自分 長にしたがって確実に開巻祝 されてい く。母 と子の関係 自身が 「 母」にもなることに気づいてい く。娘 は人生の ないために、 .さまざまな問題 を引 き起 こす、 ということ ( は、物理的にも心理的にも近すぎては精神的距離を保て 1 ) 生活科学研究誌 ・Vo l .1( 2 02) -1 5 8- r だろ う。いったい 「 物理的にも心理的に もほ どよい距離」 に用い られて きた西欧の枠組みで 『 未分化J 依存J と とは どの ようなもの を指すのか。その距離 は近す ぎては ネガテ ィブな概念で とらえ、 『 未分化か ら分化へJ 依存 r いけないが、遠す ぎて もいけないのである。特 に、母 と か ら独立へJ 向かわねばな らない とす る発達様式」へ の 娘 とい う特殊 な関係性 において、両者の適切 な距離 とは 疑問を投 げかける6 ) 0 そこで本研究では、「 包む母 と入れ子の私」の ように、 どうい うものなのだろうか。 人 と人 との関係 とい う目に見 えない ものを、イメージ 目に見 えて密着 した母子関係のイメージが、果た して実 1 9 8 8) 2 'は幼い頃 として集約 し表現す る 目的で、や まだ ( 際 に子か ら母への依存や独立心 とどの ように関係 してい と、現在、両時期の 「 私 と母の関係」をイメー ジして描 るのかを調査す ることとした。 いて もらった女子大学生の絵 を考察 している。その中で 特徴 的に見 られたの は、母が娘 を (もしくは娘が母 を) 調査方法 1対象 包み こむ形である 「 包む母 と入れ子の私」 とい う構図で 61 名( 回収数2 4 3、回収率9 3%)、 大阪府下の女子大学生2 あった。そ して、その構図を現在の 「 私 と母の関係」 に 女子専門学校生41 6名 ( 回収数3 7 7、回収率91 %) 、計 6 7 7 おいて も描 く被験者が多 くいたのである. 名 ( 有効標本数5 03、有効回収率7 4%) 。年齢幅 1 8-29歳、 「 包む母 と入れ子の私」の構 図において、母 と私の距 9 . 9歳。 平均年齢 1 は、現在 における関係 を描いている、す なわち青年期か 2手続 き ら成人期 にいたる娘 と母親 との関係 を描いた もの として 捉 えると、 まさに 「 密着」 した関係 に見 えて くる。 しか 大学等の講義の時間など集団場面 において調査用紙 を し、 このイメージにおける母親 との密着、一体感は、前 配布、実施、回収 した。なお、調査 は無記名で行 った。 述 した ような 「 物理的にも心理的にも近す ぎては精神的 距離 を保 てないため に、 さまざまな問題 を引 き起こす」 3調査内容 関係である と、果た して一概 に言 って しまえるだろうか。 1)イメー ジ画 o s( 1 9 6 2, 1 9 67 ) 3' 及U: 長尾 ( 1 9 91 ) 4' のモデ 青年期 とは、Bl 「あなた とお母 さんの関係 を思い描いて、 自由に絵 に ルに従 えば、第二の分離 一個体化の時期である。第二次 措いて ください。絵 は具体的なもので も、● 空想で も、記 性徴 を契機 に思春期 を迎 える青年は家族への依存か ら独 号の ような ものを使 って もどんな形 で も構 いません。 ま 立 し、 幼児期的対象か ら情緒的に離脱す ることによって、 た、絵 についての説明 も以下の欄 に付 け加 えて下 さい。 」 大人社会へ の参加 を果た してい く。そ こには独立欲求 と 版の上質紙 に鉛筆 を どで、幼 とい う教示の もとに、 B5 依存欲求の間に起 こる強い葛藤 とい う再接近期危機が存 い頃の母 との関係 と現在の もの と 2種類の絵 を描いて も 在す る。その後、 この課題 を乗 り越 えなが ら 「 練習期」 らう。用紙の向 きや描画方法 などは全 く個人にまか され を経 て、青年期の発達 はや っ と 「 個体化期」 にいたる。 てお り、 自由なもの とした。 つ ま り、青年期 はようや く母親 と物理的に も心理的に も 2)質問紙 分離 して、ほどよい関係 を形成す る段 階であ り、融合 で はあ りえない。 青年期 における親への依存欲求 ・独立欲求 ・葛藤の発 1 9 9 9) 7' の、 達的変化 を測定す るため に作 られ. た、井上 ( では、青年期 における 「 包 む母 と入れ子の私」 はいっ 尺度を用 いた。 これは、幼 い頃か らの発達的な母への感 たい何 を意味 しているのだろ うか。それは個体化期 に未 情 を、現在の視点で とらえる本研究 にも適 しているので だ到達 しない練習期、 もしくは再接近期 にとどまること はないか と考える。 