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日本の住宅資産価値に関する研 究∼その現状と課題

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日本の住宅資産価値に関する研 究∼その現状と課題
日本の住宅資産価値に関する研
究∼その現状と課題について∼
RESEARCH ON HOME’S
EQUITY VALUE OF JAPAN
ABOUT THE CURRENT
ATATE AND PROBLEM
早稲田大学理工学部建築学科 北見 卓也
Takuya KITAMI
キーワード:
全国 12 都道府県、住宅資産価値、戸建、マンション、REINS、比較
The price vanishes in years of 20 of old to vanishing of wooden Cota of
Japan. The price vanishes also to the RC make in years of 30 of old. This
situation is doesn't apply to various foreign countries, and a peculiar
phenomenon to Japan. To know the current state and the problem of the
home's equity value of Japan, this thesis does mainly the analysis of
data.The data used uses the one from January to September, 2008 open
to the public in REINS. The outline of the housing market in Japan is
simply totaled in the first half. The element that influences the price of the
house is clarified in the latter half. It is assumed that a heavy regression
analysis including the dummy variable is done for that.
Keywords:
12 nationwide administrative divisions, Home's equity value, Cota,
Apartment house, Real estate information network system, Comparison
1.はじめに
「研究背景」
日本は、木造戸建は築 20 年、RC 造は築 30 年で価格がゼロとされ、
実際に「土地(古家付き)」として取引されることも多い。だが、こ
の状況は諸外国には当てはまらず、日本特有の現象である。
日本と諸外国の住宅資産価値に対する評価基準の違いの原因とし
て、日本では住宅の質が価格に反映されていることや、中古住宅の
不活性などがあると言われている。また、日本の持ち家率が現在
3.不動産価格評価
一般に不動産価格は、土地と建物を別々に計算し、合計するのが
基本である。すなわち、次式で表される。
【不動産価格(物件価格)=土地分の価格+物件分の価格】
また、住宅(マンション・戸建)の価格は一般に取引事例法という
評価方法で行われている。この取引事例法とは対象不動産と類似し
た事例を選択し、比較を行って価格を求める方法である。
6.全国単純統計分析結果
60,9%に達していることから、住宅の資産価値は多くの人々の生活
に直接影響を及ぼすことが分かる。
6−1全国マンションと戸建の比較
「研究目的・方法」
12000
本論文は、日本の住宅資産価値の現状とその課題を知るために、デ
10000
ータ 分 析 を 中 心 に 行 う。使 用 す る データ は 、不 動 産 情 報 公 開 サ イト
「REINS MARKET INFORMATION」で公開されている2008年1月から
まず、前半で、日本の住宅市場の概要を単純集計によって研究し、後半
8000
物件数(件)
9月の9ヶ月間分のもので、マンション・戸建の取引価格を含むものとする。
9753
では住宅の価格に影響を及ぼす要素を明らかにするため、ダミー変数を
5775
6000
3837
4000
2836
含む重回帰分析を行うこととする。
2863
2533
2489
2000
997
777
1445
631
112
2.REINS Market Information とは
