...

蛋白質核酸酵素:植物RNAウイルス遺伝子の発現と複製過程

by user

on
Category: Documents
18

views

Report

Comments

Transcript

蛋白質核酸酵素:植物RNAウイルス遺伝子の発現と複製過程
総説植物ウイルス遺伝子の発現と複製過程渡辺雄一郎
タバ コモ ザ イ クウ イ ル ス (TMV)
に代 表 され る よ うに, 植 物RNAウ
イル ス の遺 伝 子
に つ い ての 情 報 が 塩 基 配 列 の決 定 に よ って 得 られ て き た。 そ して植 物RNAウ
通 に 複 製, 細 胞 間 転 移,
遺 伝 子 保 護 とい った 機 能 を もつ 蛋 白質 を コー ドす る こ とが わ か っ
Database Center for Life Science Online Service
て きた 。 本 稿 で はTMVの
染 性TMV
RNAの
RNAの
イルスが共
プ ロ トプ ラ ス トへ の 同 調 感 染 系,
発現 系 に よ る reverse
genetics,
な らび に in vitro
そ して in vitro
合 成 系 を 用 い て な され た 最 近 の 実 験 結 果 をま とめ て,
での感
でのウイルス
植 物RNAウ
イルスの遺
伝 子 の 複 製 と 発 現 の 問 題 に つ い て 述 べ る。
は じめ に
現 在 知 られ て い る多 くの植 物 ウ イ ル ス の遺
伝 子 は1本 鎖RNAで,
そ の遺 伝 子RNAの
多 くは そ の
形 で翻 訳 活 性 を もつ プ ラ ス 鎖RNA〔(+)
RNA〕
であ
DNAと
比較 して分 子 生 物 学 的 に取 扱 い が 困難 で あ り,
DNA遺
伝 子 の解 析 に対 して強 力 な 武器 とな っ た組 換 え
DNA技
術 を利 用 す る こ とが で きな か った の も, も う1
る^<1)>。
最 初 に 結 晶 化 され た タ バ コ モ ザ イ ク ウ イ ル ス
つ の大 き な理 由 で あ った 。 しか し, cDNAに
(TMV)^<2)>は そ の 中 の 代 表 的 な もの で あ る。
こ とでRNA遺
RNAを
遺 伝 子 とす る ウ イル ス の中 には レ トロ ウ イ ル
ス の一 群 の よ うに, そ の 複製 中 間段 階 でDNAの
伝 子 の全 一 次 構 造 の決 定 が 可 能 とな り,
さ らに最 近 に な っ て い くつ か のRNAウ
形をと
読みかえ る
長 のcDNAか
ら大 腸 菌 やSP6フ
イ ル ス で, 完 全
ァ ー ジ な ど のRNA
る とい った 初 期 の セ ン トラ ル ドグ マ の枠 組 み か らは ず れ
ポ リ メラ ー ゼ を 用 い て 感 染 性 の転 写 産 物 (transcript)
た 遺 伝 情 報 の 流 れ を示 す も の も あ る^<1)>が,
TMVな
が in vitro
植物 ウ イル ス のRNA遺
伝 子 はRNAフ
(+)RNA→(-)RNA→(+)RNAと
どの
ァ ー ジ と同 様,
い っ た,
で 生 成 され る実験 系 が報 告 され て きた 。 プ
ロモ モザ イ クウ イ ル ス (BMV)^<3,4)>,TMV^<5)>の植物 ウイ ル
ス を は じめ, ポ リオ ウイ ル ス^<6)>な
ど の動 物 ウ イ ル スで の
相 補 鎖
RNAを
経 る複 製 反 応 を 行 な って い る。 し か し 植 物
報 告 例^<7,8)>も
続 い て い る。 した が っ て, これ か らはRNA
RNAウ
イ ル ス の場 合, 宿 主 細 胞 内 で どの よ うな 遺 伝 子
遺 伝 子 をDNAレ
ベ ル で操 作 し, reverse genetics の 手
が発 現 し, どの よ うな 役 割 を 果 た して い るか, とい う複
法 で, 今 後, 植 物 ウイ ル ス の研 究 が 急速 に進 展 す る もの
製 過 程 の分 子 レベ ル で の研 究 は 非 常 に 立 ち 遅 れ て いた 。
と思 わ れ る。
そ の理 由 の1つ は 分 子 遺 伝 学 的 研 究 の遅 れ で あ る。 た
こ のほ か 宿 主 で あ る植物 細 胞 が 細 胞壁 を もつ こ と も障
とえ ば, い くつ か の複 製 に 関 す る温 度 感 受 性 の変 異 株 は
壁 の1つ であ った が, セ ル ラー ゼ な どの酵 素処 理 に よっ
報 告 され て い るが, そ の形 質 は 不 安 定 で, 以 後 の 解 析 が
て細 胞 壁 のな い 裸 の細 胞 (プ ロ トプ ラ ス ト) が 多量 に 得
不 可 能 で あ る こ とか ら遺 伝 学 的 ア プ ロ ーチ は 現 在ま で の
られ る よ うに な り, 植 物 ウイ ル スの 同 調 感 染 系 も確 立 さ
と ころ, ほ とん ど行 な わ れ て い な い。 ま たRNAは
れ^<9∼11)>, in vivo
で の複 製 過 程 を 生化 学 的 に解 析 で き る
Yuichiro
Watanabe,
istry,Faculty
東 京 大学 理 学 部 生 物 化学 科
of Science,
The
University
of
(〒113
東 京 都 文 京 区 本郷
Tokyo,
Expression and Replication Process of Plant Viral RNNA
Key 【植
word物RNAウ
214
イ ル ス 】 【TMV】
Hongo,
Genomes
【RNA複
製】
7-3-1)
Bunkyo-ku,
[Department
Tokyo
113,
of
Japan]
Biophysics
and
Biochem
I
植物RNAウ
イル ス遺伝子 の発現 と複 製過程
27
よ うに な った。
最 近 は植 物RNAウ
イル スをRNAベ
.
ク タ ー と して利
植 物RNAウ
イル ス の遺 伝 子 産 物
用 す る試 み に も成 功 し^<12,13)>,
植物 の遺 伝 子工 学 とい う応
TMVの
用 面 で注 目され てい る。 この よ うな 背 景 に あ っ て, そ の
基 本 と な る のは 植 物RNAウ
ゲ ノ ムRNAは,
mRNAと
イル ス の 複製 過 程 の よ り詳
す で に 述 べ た よ うに
し て 働 く (+)
あ る。
細 な分 子 レベ ル での 解 明 で あ ろ う。 本 稿 で は, 最 も研 究
TMV
の進 ん で い る と思 わ れ るTMVを
かつ て は 網 状 赤 血 球 由来^<14)>ま
た は 小 麦 胚 芽 由 来^<15)>の in
中 心 に, 遺 伝 子操 作 の
RNA上
鎖 の1本 鎖RNAで
に コ ー ドされ る蛋 白質 につ い て の解 析 は,
vitro の蛋 白質 合 成 系 を用 い た研 究 に よっ て す す め ら れ
技 術 や プ ロ トプ ラ ス トヘの 同 調 感 染 系 を用 い て 集 積 され
て きた が, 現 在 は ゲ ノ ムRNAの
複 製 過 程 につ い ての 知 見 を ま とめ て み た い。
て そ の 全 貌 が 明 らか に さ れ て い る。
Database Center for Life Science Online Service
て きた デ ー タを も とに, 植物 ウ イル スの遺 伝 子 の 発 現 と
図1.
TMVが
コー ドす る 蛋 白 質 とゲ ノムRNA,
サ ブゲ ノムRNAと
の関係
影 部 は 各RNAか
ら翻 訳 され る シ ス トロン, ●は キ ャ ップ構 造 (30K蛋
白 質mRNAに
確 定) を 示す 。サ ブ ゲ ノムRNAは
長 さを 誇 張 して 図 示 して あ る。 ゲ ノ ムRNA
6395塩
白質mRNA
1558塩
基, CP
表1.
