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カ ッ パ 6 型 ロ ケ ッ ト に つ レゝ て

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カ ッ パ 6 型 ロ ケ ッ ト に つ レゝ て
304
生 産 研 究
カッパ6型ロケットについて
糸 川 英 夫
1. 力sソバ6型の構想
32年12月から翌年1月にかけて第一次計画を行な
った組合せは
カッパ6型(以後K−6型と略称する)の構想が始ま
K−150十250B
WT=全備重量
ったのはK−4型の飛しょう試験が終了した後であって
K−150十260B
Tm一平均推力
32年11月∼12月からである・ 「生産研究」10巻10号
K−150十330B
τ=燃焼時間
に報告されている・K −122,K−150, K−5型などは当
K−180十330B
時すでに基本構想が定まっていたK−6型の予備テスト
でその結果は次の如くである.
として行なわれたものである・
K−150+330B
K−6型の基本的方針として,固体燃料系であること
K−150
全備重量伊丁一62∼70kg
は従来通りであるが,エンジンチャンバー,機体の構造
平均推力Tm =・ 1,658 kg
材料として,従来はSAE−4130級の鋼材を使用してき
燃焼時間τ==4.5sec
たのを,アルミ合金にかえたことが一つある・次に高速
330B
全重量WT=3, 310 kg
特に音速の3∼5倍になったときの空気力学的安定,な
平均推力Tm−7,650 kg
らびに遷音速領域から超音速領域に亘るフラッタ現象に
燃焼時間τ一4.Osec
対する考慮が次に払われた・これらの考慮を実験によっ
90°発射のときの到達高度とK−150重量の関係
て確かめるために,K−5型のテストが行なわれたので
K−150重量(kg) 62 64 66 68 70
到達高度(km)139 131 126 119 114
あって,このデータによってK−6型の計画の裏づけが
行なわれたわけである・K−6型はIGY観測用として50
∼80kmの上昇性能をねらった・
2・ K−6型の計画推移
K−180+330B
K−180 WT=65∼73 kg Tm == 1,476 kg τ=5.5sec
K−180WT(kg) 65 67 69 71 73
90°発射到達高度(km)103 99 95 92 88
33年12月から翌34年1月にかけてメインロケッ
ト,およびブt・一一・スタロケットとして下記の直径のものが
検討された・
上記結果で明らかなように,Payloadを変化させたと
きの到達高度はKr180はK−150より劣る・以後K−
メインロケット K−150,K−180, K−220
180の計画を棄てたのはこの結果からである.
ブースタ B−220,B−240, B−260, B−280
70唾射
B −330
Znex =91. 9 Km
lsas+250β
このうち K−150については「生産研究」10巻10号に
Zmax=∼〃伽
v;2/26 m/s
Zmexel150Km
150s+2tiO8
詳報された通りである.K−180はブースタステージで
のC.G・の前移をねらったもので,またPayloadの増
加を考えたものであったが,性能計算の結果は,質量の
N
2加κ冒4d.6 Km
z5∂8+∼〃即8
増加による性能向上よりも,空気抵抗の増大による性能
\ISOS+みθB
低下の影響が大きく,結果がかんばしくないのでとりや
めになった・K−220はすでにK−3型,K−5型にブー
スタとして使用されたロケットであるが,今回はメイ
ノ50S+220B
孟43ワ15ec
ンロケットとして使用する計画であって,その結果は
K−180と同様な結論であった.
次にブースタ系ではB −220はすでにK−3型,5型で
ブースタとして用いられテス.トずみであるが,性能不足
である・しかしここにこれを加えたのはブースタ径を
2Z.Oから300 mmまでかえた計画をたてることによって
500 K−M−.31〃 1500Zt’ m/S
optimum design pointを見出すためである.
