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- 50 - 金属やアルコールと他の溶剤・ニコチ ン・阿片・コカイン・マリファナ

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- 50 - 金属やアルコールと他の溶剤・ニコチ ン・阿片・コカイン・マリファナ
In Harm's Way
Chaper 6: Known and Suspected
Developmental Neurotoxicants
重
第6章
危険な道
既 知の 及 び 疑 われ て い る
発 達 神経 毒 物
最後に、利用できる文献を徹底的にレビュ
金属やアルコールと他の溶剤・ニコチ
ーしなかったが、引用文献は代表的なもので
ン・阿片・コカイン・マリファナ・一部の医
あり、不確実で論争のある分野を含めた。重
薬品・農薬などの多数の化学物質は脳の正常
要なことは、神経毒であると知られ、あるい
な発達を妨害する。第 2 章で考察したように、
は推定されている多くの化合物が、脳の発達
神経発達毒物は、特殊で永続するやり方で脳
と機能に関する影響が検査されていないこと
の発達と機能を変化させるだろう。少数のも
である。
の(例えば鉛と水銀・アルコール)は広く調
べられてきたが、ほかの大部分のものは最少
限の検査しか行われていない。
金属
次のプロフィールは、一部の一般的に出会
う溶剤や農薬・ニコチン・金属・残留性有機
鉛
塩素化合物の神経発達毒性に関して知られて
•
幼児と子供の時代の高い血中鉛レベルは、
いることを要約する。また、飲料水や食品に
注意欠陥や衝動性の増加・学業成績低下・
意図的に添加されている化合物(フッ素とあ
攻撃性・非行行動の増加と関連する。
る種の食品添加物)の、潜在的な神経発達毒
•
学習への影響は、現在「安全」と考えられ
性に関する重要な論争を短く考察する。実験
ているレベルより低い血中鉛レベルで見ら
的毒性検査は、通常、1 回に 1 化学物質を検
れている。
査する。この方法は重要な情報を提供するが、
多くの異なる化合物の混合物の被ばくについ
被ばく経路
て、神経発達への影響に関する情報を与える
米国のほとんどのガソリンから鉛が除去さ
ことができない。あらゆる人間の体は、血液
れたので、米国内で現在のほとんどの環境被
や骨・その他の器官・脂肪・母乳・精子・呼
ばくは、ペンキや鉛を含むほこりと飲料水に
気の中に、重金属と合成有機化学物質の混合
由来する。職業と趣味による被ばくも、一部
物を含んでいる。比較する目的で対照とする
の成人の鉛レベルに寄与する。鉛は骨に貯蔵
被ばくを受けない人がいないということで、
される傾向があり、妊娠中に加速される母親
疫学研究は複雑になる。これらの限界は、後
の骨代謝は鉛を動きやすくし、高い血中鉛レ
の毒性のプロフィールを読む場合、心に留め
ベルを導く。
ておくべきである。
人間での研究
- 50 Greater Boston Physicians for Social Responsibility
訳
渡 部和 男
In Harm's Way
Chaper 6: Known and Suspected
Developmental Neurotoxicants
第6章
危険な道
既 知の 及 び 疑 われ て い る
発 達 神経 毒 物
鉛は胎盤を容易に通り、胎児の脳に入り、
中レベル増加は、成長した子供や青年期に注
そこで正常な発達を妨害する。胎児あるいは
意集中期間の減少や読字障害、高校卒業がで
乳児の鉛被ばくによる、知能低下や多動性・
きないこととして現れる11 。2 つの研究が、
学習と注意の障害・行動の変化などの神経発
鉛被ばくが攻撃や破壊・非行行動と関連する
達への悪影響を、多くの研究が報告している
ことを報告している12,13 。
(例えば文献 123 を見よ)
。ここでは比較的豊
富な人間のデータがあるため、動物での大量
動物の研究
の研究をほとんど省略して、幾つかの大規模
疫学研究結果を要約する。
動物の研究は疫学データの結論を支持して
いる。生まれた時から鉛に被ばくし、血中鉛
1940 年代、学業低下や衝動行動・短い注意
レベルが約 15 μ g/dl
に保たれたサルは、注
集中期間・落ち着きのなさなどの鉛中毒の結
意散漫及び刺激に対する不適切な応答、応答
果が報告された 。その時以来、低い被ばくレ
を調節する困難を示した。14 動物研究のレビ
4
ベルでの神経発達障害が良く実証されてきた。 ューは、低レベルの鉛被ばくに関連する成績
事実、早期の被ばくによる鉛が誘導する認識
や学習・注意の欠陥を報告している。
障害に何らかの閾値があるという証拠はない。
神経毒性のメカニズム
5
知能に対する鉛の影響に関する最も初期の
幾つかの神経発達過程は鉛被ばくにより変
研究の 1 つで、抜け落ちた歯の鉛レベルが最
えられ、異常な脳の発達を導く。鉛の子宮内
も高い子供と最も低い子供との間に、子供用
神経発達影響は、脳の細胞構造とその化学的
のウェックスラー知能尺度(改訂 WISC-R )
性質の両方に影響を及ぼす。16 構造的影響に
によって測定した IQ で 4 点の差があること
は、細胞増殖や分化・シナプス形成・計画的
を研究者が報告した 。ほかの研究も同じ結論
細胞死がある。
6
に達した。ボストンで、中産階級と中産階級
上部の家庭の子供集団を長年追跡した。7,8
神経化学的影響には、脳の様々な場所での
神経伝達物質(アセチルコリン・ドーパミン
ベイレイ知能発達インデックス Bayley Mental
Development Index ( MDI) での成績低下は、
・グルタミン酸)レベルの変化及び、ドーパ
ミン受容体密度の変化がある。17 鉛は NMDA
高い臍帯血鉛レベルと関連があった。高血中
(グルタミン酸)受容体の強力な阻害剤でも
鉛レベル(平均 14.6 μ g/dl)と低レベル(平均
ある。胎児の脳は、特有の組織化が進行中で
1.8 μ g/dl)との間の得点差は、生後 6、12、24
あるという理由ばかりでなく、血液脳関門が
か月で、4-7 点あった。子供を 10 才で再検査
未熟なために特に敏感である。ある研究は、
したとき、生後 24 か月の時の血中鉛 10 μ
ラットで生後より妊娠中に胎児の脳の鉛取り
g/dl
増加は WISC-R で測定した IQ で 5.8 点
込みが多いことを発見した18 。
9
の低下に関連していた。
ボストンの集団で、教師は鉛レベルと相
関する子供の行動変化を報告した。高レベル
の子供は注意散漫で、依存性が強く、衝動的
で、容易に挫折し、ねばり強くなく、指示に
水銀
•
従うことができない。注意欠陥障害も毛髪鉛
胎児の脳発達に対する脅威のため、妊娠中
の女性や生殖可能年齢の女性に警告する魚
摂取状況報告を必要とするほど、米国のほ
レベルと相関する。10 乳児と幼い子供で毛髪
- 51 Greater Boston Physicians for Social Responsibility
訳
渡 部和 男
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Chaper 6: Known and Suspected
Developmental Neurotoxicants
•
第6章
とんどで淡水魚はメチル水銀により十分汚
全レバー押し total lever presses 報酬によって
染されている。
調べた行動成績に有意な障害を示した20 。交
メチル水銀に対する大きな被ばくは、精神
遅滞や歩行と視覚の障害を起こす。
•
尾前に平均で 168 日あるいは 747 日間、0.04
または 0.06 mg/kg/日の水銀を投与した母サル
少ない胎児被ばくは、言語や注意・記憶の
から生まれた生後 50-60 日のサルは視覚認識
記憶障害を示した2 1 。発達中に被ばくした動
持続する障害を起こす。
•
危険な道
既 知の 及 び 疑 われ て い る
発 達 神経 毒 物
胎児の水銀と PCB 被ばくは、相互作用し、
神経発達への影響を大きくする。
物の研究で、脳が小さいことや脳室の拡大・
細胞構築のゆがみが明らかなった。
被ばく経路
人間での研究
水銀 ( Hg )は、多くの化学的な形で存在し
過度の被ばく後の、発達中の人脳に対する
ているが、通常、金属や無機化合物として環
メチル水銀の荒廃的な影響は大規模中毒で悲
境中に放出される。米環境保護庁は、人間の
劇的に証明された。1950 年代に日本の水俣湾
活動が米国で年間約 160 トンの水銀放出の原
で、住民は湾内の工場排水からのメチル水銀
19
因であると推定している
。主な発生源は石
で汚染された魚を頻繁に摂取していた。1950
炭火力発電所と一般および医療廃棄物焼却炉
年代後期に生まれた幼児には、精神遅滞や歩
である。大気中の水銀は、地表に沈着する前
行と会話・吸うことや飲み込みの障害、異常
に長距離動くことが多い。堆積物中と水中の
反射など特徴的な神経所見を示した。22 影響
水銀は細菌によりメチル水銀に変えられ、メ
を受けた母親は、水銀中毒の兆候を示さない
チル水銀は食物連鎖を上に進むにつれて生物
ことが多かった。
濃縮される。結果として妊婦や生殖可能年齢
の女性が摂取した魚は、独特な影響を受けや
すい胎児の発達中の脳に脅威を与えるレベル
まで、メチル水銀で汚染されるだろう。メチ
ル水銀汚染のために淡水魚を摂取することを
制限するあるいは避けるように、生殖可能年
齢の女性に警告した魚の状況報告を 40 州が出
している。メカジキや一部のマグロのような
大形の肉食性海洋魚も、特に何度も食べる場
合十分に汚染されるリスクを与えるだろう。
環境保護庁の推定によると、出産可能年齢の
女性 116 万人が、未来の子供に害を与えるリ
スクをおかすに十分な量の水銀汚染魚を摂取
している
に、住民が有機水銀殺菌剤で処理された種と
して使う目的の穀物でパンを焼いた時、イラ
ク住民に起きた。、別の大規模中毒が 1979 年
代にイラクで起きた。水俣とは異なり、これ
は慢性中毒と言うよりは急性中毒であった。
症状は 2 つの場合似ていたが、成人の視覚障
害はイラクよりひどく、数例の実際の盲目を
伴った2 3 。メチル水銀の出生前被ばくによる
重要な影響は、歩行学習の遅れと痙攣の発生
増加を伴った精神運動遅滞であった。母親の
毛髪水銀レベルを出生前被ばくの尺度として
用い、精神運動遅滞に対する最少毒性レベル
( LOAEL)は、母親の毛髪水銀レベルが 10-20
ppm の時起こったと研究者は算出した。24 母
動物での研究
親の毛髪水銀レベルは、妊娠中の胎児の水銀
動物での研究は有機水銀の発達神経毒性を
確認している。妊娠 6-9 日に 0.008
イラクで起きた別の大規模中毒は 1979 年
mg/kg/日
被ばくのかなり正確な指標であると考えられ
ている。
の水銀に被ばくした生後 4 か月のラットは、
- 52 Greater Boston Physicians for Social Responsibility
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渡 部和 男
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第6章
危険な道
既 知の 及 び 疑 われ て い る
発 達 神経 毒 物
環境保護庁は、私たちが空気や水・食品を通じて被ばくする化学物質に対する「安全」基準
量 reference
doses を設定している。これらのレベルを翻訳する
のは困難であるが、私たちの日々の生活に意味があ
る情報の中にマイクログラムと ppm で表現されている。例えば、
私がツナサンドを食べるたびにどの位の水銀に被ばくするか、
どうすれば私は決定できるだろうか?換算と略語に関する基本
的な一部の情報は、どの位多くの化学物質に被ばくするか決定
するのに役立つだろう。
被ばくを決定する最初の段階は、様々な尺度を同等の単位に変換することである。米国では、
私たちは体重をポンドへ、また食べる食品量をオンスで表現することが多い。しかし、環境中
濃度と被ばくは、普通、メートル法(グラム、キログラム)を使って計算される。次の換算に
注意すること。
• 1 キログラム (kg ) = 2.2 ポンド (lb)
• 1 ポンド = 16 オンス = 454 グラム
• 1 オンス = 28 グラム (g)
私たちは非常に少量の化学物質被ばくを心配することが多いので、グラム(g )のわずかな
部分を現す、次の単位尺度を知ると役に立つ。
• ミリグラム (mg) = 1/1000 g (千分の 1 )
• マイクログラム (μ g あるいはマイクロ g ) = 1/1,000,000 g (百万分の 1)
• ナノグラム (ng) = 1/1,000,000,000 g (十億分の1)
• ピコグラム (pg) = 1/1,000,000,000,000 g (1 兆分の 1)
例えば、1 グラムには 1000 ミリグラムあり、1 グラム中には 100 万マイクログラムある。
私たちは一般に、空気や水・食品のような別な媒体内に含まれている化学物質に被ばくする。
被ばくを計算するために、私たちは最初に濃度あるいは私たちが飲む水や食べる食品中に含ま
れている化学物質量を計算しなければならない。例えば、1 グラムの魚が平均で 1 マイクログ
ラム(μ g)の水銀を含んでいれば、私たちは濃度を 1 マイクログラム/グラムと表現する。1
グラム中に 100 万マイクログラムあるから、濃度の別の表現法は百万分の 1 あるいは 1
ppm
である。次の表は換算の概略である。
•
g/kg = mg/g = 千分の 1 = 1/1000
•
mg/kg = μ g/g = 百万分の1 = ppm (1/1,000,000 )
•
μ g/kg = ng/gm = 10 億分の 1 = ppb (1/1,000,000,000)
•
ng/kg = ピコ g/g = 1 兆分の 1 = ppt (1/1,000,000,000,000 )
- 53 Greater Boston Physicians for Social Responsibility
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渡 部和 男
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発 達 神経 毒 物
私たちはマグロ中の水銀濃度を決定しているので、この魚を食べる時、ある個人がどの位多
くの水銀に被ばくするかを決定できる。2 、3 の基本的な計算で、平均したマグロの水銀レベ
ルを 0.2 ppm として、私たちは週に 7 オンスのマグロを食べる女性の水銀被ばくを計算できる
(女性が他の魚や貝を食べず、水銀に対する他の重大な被ばくはないと仮定して)
。
•
先ず、オンスをメートル単位に換算する:
7 オンス = 196 グラム
•
次に 1 週間の水銀被ばくを決定するため、1 週間に食べた魚の量に魚中の水銀濃度を
かける。
196 g/週 x 0.2 マイクログラム(μ g)/g 魚 = 39.2 マイクログラム水銀/週
1日あたりの水銀の量は?