a)
内 部 の ポ リA鎖 の長 さを 平 均19塩
とを 示 す 。SB
: サ ブ ゲ ノ ムRNAか
とを 示 す^<51)>。
mRNAは693塩
植 物RNAウ
基 と し た 。b)
一 次 構 造 の決 定 に よっ
ついては未
基, 30K蛋
基。
イ ル ス の遺 伝 子構 造 と コー ドされ る蛋 白質
3'末 端 の ポ リA鎖 の 長 さは 除 い た 。RT
ら翻 訳 され る こ と を 示す 。PR
: 読 み 越 しの 機 構 で 産 出 され る こ
: 蛋 白 質 が プ ロセ シン グ を 受 け, 機 能 単 位 にわ か れ る こ
215
28
蛋 白 質
TMVの
り,
普通系
トマ ト系L株
Vulgare
に つ い て は Goelet
(126K),
180K
ー ト蛋 白 質
frame)
ら^<16)>に
よ
存 在 が 予 測 さ れ て い た130
(183K),
(17 .5K)
が確 認 され た
TMVと
酵 素
に つ い て は 大 野 ら^<17)>に
よ って 全一 次 構
造 が 決 定 さ れ た 。 そ の 結 果,
K
核 酸
30K各
蛋 白 質,
に 対 応 す る解 読 枠
(図1,
そ して コ
(open
reading
(1987)
列 を も っ てい た 。 この よ うな相 同性 は遺 伝 子 の発 現 様 式
に共 通 性 を もつ 動 物 ウ イル スで あ る シ ン ドビ ス ウイ ル ス
(SIN)
との 間 で も認 め られ た^<32)>。TMVが コー ドして い
る130K,
180K蛋
白質 が 複製 反 応 に 関 与 して い る こ と
を示 唆 した 実 験 と しては, 酒 井 ら の報 告^<33)>が
あ るが, 生
イ ル ス の中 には 分 節 し
BMV^<34)>, AlMV^<35)>な どで は, 分 画 した ウ イル ス また は
た ゲ ノ ム 構 造 を も っ も の も 多 い^<1)>。
分 節 ゲ ノ ム構 造 を も
RNAを
つ ア ル フ ァ ル フ ァモ ザ イ ク ウ イ ル ス
RNA2の
(AIMV)^<18∼20)>,
プ ロ トプ ラス トに感 染 させ る実 験 で, RNA1と
み で複 製 が 可 能 な こ とか ら, この2つ のRNA
BMV^<21∼23)>, キ ュ ウ リ モ ザ イ ク ウ イ ル ス (CMV)^<24∼26)>, カ
上 に の っ て い る情 報 が 複 製 に必 須 で あ る こ とが 確 か め ら
ウ ピ ー モ ザ イ ク ウ イル ス
ど につ い て も
れ て い た。 こ の よ うな実 験 デ ー タ と とも に, 今 回 見 い だ
全 一 次 構 造 が す で に 報 告 さ れ, 各 ウ イ ル
され た ア ミノ酸 配 列 上 の相 同性 は これ ら の蛋 白質 が ゲ ノ
ゲ ノ ムRNAの
(CPMV)^<28,29)>な
ス の コ ー ドす る 蛋 白 質 に つ い て の 情 報 が 得 ら れ て い る。
表1に
こ れ ま で に 報 告 の あ っ た も の に つ い て,
RNAの
Database Center for Life Science Online Service
No. 3
化 学 的 に は まだ 証 明 され て い な い。 分 節 ゲ ノ ムを もつ
表1)。
異 な り, 植 物RNAウ
Vol. 32
分 節 構 造 の 有 無,
ヌ ク レ オ チ ド数,
ゲ ノム
コ ー ドす る
蛋 白質 の分 子 量 な どの 情 報 を ま とめ た。
ゲ ノ ム 構 造 上,
大 き な 差 異 の あ る 植 物 ウ イ ル ス で も,
コ ー ド し て い る 蛋 白 質 が 担 っ て い る 機 能 は か な り共 通 で
あ る こ とが わ か っ て き た 。 ま ず 最 近,
各 ウ イ ル ス の コー
ドす る 分 子 量 の 大 き い 蛋 白 質 の ア ミ ノ 酸 配 列 の 間 で 相 同
ムRNAの
複 製 に関 与 して い る蛋 白質 で あ る こ とを強 く
示 唆 して い る。 な お, これ らの ア ミノ酸 配 列 中 の狭 い領
域 に は 〔TMVの
through)領
るRNA依
場 合, 180K蛋
白質 の 読 み越 し(read
域 の中 に あ る〕, 種 々の ウイ ル ス が コー ドす
存 性 ポ リ メ ラー ゼ に共 通 に見 いだ され る相 同
的 な ア ミノ酸 配 列 の存 在 が報 告 され て い る^<36)>。
TMVが
コー ドす る30K蛋
白質 の機 能 に 関 して は 温
度 感 受 性 変 異 株Ls1^<37,38)>を用 いた 解 析 か ら,
ウイ ル ス
性 の 高 い 部 分 が あ る こ と が 見 い だ さ れ た^<31,32)>。AIMV,
の細 胞 間 転 移 に 関 与 す る こ とが 示 唆 され て い る。Ls1を
BMVな
プ ロ トプ ラ ス トに 感 染 させ る と非 許容 温 度下 で も野 生株
ど の 分 節 した ゲ ノ ムRNAか
量 の 大 き い2つ
1 30Kま
SINは
の 蛋 白 質 は,
た は180K蛋
示 す よ う にTMVの
白質 と相 同 性 の高 い ア ミノ酸 配
Lと 同 レベ ル の増 殖 を示 す が^<37)>,
植物 体 に 感 染 し た 場
合, 非 許 容 温 度 下 で は1つ
図2.
RNAウ
イ ル ス の 遺 伝 子 産 物 の 相 同性 (文 献32よ
動 物 ウイ ル ス の一 種 で あ る シン ドビス ウ イ ル ス, nsp は非 構 造 蛋 白質 の略 で,
れ る 。 ●は キ ャ ップ構 造 。
216
図2に
ら翻 訳 さ れ る 分 子
の感 染 中 心 の 細 胞 か ら まわ り
り改 変)
プ ロセ シン グに よ っ て nsp^<1∼4>に わ か
植物RNAウ
の細 胞 へ と広 が らな くな る^<38)>。
こ のLs1の
Lと 比 較 す る と, 30K蛋
イルス遺伝 子の発現 と複製過程
29
塩 基配列を
白質 に ア ミノ酸 置 換1つ を 起
こ して い る こ とが 明 らか とな った^<39)>。
す な わ ち, TMV
の30K蛋
白質 は ウ イル スの 細胞 間 転 移 に 関 与 す る蛋 白
質 で あ り, 植 物 ウ イル スが 植 物 に 感 染 して広 が るた め の
機 能 を ウ イ ル ス 自身 がコ ー ドし てい る こ とが 明 らか に な
った 。 こ の よ うな 機 能 はTMV以
外 の ウ イル ス も も って
い る も の と推 測 され, 実 際 に お 互 い に 相補 性 の あ る こ と
が い くつ か の例 で示 され てい る。 た とえ ば, Ls1の
細胞
間 転 移 の機 能 が 非 許 容 温 度 下 にお い て, ポ テ トウ イ ル ス
Xと の混 合 感 染 に よ っ て相 補 され て い る こ とが 示 され て
い る^<40)>。
また, タバ コ ラ ッ トル ウイ ル ス のRNA1上
コー ドされ る29K蛋
白質 がTMVの30K蛋
に
白質 と相
同的 な ア ミノ酸 配 列 を もつ こ とが 報 告 され た^<41)>。
以上 の結 果 か ら考 え て, す べ て の植 物RNAウ
イルス
Database Center for Life Science Online Service
の遺 伝 子 が コー ドして い る蛋 白質 の機 能 は, 現 在 の とこ
ろ, 複 製, 細 胞 間 転 移, コ ー ト蛋 白質 に よ る遺 伝 子 保 護
の3つ に大 き くわ け られ る こ とが 明 らか と な っ て きた 。
遺 伝 子 の形 態 が 大 き く異 な っ て い て も, こ の よ うに ウ イ
ル ス 間 で遺 伝 情 報 の共 通 性 が 見 いだ され た と とは, た と
え ばTMVの
遺 伝 子 の発 現 と 複 製 過 程 の 研 究 で得 られ
る知 見 が, 広 く植 物RNAウ
イ ル ス全 般 の研 究 に きわ め
て 有 用 な もの とな る こ とを示 して い る とい え よ う。
図3.
TMVが
コ ー ドす る蛋 白質 の 発現^<42)>
TMV感
染 プ ロ トプ ラス トと非 感 染プロ トプ ラス トを [^3H]
ロイ シン で感 染3∼4時
間 後 に パ ル ス 標 識 を し, 中 で合 成 され
た 蛋 白質 をSDS-PAGEお
よび フル オ ログ ラフ ィ ー に よ っ て
解 析 した 。
論 の正 しか った こ とが 一 次 構 造 か ら も確 認 され た^<16,17)>。
II.
TMVの
遺伝子の発現
現 在 で は, こ の読 み越 しは 植 物 細 胞 内 に存 在 す る あ る種
の チ ロ シ ンtRNAの
1. in vivo
で発 現 す る蛋 白質 の 同 定 と発 現 様 式
A.
