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炎症性疾患(例えば炎症性腸疾患( IBD))を治療する方法及び組成物

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炎症性疾患(例えば炎症性腸疾患( IBD))を治療する方法及び組成物
JP 2008-501316 A 2008.1.24
(57)【 要 約 】
本 発 明 は 、 炎 症 性 疾 患 ( 例 え ば 炎 症 性 腸 疾 患 ( IBD) ) を 治 療 す る 方 法 及 び 組 成 物 を 提
供する。生きた細菌の代わりに、細菌を含まない、プロバイオティック由来の化合物の使
用は、生細菌の使用を超える安全性の利点を提供する。さらにまた、単離された化合物の
臨床的有効性は、プロバイオティクスによる有効性(前記は細菌の集落形成の確立及び維
持能力に左右される)よりもはるかに一貫性があることが示された。
【選択図】 なし
(2)
JP 2008-501316 A 2008.1.24
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラ ク ト バ シ ル ス GGに 由 来 す る 単 離 さ れ た 細 胞 保 護 化 合 物 を 含 む 組 成 物 。
【請求項2】
前 記 細 胞 保 護 化 合 物 が ラ ク ト バ シ ル ス GG-条 件 付 け 培 養 液 に 由 来 す る 、 請 求 項 1の 組 成 物
。
【請求項3】
前記細胞保護化合物が、熱及び酸化からなる群から選択されるストレスから上皮細胞を
保 護 す る 、 請 求 項 1の 組 成 物 。
【請求項4】
10
前 記 化 合 物 が 少 な く と も 1つ の 熱 シ ョ ッ ク タ ン パ ク 質 の 発 現 を 誘 発 す る 、 請 求 項 1の 組 成
物。
【請求項5】
前 記 熱 シ ョ ッ ク タ ン パ ク 質 が Hsp25及 び Hsp72か ら 成 る 群 か ら 選 択 さ れ る 、 請 求 項 4の 組
成物。
【請求項6】
前 記 細 胞 保 護 化 合 物 が タ ン パ ク 質 で あ る 、 請 求 項 1の 組 成 物 。
【請求項7】
前 記 タ ン パ ク 質 が 熱 安 定 性 、 酸 安 定 性 で あ る か 、 又 は 10kDa未 満 の 分 子 量 を 有 す る 、 請
求 項 6の 組 成 物 。
20
【請求項8】
下記の特性を特徴とするタンパク質を含む、単離された細胞保護化合物:
( a) ラ ク ト バ シ ル ス GGか ら 単 離 す る こ と が で き る ;
( b) 腸 上 皮 細 胞 で Hsp25及 び Hsp72の 発 現 を 誘 発 す る こ と が で き る ;
( c) 10kDa未 満 の 分 子 量 ;
( d) 酸 安 定 性 ; 及 び
( e) 熱 安 定 性 。
【請求項9】
炎 症 性 疾 患 を も つ 対 象 者 を 治 療 す る 方 法 で あ っ て 、 前 記 方 法 が 、 ラ ク ト バ シ ル ス GG-条
件付け培養液に由来する単離された細胞保護化合物の治療的に有効な用量を前記患者に投
30
与することを含む、前記治療方法。
【請求項10】
前 記 対 象 者 が 人 間 の 患 者 で あ る 、 請 求 項 9の 方 法 。
【請求項11】
前 記 炎 症 性 疾 患 が 炎 症 性 腸 疾 患 で あ る 、 請 求 項 9の 方 法 。
【請求項12】
前記炎症性腸疾患が、クローン病及び潰瘍性大腸炎から成る群から選択される、請求項
11の 方 法 。
【請求項13】
前 記 化 合 物 が 少 な く と も 1つ の 熱 シ ョ ッ ク タ ン パ ク 質 の 発 現 を 誘 発 す る 、 請 求 項 10の 方
40
法。
【請求項14】
前 記 熱 シ ョ ッ ク タ ン パ ク 質 が Hsp25及 び Hsp72か ら 成 る 群 か ら 選 択 さ れ る 、 請 求 項 13の 方
法。
【請求項15】
Hsp25及 び Hsp72の 少 な く と も 1つ の 発 現 を 細 胞 で 誘 発 す る 方 法 で あ っ て 、 前 記 方 法 が 、
ラ ク ト バ シ ル ス GGに 由 来 す る 単 離 さ れ た 細 胞 保 護 化 合 物 と 前 記 細 胞 を 接 触 さ せ る こ と を 含
む、前記誘発方法。
【請求項16】
前 記 細 胞 保 護 化 合 物 が 、 ラ ク ト バ シ ル ス GG-条 件 付 け 培 養 液 に 存 在 す る 、 請 求 項 15の 方
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(3)
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法。
【請求項17】
前 記 細 胞 が 腸 上 皮 細 胞 で あ る 、 請 求 項 15の 方 法 。
【請求項18】
ラ ク ト バ シ ル ス GG-条 件 付 け 培 養 液 に 由 来 す る 単 離 さ れ た 細 胞 保 護 化 合 物 及 び 少 な く と
も 1つ の 医 薬 的 に 許 容 で き る 賦 形 剤 を 含 む 医 薬 組 成 物 。
【請求項19】
前 記 化 合 物 が 少 な く と も 1つ の 熱 シ ョ ッ ク タ ン パ ク 質 の 発 現 を 誘 発 す る 、 請 求 項 18の 医
薬組成物。
【請求項20】
10
前 記 熱 シ ョ ッ ク タ ン パ ク 質 が Hsp25及 び Hsp72か ら 成 る 群 か ら 選 択 さ れ る 、 請 求 項 18の 医
薬組成物。
【請求項21】
以下の工程を含む、単離された細胞保護化合物を製造する方法:
( a) ラ ク ト バ シ ル ス GGを 入 手 す る 工 程 ; 及 び
( b) ラ ク ト バ シ ル ス GGか ら 細 胞 保 護 化 合 物 を 単 離 す る 工 程 。
【請求項22】
ラ ク ト バ シ ル ス GGを 少 な く と も 8時 間 培 養 す る 工 程 を さ ら に 含 む 、 請 求 項 21の 方 法 。
【請求項23】
前 記 細 胞 保 護 化 合 物 が タ ン パ ク 質 で あ る 、 請 求 項 21の 方 法 。
20
【請求項24】
前 記 タ ン パ ク 質 が 熱 安 定 性 、 酸 安 定 性 で あ る か 、 又 は 10kDa未 満 の 分 子 量 を 有 す る 、 請
求 項 23の 方 法 。
【請求項25】
炎 症 性 疾 患 の 症 状 を 緩 和 す る 方 法 で あ っ て 、 前 記 方 法 が 請 求 項 18の 医 薬 組 成 物 の 治 療 的
に有効な用量を投与することを含む、前記症状を緩和する方法。
【請求項26】
前 記 対 象 者 が 人 間 で あ る 、 請 求 項 25の 方 法 。
【請求項27】
前 記 炎 症 性 疾 患 が 炎 症 性 腸 疾 患 で あ る 、 請 求 項 25の 方 法 。
30
【請求項28】
前記炎症性腸疾患が、クローン病及び潰瘍性大腸炎から成る群から選択される、請求項
27の 方 法 。
【請求項29】
前 記 化 合 物 が 、 上 皮 細 胞 で シ グ ナ ル ト ラ ン ス ダ ク シ ョ ン 経 路 を 活 性 化 さ せ 、 Hsp25及 び H
sp72か ら 成 る 群 か ら 選 択 さ れ る 熱 シ ョ ッ ク タ ン パ ク 質 の 発 現 を も た ら す 、 請 求 項 1の 組 成
物。
【請求項30】
前 記 活 性 化 が 熱 シ ョ ッ ク 因 子 -1( HSF-1) に よ っ て 仲 介 さ れ る 、 請 求 項 29の 組 成 物 。
【請求項31】
40
前 記 シ グ ナ ル ト ラ ン ス ダ ク シ ョ ン 経 路 が 、 MAPキ ナ ー ゼ 、 SAPキ ナ ー ゼ 、 ERK1及 び ERK2か
ら 成 る 群 か ら 選 択 さ れ る キ ナ ー ゼ を 含 む 、 請 求 項 29の 組 成 物 。
【請求項32】
前 記 経 路 の 活 性 化 が 、 MAPキ ナ ー ゼ 、 SAPキ ナ ー ゼ 、 ERK1及 び ERK2か ら 選 択 さ れ る キ ナ ー
ゼ の 活 性 化 を 含 む 、 請 求 項 31の 組 成 物 。
【請求項33】
上皮細胞でシグナルトランスダクション経路を活性化する方法であって、前記方法が、
請 求 項 29に 記 載 の 化 合 物 の 有 効 量 と 前 記 細 胞 を 接 触 さ せ る こ と を 含 む 、 前 記 活 性 化 方 法 。
【請求項34】
前 記 シ グ ナ ル ト ラ ン ス ダ ク シ ョ ン 経 路 が 、 MAPキ ナ ー ゼ 、 SAPキ ナ ー ゼ 、 ERK1及 び ERK2か
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ら 成 る 群 か ら 選 択 さ れ る キ ナ ー ゼ を 含 む 、 請 求 項 33の 方 法 。
【請求項35】
請 求 項 1に 記 載 の 化 合 物 の 有 効 量 を 上 皮 細 胞 に 投 与 す る こ と を 含 む 、 酸 化 体 損 傷 を 防 ぐ
方法。
【請求項36】
請 求 項 1に 記 載 の 化 合 物 の 有 効 量 を 上 皮 細 胞 に 投 与 す る こ と を 含 む 、 細 胞 骨 格 を 安 定 化
させる方法。
【請求項37】
請 求 項 18の 医 薬 組 成 物 の 治 療 的 に 有 効 な 用 量 を 対 象 者 に 投 与 す る こ と を 含 む 、 炎 症 性 疾
患を予防する方法。
10
【請求項38】
請 求 項 18の 医 薬 組 成 物 及 び 前 記 組 成 物 の 対 象 者 へ の 投 与 の た め の プ ロ ト コ ル を 含 む キ ッ
ト。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
技術分野
国 立 衛 生 研 究 所 グ ラ ン ト 番 号 DK47722、 DK42086及 び K08 DK064840-01に し た が い 、 政 府
は本発明において権利を有する。
本発明は、一般的には炎症性疾患の分野に関する。より具体的には、本発明は、炎症性
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の腸の異常又は疾患、例えば潰瘍性大腸炎及びクローン病に関する。本発明の実施は、ラ
ク ト バ シ ル ス ( Lactobacillus) GG( LGG) に 由 来 す る 、 新 規 な 生 物 活 性 を 有 す る 化 合 物 の
同定及び性状決定、並びに炎症性腸疾患治療のためにこれら化合物を使用することに関す
る。
【0002】
背景技術
炎 症 性 腸 疾 患 ( IBD) は 、 鋭 敏 な 個 体 の 消 化 管 に 影 響 を 及 ぼ す 、 一 群 の 慢 性 的 異 常 で あ
る 。 IBDに お け る 粘 膜 損 傷 の 程 度 及 び 重 篤 度 は 、 炎 症 誘 発 損 傷 と 代 償 性 及 び 細 胞 保 護 プ ロ
セ ス と の 間 の 不 均 衡 に よ っ て 決 定 さ れ る 。 例 示 的 IBD、 例 え ば 潰 瘍 性 大 腸 炎 及 び ク ロ ー ン
病は、消化管の炎症及び潰瘍を惹起する。遺伝的背景、環境因子への暴露、又はある種の
30
刺 激 性 共 生 細 菌 の 集 落 形 成 の 不 運 な 合 併 に よ っ て 、 鋭 敏 な 個 体 で IBDが 発 生 す る 。
プ ロ バ イ オ テ ィ ッ ク 物 質 ( probiotic agent) に よ る IBD患 者 の 腸 内 細 菌 叢 の 改 変 は 、 治
療 法 と し て い く ら か の 注 目 を 得 た 。 最 近 の in vitro及 び in vivo実 験 で は 、 種 々 の プ ロ バ
イオティック製剤が、実験的大腸炎に付随する腸粘膜の炎症の予防又は軽減に有効である
こ と が 示 さ れ た ( Madsen et al. 2001; Gionchetti et al. 2000b; Campierei et al. 20
00; 完 全 な 引 用 は 参 考 文 献 リ ス ト で 提 供 さ れ る ) 。 さ ら に ま た 、 プ ロ バ イ オ テ ィ ク ス ( pr
obiotics) は 、 大 腸 粘 膜 の 慢 性 炎 症 へ の 悪 性 転 換 率 を 低 下 さ せ る よ う で あ る ( Wollowski
et al. 2001) 。 多 く の 前 臨 床 試 験 に よ っ て 、 プ ロ バ イ オ テ ィ ク ス は ポ ー チ テ ィ ス ( pouch
itis) 及 び IBDの 治 療 に 有 効 で あ る こ と が 示 さ れ た 。 こ れ ら の 生 物 因 子 の 有 効 性 を 決 定 す
る た め 、 及 び IBD患 者 で の 投 与 量 の 最 適 化 の た め に 、 い く つ か の 多 拠 点 臨 床 試 験 も ま た 進
40
行中である。これらの有望な結果にもかかわらず、プロバイオティック作用メカニズムは
依然として明らかではなく、さらに、生のプロバイオティック生物の使用は感染のリスク
及び他の不適切な結果を招く。
【0003】
例 示 的 IBDで あ る 潰 瘍 性 大 腸 炎 は 、 結 腸 及 び 直 腸 の 内 部 基 底 層 の 炎 症 及 び 潰 瘍 形 成 を も
たらす。前記は稀に、結腸に連結する末端(回腸末端と称される)を除く小腸にも影響を
及ぼす。潰瘍性大腸炎はまた結腸炎又は直腸炎とも称される。潰瘍性大腸炎はいずれの年
齢 の 人 々 に も 起 こ り う る が 、 15歳 か ら 30歳 の 間 で 非 常 に 頻 繁 に 発 生 す る よ う で あ る 。 何 が
潰瘍性大腸炎の原因であるかについての学説は多数存在するが、いずれも立証には至って
いない。よく知られている学説は、身体の免疫系がウイルス又は細菌と反応し、腸壁での
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炎症の進行を引き起こすというものである。
潰瘍性大腸炎のもっとも一般的な症状は腹痛及び出血性下痢である。患者はまた、疲労
、体重減少、食欲低下、直腸出血並びに体液及び栄養素の減少を被りうる。約半数の患者
が軽度の症状を示す。残りの患者は頻繁な発熱、出血性下痢、吐き気、及び重度の腹部の
疼痛性痙攣を示す。潰瘍性大腸炎はまた、関節炎、眼の炎症、肝臓疾患(肝炎、肝硬変、
及び原発性硬化性胆管炎)、骨粗しょう症、皮疹及び貧血のような問題も引き起こしうる
。大腸以外の場所で問題が発生する理由ははっきりとは分かっていない。研究者らは、身
体の他の部分で免疫系が炎症の引き金となったときに、これらの合併症が生じうると考え
ている。これらの問題のいくつかは大腸炎が治療されたときに消失する。
潰瘍性大腸炎のための治療は前記疾患の重篤度に左右される。ほとんどの人々は投薬に
10
より治療される。重篤な事例では、患者は外科手術が必要とされ症状を示す結腸が除去さ
れる。その症状がある種の食品によって引き起こされた幾人かの人々は、彼らの腸の状態
を狂わせる食品、例えば香辛料の多い食品、生の果実及び野菜、又は乳糖(ラクトース)
を避けることによって症状を制御することができる。幾人かの人々は、数ヶ月続く又は数
年に及ぶ緩解を示す。しかしながら、ほとんどの患者の症状は最終的には元に戻る。
【0004】
約 25− 40%の 潰 瘍 性 大 腸 炎 患 者 は 、 結 腸 の 大 量 出 血 、 重 度 の 病 状 、 破 壊 又 は 癌 の お そ れ
のために最終的には結腸を摘出しなければならない。医療的処置が成功しない場合、又は
コルチコステロイド若しくは他の薬剤の副作用が患者の健康を害する場合、医師は時に結
腸の摘出を推奨するであろう。
20
クローン病は、消化管のいずれの部分も冒しうるという点で潰瘍性大腸炎とは異なる。
クローン病は、消化管の最深部の基底層を冒しうる炎症及び潰瘍を引き起こす。抗炎症薬
、 例 え ば 5-ア ミ ノ サ リ チ レ ー ト ( 例 え ば メ サ ラ ミ ン ) 又 は コ ル チ コ ス テ ロ イ ド が 典 型 的 に
は処方されるが、いつも有効であるとは限らない。シクロスポリンによる免疫抑制は、コ
ルチコステロイドが効かないか、又は不耐性である患者について時に有益である。
【0005】
に も か か わ ら ず 、 外 科 手 術 に よ る 矯 正 は 、 最 終 的 に は 90%の 患 者 で 要 求 さ れ 、 50%が 結 腸
切 除 を 受 け る ( Leiper et al. 1998; Makowiec et al. 1998) 。 外 科 手 術 後 の 再 発 率 は 高
く 、 50% が 5年 以 内 に 更 な る 外 科 手 術 を 必 要 と す る ( Leiper et al. 1998; Besnard et al
. 1998) 。
30
IBDの 病 理 発 生 に 関 す る 従 来 の 考 え は 、 細 胞 保 護 及 び 創 傷 治 癒 プ ロ セ ス と 前 炎 症 性 経 路
との間に不均衡が存在し、その正味の結果は最終的には前炎症の過活性状態及びその結果
としての腸粘膜の損傷に至ると提唱する。バリアー機能の障害をもたらす接着結合の構造
変化が後遺症の一因となるという事実によって立証されるように、粘膜完全性の維持の中
心 は 上 皮 の バ リ ア ー 機 能 の 維 持 で あ る ( Schmitz et al. 1999) 。
緩解を誘発しこれを維持するため、及び炎症性疾患又は異常(例えば潰瘍性大腸炎)を
示す人々の生活の質を向上させるための治療を用いることができる。いくつかのタイプの
薬剤が現在利用可能である。
ア ミ ノ サ リ チ レ ー ト 薬 ( 例 え ば 5-ア ミ ノ サ リ チ ル 酸 ( 5-ASA) の よ う な 薬 剤 ) は 炎 症 の
制 御 に 役 立 つ 。 サ ル フ ァ サ ラ ジ ン は サ ル フ ァ ピ リ ジ ン 及 び 5-ASAの 組 合 せ で あ り 、 緩 解 の
40
誘 発 及 び 維 持 の た め に 用 い ら れ る 。 サ ル フ ァ ピ リ ジ ン 成 分 は 抗 炎 症 性 5-ASAを 腸 へ 運 搬 す
る。しかしながら、サルファピリジンは、副作用(例えば吐き気、嘔吐、胸焼け、下痢及
び 頭 痛 ) を も た ら し う る 。 他 の 5-ASA薬 剤 ( 例 え ば オ ル サ ラ ジ ン 、 メ サ ラ ミ ン 及 び バ ル サ
ラジド)は異なる担体を有し、副作用が少なく、サルファサラジンを服用できない人々に
用 い る こ と が で き る 。 結 腸 内 の 炎 症 の 場 所 に よ り 、 5-ASAは 、 経 口 的 に 、 浣 腸 に よ り 、 又
は座薬として投与される。軽度又は中等度の潰瘍性大腸炎をもつ大半の人々は先ず初めに
この薬剤群で治療される。
【0006】
コルチコステロイド(例えばプレドニソン及びヒドロコーチゾン)もまた炎症を減少さ
せ る 。 前 記 は 、 中 等 度 又 は 重 度 の 潰 瘍 性 大 腸 炎 を 罹 患 す る 人 々 、 又 は 5-ASA薬 剤 に 応 答 し
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ない人々に使用される。コルチコステロイドは、経口的、静脈内、浣腸により、又は座薬
で投与することができる。これらの薬剤は、副作用(例えば体重増加、にきび、顔面発毛
( facial hair) 、 高 血 圧 、 気 分 変 動 及 び 感 染 リ ス ク の 増 加 ) を 引 き 起 こ し う る 。 こ の 理
由から、前記は長期使用には推奨されない。
免 疫 調 節 剤 ( 例 え ば ア ザ チ オ プ リ ン 及 び 6-メ ル カ プ ト -プ リ ン ( 6-MP) ) は 、 免 疫 系 に
影 響 を 与 え る こ と に よ っ て 炎 症 を 低 下 さ せ る 。 前 記 は 、 5-ASA又 は コ ル チ コ ス テ ロ イ ド に
応答しなかった患者、又はコルチコステロイド依存症の患者に用いられる。しかしながら
、 免 疫 調 節 剤 は 作 用 に 時 間 を 要 し 、 完 全 な 利 益 が 観 察 さ れ る ま で 6ヶ 月 を 要 し う る 。 こ れ
らの薬剤を服用する患者は、合併症(膵炎及び肝炎、白血球数の減少並びに感染リスクの
増 加 を 含 む ) に つ い て モ ニ タ ー さ れ る 。 シ ク ロ ス ポ リ ン Aは 、 静 脈 内 コ ル チ コ ス テ ロ イ ド
