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免疫染色にて bleb に子宮内膜症を認めた女性気胸 5

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免疫染色にて bleb に子宮内膜症を認めた女性気胸 5
日呼吸会誌
●症
43(1)
,2005.
53
例
免疫染色にて bleb に子宮内膜症を認めた女性気胸 5 症例
平岡 紀恵1)
大玉 信一1)
鵜浦 康司1)
高野 省吾1)
哲1)
白井 俊純2)
木村 雄二3)
吉澤 靖之4)
谷合
要旨:女性気胸の一部に月経随伴性気胸がある.発生機序として子宮内膜症との関連が指摘され,血中また
は胸水中の CA125 が高値であったという報告がある.今回我々は月経随伴性のない女性気胸の bleb およ
び横隔膜側臓側胸膜付着組織に,抗 CA125 抗体染色が陽性を示した 1 例を経験した.さらに女性気胸 6 例
の切除された bleb にて,7 種類の免疫染色を行なうことにより,6 例中 5 例に bleb の子宮内膜症を確認し
た.女性気胸の発生機序の一つとして,bleb の子宮内膜症説を新たに提唱する.臨床的に月経随伴性気胸
と診断できない症例においても,子宮内膜症の関連が示唆される.
キーワード:気胸,子宮内膜症,Bleb,CA125,CD30
Pneumothorax,Endometriosis,Bleb,CA125,CD30
緒
例を経験した.この 1 例をヒントに,月経随伴性の有無
言
に関係なく,子宮内膜症と女性気胸の関連を検討するた
月経随伴性気胸は 1958 年 Maurer による報告以来,
め,女性気胸 6 例の bleb と,年齢層の等しい男性気胸
国内で約 140 例が報告され,女性気胸の約 3∼6% を占
6 例の bulla において,抗 CA125 抗体・CD30 抗体・抗
1)
2)
めるとされる .伴場らが 1983 年に診断基準として提
Progesterone Receptor 抗体・抗 Estrogen Receptor 抗
唱しているのが,!気胸は月経開始 3 日前から 5 日後ま
体・抗 CEA 抗 体・抗 CA19-9 抗 体・抗 Cytokeratin 抗
での間に発症する,"発生頻度は 2 カ月に 1 回以上の間
体による免疫染色を行なった.その結果,bleb の子宮
隔で 3 回以上,#発生頻度が少ない場合には,横隔膜の
内膜症が女性気胸の一因となる可能性が示された.
欠損孔・胸腔内子宮内膜症が証明される,両者とも見ら
対象および方法
れない場合には bulla・bleb が存在しないこと,の 3 点
である.つまり,月経随伴性が明らかで,妊娠中や閉経
1998 年から 2004 年までに当院で経験した女性気胸の
後には見られず,横隔膜裂孔の存在に重点がおかれ,
全例 6 例.年齢 は 14 歳 か ら 47 歳,平 均 25 歳.う ち 2
3)
bulla・bleb が見られないことを前提としている .その
例が月経前後に気胸を発生し,2 例が妊娠中,1 例が閉
発症の原因については空気腹腔由来説,肺胸膜子宮内膜
経後,1 例は月経との関連性は不明であった(Table 1)
.
症説,Prostaglandin F2α による肺胞組織破壊説などが
全 例 の 術 前 胸 部 CT 検 査 に て 気 腫 性$胞 を 認 め た.
言われているが,これらの説で説明できない症例も多く,
VATS を 4 例,開胸術を 2 例に行ない,全例に$胞を
原因は単一ではないことが推測される.
認め,同部位を部分切除した.うち 1 例に air leak を認
今回我々は,月経随伴性を有さず術前に気腫性$胞が
認められていた女性の自然気胸において,術中所見より
めた.切除標本の検索にて全例に bleb を認め,うち 4
例に子宮内膜構造を認めた.
初めて横隔膜子宮内膜症が疑われ,術中に採取された胸
切除肺標本を用いて,明らかな内膜構造を示さないも
水の CA125 が高値を示し,かつ bleb および横隔膜側臓
のも含めて全 6 例の bleb と,対照として年齢層の等し
側胸膜付着組織に抗 CA125 抗体染色が陽性を示した 1
い男性気胸 6 例の bulla において,同時に同条件下で 7
種類(抗 CA125 抗体・CD30 抗体・抗 Progesterone Re-
〒198―0042 東京都青梅市東青梅 4―16―5
1)
青梅市立総合病院呼吸器内科
2)
同 胸部外科
3)
同 病理部
4)
東京医科歯科大学呼吸器内科
(受付日平成 16 年 6 月 14 日)
ceptor 抗 体・抗 Estrogen
Receptor 抗 体・抗 CEA 抗
体・抗 CA 19-9 抗体・抗 Cytokeratin 抗体)の免疫染色
を行った.
