Comments
Description
Transcript
GCC 加盟国における医療用画像診断機器市場
GCC 加盟国における医療用画像診断機器市場 についての調査報告書 2007 年 3 月 日本貿易振興機構 委託先:Incite Research & Marketing Solutions LLC Copyright © 2007 JETRO, All rights reserved. 本報告書の無断転載を禁ずる 【免責事項】 ジェトロは、本報告書の記載内容に関して生じた直接的、間接的、派生的、特別の、付随的、ある いは懲罰的損害及び利益の損失については、それが契約、不法行為、無過失責任、あるいはその他 の原因にもつづき生じたか否かにかかわらず、一切の責任を負いません。これは、たとえ、ジェト ロがかかる損害の可能性をしらされていても同様とします。 Copyright © 2007 JETRO, All rights reserved. アンケート返送先 FAX 03-5572-7044 ジェトロ 輸出促進課 宛 (2007 年 3 月現在) ● ジェトロ海外マーケティング調査報告書のご利用アンケート ● ∼「GCC 加盟国における医療用画像診断機器市場についての調査報告書」∼ 本レポートをご利用頂き、誠にありがとうございました。 ジェトロの今後のサービス向上に向けて、皆様のご意見を伺いたく存じますので、アンケートにご 記入下さいますようご協力お願い申し上げます。 ■ 質問1: 本調査報告書は、潜在的需要が高い可能性のある GCC 加盟国における医療用画像診 断機器情報を日本の中堅中小企業の方々に紹介することを目的に調査を実施いたしました。ど の程度満足されましたか?(○をひとつ) 4:満足 ■ 質問2: 3:まあ満足 2:やや不満 1:不満 上記のように判断された理由、またその他本報告書に関するご感想をご記入下さい。 ■ 質問3:その他、ジェトロへの今後のご希望等がございましたら、ご記入願います。 ふりがな お名前 会社・団体名 部署 役職 住所 TEL FAX e-mail http:// ★今後、お客様のご関心のあると思われるジェトロおよび関係機関の各種事業、各種アンケート調 査等のご案内の可否につき、該当欄に✔をご記入願います < 送付可 送付不可 > ★ ご記入頂いたお客様の情報は適切に管理し、ジェトロのサービス向上のために利用します。 お客様の個人情報保護管理者:輸出促進課長 TEL:03-3582-5313 ★ ご協力ありがとうございました。 日本貿易振興機構(ジェトロ)輸出促進課 〒107-6006 東京都港区赤坂 1-12-3 アーク森ビル 6 階 E メール: [email protected] ウェブ: http://www.jetro.go.jp/jetro/activities/export/ 目次 1. はじめに ......................................................... 5 6. クウェート ..................................................... 22 1.1 調査の目的 ................................................... 5 6.1 一般情報..................................................... 22 1.2 調査法 ......................................................... 5 6.2 クウェートにおける医療 ................................. 23 1.3 実地調査の時期 .............................................. 5 7. サウジアラビア王国.......................................... 28 要旨 ............................................................... 6 7.1 一般情報..................................................... 28 2.1 メーカー ...................................................... 6 7.2 サウジアラビアにおける医療............................ 28 2.2 画像診断機器の種類 ........................................ 6 2.3 昨年の購入 ................................................... 6 2.4 将来の購入 ................................................... 6 2. 2.5 購入先 ......................................................... 6 2.6 購入資金 ...................................................... 6 2.7 取引条件 ...................................................... 6 2.8 保証............................................................ 6 2.9 主要供給者に対する満足度 ................................ 6 2.10 日本のメーカー .............................................. 6 2.11 企業イメージ................................................. 6 8. オマーン国 ..................................................... 31 8.1 一般情報..................................................... 31 8.2 9. オマーンにおける医療 .................................... 32 カタール国 ..................................................... 37 9.1 一般情報..................................................... 37 9.2 カタールにおける医療 .................................... 38 10. UAE における医療用画像診断機器 ....................... 43 10.1 メーカー..................................................... 43 10.2 機器の種類.................................................. 43 10.3 昨年の購入.................................................. 45 10.4 将来の購入.................................................. 46 一般情報 ...................................................... 8 10.5 購入先 ....................................................... 47 アラブ首長国連邦 .............................................. 8 10.6 購入資金..................................................... 48 4.1 一般情報 ...................................................... 8 10.7 価格、取引条件 ............................................ 49 4.2 UAE における医療 ........................................ 10 10.8 保証 .......................................................... 50 バーレーン王国 ............................................... 16 10.9 主要供給者に対する満足度 .............................. 52 3. 概要 ............................................................... 8 3.1 4. 5. 5.1 一般情報 .................................................... 16 10.10 日本のメーカー ............................................ 54 5.2 バーレーンにおける医療................................. 17 10.11 企業イメージ ............................................... 55 Copyright © 2007 JETRO, All rights reserved. 4 1. はじめに 1.1 調査の目的 インタビュー調査の前に、特に下記の観点を加えるため に机上調査を行った。 1.1.1 市場の概要 • 湾岸協力会議(GCC)加盟国における医療市場の 人口統計と特徴 • 人口と人口動態統計 • 患者数(入院患者と外来患者の対比) • 政府の医療費支出 • 公立と私立の病院と診療所の数 • 私立病院と公立病院における患者の割合 • 医療機関と医療サービスのリスト • 医療産業の傾向 • 医療費の支払い方法:国庫負担、民間医療保険、 現金支払いなど • 医療用画像診断機器に関する国家規制 1.1.2 画像診断機器に関する情報 インタビュー調査のためのデータ収集は、インタビュア ーによる対面インタビューによって行われた。 このインタビューのために準備されたアンケートの構成 は、番号回答式のいくつかの質問とより定性的なデータ を得るための一連の自由回答式質問からなる。調査対象 者はアラブ首長国連邦(UAE)の病院と診療所の管理者 または診断技師である。 代理店、メーカー担当者、卸売業者など、関係者の考え を理解するために、半定性形式(構造化アンケートでは あるが、ほとんどの市場で供給された医療用画像診断機 器のリストに限定されている)を採択した。このインタ ビューはコンピュータ援用電話インタビュー技術 (CATI)を使用して電話で行われた。 対象者の内訳は下記の通りである。 調査実施対象機関 対面インタビュー 病院 22 診療所 21 電話インタビュー 供給者 20 計 63 図表 1 • 台数と新規購入価格 • 購入元と流通システム:製造者から直接購入また は仲介業者を経由して購入するなど 1.3 • 新品と中古品の購入比率 • 機器購入の資金調達方法 1.2 調査法 1.2.1 机上調査 GCC 加盟国における医療産業の概要を知るために、イン タビュー調査と同時に机上調査を行った。加えて、市場 に関する広範な机上調査はインタビューの結果予測とと もに役に立った。 机上調査の情報源は既存の公開データ、すなわちイン ターネット上の報告書や記事、および任意の名簿である。 1.2.2 インタビュー調査 Copyright © 2007 JETRO, All rights reserved. 実地調査の時期 本件の実地調査は 2007 年 1 月から 2 月にかけて行った。 一人あたりの平均インタビュー時間は 23 分であった。 1.4 病院と診療所の定義 調査を行う上で、「病院」と「診療所」を以下のように 定義した。 1.4.1 病院 入院患者に対して治療、診断、手術などの医療サービス を提供し、24 時間看護を行うことが可能な公立または私 立の施設。病後療養所、保養所、看護施設、介護施設、 アルコール・薬物依存症治療施設などは含まない。 1.4.2 診療所 外来患者に対して医療サービスを提供する公立または私 立の施設。検査施設、簡易医務施設などを含む。 5 2. 要旨 2.1 メーカー UAE で 存 在 感 の あ る 画 像 診 断 機 器 の 主 要 メ ー カ ー は Philips、Siemens、GE である。東芝は病院と診療所に おいて存在感のある日本の最大手メーカーである。 レントゲン機器の半数近くと超音波機器の 30%は新品で 購入されている。平均支払い期間は病院が 214 日、診療 所が 108 日である。全機種の平均納期は 15 週間である が、機種によって異なる。公立病院の納期は私立病院よ り時間がかかる。 2.2 2.8 画像診断機器の種類 レントゲン機器はすべての病院と診療所にある。超音波 機器もほとんどすべての医療機関において設置されてい る場合が多い。次に多く設置される機器は透視機器であ る。CT スキャナとマンモグラフィ機器は診療所より病院 において設置される場合が多く、心臓血管機器はどちら の医療機関でも提供されている。 2.3 昨年の購入 昨年、画像診断機器の大部分は Philips、GE、Siemens、 東芝、Medison から購入されている。 超音波機器、レントゲン機器は過去 12 ヶ月間で最も多く 購入された機器である。診療所では心臓血管機器が購入 されている。 2.4 保証 機種にもよるが、供給者は 2 年(デジタルレントゲン写 真)から 3 年(骨密度測定)の保証期間を設けている。 保証期間中の機器に関し、ほとんどすべてのユーザーは、 定期的な点検と保守を受け、不具合部品を交換してもら っている。機器修理中に代替品を使うケースは少ない。 回答者の半数以上は保証期間満了時に供給者と保証期間 を更新している。三分の一は独立した専門業者と契約す る。もう一つの選択肢として、内部の医療部門に機器の 保守を任せるケースもある。病院ではこの方法が一般的 である。 2.9 主要供給者に対する満足度 GE、Philips、Siemens、東芝といった主要供給者の製 品はすべて高品質である。すべての会社が、営業チーム、 価格方針、製品知識の向上を期待されている。東芝の場 合、納期をもっと早くできるかもしれない。 将来の購入 回答者が今後も機器を購入したいと思うメーカーは GE、 Philips、Siemens、島津であった。7%は購入計画があ ると回答したが、どのメーカーから購入するかはまだ決 めていない。病院と診療所が来年購入する予定の機器は、 やはりレントゲン機器、超音波機器であり、次いで磁気 共鳴機器と心臓カテーテル、その次が CT スキャナであっ た。 2.10 日本のメーカー 画像診断機器で最も有名な日本のメーカーは日立、オリ ンパス、島津、東芝である。富士通とパナソニックは知 名度が低い。 2.11 企業イメージ 2.5 購入先 病院と診療所の全回答者の半数以上が、1 つのブランド を販売する代理店から画像診断機器を購入していた。三 分の一は UAE のメーカー担当者から機器を購入した。メ ーカーから直接輸入したのは 4%未満だった。 2.6 購入資金 当然ではあるが、公立の病院と診療所は国庫から購入資 金を調達している。私立機関はほとんど自己資本か従来 型の銀行融資で資金を調達している。 2.7 国際的なメーカーの中では、Siemens が最も高機能で高 品質なイメージを持っている。同社は、高品質の製品、 最新技術の活用が実証され、品質への厚い信頼で知られ ている。 GE と Philips は、Siemens より評価は低いが、品質が 証明されており、高品質の製品で知られており、きわめ て広い流通網を持っているという点で共通している。 日本のメーカーのイメージはこれほど鮮明ではない。高 品質の製品、信頼性、流通網という点で最も特徴が強い のは東芝であるが、なお認識改善の余地がある。 他の 4 社、オリンパス、日立、島津のイメージについて はまだ断言できない。 取引条件 Copyright © 2007 JETRO, All rights reserved. 6 GC C 加 盟 国 に お け る 医 療 に 関 す る 調 査 ( 机 上 調 査 ) Copyright © 2007 JETRO, All rights reserved. 7 3. 概要 3.1 一般情報 病院数、医師数、ベッド数は公的統計に基づく机上調査 から得たものである。カタールの患者数は概算である。 下の表は、GCC 全加盟国における病院数、ベッド数、患 者数、医師数を表している。数値の一部は予測である。 GCC 加盟国総括統計 サウジアラビ ア オマーン 15 237 42 5 - 103 4 4 1,741 4,712 38,149 5,085 1,421 292 - 9,893 126 600 1,278 - 31,983 3,199 - 990 - - 1,465 1,294 12,334,578 4,340,678 2,196,609 UAE バーレーン クウェート 公立病院 41 9 私立病院 27 9 公立病院ベッド数 6,882 私立病院ベッド数 1,461 公立病院医師数 2,532 私立病院医師数 3,410 カタール 5,001,024 3,953,897 1,569,549 私立病院外来患者数 230,580 510,129 631,189 8,510,860 - 226,724 公立病院入院患者数 3,047,772 84,167 - 1,336,882 219,849 46,759 私立病院入院患者数 120,624 14,094 - 9,922,449 - 6,264 公立病院外来患者数 図表 2 次章以降の各統計などを元に作成 4. アラブ首長国連邦 4.1 一般情報 UAE の経済は、国民一人当たりの所得が高く、多額の年 間貿易黒字を計上する開放経済である。富の源泉は昔か ら石油とガスの産出であり、結果的に、経済動向は当該 商品の価格と連動するのが常であった。しかし近年、 UAE が GCC 加盟国などのビジネスハブという突出した 地位を得たことで、石油への依存度は減少してきた。 2001 年の石油とガスの生産量は GDP の 22%にとどま っている。 1973 年以来、UAE は、砂漠の小さな公国という貧困地 域から生活水準の高い近代国家へと変貌を遂げてきた。 現在の生産水準からすると、石油とガスの埋蔵量は 100 年以上持続するはずである。1999 年から 2000 年にか けて石油収入が増えたにもかかわらず、政府は 1998 年 の石油価格下落時に実施した経済改革を撤回していない。 政府は雇用創出とインフラ拡充のための支出を増やし、 公共事業を開放して民間部門の関与を高めつつある。 