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競技種目男源ボーツ障害と外傷の画像診断
女性 アス リー ト :無 月経 と拒食症 の リスク 松 田貴雄 *'**秦 祥彦 *'***森 照明 *'4* 女性 には男性 にはない周期性 のあるホルモン環境があり,女 性 アスリー ト における病態理解 に重要である 女性 アス リー トの競技 からの長期離脱を 来す3大 主徴は,“ 無月経"“ 骨粗霧症 (疲 労骨折)"“ 摂食障害"で ,い ずれ も女性ホルモン,特 にエス トロゲ ンの低下 が関与する ン (エ ス トロゲ ン)† 2分 泌 を抑制す ると考 え られて い は じめ に 女性 アスリー トは小 さな男性 アスリー トではない る Frischと McArthurl)の 研 究 よ り,月 経発 来 に リンMiに はな い 周期性 の あ るホ ルモ ン環境 が あ り,こ 体 脂肪 が 17%以 上必 要 と提 唱 され た ことか ら,体 脂 れ に果 づ く病態理解が重要 であ る 女性 アス リー ト 肪 の減少が無 月経 の原因 とされて きた (図 1)a が 競技 か ら長期 離 脱 を余 儀 な くされ る 3人 主徴 は , "と 一 般 に婦 人Tl・ で は,診 断 のための女性 ホ ルモ ン投 され,無 与を しば しば行 うが ,黄 体 ホ ルモ ン (プ ロ ゲ ステ ロ 月経 となった場 合 ,骨 密 度 の低 下 や摂 食 障害 を引 き 起 す こ とが あ り,従 来 よ り,“ 運動性 無 月経 "+1に は ン)製 斉1の 投 与によ り,出 血 があれば第 1度 無 月経 と 診 断 され る.エ ス トロ グ ン と,プ ロゲス テ ロ ンの 同 注意が喚起 されて きた これ まで “ 運動性 無 月経 "は ,ハ ー ドトレー ニ ング 時投 与 に よ り消 退 出血 が 見 られ た場 合 は,第 2度 無 月経 の診 断 とな る この 第 2度 無 月経 は エ ス トログ な どによる身体的 ・精神 的 ス トレスや体 脂肪 率 のllt ンもllt下 して いるこ とを/1Nし 、アスリー トが 第 2度 無 下 な どが原 因でり│き tLさ れ るこ とが 多 く スポー ツ ナ 1経 の状 態 を に よる障 害 ・外 傷 を起 しやす い とされ て きた い とされて きた “ 無 月経 ,骨 粗 豚 症 (疲 労 骨折 ),拒 食症 . :[し た場 合.ス ポ ー ツ障害 を起 しやす ル分泌 が増加 し,視 床下部 か らの性 腺刺 激 ホ ルモ ン なかで も,疲 労骨 折 を生 じるこ と エ が多 く,こ れ は ス トロゲ ンと骨密 度 の レベ ル は相 関す ることが知 られてお り (図 2)a,低 エ ス トログ ン 放 出ホ ルモ ンの低 下,さ らに下垂体 前 葉 か らの性 腺 J犬 態が リスクファクター と考え られて いる 女性 アス リー トは,ト レー ニ ング過剰 になる と、コーチ ゾ 刺 激 ホ ルモ ンの低 下 に よ り,卵 巣 か らの卵 胞 ホ ルモ +1 無 月経 で受診 した女性 アス リー トが拒 食症 の状態 運動性無月経 餃ダ鱚 スポー ツ現場 では,“ 運動性無 月経 "と 表現 して いるが ,問 題 は “ 月経 の ある・ なし"で はな く,“ 低 エ ス トロゲ "が 運動性低 ン 問題 である アス リー トに とって も適切 な用語 で はない と考 える 骨粗髯症 な どにつ なが る “ エ ス トログ ン (1人 態 )¨ の用語 を使用 して い くことを今後提案 して い きた い †2 卵胞 ホル モ ン (エ ス トロゲ ン) エ ス トロ ン (El).エ ス トラジオール (E2),エ ス トリオール (E3)の 総称 .エ ス トラジオールが約 90%を 占め ′ 活 性も高 い . *NIatsuda T"Shin l.