第1図 各種組合わせのv−2diagram 70°発射
14
Cf50−z20β)
305
第11巻 第8号
の3種を考えて,素材重量を33kgと押さえ,必要な曲
がり公差,偏心その他を考えると,24S・T4を使用し
K−150十250B
K−150 WT=70.8kg 7「m ・= 988 kg τ==7.51 sec
外径一265mm 内径=220 mm L−2,300 mm
250B V「T =・ 154 kg Tm=1,995 kg τ=10 sec
z(Km)一到達高度θ一発射角
のものならば製造可能であるとの結論に達した・
θ=70° g=115km
この素材を中心にブースタを計画するとφ一245く、ら
いのものとなり,ここにアルミ合金を使用すれば当時の
θ=90° g=138 km vmax ・ 1,654 m/sec
E
状態ではブースタ径245mmが最大であるとの結果にな
K−1 50十260B
った.
K−150 同上
以上のように,ブー一スタ外径が使用材料を指定すれば
f
Tm=2,195 kg τ=11.6sec
260B M77==207 kg
これの素材製造能力によって一義的に決定されるのは
θ=70° 2=125km
optimum designの観点からは好ましいことでなく,任
Vmax=1,740 m/sec
θ =・ 90° g・= 151 km
意の径のロケットを短期間に繰る方法としセ,従来π計
第1図に上記のほか,K−3型, K−4型の性能計算結
果のv∼9 diagramを示す・
以上の計画に基づいて240∼260φ系のブースタ用ア
ルミ合金素材の検討を33年1月10日より開始し,住
友金属名古屋伸銅所と折衝の結果
PアリC.G
∠1宏1(乙)ゐ ・漁閣像
鵬{
鵡π
階像
(劇駁畷)
瀬▼
たものをKAPPA− 6−A型,同じくK−150と260 Bを
かけて計画された5ないし6の案のうち
聯・醐・亜:一「聯
解 肱u
画され,245B系を使用し,これとK−150を組み合わせ
年2月16日の設計会議で決まった・
て
すなわち32年12月から33年1月に
(φ=300,L=2,000)
(劇K麟
ットエンジンの計画が浮かび上り,260Bは強化プラス
チックを使用するエンジンとして245の対案として計
組み合わせたものをKAPPA−6−B型と称することが33
(φ=220, L=2,500) (φ=260,L=2,300)
$ミ
画の名でよばれてきた強化プラスチックを使用するロケ
即露
も捻捻
淵
ト}
1
ミ\、
一飛一
ll
3
=
慨一λ1
短溜
(150十245B)と(150十260B)の二つに
しぼられたわけである・
ついでこの二案について,各部品の重量
推算,重心計算,安定計算,強度計算,空
力加熱,フラッタ,性能計算が2月から4
月にかけて行なわれ,漸次K−6型の計画
が具体化して行なった・
5560
a2 w1 肱 λ1
この両者についての設計会議は昭和33
、・5・ダ・一あ・1・・67・166・・1…25156・・1246・・641・36・44・…8
年4月3日,4月12日および4月29日
Cace ti al l2
。。、e l・ a・ 11・
(道川),の3回に亘って開かれ,計画の進
,a4 「門区3 「P74 λ2
行とともにTW(気温,風観測機), RS
・5・ダ・一あり1・・9481・9・・∫・…71・5・・176・・74i…341・・83
(太陽分光観測機)への適用も平行した・
第2図 ee−一一案(150スパン800)
ρ曜
物篇
響勝胎
イゐ
謬
概
μ殉
と二つめものが比較され,翼巾憎大に伴な
猷像
廓像
う安定係数の改良と重量増加にょるC.G.
