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第 170 南極特別保護地区管理計画 ASPA170 シャルコー島のマリオン

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第 170 南極特別保護地区管理計画 ASPA170 シャルコー島のマリオン
第 170 南極特別保護地区管理計画 ASPA170
シャルコー島のマリオン・ヌナタク
はじめに
南極半島シャルコー島マリオン・ヌナタク(南緯 69 度 45 分 西経 75 度 15
分)が南極特別保護地区に指定された主な理由は、本地区が有する環境価値、
特に陸生の植物相と動物相を保護するためである。
マリオン・ヌナタクは、ベリングスハウゼン海東部の南極半島及びアレクサン
ダー島西方に位置する、遠隔で氷に覆われたシャルコー島の最北端にある。マ
リオン・ヌナタクがシャルコー島の北岸の中央に 12 km にわたって形成する露
出岩群は、最西端はモニーク山から最東端はマーティーン山まで広がる。本地
区の広さは 106.5 平方 km で(最大サイズは南北に 9.2km、東西に 17.0km)で
シャルコー島の既知の不凍地帯の全てではないが、そのほとんど含む。
これまでの本地区への訪問は少なく、また数日以上の訪問期間を取ることは
滅多になかった上、初期の訪問は地質調査を目的としていた。しかし、1997 年
から 2000 年の訪問中にイギリス人南極調査科学者たちが、リルス・ヌナタク
内の南緯 69 度 44 分 56 秒、西経 75 度 15 分 12 秒の地点に豊かな生物生息地が
存在することを発見した。
リルス・ヌナタクには、いくつかの珍しい特徴がある。その中には南極の他
の場所では発見されていない 2 種の地衣類、このような南緯度では滅多に発見
されない蘚苔類などがあるが、おそらく最も顕著な特徴は生物地理区域内の他
の同等地全てに共通して存在する捕食性節足動物およびトビムシ目の完全な不
在である。このため当ヌナタクは、訪問者たちが意図せず移入する可能性のあ
る非原産の種が極端にまん延しやすい状態にある。
ASPA No.170 マリオン・ヌナタクは元来、英国の提案により、措置4(2008)を
通して ASPA に指定された。
マリオン・ヌナタク地区ならではの種の集団を保護し、南極半島の南部でよ
くみられる永久的な氷帽とヌナタクの代表格である広範囲なマリオン・ヌナタ
クの土地を保護する初の試みは、当南極保護地区システムの意図に広い意味で
当てはまる。議定書付属書 V にある通り、決議3(2008)は南極特別保護地区
を環境—地理的枠組みの中で系統的に区別するための動態モデルとしての南極
大陸の環境ドメイン分析を推奨した(Morgan et al. 2007 も参照のこと)。この
モデルを用いて解析すると、ASPA No.170 は環境ドメイン C(南極半島南地理)
とドメイン E(南極半島とアレクサンダー島主氷原)に位置する。ドメイン C
の他の保護地区は ASPA No.147(ただし Morgan et al. 2007 には記載されてい
ない)がある。ドメイン E の他の保護地区は ASPA No.113、114、117、126、
128、129、133、134、139、147、149、152 と ASMA No.1 及び 4 である。南
極保護生物地理区(Antarctic Conservation Biogeographic Region, ACBR)で
は、本保護地区は「4中央南南極半島」となり、そのカテゴリーにあるのは本
地区の他 ASPA No.147 のみである(Terauds et al., 2012)。
1.保護を必要とする価値の記述
ASPA 指定の主な理由となる本地区の顕著な環境価値は、この陸環境で発見
された次の珍しい種の集団に基づいている。
・当区域の陸生動物相は南極地域沿岸には珍しいもので、他の沿岸区域には陸
生動物相の重要メンバーとして偏在する捕食性節足動物もトビムシ目(トビム
シ)も含んでいない。これにより本地区は主要な生態系要素がない場合の南極
地域沿岸の陸生生物群集に関する科学的研究を行う、またとない機会を提供す
る。
・マリオン・ヌナタクの植物相には、南緯 65 度以南では滅多に見られない 3 種
の 蘚 苔 類 の 異 例 な 発 達 が 含 ま れ る (Brachythecium austrosalebrosum 、
Dicranoweisia crispula、Polytrichium piliferum)。
・本地区の植物相には、これまで南極大陸で発見の記録がなかった 2 種の地衣
類が含まれ(Psilolechia lucida と Umbilicaria aff. thamnodes)、数種の地衣類
