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フィンテック、 発展する市場環境

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フィンテック、 発展する市場環境
フィンテック、
発展する市場環境: 日本市場への示唆
エグゼクティブ・サマリー
ベンチャー投資家、プライベートエクイティ企業、事業会社、
及びその他の多くのプレーヤーが、グローバルの金融テク
ノロジー(フィンテック)分野のスタートアップ企業に
空前の金額を投じています。 2010 年から現在までに、約
2,500社に対して合計500億ドル以上もの金額が投資され、
お金にまつわる「ためる」「ふやす」「かりる」「うごかす」
「つかう」「まもる」といった考え方が再定義されつつあ
ります。日本における2015年のフィンテック投資は、前年
度20%増の6,500万ドルとなりました。これから加速してい
くことが期待されます。
フィンテックはしばしばニュースの見出し
これらに対抗する意味でも、伝統的金融機
を飾るだけの象徴的な存在でした。しか
関はフィンテック企業に対して、垂直的統
し、最近は次の段階に移行し、フィンテッ
合型ビジネスへの転換、プラットフォー
クが本質的な意味を持ち始めています。地
ム・サービス・プロバイダーとしての不足
域ごとのフィンテック投資の伸長と鈍化、
機能を埋めるイネーブラーとしての価値を
投資金額の高額化、IPOの成功、弱小プレー
求めるようになってきています。多くの企
ヤーの淘汰は、フィンテックに対する実需
業がコスト削減による負のスパイラルに陥
の存在を想起させ、投資家により具体的な
りつつある中で、成功者となるためには自
期待を与えています。
社のビジネス・モデルの戦略的方向性を迅
フィンテックに関連するスタートアップ企
業の隆盛は、単に投資家だけにとっての好
機ではありません。
Google、Apple、Facebook、Amazon、Alibaba
(GAFAA)に代表される巨大テクノロジー
企業は、金融関連ビジネスにおいても斬新
な顧客体験を梃子に、関与を深めてきてい
ます。
銀行が、コスト削減や、顧客に対して利己
主義・拝金主義な表情を見せれば見せるほ
ど、テクノロジー企業やプラットフォーム
企業が、より顧客が魅力的に感じるサービ
スを次々に打ち出すことで侵食してくるで
しょう。
2
速にピボットしながら、魅惑的なビジョン
を打ち出すことで優秀な人材を惹きつけ続
ける努力が必要です。
日本においても、ベンチャーエコシステム
を支える 5 つの要素が整いつつあり、活性
化に向けて機は熟してきたといえます。こ
こからはフィンテックスタートアップ企業
と金融機関が競争・協業を通じてイノベー
ションを継続的に生み出すことが求められ
ます。市場参加者が成功体験を積み重ね、
より活動を加速するインセンティブを生じ
させることが重要となります。日本発のフ
ィンテックやイノベーションがグローバル
規模でスケールし、活躍していくことも必
要でしょう。
フィンテック概観
2015年のグローバルにおけるフィンテック投資は、欧州と
アジア・パシフィックの牽引により 75%増大し、 223億ド
ルに達しました。この大幅な投資額の伸長は、 2015 年に
29%の成長にとどまったベンチャー投資全体を上回る勢い
となっており、フィンテックが金融サービス分野において
引き続き注目を集めていることを意味しています(図1)。
一方で、一部地域での成長鈍化や投資額の高額化など、フ
ィンテックの市場が成熟に近づいている兆しも見受けられ
ます。
2015年はまた、PayPal、Square、WorldPay、First
Data 等の企業が IPO を通じて、多数の伝統
その一方で、 2015 年には Powa をはじめと
する象徴的企業の終焉もありました。Powa
的金融機関を上回る数十億ドルもの資金調
はモバイル決済関連の製品・サービスを中
達を行った面からも象徴的な年でした。こ
核に、2015年には27億ドルの市場価値を持
れらの新たな株式公開企業に加え、企業価
つ、英国で最も勢いのあるテクノロジース
値が10億ドルを超える「ユニコーン」フィ
タートアップ企業の 1 つと見られていまし
ンテック企業は現在20社を数えます1。
た2。ところが、投資家に宣言した野心的な
プランを実現できなかったゆえに、 1 年も
経たないうちに同社は破綻し、このセクタ
ーの市場評価に対して疑念を生じさせる結
果となりました。
図1:グローバルのフィンテック投資活動(2010年-2015年)
投資
(百万ドル)
1,108
30,000
25,000
20,000
5,000
22,265
1,200
1,000
800
610
459
15,000
10,000
871
772
案件数
(#)
600
12,688
338
400
1,791
2,537
3,175
2010
2011
2012
4,590
200
0
0
北米
アジア・パシフィック
欧州
2013
その他
2014
2015
案件数
出典:CB Insightsデータに基づきアクセンチュア分析
1
2
CB Insightsデータに基づきアクセンチュア分析
“Powa: The start-up that fell to earth”, BBC News, March 21, 2016. Factiva, Inc. All Rights Reserved.