魚K璽
勲κ嘩
気遷
64 丘吻
集ミ
卿
(
ρムー58ffs
‘幽
K−150の尾翼翼巾は700 mniと800mm
・…1
§\
偽
」
帯一λ・
の後退が比較検討され,またK桓らQ翼巾増
大に伴なうブースタ安定の低下が検討され
た結果,最終的には翼巾700mnjのものが
採用された.’・ i
第2図,第3図,第・図は、iずれも33
v256
年2月より4月の問に検討が重麺られてい
る間のK−6型一今’B型の計画薗である・
Case i・・ 1・ ・・ …
a2 w・1:w…
156ダ・一あ・3・・68・166・・11, 3,・47156・・1244・4gL・34・・291 ・・ …
Case l・ a3 1・
a・ w3 vu4 1・・
・5・ダ・一あ・い・9551・…il182・・1・6・・1・4・・591・9・・gl・…
第3図1・第二案 (150スパン700)
ブースタスデ・一、ジでのロケッ;トの曲げ振
l
動数は19−{21 cpsとして剛性ヵ1きめられ,
またブー1蝿翼の曲げ遡振轍はgo
cps,曲げ強度負荷倍数6gを目標とし,翼
巾1,100mm,翼厚14 mmとし, L 2 tの
15
306
生 産 研 究
計画重量より重量が増加しているが,
磁
45
一300
20°
’一’
一iミ
u
16アφノη殿6始
∼82MdX(タia
」225”
(C.G. 64.2%)
T
1
同時に燃料のIspも増加しているので
この効果が相殺し合ったものである・
当時なお燃料の搭載重量が決定せ
ず,またIspも地上燃焼試験が終了し
ないので最終値は決まらず,性能計
算はIsp=185 sec∼220 secとして種々
5934
のCaseが計算されている・この結果
第4 図
は
θ;70°でg=60∼90km
アルミ合金鉱で桐を心材とするsandwitch構造をとるこ
とにきめた・
の範囲に入っている.
またK−150の尾翼としてはduralmin coreにstain−
1ess stee10.8tをかぶせたsandwitch構造を採用,特
に空力加熱に対する考慮が払われた・
た・その結果3月に行なわれたπ一型ロケットのテストの
結果に未解決の問題を含んでいたことから,B型の計画
が落とされ,最終的にK−6−A型を残すことになった・
K−6型一A
である.
昭和33年4月5日当時における245Bの燃焼時間は
12secと推定され,平均推力1,700 kgと考えられてい
た・これからランチング時の加速度accを求めると
T 1,700kg
=−7.59
ニ ニ
WT 225.9
となり,この値は従来のKAPPA−seriesに比して著しく
昭和33年3月31日現在における計画諸元は
K−150十245B
第5図は3月31日当時の性能計算結果を示したもの
補助ブースタ
4月中旬に6月を目標とする飛しょう試験に備えてK
−6−A,B型のいずれか一つにしぼることが必要となっ
K−150
θ=90°でg == 75∼110km
小さく,風による1aunching disPersionが著しく大きい
Wτ=63.7kg 五=3,012 mm
ことが予想される・
C.G.=58.2∼52.5%
そこでlaunching時の初速を大きくするために,ラン
W.=225.9kg L=5,317mm
チャー上で燃焼を終了する補助ブースタが考えられた・
C.0.=64.5∼53.2タ6
第6図は補助ブースタをつけたK−6型の概案で,ラ
で,性能計算の結果は
ンチャー上でburn outするため,補助ブースタには尾
θ= go° 80° 75° 70°
翼をつけない・
g(km)= 74。6 67.5 62.7 57.4
4月2日における補助ブースタ計画諸元は
で到達高度は60km内外となっている・これは後述の
ように,その後のK−6型の飛しょう試験にきわめて近
τ=0.25sec T=4,400 kg Isp=220 sec∼235 sec
い結果である・実際の飛しょう試験は3月31日現在の
ランチャー上移動距離=4.5m
最大加速度一149補助ブースタb・o・の速度==36m/sec
4月29日の最終設計会議における決定は補助ブース
25
タ外径160mm,薬長=250 mm, C・G・移動距ee・−3・5m
20
§N
で,burn out速度38 m/secである.