に関しては最南端での発見となった(Frutidella caesioatra、Massalongia spp.、
Ochrolechia frigida、Usnea aurantiaco-atra、Usnea trachycarpa を含む)。
本地区の価値は人間活動による影響を受けやすく、例えば、踏みつけや外来種
の侵入が生態系の構造や機能を破壊する可能性がある。
2.目的
当管理計画の目的は次の通りである。
・本地区の価値を損なわないよう、または実質的リスクを避けるため、本地区
への不必要な人間の干渉を避けること。
・外来の土壌や動植物及び微生物を本地区に移入するリスクを最小限にとどめ
る、または避けること。
・本地区内における動物個体群に病気を引き起こす可能性のある病原菌の侵入
可能性を最小にすること。
・他所では実現できない、且つ、本地区の保護すべき価値を脅かす事のない科
学的研究を許可すること。
・将来の研究のための参照サイトとして、本地区の自然生態系を保護すること。
3.管理活動
本地区への訪問や永久構造物の建築を伴うような管理活動自体が、外来種の
移入によって本地区に取り返しがつかない人間活動の影響を及ぼすリスクを著
しく高めかねない。従って当現場の管理において重要視すべきなのは、本地区
への無用の訪問及び、地区への物質の持ち込みを避けることである。また本地
区の価値を保護するため、次の管理活動を実行することとする。
・本地区は影響を受けやすい性質を持ち、外来種が移入された場合深刻な影響
が危惧されるため、管理目的の訪問を絶対最小限にとどめると同時に、看板や
標識などの永久構造物を無氷地帯に設置することは避ける。
・国内当局は現地入りする団体に対して、保護すべき価値及び当管理計画が指
示する移入予防・軽減策についての十分な説明を行うこと。
・本管理計画のコピーを本地区近辺を訪れる蘚パルや航空機で入手可能にして
おくこと。
・管理計画は少なくとも5年に1回、レビューを行い、必要に応じて改訂する
こと。
・本管理計画のコピーを、ロゼラ研究基地(英国;南緯 67 度 34 分、西経 68
度 07 分)、ジェネラル・サン・マルタン基地(アルゼンチン;南緯 68 度 08 分、
西経 67 度 06 分)にて入手可能な状態にしておくこと。
・本地区内で行われる科学調査及び管理活動は、南極条約環境保護議定書付属
書1の条件に従い、環境影響評価プロセスを考慮した上で行うこと。
・上記の管理活動が適切に実施されていることを確認するため、この地域で活
動中の国家南極プログラムは相互協議すること。
4. 指定の期間
本地区の指定期間は無期限とする。
5.地図
地図 1. アレクサンダー島及び南極半島とシャルコー島の位置関係を示す。 地
図規格:WGS84 南極圏立体撮影、中心子午線 西経 55 度、基準緯線:南緯 71 度。
地図 2. シャルコー島。島の北西に位置する ASPA No.170 マリオン・ヌナタク
を含む。地図規格:WGS1984 南極圏立体撮影、中心子午線 西経 75 度、基準
緯線:南緯 71 度。
地図 3. 南極半島シャルコー島マリオン・ヌナタク(ASPA No.170)。地図規格:
WGS1984 南極圏立体撮影、中心子午線 西経 75 度、基準緯線:南緯 71 度。USGS
Landsat Image Mosaic of Antarctica、Scene ID: x-2250000y+0450000 を改変。
メタデータは以下より入手可能。
http://lima.usgs.gov/
6.本地区の記述
6(i) 地理学的経緯度、境界の標示及び自然の特徴
シャルコー島の形状はほぼ円形に近く直径は約 50 km で、北西に位置するア
レクサンダー島(〜100km 離れている)からは、東のウィルキンス・サウンド
と南のアッテンボロー海峡によって隔てられている(地図 1 と 2)
。ごく最近ま
で、シャルコー島はアレキサンダー島とウィルキンス棚氷によって繋がってい
たが、
2008 年にほとんどが崩壊し、2009 年 4 月にも氷の橋が崩壊した(Vaughan
et al., 1993; Braun et al., 2009)。シャルコー島はほぼ全体が氷に覆われている
が、例外が島の北岸の中央に 12 km にわたる露出岩群を形成するマリオン・ヌ
ナタク(南緯 69 度 45 分 西経 75 度 15 分)であり、その大部分が険しい北向
きの絶壁となっている(地図 3)。 マリオン・ヌナタク岩群の最西端に面してモ
ニーク山が、最東端に面してマーティーン山が位置する。両山の山頂は海抜 750
~1000m の間である。
本地区境界は次のように定義される:
シャルコー島の北海岸にある地点(南緯 69 度 43 分 07 秒 西経 75 度 00 分 00
