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修繕費を安くする4つのヒント2003年春号
建築は生きている 相談契約 技術レポート 2003年早春号 寒空の中にも春の兆しが、そこかしこに見えるようになって来た此の頃ですが、景気の 方は、相変わらず先が見えない状況です。 施設に関するコスト削減には、既に皆さん知恵を絞って実施されていると思いますが、今 回は、このような経済環境の中で、乾いたタオルをさらに絞る工夫を考えてみました。 日頃の皆様からのご相談の中から、意外と見落としがちな、「修繕費」について、幾つかの ヒントをご提案いたします。 修繕費を安くする4つのヒント 1、自分のものだと思って、大事に使う。 施設や備品の破損は、お客様が壊すこともありますが、従業員の方が不注意で傷つける ことも、多々あるようです。 毎日、忙しい中で作業をしていると、目の前の仕事に気をとられ、つい、物をぞんざいに 扱ったり、傷つけたりしてしまう事もありますし、会社の施設や備品を大事にする、とい う意識が薄い、従業員の方もいると思います。 しかし、社員の一人一人が、自分のものだと思って、施設や備品を大切に扱えば、修繕の 回数も少なくなり、その寿命も、1∼2割は伸びるのではないでしょか? ある旅館の会長さんは、いつもポケットに消しゴムを入れています。 別に書類を直すために持っているわけではありません。 ドアの下や、壁の幅木に汚れがあると、その汚れをすぐに消しゴムで落とすのです。 しかも、社員の見ている前で、「汚れはすぐに落とせば、綺麗になるよ」と言いながら、消 すのです。 ものを大事にする姿勢を、経営者自らが実践するのを目の当たりにすれば、若い社員の意 識も自ずから変わる、というのが会長さんの持論です。 自分のものだと思って大事に使い、手入れをすれば、モノは必ず長持ちし、結果として直 す回数も減り、修繕費も少なくなります。 当たり前ですが、当たり前のことを当たり前にやる事が,生き残りの秘訣かもしれません。 2、自分で修繕する 清掃や、保守管理を外注しているところは多いと思いますが、自社で行えば、2つの大 きなメリットがあります。 第一は、清掃や修繕を自社でやることで、モノを大切にする心が培われ、施設や備品をきれ いに使い、傷つけないように、大切に使うようになるということです。 何故と言って、汚くしたり、壊したりすればその後始末は、自分たちでしなければならな いのですから、必ずモノを大切にするようになります。 第二は、清掃や、簡単な修繕を、内製化することによるコスト削減です。 従業員の方は、多少負担が増えるでしょうが、こういう時代ですから、自分たちでやれる 事は、出来るだけ内製化して、外部への流出費用を抑えて、その分、少しでも社員の方に 還元しては如何でしょうか。 100室規模のある旅館では、清掃、布団敷き。食器洗浄等を全て内製化した結果、年間 およそ1億円程度のコスト削減に成功したという事ですから馬鹿になりません。 ホテル、旅館の様に、拘束時間が長く、中抜け勤務もある待機時間が多い仕事では、本来 の仕事の合間に、隙間時間が多くあります。 その隙間時間を活用して、外注している仕事をある程度こなす事は不可能ではないと思い ます。現在のアウトソーシングを見直して、自分たちでやる方法も、検討されては如何で しょうか。 あるホテルでは、椅子などの修理が多いため、これを内製化しました。 出入りの家具屋さんに来てもらい、家具の修理方法を講習してもらいました。 日常、発生する家具の多少の修繕は、自分たちの手でやる予定で、工具も数セット用意し て、修理チームを職場ごとに編成して、社内の小修繕に対応しています。 日曜大工は、皆さん家庭では、普通にやっている事ですから、少しの修繕は、やれば出来 るのではないでしょうか? 3、すぐに、自分たちで直す クロスが少し剥がれたり、手すりが少し錆びたりした場合どうしていますか? 職人さんを呼ぶ程ではない場合は、もう少し様子を見ようとしていませんか? その結果、クロスの剥がれは大きくなり、錆びは進行して結局、職人に直してもらうこと は無いでしょうか。 少しの剥がれや、錆びは、素人でも直せますし、業務の合間でも出来ます。 社員の中で器用な方々を、前述のホテルを参考に、「すぐ直す課」とでもして、自分たちで 直すチームを作るのもひとつの方法です。多少のインセンティブは必要かもしれませんが。 建築の現場では、今コストダウンの方法として、「多能工」を取り入れようとしていますが、 これは、時代の変化に取り残されない為の対策なのです。 建設業も、最近は、大規模な新築工事が減り、工事も小規模になって、改装や修繕がむし ろ増えてきました。将来的には改修工事の割合が、全体の6割以上を占める と言われています。 改装や修繕では、各職種の作業量が少ない為、大工,左官、内装、といった一つの職種に 特化していては、生産性が非常に低くなり、コストが高くなります。 従って、コストを減らす為に、一人の職人が、色々な職種の仕事をこなす事で、生産性を 上げて小規模工事に対応して、厳しい生き残り競争を戦おうというのです。 すべての産業の中で最も遅れている建設業でさえ「多能工」を取り入れようとしています。 ホテル、旅館業界でも、社員の職種を固定することなく、調理人が送迎バスを運転したり、 フロントマンがペンキを塗ったりしても良いのではないでしょうか? 4、外注の修繕工事は、合い見積りを取る 日常の修繕工事は、貴社に出入りしている特定の建築業者や、設備業者に頼むことが多い と思います。 突発的な建築の修繕や、設備のトラブル対応には、週末や夜中でも飛んで来てくれる出入 り業者を育てることは、とても大事なことです。 