0
東京
REINS とは、REAL ESTATE INFORMATION ENTWORK SYSTEM の略称
千葉
埼玉
図1
で、国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構が運営してい
3000
るコンピューターネットワークシステムの名称である。
2500
神奈川
愛知
大阪
兵庫
全国マンション
京都
広島
福岡
北海道
宮城
物件数の比較
27 6 1
2 7 10
2 2 92
売主から依頼を受けた不動産会社は、その情報を REINS に登録す
2 08 5
る。そうすることで、情報が日本中の不動産会社からアクセスでき
るようになり、日本中から買主を探すことができるようになる。ま
た、実際に買主が見つかると、成約価格の情報も REINS に登録され
る。2007 年より本格始動した REINS Market Information では、こ
の REINS で実際に行われた取引のうちで、全国 12 都道府県、3ヶ月
分約 22,000 件の住宅に関して、成約価格、単価、地域、占有面積、
築年、最寄り駅、駅歩などの情報を一般公開している。
早稲田大学理工学部建築学科 北見 卓也
(〒335-0034 埼玉県戸田市笹目6−10−1)
物件数
2000
1440
1500
1 23 6
1000
832
7 97
52 8
516
京都
福岡
500
4 75
0
東京
千葉
埼玉
図2
神奈川
愛知
全国戸建
大阪
兵庫
物件数の比較
Waseda University Department of science and engineering
Architectonics department. Takuya KITAMI
北海道
宮城
表1
が見られた。逆に戸建の場合、東京 23 区内ではなく多摩地方により
全国マンションと戸建の割合
取引物件
多く流通の傾りが見られた。ここから、地価が高い東京 23 区内には
戸建
マンション
(%)
取引物件
マンション利用者が多く、多摩地域には戸建利用者が多く存在する
(%)
と言える。
東京
9753
29%
2292
15%
千葉
2836
8%
1236
8%
埼玉
2489
7%
1440
9%
神奈川
5775
17%
2710
17%
愛知
2533
7%
797
5%
大阪
3837
11%
2761
18%
兵庫
2863
8%
2085
13%
京都
777
2%
528
3%
100%
広島
112
0%
-
0%
90%
福岡
表3
マンションと戸建の占有面積比較表(東京都)
東京都
マンション
築年数 (%)
0∼50㎡
2445
51∼75㎡
4963
76∼100㎡
2022
321
100㎡以上
25%
51%
21%
3%
40
277
1128
846
(%)
2%
12%
49%
37%
0∼50㎡ 51∼75㎡ 76∼100㎡ 100㎡以上
997
3%
516
3%
80%
1445
4%
832
5%
70%
宮城
631
2%
475
3%
60%
合計
34048
100%
15672
100%
50%
北海道
戸建
築年数
全国のマンション・戸建の取引が実際に行われた物件数の比較を
40%
行った。図1、図2には全国のマンション・戸建の取引物件数を表
30%
し、表1には取引物件数と割合を表した。取引物件数だけで見れば、
20%
戸建に比べマンションの方が明らかに多いことが表1の物件数合計
10%
の欄から分かる。また、東京都以外のマンションと戸建を取引物件
0%
マンション
戸建
数の割合で見れば、ほぼ類似していることが表1の割合の欄から分
かるが、東京都の取引物件数の割合で見るとマンション29%、戸
図4
マンションと戸建の占有面積比較図(東京都)
建15%と14%違うことが分かる。この結果から、東京都は他の
東京都におけるマンションと戸建の占有面積の割合の比較を行っ
地域に比べ人口の密集率が高いので、戸建より、より多くの人が利
た。マンションの場合、7 割以上の物件が 75 ㎡以下であり、戸建の
用できるマンションの方が数多く存在するということが言える。
場合、9 割近くが 75 ㎡以上という結果が得られた。東京都で取引契
約が行われた物件は、マンション場合、一人暮らしや人数の少ない
家族向け用の物件が多く流通していて、戸建の場合、占有面積が 75
6−2東京都マンションと戸建の比較
実際に取引された物件のうち全国で最もマンションと戸建で差が
出た東京都について、より詳しく単純統計を分析し、比較していく。
表2
マンションと戸建の物件数の比較表(東京都)
物件数
マンション
戸建
