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44K - 北海道
サービスのパッケージ化の促進 −室内外の家屋の修理、ペンキ塗り 2 0 0 0(平成1 2)年度から介護保険がスタートし たが、介護保険でのホームヘルプサービス(家事 援助)は、掃除、洗濯、調理などの日常生活の援 −家具、電気器具等の移動、修繕 −植木の剪定など は介護保険の対象外とされている。 助であり、利用者が単身、または家族が障害、疾 利用者のニーズは時によって様々であるが、 病などのため、本人又は家族が行うことが困難な NPO 法人のなかには、介護保険サービスと自主 場合に行われるものとされており、 サービス(自主事業)を組み合わせて利用者ニー 日常生活を営むのに支障がないと判断されるも ズに積極的に応えている例もあり、企業自らが の サービスメニューの拡大を図るほか、他の NPO −草むしり、花木の水やり、犬の散歩などの や企業等との連携を図り、サービスマネージメン 世話など 日常的に行われる家事の範囲を超えるもの 図4−3 トを行いながら、利用者ニーズに応えていくこと も必要である。 介護保険サービスと自主サービスの組み合わせ例 自 主 事 業 高齢者 サービスニーズ A 社 連携 サービス提供 B社 (NPO) 高齢者の様々なニーズに対し、 申し込みを受けた A 社が他の B 社(NPO)と連携してサービスを提供 申し込みを受けた A 社が新たに自主事業を展開し、サービスニーズに対して一体的に サービスを提供 また、サービスのパッケージ化は、在宅系の サービスに止まらず、日常生活上重要な外出に伴 う、外出手段と外出目的先の連携を図ることに よって、高齢者にとって外出が円滑になるととも に、サービス提供者サイドとしても効率的にサー ビスを提供することが可能であり、重要な視点と 考えられる。 なお、パッケージ化の例を示すと、次のとおり である。 7 8 ○ 介護保険サービスと自主サービスの組み合わせ 【介護保険の訪問介護事業者+自主サービス事業者】 ・ 訪問介護の際に、庭木の手入れやペットの世 話などのサービスを併せて提供する。 ・ 利用者が入院した場合は、留守宅の管理(冷 蔵庫の整理、新聞購読停止、郵便物の整理など も含む。 )も行う。 ○ 買い物代行・宅配システム 【タクシー会社+コンビニエンスストア】 ・ 利用者は FAX でタクシー会社に注文書を送 る。 ・ タクシーがコンビニに行って購入し、利用者 宅に届ける。 ※本人が買い物に出かける場合のタクシー代等よ り安価。 ○ 配食サービス+安否確認【配食事業者+NPO】 ・ 配食事業者が調理した食事を NPO が戸口ま で運ぶ。 ・ NPO は利用者の健康状態を確認し、遠くに 住む家族にメールで連絡する。 した材質や脱衣場の環境など、気候特性に配慮し た住宅改修も不可欠であり、福祉住環境コーディ ネーターの資格を参考にしながら、北海道スタン ダードとして本道独自の資格の創設についても関 係者を含め検討していくことが重要と考えられる。 福祉住環境コーディネーターの概要 ○ 買い物ミニツアー 【店舗・商店街+NPO(+タクシー会社) 】 ・ 実施日と対象店舗(デパート、スーパー、商 店街等)を決めて買物ツアー参加者を募集する。 ・ 参加者を自宅まで出迎え、店舗へ移動する。 ・ 店舗内で買い物・食事をサポートする。 ・ 終了後参加者を自宅まで送る。 ※経費については、集客効果や広告宣伝効果を勘 案し、店舗側の負担とする。 ○ 送迎付き・特典付き生涯学習 【カルチャーセンター+タクシー会社+商店・飲食店】 ・ カルチャースクール受講者をジャンボタク シーなどで送迎する。 ・ 近所の商店等で受講証を提示すると割引など の特典がある。 ・ 住宅改修を適切に実施していくためには、高齢 者や障害者の身体的特性や生活特性、医療、福祉 用具等の福祉分野と、建築、構造、法規など建築 分野双方に関する幅広い知識を持った専門的人材 が必要であり、福祉住環境コーディネーターは、 専門かつ実践的な能力を備え、よりよい住環境の 整備・提案をするトータルアドバイザーとしての 役割を果たす。 ・ 東京商工会議所が実施する民間資格(1∼3級 の資格がある) 。 次に、人材の育成とは別に資格者の有効活用と 人材の育成、確保 いう点から、子育て中や子育てを終了した主婦な 利用者の満足度の高いサービスの提供や機能性 どの有資格者を積極的に活用するため、ワーク のある製品の開発を進めるに当たっては、良質な シェアリングや SOHO の形態の導入を図ること 人材の育成、確保が重要であり、今後の高齢化の により、フルタイムではなく、子供が学校に行っ 進展を踏まえると、大変大きな課題となっている。 