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不許・複製
吉田運輸株式会社
小さいけれど、まともに経営している
「ちゃんとした会社」になる!*1*2*3
吉田運輸株式会社は、埼玉県所沢市にある資本金 1,000 万円、従業員 17 名の地元密着型
す
小規模運送会社である。自社のホームページは“あるキーワード”で検索サイトの上位に表
示されるほど、埼玉県では IT 活用度が高い運送業者でもある。
現在の代表取締役は先代社長の妻の吉田清子がつとめているが、実際のマネジメントは
ま
息子の吉田勝治常務取締役が行っている。
10
禁
じ
現在の経営体制は、東京都のディーゼル規制がきっかけで築かれたものである。バブルが
崩壊した平成 3 年(1991 年)頃から、荷主(取引業者)からの運賃値下げ要求が始まり、
平成 11 年(1999 年)頃には業界全体の運賃水準の低下、平成 15 年(2003 年)に東京都、
埼玉県、千葉県、神奈川県のディーゼル規制と、業況の悪化となった関東圏の運送会社は、
補助金もない中、車両の買い換えを余儀なくされた。
を
その当時、吉田運輸株式会社は、決算書が赤字の状態でリース契約の審査が通らなかった
載
が、なんとか知恵を絞って車両を代替えして、規制をかいくぐることができた。
が、ディーゼル規制開始の同年に先代社長が脳梗塞で倒れ、借金が銀行の借入れにとどま
らず 2 億円に及んでいることがわかった。顧問税理士からは、「毎月 200 万円もの赤字があ
写
・転
20
るのでは経営の継続は難しい。
」と言われ、廃業することをs打診された。
「経営のケの字もわからない。でも、社長の息子なんだからマネジメントできないわ
けがない。でも、数字を見るとできていない。」(勝治常務)
急遽、父の代わりをしなければならなくなった勝治常務は、経営の何がどう悪いのかが不
複
明のまま、モチベーションの低い社員と自らの名刺営業でやっていけるのか暗澹たる気持
*1
本ケースは、小規模企業支援事業(小規模事業者人材力強化事業)の一環で、中小企業大学校の研修
受講企業の人材育成に関する事例として、独立行政法人中小企業基盤整備機構人材支援グループで開発し
たものである。また、本ケースは、慶應義塾大学大学院経営管理研究科ケースメソッド授業法研究普及室
特任准教授 竹内伸一の監修の下、金沢大学人間社会学域 村本睦子が作成したものである。作成にあた
っては、吉田運輸株式会社から関連資料の提供を受けるとともに、常務取締役 吉田勝治氏にインタビュ
ーを実施(2015 年 11 月 27 日)した。
*2
本ケースは、研修受講企業の事例紹介及び研修用机上演習の資料として作成されたものであり、特定
の経営管理に関する適切又は不適切な例示をすることを意図したものではない。
*3
本ケースの著作権は、独立行政法人中小企業基盤整備機構に帰属する。
不許・複製
ちになっていた。
車両ごとの収支をみる
父である先代社長は、売上が 60 万円だとしたら給料に 40 万円を払っていた。「若い者が
かわいそうだから給料は下げられない。
」という考えだった。
そこで、経営を引き継いだばかりの勝治常務は、今持っている車両を減らしたり、車の稼
す
働率を高めたりと工夫をしながら運営をしはじめた。しかし、案の定、月末になると現社長
の母親から「お金が足りない。」と責められ、「オレたちこんなに一生懸命にやっているん
10
だ。
」と母親と火花を散らすやりとりの日々を送っていた。
ま
そうこうするうちに時は過ぎていくばかりで、何をやっても会社の採算は黒字にならな
禁
じ
かった。
勝治常務は、大学を卒業してからすぐには家業を継がずに、見識を広めるために自動車デ
ィーラーに入社し、営業職となった。 “売れるためにはどうしたら良いか”を一生懸命に
考えた結果、その年の夏ぐらいから成績が上がり、会社の顕彰旅行にも呼ばれるようになっ
を
た。
そのさなかに先代社長から「お前が継がないなら会社を売っちゃうよ。」という言葉を聞