なお、依存欲求 ・独立欲求 ・葛藤の を意味 しているのだろうか。 8 5, α≡. 8 3, α-. 7 7とな り、 各尺度の信頼性 は順に α-. ここで、や まだは母子の関係性 の変化 において、「も 高い信頼性が得 られている。依存欲求尺度 は、「親 には しかす ると、入れ子が成長 して 『 出て行 く』のが普通で 私のことを見守っていて欲 しい」 など、親 とは心理的な 常識的なかたちだ と考えていたのは、実 は幻想 なのか も いい関係 を保 ち、困難な課題 にぶつかった時や苦 しい時 しれない。別の視点か ら見れば、 しか も細かい違いは別 に援 助 して も らいたい とい う欲求 が反映 され てい る。 に して大 きくみれば、本当は 『 変わ らない私J の構図の 葛藤尺度 は、「自分 には 自分の言い分があ るのに、親 は ほ うが広い視野 をもつ、一般的で基本的な形 なのだ と考 まともに取 り合 って くれない」 な ど、 自己の主体性 を発 えることもで きよう。」 とい う新 しい視点 を提示 してい 揮 しようとして も、親がそれを認め ようとしなかった り、 る5 ) 。そ して、 川包 む母 と入 れ子の私」 の像 を、従来主 親の考 えによって束縛 された りす るために、思い通 りに (2) 板垣 ・岩堂 :イメージ画 にみる母 と娘の関係 -1 5 9- 行動す ることがで きない とい う葛藤が反映 されている。 私」 と表記す る。) とい う筆者独 自の分類 を行 った。 な 独立欲求尺度 は、「 親の考 えに合 わせ る よ りも自分の思 おこれは、従来や まだが行 っていた 9 . つの母子関係の発 うとお りに したい」 など、親か らの束縛や制限にとらわ 達形態 を、分化か未分化かの 2軸 に単純化 して、共有部 れることな く、親 とは異 なる自己の独 自性 を保 ち、 自己 分のある もの ( Fi g. 1 右) に関 しては 「 包 む母 と入れ子 実現 をはかろ うとす る欲求が反映 されてい・ る。以上、3 の私」 に含めて 「ひとつになろ うとする母 と私」 として つの独立 した尺度か らなる28項 目か らなる質問 に対 し、 カテゴリー化 した。この 「ひ とつ になろうとする母 と私」 各項 目に 「 全 くそ う思 う」か ら 「 全 くそ う思 わない」ま とい うカテゴ リーにおいて、 「 包 む母 と入れ子の私」の での 5段階で評価 を求めた。 構図 と、それ以外の ものに関 して、各尺度における有意 差は出なかった。 結果 この ように して行 ったイメージ画の分類 に関 して、依 1尺度得点 存欲求 ・独立欲求 ・葛藤のそれぞれの尺度 との関係 を検 項 目の質問に対 依存 ・独立 ・葛藤の各尺度か らなる28 討 した。なお、それぞれのイメージ画に対 しての詳細 な 全 くそ う しては、井上 に従 い、「 全 くそ う思 う」か ら 「 内容吟味については、や まだが行っているので、今回の 思わない」 までの 5段階の評定に、順 に 5点か ら 1点 ま 例図においてイメージ画 とともに書かれた説明文は、必 での得点 を与 えて点数化 した。そ して、依存欲求尺度に 要 と思 われる ものに しか付 けていない。 「ひ とつ になろ うとす る母 と私」の構 図 は、Ma hl e r 含 まれる11 項 目、葛藤尺度に含 まれる9項 目、独立欲求 尺度に含 まれる8項 目において、それぞれ尺度 ごとの合 ( 1 9 6 7 )8) の定義す る 「 正常 な共生期」か ら、母親 と子の 計得点 を算 出 し、それぞれの尺 度得点 ( 以下、それぞれ 分化である 「 分離 一個体化」 の第一段階にいたる 「 練習 依存得点 ・ 葛藤得点 ・ 独立得点 とす る)とした ( Ta bl e1)0 期」 に入るまで を参考 に想定 した もので、非分化的な一 体感にあった母親 と子が、完全 な別個体 として分化す る Tab一 el 各尺度 の平均点 敬 葛藤得 点 依 独 存得 立得 点 点 5 50 03 3 中値 1 1 4 0 9 までの状態 を考 えている。 したが って、「ひ とつ になろ 又大 値 4 5 44 5 0 うとす る母 と私」は、「 包 む母 と入れ子の私」の ように 平 均値 あ さらかに母親 と自分 とが一体化 した状態で描かれてい 18. 80 4 2 22 9. 39 6 るもの、 またその一体化か らの分離過程であ り、完全 に は分化 していない状態の もので、二個体であ りなが らま るで一体であろ うとしているかの ような母 と娘の構図 と 2イメージ画 した ( Fi g. 1)。