各切片を脱パラフィンの後,3% 過酸化水素メタノー
ルに 10 分間浸し,Phosphate Buffered Saline(PBS)で
54
日呼吸会誌
43(1),2005.
Table 1 Characteristics of female pneumothorax
1
2
3
4
5
6
Age
Side and times
Association with
menstruation
Lesions on
diaphragm
bulla/bleb
Endometrium
14
16
23
36
47
16
left 2
right 3, left 2
right over 4
left 3
right 1
right 2
yes
yes
no(pregnancy)
no(pregnancy)
no(postmenstruation)
unknown
granulation
no
not done
not done
no
not done
bleb
bleb
bleb
bleb
bulla/bleb
bleb
+
+
+
+
−
−
Table 2 Results of stainings
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
F/M
Age
Endometrium
Association with
mensruation
CA 125
CD 30
PR
ER
CA 19-9
CEA
Cytokeratin
F
F
F
F
F
F
M
M
M
M
M
M
14
16
23
36
47
16
14
16
23
36
45
19
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?
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×
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●
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●
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●
5 分ずつ計 3 回洗浄した.次に各第一抗体として,抗
結
CA125 抗原モノクローナル抗体,抗 CA19-9 抗原モノク
果
ローナル抗体,CD30 モノクローナル抗体
(Zymed Labo-
女性気胸 6 例全例の bleb において抗 CA125 抗体が陽
ratories,South San Francisco,CA),抗 CEA ポリク
性を示し,うち 5 例には CD30 抗体も陽性を示した(Ta-
ローナル抗体,抗サイトケラチンポリクローナル抗体
ble 2).bleb は肥厚した臓側胸膜に連続して存在し(Fig.
(Nichirei,Tokyo,Japan)
,抗 Progesterone Receptor
,4 例には bleb の内腔に腺管構造や血管に富んだ
1―a)
マウスモノクローナル抗体,抗 Estrogen Receptor マウ
間質組織が認められ,子宮内膜症と診断された(Fig. 1―
スモノクローナル抗体(Dako
Cytomation,Copenha-
b)
.明らかな子宮内膜構造を確認できなかった 2 例に
gen,Denmark)に一晩浸し,その後 PBS で 5 分ずつ
おいても,肥厚した臓側胸膜の内側における免疫染色の
計 3 回洗浄した.さらに,アミノ酸ポリマーとペルオキ
染色性を検討した.
シダーゼと Fab’
化した第二抗体が結合された,シンプ
抗 CA125 抗体は,臓側胸膜立方上皮細胞の増殖部分
ルステイン MAX-PO(Nichirei)を 30 分間滴下して,
には性差なく一部陽性を示したが,女性例では bleb 内
PBS で 5 分ずつ計 3 回洗浄した.最後に,シンプルス
部の立方上皮・円柱上皮にも強く染色され,男性気胸の
テイン DAB 液(diaminobenzidine tetrahydrochloride,
.
bulla では染色されなかった(Fig. 1―c)
Nichirei)を 5∼20 分間滴下して,精製水で洗浄した.
以上の操作は全て常温にて行われた.
CD30 抗体は,腺管組織の周囲に見られる間質に特異
.
的に陽性を示した(Fig. 1―d)
なお,抗 Progesterone Receptor 抗体および抗 Estro-
抗 Progesterone Receptor 抗体・抗 Estrogen Recep-
gen Receptor 抗体は DAKO target Retrieval Solution
tor 抗体は,いずれも染色性が弱かったが,2 例の腺管
High pH(95℃40 分間)にて,CD30 抗体は EDTA(pH
.
上皮の核内に陽性を示した(Fig. 1―e,f)
8.0)にて,また抗 CA125 抗原抗体ではクエン酸緩衝液
女性 6 例中 5 例が抗 CA125 抗体・CD30 抗体の両方
(pH 6.0)を用いて,オートクレープ処理による抗原賦
に陽性を示し,うち 2 例が抗 Progesterone Receptor 抗
活化を行った.