2m∂x
この決定に基づいて,補助ブースタの製作が進められ
θ=goe 74.6 km
60°675
75°627〃
70°574〆
15
ると同時にテストスタンドでの地上燃焼テストが6月ま
z,t・137ti42m/s
で行なわれたが,6月になって地上燃焼試験の結果,燃
焼が不安定であることが判り,遂に実際のテストフライ
トには使用されなかった.
このため,6.月,9月に行なわれたK−6型のtest flight
10
はいずれもlaunching velocityが遅く,風分散の影響を
5
o
500
第5図 カッパ6型
16
1000 1500zノ励
90°発射v−zdiagram
第6 図
307
第11巻 第8号
うけて高度低下を招いている・解決は245Bの推薬の燃
X、==前進方向加速度計,x,一減速度計,}㌻z=横方向
加速度計,T=表面温度計, o=歪計 TM一テレメー
焼時間短縮によることになり,これが完成して,最初に
K−6型に適用されたのは,12月のflight testからで
タ送信機 RT==レーダトランスポンダ
あった.
K−6−1はRTがないため,他のものより全長を
K−245
170mm短くする・
2段式ロケットK−6型のテストに先立って,245Bだ
5月16日現在における諸元は次の如くである・
けの1段式ロケットのflight testが計画された・これ
K−6−1 150 W7 == 72.6kg
をK−245と称する・ (第7図)
C.G.=59.1∼55.1%
600
L=3.075mm
@300
10ZO
150一ト245 WT=254. O kg
C.G.=65.6∼56.6%
RT
「(⊃ 2自 L J
\RTアンテナ
8;
㌔,
蕊
L=5,390mm
K−6−2 150 VVT=75.1kg
3295
C.G.=一 60.3∼55.8%
L=3,245mm
第7図
150十245VVT :−256.1kg
4月29日当時の計画諸元は
全長=3,250mm WT 一 192・ 5kg C・G・== 59・ 6∼55・6%
尾翼はK−6型ブースタと全く同じものを使用し・Nose・
coneの長さ600 mm・テレメータ送信機はのせず,レー
ダトランスポンダのみをのせ,アンテナは突起型とす
る.主なる目的をflight pathにおき,ノズル外側に発
C.G.=66.2∼57,3%
五=5,560mm
sE20日6型最終設計会議で決定されたことは,補
助ブースタを使用する場合の時間プログラムとして
X: 補助ブースタ ign.
X一ト0.18sec:
煙筒2本をつけoptical trackingを助ける・
発煙時間は50sec∼100 secとする・
3.K−6型1,2号機
X十〇.20
245B ign.
X十11.70
245B b.o.
X十12。20
245B切断
以上のような経緯でK−6型の設計が決定し,4機を
X十14.70
製作し,6.月にflight testを行なうことになった・
X十23.00
推力吻)
ldoo
/1ρo像
脇/°4°撫
用にふり向ける・もし
甥
問題があれば3,4号
甥
もflight testに用い
WT =・ 71 kg
150十245BW.=253kg αG.=66.5%
K−6−2 ×1,X2, Y, Z, TM, RT,
ば宇宙線気温風の観測
150 b.o.
.150落下
K−6−1 150
K−6−1 ×1,X2, Y, Z, T, o, TM,
長二諭罷認題潔糊
150 ign.
X−1−260sec
4月29日における計画は
〃 b.0.
T. Dur=8. as see
〃 zo 2〃 367 4.0 50 6二〇 70’ 80 y.03ec
る.
ti川h,‘tlt,,山2、、1」tlthtltlltllb山llll,1111、ill口1”r i’L Li山tllllllli田il・”tl±ttel
ただし
第8図
推力(柳
3000
2560惣
,250〃 2Z/{クK2
2000 /650kg
1500
1000
5∂0
0
¢…詔、.、訊,1。詔、Ill。詔…ll,照、。,…留.詔一ll,季召…ll−9・4…・・紺llll!ie,1・・1『1°se°
第9図
17
308
生 産 研 究
これに対して3kgの重量軽減が意図され, fligt .’test
これら諸元に基づいた性能計算の結果は
までに150 W. ・68 kgをね’らうことが提案された.
