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命の大切さを考える講演会

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命の大切さを考える講演会
命の大切さを考える講演会
H28.9.17
東丘小学校体育館
今日は、みなさんに命の大切さについてお話をしたいと思います。
なぜ私がそんな話をするのか。それは、私の息子が、3年前に自死。簡単な言葉で言う
と自殺をしてしまったのです。
「いじめによる自殺」そんなふうにあの当時テレビや新聞で
報道されました。
「いじめによる自殺」みんな、どんなこと想像しますか?いじめられて死んじゃったと
いうことは、その子、とっても暴力をふるわれていたのかな?お金とか取られちゃったり
したのかな?それともいじめられて学校に行けなくなっちゃって不登校になっちゃったの
かな?いいえ、そんなことないんですよ。息子は、毎日毎日学校に行っていました。部活
動もしてましたけれども、毎日、休むことなく参加していました。亡くなってしまう前の
日までずっとその生活は変わりませんでした。亡くなっちゃう前の日も「ただいま!」っ
て元気にお家に帰ってきました。お家に帰ってきたらポーンと鞄を置いてね、自分の部屋
があるんだけどそこに閉じこもっちゃうわけではなく、リビングにあるパソコンでゲーム
をしたり、ご飯食べたり、そして、テレビを見て笑ったりね。本当に前の日まで、何も変
わらない普通の普通の生活だったんです。
でもね。次の日、学校に行くとき、たまたま遅刻しそうになっちゃって、
「もう何してる
の。早くしなさい。このままだったら落ちぶれちゃうよ」って言いながら、本当に怒っち
ゃうようにね、お家から追い出したんです。そしたらね、もう帰ってこなかった。それが
ね、息子の姿を見た最後になっちゃいました。
何が起こったのか私には分からなくてね、何があったんだろう。何があったんだろうっ
て考えました。でも分からない。だって、お家では元気だったんだもん。学校でね、アン
ケートを採ってくれたんです。そしたらね、いろんなことが分かりました。学校の中でね、
「うざい」「キモイ」「死ね」って言われていたこと、いろんな嫌がらせをされていたとい
うこと、そういうことがアンケートから分かってきたんです。
「うざい」
「キモイ」
「死ね」、当たり前のようにその言葉は使われていました。私たち大
人だってね、その言葉、当たり前のように聞き流していたんです。何か、悪い言葉って思
わなくてね。普通に当たり前のように聞き流していたんです。みんなのクラスではどうで
すか?「うざい」「キモイ」「死ね」とかそんな言葉、飛び交っていませんか?「うざい」
「キモイ」「死ね」「消えろ」っていう言葉、普段の生活の中で、何気なく使っちゃってま
すよね。たぶんその言葉って、別に人を傷つるつもりで言っているのではなく、そんなの
これっぽっちもみんな思っていないんです。たぶん何となく自分の心の中がもやもやして
いるとか、何となくむしゃくしゃしているときに何かの言葉の最後に「うざい」「キモイ」
っていってしまうんですよね。
でもね、そんな何気なく使ってしまうその言葉、
「死ね」という言葉が、それが息子を「死」
という世界へ向かわせてしまったんです。息子はね、亡くなるときにノートに書き残して
行ったんです。
「いろいろな人から死ねって言われた」って。そうやって書いたことで、公
表されたり、すぐにアンケートを採ってもらったりとかっていうことがあったんだけれど
もね。でも、
「死ね」って言われただけで死んでしまうなんて、その子ってどんな子だろう
って思っちゃいますよね。その子は、ひょっとしたら何か言われて何にも言い返せない子
だったのかな?とか、おとなしくって、自分の意見を全然言えない子だったのかな?って、
思いますか。やっぱり、これも違うんですね。息子は、どちらかというと授業中に自分か
ら進んで「ハイ、ハイ」って、手を挙げて発言する子でした。自分の考えをしっかりとも
っていて、ちゃんと相手に伝えれる子でした。だから、いろいろなことを言ってきた子に、
結構言い返していたようです。例えばね、「死ね」と言う子に対しては、「何で俺が死なな
いかんのだ」
「死ぬんだったらお前だろう」そうやって、言い返していたんですって。これ
もアンケートとか聞き取りによって分かったことなんですけど。
でもね、そんな言い返していた息子が、ある日、命を絶ってしまったんです。何でだろ
う。人の心って、弱ってくると、普段何でもない言葉でも、相手の心の中にね、グサグサ
って、鋭いナイフみたいに突き刺さってしまうんです。突き刺さってしまってね、時には
言葉が人の命を奪うことだってあるんです。息子は、あの時、まさに心が弱っていて、本
当に本当にいろんなことが重なっちゃって、とっても落ち込んでいるときでした。そんな