物件数
(%)
部件数
(%)
都心5区・23区南
3,381
35%
361
16%
23区東・北
3,099
32%
373
16%
23区西
1,349
14%
355
15%
多摩南
983
10%
633
28%
多摩北
941
10%
570
25%
合計
9,753
100%
2,292
100%
㎡以上の人数が多い家族向け用の物件が多く取引らされていること
が分かる。
表4
マンションと戸建の築年数の比較表(東京都)
東京都
マンション
戸建
築年数
(%) 築年数 (%)
0∼9年
3686 38%
718 35%
10∼19年
2534 26%
639 32%
20∼29年
2002 21%
407 20%
30年∼
1431 15%
263 13%
0∼9年 10∼19年 20∼29年 30年∼
100%
都心5区・23区南
23区東・北
23区西
多摩南
多摩北
100%
80%
80%
60%
60%
40%
20%
40%
0%
マンション
図3
戸建
マンションと戸建の物件数の比較図(東京都)
20%
表 2 と図 3 には東京都におけるマンションと戸建の流通物件数の
割合の比較を行った。マンションの場合、都心 5 区・23 区東・北と
0%
マンション
戸建
いった多摩地方に比べ地価が高い地域の方により多く流通する傾向
図5
マンションと戸建の築年数の比較図(東京都)
東京都におけるマンションと戸建の築年数の比較を示した。マン
図 8 には東京都マンションと戸建の成約価格/築年数の比較を示
ションも戸建も似た結果が得られ、築 10 年以下の割合が 4 割近くを
した。価格帯には違いが目立つが、築年数には各地域でさほど違い
占めている。
が見られなかった。
表5
マンションと戸建の価格の比較表(東京都)
東京都
マンション
戸建
物件数
(%)
物件数 (%)
300
3%
174
8%
2567
26%
926
40%
3671
38%
805
35%
3213
33%
386
17%
0∼19百万円
20∼39百万円
40∼59百万円
60百万円∼
0∼19百万円
20∼39百万円
40∼59百万円
60百万円∼
6.重回帰分析
住宅の取引価格に影響を及ぼす要素を把握することを目的とする。具
体的には、REINS MARKET INFORMATION で公開されている住宅取
引情報を、ダミー変数を含む重回帰分析によって解析し、マンションと戸
建の価格に関する回帰式を作成する。
100%
90%
6−1説明変数
80%
住宅価格を目的変数に、住宅の質を表す属性を説明変数として住宅
70%
60%
資産価値の構成要素を分析することを試みる。
50%
表 6:説明変数一覧表
40%
30%
20%
10%
0%
マンション
図6
戸建
マンションと戸建の価格の比較図(東京都)
表 5、図 6 には東京都におけるマンションと戸建の成約価格を比
較した。マンションの傾向は安い物件が少なく、4000 万円以上の高
1
2
3
4
5
変数
単位
成約価格 百万円
土地面積 ㎡
占有面積 ㎡
築年数 年
間取り
2部屋以下(1,0)
3部屋以上(1,0)
変数
6 地域
7 駅までの距離
10分以内
15分以内
バス
単位
(1,0)
(1,0)
(1,0)
(1,0)は質的データをダミー変数に変換したものである。
価格物件が 7 割以上を占めている。また、戸建の場合はマンション
に比べて比較的安い物件が目立つ。4000 万円以上の物件は全体の 5
6−2決定係数
割ほどで、マンションに比べて少ない。東京都には投資用不動産と
決定変数は、目的変数が説明変数によってどれくらい説明されて
してマンションが多く流通しているので、それが原因となってマン
いるかを示す。0から1の間の値をとり、1に近いほど説明できる
ションの価格の高騰に繋がっていると考えられる。
割合が高いことを意味する。
表 7:マンションと戸建の決定係数
80
70
マ都心5区
マ23区東
マ23区西
マ23区南
マ23区北
マ多摩南
マ多摩北
戸都心5区・23区南
戸23区西
戸23区東・北
戸多摩南
戸多摩北
成約価格(百万円)
60
50
40
30
20
10
0
0
図 7
20
40
60
占有面積(㎡)
80
100
120
マ ン シ ョ ン と 戸 建 の 成 約 価 格 /占 有 面 積 の 比 較 (東 京 都 )
※マ:マンション
戸:戸建
図 7 には東京都マンションと戸建の成約価格/占有面積の比較示
した。この図から、各地域で見れば、戸建はマンションに比べ占有
面積が広く、価格が高いことが見て取れる。
東京都
千葉県
埼玉県
神奈川県
大阪府
兵庫県
愛知県
京都