10
に 応 答 し な い 患 者 で 、 活 発 で 重 度 の 潰 瘍 性 大 腸 炎 の 治 療 の た め に 6-MP又 は ア ザ チ オ プ リ ン
と併用される。上記に加えて、他の薬剤を患者のストレスの緩和、又は痛み、下痢若しく
は感染の軽減のために投与することができる。
ラ ク ト バ シ ル ス GGは 、 幼 児 及 び 小 児 の 急 性 及 び ロ タ ウ イ ル ス 下 痢 の 治 療 、 さ ら に は ま た
正 常 な 共 生 細 菌 叢 の 変 化 か ら 生 じ る 抗 生 物 質 関 連 下 痢 の 治 療 で 用 い ら れ 成 功 し て い る ( 22
,40及 び 43) 。 最 終 的 に は 、 ラ ク ト バ シ ル ス GGは ネ ズ ミ の 大 腸 癌 モ デ ル で 腫 瘍 負 荷 レ ベ ル
を低下させることが示され、このプロバイオティック株は抗癌活性もまた示す可能性が示
唆されている。
【0007】
細 胞 の 熱 シ ョ ッ ク タ ン パ ク 質 ( Hsp) 発 現 の 誘 発 ( 温 度 ス ト レ ス ( 例 え ば 発 熱 ) の 後 で
20
生じる)は、それによって細胞が更なる損傷に対して自分自身を防御することができる詳
細に記述されたメカニズムである。前記の現象(“ストレス寛容”として知られている)
は、進化の全過程にわたって及び全ての種の間で高度に保存されている。誘導性熱ショッ
クタンパク質は、温度ストレスから浸透圧ストレスに及ぶ多様な別個のタイプのストレス
に直面する細胞に、酸化性及び炎症性ストレス物質に対する防護を付与する。小腸上皮細
胞 に お け る Hsp72の 過 剰 発 現 は 、 モ ノ ク ロ ロ ア ミ ン に 由 来 す る 酸 化 性 損 傷 に 対 し 生 存 活 性
及び防護を高めることが示された(モノクロロアミンは、生来の細胞及び炎症性細胞によ
って放出される次亜塩素酸がアンモニアと反応するときに炎症時に大量に産生される病理
生理学的関連の反応性酸素代謝産物である)。腸の上皮細胞では、報告によれば、誘導性
熱 シ ョ ッ ク タ ン パ ク 質 Hsp72及 び Hsp25は 、 多 様 な 有 害 な 傷 害 に よ る 損 傷 に 対 し 上 皮 バ リ ア
30
ー を 強 化 し 、 し た が っ て 接 着 結 合 及 び バ リ ア ー 機 能 を 維 持 す る 。 Hsp25は ま た ア ク チ ン 細
胞骨格を安定化させると報告された。
センス及びアンチセンストランスフェクション実験の利用により、酸化性ストレス条件
下で上皮バリアー機能を防護する熱ショックタンパク質の能力によって明らかなように、
熱ショックタンパク質は、上皮細胞に細胞保護を提供する上で中心的な役割を果たすこと
が 示 さ れ た ( Ropeleski et al. 2003; Urayama et al. 1998) 。 誘 導 性 熱 シ ョ ッ ク タ ン パ
ク 質 ( Hsp) は 、 環 境 中 の 生 理 的 及 び 病 的 ス ト レ ス か ら 細 胞 を 保 護 す る 上 で 重 要 な 役 割 を
果たす高度に保存されたタンパク質に属する。例えば熱、重金属及び毒素への暴露、虚血
/ 再 灌 流 損 傷 、 又 は 炎 症 に よ る 酸 化 性 ス ト レ ス の よ う な 条 件 下 で は 、 Hsp誘 発 は 迅 速 で あ
り、かつ強烈である。軽度の“ストレス”による熱ショックタンパク質の誘発は、前記タ
40
ンパク質の誘発がなければ細胞死をもたらしうるような、その後に続く傷害又は損傷に対
し防護を付与する。この詳細に記述された現象は“ストレス寛容”として知られている(
Parsell et al. 1993) 。
【0008】
腸の上皮細胞では、誘導性熱ショックタンパク質は、ストレス因子(例えば炎症細胞由
来酸化体及び温度ストレス(例えば発熱))に対し何らかの細胞保護を伝達する。誘導性
Hspは ま た 、 敵 対 条 件 下 で 腸 上 皮 細 胞 の バ リ ア ー 機 能 の 完 全 性 を 維 持 す る ( Chang, 1999;
Musch et al. 1996; Musch et al. 1999) 。 熱 シ ョ ッ ク タ ン パ ク 質 の 腸 上 皮 細 胞 で の 誘 発
は 、 ス ト レ ス 条 件 下 で の 生 存 活 性 を 延 長 さ せ ( Musch et al. 1996) 、 さ ら に 上 皮 貫 通 抵
抗 で 測 定 し た と き 接 着 結 合 を 維 持 す る ( Musch et al. 1999) 。
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生 き た LGG細 菌 も ま た p38MAPキ ナ ー ゼ を 活 性 化 す る と 報 告 さ れ た が 、 た だ し 条 件 付 け 培
養 液 ( conditioned media) の み で は い ず れ の MAPキ ナ ー ゼ に つ い て も 影 響 は 見 ら れ な い (
Yan et al. 2002) 。 使 用 さ れ た 条 件 付 け 培 養 液 は 、 MRSブ ロ ス で 前 記 細 菌 を 増 殖 さ せ 、 続
い て 沈 殿 、 洗 浄 し 、 さ ら に 細 菌 を 組 織 培 養 液 に 再 懸 濁 し て さ ら に 2時 間 増 殖 さ せ 、 続 い て
使用前にろ過することによって調製された。
プロバイオティクスの使用には関心が高まりつつある。プロバイオティクスとは、多様
な 胃 腸 病 ( 炎 症 性 腸 疾 患 ( Gionchetti et al. 2000a) 、 過 敏 性 腸 症 候 群 ( Niedzielin et
al. 2001) 、 ポ ー チ テ ィ ス ( Gionchetti et al. 2000b; Gionchetti et al. 2003) の 他
に ロ タ ウ イ ル ス 関 連 及 び 抗 生 物 質 関 連 下 痢 ( Isolauri et al. 1991; Majamaa et al. 199
5; Arvola et al. 1999) を 含 む ) の 治 療 に お い て 、 摂 取 可 能 な 微 生 物 で あ っ て 、 そ れ ら
10
の固有の栄養価を超える健康上の利益を有するものと定義される。それらの作用メカニズ
ムはほとんど分かっていないが、プロバイオティクスは、腸粘膜に対して保護的、栄養的
及び抗炎症性作用を有するようである。
【0009】
プ ロ バ イ オ テ ィ ッ ク 生 物 、 ラ ク ト バ シ ル ス GGは 、 幼 児 及 び 小 児 の 急 性 及 び ロ タ ウ イ ル ス
下 痢 ( Isolauri et al. 1991; Majamaa et al. 1995) の 治 療 に 、 さ ら に ま た 抗 生 物 質 関
連 下 痢 ( Arvola et al. 1999; Kalliomaki et al. 2003) の 治 療 に 使 用 さ れ 成 功 し た 。 ロ
タ ウ イ ル ス 感 染 に は 上 皮 細 胞 表 面 と VP4ス パ イ ク タ ン パ ク 質 と の 最 初 の 相 互 作 用 が 必 要 で
あ り 、 C-末 端 フ ラ グ メ ン ト 、 VP5*は 細 胞 の 膜 透 過 性 獲 得 ( ウ イ ル ス の 侵 入 に 必 要 で あ る )
の た め に 必 要 で あ る と 考 え ら れ る ( Zarate et al. 2000) 。
20
プロバイオティクスはまたアトピー性疾患の治療及び予防にも有用であることが証明さ
れ う る 。 い く つ か の 動 物 モ デ ル で は 、 プ ロ バ イ オ テ ィ ク ス の 使 用 は 、 C.パ ル ブ ム ( parvum
) 、 H.ピ ロ リ ( pylori) 及 び カ ン ジ ダ ( Candida) 感 染 に 対 し て 防 護 的 で あ る よ う で あ る
。 さ ら に ま た 、 ラ ク ト バ シ ル ス GGは 、 ネ ズ ミ の 大 腸 癌 モ デ ル で 腫 瘍 負 荷 レ ベ ル を 低 下 さ せ
ることが示され、このプロバイオティック株はまた抗癌活性を有する可能性が示唆された
( Goldin et al. 1996) 。
プロバイオティクスは多くの疾病の経過を改善するように思われるが、プロバイオティ
ック作用メカニズムほとんど理解されておらず、これがこの分野において認識されている
弱点である。それらの作用及び宿主細胞との相互作用の背後にあるメカニズムを知ろうと
する試みがほんのここ数年為されてきた。多くの可能な種々のメカニズムが提唱された。
30
前 記 に は 粘 液 産 生 の ア ッ プ レ ギ ュ レ ー シ ョ ン 、 上 皮 バ リ ア ー 機 能 の 改 善 、 IgA産 生 の 増 加
、及び腸上皮での粘着部位の競合の増加の他に、有機酸、アンモニア、過酸化水素及びバ
クテリオシン(前記は病原性細菌の増殖を抑制する)の産生が含まれる。
IBD患 者 の 腸 内 細 菌 叢 の プ ロ バ イ オ テ ィ ッ ク 物 質 に よ る 改 変 が 治 療 方 法 と し て 研 究 さ れ
つつあるが、プロバイオティック作用のメカニズムは不明のままである。さらにまた、プ
ロバイオティクスの臨床的有効性は、細菌の集落形成の確立及び維持能力に大きく左右さ
れ、活性物質の信頼できる定常的産生に依存し、さらに、前記は統制不能の製剤組成及び
前記活性物質のホメオパシーデリバリーによって制限される。さらにまた、生の細菌の使
用は感染及び疾患の回避不能のリスクを与える。したがって、炎症性異常(例えば炎症性
腸疾患)を予防又は治療するために、単離された、生物活性を有するプロバイオティック
40
因子及びより効果的な治療法に対する要求が存在する。
【0010】
発明の要旨
本 発 明 は 、 ラ ク ト バ シ ル ス GGに よ っ て 分 泌 さ れ 、 さ ら に 熱 シ ョ ッ ク タ ン パ ク 質 の 発 現 を
誘発する生物活性を有する細胞保護化合物を提供することによって、当業界における前述
の 少 な く と も 1つ の 要 求 を 満 た す 。 熱 シ ョ ッ ク タ ン パ ク 質 の 細 胞 保 護 作 用 は 炎 症 に 対 す る
細 胞 の 防 護 を 高 め る こ と が で き る 。 し た が っ て 、 本 発 明 の 化 合 物 は IBD及 び 他 の 炎 症 性 疾
患を治療する方法及び組成物を提供する。
理論に拘束されることは望まないが、腸上皮細胞機能に対するプロバイオティクスの保
護 的 及 び 有 益 な 作 用 は 、 プ ロ バ イ オ テ ィ ッ ク 作 用 の メ カ ニ ズ ム の 1つ に は 細 胞 保 護 性 熱 シ
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ョックタンパク質の誘発が含まれうることを示しているということは注目される。本明細
書 は 、 プ ロ バ イ オ テ ィ ッ ク LGGに よ っ て 合 成 さ れ る ペ プ チ ド は 、 転 写 因 子 HSF-1に よ る 転 写
調節を必要としながら時間依存性及び濃度依存性態様で細胞保護性熱ショックタンパク質
をネズミの腸上皮細胞で誘発する能力を有することを明らかにする。さらに興味深いこと
に 、 本 発 見 は 、 LGG由 来 の 条 件 付 け 培 養 液 は 酸 化 体 ス ト レ ス に 対 す る 防 護 を 提 供 し 上 皮 細
胞の熱ショックタンパク質をアップレギュレートするだけでなく、それらはまたシグナル
トランスダクション経路も調節することを示す。
【0011】
あ る 特 徴 で は 、 本 発 明 は 、 ラ ク ト バ シ ル ス GG由 来 の 単 離 さ れ た 細 胞 保 護 化 合 物 、 例 え ば
ラ ク ト バ シ ル ス GG-条 件 付 け 培 養 液 を 含 む 組 成 物 を 提 供 す る 。 本 明 細 書 で 用 い ら れ る 、 “
10
由来する”とは、直接的単離によるか、又は例えば本明細書に開示されるか若しくは本明
細書の開示を考慮して日常的な方法を用いて決定されるような特徴に基づいて、最終的に
前 記 ラ ク ト バ シ ル ス GGか ら 得 ら れ る こ と を 意 味 す る 。 本 化 合 物 は 当 業 界 で 公 知 の 任 意 の 技
術、例えば組換え発現、化学合成などを用いて得られる。ある種の実施態様では、前記細
胞 保 護 化 合 物 は 、 少 な く と も 1つ の 熱 シ ョ ッ ク タ ン パ ク 質 の 発 現 を 誘 発 す る 。 好 ま し い 実
施 態 様 で は 、 前 記 細 胞 保 護 化 合 物 は Hsp25及 び Hsp72の 少 な く と も 1つ の 発 現 を 誘 発 す る 。
本発明のいくつかの実施態様では、前記細胞保護化合物はタンパク質である。さらに、前
記タンパク質が熱安定性である実施態様も存在する。本明細書で用いられる、“熱安定性
” は 、 水 で 20分 煮 沸 後 に 検 出 可 能 な 活 性 を 保 持 す る こ と が で き る タ ン パ ク 質 を い う 。 本 発
明 の 細 胞 保 護 タ ン パ ク 質 の 活 性 は 、 少 な く と も 1つ の 熱 シ ョ ッ ク タ ン パ ク 質 、 例 え ば Hsp25
20
又 は Hsp72の 発 現 を 誘 発 す る そ の 能 力 を ア ッ セ イ す る こ と に よ っ て 決 定 す る こ と が で き る
。いくつかの実施態様では、前記タンパク質は酸安定性である。本明細書で用いられる、
“ 酸 安 定 性 ” は 、 7.0よ り 低 い pHで も っ と も 活 性 が 強 い タ ン パ ク 質 を い う ( こ の 場 合 、 活
性 は Hsp25の 発 現 を 誘 発 す る タ ン パ ク 質 の 能 力 に よ っ て 決 定 さ れ る ) 。 い く つ か の 実 施 態
様 で は 、 前 記 タ ン パ ク 質 は 10kDa未 満 の 分 子 量 を 有 す る 。 好 ま し い 実 施 態 様 で は 、 前 記 細
胞 保 護 化 合 物 は 、 熱 安 定 性 、 酸 安 定 性 で あ り 、 10kDa未 満 の 分 子 量 を 有 す る タ ン パ ク 質 で
ある。いくつかの実施態様では、前記細胞保護化合物は、熱及び酸化から成る群から選択
されるストレスから上皮細胞を保護する。また別の好ましい実施態様では、前記単離され
た 細 胞 保 護 化 合 物 は 、 ラ ク ト バ シ ル ス GGか ら 単 離 さ れ う る 性 能 、 上 皮 細 胞 ( 例 え ば 腸 上 皮
細 胞 ) で Hsp25及 び Hsp72の 発 現 を 誘 発 す る 性 能 、 10kDa未 満 の 分 子 量 を 有 し 、 さ ら に 酸 安
30
定性及び熱安定性の両安定性を有するタンパク質である。
【0012】
本発明のまた別の特徴は、炎症性疾患をもつ対象者(例えば人間の患者)を治療する方
法 を 提 供 す る 。 前 記 方 法 は 、 ラ ク ト バ シ ル ス GG-条 件 付 け 培 養 液 に 由 来 す る 単 離 さ れ た 細
胞保護化合物の治療的に有効な量又は用量を前記患者に投与することを含む。本明細書で
用いられる、“治療的に有効な量”は、炎症性疾患の発症の抑制又はその速度を遅らせる
ことによって、そのような疾患の経過を予防、緩和するか又は前記に影響を及ぼす検出可
能な有益な作用を示す量である。この方法にしたがって治療するために適した例示的炎症
性疾患は、炎症性腸疾患、例えばクローン病及び潰瘍性大腸炎である。いくつかの実施態
様 で は 、 細 胞 保 護 化 合 物 は 、 少 な く と も 1つ の 熱 シ ョ ッ ク タ ン パ ク 質 ( 例 え ば Hsp25及 び /
40
又 は Hsp72) の 発 現 を 誘 発 す る 。
本発明の関連する特徴は、炎症性疾患の症状又は炎症疾患に付随する症状を緩和する方
法 で あ る 。 前 記 方 法 は 、 ラ ク ト バ シ ル ス GG( 例 え ば ラ ク ト バ シ ル ス GG培 養 液 ) に 由 来 す る
単離された細胞保護化合物の治療的に有効な用量を、対象者(例えば人間の患者)に投与
することを含む。本発明のこの特徴の例示的な実施態様は、炎症性腸疾患、例えばクロー
ン病又は潰瘍性大腸炎の症状を緩和する方法である。前記に関連する本発明の特徴は、炎
症 性 疾 患 を 予 防 す る 方 法 を 提 供 し 、 前 記 方 法 は 、 ラ ク ト バ シ ル ス GGに 由 来 す る 単 離 さ れ た
細 胞 保 護 化 合 物 、 例 え ば ラ ク ト バ シ ル ス GG-条 件 付 け 培 養 液 に 存 在 す る 単 離 さ れ た 細 胞 保
護化合物を対象者、例えば人間の患者に投与することを含む。
【0013】
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炎症性疾患は自己免疫疾患でもよい。本発明にしたがって治療することができる自己免
疫疾患の例には、慢性関節リウマチ、若年性関節リウマチ、変形性関節症、乾癬性関節炎
、アトピー性皮膚炎、湿疹性皮膚炎、乾癬、シェーグレン症候群、クローン病、アフタ性
潰瘍、虹彩炎、結膜炎、角結膜炎、潰瘍性大腸炎、喘息、アレルギー性喘息、皮膚エリテ
マ ト ー デ ス 、 皮 膚 硬 化 症 、 膣 炎 、 回 帰 反 応 性 癩 ( leprosy reversal reactions) 、 癩 性 結
節 性 紅 斑 、 自 己 免 疫 性 ブ ド ウ 膜 炎 、 多 発 性 軟 骨 炎 、 ス テ ィ ー ヴ ェ ン ズ -ジ ョ ン ソ ン 症 候 群
、扁平苔癬、サルコイドーシス、原発性胆汁性肝硬変、後部ブドウ膜炎、間質性膀胱炎、
又は間質性肺線維症が含まれる。
好ましい実施態様では、前記炎症性疾患は炎症性腸疾患である。例示的な実施態様では
、前記炎症性腸疾患はクローン病である。また別の本発明の例示的な実施態様では、前記
10
炎症性腸疾患は潰瘍性大腸炎である。さらに他の実施態様では、投与される化合物は少な
く と も 1つ の 熱 シ ョ ッ ク タ ン パ ク 質 ( 例 え ば Hsp25及 び /又 は Hsp72) の 発 現 を 誘 発 す る 。
炎症性疾患に付随する症状を治療、緩和する方法又は炎症性疾患を予防する方法では、
本発明は、本明細書に開示する細胞保護化合物を含む医薬組成物の有効量又は用量を対象
者(例えば人間の患者)に投与することを含む。そのような医薬組成物は下記に記載され
る。
【0014】
本 発 明 の ま た 別 の 特 徴 は 、 少 な く と も 1つ の 熱 シ ョ ッ ク タ ン パ ク 質 ( 例 え ば Hsp25及 び /
又 は Hsp72) の 細 胞 内 発 現 を 誘 発 す る 方 法 を 提 供 す る 。 前 記 方 法 は 、 ラ ク ト バ シ ル ス GGに
由 来 す る 単 離 さ れ た 細 胞 保 護 化 合 物 ( 例 え ば ラ ク ト バ シ ル ス GG-条 件 付 け 培 養 液 に 存 在 す
20
る細胞保護化合物)と前記細胞を接触させることを含む。ある種の実施態様では、本発明
は 、 Hsp25及 び Hsp72の 一 方 又 は そ の 両 方 の 細 胞 内 発 現 を 誘 発 す る 方 法 を 提 供 す る 。 前 記 方
法 は 、 ラ ク ト バ シ ル ス GG又 は ラ ク ト バ シ ル ス GG-条 件 付 け 培 養 液 か ら 単 離 さ れ た 細 胞 保 護
化合物と前記細胞を接触させることを含む。ある種の実施態様では、上皮細胞(例えば腸
上皮細胞)を前記単離された細胞保護化合物と接触させる。他の実施態様では、前記細胞
は免疫細胞(例えば樹状突起細胞)である。
本 発 明 の ま た 別 の 特 徴 は 、 ラ ク ト バ シ ル ス GGに 由 来 す る 単 離 さ れ た 細 胞 保 護 化 合 物 ( 例
え ば ラ ク ト バ シ ル ス GG-条 件 付 け 培 養 液 で 見 出 さ れ る か 又 は 前 記 か ら 精 製 さ れ る も の ) 、
及 び 少 な く と も 1つ の 医 薬 的 に 許 容 で き る 賦 形 剤 を 含 む 医 薬 組 成 物 を 提 供 す る 。 あ る 種 の
実施態様では、前記医薬的に許容できる賦形剤はポリエチレングリコールである。前記細
30
胞保護化合物又は生物活性物質は“単離された形態”として存在し、前記単離された形態
と は 、 前 記 化 合 物 が ラ ク ト バ シ ル ス GG細 胞 又 は 培 養 液 中 で 天 然 の 状 態 で は 一 緒 に 見 出 さ れ