白 質 と180K蛋
130K蛋
図3にTMVを
と考 え られ て い る^<44)>。
TMV感
白質
感 染 させ た プ ロ トプ ラ ス ト を非 感 染
プ ロ トプ ラ ス トを [^3H] ロイ シ ンで標 識 し, 合 成 され た
サ プ レ ッサ ー活 性 に よ っ て起 こ る
K蛋
染 細 胞 内 で は 図3に 示 す よ うに, 130K,
180
白質 が 両 者 と も に合 成 さ れ て い る。 のち に触 れ る よ
うに両 者 の合 成 の 比 は, 感 染 後 の時 間 を通 して一 定 で あ
フ ル オ ログ ラ フ ィ ー で解 析 した
り, そ の 比 (読 み越 しの効 率) を積 極 的 に調 節 す る 因子
例 を 示 した^<42)>。
感 染 プ ロ トプ ラ ス ト特 異 的 に合 成 され て
が あ るか 否 か は, 複 製 機 構 を解 析 す る うえ で の1つ の問
い る4種 類 の蛋 白質 が あ る こ とがわ か る。
題 点 で あ る。 ま た, 180K蛋
蛋 白質 をSDS-PAGE,
この うち, 分 子量 の 大 き い2種 の 蛋 白質 は, TMV
RNAを in vitro
130Kと180K蛋
Kと180K蛋
白質 は130K蛋
白質 と同 じ
ア ミノ酸 配列 を部 分 的 に も っ て い るが, 両 者 が そ れ ぞ れ
の翻 訳系 に 加 え た際 に合 成 され る^<14,15)> ま っ た く別 の機 能 を果 た して い る のか, あ る い は一 方 が
白質 と考 え られ る。Pelham
は130
白質 の間 で共 通 な トリプ シ ン分 解 の ペ プ
他方 の機 能 を相 補 す る こ とが で き る のか とい う点 も興 味
の あ る と ころ で あ る。 他 のRNAウ
イ ル ス の蛋 白質 との
チ ドが あ る こ とを 見 い だ し, in vitro の翻 訳 系 に お い て
相 同 性 か ら も, との2つ
酵 母 由 来 の サ プ レ ッサ ーtRNAを
は 特 に重 要 で あ る。今 後 こ の 点 に 関 して は, cDNAか
加 え た際 に130K蛋
白質 の 合 成 が 減 少 し, そ の代 りに180K蛋
白質 の合 成
の感 染 性TMV
の蛋 白質 の機 能 分 担 とい う問題
RNAの
ら
発 現 系^<5)>を
用 い た reverse
ge
が 増 大 す る こ とを 示 した^<43)>。
つ ま り, あ る種 の サ プ レ ッ
neticsの 実験 で そ れ ら の性 質 の詳 細 が 明 らか に な っ て い
サ ーtRNAに
く と思わ れ る。 た とえ ば, 石 川 らの 最 近 の結 果^<45)>に
よれ
ン (UAG)
180Kの
よ り130K蛋
白質 シ ス トロ ンの終 止 コ ド
を 読 み越 して (readthrough),
さ らに分 子量
長 い蛋 白質 を合 成 す る と説 明 され た が, そ の推
ば, 180K蛋
白質 はTMVの
示 され た 。 そ れ はUAGコ
複 製 に必 須 で あ る こ とが
ドンの下 流 領 域 を人 工 的 に 改
217
30
蛋 白 質
変 したTMV
RNAを
核 酸
酵 素
数 種 類 作 成 し, そ の感 染 性 を調 べ
た 結果 か ら得 られ た 。UAGコ
ドンの下 流 に塩 基 を挿 入
ま た は 置 換 して, 読 み 越 しの あ とにす ぐに別 の終 止 コ ド
ンが現 わ れ る よ うに したRNA
(R3, R4, R5)
ノ酸 の 挿 入 は 起 こ る も の の, 以 後180K蛋
に読 まれ る よ うに したRNA
4)。 これ らのRNAを
と, 180K蛋
と, ア ミ
白質 が 正 常
(R6, R7)
を作 成 した (図
植 物 体 に接 種 し, 感 染 性 を調 べ る
白質 が 合成 さ れ る こ とが 予 想 され るRNA
に は感 染 性 が あ り, 途 中 でそ の合 成 が 止 ま る と予 想 され
たRNAに
は 感 染 性 が 認 め られ な か った。 こ の こ とは
130K蛋
白質 の み で はTMV
RNAの
複 製 は で き ず,
180K蛋
白質 は そ の合 成 量 は 少 な く て も複 製 に必 須 で あ
る こ とを示 して い る。 な お, 厳 密 な130K,
180K蛋
Database Center for Life Science Online Service
30K蛋
白
白質 と コー ト蛋 白 質
図3の 残 りの2種
質 と分 子 量17.5Kの
は, TMV
RNAの
の蛋 白質 は, 表1で
No. 3
(1987)
ノ酸 に対 応 す る抗 ペ プチ ド抗 体 を 用 い て 確 か め られ て い
る^<47)>。
また,
コ ー ト蛋 白質 は 従 来 か ら得 られ て い る ウ イ
ル ス に対 す る抗 体 と の反 応 性 か ら確 か め られ た 。
とこ ろ で, TMV
も30K蛋
RNAを in vitro
真 核 生 物 のmRNAで
は そ の5'端
の キ ャ ップ構 造 か
ら, い ちば ん 近 い 開 始 コ ド ン (AUG)
か ら蛋 白質 が 合成
され る こ とが 多 い^<48)>。
で は, in vivo
で この2つ の蛋 白
質 は いか に して合 成 され てい るの だ ろ うか 。
こ の問 題 は, サ ブ ゲ ノ ムRNAが
1)。 サ ブ ゲ ノ ムRNAと
そ の3'端)
各 シス トロ ンに 対応
白
は, ゲ ノムRNA
各 蛋 白質 の合 成 開 始 コ ドンが そ の5'端
ら30K蛋
に 近 くな る こ と
質 が 読 まれ る よ うに な る と考 え られ る。AIMV,
CMVの
場 合 に もRNA3の3'側
塩 基 配 列 か ら推 定 され た30K蛋
白
され る コー ト蛋 白質 が 翻 訳 され る際 に, RNA4と
ミ
れ る サ ブ ゲ ノムRNAが
合 成 され る (表1)。
図4.
130K蛋
白質 の 読 み 越 し (readthrough)
領 域 を 改 変 した mutant
TMV
RNAと
感 染 性^<45)>
in vitro で の mutagenesis
法 に よ って 作 製 され た “mutant” RNAの
読 み越 し領 域 の配 列, そ こか ら の
218
字 表 記 で, 野 生 型 (W3)
そ して 各RNAを
タ バ コ の葉 に接 種 した 際 の 感 染 性 を 示す 。 ア ミノ酸 配
と違 うもの を 表 示 して あ る。
BMV,
の シ ス トロ ンに コー ド
白質
産 出 が 予 想 され る 読 み 越 し産 物,
あ り,
白質 また は コー ト蛋 白
コー ト蛋 白質 で あ る。30K蛋
質 の ア ミノ酸 配 列 を も とに人 工 合 成 したC末 端16ア
列 は1文
(こ の場 合,
の配 列 と同 じ配 列 を も ったmRNAで
で, これ ら のRNAか
い う30K蛋
の 翻 訳 系 に加 え て
白質 と コー ト蛋 白質 は合 成 され な い。 実 際,
して合 成 され る こ と^<49,50)>が
見 い だ さ れ て 解 決 した (図
質 の 同定 は抗 体 と の反 応 性 か ら確 か め られ て い る^<46)>。
B.
Vol. 32
呼ば
植物RNAウ
2.
TMVの
A.
蛋 白質 の 合 成 の 時 間 変 化
イル ス遺伝子 の発現 と複製過程
遺 伝 子 の 発 現 とそ の 制 御
B.