き、車を沢山売っても売らなくても大差のないマージンの給与体系ではモチベーションが
載
20
あがらず、
“努力をすれば報われる”という働き方がしたかったこともあり、勝治氏が 22 歳
写
・転
の年にディーラーを退職し、吉田運輸株式会社に入社したのだった。
入ってから 10 年程は現場で働いていたので、
マネジメントには一切関わっていなかった。
だからといって“これだけやっていて黒字にならないのはなにかがおかしい”という感覚は
あった。手始めに、
「東京都トラック協会に加入している会社の中で、経営が上手くいって
いる会社をマネしよう。
」と考え、
“原価管理”から手をつけることにした。
複
まず、原価管理を見直すため、東京都トラック協会が開催しているパソコンスキルアップ
30
セミナーに行き、エクセルをツールとして使えるようになるまで勉強した。これがきっかけ
でお金の流れが見えてきた。車両ごとの燃料代と人件費をエクセルで一覧にすることで、そ
の車両の収支が明確になり、どの荷主や車両が赤字なのかがわかるようになってきた。
今まで、荷主の言いなりの値付けだったが、燃費の管理や配送ルートの見直しなどを分析
して不採算荷主に対する値上げ交渉の根拠として、価格提案ができるようになった。
原価管理の精度が上がって、利益が出る車両と出ない車両のパターンがわかってくるよ
2
不許・複製
うになると、利益が出始めた。
「お墨付き」が欲しい
平成 16 年(2004 年)に情報発信のためにホームページを立ち上げたばかりの時は、運送
業界でホームページを活用する企業はまだ少なく、ましてやそこから注文が入ってくるこ
とはほぼなかった。
す
一方、同時に行っていた IT 活用の取り組みとして、ドライバーの情報共有のための携帯
電話用メーリングリスト導入がある。この取り組みは、すぐに社員の行動把握・勤怠チェッ
クができる成果となって表れた。
ま
10
並行して、ドライバー案内シート・完了報告の仕組みもつくった。コスト削減のために運
禁
じ
送業務をアウトソーシングする荷主にとって、
「いつ荷物を取りに来るか?本当に届いたか
が分からない。
」という悩みを、ドライバー案内シートで予定入庫時刻を明記して荷主に事
前に知らせ、配達完了を完了報告メールで知らせる仕組みだ。
結果として、従来の一日貸し切り便のような運用でなく、使った時間だけ運賃をもらうス
を
ポット便のようにする運用が車両 100 台分になった。
これらの取り組みは荷主に好評であり、タイヤメーカー・建材卸問屋・鋼材加工会社と新
規顧客を次々に獲得した。会社が黒字転換したのもこの頃である。さらに、積み荷の安全確
載
20
保と車両盗難防止のための 24 時間対応防犯カメラを導入すると同時に、
“省燃費活動エコ
ドライブ”という取り組みを開始した。
写
・転
ドライバーと決算書を情報共有することで、
“省燃費活動はコストカットの効果があり、
運送サービス品質を向上する活動だ”ということをドライバー自身に理解してもらって、ド
ライバーにそのことを荷主にアピールしてもらう目的だ。
“情報を見せることの力”や“情報共有の力”を実感したのは、ホームページの改善を行
ってから月 3 件程度の問い合わせが入り始めたときだった。改善する前は数ページ程度の
複
会社案内のようなホームページだったが、改善した後は、勝治常務自身が内容を更新できる
30
ようになり、ブログも掲載できるようになった。
ブログには“誰でも見られるオープンな情報”として、情報共有の結果である“ドライバ
ー名入りでひとりひとりの給油量・走行距離・燃費”を具体的な数字で一覧表にして公開し、
会社の取り組み事例を見せたのだ。
すると、問い合わせが 1 週間に 3 件以上入るようになり、多いときは 1 日 8 件もの問い
合わせがホームページから入るようになった。勝治常務が集客に重要と考えるキーワード
で検索すると検索サイトの上位 3 位に入るようにもなった。
3
不許・複製
平成 23 年(2011 年)