そ して、 この 「ひ とつ になろ うとす る イメージ画の分類 に関 しては、や まだが提案すろ母子 母 と私」以外の構 図を、その関係性 はどんな形であるに 関係の発達形体 を参考 に、「 包む母 と入れ子の私」とい しろ、・ 母親 と完全 な別個体 と・ して分離 しているもの と見 うや まだの定義 した構 図を基本 として、「ひ とつ になろ な し、「 分化 した母 と私」 と名づ けることに した ( Fi g. 以下図 ・表内では 「 一体化す る母 と うとす る母 と私」( 2)0 Fi g.1 ● 「 一体化 する母 と私 」 (3) 生活科学研 究誌 ・Vo l .1( 2 ( 氾2 ) -1 6 0- Fi g.2 「 分化 した母 と私」 なお 、 この分類 に関 して は、筆 者 ら二 人 にお い て 、 TabJ e4 9 0%以上の一致率であった。 また、 この分類 において幼 い頃の もの と現在 とで x二乗検 定 を行 った結果 、幼 い頃 N 億 -3 0 . 5 0 7, と現在 の構 図 には有意 な差が見 られ た (x2 自由度-1,p<. 01 )( Tabl e 2)0 Tabl e2 「 一体化する母 と私」 と 「 分化 した母 と私」の比較 現在 ● 幼い頃 幼い頃. 現荏( 人) 31 1 . 4 5 % 8 1 6 . 8 7 4 , i 2 4 2 . 4 1 % 2 「 分化した母と私」 6 8 3 . 4 6 % 5 8 3 4 . 3 1 ㌔ 9 7 5 7 . 6 9 , 4 i 平均値 檀貞 義 t傭 一 体化 す母と る母と 私J ' 依存得点 「 分化 した 私」 8 4 4 1 ○ 4 2 . 4 3 2 7 7 6 . 7 2 8 9 . 1 9 「 一体 す母と る母私 とJ 私」 葛藤得点 r 分 化化 した 8 4 4 1 9 1 8 . 3 6 8 9 7 6 . 3 8 2 5. 8 4 独立得点 「 一体化する母と私」 8 4 2 9 . 5 0 . 4 ● 6. 5 2 8 幼 い頃 ・現在 の両時期 を描 いて も らったイメー ジ画 にお 合計 「 一体化する母と私」 「 一体化する母 と私」および 「 分化 した母 と私」の 2分頬による依存欲求 ・独立欲求 ・葛藤得点の差 ( 現在) いて、 「ひ とつ に なろ うとす る母 と私 」の構 図であ って も 「 分化 した母 と私」 の構 図であ って も、被験 者の依存 欲求 ・ 独立欲求 ・ 葛 藤 に違 い は存在 しない こ とが わか る. また、幼児期 の イメー ジ画 にお ける構 図が 「ひ とつ に なろ うとす る母 と私」 の形 である ものの なかで、現在 の 0%近 く見 られた 「ひ とつ になろ うとす る母 幼 い頃は3 イメー ジ画 にお ける構 図が 同様 に 「ひ とつ になろ う とす 5% に減少 し、 と私 」の構 図 は現在 の関係 にお いて は約 1 る母 と私」 の形を̀ とる もの と、 「 分化 した母 と私」の形 「 分化 した母 と私」 の構 図が 8割 以上 を占めて い るこ と に変 わ った もの とでT検 定 を行 った結果、 こち らも有意 が わか る。 な差 は見 られなか った ( Tabl e5)0 TabJ e5 幼い頃の 「 一体化する母 と私」の構図から、 現在の画における構図の変化による依存欲求 ・ 独立欲求 ・葛藤得点の差 3イメージ画 と各尺度得点 との関係 幼 い頃、現在それぞれにお いて、 イメー ジ画 における 「ひ とつ に なろ うとす る母 と私」 も し くは 「 分化 した母 と私」の構 図 と各尺 度得点 においてT検定 を行 った結果、 「 一体化する母 と私」および 「 分化 した母 と私」の 2分類による依存欲求 ・独立欲求 ・葛藤得点の差 ( 幼い頃) N 平均性 峯傭養 t 依存得点 r 「 分 一体 化し 化た す母 るとと 母 私」 私J 3 1 5 4 8 5 4 3 1 . 9 1 3 1 6 7 . 4 5 4 1 0 . 7 7 葛藤得点 r 「 分化 一体化 した す母 るとと 母私」 私J 3 4 5 1 5 8 7 1 7 9 . 9 1 9 6 . 8 9 41 . 7 8 独立得点 「 一 分化 体化 した す母 るとと 母 私」 1 5 8 2 9 . 5 2 3 5 4 . . 6 1 0 3 . 5 0 t確 N 変 ( 「 化なし 一体化する母と私」) 「 分化した母と私」 49 1 09 42. 9 4 43. 22 6. 