秒)が地区の最北東地点となる。この地点より、地区境界は海岸線を西へ、海
岸上の地点、南緯 69 度 48 分 00 秒 西経 75 度 19 分 19 秒の地点まで進む。境
界線はそこから、内陸へ東に、シャルコー島氷帽の地点(南緯 69 度 48 分 00
秒 西経 75 度 00 分 00 秒)まで進む。境界線はさらに、海岸を北に南緯 69 度
43 分 07 秒 西経 75 度 00 分 00 秒まで延びる。本地区はチーズマン島も含んで
いる(南緯 69 度 43 分 24 秒 西経 75 度 11 分 00 秒)。
本地区の範囲を定める境界標識はなく、最大サイズは南北に 9.2 km、東西に
17.0km である(106.5 平方 km)
。保護地区にマリオン・ヌナタクの南・東方に
最小 4 km にわたって広がる氷帽も含まれるのは、外来種の不慮の移入を防ぐ緩
衝地帯の役割を期待してのことである(地図 3 参照)。シャルコー島北岸の険し
い氷の絶壁のせいで、海からの立ち入りは困難である。
気候条件
気候データはないが、シャルコー島は南極半島に西側から近づく低気圧の進
路上に位置する。衛星画像からは島の大部分は雲に覆われ、冬の積氷がなくな
るとしても晩夏であると分かる。
生物地理
Smith(1984)と Peat 他(2007)では、南極半島内に存在が認められた生物
地理区について記述している。南極大陸は生物学的には北部沿海、南部沿海、
大陸という 3 主要区分に分けられる。シャルコー島は南部沿海区域(Smith, 1984)
内の、グレシット線として知られる南極半島と南極大陸を分離する主要生物地
理区の途切れ目から約 600km 北側に位置する(Chown and Convey, 2007)。
南極保護生物地理区(ACBR)では、本保護地区は「4中央南南極半島」となる
(Terauds et al., 2012)。
地質
マリオン・ヌナタクの岩 は泥質が堆積した(turbiditic)砂岩と泥岩で、アレ
クサンダー島近くで発見されたものと外見は似ている。しかし地球年代学と砕
岩質のミネラル(侵食・移動・沈殿を経験した粒子なので原岩に関する情報を
保持する)の同位体分析からは、シャルコー島の岩はアレクサンダー島の岩と
も、おそらく南極半島全土の岩とも異なるものであることが示唆される
(Michael Flowerdew, pers. comm.)。アレクサンダー島の岩は、南極半島の岩
が侵食した時に削られた部分が堆積して形成されたと考えられる。それに対し
てシャルコー島の堆積物はもともと、古代ゴンドワナ大陸の端の下にもぐった
太平洋プレートが崩れた結果できた、深い海溝内で堆積したものである。シャ
ルコー島の堆積岩は、崩れながらゴンドワナ大陸と一体化しつつあった太平洋
プレートから削り取られ、高圧で変形したものである。これらの堆積岩は白亜
紀のものと考えられ(1 億 2000 万年前ごろに堆積した)、比較的短期間に長距
離を移動し、1 億 700 万年前ごろにアレクサンダー島と隣りあって並んだもの
らしい。
生物
既知の陸生生物生息地(南緯 69 度 44 分 56 秒 西経 75 度 15 分 12 秒のリル
ス・ヌナタクに位置する)は、東西に約 200m、南北に最大で 50m 広がり、大
規模な生物相を抱える(Convey et al. 2000)。植物に覆われたこの断崖は、北
西方向に傾斜した岩で構成される。これらの岩の傾斜は急激に鋭くなり、最後
には崩れて海に落ちる。1997 年 12 月から 2000 年 1 月の間の訪問で、本地区に
は夏の間じゅう潤沢に水があることが分かった。既知の陸生生物生息地の生物
相には以下が含まれる。
• 苔植物類:16 種類の苔(次のものを含む。Andreaea spp.、 Bartramia patens、
オ オ ハ リ ガ ネ ゴ ケ ( Bryum pseudotriquetrum )、 Brachythecium
austrosalebrosum 、 ヤ ノ ウ エ ノ ア カ ゴ ケ ( Ceratodon purpureus )、
Dicranoweisia crispula、Grimmia reflexidens、 Hennediella heimii、Hypnum
revolutum、Pohlia spp.、Polytrichum piliferum、Schistidium antarctici 、
Syntrichia princeps)及びゼニゴケ 1 種(Cephaloziella varians)。優占種の
Andreaea spp.、Dicranoweisia crispula 及び Polytrichum piliferum は、通常
亜 南 極 で よ く 見 ら れ る 。 絶 え 間 な い 水 の 供 給 が 必 要 な 水 生 種 の B.