Copyright © 2007 JETRO, All rights reserved. UAE の首長国別人口 2003 年∼2005 年(単位:千人) 2003 2004 2005 アブダビ ドバイ シャルジャ 1,591 1,204 636 1,701 1,287 680 1,796 1,359 718 アジュマン 235 251 265 ラス・アル・ハイマ フジャイラ ウム・アル・カイワイ ン 195 118 208 126 220 133 62 66 70 4,041 4,320 4,562 首長国 計 出典:UAE 経済省 図表 3 保健省によると、UAE の総人口は約 450 万人であり、う ち 75%は外国人で 25%が自国民である。概算はこの点幾 分異なっており、自国民は人口の 18%にすぎないとする 情 報 も あ る 。 1975 年 に 行 わ れ た 初 の 国 勢 調 査 に よ る 577,886 人から、UAE の人口は過去 30 年で急増した。 国民人口が増えた主な理由は、比較的高い出産率と低い死 亡率による自然増である。自国民以外の人口増の理由は、 意欲的な発展計画を実施するために必要な労働力を満たす ために UAE に多くの外国人労働者が流入したことである と思われる。こうしたすべての要因により、UAE の経済発 展は着実な歩みを続けるだろうと予測される。 8 アブダビ、ドバイ、シャルジャは、2005 年現在、UAE の人口の 85%を占める上位 3 首長国。 年代別・性別人口(2005 年) 外国人が多いことから男女間の平均比率は 2 対 1 である。 外国人は総人口の 75%を超え、そのうち 87%以上はア ブダビ、ドバイ、シャルジャに居住している。 年代 男性 女性 計 0-4 202,726 186,570 389,295 5-9 208,974 191,346 400,320 10-14 192,187 173,488 365,675 15-19 151,978 133,526 285,504 20-24 269,330 143,974 413,304 25-29 466,966 166,842 633,808 30-34 451,062 151,278 602,340 35-39 433,105 128,475 561,580 40-44 317,588 77,593 395,181 45-49 207,703 47,411 255,114 50-54 100,208 24,584 124,792 55-59 47,638 14,697 62,336 60-64 19,115 9,634 28,749 65-69 11,429 7,894 19,323 70-74 6,272 5,414 11,686 75–79 80 歳以上 2,825 2,488 5,313 3,920 3,682 7,602 3,093,024 1,468,896 4,561,920 計 出典:UAE 経済省 図表 4 すべての年代で男女間の不均衡は大きい。「0 歳から 4 歳」と「85 歳超」では男性が 52%を占める。不均衡が 最も著しいのは「45 歳から 49 歳」の年代で、女性は 19%にとどまっている。 性別・首長国別・国籍別人口(2005 年)(単位:千人) UAE 国民 首長国 他のアラブ諸国 アジア諸国 その他 計 男性 女性 計 男性 女性 計 男性 女性 計 男性 女性 計 男性 女性 計 アブダビ 215 212 427 153 69 222 749 308 1,096 28 11 41 1,144 599 1,786 ドバイ 122 118 240 120 56 176 587 271 858 21 9 32 850 457 1,30 4 97 92 189 65 28 93 316 146 462 12 5 18 490 271 762 58 58 116 18 7 25 85 39 123 4 2 5 162 108 270 16 18 33 21 11 32 108 49 157 4 2 5 150 79 227 51 49 100 5 4 9 25 12 37 2 0 2 83 63 148 11 9 19 5 4 9 26 12 41 2 0 2 42 25 69 568 554 1,121 388 178 566 1,895 880 2,775 71 32 102 2,919 1,643 4,562 シャルジ ャ ラス・ア ル・ハイ マ アジュマ ン フジャイ ラ ウム・ア ル・カイ ワイン 計 出典:UAE 経済省 図表 5 Copyright © 2007 JETRO, All rights reserved. 9 4.2 UAE における医療 4.2.1 一般情報 石油の発見により、教育と医療が大幅に改善された結果、 UAE の生活水準は著しく向上し、長寿国となった。ガル フニュース紙が発表した公式報告によると、UAE の平均 寿命は 1999 年には 75 歳であり、アラブ連盟 22 ヶ国 のうちクウェートに次いで 2 位であった。1971 年の建 国当初は平均寿命が 61 歳であったが、その後 UAE の平 均寿命は確実に延びた。1999 年現在、UAE は、死亡率 (1000 人につき 1.8 人)と幼児死亡率(1000 人につ き 6.6 人)がこの地域で最も低い国でもある。1998 年 の統計によると、UAE における 4 大死因は心臓血管疾 患(23.9%)、事故(16.8%)、癌(8.3%)、先天 異常(5.5%)であることがわかる。これらの 4 大死因 が UAE の全死亡者の 54%を占める。 UAE が医療推奨国であることを示す事実して、人口の 99%近くが医療機関を利用することができるという記録 もある。医療は、すべての UAE 国民に無償で提供され ている。財政面でも UAE は、2003 年に医療費予算 16.7 億 AED を計上してアラブ世界における医療教育費 高額支出国の仲間入りをした。この予算は UAE の全支 出の 7.9%を占める。医療費予算は 1995 年以降増え続 けており、1998 年には GDP の 2.1%を計上した。し かしこの数字は世界の一流国(8-10%)よりはるかに 少ない。 現在の国家医療方針の主な目的は下記の通りである。 • 全居住者に最良水準の主要な専門医療を提供する。 • 死亡率と感染症発生率を減少させ、平均寿命を先 進国並みの水準に引き上げる。 • すべての子供に予防接種をする。 • 近代的技術を使用して慢性疾患の早期診断と治療 を行う。 • 青少年の健康を促進する。 • 職場医療の提供を保証する。 • 老人と障害者に最良の医療を提供する。 • 環境衛生と地域社会の発展を向上させる。 • マスコミを通じて、また直接対話により医療教育 を発展させる。 • 国の医療従事者を養成する。 て、ドバイの「ヘルスケアシティ」は地域におけるもう一 つの大きな医療機関になりつつあり、当局が UAE 国内の 全住民だけでなく国境外の住民に最高水準の医療を提供す ることを追求した最たる例である。 アブダビとドバイにある連邦保健省は、国内のあらゆる水 準(一次、二次、三次)の主要医療機関である。特にドバ イ首長国では、主に保健医療局(DoHMS)によって医療 が提供される。軍部医療サービス、石油会社、民間部門も 医療提供を担当している。 行政上、国を 9 つの医療地区、すなわちアブダビ、西 UAE、アルアイン、ドバイ、シャルジャ、アジュマン、ウ ンム・アル=カイワン、ラス・アル=ハイマ、フジャイラに 分割している。地域保健部長は予防医療部長、学校保健部 長、一次医療部長の助けを借りて、保健省と緊密に協力す る。 医療サービスの資金調達において、連邦医療機関は、地方 政府の出資支援を受けるが、主な支援主はアブダビ政府で ある。ドバイ首長国はドバイの病院と医療機関を管理、運 営する。アブダビとドバイの皇室は数千人にのぼる国民の 外国での治療費を負担している。民間部門は医療を求める 国民と外国人からの寄付金を資金源としている。 4.2.2 公立病院と私立病院の医療 UAE には 3 種類の病院がある。保健省が管掌するという 点では文字通りの連邦公立病院、所在する首長国の監督官 庁と提携した他の公立病院、そして私立病院である。保健 省が管掌する公立病院と他の公立病院との違いは純粋に政 治的理由によるものである。前者には、防衛と安全保障に 専従し、それゆえに大部分は一般市民が利用することので きない病院も含まれる。 最近の発展は、民間部門の規模が将来拡大する可能性が高 いことを示している。保健省が管掌する病院の中には、質 の高い医療を維持し、コストを抑え、金額に見合う価値の あるサービスを提供するという問題に取り組むために、私 立病院経営会社に転向するところもある。 医療サービスと医療関連事業を運営、提供するために民間 の国内会社を設立することにも関心が示されてきた。この ように医療部門をある程度民営化することに賛同する傾向 は UAE では明らかなものとなっており(実際「ヘルスケ アシティ」からもこのことがわかる)、他のアラブ諸国で もこの傾向は高く、世界の一流国での同様の発展に追随し ている。しかし、私立病院は、無償または多額の援助金を 受けたサービスを提供する政府出資の医療機関と競争する ことは難しいと考えている。 UAE で医療サービスを行っているのは、公立病院(保健 省管掌、保健省管掌外)、私立病院、第一次医療センタ ー(PHC)、社会医療センター(SHC)、母子医療セン ター(MCH)、私立診療所、歯科医院などである。加え Copyright © 2007 JETRO, All rights reserved. 10 4.2.3 UAE の病院 保健省の公的発表によると UAE に は 68 の病院がある。 政府は、アブダビにある連邦保健 省(MoH)が管掌する無償医療も 含めて、融資、援助金、無償サー ビスなどの広範な福利厚生制度を 国民に提供している。国民以外は 保険証取得のために年間 80 米ド ルを支払う必要がある。国民以外 の人に保険証を給付するのは、地 方政府が提供する医療サービスを 利 用することができるようにする た めである。一時滞在者を含む外 国 人に対する医療費は保健省の予 算の 80%を占める。政府関係者に よ ると、まもなく外国人を対象と し た医療保険への加入が全国で義 務 づけられるであろう。民間保険 には 2 つのレベル、すなわち労働 者 を対象とした基礎保険と他の外 国 人を対象とした全部保険がある が、どちらも加入が義務づけられている。首都アブダビではすでに、医療サービ ス総合機関(GAHS)が居住者である外国人労働者に全加入健康保険を採用してい る。ドバイと北部の首長国における外国人を対象とした同様の健康保険制度が今 年 2007 年に始まると思われる。 タイプ別病院比率 保健省管掌外病院 21% 保健省管掌病院 39% 私立病院 40% 図表 6 出典:UAE 保健省 Copyright © 2007 JETRO, All rights reserved. 11 2003 年の下記統計は UAE 保健省が公表したものである。 ベッド数 医療地区 私立病院 保健省管掌病院 保健省管掌外病院 計 アブダビ 545 1,191 567 2,303 ドバイ 432 259 1,756 2,447 アルアイン 148 484 401 1,033 シャルジャ 166 763 0 929 20 436 0 456 0 328 36 364 150 194 0 344 UAQ 0 294 0 294 フジャイラ 0 152 21 173 1,461 4,101 2781 8,343 ラス・アル・ハイマ UAE 西部 アジュマン 計 図表 7 出典:UAE 保健省 4.2.4 UAE の医療 病院タイプ別患者比率 入院患者の治療という点では、保 健省管掌病院が他の公立病院や私 立病院より選ばれることが多い。 公立病院は交通事故の治療が専門 であるという以外に、後者の場合、 費用も関係がある。 私立病院 19% 保健省管掌病院 51% 他の公立病院 30% 図表 8 出典:UAE 保健省 UAE における 2003 年の外来患者 数はのべ 840 万人で、その年の予 測人口は 370 万人弱であった。つ まり、一人あたり年 2.3 回通院し たことになる。1 度も医療を受け なかった 住民の数が定期的に通院 す る患者の通院回数を相殺してい る。 入院患者と-外来患者の比率 外来患 者 50.2 30.2 19.5 保健省管掌病院 他の公立病院 私立病院 病院の種類により、患者数とベッ ド数との相関性はまったくない。 保健省管掌外の公立 病院と私立病 院 は外来患者の比率が比較的高い からである。 -入院患者 57.1 0% 20% 26.6 40% 60% 16.4 80% 100% 患者比率 図表 9 出典:UAE 保健省 Copyright © 2007 JETRO, All rights reserved. 12 右図から、ラス・アル=ハイマにお ける全住民の病院利用回数が年 1.9 回であることがわかる。一般 的に、患者数は人口と相関性があ るのだが、アジュマンは例外で、 患者数が人口より少ない。反対に フジャイラでは一人あたりの年 間 通院回数が最も高く 4.5 回であり、 次いで西 UAE の 4.2 回、ウンム・ アル=カイワンの 3.4 回となって いる。 患者数対人口 5.0 3,500,000 3,000,000 人 口 2,500,000 / 患 2,000,000 者 数 1,500,000 4.5 4.5 4.2 3.4 2.9 2.5 2.3 2.0 1.9 4.0 人 3.5 口 一 3.0 人 2.5 あ た 2.0 り 1.5 1,000,000 人口 人口一人あたり患者数 1.0 1.0 500,000 患者数 0.5 0.0 0 UAQ UAE 西部 アジュマン フジャイラ RAK アルアイン シャルジャ ドバイ アブダビ 図表 10 出典:UAE 保健省 4.2.5 UAE の診療所 UAE には 1,415 ヶ所の私立診療所がある。詳細は表 9 の通りである。 公立一次医療センター 106 公立社会医療センター 623 公立母子医療センター 116 公立歯科医院 私立診療所 85 1,415 図表 11 出典:UAE 保健省 4.2.6 UAE における病院の特徴 アルノール・ホスピタル アブダビにあるこの病院は 81 名の医師を擁し、人的観点 では特に一般診療科と内科が注目される。病院には 9 名 の一般診療医と同数の内科医がいる。 アルノールには麻酔科、心臓内科、歯科、皮膚科・性病 科、耳鼻咽喉科、内部治療科、一般診療科、産婦人科、 体外受精科、内科、神経科、眼科、整形外科、病理学科、 小児科、薬局、物理療法科、形成外科、精神科、放射線 科、リウマチ科、外科、泌尿器科の 21 の科がある。 アルノールでは往診も行っており、ウェブサイトからオ ンラインで予約する設備や、その他にも患者に便利な設 備を提供している。 ズレッカ・ホスピタル ズ レッカ・ホスピタルの主要医療センターはシャルジャ にあり、ドバイにも出張所がある。ベッド数 75 床で、 17 の科に 47 名の専門医師が在籍している。病院で最も 規模が大きい科は「災害救急」で、7 名の一般診療医を 擁する。 他には、薬局、小児科、産婦人科、一般外科、泌尿器科、 耳鼻咽喉科、整形外科、皮膚科、心臓内科、眼科、歯科、 精神科、放射線科、病理学科、麻酔科、物理療法科が あ る。 Copyright © 2007 JETRO, All rights reserved. ズレッカ・ホスピタルでは、救急車、病理検査室、画像 処理だけでなく、救急、一般診療、薬局でも 24 時間サー ビスを提供している。大手保険会社全社と直接医療費を 決済することもできる。当面、新しい薬局、MRI 設備、 マンモグラフィ、新しい外来病棟、体外受精センター、 医療活動のコンピュータ化など、新たな設備を導入する 予定である。スローン・ケタリング記念癌センター (MSKCC)の関係機関、すなわち出張診療所でもある。 MSKCC はニューヨークにあるアメリカの病院である。当 病院は ISO9001 の認証を受けている。 アルザーラ・プライベート・ホスピタル ア ル ザ ー ラ ・ ホ ス ピ タ ル は Gulf Medical Projects Company によって 1980 年に設立された。ベッド数 100 床のこの病院は UAE 初の私立総合病院である。シャ ルジャで設立され 59 名の医師を擁する。医師が最も多い のは歯科で 6 名、次いで一般診療科、麻酔科、耳鼻咽喉 科でそれぞれ 5 名である。さらに、さまざまな科に多く の専門医が勤務する。ドバイに医療センターもある。 どちらの病院も、専門分野は麻酔科、歯科、皮膚科 、耳 鼻 咽喉科、消化器科、一般外科、内科、心臓内科、神経 科、核医学、産婦人科、眼 科、整形外科、小児科・新生 児 科、病理学科、放射線 科 、画像処理科、泌尿器科であ る。 13 同病院は自国の保険会社だけでなく、英国の Bupa や PPP など、外国の保険会社とも提携している。 4.2.7 UAE における将来の発展 サウディ・ジャーマン・ホスピタル アハリア・ホスピタル 同病院はアブダビに所在し、医師数は 75 名、ベッド数 50 床である。専門分野は一般外科、整形外科、耳鼻咽喉 科 、産婦人科、麻酔科、小児科、皮膚科、一般診療科、 歯 科、心臓内科、病理学科、形成外科、精神科・心理学 科 、放射線科、腎臓科、胸部科、物理療法科、リハビリ テ ーション科である。人的観点で目立つ科は、一般診療 科、歯科、小児科である。他の科にはそれぞれ平均 2−3 名の専門医がいる。 ドバイのサウディ・ジャーマン・ホスピタルは、アルバ ーシャ地区のシェイク・ザイド・ロード近くにあるベッ ド数 300 床の病院で、専門分野と副専門分野をすべて提 供している。 治療を行う科には、心臓外科、癌科、核医 学 、顔面手術、血管手術、一般外科、整形外科、内科、 小児科、産科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、泌尿器科、 神 経 外 科 、 ICU 、 NIU 、 心 臓 内 科 、 神 経 科 、 精 神 科 、 ICCU、小児科手術、最新の診断設備などがある。 メドケア・ホスピタル アメリカン・ホスピタル アメリカン・ホスピタルは、ベッド数 100 床で治療、診 療、手術を行う病院である。ドバイの主要な私立病院で あり、ウェルケアの好敵手である。アメリカン・ホスピ タルはさまざまな科に 35 名の医師を擁する。麻酔科、関 節炎・リウマチ科、心臓内科、歯科、耳鼻咽喉科、救急 医療科、家庭医学科、消化器科、一般外科、産婦人科、 医療用画像処理科、検査室、眼科、整形外科、小児科、 呼吸器科、泌尿器科がある。 医師の多い科は、産婦人科(専門医師 4 名)と一般診療 科( 3 名)である。整形外科関節置換器具と整形外科用 器具の主要業者である Zimmer から整形外科が優秀なセ ンターにも選ばれた。アメリカン・ホスピタルは、特に この科 に関して中東、アフリカ、地中海地域の医師 の研 修センターにもなっている。同病院は教育と相談のため に優秀な外科医を擁している。そのために英国のダンデ ィー大学と提携している。 アメリ カン・ホスピタルは医療のレベ ルの質とともにさ まざまな医療設備と機器が整っていることでも定評があ る。さらに、同病院には、花屋、ギフトショップ、カフ ェテリ アなど補足的な施設も整っている。5つ 星の雰囲 気のロビーと広々とした駐車場は言うまでもない。 ウェルケア・ホスピタル 私立病院の患者総数(170 万人)においてウェルケアの 占める割合は 5.2%である。 ウ ェルケアには他の主要病院と比べても十分な数の医師 (70 名)がいる。ウェルケアには複数の専門分野を持つ 医 師も存在し、異なる科において複数の機能を果たすこ ともある。 