•
1 週間は 7 日であるから、7 で割る。
39.2 マイクログラム水銀/週 = 5.6 マイクログラム水銀/日
= 1 日の水銀被ばく量
一般に、私たちは全被ばくを体重で割って、被ばくを標準化
する。被ばくを「1 キログラム」の基準で表現することで、異
なる大きさの個人間の被ばくを比較することができる。サンド
イッチを食べる女性が平均体重(132 ポンドまたは 60
kg )と仮
定すれば、私たちは全被ばくを 60 kg で割る。
5.6 マイクログラム/60 kg = 0.093 マイクログラム/kg
週にマグロ 7 オンス(196
g )を食べる 132 ポンドの女性の水
銀被ばくは 0.093 マイクログラム/kg/日と決定した。この被ばくレベルは EPA の「安全」基準
量 0.1 マイクログラム/kg/日のちょうど限度にある。
この計算は、女性の体重が 132 ポンドという仮定に基づいている。50 ポンドの子供が同じ
量のマグロを 1 週間に食べているなら、水銀被ばくは何だろうか?子供はほぼ 0.243 マイクロ
グラム/kg/日の水銀に被ばくしている。
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有害な影響に関連する水銀被ばくは、研究法が改善するにつれて、次第に低いレベルで認
識されてきた。三角で示した EPA の現在の勧告安全被ばく限度は、多くのグループが超過し
ている。また、世界平均水銀被ばくも超えている。 世界中の 32 地域からの 559 の毛髪標本
に基づいた平均は、魚消費平均レベルの累積平均を現し、魚汚染の程度を現す1 −11。(示し
た全ての被ばくは毛髪あるいは血中水銀レベルとして評価した。ただし米国看護婦と医師の
被ばくは食品調査によって推定した)
。
さらに最近、少ない量のメチル水銀被ばく
を受けた少年は、2 才で、イレイ幼児行動記
のさらに細かい発達神経学的影響を突きとめ、 録により検査した時、自発活動レベルの有意
な低下があった2 5 。少年と少女を合計した場
もしあるとすればそれ以下では認めることが
できる毒性がないという閾値を突きとめるた 合、活動レベルに対する水銀の影響は、母親
めに、セシールとフェロー諸島で疫学研究が
の毛髪水銀レベルが 12
行われた。魚と海棲ほ乳類が主である食事に
にのみ有意であった。5 才での追跡試験では、
よってしばしば少量のメチル水銀に被ばくし、
出生前水銀被ばくの持続的な影響はなかった。
26
集団内の母親の毛髪水銀レベルはイラクの研
究で突きとめられた LOAEL と同じであった
生後 66 か月での神経検査には次のものが
あった。McCarthy Scales of Children's Abilities;
Preschool Language Scale; Wood-cock-Johnson
ので、これらの研究集団が選ばれた。
A pplie d
セシールでは、738 人の子供が経時的に詳
しい神経検査を受けた。母親の毛髪水銀レベ
ルは平均 6.8
ppm より大きい場合
Problems
a nd
Le tter
and
W ord
Recognition Tests of Achievement; the Bender
Gestalt Test;the Child Behavior Checklist。
ppm であった。より強い被ばく
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フェロー諸島の 917 人の新生児と母親のペ
に汚染されており、メチル水銀被ばくは連続
アで、出産時に母親の毛髪と臍帯血中の水銀
した魚食の結果である。しかしフェロー島で
レベルを調べた。母親の毛髪水銀レベルが
は水銀被ばくは、海洋魚の水銀濃度の約 10
10-20 ppm の子供と、母親の毛髪レベルが 3
倍あるパイロット捕鯨の鯨肉の間欠的な摂取
ppm の子供とを比較した。子供の初期検査は、
により起こった。結果としてフェローの人は、
大部分の被ばくした子供には、聴覚と運動技
セシールの人より高い水銀被ばくの間欠的な
術に関連する脳部位の機能に微妙な変化があ
急上昇を経験した。2 つの被ばくパターンの
ることを明らかにした。年齢が進むにつれて
神経発達結果は異なるだろう。第 4 に、パイ
学習能力の一部の欠陥も明らかになった。 7
ロット捕鯨の脂身は PCB やほかの有機塩素系
才で、次の広汎な神経検査を行った
27
。 the
化学物質にも汚染されており、それらも神経
NeurobehavioralEvaluation System ( NES ) Finger
発達に影響する。メチル水銀は主に鯨肉に含
Tappingand Hand-Eye Coordination Test; Tactual
まれているが、一部の居住者は鯨の脂肪も食
Performance Test; NES Continual Performance
べ、同時に PCB 被ばくも招いている。PCB レ
Test; Wechsler Intelligence Scale for Children
ベルはフェロー諸島の研究で測定され、出生
Digit
Spans;
前の水銀被ばく影響を調べていたので、一緒
Block
Designs;
に起こった汚染をコントロールするため分析
V er bal
的統計技術を用いた。しかし、所見の少なく
Te st、 the
とも一部はほかの汚染が説明するだろうと一
Nonverbal Analogue Profile of Mood States。 こ
部の批判者は信じている。フェロー諸島の研
れらの研究は言語や注意・記憶の領域での障
究チームは、強く意見を異にし、同時に起こ
-Re vised
( W I S C - R)
WISC-RSimilarities;
Be nde r
Ge s ta lt
Lea rningTe st;
WISC-R
Te st、 Ca li fornia
Boston
Na ming
害と水銀被ばくとの間の有意な関連を示した。 った PCB 汚染をうまくコントロールしたと主
それぞれの研究で研究者は、社会経済状態や
張している28。最後に、フェロー島の研究は、
家庭環境の質・母乳保育の状態・その他の多
母親の毛髪よりは、臍帯血の水銀レベルと神
くの潜在的な混乱因子をおさえた。
経発達との間の関連を突きとめた。臍帯血中
食い違う結果は、いくつかの異なる要因に
よって説明されるだろう。第 1 に、一部の神
経影響は、ある種の神経機能が発達し始める
子供時代後期まで明らかにならない。しかし、
このことはセシールの子供が 7 才に達した時
の食い違った所見と永続的障害を示さないま
まであることを説明することにはならないだ
ろう。第 2 に、フェローで採用した検査技術
レベルは実際の胎児の被ばくをよりよく反映
するであろう。それ以外の研究も、少量の有
機水銀に対する人間や人間以外の霊長類の経
口被ばく後に、発達神経毒性を明らかにして
いる。29,30,31 ニュージーランドの研究で、
母親の毛髪中水銀レベル 15 μ g/g と子供のた
めのウェックスラー知能尺度の低い成績とが
関連していた。
は、セシールで使った検査技術より敏感であ
セシールの研究に基づいて、毒物疾病登録
るだろう。フェローの研究者は、詳しいコン
局 Agency for Toxic Substances and Disease
ピュータ分析により、容易かつ正確に検出さ
Registry ( ATSDR )は、メチル水銀に対する経
れる神経認識成績の特異な分野の検査を含め
口被曝の最少リスクレベルを 0.5 μ g/kg/日に
た。第 3 に、被ばくパターンは 2 つのグルー
設定した。しかし、環境保護庁は 0.1 μ g/kg/
プの間で異なっていたと思われる。セシール
日を設定した。食事調査に基づいて、出産可
では、魚はメチル水銀により比較的低レベル
能年齢の米国婦人の約 7%はこの「安全」量
- 56 Greater Boston Physicians for Social Responsibility
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第6章
を超すメチル水銀を摂取していると環境保護
32
危険な道
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発 達 神経 毒 物
動物脳組織のドーパミンレベルの大きな低下
。しかし、魚を全く食べ
を引き起こすと報告されている3 9 。オンタリ
ない女性で、出産可能年齢女性の 50% は過剰
オ湖からの魚を摂取した母親が生んだ子供の
なメチル水銀を摂取している。1979 年、食品
進行中の長期間の研究から生まれた未公表の
医薬品局(FDA)は、魚中水銀の「行動レベル」
新データは、出生前の PCB と水銀被ばくは、
庁は推定している
33
を 1 ppm に設定した 。FDA のアクションレ
McCarthy Scales of Children ’ s Abilities で調べ
ベルは拘束力のない非公式ガイドラインであ
た 3 才児の成績を、相互作用して低下させる
り、法的に強制できず、FDA に対する自由裁
ことを示している4 0 。この研究で、水銀被ば
量の指針および海産物の品位が悪いと決定す
くは極めて低いが、PCB 被ばくと組み合わさ
る時の声明を出す時にのみ役立つ。魚消費は
って神経発達に関する悪影響を増加させる。
1979 年以来米国で増加しており、批判者はこ
ともに、これらの観察は単一化学物質分析に
の行動レベルは健康を守らないと主張してい
基づいた魚摂取状況説明の適切さに関して疑
る。実際、FDA は、1991 年会計検査院 General
問を投げかける。米国の多くの地域の淡水魚
Accounting Office 報告中で、FDA は指針を設
は水銀・PCB ・ダイオキシン・その他の毒物
定するとき生殖と発達毒性を考慮するのを怠
で汚染されている。魚摂取限度を定める単一
34
ったとして、注意を喚起されている
。また
の有害分析に基づくリスクアセスメントや状
1991 年に、米科学アカデミーは、FDA 指針が
況説明は、一般人の健康を守るとは思われな
胎児や赤子・幼子を含む敏感な集団を適切に
い。
35
守っていないと、述べている
(スポットラ
イトを見よ)。
マンガン
•
神経毒のメカニズム
多くのほかの金属とは異なり、少量のマン
ガンはいくつかの非常に重要な酵素作用の
水銀はタンパク質の特殊な化学構造(例
えばスルフヒドリル基:注、-SH )に結合する
触媒として必須である。
•
しかし、いくつかの研究は、子供の過剰な
高い親和性を持ち、多くの生物活性を説明す
マンガン被ばくと、多動性や学習障害との
ると考えられている
関連を報告している。
36
。この結果、びまん性
の細胞機能の変化や蛋白合成阻害、DNA を障
人間の健康に必要ではない水銀や鉛とは異
害し細胞分裂を妨害する活性酸素種の形成を
なり、マンガンはいくつかの重要な酵素反応
37
招く
。神経系で、水銀は神経骨格内の小さ
な管状構造であるマイクロチュブルの発達に
38
干渉する
を促進するために微量が必須である。マンガ
ン欠乏は結合組織や軟骨・骨の異常を起こす。
。また、水銀は細胞膜の健全な状
多くの種類で、少なすぎる食品中マンガンは、
態を乱し、細胞表面の化学特性を変え、互い
骨格の発生や生殖、異常な炭水化物と脂肪の
に接着しやすくすると思われる。このことは、
代謝を障害し、運動障害を起こす。
脳発達の間に細胞移動が影響を受ける理由を
説明するだろう。また、水銀被ばくはシナプ
被ばく経路
ス伝達も乱す。ある試験管内研究で、メチル
水銀と PCB は相乗的に作用し、同時被ばくは
化学物質を別々に使った場合に観察される影
響を加算することによって予言される以上に、
職業以外の場合、ほとんどのマンガン被ば
くは食品に由来する。米研究会議 National
Research Council は、安全で適切な 1 日の食品
からの摂取を 2-5 mg と推定している。普通の
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第6章
危険な道
既 知の 及 び 疑 われ て い る
発 達 神経 毒 物
大人の食品からの摂取は 1 日に 0.52-5.33mg
で、平均 3
mg である41。幼児の食品からの
動物の研究
マンガン摂取は、食品源によって劇的に変化
する。人間の母乳は 1 リットルに約 6 μ g 含
んでいる。人工乳は、マンガンが添加されな
必須微量元素であるが、マンガンに対する
過剰な被ばくは、脳や肺・生殖系に有害であ
る。精巣毒性やテストステロンレベル低下な
い場合 1 リットルに約 77 μ g のマンガンを
どの有害な生殖への影響は、正常な人間の食
含み、補充された場合 1 リットルに約 100 μ
物からの摂取よりかなり高レベルで、ほかに
g
含んでいる42。大豆植物は土壌からマンガ
ンを効率的に引き出し、大豆をもとにした人
有毒な影響を示さないが、胎児発達の間にマ
ンガンに被ばくした動物で起こる48。
工乳は 1 リットルに 200-300 μ g のマンガン
しかし、ずっと低い被ばくレベルで起こる
を含む43 。結果として、人工乳を与えられて