、NHK の「おはよう日本」の中で“省燃費活動エコドライブ”の取り
組みが取材されて放映された。ブログに掲載された燃費一覧の記事が記者の目にとまった
のだ。この放映をきっかけに「他社にくらべて燃費が格段といいのは、なぜですか?」とメ
ディアの取材でよく質問されるようになった。この時、勝治常務は自分なりの答えはあった
が、その答えで世間が納得するとは思えなかった。
す
「中小零細企業は価格競争に飲み込まれてはダメだ。価格が高いなりの差別化や根拠が
ないと生き残れない。自分ひとりで情報発信しているレベルでは、差別化にはならない。公
的機関からの“お墨付き”が必要だ。」と勝治常務は考えはじめた。
ま
10
禁
じ
セミナーでの出会いと変化
“お墨付き”を求めての最初の相談先は、埼玉県産業振興公社に決めた。地元企業の経営
に関する有益な情報を掲載している「アクセス埼玉」の発行元の公的機関だからだ。
公社からは「経営革新計画の認定を受けたらどうか?」というアドバイスをもらった。埼
を
玉県トラック協会加盟の運送会社だけでも 2,000 社を超えているほどの業界規模だが、こ
の“経営革新計画認定”をされている運送会社は、わずか 7 社に留まっていた。勝治常務
は、
「この認定をもらえたら“まともに経営しているちゃんとした会社であるというお墨付
写
・転
き”になる。
」と考えた。
載
20
中小企業診断士と相談して、経営革新計画のテーマは“BtoB 向け即時見積もりサービス
による物流アウトソーシングの提案”に決めた。運賃の自動計算ができれば、スポット運送
サービスを検討する見込み客が増え、利益拡大をねらえる。
平成 24 年(2012 年)3 月に埼玉県知事より“経営革新計画書”が承認された後、公社か
ら「IT 活用を考えているのならば、中小企業大学校の“IT 活用による経営課題解決実践研
複
修”を受講してはどうか?」と勧められた。
30
勝治常務は経営をまかされた時から、公的機関主催のセミナーも民間のセミナーもよく
受講していた。例えば、今の顧問税理士も“決算書の見方セミナー”で知り合った人であり、
ホームページの問い合わせを増やすための対策もセミナーで知り合った人の力を借りたの
である。
セミナーを活用して勉強するのは、経営者の仕事の一部と考えていた。受講する以上は、
セミナーを十分に吟味し、カリキュラムにどんなメリットがあって講師はどんな人物かを
インターネットなどで必ず調べて、無駄な受講がないようにした。
4
不許・複製
今回公社から勧められた研修のカリキュラムは、次の内容であった。
①経営戦略目標の達成イメージを具体的に形成し、分析手法の習得と経営戦略を確認
する
②現状分析をふまえた課題把握とシステム構築手法・改善手法を習得する
③課題解決のための計画を策定し、RFP(Request For Proposal/提案依頼書)を作
す
成する
実は勝治常務にとって、
“経営革新計画”でやりたいことやシステムが大体決まっていた
ので、システム構築経費を数十万削減できることが最大の受講理由だった。胸算用では、専
ま
10
門家に依頼して RFP 作成をするだけでも、人によっては数十万円以上費用がかかるところ、
禁
じ
それよりも下回る価格でシステム構築が可能になるかもしれないというお得な研修だった。
受講後の飲み会で、この研修の講師である IT コーディネータと意気投合した。勝治常務
は、
“運送業務の効率化で悩んでいる事業者からアウトソースを受け、WIN-WIN の関係を作
ることで新規荷主を開拓する”という経営戦略を考えており、この戦略実行に必須のシステ
を
ムについてコーディネイターと話し合ううちに、コーディネイターから“IT 経営実践認定”
20
載
を勧められた。
「
“IT 経営実践認定”されれば、東京都が実施している“貨物輸送評価制度”iの 3 つ星が
とれる数パーセントの企業として“サービス品質のお墨付き”がもらえる取り組みに、つな
写
・転
がるかもしれない。
