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平成28年度 教育研究所だより 第2号

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平成28年度 教育研究所だより 第2号
教育研究所だより
活 動 の 啓 発 ニ ュ ー ス
№ 2
平 成 2 8 年 ( 2 0 1 6 年 ) 4 月 1 1 日
明
石
市
教
育
研
究
所
平成27年度 第6回あかし若手教師塾 平成28年3月1日(火)
ホスピタル・クラウン―Crown
ではありません。Crownは、車で
笑いの伝播~道化師流コミュニケーションに学ぶ~
す。又は王冠。私は、Clown―道化
講師:NPO法人ホスピタル・クラウン協会 理事長
師です。
愛知教育大学 非常勤講師 大棟耕介
ピエロも道化師で
偉
言葉と言うものは不思議なものです。言霊と 思
すが、クラウンで
大
いうぐらいで、言葉には魂が宿っています。
っ
はありません。ピエロは道化師の
な
て
「死ね!」「疲れた・・・」「がんばれ!!」
中の特別な一人のキャラクターを指す
る
悪口、愚痴、励まし。人に頑張れと言ったら自 い
言葉です。
脇
分も元気になります。どんな言葉も自分に全部 て
クラウンはサーカスでおなじみの道
も
返ってきます。
役
、
化師の事です。クラウンは、主役では
だからこそ、楽しいことだけ考えま
言
ありません。脇役だけど、一番給料が高いと
しょう。「あーぁ」とか言っちゃダメ
わ
いうことを知っていますか?サーカス団の
です。どんな状況のときでも「よっしゃー」
な
トップスターがクラウンなのです。そしてク
と言いましょう。そして、「今日は一日
け
ありがとう」と感謝しましょう。
れ
ラウンはサーカスの全ての団員から尊敬され
ば
脳がその言葉を聞いています。
ています。私は、ボリショイサーカスに11
「愛している」と思っていても、「愛して
年いました。いいサーカスには“いいクラウ
いる」と言わなければ伝わらない。
ン”がいます。クラウンは、たくさんの抽斗
「がんばっているな」と思ってい
を持っていなければなりません。“状況”を
ても、「がんばっているね」と言
創り出す、アーチスト中のアーチストがクラ
わないと伝わらない。
ウンです。クラウンが特に意識しなければな
「何か」を言うことが、相手に無限
らないのは、「脇役」であることに徹するこ
の力を与えます。
と。「へりくだり」の精神です。相手を主役
▼講演中の大棟氏を見ているとあ
にすることです。
蛸
のウルトラ・マシンガントーク(90分
ホスピタル・クラウンは、病院で病と闘っ
戯
の講演で他の講師の2倍から3倍の
ている子どもたちに笑顔を届けるという使命
言
量の情報を提供する。多数の受講
を持って活動しています。
者が途中でメモをするのをあきらめ
ある病院に入院している脳腫瘍の二人 T
た)と同時に、手元も見ないで細長い風
の少女。Aちゃんは、自分で『はやくた V
船を膨らませ次々と様々な動物や冠や
いいんできますように』と書いた紙をお 番
剣等を作り上げている。そして、その目は
守りのように大切に持っています。そん 組
常に観客に向き、その反応を伺ってい
な仲良し二人組の病院にクラウンがやっ の
る。技術が完璧だからこそ、このゆとりが生まれているのだ
てきました。
映
ろう。「技を磨く」平素のたゆまぬ努力を垣間見た▼熱く語
(二人の女の子の笑顔)
像
られるので非常に暑いのだろう、「いつもこのタイミングで上
笑顔を失っているのは子どもたちだけ
か
着を脱がせてもらっています」と断って上着を脱ぐ。風船
ではありません。母親も・・・。
ら
パフォーマンスをしながら話し始めて十分位経つと脱ぎ捨
子どもたちは、病院の中でたくさんの
てた上着を再度着る。今度は、椅子のバランス技をする
我慢しなければならないことがあります。
母親も、本気で笑うことより泣きたくなることの方が ために脱ぐ。少し時間を置いて、また上着を着る。「この上
着の脱ぎ着は温度調節のためなのだろう」と思っていた。
多い毎日。そんな日常に《ちょっとでもいいことがあっ
それにしても上着を着たままでのパフォーマンスというのも
たら》嬉しくなってしまいます。クラウンはたくさんの
動きづらかろうと思って見ていたが、大棟氏は頻繁に脱ぎ
親子に笑顔を届けてきました。子どもたち自身が、元気
着を繰り返すのである▼講演終了後、記録写真担当の
になろうという気持ちにならなくては生きる意欲が出て
研修指導員が、「写真を撮るのに気を使った。カメラを向
来ません。
クラウンを追って病室から2人出てきました。
けるたびに、脱いでいた上着を演技しながら
クラウンがいたずらに誘っています。〝いたず
着るから、写真を撮るのが気の毒になってき
ら〟は、病気の子どもたちが子どもらしさを取り
た。」勝負服ならぬ上着を着たスーツ姿が大
戻す素晴らしい薬です。(母親の笑顔)
棟氏の講演する時の正装なのだろう。『講師
クラウンと出会うことで、入院が楽しい思い
として写真を取られるときはきちんとしたスー
出に変わった。
ツ姿で写る』。その“プロの被写体”としてのこ
だわりにも脱帽。
空
気
を
変
え
る
!
笑
顔
を
届
け
る
た
め
に
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