いる幼児は、母乳を与えられている幼児より、
さらに重要な健康影響は脳障害である。胎児
と新生児の脳は、成熟したものより、マンガ
多くのマンガンを摂取する。
ンの有毒な影響に敏感であり、発達中の被ば
マンガンの有機的な形、メチルシクロペン
タジエニルマンガントリカーボニル( MMT )
は、オクタン価を高めるものとして、米国の
ガソリンの一部で使われている。燃えると、
MMT 添加ガソリンは、数種の無機マンガン
化合物を大気に放出し、少ないが広範囲に渡
る吸入被ばくと大地や水への沈着を生じる。
くは独特の神経影響を生じることを、現れつ
つある証拠が証明している。ネズミ類のマン
ガンの神経毒性に関して、発表されている論
文のレビューは、動物が発達中に被ばくした 7
つの研究を突きとめている49 。3 研究は行動
学的結果を研究し、それぞれが子供の活動レ
ベルの増加を報告している。
動物研究は、吸入されたマンガン化合物は、
体循環と血液脳関門を避けて、嗅神経に沿っ
人間の研究
て直接脳に移動する44 。人間でこの被ばく経
マンガンに大きな吸入被ばくをした労働者
路の関連ははっきりしない。大人では、摂取
したマンガンのわずか 3-5% 、あるいは約 100
マイクログラムが循環中に吸収される。この
大半は胆汁中に直ちに排泄されるので、成人
は1日に約 30 マイクログラムのみをを吸収す
で呼吸器症状や肺炎・気管支炎が起こってい
る。マンガンの明瞭な神経への影響は、マン
ガン鉱山や精錬工場の労働者で最初に気づか
れた。
る45 。若い動物は摂取したマンガンを成熟し
「マンガン症 Manganism 」には、振戦と運
た動物より多く吸収する(若いラットで約
動異常があり、衝動的に走ったり、戦ったり、
70%であるのに対して、成熟ラットで 1-2%)。
歌 っ たり する 特 徴が ある 「 マン ガン 錯 乱
成人に比べ乳児や幼い子供は、摂取したマン
manganese madness」が先立つことが多い。マ
ガンを多く吸収し少なく排泄することを、人
ンガン症の運動障害はパーキンソン病にいく
間でのマンガンバランスの研究も示している。 らか似ているが、はっきりした違いがある。
さらに、脳血液関門は血液により運ばれた多
くの化学物質を大きくなった子供や成人の脳
に入らせないようにしているが、血液脳関門
は幼児では未成熟で、発達中の脳に多くのマ
ンガンを入らせ、留まらせている。
何人かの研究者が、成人のマンガン被ばく
による神経障害の早期の兆候を検出しようと
してきた。ある研究者は、良く知られた運動
障害に加えて行動や感情影響を含むマンガン
被ばくによる障害の連続性を記載した。50 別
- 58 Greater Boston Physicians for Social Responsibility
訳
渡 部和 男
In Harm's Way
Chaper 6: Known and Suspected
Developmental Neurotoxicants
第6章
の研究者は、低レベル被ばく後のマンガン神
結論
経毒性の初期兆候を調べるために行動学的方
法を用い、応答速度や運動機能・記憶に影響
があると結論した51 。
危険な道
既 知の 及 び 疑 われ て い る
発 達 神経 毒 物
マンガン毒性に発達中の脳が影響を受けや
すいことは、一層注意するに値する。多くの
人工乳がマンガンを規則的に補充している。
いくつかの研究は、子供の毛髪中マンガン
栄養専門家は母乳はこの必須元素が少ないと
レベルと多動性や学習障害との間の関連を報
考え、補充は有害でないと考えてきた。大豆
告している。人工乳を与えられている乳児の
をもとにした人工乳は一層多い量の天然マン
毛髪中マンガン濃度は、出生時の 1 グラムあ
ガンを含んでいる。しかし、代謝の研究は、
たり 0.19 マイクログラムから、生後 6 週の 1
子供は大人よりマンガンを多く吸収し少なく
グラムあたり 0.965 マイクログラムと増加し、
排泄することを示している。さらに、血液で
生後 4 か月で 0.685 マイクログラムへと減少
運ばれるマンガンが幼児では大人より容易に
したと、ある研究者は報告している。母乳を
脳に入り込む。動物での研究は、発達中のマ
与えられている乳児では、生後 4 か月で 1 グ
ンガン被ばくは多動性と関係することを示し
ラムあたり 0.330 マイクログラムにしか増加
ている。いくつかの研究は、毛髪中マンガン
しなかった。この研究で、年齢を同じくした
レベルは対照より多動性障害の子供で高いこ
多動ではない対照で、1 グラムあたり 0.268 マ
とを示している。これらの観察は、この金属
イクログラムであるのに対して、多動児の毛
を補充した人工乳やガソリンへの MMT 添加
髪中マンガンレベルは 1 グラムあたり 0.434
の知恵に疑問を呼び起こし、未解決の不確実
マイクログラムであった52 。対照の 1 グラム
な領域を明らかにするために緊急の研究をす
中 0.58 マイクログラムに対して、多動児で毛
ることが必要である。ガソリンのオクタン価
髪マンガンレベルは 1 グラムあたり 0.83 マイ
を鉛であげたことか
クログラムであることを別の研究が報告して
ら学んだように、集
53
いる。
また、この研究は多動児で鉛レベル
団規模の被ばくは、
が上昇していることを発見した。第 3 の研究
低レベルであるが、
も、対照より注意欠陥多動性障害の子供で毛
時に深刻で意図しな
髪マンガンレベルが高いことを報告している
い結果を生じる。
5
4
。
神経毒性のメカニズム
一生の始めに過剰のマンガンに被ばくし
た動物は、神経伝達物質ドーパミンやノルエ
カドミウム
•
ピネフリン、セロトニンのレベルの低下を示
究は、入り交じった、時には矛盾する結果
55
す 。ネズミ類で妊娠中のセロトニン枯渇は、
大人の同じようなセロトニン枯渇よりも子供
発達中のカドミウム被ばくの神経影響の研
を報告している。
•
動物実験で、カドミウム被ばくは時期や投
の脳で一層広汎な構造変化を起こすことをあ
与量・被ばく経路・試験方法に依存して、
る研究が報告している。脳の発達で神経伝達
多動性と活動減少・学習の入り交じった変
物質の重要な役割に照らせば、この結果は驚
化を起こす。
56
くことではない。
•
カドミウムに被ばくした子供の研究の一部
は、多動性と、言葉や IQ 成績の低下を示
- 59 Greater Boston Physicians for Social Responsibility
訳
渡 部和 男
In Harm's Way
Chaper 6: Known and Suspected
Developmental Neurotoxicants
第6章
している。
危険な道
既 知の 及 び 疑 われ て い る
発 達 神経 毒 物
ミウム被ばくレベルでさえ、動物の体重増加
を減らし、直接のカドミウム毒性と食物や水
被ばく経路
の摂取低下による栄養失調とを区別するのを
カドミウムは重要な生物学的機能を持た
ない金属であるが、様々な機構を通じて正常
な神経発達を妨害する。カドミウムは、化石
燃料の燃焼や採鉱・製造工程・下水汚泥・燐
酸肥料・医療廃棄物や一般廃棄物の焼却から
困難にする。最後に、胎児に対するカドミウ
ムの影響は、胎児組織への直接的毒作用と言
うよりは、胎盤機能障害や酵素阻害・ほかの
脳の必須微量金属の変化といった主に間接的
な結果であろう。例えば、カドミウムにより
誘導されたメタロチオネンは必須元素である
環境中に放出される。
亜鉛も結合し、先天障害などを含む亜鉛欠乏
カドミウムは、金属メッキやペンキの色素
・プラスチック安定剤・ニッケルカドミウム
電池などの種々の産業目的で使われる。人間
の最大のカドミウム被ばく源は食物で、成人
の平均 1 日摂取量は 10-30
mg/kg である。土
症を発症させる。間接的な神経発達への影響
は、妊娠中のカドミウム被ばくの研究が胎児
脳中のカドミウムレベル上昇の証拠を見つけ
ることをほとんど失敗しているという、観察
からも推測されている60 。
壌のカドミウムは葉菜により容易に取り込ま
出生前にカドミウム被ばくした動物で、
れ、産業発生源からのカドミウムを含む下水
汚泥で処理された土壌で成長した作物中でレ
錯綜したあるいは時には矛盾する神経学的影
響が気づかれている。さらに雌は雄より神経
ベルが有意に増加する可能性がある。57
発達影響に敏感であると思われるが、雄の動
汚泥を施した土壌で育った植物を与えた家
畜や実験動物は、カドミウム毒性が現れるだ
ろう58 。カドミウムは汚染された沿岸海域で
見られる貝類中に濃縮する傾向もある。ほか
物が研究されることが多い。多動性と自発活
動減少の両方が、被ばくレベルや被ばく経路
・活動レベル測定に用いた検査法によって、
子供で気づかれている。61,62,63 逃避課題を
の重要なダイオキシン源はタバコの煙である。 学習する動物の能力も時々障害を受ける。64
喫煙者には非喫煙者より約 2 倍の血中カドミ
ほとんどの場合、神経毒性は体重増加と成長
ウムレベルがある。
に影響するほど十分な投与量の場合にだけ気
づかれている。妊娠中に、注射や餌・胃内投
動物実験
与・吸入による1日に 0.1-4.0 mg/kg の範囲の
いくつかの理由で、一生の初期のカドミウ
母体被ばくレベルを、これらの研究は用いて
ム被ばくの神経学的結果に関する研究は、例
いる。対照的に、カドミウムに対する新生児
えば、鉛の研究より困難である。カドミウム
被ばくは出生前被ばくより潜在的に有害であ
は急速に血液から除去され、腎臓や肝臓・膵
る。というのは、血液脳関門がまだ十分発達
臓・副腎に貯蔵され、血中レベルの測定は被
していないので、カドミウムは発達中の脳へ
ばくの指標として適さない。慢性カドミウム
直接行くからである。顕微鏡を用いた研究は、
被ばくは蛋白質メタロチオネンの生産を誘導
カドミウム投与新生児ラット脳で成熟ラット
し、メタロチオネンは金属と結合し、毒作用
の脳では見られない障害を明らかにしており、
を低下させる。しかし、カドミウムへの間欠
未熟な血液脳関門がカドミウム神経毒性の重
的急性被ばくはこの機構を逃れ、より重度の
要な要因であることを示している。ここでも
毒性反応を導く。動物実験では、穏和なカド
また、実験方法や投与量・被ばく経路に依存
- 60 Greater Boston Physicians for Social Responsibility
訳
渡 部和 男
In Harm's Way
Chaper 6: Known and Suspected
Developmental Neurotoxicants
危険な道
既 知の 及 び 疑 われ て い る
発 達 神経 毒 物
第6章
して動物研究は多動性や自発活動減少・学習
などの神経伝達物質レベルを変える68。また、
の変化を幼い動物で明らかにしている。
カドミウム被ばくは組織中のフリーラジカル
生産増加と関連し、細胞膜障害とほかの種々
人間での研究
の生理機能を変化させる。
いくつかの人間での研究が、カドミウムに
対する早期被ばくの神経学的結果を調べよう
としている。これらは鉛とカドミウム被ばく
タバコの煙とニコチン
の相互関連によって込み入っており、観察さ
•
妊娠中に喫煙をする女性から生まれた子供
れた影響に対するそれぞれの金属の相対的寄
には、IQ 低下・学習障害・注意欠陥のリス
与を決定するのを困難にしている。ある研究
クがある。
は毛髪中カドミウムと鉛レベルと子供の多動
性との間に有意な相関を発見した。
65
•
5-16
受動的にタバコの煙に被ばくした女性から
生まれた子供も、会話や言語技術・知能の
才の 149 人の田舎の子供を調べた別の研究は、
障害のリスクがある。
子供のためのウェックスラー知能尺度によっ
て試験し、毛髪中鉛とカドミウムレベルと言
語と IQ 成績との間に相関を発見した。
66
被ばく経路
こ
の研究は性や人種・社会経済状態を統計学的
にコントロールした。興味あることに、鉛と
カドミウムは知能の異なる側面に影響してい
るように見えた。鉛レベルは IQ 成績低下と
高い関連を持ち、カドミウムは言語 IQ 低下
と良く関連していた。
タバコの煙とその成分の一つニコチンは、
最も良く研究された神経発達毒物である。多
くの動物研究が純粋なニコチンで行われてお
り、ニコチンは容易に胎盤を通過する。一方
人間の疫学研究はニコチンを含むタバコの煙
中の複雑な混合物被ばくの影響を調べている。
しかし、動物のニコチン被ばくは妊娠中に母
前向き研究で毛髪を 26 人の新生児と母親か
ら採取し鉛とカドミウムを分析した。
親が喫煙した子供で見られる影響と同じ影響
6 年
の一部を子供に起こしており、そのためニコ
後、子供の能力のマッカーティ尺度 McCarthy
チンは観察された影響に大きく関与している
Scales of Children's Abilities に よって子供を検
だろう。
67
査した。子供の毛髪中カドミウムレベルは知
覚と運動成績低下に相関した。母親の毛髪中
動物の研究
カドミウムレベルは、子供の認識や知覚・量
を測る機能・運動の機能と相関した。鉛レベ
ルも知覚や運動・定量的な得点と関係した。
動物と人間でニコチンとタバコの煙被ばく
は、成長遅滞とその他の妊娠合併症(未熟・
胎盤異常・呼吸障害症候群)を起こす。69 発