ウ ェルケアは幼児と児童の医療に特化している点が強み であり、心臓内科、神経科、内科、呼吸器科にも強い。 Copyright © 2007 JETRO, All rights reserved. 新設の医療施設であるメドケア・ホスピタルは 2007 年 前半にドバイのジュメイラで開院する予定である。 シェイク・ザイド・ロードとアル・ワスル・ロードの中 間にあるサファ公園に隣接したベッド数 60 床のこの病院 には複数の診療科があり、この地区で 初めて高度先進医 療と産科を含む救急医療を提供する。 メドケア・ホスピタルは、産科、泌尿器科、腎臓科、消 化器科、胃腸内科、耳鼻咽喉科が優秀である。 同病院は、高度先進医療を導入して、オンラインによる 画像診断、調査処理、処方を行う初めてのペーパーレス 病院になることを目指している。 遠隔放射線医学、スキャニングの実現、画像転送システ ムのおかげで、医師は病院の外にいるときでもスキャン した画像とレントゲン写真を読むことができるようにな るだろう。 さらに、遠隔医療が可能な手術室や会議室のおかげで、 メドケアのスタッフは世界中の専門家とリアルタイムで 交信することができるようになるだろう。 4.2.8 画像診断機器に関する規制 UAE 市場に参入するにはまず、代理店/販売業者を指定 することである。その後、代理店は、外国企業の製品を 販売促進するために保健省に登録する。保健省は診断機 器の輸入を規制し、公立病院を対象として、事前に許可 した医療機器業者に公開入札を募る。 医療用画像診断機器の供給者はすべて、入札公告を受け 取るために、まず保健省に登録しなければならない。 保 健省は 2 通りの方法で入札申込みと見積書を取得する。 国内入札(国際メーカーの現地代理店に見積り案内を送 付)と、一般的に 30,000 米ドルを超える機器に関し国 際メーカーに対して行う外国入札と呼ばれる国際入札で ある。この方法によると、保健省に画像診断機器を直接 販売することは論理的には可能であるが、アフターサー ビスが技術資格の条件となっており、アフターサービス 14 を 提供することができるのは現地代理店か支店だけであ る ため、実際には有効ではない。ただし、現地代理店が 吊 り上げた価格を下げようとして保健省がメーカーに直 接 見積りを依頼することから、国際入札の方が一般的に な りつつある。その場合、現地代理店は減額されたとは Copyright © 2007 JETRO, All rights reserved. いえ手数料を受け取り、アフターサービスを遂行する義 務を負う。私立病院は、メーカーもしくは現地代理店か ら直接、または国際企業の支店を通じて機器を購入する。 15 5. バーレーン王国 5.1 一般情報 5.1.1 バーレーンの人口統計 バーレーンの総人口は 730,828 人で(2005 年 7 月現 在)、性別、年代別による内訳は下記の通りである。 • 0 歳 か ら 14 歳 : 27.4% ( 男 性 96,567/ 女 性 94,650) • 15 歳から 64 歳: 69.1%(男性 280,272/女性 202,451) • 65 歳以上: 3.5%(男性 12,753/女性 11,892) 年代別・国籍別・性別人口(2005 年) バーレーン バーレーン以外 計 年代 男性 女性 男性 女性 0-4 27,751 26,528 54,279 7,020 6,532 5-9 28,831 28,149 56,980 6,517 6,316 13,552 34,771 33,060 67,831 12,834 35,348 34,465 10-14 28,398 26,823 55,222 5,654 5,213 69,814 10,867 34,052 32,037 66,089 15-19 25,532 24,163 49,695 4,047 20-24 22,108 20,980 43,088 14,021 3,541 7,588 29,579 27,704 57,283 8,801 22,822 36,129 29,781 25-29 17,190 16,801 33,991 65,910 30,920 13,018 43,938 48,110 29,819 30-34 15,661 16,440 77,929 32,101 34,624 14,478 49,102 50,285 30,918 81,203 35-39 15,770 40-44 13,273 17,184 32,954 29,073 11,453 40,527 44,844 28,638 73,481 14,531 27,804 26,531 7,736 34,268 39,804 22,267 62,072 45-49 10,659 50-54 7,383 9,990 20,649 17,436 4,351 21,787 28,095 14,340 42,435 6,142 13,526 8,448 1,987 10,436 15,832 8,129 23,961 55-59 4,716 60-64 4,293 4,895 9,611 3,301 855 4,156 8,017 5,750 13,767 4,686 8,980 1,252 440 1,693 5,546 5,127 65-69 10,673 3,039 3,400 6,439 503 248 751 3,542 3,649 7,190 70-74 2,494 2,538 5,031 310 139 449 2,804 2,677 5,481 75 歳以上 2,757 2,582 5,339 209 162 371 2,966 2,744 5,710 229,855 225,834 455,689 189,868 85,271 275,140 419,723 311,106 730,828 計 計 男性 女性 計 計 図表 12 出典:バーレーン市庁 2005 年の労働年齢(15 歳から 64 歳)における居住者 の比率は、全人口の三分の二(69.6%)である。 Copyright © 2007 JETRO, All rights reserved. バーレー人ンの性別比率(女性 100 人に対する男性の 数)は 102 で、10 年間一定である。これとは対照的に、 外国人では特に労働年齢層で男性の割合が多い。 16 年代別・性別人口動向(2003 年∼2005 年) 2003 2004 2005 年代 男性 女性 計 男性 女性 計 男性 女性 計 0-4 32,775 31,162 63,937 33,758 32,097 65,855 34,771 33,060 67,831 5-9 33,319 32,487 65,806 34,319 33,461 67,780 35,348 34,465 69,814 66,089 10-14 32,097 30,198 62,295 33,060 31,104 64,164 34,052 32,037 15-19 27,881 26,114 53,995 28,717 26,897 55,615 29,579 27,704 57,283 20-24 34,055 28,072 62,127 35,077 28,914 63,990 36,129 29,781 65,910 25-29 45,348 28,108 73,456 46,709 28,951 75,660 48,110 29,819 77,929 30-34 47,398 29,143 76,541 48,820 30,017 78,838 50,285 30,918 81,203 35-39 42,269 26,994 69,263 43,537 27,803 71,341 44,844 28,638 73,481 40-44 37,519 20,989 58,509 38,645 21,619 60,264 39,804 22,267 62,072 45-49 26,482 13,517 39,999 27,277 13,922 41,199 28,095 14,340 42,435 50-54 14,923 7,663 22,586 15,371 7,893 23,263 15,832 8,129 23,961 55-59 7,557 5,420 12,977 7,784 5,583 13,366 8,017 5,750 13,767 60-64 5,227 4,832 10,060 5,384 4,977 10,362 5,546 5,127 10,673 65-69 3,338 3,439 6,778 3,439 3,542 6,981 3,542 3,649 7,190 70-74 2,643 2,523 5,166 2,722 2,599 5,321 2,804 2,677 5,481 75 歳以上 2,795 2,587 5,382 2,879 2,664 5,543 2,966 2,744 5,710 395,629 293,247 688,990 407,498 302,044 709,542 419,723 311,106 730,828 計 図表 13 出典:バーレーン市庁 人口は過去 4 年間平均 3.4%で増加してきた。 も多数存在する。薬局は全国に普及しており、さまざまな 医薬品を扱っている。 5.2 5.2.2 医療施設と医療資源 バーレーンにおける医療 5.2.1 一般情報 バーレーンは、居住者に最も進んだ医療のひとつを提供 する。完全医療により、鍵穴程度の小さな穴を開けるだ けで済む手術や移植手術など、最新の医療と手術が提供 されている。政府が提供する医療サービスの大部分は無 料であるが、私立病院でも、比較的低料金でさまざまな 治療の選択肢が提供される。 現在、バーレーンには、バーレーン人と外国人の高度な 資格を持つ医療従事者が勤務する完全サービスの私立病 院が 3 ヶ所ある。公立病院が 4 ヶ所、公立医療センター が 19 ヶ所、公立産科病院が 5 ヶ所、私立の専門診療所 が多数存在する。現在、この部門を後押しし、官民を問 わずより多くの病院を導入することにより、バーレーン 居住者に提供する医療を拡充しようとする計画がある。 居住者はすべて、国の医療制度を通じて無料で医療を受 けられる。いくつかの公立病院と医療センターはさまざ まな質の高い医療を提供している。民間部門にはアメリ カン・ミッション・ホスピタル、アワリ・ホスピタル、 インターナショナル・ホスピタルなどがあり、バーレー ン人と外国人の職員が勤務している。私立の専門診療所 Copyright © 2007 JETRO, All rights reserved. この 5 年間で医療施設は急速に改善された。このことは、 サルマニヤ・メディカル・コンプレックス(バーレーンの 主要公立病院)でのサービスの規模と質に関する評価から も歴然としている。病棟の増築は、癌や腎移植などの新た な医療の導入を可能にした。高度な新医療機器の設置は患 者の診断、治療、リハビリに貢献した。さらに、精神病院、 老人医療、5 ヶ所の産科病院で提供されるサービスの質を 改善するための努力がなされた。二次医療だけでなく、一 次医療にもサービスの拡充が行われた。一次医療のサービ スの容量と利用可能性を最大化するために、この 5 年間で 多くの措置が講じられた。下記はその具体例である。 • 2004 年、ダイール医療センターの礎石の設置 • 2004 年、アルザラック医療センターの建築 • 放射線科、新たな母子医療、薬局の充実、検査室、 介護サービス、2 つの新たな診察室など、ブダイヤ 医療センタ Xーのサービスの拡充 • イブン・シンナ医療センターでの水治療法を提供す ることによる物理療法の拡充と内容強化 • クウェート医療センターでの短期滞在サービスの導 入と介護ケアの向上 17 • 西地区とハマド・タウンの全住民に医療を提供す るために、モハメッド・ジャシム・カノオ医療セ ンターに物理療法科を開設 • 二次医療機関の医療センターの全薬局に 11 の新 薬を導入 • 医療センター全体の業務内容を向上させるために 一次医療品質向上委員会を編成 • すべての医療センターの看護部門に助産師を 3 名 追加採用することにより産後ケアサービスを強化 • 男女婚前検査法の実施は、遺伝性疾患予防のため の一次医療の責任とした。 • 意思決定の集中を禁止して職員に権限を与える。 この制度は A・アリ医療センターとブリアド・ア ル・カディーム医療センターで試験的に実施され た。 • 医療センターの標準的手順と方針を策定 • 3 ヶ所の新医療センター、すなわち北地区にアル・ ナキール医療センター、中央地区にアハメッド・ア リ・カノオ医療センターと第二イサ・タウン医療セ ンターを建設する計画の完成 • 医療センター自動化プロジェクトの一貫として、6 つの医療センター、すなわち医療情報本部、モハメ ッド・ジャシム・カノオ、東リファ、ハマド・タウ ン、ブダイヤ、クウェ ート医 療センター を保健 省 WAN ネットワークに接続。現在 19 の医療センタ ーが機能している。 • すべての医療センターで夜間 4 時間の診察を行う計 画を策定 5.2.3 バーレーンにおける医療の数値化 バーレーン医療の人口動態統計 年 国民一人あたり GDP(US$) 25,300 2006 政府総医療費支出(一人あたり) 371.4 2002 GDP に占める総医療費支出(%) 4.4 2002 総医療費支出に占める政府総医療費支出(%) 総医療費支出に占める自己負担費(%) 72 2002 19.6 2002 7.0 2005 27.2 2005 人口 10,000 人あたりの歯科医数 4.1 2005 人口 10,000 人あたりの薬剤師数 2.9 2003 人口 10,000 人あたりの看護師と助産師の数 52.9 2005 人口 10,000 人あたりのベッド数 28.1 2005 0.3 2005 政府予算に占める保健省予算(%) 人口 10,000 人あたりの医師数 一次医療機関とセンター 図表 14 Copyright © 2007 JETRO, All rights reserved. 18 下の表は、特にこの3年間の民間部門の患者数をはじめと して、医療施設の利用数の急増を表している。 5.2.4 医療施設 バーレーンの医療機関(2003 年∼2005 年) 2003 詳細 2004 2005 (公立)病院数 4 4 4 (私立)病院数 6 6 9 公立産科病院数 5 5 5 (公立)一次医療センター数 公立病院ベッド数 23 23 23 1,691 1,694 1,741 213 215 292 (公立)入院患者数 77,710 78,356 84,167 (私立)入院患者数 8,387 10,863 14,094 (公立)外来患者数 3,862,871 3,953,299 3,953,897 (私立)外来患者数 420,463 483,786 510,129 私立病院ベッド数 図表 15 出典:バーレーン保健省 5.2.5 医療費 人口の増加とともに、国が医療サービスを維持し、向上 させようと努力するほど、医療費予算は緊迫しつつある。 医療に対する財政割当は近年著しい増加の一途を辿って きたが、それでもなお、要求を満たすには不十分である。 現在、保健省が直面する最大の課題は、現在の医療サー ビスを維持し、国民全員の健康を目指すことである。医療 サービスに対する国民の要求が高まり続け、財源に直接影 響を及ぼしているため、保健省は、少なくとも最良の質の 医療を維持するために、追加資金をもたらす代替財源を探 すことを迫られている。 バーレーン保健省財務データ(2003 年∼2005 年) 2003 2004 2005 総政府支出に対する保健省予算(%) 7.5 7.4 7.0 保健省予算(単位:百万米ドル) 214 234 273 指数 保健省支出内訳(%) 一次医療・予防医療 22.7 22.5 22.8 二次医療 58.8 58.2 58.5 その他 18.5 19.3 19 図表 16 出典:バーレーン財務経済省 保健省は 2005 年、2 億 7,300 万米ドルの予算を要求し た。これは国家支出総額の約 7.0%に相当する。 この 3 年間、保健省予算の半分以上は二次医療に費やさ れた。 一方、2005 年の保健省予算の 22.8%は一次医療と予防 医療に費やされた。 Copyright © 2007 JETRO, All rights reserved. 5.2.6 人口動態統計 人口動態統計の大部分の指数は、この 3 年間比較的一定で 推移していた 。例えば 、人口 1000 人あたり の出 生率は 2005 年には 20.9 人であり、2003 年と 2004 年には 21.1 人であった。新生児 1000 人あたりの幼児死亡率は、 2005 年の 8.9 人と比べると 2004 年には著しく高く 9.5 人であった。保健省は増加の背後にある主な理由を調査す 19 るために委員会を設置した。その結果は報告書として公 開されるであろう。 早産(妊娠 37 週が終わる前に出産すること)の数は、 2003 年と 2004 年に増加した後、減少に転じたようで ある。科学的根拠のある理由と解決案を提示するために、 この問題を徹底調査するチームが小児科との連携で編成さ れた。本当に心配している理由は、死亡と障害の増加が暗 示されることだけではなく、未熟児のケアにかかる莫大な 費用でもある。 公衆衛生局人口動態統計(2003 年∼2005 年) 医療指標 2003 2004 2005 人口 1,000 人あたり出生数 21.1 21.1 20.9 出産 1,000 件あたり死産数 7.2 8.2 7.4 新生児 1,000 人あたり幼児死亡数 7.3 9.5 8.9 0.21 0.20 - 出産 1,000 件あたり産婦死亡数 新生児 1,000 人あたり 5 歳未満死亡数 9.5 11.2 10.9 111.5 108.4 98.5 5 歳未満児童 1000 人あたり5歳未満死亡数 2.2 2.6 2.7 女性一人あたり出産数 2.6 2.6 2.6 人口 1,000 人あたり死亡数 3.1 3.1 3.1 73.8 73.8 74.8 新生児 1,000 人あたり早産数 男女平均寿命 図表 17 出典:バーレーン保健省 5.2.7 バーレーンの選ばれた病院 バーレーンの私立病院には、この地域で最も古い病院で あるアメリカン・ミッション・ホスピタル、インターナ ショナル・ホスピタル・オブ・バーレーン、イブン・ナ フィーズ・ホスピタル、バーレーン・スペシャリスト・ ホスピタル、アルノル・スペシャリスト・ホスピタルな どに加え、多くの診療所、歯科外科、形成外科がある。 アメリカン・ミッション・ホスピタルは、アメリカ改革協 会の最初の宣教師が布教のためにアラビアにやって来た 1892 年以来、バーレーン王国の医療と歯科医療に専心し てきた。1903 年、アメリカン・ミッション・ホスピタル は、中東初の専用医療機関となった。バーレーンで唯一の 非営利病院という独自性をもって、私立病院での医療を好 む共同体の居住者に良質で手ごろな価格のサービスを提供 することが同病院の存在意義である。 政府は、医療 IT と呼ばれる最新の情報技術を使った電 子サービスを始動した。始動責任者である医療情報本部 は「医療 IT プログラムは、医療の事業化と管理の始動 を達成するための大きな役割を果たしている。再設計と 近代化の基礎は、根拠に基づく管理の実施であり、これ には、情報と自動化の戦略とシステムを総合的に再構築、 再開発することが必要である」と述べる。 アメリカン・ミッション・ホスピタルの主な活動は、1日 平均 450 人を超える外来患者の治療である。