...

約153KB

by user

on
Category: Documents
21

views

Report

Comments

Description

Transcript

約153KB
平成 23 年度スマートコミュニティ構想普及支援事業
成果報告書(要約版)
1.補助事業者名
:株式会社エックス都市研究所
2.対象地域
:長野県飯田市
3.補助事業の名称 :地方都市におけるスマートコミュニティ構築戦略
4.内容
(1)調査の目的
スマートコミュニティについては、コンセプトやシステムイメージについてはこれまでも議論さ
れ、共有されつつあるが、それらのイメージを具体的に実践して行く上での方法論や検討プロセス
については整理が進んでいないと考える。そこで本調査は、長野県飯田市においてスマートコミュ
ニティを構築する為にどのような手順、考え方で検討を行えば良いのかを整理した上で、飯田市の
中でスマートコミュニティをどのように展開していくのかについて検討し、スマートコミュニティ
運営の考え方を整理する事を目的に検討を行った。また、飯田市におけるエネルギー需要を把握す
ると共に、再生可能エネルギーを飯田市の中でどれ位導入する事が出来るかについて検討を行った。
(2)スマートコミュニティ実践に向けた戦略
スマートコミュニティを実践して行く為には、需要側の主体的な参画と需要と供給を地域におい
てつないでいく存在がポイントになると考える。その為、実践に向けて以下のような検討を地域に
おいて検討する事が必要である。
○大きな方針と地域イメージを明確化する:需要を巻き込む
○エネルギー需給の全体的な見通し・シナリオを描く:どれ位の資金需要が起こるのかを把握する
○行政による支援・誘導の枠組展開シナリオを構築する:実践を進める条件を整える
○責任を持つ主体を構築する:スマートコミュニティのドライビングフォースを作る
○スマートコミュニティの実践に必要な情報収集・蓄積・活用の仕組みを構築する:プロジェクトの具
体化、運営に欠かせない情報を確実に把握する
また、地方都市においては、大都市のように民間事業者がスマートコミュニティというコンセプ
トで都市づくりを進めていくポテンシャルが低く、以下のような考え方でスマートコミュニティの
具体化を図っていく事が重要である。
○公共的需要からの展開:都市・地域づくりと連携し行政が需要を生み出す
○エネルギーだけでなく様々な地域課題を組み合わせた展開:エネルギー、IT を梃子に地域課題を解決
○地縁的な団体によるプロジェクトの実践:責任を持つ主体の確立とリスクの分散
本調査においては、飯田市をケースに地方都市の実態や課題等を踏まえて、スマートコミュニテ
ィ構築に向けた戦略として上記のような考え方を整理した。このような考え方を基に、飯田市にお
いてどのようにスマートコミュニティを展開して行くのかについて整理を行った。
(3)飯田市におけるスマートコミュニティの考え方
スマートコミュニティの考え方を飯田市の中で浸透させ、多くの市民がコミュニティに参加して
もらう為に、飯田市におけるスマートコミュニティの基本的な考え方として以下のようなコンセプ
トを整理した。
○エネルギーの地産地消による地域の自立性・防災性の向上(地域にあるエネルギーを使いこなす)
○既存の系統と共存しつつ地区特性に応じた階層性とネットワークの構築(地域の様々な要素をつなぐ)
○あらゆる局面・段階でのマネジメントの実施(地域の中での最適化を行う)
新たな“結い”によって生まれる低炭素な暮らしとコミュニティ
スマートコミュニティ=かゆい所に手が届く地域社会
1
全体的な考え方を基に、市内を中心市街地や中山間地域といういくつかの地域に分けて、それぞ
れの特性に応じたシステムイメージを整理した。ここでは、中山間地域のタイプについて示す。
中山間地域
地域を流れる中小河川に小水力発電所を整備し、地域でエネルギーを活用する。また、建物の
改修を通じて薪ボイラや太陽熱パネルの設置を進め、給湯と暖房需要を賄う。そして、スマート
メーターが電力や熱のマネジメントを行うと共に、各戸の薪の残量等を地域で共有できるシステ
ムも構築する。これらにより、孤立しやすい中山間地域における安全・安心を担保するエネルギ
ーシステムを構築する。
また、地域の中心に設置する「地域見守りセンター」及び「コミュニティ銭湯」では、小水力
による電力を直接つなぎ、停電時でも電力が途絶えないようにすると共に、太陽熱と薪ボイラに
よって全ての給湯暖房を賄う事によって災害時でもライフラインを確保出来るようにする。ま
た、CATV や携帯電話経由で集めた情報はこのセンターで管理し、対応を行う事で地域の安全・安
心の拠点とする。
(4)飯田市においてスマートコミュニティを実現する為のスキーム
スマートコミュニティを具体化して行く為には、行政や民間事業者、地域住民と言う多様な主体
がそれぞれの役割分担で進めていく事が必要である。飯田市においては、以下のような基本的考え
方と役割分担でスマートコミュニティの構築を進めていく事を提案した。
○システムの保有と運営を切り離した実践及びマネジメント
○スマートコミュニティの実践を行うエリアの関係者によるシステムの共同保有
○飯田市全体の視点からのコーディネート及びファイナンスを担保する組織体
○建物・システムの整備メンテナンスを担う組織体
コーディネート組織体
コーディネート/ファイナンス
里
街
保有
地縁
的団
体
地縁
的団
体
地縁
的団
体
行政
山
地縁
的団
体
地縁
的団
体
地縁
的団
体
技術的サポート
地域
マネ
ジメ
ント
主体
地域
マネ
ジメ
ント
主体
条例
要綱
運営
公民
協働
協働
スキ
統一オペレーター
整備
地域エネルギー整備企業体
ーム
街:中心市街地
里:郊外市街地
システムの保有は
地縁的団体が担
い、運営は既存の
エネルギーサービ
ス主体をベースに
飯田市全域のマネ
ジメントを担う組
織を立ち上げる。
行政は各主体が動
けるような条件を
整備すると共に、
コーディネート組
織を立ち上げ、支
援を行う。
山:中山間地域
(5)飯田市における再生可能エネルギー導入シナリオ
飯田市では太陽光発電や太陽熱パネルの普及が進んでいるが、現状の導入ペースで 2030 年まで
推移した場合と住宅の半数程度に太陽光、太陽熱パネルを導入し、メガソーラー等も台規模に導入
した場合における再生可能エネルギーの割合を試算した。
現状の普及ペース
世帯の半数程度で太陽光活用
太陽光発電を年間 250 件程度、太陽熱パネル 太陽光発電を年間 900 件程度、太陽熱パネル
を年間 50 件程度、メガソーラーを 3 基、小水 を年間 1,250 件程度、メガソーラーを 6 基、
力を 10 基程度(15 年間)
小水力を 24 基程度(15 年間)
電力の 5%、熱の 4%を賄う
電力の 18%、熱の 14%を賄う
2
Fly UP