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サルモネラ症
サルモネラ症 病 原 体 サルモネラ菌(細菌)(チフス菌、パラチフスA菌を除く) 感染経路 ・ 食品からの食品媒介感染 ・ ペットからの間接接触感染経口感染 (ミドリガメ等野生動物などが保菌する場合がある) 潜 伏 期 6~48時間(通常約 12 時間) 感染期間 未治療の場合は長期に便中排菌(有効抗菌薬服用により陰性化) 関係法令 食品衛生法第58条 拡大防止 ・ 汚染食品の廃棄 ・ 手洗いの励行 症 状 下痢、発熱、腹痛、嘔吐を主症状とする急性胃腸炎。高熱を伴う頻 度高く、便性状は、赤痢型、コレラ型。一般的に症状が激しい例が 多い。 治 療 ・ 対症療法 安静、水分、輸液の補給:脱水が見られるとき ・ 化学療法 5歳以下:ホスホマイシン その他 :ニューキノロン剤 カンピロバクター食中毒・腸炎 病 原 体 カンピロバクター(細菌) 感染経路 ・ 食品からの食品媒介感染 ・ 保菌動物からの間接接触感染 保菌動物:家畜、鳥類、イヌ、ネコ等 潜 伏 期 1~10日(通常3~5日) 感染期間 未治療の場合排菌期間が長い(5 週間)。有効抗菌剤使用開始後 48 時間以内に菌陰性化 関係法令 食品衛生法第58条 拡大防止 ・ 汚染食品の廃棄 ・ 手洗いの励行 ・ 家畜、ペットの感染予防、管理を行う 症 状 発熱・腹痛・血便を含む腸炎症状(2~5日で回復) 時に遷延、再燃がある。 ギランバレー症候群の 1/3 が本菌によるといわれる。 治 療 ・ 対症療法 補液と食事療法 ・ 化学療法 マクロライド系薬剤 あるいは ホスホマイシン 感染性胃腸炎 (5類感染症) 病 原 体 小型球形ウイルス(ノロウイルス)、ロタウイルスA,B,C型・、 アデノウイルス等 感染経路 ・ 食品,飲用水からの食物感染(ノロ、ロタ、アデノウイルス) ノロウイルスは特にカキ等の二枚貝類を介した事例が多い ・ 患者の便,吐物との間接接触感染(ノロ、ロタ、アデノウイル ス) ・ 飛沫感染(アデノウイルス) ・ 空気感染:間接感染様式(ノロウイルス) 十分に洗浄・消毒されていない吐物中のウイルスが粉塵とし て舞い上がり、間接感染様の空気感染を起こす 潜 伏 期 1~2 日(ノロ、ロタウイルス)、3~10 日(アデノウイルス) 感染期間 ノロウイルス:発病時 ~ 数日間 ロタウイルス:発病時 ~ 1 週間 アデノウイルス:発病時 ~ 約 10~14 日 関係法令 感染症法第 14 条・食品衛生法第58条 拡大防止 ・ 汚染食品の廃棄と水の加熱消毒 ・ 患者の便、吐物で汚染された衣類、リネン、トイレ、床及び患 者の手指が接触したと思われる部分(ドアノブ等)の消毒 ・ 手洗いの励行と使い捨て手袋、サージカルマスクの着用 ・ 患者との必要以外の濃厚接触を避ける 症 状 ノロウイルス 吐き気、嘔吐、下痢、腹痛を主症状とする。38℃以上の発熱及び 激しい下痢症状はまれ。24~48 時間で症状は軽快。 ロタウイルス 吐き気、嘔吐、下痢、腹痛を主症状とする。発熱、気道症状を呈 する場合がある。数日で症状は軽快。 アデノウイルス 吐き気、嘔吐、下痢、腹痛を主症状とする。発熱、及び咽頭炎等 の気道症状を呈する場合がある。 治 療 対症療法 インフルエンザ (5類感染症) 病 原 体 インフルエンザウイルスA・B・C型(ウイルス) 感染経路 ・ 空気感染:患者からの直接感染様式 ・ 飛沫感染 ・ 直接接触感染、及び患者の気道分泌物に汚染された手指や物品 を介した間接接触感染 潜 伏 期 1~3 日 感染期間 発病時 ~ 約 3 日間 関係法令 感染症法第 14 条・学校保健法第 12 条 拡大防止 インフルエンザは一般的に言われる風邪とは全く別の感染症であ り、感染力の強い病気である点に注意をした対応が必要。 ・ 患者の気道分泌物に汚染された物品や部分の消毒 ・ うがい・手洗いの励行と使い捨て手袋の着用 ・ サージカルマスクの着用(患者、及び特に患者と接する機会の あるヒト) ・ 湿度の保持 ・ 患者との必要以外の濃厚接触を避ける ・ ワクチン接種(高齢者においては重症化、死亡を防ぐ) 症 状 突然の発熱(38oC以上)、悪寒、頭痛、筋肉痛、腰痛、咽頭痛、 咳、鼻閉 治 療 ・ 対症療法 ・ A型の初期はアマンタジン投与、A及びB型の初期はニュラミ ダーゼ阻害剤投与 結核 病 原 体 結核菌(細菌) 感染経路 空気感染 潜 伏 期 小児髄膜炎1~2か月、特発性胸膜炎3~12か月、肺結核6か月 ~2年 感染期間 関係法令 結核予防法第22条、第23条 拡大防止 ・ 排菌患者の隔離 ・ 家族検診と接触者検診の実施 ・ 臨床診断(結核菌喀痰検査、胸部エックス線検査、ツベルクリ ン反応、血液検査) ・ 予防投薬 ・ 消毒(汚染又は汚染の疑いのある家屋、衣類、リネン、食器等) ・ N95マスクの着用 症 状 初期症状;軽度の咳、痰、微熱、盗汗、全身倦怠感 治 療 ・ 化学療法:必要に応じてDOT(直接確認治療、対面服薬治療) で行う。(イソニアジッド、アミノグリコシッド系薬剤) ・ 外科療法 ・ 副腎皮質ホルモン併用 マイコプラズマ肺炎 (5類感染症) 病 原 体 マイコプラズマ・ニューモニア(マイコプラズマ) 感染経路 ・ 飛沫感染 ・ 直接接触感染、及び患者の気道分泌物に汚染された手指や物品 を介した間接接触感染 潜 伏 期 1~4週間 感染期間 発症時 ~ 10 日 関係法令 感染症法第 14 条 拡大防止 ・ うがい、手洗いの励行と使い捨て手袋の着用 ・ サージカルマスクの着用(患者、及び特に患者と接する機会の あるヒト) ・ 患者の気道分泌物に汚染された物品や部分の消毒 ・ 患者との必要以外の濃厚接触を避ける 症 状 初期症状は、乾性咳嗽、発熱(高熱)、倦怠感が顕著。 進行に伴う一般的な症状は、急性気管支炎や咽頭炎。肺炎まで進行 した場合には異形肺炎像を呈する。 治 療 ・ 急性気管支炎は通常軽症であり抗生物質投与なしで軽快する。 ・ 抗生物質を投与する場合は、エリスロマイシン、あるいはクラ リスロマイシン、アジスロマイシンなどのマクロライド系抗生 物質も有効である。 レジオネラ症 (4類感染症) 病 原 体 レジオネラ属菌(細菌)(40種類以上) 感染経路 飛沫感染、空気感染 本菌に汚染された水(冷却塔、加湿器、24 時間循環風呂等) のエアロゾルを吸入し感染。汚染された水を誤嚥することで感 染することもある。 潜 伏 期 レジオネラ肺炎2~12日、ポンティアック熱1~2日 感染期間 レジオネラ属菌はアメーバ類などの原生動物内で増殖するので、感 染機会は常に存在する。 関係法令 感染症法第 12条 拡大防止 ・ 人工水環境施設の清掃・消毒。 ・ 施設の定期点検・清掃・細菌検査実施 ・ 設備からのしぶき発生を減少させる 症 状 レジオネラ肺炎;全身倦怠感、筋肉痛、頭痛、高熱、悪寒、乾性→ 湿性咳、意識障害、腹痛、嘔吐、下痢 ポンティアック熱;発熱、悪寒、頭痛 治 療 ・ 化学療法 マクロライド系、リファンピシン、ニューキノロン系 ・ ショック、播種性血管内凝固症候群(DIC)への治療 呼吸管理 麻疹 5類感染症 病 原 体 麻疹ウイルス(ウイルス) 感染経路 ・ 空気感染:患者からの直接感染様式 ・ 飛沫感染 ・ 直接接触感染、及び患者の気道分泌物に汚染された手指や物品 を介した間接接触感染 潜 伏 期 約 8 ~ 12 日 感染期間 発熱の1~2日前(発疹出現の3~5日前)から発疹出現後4日。 