る 少 な く と も 1つ の タ ン パ ク 質 か ら 、 前 記 化 合 物 が 分 離 さ れ て あ る こ と を 意 味 す る 。 本 発
明 の こ の 特 徴 の い く つ か の 実 施 態 様 で は 、 前 記 化 合 物 は 少 な く と も 1つ の 熱 シ ョ ッ ク タ ン
パ ク 質 ( 例 え ば Hsp25及 び /又 は Hsp72) の 発 現 を 誘 発 す る 。
【0015】
また別の特徴では、本発明は単離された細胞保護化合物を製造する方法を提供する。前
記 方 法 は 、 ラ ク ト バ シ ル ス GGを 入 手 し 、 ラ ク ト バ シ ル ス GGか ら 細 胞 保 護 化 合 物 を 単 離 す る
工程を含む。上記に特筆したように、細胞保護化合物の単離された形態とは、前記化合物
が ラ ク ト バ シ ル ス GG細 胞 又 は 培 養 液 中 で 天 然 の 状 態 で は 一 緒 に 見 出 さ れ る 少 な く と も 1つ
40
の タ ン パ ク 質 か ら 、 前 記 化 合 物 が 分 離 さ れ て あ る こ と を 意 味 す る 。 ラ ク ト バ シ ル ス GGを 入
手する工程では、そのような細胞集塊を得るか、又はそのような細胞を適切な培養液(例
え ば MRS) で 増 殖 若 し く は 培 養 し 、 そ れ に よ っ て 条 件 付 け 培 養 液 中 の 細 胞 を 入 手 し て も よ
い 。 あ る 実 施 態 様 で は 、 細 胞 保 護 化 合 物 の 産 生 を 担 保 す る た め に 少 な く と も 8時 間 の 培 養
時間が意図される。ある種の実施態様では、前記細胞保護化合物はタンパク質である。い
く つ か の 実 施 態 様 で は 、 前 記 細 胞 保 護 化 合 物 は 、 熱 安 定 性 及 び /又 は 酸 安 定 性 で あ り 、 及
び /又 は 10キ ロ ダ ル ト ン ( kDa) 未 満 の 分 子 量 を 有 す る 。 さ ら に 別 に 特 徴 で は 、 本 発 明 は さ
ら に 前 記 細 胞 保 護 化 合 物 の 性 状 を 決 定 す る 工 程 及 び /又 は 前 記 を 同 定 す る 工 程 を 含 む 。
当業者はタンパク質を単離する方法については熟知しているであろう。例えば、本発明
の 細 胞 保 護 タ ン パ ク 質 は 、 HPLC、 FPLC、 疎 水 性 LC、 イ オ ン 交 換 LC、 リ ガ ン ド / ア フ ィ ニ テ
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ィ ー LC、 サ イ ズ 排 除 LC、 薄 層 ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー 、 膜 ろ 過 、 等 電 点 分 離 ( isoelectric fo
cusing) 、 ポ リ ア ク リ ル ア ミ ド ゲ ル 電 気 泳 動 又 は 前 記 方 法 の 任 意 の 組 合 せ に よ っ て 単 離 す
ることができる。
【0016】
本発明の化合物の細胞保護特性の性状を決定する方法は当業者には周知であろう。細胞
保護活性の指標には、例えば熱ショックタンパク質の発現を誘発する能力、及び炎症性疾
患 を も つ 対 象 者 で 細 胞 損 傷 を 低 下 さ せ る 及 び /又 は 創 傷 治 癒 を 促 進 す る 能 力 が 含 ま れ る 。
したがって、本発明の化合物の性状を決定するあるアプローチは、熱ショックタンパク質
の誘発をアッセイすることである。本発明の化合物の性状を決定するまた別のアプローチ
は 、 対 象 者 で 細 胞 損 傷 を 低 下 さ せ る 及 び /又 は 創 傷 治 癒 を 促 進 す る 化 合 物 の 能 力 を ア ッ セ
10
イすることであろう。
タンパク質を同定する方法は当業者には公知である。例えば、細胞保護タンパク質は、
サ ン プ ル を 6Nの 加 水 分 解 に 付 し 、 続 い て 問 題 の ペ プ チ ド を 構 成 す る 全 て の 個 々 の ア ミ ノ 酸
を 同 定 す る た め に HPLC-マ ス シ ー ク ェ ン シ ン グ を 実 施 す る こ と に よ っ て 同 定 す る こ と が で
きる。さらにまた、分子内アミノ酸配列は、容易に識別されるトリプシンフラグメントか
ら決定することができる。これらのフラグメントのアミノ酸配列は、フライト質量分析の
マ ト リ ッ ク ス 補 助 レ ー ザ ー 脱 着 イ オ ン 化 時 間 ( matrix-assisted laser desorption ioniz
ation-time of flight mass spectrometry; MALDI-TOF) に よ っ て 決 定 す る こ と が で き る
。 続 い て ア ミ ノ 酸 配 列 を 関 連 す る デ ー タ ベ ー ス ( 例 え ば SwissProt、 GenBank) と 比 較 し 、
問題のタンパク質又はペプチドを同定する。
20
また別の特徴では、本発明の方法はさらに多くの細胞保護化合物を入手する工程を含む
。さらに多くの細胞保護化合物は当業者に公知の任意の方法によって入手することができ
る 。 例 え ば 、 さ ら に 多 く の 細 胞 保 護 化 合 物 は 、 ラ ク ト バ シ ル ス GG又 は ラ ク ト バ シ ル ス GG条件付け培養液から単離することによって入手することができる。また別には、さらに多
く の 細 胞 保 護 化 合 物 は 、 前 記 細 胞 保 護 化 合 物 を コ ー ド す る 組 換 え DNAの 発 現 に よ っ て 入 手
することができる。
【0017】
また別の特徴では、本発明の方法は、前記さらに多くの細胞保護化合物を医薬組成物に
加える工程をさらに含む。ある種の特徴では、本発明の方法はさらに、炎症性疾患を持つ
対象者に前記医薬組成物を投与する工程を含む。前記対象者は哺乳動物でありうる。前記
30
対象者は好ましくは人間である。
本発明のまた別の特徴では、細胞保護ポリペプチド化合物をコードする単離ポリヌクレ
オチドが提供される。前記コードされるポリペプチドは以下の特性を特徴とする:ラクト
バ シ ル ス GGか ら 単 離 す る こ と が で き る ; 腸 上 皮 細 胞 で Hsp25及 び Hsp72の 発 現 を 誘 発 す る こ
と が で き る ; 10kDa未 満 の 分 子 量 ; 及 び 酸 安 定 性 及 び 熱 安 定 性 特 性 。
本発明の更なる特徴は、上記記載の単離された細胞保護化合物を含む組成物を目的とし
、 こ こ で 前 記 化 合 物 は 、 上 皮 細 胞 内 の シ グ ナ ル ト ラ ン ス ダ ク シ ョ ン 経 路 を 活 性 化 し 、 Hsp2
5及 び Hsp72か ら 成 る 群 か ら 選 択 さ れ る 熱 シ ョ ッ ク タ ン パ ク 質 の 発 現 を も た ら す 。 特 段 の 指
摘 が な け れ ば 、 当 業 界 で 公 知 の よ う に Hsp70は Hsp72の 同 義 語 で あ る が 、 た だ し Hsp72は タ
ンパク質のより正確な質量概算を含む。いくつかの実施態様では、活性化は、熱ショック
40
因 子 -1( HSF-1) に よ っ て 仲 介 さ れ る 。 い く つ か の 実 施 態 様 で は 、 前 記 シ グ ナ ル ト ラ ン ス
ダ ク シ ョ ン 経 路 は 、 MAPキ ナ ー ゼ 、 SAPキ ナ ー ゼ 、 ERK1及 び ERK2か ら 成 る 群 か ら 選 択 さ れ る
キ ナ ー ゼ を 含 む 。 あ る 種 の 実 施 態 様 で は 、 前 記 経 路 の 活 性 化 は 、 MAPキ ナ ー ゼ 、 SAPキ ナ ー
ゼ 、 ERK1及 び ERK2か ら 選 択 さ れ る キ ナ ー ゼ の 活 性 化 を 含 む 。
関連する特徴では、本発明は、上皮細胞でシグナルトランスダクション経路を活性化す
る方法を提供する。前記方法は、本明細書に開示した単離された細胞保護化合物の有効量
と前記細胞を接触させることを含む。いくつかの実施態様では、前記シグナルトランスダ
ク シ ョ ン 経 路 は 、 MAPキ ナ ー ゼ 、 SAPキ ナ ー ゼ 、 ERK1及 び ERK2か ら 成 る 群 か ら 選 択 さ れ る キ
ナーゼを含む。いくつかの実施態様では、前記単離された細胞保護化合物は医薬組成物の
形態で投与される。
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【0018】
本発明のさらに別の特徴は酸化体損傷を防ぐ方法を目的とし、前記方法は、本明細書に
開示する単離された細胞保護化合物、又はそのような化合物を含む医薬組成物の有効量を
細胞(例えば上皮細胞)に投与することを含む。
本発明のさらに別の特徴は細胞骨格を安定化させる方法であり、前記方法は、本明細書
に開示する単離された細胞保護化合物、又はそのような化合物を含む医薬組成物の有効量
を細胞(例えば上皮細胞)に投与することを含む。
本発明のまた別の特徴は炎症性疾患を予防する方法であり、前記方法は、本明細書に開
示する医薬組成物の有効用量を対象者に投与することを含む。好ましい対象者は人間の患
者である。
10
本発明のさらに別の特徴は、本明細書に開示する医薬組成物及び前記組成物の対象者へ
の投与のためのプロトコルを含むキットである。意図される目的に適切した、当業界で公
知のいずれの投与プロトコルも本発明によって想定される。好ましい対象者は人間の患者
である。
本明細書に記載されるいずれの方法又は組成物も、本明細書に記載されるその他のいず
れの方法又は組成物に対しても提供しうることが予想される。
特許請求の範囲の“又は”という用語の使用は、選択されたもののみを指すか、又は選
択 さ れ た も の が 相 互 に 排 除 さ れ る こ と が 明 快 に 指 摘 さ れ な い か ぎ り “ 及 び /又 は ” を 意 味
す る た め に 用 い ら れ る が 、 た だ し 明 細 書 で は 、 選 択 さ れ た も の の み 及 び “ 及 び /又 は ” を
指す定義が支持される
20
本出願の全体を通して、“約”という用語は、ある値が前記値を決定するために用いら
れた装置又は方法による誤差の標準偏差を含むことを示すために用いられる。
“ a” 及 び “ an” は 、 特 許 請 求 の 範 囲 又 は 明 細 書 中 で “ 含 む ” と い う 単 語 と 一 緒 に 用 い
ら れ る と き は 、 特 段 の 規 定 が な け れ ば 1つ 又 は 2つ 以 上 を 示 す 。
本発明の他の特色及び利点は後続の詳細な説明から明白となるであろう。しかしながら
、後続の詳細な記載及び具体的な実施例は、本発明の特定の実施態様を示す一方で、単に
例示として提供されることは理解されよう。なぜならば、当業者には本発明の範囲内にお
いて多様な変更及び改変がこの詳細な記載から明白になりうるからである。
【0019】
発明の詳細な説明
30
A.概論
プロバイオティクスは生きた生物であり、フードサプリメントにもっとも多く見出され
、それらの栄養的価値を超える健康上の利点を提供する。本発明のプロバイオティック化
合物は、宿主に対して多くの有益な作用を有すると期待される。一般的なプロバイオティ
ッ ク で あ る ラ ク ト バ シ ル ス GGに よ っ て 産 生 さ れ る 可 溶 性 因 子 は 上 皮 細 胞 に 作 用 し て 、 細 胞
保 護 性 熱 シ ョ ッ ク タ ン パ ク 質 Hsp25及 び Hsp72の 時 間 依 存 性 及 び 濃 度 依 存 性 誘 発 を も た ら す
。 LGGに よ っ て 産 生 さ れ る 可 溶 性 因 子 が Hsp産 生 の た め に 十 分 で あ り 、 生 き た 細 菌 は 要 求 さ
れ な い 。 Hspタ ン パ ク 質 の 実 際 の 出 現 に は 数 時 間 を 要 す る が 、 細 胞 が ほ ん の 数 分 間 LGG-CM
に暴露される除去実験では、上皮細胞に熱ショックタンパク質をアップレギュレートさせ
る シ グ ナ ル を 開 始 さ せ る た め に 必 要 な 時 間 は 非 常 に 短 い こ と が 示 さ れ 、 LGG-CMか ら 上 皮 細
40
胞へ開始シグナルが伝達される際に、シグナルトランスダクション経路が役割を果たすこ
とが示唆された。多くのタンパク質キナーゼがストレス応答時に活性化されることが知ら
れ て お り 、 LGG-CM暴 露 は 多 数 の MAPキ ナ ー ゼ を 活 性 化 す る こ と が 確 認 さ れ た 。 我 々 の YAMC
細 胞 で は 基 準 レ ベ ル の 活 性 化 ERK1/2が 存 在 す る が 、 LGG-CM前 処 理 は 、 フ ォ ル ボ ル エ ス テ ル
と 同 様 に 効 果 的 に ERK1/2を 活 性 化 し 、 さ ら に p38及 び JNKも ま た 活 性 化 す る 。 LGG-CM暴 露 前
の p38及 び JNKの 阻 害 剤 に よ る 細 胞 処 理 は 、 LGG-CMに よ る Hsp72の 誘 発 を 阻 害 し た が 、 Hsc73
発 現 に は 影 響 は な か っ た 。 こ の こ と は 、 こ れ ら 2つ の MAPキ ナ ー ゼ は 、 LGG-CMに 暴 露 さ れ る
こ と に よ っ て 引 き 起 こ さ れ る 誘 導 性 Hspの 発 現 開 始 に 要 求 さ れ る 細 胞 シ グ ナ ル の 伝 達 に 役
割 を 有 す る こ と を 示 し て い る 。 他 の 実 験 に よ っ て 、 p38及 び JNKは 、 ERK1/2と は 別 個 の 共 通
経 路 を 通 じ て 作 用 す る こ と が 明 ら か に さ れ た ( Liu et al. Free Radic. Biol. Med. 21:7
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71-781, 1996) 。 こ れ ら の 結 果 は 、 LGG-CMは 上 皮 細 胞 の シ グ ナ ル ト ラ ン ス ダ ク シ ョ ン に 影
響 を 及 ぼ す こ と を 明 ら か に し 、 し た が っ て 、 Hsp産 生 の た め の 少 な く と も 1つ の 迅 速 な シ グ
ナ リ ン グ が 少 な く と も 1つ の シ グ ナ ル ト ラ ン ス ダ ク シ ョ ン 経 路 を 介 し て 開 始 さ れ る こ と を
示している。
【0020】
プ ロ バ イ オ テ ィ ッ ク ラ ク ト バ シ ル ス GGか ら 得 ら れ る 条 件 付 け 培 養 液 ( LGG-CM) ( 本 明 細
書 の 全 体 を 通 し て “ medium” 及 び “ media” は 互 換 的 に 用 い ら れ 、 文 脈 か ら 明 白 な 単 数 又
は複数として用いることができる)は、腸上皮細胞で熱ショックタンパク質の発現を誘発
す る 。 Hsp25及 び Hsp72の 両 方 が 、 時 間 依 存 性 及 び 濃 度 依 存 性 態 様 で LGG-CMに よ っ て 誘 発 さ
れる。さらにまた、これらの作用は、酸及び熱安定性の両安定性を示す低分子量ペプチド
10
に よ っ て 仲 介 さ れ る 。 DNAマ イ ク ロ ア レ ー 実 験 に よ っ て 、 上 皮 細 胞 で は 、 Hsp72( Hsp70)
は 、 LGG-CM処 理 に 対 す る 応 答 で も っ と も 強 く ア ッ プ レ ギ ュ レ ー ト さ れ る 遺 伝 子 の 1つ で あ
る こ と が 示 さ れ た 。 リ ア ル タ イ ム PCR及 び 電 気 泳 動 移 動 度 シ フ ト ア ッ セ イ に よ っ て 、 Hsp誘
発 の 調 節 は 少 な く と も 部 分 的 に 転 写 性 で あ り 、 転 写 因 子 HSF-1を 必 要 と す る こ と が 確 認 さ
れ る 。 Hspは 暴 露 後 数 時 間 誘 発 さ れ な い と し て も 、 LGG-CMへ の 一 過 性 の 暴 露 が Hsp誘 発 の た
めのシグナルを開始させるために十分であり、さらに応答の迅速性が仮定されるならば、
そのような迅速な時間は、シグナルトランスダクション経路が中心的に関与する可能性を
示 唆 す る 。 LGG-CMは 、 MAPキ ナ ー ゼ を 活 性 化 す る こ と に よ っ て 腸 の 上 皮 細 胞 に お い て あ る
種 の シ グ ナ リ ン グ 経 路 の 活 性 化 を 調 節 す る こ と が 実 験 に よ っ て 確 認 さ れ る 。 p38及 び JNKの
阻 害 物 質 は 、 LGG-CMに よ っ て 通 常 誘 発 さ れ る Hsp72の 発 現 を 阻 止 す る 。 機 能 実 験 に よ っ て
20
、 腸 上 皮 細 胞 の LGG-CM処 理 は 、 そ れ ら 細 胞 を 酸 化 体 ス ト レ ス か ら 保 護 し 、 さ ら に 細 胞 骨 格
の 完 全 性 を 保 存 す る こ と が 示 さ れ る 。 腸 上 皮 細 胞 で 細 胞 保 護 性 Hspの 発 現 を 誘 発 す る こ と
に よ っ て 、 及 び /又 は シ グ ナ ル ト ラ ン ス ダ ク シ ョ ン 経 路 を 活 性 化 さ せ る こ と に よ っ て 、 LGG
-CMに よ っ て 分 泌 さ れ る 単 離 ペ プ チ ド 生 成 物 は 、 こ の ペ プ チ ド の 有 益 な 臨 床 作 用 に 貢 献 す
る。
【0021】
本 発 明 は 、 生 物 活 性 化 合 物 が ラ ク ト バ シ ル ス GG( LGG) ( プ ロ バ イ オ テ ィ ッ ク 細 菌 ) か
ら単離されうることを示す。生きた細菌に代わって、細菌を含まないプロバイオティック
由来化合物は、生きた細菌の使用を超える安全性という利点を提供する。さらにまた、単
離された化合物の臨床的有効性は、プロバイオティクスの有効性(前記は細菌の集落形成
30
の確立及び維持に左右される)よりも高い一貫性を有するであろう。
熱 シ ョ ッ ク タ ン パ ク 質 の 誘 発 を も た ら す 、 LGG-CMに 存 在 す る 因 子 は 低 分 子 量 ペ プ チ ド で
あ り 、 前 記 は 驚 く べ き こ と に 酸 安 定 性 及 び 熱 安 定 性 で あ る 。 こ れ ら の 特 性 は 、 そ れ ら が GI
管を通過する際に腸の敵対的環境で生存するためにそのような分泌因子について要求され
る復元力を提供することができる。腸管腔の中央部の物理化学的環境は上皮表面で見出さ
れる環境とは非常に異なっているということを特筆することはまた重要であろう(上皮表
面 は よ り 酸 性 傾 向 が 強 い ( Rechkemmer et al. 1986) ) 。 こ の 酸 性 の ミ ク ロ 環 境 は 、 例 え
ば膜輸送、薬剤摂取及び栄養吸収のような機能において重要な役割を果たすと考えられる
( Sanderson, 1999) 。 前 記 酸 性 ミ ク ロ 環 境 は 、 あ る 種 の ジ ペ プ チ ド の 腸 上 皮 細 胞 内 へ の
輸 送 に 対 し 直 接 的 な 影 響 を 示 す ( Lister et al. 1995) 。 LGG-CM中 の 生 物 活 性 を 有 す る ペ
40
プチドがレセプター仲介経路を介して作用するならば、その独特の酸安定特性は、上皮細
胞 表 面 の レ セ プ タ ー と 結 合 し 、 細 胞 保 護 性 Hspの 誘 発 を 開 始 さ せ る そ の 能 力 に お い て 重 要
な役割を果たしうる。
し た が っ て 、 本 発 明 の 化 合 物 は 、 炎 症 性 疾 患 ( 例 え ば IBD) の 治 療 の た め に 、 当 業 界 で
これまでに利用可能であった治療方法より優れた新規な治療方法を提供するであろう。あ
る 特 徴 で は 、 本 発 明 は 、 ラ ク ト バ シ ル ス GGか ら 単 離 可 能 又 は 誘 導 可 能 な 単 離 さ れ た 細 胞 保
護化合物を含む組成物を提供する。さらにまた、本発明は、炎症性疾患をもつ患者の少な
く と も 1つ の 公 知 の 症 状 を 予 防 、 治 療 又 は 緩 和 す る 方 法 を 提 供 す る 。 前 記 方 法 は 、 ラ ク ト
バ シ ル ス GGに 由 来 す る 細 胞 保 護 化 合 物 の 有 効 な 用 量 又 は 量 を 前 記 患 者 に 投 与 す る こ と を 含
