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第6回国際大気リム観測会議 (The 6th Atmospheric Limb Conference

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第6回国際大気リム観測会議 (The 6th Atmospheric Limb Conference
第6回国際大気リム観測会議
(The 6th Atmospheric Limb Conference)
開催期間:平成23年11月29日∼12月1日 開催場所:京都大学医学部 百周年記念施設 芝蘭会館
(主催:宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所/京都大学 生存圏研究所・情報通信研究機構支援:財団法人 宇宙科学振興会)
代表者:宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所 ファンクションマネージャ 鈴木 睦
地球中層大気を宇宙機から観測するのに最も有力な手法であるリム(大気辺縁)観測に関する中心的研究
者が幅広い議論を行う「大気リム観測会議」を、宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所・京都大学 生
存圏研究所・情報通信研究機構の三者共同にて開催した。本会議は、地球大気のリム観測を行う宇宙機
の開発・研究グループの研究者が一堂に会する最大の研究集会である。2002年から主要な大学・機関
(NASA, ESA等)の持回りで開催されており、日本の大学・機関が主催するのは今回が初めてとなる。当
初は3月16日∼18日に開催予定であったが、直前に発生した東日本大震災の影響で、特に欧米の宇宙機
関において渡航禁止命令が出たことも影響して開催できなくなり、今回まで延期となった経緯がある。
その影響もあってか、参加者は44名 (国内25名・海外19名) であり、前回までの参加者 50∼60名 程
度と比べると規模がやや小さくなり、震災や原発事故が海外参加者に与える不安感が深刻であることを
このことからも感じ取れた。しかしながら、30件の口頭発表と10件のポスター展示がなされ、活発な
議論が交わされたと確信している。
本会議は、過去の会合におけるセッション構成をほぼ踏襲して、観測ミッション及び観測機器 (セッ
ション1)、データ比較と同化 (セッション3)、中間圏大気 (セッション4)、成層圏大気 (セッション6)、
放射伝達計算 (セッション7)、対流圏・成層圏境界 (セッション8) という順に進行した。初日の途中
で、我が国のユニークな大気化学観測ミッションである、国際宇宙ステーション (ISS) 搭載の超伝導サ
ブミリ波リム放射サウンダ (SMILES) の観測成果を集約した「SMILES 特別セッション」(セッション
2) も実施された。また、一時間弱の短い時間枠ではあるが、ポスターセッション (セッション 6) も実
施された。
欧州宇宙機関 (ESA) や米国航空宇宙局 (NASA) の運営する観測ミッションのなかには、想定寿命1∼2
年をはるかに超え10年規模にわたって大気観測を継続しているものがいくつかある。日本においては
SMILESが最新の話題であるが、観測期間に限って言えば海外の長期ミッションには敵わない。しかし
ながら、その装置性能や観測精度については海外ミッションの搭載機器のそれを凌駕している。よっ
て、中精度の長期変動 (海外ミッション) と高精度の短期観測 (SMILES) といった役割分担で、それぞ
れの観測データの信頼度を高めていくための議論を深めることができた。
最終日の午後には全般的な議論の時間枠を取り、今後の地球大気化学観測について、どのような戦略を
もつべきか、また、主にマクロ的視点を持つ大気化学研究者と、ミクロ的視点から研究に取り組む分子
化学研究者との共同体制をどのようにとっていくべきかという、大気化学研究という分野の存在意義に
関わる議論もなされた。
議論の最後に、ブレーメン大学 (ドイツ) の研究グループより、次回の同会議は 2013年3月を目処にド
イツのブレーメンにおいて開催したいという申し出がなされ、満場一致で承認された。
今回、地球大気化学観測の国際的な会合である本会合を、中層大気研究の中心的拠点である京都大学で
開催することで、大気化学研究における日本のプレゼンスを示すという目標は充分に達成できたと考え
ている。また、SMILES の研究成果を本会合において報告することで、宇宙ステーションによる地球観
測についても日本の積極的な姿勢を示す良い機会になった。
このような意義のある本国際会議を成功裏に開催できたのは、財団法人 宇宙科学振興会の関係者各位
の厚い御支援の賜物であり、代表者及び会議事務局は同振興会に深く謝意を表します。
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発表風景
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集合写真
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