福岡県
北海道
宮城
決定係数
0.6425
0.4382
0.5282
0.6050
0.6295
0.5462
0.6763
0.4973
0.4459
0.5182
0.4746
表 5 には決定係数の一覧を示した。ほぼ 0,5∼0,7 の間に入り、良
ため、以降の考察では注意が必要である。
マ都心5区
マ23区東
マ23区西
マ23区南
マ23区北
マ多摩南
マ多摩北
戸都心5区・23区南
戸23区東・北
戸23区西
戸多摩南
戸多摩北
70
60
成約価格(百万円)
東京都
千葉県
埼玉県
神奈川県
大阪府
兵庫県
愛知県
京都
福岡県
北海道
宮城
決定係数
0.7100
0.6143
0.6721
0.6884
0.7460
0.6360
0.6872
0.6594
0.5958
0.5756
0.6188
い結果になった。なお、赤字部分は決定係数が 0,5 に満たなかった
80
50
40
30
20
10
0
0
5
10
15
20
6−3標準偏回帰係数
標準偏回帰係数とは、説明変数の1標準偏差あたりの増減が、目
的変数の1標準偏差あたりにどの程度影響しているかを示すもので
あり、次式で表される。
【標準偏回帰係数=
25
偏回帰係数×説明変数の標準偏差÷目的変数の標準偏差】
築年数(年)
図8
戸建-価格
マンション-価格
マンションと戸建の成約価格/築年数の比較(東京都)
※マ:マンション
戸:戸建
標準偏回帰係数を用いて単位が異なる説明変数間の目的への影響
力の大きさを比較する。
表8
マンション標準回帰係数
東京都 千葉県 埼玉県 神奈川県 大阪府 兵庫県
愛知県 京都
福岡県 北海道 宮城県
占有面積 0.7604 0.4407 0.4648 0.5894 0.5087
0.4821 0.4877 0.5244 0.6382 0.4720 0.3965
2部屋以下 0.1361 0.0836 0.0437 0.1043 0.0984
0.0809 0.0816 0.0555 0.1854 0.1514 **
築年数
-0.2304 -0.4993 -0.4997 -0.4520 -0.5501
-0.4636 -0.5007 -0.5398 -0.4099 -0.4882 -0.5833
10∼15分 -0.0543 -0.0607 -0.0479 **
-0.0691
-0.0391
バス
-0.0471 -0.0878 -0.1362 **
-0.0836
-0.1240
不明
-0.0423 -0.0483 -0.1039 -0.0557 -0.0409
-0.0485
地域1 都心5区 中部
中部
横浜東部 大阪市北 神戸市
愛知東
0
0
0
0
0
0
0
地域2 23区東 西部南 東部
横浜西部 大阪市南 阪神南
愛知西
-0.3678 0.1098 -0.2609 -0.0510 -0.0662
0.1866 -0.0654
名古屋東
地域3 23区南 西部北 西部
県中・西部大阪府北 阪神北
-0.1538 -0.1278 -0.1409 -0.2074 **
-0.0864 0.2408
地域4 23区北
湘南
大阪府南 播磨
名古屋西
-0.1993
-0.1092 -0.2759
-0.2097 0.2682
地域5 23区西
川崎
大阪府東
-0.2421
0.0180 -0.2027
地域6 多摩南
-0.3693
地域7 多摩北
-0.2902
東京都は東京都内で土地価格に大きな差が存在することが挙げられ
る。
表 8 にマンション価格に関して、各説明変数の標準偏回帰係数を
示した。各都道府県において、一番価格に影響を与えている説明変
数を赤色に、二番目のもの青色に示した。結果を見ると、東京都、
神奈川県、兵庫県、福岡県の 4 都道府県では「占有面積」が、その
他の千葉県、埼玉県、大阪府、愛知県、京都、北海道、宮城県の 7
図 9 平成 19 年度 首都圏地価分布図
都道府県では「築年数」がマンション価格に与える影響が一番大き
図 9 は「首都圏住宅の地価調査」を基に作成された地価分布図で
い。どの都道府県を見ても、
「占有面積」か「築年数」がマンション
ある。東京都、特に都心 5 区(新宿、中央、渋谷、港、千代田区)
価格に与える影響が大きいことが分かる。
の地価は、他の東京都内の地域に比べ、遥かに高いことが明らかに
見て取れる。この図から、東京都の物件の価格は「地域」に大きく
表9
戸建標準偏回帰係数
千葉県 埼玉県 神奈川県 大阪府 兵庫県 愛知県 京都
福岡県 北海道 宮城県
土地面積
0.2487 0.1097 0.1801 0.3549 0.3198 0.0982 0.5100 0.2643 **
