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家庭教育通信 3号 - 松戸市教育情報センター
『ともに育む』 (子どもたちの健やかなる将来のために) (学校と家庭で教育を考えるためのお便り) 松戸市立松飛台第二小学校 校 長 岡 田 英 男 1 家庭教育は意図的に行い、効果的に支援される時代に 家庭にはいろいろな営みがあり、その中でも親が子に対して行う人間形成の営み(家庭教 育)は、学校のような形式的な方法が確立しているわけではない。基本は「子どもは親の背 中を見て育つ」と言われるように、各家庭の「生活」の営みや苦労、支え合いなどの中で自 然と行うべきものである。しかし、その「生活」自体が大きく変容しているという大きな問 題がある。 仕事が家庭内にたくさんあり、それを手伝わせることによって子どもに文化的諸力が育っ たという時代、あるいは子ども社会集団が地域にありそこに我が子を委ねておけば自然とた くましく育った時代、とは異なって、消費活動が中心となり、その消費活動も電化製品に囲 まれたスイッチ押しだけが人間の仕事となってきている「生活」で、また、安全面も含め地 域に子どもを自由に放り出せなくなって狭い家庭の中で1日の大部分を過ごさねばならな くなっている今日の「生活」では、これまでのように、仕事や群れによる遊びを中心とした 自然な生活過程の中で人間諸力が育つということはもはや期待できない。今日の家庭におけ る教育は、狭い家庭内で、親が四六時中子どもに付き添って、あれこれ指示したり評価した りして行わざるを得ない。これは人類史的にも初めてのことで、そうした時代の育児を通じ て親子間に生じる感情的な軋轢は尋常なものではなく、育児はどの家庭でもストレスフルで 難行になってきている。それが虐待の増加や子どもの育ちの遅れや偏向となって、実際にも データとなって出てきている。(資料:教育委員会月報より) こうした現状故に、家庭で子どもたちが健やかに育つように、学校や社会が家庭を効果的 に支援すべき時代が来ています。そのためにもこの通信が少しでもご家庭の支援となること を期待しています。 2 心の成長 〔以下は「家庭教育支援プログラム」からの資料です〕 家庭で、地域で、学校で、人との「つながり」を大切にしましょう! 地域での奉仕活動を行ったり、体験活動などをしたりすること で、豊かな心が育ちます。また、このような活動を継続すると、 社会の一員として自覚が芽生えていきます。家庭・学校・地域で人 とのつながりを大切にし、豊かな心を育みましょう。 家庭で、「家族の心のつながり」を大切にしていますか? ★ あいさつの実践からはじめ、親子での対話の場を設けていきましょう。まず、子どもの 話に耳を傾けることから始めましょう。努力を認めてくれる、困ったときは相談できる と感じたとき、親子の真剣な対話が生まれます。 ★ 地域の行事や体験活動などに積極的に参加し、共通の話題を持ちましょう。 ★ 家族みんなで過ごす楽しさ、愛情による絆を感じると、自分を大切にし、他人を思いや る心が育ちます。 ★ 子どもにとって「お手伝い」は“家族の一員として自分が期待されている”ということ を自覚する良い機会です。また、それを継続することで子どもの責任感が育ちます。 ★ 自然体験活動をとおして豊かな感性が育ちます。 地域とのつながり」を大切にしていますか? まず、子どもと関わる大人同士が「つながり」を持つことが重要です。 ★ 地域の行事に親子で参加する機会を設け、人との関わりから「豊かな人 間関係」を学ぶことで、心が育ちます。 ★ 人との交流で認められ自己存在感に気付き、人間関係づくりができます。 子どもの言葉遣いは気になりませんか? ★ 大人から子どもへ心を育む場となるために、豊かな会話がなされることが大切です。ま ず、家庭で正しい言葉遣いを伝えましょう。 ★ 子どもの言葉遣いに注意をするべき立場のものとして、親の役割が強く期待されます。 ★ あいさつは人との交流の基本、まず、あいさつのできる子を育てましょう。 人と人とのコミュニケーションをする中で、正しい言葉遣いが身につきます。 家庭で家族のコミュニケーションづくりを大切にしていますか? 家庭で子どもと話していますか。 「この頃、変わったことはない?」と 語りかけてみましょう。