RNAの
同調 感 染 系 で は最 初 の ウイ ル ス活 性
合 成 の時 間 変化
の レベ ル で 制御 さ れ て い るの だ ろ うか 。 こ の問 題 を解 く
第1段 階 と して, 翻 訳 の鋳 型 とな るべ き ゲ ノ ムRNA,
が 感 染 後6時 間 で 現わ れ る^<11)>の
で, 複 製 に必 要 な遺 伝 子
30K蛋
の 発 現 過程 の追 跡 に は感 染 直 後 か ら数 時 間 の解 析 が 特 に
の合 成 の 時 間変 化 を, 蛋 白質 の合 成 と並 行 して 解 析 し
必 要 で あ る。 ウイ ル スが コー ドして い るす べ て の蛋 白質
た。
が い か な る タイ ム ・コー ス で合 成 され るか を解 析 す る た
め, TMV感
染後, 種 々 の 時 間 で [^3H] ロイ シ ンを用 い
白質mRNA,
TMV感
コ ー ト蛋 白質mRNA
(CPmRNA)
染 プ ロ トプ ラ ス トを [^3H] ウ リジ ンで パ ル ス
標 識 し, RNA産
物 を8M尿
素 を含 む2.4%
てパ ル ス標 識 を 行 な い, そ れ ぞ れ の蛋 白質 の合 成 を経 時
フル オ ロ グ ラ フ ィー で 解 析 す る と, 図6の
釣 に 追 った^<42)>の
が 図5で
RNAが
あ る。
発 現 量 に違 い は あ る もの の, 4種 の蛋 白 質 の 合成 は ほ
ゲ ノ ムRNA,
replicative form
ぼ同 時 に 感 染3時 間後 に は 検 出 され た 。 そ して 各 蛋 白質
の 合 成 は 感 染6∼9時
た 。 こ の帰 属 は, TMV感
間後 に ピー クに 達 した (こ の時 期
子 が 最 初 に検 出 され る)。 少 な く と も こ
白質mRNA,
CP
種cDNA断
り決 定 され た^<42)>。
こ こ でRF-RNAと
は, 複 製 の際 に感
染 細 胞 内 で作 られ る マ イ ナ ス鎖RNAが
現 象 も特 に認 め られ な か った 。
ア ニ ール した2本 鎖RNAで
下 が り, つ い に は 検 出 され な くな る。 他 の蛋 白質 の合 成
各
片 との サ ザ ン ハ イ ブ リダ イ ゼ ー シ ョ ンに よ
に伴 う宿 主 自身 の蛋 白質 合 成 の減 少, shut-off とい った
白質 の 合 成 のみ 著 しく
(RF
推 定 され
プ ロ ー ブ と し, TMVの
の 時 期 ま で, 感 染 前期 ・後 期 と表 現 され る よ うな遺 伝 情
こ の時 期 を 過 ぎ る と, 30K蛋
RNA
mRNAと
染 プ ロ トプ ラス トを [^<32>P]
正
リ ン酸 で 標 識 した 各RNAを
報 の発 現 の切 替 え は認 め られ な い 。 また, TMVの
感染
PAGE,
よ うに4種 の
感 染 特 異 的 に認 め られ る^<42)>。
泳 動 度 の うえ で遅
い順 に,
RNA),30K蛋
に 子 孫TMV粒
Database Center for Life Science Online Service
ウ イ ル スRNAの
この よ うな蛋 白質 の 合 成 の 時 間 変 化 は 遺 伝 子 発 現 の ど
筆 者 らの タバ コの培 養 細 胞 由来 の プ ロ トプ ラス トを用
いたTMV
31
ゲ ノ ムRNAと
あ り, 青 木 らな ど^<53∼55)>に
よ
っ て も検 出 され て い る。
これ ら のRNAの
合 成 は, 感 染2時
間後 に は 検 出 され
も徐 々 に減 少 は す るが, 感 染3目 後 の プ ロ トプ ラ ス トに
る。 合 成 の ピ ー クは 感 染 後 数 時 間 か ら9時 間 に か け て 現
お い て も合 成 の継 続 して い る こ とが 認 め ら れ る。 そ こ
わ れ, そ の時 点 ま で ゲ ノムRNA,
で, こ こに 見 だ され た30K蛋
CP mRNAの
白 質 の 合成 に 関 す る現 象
を transient synthesis と呼 ぶ こ とに した^<42,52)>。
30K蛋
ぎ る と, 30K蛋
白質mRNAの
合成 の み が 急激 に 減 少
し, つ い には 止 ま る。 こ の事 実 は30K蛋
図6.
TMV感
白 質mRNA,
合 成 は そ ろ って 増 大 す る。 この ピ ー クを 過
-図5.
TMV感
染 プ ロ トプ ラス ト中 の 蛋 白質 合 成^<42)>
TMV感
染 後, 各 時 間 プ ロ トプ ラス トを [^3H] ロイ シン で
パ ル ス 標 識 した の ち, 蛋 白 質 をSDS-PAGE,
フル オ ロ グ ラ
TMV感
染 後,
で パ ル ス 標 識 した のち,
フ ィー で 解 析 した 。
ィ ーに か け て 解 析 し た 。
白質 の tran
染 プ ロ トプ ラ ス ト中 のRNA合
成^<42)>
プ ロ トプ ラス トを 各 時 間, [^3H] ウ リジン
RNAをPAGE,
フル オ ロ グ ラ フ
219
32
蛋 白 質
sient synthesis
核 酸
酵 素
と よ く対 応 して お り, そ の制 御 が 転 写^*
Vol. 32
No. 3
(1987)
関与 して い る こ とが 明 らか に な った。
レベ ル で 行 な わ れ て い る こ とが 明 らか とな った 。
複 製 に 必 要 な マ イ ナ ス鎖RNAの
はRF-RNAの
合 成 は, こ の ゲ ル で
形 で 見 い だ され て い る と思 わ れ る。1本
鎖DNAプ
ロー ブ を 用 い た 別 の 解 析 で,
RNAの
弱 毒 ウ イ ル ス に お け る 遺伝 子 発 現
TMVト
マ ト系L株 か ら安 定 なL_<11>A株 と呼 ば れ る弱
マ イ ナ ス鎖
毒 株 が 得 られ て い る^<59)>。Lが
トマ トに感 染 す る と著 しい
合 成 が 特 に プ ラス鎖 の合 成 に先 立 つ とい うこ と
病 徴 を示 す の に対 し, L_<11>Aを単 独 に トマ トに 接 種 して
は な く, プ ラ ス鎖 ゲ ノムRNAに
対 して1/40∼1/100の
も無 病 徴 も し くは非 常 に 弱 い病 徴 を 示 す に と ど ま る
割 合 で, 感 染 の初 期 か ら後 期 ま で通 して合 成 さ れ て い
(L_<11>はLか らL_<11>Aへ至 る中 間 の 株 で あ り, 形 質 的 に は
る こ とが 明 らか と な った^<56)>。
した が って,
マ イ ナ ス鎖
L_<11>Aと変 わ ら な いが, 不 安 定 で, あ る 頻 度 で 強 毒株 に
合 成 比 は あ る一 定 の
戻 る も のが 出 て くる)。 なお, このL_<11>A株を トマ トに接
RNA,
ゲ ノ ムRNA,
CP mRNAの
種 して お い てや る と, あ とか らの 強毒 株 の 感 染 に 対 して
割 合 で感 染 を通 じて 合成 さ れ て い る と考 え られ る。
C.
サ ブ ゲ ノ ムRNAの
30K蛋
白質mRNAの
そ の トマ トは 抵 抗 性 を 示 す 。 こ の現 象 に cross-protec
転写開始部位
転 写 が なぜ transient な 制御 を
受 け る のか を 明 らか に す るた め, ま ず, そ の 転写 開始 部
位 を 決 定 し, そ の近 辺 の構 造 に こ の よ うな性 質 を反 映 す
Database Center for Life Science Online Service
3.
tionと 呼 ばれ, 実 際 に温 室 栽 培 の トマ トにL_<11>Aを噴 霧
して, 果 実 の収 量 ・品質 の維 持 に応 用 され て い る。
L_<11>Aを植 物 体 に 接 種 した 場 合,
ウイ ル スの収 量 はL
る何 らか の特 微 が な い か を 調 べ た。 そ の結 果, 転 写 開始
の場 合 と比較 す る と1/5∼1/10に
部 位 はTMVRNAの3'末
ころ が, プ ロ トプ ラス トにL_<11>Aを感 染 させ た場 合 に は
端 か ら1558塩
基 目のGで
あ る こ とがわ か った^<57)>。
同 じ サ ブ ゲ ノ ムRNAで
CP
mRNAの
あ る
転 写 開 始 点^<58)>と
比 較 す る と, 図7の 中 で 四
角 に 囲 まれ る よ うな 配 列 の 相 同 性 (homology)
が見いだ
され た^<57)>。
この こ とか ら, 2つ のサ ブ ゲ ノ ムRNAの
合
と ど ま って い る^<60)>。
と
Lの 場 合 と同 等 の増 殖 を 示 す^<61)>。
この よ うなL_<11>Aの 増
殖 の 挙動 は 野 生株 で あ るL
(強毒 株 で も あ る) との どの
よ うな違 い に よっ て ひ き起 こされ る のだ ろ うか 。
L_<11>A,L_<11>の
ゲ ノ ムRNAの
一 次 構 造 を調 べ た 結 果,
成 が 転 写 酵 素 に よ る これ らの 配 列 の 認 識 に よ って 始 ま る
コー ドす る蛋 白質 の 中 で130K
こ と, さ らに両 者 の部 分 的 な違 い がCP
の 中 の ア ミノ酸配 列 に だ け ア ミノ酸 置 換 が起 き て い る こ
蛋 白質mRNAの
mRNAと30K
転 写 の 制 御 の違 い に 関 与 して い る こ と
以 上 の よ うに, TMVの
特 異 的 な 各RNAの
遺 伝 子 発 現 の制 御 に は, TMV
合 成 (複製 と転 写) の段 階 が 大 き く
図7.