体・抗 Estrogen Receptor 抗体のいずれかに陽性を示し
bleb に子宮内膜症を認めた女性気胸 5 症例
55
b
a
d
c
f
e
Fig. 1
(a)Microscopic findings in the resected specimen including the congested and thick visceral pleura, bleb
and ectopic endometrium.
(HE stain×40)
(b)Endometrial glands and interstitium on the bleb.
(HE stain×200)
(c)Cuboidal cells at the bleb show positive for CA125.
(CA125 stain×100)
(d)Cytoplasm of interstitial cells show positive for CD30.(CD30 stain×400)
(e)Some nucleus of interstitial cells show positive for progesterone receptor.
(Progesterone stain×200)
(f)Nucleus of epithelial cells in the gland show positive for estrogen receptor.
(Estrogen stain×400)
た.抗 CA125 抗体・CD30 抗体の両方に陽性を示しな
Progesterone Receptor 抗体・抗 Estrogen Receptor 抗
がらも抗 Progesterone Receptor 抗体・抗 Estrogen Re-
体では陰性を示した症例 5 は,子宮内膜症との関連なく
ceptor 抗体が陰性であった 1 症例においては,H-E 染
bleb が破裂したものと考えられた.
色にて子宮内膜構造を認めたことから,Hormone Receptor 抗体の感度には限界があると考えられた.
なお,抗 CA125 抗体のみ陽性を示し CD30 抗体・抗
抗 CA125 抗体および CD30 抗体に陽性を示した 5 例
を子宮内膜症と診断した.
56
日呼吸会誌
考
43(1),2005.
子宮内膜症の診断および治療経過観察に利用されている
察
CA125 に着目し,特に組織染色性を検討することによっ
女性気胸と子宮内膜症の関連性については,月経随伴
て,子宮内膜症の診断を試みた.
性気胸の機序としてのみ論じられてきた.しかし当院で
CA125 は中皮由来組織の細胞表面に表出する糖タン
は,月経随伴性を有さない女性気胸においても,bleb
パク抗原で,異所性子宮内膜では正常内膜に比べ約 9 倍
に子宮内膜症を認めた.女性気胸の発生機序を考える上
の CA125 が産生されていることから,骨盤内子宮内膜
で,子宮内膜症の関連性を改めて検討する必要がある.
症の補助診断や経過観察項目として用いられている10).
月経随伴性気胸の機序については諸説あるが,主なも
月経随伴性気胸においては,血中高値例や胸水中高値例
が報告されており,術後に血中値が正常化した例や気胸
のは以下の 3 つである.
第一の説は,1958 年に Maurer が提唱した空気腹腔
1)
再発時に再上昇したとの報告もある11)∼13).しかし,病理
由来説である .月経時に子宮頸部の粘液栓がはずれ,
組織標本における CA125 の染色性については,横隔膜
子宮・卵管を通じて腹腔内に空気が入り,先天性または
子宮内膜症において 1 例の報告があるのみである14).
横隔膜子宮内膜症により内膜が脱落して生じた横隔膜欠
CA125 は漿液性腺癌や子宮内膜腺管上皮以外にも,
損孔を通じて,胸腔内に空気が入り気胸を発症するとい
健常者の気管粘液,気管・気管支・細気管支にも存在す
うものである.その根拠として横隔膜欠損孔が開胸例の
るという報告があり,さらに中皮由来の腹膜・心膜・胸
約 70% に見られ,横隔膜部分切除標本の 91% に子宮内
膜の増殖部分にも染まるとされる15).本研究では対照と
膜を認めた報告,月経日の気腹術で気胸の発症が確認で
して,年齢層の等しい男性気胸 6 例も含め,子宮内膜間
きた例,横隔膜の切除により再発を予防できた例につい
質に存在する CD30,子宮内膜に存在する抗 Progester-
ての報告や,気胸の 90% が右側に発生し横隔膜欠損孔
one Receptor 抗体や抗 Estrogen Receptor 抗体染色だけ
も右に多い点,腹腔内に造影剤を注入すると右横隔膜下
でなく,呼吸細気管支や一部の肺胞上皮にも染まるとさ
4)
5)
に流れる腹水の流れが存在する点が挙げられている .
れる抗 CEA 抗体染色や,上皮・中皮に存在する抗 Cy-
しかしその一方で,横隔膜欠損孔のない例,気腹で気胸
tokeratin 抗 体,気 管 粘 膜・気 管・気 管 支 に 染 ま る 抗
を生じない例,bulla を認めた例,子宮切除後に再発を
CA19-9 抗体でも染色を行った.多種類の染色を行なう
6)
認めた例もある .そもそも卵管から空気が腹腔内に入
ことによって,臓側胸膜から呼吸細気管支レベルまでの
ることはありえるのか,婦人科的に異論も多い.