3
しかし、 2016 年に入り、中国における 2 つ
超の 43 億ドルに達しています。アジア・
の 10 億ドル超の案件をはじめに合計 53 億
パシフィック地域いおいては、層の厚いテ
ドルもの投資がなされ、信頼が回復に向か
クノロジー・エコシステム、急速な経済成
っていることが示されました。実際のとこ
長、中産階級の増加等に下支えされ、デジ
ろ、第 1 四半期の全投資額のうち 50% 以上
タル化が著しく進展しています(右の「ア
はアジア・パシフィック地域のフィンテッ
ジア・パシフィックの台頭」を参照)。さら
ク企業によりなされています。第 1 四半期
には、InsTech、RiskTech、RegTechといっ
の前年同期比成長率は47%に到達し、この
た、フィンテックの後発分野への関心も高
セクターがまた輝かしい一年を迎えること
まっており、フィンテック分野への投資を
ができることを示す兆候と言えるでしょう。
加速させることに貢献しています。
市場構造の変化
Powaの破たん劇は、フィンテックに対する
フィンテックが成熟に向かっていることを
示す別の兆候として、高額案件の増加があ
ります。2015年は、オンライン融資マーケ
ットプレースを提供するSoFiの 10億ドル規
現在の市場評価が適正なのか、それとも単
模の資金調達をはじめ、5,000万ドル以上の
なるバブルなのかという疑念を呼び起こし
大規模なフィンテック案件が94件ありまし
ました。2015年終盤は、こうした市場から
た(図2)。
の信頼の毀損によると思われる影響とあわ
せて、フィンテック市場に構造的な変化が
起きているという明確な兆候が確認でき
ます。
過去 5 年にわたって、フィンテック投資は
主にリテール決済が中心でした。しかし、
市場が成熟するにつれ多様化が進み、イ
ノベーターたちは金融サービスのバリュー
昨年末にはシリコンバレーやニューヨー
チェーンに沿って様々な破壊と強化のチ
ク、ロンドンといったフィンテックの成
ャンスを追い求めています(図 3 )。例え
熟した一部地域で成長鈍化が見うけられ
ば、フィンテックによる大革新が予想さ
ました。その一方で、オースティン、ス
れる次の分野として保険業界が急浮上し
トックホルム、ムンバイといったそれ以
ており、 InsTech を掲げる企業への投資は
外の地域では、むしろ勢いを増していま
この一年で 3 倍に膨らんでいます。( P8 の
す。実際、 2015 年におけるアジア・パシ
「InsTechの出現」を参照)。
フィック地域へのフィンテック投資は 4 倍
4
アジア・パシフィックの
台頭
アジア・パシフィックにおける
2015年のフィンテック投資は、前
年比 4 倍超の 43 億ドルに達してい
ます。北米に次ぐフィンテック投
資が活発な地域となり、2010年に
は僅か 6% を占めるに過ぎなかっ
たものが、今やグローバルの投資
全体の19%を占めるに至っていま
す。中国が域内最大の45%を占め
ており、インドも38%を占めつつ
急伸しています。案件数から見る
と、ムンバイ、バンガロール、東
京、北京が同地域における主要な
フィンテック・ハブとなっていま
す。投資規模から見ると、78%が
銀行、 9% がウェルスマネジメン
トやアセットマネジメント、 1%
が保険向けとなっています。アジ
ア・パシフィック地域で最も浸透
しているフィンテック案件のセグ
メントは「決済」であり、全体の
38%を占めています。
図2:5,000万ドル超のフィンテック投資案件数の推移(2010年-2015年)
94
14
19
52
6
6
61
40
15
3
1
2010
2
5
2011
2
1
13
2012
アジア・パシフィック
北米
1
8
6
4
1
欧州
2013
2014
2015
その他
注:CBInsightsより金額を含めて報告されているもののみを対象に分析
出典:CB Insightsデータに基づきアクセンチュア分析
図3 : 分野別グローバルのフィンテック投資活動(2010年-2015年)
サイズ
= 200百万ドル
投資(百万ドル)
CAGR 10 -15 %
= 800百万ドル
高成長セグメント
60
= 2,000百万ドル
リテール融資
50
凡例
預金口座
リテール投資
債権
40
リスク&
レギュレーション
ウェルスマネジメント&アセットマネジメント
成熟セグメント
アセットマネジメント
オペレーション
30
決済
法人決済
保険
口座管理 - リテール
バックオフィス・オペレーション
リテール決済
SME融資&アセットファイナンス
損害保険
証券取引
融資
その他
トレーディング
20
その他
口座管理 – 法人向け
生命保険
注:
1. バブルの大きさは2010-2015年の投資額を示します。
2. その他は会計ソリューション、
Eコマース・ソリューションを含みます(ただし決済を除く)。
加盟店開拓
投資リサーチ
10
コーポレートファイナンス
0
出典:CB Insightsデータに基づきアクセンチュア分析
0
100
200
300
400
500
600
700
800
900
1,000
2010-2015年の案件数
5
競合から共生へ
図表4:フィンテックのヒートマップ – 脅威と機会(2010年-2015年の取引数)
フィンテック企業には大きく分けて2種