57 -. 25 6. 41 葛藤得点 文化なし ( r一体化する母と私J) 「 分化した母と私J 49 1 09 1 8. 41 1 7. 80 7. 37 . 52 6. 61 独立得 点 変化なし ( 「 一体化する母と私」) 49 30. 04 4. 42 . 94 有 意 な差 は見 られなか った ( Tabl e 3, 4)0 Tabl e3 橿隼 4蓋 現在のイメージ画 依存得 点 平 均値 同 じく、幼 い頃の イメー ジ画 にお ける構 図が 「 分化 し た母 と私」 の形 を とる ものの中で、現在 において は 「ひ とつ になろ うとす る母 と私」 の関係 を描 いた もの と、変 わ らず 「 分化 した母 と私」 の形 で あ った もの とでT検 定 (4) ′板垣 ・岩堂 :イメージ画にみる母 と娘の関係 Ta bl e6 ) 0 を行った結果、有意な差は見 られなかった ( 立す ることが発達の課題であるといわれて きた。現 に、 長尾によるBbs の「 青年期の親か らの分離 一個体化過程」 9) TabJ e6 幼い頃の 「 分化 し● た母 と私」の構図か ら、 現在の画における構図の変化による依存欲求 ・ 独立欲求 ・葛藤得点の差 現在のイメージ画 依存得点 r 一体化する母と私J 葛藤得点 独立得点 N 平均鶴 橿準傭豊 41 . 71 7. 04 変 (r 化 分 な 化 し し た 母 と私 」 ) r一体 化 す る 母 と 私 J 31 0 35 41 . 93 1 8. 29 7. 56 7. 34 -. 79 (r 化 分 変 31 0 35 1 9. 27 28. 74 6 . 89 4. 44 -. 66 な 化 し した 母 と 私 J) r 一体化する母と私」 を参照 して も、親 との共生期 などというものは、青年期 では定義 されていない。青年期 にある現在 において、母 と分化 しているのは当然の ことであ り、その距離感 に t義 -. 1 6 35 -1 61- 様 々なパ ター ンはあるにせ よ、一体化 しているなどとい うことはあ りえないのである。 ところが、今回の調査 に おける 「ひとつになろうとす る母 と私」は、青年期にお いては一見特殊で不適切 に見 えるが、「 分化. した母 と私」 のイメージを持つ もの と各尺度において差異がない とい う点で、イメー ジにおいて全 く母か ら分化 していない したがって、「ひ とつになろうとす る母 と私」・「 分化 「 私」で も、母 に対 して過依存で もな く、か といって依 した母 と私」の両構図において、幼い頃 も現在 も変わ ら 存 していないわけで もないことが うかがえる。 ここで少 し、現在 における 「ひとつになろうとする母 ない形であるもの ( 幼い頃 ・現在共に 「ひとつ になろう とする母 と私」 の構図、 もしくは幼い頃 ・現在共に 「 分 と私」のイメージ画 を具体的に検討 してみる。や まだは 化 した母 と私」の構図) と、幼 い頃か ら現在のイメージ 「 包む母 と入れ子の私」が必ず しも肯定的な 「 抱 きかか ( 「ひとつ になろ う える母」ではないことに言及 しているが、本研究におけ とする母 と私」か ら現在は 「 分化 した母 と私」へ ・ 「 分 る 「ひとつになろうとする母 と私」も同様に して母 とひ 画 に至って、構 図が違 っている もの 化 した母 と私」か ら現在は 「ひ とつになろうとする母 と とつになろうとするほ ど近い存在であることは、肯定的 私」↑) と、 どち らの推移をとったに して も、被験者の で もあ り、否定的な場合 もある。それが どの ように して 依存欲求 ・独立欲求 ・葛藤に違いは存在 しない ことがわ とらえ られていて も、「ひ とつ になろ うとす る呼 と私」 かる。幼児期か ら現在の画に至 ってあ さらかである構図 はあ くまでその構図によ り分類 した。 したが って、そこ の変化の有無 も、本研究で用いた、被験者の依存欲求 ・ にいる母のイメージはあたたか く包むもので もあるだろ 独立欲求 ・葛藤 とい う尺度において見る限 りは、全て平 うし、子 どもを意の ままにコン トロールするための手投 均的であ り、特 に差は見 られないのである。 Fi g. 4-A) 0 としての 「 包む」である場合 もあるだろう ( もちろん、否定的な意味での 「ひとつ になろうとす る この場合 はむ しろ 「 ふたつになれな. V、 母 と私」 母 と私」( 考察 イメージ画における母親 との一体化状態 と、分化状態 と言 うべ きか もしれないが) と肯定的な意味のそれ とで を定義 して、そこにおける依存欲求 ・独立欲求 ・葛藤の は、そこにおける描 き手の心理は大いに違 うものであろ 違いは、幼い頃、現在の どの軸で とらえて も見 られなか った。 