む 。 他 の 特 徴 で は 、 本 発 明 は 、 ラ ク ト バ シ ル ス GG-条 件 付 け 培 養 液 に 由 来 す る 、 細 胞 保 護
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特性を有する化合物を単離及び性状決定する方法を提供する。
【0022】
B.細胞保護化合物の同定及び性状決定
本発明は、細菌培養に由来する、細胞保護特性を有する化合物を同定及び性状決定する
方法を提供する。本発明はまた、プロバイオティック生物から単離することができる細胞
保 護 化 合 物 を 、 細 胞 保 護 組 成 物 及 び 炎 症 性 疾 患 の 少 な く と も 1つ の 症 状 の 治 療 、 予 防 若 し
くは緩和に有用な方法と同様に提供する。
1.細胞保護化合物の単離
いずれの細菌株又はプロバイオティック製剤も、細胞保護化合物のスクリーニングに適
している。好ましくは、前記細菌は非病原性の腸内細菌である。本明細書に開示される例
10
示 的 な 実 施 態 様 で は 、 前 記 細 菌 は ラ ク ト バ シ ル ス GGで あ る 。 細 菌 の 培 養 方 法 は 当 業 者 に は
周 知 で あ る 。 MRSブ ロ ス が 、 ラ ク ト バ シ ル ス 種 の 単 離 及 び 培 養 に 一 般 的 に 用 い ら れ る 。 例
え ば 、 ラ ク ト バ シ ル ス GGは 、 37℃ で 5%CO2 の 微 好 気 性 条 件 下 で MRSブ ロ ス で 容 易 に 増 殖 す る
。ラクトバシルス種の培養のためのまた別の培養液の例はトマトジュースブロスである。
前 記 細 胞 保 護 化 合 物 は 、 ラ ク ト バ シ ル ス GG-条 件 付 け 培 養 液 中 に 見 出 さ れ る 可 溶 性 因 子
であると決定した。これら化合物の同定及び性状決定を容易にするために、培養液から細
菌細胞を除去することが好ましい。当業者は、培養液中の可溶性因子から細胞を分離する
方法を熟知しているであろう。例えば、前記細胞は、遠心、ろ過又は両技術の組合せによ
って除去することができる。細菌細胞の除去に続いて、単離された細胞保護化合物をさら
に精製及び性状決定しうる供給源として、前記“条件付け培養液”が用いられる。
20
【0023】
( a) 他 の 分 離 技 術 :
当業者に公知の他の分離技術もまた、条件付け培養液の分画に有用で、それによってプ
ロバイオティック因子(すなわち生物活性物質)の単離に有用であろうと予想される。高
速 液 体 ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー ( HPLC) は 、 比 類 の な い ピ ー ク 分 析 を も た ら す 非 常 に 迅 速 な 分
離を特徴とする。これは、非常に微細な粒子及び高圧を使用して適切な流速を維持するこ
と に よ っ て 達 成 さ れ る 。 分 離 は 、 分 の 次 元 で 、 た い て い の 場 合 は 1時 間 で 達 成 さ れ う る 。
さらにまた、空隙容積がベッド容積の極めて小さな部分を占めるように粒子は非常に小さ
く、さらに緊密に充填されているので、非常にわずかな容積のサンプルが要求されるだけ
である。さらに、バンドが非常に細くサンプルがほとんど希釈されないので、要求される
30
サンプル濃度はそれほど高くない。
高 速 タ ン パ ク 質 液 体 ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー ( fast protein liquid chromatography; FPLC
) は 、 タ ン パ ク 質 分 離 に 一 般 的 に 用 い ら れ る 技 術 で あ る 。 FPLCは 、 低 圧 下 で 実 施 さ れ る 基
本 的 に は HPLC形 で あ り 、 セ ル ロ ー ス 又 は デ キ ス ト ラ ン の よ う な 不 活 性 な 物 質 か ら 製 造 さ れ
た“樹脂”に特異的な結合特性を与えるために化学的側鎖基が結合されてあるものが用い
ら れ る 。 前 記 側 鎖 は ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー の タ イ プ を 決 定 す る 。 例 え ば 、 疎 水 性 LCは タ ン パ
ク 質 が 含 有 す る 疎 水 性 ア ミ ノ 酸 の 量 に よ っ て そ れ ら を 分 離 し 、 イ オ ン 交 換 LCは 荷 電 ア ミ ノ
酸 の 数 及 び タ イ プ に よ っ て タ ン パ ク 質 を 分 離 し 、 リ ガ ン ド / ア フ ィ ニ テ ィ ー LCは 一 定 の 基
質、染料又は抗体に対するタンパク質の特異性によってタンパク質を分離し、サイズ排除
LC( 又 は ゲ ル ろ 過 ) は そ れ ら の サ イ ズ に よ っ て タ ン パ ク 質 を 分 離 す る 。
40
【0024】
ゲルろ過クロマトグラフィー(又は分子篩クロマトグラフィー)は、分子のサイズを基
準にする特殊なタイプの分配クロマトグラフィーである。ゲルクロマトグラフィーを支え
る理論は、小孔を有する不活性物質の微粒子を用いて調製されたカラムは、小分子から大
分子を、それら分子がサイズに応じて前記孔の中を通過するか又は孔の周りを通るために
分離することができるということである。前記粒子を製造した物質が分子を吸着しないか
ぎり、流速を決定する唯一の因子はサイズである。したがって、分子は、形状が比較的一
定であるかぎり、サイズの減少順にカラムから溶出する。ゲルクロマトグラフィーは、他
の 全 て の 因 子 ( 例 え ば pH、 イ オ ン 強 度 、 温 度 な ど ) に 分 離 が 左 右 さ れ な い の で 、 種 々 の サ
イズの分子の分離のために卓越している。さらにまた、実質的に吸着が存在せず、ゾーン
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拡散が少なく、溶出容積は単純な態様で分子量に相関する。
さらにまた、条件付け培養液は、特定の分子量カットオフをもつフィルターを通しても
よい。例えば、本発明のいくつかの分画は、特定の分子量カットオフをもつセントリコン
フィルターを通して調製された。
荷 電 を 基 準 に す る 分 離 技 術 も ま た 意 図 さ れ る 。 そ の よ う な 技 術 の 1つ は イ オ ン 交 換 ク ロ
マトグラフィーである。イオン交換クロマトグラフィーを用いれば、サンプルは荷電マト
リ ッ ク ス に 可 逆 的 に 結 合 す る 。 ジ エ チ ル ア ミ ノ エ チ ル ( DEAE) 及 び カ ル ボ キ シ メ チ ル ( CM
)セルロースが一般的に用いられる。続いて、脱着が、移動相の塩濃度の増加によって又
は pHの 変 更 に よ っ て 生 じ る 。 本 明 細 書 に 開 示 さ れ る ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー の デ ー タ に よ れ ば
、 LGG-CM中 の 細 胞 保 護 因 子 は 低 pHで 安 定 で あ り 、 そ の 等 電 点 は 低 い と 予 想 さ れ 、 し た が っ
10
て前記タンパク質は陰性に荷電されているはずで、荷電による分離技術のための良好な候
補物質であることが確認される。したがって、単離のための1つのアプローチは、前記条
件付け培養液を当業界で公知のように、適切に誘導した(例えば陽性荷電をもつ官能基を
所 望 の pHで 導 入 し た ) モ ノ Sカ ラ ム で 、 陰 イ オ ン 交 換 ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー に 付 す こ と を 必
要 と す る 。 単 離 を 迅 速 に 行 う た め に 、 こ れ ら の カ ラ ム は FPLC系 で 用 い る こ と が で き よ う 。
【0025】
電 荷 を 基 準 に 化 合 物 を 分 離 す る た め の 当 業 者 に 公 知 の ま た 別 の 技 術 は IEF( 等 電 点 分 離
) で あ る 。 典 型 的 に IEFを 利 用 す る 1つ の ア プ ロ ー チ は 二 次 元 電 気 泳 動 で あ る 。 二 次 元 電 気
泳 動 は 当 業 界 で 公 知 の 方 法 を 用 い て 実 施 す る こ と が で き る ( 例 え ば 米 国 特 許 第 5,534,121
号 及 び 6,398,933号 を 参 照 さ れ た い ) 。 典 型 的 に は 、 サ ン プ ル 中 の タ ン パ ク 質 は 先 ず 初 め
20
に等電点分離によって分離され、その間にサンプル中のタンパク質は、それらの正味の荷
電 が ゼ ロ ( す な わ ち 等 電 点 又 は pI) の ス ポ ッ ト に 達 す る ま で 、 pHグ ラ デ ィ エ ン ト 中 で pIに
よって分離される。この最初の分離工程はタンパク質の一次元アレイをもたらす。前記一
次元アレイのタンパク質は、最初の分離工程で用いられた技術と全般的に別個の技術を用
いて二次元でさらに分離される。例えば、等電点分離で分離されたタンパク質は、二次元
ではポリアクリルアミドゲルを用いて、例えばドデシル硫酸ナトリウムの存在下でポリア
ク リ ル ア ミ ド ゲ ル 電 気 泳 動 ( SDS-PAGE) を 用 い て さ ら に 分 離 さ れ る 。 SDS-PAGEゲ ル は タ ン
パク質の分子質量を基準にして更なる分離を可能にする。
二次元アレイのタンパク質は、当業界で公知の任意の適切な方法を用いて検出すること
ができる。タンパク質の染色は、比色染料(例えばクマシーブルー)、銀染色及び蛍光染
30
色(例えばルビーレッド)を用いて実施することができる。当業者には公知のように、タ
ン パ ク 質 ス ポ ッ ト を ゲ ル か ら 切 り 出 し 、 気 相 イ オ ン 分 光 分 析 法 ( gas-phase ion spectrom
etry) に よ っ て 分 析 す る こ と が で き る 。 ま た 別 に は 、 タ ン パ ク 質 は ゲ ル か ら 不 活 性 な メ ン
ブレンに(例えば電場を利用して)移し、気相イオン分光分析法によって分析することが
できる。
上記に記載したタンパク質分離技術は、単独で又は任意の組合せで用いることができる
。精製又は単離過程で、細胞保護活性を保持する分画を追跡するために分画をアッセイす
る こ と が 望 ま し い 。 例 え ば 、 培 養 液 又 は 分 画 を 、 少 な く と も 1つ の 細 胞 保 護 性 熱 シ ョ ッ ク
タンパク質の発現を誘発する能力についてスクリーニングすることができる。これらのア
ッセイは下記でさらに詳細に記載する。生物学的活性を有する調製物はアリコットとして
40
凍結し、抗炎症性及び細胞保護性化合物の同定、精製及び将来の製造のために後日用いる
ことができる。
【0026】
2.細胞保護化合物の同定
本発明の細胞保護化合物は、当業界で公知のタンパク質の同定方法によって同定される
。
例えば、条件付け培養液は先ず初めに分画され、前記分画は生物活性(例えば熱ショッ
クタンパク質発現の誘発能力)について検査されよう。活性を保持する分画の純度は、例
え ば PAGEと そ れ に 続 く 銀 染 色 分 析 に よ っ て 決 定 さ れ る 。 活 性 成 分 が 均 一 に な る ま で 分 解 し
た ら 、 タ ン パ ク 質 は 少 な く と も 2つ の 方 法 で 分 析 す る こ と が で き る 。 第 一 に 、 サ ン プ ル を
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真 空 の 試 験 管 で 24時 間 HClを 用 い て 6Nの 加 水 分 解 及 び 前 記 に 続 く HPLCマ ス シ ー ク ェ ン シ ン
グに付すことによってアミノ酸分析を実施して、問題のペプチドを構成する個々のアミノ
酸の全てを同定することができる。第二に、容易に識別できるトリプシンフラグメントか
ら分子内アミノ酸配列を決定することができる。単離されたタンパク質は典型的には濃縮
さ れ 、 続 い て ト リ プ シ ン で 処 理 さ れ る 。 フ ラ グ メ ン ト を 乾 燥 さ せ 、 続 い て C18逆 相 HPLCで
分解し、ピークのアミノ酸配列をフライト質量分析のマトリックス補助レーザー脱着イオ
ン 化 時 間 ( matrix-assisted laser desorption ionization-time of flight mass spectr
ometry; MALDI-TOF) に よ っ て 決 定 す る こ と が で き る 。 続 い て ア ミ ノ 酸 配 列 を 公 知 の 1つ 又
は 2つ 以 上 の 配 列 ( 例 え ば 任 意 の 公 知 の デ ー タ ベ ー ス ( SwissProt、 GenBank) で 見 出 さ れ
る配列)と比較し、問題のタンパク質又はペプチドを同定する。
10
【0027】
3.細胞保護化合物の性状決定
LGG-条 件 付 け 培 養 液 中 で 見 出 さ れ る 化 合 物 を 、 本 明 細 書 に 記 載 し た 方 法 又 は 当 業 界 で 公
知の方法を用いて細胞保護特性についてアッセイすることができる。細胞保護活性につい
ての指標には、例えば熱ショックタンパク質の発現を誘発する能力及び炎症性疾患をもつ
対象者で炎症を低下させる能力が含まれる。
( a) 熱 シ ョ ッ ク タ ン パ ク 質 :
本 明 細 書 に 開 示 す る デ ー タ は 、 LGG-条 件 付 け 培 養 液 が 熱 シ ョ ッ ク タ ン パ ク 質 、 特 に 少 な
く と も Hsp72及 び Hsp25の 発 現 を 誘 発 す る こ と を 示 す 。 熱 シ ョ ッ ク タ ン パ ク 質 は 、 環 境 的 ス
ト レ ス 因 子 か ら 細 胞 を 保 護 す る タ ン パ ク 質 フ ァ ミ リ ー で あ る 。 Hsp72は 、 極 め て 重 要 な 細
20
胞性タンパク質と結合して安定化させ、それらの変性を防ぐ。前記はまた、ミトコンドリ
ア の 完 全 性 の 維 持 、 チ ト ク ロ ー ム Cの 漏 出 の 阻 害 及 び カ ス パ ー ゼ 8活 性 の 封 鎖 に よ り 抗 ア ポ
ト ー シ ス 作 用 を 有 す る ( Liu et al. 2003) 。 Hsp25/27は ア ク チ ン 安 定 化 物 質 で あ り 、 細
胞骨格及び接着結合の機能を保存する。熱ショックタンパク質の発現を誘導する能力は、
LGG-条 件 付 け 培 養 液 中 の 活 性 な 化 合 物 が 細 胞 保 護 性 で あ る こ と を 示 し て い る 。
熱 シ ョ ッ ク タ ン パ ク 質 の 誘 発 を 分 析 す る 方 法 は 当 業 者 に は 公 知 で あ る 。 例 え ば 、 Hsp72
及 び Hsp25の 誘 発 は 、 特 異 的 な ア イ ソ フ ォ ー ム に 対 す る モ ノ ク ロ ー ナ ル 抗 体 ( Stressgen)
を用いる標準的なウェスタンブロット分析によって実施することができる。構成的熱ショ
ッ ク 同 族 体 、 Hsp60及 び Hsc73の 免 疫 ブ ロ ッ ト を 実 施 し て 、 応 答 の 特 異 性 を 確 認 し 、 さ ら に
レーンの等しいローディングを担保することができる(これらのタンパク質の発現は通常
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は 一 定 で あ る ) 。 さ ら に ま た 、 抗 体 を 用 い る 免 疫 蛍 光 及 び ELISAに よ っ て 熱 シ ョ ッ ク タ ン
パク質の発現を検出することができる。
熱 シ ョ ッ ク タ ン パ ク 質 の 誘 発 を 分 析 す る 他 の 方 法 に は 、 例 え ば RT-PCR、 ゲ ノ ム マ イ ク ロ
ア ッ セ イ 及 び リ ア ル タ イ ム PCRを 用 い る Hspの mRNAレ ベ ル の ア ッ セ イ が 含 ま れ る 。 熱 シ ョ ッ
ク タ ン パ ク 質 の 誘 発 を 分 析 す る ま た 別 の ア プ ロ ー チ は 、 転 写 因 子 HSF-1の 結 合 を 見 る 電 気
泳 動 移 動 度 シ フ ト ア ッ セ イ の 使 用 で あ る 。 さ ら に ま た 、 HSE-ル シ フ ェ ラ ー ゼ レ ポ ー タ ー ア
ッ セ イ を 用 い て 転 写 因 子 HSF-1の 活 性 を 測 定 す る こ と が で き る 。
【0028】
( b) 動 物 モ デ ル :
本発明の化合物の性状決定は、多様な動物モデルの使用を含むことができる。前記動物
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モデルには、特定の欠損を有するように、又はマーカーを含むように操作されたトランス
ジェニック動物が含まれ、前記動物は、体内の種々の細胞に到達し、前記細胞に影響を与
える候補物質の能力を測定するために用いることができる。それらの大きさ、扱い易さ、
それらの生理学及び遺伝的構成に関する情報、及びヒトの炎症モデルとして技術的に認知
された有効性から、マウスが、特に遺伝子導入研究のために好ましい動物モデルである。
しかしながら、他の動物も同様に適切であり、前記には例えばラット、ウサギ、ハムスタ
ー、モルモット、アレチネズミ、ウッドチャック、ネコ、イヌ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウ
シ、ウマ及びサル(チンパンジー、テナガザル及びヒヒを含む)が含まれる。アッセイは
、これらの種のいずれかに由来する動物モデルを用いて実施することができる。
大 腸 炎 の マ ウ ス モ デ ル の い く つ か の 例 に は 、 DSS-誘 発 大 腸 炎 モ デ ル 、 IL-10ノ ッ ク ア ウ
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ト マ ウ ス 、 A20ノ ッ ク ア ウ ト マ ウ ス 、 TNBS-誘 発 大 腸 炎 モ デ ル 、 IL-2ノ ッ ク ア ウ ト マ ウ ス 、
TCRア ル フ ァ レ セ プ タ ー ノ ッ ク ア ウ ト マ ウ ス 及 び E-カ ド ヘ リ ン ノ ッ ク ア ウ ト マ ウ ス が 含 ま
れる。
動物のテスト化合物(又は候補化合物)による処理は、適切な形態の化合物の動物への
投与を必要とする。当業者に公知の任意の炎症疾患モデル動物が用いられる。投与は、臨
床的又は非臨床的目的のために用いることができる任意のルートによって実施される。例
えば、化合物は、胃管強制給餌又は直腸投与によってデリバーされる。さらにまた、化合
物の保護作用は、動物モデルで例えば大腸炎を誘発する前に化合物を投与することによっ
てアッセイされる。
また別には、化合物の治療効果は、動物モデルで例えば大腸炎を誘発した後で化合物を
10
投与することによってアッセイされる。
化 合 物 の in vivoで の 有 効 性 の 決 定 は 多 様 な 異 な る 基 準 を 必 要 と す る 。 当 業 者 は 、 対 象
者(前記が動物であれ人間であれ)で炎症をアッセイするために利用可能な広範囲の技術
を熟知していよう。例えば、炎症は、組織学的評価及び大腸炎の重篤度の等級付けによっ
て測定される。対象者で炎症をアッセイする他の方法には、例えばミエロペルオキシダー
ゼ ( MPO) 活 性 、 輸 送 活 性 、 ヴ ィ リ ン 発 現 又 は 経 皮 電 気 抵 抗 ( TER) の 測 定 が 含 ま れ る 。
化合物の有効性はまた、細胞増殖を判定する検査を用いてアッセイすることができる。
例 え ば 、 細 胞 増 殖 は 、 5-ブ ロ モ -2'-デ オ キ シ ウ リ ジ ン ( BrdU) の 取 り 込 み を 測 定 す る こ と
によってアッセイすることができる。化合物の有効性を決定するまた別のアプローチはア
ポトーシスの程度の判定である。アポトーシスを調べる方法は当業界で公知であり、例え
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ば TUNELア ッ セ イ が 含 ま れ る 。
さ ら に ま た 、 毒 性 及 び ド ー ス レ ス ポ ン ス の 測 定 は 、 in vitro又 は in cytoア ッ セ イ よ り
も意義のある態様で、動物で実施することができ、当業界では日常的な方法である。
【0029】
C.医薬組成物