達中の脳に関する有毒影響によって起こり、
作用メカニズム
一般的な成長の遅れによるものではない出生
カドミウムは、発達中の子供の脳に直接、
前のニコチン被ばくの神経学的影響を調べる
間接的に有毒だろう。妊娠中、カドミウムは
ために、比較的低レベル被ばくで動物実験を
胎盤と重要な酵素機能、あるいは必須微量元
行うことが重要である。胎児への酸素供給を
素やそのほかの影響の利用可能性に干渉する
減らしてしまう大量投与は成長を遅らせ、神
だろう。新生児の被ばくはノルエピネフリン
経毒性影響のみに関する情報が少ないだろう。
やドーパミン・セロトニン・アセチルコリン
- 61 Greater Boston Physicians for Social Responsibility
訳
渡 部和 男
In Harm's Way
Chaper 6: Known and Suspected
Developmental Neurotoxicants
第6章
危険な道
既 知の 及 び 疑 われ て い る
発 達 神経 毒 物
そのため、母親の喫煙による人胎児ニコチン
た母親の子供は 23 才で、被ばくしない子供よ
被ばくレベルを良く模倣した少量注入ポンプ
り、学業成績が有意に低いことを発見した79。
を用いた動物実験は、非常に適切な情報を提
この研究は、社会階層・家族の人数・出生体
供する。
重を調節した。母親の学業成績を統計的にコ
ラットで親ネズミへの少量注入による出生
ントロールしていなかった。
前ニコチン被ばくは、幼い子供で多動性を引
70
環境中のタバコの煙(
「 受動喫煙」)に対す
き起こす 。この影響は雄で最も顕著である。
る母親あるいは子供の被ばくも、悪影響があ
学習と記憶に関する試験結果は入り交じった
ると思われる。80 例えば、妊娠中に受動的な
ものである。通常、ネズミ類は幼年期から成
タバコの煙に被ばくした母親の子供を、 6-9
熟するに従い、珍しい環境を探ることに強い
才の時期に交絡因子を調節した後に会話や言
興味を持つ傾向がある。子宮内で少量のニコ
語技術・知能・視覚空間能力を試験した結果、
チンに被ばくしたラットは、幼児期に珍しい
母親が喫煙した子供と母親が被ばくしなかっ
環境をすぐに調べるが、思春期以後は少なく
81
た子供との中間の成績であった。
研究者は、
なる逆の影響を示した71 。同じ変化はほかの
被ばくした子供で注意欠陥と情報処理障害を
72
迷路試験で見られた
。これらのテストは試
書き留めている。試験には、言語理解や知覚
験の順序を変えることにより及びタスクを複
組織化 perceptual organization ・注意散漫でな
雑にすることにより、他では明らかにされな
いことなどの 3 要因の点数がある子供のため
いニコチン誘導行動変化を時には明らかにす
のウェックスラー知能尺度を含んでいた。環
ることも示している。
境中のタバコの煙の影響に関する動物実験で、
出生前はタバコの煙に被ばくせず出生後にの
人間での研究
み被ばくしたラットは、被ばくしない動物と
母親が妊娠中に喫煙した子供に関する多く
比較して脳内の DNA 含量が低下していた。8
2
の研究が、知的能力と成熟達成の減少などの
悪影響を報告している。7 3,74,7 5,76 影響は
誕生後すぐに明らかである。例えば、Brazelton
神経毒性のメカニズム
Neonatal Behavioral Assessment Scales を 用いて
成長遅滞を起こさないレベルのニコチンに
調べた時に、喫煙者から生まれた幼児は被ば
対する妊娠中の被ばくは、胎児と新生児でコ
くしない幼児より、生後 2、3、14 日に点数が
リン作動性ニコチン受容体の数を増加させ、
7
有意に低いことをある研究は報告している。
影響は出生後のシナプス形成時期を通じて続
7
ニコチンに被ばくした幼児は音に正常に適
くことを動物研究が明らかにしている。83 出
応できるが、音源に向かうことが下手である。
生前のニコチン被ばくも、誕生後の時期に神
この所見は生後 2 週間続く。
経伝達物質ドーパミンとノルエピネフリンの
出生から 11 才まで追跡した 12,000 人の子供
の大規模研究は、妊娠中1日に 10 本より多い
タバコを吸った母親の子供は、11 才で、一般
レベルを正常以下にする。84 ノルエピネフリ
ン利用の変化は、成熟した動物の脳の一部の
領域で持続している。
的な能力や読書・数学技術が 3-5 か月遅れて
いた
ニコチンに被ばくしたラット胎児および新
。研究者は、研究集団中の社会経済的
生児の研究は、脳内で DNA 合成減少を明ら
および生物学的変数を補正した。子供の集団
かにしている。85 このことは、高濃度のニコ
を成人まで追跡した研究は、妊娠中に喫煙し
チン性受容体がある領域と急速な細胞分裂を
78
- 62 Greater Boston Physicians for Social Responsibility
訳
渡 部和 男
In Harm's Way
Chaper 6: Known and Suspected
Developmental Neurotoxicants
第6章
危険な道
既 知の 及 び 疑 われ て い る
発 達 神経 毒 物
している領域で特に顕著であった。しかし、
シン被ばくの毒性発現のほとんどは、細胞受
タバコの煙は化学的に複雑であり、一酸化炭
容体(Ah 受容体)へダイオキシンが付着する
素と青酸を含む。発達中の脳に対するニコチ
ことを通じるが、一部の神経発達影響は Ah
ンの直接作用のほかに、煙の他の潜在的な毒
受容体活性化とは関係がないだろう。ダイオ
性のメカニズムには、一酸化炭素による酸素
キシン一族内で、2,3,7,8-テロラクロロジベン
の低レベルと胎盤を通る栄養輸送障害があり、 ゾ-p-ダイオキシン(塩素原子を 2,3,7,8 の位置
一般的な胎児成長遅滞を起こす。
に持つ)は、Ah 受容体に最も高い親和性を持
ち、Ah 受容体を介する影響の最も強力な引き
結論
金である。
タバコの煙は複雑な化学物質の混合物であ
り、胎児期の被ばく後に神経機能に長く続く
影響を持つ神経毒であるニコチンを含んでい
る。子宮内でニコチンに被ばくした動物と人
間の子は多動であり、振戦の増加を経験し、
聴覚応答性が障害される。妊娠中にニコチン
や他の汚染物質に被ばくした子供は神経学的
試験成績に影響し、低い学業成績に関連する
長く続く知的障害を示す。環境中のタバコの
煙(
「受動喫煙」
)も脳の発達をかき乱す。
*
ダイオキシンと PCB
それ以下で人間に悪い健康影響が起こると思えないレ
ベルと ATSDR が定義した最小リスクレベルに基づく。
•
慢性被ばくは 1 年以上続く被ばくと定義される。
胎児の時にダイオキシンに被ばくしたサル
は学習障害の証拠を示す
•
ダイオキシン は動物性脂肪に濃縮し、高レベルで
寿命の長い動 物と食物連鎖で上位の動物に高レベ
胎児の時に低レベルの PCB に被ばくした
ルに蓄積する 。人間の食料源は年齢とともに変わ
人間と動物は、学習障害になる
•
るので、ダイ オキシン取り込みも年齢とともに変
胎児期に PCB に被ばくした子供は、長年
わる。
12
ダイオキシンは母乳に濃縮されるので、
後に調べた場合、IQ 低下・多動性・注意欠
母乳保育の幼児は最も高く、 ATSDR が 慢性被ばく
陥を示す。
( 1 年以上)に勧告した限度を 34-53 倍 超える。全
年齢グループ でこの限度を超えるが、幼児より少
ダイオキシンは、一般および医療廃棄物焼
ない。 EPA によると、癌以外の影響(主査と胎児
却・銅の二次精錬・有害廃棄物焼却・塩素に
のような敏感 な集団に対する不確実性係数を組み
込んで)に対 して保護するダイオキシン被ばく限
よるパルプや紙漂白・その他を含む種々の産
度は一般集団 で一日摂取に関する現在の推定より
3
10-100 倍下だろう 。
業過程の間に、意図しないで作られた化学物
質の 1 群である。ダイオキシンは、2 つの酸
素原子で結びつけられた 2 つのベンゼン環か
らなり、周囲に分布する様々な数の塩素原子
を持つ。あるダイオキシン分子の毒性は、塩
素原子数と位置によって変化する。ダイオキ
ポリ塩化ビフェニル(PCB )は、長年意図
的に生産され、潤滑油やコーティング・変圧
器で絶縁材料のような種々の目的のために使
- 63 Greater Boston Physicians for Social Responsibility
訳
渡 部和 男
In Harm's Way
Chaper 6: Known and Suspected
Developmental Neurotoxicants
第6章
危険な道
既 知の 及 び 疑 われ て い る
発 達 神経 毒 物
われてきた産業用化学物質である。米国とほ
ことは、生涯の始めのわずかな月の間にこれ
とんどの他の国で、PCB の環境中残留と生物
らの化学物質一族を一生に摂取する量の相当
濃縮傾向・毒性のために PCB 生産は禁止され
部分に、母乳を飲む乳児が被ばくすることを
ている。しかし、PCB は依然として多くの変
説明する。
圧器や埋立地・有害廃棄物処分場に存在する。
PCB は構造的にダイオキシンに似ているが、
動物での研究
ベンゼン環の間に酸素原子がない。
妊娠中に 5-25 ppt のダイオキシンを含む母
親の餌を通じて、ダイオキシンに子宮内で被
被ばく経路
ばくしたサルは、弁別逆転学習の障害(形の
ダイオキシンと PCB 被ばくは主として食品
逆転学習の遅れ)を示す8 6 。この試験で、動
源を通る。ダイオキシンと PCB の両方は環境
物は最初に特定の形・色・位置に対して正し
中で残留し、脂肪組織に生物濃縮する傾向が
く応答することを学ぶ。次に正しい答を逆転
ある。結果として、牛肉や豚肉・乳製品・魚
し、以前の間違った応答が今度は正しいもの
を含む食物連鎖の頂点で、それぞれの濃度は
となる。これは応答戦略の変化を必要とし、
最も高い。母乳は脂肪含量が高いため、人間
単純に最初に弁別することを学ぶより困難で
の組織で最も高いレベルを含んでいる。この
ある。
適切な安全余裕は人
間の被ばく範囲と健
康への悪影響との間
に 数桁 が必 要で あ
る。しかし、ダイオ
キシンの健康への悪
影響 1 − 4 はほぼ人間
の被ばくの高い範囲
で、動物で証明され
ている。このことは
ダイオキシン生産と
放出の削減または廃
絶によって人間の被
ばくを減らすことが
緊急に必要であるこ
とを証明する。
- 64 Greater Boston Physicians for Social Responsibility
訳
渡 部和 男
In Harm's Way
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危険な道
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発 達 神経 毒 物
第6章
1
ダイオキシンは自治体と医療の廃棄物焼却などの様々な産業過程で非意図的に作られる 。ひとたび大気中に放
2
出されると、ダイオキシンは地球の食品を供給する牧場や水域に落ち着く前に数千マイル以上動くことが多い 。
PCB は変圧器やコンデンサー・潤滑油などの様々な製品に使うために、主に 1920 年代から 1980 年代に生産さ
3
4
れた 。PCB はほとんどの国で生産されたが、生産された全量の約 3 分の 2 はまだ環境に放出されていない 。PCB
5,6
は不注意な処分や産業施設と廃棄物処分場からの漏れ、使用中の製品から環境に入ってきた
。土壌と水に入
った PCB は土壌と堆積した粒子に結びつき、様々な割合で蒸発し、ダイオキシンのように長期路の大気中移動
7,8
をする
。類似の化学的性質のため、PCB とダイオキシンは同じような長距離大気中移動のパターンを持ち、
結果として広範囲の沈着を起こす。両方は汚染された植物を食べる牛と魚で濃縮され、人間を含む食物連鎖で
9,10
高い種類で一層高く濃縮される。 PCB とダイオキシンは土壌中に長年残ることがある
。動物での実験研究
12,13
は汚染土壌との接触後の、ダイオキシンでなく PCB の重大な皮膚吸収を証明している
ダイオキシンの両方に対する人間の被ばくは食品摂取を通じて起こる
。しかし、PCB と
14,15
。ダイオキシンと PCB は脂肪によ
って運ばれるので、両方は妊娠中に母親から人間の発達の最も影響を受けやすい段階であり胎児に移り、母乳
保育の間に渡され続ける。このようにしてダイオキシンと PCB は産業化学物質が工場から胎児に旅する予見さ
れなかった経路の一つを説明する。
- 65 Greater Boston Physicians for Social Responsibility
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渡 部和 男
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第6章
危険な道
既 知の 及 び 疑 われ て い る
発 達 神経 毒 物
人間の母乳中に一般に見られる代表的な混
した神経発達影響を調べている。ミシガン州
合物と濃度で、生まれてから 20 週まで PCB
で 212 人の子供グループが長年追跡されてい
混合物を与えられサルは、2.5 才から 5 才の間