まず、幼い頃のイメージに関 しては、 まだ自立の うし、それに関 しては今回の調査では測定で きないO や まだは 「 包 む母 と入れ子の私」 に関する説明の中で 段階にいたっていないために、その頃のイメTジ画で測 母 と子が親子で包 まれている構図を 「 親子で入れ子」と って も、依存や独立の問いに対 して葦が出ないのはもー っ 表 し、その構 図に関 して、「ず いぶん考 えあ ぐねたが、 ともー か もしれない.幼い時点の母親イ)-ジが、分化 し い くつ ものバ リエー ションを見ていると、まるで、風呂 ているものであっても、一体化状態のものであって も母 や壷の中には誰 も入っていな くて も、母だけが入ってい 親への現在 の依存 や独立への葛藤 に変化 はないのであ ても、母 と子が入っていて も、基本的には皆同 じである る。 ように思えて きた。 ( 中略)その ように してみてい くと、 現在、幼い頃、両時期 における 「ひとつになろうとす 母は場所で もあ り、場所のなかの入れ子にもな りうるわ る母 と私」 と 「 分化 した母 と私」 の違 いに よる依存欲 けである。いずれに して も場所 としての母は、具体的な 求 ・独立欲求 ・葛藤のそれぞれの尺度での詳 しい得点の 母の像 を超え、母 さえも入れることがで きる ものであろ 差 は、Ta bl e3 , 4に示す通 りであるが、幼 い頃の各尺度 う。」 と説明 している1 0 ) 。入 れる側で も入れ られる側で の平均点 と比べて も、現在の平均点に、・ よ り差が見 られ も、より大 きい次元で 「 包む包 まれる」 とい う関係性で ないことがわかるだろ う。「 包 む母」 は 「のみ こむ母」 見れば同 じなのである。肯定的・ 否定的感情 に も同様の であ り、「 死へ とひきず りこむ母」で もあるか ら、それ ことが言えないだろ・ うか。母親に対する否定 ・肯定、 ど を父性原理によって切断 し、包 まれることを拒否 して 自 ちらの感情 も一義的ではないのだか ら、両者 とも 「ひと (5) 生活科学研 究誌 ・Vo l .1( 2 02) -1 6 2- つ になろ うとす る」母 と娘の関係 とい う共通概念で くく 1 ㌧ また、 体 を通 じて残存す るのであ る.」 と述べ ている1 って しまうことは、決 して相反す る もの を混同 して しま 板垣 ( 2000)12 ' は、母 と私の イメー ジに関 して、や まだ同 っている とは言 えない と考 える。 様 の調 査 方 法 で 10代 ・中 年 ・高齢 者 を研 究 し、 中 川 あ さらかに依存的だ と思 える母 と娘 の一体化 したイメ ( 1 9 9 9 ) 1 3 ' の大学生の研究 とあわせて、「 包 む母 と入れ子 の ー ジや、依存 的には見 えず、む しろ協力的な関係 に思 わ 私」の イメージが確実 に中年、高齢期 に至 るに従い増加 れる母娘の一体化、上述 した否定的 イメージを連想 させ す る結果 を得ている。す なわち、可能性 としては 「ひ と る一体化 した関係 な ど、「ひ とつ になろ うとす る母 と私」 つ になろう とす る母 と私」 のイメー ジが年齢 を重ねるご に も様 々なパ ター ンがある ( Fi g. 4, 5, 6)。それぞれの とに増加す ることが考 えられる。す る と、今 回の 「ひ と 絵 に対 しての詳細 な内容吟味 については、や まだの 「 包 つ になろ うとす る母 と私」イメー ジは まさに、依存や独 む母 と入れ子 の私」 イメージに関す る解釈 にほぼ従 うこ erが指摘 す る 「生涯 立 な どの要 因 とは無 関係 に、Mahl とと した。 しか し、そ こに どの ような関係性や意味、バ l i f ec yc l e全体 を通 じて残存す る」重要 なイメー ジの形 1 4 ㌧ リエ ー シ ョンがある として も、現在 における 「 未分化」 とい うものにな りうるのか もしれない。 な母 と私の イメージが、決 して分化 した母 と私 のイメー 現在 における 「ひとつ になろ うとす る母 と私」 の イメ ジに比べて依存的でない とい うことは、非常 に特徴的で ージは依存欲求や独立欲求、葛藤 に関 して 「 分化 した私」 ある。 「 青年期」 にお ける母 か らの物理 的 ・心理的 自立 と違わない ことはわかったが、 .