類のタイプがあります。伝統的金融機関
に対して直接的に挑戦を挑む「競合型」
と、既存の市場プレーヤーに対してポジ
競合型フィンテック企業
商品
関係の損失
関連性の損失
共生型フィンテック企業
収益の損失
オペレーション・
コストの削減
リスク削減
預金口座
ショニング転換や強化のソリューション
を提供する「共生型」です(図表 4 )。
決済
競合型フィンテック企業は、収益性の低い
融資
セグメントお顧客に対してより上質な顧客
体験を直接提供することで、一定の成功を
収めています。例えば On Deck Capital(オ
ン・デック・キャピタル)は、中小企業に
対してより迅速にローンを提供し、Square
は従来型の金融機関が手を差し伸べてこ
なかった小規模店舗(マイクロ・マーチャ
ント)にカード決済サービスを提供しまし
た。eToroはプロ向けの高度なトレーディン
グ手法を一般投資家向けに格安料金で実現
しています。
多くの金融機関は、更なる進化を遂げるた
めには、共生型フィンテック企業の活用が
キモとなると十分理解しています。共生型
フィンテック企業側からも――共生型企業
としてスタートした企業だけでなく、競争
に敗れて共生型企業へと転換した企業も含
めて――既存の金融機関を潜在的パートナ
ーと見なす傾向が出てきています。昨年、
金融機関との共生を志向するフィンテック
企業への投資は 138% 増加し、フィンテッ
ク企業向けの投資全体に占める割合で見る
と、昨年の29%から44%へと上昇していま
す。一方、競合型フィンテック企業を志向
する企業に向けた投資は 23% の増加に留ま
っています(図表5)
。即ち、競合型フィンテ
ック企業への投資は着実に増えてはいるも
のの、投資する側、される側のいずれにお
いても、共生型フィンテック企業への期待
の方が明らかに拡大しているのです。
6
ウェルスマネジメント&
アセットマネジメント
証券
保険
バック・オフィス・
オペレーション
取引の50%以上
取引の30-50%
取引の10-30%
取引の10%以下
取引の50%以上
取引の10-50%
取引の10%未満
いずれでもない
注:上記は各分野の取引件数の割合(%)
を表しています。
出典:CB Insightsデータに基づきアクセンチュア分析
新しいデジタル・
ビジネス
アクセンチュア及びニューヨーク市パート
のイニシアチブでは、競合型フィンテック
億ドル未満となっています。これらの数値
ナーシップ基金は、複数の大手金融機関が
企業の市場参入の障壁を下げるサポートを
は、銀行の同期間におけるテクノロジー投
協働して有望なフィンテックスタートアッ
しています。興味深いことに、大きくみる
資500億ドルと比較すると大きく見劣りして
プ企業を発掘しメンタリング機会を提供す
と、これらの投資傾向は地域毎に顕著な違
います(図表7)。
ることを目的とした「先進金融テクノロジ
いがあります。欧州では競合型企業へと投
ーラボ(FinTech Innovation Lab )」を設置
資がシフトしているのに対し、北米では共
しています。このラボがフィンテック・エ
生型企業への投資が増大しています。アジ
コシステムの拡大に大きく寄与している理
ア・パシフィック地域では増加割合は低い
由の1つがここにあります(補足記事3を参
ものの北米と同様の傾向となっています(図
照)。現在、6年目に入った先進金融テクノ
表6)。
することは不可能です。様々な事例から判
金額的には、依然として競合型の企業が占
シー技術の改善に向けられている考えられ
める割合が大きいですが、伝統的金融機関
ます。加えて銀行は、「チェンジ・ザ・バ
によるフィンテック活用が有益であると市
ンク
(Change the Bank)
」に対して、依然と
場で認識されるにつれ、金融機関による競
して投資全体から一定割合を振り向けるな
性 に よ り 大 き く ば ら つ き が あ り ます。
合型フィンテック企業の買収や大規模投資
ど概括的な方法により年間投資配分を決め
が加速しています。例えば、2016年の業務
ています。その結果として、銀行員は、特
例えば、ニューヨークでは過去5年間におい
開始を予定しているアトム銀行(英国のネ
徴的なサービスを提供する企業や競争力の
て共生へのシフトが特に顕著であり、共生
ット専用銀行)は29.5%の株式と引き換えに
高い企業のように新技術をスピーディーに
型フィンテック企業への投資割合は、2010
BBVA4から6,800万ドルの投資を獲得してい
採用にすることよりも、複数年にわたる既
年の37%から2015年の83%にまで増大して
ます。
存プログラムを守ろうとする傾向にありま
ロジーラボの活動は、ロンドン、ニューヨ
ーク、香港、ダブリンの4拠点において、多
くの成功を収め、90以上のスタートアップ
企業を輩出しています。競合型投資と共生
型投資の比率は、世界各地の市場環 境 の 特
います。英国では、規制環境が有利に働く
こともあり競合型企業が多数存在し、フィ
ンテック投資に占める割合も 90%以上とな
っています。英国は特に競合型フィンテッ
ク企業を優遇することを表明しているわけ
ただし、フィンテック企業が銀行業界のニ
ーズを満たしたとしても、銀行側はこうし
た企業に対してそれに見合うだけの十分な