る。母親がミシガン湖の魚を少なくとも月に
に検査した場合、学習と実行技術に有意な障
6-8 オンス(注:約 170-220g )食べている場合、
害を示した。
学習の遅れ以外に、固執的行
魚を食べる母親の子と分類した。しかし、研
動(コンスタントなくり返し)と不適切な応
究した家族の一部は魚を食べなかった。全て
答を止めることができないことを示した
。
ではないがほとんどの場合、胎児と授乳期の
影響を受けたサルは、一般的な人間集団と同
PCB 被ばくは妊娠前と妊娠中の母親のミシガ
じく、血中 PCB レベルが 2-3 ppb であった。
ン湖産魚消費と関連していた。出生前に最も
出生後すぐに PCB 被ばくを受けたサルで、多
高い PCB 被ばくを受けた子供は、精神運動発
動性を含む学習と行動への同じような影響を
達の遅れあるいは低下と視覚認識記憶試験の
報告している。89,90
低下を示した。95 これらの子供は現在 11 年
87
88
生まれる前に PCB に被ばくしたラットは、
以上追跡されている。出生前の PCB 被ばくは
視覚弁別(識別)低下、自発活動レベルの増
社会経済状態を含むほかの因子を制御した後、
加と低下、学習障害を示す。91, 92 研究で用
IQ 点数低下と関連を持ち続けている。96 低
いた特定の PCB に依存して、無影響量は突き
とめられていないが、妊娠 10-20 日に 2 日ご
被ばくグループと比較して、最も高い被ばく
を受けた子供は、IQ 試験と注意集中期間を計
とに投与した母体投与量で 2 μ g/kg/日の低さ
る試験で成績が 3 倍以上悪かった。読書で語
で影響が見られた。
彙理解力が少なくとも 2 年遅れていると思わ
れているものもも 2 倍であった。研究者によ
ると、PCB の神経発達毒性の最も頻度の高い
人間での研究
発現は、神経運動活性と注意集中(注意を集
1960 年代後期と 1970 年代初期に、日本と
台湾で PCB 汚染ライスオイルに人間が事故で
被ばくする 2 つの出来事があり、被ばくした
中し持続させる)の障害と高次認識と学習の
障害、神経発達の遅れであった。これらの障
害は学校時代を通じて残っていると思われる。
母親から生まれた子供に悲劇的な発達影響を
ノースカロライナ州の別の子供グループは
及ぼした。93 発達中の胎児は母親よりずっと
同じ結果を示している。母親の血液 PCB レベ
敏感で、低出生体重や色素沈着過剰な皮膚・
ルで測った高い胎児期 PCB 被ばくは、低被ば
腫れあがった歯茎と瞼・歯が早く芽生えるな
くの子供より生後 12 か月で精神運動発達試験
どの多数の異常が見られた。神経学的影響は
(ブレーゼルトン)の低い点数と関連してい
最も重大な発見であり、最も高度な被ばくを
た。97
受けた一部で精神遅滞があった。子供の脳の
オンタリオ湖の PCB 汚染魚を食べた母親の
発達の遅れとと行動異常は事故後長年続いた。 新生児数百人を調べたニューヨークの研究で、
被ばくした子供は IQ 試験で低下があり、教 高い被ばくを受けた子供は被ばくの少ない子
師によると被ばくしない子供より多動であり、 供と比較した場合、異常な反射と驚愕応答、
多くの行動障害を示した。94
および、視覚認識の低下を示した。98 最近、
これらの悲劇的な事故は明らかに有毒な量
出生前 PCB 被ばくが、生後 12 か月齢で幼児
の PCB に子供を被ばくさせたが、別の研究は
知能のためのファーガン試験成績低下と、生
周囲の環境中で見られる PCB レベルに被ばく
後 3 年で子供の能力のためのマカーティ尺度
- 66 Greater Boston Physicians for Social Responsibility
訳
渡 部和 男
In Harm's Way
Chaper 6: Known and Suspected
Developmental Neurotoxicants
危険な道
既 知の 及 び 疑 われ て い る
発 達 神経 毒 物
第6章
で悪い成績に関連することを研究者が報告し
99
ている 。
および同時処理尺度の成績低下と有意に関連
していた。授乳による PCB とダイオキシン被
妊娠の最終月の母親の血中、臍帯血中、母
ばくと現在の被ばくは生後 42 か月での認識成
乳注の PCB ・ダイオキシンレベルを測定した
績に関連せず、悪影響は胎児 PCB 被ばくの結
後に、数年間オランダで別の 418 人のグルー
果であることを示した。また、高レベルの遊
プの発達が前向きに[注:さかのぼることの
びをする時間が少ないことにも有意に関連す
逆]調べられている。これらの被ばくは全て周
ることを示している。生後 42 か月の子供で血
囲の環境レベルであり、大量の事故による被
中 PCB レベルは、反応時間が遅いことと親が
ばくや過剰な魚消費の結果ではない。認識能
報告した多動性の兆候が多いことと関連して
力は、子供のためのカウフマン評価バッテリ
いる。また、この研究は最も高い PCB ・ダイ
ーを用いて生後 42 か月で子供 395 人を評価し
オキシン胎児被ばくと、子供で 2 週間と 3 か
た。
100
変数を調節した後、母体血中 PCB
レベルはこのバッテリーの全般的認識と経時
月の甲状腺ホルモンレベルの小さいが有意な
低下を報告している。101
バックグランド
レベルの PCB へ
の出生前被ばく
は、乳児とよち
よち歩きの子供
で医学検査によ
り評価した反射
や記憶・神経機
能に影響を及ぼ
すことが示され
ている。注意や
記憶・知能・読
解力に対する悪
影響は 11 才ま
で追跡した子供
で証明されてい
る。1−22
神経毒性のメカニズム
異なる。しかし、化学性質が似ているので生
早期の神経発達に対するダイオキシンと
物組織中で共存する傾向があり、人間の疫学
PCB の作用メカニズムは不完全に理解されて
研究でそれらの毒物影響の間を区別すること
いる。ダイオキシンと一部の PCB は同じ 1 つ
を困難にしている。ダイオキシンとダイオキ
の作用メカニズムを分け合っているが他では
シンに似ている PCB (いわゆるコプラナー、
- 67 Greater Boston Physicians for Social Responsibility
訳
渡 部和 男
In Harm's Way
Chaper 6: Known and Suspected
Developmental Neurotoxicants
第6章
危険な道
既 知の 及 び 疑 われ て い る
発 達 神経 毒 物
また、ダイオキシンと PCB は、チロキシン
の代謝と排泄を促進する酵素を誘導すること
によって、チロキシンの回転を増加させるこ
とにより甲状腺ホルモン機能に干渉する102。
また、PCB は甲状腺ホルモンが媒介する遺伝
子転写に干渉する 10 3。しかし、出生前 PCB 被
ばくがサイロキシンレベルを低下させるが、
用いた投与量で脳の甲状腺依存性蛋白合成は
影響を受けないことを最近の報告が示してい
る104 。この発見は、出生前の PCB 被ばくの
神経発達影響は甲状腺ホルモンレベルの減少
にのみよるものではないことを意味している。
また、一部の PCB は正常な脳の神経伝達物
質レベルを変化させるが、変化の性質は PCB
構造に依存する105 。例えば、オルト PCB は
ドーパミン合成を減少させるが、オルト以外
の PCB はラットで子宮内と授乳による被ばく
あるいは非オルト PCB )は、Ah 受容体に結
合することによる共通の作用メカニズムを持
っている。この複合体はさらに処理され、細
胞核の中に行き、そこで DNA と結合し種々
の成長因子やホルモン・ホルモン受容体の生
後ドーパミンレベルを増加させる106 。この影
響は、子宮内で PCB に被ばくした人間で記載
されている神経発達の遅れに関係するだろう。
結論
産と代謝に影響する。しかし、Ah 受容体に容
ダイオキシンと PCB は、周囲環境で被ばく
易に結合しない多くのコプラナー以外の、あ
するレベルで、脳の発達と機能に悪影響を及
るいはオルト PCB も神経発達毒性に相当寄与
ぼす。PCB に対する出生前被ばくの影響は永
する生物学的活性を持っている。少なくとも
続的であると思われる。精神運動の発達の遅
この毒性の一部は甲状腺ホルモン機能を妨害
れ・注意欠陥・遊び行動の変化・IQ 低下を含
することによるだろう。PCB は種々の方法で
む認識障害は、大規模な人間の集団で述べら
甲状腺ホルモンに干渉する。動物実験で、一
れている。これらの化学物質が神経毒性を及
部の PCB は循環中の単体タンパク質トランス
ぼすメカニズムは十分理解されていないが、
サイレチンからチロキシンに取って代わる。
おそらく神経伝達物質レベルと甲状腺ホルモ
多くの動物で、トランスサイレチンに付着し
ンの変化を含むであろう。
たチロキシンは、それによって胎児の脳に到
達できる甲状腺ホルモンの形である。この結
合に干渉するあらゆる化学物質は正常な脳の
農薬
発達を変化させる可能性がある。しかし、人
間で別の蛋白、サイロキシン結合蛋白はチロ
•
一般に使われている有機リン系の化学物質
キシンの主な運搬タンパク質であり、その結
に属する農薬の動物実験は、発達の決定的
合は PCB によって影響を受けにくい。
な日に、少量の 1 回投与が脳の神経伝達物
- 68 Greater Boston Physicians for Social Responsibility
訳
渡 部和 男
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Chaper 6: Known and Suspected
Developmental Neurotoxicants
•
•
•
第6章
危険な道
既 知の 及 び 疑 われ て い る
発 達 神経 毒 物
質受容体レベルで永続的な変化と多動を起
起こす。クロルピリホスを投与された妊娠ラ
こすことがあることを示している。
ット(6.25, 12.5, or 25 mg/kg/日、注射、妊娠
最も一般的に使われている有機リン系農薬
12-19 日)の子は脳内にムスカリン作動性コ
の 1 つであるクロルピリホス(ダーズバン)
リン受容体が少なく、立ち直り反射と断崖回
は、発達中の脳で DNA 合成を減少させ、
避試験* が顕著に変化した10 8 。母ラットが妊
細胞数の欠乏を招く。
娠 6 日から生後 11 日まで胃管によって 5
mg
別の一般的に使われている種類の農薬であ
クロルピリホス/kg/日を投与された場合、子
る一部のピレスロイドも、発達の重要な単
供は聴覚性驚愕応答* が減少し、脳重量が増加
一の日に、少量に曝された動物で永続的な
した109(比較のために、それ以下では人間で
多動を起こす。
悪影響が起こるとは思われない量であるクロ
メキシコの農業社会で様々な農薬に被ばく
した子供は、スタミナ低下や運動の協調・
ルピリホスの現在の基準量 RfD は 3 マイクロ
グラム/kg/日である)
。
記憶・絵で良く知っているものを描く能力
* ムスカリン作動性コリン受容体:神経伝
達物質であるアセチルコリンの受容体
は、電気生理学的・薬理学的性質から、
ニコチン作動性とムスカリン作動性に
分けられる。
* 断崖回避試験:透明ガラス板の下に断
崖を設置し、断崖端に沿って設置した
ガラス板上のプラットフォームの上で
動物が反対側に移動するか否かをもっ
て評価する検査方法
の障害を示している。
多くの農薬は神経毒であるために昆虫を殺
す。例えば、有機リンとカーバメートは神経
伝達物質アセチルコリンを分解する酵素、ア
セチルコリンエステラーゼを阻害する。ピレ
スロイドやピレトリン・有機塩素など他の農
*訳 注: 聴覚 性驚 愕応答 : 突発的 な音 刺激に
対する耳介の不随意的な反射運動。音刺激の
性質を調節することにより、聴覚の定量的評
価が可能という。
薬グループは神経細胞機能に干渉することに
よって有毒な作用を発揮する。農薬被ばく経
路は第 7 章で考察する。
別の有機リンであるダイアジノンを妊娠の
間、0, 0.18, or 9.0 mg/kg/日をマウスに投与し、
有機リン
有機リンは、家庭や芝生・庭・商業的食品
供給で、害虫駆除のために広く使われている。
子供の発達を評価した110 。最も多い量を投与
された母ネズミの子は被ばくが少なかった群
の子供より成長が遅かった。最も少ない量を
投与されたマウスの子供は正常に成長したが、
動物実験
新生児マウスの研究は、生後 10 日に有機リ
ン剤の 1 回投与(1.5 mg ジイソプロピルフル
オロフォスフェート[DFP]/kg 体重)が生後 4
か月で大脳皮質のムスカリン作動性コリン受
容体*の永続的減少と多動性を生じた10 7 。投
行動検査は接触性置き直し反射* の発達と性的
成熟が遅れた。どちらかの量に被ばくした母
の大人になった子供は耐久力と協同運動の障
害を示した。ダイアジノンの RfD は EPA が
見直し中である。
* 接触性置き直し反応:下に垂らした前肢
端をテーブル面などに接触させたとき、
前肢を伸展させて置き直す反応
与されなかった対照と比較した場合、被ばく
した動物は歩行(水平運動)と全活動(全て
の型の運動)の持続的増加を示した。
最も多く使われている有機リンの一つクロ
有機塩素
ルピリホス(ダーズバン)も、神経化学的・