次 に、 これを幼 い頃か ら ( それ をイメー ジす るな らば 「 分化 した母 と私」1こな り の発達 とい う軸で経時的に見る。 ここでは、幼 い頃か ら が ちではないだろ うか) とい う課題 に関 して、「ひ とつ 現在 に至 るイメー ジ画の構 図変化 に よる、被験者の依存 になろ うとす る母 と私」とい うイメー ジは決 してそれを 欲求 ・独立欲求 ・葛藤の違 いは全 く見 られなかった。 こ erは幼児期 の母子 関係 妨 げ る ものではないのだ。 Mahl の ことを もう少 し詳細 に考察 したい。 にお ける分離個体化 において、「 正常 な 自閉 と正常 な共 Fi g. 3に発達的に とらえた 「ひ とつ になろ うとす る母 と 生 は非分化 no ndi 鮎r ent i a t i on の最初 の 2段 階である- 私」のイメー ジ画 の分類 を示す。 i ec f yc l e全 ( 中略)・ ・ ・ そ してこの段 階の痕跡 は、生涯 l Fi g.3 母子関係の幼い頃か ら現在への変化 幼い頃 す 化 製 母 体 か る と 「 ら 現在 ○-母 ●-千 幼 い頃 Aパ ター ン 化 蛋 製 母 た か し と ら ここに示 したAパ ター ン、 Dパ ター ンは、始 ま り ( 幼 現在 Cパ ター ン い頃 と違 う母 と私のイメー ジを描いている。 い頃)が 「ひとつ になろうとす る母 と私」か 「 分化 した まず、一体化か ら分化への Bパ ター ンであるが ( Fi g. 5)、 母 と私」であるか とい う違いはあるが、どち らも幼い頃、 これは度 々述べ て きた、西洋的な発達様式 である 「 未分 現在の母 と私のイメージが一体化か分化か とい う視点 で 化か ら分化へ」 と一致す る ものであ り、一般 的に受 け入 は 「 変 わ らない私」 である。逆 に、Bパ ター ン、Cパ タ れ られている ものである。 また、分化か ら分化へ とい う ー ンは始 ま り ( 幼 い頃)が 「ひとつ になろ うとす る母 と Dパ ター ンも ( Fi g. 6)、最終的には 自立 と分化 を 目指す 私」 か 「 分化 した母 と私」かであるにせ よ、現在では幼 従来の発達様式 にそ う違わない ものであろ う。幼 い頃の (6) 板垣 ・岩堂 :イメー ジ画 にみる母 と娘の関係 イメージを幼 い頃の どの時代、 どの地点 で とるか とい う -1 6 3- 本研究 において も青年期 には 「 分化 した母 と私」 のイメ hl e r こ とは描 き手次 第で任 されてい るので、そ れが Ma ー ジ画が 8割 を占め て い る こ とか ら、「変 わ らない私」 の定義す る 「 共生期」 をイメー ジ して とれば 「ひ とつ に す なわち、一体化 した ままの母 と私 を 「 一般 的で基本的」 なろ うとす る母 と私」 である し、「 練 習期」 や 「 再接近 として しまうのは少 々論理 の飛躍 か もしれ ない。しか し、 期」 もしくは もっ と後の完全 な分化期以降 ととれば 「 分 少 な くとも依存 や独立 とい う青年期 の親 に対す る重要 な 化 した母 と私」 であるだろ う。 発達課題 にお いて、「分化 してい く母 と私」 が一般 的 な 注 目すべ きは、 Aパ ター ン 「ひ とつ になろ うとす る母 もので、「ひ とつ になろ うと し続 ける母 と私 」が特殊 で Fi g. 4)。 これ は完全 と私」 の ままの母娘 関係 であ る ( ある とい うこ とはで きないだ ろ う。 に従来の発達様式 にのっ とっていない。未分化 な出発点 まとめと今後の課題 . はいいが、母 と私 はイメージ上 はそ こか ら分化 してお ら ず、依然 として未分化 なままなのである。幼 い頃 と2 0歳 本研 究 の 目的 は 「従 来 の 西 欧 の枠 組 み で F 未 分化 J 前後の現在 において変わ らず未分化 な母 と私 といえば、 『 依存」 とネガテ ィブな概念で とらえ、 r 未分化か ら分化 「 未熟」「 大人になれない」なぞ さまざまに、そ してあ ま 依存か ら独 立へ 』向か わねばな らない とす る発達 へJ『 り肯定 される とは青いがたい状態 とされるだろ う。や ま 様式」( や まだ. 1 988) へ の疑 問であ り、過剰 に依存 的で だは 「 変わ らない私」・として相変 わ らず母 とい う入 れ子 もな く、離れす ぎて もいない 「 母親 との適度 な心理的距 か ら出ない ままの私 につ いて述べ てい る。 