austrosalebrosum が豊富にあるのは特筆すべきである。通常苔類は、雪渓の雪
が溶けた水が垂れて濡れた岩面上に発生し、深さ 15cm のクッションを形成す
る(Smith 1998; Convey et al. 2000)。
• 葉状藻: Prasiola crispa(Smith 1998; Convey et al. 2000)
• 地衣類 : 34 種プ ラス属 レベ ルま で判 明した 2 種。 地衣 類の優 占種 は
Pseudophebe minuscule、Umbilicaria decussata、Usnea sphacelata 及び様々
な固着地衣類(Smith 1998; Convey et al. 2000)。地衣類群集は乾燥し風にさら
された石の多い土地と尾根の大部分に生息する。傾斜した岩面の雪解け水の通
り道は Umbilicaria antarctica の巨大な葉状体で覆われている(最高で直径 15
cm)。本地区にはこれまで南極で発見記録がなかった 2 種の地衣類(Psilolechia
lucida と Umbilicaria aff. thamnodes )が生息し、またいくつかの地衣類
( Frutidella caesioatra 、 Massalongia spp.、 Ochrolechia frigida 、 Usnea
aurantiacoatra 及び Usnea trachycarpa を含む)の生息が記録された最南端の
場所である。意外なことに広範囲に生息する Usnea antarctica は本地区では発
見されていない。
• 無脊椎動物:コナダニ 7 種、線形動物門 7 種及び緩歩動物門 4 種がマリオン・
ヌナタクから集めたサンプルの中にいた。独特なのはダニの捕食動物もトビム
シ目も発見されなかったことである(Convey 1999; Convey et al. 2000)。
• 脊椎動物:多くの幼鳥を含む 60 頭のアデリーペンギン(Pygoscelis adeliae)
のコロニーが、モニーク山のすぐ北西にある小島群に生息するという報告があ
った(Henderson 1976; Croxall and Kirkwood 1979)。このコロニーは 2011
年 1 月時点でまだ存在しており、70 ペアと数多くの雛が記録された。このコロ
ニーはアデリーペンギンのコロニーとしては南極半島最南のものとなる。この
ペンギンのコロニーを除いては、この地区に及ぼす脊椎動物の影響はほとんど
ない。ナンキョクオオトウゾクカモメ(Catharacta maccormicki)は本地区で
観測され、巣ひとつがコケに覆われた芝の上で発見された。本地区で観測され、
かつ当地で繁殖活動を行っている可能性が高い鳥類には、少数のナンキョクア
ジサシ(Sterna vittata)、シロフルマカモメ(Pagodroma nivea)
、ナンキョク
フルマカモメ( Thalassoica antarctica )、アシナガウミツバメ( Oceanites
oceanicus Kühl)がいる(Henderson 1976; Smith 1998; Convey et al. 2000)。
記録された生物相は全て南極地域沿岸の生物地理区の典型例(Smith 1984)
であるが、コミュニティ構成は環境要因が似た他地区でみられるものと大きく
異なる。他の既知の南極沿岸地区では生息が分かっているトビムシの明白な不
在が、他地区でのトビムシの役割の重要性を際立たせる。マリオン・ヌナタク
ではその他にも多くの動物種の生息が記録されることから、生息密度は他の多
くの南極沿岸の野外生態調査現場と同程度で、また南極大陸の野外生態調査現
場や南極地域沿岸最南端に位置するアレクサンダー島南東と比べると少なくと
も 1 マグニチュード分高い。他の南極沿岸地区の動物相で一定の割合を占める
トビムシの代わりに、シャルコー島には複数のより小さな全気門ダニ類
(Nanorchestes nivalis と Eupodes minutes)が生息する。節足動物個体群の
生息密度は高いのに捕食性の分類群がいないのも、シャルコー島の節足動物群
集の例外的要素である。
シャルコー島の陸生生物群集は、人間が不慮に移入する南極内外からの生物相
の影響を非常に受けやすい状態にある。Convey et al.(2000)は次のように記
した。
「この島を訪問するには(南極の)沿岸地区を経由せざるを得ないので、土
や植物がブーツや服、リュックサックなどに付着して偶発的に移入される危険
性は高い。従って、南極沿岸地区内に別々に生息する個体群間で原産種の移入
を避けるためには細心の注意が必要であり、このことはまた本地区及び類似地
区を今後維持していくには、訪れる全訪問者に適用させる厳しい規制措置を緊
急に取る必要性があるということを明らかにした。」
過去の人間活動
本地区は極端に孤立しており飛行機以外による立ち入りが困難なため、これ
までごく少数の人々しか訪れておらず、その滞在期間も大抵短かった。シャル
コー島は 1910 年 1 月 11 日にフランス南極探検隊のジャン・バティスト・シャ
ルコー(Jean Baptiste Charcot)博士によって発見された。1947 年 11 月 21