DDT は米国ではもはや使われていないが、
行動学的影響を妊娠中に被ばくしたラットに
世界の一部では農業や病原媒介生物の駆除に
- 69 Greater Boston Physicians for Social Responsibility
訳
渡 部和 男
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Developmental Neurotoxicants
第6章
危険な道
既 知の 及 び 疑 われ て い る
発 達 神経 毒 物
激しく使われている。野生生物に対する特性
と生物濃縮し環境中で長年残留する性質のた
めに、DDT は米国やほかの諸国で禁止された。
DDT も神経細胞膜の安定性に干渉することに
よって毒作用を発揮し、被ばくした動物で神
経系の過剰刺激を起こす。
動物での試験
生まれたばかりのマウスに生後 3 または 10
日、 19 日日に 0.5 mg DDT/kg を投与し、生後 4
か月に自発活動レベルと大脳皮質中のムスカ
リン作動性コリン受容体を調べた。111 生後
10 日に DDT に被ばくしたマウスは活動レベ
ルの有意な増加と受容体の減少を示した。生
後 3 日と 19 日に被ばくしたマウスは有意な変
化を示さなかった。これらの結果は、被ばく
が脳構造と機能に一生続く影響を起こす神経
毒化学物質に影響を受けやすい短期であるが
重要な窓があることを強調している。
人間の研究
農薬に被ばくした子供の神経学的評価報告
はほとんどなく、被ばくの急性影響に普通限
られている。しかし、大きな農業共同体で農
薬混合物にたびたび被ばくしたメキシコの子
供に関する最近の研究は、子供が発達する間
の農薬被ばくによって多くの様々な脳機能が
障害を受けることを示している。11 2 研究者
は、同じ遺伝的および社会的・文化的背景を
イ ラストは農薬 被ばくの神経 発達に対する影響の 間
に ヤクイインデ ィアンの子供 が描いたものである 。
この研究はアリゾナ大学のエリザベス A. ギュイレッ
ト 哲学博士によ って行われた 。イラストは許可を 得
て使った。
持つ 4-5 才の子供の 2 群を調べた。しかし、1
つのグループは農業で農薬が規則的に使われ
の中に干しぶどうを落とすようにを頼んだ時、
る共同体に住んでいたが、もう一つのグルー
被ばくした共同体の子供は持久力と協同運動
プは化学物質を使わない農業をしている共同
の重大な低下を示した。農薬に被ばくした子
体の出身であった。種々の有機塩素系農薬が、
供の記憶も障害されていた。試験をはじめる
農薬に被ばくした共同体では個人の臍帯血と
前に褒美(赤い風船)として何が約束された
母乳中に検出されたが、ほかの種類の農薬被
かを思い出すことが難しかった。また、被ば
ばくはありそうもなかった。キャッチボール
くした子供は見覚えのある人や対象を描く能
や一本足で出来るだけ長く立つこと、その場
力に障害を受けていた。人物を描くことを頼
所で飛び上がること、15
まれたとき、被ばくを受けない子供は絵に平
cm 離れて瓶のふた
- 70 Greater Boston Physicians for Social Responsibility
訳
渡 部和 男
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第6章
危険な道
既 知の 及 び 疑 われ て い る
発 達 神経 毒 物
均で 4.4 の体の部位を描いたのに対し、被ば
コリンエステラーゼ)のレベルの変化に気づ
くを受けた子供は、平均で絵に 1.6 の体の部
いた。脳中のドーパミン受容体レベルはそれ
分を描き、絵はゆがんでいた。被ばくした子
ぞれの化学物質被ばく後に減少し、ムスカリ
供が描いた家や樹木も一層ゆがんでおり、解
ン性コリン作動性受容体レベルはシペルメト
釈するのが困難であった。被ばくした子供は、
リン被曝後のみ顕著に減少した。
遊びで創造性が少なく見えた。
神経毒のメカニズム
有機リンとカーバメートは、神経のシナプ
ピレスロイド
スあるいは神経と筋肉との接合部で、神経伝
自然に存在するピレトリンあるいは合成ピ
達物質アセチルコリンを分解する酵素、アセ
レスロイドも、神経細胞の電気活動に干渉す
チルコリンエステラーゼを阻害する。この結
ることによって、毒作用を発揮する殺虫剤で
果は二重である。短期的には、シナプスある
ある。Ⅰ型とⅡ型に分けられることがある。
いは神経筋接合部は過剰に刺激され、臨床症
Ⅰ型は神経細胞の繰り返し発火を起こすが、
状が生じる。しかし、発達中の生物では先に
Ⅱ型は細胞の脱分極をブロックすることによ
述べたように、細胞増殖や移動・分化・シナ
り不興奮性を起こす。
プス形成・アポトーシスでも、神経伝達物質
は重要な役割を演じる。
動物実験
発達中の神経伝達物質レベルの変化は、成
バイオアレスリン(Ⅰ型)あるいはデルタ
熟した場合の被ばくでは起こらない脳に重大
メトリン(Ⅱ型)を生後10日に少量投与さ
な影響を及ぼす。いくつかの異なるメカニズ
れたマウスも、成熟して脳皮質中のムスカリ
ムが有機リンの神経発達影響を説明するのに
ン性コリン作動性受容体レベルが低く、多動
役立つ。第1に、神経伝達物質レベルを変え
1 13
であることを示した。
薬量反応曲線をさ
ることにより(アセチルコリンやほかの二次
らに明らかにするため、研究者は生後 10 日に
的)、これらの化学物質は細胞の複製や分化を
0.21 と 0.42, 0.70, 42 mg/kg のバイオアレスリ
妨害する。第2に、アセチルコリンエステラ
ン量を投与した。大人になったときのマウス
ーゼ自体が、神経伝達物質アセチルコリンを
の多動性は 0.7
mg/kg まで量の増加につれて
分解する酵素としての役割とは別に、脳の発
増加したが、その後、42 mg/kg の量で鋭く低
達で役割を担っていると思われる。この酵素
下した。高被ばく量の試験で低被ばくレベル
はニューロンからの神経突起の成長を促進し、
でのみ見られる悪影響をつき止めることに失
この酵素の不足は神経突起成長を減少させる
敗したこの観察は、農薬試験にとって特に重
ことを研究が示している115。その他に、コリ
要である。農薬規制試験目的のための投与量
ン作動性メカニズムとは別に、クロルピリホ
選択に関する現在の方法は、この影響を見落
スは DNA 合成を減らし、発達中の脳で細胞
としていると思われ、再検査すべきである。
数の不足を生じる。116 ,117 後者の観察は 2
別な 2 種類のピレスロイド、フェンバレラ
つの理由から特に重要である。第1に、有機
ートとサイパーメトリンの研究では、胎児期
リンの毒性の力は、コリンエステラーゼ阻害
と授乳期被曝後に、ラットの子で神経伝達物
の程度から推論されることが多いが、DNA 合
質レベルへの影響を調べた。11 4 神経伝達物
成と細胞数に関するクロルピリホスの影響は、
質酵素(モノアミンオキシダーゼとアセチル
一般的結論は抗コリンエステラーゼ活性だけ
- 71 Greater Boston Physicians for Social Responsibility
訳
渡 部和 男
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第6章
危険な道
既 知の 及 び 疑 われ て い る
発 達 神経 毒 物
から得ることはできない。一般に、神経毒性
環境保護庁はこのような検査を求める権限が
検査は細胞増殖と分化に関する有機リンの影
あるが、まれな例外は別として、権限行使に
響を調べるように計画されていない。コリン
失敗している(第 7 章を見よ)。
エステラーゼ阻害が最も敏感な指標であると
推定されてきている。第2に、DNA 合成と細
胞分裂を弱めるのに必要な低濃度のクロルピ
リホスは、一部の農薬の家庭利用条件で、子
溶剤
•
供の被ばくレベルより実際に低い。118,119
発達中の有機溶剤被ばくは、構造的先天性
欠損症や多動・注意欠陥・IQ 低下・学習と
ピレスロイドとピレトリン・有機塩素も、
記憶の欠陥を含む、幅のある障害を引き起
神経細胞機能に干渉することにより、毒作用
を発揮する。種々のイオンに対する神経細胞
こすだろう。
•
妊娠中の 1 日に 1 回という少ない飲酒が、
膜の透過性を変えることにより、神経細胞の
子供で衝動的行動や、記憶や IQ・学校での
興奮性を増加あるいは減少させ、繰り返しの
成績・社会適応の持続する低下を招くだろ
発火あるいは不活動を長引かす。それぞれの
う。
グループの殺虫剤も脳の一部で神経受容体レ
•
動物と限られた人間での研究は、かなり大
ベルを永続的に変化させ、結果として動物の
きな被ばくが必要であるが、妊娠中にトル
行動を変化させることを発達中の動物で行っ
エンやトリクロロエチレン・スチレン・キ
た研究が示している。
シレンのような一般的な化学物質に被ばく
すると、子供で学習欠陥や行動の変化を起
結論
こすことを明らかにしている。
いくつかの様々な農薬グループは、妊娠中
あるいは新生児期にある特定の弱い窓の時期
被ばく経路
に、独特の神経発達毒性を示す。このような
有機溶剤は消費製品や趣味・産業で広く使
感受性期間の小さな被ばくは、脳の神経受容
われている。大規模産業発生源から環境への
体レベルを永遠に変化させ、成熟したときに
一部の有機溶剤放出は、毒物放出インベント
動物で多動を起こす。これらの悪影響は成熟
リー( TRI)で報告されている。例えば、 1997
した動物の被ばく後に見られるものと明瞭に
年に 11500 万ポンドのトルエン、7500 万ポン
異なる。ネズミ類で生後 10 日の脳発達段階は、 ドのキシレン、4600 万ポンドのスチレン、2100
人間で妊娠の終わり 3 分の 1 の段階と同じで
万ポンドのトリクロロエチレンが、空気や水、
あることに注意するのは重要である。そのた
大地に、毒物放出を報告することが命じられ
め、妊娠後期にこれらの化学物質に被ばくし
ている大規模産業によって放出された。
た女性の子孫で、同じ結果が起こる可能性を
これらの結果が示している。発達の間に混じ
エタノール(アルコール)
り合った農薬に被ばくした子供の研究は、持
久力や協同運動・記憶・概念化と描画能力な
どの種々の神経機能に対する悪影響を示して
いる。そのため、これらの結果は、商業利用
を許可する前に包括的な神経発達検査が必要
であることを確信させる。現行法の下で、米
エタノールの神経発達影響は広汎に研究さ
れてきた。専門用語「胎児性アルコール症候
群」( FAS )は、慢性アルコール中毒女性の子
供で奇形を記述するために 1973 年に最初に作
られた。1 20 しかし、胎児のアルコール被ば
くの結果はずっと以前から知られていた。影
- 72 Greater Boston Physicians for Social Responsibility
訳
渡 部和 男
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第6章
危険な道
既 知の 及 び 疑 われ て い る
発 達 神経 毒 物
響を受けた子供は、障害の程度はかなり異な
ばくは神経回路を変化させる。第 3 三半期は、
るが、成長と発達の遅れを伴って、入り交じ
アルコール被ばくの結果としての脳障害に特
った頭蓋および顔面や、四肢、心血管系の欠
に傷つきやすい時期である。123
損症を示す。
胎児へのアルコール影響は、全アルコール
消費量より、母体のピークとなる血中アルコ
ールレベルに関係し、どんちゃん騒ぎの飲酒
は長期間に同量飲むよりも有害であると思わ
れる。1 24 ある研究は、1日に平均で純アル
コール 0.5 オンスで閾値影響を発見した。125
胎児被ばくの臨床的現れは、多動と注意欠
陥である。1 26 記憶や情報処理速度・計算機
能も悪影響を受ける。12 7 摂食障害やおねし
ょ・睡眠障害・会話の遅れ・不安・抑うつ・
精神兆候も生じる。
FAS の子供で認識障害と精神遅滞の可能性
は高いが、精神機能は様々で正常のこともあ
る。出生前に激しくアルコールに曝された双
子 16 組の研究は、一卵性双生児 5 組と二卵性
双生児 11 組中 7 組で、胎児性アルコール症候
群に一致することを発見した。128 遺伝的に
認識機能は正常から重度の崩壊まで変化す
決まっている母親のアルコール代謝の変化も
るが、肉体的特徴はそれとは別に正常から明
子供の FAS の可能性に影響する。なぜなら、
らかな異常まで変化する。米科学アカデミー
アルコールの代謝物、アセトアルデヒドはこ
胎児性アルコール症候群委員会は、胎児のア
の疾患に大きく関係すると考えられているか
ルコール関連以上に対して 5 つの診断範疇を
らである129。これらの観察は、遺伝因子と良
提案している。121 1 ) FAS の診断と母親のア
く知られた神経発達毒との相互作用を証明す
ルコール被ばく歴の確認 2 ) FAS の診断と母
る。
親のアルコール被ばく歴の確認なし 3 )アルコ
胎児のアルコール被ばく結果の研究で遭遇
ール被ばくの確認がある不完全な FAS 4 )アル
する困難の 1 つは、母親の乏しい栄養摂取や
コール関連先天性異常
5)アルコール関連神
経発達障害
出生前の注意の遅れ、喫煙を含む母親の薬物
乱用がいっしょに存在することが多いことで