30K蛋
白 質mRNAとCP mRNAの
L_<11>か
らL_<11>Aに 至 る段 階 で2つ の ア ミノ酸 置
換 を 起 こ してい た 。
こ の130K
(180K)
蛋 白質 の変 化 が 前 項 で 述 べ た各 種
転 写 開 始 部 位 の 配 列 の 比 較^<57)>
白抜 きのGか ら各 サ ブ ゲ ノ ムRNAの
転 写 が 開 始 さ れ る 。 下 線 の付 い たAUGは
ス トロン の 開 始 コ ドン, 数 字 は ゲ ノ ムRNAの3'末
端 か ら の 塩 基数 を示 す 。
各シ
* 本来, DNA遺
伝子か らmRNAへ
と遺伝情報が流れ る過程 をさすが, 本稿 では広義にとらえて, 遺伝子RNAか
で きる過程 も転写 と呼ぶ ことにす る。
220
蛋 白質
とが 明 らか とな った (図8)^<17,62)>。Lか
らL_<11>へ
至 る段 階
で1つ,
が 示 唆 され た。
(同時 に180K)
らmRNAが
植物RNAウ
イルス遺伝子 の発現 と複製過程
33
白質 の 合 成 が 低 下 した も の と解 釈 され,
130K
(180K)
蛋 白質 の サ ブ ゲ ノ ムRNA
の転 写 へ の 関 与 が 示 唆 され た 。 また, 30
K蛋 白 質 の 細 胞 間 転 移 とい う機 能 を 考 え
る と, 弱 毒株 は 個 々の 細 胞 で 常 に 増 殖 で
き る が, まわ りの 細 胞 へ 効 率 よ く広 が っ
て い け な い た め に ウ イル ス の 増 殖 が 阻 害
され, そ の 結 果, 病 徴 も弱 くな った もの
と考 え られ る。
III. in vitro
RNAの
1.
で の ウ イル ス
複 製 活 性 ・転 写 活 性
植 物 細 胞 が も っRNA合
Database Center for Life Science Online Service
ウ イ ル スRNAの
TMVの
複製
複 製 機 構 を 研 究 す るた め に,
以 前 か らTMV感
homogenate
RNA合
成活性と
染植物 の 葉 を 材料 に
を 調 製 し, そ の 中 に あ る
成 活 性 を検 索 す る 試 み は な され
て き た^<64∼67)>。homogenate
に ゲ ノ ムRNA
を加 え, 新 た なRNA合
成 活 性 を と らえ
よ う と した が, 検 出 で きた もの は非 感 染
の植 物 中 に も見 い だ さ れ る活 性 か, 期 待
図8.
L,
L_<11>,
L_<11>Aの130K
(180K)
蛋 白質 内 の ア ミノ酸 変 化 と各 株
感 染 プ ロ トプ ラス トに お け る各 ウイ ル スRNAの
産 出量 の比 較^<63)>
上 部 に 各 シ ス トロン を 模 式 的 に 示 し, 各 株 間 で ア ミノ酸 変 化 の 起 こ った 箇 所
の み1文 字 表 記 で 示 した 。 各 株 感 染 プ ロ トプ ラス トお よび 非 感 染 プ ロ トプ ラス
ト (M)
RNAの
を [^<32>P]
正 リン酸 に よ って 感 染4∼8時
間 後 に 標 識 し, 各 ウイ ル ス
産 出 をS_1マ ッピン グの 要 領 で3'末 端 か ら 約2,200塩
基 の 長 さの1
本 鎖cDNAと
(M)
の ハ イ ブ リ ッ ドを 形 成 させ, 解 析 した 。(P)
は マ イ ナス 鎖 配 列 を も った 産 物 の 検 出。(M^*)
は (M)
は プ ラ ス鎖 配 列,
され る鋳 型 特 異性 を も た な い活 性 で あ っ
た 。TMVに
限 らず, 他 の植 物RNAウ
イ ル ス につ い て も, こ の よ うな時 代 が長
く続 き^<68∼71)>,
宿主が元来 もっているこの
RNA依
存 性RNAポ
リメ ラ ー ゼ (RdRp)
の長時間露光。
に よ って 植 物 ウ イ ル スが 複 製 す る と, 一
部 の研 究 者 が 主 張 した 時 代 が あ った 。 し
蛋 白質, RNAの
産 生 に どの よ うな 影響 を与 え て い るか
か し現在 で は, 分 節 ゲ ノ ム を もつ 植 物 ウ イル スの 場 合
を 調 べ るた め, L, L_<11>,
L_<11>A各株 を そ れ ぞ れ プ ロ トプ
に, ウイ ル ス 自身 の もつ遺 伝 子 が ゲ ノ ムRNAの
ラ ス トに感 染 させ て そ の合 成 パ タ ー ンを調 べ た。 蛋 白質
必 要 で あ る こ とが直 接 的 に 示 され^<34,35)>,
さ らにI節
の 合成 を パ ル ス標 識 で解 析 す る と, 130K,
コー
べ た よ うな異 な る植 物 ウイ ル ス 間 で 分 子量 の 大 きな 蛋 白
ト蛋 白質 の合 成 は各 株 の あ いだ で大 き な違 い は なか った
質 に ア ミノ酸 の相 同 性 が 見 い だ され た^<31,32,36)>こ
とで, こ
が, 30K蛋
の主 張 は否 定 され た 。
180K,
白質 の合 成 の み が 特 異 的 に, 弱 毒 化 す る に
つれ て合 成 量 が 少 な くな っ て い る こ とが 明 ら か と な っ
た^<63)>。RNAの 合 成 を 同様 に調 べ る と, 図8で
うに,
ゲ ノ ムRNA〔(+)
mRNAの
鎖,
(-)
示 す よ
鎖 と も に 〕, CP
合 成 には 株 間 で違 いが な い の に対 し, 30K蛋
白質mRNAの
合 成 のみ が 特 異 的 にL>L_<11>>L_<11>Aの順
複製に
で述
先 に見 いだ され た, 非 感染 植物 細 胞 内 に もあ るRNA
合 成 活 性 は, ウ イル ス の感 染 後,
ウイ ル ス の複 製 よ りか
な り遅 れ て増 大 す る。 しか も, そ のRNA産
物 も長 さ の
不 均一 な 低 分 子量 の も の で, ウ イ ル ス の複 製 へ の関 与 の
可 能 性 は 否 定 され た^<73)>。
現 在 では, む しろ植 物 側 の あ る
に落 ちて い く こ とが 明 らか とな った^<63)>。
つ ま り, 弱 毒株
種 の 防御 機 構 に 関 係 した 活 性 と考 え られ て い る。RNA
の130K
合 成 活 性 を研 究す る うえ で, 産 物 を 明 確 に 解 析 しな か っ
(180K)
蛋 白質mRNAの
蛋 白質 に起 きた ア ミノ酸 変 化 は30K
転 写量 を 減 少 させ, そ の結 果, 30K蛋
た こ とで事 態 が混 乱 した とい え るご。
221
Database Center for Life Science Online Service
34
蛋 白 質
核 酸
酵 素
図9. in vitro
Vol. 32
No. 3
(1987)
で の 反 応 産 物 の 解 析^<72)>
非 感 染 とTMV感
染 プ ロ トプ ラス ト由 来 の 粗 破 砕 液 中 で のRNA産
物 を未 変 性 状 態 また は グ リオ キサ ル
に よる 変 性 を 施 した の ち に1.5%ア
ガ ロー ス ゲル で分 析 した 。1. 分 画 前, 2.2M
LiCl存 在 下 沈 殿 分 画,
3. 同 可 溶 性 分 画 。2M LiCl存 在 下 で は2本 鎖RNAは
可 溶 性 で あ り, TMV感
染 プ ロ トプ ラス トの破 砕
液 中 で の 反 応 物 にRFも
2.
TMV
含 まれ る こ とが わ か る。
RNAの in vitro
TMVの
合 成系
複 製 に 関 与 す るRNA合
筆 者 らはTMV感
成 活 性 を 調 べ るた め
染 プ ロ トプ ラ ス トを材 料 に選 ん だ 。 プ
ロ トプ ラス トを Dounce
型 の ホモ ジナ イザ ー で 破 砕 し,
粗 破 砕 液 を 得 た 。 こ の粗 破 砕 液 にRNAの
合成基質を加
え, 30℃
染 プ ロ トプ ラ
で15分
間 保 温 す る と, TMV感
ス ト特 異 的 なRNA合
成 活 性 が 認 め られ た^<72)>。
産物 を 未 変 性 状 態 で ア ガ ロー ス ゲ ル にか け て解 析 す る
と, ゲ ノ ムRNAよ
mediateRNA
り泳 動 度 の遅 い replicative inter
(RI-RNA)
と思 わ れ る幅 広 いバ ン ドを な
す 産 物 が 認 め られ た (図9)。RI-RNAと
RNAで
は複製中間体
あ っ て, 複 数 の合 成 途 中 のRNAが
鋳 型RNA
に結 合 した構 造 を した もの を い う。 実際 に, こ こ で見 い
だ され たRI-RNAに
高 イ オ ン強 度下 で の RNase
処理
を施 す と, 2本 鎖 のRF-RNAの
核 が 残 り, グ リオ キ サ
ル に よ る完 全 変 性 をRI-RNAに
施 す と, 多 くの nas
centなRNA産
物 の中 に ゲ ノ ム長 のRNAも
い る こ とが わ か っ た (図9)。
TMV
RNAを
含まれて
た だ し, この際,
外か ら
加 え て反 応 を行 なわ せ て も新 た な 活 性 の
図10.