「ま してその 離」 は どの ような もの なのか、 とい う問いに対 しての研 年齢 になって、 まだ母の胎内の 『 入れ子』で居つづ ける 究であった。 や まだが定義 した 「 包 む母 と入れ子の私」そ して今 回 とした ら、とんで もない と思 われ るに違 いない。しか し、 何 度 も言 うようにそれは西欧の価値体系 か ら眺 めた場合 筆者がそれ を もとに定義 ・ した 「ひ とつ になろ うとす る母 未 と私」とい うイメー ジ上の母娘 関係 は、一見す る と 「 にす ぎない。1 5 リ 従来の西欧的発達観点か らは、異端で未熟 な もの とと 分化」 な私の代 表 であ る。 しか し、それは母 と 「 分化」 らざるを得 ない この 「ひ とつ になろ うとす る母 と私」 の した私 と比べ て依存 的で もな く、 また独立心が強いわけ ままの母娘 イメー ジであるが、 しか し、今 回の結果か ら で もない。西欧 との比較研究 は行 われていないため、実 「 一体化」 の ままであって も、「 一体化」 か ら分化 であっ 際 に西欧 において この母娘関係 のイメー ジが どの ような て も、 どの イメー ジ画 のパ ター ンにお いて も、依存欲 もの になるか はわか らない。 しか し、本研 究の結果 は、 求 ・独立欲求 ・ 葛藤 に違 いはないのである。 これ は西欧 母娘 関係 は、従 来言 われて きた ような単純 な未分化か ら の価値体系か ら眺めた解釈 に対 して一石 を投 じる もので 分化へ とい う発達理論 では捉 え られない ことを示唆 して あろ う。 イメー ジにおいて一体化 した ままの母 と私 は、 いる。 一体化か ら分化へ 、分化か ら分化へ な ど最終 的に分化 を また、本研 究 では、井上の青年期 における親 との関係 目標 とした西欧形態 にのっ とったパ ター ンと比べ て、特 においての依存 -独 立 の葛 藤尺 度 を用 いて行 ったため、 に依存的であるわけで も、 独立欲求が低 いわけで もない。 一般的な大学生 の親へ の依存傾 向や独立欲求 を見 ること 「 未熟」 で 「 大 人 になれない」 とい うような考察 を与 え はで きるが、その依存欲求や独立欲求が どの程度のバ ラ る材料 は存在 しないのである。 ンスを保てば よいのか、 どん な風 にバ ラ ンス を崩す と問 加 えて、従来の発達様式か らの逸脱 と言 えば、 Cパ タ 題であるのか とい う点 にはい っ さいふ れていない。今後、 Fi g. 7)。 ここで は 「未 ー ンはその最 た る ものである ( 臨床事例 な ど、 よ り個別的 なデー タを用 いて依存や独立 分化 か ら分化へ」 とい う発達様式 を全 く逆行 している。 欲求 と葛藤のバ ラ ンス とイメー ジ画の関係 を見 る必要が 分化 したはず の母 と私の イメー ジが 、一体化 した状態 、 あるだろ う。 また、一 口に 「 依存」 と言 って きたが、そ す なわち 「 未分化」 な状態 に逆行 しているのである。 こ の依存 の質は被験者の年代 に よって大 きく変 わることも れはまるで退行の ように も見 えな くはない。 しか し、 こ 予測 され、今後 よ り幅広 い世代、特 に中高年層へ のアプ こにおいて もこの西欧的価値観 に逆行す るイメー ジの様 ローチの必要性 と、今 回 とは別の切 り口か ら親へ の依存 子 は、一体化か ら分化へ の西欧的 に正 しい発達形式 にの とイメージ画の関係 を探 って い くことが必要である。 っ とったイメー ジの推移 と依存欲求 も独立欲求 もなん ら 変 わ りない。 これ は、「 変 わ らない私」 の構 図 を 「 一般 的で基本的なかたち」 なのでは と提案 しているや まだの 結論 を支持す る ものである。 (7) 生活科学研究誌 ・Vo l . 1( 2 02 ) -1 6 4- Fi g.4 「 一体化するままの母 と私 」パターンA 4-A 現在 幼い 頃 幼い頃は 「 卵 として母に抱かれていた私」か ら、現在の 「 一人の人間 として母に抱かれ る私」 - 4-B 幼い頃 幼い頃に 「 母の腕に抱かれていた私」から、現在の 「 母の大きな手のひ らの中で うず くまる私」 - 4-C 幼い頃 現在 幼い頃の 「 家族の中で母の中に包 まれている私」から、現在の 「 家族 とい う輪の中で独立する母 と私」- (8) 板垣 ・岩堂 :イメージ画にみる母 と娘の関係 Fi g.5 -1 6 5- 「一体化 か ら分化 へ」パ ターン B ー 5-A 幼い頃 現在 C Y ) C