」と勝治常務は考え始めていた。
IT経営ビフォーアフター
中小企業大学校の IT 活用研修を受ける以前から、下記のことはできていた。
①紙ベースの“原価管理・見積・配車・請求管理”にもとづく経営管理
複
②ホームページの SEO(Search Engine Optimization/検索エンジン最適化)対策に
30
よる集客しやすいキーワードで上位表示
③携帯電話メーリングシステムによる“問い合わせ・見積作成・配車”の管理
ただし、それぞれのシステムをつなぐものは“紙”だった。研修で作成した RFP にしたが
って、
“紙ベース”でできていた業務フローの機能を“車両別売上データベース”を中心に
PC ベースに置き換えて自動化することで、経営管理と“問い合わせ・見積作成・配車”の業
務管理が連動し情報分析できる“自社専用業務システム”をつくりはじめた。
このシステムができあがれば、ホームページで 24 時間自動見積もりが可能となり、新規
5
不許・複製
荷主を獲得する機会が増え、業務フローも効率化し、利益が確保できる。
平成 24 年(2012 年)3 月に“経営革新計画書”が承認され、実際の IT 化の取り組みをは
じめたのは、その年の夏にさかのぼる。まずは、日報作成から請求書発行の一元管理に取り
組んだ。
同年の秋に中小企業大学校の研修で知り合った IT コーディネータのアドバイスを受けな
がら、社員情報、荷主情報、その他取引先情報、配車管理、車両管理、納品管理などのデー
す
タを分析して管理会計に活用できるよう“車両別売上データベース”を作成した。
ドライバーとのメール連絡で更新されるデータベースの情報にもとづいた配車の状況を
大きなモニターに写し、一目でわかるようにした。
ま
10
禁
じ
さらに、ホームページの SEO 対策の強化によって集客しやすいより多くのキーワードの
組み合わせでの検索で、検索サイトに上位表示されるようにして、ホームページに訪れる見
込み客数を増やすようにした。
この数が増えることで、今回作成したシステムの目玉である“24 時間ホームページでの
自動見積もりシステム”を使って見積もりする客が増え、新規の荷主として、その見積もり
を
金額で注文する機会が増えることになる。
“自動見積もりシステム”から導かれる価格の根拠は、今まで取り組んできた“省燃費活
20
載
動エコドライブ”の取り組みによってもたらされた“燃費と車両別収支”と、勝治常務が現
場のドライバーとして培ってきた“配車ルートの 9 年間のノウハウ”から算出されているの
写
・転
で、業界標準の低価格なだけの価格算出とは、差別化されたものとなった。
このシステムを活用した IT 経営の実践により、平成 25 年(2013 年)2 月には、経済産業
省主催の“IT 経営大賞 2013”の認定企業に選ばれた。このことで、運送業界新聞の“物流
経済新聞社”や“物流ニッポン新聞社”などに記事が掲載され、7 月には念願の“東京都貨
物輸送評価制度”で 2 つ星の評価を取得することとなった。
今まで 1 日単位でしか輸送サービスができなかったところ、
“車両別売上データベース”
を元にした“自動見積もりシステム”での 1 時間単位の輸送サービスが可能となった経営手
複
法が全国レベルで評価され、公的機関からの「ちゃんとした会社」の“お墨付き”に結びつ
30
いた瞬間だった。
3つ星企業になった
“自動見積もりシステム”を公開して以来、ホームページからの問い合わせが格段に多く
なり、今までの地元業界の価格に比べて高い値段で見積もりを提出しても、新規荷主を獲得
できるようになった。平成 26 年(2014 年)にも、東京都貨物輸送評価制度の 2 つ星を前年
6
不許・複製
に続いて取得することができ、NHK や TBS などからの TV 取材も増えていった。
取材に応じながら「10 年前はがんばってもがんばっても利益がでなかったけど、システ
ムができてからは、会社にとって望ましくないお客さんからの問い合わせがなくなり、“見