日にロン南極探検調査隊(RARE)が島に初上陸した際に、機上から島の一部の写
真が撮られた(Searle 1963)。
チリ南極探検隊とチリ空軍(FACH)が 1982 年 11 月に、仮設の小屋(30 平方
m)と滑走路を作った。この仮設小屋はマーティーン山(南緯 69 度 43 分 西経
75 度 00 分)から東に数 km の氷上に位置し、この地点は現在では本地区の東
境界線である。小屋は 1983 年の冬の間に雪に埋もれ、今では地上に小屋の存在
は 確 認 で き な い ( Comité Nacional de Investigaciones Antárticas, 1983;
Verónica Vallejos, pers. comm.)。
英国南極研究所(BAS)の地質学者と製図家は 1975 年 1 月、1976 年 2 月 9
日~13 日及び 1995 年 1 月 17 日に、マリオン・ヌナタクに短期滞在した。BAS
の地質学者たちはリルス・ヌナタクの南緯 69 度 44 分 55 秒 西経 75 度 15 分 00
秒の地点を 1997 年 12 月 22 日、1999 年 1 月 20 日~21 日、1999 年 2 月 5 日、
2000 年 1 月 16 日に日帰りで訪れた。報告書からは 1975 年の初訪問の後で、
BAS 調査隊がマリオン・ヌナタクを視察に訪れたのは 10 回に満たないことが
分かる。訪問期間は通常数日間、もしくは数時間に制限されてきた。重要なの
は、マリオン・ヌナタクの珍しい生態系が発見された後では、本地区への訪問
は控えられてきたことである(Convey et al. 2000)。結果として、おそらく発
見当時の生態系はそのまま健在で、生物が本地区に移入されることはなかった
と言える。
6(ii)本地区への出入り
立ち入り地点は特定されていないが、上陸は通常永久氷上に航空機で行うの
が最も安全である。海側から立ち入るのは、海岸線のほとんどが氷崖で覆われ
ており、困難なためである。航空機の着陸は 7(ii)に記載されている条件に沿っ
て行わなければならない。2010 年と 2011 年の初期に、アメリカの科学者によ
る短時間の着陸が海側から行われ、モニーク山の北西にある無氷地帯に生息す
るアデリーペンギンコロニーを訪問した(南緯 69 度 45 分 40 秒 西経 75 度 25
分 00 秒)。この着陸は通常通り、海氷状態が困難であるにもかかわらず海側か
ら行われた。さらに、2012 年は海氷状態により着陸ができなかった。これらの
背景から、この経路は地区への立ち入り経路として推奨できない。
6(iii) 本地区内及び本地区の付近にある建造物の位置
本地区に基地、または貯蔵所はない。1975~76 年実施の米国地質調査所
(USGS)・英国南極研究所ドップラーサテライトプログラムの期間中に、南緯 69
度 44 分 55 秒 西経 75 度 15 分 00 秒に位置する小さなヌナタクの最高点(~海
抜 126 m)に石塚がひとつ築かれた(Schoonmaker and Gatson, 1976)。ステ
ーション・ジョンの現場跡を示す高さ 60cm の石塚には、「ジョン 1975-1976」
と記された USGS(米国地質調査所)南極標準真鍮銘板が断層岩の中にゆるく
設置されている。石塚には金属製のテントの支柱(2.4m)が立てられた。しか
し、1995 年以降の訪問報告書の中にはその記録はない(匿名 1977; Morgan
1995)。
6(iv)本地区付近にある他の保護地区の位置
付近に他の ASPA 及び ASMA はなく、最も近いのが 270 km 離れたアレクサ
ンダー島東岸に位置する第 147 特別保護地区のアブレーション谷~ガニメデ台
地である。
6(v) 本地区内の制限区域
本地区に制限区域は設定されていない。
7.許可証の条件
7(i)一般許可条件
環境保護に関する南極条約議定書の付属書 V の第 3 条第 4 節及び第 7 条に基
づいて、適切な国内当局から発給された許可証に沿う場合を除き、本地区への
立ち入りは禁止されている。
本地区における許可証発給の条件は次の通りである。
・他の場所ではできない、やむを得ない科学的活動であると認められる場合、
または不可欠な管理活動に発給される。
・本地区内で行われる活動は、本地区の環境的及び科学的価値の保護を継続す
るため環境影響評価プロセスを考慮した上で行うこと。
・活動は、本管理計画に沿って行われること。
・地区内では許可証またはその写しを必ず携帯すること。
・許可証は一定期間を対象に発給されること。
・許可証に記載された単一または複数の機関に報告書を提出すること。
・許可証に含まれていないにもかかわらず行われた活動/措置について適当な
当局が報告を受けること。
7(ii)本地区への出入りの経路、経由及び本地区内での移動
可能な限り日帰りでの訪問が強く推奨される。これはキャンプ用具と一緒に
本地区に存在しない外来種を移入してしまうリスクを避けるためである。日帰
り訪問では管理上または科学上必要な活動を完了できない場合は、本地区内で
の野営を伴う訪問が認められる。ただし、それは他の全てのオプションが十分
に検討され、却下された後のみである。