臨床的な異常の幅は、恐らく妊娠中のアル
ある。これらの因子は、アルコールだけによ
コール被ばくの時期や期間・レベルの差を反
る臨床的特徴を抜き出す努力を複雑にする。
映しているのであろうが、種々の障害の傷つ
さらに、摂食障害と睡眠障害・行動の困難・
きやすい時期は良く分かっていない。妊娠第 1
認識機能や注意の障害は、母子関係に悪影響
三半期に被ばくすることが、FAS で見られる
を与えることが多い。このように、どの位の
はっきりした肉体的顔面異常におそらく必須
将来の障害が胎児アルコールによるものか、
122
である
。第 2 、第 3 三半期のアルコール被
そしてどの位が幼児期と早期小児期中の社会
- 73 Greater Boston Physicians for Social Responsibility
訳
渡 部和 男
In Harm's Way
Chaper 6: Known and Suspected
Developmental Neurotoxicants
第6章
因子によるものかを知ることは困難である。
危険な道
既 知の 及 び 疑 われ て い る
発 達 神経 毒 物
ず、特定の溶剤と発達の結果を関連づける試
みはなされなかった。そのため、この単一の
神経毒性のメカニズム
研究からはっきりした結論を出すのは誤解を
胎児のアルコール被ばくが脳重量の減少や
与えるだろう。
ある種の細胞の選択的減少・細胞の成熟障害
トルエンは接着剤やインキ・ペンキ・クリ
・シナプス発達の遅れを起こすことが、動物
ーニング剤・ガソリンに使われている有機溶
130,1 31
の研究が明らかにしている。
いくつ
剤である。妊娠中に母親が接着剤をかぐ(注
かの異なるメカニズムがアルコール毒性に寄
:シンナー遊び)ような重度の被ばく曝後、
与しているのだろう。それには、細胞接着分
子供は FAS に似た頭蓋顔面異常をもって生ま
132
酸
れるだろう。13 8 追跡研究は、成長遅滞と、
素供給の減少の結果としてアミノ酸やブドウ
認識や会話。運動技術の永続的障害を示した。
糖・その他の栄養素の胎盤輸送減少、
それ以下では人間で神経発達影響がないトル
子への妨害よる細胞相互関係の妨害、
133
シ
134
ナプス伝達の異常
がある。
エンの被ばくの閾値レベルが存在するかどう
かは知られていない。トルエンの発達影響は
アルコールの影響に非常に似ているので、一
その他の溶剤
部の研究者は毒性メカニズムは同じであると
信じている。13 9 人間では良く研究されてい
人間の研究
ないが、アルコールと同じように比較的わず
エタノールと比較して、ほかの溶媒の脳発
達と機能への影響について良く分かっていな
い。溶剤への職業被ばくは、成人労働者で末
かなトルエン被ばくでさえ、微妙であるが重
大な影響を神経認識発達に対して持っている
のがこのことであろう。
梢と中枢神経系への影響を生じ、また子供で
中枢神経系の異常を含む先天性異常に関連す
動物での研究
る135,136 。しかし、母親が妊娠中に溶剤に被
動物での研究もトルエンに対する間欠的な
ばくした子供の神経発達に関してほとんど情
重度の出生前被ばくの神経行動学的結果を示
報が利用できない。1 研究が、少なくとも妊
している。 妊娠しているマウスに 200,
娠の一部に職業性溶剤被ばくをした母親の子
2000 ppm ( ppm ) のトルエン吸入により、妊
137
供の神経発達を 3 才で調べた
。注意や行動
400,
娠 12-17 日に 1 日 3 回 60 分間被ばくさせ
・社会性・活動性・学習に関して有意な影響
た。 最も高い被ばく群から産まれた子どもは、
は見られなかった。発達の出来事は被ばく群
立ち直り反射や握力・反転スクリーン inverted
と非被ばく群で同じであったが、非被ばく子
screen の行動試験で成績がより悪かった140 。
供と比較して妊娠を通して被ばくした子供で
歩行開始が遅れる例外があった(13.3 か月対
12.2 か月)
。この発見は意味がはっきりしない。
というのは、妊娠期間の始めの 3 分の 1 ある
いは 3 分の 2 のみ被ばくした母親の子供は、
被ばくしない子供より実際に速く歩き始めた
妊娠 7-20 日に吸入により1日 6 時間、1800
ppm のトルエンに被ばくしたラットはモーリ
ス水迷路 Morris water maze で試験した時、学
習の障害のある子供を産んだ。141 米国のトル
エンに関する職業安全限度は週 40 労働時間に
ついて 200 ppm が許されている(職業安全限
からである (10.8 か月、11.6 か月、12.2 か月)。
度は実施されないであろう。ここに出した値
この研究で母親の被ばくは実際には測定され
は実験データとの比較目的のためだけであ
- 74 Greater Boston Physicians for Social Responsibility
訳
渡 部和 男
In Harm's Way
Chaper 6: Known and Suspected
Developmental Neurotoxicants
第6章
危険な道
既 知の 及 び 疑 われ て い る
発 達 神経 毒 物
る)
。妊娠と授乳の間 16, 18, 400 mg/リットル
ド試験で活動減少、回避行動減少を示した。1
(ppm )を含む飲料水を与えたマウスは、運動
47
技術(回転棒試験成績)に欠陥のある子供を
週 40 時間に対して 50 ppm が許されている。
産んだ。142 最高被ばく群はオープンフィー
別の研究は、出生前スチレン被ばくと食物の
ルド活動で慣れの低下を示した。飲料水中の
タンパク質不足との間の重大な相互作用を示
トルエンに対する最大汚染レベル( MCL )は
している。14 8 妊娠中に蛋白欠乏食とスチレ
1.0 mg/l ( ppm)である。
ン(100 mg/kg/日) を投与したラットは、スチ
妊娠と授乳を通して、312, 625, 1250 mg/l
(ppm )のトリクロロエチレンを含む水を与え
たラットの子が研究された143 。どのレベルで
も被ばくした生後 60 日と 90 日の雄ラットで
米国のスチレン被ばくの職業安全限度は、
レンだけに被ばくしあるいは低蛋白食のみを
含む対照と比較して、低脳重量をもちアンフ
ェタミン誘導多動性が著しく増加した子を産
んだ。
探索行動が増加した。運動の活発さ(running
wheel)は 1250 ppm のトリクロルエチレンに
被ばくしたラットで高かった。環境保護庁の
結論
トリクロルエチレンに関する飲料水 MCL は
まとめると、胎児期の比較的少量のアルコ
0.005 mg/l ( ppm)である。交尾前に 2 週間、週
ール被ばくが正常な脳の発達をかき乱し多動
に 5 日、1 日 6 時間、吸入により 1800 ppm の
性や注意と学習障害、記憶障害を起こすこと
トリクロルエチレンに被ばくしたラットから
を、多くの研究が報告している。胎児アルコ
産まれた子は体重が減少したが、行動異常の
ール症候群のリスクの大きさは遺伝および環
証拠はなかった。
妊娠を通して被ばくし
境要因とその相互作用に依存している。妊娠
たラットの子は、活動レベルが少し減少した。
中のトルエンに対する大きな吸入被ばく(接
米国の職業安全限度は週 40 労働時間で 100
着剤吸入)も、構造的脳障害を起こすと同様
ppm のトリクロルエチレン被ばくを認めてい
に、胎児の脳発達にひどい影響のリスクをも
る。
たらす。胎児脳発達に関する少量被ばくの影
14 4
妊娠 7-20 日で、6時間/日、500 ppm の吸入
によるキシレン被ばくは、ラットの子供で脳
重量減少と運動成績(回転棒試験)や学習・
記憶低下(モーリス水迷路)を招いた145。500
mg/‰は 115
ppm に等しい。別の研究で妊娠
期間を通じて、週 5 日、61 日 6 時間、500 mg/
‰のキシレンに被ばくしたラットの子孫は、
オープンフィールド試験で水平運動減少と脳
や心臓・肝臓・腎臓の構造変化を示した146 。
50
mg/‰では、子供は成長遅滞と骨格異常を
示した。米国の職業安全限度は週 40 労働時間
で 100 ppm のキシレン被ばくを許している。
週 6 日、1 日に 7 時間 25 と 50
響は不明である。職場や消費製品で遭遇する
ほかの溶剤は正常な脳発達をかき乱す可能性
を持っているが、一般に高い被ばくレベルに
おいてである。しかし、職場で認められてい
るレベルあるいはそれより下でキシレンとス
チレンは学習や行動・運動技術・活動レベル
を胎児被ばく後に変化させることを動物実験
が示している。揮発性溶剤は消費製品中に存
在することが多いので、趣味や家庭での過剰
被ばくが、特に密閉したり換気が悪い場所で
使う場合起こりうる。栄養要因も溶媒被ばく
の神経発達影響に影響する。
ppm のスチ
レンに被ばくした幼弱ラット(生後 1-48 日)
その他の懸念される化学物質
は有意な体重増加の遅れ、オープンフィール
- 75 Greater Boston Physicians for Social Responsibility
訳
渡 部和 男
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第6章
危険な道
既 知の 及 び 疑 われ て い る
発 達 神経 毒 物
され、疾病管理予防センターによって、20 世
発達神経毒性の評価は多くの化学物質でな
紀の公衆衛生の主な成功話として伝えられて
いが、2 種類の大きく異なる物質が意図的に
いる。私たちはここで全論争をレビューしよ
水や食品に添加され、それによって一生毎日
うとは思わない。最近のレビューは別の所に
大きな集団を被ばくさせるので、特に取り上
ある。14 9,1 50 ,15 1 それよりも、ここで、私
げるに値する。食品や水道を通じて全集団が
たちは、出生前のフッ素被ばくによる神経発
化学物質に被ばくする場合、被ばくを開始す
達への影響について短く注釈する。
る前に、そして新しいデータが利用できるよ
うになるので、徹底した安全評価が重要であ
る。
米国環境保護庁は、飲料水中で 4.0 ppm のフ
ッ素の推奨最大汚染レベルを設定している。
国立歯研究所 National
Institute
for
Dental
Research は虫歯を予防するために 1 ppm のフ
ッ素が最適であると考えた。局所フッ素治療
フッ素
やフッ素錠剤・フッ素入り歯磨きなど、それ
1950 年代から、米国や世界のほかの地域の
多くの共同体で虫歯を減らす目的で飲料用水
以外のフッ素源は全フッ素負荷につけ加えら
れる。
道にフッ素が添加されてきている。フッ素添
加の安全性に関する論争は、斑状歯ともろさ
(歯フッ素症 dental fluorosis)・骨のもろさ(骨
格フッ素症 skeletal fluorosis)・骨の癌・ホル
モンかく乱(メラトニン)
・早熟・神経発達の
変化に関する懸念に集中している。その他に、
一部は水道をフッ素化することは虫歯にほと
んど影響しないと批判している。
動物実験で、ラットに妊娠の間 14-18 日あ
るいは 17-19 日から 9 回注射によって 0.13
mg/kg の弗化ナトリウムを投与した152 。投与
した動物と対象の子をビデオテープによって
モニターし、次に様々な行動特性を定量化す
るためにコンピューターで解析した。妊娠
17-19 日にフッ素に曝された子は有意な多動
を示した。被ばくしない動物よりある行動か
フッ素化は米歯科医師会により忠実に擁護
ら別の行動に移る傾向が多かった。この研究
は過剰なフッ素に被ばくさせたと批判されて
いる。この著者は、投与された動物で血中フ
ッ素レベルは、フッ素化した水を通じて被ば
くした人で測定されたレベルと同じであると
回答した。他の批判は妊娠の間の同じ時期に
被ばくした 2 つの群で結果が異なるという、
生物学的信頼性がないことに集まっていた。1
53
しかし、影響を受けやすい発達段階は、こ
の時の窓の間に急速に変化することを著者は
指摘し、この発見は完全に信頼できると主張
した。154
別の研究は、妊娠と授乳の間飲料水で 5, 15,
50
ppm のフッ素を与えたラットの子は生後
80 日に検査した時、アセチルコリンエステラ
ーゼが有意に高かった。15 5 母親のアセチル
- 76 Greater Boston Physicians for Social Responsibility
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既 知の 及 び 疑 われ て い る
発 達 神経 毒 物
コリンエステラーゼレベルも増加していた。
響を与えると思われることを示す。。入手可能
この研究で測定しなかったが、上昇したアセ
なデータから最終結論に達しないが、これら
チルコリンエステラーゼ活性によって起こり
の発見は挑発的であり重大な公衆衛生の懸念
得る結果はアセチルコリンレベルの減少であ
である。おそらく最も驚くことは、飲料水に
る。先に述べたように、酵素アセチルコリン
意図的に添加されるこの化学物質が正常な脳
エステラーゼと神経伝達物質アセチルコリン
発達と機能に干渉するかどうかという、中心
は脳の発達で重要な役割を演じる。発達の間
的疑問に向けられたデータが比較的まばらな
のあらゆる神経伝達物質濃度の変化は永続的