ゝ ***Shin Y 画像 診 断 Iori 同整形外 ll 701 28 No 8 2008 ヽ T I可 立病院機構西別府病院総合 スポーツ外来 4*ヽ Iori T lnl院 長 **ヽ fatsuda T 可女1生 内不 │ 821 を呈す るこ とは少 なか らず認 め られて いる 拒食症 神経 因性食欲不 は,摂 食 障害 の 1つ の病 型である “ i(%) 振症 "と され る食 事 が摂 れ な い状 況 に,過 食 ・ 食 べ 吐 きを伴 う “ 神 経性 大食・II¨ .い わ 1)る 過 食症 に加 え て,“ 特定 の不能"の 3つ の タイブに分け られる スポー ツ選手 は体重 が軽 いほ うが 競技 方向上 につ なが る と考 え られ,摂 食 障害 を発■ しやす い と考 え ¬ 競lJ4特 性 られて いる (ス ポー ツによる摂食障害 に よる痩せ のため,適 正 体 重 の判 定 が 等 し く 発 症 して いて も,痩 せ の正 当化 をす るため に スポー ツに よ りいっそ う取 り組 む こ ともあ り,一 般 の摂 食障害 と比較 して難治性 にな りやす い とされて いる 女性 アス リー トの無 月経 は,低 エ ス トロゲ ン状 態 を原 因 として │に に月経 の停 止 のみ な らず .疲 労骨 折 や‖i tt ll「 をり き起す シー クエ ンスの病態 である と (108) (155) (123) (75) (104) ´15C12-175‐ -200ヽ ン225 く100 100-125′ ヽ 考 え られて い る 体脂肪率 (%) 図 1 体脂肪率と月経異常 体脂肪 は 10%以 下 になるとほぼ 100%無 月経 となる 月経 の発来 には,17%以 上必要 とされ,安 定 した月経 の発来 に は22%以 上必要 とされる (文 献 2)よ り転載 1.疲 労骨折 ]以 上 となる と第 2度 無月経 とな り長即1化 し 6か ナ 無 月経 となる割 合が 高 い こ とん詢 Iら れて い る 鯉 川 常 が 'lじ る と,そ の 2年 らによると,何 らか の 月子 ) `異 全身骨塩濃 度 (g/cm2) 130 105 図2 ○ 100 20 40 80 60 100 120 140 160 エス トラ ジオ ール (pg/m′ ) 180 エス トログ ンと全身骨塩濃度 エス トラジオール 値 の増加 │二 全 身骨 :塩 濃度 と比例 して増加 する 1(文 献 2)よ り転載 ) †3 スポー ツによる摂食障害 (anOreXia athletica)>> スポー ツ選手の摂食障害 は,Sundgot‐ Borgenら が 1993年 にエ リー ト女子 アス リー トの 調査 よ athleticaと 提 唱 している 11 121 liし やす い とこえ られ スポー ツ選手 は体 重 が軽 いほ うが競技 力 向上 につ なが る と考 え られ,摂 食 障害 を発 り いて 1・ 11と をす る も 痩 せの 直 して た また,も ともと痩せ のため適正体重の判 定は難 し く,診 断が困難 で,発 症 i)や す tヽ とされて ためにスポ ー ツによ りいっそ う取 り組 む こともあ り,一 般 の摂 食障害 と比較 して難治性 にな いる 822 画像診 断 ヽO12S N0 8 2008 の荷重骨 を二 重 エ ネルギ ーX線 吸収法 (dual energy 後 に :t´ 芝か らの長期離脱 を余儀 な くされ て い るケー ス■ こ とを報告 して い る 3' この 際 の長期離 脱 ` '■ _11ま lray absorptiometrb「 ;DEXA)に よ って 測 定 す ることがス タンダー ドとなって いる 疲労骨折 であった 跳躍系 の スポー ツにお いて は,骨 密 度 の減少 が ス コ ゲ ン低下が骨密 度 の低下 につ なが ること ・粗 髪 症 が多 く認 め られ るこ と 胃 ■ t後 の婦 人 の′ ポー ツに よる骨 密 度増 JJllと 相殺 され,見 かけ L,低 上 に明 らかである。