他の陸上生物生態調査現場を直接経由して、本地区を訪れたり設備・道具を
持ち込むことは禁止されている。本地区への立ち入りを認める条件は、全ての
訪問者が本管理計画(7(ix))の記述に従い持ち込む衣類及び設備類を徹底的に
洗浄できる南極基地または船を経由することである。
本地区の価値を保護し外来種の移入リスクを最小限に抑えるため、本地区内
では次の制限事項が適用される。
(a)航空機
本管理計画(7(ix))規定の処置を行った航空機に限り、本地区への上陸許可
が与えられる。処置を行っていない航空機は本地区外で上陸しなければならな
い。固定翼及び回転翼の航空機が、本地区内の無氷地帯及び植物相と動物相か
ら 100m 以内の地点に着陸することは禁止である。無氷地帯への 100m への移
動は徒歩によって行われなければならない。
モニーク山の北西の海岸地域にアデリーペンギンのコロニーが存在する(お
よその位置は南緯 69 度 44 分 40 秒 西経 75 度 25 分 00 秒)。この地区上空を通
過する航空機は最低限として決議2「南極における鳥類密集地付近での航空機
操縦に関するガイドライン」
(2004)に記載された指針に従わなければならない。
(b)船舶及び小型ボート
船舶及び小型ボートでの適切な上陸地点についてはほとんど情報がない(6(ii)
参照)。本地区の予測不可能な海氷状態により、通常、ボートによる上陸は推奨
しない。ただし、モニーク山の北西にあるアデリーペンギンのコロニーなど、
海岸地域への訪問にはボートでの上陸が適当かもしれない(南緯 69 度 45 分 40
秒 西経 75 度 25 分 00 秒)。
(c)陸上車両及びそり
本地区への陸上車両の持ち込みは、科学調査や管理活動または安全確保のた
め絶対不可欠な場合を除いて認められていない。本地区内での陸上車両及びそ
りの使用許可は、当管理計画 7(ix)に記述された措置を行った場合に限り与えら
れる。スノーモービル、そり及びその他の陸上車両の使用は、本地区内の無氷
地帯及びそこに生息する植物相と動物相から 100m 以内では禁じられている。
残りの 100m は歩いて無氷地帯に近づくこと。
(d)人間の動き
許可された活動の目標を支援するためにも、歩行者の往来は絶対最小限にと
どめること。歩行用経路が確認できない場合は、許可された活動に必要な最小
限の歩行量に留め、踏みつけの影響を最小にするためあらゆる努力がなされる
べきである。目視可能な植生を避け、湿潤土、特に水流の底を歩く場合は十分
に注意すること。これはそのような場所の歩行が簡単に土壌、植物、藻類群集
を損傷させ水の品質を劣化させるからである。
本管理計画 7(x)の指示に従って、生態系を乱さないための徹底的な検疫予防措
置をひとりひとりが講じること。
7(iii)本地区内で実施できる活動
本地区で実施することができる活動は以下を含む:
・他の場所ではできないやむを得ない科学的研究で、かつ本地区に存在する自
然の生態系を損なわないもの。
・承認された科学調査計画に必要最小限のサンプリング。
・監視を含む、必要不可欠な管理活動。
7(iv)建造物の設置、改築または除去
・本地区内には、許可証で指定されたものでない限り建造物を建ててはならな
い。
・永久的な建造物の設置は禁止されている。
・全ての標識、建造物、科学機器については、国、研究に携わる代表者の名前、
設置年と除去予定日が明らかにわかるようにしなければならない。
・このような物品には、生物や珠芽(例:種、卵、胞子)や非滅菌土(7(x)参
照)が付着していないこと。また地区への汚染を防ぐため、環境条件に十分に
耐久できる素材でできていること。
・許可証の期間が終了した時の特定機器の撤去は、本来の許可証を発行した機
関の責任とし、許可証の条件としなければならない。
・既存の建造物は許可証に従っている場合を除き除去してはならない。
7(v)野営地の位置
本地区内での野営許可は、科学上、または管理上必要な活動を日帰りでは完
了できない場合に限って与えられる。また緊急事態の際も本地区内での野営を
認める可能性がある。安全上の理由で避けられない場合を除き、テントは雪ま
たは氷上に設置し、無氷地帯からは最低 500m 離さなければならない。本管理
計画の 7(ix)の明記に従い、野営のためのキャンプ道具の洗浄と輸送を行うこと。
7(v) 地区内に持ち込むことのできる物質及び生物に関する制限
環境保護に関する南極条約議定書の条件に加え、地区に持ち込むことのでき
る物質及び生物の制限は以下の通り:
・動物、植物体、微生物や非滅菌土壌を故意に地区内へ持ち込んではいけない。
・生物学的に異なった地域から(南極条約内外を指す)動物、植物、微生物、
非滅菌土壌の偶発的な移入を避けるよう特別の予防措置が取られなければなら
ない。訪問者は CEP 外来種マニュアル(CEP, 2011)や南極における陸上科学
研究環境行動規範(SCAR, 2009)で推奨されている適切な方法に従うこと。追
加的に、本地区に適用されるバイオセキュリティー措置については 7(x)を参照。
・乾燥卵が入っている食品を含む、あらゆる家禽生産食品類を本地区に持ち込
んではならない。
・除草剤や殺虫剤・農薬は一切本地区に持ち込んではならない。放射性核種ま
たは安定同位体を含む、やむを得ない科学的目的のため許可証で持ち込みが認