時に、いつものように「死ね」って言われて、息子行っちゃったみたいなんです。
「じゃあ
俺死ぬわ」って、
「俺死ぬわ」って口に出したその言葉にね、引っ張られてっちゃうかのよ
うにね。一気に「死」という遠い世界に行ってしまったようなんです。言っちゃった子は、
そんなつもりなんて全然無いよね。だって、普段言ってる言葉だもんそれって。普段何気
なく、全然別に軽い気持ちで「死ね」って言った言葉に対して、突然クラスの子がいなく
なっちゃたんだよね。
みなさん、
「言霊」っていう言葉を聞いたことありますか。言葉にはね、魂があるんだよ
ね。言葉は、魂をもっているから、一度口から出すとね、どんどん自分で勝手に一人歩き
しちゃうんです。一人歩きして、相手の心の中にどんどんどんどん入っていってしまうん
です。「あの子は、これくらいのこと言っても平気だよね」とか、「あいつは、いじられキ
ャラだからさ、こんなこと言ったって、全然大丈夫。へっちゃらだよね」本当にそうなん
でしょうかね。もし、その子の心が弱っていたりしたら、もし昨日嫌なことがあって落ち
込んでたとしたら、ひょっとしたらあなたが言ったその言葉が相手の心をグサグサって、
傷つけちゃうかもしれない。だったらね、そんな人を傷つけちゃうような言葉、人を否定
するような言葉はね、やっぱり言っちゃいけないんだよね。って思うんです。でもね、言
っている本人が気付かずに言ってしまうっていうことあるんだよね。そんな時は、
「今の言
葉っていいのかな」って、気が付いたあなたが、信頼できる大人の人に伝えて下さい。そ
れはね、決してチクリじゃないんだよ。だって、その子に気付かせてあげる手段になるん
だから。だから、クラスのみんなが同じ意識をもって「そういう言葉って、傷つけちゃう
言葉って、使ってけないんだよね」っていう意識をみんながもってくれたら、そういう言
葉って少しずつなくなっていくのかなって思っています。
でもね。言っていい言葉なのか、それとも相手を傷つけてしまう言ってはいけない言葉
なのか、何だか考えちゃうと、どんな言葉、言っていいか分からなくなっちゃいますよね。
だって、人の気持ちって、やっぱり分からないじゃない。その子ってどんな気持ちなのか
なって想像するけれども、でも、自分はその子にはなれないから、その子が本当に思って
いることなんて、絶対理解なんかできないんだよね。じゃあ、どんな言葉を使えばいいん
だろう。私はね、言ってあげてその子が思わず笑顔になっちゃうような言葉を言ってあげ
るのがいいかなって思ってます。例えば「ありがとう」「すごいね」「おお、かっこいい」
「かわいい」とか。そういう言葉って、言われたらうれしくないですか。例えば自分が持
っている物をお友達から「それかわいいね」って言われたらちょっとうれしくない?自分
が何かやったことに対して、
「ありがとう」って言ってもらえたら、やっぱりうれしいじゃ
ない。何かしたことに対して「すごいじゃん」って言ってくれたら、ちょっとドヤ顔にな
ったりしない?だから、どんな言葉がいいのかなって迷っちゃったりしたら、笑顔になる、
相手の子が笑顔になる言葉を選んで、口から出してあげるのがいいのかなと思います。
「いいこと探し」ってしたことありますか。相手のいいことを探して、いっぱいいっぱ
い言ってほめてあげる。さっきも言ったけど、言葉には魂があるから、だから、あなたが
何気なく言った「ありがとう」「すごいね」とか、そういう言葉がやっぱり一人歩きして、
自分が思っている以上に相手をハッピーな気持ちにさせてあげるかもしれない。周りにい
る人のいいところをいっぱい発見して、いっぱいいっぱいそれを言ってあげて、みんなが
笑顔で過ごせたらいいなって思っています。
さて、突然ですが、みなさんは「死にたい」って思ったことありますか。あるなって思
った人は、心の中でいいです。心の中で手を挙げてみて下さい。手を挙げてくれたあなた。
大丈夫、安心してください。私もあります。いつだったかな。だぶんみんなと同じくらい
だったと思う。そんなにそんなにすごく悩んでいたわけじゃないと思うんだ。ただ何とな
く何となく親に言われたことがムカッときたんだよ。むしゃくしゃっとしたんだよ。
「そん
なことごちゃごちゃ言われるんだったら、もう死んでやる」ってお家を飛び出したりして。
思い返せばたぶん6年生だったかもしれない。私にもありました。
「死にたい」って思う気持ち、それはね、あなたが弱いからじゃないんです。それは、
誰にでもあることなんです。でもね、今は、今、みんなここにいる。思っていても死を選
んでいない。ちゃんと生きている。それが大事なことなんです。息子がいなくなっていろ
んなこと考えました。「辛いことに気付いてあげられなくてごめんね」とか、「力になって
あげられなくてごめんね」とか。でもね、一番私が強く思ったのは、
「勝手に遠い世界に行
ってしまって、あんた何やってんの。バッカじゃないの」って思っちゃたんです。