本発明の組成物は有効量の細胞保護化合物を含み、前記は医薬的に許容できる担体及び
/又 は 水 性 媒 体 に 溶 解 及 び /又 は 分 散 す る こ と が で き る 。
本発明の細胞保護化合物は、当業者に公知の任意の方法によってデリバーされる(例え
ば “ Remington's Pharmaceutical Sciences” (15th Edition)を 参 照 さ れ た い ) 。 例 え ば
、前記医薬組成物は経口的、直腸的、非経口的又は局所的にデリバーすることができる。
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本 発 明 の 化 合 物 を 含 む 溶 液 は 、 界 面 活 性 剤 ( 例 え ば ポ リ エ チ レ ン グ リ コ ー ル ( PEG) 又
はヒドロキシプロピルセルロース)と適切に混合された水で調製することができる。通常
の保存及び使用条件下では、これらの調製物は微生物の増殖を防ぐために保存料を含む。
注射に使用できる適切な剤形は、無菌的な注射可能溶液又は分散液を即席に調製するため
に、無菌的水溶液又は分散液及び無菌的粉末を含む。前記剤形は通常無菌的であるべきで
あり、さらに操作可能な注入性が存在しうる程度に流動性でなければならない。前記は製
造及び保存条件下で安定でなければならず、さらに微生物(例えば細菌及び菌類)の汚染
作用から防御されねばならない。
例えば水溶液での非経口投与のために、必要な場合は溶液を適切に緩衝化し、さらに希
釈液は先ず初めに十分な塩類又はグルコースで等張にされる。これら特定の水溶液は、特
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に静脈内、筋肉内、皮下、腫瘍内及び腹腔内投与に適切である。この関連において使用で
きる無菌的水性媒体は、本開示を考慮すれば当業者には明らかであろう。
【0030】
座 薬 も ま た 用 い る こ と が で き る 。 座 薬 は 、 多 様 な 重 量 及 び /又 は 形 状 を も つ 固 体 ( ゲ ル
を 含 む ) 剤 形 で あ り 、 通 常 は 直 腸 、 膣 及 び /又 は 尿 道 へ の 挿 入 の た め に 投 薬 さ れ る 。 挿 入
後 、 座 薬 は 軟 化 、 溶 融 及 び /又 は 体 腔 液 中 で 溶 解 す る 。 一 般 的 に は 、 座 薬 の た め に 慣 例 的
な 結 合 剤 及 び /又 は 担 体 ( 例 え ば ポ リ ア ル キ レ ン グ リ コ ー ル 及 び /又 は グ リ コ ー ル 及 び /又
は ト リ グ リ セ リ ド ) が 含 ま れ う る 。 そ の よ う な 座 薬 は 、 例 え ば 0.5%か ら 10%、 好 ま し く は 1
%か ら 2%の 範 囲 の 活 性 成 分 を 含 む 混 合 物 か ら 形 成 す る こ と が で き る 。 本 発 明 の 医 薬 組 成 物
はまた浣腸によってデリバーすることもできる。
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経口製剤は、通常用いられる賦形剤、例えば医薬等級のマンニトール、ラクトース、デ
ンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシ
ウムなどを含む。前記組成物は、溶液、懸濁液、錠剤、ピル、カプセル、徐放製剤及び/
又は散剤の形態をもつ。ある種の限定的態様では、経口医薬組成物は不活性な希釈剤及び
/又 は 同 化 吸 収 性 食 用 担 体 を 含 ん で い て も よ く 、 及 び /又 は そ れ ら は 硬 質 シ ェ ル -及 び /又 は
軟 質 シ ェ ル -ゼ ラ チ ン カ プ セ ル 中 に 封 入 さ れ て あ っ て も よ く 、 及 び /又 は そ れ ら は 錠 剤 に 打
錠 さ れ て も よ く 、 及 び /又 は そ れ ら は 食 事 療 法 の 食 品 中 に 直 接 取 り 込 ま れ て も よ い 。 経 口
用 治 療 薬 の 投 与 の た め に は 、 活 性 化 合 物 は 賦 形 剤 と と も に 取 り 込 ま せ る か 、 及 び /又 は 摂
取可能な錠剤、頬内錠剤、トローチ、カプセル、エリキシル、懸濁液、シロップ、ウェフ
ァ ー ス な ど の 形 で 用 い る こ と が で き る 。 そ の よ う な 組 成 物 及 び /又 は 調 製 物 は 少 な く と も 0
10
.1%の 活 性 化 合 物 を 含 む べ き で あ る 。 組 成 物 及 び /又 は 調 製 物 の パ ー セ ン テ ー ジ は も ち ろ ん
変 動 さ せ る こ と が で き 、 及 び /又 は 便 利 に は ユ ニ ッ ト の 約 2か ら 約 75%、 好 ま し く は 25か ら 6
0%の 間 で あ ろ う 。 そ の よ う な 治 療 的 に 有 用 な 組 成 物 中 の 活 性 化 合 物 の 量 は 、 適 切 な 服 用 量
が得られるような量である(そのような量は当業界で公知であるか又は決定可能である)
。
【0031】
錠剤、トローチ、ピル、カプセルなどはまた以下を含むことができる:結合剤、例えば
トラガカントゴム、アラビアゴム、トウモロコシデンプン;賦形剤、例えばリン酸二カル
シウム;崩壊剤、例えばトウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、アルギン酸など;
滑 沢 剤 、 例 え ば ス テ ア リ ン 酸 マ グ ネ シ ウ ム ; 及 び /又 は 甘 味 剤 ( 例 え ば シ ュ ク ロ ー ス 、 ラ
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ク ト ー ス 及 び /又 は サ ッ カ リ ン を 添 加 す る こ と が で き る ) ; 及 び /又 は 香 料 、 例 え ば ペ パ ー
ミ ン ト 、 冬 緑 油 、 及 び /又 は サ ク ラ ン ボ 香 料 。 ユ ニ ッ ト 剤 形 が カ プ セ ル の 場 合 、 前 記 は 上
記のタイプの材料の他に液体担体を含むことができる。他の種々の材料も、コーティング
と し て 及 び /又 は 剤 形 の 物 理 的 形 態 の 改 変 の た め に 存 在 す る こ と が で き る 。 例 え ば 、 錠 剤
、 ピ ル 及 び /又 は カ プ セ ル は 、 シ ェ ラ ッ ク 、 糖 及 び /又 は そ の 両 方 で 被 覆 す る こ と が で き る
。エリキシルのシロップは、活性化合物、甘味剤としてのシュクロース、保存料としてメ
チ ル 及 び /又 は プ ロ ピ ル パ ラ ベ ン 、 色 素 及 び /又 は 香 料 ( 例 え ば サ ク ラ ン ボ 及 び /又 は オ レ
ンジ香料)を含むことができる。
局所製剤には、活性化合物を含むクリーム、軟膏、ジェリー、ゲル、上皮溶液又は懸濁
液などが含まれる。
30
人 体 へ の 投 与 の た め に は 、 調 製 物 は 、 FDAの 生 物 製 剤 基 準 に よ っ て 要 求 さ れ る 無 菌 性 、
発熱源性、一般的安全性及び純度基準を満たさなければならない。
“医薬的に許容できる”及び“薬理学的に許容できる”という語句は、人体に投与され
たときアレルギー反応又は同様な望ましくない反応を生じない分子物質及び組成物を指す
。
細胞保護化合物の投与量及び投薬スケジュールは、対象者間で、例えば対象者の体重及
び年齢、治療される疾患のタイプ、症状の重篤度、以前の又は併用される治療的介入、投
与態様などを考慮して変動させることができ、前記は当業者には容易に決定しうる。
投与は、剤形に適合しうるいずれかの態様で、治療的に有効な量で実施される。投与さ
れるべき量は治療される対象者に左右される。投与に要求される活性成分の正確な量は、
40
医師の判断に左右される。
【0032】
D.実施例
以下の実施例は、本発明の好ましい実施態様を示すために含まれる。以下の実施例に開
示される技術は、本発明を良好に実施するために本明細書に開示した技術を反映している
ことは当業者には理解されよう。しかしながら、本発明の開示を考慮すれば、本明細書に
開示された具体的な実施態様において多くの改変を実施することが可能であり、さらに前
記改変によりなお同様な結果が本発明の範囲を逸脱することなく得られることは当業者に
は理解されよう。
以 下 の 実 施 例 で 報 告 さ れ る 全 て の 実 験 は 、 そ れ ぞ れ 最 低 限 3か ら 6回 く り 返 さ れ た 。 全 て
50
(18)
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の数値は平均±前記平均の標準誤差として表される。複数の比較が実施されるときは、ボ
ン フ ェ ロ ー ニ ( Bonferroni) の 修 正 を 用 い る ANOVA分 析 を 、 群 間 の 相 違 の 有 意 性 の 判 定 に
用 い た 。 P< 0.05は 統 計 的 に 有 意 で あ る と 考 え た 。
【0033】
実施例1
培養
組 織 培 養 : YAMC( young adult mouse colon: 若 年 成 獣 マ ウ ス 結 腸 ) 細 胞 は 、 イ ン モ ー
テ ィ マ ウ ス ( Immortimouse) に 由 来 す る 、 条 件 付 き 不 朽 化 マ ウ ス 結 腸 上 皮 細 胞 株 で あ る 。
こ れ ら の 細 胞 は 、 温 度 感 受 性 SV40大 型 T抗 原 ( tsA58) の ト ラ ン ス ジ ー ン を MHCク ラ ス IIプ
ロ モ ー タ ー の イ ン タ ー フ ェ ロ ン -ガ ン マ 感 受 性 部 分 の 制 御 下 で 発 現 す る ( Whitehead et al
10
. 1993( 前 記 文 献 は 参 照 に よ り 本 明 細 書 に 含 ま れ る ) ) 。 こ の 特 殊 な 特 性 に よ っ て 、 YAMC
細 胞 は 、 イ ン タ ー フ ェ ロ ン -ガ ン マ ( IFN-γ ) の 非 存 在 下 、 37℃ の ノ ン パ ー ミ ッ シ ブ ( 非
形 質 転 換 性 ) 条 件 下 で 培 養 す る こ と が で き る 。 YAMC細 胞 は 、 5%( vol/vol) の ウ シ 胎 児 血
清 、 5U/mLの ネ ズ ミ IFN-γ ( GibcoBRL, Grand Island, NY) 、 50μ g/mLの ス ト レ プ ト マ イ
シ ン 及 び 50U/mLの ペ ニ シ リ ン を 含 み 、 ITS-Xプ レ ミ ッ ク ス ( Collaborative Biomedical Pr
oducts, Bedford, MA) を 補 充 し た RPMI1640培 養 液 で 、 パ ー ミ ッ シ ブ ( 33℃ ) 条 件 下 で 維
持した。
イ ン タ ー フ ェ ロ ン -ガ ン マ ( IFN-γ ) の 非 存 在 下 、 37℃ の ノ ン パ ー ミ ッ シ ブ ( 非 形 質 転
換性)条件下で、これらの細胞は分化を開始し、成熟上皮細胞の機能及び特性(接着結合
の形成、極性、微小絨毛性先端を有する膜及び輸送機能を含む)を発達させる。
20
5
各 実 験 の 前 に 、 60mmの 組 織 培 養 皿 に つ き 2x 10 細 胞 の 密 度 で 細 胞 を 播 種 し た 。 RNAの 調
5
製 の た め に は 、 100mmの 組 織 培 養 皿 に つ き 7.5x 10 細 胞 の 密 度 で 細 胞 を 播 種 し た 。 33℃ で 2
4時 間 増 殖 さ せ た 後 、 前 記 培 養 液 を IFN-非 含 有 培 養 液 と 交 換 し 、 細 胞 を 37℃ ( ノ ン パ ー ミ
ッ シ ブ 条 件 ) に 移 し て 24時 間 、 分 化 し た 結 腸 細 胞 表 現 型 を 獲 得 さ せ た 。 細 胞 を LGG-条 件 付
け 培 養 液 ( 1: 10希 釈 又 は 600μ L) で 一 晩 処 理 し 、 続 い て 次 の 日 に 採 集 し た 。 熱 シ ョ ッ ク
コ ン ト ロ ー ル は 、 42℃ で 23分 熱 シ ョ ッ ク を 与 え 、 続 い て 採 集 前 に 37℃ で 2時 間 維 持 し た 。
細 菌 培 養 : プ ロ バ イ オ テ ィ ッ ク 細 菌 、 ラ ク ト バ シ ル ス GG( ATCC53103) は 、 MRSブ ロ ス で
9
16時 間 ほ ぼ 3x 10 CFU/mL ( コ ロ ニ ー 計 測 に よ っ て 決 定 さ れ る ) の 濃 度 に 増 殖 さ せ 、 続 い
て 卓 上 ソ ー バ ル ( Sorvall) 遠 心 機 ( 3000xg) で 4℃ 、 10分 の 低 速 で 遠 心 し た 。 MRSブ ロ ス
は 、 ブ ロ ス 1リ ッ ト ル 当 た り 以 下 を 含 む : 10gの バ ク ト プ ロ テ オ ー ス ペ プ ト ン ( Bacto Prot
30
eose Peptone) #3、 10gの バ ク ト ビ ー フ エ キ ス ト ラ ク ト 、 5gの バ ク ト イ ー ス ト エ キ ス ト ラ
ク ト 、 20gの バ ク ト デ キ ス ト ロ ー ス 、 1.0gの ポ リ ソ ル ベ ー ト 80、 2.0gの ク エ ン 酸 ア ン モ ニ
ウ ム 、 5.0gの 酢 酸 ナ ト リ ウ ム 、 0.1gの 硫 酸 マ グ ネ シ ウ ム 、 0.05gの 硫 酸 マ ン ガ ン 、 2.0gの
リ ン 酸 二 カ リ ウ ム 。 上 清 ( 条 件 付 け 培 養 液 ) を 0.22ミ ク ロ ン の タ ン パ ク 質 低 結 合 性 ミ レ ッ
ク ス ( Millex) フ ィ ル タ ー ( Millipore, Billerica, MA) で ろ 過 し て 滅 菌 し 、 全 て の 細 菌
細 胞 を 除 去 し た 。 LGG-条 件 付 け 培 養 液 の ア リ コ ッ ト を 無 菌 的 な 微 量 遠 心 管 に -80℃ で 更 な
る使用まで保存した。
【0034】
実施例2
LGG-CMは 腸 上 皮 細 胞 で Hsp25及 び Hsp72の 発 現 を 誘 発 す る ( ウ ェ ス タ ン 分 析 )
40
腸 上 皮 細 胞 を プ ロ バ イ オ テ ィ ッ ク LGG由 来 の 条 件 付 け 培 養 液 で 処 理 し 、 続 い て 誘 導 性 熱
ショックタンパク質発現についてアッセイした。発現をウェスタンブロット分析するため
に 、 細 胞 を 2回 洗 浄 し 、 続 い て 氷 冷 PBS( 137mMの NaCl、 2.7mMの KCl、 8mMの Na2 HPO4 , pH7.4
) 中 に 掻 き 取 っ た 。 細 胞 を 沈 殿 さ せ ( 14000xgで 20秒 、 室 温 ) 、 続 い て 氷 冷 溶 解 緩 衝 液 ( 1
0mMト リ ス ( pH7.4) 、 5mMの MgCl2、 そ れ ぞ れ 50U/mLの DNAse及 び RNAse、 及 び 完 全 な プ ロ テ
ア ー ゼ 阻 害 剤 カ ク テ ル ( Roche Molecular Biochemicals, Indianapolis, IN) ) に 再 懸 濁
し た 。 タ ン パ ク 質 濃 度 を ビ シ ン コ ニ ン 酸 法 ( Smith et al. 1985) を 用 い て 決 定 し た 。 3X
の レ ム リ ( Laemmli) 停 止 緩 衝 液 の 添 加 後 に サ ン プ ル を 75℃ で 5分 加 熱 し 、 続 い て 使 用 ま で
-80℃ で 保 存 し た 。
レ ー ン 当 た り 20マ イ ク ロ グ ラ ム の タ ン パ ク 質 を 12.5%の SDS-PAGEで 分 析 し た 。 以 前 に 記
50
(19)
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載 さ れ た よ う に ( Kojima et al. 2003) 、 サ ン プ ル を 1 Xの ト ウ ビ ン ( Towbin) 緩 衝 液 ( 2
5mMト リ ス 、 192mMグ リ シ ン ( pH8.8) 、 15%vol/volメ タ ノ ー ル ) 中 で PVDFメ ン ブ レ ン ( Per
kin-Elmer NEN, Boston, MA) に 移 し た 。 メ ン ブ レ ン は 、 TBS-ト ゥ イ ー ン ( 0.01%( vol/vo
l) の ト ゥ イ ー ン 20添 加 ト リ ス 緩 衝 食 塩 水 ( 150mMの NaCl、 5mMの KCl、 10mMト リ ス ( pH7.4
) ) 中 の 5%( wt/vol) 脱 脂 乳 で 1時 間 室 温 で 封 鎖 し た 。 一 次 抗 体 ( す な わ ち 特 異 的 な 抗 Hsp
25抗 体 ( SPA801, Stressgen, Victoria, BC, Canada) 、 抗 Hsp72抗 体 ( SPA810, Stressge
n) 、 又 は 抗 Hsc73抗 体 ( SPA815, Stressgen) ) を TBS-ト ゥ イ ー ン に 添 加 し 、 一 晩 4℃ で イ
ン キ ュ ベ ー ト し た 。 二 次 抗 体 と と も に イ ン キ ュ ベ ー ト す る 前 に ブ ロ ッ ト を TBS-ト ゥ イ ー ン
で 5回 洗 浄 し た 。 メ ン ブ レ ン を セ イ ヨ ウ ワ サ ビ ペ ル オ キ シ ダ ー ゼ に 結 合 さ せ た 二 次 抗 体 ( J
ackson Immunoresearch Labs, Inc., Fort Washington, PA) と と も に 室 温 で 1時 間 イ ン キ
10
ュ ベ ー ト し 、 続 い て TBS-ト ゥ イ ー ン で 5 回 洗 浄 し 、 そ の 後 TBS( ト ゥ イ ー ン 無 し ) で 最 後
の 洗 浄 を 実 施 し た 。 続 い て メ ン ブ レ ン を 強 化 化 学 発 光 系 ECL試 薬 ( Supersignal, Pierce,
Rockford, IL) で 処 理 し 、 製 造 元 の 指 示 に し た が っ て 現 像 し た 。
プ ロ バ イ オ テ ィ ッ ク LGG由 来 の 条 件 付 け 培 養 液 は 、 培 養 さ れ た ネ ズ ミ 結 腸 YAMC細 胞 で 熱
シ ョ ッ ク タ ン パ ク 質 Hsp25及 び Hsp72の 発 現 を 時 間 依 存 性 態 様 で 誘 発 し 、 Hsp25の 発 現 は 18
− 20時 間 後 に 開 始 し 、 Hsp72は い く ぶ ん 早 く 発 現 さ れ た ( 先 ず 初 め に 6− 8時 間 で 出 現 し た
) ( 図 1A) 。 こ の 処 理 過 程 の 間 に 、 構 成 的 に 発 現 さ れ る ハ ウ ス キ ー ピ ン グ 遺 伝 子 hsc73は
変 化 せ ず 、 LGG-CMの 作 用 は 、 熱 シ ョ ッ ク タ ン パ ク 質 の 誘 導 型 に 特 異 的 で あ る こ と が 示 さ れ
た 。 さ ら に ま た 、 上 皮 細 胞 は LGG-CMに 濃 度 依 存 的 態 様 で 応 答 し 、 も っ と も 激 烈 な 応 答 は 1
: 10希 釈 で 観 察 さ れ た ( 図 1B) 。 熱 シ ョ ッ ク 応 答 は 未 処 理 細 胞 ( NOTX) ( 図 1B、 最 初 の レ
20
ー ン ) 又 は 非 条 件 付 け MRSブ ロ ス と 接 触 さ せ た 細 胞 ( 図 1B、 二 番 目 の レ ー ン ) で は 観 察 さ
れなかった。
温 度 ス ト レ ス で 観 察 さ れ た 迅 速 な 応 答 と は 異 な り ( 温 度 ス ト レ ス は ほ ぼ 2時 間 以 内 に YAM
C細 胞 で 熱 シ ョ ッ ク タ ン パ ク 質 を 誘 発 す る ) 、 LGG-CMに 対 す る 応 答 は は る か に 長 い 時 間 を
要 し た 。 し た が っ て 、 LGG-CMに よ る Hsp誘 発 と 温 度 ス ト レ ス を 引 き 起 こ す メ カ ニ ズ ム は 異
なる。
Hsp誘 発 が LGG-CMへ の 一 過 性 暴 露 後 に 開 始 さ れ う る か 否 か も ま た 決 定 さ れ た 。 換 言 す れ
ば 、 LGG-CMが 処 理 過 程 の 初 期 に 洗 い 流 さ れ た な ら ば 、 こ の 一 過 性 暴 露 は Hspを 誘 発 さ せ る