められたその他全ての薬品・薬物は、許可された活動の完了時、または完了前
に本地区から除去しなければならない。回収できない方法で放射性核種または
安定同位体を環境に解き放つことは避けなければならない。
・許可証で認められた活動に関係する重要な目的のため必要な場合を除き、本
地区内に燃料、食料及びその他の物質を持ち込んではならない。持ち込んだ物
質は全て、偶発的に環境に放出されるリスクを最小限にして扱う必要がある。
また燃料、食料及びその他の物質を保管してよいのは、無氷地帯から少なくと
も 500m 離れた雪または氷上のみである。これらのものを永続的に放置するこ
とは認められていない。
・持ち込んだ物質は指定期間のみとし、指定期間前に除去する。
7(vii)在来の植物及び動物の採捕またはこれらに対する有害な干渉
南極条約環境保護議定書付属書 II 第 3 条に基づいて発給された許可証で特に
認められている場合を除き、在来の植物及び動物の採捕又はこれらに対する有
害な干渉は禁止されている。動物に対し採捕または有害な干渉を行う場合は、
SCAR の「南極地域における科学目的のための動物の利用に関する行動規範」
(2011)を最低限の基準として従う必要がある。土壌及び植生のサンプリングにつ
いては科学調査または管理目的に必要最小限の量のみとし、周辺の土壌、氷構
造、生物相への干渉を最小限にする方法で行われなければならない。
7(viii)許可証の所持者によって持ち込まれた物質以外の物の収集及び除去
許可証の所持者が持ち込んでいない物質に関する収集又は除去は許可証に従う
場合のみとし、科学的又は管理的な必要性にかなう必要最小限の程度とする。
許可証の所持者あるいはそれに該当するものによって持ち込まれていないもの
で、地区の価値を危うくすると思われる人間由来の物質は、地区内に放置する
よりも除去する方の影響が少ない場合、除去することができる。この場合、適
切な当局に通知し承認を得る必要がある。
7(ix)廃棄物の処理
汚物を含む全ての廃棄物を本地区から除去すること。
7(x)管理計画の目的の達成が継続されることを確保するために必要な措置
孤立した立地と受けてきた人間の影響の少なさに起因する本地区ならでの生
態的及び科学的価値を維持するため、訪問者は外来種の移入に対して特別な予
防措置を講じなければならない。特に懸念されるのは動物や植物が次のものに
付着して移入されることである。
・ステーション付近の地区を含む、その他の南極地区からの土壌
・南極以外の地域からの土壌
本地区への立ち入りを許可する条件として、訪問者は外来種移入のリスクを軽
減するため次の措置を取らなければならない。
(a)航空機
経由する南極基地または船からの出発時刻のできるだけ直前に、機体の内部
及び外部の検査・洗浄を入念に行わなければならない。洗浄過程に機体内部の
徹底的な掃き掃除と掃除機がけ、外部の蒸気清浄かブラッシングを組み込むこ
とが推奨される。
南極基地や船での洗浄後に他の岩盤滑走路や付近の生物学的に豊かな地域に
着地した航空機の本地区への立ち入りは認められない。
砂利がある滑走路から飛び立った固定翼の航空機は本地区外のきれいな雪の上
に着地するか、スキーを滑らせて、スキーに付着した土壌を取り除く努力をし
てから本地区内に着陸しなければならない。
(b)小型ボート
船舶から地区境界線まで訪問者を移動させるために使用される小型ボートは
洗浄され(特にボート内部)、土壌、ほこり、珠芽がないよう確認されなければ
ならない。
(c)陸上車両とそり
本地区に立ち入る前に、陸上車両及びそりから全ての泥、土壌、植物、そし
て過剰な汚れや油脂を取り除かなければならない。理想的には本地区に車両を
持ち込む前に直接経由する南極基地や船でこれらの除去過程を完了するべきで
ある。清掃後に本地区外で岩や土のある地帯を走行した陸上車両の本地区への
立ち入りは認められない。
(d)野営用キャンプ道具
非常時用のキャンプ道具を含む全てのキャンプ道具は、本地区への持ち込み
の前に徹底的な洗浄(例:土壌や珠芽を除去し、可能ならビニール袋や敷布の
中に密封する)を行わなければならない。これは本地区内で着地する航空機に
積み込まれている非常時用のキャンプ道具にも当てはまる。
(e)サンプル採取用設備・道具、科学装置及び現場標識
本地区に持ち込むサンプル採取用設備・道具、科学装置及び標識は全て、本
地区内での使用開始前に殺菌してできるだけ長期間無菌状態で保管しなければ
ならない。殺菌は紫外線放射及び高圧蒸気殺菌法や 70% エタノールや市販の殺
生物剤(例:Virkon®)を使った表面減菌など一般に認められた方法で行わなけ
ればならない(南極における陸上科学研究環境行動規範(SCAR, 2009)を参照)。
(f)野外設備全般
設備全般にはハーネス、スパイク底、登山用具、ピッケル、ウオーキングポ
ール、スキー用具、臨時道しるべ、パルク(小型のそり)、そり、カメラ・ビデ
オ機材、リュックサック、そり用荷物箱や他の個人装備が含まれる。本地区内
で使用する全ての設備・道具には、種、卵、昆虫、植物などの生物学的珠芽及
び土壌の残留物が付着していないようにしなければならない。実行可能な限り、
使用するまたは持ち込む設備・道具は、直接経由する南極基地か船で徹底的に