位置関係を明らかとし,その上で特に,抗 CA125 抗体・
第二の説は,1972 年に Lillington が提唱した肺胸膜子
7)
宮内膜症説である .臓側胸膜の異所性子宮内膜が月経
CD30 抗体・抗 Progesterone Receptor 抗体・抗 Estrogen Receptor 抗体の染色性を判定した.
時に脱落し気胸を生じるか,末梢気道の異所性子宮内膜
その結果,女性 bleb の 6 例中 4 例に子宮内膜構造が
が月経時に膨張して check valve となり末梢気道が気腫
確認され,5 例に抗 CA125 抗体と CD30 抗体が陽性を
性変化をおこし気胸を発症するとされる.その根拠とし
示し,2 例に抗 Progesterone Receptor 抗体や抗 Estro-
て,胸腔鏡下手術にて肺胸膜面に bulla や出血斑を 22%
gen Receptor 抗体が陽性を示した(Table 2).抗 CA125
に認めた報告や,壁側胸膜に胸膜の線維性癒着や暗赤色
抗体と CD30 抗体は子宮内膜症の診断に有用であるが,
斑を 22% に認めた報告が挙げられる8).
抗 Progesterone Receptor 抗体や抗 Estrogen Receptor
第三の説は,1974 年に Rossi が提唱した Prostaglandin
抗体は感度が低いと考えられた.
F2α 説である .月経時に子宮内膜や血中で増加する
子宮内膜の発生経路の一つとして,細気管支レベルに
F2α には肺血管や気管支を攣縮させる作
おける子宮内膜症も検索したが,当院の症例では免疫染
用があり,その結果,肺胞が破壊され気胸を生じるとさ
色あるいは H-E 染色にて,bleb 以外の子宮内膜症は認
れる.開胸手術にて全く異常を認めない症例の原因とし
められなかった.
9)
Prostaglandin
て説明されている.
子宮内膜症と診断された 5 例には妊娠中 2 例と閉経後
特に肺胸膜子宮内膜症説では,末梢気道や胸膜の子宮
1 例が含まれることから,従来の月経随伴性の概念には
内膜症が想定されており,当院の bleb の子宮内膜症も
該当しない.月経随伴性に関係なく,女性気胸の発症機
広義では含まれる.月経時の内膜脱落の繰り返しで脆弱
序の一つとして,bleb における子宮内膜症という新し
化した気道が破裂したと考えれば,月経随伴性に関係な
い説が考えられる.子宮内膜症による気胸は稀ではなく,
く,子宮内膜症による気胸は発生するとも考えられ,解
その一部に月経随伴性気胸が含まれる可能性がある.
釈が広がる.
bleb という元来脆弱な組織に子宮内膜が存在し,月経
子宮内膜組織は月経周期によって退縮してしまうた
め,組織学的診断が難しい.そこで今回我々は,骨盤内
周期によって,あるいは妊娠や閉経によって退縮するこ
とによって,bleb が破裂するものと考えられる.
bleb に子宮内膜症を認めた女性気胸 5 症例
また,男性気胸のほとんどが bulla であるのに対し,
女性例では全例が bleb であった点から,気胸の発症に
性差が存在することが予想される.bleb の形成に子宮
内膜が関連している可能性もある.
胸膜子宮内膜症による気胸についての報告は国内での
7 例のみと少ない16)∼20).その理由として,子宮内膜組織
は月経周期によって退縮してしまうことから術中に見逃
されている可能性や,術中に bulla・bleb を認めたため
に,bulla・bleb による自然気胸と診断され,組織学的
57
7)Lillington GA, Mitchell P, Wood GA : Catamenial
pneumothorax. JAMA 1972 ; 219 : 1328―1332.
8)伴場次郎,正木幹雄,香田繁雄,他:月経随伴性気
胸―開胸,開腹所見からみたその発生機序に関する
考察―.日本胸部外科学会雑誌 1982 ; 30 : 1873―
1881.
9)Rossi NP, Goplerud CP : Recurrent catamenial pneumothorax. Arch Surg 1974 ; 109 : 173―176.