投資を行っ て い る か と い う と 疑 問 が 残 り
ではありませんが、金融行為監督機構
(FCA) ます。昨年のフィンテック投資件数に占め
による「プロジェクト・イノベート」 3 等 る銀行の割合は10%にも及ばず、総額で50
500 億ドルのうち、新たな形の金融テクノ
ロジーに費やされた割合がどれくらいか、
あるいは新しい知的財産の自社開発に投資
された割合がどれくらいかを、正確に分析
断する限り、銀行による投資の大半はレガ
す。また、社外投資への参画が相対的に少
ないことは、「チェンジ・ザ・バンク」に
おける社内投資の制約と相まって、銀行に
深刻なリスクを招きかねません。顧客獲得
競争に勝ち抜く能力や、銀行取引プラット
フォームを抜本的に改善することを阻害す
る要因となります。
図表5:2014年から2015年におけるフィンテックへの共生型投資と競合型投資の割合(金額:百万ドル)
2014年-2015年の変化
18,150
44%
+138%
56%
+23%
11,642
共生型
29%
競合型
71%
2014
2015
注:総額では「その他」を除外しています。
出典:CB Insightsデータに基づきアクセンチュア分析
https://innovate.fca.org.uk/
4
“UK Mobile-Only Atom Bank Picks Up $128M Led By BBVA, Owner Of Simple In The U.S.”,
Techcrunch.com, November 24, 2015. Factiva, Inc. All Rights Reserved.
3
7
図6:2010年-2015年におけるフィンテックへの共生型投資と競合型投資の割合 (単位:百万ドル)
InsTechの出現
欧州
フィンテックは銀行や証券に比較
的普及していますが、保険では依
然として黎明期にあります。保険
分野をターゲットとするテクノロ
ジー企業が獲得した資金は、 2014
年は 8 億ドル未満でしたが、 2015
年はその 3 倍を超える約 26 億ドル
に上っています。大半の保険会社
が、いまだに大数の法則に依拠し
たビジネス・モデルに囚われてお
り、ウェアラブル・デバイスやス
マート製品、コネクテッド・カー
といったデジタル技術により益々
脅かされるようになっています。
その一方で、これらの技術は保険
会社にとっても、新たに豊富なデ
ータ・ソースを提供するものでも
あり、アンダーライティングや顧
客体験の強化、コスト削減に新た
な可能性をもたらすもののはずで
す。例えば Oscar Health Insurance
partners(オスカー・ヘルス・インシ
ュアランス)は、ウェアラブル・
デバイス・メーカーのMisfitと提携
し、生体データに連動する健康保
険を提供しています。また、Censio
は、自動車保険会社向けに運転デ
ータを自動的に監視、計測するソフ
トウェアを開発し、米国を拠点とす
る保険会社の Progressive がこれを
採用しています。
92
北米
2,897
1,118
アジア・パシフィック
11,387
7%
14%
共生型
38%
16%
60%
93%
86%
競合型
62%
84%
60%
40%
2010
2015
2010
2015
注:合計からは「その他」のセグメントを除外しています。
出典:CB Insightsデータに基づきアクセンチュア分析
図7:タイプ別のグローバル銀行IT投資(2015年)
銀行による新規IT支出
500億ドル以下
フィンテック投資
220億ドル以下
銀行によるフィンテック投資
50億ドル以下
出典:
8
3,781
40%
1. IT Spending in Banking, A Global Perspective, Celent, February 2015
2. Digital Disruption: How FinTech is forcing Banking to a tipping point, Citi, March 2016
3. CB Insightsデータに基づきアクセンチュア分析
InsTech
43
2010
2015
複雑化する戦いの場
銀行も今では、
フィンテック企業が脅威よりも新たな機会をも
たらしてくれることを認識しています。それでもフィンテック企
業との連携には、
様々な課題が潜んでいます。
GAFAAの衝撃
トも一切かけさせません。こうしたサービ
顧客はデジタル化の進展により高度化が進
ギ ャップが、業種が違うにもかかわらず
んだ顧客サービスを当たり前と捉えるように
銀 行への不満につながる可能性があるの
なってきています。これはGoogle、Apple、
です。
Facebook、Amazon、Alibaba(GAFAA)と
いった企業の顧客に顕著な傾向です。これ
らの企業は顧客体験の評価尺度を根本から
変えつつあります。お金に纏わるデータの
もつ価値に気づき、これを入手するために
銀行類似のサービスを増やしています。逆
に、従来型の銀行にとっては、GAFAAほど
深く顧客理解ができるだけの情報が集まら
ず、不利な状況に陥ることを意味してい
スと銀行サービスを比較した時に感じる
GAFAA は、消費者への浸透度を武器に、
特定のニーズに的を絞った金融サービスの