Y ) 幼い頃の 「 母に包まれる私」から、現在の 「 並ぶ母 と私」 へ 5-B 幼 い頃 現在 幼い頃の 「 母の腕に抱かれる私」か ら、現在の r 並ぶ母 と私」- 5-C 幼 い頃 現在 幼い頃の 「 母の腕に抱かれた私」 か ら、現在の 「 バランスを取 りながら向かい合 う母 と私」 - (9) -1 6 6- 生活科学研究誌 ・Vol .1 ( 2 0 02) Fi g.6 「 分化 したままの母 と私」 パターンD 6-A 幼 い頃 幼い頃の 「 母 と妹 と手を繋いでいる私 」 か ら、現在の 「 母 と並んで出かける私」へ 6-B 幼い頃 現在 幼い頃の 「 母 と手を繋 ぐ私」か ら、現在の 「 母 と一緒にテ レビを見る私」- 6-C 幼 い頃 T 現在 > . 二 三 ・ . I 幼い頃の 「 母 と並ぶ小 さな私」か ら、現在の 「 母 と並び等 しい存在の私」- ( 1 0) _ -1 67- 板垣 ・岩堂 :イメージ画にみる母 と娘の関係 Fi g.7 「 分化 か ら一体化へ」パ ターン C 7-A 幼い頃 腐 現在 幼い頃 「 上下に並ぶ別の玉の母 と私」か ら現在の 「 互いの玉が触れ一つの大きな枠に包まれ る母 と私」- 7-B 幼い頃 ㌔ ・ パ 副 n ,. t. A.. @T ⑳爪 「ハ や / 人 骨 雰 幼い頃の 「 落ちる母 とうたれ る私 」 と、現在の 「 母の存在に包まれ影響 を受ける私」 ( ll) 「 生活科学研究誌 ・Vo l .1 ( 2 002) -1 6 8- 引用文献 . 8)Ma hl er , M. S. , Pi ne , F. , Ber gma n, A.:Theps yc ho l og ic a l 1 )Conni e , Z. :Tobeawoman:t hebi r t ho fc ons c i ous f emi ni ne . St . Ma r t i n' spr e s s ,Ne w Yo r k( 1 99 0) s i c bi r t ho ft hehuma ni nf antNe w Yor k,Ba ( コニー ・ツヴァイク編、川戸囲訳 : 『 女性の誕生 Bo oks( 1 97 5) 女性であること: 意識的な女性性の誕生 』,山王出版 ( M. S. マーラー,高橋雅士訳 :『 乳幼児の心理的誕生J 費明書房,1 981 年) , 1 9 96年) 9)4)に同 じ 2) や まだ ようこ : 『 私 を包 む母 なる もの -イメージ画 に見る′ 日本文化の心理 -』,有斐 閣 ( 1 9 8 8) 3)Bl o s , P. :Ona d わ l e s c e nc e : aps yc ho a na l yt i ci nt e r pr e t a t i o n , 1 0)2)に同 じ ll )8)に同 じ 1 2)板垣奈未 :イメージ画 とS D法 における母娘関係の Fr e ePr e s s ,Ne w Yo r k( 1 9 6 2) ( P. ブロス :『 青年期 ,野沢栄司訳,誠信書房,1 971 年) の精神医学J 世代 間考察,大阪市立大学卒業論文 ( 未公刊) ( 1 9 99) 4) 長尾博 : 『 ケース青年心理学』, ・有斐閣 ( 1 991 ) 1 3) 中川美代香 :母なるもの と 「 私」,大阪市立大学卒 5)2)に同 じ 1 9 9 8) 業論文, ( 未公刊) ( 6)2)に同 じ 1 4)8)に同 じ 7) 井上息典 :青年期 における親 との依存一独立の葛藤 の発 達申 変化 ,上越教 育大学研 究紀 要 , 19(1), 2 8 0-283( 1 9 9 9) 1 5)2)に同 じ イメー ジ画にみる母 . t娘の関係 一母親へ の 「 依存 ・独 立 ・葛藤尺度」 との関連か ら板垣奈未 ・岩堂美智子 要旨 :503名の青年期の女性 を被験者 に、母親 と自分 との 「幼い頃」お よび 「 現在」 .の関係 をイメージ画 に描 くことを 8項 目の親 との依存 ・独立 ・葛藤 をはかる質問紙への回答を求めた. イメージ画 と三つめ尺度の得 課題 とし、 さらに、2 点 との関連 をみた結果、「 母親 とひとつになろうとす る ( 一体化する)私」のような一見、過依存的な関係 に見えるイ メージを描 いた者であって も、母親 と自分が独立 しているイメージを描 いた者 と、三つの尺度、お よび二つの時期、い ずれにおいて も統計的には有意な差がみ られないことが明 らかになった。 この結果か ら日本の母娘関係 は単純 な未分化 か ら分化へ という発達理論では捉 え られないことが示唆 されると考察 された。 ( 1 2)