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ハード・ディスク 「新」増設術
特 集 2 KeyWords ▼ ▼ ▼ iSCSI ハード・ディスク 玄箱 低スペック・ノートが生きる ハード・ディスク を使う 「新」 増設術 話題の iSCSI ノートPCやスリム型のデスクトップPCでは,本体内にハード・ディスク(HDD)を増設するスペースがありません。このような PCにHDDを増設するには,外付けHDDを用いるのが一般的でしょう。現在発売されている外付けHDDは,USB2.0 / USB1.1接続のタイプが主流です。PC 側のUSBポートがUSB2.0に対応していれば快適に使えますが,USB1.1では遅く て使い物になりません。 ところが,iSCSIという話題のインタフェースを利用すれば,古いPCでも快適に外付けHDDが使えます。そこで,本特集で は小型Linuxマシンである「玄箱Pro」を改造し,“iSCSI接続の外付けHDD” に仕立てます。 Part 1 iSCSIの特徴を学ぶ p.81 Part (麻生 二郎) 2 玄箱 Pro を iSCSI 化する illustration 80 2009.4 Nikkei Linux ● p.85 佐々野美緒 ハード・ディスク「新」増設術 特集 1 iSCSIの特徴を学ぶ 外付け HDD の新しい選択肢,ローカルの HDDとして扱える iSCSIは,コンピュータと周辺機器を接続するための規格「SCSI」のプロトコルを,TCP/IPネットワーク上で利用するための 規格です。ネットワークに接続されたハード・ディスクをローカル・ディスクのように扱えます。 iSCSI(Internet Small Computer Network) 」を安価に構築するための 出ないことから,ファイバ・チャネルで System Interface)は,2003 年に 登 場 技術です。一般的にSANの場合,コ SANを構築した場合はかなりの金額 した規格です。iSCSIでは,TCP パケ ンピュータとディスク装置をつなぐため になります。 ット内にコンピュータと周辺機器を接 に「ファイバ・チャネル」というインタフ 一方のiSCSIは,100 BASE-TXや1000 続するための規格「SCSI(Small Comp ェースを利用します。 BASE-T(ギガビット)などの一般的な uter System Interface) 」のプロトコル ファイバ・チャネルは,光ケーブル*1 LANに使用されるネットワーク機器が を載せて,通常のLANをSCSI バスの を使って,これらの機器同士を接続し そのまま使えます。通常のネットワーク ように利用します(図1) 。これにより ます。ケーブルだけで接続した場合,1 通信と混在できるため,新たな環境を LANにつながったディスク装置に対し, 対1の接続になります。そのため,複 用意する必要もありません。 SCSI で接続されているようにアクセス 数台のコンピュータやディスク装置を接 専用のネットワークを作っても安価 できます。 続するには,光スイッチなどのハブ装置 です。例えば,ギガビット対応の5ポー が必要です(図 2) 。 トのスイッチング・ハブが5000円以下で, インタフェース・カードや光ファイバ, ケーブルはエンハンスド・カテゴリ5のも iSCSIは本来,ディスク装置の大規 光スイッチ自体が高額なこと,大規模 ので 3 mで約 300円で購入できます。 模なネットワーク「SAN(Storage Area システム向けであるためにあまり数が 最大転送速度は,ファイバ・チャネル 安価な SAN を構築できる *1 光ケーブルの代わりに,同軸ケーブ ルやシールド付きより対線も利用できま すが,低速です。 サーバー機 SCSIのプロトコルを ネットワーク上に流す ためにTCPパケット でカプセル化 インタフェース・ カード 高価 光スイッチ SCSI 高価 TCP IP IPパケット 高価 ディスク装置 図1 iSCSIによるストレージ構成 TCP パケット内に SCSI のプロトコルを載せて,ディスクにアクセスします。 このように内部のプロトコルを隠ぺいする方法をカプセル化と呼びます。 ディスク装置 光ケーブル 図2 ファイバ・チャネルは高価 一般的に光ファイバで構成されるため,ケーブルや機器が高価です。 Nikkei Linux 2009.4 81 Linux Special 2 Part 2