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ケーススタディ
神戸大学経営学研究会2011年後期第四回部会 ケーススタディ 建設機械大手の日立建機は、主力製品の油圧ショベルをはじめとする建設機械や運搬機械、環境製品、リサイクルシス テムなどの製造、販売、アフターサービスを中心にビジネスを展開しており、国内だけでなく、アジア、米国、アフリ カ、オセアニア、中近東、欧州などの地域に複数の海外拠点を有している。 同社の中国での業務は以下のような環境であった。 ・中国現地法人では、代理店に販売とアフターサービスを委託しており、各代理店スタッフが独自のツールを使って顧 客情報や案件情報、スケジュール情報などを、管理している ・同社は全世界で発生する需要の多くを占める中国市場の販売およびアフターサービスについて、代理店を通して行う ビジネスモデルを採るため、見込み顧客やエンドユーザへの訪問は、販売代理店の営業スタッフが行っている。 ・現地法人は各代理店から提供される売上データなどの限られた情報しか収集できず、各代理店スタッフが独自に管理 する案件情報や受注情報、見込み顧客を含めた顧客情報や各代理店スタッフのスケジュール情報なども把握できず、各 代理店の営業スタッフに適切な指示を出し、各エンドユーザに適切なタイミングでアフターサービスを提供することも 難しい ・代理店側も、ビジネスに必要な情報を迅速に共有できないため、代理店の間で営業スキルやノウハウの差異が生まれ てしまった ・中国市場は変化が激しい上に、需要がある時期に集中したり、過去実績のモデルが通用しないなど、大変難しいマー ケットであり、現状を代理店と共有したり見通しをより確かにしていくための環境整備が早急に必要 ・ビジネスを効率化するIT施策として日立建機は、国内において1980年代よりいくつかの営業管理システムを構築した 経験がある ・ビジネスの慣習や文化、および言語の異なる中国に業務システムを開発・導入する場合、大規模なカス タマイズを伴うため開発期間が長期化してしまい、変化の激しい中国市場では、開発着手時と完了時の要 件のズレが大きくなり、稼働時には使えないものになってしまう懸念があった ・開発したシステムが中国で今後長年に定着する保証はない ・今後、中国現地法人を足がかりにインドネシア、マレーシア、台湾にも事業を展開する構想がある このような状況で、クラウドコンピューティングサービスをどのように導入すれば業務が改善されるか、今後の事業展 開がうまくいくかを考えて下さい (導入する業務システムの内容や情報の流れなどは自由に想定していただいてかまいません)