提供を開始しています。例えば Amazon は
自社の「マーケット・プレイス」において
小口の運転資金を貸し出す「アマゾン・レ
ンディング」を提供しています。このサー
ビスは与信判断を適切に行うため、取引デ
ータと対象企業に対するレビュー情報を活
ます。
用します。「グーグル・ウォレット」は、
銀行がここで抱えている問題は、 Fjord が
スを提供し、Apple は iPhone6 や iPad Air2
「liquid expectation5」と名付けたものです。
電子メールによるオンライン購買サービ
の よ う な 新 た な タ ッ チ認証デバイスと統
これは、顧客があるセクターの企業から受
合した決済サービスを提供しています。ま
けるサービスの質を、他のセクターにおけ
た、Facebookも無料で使える「フレンド・
る体験と比較して判断することです。例え
ば、Googleは一度ログインすれば多様なデ
バイス・製品(アプリストアにはじまり、
ツー・フレンド」という決済サービスを始
めています。このようなデジタル金融エコ
システムの進化の速さを見れば、GAFAAに
地図、検索まで)で、完全に統合されたシ
学び協働する事は、銀行にとって急務と言
ームレスな顧客体験を提供し、手間もコス
えるでしょう。
https://livingservices.fjordnet.com/media-files/2015/09/living-services.pdf
5
9
プラットフォームの勃興
上させることを目指しています。これによ
・より敏捷性の高いテクノロジー企業・デ
って、現状のように各銀行がサービス提供
ータ分析企業の優れたプラットフォーム
銀行ビジネスにおける環境変化は、顧客接
に必要なデータを個別に所有、管理するモ
に顧客接点を任せる一方で、プラットフ
点のみにとどまる話ではなく、銀行のコア
デルの必要性自体を否定しようとしていま
ォーム間の複雑なつながりを担保する決
業務処理の領域も同様です。従来、銀行は
す。テクノロジープレーヤーは、銀行以上
済などのコア機能に特化し、安定的な存
殆どの業務を自行で処理してきました。し
に効率的な新たなプラットフォーム・サー
在としての立ち位置を獲得する。
かし、自らの選択したかレギュレーション
ビスを提供できる可能性があるからです。
による圧力かはともかくとして、業務処理
銀行の全事業が同じシナリオをたどるとは
テクノロジー企業がユーティリティプレー
限りません。例えばリテール金融における
が現われ始めています。
ヤーとして、金融サービスに必要とされる
力学は、コーポレート・バンキングにおけ
規模とケイパビリティを獲得した暁には、
欧州委員会は2009年、国家補助規制の適用
る力学とは違いがあり、また証券とは尚更
銀行間の狭間で隙間を埋める存在から、銀
拡大の一環として、RBSに決済処理を担う子
異なります。
行の真の競合へと立場を変えてくることで
にかかるコストが増加するにつれて、変化
会社であるRBS Worldpayの売却を命じまし
しょう。自らがプラットフォームとなるこ
た6。今年には英国の規制当局が競争促進策
とに固執する銀行は、最適なサービスを効
として、英国の決済インフラを担うVocaLink
率的に組み合わせて活用する競合企業に対
の株式をロイズ、バークレー、HSBC、RBS
して厳しい競争を迫られることが予想され
に強制的に売却させ、英国の決済システ
ます。
ム を 開 放 し ま し た 7。 決 済 サ ー ビ ス 指 令
( PSD2 )が展開される 2018 年までには、
英国の決済市場は大きく変化している可能
があります。以前はこうしたバック・オフ
ィス機能は、収益源とはなり得ず、単なる
業務処理機能と位置付けられていました。
しかし事業売却を通じて、独立した収益重
視の新たなビジネスが生み出され、銀行に
予想される着地点
アクセンチュアは次の3つを最も可能性が高
いシナリオと見ています。
ことが求められています。これらの企業と
協力関係を築くことによって、膨大な顧客
データへのアクセスが可能になり、新しい
商品やサービスの開発を加速することがで
きます。もし銀行が競争優位を確保できな
い領域で他社に後れを取ったとしても、高
い価値を有する領域に注力して収益力を高
めることが可能です。
フィンテックを積極的に採用すること
で、抜本的な生産性向上を実現する。こ
ます。
れにより顧客に対して安価な取引手数料
として還元する。
一方、投資銀行業務では Markitのような企
付加価値を生まないものの業務上必要な
き、満足させるノウハウをGAFAAから学ぶ
・ 顧客との関係を従来通り維持しながら、
脅威をもたらす存在となる可能性があり
業が、複数の銀行からのデータを蓄積し、
銀行は顧客にリーチし、良好な関係を築
・直接的な顧客接点を減らす一方で、高付
加価値、オープン・安全・レジリエンス
プロセス(例、顧客本人確認)を効率化す
を確保したエンド・ツー・エンドの新た
ることで、大幅に業界のサービス品質を向
なプラットフォームの提供に転換する。
“RBS to sell WorldPay to Advent”, Domain-B, August 7, 2010. Factiva, Inc. All Rights Reserved.