若年者 にお いて も ステロ 下がな い と判定 され ることも少 な くない 図 4は ,高 川1使 用者 に骨粗 髯症 が 認 め られ るこ とや,小 く令 で あ る _「 1に お け る 頻 度 の 高 い ││‖ it tt iヒ イ 校 の新体 操 選 手 の腰 椎 DEXAに よる測 定結 果 を示 す 若千 の低 下 は見 られ る ものの,骨 密 度 の低 下 が 二 「 、 11そ i rne硫 候群 では、骨折 │「 に ii腕 ′ 1の 骨折頻度 が あ る とは言 い が た い だいこ とが知 られ てお i)│ナ 1l tが 低 い ことが原 因 ′` とされて いる 杵 f:イ iお する ‖密 度 の獲得 の重要 性 は しば しは :│;ら ギ_て tる が │う}な メタアナ リシ はほぼ全 員そ の 後 の 1年 以 内 に各所 の疲 労骨折 を発 症 した (図 5,6).低 エ ス トログ ン状態 による骨密 度 の低 Fは ,皮 質骨 で顕著 で あ り,こ れ らの選 手は荷 重 のかか らない 中手骨や非利 き手 の榜骨 による骨密 ′ ・ 度 は全 員 YAM80%以 下であ った さらに 日吸収 マー スは な く 介 人か Ij:11有 効 で あ った報告 はほ とん どない マ ス │一 、1ち しか しなが ら,こ れ らの選手 て も皆無 で あ るが,こ れ は逼迫 カ ー の I型 コ ラ ー ゲ ン 架 橋 N端 子 テ ロ ペ プ チ ド した :_〔 千 ¨ 応 は必要 であ る 特 に摂 食 障害 を ′ )'´ ´ 」 「 「)骨 密度 の減少 は迅速 で,1年 間で 10% (NTx)(尿 中)は いず れ も高値 であ った (表 )高 骨 代 謝 回 転 カ ッ トオ フ値 が 54nmol BCE/mmol.Cr t` (」 :,` す ることも稀 で はな い (bOne collagen equivalent)で あ り,年 齢 を考慮 し 仮 に治療 が奏効 し て も高付1で あ ることは一 日瞭然 であ る j l、 ■と月経 が 回復 して も骨密 度 の 回復 は li=め ら 血中エ ス ト い か,大 幅 に遅 れ,競 技 復 ム古を ,tせ な い こ とも ラジオ ー ルの lLhも 50pg/m′ 以 Fと 低 値 で,低 エ ス ト 多い.復 帰 して も、骨密 度 の低 ドは競技継続 に当た ロ ゲ ンが骨密 F4の 低 ドを生 じ,疲 労骨折 を生 じた と り高頻度 に疲労骨折 を起す ことが 問題 となる 考 える _な こ う した結果 か ら,女 性 アス リー トにお け る骨 密 骨 は大 き く海綿骨 と皮 質骨 に分 け られ るが,エ ス トロゲ ンの不足 は主に皮質骨 のりF薄 化 を来す (図 3) 度 の 沢1定 は,非 荷 重骨 を用 いて皮質骨 を中心 に評価 吃質骨 の 多イL性 が進行 して,皮 質骨 幅が薄 くな る と しなけれ ば,将 来疲労骨 折 の予測 につ なが らな い と されて い る 骨密 度 の測 定 は,腰 椎 な ど海綿骨主体 考 え られる 0 0 0 % 2 0 8 Tス コア 4 5 選手 番 号 性 ホル モ ンが不足 す るこ とに よ り,皮 質 骨 が非 図 4 腰椎 DEXA法 による骨密度 腰椎 (L2L4)の Tス コアは軽度の低下 は認 めるものの, その度合 いはわずかである これは跳躍 などにより,荷 重ス トレスによる 骨塩増加 の効果 があるため,見 かけ上正常のように見える 海綿 骨主体 の骨は荷重 ス トレスによる骨塩増加に反応するため,低 下 薄化 してい く していないような値 をとる 図 3 女性ホルモ ン不足状態 と皮質骨罪薄化 Aは 正 常 の骨量増加 :皮 質 骨 は主 に男性 は外イ 員 1 に向 け,女 性 は内側 に向 けて増 殖 す る 画像 診断 VO128 No 8 2008 Bは 女 823 単純 X線 写真 単純 X線 写真 図5 10歳 代後半 左第 3中 足骨疲労骨折 競技 :新 体操 体重 40kg 演技 で繰 り返 し同 じ動作 を行 うため,同 じ部位 にス トレスが かかる 既 に偽 関節化 してい る 図6 10歳 代後半 体操 体重 46kg 新体操 の 誉 三7更 内容 が決 まる と繰 り返 し同 