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基調講演 当日配布資料.
公共施設の現状 と整備の進め⽅ 前橋⼯科⼤学 堤洋樹 本講演のテーマ 1. 公共施設の現状 2. 施設管理(FM)の役割 3. FMを進める具体的⼿法 2/24 1. 公共施設の現状 ハコモノは時限爆弾? 施設(ハコモノ)は決して 「時限爆弾」ではない しかし⾃治体の「施設管理」 の現状は問題が多い では、どこが問題なのか︖ 具体的な対応は︖ 週刊ダイヤモンド2013/03/02 4/24 ⾃治体が持つ施設量の⽐較 ※全国1742⾃治体 で⽐較→基準 各⾃治体が保有する公共 施設の延床⾯積を⼈⼝で 割った値はほぼ直線上に →3.2m2/⼈ ※会津若松3.8m2/⼈ ※H23総務省「公共施設状況調経年⽐較表」「国勢調査」を基に作成 5/24 会津若松市の状況把握 ※H23総務省「公共施設状況調経年⽐較表」「国勢調査」を基に作成 6/24 [参考]浜松市(上)⻑崎市(下) 各⾃治体で状況が 異なるため、単に全 国や県内と⽐較す るだけでは不⼗分 しかし状況の客観 的な把握・具体的 な対応の検討は、 状況を⽐較すること から始める必要あり 7/24 ⼈⼝減少→施設管理費は︖ (出典)総務省「国勢調査」及び「⼈⼝推計」、国⽴社会保障・⼈⼝問題研究所「⽇本の将来推計⼈⼝ (平成24年1⽉推計):出⽣中位・死亡中位推計」(各年10⽉1⽇現在⼈⼝)、厚⽣労働省「⼈⼝動態統計」 →税収の減少等により施設管理費は間違いなく削減へ 8/24 施設管理の役割 施設がもし「時限爆弾」であれば 施設を減らす(総量削減)ことに特化すべきである しかし施設を減らすことが⾃治体の⽬的ではない 「公共サービスを提供すること」が⽬的では? 施設の状況だけでなく、公共サービスの視点から 施設整備そして管理を進めることが求められている 9/24 2. 施設管理(FM)の役割 これからの施設管理(FM)とは? • 施設管理→Facility Management 企業・団体等が保有⼜は使⽤する全施設資産 及びそれらの利⽤環境を経営戦略的視点から 総合的かつ統括的に企画、管理、活⽤する経営活動 公益社団法⼈ ⽇本ファシリティマネジメント協会(JFMA) の定義 ◎FMのポイント 施設を利⽤・使⽤する「ひと」のためのFM →⼀般的な営繕・維持管理の枠を超えた業務 11/24 FMに求められる視点 (公共)施設=(公共)サービス拠点 公共施設は公共サービスを提供する拠点であり 単に施設を提供することが⽬的ではない →建築の専⾨技術・担当者だけの問題ではない ◎FMのポイント 公共サービスから公共施設を考える →求められているのは「施設」ではなく「サービス」 12/24 公共施設にFMは馴染むのか? FMの相⼿を知る︓⼀般的な資産や⺠間との違い • 動かせない(=不動産) • (投資・運⽤する)⾦額が⼤きい • ⻑期間の利⽤・使⽤が前提 • 個⼈・企業の所有物ではない • 利益を追求することが⽬的ではない ※建物の機能から⾒れば公共も⺠間もない →⺠間施設同様に経営的視点が求められる 13/24 公共施設に対する声(=要求) ・○○のために必要 ・この施設使ったことない 必要性 ・この施設使いにくい ・寒い・熱い・古い 効率性 ・あまり⼈がいない ・⼤きすぎて使いづらい FM 継続性 機性 ・あと何年使えるの︖ ・災害時の対応は︖ 14/24 要求への対応とバランス ・費⽤対効果の向上 ・財政負担の軽減 ※客観的な評価が可能 効率性 コスト 公共FM 必要性 機能性 継続性 サービス 品質 運⽤ ・品質の向上・充⾜ ・⼿間と時間の削減 ※施設以外も活⽤ ・施設機能の整備 ・⽴地・配置・環境整備 ※利⽤・使⽤の両⾯ ・維持保全業務の充実 ・緊急・災害時の対応 ※管理体制の確⽴ 15/24 3. FMを進める具体的⼿法 感覚や主観に頼らないFM 施設情報を⽤いて状況を客観的に把握 ⽐較対象との差異を認識する →その差異が⽣じる理由を把握する →その理由が不具合であれば改善する ※情報を「⽐較」するためには「分類」を揃える必要あり ◎FMのポイント 情報分析→施設整備⽅針の決定 ※適切な「分類」で「⽐較」すれば問題が明らかになる 17/24 FMの効果は「数値」で評価 施設の状態を数値に置き換える • 耐震性能→建設年、耐震指標(Is値) • ⽼朽化の程度→経過年数、資産価値 • 利便性→施設までの距離、時間、交通費 ◎FMのポイント 施設情報の分析無くしてFMなし ※「数値だけでは全ては評価できない」が 数値が把握できるものは数値を検証する 18/24 施設情報の分析例(佐倉市) 19/24 情報分析の効果(威⼒) [⻘森県] 清掃業務の標準仕様書・積算基準の作成と 参考数量の公開による適正化及び群管理を進めたことにより 37施設で約1億1千万円の削減効果 →施設情報の分析(清掃業務の委託費を⽐較)が ⼤幅な費⽤削減につながる可能性⼤ ◎FMのポイント まずは⼿に⼊る情報の分析からすぐに始める →作業の標準化を進めるだけでも効果有り 20/24 施設情報の収集・分析の留意点 「情報が全て揃わないからFMが進められない」 では、いつまで経ってもFMは前に進まない 情報が完璧に分類・収集・整理されている⾃治体はない →分析精度の違いはあってもFMは進められる ◎FMのポイント 情報分析はまず出来るところから進める +FMを進めながら情報の精度を⾼める 21/24 施設情報・分析は「公開」へ • 情報の収集・整理・分析だけでは不⼗分 施設情報の収集・整理・分析と同じ位 その成果を⼀般に公開する仕組みが重要 ※FMの先進⾃治体は情報公開が進んでいる ◎FMのポイント 情報は「活⽤」→「公開」 「FMの計画とその根拠」の公開が信頼と成果を⽣む 22/24 FMを進める⼿順と段階(案) 単位 作業の流れ ⾃治体 PHASE1 ⾃治体全体の状況把握 施設 PHASE2 全保有施設の実態把握 建物 PHASE3 問題・近隣建物の機能分析 施設群 PHASE4 所有資産による再整備計画 地域 PHASE5 近隣⺠間・⾃治体との連携 作業量・時間 23/24 各PHASEの⽬的と作業 PHASE 1.⾃治体全体の 状況分析 2.全保有施設の 実態把握 3.対象・近隣施 設の機能分析 4.保有施設によ る再整備計画 5.近隣⺠間・⾃ 治体との連携 ⽬的 作業 施設管理の⽅向性を裏付ける ・公開情報の活⽤ 基本情報の整理 ・他⾃治体との⽐較 所有施設の整備実態から整備 ・施設情報の収集 対象施設の摘出 ・施設⽩書の作成 対象施設+近隣施設に求めら ・建物の機能把握 れる機能の整理 ・実地調査の実施 所有施設を活⽤した施設整備 ・施設総量の検証 計画の効果提⽰ ・複数計画案の⽐較 ⾃治体の枠を超えた施設整備 ・近隣⾃治体との調整 の可能性の提⽰ ・計画案の確定 24/24