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生活クラブのコアリーダーはどのように形作られるか?(2)

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生活クラブのコアリーダーはどのように形作られるか?(2)
生活クラブのコアリーダーはどのように形作られるか?(2)
―生活クラブ北海道・東京の比較から―
○西城戸
角
誠(法政大学)
一典(北海道教育大学)
本報告の目的は、生活クラブのコアリーダー(積極的活動層)の再生産について、生活クラブ
生協北海道と東京の事例を比較しながら考察することである。生活クラブの包括的な調査研究とし
ては、佐藤慶幸グループの一連の研究成果があるが、生活クラブの組合員調査自体は 1985 年以降行
われておらず、現在とは様相が異なっている。特に日本型生協の特徴でもあった班別予約共同購入シ
ステムから、戸別(個別)配送が導入されたことによる影響や、生活クラブの組合員のコアリーダー
(理事などの役員)の世代交代に関する分析は今後の課題となるだろう。つまり戸配組合員が生活ク
ラブのリーダーになっていくのかという問いは、生活クラブ北海道の今後を占うとともに、
「普通の主
婦」が運動に関わるきっかけを提供してきた「運動の学校」としての生活クラブの社会的位置づけを
考えることに繋がる。本報告では生活クラブ北海道の組合員調査と、戸配組合員によるリーダーが創
出されつつある生活クラブ東京の事例研究の知見を比較しながら、上記の問いに答えていきたい。
さて、生活クラブ北海道だけではなく班別予約共同購入が機能していた時代において、生活クラブ
の役職は、班員から班長となり、支部委員や各種委員(消費委員)、それらの委員の委員長を経て、理
事になるというキャリア形成のイメージが共有されていた。こうしたリーダー層の特徴は「組織運営
に長けた人が役職に就く傾向」が見られる。だが、生活クラブ北海道では 1990 年代以降、各種委員
のなり手が確保できず、それぞれの支部で委員会制度を簡略化する動きも見られた。勿論、各種委員
や役員のなり手はどの地域でも問題になっていることは確かであるが、人材が豊富で組合員が流動的
な首都圏とは異なり地方都市における生活クラブでは担い手不足がより深刻になることも予想される。
一方、生活クラブ東京では、1984 年「個人班」(班という形で実質は戸配に近い)という形式が始
まり、1999 年の共同購入システム改革により、戸別配送システムが基準となった。このような中で戸
配組合員の中でも理事が誕生するようになった。その特徴は以前のような組織運営を重ねた組合員で
はなく、生活クラブ以外のさまざまな活動に関わりながら「他の活動でも光っている人」であるとい
う。理事になる組合員はある程度、組織運営への関心が必要だが、何より重要視される点はさまざま
な活動に対してアクティブさである。つまり生活クラブ流の組織運営のノウハウを後で学んでいく理
事を育てていくという戦略がコアリーダー創出の鍵になっているといえる。
では、上述したような生活クラブ北海道では東京のような戸配組合員のコアリーダー化の可能性は
ないのだろうか。組合員のソーシャル・キャピタル数と組合員活動の経験数、希望数と社会運動の経
験数との関連を分析したところ、回答者全体では、ソーシャル・キャピタル数と生活クラブの活動経
験数、社会運動の経験数の双方とも正の相関があり、生活クラブの活動や関連する社会運動といった
さまざまな活動をしている人ほど、多くの組織に加入している。ただし、班員・元班員の戸配組合員・
最初から戸配組合員ごとに分析すると、ソーシャル・キャピタル数と活動経験数との間の相関は班員
のみに見られる効果となる(世代をコントロールしても同様)。つまり、班員になる人がさまざまな活
動に参加し、その結果、さまざまな組織に所属しているとも考えられる。だが、戸配組合員が活動的
ではないと結論づけることもできない。最初から戸配組合員では、ソーシャル・キャピタル数と生活
クラブ生協の活動希望数が正の相関が見られるように、さまざまな組織に所属しているアクティブな
戸配組合員は、生活クラブ生協の活動に参加する潜在的な動機付けはあるといえるだろう。
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