積もり通りでいいからお願いね。
”というお客さんが中心となった。運送会社というとレベ
ルが低い経営や下請けが多いというイメージがあるが、それを払拭してレベルの高い企業
す
にしたい。
」と勝治常務は考えるようになった。
認定されたり賞をとったりしたことで、価格が高いことの正当性を荷主に感じ取っても
らえるようになってきた。実際、ホームページからの問い合わせがあまりにも多くなってき
ま
10
たので、ブログの更新も月 1 回にして、価格も上げた。見積もり金額も相場の運賃でやって
禁
じ
いる会社の“言い値”や“勘の数字”とは違う、
“マネジメントに基づいた根拠のある数字”
がホームページに出ていることで、かえって新規の荷主から選ばれるようになった。
平成 27 年(2015 年)7 月には、とうとう東京都の評価制度で 3 つ星の評価を取得した。
3 つ星は、申請した会社の中の上位数%の企業しかもらえないレベルの高い評価だ。
100年企業を目指して
載
20
を
これで、吉田運輸株式会社は、小規模でありながら高いサービス水準の運送会社となった。
銀行からも無担保・無保証で資金調達できるようになり、勝治常務の次に目指す取り組み
写
・転
は、人材育成へ専念することだった。従業員の採用基準を“入社前に安心してもらえるよう
に”とホームページにオープンにしたり、入社後は、ドライブレコーダーの映像や質問式の
実践的なトレーニングをしたりして、100 年続く企業のあり方を模索している。
「今、振り返ると、ちょうどいい時に先代が倒れてくれた。当時、オレが 30 歳代でよか
ったなと。今この年(46 歳)で経営交代となると、時代についていったり頭が固くなった
り、大変に感じます。今後、もし、時代についていくのが大変になったら、オレはマネジメ
複
ントをやめようと思っています。
30
3 人の息子がいるけど、オレ自身は、親のがんばっている様子を見て“社長の息子”とし
ての自覚が芽生えたので、息子達も今の状況を見て自覚ができていると思う。一番デキの悪
いのに後を継がせたいと思います。優秀な子は、他の場所でも活躍の場があるけれど、デキ
が悪い子は、最終的に“家”が戻ってくる場所で、働く場でもあるわけです。
経営を引き継ぐ時、借金があるのはマイナス面ばかりじゃないと思ってます。オレも 2 億
7
不許・複製
円の借金があるところで、なんとかしようと考えて今がある。5 年後くらいにはほとんどの
借金は返した状態にしておきたいですが、いざ次へという時には、1 億ぐらい借金があった
方が、がんばれるかもしれないですね。がんばって経営を考えられると思う。
利益が出て順調だったら、経営者として何もしないでしょう?早いうちに会社を継いで
もらっておけば、最後火消しも手伝えるのでね。なるべく早く次へ渡したいです。今、100
いくかを自分の頭で考えて経営をしていって欲しいと思っています。
す
年企業になるよう構想中ですが、この構想の途中で会社を引き継いでもらい、どう展開して
先代から“おまえが会社をつぶすのは、オレのせいだからかまわない。ただ、おまえの子
ども達が継いだ時につぶれたら、おまえのせいだからな。”とよく言われていました。オレ
ま
10
が上手くバトンを渡せれば、ちょうど 100 年企業になるかな?それを目標にしようと思っ
複
写
・転
載
を
禁
じ
ています。
」と勝治常務は語った。
8
不許・複製
す
図1
禁
じ
ま
10
(図 生前の先代社長と若き日の吉田勝治常務取締役)
を
出典(吉田運輸株式会社ホームページ)
:URL http://www.yoshidaunnyu.com/history/
図2
複
写
・転
載
20
30
(図 現在(2015 年)の吉田勝治常務取締役)
9
不許・複製
す
図3
禁
じ
ま
10
を
(図 配車状況運行管理のモニター)
図4
複
写
・転
載
20
30
(図 ドライバーが記入する走行管理表設置の様子)
10
不許・複製
す
図5
禁
じ
ま
10
を
(図 吉田運輸株式会社の外観)