ベッド数は 40 床で、特殊治療は行っていない。臨床検査、超音波や レントゲンの検査はほとんど院内で行われている。MRI と CT の検査業務は別の病院で行われている。 システムの目的であるコア部分には、患者管理、電子患 者記録、患者予約システムの指示と結果伝達、薬局シス テム、放射線管理、検査室管理、一次医療、事故救急、 手術室、栄養、救命救急などが含まれる。 サルマニヤ・メディカル・コンプレックスは、複数の科を 持つ二次・三次医療機関で、王国のすべての国民と居住者 に救急医療、外来治療、入院治療を提供している。医療チ ームが患者に最良の医療を提供するために、診療所は診断 目的で放射線科と検査室のサービス、物理療法、薬局の支 援を受け、放射線治療は患者に治療サービスを提供してい る。この 10 年間、同病院は規模でも医療の質でも目ざま しい進歩を遂げた。病棟が増築され、新サービスが導入さ れ、高度な新医療機器が患者の診断、治療、リハビリに貢 献した。 アイルランドの王立外科大学と提携している私立バーレ ーン医学大学は、昨年開校し、地域から学生を初入学さ せた。保健省は、サルマニヤ・メディカル・コンプレッ クスにおける限定的個人開業(LPP)を許可している。 複数の科を持つ診療所は、癌科、心臓内科、リウマチ科、 整形外科、皮膚科、産婦人科、耳鼻咽喉科、消化器科な どの分野で国民と外国人を診療している。 アメリカン・ミッション・ホスピタル Copyright © 2007 JETRO, All rights reserved. サルマニヤ・メディカル・コンプレックス 2004 年には、入院病棟にベッド 875 床(うち 18 は日帰 り入院用)、乳幼児集中治療病棟(SCBU)にベッド 45 床を備え付けた。ベッド使用率は 83.0%である。2004 年の平均入院日数は 8.0 日である。患者総数は SCBU も 含めて 44,620 人で、272,360 日の入院を経て退院して 20 い る。患者の退院詳細によると、2004 年はサルマニ ヤ・メディカル・コンプレックスにおいて 1,009 人が 死亡している。 キング・ハマド総合病院(建設中) キング・ハマド総合病院の実行可能性調査と基本計画は、 フ ラ ン ス の コ ン サ ル タ ン ト ( INGEROP ) に よ っ て 2003 年 2 月に完了した。2003 年 12 月、オーストラ リアのコンサ ルタント(Australian Hospital Design Group ) に 病 院 の 設 計 を 依 頼 し た 。 最 終 入 札 書 類 は 2005 年 7 月に完成した。 キング・ハマド総合病院は、ベッド数 312 床の二次総 合 病院となり、教育も行う。ムハラクのシェイク・イ サ・ビン・サルマン道路の北に立地する。敷地面積は約 227,000 平米で、そのうち病院が 127,000 平米、医大 が 100,000 平米である。病院は 4 階建て以上で 3 つの ブロックに分かれている。産婦人科、新生児科、小児科、 集中治療室、眼科、耳鼻咽喉科、手術室、事故救急科、 物理療法科、作業療法科、外来診療科などのすべての科 がある。 Copyright © 2007 JETRO, All rights reserved. 同病院には、200 人収容の講義室など、医大用の設備もあ る。 建築物の総面積は 62,000 平米で、建設予定費用は 2500 万 BD、備品と医療機器の費用は 1500 万 BD である。さ らに 500 万 BD がコンサルタント料とプロジェクトの報 酬費用に充てられる。プロジェクトは 2007 年第 4 四半期 までに完成する予定である。 5.2.8 医療用画像診断機器に関する規制 外国企業がバーレーンで製品を販売するためには、現地に 代理店/販売業者を持つ必要がある。医療用画像診断機器 の機種ごとにサルマニヤ・コンプレックス医療機器部門の 証明と承認を受けなければならない。 21 6. クウェート 6.1 一般情報 • 65 歳 以上: 1.6%(男性 24,659/女性 21,169, 2005) クウェートの総人口は 2005 年現在 282 万人である。 • 0 歳から 14 歳:21.8%( 男性 316,727/女性 300,006) • 15 歳から 64 歳:76.5%(男性 1,412,676/女 性 745,039) 外国人はクウェートの成人住民の大部分を占めている。成 人(20 歳から 55 歳)の 78%以上が外国人である。0 歳 から 19 歳の若い世代では、クウェート人が外国人の数を 上回っており、全体の 62%を占めている。 クウェートの年代別・国籍別・性別人口(2005 年) クウェート 年代 男性 クウェート以外 女性 計 男性 計 女性 計 男性 女性 計 0-4 70,757 68,954 139,711 41,235 38,120 79,355 111,992 107,075 219,066 5-9 67,634 64,280 131,914 40,453 38,531 78,984 108,087 102,811 210,898 10-14 61,194 58,731 119,925 35,454 31,390 66,844 96,648 90,121 186,769 15-19 53,370 52,606 105,976 38,641 33,123 71,764 92,011 85,729 177,740 20-24 44,829 44,748 89,577 104,965 58,984 163,949 149,794 103,732 253,526 25-29 37,255 38,961 76,216 215,857 90,448 306,305 253,112 129,409 382,521 30-34 32,338 35,009 67,347 218,950 83,255 302,205 251,289 118,264 369,553 35-39 29,038 31,686 60,724 201,695 71,940 273,635 230,733 103,626 334,359 40-44 22,686 26,160 48,846 146,817 54,644 201,461 169,503 80,804 250,307 45-49 16,733 21,696 38,429 108,387 33,051 141,438 125,120 54,747 179,867 50-54 12,736 16,360 29,096 64,928 17,607 82,535 77,664 33,967 111,630 55-59 8,277 12,618 20,895 33,463 8,470 41,933 41,739 21,088 62,828 60-64 7,259 9,075 16,334 14,451 4,599 19,050 21,710 13,674 35,384 13,835 14,698 28,533 10,824 6,471 17,295 24,659 21,169 45,828 477,941 495,582 973,523 1,276,121 570,632 1,846,754 1,754,062 1,066,214 2,820,276 65 歳以上 計 図表 18 出典:クウェート計画省 クウェートの各地域における国籍別・性別人口(2005 年) 地域 クウェート クウェート以外 計 男性 女性 計 男性 女性 計 男性 女性 計 アル・ファ ルワニヤ 88,880 92,642 181,522 436,318 119,957 556,275 525,199 212,599 737,798 ハワリ 82,607 84,903 167,510 262,918 169,115 432,033 345,525 254,018 599,543 アル・アフ マディ 98,694 100,580 199,275 214,607 74,445 289,052 313,302 175,026 488,327 100,504 105,000 205,504 160,363 91,391 251,754 260,868 196,390 457,258 49,227 53,543 102,770 149,566 87,882 237,448 198,793 141,425 340,218 57,286 58,808 116,094 47,478 25,874 73,351 104,764 84,682 189,446 635 586 1,221 3,387 2,024 5,410 4,021 2,610 6,631 477,834 496,062 973,896 1,274,637 570,687 1,845,325 1,752,472 1,066,749 2,819,221 首都 アル・ジャ ーラ ムバラク・ カビール 不明 計 図表 19 出典:クウェート計画省 アル・ファルワニヤ、ハワリ、アル・アフマディは、最 も人口が集中する地区である。 Copyright © 2007 JETRO, All rights reserved. 22 外国人は、ムバラク・カビール市を除くすべての市に居 住している。外国人の比率は、アル・ファルワニヤでは 75%、ハワリでは 72%、アル・ジャーラでは 70%と 特に高い。 6.2 クウェートにおける医療 6.2.1 一般情報 クウェートでは、国民にも外国人にも高度かつ包括的な公 的医療が提供されている。政府は、多額の予算を割り当て て、全国に病院、総合病院、学校病院を建設してきた。そ うした病院には高度な訓練を受けた医師と専門家が勤務し、 住宅地区と学校の人々に最善の医療サービスを提供するこ とを保証している。 本章で取り扱う表は、医師数、公立病院の外来患者数(性 別、国籍別)、公立医療センターに報告された感染症例な ど、公立と私立の医療機関に関するデータを表している。 クウェート医療の人口動態統計 国民一人あたり GDP(US$) 21,600 2006 総医療費支出(一人あたり) 568 2002 政府総医療費支出(一人あたり) 170.8 2002 GDP に占める総医療費支出(%) 11.5 2002 総医療費支出に占める政府総医療費支出(%) 30.1 2002 総医療費支出に占める自己負担費(%) 55.9 2002 3.7 2004 人口 10,000 人あたりの医師数 23.6 2004 人口 10,000 人あたりの歯科医数 8.81 2004 人口 10,000 人あたりの薬剤師数 8.14 2004 人口 10,000 人あたりの看護師と助産師の数 30 2002 人口 10,000 人あたりのベッド数 30 2002 人口 10,000 人あたりの一次医療機関とセンターの数 0.7 2000 2001 2002 2003 15 15 15 政府予算に占める保健省予算(%) 図表 20 出典:クウェート保健省 2004 年度年次報告書 クウェート公立医療機関 指標 病院 公立病院診療科別ベッド数: 内科疾患 813 812 805 感染症 151 151 151 小児科手術 591 596 597 胸部疾患および結核症 133 133 131 心臓胸部手術 136 136 136 神経疾患および精神疾患 535 543 527 50 50 50 一般外科および集中治療室 653 661 673 眼科および眼手術 118 104 115 92 77 92 316 287 287 62 62 62 癌手術 耳鼻咽喉科 整形外科および整形外科手術 放射線治療 86 86 86 早産 196 222 222 産婦人科 548 544 543 腎臓移植 36 36 36 形成外科 68 60 60 107 107 110 29 29 24 5 5 5 4,725 4,701 4,712 物理療法 薬物依存症 尿路病棟 日帰り病棟 計 図表 21 出典:クウェート保健省 2004 年度年次報告書 Copyright © 2007 JETRO, All rights reserved. 23 クウェートは、5 つの医療区に分割されており、地区ご とに総合病院がある。具体的には、クウェート・シティ のアミリ・ホスピタル、ジャーラのジャーラ・ホスピタ ル、ファルワニヤのファルワニヤ・ホスピタル、ジャブ リヤのムバラク・アル・カビール・ホスピタル、ファハ ヒールのアダン・ホスピタルである。どの総合病院でも 外来診療と 24 時間の救急医療を提供している。 クウェートには専門病院もいくつかあり、胸部・心臓疾 患から神経外科、癌治療まで、さまざまな専門分野に対 応している。クウェート・シティのアル・サバーハ小児 科病院もその一つである。 クウェート人は、公立の診療所と病院ですべての医療を 無料で受けられる。1994 年までは外国人も無料で医療 を受けることができたが、現在は救急以外の所定の医療 は有料となっている。救急治療と外来診療はすべて今で も無料である。医師の処方箋があれば、外国人も公立病 院の薬局で提供される医薬品に対して料金を請求されない。 クウェートのすべての私立の診療所と病院は、高水準を保 証するために政府の監視下にある。政府は請求料金の規制 も行っている。ほとんどの私立病院は専門の科と薬局を設 置している。 クウェートでは Expacare などの医療保険をかけることが できる。国内のグループ保険もある。 クウェート医療地区別公立医療機関数(2004 年) 医療地区 病院 予防医療 歯科 産科 小児医療 一般診療 糖尿病診療 クウェート・シ ティ 1 10 16 4 17 19 5 ハワリ 1 11 12 5 11 11 5 アフマディ 1 14 15 5 16 17 7 ジャーラ 1 8 6 6 10 10 4 ファルワニヤ 1 15 15 6 16 17 10 計 5 58 64 26 70 74 31 図表 22 出典:クウェート保健省 2004 年度年次報告書 私立病院が 5 ヶ所と医療産業にも投資している石油会社が 3 社ある。2004 年には、合計で総ベッド数 1,494 床を運 営していた。 Copyright © 2007 JETRO, All rights reserved. 24 公立病院の性別・国籍別延べ外来患者数 クウェー ト 病院 男性 女性 アル・サバ 50,325 26,536 アル・アミリ 41,824 27,002 クウェー ト以外 計 男性 女性 計 合計 76,861 75,519 19,520 95,039 171,900 68,826 49,546 17,664 67,210 136,036 アル・ファルワニヤ 43,070 42,335 85,405 69,608 34,443 104,051 189,456 アル・アダン 46,128 29,775 75,903 72,791 30,691 103,482 179,385 アル・ジャーラ 23,546 23,094 46,640 39,676 32,078 71,754 118,394 ムバラク・アル・カビール 33,983 27,476 61,459 42,830 17,397 60,227 121,686 物理療法、医療、リハビリテーション 8,337 6,622 14,959 13,758 5,445 19,203 34,162 産科 1,599 939 2,538 32,629 13,658 46,287 48,825 33,621 22,176 55,797 26,071 6,394 32,465 88,262 1,763 4,058 5,821 1,605 1,721 3,326 9,147 63,829 44,140 107,969 55,215 37,000 92,215 200,184 4,745 6,327 11,072 12,659 8,726 21,385 32,457 26,336 5,938 32,274 16,783 3,823 20,606 52,880 胸部疾患 感染症 イブン・シナ クウェート・キャンサー・コントロー ル・センター 心理療法 アル・ラジ 35,472 36,797 72,269 33,332 27,962 61,294 133,563 クウェート・アレルギー・センター 17,594 10,814 28,408 19,128 5,676 24,804 53,212 432,172 314,029 746,201 561,150 262,198 823,348 1,569,549 計 図表 23 出典:クウェート保健省 2004 年度年次報告書 外来患者数で上位 3 位を占める病院はイブン・シナ、ア ル・ファルワニヤ、アル・アダンである。外国人に人気 が ある病院はイブン・シナ、アル・ファルワニヤ、ア ル・ラジで、クウェート人に人気があるのはアル・サバ ーハとアル・アダンである。 クウェート人女性が選ぶ上位 3 位はアル・サバーハ、ア ル・アダン、アル・ファルワニヤで、外国人女性の通院 が多いのはイブン・シナ、アル・ジャーラである。 Copyright © 2007 JETRO, All rights reserved. 感染症対応病院の患者の半数はクウェート人男性で、ア ル・アダンの外来患者の 38%、メド・リハビリテーショ ン医院の患者の 33%を占めている。 男性外国人は、クウェート・キャンサー・コントロール・ センターの患者の 44%、クウェート・アレルギー・セン ターの 28%、アル・アダン・ホスピタルの患者の四分の 一を占めている。 25 私立病院の診療科別・国籍別・性別延べ外来患者数(2003 年) 診療科 クウェート クウェート以外 男性 女性 計 男性 初診 6,449 5,995 12,444 8,168 再診 6,578 6,921 13,499 初診 5,035 1,730 再診 3,018 初診 再診 女性 計 合計 3,712 11,880 24,324 10,297 4,620 14,917 28,416 6,765 2,935 936 3,871 10,636 1,367 4,385 3,411 834 4,245 8,630 4,837 2,985 7,822 5,693 1,720 7,413 15,235 4,323 2,869 7,192 5,433 1,870 7,303 14,495 初診 9,327 2,716 12,043 8,212 2,270 10,482 22,525 再診 19,057 5,530 24,587 15,084 4,666 19,750 44,337 初診 - - - 46,010 13,993 60,003 60,003 再診 - - - 119,340 34,491 153,831 153,831 初診 4,265 2,745 7,010 4,503 2,018 6,521 13,531 再診 4,474 2,837 7,311 7,589 2,531 10,120 17,431 初診 1,810 738 2,548 935 224 1,159 3,707 再診 3,167 1,461 4,628 1,405 401 1,806 6,434 初診 3,458 1,897 5,355 4,489 1,574 6,063 11,418 再診 3,375 1,837 5,212 5,364 1,461 6,825 12,037 初診 2,571 1,722 4,293 3,935 1,191 5,126 9,419 再診 1,741 1,559 3,300 3,710 1,266 4,976 8,276 内科疾患 一般外科 耳鼻咽喉科 小児科 産婦人科 皮膚科 泌尿器科 眼科 整形外科 精神科 初診 889 528 1,417 1,429 544 1,973 3,390 再診 2,743 1,942 4,685 6,099 2,363 8,462 13,147 初診 4,306 2,340 6,646 5,691 2,344 8,035 14,681 再診 4,725 3,381 8,106 8,741 3,095 11,836 19,942 初診 197 35 232 952 112 1,064 1,296 再診 75 9 84 476 78 554 638 初診 32,956 8,138 41,094 37,970 6,014 43,984 85,078 再診 10,642 1,633 12,275 11,021 1,431 12,452 24,727 初診 710 172 882 785 90 再診 411 247 658 963 227 初診 76,810 31,741 108,551 131,707 再診 64,329 31,593 95,922 合計 141,139 63,334 204,473 歯科 形成外科 救急 その他 875 1,757 1,190 1,848 36,742 168,449 277,000 198,933 59,334 258,267 354,189 330,640 96,076 426,716 631,189 計 図表 24 出典:クウェート保健省 2004 年度年次報告書 Copyright © 2007 JETRO, All rights reserved. 