ラ を行 う■ 言定部位 に集 中 してス トレ じ動作「 「 スがかか る 三 .Iモ ≡ 手合 踏 み切 り足 ,着 「 地 する足 な とそ否旱 ,二 I更 て きない ため,疲 労 (→ ) 骨折 を生 じやす t 表 症例 年齢 月経 の状態 │(歳 ) 体脂肪率 (%) (μ I LH FSH エス トラ シ イ ー 続発 原発 続発 原発 規則的 原発 原発 原発 224 168 241 197 226 153 164 157 200 190 160 (mlD/m′ ) (mlD/mの 尿中 NTx ■ ■ >i 75 く 05 07 06 08 140 <05 (05 230 08 88 F言 丁 nmol BCE/nmOFC′ ) pg ^^ >250) 17 16 16 15 16 15 15 15 一 月経状態 と各種ホルモン値 ソマ トメジン IGF g/m′ 競技 :新 右月 す 1骨 疲 労骨折 745 33 91 8313 11135 7 19 21(1焉 56 62 く 4 く ゼ l │ヽ 1713 1258 l 293 61 包木」 激ホルモン LH:黄 体末U激 ホルモン, FSH:卵 月 “ │キ 原発性無 ナ メ,ま ま■技 を継続 して い るケース が 運 動 性 無 月経 は,骨 密 度 の獲 得 以 外 に も影 響 を及 続 ぼ す い った ん 開始 した 月経 が ILま った状 態 が “ ll二 投 せ の認 め られ る競技 ,摂 食制 急増 して いる キ 発 性 無 月経 "で ,こ れ まで は運 動 性 無 月経 の 大 半 は 限を行 う競1支 で顕 格である `¨ 続 発 性 で あ っ た。 しか し,昨 今 ,ス ポ ー ツの 開 始 年 Zankcrと Swainelの 研 究 で は,原 発性 無 月経 の 齢 が 低 年 齢 化 し,初 経 開始 以 前 よ り,過 剰 な トレー 原 因 として、エ ネルギ ー摂取 不足 の 関与 を示唆 して いる エ ス トロゲ ンは bOdy mass index(BMI),体 ニ ング を開始 す る こ とで 月経 そ の もの が 始 ま らな い 824 画像 診断 Vo128 No 8 2008 A∼ C 豊 純 X線 写真 A B 初診詩 図7 10歳 代前半 右第 3中 足骨疲 労骨折 C 初診後 11日 目 初診後 25日 目 競技 :卓 球 A∼ Ci初 診前 日より同部位 の疼痛 を自覚 競技 を継続 しなが ら,負 荷 のかかる運動 は制限,練 習後 はアイシンク,超 音波 を行 っていた 初診 時 (A)1こ は単純 X線 写真 では変化 がはっきりしないが,経 時的に仮 骨形成 の所 見 (→ )が はっきりして くる 脂 ∫ 率 とは低 い相 関であ ったの に対 し エ ネルギー バ ラ ンスと高 い相 関 を示 した エ ネルギー摂取 が低 :り ヽす る と.エ ス トロゲ ンの低 ドとともに インスリン様 I二 1,1 l TGF)一 I(ソ マ トメジン)の 低 ドが見 られる らも無 月経 で あ って も,競 技 生活 終 了後 ,月 経 が再 開 し,そ の 後 の生 殖 に問題 が なか った として選手 に もそ の ように伝 えて いることが 多 い この傾 向 は改 めるべ きである ._■ しモ ンの低 下が な い に もかか わ らず.IGF I ●1● 2.靱 帯 損 傷 れる場合 は摂食不足 を意 叫ξ する ljノ ガっ スバ ー ト中 であ る場 合 は 体重減 スポ ー ツ障害 ・外 傷 に対 す る脆 ]J性 につ いて は こ ti,ざ か 成 1こ ゴたして 11び が鈍 化す る 最終 的に身長は推 少 卜に ― 主 に骨 に関 して の女性 ホ ルモ ンの 関与 が論 じられ る 身長 の 伸 び と相 関す る ことが 多 く,閉 経 後 の骨粗漂 症 の知 見 を基 に考慮 さ Iは ,炭 水化物や蛋 白質 の摂取 と │:の 相 関を有 れて きた。 