しかし、1社だけの付き合いでは、色々な面で、リスクがあります。 第一は、価格が高止まりする可能性が高いことです。 修繕工事は、その内容が千差万別なため、工事価格の相場という物がありません。尤も、 建築の工事費自体が、定価が無く、曖昧な価格ですが、修繕工事は更にコスト構造が曖昧 で、価格が不透明です。 従って、出来れば2∼3 社から、合い見積りをとり、比較検討して、価格と内容を交渉する しか方法をお勧めします。 見積もり査定は、専門家に頼む方が確実ですが、小額工事では費用もかかリ、頼みにくい 事も多いと思いますので、素人でも、簡単に修繕費見積もりチェックする方法をお教えし ます。 素人でも簡単に出来る、修繕費見積もりの比較検討のやり方 A 見積書の金額を、①材料費、②人件費、③仮設養生費、④その他費用、⑤経費、に分 け、 次にこれを簡単に表にして各社を比較します。 多分、①は各社あまり変わらないと思いますが、特に高い会社があればヒアリングし ます B 次に、②の①に対する割合を見ます。これで、人件費比率をチェックします。あまり 人件費比率の高い所は理由を聞きます。 ③は、工事をする為に養生したり、運搬したりする費用ですが、これは準備する為の 費用で、言わば捨ててしまうお金なので、出来るだけ少ないほうが工事の生産性が高 い、と言えます。段取りの良い会社は、安く納めてくれるはずです。 C ④は、よく各社を比較してください。ここには、隠れ経費があるかも知れません。 調査費、検査費、試験費、立会い費、等の費用が計上されている場合、②と重複して いないか、良く業者に、その費用の内容を確認します。 例えば、空調のエアコンをつけた場合に、検査費が計上されていたとします。 エアコンの室内機と屋外機を繋ぐ配管は設備業者が施工します。エアコンが正常に機 能するか、という機能試験は、当然その業者がしますし、難しい試験ではないので、 人件費が余計にかかることもありません。 試験するだけの為に、検査員が立ち会うなどと言う事は、余程難しい仕事や、規模の 大きな工事に限られます。 小額の工事でも、特段の理由が無く、そのような費用が必要な業者は、生産性が低い と言う事になるので、発注を控えるほうが良いと思います。 D ⑤は、①∼④の合計に対する割合を出してチェックします。発注条件によっても変わ りますから上手に交渉して下さい。 修繕工事には、定価がありません。また、営業しながらの工事が多く、作業時間も限られ る為、仮設や人件費の見方は、各社異なるのが当然です。 更に、工事をやる人によって、段取りの取り方も異なる為、施工費用も変わります。 従って、3 社くらいで比較して、大体の相場感を掴む方法が、一番現実的だと思います。 第二は、第三者の意見を聞くという事です。 今まで日本の建築業界は、新築工事が主体であった為、改修工事や保守管理のノウハウは、 まだ確立されていません。大手ゼネコンが最近やっと、改修工事に力を入れ始めましたが、 中小業者ではまだまだです。 また、品質管理に至っては、修繕工事では、その基準や、管理方法が確立されておらず、 丸投げや、孫請けも横行しており、かなり惨憺たる状況です。 特に、外壁改修については、注意が必要だと思います。 当社の相談契約でも、外壁の改修工事の設計監理を委託される事が増えてきましたが、こ の業界の事を色々と調査して、その実態に愕然としています。 詳細は、差し障りがあるので紙面で述べられませんが、相談契約のお客様で外壁改修を予 定されている方は、工事を見積もりに出す前に、必ず、当社の担当者に相談される事を、衷心 よりお勧めいたします。 改修業者が、貴社の社長さんの、友達や知り合いであっても、それは、この特殊な業界の構造 では、良心的な施工を意味しませんので、特にご注意ください。 何も知らずに、何千万もの改修工事を、ノーチェックで業者任せにする事は、お金を捨てるような 物です。相談契約は、このような時のあなたの相談相手です。相談は無料ですから、何時でも お電話ください。 また、設備のシステムを更新したり、外壁改修の様な、建物のインフラに関わる様な工事 では、工事に直接利害関係の無い、第三者のアドバイスを受けるほうが、客観的な意見が 得られて、良いと思います。 出入りの業者の意見は大切ですが、それを鵜呑みにせずに、その仕事に精通した人の意見 を聞いて、常にセカンドオピニオンを持つことは大切な事だと思います。 以上、今回は修繕費を安くする方法をお伝えしました。修繕工事を発注する際の参考にな れば、幸いです。内容についてご不明な点や、更に詳しい資料がひつような方は、弊社の 担当者または、相談契約担当の高橋、八巻まで、お気軽にお電話ください。 相談契約は、貴社に、施設を有効活用するためのセカンドオピニオンを、提供いたします。 日常のメンテナンスや修繕等で迷われている場合は、何なりとご相談ください。 本年より E メールもご利用いただけるようになりました。また、ホームページも一新しま したので合わせてご利用ください。 相談契約連絡先 電話 03−3260−0421(高橋、八巻) FAX 03−3235−18 E メール ホームページ 高橋 [email protected] 八巻 [email protected] 石井建築事務所 http://www.ishii-ao.com 創景研究所 http://www.ishii-ao.com/soukei 相談契約も発足して 3 年目になります。今年はサービス内容を更に充実させて、皆様のお 役に立ちたいと考えています。 相談契約のホームページも、春までにはアップロードする予定で準備を進めていますので、 今年もよろしく、ご利用ください。