た め に 十 分 で あ る の か 、 又 は Hsp誘 発 は も っ と 長 い LGG-CMへ の 暴 露 を 必 要 と す る の か が 質
問 で あ る 。 細 胞 を LGG-CMに 短 時 間 暴 露 し 、 前 記 LGG-CMを 洗 い 流 し 、 続 い て 細 胞 を 通 常 の よ
30
う に 採 集 し 、 Hsp産 生 に つ い て 分 析 し た ( 図 10A) 。 数 分 の 暴 露 時 間 で も 激 烈 な Hsp誘 発 応
答を誘発するために十分であり、上皮細胞で熱ショックタンパク質の誘発のためのシグナ
ルの開始に要求される時間は非常に短いことが示された。
【0035】
実施例3
MAPキ ナ ー ゼ ア ッ セ イ
シ グ ナ ル ト ラ ン ス ダ ク シ ョ ン 経 路 の LGG-CM誘 発 Hsp発 現 へ の 関 与 を 判 定 す る た め に 、 MAP
キ ナ ー ゼ ア ッ セ イ を 実 施 し た 。 こ れ ら の ア ッ セ イ の た め に 、 TBS-ト ゥ イ ー ン 中 の 3%( w/v
) ウ シ 血 清 ア ル ブ ミ ン で PVDFメ ン ブ レ ン を 1時 間 室 温 で 封 鎖 し た 。 一 次 抗 体 を TBS-ト ゥ イ
ー ン に 添 加 し 、 一 晩 4℃ で イ ン キ ュ ベ ー ト し た 。 前 記 一 次 抗 体 は MAPキ ナ ー ゼ 又 は 関 連 分 子
40
の 形 態 の 1つ に 特 異 的 で あ り 、 抗 38MAPキ ナ ー ゼ ( MAPK) 抗 体 ( #9212, Cell Signaling, B
everly, MA) 、 抗 ホ ス ホ -p38MAPK抗 体 ( #9211S, Cell Signaling) 、 抗 -p44/42MAPK抗 体
( #9102, Cell Signaling) 、 抗 -ホ ス ホ -p44/42MAPK抗 体 ( #9101S) 、 抗 -SAPK/JNK抗 体 (
#9252, Cell Signaling) 、 及 び 抗 -ホ ス ホ -SAPK/JNK抗 体 ( #9251S, Cell Signaling) が
含まれる。キナーゼのリン酸化形は活性化された形態を示す。陽性コントロールとして、
37.7μ M の ア ニ ソ マ イ シ ン ( Alexis, San Diego, CA) を p38及 び SAPK/JNK活 性 化 の た め に
用 い 、 さ ら に 100nMの ホ ル ボ ル 12-ミ リ ス テ ー ト 13-ア セ テ ー ト ( PMA) (Sigma, St. Louis,
MO)を ERK1/2活 性 化 の た め に 用 い た 。
MAPキ ナ ー ゼ 阻 害 剤 を 用 い た 実 験 に よ っ て 、 MAPキ ナ ー ゼ ア ッ セ イ で 得 ら れ た 結 果 が 確 認
さ れ た 。 MAPキ ナ ー ゼ 阻 害 剤 実 験 で 、 YAMC細 胞 を い く つ か の 公 知 の MAPキ ナ ー ゼ 阻 害 剤 の 1
50
(20)
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つ 、 す な わ ち p38阻 害 剤 SB203580( 20μ M; Alexis Biochemicals, Carlsbad, CA) 、 JNK阻
害 剤 SP600125( 20μ M; Alexis Biochemicals) 、 又 は ERK阻 害 剤 PD98059( 50μ M; Alexis
Biochemicals) に LGG-CMの 添 加 前 に 2時 間 暴 露 し た 。 LGG-CMの 添 加 後 15分 間 細 胞 を イ ン キ
ュ ベ ー ト し た 。 培 養 液 を 続 い て 新 し い RPMIと 交 換 し 、 さ ら に YAMC細 胞 を 4時 間 後 に ウ ェ ス
タンブロット分析のために採集した。
LGG-CMに 対 す る 応 答 の 迅 速 性 を 所 与 の も の と 仮 定 す れ ば 、 デ ー タ は 、 上 皮 細 胞 内 で の 応
答の成立にシグナルトランスダクションが必要であるということと一致する。この可能性
を 究 明 す る た め に 、 細 胞 を 15分 間 LGG-CMで 処 理 し 、 続 い て キ ナ ー ゼ ア ッ セ イ を 実 施 し た 。
【0036】
多 く の タ ン パ ク 質 キ ナ ー ゼ が 、 ス ト レ ス ( 例 え ば LPS、 TNFα 、 熱 、 紫 外 線 照 射 、 化 学 物
10
質及び浸透圧ショック)によって活性化されことが知られており、これらのキナーゼのい
く つ か は MAPキ ナ ー ゼ フ ァ ミ リ ー に 属 す る ( Keyse, Stress Response:methods and protoc
ols, Totowa:Humana Press, 2000) 。 し た が っ て 、 こ の 群 の キ ナ ー ゼ に 対 す る 作 用 が シ グ
ナルトランスダクションの活性化についての情報読出しとして選択された。短時間暴露の
後でさえ、処理細胞と未処理細胞との間のキナーゼ活性化における相違は極めて明瞭であ
っ た ( 図 10B) 。 LGG-CMの み に よ る 細 胞 の 前 処 理 に よ っ て 調 べ た 3つ の MAPキ ナ ー ゼ の 全 て
が 活 性 化 さ れ た 。 YAMC細 胞 で は 基 準 値 レ ベ ル の 活 性 化 ERK1/2が 存 在 す る が 、 LGG-CMに よ る
ERK1/2の 活 性 化 は ホ ル ボ ル エ ス テ ル PMAに よ る 活 性 化 と ほ ぼ 同 じ よ う に 激 烈 で あ っ た 。 一
方 、 LGG-CM処 理 は 明 瞭 で は あ る が 、 ア ニ ソ マ イ シ ン ( p38及 び SAP/JNK活 性 化 の 公 知 の 強 力
な 刺 激 物 質 ) で 観 察 さ れ る ほ ど 劇 的 で は な い 活 性 化 を も た ら し た 。 調 べ た 3つ 全 て の MAPキ
20
ナ ー ゼ の 阻 害 剤 を 用 い て 、 MAPキ ナ ー ゼ 経 路 の 活 性 化 が LGG-CMに よ る Hsp誘 発 の た め に 要 求
さ れ る か 否 か を 決 定 し た 。 LGG-CM処 理 の 前 に 、 YAMC細 胞 を p38及 び JNKの 阻 害 剤 に 暴 露 す る
こ と に よ っ て Hsp72発 現 が 阻 止 さ れ 、 し た が っ て 、 上 皮 細 胞 で の LGG-CMに よ る Hspの 誘 発 に
お け る MAPキ ナ ー ゼ シ グ ナ リ ン グ 経 路 の 役 割 が 確 認 さ れ た 。
ス ト レ ス 条 件 下 で Hsp72( Hsp70) に よ っ て 付 与 さ れ る 細 胞 保 護 は 、 部 分 的 に は 、 p38及
び JNK( 前 記 は ス ト レ ス 誘 発 細 胞 死 に 対 す る 抵 抗 性 を 付 与 す る ) の 阻 害 を 介 し て 作 動 す る
と 報 告 さ れ た ( Gabai et al. J. Biol. Chem. 272:18033-18037, 1997; Mosser et al. M
ol. Cell Biol. 17: 5317-5327, 1997) 。 し か し な が ら 、 本 明 細 書 に 開 示 し た デ ー タ は 、
LGG-CM処 理 後 に 観 察 さ れ る p38及 び JNK活 性 化 の 阻 害 は お そ ら く Hsp72( Hsp70) の た め で は
ありえないことが確立された。なぜならば、前記作用はそのような短時間内に生じ、さら
30
に LGG-CM処 理 後 の Hspの 出 現 に は 数 時 間 を 要 す る か ら で あ る 。 JNKの 活 性 化 は 、 化 学 的 及 び
物 理 的 ス ト レ ス 条 件 下 に お け る 細 胞 死 の 仲 介 に 重 要 な 役 割 を 果 た す こ と が 示 さ れ 、 JNKを
封鎖することによって、種々の形態のストレスにより誘発される細胞死に対する抵抗性が
付 与 さ れ る ( Zanke et al. Curr. Biol. 6:606-613, 1996) 。 同 様 な 観 察 が キ ナ ー ゼ p38
に つ い て も 得 ら れ ( Gabai et al. 1997) 、 p38及 び JNKは 両 者 と も 、 ERK1/2と は 別 個 の 共
通 経 路 を 介 し て 作 動 す る こ と が 実 験 に よ り 示 さ れ た ( Liu et al. Free Radic Biol. Med.
21:771-781, 1996) 。 し た が っ て 、 LGG-CM中 の 可 溶 性 因 子 が そ れ ら 自 身 の 細 胞 保 護 特 性
を も ち 、 前 記 因 子 は そ れ ら 自 身 の 細 胞 保 護 性 Hspの 誘 発 能 力 に 加 え て 、 さ ら に 他 の メ カ ニ
ズムを介して作動すると予想される。
Yanら ( J. Biol. Chem. 277:50959-50965, 2002) の 報 告 と は 対 照 的 に 、 ラ ク ト バ シ ル
40
ス GGは 、 条 件 付 け 培 養 液 か ら 回 収 す る こ と が で き る 少 な く と も 1つ の 生 物 活 性 因 子 を 確 か
に 生 成 す る 。 増 殖 実 験 は 、 MRS培 養 液 で 増 殖 さ せ た と き 、 細 菌 が こ れ ら 生 物 活 性 因 子 を 産
生 す る に は 少 な く と も 18時 間 を 要 す る こ と 、 及 び 前 記 細 菌 は 組 織 培 養 液 で 増 殖 さ せ た と き
はこれら生物活性因子を産生しないことを明らかにした。
【0037】
実施例4
RNAの 単 離 及 び 逆 転 写
細 胞 を 2回 氷 冷 HBSで 洗 浄 し 、 上 記 に 記 載 し た よ う に 採 集 し 、 続 い て 1.0mLの TRIzol(商 標
)( Invitrogen, Carlsbad, CA) を 製 造 元 の 指 示 に し た が っ て 添 加 し 、 さ ら に 均 一 化 に 使
用 し た TRIzolの 1mLに つ き 200μ Lの ク ロ ロ ホ ル ム ( Fisher, Fair Lawn, NJ) を 加 え 、 材 料
50
(21)
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を 14000Xgで 4℃ 15分 遠 心 し た 。 水 相 を 取 り 出 し 、 イ ソ プ ロ パ ノ ー ル を 用 い て RNAを 沈 殿 さ
せ 、 続 い て 75%エ タ ノ ー ル で 2回 洗 浄 し た 。 RNAペ レ ッ ト を 乾 燥 さ せ 、 RNaseを 含 ま な い 水 に
溶 解 さ せ 、 続 い て RNeasyス ピ ン カ ラ ム ( QIAGEN, Valencia, CA) を 製 造 元 の 指 示 に し た が
っ て 用 い て さ ら に 精 製 し た 。 サ ン プ ル の 完 全 性 を 1%ア ガ ロ ー ス ゲ ル 及 び 280nmと 260nmで の
吸 収 に よ っ て 分 析 し た 。 cDNAは ス ー パ ー ス ク リ プ ト ( SuperScript) IIRT( Invitrogen, C
arlsbad, CA) を 用 い て 合 成 し た 。 逆 転 写 酵 素 反 応 は 、 総 容 積 20μ L中 に 全 RNA 3μ gを 用 い
て 実 施 し た ( 前 記 20μ L中 に は 以 下 が 含 ま れ て い る : 1Xの 第 一 鎖 緩 衝 液 、 250ngラ ン ダ ム ヘ
キ サ ヌ ク レ オ チ ド プ ラ イ マ ー 、 3μ gの RNA、 500μ Mの dNTP、 10mMの DTT、 40ユ ニ ッ ト の RNas
e outリ ボ ヌ ク レ ア ー ゼ 阻 害 剤 、 及 び 200ユ ニ ッ ト の ス ー パ ー ス ク リ プ ト IIRT) 。 前 記 反 応
混 合 物 を 25℃ で 10分 、 続 い て 42℃ で 50分 イ ン キ ュ ベ ー ト し 、 そ の 後 、 逆 転 写 酵 素 を 70℃ で
10
15分 加 熱 し て 不 活 化 し た 。 前 記 cDNAを PCRに よ る 増 幅 の た め の 鋳 型 と し て 用 い た 。 cDNAサ
ン プ ル を 1: 5に 希 釈 し 、 更 な る 実 験 の た め に -20℃ で 保 存 し た 。 イ ソ プ ロ パ ノ ー ル を 用 い
て RNAを 沈 殿 さ せ 、 続 い て 75%エ タ ノ ー ル /DEPC処 理 水 で 2回 洗 浄 し た 。 サ ン プ ル の 完 全 性 は
1%ア ガ ロ ー ス ゲ ル 及 び 280nmと 260nmで の UV波 長 吸 収 分 析 に よ っ て 分 析 し た 。 続 い て 、 当 業
界 で 公 知 の よ う に こ の 吸 収 比 を RNA純 度 の 立 証 に 用 い た 。
【0038】
実施例5
リ ア ル タ イ ム PCR
リ ア ル タ イ ム PCRを 用 い て Hsp発 現 の タ イ ム コ ー ス を 決 定 し た 。 マ ウ ス Hsp25及 び Hsp72コ
ー ド 領 域 の た め の プ ラ イ マ ー は 、 GenBankか ら ダ ウ ン ロ ー ド し た 配 列 を 用 い て 設 計 し た 。
20
プ ラ イ マ ー は プ ラ イ マ ー エ ク ス プ レ ス ソ フ ト ウ ェ ア ( Applied Biosystems, Foster City,
CA) を 用 い て 設 計 し た 。 マ ウ ス Hsp25の セ ン ス 及 び ア ン チ セ ン ス プ ラ イ マ ー は 以 下 の と お
り で あ る : 5'-CCA TGT TCG TCC TGC CTT TC-3'( 配 列 番 号 :1) 及 び 5'-GAG GGC TGC TTC T
GA CCT TCT-3'( 配 列 番 号 :2) ; マ ウ ス Hsp72の セ ン ス 及 び ア ン チ セ ン ス プ ラ イ マ ー は 以 下
の と お り で あ る : 5'-GGC TGA TCG GAC GGA AGT T-3'( 配 列 番 号 :3) 及 び 5'-GGA ACG GCC
AGT GCT TCA T-3'( 配 列 番 号 :4) ; マ ウ ス GAPDHの セ ン ス 及 び ア ン チ セ ン ス プ ラ イ マ ー は
以 下 の と お り で あ る : 5'-GGC AAA TTC AAC GGC ACA GT-3'( 配 列 番 号 :5) 及 び 5'-AGA TGG
TGA TGG GCT TCC C-3'( 配 列 番 号 :6) 。 リ ア ル タ イ ム PCRは 、 iQSYBRグ リ ー ン PCRス ー パ
ー ミ ッ ク ス ( Bio-Rad, Hercules, CA) を 用 い て iCycler( Bio-Rad, Hercules, CA) で ト
リ プ リ ケ ー ト と し て 実 施 し た 。 PCR生 成 物 の 直 接 検 出 は 、 SYBRグ リ ー ン 色 素 の 二 本 鎖 ( ds
30
) DNAへ の 結 合 に よ っ て 生 じ る 蛍 光 の 増 加 を 測 定 す る こ と に よ っ て モ ニ タ ー し た 。 25μ Lの
最 終 容 積 は 1Xの SYBRグ リ ー ン PCRス ー パ ー ミ ッ ク ス 及 び 最 終 濃 度 300nMの プ ラ イ マ ー を 含 ん
で い た 。 3μ Lの 希 釈 ( 1: 5) cDNAを 23μ Lの PCRマ ス タ ー 混 合 物 に 添 加 し た 。 以 下 の 定 量 化
サ イ ク リ ン グ プ ロ ト コ ル を 用 い た : Taq DNAポ リ メ ラ ー ゼ の 活 性 化 に 95℃ 4分 、 続 い て 95℃
で 15秒 の 変 性 と 60℃ で 15秒 の ア ニ ー リ ン グ -伸 長 の 45サ イ ク ル 。 閾 値 サ イ ク ル パ ラ メ ー タ
( Ct) は 、 蛍 光 が 基 準 値 よ り 高 い 固 定 閾 値 を 超 え た サ イ ク ル 部 分 の 数 と 定 義 さ れ る 。 Δ Ct
値 は 、 平 均 Hsp25又 は Hsp72 Ct値 か ら 平 均 GAPDH Ctを 差 し 引 く こ と に よ っ て 決 定 さ れ た 。
Δ Δ Ct計 算 は 、 サ ン プ ル プ レ ー ト で 標 準 曲 線 を 実 施 せ ず に 標 的 の 相 対 的 定 量 の た め に 用 い
ら れ た 。 こ れ に は 、 Δ Δ Ctの 標 準 偏 差 が Δ Ct値 の 標 準 偏 差 と 同 じ で あ る よ う に 、 任 意 の 定
数 を 差 し 引 く こ と が 必 要 で あ る 。 GAPDH内 在 性 コ ン ト ロ ー ル に 対 し て YAMC RNA( 標 的 遺 伝
40
子)での変化が何倍かは、以下の等式を用いて決定した:
変化(倍)=2
- Δ Δ C t
リ ア ル タ イ ム PCRを 用 い て 、 Hsp25及 び Hsp72の 両 mRNAレ ベ ル は LGG-CM処 理 後 増 加 す る こ
と が 見 出 さ れ 、 こ れ ら 2つ の Hspの LGG-CMに よ る 誘 発 は 転 写 性 で あ る こ と が 示 さ れ た ( 図 12
)。
【0039】
実施例6
電気泳動移動度シフトアッセイ
LGG-CMに よ る Hsp誘 発 の 特 性 を さ ら に 解 明 す る た め に 、 電 気 泳 動 移 動 度 シ フ ト ア ッ セ イ
( EMSA) を 実 施 し た ( 図 8) 。 上 記 に 記 載 し た よ う に 、 細 胞 を LGG-条 件 付 け 培 養 液 ( LGG-C
50
(22)
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M) 又 は 熱 シ ョ ッ ク の い ず れ か で 処 理 し た 。 全 細 胞 抽 出 物 を ド ラ イ ア イ ス /ア ル コ ー ル 浴 で
1回 凍 結 し 、 ピ ペ ッ ト の 先 端 で 穏 や か に 切 り 裂 き 、 さ ら に 50000Xg、 4℃ で 5分 遠 心 す る こ と
に よ っ て 溶 解 緩 衝 液 中 で 調 製 し た ( 例 え ば Mosser et al.(1988)を 参 照 さ れ た い : 前 記 文
献は参照により本明細書に含まれる)。溶解緩衝液:完全プロテアーゼ阻害剤カクテルを
含 む 、 25%(v/v)グ リ セ ロ ー ル 、 420mMの NaCl、 1.5mMの MgCl2 、 0.2mMの EDTA、 0.5mMの DTT、
20mMの HEPES( pH7.4) 。 全 細 胞 抽 出 物 の 10μ gを 、 γ -
3 2
P-ATP標 識 HSEオ リ ゴ ヌ ク レ オ チ ド
( 熱 シ ョ ッ ク エ レ メ ン ト ( nGAAn) の 4つ の タ ン デ ム 挿 入 リ ピ ー ト を 含 む : 5'-CTAGAAGCTTC
TAGAAGCTTCTAG-3'; 配 列 番 号 :7) 及 び 0.5μ gの ポ リ (dI-dC)、 及 び 20ユ ニ ッ ト の T4ポ リ ヌ
ク レ オ チ ド キ ナ ー ゼ ( New England Biolabs, Beverly, MA) と 、 1Xの 結 合 反 応 緩 衝 液 中 で
混 合 し た 。 結 合 反 応 緩 衝 液 : 最 終 濃 度 20mMの ト リ ス ( pH7.4) 、 100mMの NaCl、 1mMの EDTA
10
、 10%( v/v) グ リ セ ロ ー ル 。 前 記 の 結 合 反 応 物 を 37℃ で 60分 イ ン キ ュ ベ ー ト し 、 標 識 さ れ
た オ リ ゴ ヌ ク レ オ チ ド は 、 製 造 元 の 指 示 に し た が い G50ス ピ ン カ ラ ム ( Amersham Bioscien
ces, Piscataway, NJ) を 用 い て 遊 離 プ ロ ー ブ か ら 分 離 し た 。 標 識 オ リ ゴ ヌ ク レ オ チ ド と
非 標 識 オ リ ゴ ヌ ク レ オ チ ド 鎖 の ア ニ ー リ ン グ は 95℃ で 5分 実 施 し 、 続 い て ゆ っ く り と 一 晩