まだ女性 スポー ツ医学 につ いては独 自の す るので,低 体 重期 間す なわち低 摂食状態 が 長 く続 検 討 は十分 で はな く,他 の知 見 に基 づ いての推 察 で くと身長 の伸 びが抑制 され る 骨端線 が閉 じる前に ある こ とが多 く,さ まざ まな分 野 で解 明が不 卜分 な 栄 養状態 が 回復 しない場 合 は,低 身長 となる 疲労 ことが 多 い 定 最終 身 1こ よ り低 下 す る IGF‐ , ■・ も多発す ることに加 え,骨 端 の トラブ ル も増加 女性 アス リー トに多 い 障害 の ひ とつ に.非 接触 型 l E78 近年 ,審 美 系 スポー ツで は海外 の選 「 1:■ _す るために身長 の 高 い選手 が望 まれ ること 「、 の 前十字靱 帯 (anterior cruciate ligannent i Jヽ CL) で も │)こ うした意味 で も対 応 は必 要 と _■ ::′ 1を イい ヽ、適切 な状 況対応 が重 要 損 傷 が 多 い こ とが知 られ て い る (図 9)X脚 な どの ■ ′ (■ 女性 特有 のア ライ メン ト(knee in tOe out)の 関与 なる 杉外科 的な を論 じた報告 5)が 多 いが これ までは,整 り ´`「 L と考え ′ 指 専者 も■ ■ 1、 こつ いて 1ま 関心 の な い こ とが 多 く Hら の キ■ 1に k)12、 Ξ′ 象診」 ヽ ,て ':`づ N■ 、2ぃ 千i早 す るこ とが 多 い ′ 自 見地 に立って の 月経 周期 との関連 につ いて報告が 出 されて い る エ ス トロゲ ンが関与 す るか否かの検 討 °つ.ACL が多 いが 一 定 の 見解 は得 られ て い な い A 単純 X線 写真 B Tl強 調冠状断像 C 丁2*強 調冠状断像 D S丁 lR冠 状断像 10歳 代前半 右大腿骨頸部骨折 競技 :ホ ッケー 体重 53kg 骨密度 (前 腕遠位)YAM78% 4か 月前 に左大腿骨頸部疲労骨折 A:既 に左は陳旧1生 症変 が仮骨形成 している い )→ :骨 折部 B:骨 折部は低信号 を示す (→ C:骨 折部 は高信号 を示す (→ D:骨 折部 はさらに高吸収 となる (→ 図8 身長 160cm ) ) ) 損傷 を起 した選手 は痩せ が多 いわ け で は な く 無 ′ 経 でな く,む しろ月経 の ある選手が多 く,低 エ ス トロ l ゲ ンとの 関与 はむ しろ少 な い ような自]象 もあ る 1[ 常周期 を有す る ものが大 半 であるが なか に2∼ 3か 月 に 1回 の稀発 月経 の状 態 の 選手が 少 な くな い こ 査 にて卵 巣 の観 察 を行 うと 10mm未 満 の小 さな卵 真 珠 の 首輪 胞 を卵 巣 表 面 に多 数 有 す る い わゆ る “ "の 状 所見 を呈す る (図 10)こ の状態 は排ll lが な い 状 態 で,排 卵 が な い こ と│ま プ ロゲ ステ ロ ンの 産生 が ないことを意味す る PCOSで は男性 ホ ルモ ン │ア ン ドロゲ ン)が 通常 よ う した稀 発 月経 の 選 手 は,黄 体刺激 ホ ルモ ン (LH), テス トステロンの高値 を示す ことが 多 い +4(p01ycyStiC この 状 態 は “ 多 嚢 胞性 卵 巣症 候 群 り高値 で,ア ン ドロゲ ンが 1然 に高値 であるため,瞬 発 系 の競技 な どにお いて 1よ 言わば,筋 肉増 強斉Jと ovary syndrome:PCOS)"と 言 われ る 超音 波検 して用 い られ るアナボ リックステ ロ イ ドを使 用 した . †4 多嚢胞性卵巣症候群 (po:ycystic ovary syndrome i PCOS)>>レ 多嚢胞性卵巣症候群 の新診断基準 (案 )(日 本産科婦人科学 会 生殖 ・内分泌委 員会 2007) 以下の 1∼ 3の すべ てを満 たす場合 を多嚢胞性卵巣 f■ 候群 とす る 1月 経異常 2多 嚢胞卵巣 3血 中男性 ホ ルモ ン高値 または LH基 礎値高値 かつ FSH基 礎値正常 画像 診断 VO128 No 8 2008 B ブロ トン密度強調矢状断像 (2350/18)1.5テ スラ装置使用 