図6
複
写
・転
載
20
30
(図 吉田運輸株式会社事務所の外観)
11
不許・複製
トラックの種類
燃費の目安(km/L)
小型トラック
4.5~6.5
中型トラック
4.0~5.0
大型トラック
3.0~3.5
(表 現在走行しているトラックの燃費の目安)
す
表1
ま
出典(エコドライブ推進マニュアル、事業者ヒアリング結果による全日本トラック協会ホームページ)
:
禁
じ
URL http://www.jta.or.jp/coho/hayawakari/14.sonota.html
表2
20
写
・転
載
を
10
複
(表 吉田運輸株式会社の燃費)
出典(吉田運輸株式会社ホームページ)
:URL http://yoshidaunnyu.com/blog/
12
不許・複製
す
図7
を
禁
じ
ま
10
(図 グリーンエコプロジェクトへの参画企業の燃費散布図)
載
20
出典(国際交通安全学会誌
Vol.33,NO.4)
:URL
複
写
・転
http://www.env.go.jp/council/former2013/07air/y0710-02/mat06.pdf
13
不許・複製
表3
常
創
務
西 元
年
暦 号
業
吉田運輸のあゆみ
規模
社会の動き
年
数
1
トラック一台で創業。
公害対策基本法成立
S
吉田治雄(初代社長)が個人でトラックを
6
国内の自動車保有台数が
社長 1 人
購入しお菓子を運び始める。
1,000 万台を超える
S53 年に緑ナンバーを取得。
農林業人口が 2 割を切る
建材卸問屋の仕事も受注。
ま
4
す
9
1
2
7
9 月東京都杉並区西荻窪に本社営業所
S
1
9
を開設。
インベーダーゲームが子ども
5
2
7
元号法制定
禁
じ
1
社員数名
勝治氏、社長の背中を見て育つ。サラリ
4
9
達の間で大流行
ーマンとは違う時間に家にいて、家族と
を
過ごせる父親を頼もしいと感じる。
パソコン、ワープロ急速に普及
社長の熱意と仕事ぶりの評判はすでに
1
その建材メーカーの耳に入っていたよう
5
で、即日のうちに契約。更には、評判が
8
評判を呼び、合板系建材メーカーなどの
9
6
8
3
載
1
S
青函トンネル貫通
東京ディズニーランドがオープ
社員 18 名
ンする
連続テレビ小説『おしん』が高
写
・転
会社と次々に契約。
視聴率を記録
大切なお客様にお会いしながら、吉田運
1
1
9
8
8
S
輸のサービス力を伝えていった。その結
6
果、それまで培った吉田運輸の品質力、
0
そして社員の人間力が発揮されシェアが
筑波科学万博開催ファミコンが
社員 20 名
爆発的ヒット商品となる
コーヒー一杯 280 円
5
複
拡大していく。
2
0
1
S
9
勝治氏、大学時代トラックに乗って、月
バブル景気(1986~1991)
10 万円程度稼いでいた。
国鉄分割民営開始
6
8
2
7
1
2
9
H
吉田勝治氏(22 歳)入社。トラックに乗っ
車両 20 台を
11.5 宮沢内閣成立
9
3
て現場で働く。
超える
バブル崩壊
1
4
1
14
不許・複製
建材卸問屋の「運賃値下げ要求」が始ま
皇太子さま、雅子さん結婚の
1
った。主要荷主だった建材メーカーの一
2
9
H
9
5
3
儀
車両 30 台を
部事業撤退が重なり、それまで順調だっ
6
J リーグ開幕
超える
た配送ルートで減車を迫られる状況が続
細川連立内閣成立
いた。
冷夏、コメ緊急輸入を決定
需要低迷。運賃水準の低下。原材料価
ソニーが犬に似たロボット
格の上昇。
AIBO の販売を発表
3
1
H
9
9
2
1
9
す
3
1
9
ま
ディーゼル規制。社長が脳梗塞で倒れ
る。借金が銀行の借り入れ含め 2 億円。
米スペースシャトル「コロンビ
2
毎月 200 万円の赤字計上。顧問税理士
0
13
6
ア」爆発
禁
じ
H
3
から継続は難しいとして廃業することを
車両 17 台中
打診される。車両別原価管理(燃料代・
10 台代替え
1
0