K−6−1245τ=12sec 150τ=8secのとぎ
K−245は6月にK− 6 −1に先立ってtestされる予
θ =・ 75°でg・= 50 km Vmax = 1,375m/s
定でL・−3,295mm計測器部のL=1,020 mm
第10図にこの計算結果を示す・
Nose cone L=70・3mm 平行部L−317 mm
第11,12図はK−6型一1,2号の最終図面である・
確T ・F 205 kg’発煙筒=1.3kg C.G.=・ 59∼54.5%
4,K−245の飛しょう試験とその結果
である.
当時までり地上燃焼試験の結果,150および245とし
2殺式ロケットK−6型のテストに先立って,昭和33
て決まった推力曲線を第8図,第9図に示す・
年6月14日ブt−一・スタエンジンのみの一段式[1ケットK
−245のflight testが行なわれた・条件は
Znmx =5za28 km
25 30
全長L=3,296mm, VV.=202.3kg C.G.=58.3∼53.1
%θ一30°の予想性能は計算によれば, (第13図)
g・=1.3km x=10.5km ’=35 sec
”謹
Vmax=685 m/sec
飛しょう時間は10時11分,観測の結果は飛しょう
緬
時間36秒水平距離11km(計算値10 km)で推算値
を上まわった・風の条件は北西2・5m/sec気温20°c,
一加∂inム〃ηoαオ
t=、∼4 7s8c
快晴でoptical tracking,レーダtrackingともに落下ま
10
で完測を行なった・
この結果,245Bの飛しょう性能が確立され, K−6型
への希望は濃いものとなった・
5
5. K−6型一1の飛しょう試験と結果
o姥=5〃薦500 1000 1卿tr m/s
K−245のflight testが順調にすんだので,1日おいた昭
第10図 6型θ 一・ 75°,v−2 diagram
和33年6月16日に245系を使用する最初の2段式ロケット
K−6 −1のflight testが行なわれた・
5390
R〃∬
867
3〃
L」L− 一_」
│61勿
150:L=3,073mm WT=75.5kg
、愈
一§
匿一’1[一…「
茜’π・・第z 7M
諸元は
」〃
/TMアソテナ
つ・,
Hσ
Q◎ _
C.G.=59.9∼56.8%
繊
2625
150十245:L=5,388mm WT
− =255.1kgC.G,=65,2∼56.6%
第11図 カッパ6型一1号機
予想される性能は計算によれば
547〃
θ=75°で
3155
ρ67
$§
アルプ
・ ミ
農=’「『、「一一順’
+L_帰_」 」曹 」
300
/τ”アンテナ
〃
U〃
1aunching speed = 25 m/sec
合磯》 __
Vmax ・= 1,400 m/sec
η
渇・z2.y・z 尺τ
g・= 50 km t・= 260 sec
切
2625
尺τアンテナ
第12図 カッパ6型一2号機
であった.
6月16日11時36分飛しょう
したflight testの結果,245ブe−一・・
スタは正常で計画通りに飛しょうし
2
たが,切断後150の燃焼中,途中で
§N
r4 15 T6 18 ]g 20
1
ll
./
、l
、ノぜ・7
0
」
4
第13図
18
2526
28
29
30
31
32
33
34
5 6
7 8
ll
fO
9
vtmaar−685覧
3
12 T3 2斗22232、
全備重量199K2
27
__⊥_一.一_一 畷_
XKM
カッパ245B
Trajectory
309
第11巻 第8号
陰
燃焼が中絶したため,予想された高度に達しなかった・
(3)テレメータ,レーダ電波中絶の原因については,
テレメータ系および計測器は正常に作動している・問題
空力加熱による温度上昇 振動による故障 減圧に
として残されたのは,予定では8secである150の燃
よる故障.