息子には、直接、「あなたのことが大好きよ」とか「あなたのこと大事に思っているよ」
なんて言ったことないけど、普通に伝わってると思ってたんだよね。口に出さなくたって
「あなたのことが大切だよ」っていうのは、伝わってると思ってたんだよね。だからあえ
て「死んではだめですよ」なんて、そんなこと一言も言ったこと無かった。だけどね、こ
んなにあなたのこと思ってるのにね、なんで勝手に遠い世界に行っちゃったの。何やって
んだって。それを一番最初に強く思いました。
それはね。息子の友達も一緒だったみたいです。息子が亡くなった次の日にね、お友達
が来てくれて、無くなってしまった息子が寝ているお布団をぐるっとお友達が囲んでくれ
たの。
「辛かったのはお前だけじゃないんだぞ」
「おれだっていじめられてたんだぞ」
「何で
なんだよ。嫌なことあったのお前だけじゃないじゃないか」って、みんなみんな口々に息
子に向かって言ってるんです。私は、それを聞いて、
「ほら、みんな辛いことあっても生き
てるじゃん。あんただけじゃなかったじゃん。あんたには、こんなにたくさん友達がいる
じゃん。あんたのこと大切に思ってくれる友達がいるじゃん。なのに何やってんだよ。一
人じゃなかったね。一人ぼっちじゃなかったね」って、友達の言葉を聞いて、ずっとずっ
と思ってました。
息子のことを経験してね、強く思ったこと、
「あなたの命は、あなたの物であっても、あ
なただけの物ではないんだよ」っていうことです。あなたは、たくさんの人に守られて生
きています。決して一人で生きてきたわけじゃないんです。あなたのことを大切に思って
いる人はたくさんいるんです。あなたと近くになりたいって思っている人いっぱいいるん
です。それは、お家の方だったり、お友達だったり、そして学校の先生だったり、あなた
は、決して一人じゃないんです。あなたの周りにいる人に「辛いよ」
「助けて」って、頼っ
てもいいんだよ。辛いときは、みんなに言ってね。だってさ、辛くってさ、それを抱えて
頑張ってさ、心が折れちゃって、もし、突然命を絶ってしまったとしたら、あなたの周り
の人は、あなたを大切に守ってくれている人は、どんなに悲しむでしょう。あなたの周り
の人に、あなたを大切に思っている人に、決して決してそんな気持ちにさせないで下さい。
今、今あなたが生きているということが本当にかけがえのないすばらしいことなんだから
ね。だから、もう一度言わせて下さい。
「あなたの命は、あなたの物であっても、あなただ
けの物ではないんだよ」
みんなの中に、自分のことが嫌いなんです。自分自身に自信がないんですという人いま
すか。親に言われた注意を守ろうとすると、なかなかできないな、自信がないな。
息子が亡くなったときに、ふっと流れてきた曲があるんです。ファンキーモンキーベイ
ビーズっていう歌手の曲なんだけど。今は、解散しちゃったグループなんだけどね。ちょ
っとだけ紹介させて下さい。
「プレッシャーや日々のストレスも嫌なことはだれでもあるさ。急ぎすぎないで、無理
しないで。一人で寂しく悩まないで。辛いときはみんな同じ。大人はせかすよ。もっとガ
ンバレ。でも、君は、変わらずそのまんまでいいんだよ」
ひょっとしたら、お家の方にがみがみ言われちゃって、正直「ああ、しんどいな」って
思っている人いますか。私もむっちゃくちゃ言ってました。でもね、お家の人はあなたの
ことが大事だからそう言っているの。だからね、そんなこと言われても、さっきの歌詞じ
ゃないけど、そんなこと気にしなくていいんだよ。あなたのままでいいんだよ。ゆっくり
でいいんだよ。ゆっくりゆっくり歩いて行けば、もうそれだけで十分。だって、あなたの
お母さん、あなたのお家の方たちは、あなたが今ここにいることだけで、もうそれだけで
幸せなんだから。だから、なんか辛いなあっていうことがあったら、私は笑顔っていうの
を大事にしています。笑顔を大事にして、嫌なことがあったって何か笑っているとね、み
んなが笑顔になってくれるの。だから、無理して笑う必要はないけれども、ニコッて。ム
スッとしているよりたぶんニコッてした方が、人生明るくなって元気が出ます。だから、
もし、辛いことがあったりとかしたら、誰かに話したりとか、ニコッて笑ってみたりする
とか、そういうこともいろいろ試してみて下さい。
私、今日いろいろなことを言いました。言葉は、魂があるから人のことを傷つけちゃう
んだよ。あなたの命は、あなたの命であってもあなただけの物じゃない。辛いのは自分だ
けじゃない。辛いときは人に言っていいんだよ。笑顔が、笑顔があなたの心を明るくして
くれるよ。皆さんの心にどう伝わったかな。みんなのこれからの学校生活が笑顔いっぱい
あふれる学校生活になることを祈っています。
みんな真剣に聞いてくれてありがとうございました。
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