Comments
Description
Transcript
発表資料
ICP加熱器を用いた大気突入用 インフレータブル構造体の耐熱試験 ○土井翔平(青山学院大学) 山田和彦(JAXA/ISAS) 安部隆士(JAXA/ISAS) 2014/12/19 宇宙航行の力学シンポジウム 1 目次 1. 2. 3. 4. 5. 2014/12/19 研究背景・目的 試験模型 試験装置・方法 試験結果 まとめと今後の展望 宇宙航行の力学シンポジウム 2 目次 1. 2. 3. 4. 5. 2014/12/19 研究背景・目的 試験模型 試験装置・方法 試験結果 まとめと今後の展望 宇宙航行の力学シンポジウム 3 研究背景 「回収カプセル」,「有翼飛行体」に続く,第3の大気圏突入技術として,展開型柔軟構造エア ロシェルによる低弾道係数大気突入システムの開発が行われている. 既存の熱防御システム アブレーター:はやぶさ 耐熱タイル:スペースシャトル 空力加熱に耐えるコンセプト 展開型柔軟構造エアロシェル • 低弾道係数で高高度での減速 • 繊細精巧な耐熱材不要 • 海上回収が可能 空力加熱を避けるコンセプト 軌道上の真空、無重量状態で エアロシェルを展開する。 インフレータブルトーラス 薄膜フレア型 柔軟エアロシェル カプセル(ペイロード) 柔軟構造エアロシェルによる低弾道係数大気突入システム インフレータブルトーラス 気密層:ポリイミドフィルム(耐熱温度:550 deg.C) 強度層:ZYLON(耐熱温度:650 deg.C) トーラス部前面に断熱層を施し,耐熱性の向上を図る 耐熱性を定量的に評価する必要 2014/12/19 宇宙航行の力学シンポジウム 断熱層を施した直径2.5mのエアロシェル 4 研究背景 地球低軌道からの再突入時の加熱環境 エアロシェル直径2.5m、ペイロード15kgの場合 • 最大マッハ数:約27 • 最大熱流束:約130 kW/m2 極超音速風洞試験 • 気流マッハ数 • 広い通風領域 ICP加熱器試験 • 空気プラズマ • 加熱時間 • 熱流束 試験模型の形状 従来の球形模型では,ICP加熱器の気流コアに対してサイズが大きい. 気流コアに合わせた模型の製作は,サイズが小さく困難. 実際の再突入機の構造に近い,円柱形状を採用. 2014/12/19 宇宙航行の力学シンポジウム 5 試験目的 実用化に向けた課題 エアロシェルを構成するインフレータブルトーラス部の耐熱性能評価 再突入時の加熱環境を模擬できるICP加熱器で,円柱形状のインフレータブル 模型を利用して,その耐熱性評価を行う. 試験目的 ①ICP加熱器での加熱試験実施方法の確立 ②円柱形状インフレータブル模型の製作手法の確立 ③インフレータブル構造体の耐熱性の評価 2014/12/19 宇宙航行の力学シンポジウム 6 目次 1. 2. 3. 4. 5. 2014/12/19 研究背景・目的 試験模型 試験装置・方法 試験結果 まとめと今後の展望 宇宙航行の力学シンポジウム 7 現状のインフレータブルトーラス部設計案 ②断熱層(前面のみ) ①断熱層固定布 ③エアロシェルカバー (フレア部との接続用) ④強度層 空力加熱 内部ガス 輻射冷却 ⑤気密層保護層 ⑥気密層 項目 ① 断熱層固定布 材料 アルミナ長繊維織物 ② 断熱層 アルミナ長繊維フェルト ③ エアロシェルカバー ZYLONフィラメント織物 LZY0160W 0.095mm ④ 強度層 ZYLONフィラメント織物 ZYLON紡績糸織物 LZY0160W DA4220W ⑤ 気密層保護膜 ZYLONフィラメント織物 LZY0160W 0.095mm 繊維方向を45°ずらして, 0.47mm 重ね合わせる 固定のために,フランジ周 0.095mm 辺に接着材を塗る ⑥ 気密層 ポリイミドフィルム シリコン系接着剤 Upilex 12.5SN 12.5um KE3417 2014/12/19 形式・型番 2525‐P 厚さ 0.15mm 備考 6.0mm 宇宙航行の力学シンポジウム 8 試験模型(基準模型) 実際の状況に近い円柱形状を採用. 試験模型は,インフレータブルトーラス部設計案と同様の層構造である. 模型の両端までは加熱できないので,模型の両端から熱の出入りがないように,断熱カ バーを取り付けた. 試験模型(基準模型)で使用した材料 5cm 気密層 ユーピレックス 12.5SN シリコン系接着剤(KE3417)で接着 保護層 強度層 薄ZYLONフィラメント織物(LZY0160W) 薄ZYLONフィラメント織物(LZY0160W) ZYLON紡績糸織物(DA4220W)の重ね合わせ 断熱層 ニチビ製アルミナ長繊維フェルト×2枚(白色) 固定布としてニチビ製アルミナ繊維織物(白色) 試験模型の断面図 30cm インフレータブル模型 2014/12/19 インフレータブル模型に断熱層を施した様子 宇宙航行の力学シンポジウム 断熱カバーを施した様子 9 試験模型(黒色化モデル) 従来の断熱層(白色)に酸化銅クロム(CuO‐Cr2O3,CuCr2O4)で黒色化した断熱層を用意し た.