0.2160 **
占有面積
0.5050 0.4663 0.4158 0.3885 0.4268 0.5183 0.2969 0.3199 -0.2957 0.4363 0.5586
2部屋以下**
**
**
0.0189 **
**
**
**
**
**
**
築年数
-0.1727 -0.2912 -0.3378 -0.2902 -0.3151 -0.2874 -0.3264 -0.4246 -0.3072 -0.3465 -0.4440
10∼15分 **
0.0560 **
0.0328 **
**
**
バス
-0.0975 -0.1289 -0.1178 -0.1039 -0.0921 -0.0902 **
不明
-0.0310 **
-0.0394 -0.0246 -0.0349 -0.0825 **
地域1 都心5区・23区南 中部
中部
横浜東部 大阪市 神戸市 愛知東
0
0
0
0
0
0 -0.1896
地域2 23区東・北
西部南 東部
横浜西部 大阪府北 阪神南 愛知西
-0.2771 0.1847 -0.3551 0.0511 0.0569 0.2091 -0.3446
地域3 23区西
西部北 西部
県中・西部大阪府南 阪神北 名古屋
-0.2001 **
-0.1876 -0.2554 -0.2853 **
0
地域4 多摩南
湘南
大阪府東 播磨
-0.5444
-0.1583 -0.1499 -0.1711
地域5 多摩北
川崎
-0.4067
0.0715
影響を与えられていると言える。
東京都
8.まとめ
重回帰分析を行った結果、マンションの場合、東京都、神奈川県、兵
庫県、福岡県の 4 都道府県では「占有面積」が、その他の千葉県、埼玉
県、大阪府、愛知県、京都、北海道、宮城県の 7 都道府県では「築年数」
が、マンション価格に与える影響が一番大きいことが分かった。
戸建の場合、千葉県、埼玉県、神奈川県、大阪府、北海道、宮城県の
6 都道府県では「占有面積」が、兵庫県では「土地面積」が、京都、福岡
県では「築年数」が、戸建価格に与える影響が一番大きいことが分かった。
表 9 には戸建における目的変数を価格とした標準偏回帰係数を表
また、戸建は「占有面積」や「築年数」以外にも、「地域」という要素が価格
にまとめた。戸建の価格に一番影響を及ぼしている説明変数を赤色
に大きく影響していることが分かった。この原因は、戸建はマンションより
に、二番目に影響を及ぼす説明変数を青色に示した。千葉県、埼玉
も、土地価格の比率が高いため、「地域」による影響がより多く出たと考え
県、神奈川県、大阪府、北海道、宮城県の 6 都道府県では「占有面
られる。また、東京都においては他の都道府県と違い、戸建の場合だけ
積」が、兵庫県では「土地面積」が、京都、福岡県では「築年数」
でなく、マンションの場合も「地域」という要素が大きく価格に影響を及ぼ
が、東京都では「地域」がそれぞれ価格に影響を一番与える要素と
していた。これらの結果から、日本特有の木造戸建は築 20 年、RC 造は
して挙げられた。戸建はマンションよりも、土地価格の比率が高い
築 30 年で価格がゼロとなる価格決定方法は、現在なお存在し、これから
ため、「地域」による影響がより多く出たと考えられる。
も存在するものだと言えるだろう。そして、この「築年数」という要素は、今
後とも日本の住宅資産価値における大きな課題の一つになるだろう。
7.考察
しかし、建築物に対して修繕や保全の面にもっと目を向けることが出来
重回帰分析より、住宅価格に影響する要素と具体的な影響量が分
れば、今までの価格決定方法が見直される可能性がある。そして、そうす
かった。マンションの場合、東京都を除いて、ほとんどの都道府県
ることが出来れば、「築年数」だけの評価方法だけでなく、違った面で住
において「占有面積」と「築年数」という要素が価格に大きく影響
宅資産価値を見直すことが出来るのではなかろうか。
を与えていた。しかし、戸建の場合「占有面積」と「築年数」の要
素以外にマンションの場合では見られなかった「地域」という要素
が価格に影響を与えていた。これは、戸建はマンションよりも、土
地価格が高いため、
「地域」による影響がより多く出たと考えられる。
また、東京都は戸建だけでなく、マンションに至っても「地域」と
いう要素が価格に大きく影響を与えていた。この原因は、やはり、
参考文献
住宅で資産を築く国、失う国/住宅産業問題研究会/井上書院/2004年
参考 URL
http://www.contract.reins.or.jp/
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