TMV感
TMV感
染後 の時 間 と粗 破 砕 液 中の 活 性 と の関 係^<72)>
染 後, 時 間 を 追 って プ ロ トプ ラ ス トか ら粗 破 砕 液 を
調 製 し, 反 応 を 行 なわ せ, 未 変 性 の ま ま1.5%ア
で解 析 した 。
いRI-RNAの
ガ ロー ス ゲル
合 成 活 性 が感 染3時 間 ご ろか ら検 出 され
は じめ る (図10)。
る。 実 際 に in vivo
活 性 は感 染9時 間 後 に ピー クに達 す
でTMV
RNAの
合 成 の さか ん な時
期 に 活 性 が ピ ー クに 達 して い る こ とは,
このRI-RNA
上 昇 は 認 め られ ず, ここ で み て い る活 性 は, 内在 す る鋳
の合 成 活 性 が in vivo の 複製 を反 映 して い る こ とを裏 づ
型RNAを
け て い る。
も とに, す で に合 成 途 中 に あ った 反 応 の継 続
をみ て い る も の と考 え られ る。
TMV感
染 後, 時 間 を追 って プ ロ トプ ラス トの破 砕液
を調 製 し反 応 を 行 な わ せ る と, 感 染 直 後 に は認 め られ な
222
次 に, こ のRI-RNAの
TMV
11 (a)
RNAの
中 で 合 成 され て い る の は,
配 列 そ の も の で あ る こ とを 示 す 目的 で 図
の よ うなTMV
RNAのcDNAを
組み込んだ
Database Center for Life Science Online Service
植物RNAウ
イルス遺 伝子の発現 と複製過程
図11. in vitro
で TMV
RNA,
サ ブゲ ノ ムRNA,
て い る こ との 証 明 (文 献72よ
り改変)
(a)
解 析 に 用 い たDNAプ
ロー ブ の 構 築, (b)
(-)
35
鎖 ゲ ノ ムRNAが
産出され
S_1耐 性 ハ イ ブ リ ッ ドの解 析 。 各 プ ロー ブDNAと
in vitro 合 成 系 の 産 物 とを ア ニール させ, S_1ヌ ク レア ー ゼ処 理 を施 し, (+) 鎖 配 列, (-) 鎖 配 列 を
も った 産 物 に 由 来 す る ハ イ ブ リ ッ ドを2.4%
PAGEに
か け て 解 析 した 。 バン ドの 由 来 を, 模 式 図 の番
号 と対 応 させ て示 した 。
鎖 特 異 的1本 鎖DNAプ
ロー ブ を作 製 し, ヒ の in vitro
反 応 産 物 とア ニ ー ル させ, S_1ヌ ク レア ーゼ処 理 を 施 し,
TMV
RNAの
配 列 を もっ たRNAと
では1/40∼1/100,
こ の in vitro の反 応 中 で は 約1/75〕
も明 らか とな った 。
プ ロ ー ブDNAと
以 上 の こ とは, こ の in vitro で のRNA合
の ハ イ ブ リ ッ ドを ゲル で 解 析 した 〔図11 (b)〕 。 そ の結
外 か ら加 え た ウイ ル スRNAを
果, TMVの
いが, in vivo
ゲ ノ ムRNAの5'末
端 か ら3'末 端 ま で合
鋳 型 とす る こ とは で きな
の状 態 を反 映 した 形 で ゲ ノ ムRNAの
成 され て い る こ と (た だ し, 5'末 端 由来 のバ ン ドが3'
製 反 応 とサ ブ ゲ ノ ムRNAの
末 端 由 来 の バ ン ドよ り濃 い こ とか ら, 現 在 の反 応 条 件 で
る ユ ニ ー クな活 性 で あ る こ とを 示 して い る。
は反 応 が不 完全 に終 わ っ て しま うも のが 多 い こ とを 示 し
て い る) お よび約700塩
基 の産 物, つ ま りCP
mRNA
も この反 応 の 中 で 合 成 さ れ て い る こ と (30K蛋
mRNAも
白質
合 成 され て い る こ とは 別 の 構 築 のcDNAプ
ロ ー ブ を用 いた 解 析 で 明 らか とな って い る) が 明 らか と
な った 。 また,
マ イナ ス鎖 ゲ ノ ムRNAの
合 成 も in
vivo で 実 際 に 合成 され る比 を反 映 して 含 まれ て い る こ
と 〔(+) 鎖 と (-) 鎖 ゲ ノ ムRNAの
合成 比 は in vivo
成 活性 は,
とこ ろ で, TMV
RNAの
複
転 写 の反 応 とを行 な っ て い
複 製, サ ブ ゲ ノムRNAの
転 写 は, 細 胞 内 の ど と で行 なわ れ て い るの だ ろ うか 。 プ
ロ トプ ラ ス トの粗 破 砕 液 を分 画 して , 2500×g,
g,
20000×gの
6500×
各 沈 殿 画 分 と可 溶 性 画 分 とに 分 け た場
合, こ の活 性 は お もに2500×g沈
殿 画 分 に見 い だ され る
こ とか ら, 何 らか の 大 きな 構 造 体 上 で これ らのRNA合
成 が 行 な わ れ て い る もの と考 え られ る。 こ の画 分 に は核
も存 在 し, TMVの
複 製 へ の 宿 主 の 因 子 の関 与 を考 え る
223
36
蛋 白 質
うえ で興 味 深 い事 実 で あ る。 な お,
X-100の
核 酸
酵 素
この 活 性 は Triton
よ うな界 面 活 性剤 を加 え る と見 い だ され な く
Vol. 32
BMV
No. 3
RNAを
(1987)
用 いた 実 験 で, RNAが
鋳 型 と して機 能 す
るた め の条 件 な ど が 調 べ られ て い る。 ゲ ノ ムRNAの
な る こ とか ら, 活 性 の 保 持 に は あ る種 の 膜 構 造 が必 要 で
3'末 端 はtRNAと
あ る と考 え られ る。 なお, 複 製 酵 素 の活 性 を担 うと考 え
るが, そ の構 造 を 改変 した際 の鋳 型 と して の活 性 を調 べ
られ る130K,
180K蛋
白質 も こ の画 分 に見 いだ され て
い る。 活 性 と の直 接 の関 連 を証 明す る には まだ 至 っ て い
な い が, 今 後 こ の系 を用 い てTMVの
複 製 と転 写 に関 与
す る因 子 の研 究 を 行 な って い く道 が 開 け た とい え よ う。
同 様 の ク ロ ーバ ー葉 様 の構 造 が 組 め
て^<77,78)>,
興 味 深 い実 験 デ ー タ を 出 して い る。 た とえ ば,
tRNAの
構 造 でDル
ー プに 対応 す る領 域 を 削 って も鋳 型
とな り得 る こ と, ゲ イ ムRNAの3'末
端134塩
基 の断
片 だ け で も鋳 型 とな る こ とが 明 らか に され て い る。
ま た, こ の活 性 は転 写 も行 な うこ とが で き, 人工 的 に
3.