大人が子どもの話を真剣に聞き、心をくみ取り、 聞き手のお手本を示しましょう。人は言葉を使って自分の気持ちを相手 に伝え、相手の心もくみ取ります。 まず、大人が手本を示し、丁寧な言葉を使いましょう。 3 言葉を大切にした教育(学校で家庭で) 松戸市では言語活用科を設け、「自分の意見をわかりやすく伝え、相手が伝えようとして いることを理解する力を身につける」を目標に取り組んでいます。現行の学習指導要領でも 言語活動の充実が求められています。 さて、ご家庭でも上記の「言葉遣い」と併せ、「伝える力、説明する力」を育てていただ きたいと思います。こうした力は、一長一短に培われるものではありません。学校で、家庭 で、よい言語環境の中で培われるものです。 ★ 会話の先取り、会話の省エネが、子どもから読解力・説明力を奪っている。 見ることは、読み取ることです。読み取ったことを説明する力は、日頃の会話の中で育ま れます。子どもにどんどん説明させましょう。説明しようとすると、よく見るようになりま す。最小限の簡単な言葉のやり取りだけでは、子どもに説明する力はつきません。 たとえば「○○買って」「ダメ」。こんな会話の省エネをしていないでしょうか。あるい は、子どもの説明を聞かずに、先回りして結論を出す会話の先取り。子どもから読解力も考 える力も奪っています。 よく見ることについてもお話します。よく見るというのは、その子にとってどう見えるか、 どう読み取るかが大事なのであって、他の人が決めることではありません。親子で同じ景色 を見ているつもりでも、お母さんと子どもとでは目の高さが違います。同じようにはみえて はいません。ママに見えているものと、自分に見えているものとは違う。Aくんに見えるも のと私に見えるものも違う。見え方は人のよって違うことに気づくのも読解力につながりま す。物語には、人によって解釈が違うことが書かれているからです。始めから押しつけられ たり否定されたりすると、子どもは自分が本当に見えたことを話さなくなります。読解力で 最も大切な気づきが失われてしまいます。ですから、ものの見え方を子どもに押しつけたり 否定したりせずに、それを大切に活かしながら、ものの見方を教えることができたらと思い ます。 4 読解力と書く力(説明する力)は表裏一体の関係にある 読解力はあるのに、書けない、書けるのに読解力がないと言うことは、ありません。文章 には型というものがあります。何が言いたいのか(意見・主張)、なぜ主張するのか(理由)。 この型を意識できないと、文章を読み解くことも書くこともできません。 文章の型を身につけるカギは、これも日常の会話にあります。意見や主張と理由を明確に しながら、論理的に説明できるようになると文章の型が身につきます。論理的と言っても身 構えることはありません。要は、話がつながるように説明できればいいのです。 例えば「運動靴が欲しい」といったとき、なぜ欲しいのか、それがないと、どう困るのか 説明させてください。話の中で複数の友達が登場するなら、主語を省略せずに話すことも大 切です。買ってあげられないなら、その理由を親も説明しなくてはなりません。これができ ていない場合が多いようです。 日常会話の全てが論理的である必要はありません。せめてたくさんの 会話のうち、20%くらいは論理的な会話を心がけたいものです。 「買って」と言われたら、なぜ欲しいのか説明させましょう。 意見・主張 : 新しい運動靴を買って欲しい なぜ(理由) : 今はいているのが、古くなってきたから(小さくなってきたから) 具体的に : かかとが薄くなって(つま先に穴があいて)、雨の日は靴下が濡れちゃ うから (参考資料:小学館「edu」より) <参考資料> 松戸市の言語活用科(日本語分野)の取組【小中学校共通】 ○小学校では5,6年で各学年5時間ずつ、中学校では各学年10時間ずつ実施しています。 ○全ての学習の土台となる「ことばの力」を言語技術という方法で身に付けます。例えば以下のよ うな学習です。 (例)自分の好きなものについて理由を挙げて話す。 「私は~が好きです。~だからです。」 (例)緊急事態に直面した時の報告の仕方を考える。 「いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように」 (例)一つの物語について立場を変えて書き換える。 「父親の立場・息子の立場・作者の立場で考えると…」