B 後十字靱帯 前十字靱帯 40歳 代 非接触性前十字靭帯 損傷 競技 :バ レー ボール A:前 十字靱帯 の連続性 が不明になっている (→ B:後 十字靱帯 が後方 に移動 し,緩 んだ像 を呈 している (→ 図9 ) ) 超音波像 状況に類似 して いると言 える 女性 アスリー トに とっ ては,競 技 にお いては こ う した高 ア ン ドロゲ ン状 態 はむ しろ好 ま しい と考 え られ,時 々しか 月経 が な い ので,月 経 の煩 わ しさが な い こ とも相 まって放置 さ れて きた また,ア ス リー トは トレー ニ ングに よっ て体脂肪が減 少す ることか ら,ア ン ドロゲ ンは体 脂 三 tヽ で の エ ス トロ ゲ ンヘ の転 換 も抑 制 され るため , そ 気 :旬 │よ い っそ う強 まる.従 来 よ り,非 接 触 型 ヽti l:傷 ヒ女性 ホ ルモ ンとの 関係 が取 り Lげ られて きたが ア ン ドロゲ ンとの 関与 につ いての 見解 はな い 高 ア ン ドロゲ ンの腱 に及 ぼす状 況 は・アナボ リッ クステ ロ イ ドの 副作用 で腱 障害が増加 す ることを考 慮す る と,リ ス クファク ターの ひ とつ と考 えて も よ いか もしれない。 WOitysら に よる と,ACL損 傷 は卵 胞期 と排 卵 期 に多 く,黄 体期 に少 ない と報告 して,プ ロゲステ ロン との関係 を挙 げ て い る 0.母 数 が少 な いため エ ビデ ンスを形 成 す るには至 って い な いが ,高 ア ン ドロ グ ンに もかか わ らず ,プ ロゲ ステ ロ ンが分泌 されて い な い ことは リス クフ ァクターの ひ とつ で はな いか と 考 えて いる PCOSの 病態 を考慮 す る とあ なが ちあ りえない状態 ではない PCOSの 状 態 が高校 生 にあ る場 合 ,月 経 は全 くな いわ け で はな いので,ま だ若年 な ので不順 で あ る と 画像診断 VO128 No 8 2008 図 10 20歳 代 多嚢胞性卵巣 症候群 10mm未 満 の小 さな卵 胞 が卵巣表 面 に多発 し,2次 元 の超 音波像 では真珠 の首輪の ように見 える (→ ) か,「 運動を止めたら元に戻 るJ,「 ス トレスがなくなっ たら大文夫」などあまりに根拠に基づかない対応を されてきたことが多 いと思われる。今後,ACL損 傷 の予防に関与するかについては検討が待たれる A B 恥骨疲労骨折の単純 X線 写真 (3月 ) 踵骨疲労骨折 の丁1強 調矢状断像 (8月 ) 図 11 30歳 代 多発す る疲労骨折 A:前 の 月 (2月 )は 450km/月 の走行 が あ り,恥 骨 に骨折 が見 ら れる (→ ) B:踵 骨 の後部上方 に線状低信号 が見 られる (→ ) 3.拒 食 症 近年 ,一 般 女性 で も摂 食 障害 は増力日してお り,こ の 10年 間で急 増 して いる とされ る.痩 せ と無 月経 を の 特徴 とす る拒 食症 は,日 本 で も1980年 代 よ りそ 増 加 が報 告 され,近 年 そ の 増加 は著 しい とされ る 疫 で の 厚 生省 石 川lllの 調 査 で は,185人 と約 10倍 増加 9)地 域 の学校 を対象 に摂 食異常調 査 票 の記 ぁ った 入により行 った調査 による と,有 病率 は 0.4∼ 10%で 1° 患 者 の 95%以 発 症 年 齢 は平 均 178歳 で あ った , 上が女性 で,厚 労省 の 難治性 疾患 克服事業 に指 定 さ Ii れ て い る 病 因 の解 明や標準化 され た治療 法 は確 バー され て い ない 発病 の低年 齢化 が進 んで,成 長 ス トや叢高骨 量 (peak bOne mass)形 成期 に 重な るこ の な い こ ともπい ま 、 り与 ´ 学調査 によって推 定 され る患者数 は,人 口 10万 人当 り,1980年 には 15∼ 18人 であ つたが ,1998年 には の ヽ 11さ す る心■ 句;│・ lll科 息 考 の急増 