ブロードバンド普及進み、国内
5
3
利用軒数は
人件費を経費として、車一台の収支が見
1,200 万軒を突破
えるようにした。「とりあえず利益がでる
原価管理の精度があがり、利益が出て
H
3
0
14
7
載
2
を
数字にお願いします。」
米 BSE での影響で米国牛肉
いる車と出ない車のことがわかってき
1
0
た。
6
冬ソナ
ホームページを 12 月に立ち上げた。
写
・転
4
の輸入ストップ
中部国際空港が愛知県常滑市
情報発信のためのホームページや、ドラ
2
3
に開港
H
イバーの情報共有化のための携帯用メ
1
ーリングリストを導入。社内体制の強化
7
を図った。タイヤメーカー、建材卸問屋、
0
15
8
0
5
臨時便(スポ
フジがライブドアの保有するニ
ット)が 100 台
ッポン放送株すべて買い取りラ
イブドアの第 3 者割当増資引
複
鋼材加工会社と次々に新規契約。
3
4 月 10 日に闘病中だった社長が永
眠・・・残された妻(現・社長)が会社を引
2
H
き継ぐ。黒字転換。省燃費活動開始。
地上波デジタルテレビ、全国で
1
「荷主さんへ、これだけ配慮していますよ
放送開始
8
とアピールしたい」ドライバーにも協力し
日本郵政株式会社発足
0
16
9
き受け
0
6
てもらうため、決算をドライバーに見せ始
める。検索サイトで上位 3 位に入った。
15
不許・複製
2
4 月チームマイナス 6%と、グリーン物流
H
4
0
17
0
パートナーシップに参画。環境保全のた
自動車運転過失致死傷罪新設
めの取組みを、吉田運輸としてできるこ
能登半島で大地震(3/25)
1
0
9
7
とから始める。
夏季五輪(開催地;北京)
2
4
ガソリン暫定税率期限切れ
H
5 月、全車両にドライブレコーダーを取り
2
付け、事故撲滅への取り組み、ブログス
0
タート。燃費情報を毎月掲載。
0
18
0
ガソリン暫定税率復活(5/1)
す
1
(4/1)
8
観光庁発足
ま
リーマンショック
2
H
ソフトバンク携帯の導入事例に掲載
2
(2012)。 安全方針を配布し、ドライバー
2
が見える場所に掲示する。
0
20
3
猛暑で熱中症死者相次ぐ
1
禁
じ
4
2 年ぶりにラニーニャ現象発生
0
3 月 7 日、エコドライブ活動が NHK「おは
2
よう日本」の中で取り上げられ生中継さ
4
0
21
4
れる。
2
1
東北地方太平洋沖地震
救命講習受け社会貢献 『ドライバーが
(3/11)M9.0 世界最大級(東日
人命救えるように』 (物流産業新聞社
本大震災)
3
載
1
東京スカイツリー完成(634m)
を
H
2011.10.24 号)。
写
・転
3 月吉田運輸で作成した経営計画書が
埼玉県知事より「経営革新計画書」の承
認。
埼玉県産業振興公社の発行する月刊誌
2
「アクセス埼玉」に掲載(2012.1.1 号)。
H
4
0
22
複
5
“軌跡”に掲載される(物流経済新聞社
2
1
車両 16 台
2012.3.12 号)。
4
2
「経営革新計画」が埼玉県知事から承認
される(2012.3.21)。
ビジネス・コンピューター・ニュース“IT 経
営の神髄”に掲載。(株式会社 BCN 発
行 2012.10.29 号)
16
東京スカイツリー開業(5/22)
不許・複製
経済産業省主催の「IT経営大賞 2013」
の認定企業に選ばれる(2013.2.21)。
2
「物流経済新聞社」に記事が掲載
H
4
0
23
6
ICカード乗車券相互利用開始
(2013.3.11 号)。
ハイブリッドト
「物流ニッポン新聞社」に記事が掲載
ラックを 2 台
2
1
(3/23~)
5
3
特定秘密保護法 成立(12/6)
(2013.8.29 号)。
2013 年度東京都貨物輸送評価制度で 2
す
星を取得(2013.7.1)。
2014 年度東京都輸送貨物評価制度で 2
2
NHK「ニュースウォッチ 9」で放送される
H
0
24
7
(2014.6.18) 。
2
1