焼時間がなぜ1・5secで中絶したかである・原因のうち
などの原因が考えられこれらについて,7月,8月に
有力なものとして,当時気候がほとんど標準大気に近か
検討し9月テストで再検討する・
ったため,恒温装置を使用せずに準備が進められたが,
実際には夜間と昼間の温度差が激しく,推薬中心部の温
度は低下していたおそれがあることがあげられた・
7. K−6型3,4号の計画
K−6−1,2号の33年6月におけるflight testの結
果を総合するとK−6型は観測ロケットとしてまず及第
6. K−6型一2
と言える・ただし難をいえばlaunching sPeedがおそす
(1)試験の目的
ぎて風分散の影響をうけ易いこと,および性能がやや不
K−6・−1でメインロケットの燃焼が1.・5・secで中絶し
足で60kmぐらいしか上昇しない点はあるが,電離層
た原因を究明するため.
を除くIGY観測計画の宇宙線,気圧,気温風 太陽分
(2) ロケットの状態
光の四項目に対しては十分な性能を持つと言えよう・
150 フ「=77.85kg L=3,156 mm
そこで残った問題はK−6−2で現われたテレメータ,
C.G.=60.3% N=39. O cps
レーダ電波の中絶現象を解明することである・このため
150十245Bη’=256.75 kg L=・5,471 mm
7月に全般的な検討をした上,8月にこの検討に基づく
C.G.=65.5% N=14.2cps
地上試験を行なった上,9月にK−6 −3,4号をテストし
エンジン温度を20°C∼23°Cに保持する
てこの最後の問題を解決することになった・もしこれで
搭載計器 X、X2 Y Z
問題が解決できない場合はIGYのロケット観測は難
テレメータ送信器 トランスポンダ
しくなろう.このため7月には真剣な討議が行なわれた・
(3)観測系
電波系中絶の原因として考えられることは
レーダ:男鹿・下浜・本部・平沢
(1)空力加熱 (2)振動 (3)気圧低下
丸安班:東
植村班:南・中央・H・S・
空力加熱によって機体の一部,たとえば尾翼前縁など
の三原因が考えられる.
(4)飛しょう試験
に変形が起こり,これが起因して機体に部分的な損傷が
昭和33年6月20日15時15分飛しょう・ブース
生じ,これがアンテナ系を損傷したとも考えられる・こ
タは約11秒間正常に燃焼し,離陸後約15秒でメイン
ロケットに点火しその後約7秒間正常に燃焼し,1号機
の対策として,K−6−3,4号には尾翼前縁の先端を丸め
に起こったメイン燃焼中絶の点は解決した・
に変更した・このような尾翼変形が起きなくてもアンテ
ブースタ切断は14秒で,メインロケットはその後正
ナ系が尾翼についている場合には,ケーブル自体,ケー
また材料をstainless steelからNi−Co系の高耐熱合金
常に飛しょうした.
ブルの出口,ケーブルとアンテナの接合点などが熱的影
テレメータ・レーダの電波は,30秒までは正常に受信
響を受けることが考えられる・
されたが,30秒より70秒まで受信不能となり,その
−iつの案としてはアンテナ系を尾翼からとって,胴部
後70秒より180秒の間100秒より200秒の問で再び
突起角型にすることが考えられる・またケーブルアンテ
受信を記録した・
ナ尾翼の電気機械系に対して細部に亘って熱変形の検討
上昇高度はレーダ,光学系の観測結果が総合されるま
では不明であるが,レーダ各班の目測と,テレメータ受
が行なわれ対策が立てられた・
振動対策としては,まず一番大きな原因となるエンジ
信時間より推定すると,50kmぐらいではないかと推定
ン燃焼中の振動についてデータをとる必要があり,この
される・
ためテストスタンド上での燃焼中に振動および音響測定
光学観測各班は,メインロケット燃焼終了後さらに数
および分析を行ない,この結果,搭載品およびロケット
秒間まで追跡を行なった・
部品に対する振動試験規格を新しくつくることになっ
地上風速は約2m/secで北西 気温24°c
た.また特に超音波帯に対して考慮が払われた・
薬温24°C
テストスタンドでの測定によれば
(5) 結果とその対策
20cps O.059 200 cps 59 400 cps 5 g
(1)メインロケット燃焼は完全で,この点は解決され
た.