26 保健省によると、2004 年度のクウェートにおける医療 費は約 3 億 7,680 万 KD(12 億 7,700 万米ドル)であ る。 2003 年には 12%増加し、クウェート政府総支出額の 6.8%を占めた。 6.2.2 クウェートの医療 このところ医療従事者は、クウェートの医療サービスと 医療設備の発展に関する政府の展望と計画の欠如につい て懸念を示してきた。 医学界の主導的立場にある人々が指摘するのは現在建設 中の病院と診療所の数である。懸念されるのは、免許の 発行に適用するための、必要な基準を満たした規制の欠 如が医療機関供給増の原因になっているということであ る。病院数を増やすことよりもむしろ現在のクウェート 国内の病院の機能を向上させるためにもっと努力すべき であるという考えもある。 クウェートの病院の中で国際的認証を得ている病院はな い。国内の医療機関は治療と診療の質という点で国際的 基準に達していない。実際、保健省は、認証された医療 プログラム、準医療プログラム、保健プログラムの欠如 を重要懸念事項と認めている。クウェートには独自の民 間認証制度が存在するが、この制度が国内の医療機関の 大部分に高得点を与えたために、国際医学界は少なから ず眉をひそめた。 クウェートは品質保証水準を改善することができると思 われる。統一医療サービスは、私立診療所のバーを上げ るために協調して努力している。私立医療機関の水準向 上を推奨することによって、公立病院もそれに並び、そ の結果クウェートの医療部門全体が向上すると考える関 係者も多い。 欧米で治療を受けるクウェート人も多い。クウェート人医 師に特殊な症状の患者を自国で治療する技能がなければ、 政府は、外国でかかった費用全額と同伴者の費用も全額負 担する。つまり、自国の医師は、国内で専門家が不足して いる特定分野の専門力をつけなければならないというプレ ッシャーをあまり感じていない。 公立病院は自国で治療を受けようとするクウェート人の患 者の 90%を治療している。保健省の数値によると、公立 部門が提供するベッド数は 5,411 床で、利用可能な総ベ ッド数の 87.2%に相当する。私立の診療所が残りの 695 床を患者用に保有している。公的部門が所有する病院数は 15 ヶ所であるのに比べて、民間部門が現在所有する病院 数は 9 ヶ所である。しかし、診療所の開院が続くため、こ の数字は急増しそうである。 専門的な治療を求めるクウェート人患者が世界中の病院を 飛び回る一方、自国の病院は自分たちにできる症例を扱っ ている。 クウェートの医療サービスの欠如に関して批判もあろうが、 悪いところばかりではない。医療従事者は医療免許の更新 の必要条件として継続的医療教育(CME)を受けなければ ならない。同様に、保健当局も医療従事者の継続学習の重 要性を明確に評価している。 6.2.3 医療用画像診断機器に関する規制 外国企業は現地のパートナーとともにクウェートで登録し なければならない。販売業者は機器の保守をサポートし、 医療用画像診断機器の必要部品をすべて供給することがで きなければならない。購入する側は国際メーカーし、医療 用画像診断機器の必要部品をすべて供給することができな ければならない。購入する側は国際メーカーの仕様につい てはほぼ認識しており、中国製の機器には目もくれない。 販売業者は保健省医療機関部門での登録が必要となる。 政府は、外国の診療所、もっと具体的に言うと、外国の 有名病院と提携した医療機関に対し、国内での開院を推 奨しようと努力しているが、国内市場の規模からすると、 難航しそうである。 現在、公立病院と私立診療所の活動は概して重複しない ため、クウェートの私立診療所で治療を受けることに決 めた患者の決定理由は、治療や専門性の水準が高いから というよりもむしろ、快適さに優れているからという方 が多い。 公立と私立の診療所が直面する主な問題は、特殊な症状 を治療するための高度な医療技術の入手よりもむしろ、 専門分野が欠如していることである。 新設の私立診療所は三次サービスや専門的治療よりもむ しろ一次治療を提供する傾向にある。病院では相変わら ず資格ある看護師が不足している。 Copyright © 2007 JETRO, All rights reserved. 27 7. サウジアラビア王国 7.1 一般情報 サウジアラビアの総人口は 23,232,828 人(2005 年 7 月現在)である。 • 15 歳から 64 歳:59.4%(男性 9,159,519/女性 6,895,616) • 65 歳 以 上 : 2.4% ( 男 性 342,020/ 女 性 302,005) 0 歳から 14 歳:38.2%(男性 5,261,530/女性 5,059,041) • 年代別・国籍別・性別人口(2005 年) サウジアラビア サウジアラビア以外 計 年代 男性 女性 計 男性 女性 計 男性 女性 計 277,433 256,957 534,389 52,865 52,658 105,523 330,297 309,615 639,912 1-4 1,174,203 1,127,850 2,302,053 213,180 206,022 419,202 1,387,383 1,333,872 2,721,256 5-9 1,402,313 1,332,814 2,735,127 267,184 280,974 548,158 1,669,497 1,613,787 3,283,284 10-14 1,163,503 1,122,012 2,285,515 214,074 219,480 433,555 1,377,577 1,341,492 2,719,069 15-19 979,154 961,330 1,940,484 133,169 135,804 268,973 1,112,323 1,097,134 2,209,457 20-24 741,584 810,401 1,551,983 227,287 130,068 357,356 968,870 940,469 1,909,339 25-29 593,014 663,658 1,256,673 561,625 178,228 739,854 1,154,639 841,887 1,996,526 2,016,371 1 歳未 満 30-34 504,841 528,929 1,033,770 722,041 260,561 982,601 1,226,883 789,489 35-39 423,222 434,354 857,576 606,828 231,017 837,845 1,030,051 665,370 1,695,421 40-44 348,788 353,748 702,537 409,204 122,485 531,690 757,993 476,234 1,234,226 45-49 266,126 271,926 538,052 236,860 60,648 297,508 502,985 332,574 835,560 50-54 200,270 208,526 408,796 127,384 33,539 160,922 327,653 242,065 569,718 55-59 155,621 168,270 323,892 66,664 20,016 86,680 222,286 188,287 410,572 60-64 115,494 135,065 250,558 31,778 12,174 43,951 147,272 147,238 294,510 65-69 125,661 88,253 213,915 13,705 6,804 20,509 139,366 95,058 234,423 70-74 101,964 81,838 183,802 7,799 9,430 17,230 109,763 91,267 201,031 75-79 61,207 40,839 102,046 4,110 1,992 6,101 65,316 42,831 108,148 80-84 41,072 30,096 71,169 3,058 2,061 5,118 44,130 32,157 76,287 85 歳以 上 42,611 31,429 74,041 1,902 2,517 4,419 44,513 33,946 78,460 8,718,080 8,648,362 17,366,443 3,899,920 1,966,466 5,866,385 12,618,001 10,614,827 23,232,828 計 2000 年の人口に基づく推定 図表 25 外国人の占める割合が最も多い年代は 30 歳から 39 歳 で、49%を占める。85 歳以上の外国人はこの年代のわ ずかに 6%である。外国人の親を持つ子供の占める割合 は 16%にすぎない。 20 歳から 64 歳の国民では、女性の方が男性より多い。 メッカ、リヤド、東地区は、サウジアラビアの主要行政 区域であり、人口の 65%がこの区域に居住している。 この 3 つの行政区域のうち、リヤドは過去 3 年間の人口 増が 3%と最も高い。 Copyright © 2007 JETRO, All rights reserved. 7.2 サウジアラビアにおける医療 7.2.1 一般情報 公的部門がほぼ全面的に医療に対応しており、国家の医療 費支出は総支出の 77%を占め、保健省、防衛省、国営企 業が提供するベッド数の約 80 %を占めている。 2002 年のサウジアラビアの医療費支出は 78 億 9000 万 米ドルであった。内訳は、入院患者の治療に 54%、外来 患者の診療に 24%、医薬品に 7%、歯科治療に 3%、管 理費に 12%である。 28 サウジアラビア医療の人口動態統計 年 国民一人あたり GDP(US$) 総医療費支出(一人あたり) 政府総医療費支出(一人あたり) GDP に占める総医療費支出(%) 13 800 2006 345 2002 266.1 2002 4.3 2002 77.1 2002 総医療費支出に占める自己負担費(%) 6.9 2002 政府予算に占める保健省予算(%) 6.8 2002 15.3 2001 1.9 2001 総医療費支出に占める政府総医療費支出(%) 人口 10,000 人あたりの医師数 人口 10,000 人あたりの歯科医数 人口 10,000 人あたりの薬剤師数 2.6 2001 人口 10,000 人あたりの看護師と助産師の数 32.3 2001 人口 10,000 人あたりのベッド数 22.4 2001 1.1 2003 一次医療機関とセンター 図表 26 出典:サウジアラビア経済計画省 7.2.2 サウジアラビアにおける医療 現在、サウジアラビアは、アラブ諸国一の医療を自負し ている。サウジアラビア国民が利用することのできる病 院は 330 ヶ所以上でベッド数約 50,000 床を有する。 医療センターは約 1,800 ヶ所、私立の診療所は約 800 ヶ所である。現在、心臓切開手術や臓器移植など、高度 な手術が国内のさまざまな病院において国際的にも最高 の水準で日常的に行われている。サウジアラビアは 2004 年度予算のうち 64 億 8,000 万ドルを医療に割り 当て、その結果、アラビア湾岸諸国における医療機器・ サービス市場の中で最も利益を生む市場となった。世界 銀行によると、サウジアラビア政府は毎年平均して GDP の 5.3%を医療部門に支出している。絶対的には毎年平 均 27 億 5,000 万ドルを医療部門に支出している。これ に比べて民間部門による支出は 7 億 2,700 万ドルにと どまっている。米国はサウジアラビアの主要な取引相手 国であり投資パートナーである。サウジアラビアの医療 市場はほとんどすべてを輸入医療機器に依存しているた め、米国のメーカーは堅実な市場シェアを享受し続ける であろう。 サウジアラビア政府は王国最大の医療サービス提供者で あり、全医療ニーズの 70%以上に対応している。保健 省(MoH)は、住民に対する予防医療とリハビリ療法の 提供を委託された最大の政府機関である。他の公的医療 機関としては、サウジアラビア国家警備隊、軍病院、治 安病院、大学病院、社会保険総合組織がある。政府は伝 統的に、自国民、外国人を問わず、すべての居住者に公 立病院での治療を無料で提供してきた。しかし、人口増 から来る財政逼迫により、政府は、継続的な医療サービ スの向上を保証するために、この方針の見直しを迫られ ている。過去 5 年間、サウジアラビアの人口は年 3%ず つ増え続け、2005 年には 2,400 万人を超えた。この間、 保健省管掌医療機関を訪れた患者は著しく減少している。 Copyright © 2007 JETRO, All rights reserved. このことから、サウジアラビアでは私立の医療機関や在宅 治療への移行が顕著であることが窺える。 サウジアラビア政府は近年、医療部門における民間部門の 役割を高めるための施策を取ってきた。閣僚会議は、 2002 年 6 月に新たな保健法案を承認し、いくつかの公立 病院の民営化や約 600 万人の外国人労働者に医療保険へ の加入を義務づけるなど、医療サービスの包括的ネットワ ークを確立した。保健省は、一次医療、二次医療、専門医 療を含む医療サービスの統合ネットワークを全国に展開す る任務を負った。この保健法案は、協同医療保険制度のも とで外国人向け医療を提供することも定めている。最終的 に法案は、サウジアラビアの新医療制度の整備戦略策定責 任者である保健相を長とする医療委員会を設立した。 2004 年 5 月、政府は 1 億 5,700 万ドルを出資して医療 持株会社を設立した。この会社が医薬品と医療機器の輸入、 販売だけでなく、病院、診療所、研究所などの医療機関を 設立し、経営することになるだろう。 サウジアラビアにおける主な疾病には、糖尿病、消化器疾 患、結核その他呼吸器系疾患、眼科疾患、心疾患、マラリ アなどがある。サウジアラビアでは成人の 24%がⅡ型糖 尿病にかかっているか、耐糖能障害の兆候を示していた。 脳卒中、心疾患、失明、腎不全、手足の切断の主な原因で ある糖尿病問題の対応に政府は年間 130 億ドルを支出し ている。これが結果的にさまざまな闘病機器の巨大市場に 姿を変えることになる。 喫煙率が高いため、呼吸器系疾患も非常に多い。サウジア ラビアにおけるタバコ製品の年間消費量は現在 21 トン、 金額に換算すると約 1 億 6,900 万ドルである。1994 年 から 2000 年にかけて、サウジアラビアでは肺癌が 2,350 例、口腔癌が 1,681 例、膀胱癌が 1,854 例確認されてい る。2002 年に輸入タバコに対する関税が 2 倍に引き上げ 29 られたのをきっかけに、タバコの消費量は減少した。し かし、呼吸器系機器の需要は依然として高い。 アブハと聖都メディナに医学研修機関が開設された。ジ ェッダのキング・アブドゥル・アジズ大学とキング・フ ァイサル大学にも研修センターが設立され、リヤド市外の キング・サウド大学のキャンパスにはベッド数 760 床の 大学附属病院が建設された。 サウジアラビアの医療機関(2001 年∼2004 年) 指標 (保健省管掌)公立病院数 2001 2002 2003 2004 190 193 194 196 39 40 40 41 101 101 101 103 他の公立病院数 私立病院数 総病院数 (保健省管掌)公立病院のベッド数 他の公立病院のベッド数 330 334 335 340 28,140 28,220 28,410 28,531 9,376 9,512 9,576 9,618 9,106 9,744 9834 9,893 46,622 47,476 47,820 48,042 (保健省管掌)入院患者数 1,231,659 1,307,875 1,317,222 1,336,882 総入院患者数 2,146,421 2,219,461 2,226,106 2,259,331 (保健省管掌)外来患者数 11,136,981 12,066,944 12,153,187 12,334,578 総外来患者数 19,408,496 20,477,577 20,538,887 20,845,438 私立病院のベッド数 総ベッド数 図表 27 出典:サウジアラビア保健省 7.2.3 医療用画像診断機器に関する規制 サウジアラビア政府は外国企業が単独で市場に参入する ことを許可していない。サウジアラビアの国民または企 業との提携が必要である。現在、画像診断機器の供給は 寸断され、多くの供給者がさまざまなブランドを扱って いる。OEM メーカーの代理店は一般的ではない。 Copyright © 2007 JETRO, All rights reserved. 30 8. オマーン国 8.1 一般情報 国勢調査の結果によると、オマーンの総人口は 2005 年 現在 2,478,000 人を超え、性別と年代別の内訳は下記 の通りである。 • 0 歳から 14 歳 :33.3%(825,424) • 15 歳から 64 歳:64.9%(1,607,914) • 65 歳以上:1.8%(45,042) • 平均寿命は男性が 70.8 歳、女性が 73.2 歳である。 オマーン地域別人口(2005 年)(単位:千人) 地域 オマーン人 外国人 計 684 バティナ 585 99 マスカット特別行政区 400 282 682 シャルキーヤ 273 55 328 ダーヒリーヤ 244 36 280 ドファール特別行政区 157 73 230 ザーヒラ 153 67 219 ムサンダム特別行政区 21 9 30 ウスタ 17 7 25 1,849 629 2,478 計 図表 28 出典:国勢調査結果 UAE やバーレーンなど、他の GCC 加盟国と比較すると、 外国人の占める割合は低めで人口の 25%にとどまって いる。 ムサンダムとシャルキーヤは、他 の行政区より高齢者が多い。65 歳 を超える人の割合はそれぞれ、地 域 人口の 2.5%と 2.4%であり、 こ れは全国平均 1.8%より約 0.7 ポイント高い。 