TBS「あさチャン」で自社整備の様子が
6
4
放送される(2014.6.26) 。
TBS「ひるおび」で放送される
(2014.7.16)
2015 年度東京都貨物輸送評価制度で 3
2
星を取得(2015.8)。グリーンエコプロジェ
8
7
クトトップランナー賞受賞(2015.12)。
1
5
載
H
0
25
を
毎日新聞社の記事に掲載(2015.1.9)
2
4
禁
じ
4
ま
つ星を取得(2014.7.2)。
複
写
・転
(表 吉田運輸株式会社の年表)
17
運輸会社の HP 普及率は半分
以下
不許・複製
i東京都貨物輸送評価制度とは:
東京都(担当:東京都環境局 環境改善部 自動車環境課)は、自動車からの CO2 削減を
推進する取組みとして、貨物運送事業者のエコドライブ等の日常的な努力を実走行燃費で
評価する「貨物輸送評価制度」を平成 25 年度から本格実施している。
○評価制度のねらい
・貨物運送事業者の日常的な CO2 削減の努力を分かりやすく評価
す
(https://www.kankyo.metro.tokyo.jp/vehicle/sgw/nenpi-hyoka.html より参照。)
ま
・貨物運送事業者が、受注機会拡大に向け CO2 削減の努力と実績をアピール
○評価対象事業者
禁
じ
・荷主による環境に配慮した貨物運送事業者の選択を促進し、一層の CO2 削減を目指す
都内に貨物を運送する貨物自動車運送事業者(緑、黒ナンバー事業者)
を
○燃費データの提出が必要な自動車
○評価取得のメリット
載
事業者が事業の用に供するすべての貨物自動車
・ ロゴマークをトラック等に貼付することにより、CO2 削減の努力と実績をアピール
写
・転
できる。
・ 環境に配慮した事業者の情報を紹介するホームページで、評価取得を荷主にアピール
できる。
(グリーン購入ネットワークの「エコ商品ネット」)
・ 都が、荷主の業界団体を個別訪問し、評価を取得した事業者の活用を働きかける。
(平成 26 年度:約 30 団体 傘下企業 延べ約 1 万 5 千社)
○申請受付
複
一般社団法人東京都トラック協会。協会では、運送事業者による CO2 削減の取組を実走
行燃費で評価する “世界初” の新たな仕組みであるとしている。
(http://www.totokyo.or.jp/archives/6029 より参照。
)
評価は、
「☆」から「☆☆☆」までの 3 ランク。車種・重量に応じて設けた 52 グループ
で、実走行燃費の偏差値の平均をもとに評価をする。
「3 つ星 ☆ ☆ ☆」
:平均偏差値が 58.5 以上
「2 つ星
「1 つ星
☆ ☆」
:平均偏差値が 52.6 以上 58.5 未満
☆」
:平均偏差値が 52.6 未満
18
不許・複製
○平成 26 年度評価結果
3 つ星 ☆ ☆ ☆ 15 社
2 つ星 ☆ ☆
727 社
1 つ星 ☆
105 社
○申請内容
・ 事業者の全車両の燃費記録(1 年間分)
・ 燃費データの集計・分析など燃費に係る日常的な管理体制
ま
・ ドライバーに対するエコドライブの教育訓練・指導等の体制
す
合計 192 社 ( ※ 昨年度より 43 社増加 )
禁
じ
① 自動車検査証の写し(評価対象自動車のすべての車両)
② 燃費管理記録シート(都が定めた様式)
③ 燃費管理に関する事業者の取組内容がわかる資料(任意の様式で添付)
《確認ポイント》
を
・教育訓練、指導体制の構築:運行管理者等により、ドライバーに対して、エコドライ
ブを実践するための継続的な教育訓練、指導等を行う体制が構築されている。
・燃費管理:自動車1台ごとに、ドライバーが自ら給油時に走行距離と給油量を記録し、
載
燃費データを記録している。
・データべースの構築:燃費管理記録を集計し、分析している。ドライバーや事業所の
複
写
・転
現状を把握し、取組内容の適時見直しや改善を図っている。
19
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