に伴 い 文 リな11夕 Jl:ttを 受 診 して 専 門医 が不足 してお り,適 リ ア ス ー トの場 合,競 い ない こ とは多 く見 られ る 「践た ● ::ひ いてはオー 技成績 が向 上せず 貧 血や」 ・ バ ー トレー ニ ング症 候 IFな ヒ ツケ をされ 一 般 内 「 の のに 科 で管 理 され て い る ケー ス も 多t・ t「 そ も .:iilヒ して しまい,自 覚 も摂 食 を控 えて い る こ づ いて も受診 しな い,練 ヽ こ とも多 く,周 囲 も本 人 習 が忙 し くて L'て き ンで ■│''を 仁力め ら1■ ないことも多 い を,t辻 ´ こ う した なか で,画 像 診 断 にお い て,異 常 に低 下 した ‖`畜 lIダ [発 す る疲 労骨折 を日に した場 合 ,“ lF 念頭 に臨床検 査 の追加 を呈示す るな ど,違 っ た 方向 か らの 診 断 ア プ ローチが 必 要 とされ て い る fョ liを 1図 11) 題ヒ 特 に摂 食 障害 を合併 した場 合、骨密 度 の減少 は迅 い 速 で,1年 FHIで 10%以 上減 少す るこ とも稀 で はな いる と 運動 選 手 に限 って も、摂 食障害 │ま 坤1加 して 思 われ る しか しなが ら 厳格 な定義 珍円i基 準 に 仮 に治療 が奏効 して体 重 と月経が 回復 して も骨密 度 の 回復 は認 め られ な い か ,大 linに 遅 れ,競 技 復帰 を とか ら,低 身長 や骨 粗髯 捕:が 発元:す る こ とが │‖ な って いる 基 づ く全 国調査 は見 当 た らず.同 野 らに よる 1996年 の 4体 育系 大学女子 ア ス リー ト1000名 に対す る調査 復帰 して も,骨 密 度 の低 下 は 競技 継続 に当た り高頻 度 に疲労骨 折 を起す ことが問 で は,一 般 女性 の 3%に 対 し,審 美系 12%.持 久系 ス ポ ー ツ20%が ,質 問紙法 を用 いた調査 であるeating 題 となる attitude test(EAT)の 短縮版,EAT‐ 26に よる調査 で おわ りに 無月経・拒食症 において疲労骨折 は高頻度に認め 20点 以上 を示す,摂 食障害類似 者 の害J合 であった 828 ll) 呆せ な い ことも多 い 画像診 断 701 28 No 8 2008 ヽ ´_l そ ,1_ ・1_二 ,山 i像 1升 見 は特 徴 的 と言える もの はな マ スリー トにお いて は競技 特 性 に応 じ じる ことは多 い 日常遭過 しな い部位 の _ j■ tた 場 合,競 技 の 内容 を考慮す ることが 1 ´りとなる ことはあ ろ う 女性 アス リー トは 状態 の持続 は間違 い な く将来 の競技 パ フォーマ ンス に影響 す るこ とを指 導者 に理解 して もらうこ とは竜 “ 低 エ ス トロゲ ン状 態 の結果 ,疲 労骨折 が 頻 発 す る こ と",ま た一 般 的 で はな い が,“ 低 プ ロ ゲ 要であ る ス テ ロ ン・ 高 ア ン ドロゲ ン"は 前 十字靱 帯損傷 の リ '1キ ダ の用語 の持 つ イ メー ジで 月経 出血 の ス クになる可 能性 が ある こ とな ど,長 期 の競技 離脱 ■し を気 にか け ることが多 い 指導者 も女 を来す原 因 となる ことを,選 手本 人 ・指 導者 に理解 ド 自らの経験 な どで競技 Ji活 終了後 に月経 iし た経験 か ら,無 月経 につ い て関心 を示 さな させ ることは言 葉 のみではなか なか難 しい。 目に見 える形 である画像 診断 か らの無月経 ・拒 食症 の リス ■ 単者は数多 く存在す る "で はな く,ホ ル た「 」な こ とは “月経 の あ る・ な し ¨ エ モ ン状 況 の 把握 で あ る.少 な くとも 低 ス トロ ゲ クにつ いての アプ ローチ は,選 手 ・指 導者 の理解 に も繋が りやす い と考 える 低 エ ス トロゲ ン状 態 の 回 避 は,ア ス リー トのパ フ オーマ ンスの 向上 に繁 が る ン状 態 "は 避 けなけれ ば い け な い ことを伝 えて い く必要が ある _ : . 