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インド経済成長と日本
国際問題懇談会(第1回) 資料第3号 インド経済成長と日本 日本貿易振興機構アジア経済研究所 内川 秀二 インド経済はなぜ注目されるか • 経済改革:グローバリゼーションへの適応 大幅な規制緩和 投資の促進 • IT産業の急成長 ITおよびIT関連産業によるサービス輸出の急 増 • エネルギー資源を国際的に確保 13カ国で原油・天然ガス資産を確保 1 インド経済の実績 産業別 GDP 成長率 (%) 農業 鉱業 製造業 電気・ガス・ 水道 建設 1981~1990 3.0 7.2 7.2 8.9 4.3 1991~2003 2.5 4.4* 6.5 5.3* 5.7 商業・観光 運輸・通信 金融・不動産 個人・社会 サービス GDP 1981~1990 5.8 5.7 9.6 6.4 5.4 1991~2003 7.9* 9.3* 7.5* 7.1 5.9 年度 (注)*は加速または減速が統計的観点から証明されたことを示す •安定したGDP成長率を維持 •製造業の成長率は1990年代以降に減速 •サービス産業の急成長 2 インドIT産業の発展 • ITおよびIT関連産 業の売上額は急 上昇している (10億ドル) (%) 30 4.5 4 25 3.5 3 20 2.5 15 2 GDPに占 める比率 1.5 10 1 5 0.5 0 2004 2003 2002 2001 2000 1999 1998 0 1997 • 2004年度におい てもGDPに占め る比率は4.1% に過ぎない 売上額 (10億ド ル) (年度) 3 サービス業台頭の理由 • • • • 輸出入の増加とともに国内の物流が増大 都市化によるサービス業への需要の増大 生活水準の上昇→教育費、保健・医療費の 増大 サービス業に対する規制緩和 サービス産業も国内需要の拡大とともに発展 してきた 4 インド政府が重視する安全保障 食糧安全保障 貧困層も含む国民全体に食糧を妥当な価格 で供給する エネルギー安全保障 妥当な価格で様々なニーズを満たせるよう、 安全で便利なエネルギーがすべての国民に 対して供給する 5 インドの貧困状況 • 人口に占める貧困層 の比率は低下 • 貧困層の絶対数には 大きな変化なし • 現在でも2億5千万人 は貧困層 (%) (100万人) 60 350 300 50 250 40 200 30 150 貧困層とは生活していくのに 必要なカロリーを摂取できな い人々のことを指す 20 100 10 50 0 農村開発の重要性 1973 1977 1983 1987 1993 0 1999 (年度) 6 インドの石油貿易 (100万トン) 120 原油の輸入増大 石油需要の増大 100 原油国内 生産 原油輸入 80 60 精油所の増設 石油製品の輸出 石油製品 輸入 石油製品 輸出 40 20 経済成長の影響 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 0 (年度) 7 インドにおけるエネルギー需要 • 2003年 国民1人当たりエネルギー消費量(石油換算キロ/人) インド 520キロ、中国 1090キロ、世界平均 1688キロ • 石油と天然ガスの確保がキー・ポイント • 石炭は自給可能 石炭・石油 天然ガス 商業用エネルギーの構成比 年度 2003 2031 石炭 51.07 44.76 石油 36.39 23.86 (%) 天然ガス 8.87 22.71 水力 2.14 2.36 原子力 1.53 6.31 8 インド経済の可能性 • インド経済は安定し て成長している 可能性は大きい (ドル) (%) 1200 12.0 1000 10.0 800 8.0 中国 インド 6.0 600 • 1人当たりGDPは 中国の半分 中国 1099ドル インド 511ドル 中国との差は大きい 中国 インド 400 4.0 200 2.0 0 0.0 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 9 日印経済関係 • 貿易 2004年度の日本におけるインドのシェア 輸入 0.5% 輸出 0.6% 2004年度のインドにおける日本のシェア 輸入 3.0% 輸出 2.4% • 直接投資 2004年度 モーリシャス、アメリカなどに次ぐ5位 • 経済援助 日本にとって最大の援助供与国 援助額は大きいが、存在感がない 10 東アジアとインドの経済関係の深化 1996 年度 アセアン 北東アジア 合計 インドからの輸出 8.7 16.3 25.0 インドの輸入 7.5 11.8 19.3 2004 年度 輸出入ともにアジアの比率が上昇 アセアン 北東アジア 合計 インドからの輸出 10.1 15.8 25.9 インドの輸入 8.1 14.8 22.9 11 インドの貿易 北東アジア 宝石、鉄鉱石、鉄鋼 電気機械、機械 インド 石油製品、宝石、有機化学 パーム油、電気機械、機械 アセアン •インドは日本および韓国企業の本社および東南アジア 工場から自動車部品・電化製品の部品を輸入 •パーム油は貿易摩擦を引き起こしている 12 いかに日本はインドと提携するか • 企業レベル インドを国際的ロジスティク戦略の中で捉える。 何を東南アジアで生産し、何をインドで生産す るか • 国レベル(ODA) 技術移転を促進するプロジェクト 農村開発のためのインフラ整備 インドの歳入に占める外国援助の比率は2.2%に過ぎない 13