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part3 - 障害者自立生活センターIL-ism

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part3 - 障害者自立生活センターIL-ism
3)呼吸器を外し、人工肺につなぐ。
(片手で外す。カニューレを引っ張らないように気を付ける。
)
7)気管に入れる際は、カテーテルの根元を親指で押さえて空気が吸われないようにし、指先でカテーテルを回し
ながら10cm程度(本人の指定する長さ)入れる。そしてカテーテルの根元を押さえている指を離し、カテ
ーテルを指先で回しながら引いていく。痰を吸い上げる音がしたらそこでとどまり、時間(個人によって違う、
数秒から1分程度)を考えて引き抜く。
8)呼吸器をつける。
(片手でつける。カニューレを押さないように気を付ける。
)
9)消毒綿でカテーテルを拭く。
(精製水を吸わせる前にカテーテルについた痰を拭き取る。
)
10)精製水を吸わせてカテーテルを洗浄する。
11)カテーテルを容器に戻す。
12) 手袋を捨てる。
13) 手を洗う。(感染予防のため)
<留意点>
①自発呼吸(自分で呼吸すること)が残っている人は、ある程度呼吸器を外しておくことができますが、自発呼吸
がない人は呼吸器を外すと一切呼吸ができません。吸引の準備が整ってから、呼吸器を外して数秒間でカテーテ
ルを入れ、再び呼吸器をつけられるよう手早く行います。
②痰は図1のように気管やカニューレにあがってきます。痰があるとゴロゴロと音が聞こえてきます。カテーテルを
入れる長さは、個人によって異なりますが、入れすぎないようにします。あまり入れすぎると刺激でかえって痰が
増えてしまうばかりか、気管支や肺を傷つけてしまいます。
<ヘルパーによる吸引について>
ヘルパーによる吸引は、平成17年3月24日に厚労省通知「在宅におけるALS以外の療養患者・障害者に対す
るたんの吸引の取り扱いについて」
(医政発第 0324006 号)の中で利用者とヘルパーとの間で同意書を交わし、医師の
指導を受ければヘルパーによる吸引が認められました。主治医の先生に研修をお願いすれば可能だと思います。
ガーゼ交換の方法
気管切開口を保護するためにガーゼをつけます。ガーゼはカニューレの周りに付けられるようにY時の切り込みが
入っているためYガーゼと呼ばれています。ガーゼは痰などで汚れるので1日に一回、ガーゼを交換します。
必要物品
〇Y ガーゼ
〇消毒液
〇綿棒
〇消毒液
<手順>
① 手を洗う。
② 消毒液、綿棒、替えのYガーゼを用意する。
③ Yガーゼをとめているテープを外す。
④ Yガーゼの左右どちらかの角をつかんで上の方に引っ張り、ガーゼを外す。
⑤ カニューレが挿入されている気管切開口の周りを消毒液をつけた綿棒で拭く。カニューレのまず上側を半円を描
くように一方向に向かって拭く。そして綿棒を回して面を変え、下側も同様に拭く。
⑥ 替えのYガーゼを上から左右どちらかからカニューレと皮膚の間に入れ、下側を引っ張る。
⑦ Yガーゼの切り込み部分を空気が漏れないようにしっかり重ねて、テープで止めます。
5 人工呼吸器使用者の自立生活
自立生活を始めるための準備
①診療が受けられ人工呼吸器のレンタルが可能な病院を探す
なるべく自立生活を始める家の近くにある病院の医師に主治医になってもらい、人工呼吸器のレンタル(人工呼吸
器取扱業者がレンタル、点検、修理を請け負う。
)
、カニューレ交換、診療を受けます。そのほうが何かあった場合、
迅速に対応してもらえ、親や施設を説得する材料にもなります。
今診療を受けている病院で対応してもらえるのが一番ですが、難しい場合は紹介してもらうか、自分で病院を探し
ます。できるだけ在宅診療に力を入れている病院を選びます。そして現在の主治医に書いてもらった紹介状を病院に
渡します。その方がスムーズに事が運びます。
ちなみに全国で在宅診療をしている病院を紹介している「在宅ケアをしてくれるお医者さんがわかる本 全国版―在