低 エ ス トロ ゲ ン ■文 :「 `)、 lti三 ピュal cvclesl fatness as it li i fOl‐ height necessary Sciellce 185: 949-951, ti l()r thelr malntenance or り■、 1974 」崎 登:女 1生 スポー ツの「,[i t l L:L 1997 型川 なつ え 宮崎亮 ―郎 「11 ■ 1:`じ l: 14-20.2004 sch RE Mc.ヽ rthur J` a dcternlinant of rninilnunぅ _ : Zanker CL,S、 raine IL:The iti l een 1;bil p lDct、 ′ scrum 概帯損傷 に対 す る影響 臨床 スポー ツ医学 19991-994. 2002 8 WoityS E卜 l Huston LJ Bo5「 ntOn MD,ct al Thc effect Of the menstrual cycle on anterior cruciate ligament iniuriCS in women as detcrmined by hormone levels 9 oestradiol concentration alld t:li 「 `: balance in young ヽ│」:Is NIed 19:104-108 、 、oinen distance rし lnners llT 101 1998 tと 非 接 触 型 膝 前 ↑森 章浩 :白 年 字 lll帯 に与 え ・ j;・ =、 ll): 1 1,7-1010. 2002 il‐ 靭帯損 傷 臨 │(ス ポー ル ・1イ (実 :性 周期が膝 前 1宇 颯帯 │. 二 iえ る影 響 Lli床 i=― ツ医学 1■ 99510()(),2002 ::1:1燎 面義雄 酒巻キ恵 :女 「 ´ の 膝 前 十 年 11 'レ Alln J SpOrts Nled 3()1821882()02 暉 /1省 特 定疾 害、 神経性 食欲不振 症 調査 百 班 'F究 医療 1FH「 員理 ,大 和 田里 奈 高野加寿 恵 :内 分泌疾患総合 セ ンター 1999年 1年 lBH 東女 医人誌 71:1471542001 岡野五 郎 :ス ポー ツ選手 にお け る食欲異常 とエ ネ ルギ ー 要求 臨床 スポー ツ医学 1&433-4392001 12 Sundgot Borgen J Bahr R Falch JA, et al Sundgot SchneiderI Prevalence of eating disovdeus in elite female athletcs lnt J SpOrt Nutr 31 29 40 1993 =ン Disorders particularly estrogen, are ilnportant The three ma10r Signs in women indicating that long term ,JKao,vlais´ 33'l Yoshihlko Shln*,Teruak lN7 or* cessation from athletic competition is necessary are anlenorrhea, osteoporosis, and eating disorders Female Athletes:Risk of Amenorrhea and Eating t´ nlike lnen, 、 「omen have horlllonを li cycles lt is irnportant to understand the hor:ll(Dnal Status っ f v「 omen athletes *IDepartment of Sports Outpatient, Nishibeppu Hospital,National Hospital Organization Female se、 tial hormones, 画像 診断 VO128 No 8 2008 829