②ロケット本体の飛しょうは大体正常に認められる・
となっている・従来のテストでは
20−200cps 59 200∼4,000 cps 10g
である.
19
310
生 産 研 究
最後に気圧低下による機械的変形と放電の問題が取り
沿うための措置である・
上げられ,それぞれ実験室内で真空テストを行ない,対
(4)飛しょう試験
策をたてることになった.
3号機:昭和33年9月10日 15時25分最
なお150尾翼のskinは0.8tを1. O tにあげた.
初の発射が試みられたが点火回路ケー
8.K−6型一3,4号の飛しょう試験とその結果
ブル端子が故障で,電流が流れず,中
(1) 目的
止し,9月12日10時31分飛しょ
K−6型は33年6月にK−6−1,2号機およびTW
う・ロケットは150,245ともに正常.
−1, 2号の4機が飛しょうしたが,レーダ,テレメータ
テレメータ受信208秒
はいずれも30秒前後で不調となり,またロケットもK
じ
一6−2で150型が燃焼中絶,TW−1でタイマt−一・・早期作
レーダ 下浜:220sec寒風山:190
動などの欠点が発見されたので,7月,8月を通じて振
180sec
動,空力加熱,気圧低下などに対して細心の地上テスト
計測X1,X2,X3完測
および検討がなされ,これらの効果を9月テストとして
T1, T2, T3完測
K−6 −3,4号をもって,確かめることとなった.
光学班 雲に入るまで・
(2) ロケットの状態
気 象 地上風速0,気温24°C
空力加熱,振動を考慮して,レーダアンテナとして,
くもり
頭部突起型,および尾翼切込み型の2種を用意した・
4号機:9月14日 11時40分飛しょう
テレメータアンテナは従来通りの尾翼ワイヤー型.
ロケット:正常
計測器としては従来のX、X,のほかに振動を考えてX、
テレメータ:207秒受信
を新設,また特に空力加熱に重点をおいて表面温度を頭
レーダ:前同様
部,胴部および尾翼の3個所に設置した・
計測: 〃
切断,点火時間は
b.o.
245
気象:南西4m/s 26°Cくもり,側風
切断
150
全重C全重C
影響大きい・
13sec
(5) 成果
13sec
b.o.
25sec
coasting
150
12sec
ig.
150
長量G長量G
150十245
sec 平沢:100 sec本部:
3号機
5sec
4号機
ロケット
エンジン機体とも完
レーダアンテナ
角型可
K−6−3
K−6−4
高 度
3,253mm
3,255mm
飛しょう時間
208sec一トα
尾翼型可
約40km
207sec十α
83,75kg
82.41kg
T、(頭部)
220°C
160∼170°C
60.1%
60.4%
T、(胴部)
140°C
150°C
5,614mm
5,615mm
T3(尾部)
260°C
260°C
264.52kg
263.91kg
245加速終了
10.2sec
10sec
65.1%
65.3%
切 断
13.9sec
14.1sec
150ig.
17.6sec
18.Osec
150加速終了
24.9sec
25.3sec
245×1
7∼99
(3) 飛しょう条件
発射角:上下角:78°
水平角:磁西より北へ4度
警戒海域:従来の60%に縮少・特に左右方向をつ
150Xl
める.