CPMV
CPMVの
RNAの in vitro
合成系
作製 したRNA3の
感 染 葉 か ら得 られ た31000×g膜
宿 主 が 元 来 もつ RdRp
に 関 係 したRNA合
分 画 に は,
(前 々項 参 照) と ウ イ ル ス の複 製
成 活 性 とが 存 在 す る^<73)>。Dorssers
ら
は この 膜 分 画 をMg^<2+>を 含 ま な い緩 衝 液 で洗 うこ とに よ
Database Center for Life Science Online Service
り, 宿 主 の RdRp
のTMVの
活 性 が 分離 し, 残 りの膜 分 画 に は前 項
場 合 と同 様 の, 内在 性 の鋳 型RNAに
た nascent RNAの
合 成 の継 続 に 由来 す る活 性 が 存 在 す
る こ とを示 した 。 この in vitro
B-RNA,
M-RNA
(表1参
合 成 さ れ る。Dorssers
X-100で
依存 し
マ イ ナ ス鎖RNAを
ブ ゲ ノ ムなRNA4を in vitro
加 え る こ とで サ
で de novo
る。 この こ とか ら, サ ブ ゲ ノムRNAの
の マ イ ナ ス鎖RNAの
に合成で き
合 成 が ゲ ノ ム長
内 部 か ら開 始 され るこ とが 直 接 的
に示 され た^<79)>。
なお, こ の活 性 を 担 う分 画 に は ウイ ル ス の コー ドす る
109K蛋
白質 (表1参 照) が 存 在 す るが^<75)>,
活 性 へ の関
与 は まだ 生 化 学 的 に 示 され てい な い 。
活 性 に よ りCPMVの
照) に対 応 す るRF-RNAが
らは さ ら に, この 活 性 を Triton
可 溶 化 し, セ フ ァ ロー ス2Bカ
ラム に よ る ゲ
お わ りに
分 子 生 物 学 的 手 法 の進 歩 に よ り一 次 構 造 か
らの情 報 が 得 られ,
プ ロ トプ ラ ス トヘの ウ イ ル スの 同
ル 濾 過, グ リセ ロ ー ル密 度 勾 配 遠 心 に よ る解 析 を 行 な
調 感 染 系 を 用 い た解 析 も行 なわ れ る よ う に な り, 植 物
い, 活 性 複 合 体 中 にCPMVが
RNAウ
(表1で
示 した208Kの
コー ドす る110K蛋
白質
ポ リペ プ チ ドが プ ロセ シ ング を
受 け て産 生 さ れ る) が あ る こ と, 宿 主 由 来 の68K,
57K
イル スの遺 伝 子 の発 現 と複 製 過 程 がか な り解 明
され て きた 。 植 物RNAウ
イ ル ス は共 通 して複 製 ・細 胞
間 転 移 ・遺 伝 子 保 護 とい った 機 能 を 担 う蛋 白質 を コー ド
の分 子 量 を もつ蛋 白質 も存 在 す る こ とを 示 した^<74)>。
この
す る が, 今 後 はcDNAか
実 験 に よ り, 直 接 的 に複 製 反 応 に宿 主 の RdRp
転 写 系 を用 い た reverse genetics
が関与
らの感 染 性 ウイ ル スRNAの
の 手 法 で,
これ らの
して い な い こ と, 複 製 活 性 に ウ イル ス由 来 の蛋 白質 が 関
蛋 白 質 の よ り細 か い機 能 が 明 らか に な っ て い くも の と思
与 して い る こ とが 示 され た 。 た だ し, 本 来110K蛋
わ れ る。 ま た, in vitro で の ウイ ル スRNAの
は110K→24K+87Kと
87K蛋
白質
合成系 を
さ らに プ ロセ シ ン グを 受 け^<51)>, 用 い た 研 究 に よ って, 複 製 ・転 写 活性 を担 う酵 素 のサ ブ
白質 が ポ リ メラ ー ゼ活 性 の コ ア ・サ ブ ユ ニ ッ ト
と考 え られ て い た だ け に, こ の活 性 分 画 に110K蛋
白
質 が 検 出 され た こ とに 関 して, さ らに細 か い検 討 を要 す
る も の と考 え られ る。
ユ ニ ッ ト構 造, 宿 主 因 子 の 関 与 の 有 無, そ してRNA側
の認 識 され る シ グ ナ ル配 列 な どが 明 らか に な る で あ ろ
う。
また 今 後,
ウイ ル ス の コ ー ドす る蛋 白質 の詳 細 な 機 能
の解 明 とな らん で, ウ イ ル ス と宿 主 との相 互 作 用 とい う
4
BMV
BMVの
RNAの in vitro
合成系
点 が 注 目 され る と思 われ る。TMVの
感 染 葉 を破 砕後, 膜 分 画 を dodecyl-β-D-mal
toside(界 面 活 性 剤 の一 種)
場 合, 30K蛋
白質
が か らん だ ウイ ル ス の細 胞 間転 移 の機 構, ウ イ ル ス の宿
に よる処 理^<75)>,
ミク ロ コ ッ
主 域 と病徴 の 問題, 植 物 側 の ウイ ル ス に対 す る抵 抗 性 の
カル ヌ ク レア ー ゼ に よる 内在 性 の鋳 型 の消 化^<76)>を
施 す
正体 な ど興 味深 い 問 題 が あ る。 これ らの問 題 も これ か ら
と, 外 か ら加 えたBMV
分 子 生 物 学 的 手 法 で 解 析 さ れ て い くで あ ろ う。
マ イ ナ ス鎖RNAの
外 のRNAに
RNAに
依 存 した, ゲ ノ ム長 の
合 成 が 認 め られ る。BMV
RNA以
対 して は反 応 しな い鋳 型 特 異 性 を示 す ユ ニ
ー クな活 性 で あ る。
こ の鋳 型 特 異 性 を 利 用 して, 現 在, 人 工 的 に 改変 した
224
ここで紹介 した筆者 らの研究は, 東大理学部生物化学科岡田
研究室で なされた ものであ る。共同実験者の方 々, ならびに本
稿 のこ校閲 もしていただいた 岡田吉美教授に感謝いた します。
植物RNAウ
イルス遺伝子 の発現 と複製過程
23)
文
Dasgupta,
10,
献
24)
1)
岡 田 吉 美 ・石 浜 明 編 : 遺 伝 子 と し て のRNA,
談社
Stanley,
3)
Ahlquist,
W.
M.:
P.,
- Fries,
L.
81,
7066-7070
S.:
Ahlquist,
Database Center for Life Science Online Service
Okada,
USA,
83,
26)
Loesch
S.,
Sci.
Mol.
M.,
USA,
Cell.
27)
Biol.,
Proc.
4,
Natl.
R.
J.
29)
56,
Werf,
Kaesberg,
USA,
S.,
F. W.,
83,
J.,
12)
USA,
83,
I.,
Otsuki,
Y.:
Y.,
Takebe,
Watanabe,
14)
Y.,
E.,
Proc.
2330-2334
Natl.
Natl.
(1969)
I.:
Virology,
Acad.
188-194
French,
R.,
M.,
N.,
Ishikawa,
in
H.
R.
Bruening,
G.,
P.,
Ikawa,
20)
79,
Meshi,
B.
J. C.,
J. M.,
Bol,
Res.,
Van
11,
Mol.
22)
11,
Ahlquist,
Mol.
J.
R.,
P.,
35)
Bio
36)
Zaitlin,
(1983)
J.:
37)
P. J. G.,
Proc.
5818-5822
(1982)
Yamanashi,
Y.,
Okada,
J. F.:
Y.:
F.
Nucl.
Th.,
L.
39)
Saito,
J.
J.
J. C.,
Bio
Balazs,
T.
E.,
J.:
Nucl.
(1985)
Shanks,
M.:
EMBO
J.,
2,
J.,
J. H.,
Hire
Lomonossoff,
E.:
G.
Nucl.
Zimmern,
Acids
D.,
Kaesberg,
81,
P.:
E.
Natl.
(1984)
G.,
J.,
Ahlquist,
Proc.
4358-4362
Haseloff,
536-542
F.,
941-
Shahabuddin,
E.,
Strauss,
H.,
53,
J.,
2,
(1986)
P.,
J.
J.,
M.,
R.
P.,
USA,
Ahlquist,
F.
Rhoads,
R.,
Sci.
Sakai,
K.
M.
Goelet,
Dasgupta,
Harmsen,
EMBO
Overmeyer,
5417-5430
Haseloff,
J.,
A.:
M.,
J. G.,
14,.
Verver,
Siaw,
Shaw,
Rice,
C. M.,
Zimmern,
D.:
J.
(1985)
Takebe,
Kiberstis,
P.,
Hall,
Moor
Nassuth,
I.:
Virology,
Bol,
J. F.:
A.,
62,
426-433
Res.,
Kamer,
G.,
T.
C.:
Nucl.
D.
Nishiguchi,
Acids
369-383
(1981)
T.
J.
F.:
Virology,
Nucl.
Acids
Res.,
12,
T.,
Motoyoshi,
46,
497-500
Takamatsu,
M.,
Oshima,
N.:
J.
F.,
Oshima,
N.:
J.
(1980)
N.,
Kiho,
F.,
(1978)
Meshi,
Y.:
T.,
Okada,
Virology,
Y.,
131,
255-
(1983)
Taliansky,
M.
S.,
E.,
G.:
I. B.,
Virology,
Cornelissen,
B.
F.,
2157-2169
J. C.,
Bol,
S.
Ulanova,
122,
Pshenni
E.
F.,
318-326
Linthorst,
J. F.:
I.,
H.
Nucl.
Ata
(1982)
J. M.,
Acids
Th.
Res.,
(1986)
Y.,
Ohno,
Malyshenko,
Kaplan,
T.,
Emori,
Okada,
Y.,
Y.:
Ooshika,
I.,
Virology,
133,
Meshi,
18-24
(1984)
Kaesberg,
P.:
J.
Kaesberg,
P.:
J.
(1984)
V.,
Bol,
53-61
M.,
Virol.,
Ohno,
T.,
Hall,
(1981)
Motoyoshi,
39,
Nishiguchi,
14,
V.,
F.,
P.:
M.,
Virol.,
43•zPelham,
R.,
Alblas,
Argos,
Brederode,
Nucl.
L. S.,
804-808
(1984)
bekov,J.
Veene
Loesch-Fries,
(1983)
42•zWatanabe,
Thompson,
A.,
112,
75-85
k ova,E.
(1983)
23-38
P.
Virology,
258
40)
(1983)
N.
Luckow,
153,
Eur.
Morris,
Franklin,
G.
Nishiguchi,
Bio
Acids
F. Th.,
J. H.,
Dasgupta,
172,
L.,
T.,
Gen.
41)
S.,
2881-2891
38)
Natl.
(1984)
Brederode,
Jarvis,
P.,
P.,
Hellmann,
Gen.
Butler,
Karn,
Brederode,
Boom,
L.
Biol.,
Biol.,
Okada,
(1976)
3019-3025
F.,
P.,
Ahlquist,
T.,
Eur.
1915-1923
J. C.,
H.,
Loesch-Fries,
21)
34)
(1983)
Res.,
R.