10)小林 浩,井田若葉,寺尾俊彦,他:正所および異
所子宮内膜腺管上皮培養細胞からの CA125 産生に
診断がなされていない可能性が考えられる.当院におけ
関する基礎的検討.日本産科婦人科学会雑誌 1992 ;
る女性気胸手術例は絶対数が少なく,頻度については言
44 : 303―309.
及できないが,子宮内膜症は 6 例中 5 例と高率であった.
11)小久保光治,稲葉圭介,武井秀史,他:血清 CA125
bulla・bleb の抗 CA125 抗体染色が陽性であるだけでは
高値の月経随伴性気胸の 1 手術例.胸部外科 1996 ;
子宮内膜症の証明にはならないが,CD30 抗体染色を積
49 : 1127―1129.
極的に併用することによって,子宮内膜症の診断率が上
12)内藤龍男,中村慎吾,末次 勤,他:胸水中 CA125
がり,今後の報告例が増加するかもしれない.問診によ
が高値を示した月経随伴性気胸の 1 例.日本胸部疾
る月経随伴性の確認は重要であるが,月経随伴性が判断
患学会雑誌 1995 ; 54 : 1016―1019
できない症例においても組織学的診断を試みることに
よって子宮内膜症の診断につながり,術後ホルモン療法
の併用によって女性気胸全体の再発率を低下させる可能
性が示唆される.
13)野田雅史,磯上勝彦,小林俊介:CA125 を長期観
察しえた月経随伴性気胸の 1 手術例.胸部外科
2002 ; 55 : 605―608
14)Tsunezuka Y, Sato H, Kodama T, et al : Expression
of CA125 in thoracic endometriosis in a patient with
本論分の要旨は第 44 回日本呼吸器学会総会にて発表した.
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470―472.
15)Matsuoka Y, Endo K, Kawamura Y, et al : Normal
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bronchial mucus contains high levels of cancer-
curring spontaneous pneumothorax due to en-
associated antigens, CA125, CA 19-9, and carci-
dometriosis of the diaphragm. JAMA 1958 ; 168 :
noembryonic antigen. Cancer 1990 ; 65 : 506―510.
2013―2014.
2)Blanco S, Hernando F, Gomez A, et al : Catamenial
pneumothorax caused by diaphragmatic endometri-
16)丸岡秀範,小桧山律,山田茂樹,他:横隔膜および
ブラ双方に子宮内膜症を認めた月経随伴性気胸の 1
例.日本胸部疾患学会雑誌 1995 ; 33 : 1450―1453.
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17)朝倉庄志,加藤弘文,藤野昇三,他:肺瘻周囲の胸
3)伴場次郎,友安 浩,谷村繁雄,他:月経随伴性気
膜に子宮内膜間質様組織を認めた月経随伴性気胸の
胸の分類と診断基準.日本胸部疾患学会雑誌 1983 ;
21 : 1196―1200.
4)谷村繁雄,山瀬裕美,友安 浩,他:月経随伴性気
胸に対し手術は必要か?日本胸部外科学会雑誌
1998 ; 57 : 979―984.
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宮内膜症(月経随伴性気胸)の一例.日本呼吸器外
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肺胸膜直下に子宮内膜症を認めた月経随伴性気胸の
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20)森脇義弘,新明紘一郎,細井英雄,他:肺胸膜に子
宮内膜症を認めた月経随伴性気胸.日本臨床外医会
誌 1992 ; 53 : 2118―2124.
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日呼吸会誌
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Abstract
Five cases of female pneumothorax with endometriosis on the blebs
Norie Hiraoka1), Shinichi Odama1), Koji Unoura1), Shogo Takano1),
Satoshi Taniai1), Toshisumi Shirai2), Yuji Kimura3)and Yasuyuki Yoshizawa4)
1)
Department of Pulmonary Medicine, 2)Thoracic Surgery and 3)Pathology, Ome Municipal General Hospital
4)
Department of Pulmonary Medicine, Tokyo Medical and Dental University
A part of catamenial pneumothorax is associated with endometriosis. Several cases were reported where
CA125 levels were high in blood or pleural effusion. A case of female pneumothorax, the bleb and diaphragm
showed positive for CA125, was reported. Additionally in the 5 cases of 6 female pneumothorax, the blebs showed
positive for CA125, CD30, progesterone receptor and estrogen receptor. Endometriosis on the blebs was found in
4 of 6 cases by hematoxylin-eosin staining and in 5 of 6 cases by immunostaining. It is suggested that endometriosis on blebs is an origin of female pneumothorax.
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