ことである。集中した研究をこの重要なこと
な神経学的結果を生じる。最大の影響は 5 ppm
に緊急に向けるべきである。
で見られ、高いレベルでは減少した。中国の 2
研究はフッ素被ばくが高い共同体で子供の IQ
が有意に低いことを突きとめている。飲料水
食品添加物
が 4.12 ppm のフッ素を天然に含んでいる共同
ある種の食品添加物が神経の発達や行動、
体で、フッ素レベル 0.91 ppm の近くの共同体
学習能力を買えるという可能性は、長年活発
より IQ が有意に低かった(平均 IQ 98 :105)
。
な論争の主題となってきた。
15 6
この差は、調査した集団の親の教育レベ
懸念される食品添加物は次のものである。
ルを調節しても残った。2 つの集団が同じよ
うな職業・生活水準・社会習慣であると、著
者は述べている。この研究の生態学的設計は
引き出される結論にいくつかの限界を与えて
いる。というのは、個人のフッ素被ばくレベ
ルと個人の IQ とを関連させようとしないで、
集団規模に基づいて被ばく(フッ素)と結果
1)アミノ酸であるグルタミン酸、自然に多
くのタンパク質の中に存在し、多くの加工食
品に添加される。
1)人工甘味料アスパルテーム、これは 2 種
類のアミノ酸であるアスパラギン酸とフェニ
ルアラニンに代謝される。
3)食用着色料と色素。
(IQ)を比較したためである。
それでもなお、全集団で 7 点の IQ 変化は、
個人に影響すると同様に大きな集団規模の意
味を持ち、これらの結果は密接に注意するに
値する。ほかの研究で、研究者は子供を 4 つ
に階層化するために、歯のフッ素症と尿のフ
ッ素レベルを使った。1 57 高いフッ素被ばく
はこの集団で IQ 減少と関連していた。即ち、
フッ素被ばくの 4 段階の子供で、IQ 得点の分
布はフッ素被ばくが増加するにつれ次第に下
グルタミン酸とアスパラギン酸は、ほ乳類
脳で主要な興奮性アミノ酸神経伝達物質であ
ることと、妊娠後期にアカゲザルに投与した
大量のグルタミン酸が胎児の脳に障害を起こ
したことに158,159 懸念が集まる。下にある下
垂体に化学的メッセージを送り、ホルモン調
節過程に重要な関係がある脳部位である視床
下部への障害は最も広汎に研究されてきた。
大人の脳の大部分は血液脳関門によって守ら
れているが、約 6 か月になるまで(ラットで 3
方に移った。
週間、神経毒性検査を考慮する場合重要な違
い)、発達中の人間の脳は血液脳関門が完全で
結論
はないことに注意するのは重要である。しか
動物と人間集団の研究は、水道水がフッ素
化された集団のかなりの割合が経験している
レベルで、フッ素被ばくは発達中の脳に悪影
し、一生のあらゆる時に視床下部は血液脳関
門により守られておらず、血中を循環するあ
らゆる潜在的神経毒物質と接触し続ける。160
- 77 Greater Boston Physicians for Social Responsibility
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第6章
危険な道
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発 達 神経 毒 物
視床下部細胞の破壊は、視床下部と下垂体・
the Public Interest か らの最近の報告は、 23
精巣・卵巣の間の精巧な化学メッセンジャー
の制御された研究をレビューし、研究の一
(ホルモン)のフィードバックの環を妨害す
部は盲検であり、一部の子供の行動は人工
ると思われる。
色素あるいはある種の食品を摂取した後に
実際、大量のグルタミン酸ソーダ( MSG)を
有意に悪化するという 17 の証拠を発見し
新生児期に投与されたラットは、付属生殖器
た。 16 8 また、米精神保健研究所 National
官が有意に小さく、テストステロン濃度が低
Institute of Mental Health は 治療方針として
いことを研究が示している。16 1 しかし、こ
食事を退けており、食品医薬品局は行動に
れらの研究で使われた MSG は連続した数日
関する食事の影響を否定していることを著
間で 2-5 mg/kg のことが多く、視床下部ニュ
者は注意している。この話題は、発表され
ーロンの破壊を起こすと知られているレベル
た科学研究や事例報告、規制、公衆が資金
であるが、人間が食事から取り込む 1 日量の
を出した研究所、挙証責任、不確実性に関
162,163,164
上限は約 35 mg/kg である。
しか
する教訓的に交わる点である。
し、成人で経口投与後、血中グルタミン酸レ
ベルは、大人のサルで対応する量より 20 倍、
結論
マウスより 5 倍高く上昇することを、オルネ
イは主張している。16 5 そのため、安全余裕
は動物実験から分かるものではないと彼は述
べている。
約 25 年間、人工甘味料や着香料・着色料
・色素などの食品添加物が子供の脳機能に影
響する程度を巡って、かなりの論争が渦巻い
た。動物で観察可能な悪影響を生じるために
妊娠中と授乳中に、アスパルテームを 2%,
は、人間の食物中の食品添加物より相当高い
6% 含む餌を与えたラットの子は、眼の
被ばくが必要であることを、研究が示してい
4%,
開きや、水泳、立ち直り、驚愕応答、歩行に
る。
166
遅れを示した
。影響はそれぞれの被ばくレ
ベルで見られた。授乳期間の被ばくは出生前
被ばくより影響があった。これらの被ばくは
約 3-9 g/kg/日であり、予想される人間の被ば
くレベルより約 1000 倍高い。しかし、鉛や水
銀、PCB からの教訓を思い出すことが重要で
ある(動物実験は一般に発達神経毒に対する
しかし、歴史的レビューは、動物実験は人
間の脳の感受性をしばしば過小評価している
ことを示している。また、一部の子供はこれ
らの添加物被ばくに特に敏感であり、多動と
注意集中期間の減少を伴うであろうことを人
間の研究が示している。
一般人で注意と行動障害にこれらの食品添
人間の感受性を 100-1000 倍過小評価する)。
懸念の第2の焦点は、ADHD あるいはほか
の注意障害と診断された一部の子供の行動を
変える食用色素と添加物の明らかな能力に集
まっている。1970 年代にベンジャミン=ファ
インゴールドが多動や気分および行動障害の
ある子供の行動変化と食品添加物を結びつけ
たとき、かなりの関心に火をつけた。167 そ
れ以来、この話題はかなり論議を呼んでいる。
公衆利害科学センター Center for Science in
加物が寄与する程度ははっきりしないままで
あるが、一部の子供は親や教師、保健医療提
供者が気付くような行動の変化によって反応
することは明らかである。ADHD の子供で食
事と行動との間の関係ははっきりせず、かな
り一致しないままである。この関係が一部の
子供で存在し、これらの食品被ばくに対する
高い感受性の起源に関して疑問があるとかな
りの量の文献が結論している。
- 78 Greater Boston Physicians for Social Responsibility
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第6章
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発 達 神経 毒 物
毒物と健康影響
人:人間の研究 動:動物の研究
毒物
健康影響・特徴
金属
毒物
溶剤
健康影響・特徴
鉛−人・動
トルエン −人・動
学習障害
マンガン−人・動
水銀 −人・動
学習障害
IQ 低下
会話障害
注意欠陥
運動機能不全
衝動性
頭蓋・顔面の異常
暴力
ト リ ク ロ ロ エ チ レ ン 探索行動増加
多動性
−人・動
多動性
攻撃性
キシレン −動
運動機能不全
脳障害
学習障害
運動機能低下
記憶障害
衝動行動
脳重量減少
記憶障害
農薬
多動性
有機塩素
多動性
学習障害
DDT −動
持久力低下
注意欠陥
混合物−人
協同運動低下
低レベルで:
記憶低下
視覚障害
良く知った物を描く能力の低
学習障害
下
注意欠陥
有機リン(DFP・クロ 発達遅延
運動機能低下
ル ピ リ ホ ス ( ダ ー ズ 多動性
記憶障害
バン )・ダイアジノン 行動障害
高レベルで:
を含む)−動
運動障害
脳の大きさ減少
脳内細胞のゆがみ
ピ レ ス ロ イ ド ( バ イ 多動性
精神遅滞
オアレス リン・デル
溶剤
エタノール−人・動
タメトリ ン・シペル
学習障害
メトリン を含む)−
注意欠陥
動
記憶障害
その他
行動障害
ニコチン −人・動
摂食障害
睡眠障害
スチレン−人・動
多動性
学習障害
認識機能の発達遅延
低出生体重
ダ イ オ キ シ ン − 人 ・ 学習障害
発達の遅れを伴う頭蓋及
動
び四肢・心臓血管の異常
PCB−人・動
学習障害
精神遅滞
記憶障害
活動低下
多動性
回避行動低下
精神運動機能不全
食品中タンパク欠乏との
フッ素
組合せで、脳重量減少・
動
多動性
多動性
人
IQ 低下(生態的研究)
- 79 Greater Boston Physicians for Social Responsibility
訳
渡 部和 男
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第6章
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発 達 神経 毒 物
げっ歯類の神経発達試験の用語
実 験動物の神経発達を評価するために多くの
ケージの中道に入れる。入った区画の数
(全活動)
、
様々な試験が使われる。これらの試験が有効であ
水平と垂直運動(立ち上がり)、動かない時間、
り、実際に正常又は異常な神経機能の指標として
歩行やあらゆる運動、慣れ、新しい環境に対する
役立っていることは重要である。試験の妥当性に
反応が観察される。
はいくつかの要素がある。研究者は標準化した試
回転棒成績 Rotorod performance –
験プロトコルを用いて非常に類似の条件で試験を
ゴムを張った表面を持ち様々な標準化された速度
行わなければならない。これらの条件が合わされ
でモーターによって回転させた小さな水平の円筒
れば、複数の研究室で類似の結果が観察され、任
上で、
バランスを維持する動物の能力を試験する。
意の研究室で再現できるはずである。再現されな
これはバランス反応と運動の協調性を試験する。
い又は結果に広く説明できない変化を示す検査
回転かご Running wheel – 動物は回転する和の
は、神経学的検査にほとんど役立たない。最後に、
内側で走るのを観察する。
動物が
予測力及び種の多様性(種の一致)を考慮しなけ
ればならない。これらのことは人間での影響を予
学習と記憶 LEARNING AND MEMORY:
測するために動物試験を用いる場合特に重要であ
モリスの水迷路 Morris water maze – 泳ぐことが
る。
できる動物をタンクの特定の場所に表面直下に沈
めた小さなプラットフォームがある水のタ
次の記載はこの報告で言及した試験だけ
ンク中に入れる。動物はプラットフォーム
に関して骨組み的な記述を読者に提供す
を発見しその上に立つことができる。これ
ることを目的としている。試験の管理の
は学習と記憶を試験するために様々な感覚
ための標準的プロトコルは入れていない。
で繰り返される。プラットフォームの位置は動物
の忍耐傾向や再学習を調べるために変えることが
初期の反射 EARLY REFLEXES:
できる。
T 迷路試験 T maze tests – 動物は T 字型の迷
姿勢反射 Placing
response −動物は首筋を持た
路に置かれ、迷路の片方で報酬を各巻するのを学
れ、ワイヤーで顎に触れさせられる。通常動物は
ぶ。選択を必要とする他の試験のように、迷路試
ワイヤーを前足でつかむ。この反応は生後 2 、 3
験は報酬を得るために反応戦略を変えることを学
日以内に現れる。
ばなければならない。応答戦略を変えることは最
立ち直り反射 Righting reflex – 動物は仰向け
初に正しい反応を学ぶことより複雑で、学習の障
に置かれ、立ち直る速度と農薬を観察される。
害の一層敏感な指標だろう。
視覚認識 Visual recognition – 正しい反応に報
回避 AVOIDANCE :
酬を与えることによって、動物が形や色・位置を
認識する能力を試験するために様々な試験が設計
断崖回避 Cliff avoidance – 動物を高くしたプラ
されている。弁別逆転学習は以前の正しい答えが
ットホームに置く。正常な反応は視覚刺激が危険
今は間違っているように正しい答えを逆にするこ
な深さ(高さ)を示した場合そむける。
とによって試験できる。
- 80 Greater Boston Physicians for Social Responsibility
訳
渡 部和 男
In Harm's Way
Chaper 6: Known and Suspected
Developmental Neurotoxicants
第6章
図表の脚注
水銀−不適当な安全余裕
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