“UK regulator urges banks to sell stakes in VocaLink to increase payments competition”, Banking Service Payments,
February 26, 2016. Factiva, Inc. All Rights Reserved.
6
7
01
10
10
銀行の新たな反応
当社のレポート「フィンテックと銀行の将来像(The Future of
Fintech and Banking8 )」において、デジタル革命がもたらす
機会を刈り取りするために銀行が取るべき3つのアクション
を特定しました。
• 開放性の追求
• コラボレーション
• 投資
開放性の追求
昨年一年間において、アクセンチュアは、
中心に近づくことが求められ、事業戦略
うまくいっている金融機関は常にこれらの
に顧客中心の発想を組み込無必要があり
アクションを志向していることを見てきま
ます。新技術には新たなスキルが要求さ
した。同時に、銀行がデジタル世界の勝者
れるため、行員がそのようなスキルセッ
となるためには、先端的で変化のスピード
トを習得できるよう、組織の各レベルで
に乗っていくための戦略も重要です。業界
投資が必要です。
が目まぐるしく変化する中、どのような戦
コラボレーション
略も独断的であってはならず、変化に応じ
て柔軟に未来を描きながら行動できるよう
なポジションを取らなければなりません。
最近見られる短期・中期・長期の戦略を次
投資
・長期: 銀行は、自らの顧客を対象としたサ
ービス・エコシステムを立ち上げるため
に、味方となる企業を広げることを検討
する必要があります。自社のビジネス・
に示します。
モデルを徹底的に見直し、顧客との関係
・短期: 銀行は、容易に採用できるテクノ
アクセスするため、短期間の収益を犠
ロジーを活用し、ビジネス・モデルを改
牲にすることも覚悟することが求められ
善する戦術を検討し始めています。デジ
ます。また、イノベーションによりリス
タル・ディスラプションが銀行経営者の
クの高い投資を実施することも必要です
間でアジェンダとして取り上げられるこ
が、通常の「ラン・ザ・バク」や「チェ
とが増えていることが示すように、こう
ンジ・ザ・バンク」プロジェクトや投資
した業界構造変化への対応は必須事項
のように長期間での成果創出を想定すべ
です。
きでないことは明らかです。過去の投資
・中期: 銀行は複数年にわたるテクノロジー
調査、投資、採用を行うプログラムを立
ち上げること通じて利益を獲得します。
また、銀行は顧客のデジタル・ライフの
性の強化や長期目線での収益プールへの
評価基準を利用することは銀行業務の最
適化に役立ちはしても、ビジネス・モデ
ルに真の挑戦や変革をもたらすことはな
いのです。
https://www.accenture.com/jp-ja/insight-future-fintech-banking.aspx
8
11
現在、既存の大手銀行で展開されている実
にあります。現在の破壊的イノベーション
行アプローチや投資戦略が示唆しているの
の波は、より安全で透明性が高く、効率に
は、全てではないにしてもその多くが、自
優れ反応のよいサービスを、消費者、企
行や市場にもたらされる可能性の高い成果
業、市場参加者のいずれにもここ 5 年以内
について、明確な「見解」を描けていない
に提供することが見込まれます。
ということです。
フィンテック・スタートアップ企業は、大
また、自行の運命を切り開く能力に関して
半の領域では銀行にとって脅威とはなって
も確信を抱けていません。当社は、戦略的
はいません。むしろ、そうした企業の新技
な視野の欠如こそが既存の大手企業の
術の評価、適合、採用を推進できる銀行こ
未 来 にとって最大の脅威であると感じてい
そが、新たな業界構造の中で優位なポジシ
ます。
ョンを速やかに築くことができると考えて
経営者が強い意志、投資、イノベーション
主導の変革を発表したとしても、現場のア
クションと合致していなければ、混乱をき
たすことになります。そうした状況では、
イノベーションを推進する能力のある優秀
な行員は銀行をもはや魅力的な職場と思わ
なくなるリスクがあります。結果シナリオ
の分析や実行リスクの管理を行うと悲観的
な気分に陥ることもあります。しかし当社
の見解では、既存の大手銀行はまだ自身の
運命を変え、意思決定するだけの強い立場
12
います。
先進金融テク
ノロジーラボ
(FinTech Innovation
Lab)
先進金融テクノロジーラボ(FinTech
Innovation Lab)は、金融サービス
分野で先端技術を開発している起業
家やスタートアップ企業を対象に毎
年開催されるメンターシップ・プロ
グラムです。世界有数の金融サービ
ス企業からシニア・エグゼクティブ
を招き、一緒に最も有望な金融技術
イノベーションを特定したり、熱意
ある少数の起業家へのメンタリング
を行いながら、 3 カ月間にわたって
各々の方針の見直しやテストを実施
します。先進金融テクノロジーラボ
は、2010年、アクセンチュアとニュ
ーヨーク市パートナーシップ基金に
よりニューヨークにおいて設立され
ました。アクセンチュアは、2012年
にはロンドンで、2014年には香港と
アイルランドで同プログラムを立ち
上げており、世界各国から50社以上
の金融機関が参加しています。
日本のフィンテック投資
日本における2015年のフィンテック投資は6,500万ドルとな
り、2014年の5,400万ドルから20%の増加となりました。グ
ローバル全体の 223 億ドル、フィンテック先進国である米
国(122億ドル)や英国(9.7億ドル)と比較すると、引き
続き僅かな額となっています。また、 2015年度に約 4倍に