冷 却 さ せ た 。 続 い て サ ン プ ル を 、 0.5Xの TBE緩 衝 液 中 で 4%の 非 変 性 ポ リ ア ク リ ル ア ミ ド ゲ
ル 上 で 泳 動 し て 分 析 し た 。 ゲ ル を 乾 燥 さ せ 、 オ ー ト ラ ジ オ グ ラ フ ィ を 実 施 し て DNA-タ ン パ
ク 質 複 合 体 を 検 出 し た 。 ス ー パ ー シ フ ト 実 験 の た め に 、 YAMC細 胞 を LGG-CMと と も に イ ン キ
ュ ベ ー ト し 、 続 い て 1μ gの 抗 HSF-1ラ ッ ト モ ノ ク ロ ー ナ ル 抗 体 ( SPA950、 Stressgen, Vict
oria, BC, Canada) 、 1μ gの 抗 HSF-2ラ ッ ト モ ノ ク ロ ー ナ ル 抗 体 ( SPA960, Stressgen) 、
又 は 1μ Lの ウ サ ギ 免 疫 前 血 清 を 、 HSE-結 合 反 応 の 前 に 細 胞 抽 出 物 と と も に 25℃ で 30分 プ レ
20
-イ ン キ ュ ベ ー ト し た 。 こ の プ レ イ ン キ ュ ベ ー シ ョ ン の 後 、 当 業 界 で 公 知 の 方 法 又 は 本 明
細書に記載する方法を用いて結合反応及び分析を実施した。
結 果 か ら 、 LGG-CMに 対 す る 応 答 で は 、 HSF-1の 結 合 は LGG-CMに 暴 露 後 最 初 の 1時 間 以 内 に
生じることが明らかになり、誘発は少なくとも部分的には転写性であることが示された(
図 7) 。 HSF-1及 び HSF-2に 対 す る 抗 体 を 用 い る ス ー パ ー シ フ ト 分 析 は 、 HSF-1は 必 要 と さ れ
る 主 要 な 転 写 因 子 で あ る こ と を 示 し た ( 図 8) 。
【0040】
実施例7
マイクロアレー分析
Hspは 、 LGG-CM暴 露 に 応 答 し て も っ と も 強 く ア ッ プ レ ギ ュ レ ー ト さ れ る 遺 伝 子 で あ る 。 L
30
GG-CM処 理 は 激 烈 な 熱 シ ョ ッ ク タ ン パ ク 質 誘 発 を 生 じ る こ と 、 及 び LGG-CMに よ る 上 皮 の Hsp
誘発をもたらすメカニズムが少なくとも大半が転写性であるということが確認された後、
他 の 上 皮 細 胞 の 遺 伝 子 と 比 較 し て Hspの ア ッ プ レ ギ ュ レ ー シ ョ ン の 規 模 を DNAマ イ ク ロ ア レ
ー 分 析 に よ っ て 決 定 し た 。 LGG-CM処 理 及 び MRS処 理 ( 擬 似 処 理 ) 細 胞 を 2つ の 異 な る マ イ ク
ロ ア レ ー ( 1つ は 19000の ネ ズ ミ 遺 伝 子 プ ロ ー ブ を 含 み 、 他 方 は 12000の ネ ズ ミ 遺 伝 子 プ ロ
ーブを含んでいた)を用いて比較した。
RNAを 上 記 に 記 載 し た よ う に 調 製 し 、 続 い て RNeasyミ ニ キ ッ ト ( QIAGEN, Valencia, CA
) を 製 造 元 の 指 示 に し た が っ て 用 い 、 前 記 を さ ら に も う 1回 の 精 製 工 程 に 付 し た 。 RNAの 完
全 性 は 1%ア ガ ロ ー ス ゲ ル で の 分 画 に よ っ て チ ェ ッ ク し た 。 280nm/260nm比 が 1.8か ら 2.0の
間 の RNAの み を 用 い た 。
40
19000の ネ ズ ミ 遺 伝 子 を 含 む ア フ ィ メ ト リ ッ ク ス ( Affymetrix) マ イ ク ロ ア レ ー チ ッ プ 4
30Aを デ ュ ー プ リ ケ ー ト で 使 用 し 、 12000ネ ズ ミ 遺 伝 子 を 含 む が 異 な る プ ロ ー ブ セ ッ ト を 使
用 し て い る U74Av2チ ッ プ を 用 い て 、 チ ッ プ 430Aで 得 ら れ た 結 果 を 確 認 し た 。 デ ー タ は 、 ア
フ ィ メ ト リ ッ ク ス マ イ ク ロ ア レ ー シ ュ ー ト バ ー ジ ョ ン 5.0( MAS5.0) を 用 い て 分 析 し た 。
各 事 例 で 、 LGG処 理 を 擬 似 処 理 コ ン ト ロ ー ル と 比 較 し た 。 結 果 は 、 GENESPRINGソ フ ト ( バ
ー ジ ョ ン 4.2.1, Silicon Genetics, Mountain View, CA) を 用 い て 計 算 し た と き 、 コ ン ト
ロ ー ル と 比 較 し て 処 理 細 胞 の 変 化 が 何 倍 で あ る か で 表 わ し た 。 統 計 分 析 は Dチ ッ プ ソ フ ト
ウ ェ ア を 用 い て 実 施 し た ( 以 下 の 文 献 を 参 照 さ れ た い : Tusher et al. 2001; 及 び Li et
al. 2001) 。 弁 別 的 発 現 遺 伝 子 は 以 下 の 閾 値 を 基 準 に 選 別 し た : 1.5倍 を 越 え る 相 対 的 相
違 、 100シ グ ナ ル 強 度 ユ ニ ッ ト を 超 え る 絶 対 的 相 違 、 及 び p< 0.05の 統 計 的 相 違 。 ア フ ィ メ
50
(23)
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ト リ ッ ク ス 430Aマ イ ク ロ ア レ ー チ ッ プ の デ ー タ は 、 イ ン タ ー ネ ッ ト で ア ク セ ス 可 能 な ジ ー
ン エ ク ス プ レ ッ シ ョ ン オ ム ニ バ ス デ ー タ 集 積 所 ( シ リ ー ズ エ ン ト リ ー 、 GSE1940参 照 ) に
寄託した。
LGG-CM処 理 に 応 答 し て も っ と も 劇 的 に ア ッ プ レ ギ ュ レ ー ト さ れ る 遺 伝 子 は 熱 シ ョ ッ ク タ
ン パ ク 質 遺 伝 子 で あ る こ と は 、 ス キ ャ タ ー プ ロ ッ ト か ら 観 察 す る こ と が で き る ( 図 9) 。
こ れ ら の 発 見 を 確 認 す る た め に 、 12000の ネ ズ ミ 遺 伝 子 を 含 み 、 異 な る プ ロ ー ブ を 用 い る
さ ら に 別 の 遺 伝 子 チ ッ プ を 用 い た と こ ろ 、 Hspが LGG-CM処 理 に 応 答 し て も っ と も ア ッ プ レ
ギ ュ レ ー ト す る こ と が 再 度 見 出 さ れ た 。 上 位 10の ア ッ プ レ ギ ュ レ ー ト 遺 伝 子 は 下 記 の 表 6
に提示される。
チ ッ プ 430A及 び チ ッ プ U74Av2の 両 方 に お い て 、 LGG-CM処 理 細 胞 と コ ン ト ロ ー ル と の 間 で
2倍 を 超 え る 変 化 を 示 し た 24の 遺 伝 子 が 表 1に 挙 げ ら れ て い る 。 表 1及 び 先 行 す る パ ラ グ ラ
フ に 挙 げ た GenBankア ク セ ッ シ ョ ン 番 号 に 対 応 す る 配 列 の 全 て が 参 照 に よ り 本 明 細 書 に 含
まれる。
【0041】
10
(24)
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10
20
30
40
(25)
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10
20
30
40
表1.
【0042】
チ ッ プ 430Aと チ ッ プ U74Av2間 で 共 通 の 4つ の 遺 伝 子 オ ン ト ロ ジ ー 群 が 表 2か ら 5に 示 さ れ
て い る 。 LGG-CM処 理 細 胞 と コ ン ト ロ ー ル 細 胞 と の 間 で 2倍 を 超 え る 相 違 を 示 し た 遺 伝 子 の
み が 表 示 さ れ て い る 。 表 2か ら 5に 挙 げ た GenBank番 号 に 対 応 す る 全 て の 配 列 が 参 照 に よ り
50
(26)
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本明細書に含まれる。
10
20
30
40
表 2 . 細 胞 周 期 遺 伝 子 の 調 節 : 430Aチ ッ プ に つ い て は 、 14の 遺 伝 子 オ ン ト ロ ジ ー “ 細 胞 周
期 調 節 ” 遺 伝 子 が 125群 で 見 出 さ れ た ( 全 体 : 212/13281、 p 値 : 0.000000) 。 U74Av2チ ッ
プ に つ い て は 、 10の 遺 伝 子 オ ン ト ロ ジ ー “ 細 胞 周 期 調 節 ” 遺 伝 子 が 96群 で 見 出 さ れ た ( 全
体 : 146/6741、 p 値 : 0.000038) 。
50
(27)
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【0043】
10
20
30
40
50
(28)
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10
20
表 3 . 細 胞 周 期 遺 伝 子 : 430Aチ ッ プ に つ い て は 、 18の 遺 伝 子 オ ン ト ロ ジ ー “ 細 胞 周 期 ” 遺
伝 子 が 125群 で 見 出 さ れ た ( 全 体 : 465/13281、 p 値 : 0.000000) 。 U74Av2チ ッ プ に つ い て
は 、 14の 遺 伝 子 オ ン ト ロ ジ ー “ 細 胞 周 期 ” 遺 伝 子 が 96群 で 見 出 さ れ た ( 全 体 : 326/6741、
p 値 : 0.000188) 。
【0044】
30
40
50
(29)
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表 4 . 細 胞 周 期 拘 束 遺 伝 子 : 430Aチ ッ プ に つ い て は 、 7つ の 遺 伝 子 オ ン ト ロ ジ ー “ 細 胞 周
期 拘 束 ” 遺 伝 子 が 125群 で 見 出 さ れ た ( 全 体 : 26/13281、 p 値 : 0.000000) 。 U74Av2チ ッ
プ に つ い て は 、 5つ の 遺 伝 子 オ ン ト ロ ジ ー “ 細 胞 周 期 拘 束 ” 遺 伝 子 が 96群 で 見 出 さ れ た (
全 体 : 22/6741、 p 値 : 0.000011) 。
【0045】
10
20
表 5 . リ ボ ソ ー ム タ ン パ ク 質 L7Ae/L30e/Gadd45遺 伝 子 : 430Aチ ッ プ に つ い て は 、 3つ の 遺
伝 子 オ ン ト ロ ジ ー “ リ ボ ソ ー ム タ ン パ ク 質 L7Ae/L30e/S12e/Gadd45” 遺 伝 子 が 118群 で 見 出
さ れ た ( 全 体 : 14/13714、 p 値 : 0.000211) 。 U74Av2チ ッ プ に つ い て は 、 3つ の 遺 伝 子 オ
ン ト ロ ジ ー “ リ ボ ソ ー ム タ ン パ ク 質 L7Ae/L30e/S12e/Gadd45” 遺 伝 子 が 99群 で 見 出 さ れ た
( 全 体 : 7/7501、 p 値 : 0.000075) 。
【0046】
こ れ ら の マ イ ク ロ ア レ ー 実 験 の た め に 、 統 計 的 分 析 は 、 文 献 ( Tusher et al. 2001; 及
び Li et al. 2001: 前 記 両 文 献 は 参 照 に よ り 本 明 細 書 に 含 ま れ る ) に 記 載 さ れ た よ う に 、
“ Dチ ッ プ ” 及 び “ Sam” ソ フ ト ウ ェ ア を 用 い て 実 施 し た 。
30
40
50
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10
20
表6.
30
【0047】
実施例8
5 1
クロム放出アッセイ
LGG-CMは ま た 上 皮 細 胞 を 酸 化 体 損 傷 か ら 保 護 す る 。 LGG-CMが 誘 導 性 Hspを ア ッ プ レ ギ ュ
レートすると仮定して、機能アッセイを実施して、熱ショック誘発が酸化体損傷に対する
保護に貢献するか否かを決定した。生来の免疫細胞から放出される次亜塩素酸がアンモニ
アと反応するときに通常的に産生される酸化体モノクロロアミンは、細胞骨格の崩壊、膜
輸送障害、接着結合バリアー機能の低下、及び最終的な細胞死を引き起こすことによって
上 皮 細 胞 に 影 響 を 与 え る ( Grisham et al., Inflammation14: 531-542, 1990; Musch et
al. Am. J. Physiol. 270:C429-436, 1996; Musch et al. Gastroenterology 117: 115-1
40
22, 1999) 。 誘 導 性 Hspは 、 腸 上 皮 細 胞 で モ ノ ク ロ ロ ア ミ ン に よ っ て 引 き 起 こ さ れ る 酸 化
体 ス ト レ ス に 対 し て 細 胞 保 護 を 提 供 す る こ と が 実 験 で 示 さ れ た ( 。 Musch et al. 1996; M
usch et al. 1999) 。
YAMC細 胞 を 24-ウ ェ ル プ レ ー ト で 増 殖 さ せ 、 未 処 理 の ま ま に す る か ( コ ン ト ロ ー ル ) 又
は LGG-CMで 1時 間 処 理 し 、 続 い て 培 養 液 を 交 換 し 、 細 胞 を 5%CO2 イ ン キ ュ ベ ー タ ー で 一 晩 37
℃で維持した。続いて細胞に
5 1
Cr( 50μ Ci/mL; Sigma Chemical Co.) を 60分 ロ ー ド し 、
洗 浄 し 、 さ ら に 0.6mMの 酸 化 体 モ ノ ク ロ ロ ア ミ ン を 含 む 培 養 液 で イ ン キ ュ ベ ー ト し て 細 胞
損 傷 を 誘 発 し た 。 60分 後 に 培 養 液 を 採 集 し 、 細 胞 内 に 残 留 す る
出した。放出分画及び細胞分画中の
5 1
5 1
5 1
Crを 1Nの HNO3 で 4時 間 抽
Crを 液 体 シ ン チ レ ー シ ョ ン 分 光 計 で 計 測 し た 。 放 出
Crは 、 放 出 さ れ た 量 + 細 胞 内 残 留 量 の 合 計 で 割 っ た 放 出 量 と し て 算 出 し た 。 デ ー タ を 編
50
(31)
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集 し 、 Instatソ フ ト ウ ェ ア ( Graphpad, San Diego, CA) を 用 い て 分 析 し 、 比 較 は ペ ア ー
ドスチューデントt検定を用いて実施した。
上 皮 細 胞 の LGG-CMに よ る 前 処 理 は 、 モ ノ ク ロ ロ ア ミ ン の 酸 化 体 損 傷 に も か か わ ら ず 、 ク
ロム放出アッセイによって示されるように、上皮細胞の生存活性を改善することによって
酸 化 体 に よ る 障 害 に 対 し て 統 計 的 に 有 意 な 保 護 を 提 供 す る ( 図 11A) 。
【0048】
実施例9
G/Fア ク チ ン ア ッ セ イ
上 皮 細 胞 で 細 胞 保 護 作 用 を 誘 発 す る LGG-CMの 能 力 を F/Gア ク チ ン ア ッ セ イ を 用 い て さ ら
に 究 明 し た 。 前 記 ア ッ セ イ は 、 細 胞 骨 格 損 傷 に 対 す る 保 護 を よ り 特 異 的 に 判 定 す る ( 図 11
10
B) 、 酸 化 体 ス ト レ ス に 対 し て 上 皮 細 胞 を 保 護 す る LGG-CM処 理 の 能 力 の ま た 別 の 機 能 情 報
の読出しである。
コ ン フ ル エ ン ト な YAMC単 層 細 胞 を IFN-γ を 含 ま な い 培 養 液 中 で 37℃ に 切 り 換 え 、 LGG-CM
で 1時 間 処 理 し そ の 後 培 養 液 を 交 換 す る か 、 又 は 未 処 理 の ま ま に し た ( コ ン ト ロ ー ル ) 。
細 胞 を 一 晩 維 持 し 、 続 い て 酸 化 体 モ ノ ク ロ ロ ア ミ ン ( 0.6mMで 30分 ) で 処 理 し て 細 胞 損 傷
を 誘 発 し た ( Musch et al. 1996; Musch et al. 1999) 。 細 胞 を PBSで 水 洗 し 、 採 集 し 、
遠 心 し ( 室 温 で 14000Xg、 20秒 ) 、 ペ レ ッ ト を 30℃ の 溶 解 緩 衝 液 ( 200μ L) に 再 懸 濁 さ せ
た 。 溶 解 緩 衝 液 : 1mMの ATP、 50mMの PIPES( pH6.9) 、 50mMの NaCl、 5mMの MgCl2 、 5mMの EGT
A、 5%( v/v) グ リ セ ロ ー ル 、 0.1%( v/v) ノ ニ デ ッ ト P-40、 ト ゥ イ ー ン 20ト リ ト ン X-100(
完 全 プ ロ テ ア ー ゼ 阻 害 剤 カ ク テ ル を 含 む ) 。 細 胞 を ピ ペ ッ ト で 穏 や か に 10回 上 下 さ せ て 均
20
質 化 し 、 続 い て 30℃ で 10分 イ ン キ ュ ベ ー ト し 、 さ ら に 100,000Xgで 60分 ( 30℃ ) 遠 心 し た
。 Gア ク チ ン の 測 定 の た め に 上 清 を 取 り 出 し 、 さ ら に 1μ Mサ イ ト カ ラ シ ン Dを 含 む 200μ Lの
水 ( 4℃ ) に ペ レ ッ ト ( F-ア ク チ ン を 含 む ) を 再 懸 濁 し 氷 上 に 60分 放 置 し た 。 こ の 処 理 は
、 そ の 後 の ウ ェ ス タ ン ブ ロ ッ ト で 45kDa型 モ ノ マ ー の み が 観 察 さ れ る よ う に 、 F-ア ク チ ン
分 画 を 脱 ポ リ マ ー 化 し た 。 そ の 後 、 各 抽 出 物 の 20μ Lを 取 り 出 し 、 レ ム リ ( Laemmli) の 停
止 溶 液 を 添 加 し 、 サ ン プ ル を 65℃ 10分 加 熱 し た 。 サ ン プ ル を 12.5%の ポ リ ア ク リ ル ア ミ ド
ゲ ル で SDS-PAGEに よ っ て 構 成 要 素 に 分 解 し 、 直 ち に PVDFメ ン ブ レ ン に 移 し た ( 更 な る 詳 細
についてはウェスタンブロット分析の節を参照されたい)。メンブレンに移した後、抗ア
ク チ ン ポ リ ク ロ ー ナ ル 抗 体 ( Cytoskeleton, Denver, CO) を 用 い て ア ク チ ン の 免 疫 ブ ロ ッ
ト分析を実施した。
30
期 待 し た と お り 、 未 処 理 コ ン ト ロ ー ル は Gア ク チ ン よ り 多 く の Fを 示 し 、 LGGの み に よ る
前 処 理 は こ の 比 率 を 変 え な か っ た 。 モ ノ ク ロ ロ ア ミ ン ( NH2 Cl) に よ る 細 胞 の 処 理 は 、 モ
ノ ク ロ ロ ア ミ ン が ア ク チ ン の 細 胞 骨 格 の 完 全 性 を 破 壊 す る た め に 、 フ ィ ラ メ ン ト 状 ( F)
か ら 球 状 ( G) 形 へ と ア ク チ ン を シ フ ト さ せ た 。 モ ノ ク ロ ロ ア ミ ン に 暴 露 す る 前 に LGG-CM
で 処 理 す る こ と に よ っ て 、 F-ア ク チ ン の 保 存 及 び モ ノ ク ロ ロ ア ミ ン 誘 発 ア ク チ ン 細 胞 骨 格
損 傷 に 対 す る 部 分 的 保 護 が も た ら さ れ た ( NH2 Cl処 理 レ ー ン に 対 し て 最 後 の 2つ の レ ー ン )
。
【0049】
実施例10
生物活性を有するプロバイオティック物質の特性
40
LGG-CMの 生 物 活 性 の 大 半 は 、 10kDa未 満 の 化 合 物 に 存 在 す る よ う に 思 わ れ る 。 図 3に 示 し
た よ う に 、 活 性 の 大 半 は 、 Hsp25を 誘 発 す る 能 力 に よ っ て 測 定 し た と き 、 10kDa分 子 量 を カ
ッ ト オ フ す る セ ン ト リ コ ン ( Centricon) フ ィ ル タ ー を 通 し て 調 製 し た ろ 液 中 に 存 在 す る