J.:
Scalla,
T.,
96,
B.
Barker,
J.,
M.,
1253-1265
H.:
K.,
Kammen,
7269-7282
G.
M.
USA,
Cornelissen,
Acids
R.
R.,
Aoyagi,
S.,
Meshi,
498-517
Gait,
Cornelissen,
man,G.
Science,
(1976)
71,
Sci.
mann,R.
33)
R.
P.,
Van
Domier,
124,
Beachy,
E.,
T.,
P.:
M.,
Jackson,
chem.(Tokyo),
11,
Ahlquist,
Lomonossoff,
M.
Acad.
H.,
B.,
Virology,
17•zOhno,
Virology,
press
247-256
Akam,
19)
946
C.:
J.,
EMBO
16•zGoelet,
Y.:
(1986)
Y.:
Pelham,
Okada,
J.
(1974)
Takamatsu,
M.:
18)
T.,
Janda,
1294-1297
chem.,67,
15)
P.,
Strauss,
(1982)
K.
Eur.
H.:
(1982)
Wezebeek,
VOS,
Acad.
32)
49,
(1985)
Gordon,
(1984)
6663-6677
G.
Symons,
V.,
R.
Carrington,
13,
V.,
(1983)
Van
P.,
Res.,
331-339
H.
Symons,
Richards,
Res.,
Res.,
31)
(1986)
Proc.
843-848
Ohno,
478-480
231,
13)
H.,
H.
R.
277-284
Lomonossoff,
P.,
Acids
150,
Symons,
G.,
math,S.
(1986)
R.,
217-226
Virol.,
120,
A.
R.,
Guilley,
R.
Williams,
143,
A.
M.,
Proc.
Wimmer,
J. J.:
Sci.
K.,
P.:
63-66
Bradley,
Dunn,
64,
Saunders,
(1972)
11)
Gould,
Gould,
Nucl.
Biochem.,
A.,
2253-2258
Sci.
Virol.,
R.,
T.,
Sci.
USA,
Sem
Acad.
J.:
Dasgupta,
Gallagher,
der
F.,
30)
Acad.
Otsuki,
M.
Acids
(1986)
B.,
B.,
Motoyoshi,
Colonno,
Dasmahapatra,
Takebe,
Rezaian,
J.,
P.:
Williams,
J.
chem.,126,
28)
Y.:
(1985)
Sci.
10)
(1935)
M.,
Acad.
M.:
5043-5047
628-632
Acad.
A.,
Eur.
Jonard,
Janda,
Mizutani,
Studier,
9)
Natl.
Ishikawa,
ba,K.,
Natl.
M.
H.:
H.
(1984)
T.,
Van
644-645
Janda,
(1984)
Selling,
8)
81,
R.,
Proc.
P.,
5•zMeshi,
7)
Science,
French,
Kaesberg,
(1982)
Biochem.,
2876-2882
6)
講
(1982)
2)
4)
25)
R.,
703-713
Rezaian,
R.
(文献番号を太字に したものは特に重要 な文献であ ることを示す)
37
H.
R.
B.:
Nature,
272,
469-471
(1978)
44)
Beier,
cht,R.,
H.,
Barciszewska,
Gross,
H.
J.:
M.,
Krupp,
EMBO
J.,
G.,
3,
Mitna
351-356
(1984)
225
38
45)
蛋 白 質
Ishikawa,
M.,
matsu,N.,
8291-8305
46)
47)
Saito,
T.,
Gen.
Watanabe,
Ooshika,
I.,
K.,
M.:
T.
R.,
Beachy,
R.
Goldbach,
Y.,
Meshi,
K.,
Yoshida,
T.,
Okada,
Y.:
T.,
Okada,
N.:
Zaitlin,
M.:
R.:
in
The
64)
(eds.
J.,
Zim
New
160-
66)
67)
Watanabe,
Y.:
Y.,
Ooshika,
Virology,
Aoki,
S.,
I.:
A.
69)
T.,
Okada,
70)
(1986)
Virology,
343-354
71)
199
55)
D.
W.,
Zaitlin,
M.:
Virology,
45,
192-
Nilsson-Tillgren,
191-202
T.:
Mol.
Gen.
Genet.,
105,
73)
(1969)
74)
Watanabe,
Y.,
Letters,
Meshi,
173,
T.,
247-250
58)
Guilley,
H.,
R.:
Nucl.
59)
Oshima,
N.:
222-228
(1981)
Okada,
Y.:
(1984)
Jonard,
G.,
Acids
Res.,
Japan
75)
Kukla,
6,
Agric.
B.,
Richards,
1287-1308
Res.
76)
14,
77)
47,
Kiho,
wara,A),
(1982)
226
421
Nishiguchi,
Y.:
in
Plant
pp.
78)
Motoyoshi,
Tissue
665-666,
F.,
Culture
Maruzen,
Oshima,
(ed.
F.,
A.,
86,
M.,
319,
Siegel,
62-71
A.:
Biochim.
(1973)
H.
H.:
J.
Virol.,
H.:
21,
Virology,
(1973)
Kummert,
J.,
Semal,
J.:
Virology,
77,
212-
(1977)
Ikegami,
M.,
Fraenkel-Conrat,
254,
Ikegami,
149-154
M.,
H.:
Fraenkel-Conrat,
Y.,
J.
Biol.
(1979)
197-200
H.:
FEBS
Let
(1978)
Okada,
Y.:
Virology,
149,
64-
J.,
Kammen,
(1986)
Dorssers,
L.,
Zabel,
Van
P.:
Dorssers,
Van
Bujarski,
USA,
C.:
W.
Krol,
81,
S.,
Van
P.:
T.
Natl.
Miller,
465-473
C.:
Meer,
(1984)
S. F.,
119,
(1983)
der
Proc.
1951-1955
Hardy,
Hall,
155-174
Zabel,
Virology,
A.,
Van
125,
A.,
J. J.,
T.
Meer,
der
Kammen,
Sci.
Miller,
der
Virology,
L.,
Van
W.
A.,
(1982)
Virology,
125,
236-
(1983)
Dreher,
T.
Miller,
ture,313,
W.,
Bujarski,
171-175
Bujarski,
1774
79)
Na
(1978)
Virology,
Fraenkel-Conrat,
363-372
her,T.
Fuji
Tokyo
Proc.
2122-2124
M.:
Murakishi,
Hadidi,
ture,311,
(1981)
M.,
M.,
press
H.:
75,
Zaitlin,
(1977)
241
60) •¼Œû•³’Ê•E–{‹g‘•’j•E‘哇•M•s : “ú–{•A•¨•a—•Šw‰ï•ñ,
61)
T.,
J. L.,
Hall,
(1979)
Quart.,
Res.,
Nishiguchi,
in
Zaitlin,
Acta,
Acad.
FEBS
N.,
Biol.,
USA,
P.,
484-492
J.,
K.
C.
White,
A.,
56) “n•Ó—Yˆê˜Y•E‰ª“c‹g”ü : “ú–{•¶‰»Šw‰ï‘æ58‰ñ‘å‰ï (•å‘ä 1985)
57)
C.
Duda,
73
Ohno,
(1978)
72•zWatanabe,
(1971)
Y.,
Acids
Fraenkel-Conrat,
Sci.
ters,96,
Bradley,
Mol.
M.,
Chem.,
65,
Kiho,
Nucl.
Morita,
J.
Romaine,
Y.:
(1985)
Y.:
Ikegami,
S.,
Okada,
Y.,
220
(1975)
54)
5585-5590
52,
Murant,
Meshi,
414-420
Takebe,
isomeric
(1986)
I.,
152,
D.,
68)
: Viruses
and
B.
York
13,
Kikuchi,
T.,
Biophys.
81,
Viruses
Harrison,
Plenum,
Meshi,
tl.Acad.
Viro
(1976)
genomes
M.,
T.,
241-253
Virology,
Plant
RNA
Nishiguchi,
63•zWatanabe,
(1978)
759-764
(1987)
Okada,
Knowland,
260,
bipartite
F.),
Database Center for Life Science Online Service
(1986)
1109-1123
Hunt,
N.,
T.,
82-89
(1977)
particles
53)
14,
65)
15,
Nature,
with
52)
Vol. 32. No. 3
62)
Taka
Res.,
(1984)
Cell,
mern,D.:
51)
Inouye,
71-78
Kozak,
169
F.,
Acids
Meshi,
205,
Watanabe,
Igano,
49•zHunter,
50)
Motoyoshi,
Nucl.
Y.,
Genet.,
logy,132,
48)
T.,
Y.:
酵 素
(1986)
Mol.
Y.,
Meshi,
Okada,
核 酸
J. J.,
W.,
J. J.,
Hall,
T.
C.:
Na
(1984)
Ahlquist,
Kaesberg,
P.,
P.:
Hall,
EMBO
T.
J.,
C.,
Dre
5,
1769-
(1986)
W.
A.,
68-70
Dreher,
(1985)
T.
W.,
Hall,
T.
C.:
Na
Fly UP