投資額が増加したアジア・パシフィック地域の中でも、中
国の455%、インド1,115%、豪州1,200%と軒並み投資が活
性化する中で、日本は依然として加速期に入る前の状況と
いえるでしょう。
フィンテック先進国及び フィンテック投資と金融
急進国の環境からみた日 イノベーションが活性化
本市場への示唆
する条件
「アクセラレータ」:スタートアップの育
日本のフィンテック投資額をフィンテック
フィンテック投資およびフィンテック投資
この 5 つの条件でみると、フィンテックの
投資の先進国や急進国と比べると、経済的
を梃子にした金融イノベーションを促進す
規模(国民総生産((GDP))や金融IT支出)
るにはフィンテック・エコシステムの活性
に比して矮小化されているように見受けら
化が求められます。すなわち、フィンテッ
れます。リスクマネー供給や起業率の相対
ク企業のみならず、フィンテックの隆盛に
的な低さに象徴されるように、起業文化が
主体的に参加し、その恩恵を受けることが
浸透していないこと、言語や経済成熟度・
できる 5 つのプレーヤーが積極的な姿勢を
金融市場特性など社会ニーズの差異から日
とり、相互に連携することで相乗効果を生
本発祥のスタートアップがグローバル規模
むことが重要となります。
でスケールするためにはいくつかのハード
ルがあることなど、理由を探せば様々なも
のが見つかるでしょう。
その一方で、必ずしも経済規模や母国語が
障壁にならずこれを乗り越えている国々が
多数あることも事実です。
たとえば、フィンランド(6,500万ドル)や
シンガポール(6,900万ドル)は経済規模や
言語の問題をおいて、すでに日本と同等程
度の投資規模となっています。必ずしもこ
ういった問題が事の本質ではないことの証
左でもありましょう。
「金融機関」:自らのイノベーションを目
的とした、フィンテックの活用や投資の活
性化
「起業家」:起業家の増加・集積による、
起業家コミュニティーの活性化および情報・
成、事業化のサポートを生業とするプレー
ヤー増加、関連プレーヤーの集積するハブ
の形成
先進国や急進国は、これらをすでに具備
していることが分かります。日本について
も、2014年後半からフィンテックに関する
議論が活性化した結果として、すでに 3 つ
の要素を充足し、環境整備は進みつつある
と言えます。
・国内の金融機関においても、海外の先進
行にも見られるような、イノベーション
創出と自行の体質転換を企図した専門組
織の立上げ、枠組み設計、人材の確保が
進んでいます。
・政府・官庁は、フィンテックに対して積
極的な姿勢を明確に打ち出しています。
知見の蓄積
金融サービスの在り方や他業種との関係
「投資家」:投資成功体験を通じたリスク
の議論を行っています。例えば、金融
マネー供給の増加、起業家の育成・経営指南
「政府・行政による支援」:規制緩和、起
業支援等の環境整備・活性化に向けた政策
の実施
性、またこれらに対する規制や促進策等
庁 9、経済産業省 10、日本銀行 11が各々で
分担しながらフィンテックに関する理解
の深堀りや、相談・助言窓口の設置や、
金融機関とフィンテック企業の双方にと
ってイノベーションを促進するための規
制緩和12等が顕著な例と言えます。
http://www.fsa.go.jp/news/27/sonota/20151214-2.html
http://www.meti.go.jp/press/2015/10/20151006001/20151006001.html
11
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2016/rel160401a.htm/
12
http://www.fsa.go.jp/common/diet/190/01/youkou.pdf
13
http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/sansei/fintech/pdf/sanko_data.pdf
9
10
13
今後に向けて
せること、またこれを梃子に起業家・投資
ィやマッチング機会・メンタリングプロ
すでに見てきたとおり、日本のフィンテッ
ます。その意味では、日本発のフィンテ
グラムを提供するプレーヤーの発生や、
ク市場は、活性化に向けた環境が整い、機
ックやイノベーションがグローバル規模で
グローバルの有名アクセラレータの日本
は熟してきたといえます。ここからは、フ
スケールし、活躍していくことも必要でし
市場への関与といった動きがあります。
ィンテックおよび金融イノベーションの主
ょう。
・アクセラレータとしては、フィンテック
関連の業界団体の立ち上げ、ファシリテ
・一方で、起業家や投資家(リスクマネー
供給)の点では、フィンテック先進国、
及び急進国と比較し相対的に発展途上の
状態を継続しているように見受けられ
ます。
家が飛躍的に増加することが重要となり
役といえる、フィンテックスタートアップ
企業と金融機関が日本においても競争・協
業を通じてイノベーションを継続的に生み
出すことが求められます。この過程におい
て、市場参加者が成功体験を積み重ね、よ
り活動を加速するインセンティブを生じさ
日本市場における今後のフィンテック隆盛
と、イノベーション促進により、消費者・
企業にとって新たな付加価値をもった個性
的な金融サービスが生まれることが期待さ
れます。
図8:FinTech投資と金融イノベーションが活性化する条件
金融機関
・金融機関によるFinTech
の活用
・FinTechへの出資
14
起業家
投資家
・起業家の増加・集積
・リスクマネー供給
政府・
行政による支援
・コミュニティー活性
化・情報・知見蓄積
・起業家の育成・指南