ている間など、勤務可能な時間帯のみ就労する方 都市部においても、サービスを担う人材の確保、 法で人材の確保を図ることも重要である。多就業 定着の課題が顕在化しているが、地方ではこの問 型ワークシェアリングなどの新しい就業形態の定 題がより一層顕著であり、深刻な課題となってい 着に先導的役割を果たすことも期待される。 る。 また、地方では、都市部に比較して利用者が広 技術やサービスを担う人材の育成に向けて、北 域的に分散しており、サービス提供までの移動時 海道創造的中小企業育成振興条例や国(厚生労働 間が長く、大手の事業者が介護保険の施行を契機 省)の教育訓練給付制度などの有効活用を促すと に全国各地に事業所を展開したものの、間もなく ともに、2 0 0 2(平成1 4)年度に、建設業のソフト 撤退して集約拠点化した例のように、採算性の面 ランディング対策の一環として、今後成長が見込 で事業者が地方展開ができにくい面もある。こう まれる住宅リフォーム市場への展開を促進するた した地域については、都市に事業所を置き、地域 め、高等技術専門学院を活用して、福祉住環境 に存在する有資格者を SOHO 的な形で活用し、 コーディネーター2級及び3級の検定試験の内容 トータルマネージメントは事業所で行い、実際の をもとに、道内5都市で短期訓練(5日)と札幌 サービスは利用者にとって身近な地域に住む有資 市で長期訓練(2 0日)を実施しているが、今後も 格者が提供する方法(図4−4)を事業者におい 引き続き、訓練機会を確保することが必要であろ て検討していくことも重要と考えられ、事業化を う。 促進する観点から、産業振興関連の助成制度の効 また、本道は積雪寒冷地であり、住宅構造も雪 果的な活用を図っていく必要がある。 に対応して基礎が高床式であったり、冬場も想定 7 9 また、2 0 0 2(平成1 4)年1 1月に、中小企業挑戦 格が得られる企業組合制度は、異業種の事業者の 支援法(中小企業が行う新たな事業活動促進のた 連携に加え、SOHO 事業者や女性、高齢者など めの中小企業等協同組合法等の一部を改正する法 が集まり働く場を設ける際に適した事業形態と考 律)が公布され、企業組合の組合員要件や従事比 えられることから、この制度の活用を促すことも 率・組合員比率要件が緩和されたところであり、 必要と考えられる。 最低資本金の制約がなく、有限責任のもとで法人 図4−4 SOHO 的ネットワークによるサービス展開例 ○利用者(D町) サービス提供 サービス提供 ◎B町 有資格者 有資格者 ◎C村 契 約 ネットワーク ネットワーク ●事業所(A市) ○ D町に住む利用者は、A市の事業所と契約 ○ 実際のサービス提供は、B町とC村に住む有資格 者(ヘルパー)がサービス提供 ○ A市の事業者がサービス提供者とネットワーク化 を図り、トータルマネージメントを実施 モビリティの向上 参考資料1 1 0頁参照) 介護保険の施行に伴い、高齢者が要介護状態に 札幌市では、健康づくりとレクリエーション事 陥ったり、状態が悪化することがないように介護 業を複合化させた「すこやか倶楽部」を各地区で 予防施策や自立した生活を確保するために必要な 定期的に開催しているが、高齢者の介護予防に止 生活支援施策の推進を図るため、国において、 2 0 0 2 まらず、趣味や生きがい対策で一定の効果を発揮 (平成1 2)年4月1日に「介護予防・生活支援事 している。 業実施要綱」が定められている。 介護保険でも通所系のサービスが相当数利用さ この実施要綱では、高齢者等の生活支援事業な れているが、これらの事例を勘案すると、高齢者 ど大きく6つの事業からなるが、なかでも注目す が元気に生き生きと生活するためには、ニーズに べきは、介護予防・生きがい活動支援事業である。 応じ、外出して様々な活動を行うことが不可欠で この事業では、家に閉じこもりがちな高齢者や要 あり、外出手段となるモビリティの向上は重要な 介護状態になる恐れのある高齢者等に対し、通所 課題であることから、以下の方策について検討し 等による各種サービスを提供することによって、 ていくことが望ましい。 社会的な孤立感の解消、自立生活の援助、要介護 バス、タクシー事業者と商店街などとの連携に 状態になることの予防を図ることを目的とし、転 倒予防教室のほか、音楽活動、絵画、書道、観劇 よるモビリティの向上 などのアクティビティケアの実施が盛り込まれて 都市部と地方により公共交通機関の状況が大き いる。 (介護予防・生活支援事業実施要綱は巻末 く異なり、特に、公共交通機関に対する公的助成 8 0