バティナ、マスカット特別行政区、シャルキーヤは、オマ ーンで最も人口が多い行政区であり、それぞれの人口は 684,505 人、682,111 人、328,162 人である。 地域別年代別人口(%) 100% 75% ダーヒリーヤとバティナは、若い 世代が多い地域で、人口の 85%以 上が 0 歳から 39 歳である。 50% 外国人の割合が最も高いのは、首 都とマスカット特別行政区の残り の地域である。ダーヒリーヤ、シ ャルキ ーヤ、バティナは、自国民 の方が強い地盤である。 25% 0% ドファール 0-14 15-64 ウスタ 65 歳以上 シャルキーヤ ダーヒリーヤ ザーヒラ ムサンダム バティナ マスカット 地域 図表 29 出典:国勢調査結果 Copyright © 2007 JETRO, All rights reserved. 31 8.2 オマーンにおける医療 画に基づく場合のみ可能であるため、保健省は 1976 年を 初年度とする 5 ヶ年計画を策定した。 8.2.1 一般情報 1970 年 8 月、保健省(MoH)の設立を命じる国王令が 発せられた。それ以来、保健省はすべてのオマーン人に あまねく医療を無料で提供する近代国家制度をゼロから 構築することができた。このような発展は適切な医療計 保健省は、医療センターを運営しており、一部のセンター では出産もできる。こうした医療センターは一次医療(予 防と治療)を社会に提供している。 オマーン医療の人口動態統計 年 国民一人あたり GDP(US$) 14 100 2006 総医療費支出(一人あたり) 246 2002 政府総医療費支出(一人あたり) 201.1 2002 GDP に占める総医療費支出(%) 3.4 2002 81.6 2002 9.5 2002 総医療費支出に占める政府総医療費支出(%) 総医療費支出に占める自己負担費(%) 5.4 2003 16.3 2004 人口 10,000 人あたりの歯科医数 1.8 2004 人口 10,000 人あたりの薬剤師数 3 2004 人口 10,000 人あたりの看護師と助産師の数 37 2004 人口 10,000 人あたりのベッド数 22 2004 3.7 2004 政府予算に占める保健省予算(%) 人口 10,000 人あたりの医師数 一次医療機関とセンター a 図表 30 出典:www.emro.who.int, WHO 特定の科で専門医療を提供するために拡張医療センター が設立された。1999 年に医療センターが対応した外来 患者の総数は約 450 万人で、1 日平均 1 万 2,000 人と なる(病院が対応した外来患者数は 530 万人)。保健 省管掌医療機関への外来患者数は、保健省が最低料金で の外来診療利用を合理化する施策を講じた 1998 年まで の数年間、確実に増加してきた。医療サービスの充実に より、保健省が対応した患者は人口のほぼ 95%に増え た。残りの 5%は遠隔地の山岳地帯に住んでいるため、 容易に通院することができず、医療や他の社会サービス の提供に大きな問題となっている。こうした地域には移 動医療チームが定期的に訪問することによって対応して いる。 Copyright © 2007 JETRO, All rights reserved. マスカット特別行政区の三大病院であるロイヤル・ホスピ タル、ホウラ・ホスピタル、アル・ナーダ・ホスピタルは、 高度な専門医療を提供し、全国的な紹介病院になっている。 イブン・シナ・ホスピタルもマスカット特別行政区にあり、 精神科を専門とする大きな病院である。 過去 20 年の入院患者数を見ると、病院が入院患者に提供 する医療は急増していることがわかる。 32 オマーン人口動態統計(2001 年∼2004 年) 指標 総出生児数(単位:千人) 死産数 総死亡者数 出生率(人口 1,000 人あたり) 幼児死亡者数(出生児 1,000 人あたり) 死亡者数(人口 1,000 人あたり) 2001 2002 2003 2004 39 40 40 41 365 376 381 344 2550 2564 2701 2743 24 24.4 25.7 28.4 10.3 10.3 16.2 16.2 2.6 2.7 3.5 3.5 平均寿命 74.3 74.2 73.8 73.8 - 男性 73.2 73.1 72.2 72.4 - 女性 75.4 75.4 75.4 75.3 図表 31 出典:オマーン保健省 この数年、子供の死亡率の増加が観察される。このこと は、保健省の統計の正確性と関連があるのかもしれない。 以前は自宅で出産(死産も含む)していたため、記録の 根拠が薄弱であったと思われる。 8.2.2 オマーンの医療従事者と病院 2005 年、保健省は 391 名のオマーン人医師と 49 名の インターンを採用した。そのうち 300 名は保健所員で 91 名は専門医である(一般小児科 14 名、皮膚科 10 名、 内科 9 名、一般外科 7 名など)。専門医全体の中でオマ ーン人が占める割合は 12%にとどまっていることがわ かった。 人口に占める看護師の割合は同じ所得水準の他国と比べ て適切である(1998 年末現在、人口 10,000 人あたり 32.6 人)が、オマーン人の占める割合は 24%にとどま っていることがわかる。保健省看護師のうち、26.5%は オマーン人である。看護師の 82%以上は保健省職員で ある。保健省のオマーン人看護師は若く、平均年齢 27 歳で平均経験年数は 4.2 年である。オマーン人が占める 割合はほとんどの地域で適切な高水準に達したが、ウス タ ( 0% ) 、 ム サ ン ダ ム ( 13.2% ) 、 ド フ ァ ー ル (13.2%)は例外である。国家レベルでの今後の看護師 供給とオマーン人による運営に関する計画実施により、 保健省医療に携わるオマーン人の割合は 2006 年ごろに はようやく 63-70%に増加すると予測されることが明ら かになった。 Copyright © 2007 JETRO, All rights reserved. 1998 年当時、国内の病院は、地域によって 1,078 人から 24,500 人と、担当地区の人口に大きなばらつきがある不 均衡な状態にあった。国内 23 病院の建物(サービス地 域)の格付けとしては、「満足」が 10 ヶ所、「ほぼ満 足」が 9 ヶ所、「不満足」が 4 ヶ所だった。「ほぼ満足」 と評価された 9 ヶ所の中には増改築と補修が必要だと思わ れる病院もあった。国内病院における外来患者数もさまざ まで、1 日平均 200 人未満が 50%以上、平均 300 人未満 が 90%近くあった。325 人から 350 人という病院は 3 ヶ 所だった。入院患者の治療施設は一般的に設備の水準が低 い。国内 23 病院のうち三分の一以上は、ベッド使用率が 30%未満であり、中にはわずか 6%という病院もあった。 ベッド使用率が 60%以上の病院は 3 ヶ所しかなかった。 国内 23 病院の三分の一で平均入院患者数は 4 人以下であ り、入院患者数が 1 日 20 人以上という病院は 17%しか なかった。 国内の病院の分娩室の利用は一般的に低いことがわかった。 国内病院の 80%以上は 1 日に取り扱う分娩数が平均 1 件 で、1 日平均 2 件という病院は 2 ヶ所しかない。国内 23 病院のうち、小さな手術が 1 日せいぜい 1 件という病院が 60%もあり、1 日平均 2 件以上という病院は 3 ヶ所しか ない。 国内病院の人材確保もさまざまである。職員数は 18 名か ら 98 名で、医師が一人しかいないという病院が 5 ヶ所あ る。 33 オマーン医療従事者数(2002 年∼2004 年) 2002 2003 2004 公立病院の医師数 2,498 2,826 3,034 私立病院の医師数 1,038 1,174 1,214 136 156 165 公立病院の歯科医数 私立病院の歯科医数 199 239 251 公立病院の看護師数 7,057 8,004 8,089 535 597 657 公立病院の関連医療従事者数 8,547 9,090 9,493 私立病院の関連医療従事者数 595 663 735 公立病院計 20,237 22,983 23,808 私立病院計 3,146 3,492 3,701 23,382 26,475 27,509 私立病院の看護師数 合計 図表 32 出典:オマーン計画省 すべての科において、医療従事者数は全国で着実に増え ている。民間部門の成長ペースは公立病院の成長ペース にほぼ並んでいる。 8.2.3 オマーンの保健省管掌病院 オマーンは 5 つの地方と 59 の行政単位(ウィラヤット) を持つ 3 つの特別行政区に分割されている。地方は、ダー ヒリーヤ、シャルキーヤ、バティナ、ザーヒラ、ウスタで ある。特別行政区はマスカット、ドファール、ムサンダム である。医療行政上、シャルキーヤ地方とバティナ地方は それぞれ 2 つに再分割され、10 の医療地域がある。 特別行政区別・地域別保健省管掌病院 ロイヤル・ホスピタル マスカット ハウラ・ホスピタル クラヤット・ホスピタル ソハル・ホスピタル アル・ルスタク・ホスピタル サハム・ホスピタル ワディ・B・ガフェール・ホスピタル バティナ ワディ・サラミ・ホスピタル ワディ・ミスタル・ホスピタル ワディ・アル・ハワスナ・ホスピタル ワディ・アル・ハイマリ・ホスピタル ヒベイ・ホスピタル ワディ・B・ハルース・ホスピタル ハサブ・ホスピタル ムサンダム ブハ・ホスピタル ダバ・アル・バヤ・ホスピタル アル・ブライミ・ホスピタル ザーヒラ イブリ・ホスピタル ヤンクル・ホスピタル ワディ・アル・ギジ・ホスピタル ダーヒリーヤ ニズワ・ホスピタル サマイル・ホスピタル アル・ジェベル・アル・アハダル・ホスピタル Copyright © 2007 JETRO, All rights reserved. 34 特別行政区別・地域別保健省管掌病院 バーラ・ホスピタル イズキ・ホスピタル アダム・ホスピタル スル・ホスピタル イブラ・ホスピタル ビディヤ・ホスピタル ディマ・ワ・アト・タイイン・ホスピタル シャルキーヤ ジャーラン・バニ・ブ・アリ・ホスピタル ジャーラン・バニ・ブ・ハサン・ホスピタル ワディ・バニ・ハリド・ホスピタル マシラ・ホスピタル シナウ・ホスピタル サマド・アシュ・シャーン・ホスピタル ウスタ ハイマ・ホスピタル アド・ドゥクム・ホスピタル スルタン・カブース・ホスピタル ドファール タウィ・アタール・ホスピタル マディナット・アル・ハク・ホスピタル サドゥ・ホスピタル 図表 33 出典:オマーン保健省 8.2.4 特別行政区と地方 ドファール特別行政区 マスカット特別行政区 ドファールには 538 の病床と 25 ヶ所の医療センターがあ る。 公立病院が 7 ヶ所と私立病院が 3 ヶ所あり、医療センタ ーと診療所は 600 ヶ所以上ある(オマーン石油開発の 職員のみに医療を提供する施設を含む)。 ロイヤル・ホスピタルは、ベッド数 633 床の専門病院 である。事故救急科があり、小児科、産科、外科、心臓 科、放射線治療科には最新の機器を備えている。さらに、 腎臓科では移植手術を行っている。 ホウラ・ホスピタルはベッド数 477 床で、整形外科、 火傷治療科、形成外科、産婦人科、物理療法科、一般診 療科がある。 主要な病院はサララのスルタン・カブース・ホスピタルで ベッド数は 450 床である。同院は集中治療、事故救急、 人工腎臓、火傷、美容整形を専門とする科を設置している。 ドファールには小さな病院が 5 ヶ所あり、患者と妊婦のた めに 28 の病床を備えている。 ムサンダム特別行政区 ベッド数 140 床の 3 ヶ所の病院と 3 ヶ所の医療センター がある。 ダーヒリーヤ地方 アル・ナーザ・ホスピタルは、ベッド数 114 床で、皮 膚科、歯科とともに耳鼻咽喉科がある。 イブン・シナ・ホスピタルは、ベッド数 66 床で、精神 疾患と薬物乱用問題をかかえた患者に対応している。 スルタン・カブース大学病院は現在、学生に実地体験を させるために患者数を増やしている。 この地方には病院が 6 ヶ所あり、ベッド数は 547 床であ る。 ベッド数 301 床のニズワ・ホスピタルは、この地方の紹 介病院で、1998 年に改築され、開院した。 ニズワには総合病院も 1 ヶ所あり、周辺には医療センター が 10 ヶ所ある。 軍病院と未熟児網膜症病院は関係者に医療を提供してい る。 Copyright © 2007 JETRO, All rights reserved. 35 シャルキーヤ地方 8.2.5 オマーンの私立病院 病院が 10 ヶ所あり、ベッド数は 725 床である。 マスカット私立病院 イブラ・ホスピタル(123 床)は、北シャルキーヤの地 方紹介病院で、医療センターが 9 ヶ所ある。 ベッド数 243 床で新設されたスル・ホスピタルは、南 シャルキーヤの地方病院で、同地方にはスルに総合病院 が 1 ヶ所と医療センターが 11 ヶ所ある。 バティナ地方 2000 年 10 月に開院した同院はマスカット一の私立医療 機関である。開発が進む風光明媚なバウシェルにあるベッ ド数 72 床の総合病院で、産科、体外受精治療科、一般外 科、内科、小児科があり、外来患者と入院患者に対応して いる。CT スキャンと最新のオープン MRI を備えた診断セ ンターもある。民間部門で患者のために高度な治療を提供 する同院は、中東で 27 年以上の経験を持つ国際病院管理 グループである医療連合によって運営されている。 病院が 10 ヶ所とベッドが 773 床ある。 ベッド数 363 床のソハル・ホスピタルは、北バティナ の地方紹介病院である。北バティナには総合病院が 4 ヶ 所と医療センターが 7 ヶ所ある。ベッド数 235 床のル スタク・ホスピタルは、南バティナの地方紹介病院で、 同地方には総合病院が 2 ヶ所と医療センターが 9 ヶ所あ る。 ザーヒラ地方 マスカット、シャティ・アル・クルムのアル・シャティ・ ホスピタル サイド・エサード・ビン・タリク殿下がオーナーを務める この病院には 30 の病床、診療科(心臓、小児、ウォーク イン・クリニックなど)、外科(美容整形、耳鼻咽喉科、 産科、歯科など)、薬局がある。 マスカット、ルィのバドル・アル・サマア・ポリクリニッ ク 病院が 5 ヶ所あり、ベッド数は 413 床である。 ベッド数 240 床のイブリ・ホスピタルは、同地方の紹 介病院である。 救急、分娩室、産科病棟、保育器、エコー・ドップラー、 放射線科、観察室、手術室、歯科クリニック、検査室など がある医療機関で、最高 55 人の入院患者を受け入れるこ とができる。 医療センターが 12 ヶ所ある。 8.2.6 医療用画像診断機器に関する規制 ウスタ地方 病院が 2 ヶ所、ベッド数が 52 床、医療センターが 7 ヶ 所ある。 医療用画像診断機器をオマーン市場で販売するためには、 保健省での登録が必要となる。 機器は国際標準を満たすものでなければならない。購入側 は中国製品には目もくれないのが実態である。 販売業者は機器の保守が条件となり、いつでも部品を供給 することができなければならない。 UAE で登録した自社製品メーカーの支店である場合、オマ ーンのパートナー企業は不要である。 Copyright © 2007 JETRO, All rights reserved. 36 9. カタール国 9.1 一般情報 カタールの総人口は 2005 年 7 月現在 771,558 人で、 性別と年代別の内訳は下記の通りである。 • • 15 歳 か ら 64 歳 : 75% ( 男 性 413,529/ 女 性 165,367) • 65 歳以上:2.4%(男性 12,902/女性 5,940) 0 歳から 14 歳 :22.5%( 男性 88,317/女 性 85,503) 性別・自治体別人口(2004 年∼2005 年) 2005 地域 男性 女性 ドーハ 227,804 124,617 352,421 アル・ラヤン 192,635 90,321 282,956 ウム・サラル 18,787 13,987 32,774 アル・ホール 26,256 6,458 32,714 アル・ワクラ 18,827 13,778 32,604 メサイード 11,634 1,509 13,143 7,833 2,851 10,684 計 アル・ジェマイリャ ジェリアン・アル・ ベトナ アル・シャマル 5,841 1,084 6,925 3,281 1,816 5,097 アル・グワイリヤ 1,849 390 2,239 514,748 256,810 771,558 計 図表 34 出典:カタール計画省 2005 年のデータは平均成長率 3.7%に基づく推定 年代別・性別人口(2004年∼2005年) 2004 2005 年代 男性 女性 計 男性 女性 計 30,059 28,420 26,687 22,187 39,896 59,477 66,976 61,624 56,617 46,488 29,738 15,771 9,573 28,489 27,814 26,149 20,004 19,671 24,576 27,833 23,773 19,260 12,631 7,615 4,104 3,863 58,548 56,234 52,836 42,191 59,567 84,053 94,809 85,397 75,877 59,119 37,353 19,875 13,436 31,171 29,472 27,674 23,008 41,372 61,678 69,454 63,904 58,712 48,208 30,838 16,355 9,927 29,543 28,843 27,117 20,744 20,399 25,485 28,863 24,653 19,973 13,098 7,897 4,256 4,006 60,714 58,315 54,791 43,752 61,771 87,163 98,317 88,557 78,684 61,306 38,735 20,610 13,933 2,869 1,865 4,734 2,975 1,934 4,909 496,382 247,647 744,029 514,748 256,810 771,558 0-4 5-9 10-14 15-19 20-24 25-29 30-34 35-39 40-44 45-49 50-54 55-59 60-69 70歳以 上 計 図表 35 出典:カタール計画省 2005 年のデータは平均成長率 3.7%に基づく推定 Copyright © 2007 JETRO, All rights reserved. 37 カ タ ー ル の 総 人 口 は 771,558 人 で 、 自 国 民 は 約 154,000 人にとどまっている。外国人はほとんど、南 アジアや極東から来た移民労働者である。さらに、アジ ア人はカタールの総人口の半数近くを占めている。 9.2 カタールにおける医療 カン・ホスピタルやドーハ・クリニック・ホスピタルなど の私立医療機関もある。 9.2.1 一般情報 公立のハマド総合病院、ルマイラ・ホスピタル、その他 カタールの多くの医療センターでは、居住者も移住者も すべて、通常料金で診療と歯科治療を受けることができ る。 1998 年、政府は、保険証発行料金 100QR も含めて、外 国人に提供する公的医療サービスに通常料金を課した。カ タールの居住者はすべて、保険証を持つことを義務づけら れている。 カタール初の大型公立病院であるベッド数 250 床のア ル・アーリ病院は 2004 年に開院した。