・規制緩和
・起業サポート
アクセラレータ
・事業化のサポート、
促進
図9:FinTech先進国との比較 - 経済規模/起業環境
FinTech先進国
FinTech
投資額
アメリカ
イギリス
12,212
百万ドル
百万ドル
YoY:+21%
経済規模
GDP
2014年
開業率
・
廃業率
FinTech急伸国
974
YoY:+53%
8.0%
対アメリカ:
ドイツ
770
百万ドル
YoY:+843%
6.3%
対アメリカ:
フィンランド
65
百万ドル
YoY:+1,891%
0.5%
対アメリカ:
69
百万ドル
YoY:+663%
0.6%
対アメリカ:
日本
65
百万ドル
YoY:+20%
0.5%
対アメリカ:
17,348
2,989
3,868
十億ドル
十億ドル
十億ドル
308
4,605
9.3%
10.3%
14.1%
9.7%
8.5%
8.1%
8.5%
7.7%
31.7%
21.0%
4.8%
4.0%
十億ドル
十億ドル
272
シンガポール
十億ドル
YoY(%): 前年比成長率
出典:〔GDP〕総務省統計局 世界の統計2016「3-1 世界の国内総生産」(2016)
〔開業率・廃業率〕 アメリカ/イギリス/日本:経済産業省 FinTech研究会「FinTechに関する参考データ集」(2016)
ドイツ:中小企業白書「第2章起業・創業」(2014)
フィンランド:Statistics Finland‘s PX-Web databases
シンガポール:Statistics Singapore「Formation Of Business Entities」(2016)
図10:FinTech先進国との比較 - 金融IT支出
FinTech先進国
FinTech
投資額
アメリカ
イギリス
12,212
百万ドル
百万ドル
YoY:+21%
金融
IT支出
2014年*
FinTech急伸国
974
YoY:+53%
8.0%
対アメリカ:
24
ドイツ
770
百万ドル
YoY:+843%
6.3%
対アメリカ:
11
フィンランド
65
百万ドル
YoY:+1,891%
0.5%
対アメリカ:
1
シンガポール
69
百万ドル
YoY:+663%
0.6%
対アメリカ:
2
日本
65
百万ドル
YoY:+20%
0.5%
対アメリカ:
27
101
十億ドル
十億ドル
十億ドル
十億ドル
十億ドル
銀行
49,640百万ドル
11,098百万ドル
5,471百万ドル
541百万ドル
1,400百万ドル
15,955百万ドル
証券
25,791百万ドル
6,168百万ドル
2,466百万ドル
186百万ドル
235百万ドル
4,926百万ドル
保険
26,332百万ドル
7,048百万ドル
2,957百万ドル
348百万ドル
508百万ドル
6,066百万ドル
十億ドル
*
出典: Gartner “Forecast: Enterprise IT Spending by Vertical Industry Market, Worldwide, 2014-2020, 1Q16 Update” 27 April 2016
ガートナーのリサーチを基にアクセンチュアにて図表を作成
エンドユーザ支出額ベース 市場セグメント:IT Services 銀行:Banking 証券:Securities 保険:Health Insurance (payer), Insurance (other than health)
YoY(%): 前年比成長率
15
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に取り組んでいます。
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の分析は、ベンチャー・キャピタルと未公
開企業、様々な企業と企業のベンチャー・
キャピタル部門、ヘッジファンド、アクセ
ラレーター、政府系ファンド等の国際的な
財務活動を対象としています。上述の投資
数値からは、フィンテック企業による世界
各国でのエグジット活動(M&AとIPOを含
む)や、地域別のトラッキング基準を除外
しています(分析はこれらの活動に基づい
て実施)。本調査ではフィンテック企業
を、銀行業務や企業財務、資本市場、財務
データ分析、決済、個人向け財務管理等に
関する技術を提供する企業と定義していま
す。投資先企業のリストは新企業が随時デ
ータベースに追加されるため、常に変動し
ます。一企業に対する資金調達情報は、初
期調達を含めて公知情報となった時点でデ
ータベースに反映されます。
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All rights reserved.
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High Performance Delivered
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(James Dickerson)
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アクセンチュア株式会社の詳細は
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万3,000人の社員が、イノベーションの創
(Julian Skan)
アクセンチュア・リサーチ
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村上 隆文
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