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寄稿 情報公開によりすべての拉致被害者を取り戻す

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寄稿 情報公開によりすべての拉致被害者を取り戻す
北朝鮮難民救援基金 NEWS Mar 2013 № 081
寄稿
情報公開により
すべての拉致被害者を取り戻したい
警察庁‐868 人の拉致被害者の可能性否定できない
救う会徳島会長 陶久敏郎
私たちが、救う会徳島を設立したのは平
成15年1月ですから、活動はすでに10
年を過ぎてしまいました。この間、
「政府認
定・未認定に拘らずすべての拉致被害者を
取り戻すことと、二度とこのような拉致被
害者を作らない国づくりに寄与したい」と
の想いから、徳島の地で様々な啓発活動を
続けてきました。
しかし、活動を続けていく内に「拉致問
題は北朝鮮による国家犯罪ではあるが、同
時に我が国政府の不作為による国家犯罪で
ある」との想いが段々と強くなっていきま
した。それは「我が国政府は随分前から北
朝鮮による拉致の実態を知っていたにも拘
らず、わざと知らない振りをして、彼らの
蛮行を見て見ぬ振りをしてきた」ことが分
かってきたからです。
とくに昭和53年 8 月 15 日夕方、富山
県高岡市の海岸で発生した「アベック拉致
未遂事件」では、遺留品から「北朝鮮の犯
行」と特定するだけの物証を得ていたのに、
何故、政府は国民に注意を喚起しなかった
のでしょうか。あの時、政府が声を出して
北朝鮮による拉致への警戒を厳重にしてい
れば、868人もの北朝鮮による拉致の可
能性を排除できない行方不明者を作り出さ
ずにすんだ筈です。
「我が国政府は、北朝鮮による拉致を知
っているのに知らない振りをしていた。そ
れは、国民が知るべき情報がきちんと国民
に公開されなかったことによる悲劇だ」と
いう確信が、いつしか私の胸の内で「情報
公開請求によって国民が知るべき情報を取
り出したい」との決意に変わっていったの
です。
そして、昨年の夏ごろになると、丁度日
朝平壌宣言から10年を迎えるのを前にし
て、「北朝鮮による日本人拉致被害者は1
00人程度」などという根拠不明な数字が
公言されるようになりました。これを聞い
て私たちは「政府はもしかしたら適当なと
ころで拉致問題を切り上げ国交正常化に舵
を切ろうとしているのではないか、そうす
れば徳島県内をはじめとする全国の特定失
踪者は永遠に切り捨てられるかもしれな
い」という疑念と不安が段々と募ってきま
した。
「何とかそれを食い止める方法は無いだ
ろうか」と思案していた時、平成23年9
月に三原じゅん子参議院議員が出した質問
主意書に対する政府答弁書の中に、「拉致
の可能性を排除できないとして、全国の警
察に相談・届出が900件以上出ている」
との記述があることを思い出したのです。
そこで、昨年11月に個人情報に配慮し
て、「900件以上ある相談・届出につい
て教えて欲しい」と警察庁に情報公開請求
をしました。すると、警察庁が開示決定を
し、平成24年11月1日現在で全国に8
68人の拉致の可能性を排除できない行方
不明者がいることが、明らかになったので
す。
この情報公開は全国的にも大きな反響を
呼び、今も波紋は続いています。これまで
憶測の域を出なかった特定失踪者の数が政
府の手で公開され、しかも47都道府県全
てに存在することが明らかになった意義は
とても大きいものがあります。これからは、
拉致問題の解決を追求する時には、この8
68人をどう検証するのかを議論し実践し
なければなりません。
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