これにより,輻射率が高くなり,断熱層表面からの放射冷却の効果を高められると期待 している.断熱層以外の仕様は,基準模型と同様である. 試験模型(黒色化モデル)で使用した材料 5cm インフレータブル模型に断熱層(黒色化)を施した様子 2014/12/19 気密層 ユーピレックス 12.5SN シリコン系接着剤(KE3417)で接着 保護層 強度層 薄ZYLONフィラメント織物(LZY0160W) 薄ZYLONフィラメント織物(LZY0160W) ZYLON紡績糸織物(DA4220W)の重ね合わせ 断熱層 ニチビ製アルミナ長繊維フェルト×2枚(黒色) 固定布としてニチビ製アルミナ繊維織物(黒色) 断熱カバーを施した様子 宇宙航行の力学シンポジウム 10 目次 1. 2. 3. 4. 5. 2014/12/19 研究背景・目的 試験模型 試験装置・方法 試験結果 まとめと今後の展望 宇宙航行の力学シンポジウム 11 ICP加熱器 プラズマトーチ 加熱器概観 空気プラズマ気流が,プラズマトーチから真空チャンンバーの方向に流れる. 本試験では,投入電力で加熱量を管理. 2014/12/19 宇宙航行の力学シンポジウム 12 試験方法 試験手順 ① チャンバー内を減圧し,着火する. ② 生成した気流にガードンゲージを投 入し,熱流束を測定する. ③ 試験模型を気流に投入する. ④ 300秒後,模型を気流から出し,再 度ガードンゲージを投入し,熱流束 を測定する. 測定項目 ① K型熱電対による膜間の温度履歴 ② 模型内部の内圧履歴 ③ 放射温度計による模型表面温度 模型をセットアップした真空チャンバー内の様子 ガードンゲージ システムブロック図 2014/12/19 宇宙航行の力学シンポジウム 13 目次 1. 2. 3. 4. 5. 2014/12/19 研究背景・目的 試験模型 試験装置・方法 試験結果 まとめと今後の展望 宇宙航行の力学シンポジウム 14 加熱試験の様子 試験模型を空気プラズマ流に投入している様子 2014/12/19 宇宙航行の力学シンポジウム 15 熱電対の温度履歴 模型仕様:基準模型 投入熱流束:110kW/m2 模型投入時間:300秒 1000 900 Tempearture [deg.C] 800 2枚の断熱層の間 700 2枚の断熱層の間 600 強度層表面 500 強度層表面 400 強度層表面 300 強度層表面 200 強度層表面 模型投入 100 内部ガス温度 0 0 100 200 300 400 Time [sec] 熱電対は,気流中心から2cm以内に来るように 配置している. 2014/12/19 宇宙航行の力学シンポジウム 16 投入熱流束と最高到達温度の関係 試験模型投入前後にガードンゲージで気流の熱流束を測定. ガードンゲージで測定した熱流束を,投入熱流束として横軸にプロット. 縦軸は,各箇所における熱電対の最高到達温度. 950 700 ●:基準模型 ×:黒色化モデル 850 800 750 700 ●:基準模型 ×:黒色化モデル 650 Temperature [deg.C] Temperature [deg.C] 900 600 550 500 450 650 600 400 100 105 110 115 120 125 100 Heat flux [kW/m2] 105 110 115 120 125 Time [sec] 投入熱流束と2枚の断熱層の間における最高温度 (熱電対2本の平均値)の関係 投入熱流束と強度層における測定最高温度 (熱電対5本の平均値)の関係 各試験で投入熱流束のバラつきが見られるが,それを考慮しても, 黒色化した断熱層の放射冷却の効果が期待できそう. 2014/12/19 宇宙航行の力学シンポジウム 17 目次 1. 2. 3. 4. 5. 2014/12/19 研究背景・目的 試験模型 試験装置・方法 試験結果 まとめと今後の展望 宇宙航行の力学シンポジウム 18 まとめと今後の展望 まとめ ICP加熱器を用いた,インフレータブル構造体の耐熱試験 方法をある程度は確立した. 円筒形状インフレータブル模型の製作手法を確立した. 黒色化した断熱層表面の放射冷却の効果が期待できそ う. 今後の展望 安定した気流の生成 投入熱流束の安定 熱電対の再現性 2014/12/19 宇宙航行の力学シンポジウム 19