宅ケア医年鑑〈2005 年版〉和田 努 (著) 同友館 ; ISBN: 4496039907」があります。
紹介状・・・医師の紹介で他の病院にかかる際に渡す病名、状態、治療内容、使っている薬などを記した手紙。受診する
医師が決まっている場合は、医師宛になります。
②24時間の介助体制を作る
人工呼吸器使用者は24時間の介助体制が必要で、入浴の場合は2人または3人の介助が必要です。行政と交渉し
て介護制度を月720時間(1日24時間)支給させ、必要な人数を確保して、吸引等の介助研修を事前に行ってお
きます。介助体制が整えば大きな説得材料になります。
③車椅子、浴室を使えるように工夫する
人工呼吸器使用者が外出するには車椅子に人工呼吸器と外部バッテリーを載せられる台が必要です。業者に相談し
て作ってもらいます。
それから浴室を使えるように工夫します。特に横になった状態で入浴する場合は、ある程度のスペースと横になる
ための台が必要です。事前に台などを準備します。浴室が狭い場合は、簡易浴槽を使って部屋で入浴する方法もあり
ます。トイレも狭くて使えない場合は、ポータブル便器や差込式の便器を使うという方法があります。
④必要な物をそろえる
人工呼吸器にかかわる周辺機器や消耗品はすべて人工呼吸器の業者が取扱っています。吸引器は役所に申請して日
常生活用具として給付されます。アンビュウバッグは購入します。人工呼吸器にかかわる蛇腹管、Yガーゼ、綿棒、
気管切開チューブ(カニューレ)等の物品は病院と業者とのやりとりですべて無料であったり、一部有料になったり
します。人工呼吸器は医療機器であるため、治療の一環として
6 人工呼吸器との生活
人工呼吸器を使いながら地域で自立生活している3名の方に人工呼吸器を使うまでの経緯や工夫している点、生活の
様子について書いてもらいました。
神奈川 吉田和弘さん
私は筋ジストロフィーデシャンヌ型と言う病気を持っている。平成 9 年冬ぐらいから胸の動きが悪く調子が今ひと
つだった。朝起きると頭が重く日に日に状態が悪くなった。頭痛が増え体がだるくなり、そのうちに熱を出してしま
った。今までとは違う体の異常を感じたが、普段風邪をひく事もあまりなかったので、そのまま風邪の治療をしてい
た。薬を飲み安静にしても良くはならず、痰も出始め苦しさは増した。
「肺痰療法」で痰を出していたが、肺が安定せ
ず痰の量が多く急遽ミニトラック(一時的な気管切開)を導入する事になった。その方法も一時的には良かったがその
まま良くもならなかった。
主治医のアドバイスもあり、筋ジス治療の中で比較的良い物があると言う事で専門病院で適正検査を受けた。それ
は陽圧式人工呼吸器「BiPAP」で、一定時間に酸素の圧力を体内に送り込み肺を膨らます物だった。私が使用す
るBiPAPは鼻にマスクをあてるタイプで頭にネットをかぶり固定し使用する。気管切開し直接喉から接続するタ
イプもあるらしいが、私はあえてその方法はとらなかった。数日の検査入院と機器の取り扱いの説明を受ければ鼻マ
スクタイプは使用出来たのがメリットだった。
もちろん鼻マスクにはデメリットもある。いつも視界にマスクがあるため邪魔である。夏は暑くなるし、締め付け
による褥瘡ができる時もある。しかし導入後は発汗も良くなり、体に酸素が行き渡って頭痛・だるさが無くなり体が
軽くなったような感じがした。現在は入浴時も呼吸器をつけている。洗髪の時だけマスクを外し、その間は自力呼吸
をし、洗い終わったら装着する。人工呼吸器をつけながら一人暮らしを始めて三年、今は無くてはならない物になっ
てしまった。
私は今、人工呼吸器を電動車椅子に乗せ呼吸器を動かす動力、バッテリーも積み込み、写真家としても活動をして
いる。また、趣味で釣りも始め呼吸器を着けながら海で釣りも楽しんでいる。赤いアメ車の電動車いすで街を走れば
普通に目立つ。鼻マスクの呼吸器を付け走っていると余計に目立つ。今は私の街では有名人になってしまった。
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