洗浄を行うこと。本地区内への立ち入り前は設備・道具を無菌状態で保管する
ため、できればビニール袋や他の清潔な容器に密封しておくことが望ましい。
(g)上着類
上着類に含まれるのは、帽子、手袋、フリースやジャンパー、ジャケット、
織物やフリースのズボン、防水加工のズボンやオーバーオール、靴下などの一
番外側に着用する衣類である。本地区内で着用する上着類には、種、卵、昆虫、
植物などの生物学的珠芽及び土壌の残留物が付着していないようにしなければ
ならない。実行可能な限り、本地区内で着用する、または持ち込む履物と上着
類は前回の着用後に徹底的に洗濯して清潔にすること。この際ベルクロ®に種や
珠芽が付着していないか特に注意して、付着していれば除去しなければならな
い。本地区内に立ち入る直前にメーカーの包装から取り出したばかりの新品の
衣類に関しては、 洗濯を行う必要はない。
履物や衣類に付着して地区内に外来種が移入するのを確実に防ぐために取る
べき追加処置は、(i)直接地区内に飛行機で上陸するか、または(ii)境界の外から
陸路で地区に立ち入るか、(iii)小型ボートによって地区境界線まで移動するか、
によって異なる。
i. 直接飛行機で地区内に上陸する場合
殺菌した保護外衣を着用すること。保護外衣は飛行機から出る直前に身につ
け、あらかじめ殺生物剤を使用して洗浄後ビニール袋で密閉しておいた替えの
ブーツを本地区内に立ち入る直前に取り出して履き替えること。
ii. 境界の外から陸路で地区に立ち入る場合
殺菌した保護外衣の着用は推奨しない。これは地区内に入った後で割れ目の
ある地面の上をかなり移動しなければならない可能性があり、殺菌した保護外
衣がロープやハーネスなどの安全装置の妨げとなる恐れがあるためである。陸
路で地区内に立ち入る場合は、代替処置を取らなければならない。訪問者ひと
りにつき少なくとも2セットの上着類を持ってくることが義務付けられている。
地区の境界までの移動の間は最初のセットを着用し、あらかじめ洗浄後ビニー
ル袋で密閉しておいた 2 セットめの上着類は地区内でのみ着用しなければなら
ない。訪問者は本地区に立ち入る直前に清潔な上着類のセットに着替えること。
あらかじめ殺生物剤を使用して洗浄後ビニール袋で密閉しておいた替えのブー
ツは本地区内に立ち入る直前に取り出して履き替えること。脱いだきれいでな
い上着類はビニール袋に密閉してラベルを付け、できれば地区外に保管するこ
とが求められる。陸路を移動して本地区から出た後はすぐに、地区内で着用し
た衣類は脱いで清潔でラベルを付けたビニール袋に入れ、次に本地区内を訪れ
る際に必要になるまで保管するか、直接経由した南極基地か船に戻って洗浄を
行わなければならない。
iii. 小型ボートによって地区境界線まで移動する場合
船舶で近づき小型ボートで地区へ移動する場合、船員を含むそれぞれの訪問
者は土壌や種、その他の珠芽がついていない清潔な衣類を着用する必要がある
(船用衣類、ライフジャケットや履物を含む)。または、地区境界線に到着した
際、小型ボートから出る前に、全ての衣類を包み込む清潔な保護用外套を着用
するべきである。訪問者が地区内で必要とする追加的な衣類や履物は、船舶を
去る前に洗浄し、必要時まで密閉した容器の中(例:ビニール袋)に保存して
おくべきである。
7(xi)報告に必要な事項
各訪問に際し、許可証の代表者が活動内容を記載した報告書を可能な限り早
く、遅くとも訪問後6ヶ月以内に適当な当局に提出すること。この報告には、
ASPA 訪問報告書フォーム、南極特別保護地区管理計画準備ガイド(付属書2)
に推奨されている内容を含むこととする。この報告書には、訪問を行った特定
の無氷地帯の位置(できれば GPS 座標を含む)とそれぞれの地点での滞在時間
の長さと活動内容が記載されるべきである。可能な限り、国家当局は、管理計
画に従って、訪問報告書コピーを締約国に提出し、管理計画のレビュー及び本
地区の管理に役立てる。締約国は可能な限り、利用記録を保管し、管理計画の
レビュー及び地区の科学的な利用に役立てられるように、原本あるいはコピー
を公的に利用可能な公文書保管所に保管する。
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地図 1.アレクサンダー島及び南極半島とシャルコー島の位置関係を示す。 地図
規格:WGS84 南極圏立体撮影、中心子午線:西経 55 度、基準緯線:南緯 71
度。
地図 2. シャルコー島。島の北西に位置する ASPA No.170 マリオン・ヌナタク
を含む。地図規格:WGS1984 南極圏立体撮影、中心子午線 西経 75 度、基準
緯線:南緯 71 度。
地図 3. 南極半島シャルコー島マリオン・ヌナタク(ASPA No.170)。地図規格:
WGS1984 南極圏立体撮影、中心子午線 西経 75 度、基準緯線:南緯 71 度。USGS
Landsat Image Mosaic of Antarctica、Scene ID: x-2250000y+0450000 を改変。
メタデータは以下より入手可能。
http://lima.usgs.gov/
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