特に発疹出現前は感染力が強い 関係法令 感染症法第 14条、学校保健法第12条 拡大防止 ・ 個室管理 ・ うがい、手洗いの励行と使い捨て手袋の着用 ・ 患者の気道分泌物に汚染された物品や部分の消毒 ・ ワクチン接種(患者接触後 3 日以内) ・ 免疫グロブリン投与(接触後 6 日以内) ワクチンや免疫グロブリンの投与は医師の的確な判断によらなけ ればならない。 麻疹ワクチン非接種者がいる場合や、免疫不全者の場合は、重篤な 合併症により後遺症を残したり、死に至る場合もあるため、十分な 感染防止措置を講ずる必要がある。 症 状 ・ カタル期:発熱(38.5OC以上の高熱)、咳、鼻水、目脂、 羞明、結膜充血、コプリック斑 ・ 発疹期:耳介後部 ~ 全身発疹、発熱は発疹出現後 3~4 日持 続 ・ 回復期:色素沈着 気管支炎、中耳炎、肺炎、咽頭炎、髄膜脳炎、亜急性硬化性全脳炎 など、重篤な合併症を起こす場合があり、また死に至る場合もある。 治 療 対症療法 風疹 5類感染症 病 原 体 風疹ウイルス(ウイルス) 感染経路 ・ 飛沫感染 ・ 直接接触感染、及び患者の気道分泌物に汚染された手指や物品 を介した間接接触感染 ・ 先天性風疹症候群は経胎盤感染。 潜 伏 期 約14~23 日(通常16~18 日) 感染期間 発疹出現の7日前から発疹出現後約 7 日間 関係法令 感染症法第 14条、学校保健法第12条 拡大防止 ・ ・ ・ ・ 症 状 ・ 発疹(3 日前後で消失)、リンパ節腫脹(頚部、耳後部) 、軽い 発熱を主症状とする。 ・ 合併症として関節炎、脳炎、血小板減少性紫斑病を起こす場合 がある。 ・ 妊娠初期(3~4 ヶ月)の妊婦が罹患すると、胎児が感染し先天 性風疹症候群の症状を持って生まれる場合がある。 治 療 対症療法 個室管理 うがい、手洗いの励行と使い捨て手袋の着用 患者の気道分泌物に汚染された物品や部分の消毒 サージカルマスクの着用(患者、及び特に患者と接する機会の あるヒト) ・ ワクチン接種(接触後 3 日以内の妊婦以外の健康人) ワクチン投与は医師の的確な判断によらなければならない。 水痘 5類感染症 病 原 体 水痘―帯状疱疹ウイルス(ウイルス) 感染経路 ・ 空気感染:患者からの直接感染様式 ・ 飛沫感染 ・ 直接接触感染、及び患者の水泡内容物や気道分泌物に汚染され た手指や物品を介した間接接触感染 潜 伏 期 10~21日(通常 14~16 日) 感染期間 発疹出現の 1~2 日前から痂皮形成するまで(通常水疱出現後 7 日 程度) 関係法令 感染症法第 14条、学校保健法第12条 拡大防止 ・ 患者の気道分泌物や水泡内容物等で汚染された衣類、リネン等 の物品及び汚染部分の消毒 ・ 個室管理 ・ うがい、手洗いの励行と使い捨て手袋の着用 ・ ワクチン接種(患者接触後3日以内) ワクチンの投与は医師の的確な判断によらなければならない。 症 状 ・ 水痘:軽度の発熱、発疹、軽い全身症状を主症状とする。 発疹は、紅斑→水泡→痂皮と進む。発熱は、小児の場合軽 度であるが、成人は高熱及び重症化する場合がある。 ・ 帯状疱疹:小児期に感染した水痘―帯状疱疹ウイルスが神経節 に潜伏感染し、成人時期に再活性化して起きるため、成 人から老年期に多い。 水疱を伴う発赤疹が帯状に出現し、その部位に激しい痛み や知覚異常を来す。 ・ 妊娠初期に妊婦が罹患すると、胎児は先天性水痘の来す場合が ある。 治 療 対症療法 アシクロビルによる治療は、重症化しそうな健康な成人に用いられ る場合がある