今では、アメリ カタール医療機関(2001 年∼2004 年) 2003 2004 公立病院数 4 5 私立病院数 2 4 23 23 児童救急センター数 5 5 ハマド・ホスピタル外来患者診療所数 4 5 医療委託機関数 1 1 医療センター数 軍診療所数 1 1 警察診療所数 1 1 Y.S.G.A スポーツ医療センター数 1 1 Q.P 診療所数 5 5 民間部門診療所数 154 161 私立薬局数 140 142 32 36 公立病院ベッド数 1,368 1,421 私立病院ベッド数 250 600 私立分析レントゲン研究所数 図表 36 出典:カタール・ナショナル・バンク カタールでの事業 2004 年度版 カタールの民間医療部門は急成長しているが、公的部門 よりはるかに小規模である。 9.2.2 カタールにおける医療 ハマド医療法人(HMC)は、国家医療の担い手であり、 1979 年に設立された。現在、カタール最大の医療機関 であり、市場占有率は入院患者医療の 98%、外来患者 診療の 95%を超える。 HMC は現在 3 つの病院を管理している。ハマド総合病 院はベッド数 660 床で、医療の進歩に追随するために、 高度な医療機器と手術機器を使用している。婦人病院に はベッド数 332 床の不妊治療室と 71 床の新生児集中治 Copyright © 2007 JETRO, All rights reserved. 療室がある。ルマイラ・ホスピタルは 1957 年に開院し、 338 の病床を持つ。現在、総合病院への転換を図っている ところで、総合病院になれば包括的な診断サービスを提供 することになるだろう。 ハマド・メディカル・シティの新設により、数年を費やし て公立施設の拡大を行ってきた。2008 年開院予定で、中 東最大の医療開発になると思われる。新施設は患者に門戸 を開いた 3 つの新しい病院となるだろう。ベッド数 320 床の小児科病院、ベッド数 200 床の外傷・整形外科病院、 ベッド数 200 床の物理療法病院もある。そのため、公立 病院の入院患者受入数は 1,346 床から 2,596 床に倍増す るだろう。メディカル・シティには 300 床の長期療養施 設もできるだろう。 38 それ以 外にも、ベッ ド数 112 床の心臓専門病院、ア ル・ワクラのベッド数 200 床の総合病院、ノース・シ ティのベッド数 50 床の地域病院も設立され、ドゥハン に同様の施設も設立されるだろう。新規拡張により、施設 需要は一部緩和すると思われるが、人口増と歩調を合わせ るために、もっと多くの私立医療施設が必要である。 カタール医療の人口動態統計 年 国民一人あたり GDP(US$) 29 400 2006 総医療費支出(一人あたり) 935 2002 政府総医療費支出(一人あたり) 731.4 2002 GDP に占める総医療費支出(%) 3.1 2002 総医療費支出に占める政府総医療費支出(%) 78.2 2002 総医療費支出に占める自己負担費(%) 18.6 2002 7 2003 23.5 2002 人口 10,000 人あたりの歯科医数 3.6 2002 人口 10,000 人あたりの薬剤師数 9.9 2002 人口 10,000 人あたりの看護師と助産師の数 54.8 2002 人口 10,000 人あたりのベッド数 23.6 2002 2.9 2002 政府予算に占める保健省予算(%) 人口 10,000 人あたりの医師数 一次医療機関とセンター 図表 37 出典:www.ewmro.who.int 環境衛生省は、外国人向けの強制健康保険を導入するこ とによりこの部門を民営化する予定である。このサービ スの実施計画は、官民を問わず関連する雇用主と調整し ながら行われている。 健康保険を提供する機構はほぼ定着している。カタール で営業する大手企業と協力して国内の全保険会社と業務 を行う会社が設立されているところである。歯科医療、 心臓手術、出産、移植といった医療は、強制保険制度の対 象となる可能性は低い。 この影響は、HMC の能力と環境衛生省の予算からプレッ シャーを取り除く以上の効果が期待されており、国家の胎 児民間医療市場の急速な発展を促進することが期待されて いる。 公立病院専門別入院患者用ベッド数(2003 年∼2004 年) 公立病院 ハマド総合病院 2003 2004 616 613 ルマイラ・ホスピタル 362 379 婦人病院 334 332 56 56 0 41 1,368 1,421 精神科病院 アル・アマル・ホスピタル 計 図表 38 出典:カタール計画省 Copyright © 2007 JETRO, All rights reserved. 39 カタールでは私立病院の医療は比較的未開発であるが、 2004 年 11 月の私立総合病院第一号の開院により流れ が変わりつつある。アル・アーリ・ホスピタルは、オー ストラリア最 大の医療機関である New South Wales Health のオー ス トラ リア子 会 社で ある Aus Health International が運営するベッド数 250 床の総合病院で ある。 現在カタールは国民一人あたりの GDP が世界最高水準 にあるため、政府が提供する医療から選択する余裕があ るのは確かである。民間医療部門の発展は、環境衛生省 から予算のプレッシャーを取り除くだけでなく、国中に 高度な医療を提供する基礎になるだろうと思われる。 9.2.3 カタールの主要病院 診断サービスの包括的機能強化が進行中である。補足的観 察と集中治療室が完備した 3 つの手術室が増築され、先進 歯科クリニックが完成した。物理療法室を開発中で、高度 なリハビリ機器と治療技術を完備する予定である。同院は 男女の高齢者医療、事故被害者のリハビリと物理療法、障 害児の治療も行っている。火傷、結核、胸部疾患、形成外 科の特別治療室もある。皮膚科、性病科、歯科はすべて、 45 の診察室がある施設で営業している。 アル・アマル・ホスピタル(癌腫瘍) 同院は癌の細胞診断と専門治療を行う初のセンターである。 患者と家族のための早期発見、治療、相談、リハビリ、教 育、認識といったサービスを提供する。年間 3,000 人か ら 4,500 人の患者に対応するために必要な機器と職員を 備えている。 メディカル・コーポレーション(HMC) 1982 年に設立された HMC は、地域で専門性の高い医 療機関のひとつである。カタール人職員のうち 60 人は ノース・アトランティック大学カタール分校の第一号奨 学生グループを形成した。HMC は、彼らがレントゲン、 呼吸器系、救急医療、コンピュータ医療工学など、さま ざまな技術的専門分野で HMC が運営する病院の職員に なれるよう準備を整えた。 現在、HMC はハマド総合病院、ルマイラ・ホスピタル、 婦人病院、アル・ホール・ホスピタル、アル・アマル・ ホスピタルを管理している。 ハマド総合病院(HGH) 1982 年に開業した HGH は 616 の病床を備え、すべて の科に割り当てている。最も重要な科は、外科、小児科、 内科、麻酔科、検査科、病理学科である。事故救急科は 24 時間体制で対応しており、緊急医療を提供するため に 1999 年 6 月に強化救急医療プログラムにより機能を 強化した。 1999 年、外来患者診療にいくつかの改革が行われた。 104 の診察室を備えた 4 階建て病棟、検査室、薬局、 広々した待合室を新設した。 婦人病院 1988 年に設立された婦人病院には、ベッド数 334 床の 不妊治療室とベッド数 71 床の新生児集中治療室がある。 新生児の包括的な予防免疫プログラムを行っている。母 親も退院前に予防接種を受ける。妊婦は、高度な訓練を 受けた多くのカタール人女性医師が操作する超音波シス テムなどの先進機器で検査を受ける。 ルマイラ・ホスピタル ベッド数 362 床の同院は 1957 年に開院し、1977 年に 改築された。法人はルマイラの総合病院化を進めている ところである。したがって、レントゲンや検査室などの Copyright © 2007 JETRO, All rights reserved. 4,500 万 QR をかけた同院には、男性、女性、小児併せて 82 の病床、レントゲンに関する 3 つの放射治療システム とセクション、検査室、薬局、物理療法科、核診断科があ る。 アル・ホール・ホスピタル 総工費 8,500 万 QR のアル・ホール・ホスピタルは 2005 年 5 月に開業した。同院の目的は、すべての専門分野を網 羅する質の高い統合医療・診療・診断を提供することであ る。同院はカタール北部の住民への医療提供に専念してい る。さまざまな科で使用するための 119 床を備えた特別 入院患者病棟もある。そのうち 13 床は成人と小児の集中 治療室に割り当てられている。4 床は新生児用である。ア ル・ホール・ホスピタルには、手術用の 8 つの病棟もあり、 さまざまな症例を受け付け、対応する用意がある。さらに 同院では 24 時間体制の附属サービスによっても支援され て いる。たとえば、放射線科にはコンピュータ断層写真 (CAT)用や磁気共鳴映像法(MRI)用の最新医療機器が ある。血液検査や免疫検査など、さまざまな検査を行う検 査部もある。血液銀行、救急室、小児救急室もある。 同院は、拡張計画の一環としてベッド数を 200 床に増設 する予定である。この計画には、看護師宿舎、職員専用ク ラブ、クリーニングなどのサービス施設も含まれている。 主要な科はすでに 1 年前から患者に医療を提供している。 その間の患者数は 4,000 人にのぼる。 ハマド・メディカル・シティ・コンプレックス(HMCC) 2008 年開院予定のハマド・メディカル・シティ・コンプ レックス(HMCC)は、中東最大の包括的医療機関になる 予定である。ベッド数 320 床の小児病院、ベッド数 220 床の骨疾患専門病院、ベッド数 350 床の医療リハビリ専 門病院といった 3 つの専門病院を内包する。透析室に加え て、小手術室、ベッド数 300 床の高齢者介護施設も計画 されている。それによって、公立病院の入院患者収容数は 1,346 床から 2,596 床に倍増するだろう。 40 同シティには、国立医療機関(NHA)、看護師宿舎 16 棟、医療職員向け社交スポーツクラブも含まれる。 民間医療部門 私立病院が重要な役割を果たす中、カタール国の民間医 療部門はめざましい発展を遂げた。2003 年、民間医療 部門には、23 ヶ所の医療コンプレックス、131 ヶ所の 歯科、128 ヶ所の診療所、2 ヶ所の総合病院が含まれ、 1,294 名の医師が勤務している。 療法科、薬局がある。残りの診療所は順次開業予定である。 9.2.4 医療用画像診断機器に関する規制 外国企業は支店の形態で進出することができる。 地場企 業と提携する場合は、カタール人が株式の 60%以上を保 有することが条件である。 カタールで医療用画像診断機器を販売するためには、保健 省ライセンス部に申請してライセンスを取得しなければな らない。 アル・アーリ専門病院 アル・アーリ・ホスピタルは敷地面積 43,000 平米で、 2004 年 11 月に外来診療を開始し、小児科、内科、歯 科の診療を行っている。検査室以外に、放射線科、物理 Copyright © 2007 JETRO, All rights reserved. 41 イン タビュー 調査 Copyright © 2007 JETRO, All rights reserved. 42 10. UAE における医療用画像診断機器 10.1 メーカー 医療用画像診断機器のメーカー 100% 調査はさまざまな種類とサイズの 画像診断機器を供給する 38 社を 対象とした。右のグラフは主要な メーカーを表している。 病院と診療所の割合 80% UAE の病院と診療所は、国際的メ ーカーが製造した画像診断機器を 使用している。東芝は日本のメー カーとしては最も人気が高く、同 社の画像診断機器は UAE の病院と 診療所で使用されている。市場で 次に存在感が強い日本のメーカー は島津と日立である。 60% 46.5% 44.2% 40% 34.9% 18.6% 20% 11.6% 9.3% 7.0% 7.0% 日立 Bennett 4.7% 4.7% 4.7% Listem Agfa Trophy 0% Philips Siemens GE Medison 東芝 島津 図表 39 病院でも診療所でも主要メーカーの存在感は強い。半数 以上の病院が Philips、Siemens、GE の画像診断機器を 使用している。韓国メーカーの Medison は主に病院で使 用されている確立が高い。もともと韓国の会社であった Listem と Kodak に属する Trophy は、診療所で人気が ある。 画像診断機器のメーカー Philips Siemens GE 東芝 Medison 島津 日立 Bennett Listem Agfa Trophy 病院 診療所 63.6% 63.6% 54.5% 13.6% 18.2% 13.6% 13.6% 13.6% 0.0% 4.5% 0.0% 28.6% 23.8% 14.3% 23.8% 4.8% 4.8% 0.0% 0.0% 9.5% 4.8% 9.5% 図表 40 医療用画像診断機器の普及率 10.2 機器の種類 レントゲン機器 100.0% 81.4% 超音波機器 最も広範囲に存在する画像診断機 器はレントゲン機器、超音波機器、 さまざまな透視機器である。CT ス キャナは広い範囲で利用されてお り、MRI やマンモグラフィ機器な どのより高度な機械はそれより少 ない。 51.2% 超音波ドップラー 48.8% 透視機器 46.5% CTスキャナ 32.6% マンモグラフィ機器 30.2% MRI スパイラルCT 23.3% 骨密度測定機器 23.3% 23.3% 心臓血管画像診断機器 20.9% 心臓カテーテル 14.0% 周辺血管造影機器 PETスキャン 単光子放出コンピュータ断層撮影 0% 9.3% 7.0% 20% 40% 60% 80% 100% 病院と診療所の割合 図表 41 Copyright © 2007 JETRO, All rights reserved. 43 病 院は、各種画像診断機器の大半を所有し、使用してい る 。診療所が所有するのは、超音波、心臓血管機器など、 あまり複雑ではない機器である。 病院と診療所における画像診断機器 レントゲン機器 超音波機器 超音波ドップラー 透視機器 CT スキャナ マンモグラフィ機器 MRI スパイラル CT 骨密度測定機器 心臓血管画像診断機器 心臓カテーテル 周辺血管造影機器 PET スキャン 単光子放出コンピュータ断層撮影 病院 診療所 100.0% 95.5% 72.7% 81.8% 81.8% 59.1% 54.5% 40.9% 40.9% 22.7% 36.4% 27.3% 13.6% 9.1% 100.0% 66.7% 28.6% 14.3% 9.5% 4.8% 4.8% 4.8% 4.8% 23.8% 4.8% 0.0% 4.8% 4.8% 図表 42 病院と診療所で使用される画像診断機器の種類、台数、メーカー CT Sieme ns GE Philips 島津 東芝 日立 Bionet Atoma Listem Troph y 8 6 3 2 1 - 1 - - - スパイラル CT 4 3 1 1 - 1 レントゲン機器 15 6 13 3 - 1 1 1 - - - 2 2 周辺血管造影機器 2 2 2 - - - - - - - 骨密度測定機器 1 1 2 - - - - - - - マンモグラフィ機器 2 3 4 - - 1 - - - - 超音波機器 9 5 8 - 6 1 1 - - - MRI 3 4 4 - - 2 - - - - PET 単光子放出コンピュータ断層 撮影 心臓血管機器 1 1 2 - - - - - - - - 1 2 - - - - - - - 3 4 2 - - - - - - - 透視機器 4 4 4 - 1 2 - - - - 心臓カテーテル 2 1 5 1 - - - - - - 超音波ドップラー 5 5 8 1 - 1 1 - - - 図表 43 調査によると、Siemens と Philips は、病院と診療所で 多 く設置されている画像診断機器の主要メーカーであり、 GE がそれに続く。Philips も Siemens も、レントゲン 機器と超音波機器領域で使用されているケースが多い。 GE は、CT 機器の数では Siemens に次ぐ。Philips は心 臓 カテーテルの数で断然に強い。日本の日立、島津、東 芝 は次のグループである。東芝は主に超音 波機器で使用 されることが多い。 Copyright © 2007 JETRO, All rights reserved. 画像診断機器の供給者によると、CT 機器、レントゲン、 周辺血管造影図の取引のかなりの部分は Siemens と Philips が占めている。 上記メーカー以外の超音波機器には GE 製もあり、それ より少ないが東芝製とアロカ製もある。 44 過去12ヶ月間に購入した画像診断機器のメーカー 100% 80% 病院と診療所の割合 10.3 昨年の購入 総合的に、昨年の画像診断機器の 購入先はほとんど Philips、GE、 Siemens であった。 60% 40% 20% 14.0% 11.6% 9.3% 7.0% 7.0% 4.7% 2.3% 2.3% 2.3% 2.3% Listem Trophy Tokimec De Gotzen 0% Philips GE Siemens 東芝 Medison 日立 図表 44 過去 12 ヶ月間に購入した医療用画像診断機器のメーカー GE Philips Medison Siemens 日立 Planmeca Group 東芝 Listem Trophy Tokimec De Gotzen Allengers Antos 病院 診療所 22.7% 13.6% 13.6% 9.1% 9.1% 4.5% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 14.3% 0.0% 9.5% 0.0% 0.0% 14.3% 4.8% 4.8% 4.8% 4.8% 4.8% 4.8% GE、Philips、Medison の機器は昨年病院で最もよく購 入された。診療所は他社が製造し た機器も多く購入し、 東芝製品も好まれている。 図表 45 過去 12 ヶ月間に購入した医療用画像診断機器の種類 超音波機器 レントゲン機器 心臓血管画像診断機器 骨密度測定機器 マンモグラフィ機器 透視機器 デジタル・レントゲン写真 CT スキャナ スパイラル CT MRI PET スキャン カメラ付ズームキット 歯科機器 病院 診療所 27.3% 13.6% 0.0% 9.1% 9.1% 4.5% 9.1% 4.5% 4.5% 4.5% 4.5% 0.0% 0.0% 23.8% 33.3% 14.3% 0.0% 0.0% 4.8% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 4.8% 4.8% 左の表は、過去 12 ヶ月間、病院でも診療所でも他の画像 診断機器に比べて超音波機器とレントゲン機器を優先し て購入する傾向にあったことを示している。骨密度測定 器、マンモグラフィ機器、デジタル・レントゲン機器を 選択し、購入した病院も ある一方、診療所は心臓血管機 器に投資している。 機器の供給者は、過去 12 ヶ月間の売上で最も多かったの がレン トゲン機器と超音波機器であることを確認してい る。 