( 図 12Bも ま た 参 照 さ れ た い ) 。 細 胞 と 残 渣 ( retentate) ( R) と の 接 触 は Hsp25発 現 を 誘
発 し な か っ た 。 さ ら に ま た 、 ろ 液 と 残 渣 ( R+F) の 再 結 合 は 活 性 を 強 化 し な か っ た 。 し か
しながら、より大きな分子量のマルチマーが活性のために要求されるという可能性もあり
うる。
LGG-CMの 生 物 活 性 の 他 の 特 性 は 、 熱 及 び 酸 の 存 在 下 で の そ の 安 定 性 で あ る 。 図 4に 示 さ
れ る よ う に ( 二 番 目 の レ ー ン ) 、 LGG-CMは 20分 間 煮 沸 後 に そ の 活 性 を 維 持 し た 。 さ ら に ま
た 図 4に 示 さ れ る よ う に ( 第 三 番 目 の レ ー ン ) 、 LGG-CMは 酸 性 pHで も っ と も 活 性 が 強 い 。
50
(32)
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図 4で 示 さ れ た pH( pH4) は 条 件 付 け 培 養 液 の pHで あ る こ と に 留 意 さ れ た い 。 YAMC細 胞 の 洗
浄 培 養 液 ( bathing media) に 添 加 し た と き 、 1: 10希 釈 が 得 ら れ 、 最 終 pHは 6.5か ら 6.9で
あ り 、 腸 上 皮 細 胞 の 先 端 膜 の 酸 性 ミ ク ロ 環 境 で 見 出 さ れ る pHに 近 い 。 条 件 付 け 培 養 液 の pH
を 7.0に 調 整 し た と き 、 生 物 活 性 は 失 わ れ た ( 四 番 目 の レ ー ン ) 。 pHを 4.0に 再 調 整 し た と
き 、 活 性 は 回 復 せ ず ( 五 番 目 の レ ー ン ) 、 活 性 化 合 物 は 中 性 pH付 近 で 不 安 定 で あ る こ と を
示 し た 。 た だ し 、 中 性 pHで の 活 性 の 低 下 は 完 全 に は 不 可 逆 性 と い う わ け で は な か っ た 。 条
件 付 け 培 養 液 を 2日 間 pH4.0で “ 回 復 ” さ せ た 場 合 、 活 性 は 部 分 的 に 回 復 し 、 前 記 作 用 は 完
全 に は 不 可 逆 性 で は な く 、 中 性 付 近 の pHへ の 暴 露 は 、 活 性 化 合 物 の 可 逆 的 な 部 分 的 展 開 又
は変性を含むことを示している。
LGG生 物 活 性 化 合 物 は タ ン パ ク 分 解 酵 素 ペ プ シ ン に よ っ て 不 活 化 さ れ る 。 標 準 的 な プ ロ
10
ト コ ル を 用 い た ペ プ シ ン に よ る 処 理 の 後 で 、 10kDaサ イ ジ ン グ カ ラ ム か ら 混 合 物 を ろ 過 し
て一切の残留ペプシンを除去した。この事例ではペプシンを使用した。なぜならば他のプ
ロ テ ア ー ゼ と は 対 照 的 に ペ プ シ ン の 活 性 は 酸 性 pHで 至 適 だ か ら で あ る 。 図 5に 示 し た よ う
に Hsp25及 び Hsp72の 誘 発 に よ っ て 判 定 さ れ る と お り ( レ ー ン 2及 び 3を 比 較 さ れ た い ) 、 LG
G-条 件 付 け 培 養 液 の ペ プ シ ン 処 理 は 生 物 活 性 を 顕 著 に 低 下 さ せ た ( さ ら に ま た 図 12Aを 参
照のこと)。平行して実施したろ過を行わないコントロール実験によって、ペプシン自体
は Hsp発 現 に 直 接 的 に 影 響 を 与 え な い こ と が 確 認 さ れ た ( 図 12Aの レ ー ン 5、 6及 び 7を 参 照
さ れ た い ) 。 構 成 的 Hsp同 族 体 、 Hsc73で は 変 化 は 観 察 さ れ な か っ た の で 、 前 記 の 作 用 は 特
異的であった。
続 い て 、 LGG-CMを 選 択 性 限 外 ろ 過 に 付 し て 、 活 性 因 子 の 分 子 質 量 を 決 定 し た 。 続 い て 、
20
ろ 液 ( 10kDa未 満 の 分 子 を 含 む ) 及 び 残 渣 ( 10kDaよ り 大 き い 分 子 を 含 む ) 又 は 両 者 を 一 緒
に 用 い て YAMC細 胞 を 処 理 し 、 Hsp25及 び Hsp72の 免 疫 ブ ロ ッ ト を 調 製 し た 。 ろ 液 ( レ ー ン 3
) 又 は 一 緒 に 投 与 さ れ た 両 分 画 ( レ ー ン 4、 R+F) の み が YAMC細 胞 で Hsp発 現 を 誘 発 し 、 生
物 活 性 因 子 は 、 小 さ な 分 子 質 量 ( す な わ ち 10kDA未 満 ) の タ ン パ ク 質 又 は ペ プ チ ド で あ る
ことを示した。活性ペプチドの更なる性状決定によって、前記は熱安定性であり、煮沸後
で さ え も な お 活 性 を 維 持 す る こ と が 明 ら か に さ れ た ( 図 12C、 レ ー ン 2及 び 3と 比 較 さ れ た
い)。
還 元 剤 ジ チ オ ス レ イ ト ー ル ( DTT) に よ る LGG-CMの 処 理 は 、 誘 導 性 Hsp25及 び Hsp72発 現
の低下がウェスタンブロット分析によって示されるとおり活性の低下をもたらした(図6
)。これらのデータは、活性化合物はタンパク質であり、おそらくシステイン残基を含み
30
、ジスルフィド結合が前記活性因子の二次構造の維持に決定的な役割を果たしていること
を示している。
活 性 ペ プ チ ド の 性 状 決 定 に よ っ て 、 前 記 は ま た 低 pHで 安 定 で あ る こ と が 明 ら か に な っ た
。 種 々 の pHで の 安 定 性 を 決 定 す る た め に 、 LGG-CMの pHを 変 化 さ せ た ( 図 13) 。 7.0の 中 性 p
Hで は 、 LGG-CMの 活 性 は 直 ち に 細 胞 処 理 に 用 い た 場 合 は 停 止 ( 図 13A) す る が 、 pH4.0に 戻
し 一 晩 平 衡 化 さ せ た 場 合 は Hsp誘 発 能 力 を 再 樹 立 す る こ と が で き た ( 図 13B) 。 こ の こ と は
、 前 記 ペ プ チ ド は pH7.0で 不 安 定 で あ る が 、 LGG-CMを pH4.0に 戻 す こ と に よ っ て 前 記 活 性 の
少 な く と も 部 分 的 な 回 復 が も た ら さ れ る の で ( 図 13B) 、 こ の 不 安 定 性 は ペ プ チ ド の 不 可
逆的な変性の結果ではないことを示している。
本明細書に開示し特許請求の範囲に示した全ての組成物及び方法は、本開示を考慮すれ
40
ば煩雑な実験を実施することなく達成することができる。本発明の組成物及び方法は好ま
しい実施態様の関連で記載されているが、一方、本明細書に記載した組成物及び方法並び
に前記方法の工程又は連続工程で、変形が本発明の範囲から外れることなく利用できるこ
とは当業者には明白であろう。より具体的には、化学的及び物理的に関連するある種の物
質で本明細書に記載した物質を代用し、同じ又は類似の結果を達成することができること
は明白であろう。当業者に明白な全てのそのような代用及び改変は、添付の特許請求の範
囲に定義されているとおり、本発明の範囲内であると考えられる。
【0050】
参考文献
以下の参考文献は、明細書に示される例示的な手続又はその他の詳細を補足する手順又
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(33)
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はその他の詳細を該文献が提供する程度に、参照することにより具体的に明細書中に組み
込まれる。
【0051】
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【0052】
以下の図面は本明細書の部分を構成し、本発明のある特徴をさらに明らかにするために
提 供 さ れ る 。 こ こ に 提 供 さ れ る 具 体 的 な 実 施 態 様 の 詳 細 な 説 明 と と も に 本 図 面 の 1つ 又 は 2
つ以上を参考にして、本発明はさらによりよく理解されうるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【 図 1 A 】 LGG-条 件 付 け 培 養 液 は 、 結 腸 上 皮 細 胞 に お い て 時 間 依 存 性 及 び 濃 度 依 存 性 態 様
で Hsp25及 び Hsp72を 誘 発 す る 。 図 1Aは 、 LGG-CMの 誘 発 タ イ ム コ ー ス を 示 す ( 600μ L/ウ ェ
ル)。
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【 図 1 B 】 LGG-条 件 付 け 培 養 液 は 、 結 腸 上 皮 細 胞 に お い て 時 間 依 存 性 及 び 濃 度 依 存 性 態 様
で Hsp25及 び Hsp72を 誘 発 す る 。 図 1Bは 、 16時 間 処 理 に よ る LGG-CM用 量 -応 答 関 係 を 表 す 。
【 図 2 】 LGG-条 件 付 け 培 養 液 に よ る 熱 シ ョ ッ ク タ ン パ ク 質 の 誘 発 は HSF-1を 必 要 と す る 。
【 図 3 】 LGG-条 件 付 け 培 養 液 中 の 生 物 活 性 因 子 は 低 分 子 量 で あ る よ う で あ る 。
【 図 4 】 LGG-条 件 付 け 培 養 液 中 の 生 物 活 性 因 子 は 、 熱 安 定 性 で 、 さ ら に 酸 性 pHで も っ と も
活性が高いようである。
【 図 5 】 LGG-条 件 付 け 培 養 液 中 の 生 物 活 性 因 子 は ペ プ シ ン に よ っ て 不 活 化 さ れ る 。
【 図 6 】 LGG-条 件 付 け 培 養 液 中 の 生 物 活 性 因 子 は DTTに よ っ て 不 活 化 さ れ る 。
【 図 7 A 】 リ ア ル タ イ ム PCRに よ っ て 示 さ れ る 、 熱 シ ョ ッ ク タ ン パ ク 質 の LGG-CM誘 発 発 現
の タ イ ム コ ー ス を 表 す 柱 状 図 。 図 7A: Hsp72の 誘 発 。
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【 図 7 B 】 リ ア ル タ イ ム PCRに よ っ て 示 さ れ る 、 熱 シ ョ ッ ク タ ン パ ク 質 の LGG-CM誘 発 発 現
の タ イ ム コ ー ス を 表 す 柱 状 図 。 図 7B: Hsp25の 誘 発 。
【 図 8 】 プ ロ ー ブ / 結 合 剤 と し て 抗 HSF-1及 び 抗 HSF-2抗 体 を 用 い た 電 気 泳 動 移 動 度 シ フ ト
ア ッ セ イ で あ る 。 前 記 ア ッ セ イ は 、 LGG-CMに よ る 熱 シ ョ ッ ク タ ン パ ク 質 の 誘 発 は 少 な く と
も部分的には転写性であることを示している。
【 図 9 A 】 熱 シ ョ ッ ク タ ン パ ク 質 は 、 LGG-CM暴 露 後 に も っ と も 劇 的 に ア ッ プ レ ギ ュ レ ー ト
される上皮細胞遺伝子であることを示すスキャタープロットである。
【 図 9 B 】 熱 シ ョ ッ ク タ ン パ ク 質 は 、 LGG-CM暴 露 後 に も っ と も 劇 的 に ア ッ プ レ ギ ュ レ ー ト
される上皮細胞遺伝子であることを示すスキャタープロットである。
【 図 1 0 A 】 熱 シ ョ ッ ク タ ン パ ク 質 誘 発 シ グ ナ ル は 、 LGG-CMの 上 皮 細 胞 暴 露 に 際 し て 迅 速
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に 伝 達 さ れ ( 図 10A) 、 少 な く と も 1つ の シ グ ナ ル ト ラ ン ス ダ ク シ ョ ン 経 路 に よ っ て 仲 介 さ
れ る ( 図 10B) こ と を 示 す 、 洗 い 流 し 実 験 の 結 果 の 電 気 泳 動 図 で あ る 。
【 図 1 0 B 】 熱 シ ョ ッ ク タ ン パ ク 質 誘 発 シ グ ナ ル は 、 LGG-CMの 上 皮 細 胞 暴 露 に 際 し て 迅 速
に 伝 達 さ れ ( 図 10A) 、 少 な く と も 1つ の シ グ ナ ル ト ラ ン ス ダ ク シ ョ ン 経 路 に よ っ て 仲 介 さ
れ る ( 図 10B) こ と を 示 す 、 洗 い 流 し 実 験 の 結 果 の 電 気 泳 動 図 で あ る 。
【 図 1 0 C 】 熱 シ ョ ッ ク タ ン パ ク 質 誘 発 シ グ ナ ル は 、 LGG-CMの 上 皮 細 胞 暴 露 に 際 し て 迅 速
に 伝 達 さ れ ( 図 10A) 、 少 な く と も 1つ の シ グ ナ ル ト ラ ン ス ダ ク シ ョ ン 経 路 に よ っ て 仲 介 さ
れ る ( 図 10B) こ と を 示 す 、 洗 い 流 し 実 験 の 結 果 の 電 気 泳 動 図 で あ る 。
【 図 1 1 A 】 酸 化 体 ス ト レ ス に よ っ て 攻 撃 さ れ た 上 皮 細 胞 に 対 す る LGG-CMの 保 護 作 用 を 示
す柱状図である。保護作用は、
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Crに よ る 生 存 活 性 検 査 に よ っ て ( 図 11A) 、 又 は 細 胞 骨
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格 完 全 性 の G/Fア ク チ ン ア ッ セ イ ( 図 11B) に よ っ て 示 さ れ る 。
【 図 1 1 B 】 酸 化 体 ス ト レ ス に よ っ て 攻 撃 さ れ た 上 皮 細 胞 に 対 す る LGG-CMの 保 護 作 用 を 示
す柱状図である。保護作用は、
5 1
Crに よ る 生 存 活 性 検 査 に よ っ て ( 図 11A) 、 又 は 細 胞 骨
格 完 全 性 の G/Fア ク チ ン ア ッ セ イ ( 図 11B) に よ っ て 示 さ れ る 。
【 図 1 2 A 】 ラ ク ト バ シ ル ス GGに 由 来 す る 細 胞 保 護 因 子 の 物 理 的 特 性 を 示 す 。 ペ プ シ ン に
対 す る 前 記 因 子 の 感 受 性 を 示 す 電 気 泳 動 図 ( 図 12A) 、 因 子 の 電 気 泳 動 に よ る サ イ ズ 決 定
( 図 12B) 及 び 因 子 の 熱 安 定 性 の 電 気 泳 動 に よ る 証 明 で あ る 。
【 図 1 2 B 】 ラ ク ト バ シ ル ス GGに 由 来 す る 細 胞 保 護 因 子 の 物 理 的 特 性 を 示 す 。 ペ プ シ ン に
対 す る 前 記 因 子 の 感 受 性 を 示 す 電 気 泳 動 図 ( 図 12A) 、 因 子 の 電 気 泳 動 に よ る サ イ ズ 決 定
( 図 12B) 及 び 因 子 の 熱 安 定 性 の 電 気 泳 動 に よ る 証 明 で あ る 。
【 図 1 2 C 】 ラ ク ト バ シ ル ス GGに 由 来 す る 細 胞 保 護 因 子 の 物 理 的 特 性 を 示 す 。 ペ プ シ ン に
対 す る 前 記 因 子 の 感 受 性 を 示 す 電 気 泳 動 図 ( 図 12A) 、 因 子 の 電 気 泳 動 に よ る サ イ ズ 決 定
( 図 12B) 及 び 因 子 の 熱 安 定 性 の 電 気 泳 動 に よ る 証 明 で あ る 。
【 図 1 3 A 】 LGG-CMの 細 胞 保 護 因 子 の 安 定 性 を pHの 関 数 と し て 示 す 電 気 泳 動 図 ( 図 13A)
、 及 び 再 酸 性 化 時 の 因 子 の 部 分 的 復 元 を 示 す 電 気 泳 動 図 ( 図 13B) で あ る 。
【 図 1 3 B 】 LGG-CMの 細 胞 保 護 因 子 の 安 定 性 を pHの 関 数 と し て 示 す 電 気 泳 動 図 ( 図 13A)
、 及 び 再 酸 性 化 時 の 因 子 の 部 分 的 復 元 を 示 す 電 気 泳 動 図 ( 図 13B) で あ る 。
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(39)
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図4】
【図5】
【図3】
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(40)
【図6】
【図7B】
【図7A】
【図8】
【図9A】
【図9B】
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(41)
【図10A】
【図10C】
【図10B】
【図11A】
【図12A】
【図12B】
【図11B】
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(42)
【図12C】
【図13B】
【図13A】
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(43)
【配列表】
2008501316000001.app
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(44)
【国際調査報告】
JP 2008-501316 A 2008.1.24
(45)
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(46)
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フロントページの続き
(51)Int.Cl.
FI
A61P 1/04
C07K 14/335
(2006.01)
(2006.01)
A61P
C12N 15/09
(2006.01)
テーマコード(参考)
1/04
4H045
C07K 14/335
C12N 15/00
A
(81)指定国 AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),
EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,MC,NL,PL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,BJ,
CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,
CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,L
T,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX,MZ,NA,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,SY,TJ,TM,TN,TR
,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,YU,ZA,ZM,ZW
(72)発明者 チャン ユージーン ビー
アメリカ合衆国 イリノイ州 60637 シカゴ サウス メリーランド アベニュー 584
1 デパートメント オブ メディシン ジー705(エムシー6084)
(72)発明者 ペトロフ エレイン オー
アメリカ合衆国 イリノイ州 60637 シカゴ サウス メリーランド アベニュー 584
1 デパートメント オブ メディシン ジー705(エムシー6084)
Fターム(参考) 4B024 AA11 CA09 CA12 HA12
4B064 AG01 CA02 CE06 DA08
4B065 AA91X AC14 BB40 CA24 CA44
4C084 AA02 BA03 BA44 CA62 DC23 MA02 MA52 NA05 ZA682 ZB112
4C087 AA01 AA02 AA03 BC56 CA11 MA02 MA52 NA14 ZA68 ZB11
4H045 AA30 CA11 EA22 FA73
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