X2
(140°4!0”:39°35/48”)
sp’n
10.5∼17.8g 23.3g
−49,−89 −4.79
(138°40/0”: 39°49/0”)
(138°42/30”: 39°13i30”)
(140°3/3011: 39°32/8”)
初期3∼4sec
中期8sec
終期2sec
{
(注)
空力加熱:推算の結果とかなりよく一致する・
とね,みくら,いそなみ,ベルヘリコプタ飛
(1)
しょう時刻:10.30∼11.10 11.40∼12.20
(2)
15.00∼15.40
ターンの代表的なものとなる・発射角71°相当・
の3回に限定した.
9.K−6型について
以上はいずれも漁協よりの強い要望に,いくぶんでも
K−6 −3,4号の結果をまとめると,
20
飛しょう経路:4号機の高度約40kmで西風パ
第11巻 第8号
311
ロケット名称
ロ ケ ッ ト
テレメータ
K−6_3
完 全
完
K−6−4
完 全
レ ー ダ
全
角型アンテナ
コースト5秒
完 全
完
尾翼アンテナ
全
コースト5秒
完 全
で
t
計測系綾砿度うお鵡
XI X2 ×3
T 完 測
XI X2 ×3
T 完 測
(208sec)
39km
(207 sec)
(5)コースト3秒のとき,角型アンテナレーダは中絶
(1)観測ロケットとしてロケット本体,テレメータ系
した.
レーダ系が実用になるまで完成された・
t
(6)空力加熱が実測され,尾翼で260°C,頭部で220°C,
(2)最高々度60kmの見込みがはっきりした.
胴部で140°C前後であることが判った・
(3)飛しょう経路と風のバターンの関係が明確になっ
(7)発射角は全部78°で道川実験場で80°まで発射
た.
可能なことが確かめられた・
(4)コースト5秒で,テレメー一一一・タ,レーダ系は角型,
かくして,K−6型はIGYロケット観測に適用される
尾翼型アンテナの両者とも使用可・
ことが確立されたのである・ (1959・5・8)
カッパ6型TWロケットについて
糸
」
i
1, 緒 言
英 夫
3. カッパ6型1とその飛しょう試験
TWはTemperature Windの略で, Grenade method
(1)目 的
による気温,風観測用に作られたロケットである・気温
高度40∼50kmで発音弾(薬量1kg)を爆発させて
風はIGYロケット観測中,最も重点をおかれた観測項
この圧力波伝播を地上受波器系でうけ,これより上層の
目で高度60kmまでの気温,風の分布を春分,秋分,
気温・風を観測する・
夏至,冬至の四季に亘って観測した・使用ロケットおよ
び測定時日,grenade数は下表のとおりである.
2・カッパ6型・TWの計画経緯
初期の計画はdart−systemを採用し, grenade入りの
ぐ
発射角度78°で,発音時間X十150秒にセットし発音
点高度50kmロケット最高々度約60 kmの見込み・
観測の便宜上からは最高点に到る上昇途中で,発音さ
せる方が音波の到来距離が小なくてよいが,K−6型一2
で飛しょう性能が確認されていないので,このテストを
dartをエンジン部からb. o.後切り離し,その後,後方
も合わせて行うため,両者で歩み寄り,TW−1では,最
に向かって順次にgrenadeを射出する方法であった・
高点をすぎて下降運動中に発音させる計画を立てた・
この案は機体全長が著しく長くなるためフラッタの危険
② ロケットの状態
150
L=3.074
があるかも知れぬとの考慮から間もなく棄てられた・
9renadeとしては薬量1kgのRDX, TNT系の発音
W=76.05
弾が考えられ,これをtimelyに始動させるためのタイ
CG=59.0%
マー一一 ?6よび信管安全装置の設計と地上試験に月日が費い
やされた・初期のK−6型一TWが1号から4号まで発音
N=46.Ocps
150十245B
弾を1発しか持っていない・いわゆる自爆型であったの
W=255.45
は,安全性に対する考慮からで,号を追って逐次gre・
nade数を増大して行く方法がとられた・
L=5,389
CG=65.0%
(3)飛しょう試験
21
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