図表 46 Copyright © 2007 JETRO, All rights reserved. 45 過去 12 ヶ月間に購入した医療用画像診断機器の種類、台数、メーカー GE Philips Siemens 東芝 日立 Medison Listem CT スキャナ - - - - - - - スパイラル CT 1 - - - - - - レントゲン機器 1 4 1 - - - 1 骨密度測定機器 - 1 - - - - - マンモグラフィ機器 2 - - - - - - 超音波機器 1 - 1 3 1 3 - MRI - - - - 1 - - PET - - 1 - - - - 心臓血管画像診断機器 - 1 1 - - - - 透視機器 - - - - - - - デジタルレントゲン写真 2 - - - - - - 図表 47 病院と診療所が購入を予定しているメーカー 10.4 将来の購入 100% GE と Philips は、病院と診療所が 画像診断機器の購入先として最も 名前を口にするメーカーである。 診療所と病院のほぼ 8%は将来の 供給者をまだ選択していない。 病院と診療所の割合 80% 60% 40% 20% 9.3% 4.7% 4.7% 4.7% Philips Siemens 島津 7.0% 2.3% 2.3% 東芝 Trophy 0% GE ブランドは未定 図表 48 今後12ヶ月以内に購入を予定している医療用画像診断機器 病 院も診療所も、レントゲン機器 購 入の必要性を明らかにしている。 医療機関が次に購入したいと思っ ている機器は超音波機器である。 23.3% レントゲン機器 11.6% 超音波機器 MRI 4.7% 心臓カテーテル 4.7% CTスキャナ 2.3% マンモグラフィ機器 2.3% CRシステム 2.3% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 病院と診療所の割合 図表 49 Copyright © 2007 JETRO, All rights reserved. 46 病院と診療所は主に、GE から機器を購入しようと考えて いる。病院では、GE と同じくらいの水準で、Philips か らの購入も検討している。島津と東芝は、病院でも診療 所でも供給者の次候補と見られている。 今後 12 ヶ月以内に購入を予定している画像診断機器のメー カー GE Philips Siemens 島津 東芝 Trophy ブランドは未定 病院 診療所 9.1% 9.1% 4.5% 4.5% 0.0% 0.0% 9.1% 9.5% 0.0% 4.8% 4.8% 4.8% 4.8% 4.8% 図表 50 下 の表と隣接する表は、病院と診療所が第一候補として レントゲン機器の購入を計画していることを示している。 同機器はほとんど GE と島津から購入される予定である。 次の候補は超音波機器で、ほとんど GE と Siemens から 購入される予定である。 今後 12 ヶ月以内に購入を予定している画像診断機器 レントゲン機器 超音波機器 MRI 心臓カテーテル CT スキャナ マンモグラフィ機器 CR システム 病院 診療所 22.7% 13.6% 9.1% 9.1% 4.5% 4.5% 4.5% 23.8% 9.5% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 図表 51 今後 12 ヶ月以内に購入を予定している機器とメーカー Philips GE Siemens 東芝 島津 Trophy CT スキャナ 1 - - - - - レントゲン機器 1 2 1 1 2 1 マンモグラフィ機器 - 1 - - - - 超音波機器 - 2 2 - - - MRI 1 1 - - - - 図表 52 医療用画像診断機器の購入先 10.5 購入先 過去12ヶ月間 多くのブランドを扱う卸売業者 7.4% メーカーから輸入 3.7% 過去 12 ヶ月間の画像診断 機器の 購入先を質問された回答者の半数 以 上は、1 つのブ ランドを販売す る代理店から取得したと回答して いる。次の購入先はメーカーの UAE 現地代理店である。 わからない 3.7% 国内にあるメーカー代理店 29.6% 1つのブランドを扱う代理店 55.6% 図表 53 Copyright © 2007 JETRO, All rights reserved. 47 病院と診療所の場合、購入 先 はさまざまである。しかし、 診療 所は、 1 つのブランドを販売する代理店から 機器を 取引 し、購 入することを好 む 。レントゲン機器 、 超音波 機器 の ほとんどは、代理店 か ら直接購入されて い る。代 理店は、マンモグラフィ機 器、磁 気共鳴機器、 骨密 度測 定機器も供給している。 病院と診療所の昨年の購入先 病院 診療所 1 つのブランドを扱う代理店 46.2% 64.3% 国内にあるメーカー代理店 23.1% 35.7% 多くのブランドを扱う卸売業者 15.4% 0.0% メーカーから輸入 7.7% 0.0% わからない 7.7% 0.0% 図表 54 病院と診療所が昨年購入した医療用画像診断機器の台数 1 つのブランドを扱う 代理店 多くのブランドを扱 う卸売業者 国内にあるメーカー 代理店 1 7 1 1 6 1 1 1 1 - 1 1 - 3 4 1 3 スパイラル CT レントゲン機器 骨密度測定機器 マンモグラフィ機器 超音波機器 MRI 透視機器 カメラ付ズーム・デンタルホワイトニング機器 歯科機器 心臓血管画像診断機器 図表 55 主な購入資金源 10.6 購入資金 全 体的には自己資本で機器を購入 し ている。2 番目の資金源は国庫 で ある。下の図 57 に示すように、 公 立病院が購入資金を国庫から調 達し、私立病院が自己資本や従来 の銀行融資やリース会社からまか なっていることは驚くにはあたら ない。民間診療所は自己資金で購 入している。 55.8% 自己資本 30.2% 国庫 従来の銀行融資 リース会社 0% 7.0% 4.7% 20% 40% 60% 80% 100% 病院と診療所の割合 図表 56 Copyright © 2007 JETRO, All rights reserved. 48 画像診断機器の主な購入資金源 自己資本 国庫 従来の銀行融資 リース会社 公立病院 私立病院 公立診療所 私立診療所 0.0% 100.0% 0.0% 0.0% 71.4% 0.0% 14.3% 14.3% 0.0% 100.0% 0.0% 0.0% 87.5% 0.0% 6.3% 0.0% 図表 57 新品の画像診断機器の購入 10.7 価格、取引条件 40.7% 超音波機器 過 去 12 ヶ月間に画像診断機器を 購 入した病院と診療所のうち、ほ ぼ 半数は新品の超音波機器に投資 し 、三分の一は新品のレントゲン 機 器に投資している。残りは中古 品 である。新品に対する関心は高 い が、中古品の売上も大切だと言 う供給者の信念も理解できる。 33.3% レントゲン機器 心臓血管画像診断機器 11.1% 骨密度測定機器 7.4% マンモグラフィ機器 7.4% 透視機器 7.4% デジタルレントゲン写真 7.4% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 過去12ヶ月間機器を購入した病院と診療所の割合 図表 58 各 機種の新品の画像診断機器の価格は、買主の取得価格 の平均値である。 新品の画像診断機器の平均価格(米ドル) 計 CT スキャナ 病院 診療所 - 12,255 12,255 スパイラル CT 544,678 544,678 レントゲン機器 19,064 骨密度測定機器 272,339 272,339 マンモグラフィ機器 19,064 - 163,403 163,403 - 超音波機器 53,923 77,163 19,064 MRI 27,234 27,234 - 透視機器 54,468 - 54,468 2,179 - 2,179 16,340 - 16,340 1,361,695 1,361,695 - カメラ付ズーム・デンタルホワイトニング機器 歯科機器 デジタルレントゲン写真 図表 59 Copyright © 2007 JETRO, All rights reserved. 49 支払い期間と値引き 支払い期間(日数) 正規価格からの通常値引き率 計 病院 診療所 161.3 214.6 108.1 7.6 7.9 7.4 病院と診療所の平均支払い期間は 161 日である。支払い 期間は病院の方がはるかに長く 215 日で、診療所はその 半分である。 値引率は全体で 7.6%である。 図表 60 各機種の納期は、買主によっては長い。その都度平均す ると約 1 ヶ月以下である。供給者は、病院には平均 15 週間、約 4 ヶ月以内に機器を納品する。診療所は 1 ヶ月 以上後に注文を受け取る。 納期(週) 計 病院 診療所 CT スキャナ 15.1 15.7 4.0 スパイラル CT 18.6 18.4 20.0 レントゲン機器 11.2 13.5 8.4 周辺血管造影機器 18.0 18.0 0.0 骨密度測定機器 14.8 14.8 0.0 マンモグラフィ機器 10.3 11.1 1.0 超音波機器 10.7 12.2 8.4 MRI 17.8 17.8 0.0 PET スキャン 単光子放出コンピュータ断層 撮影 心臓血管画像診断機器 18.3 18.3 0.0 15.5 15.5 0.0 19.6 21.3 18.0 透視機器 12.9 13.9 4.5 心臓カテーテル 19.9 19.9 0.0 9.9 11.7 3.5 砕石機器 16.0 16.0 0.0 歯科機器 20.0 0.0 20.0 デジタルレントゲン写真 24.5 24.5 0.0 超音波ドップラー 図表 61 保証年数 10.8 保証 3.0 骨密度測定機器 2.9 マンモグラフィ機器 調 査によると、全種 類の画像診断 機器の保証は 2 年から 3 年である。 ほとんどの機器には約 2 年半の保 証期間が設定されている。 2.7 透視機器 MRI 2.6 周辺血管造影機器 2.5 超音波機器 2.5 2.5 超音波ドップラー 2.4 レントゲン機器 2.3 単光子放出コンピュータ断層撮影 2.3 心臓カテーテル PETスキャン 2.3 2.0 心臓血管画像診断機器 2.0 デジタルレントゲン写真 0 1 2 3 4 5 年数、全病院・診療所 図表 62 Copyright © 2007 JETRO, All rights reserved. 50 ユ ーザーはすべて、定期的な点検 と 保守、不具合部品の交換という 保 証のもとで機器を受け取る。故 障 したとき機器全体を交換する方 法は一般的ではない。 保証対象サービス 100% 95.3% 90.7% 病院と診療所の割合 80% 60% 40% 30.2% 23.3% 20% 2.3% 0% 定期点検と保守 不具合部品の交換 機器全体の交換 修理中の代替品使用 機種によって異なる 図表 63 病 院と診療所全体で傾向は似ているが、機器の使用中で あれば、多くの診療所が代替品を使用している。 保証対象サービス 病院 診療所 定期点検と保守 95.5% 95.2% 不具合部品の交換 95.5% 85.7% 機器全体の交換 36.4% 23.8% 修理中の代替品使用 13.6% 33.3% 機種によって異なる 4.5% 0.0% 図表 64 保証終了後の対応 保 証期間終了後、調査した病院と 診 療所の半数以上が現行の供給者 と 保証を更新する。独立した専門 機 関と保守契約を結ぶという選択 肢 もある。内部の医療部門に保守 を任せる医療機関は少ない。 内部の医療部門に任せる 4.7% 独立した業者と保守契約を結ぶ 32.6% こ の傾向は病院と診療所のどちら にも関連する。 供給者の保証を更新する 62.8% 図表 65 Copyright © 2007 JETRO, All rights reserved. 51 10.9 主要供給者に対する満足度 均より低い)と良好領域(重要度が高く、満足度も高 い)である。 下のギャップ分析は 2 つの点、すなわち満足度(性能) と重要度に基づくサービスに関するさまざまな観点を表 している。これら両方のギャップは、全体の平均に対す る一つの属性の得点を比較するという方法で算出してい る。したがって属性を 4 つの四分表に現した。重要度の 高い要素は臨界領域(重要度が平均より高く、性能が平 10.9.1 ギャップ分析は UAE 市場の調査に基づく医療用画像診断 機器の大手メーカー、すなわち GE、Philips、Siemens、 東芝に関して行っている。 GE 製画像診断機器 良好領域 GE製画像診断機器のギャップ分析 知っている方がよい 機器設置の基準 3 製品の品質 2 緊急要件への対応 営業チームのプロ意識 満足度ギャップ(%) 保守担当技術者のプロ意識 1 管理効率 -46 24 発注から機器受領までの納期の迅 速さ 0 94 発注と注文処理効率 明確な価格設定・値引き方針 -1 アフターサービスの基準:定期的に 連絡がある -2 取引条件 -3 定期的な技術的確認 -4 ある方がよい 重要性ギャップ(%) 臨界領域 図表 66 GE 製品の品質は高く評価されている。GE 製品のユーザーは、技術面と営業面であまり満足していない。機器設置の基準が 重要であり、改善の余地がある。価格設定方針は印象に残っていない。営業チームのプロ意識の改善が期待されている。 Copyright © 2007 JETRO, All rights reserved. 52 10.9.2 PHILIPS 製画像診断機器 良好領域 Philips製画像診断機器のギャップ分析 知っている方がよい 製品の品質 3 機器設置の基準 保守担当技術者のプロ意識 2 管理効率 満足度ギャップ(%) 営業チームのプロ意識 1 スタッフの製品知識 緊急要件への対応 -53 17 87 0 発注と注文処理効率 明確な価格設定・値引き方針 -1 取引条件 発注から機器受領までの納期の迅 速さ -2 アフターサービスの基準:定期的に 連絡がある 定期的な技術的確認 -3 ある方がよい 臨界領域 重要性ギャップ(%) 図表 67 Philips 製画像診断機器の品質は高く評価されている。明確な価格設定方針と値引き方針は満足を得られていない。顧客は取 引条件についてもっと知りたいと思っており、営業チームのプロ意識と製品の専門知識があればもっとよくなるはずである。 10.9.3 SIEMENS 製画像診断機器 良好領域 Siemens製画像診断機器のギャップ分析 知っている方がよい 製品の品質 5 4 満足度ギャップ(%) 3 管理効率 2 機器設置の基準 1 緊急要件への対応 営業チームのプロ意識 0 -53 17 87 発注から機器受領までの納期の迅 速さ -1 スタッフの製品知識 アフターサービスの基準:定期的に 連絡がある 定期的な技術的確認 保守担当技術者のプロ意識 取引条件 ある方がよい 発注と注文処理効率 -2 明確な価格設定・値引き方針 重要性ギャップ(%) 臨界領域 図表 68 ここでも画像診断機器の品質は高く評価されている。しかし、アフターサービスの水準と保守要員の専門技術は弱い。顧客 は納品を早くしてほしいと思っており、製品に関して担当者にもっと情報を提供すべきである。 Copyright © 2007 JETRO, All rights reserved. 53 10.9.4 東芝製画像診断機器 スタッフの製品知識 知っている方がよい 良好領域 東芝製画像診断機器のギャップ分析 管理効率 製品の品質 保守担当技術者のプロ意識 緊急要件への対応 機器設置の基準 -54 16 86 156 0 営業チームのプロ意識 満足度ギャップ(%) 発注と注文処理効率 発注から機器受領までの納期の迅 速さ 明確な価格設定・値引き方針 -1 取引条件 アフターサービスの基準:定期的に 連絡がある -2 定期的な技術的確認 -3 重要性ギャップ(%) ある方がよい 臨界領域 図表 69 東芝の画像診断機器は上質であり、保守を担当する技術者の評価も高い。担当者は緊急の要求に対応している。改良の余地 は主に、注文処理効率、明確な価格設定と値引き、販売担当者のプロ意識と製品知識に関するものである。納期も改善の余 地がある。 10.10 日本の画像診断機器メーカーの認知度 日本のメーカー 100% 日本の医療用画像診断機器のメー カ ーを知っているかどうかという 質 問に対する回答である。日立、 オ リンパス、島津は最も知名度が 高 く、続いて東芝、松下、アロカ の順になる。 病院と診療所の割合 80% 74.4% 58.1% 60% 53.5% 40% 30.2% 23.3% 20.9% 20% こ れは病院にも診療所にも言える ことだが、Hoya は例外で、Hoya は診療所でより人気が高い。 9.3% 7.0% 4.7% 2.3% パ ナ 富 士 通 ク ソ ニ ッ oy a H ィカ ル 富 士 フ ィル ム メ デ ア ロ カ 下 松 芝 東 津 島 ス ン パ オ リ 日 立 0% 図表 70 Copyright © 2007 JETRO, All rights reserved. 54 10.11 企業イメージ 10.11.1 PHILIPS、GE、SIEMENS 企業イメージ:Philips, GE, Siemens 品質が良いことで有名 企業イメージは認知度の影響を受 け る。供給者の認知度が高いほど、 イメージ属性は定着する。結局、 比 喩的表現を使うと、面識の少な い人の特徴を表現するよりも、近 親 者の特徴を表現する方が簡単だ ということである。 高価である 最新技術を使用している 広い販売網がある 製品群が革新的である 金額に見合う価値がある 信頼できる 意欲的な会社である Siemens は最も特徴がはっきり し ている。品質に裏づけられた最 新技術を持ち、信頼性が高い。回 答 者によると、Siemens は、最 も 代 金 を 払 う 価 値 あ る 。 GE と Philips は、似ている。どちらも 広範な販売網を持ち、信頼性も同 程度である。 10.11.2 最新の研究開発が活かされている 使いやすい 顧客志向である 品質が証明されている Philips GE Siemens 図表 71 東芝、オリンパス、島津、 日立 企業イメージ:東芝、オリンパス、日立、島津 品質が良いことで有名 日本製画像診断機器のユーザーは、 評価を決定しにくい。最も高得点 を得たのは東芝で、品質の高い製 品と、広範な販売網と信頼性で知 られている。評価された日本製機 器の中でも、東芝の画像診断機器 は最も品質が証明され、顧客志向 であると評価されている。他の日 本メーカーはそれほど高く評価さ れていないが、日立は例外で、品 質が証明されているものと認知さ れている。 高価である 最新技術を使用している 広い販売網がある 製品群が革新的である 金額に見合う価値がある 信頼できる 意欲的な会社である 最新の研究開発が活かされている 使いやすい 顧客志向である 品質が証明されている 東芝 オリンパス 日立 島津 図表 72 Copyright © 2007 JETRO, All rights reserved. 55 GCC 加盟国における医療用画像診断機器市場についての調査報告書 2007 年 3 月 作成 作成者 日本貿易振興機構(ジェトロ) 〒107−6006 東京都港区赤坂 1−12−32 Tel.03−3582−5313 Copyright © 2007 JETRO. All rights reserved.